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2016年6月3日 第16回雇用仲介事業等の在り方に関する検討会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成28年6月3日(金)13:00~15:00


○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
共用第6会議室(3階)


○出席者

委員

阿部座長、安藤委員、大久保委員、松浦委員、水町委員

事務局

坂口派遣・有期労働対策部長、阿部企画課長、松本需給調整事業課長、
戸ヶ崎主任指導官、手倉森派遣・請負労働企画官

○議題

(1)報告書案について

○議事

○阿部座長 第 16 回雇用仲介事業等の在り方に関する検討会を開催します。本日は竹内委員と水島委員が、所用のため御欠席となっております。

 本日の検討会は報告書案について議論をしていただきたいと思います。資料の確認を事務局からお願いいたします。

○手倉森企画官 需給調整事業課企画官の手倉森です。お手元の資料の確認をお願いいたします。議事次第、座席表の後、資料 1 「雇用仲介事業等の在り方に関する検討会報告書 ( ) 」となっています。以上です。

○阿部座長 議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。

 議事の進め方ですが、本日は報告書案について事務局から御説明を頂いた後、議論の時間を取りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○手倉森企画官 資料 1 です。表紙の後に報告書の本文になります。全体の構成ですが、第 1 「基本的な考え方」、第 2 「職業紹介事業等について」、 5 ページの第 3 「職業紹介事業以外の雇用仲介事業等について」、 6 ページに第 4 「その他」とあり、 4 部構成になっております。第 1 から読上げに近いような形で御説明させていただきます。

 第 1 「基本的な考え方」です。少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少する中、育児等で離職した者、中高年齢者等も含め、労働者がその希望に応じて働くことができる社会を実現することが重要である。また、 IT 化・グローバル化等、雇用を取り巻く社会や経済が変化するとともに、それにより求職・求人ルートや雇用仲介事業等も多様化している。このため、外部労働市場において社会的インフラとしてマッチングを担う官民の雇用仲介事業等について、様々な求職・求人のマッチングが、より適切かつ円滑に行われるよう、更なる機能強化を図ることが必要である。この際、雇用仲介事業等は社会的インフラであることから、まずは求職者保護の観点から、必要な制度の見直しや取組の強化を図ることが必要である。また、求職者及び求人者の利便が阻害されないかという点についても留意することが必要である。その上で雇用仲介事業等の質の向上、運営の効率化等に資する見直しを検討することが適当である。また、求人・求職者情報提供事業を含む雇用仲介事業等全体に係る共通ルールの設定等を行うとともに、ルールの整合性の確保、ルールを法令で定めること等による明確化等の観点から検討することが適当である。本報告書は、上記のような基本的な考え方に沿って、雇用仲介事業等に係る現行制度や事業等の実態等を踏まえ、多岐にわたる論点について整理を行ったものである。

 以上が「基本的な考え方」で、その下に※で雇用仲介事業等とは本報告書でどういったものをいうのかということを書いています。

 続いて、第 2 「職業紹介事業等について」です。 1. 職業紹介事業の主な許可基準等。 (1) 職業紹介責任者。事業所の面積要件や事業所外での事業実施について、より柔軟な事業運営を可能とする見直しをするのであれば、一方で求職者保護及び適切な事業運営の確保のための体制確保は一層重要となる。このため、職業紹介責任者については、現行の事業所ごとの選任を維持することとした上で、職業紹介責任者の職責として、他の従業員に対する労働法令等の教育を加えるとともに、職業紹介責任者講習の充実 ( 必修科目、講習内容 ( 法改正の動向、他の従業員への教育方法 ) の見直し、理解度の確認等 ) を図ることが適当である。加えて、職業紹介責任者に対して、定期的に法改正等を周知することが適当であり、具体的方策について更に検討を深めるべきである。

(2) 面積要件。事業所に関する要件として、面積要件 ( おおむね 20 平方メートル以上 ) が課されている趣旨はプライバシー保護にあると考えられることから、面積要件を廃止し、それに代えて求職者のプライバシー確保のための措置を講ずることを要件とすることが適当である。

(3) 事業所外での事業実施。職業紹介事業者は事業所で事業実施 ( 求人・求職の受理、あっせん ) することとされているが、職業紹介責任者が当該事業所外にいる場合、又は当該事業所外に速やかに到着できる場合は、事業所外での事業実施を可能とすることが適当である。その際、プライバシーや個人情報の保護の措置が講じられていることも条件とすることが適当である。

(4) 欠格事由。労働者派遣事業との比較を踏まえ、職業紹介事業の欠格事由に暴力団排除条項等を追加することが適当である。

(5) 国外にわたる職業紹介。国外にわたる職業紹介を行うに当たっては、相手国の法令や相手国内の取次機関の活動が適法であることは当然に把握すべきであり、現行の届出を維持することが適当である。なお、届出に係る手続の準備に資するよう、外国法令を職業紹介事業者が参照できるような情報提供などの支援体制が整備されることが適当である。

2. 職業紹介事業者に課される主な義務等。 (1) 労働条件等明示。労働条件等が求職者等に確実に到達し保存できることを確保するため、現行の明示方法 ( 書面又は電子メール ) を維持することが適当である。

(2) 求人・求職の全件受理義務等。全件受理義務は維持することが適当であるが、より適切にマッチングが行われるよう、取扱職種の範囲等として定めることができるものの例示を追加等することが適当であり、追加等する例示事項は他法令等も参照しつつ、更に検討を深めるべきである。また、反社会的勢力からの求人など、取扱職種の範囲等として届け出ることなく不受理が可能な求人を追加等することが適当である。

(3) 求人求職管理簿。適正な業務運営を確保するため、現行の記載事項を維持することが適当である。

(4) 求人情報・求職者情報の管理。職業紹介事業と労働者派遣事業を兼業する場合について、別個の管理を要しないこととすることが適当である。

3. 業務提携。 (1) 職業紹介事業者間の業務提携。より迅速かつ的確なマッチングの実現を図るため、職業紹介事業者が複数の職業紹介事業者と業務提携することも可能であることを明確化することが適当である。その際、業務提携が進むことによる影響にも留意しつつ、法令上の義務を負う者、求人者・求職者の同意を求める手続、手数料配分の留意事項なども併せて明確化することが適当である。なお、職業紹介を行う主体によって異なるものとすることが適当なものがないか留意する必要がある。

 ア . あっせんに係る法令上の義務については、あっせんを行った職業紹介事業者のうち、いずれか 1 者が負うこととし、その上で労働条件等明示については求職者に対応した職業紹介事業者が負うこととすることが適当である。なお、紹介者の能力や求人者の条件に適合する紹介に努める義務など、全ての職業紹介事業者が負う義務があることは言うまでもなく、また、労働条件等明示の義務履行のためには求人を受理した職業紹介事業者から求職者に対応する職業紹介事業者に対し、労働条件等について適切に情報が伝達される必要がある。

 イ . 業務提携により他の職業紹介事業者に対して、求人情報・求職情報を提供しようとする場合は、➀求人者・求職者の同意を要することとし ( 複数の職業紹介事業者への提供について同時に同意を求めることは妨げない ) 。➁同意を求めるときに明示すべき事項 ( 職業紹介事業者の名称、個人情報の取扱規定、取扱業務の範囲等、手数料に関する事項等、職業紹介事業者に関する情報 ) 、同意方法 ( 職業紹介事業者ごとに同意、不同意を示せること ) などの条件を設定することが適当である。また、同意を求めるときに、より具体的に職業紹介事業者に関する情報提供をできるようにする方策について、更に検討を深めるべきである。

 ウ . 有料職業紹介事業者と無料職業紹介事業者との連携において、無料職業紹介事業者が実質的に手数料を得てはならないことを明確化することが適当である。

(2) 職業紹介事業者と職業紹介事業者以外の者との提携。職業紹介事業者以外の者が職業紹介の全部又は一部を行えないことを当然の前提とした上で、職業紹介事業者と職業紹介事業者以外の者が提携可能な内容を明確化することが適当である。

4. 求職者保護の強化等。 (1) 求人に際して明示される労働条件等の適正化。労働条件等明示等のルールについて、固定残業代の明示等指針の充実、虚偽の条件を職業紹介事業者等に対し呈示した求人者に係る罰則の整備など、必要な強化を図ることが適当である。

(2) 求職者・求人者と職業紹介事業者とのトラブルへの対応。就職した労働者の早期離職や当該労働者を紹介した職業紹介事業者による再度の職業紹介等の問題が生じているとの指摘もあり、業界団体の自主的な取組も含め、➀未充足の求人や離職により繰り返し出される求人に対する求人企業に係る助言などの対応の在り方、➁職業紹介後の職業紹介事業者によるフォローアップや苦情対応の在り方について、更に検討を深めるべきである。

5. その他。職業紹介事業者が労働者派遣事業も行う場合に、紹介予定派遣、労働者派遣の派遣期間満了後等の職業紹介等、職業紹介事業者が派遣労働から派遣先での直接雇用への移行に関して担うことができる方策を周知することにより、円滑な移行を促進することが適当である。

 続いて 5 ページです。第 3 「職業紹介事業以外の雇用仲介事業について」です。 1 直接募集、文書募集。労働条件等明示等のルールについて、固定残業代の明示等指針の充実、虚偽の広告を行った求人・求職者情報提供事業者に係る罰則の整備など、必要な強化を図ることが適当である。関連して女性活躍推進法や若者雇用促進法に基づき、女性や若者に向けて職場情報の開示が進められる中、それ以外の者に向けても、企業による職場情報の開示を促進することが適当である。

2. 委託募集、 (1) 委託募集。委託募集に係る許可制等が設定されている本来の趣旨は、労働者を雇用しようとする者と労働者との間に第三者が介入することによる弊害の防止であることから、募集受託者に係る必要なルールを設定するのが本来であり、労働者の募集を委託する者に係る許可制・届出制及び報酬の認可制を廃止することが適当である。その際に併せて、報酬供与の禁止の在り方についても検討する必要があり、そのほか許可制等を廃止する場合の影響についても留意する必要がある。関連して、合同募集や採用業務等の受託として行われているものの中に、職業紹介に該当するものがないか、更に検討を深めるべきである。

(2) 募集の受託。募集受託者については、現行でも様々なルールが設定されているが、上記 (1) の委託募集の許可制等が設けられた趣旨を踏まえ、直接募集と同様のルール設定となるよう、募集内容の的確表示に係る努力義務も課すことが適当である。また、上記に加えて応募後のトラブル防止のため、募集受託者の労働条件等の明示義務の内容に委託者の名称を追加することが適当である。

 続いて、 3. 労働者供給です。許可基準における労働組合等の資格要件の見直しについては慎重な検討が必要であり、現行の許可基準を維持することが適当である。一方、許可基準のうち事業運営に関する要件については、許可申請時のみならず継続的に確認すべきこともあることから、指導監督による履行確保を図るため指針を新設することが適当である。

4. その他の雇用仲介事業です。 (1) 職業紹介の定義。局長通達で示されている求人・求職者情報提供と職業紹介との区分基準について、求人・求職者情報提供事業の状況を踏まえて必要な見直しを検討することが適当である。その際、利用者の行為により入手できる情報の範囲といった観点も含め、事業者の判断により提供される求人・求職者情報の位置づけも考慮しつつ、更に検討を深めるべきである。

(2) 法規制のある業態以外の雇用仲介事業。求人・求職者情報提供事業については、入職経路の相当程度の割合を占め、かつサービス内容が多様化し、職業紹介事業に近似したサービスも登場していることから、個人情報の取扱いの義務、守秘義務、労働条件等の明示義務、募集内容の的確表示に係る努力義務、募集に応じた求職者からの報酬受領の禁止など、雇用仲介事業として必要なルールを設定することが適当である。

 第 4 「その他」です。職業紹介事業者により提供されるサービスの多様化等を踏まえ、職業紹介事業に関して指導監督を強化することが適当である。また、雇用仲介事業等に関するルールは法令と通達で示されているが、今回の見直しを機に、ルールを法令で定めること等による明確化等にも留意しつつ検討すべきである。以上です。

 その後、参考資料として開催要綱、構成員名簿、開催経緯を付けております。

○阿部座長 ただいまの御説明に対する御意見、御感想、本日が最終回ですので、検討会全体を通しての御感想等がありましたら、御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。

○松浦委員 お取りまとめいただき、ありがとうございます。非常に細かいことで恐縮なのですが、 6 ページに職業紹介の定義について記載があります。ここで、現在の職業紹介の定義の区分基準が局長通達になっているということですが、ルールは通達ではなく法令で定めることが、今回の検討会の 1 つのスタンスとして示されてもいます。職業紹介の定義は非常に重要な点だと思いますから、局長通達のままではなくて、指針なり何らかの形で記載いただくことも、今後御検討いただけるとありがたいです。

○阿部座長 いかがですか。

○松本課長 第 4 の最後の 3 行は全体に係る事項です。御指摘の局長通達で示しているのは、例示や解釈でありますが、そういった実質的な影響も踏まえた上で、全体的に法令であるとか、通達で示す内容の精査を行っていく所存です。

○阿部座長 ほかにいかがでしょうか。

○大久保委員 確認です。 5 ページの「直接募集、文書募集」の所の虚偽の求人、広告を行った求人・求職者情報提供事業者に係る罰則の整備の具体的な内容に関してです。現在の職安法の第 65 条に規定があって、その 8 に「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれに従事した者」に対する罰金や懲役に関する規定が書かれているわけですが、この罰則の整備というのは、具体的に、これにどうするということを意味しているのかを正確に聞きたいと思います。

 それから、これは会議でも何度も議論が出たと思うのですが、求職者からの問合せとかクレームで、求人募集に書いている内容が事実と違っていたというケースが発生する場合があります。これについての一義的な責任は、求人者が正しい情報を提供するということに責任があります。それを仮に信用して、求人広告を取り扱った場合についてですが、これは本来求人者が罰せられるべきものだと思うのです。ここで言っている求人・求職者情報提供事業者は、その求人者から受理した求人の具体的な労働条件に関して、例えば改ざんをするとか、しかも故意に改ざんをするといったときに、初めて求人・求職者情報提供する事業者に対して、 65 条が適用されるような罰則であるのだと。もともとの正しい情報を出すという基本的な責任は、求人者そのものにあるという理解でよろしいのでしょうか。

○松本課長 御指摘のとおり、 1 点目と 2 点目は、ほぼ御説明する内容は同じです。現行の第 65 条第 8 号は、罰則の対象となる者から情報提供事業者が抜けているというのが現状です。そもそも求人の情報、そこに記載されている条件を正しく表示するのは、求人企業側にあるというのは御指摘のとおりだと思います。

 そういった中で、なぜこういった整備が必要かという点について、改めて御説明しますと、これも御質問の中にありましたが、提供された求人情報の条件を事業者が故意に変更した場合、また求人を受領していないのに、あたかも受領したかのように創作した場合、いずれも故意にそのようにして情報提供した場合を想定して、そういった場合には罰則の整備が必要ではないかという内容としています。

○大久保委員 確認ですが、そうすると現在の第 65 条の 8 には、書き方が「これらに従事した者」と書いてありますが、現在のこの文章の中には求人・求職情報提供事業者は含まれていないが、今後この中に含まれると変えるということですか。

○松本課長 それを含まれるような、必要な法整備をするのが適当ではないかという御提言の内容を想定しています。

○松浦委員 確認ですが、含まれていないのは求人企業のほうでしたか、事業者でしたか。

○松本課長  2 つありまして、今、質問のあった 5 ページの話は求人情報提供事業者の件です。一方、もう 1 つの罰則についての指摘としての御意見は、 4 ページの真ん中の 4(1) です。こちらは、職業紹介事業者に虚偽の条件を呈示した求人者が、現行の第 65 条第 8 号の対象外になっているということなので、この 2 つの穴を埋めるということです。

○阿部座長 ほかにいかがでしょうか。

○水町委員 今回のこの検討会の全体の議論の中で、そもそも規制改革会議の問題提起を受けて、それを 1 つのきっかけとしながら今回の検討会が行われてきたわけですが、そもそもどういう形で問題提起がなされたかというと、大きく 2 つで、 1 つは雇用仲介事業というのはいろいろな規制が入り組んでいるので、根本に立ち返って、規制の趣旨や目的に遡りながら、ルール全体を再編したり、その中でルールを分かりやすくするということが、 1 つです。

 もう 1 つは、 IT 化等を含めて、新しい社会変化、社会状況の中で、必ずしも、これまで十分に担保されてこなかったような、新しいプライバシー、労働者の権利、利益も出てきているので、それをきちんと新しい法規制の中にどう位置付けて擁護していくかというところは第 2 の合わせた課題です。全体として見てみると、ある程度この 2 つの要請を考慮しながら報告書の取りまとめをしていただいたかなというところは感謝しております。

ただ、今後更に検討するという点や、この報告書を前提にこれから法制化等の議論を進めていく中で、では法律でどう書き込むのかとか、法令や通達の中で、どのように分けていくのか等については、今後の作業に委ねられている点もたくさんありますので、もう一遍、先ほどの 2 つの点に立ち戻りながら具体的な作業を進めていき、さらに松浦委員が先ほどおっしゃったように、共通するルールについては法令できちんと位置づけながら、皆さんに同じような形で規制の根拠や規制の内容を示すことができるような形で、今後作業を更に進めていっていただくことをお願いしておきます。私からは以上です。

○安藤委員 細かい点が 2 点あります。 2 ページの「面積要件」の所で、「それに代えて求職者のプライバシー確保のための措置を講ずることを要件とする」というお話がありますが、これは以前に議論した際に、これにも程度問題というか、密室とか会議室で、完全に空間として区分されていたり、密室つまり音が聞こえないようにしないといけないのかといったら、人によっては、もっと簡易な所でもいいようなことも申し上げたことがあると思いますが、「要件とする」というと少し強く感じるのですが、このプライバシー確保のための措置というのは、具体的にどういうことを想定されているのでしょうか。

2 点目は、 4 ページの先ほど議論になった 4 (1) 、次のページの第 3 1 もそうです。虚偽の条件を呈示した場合の罰則の整備ということがありますが、虚偽のことだけではなくて、虚偽というのは真実でないことを書く場合ですよね。それだけではなくて、出すべきものを出していなかった者にも罰則は掛けられないのかということが気になったのです。これは、あえてスペースが足りないであるとかで書かない場合もあるから、虚偽のものだけを罰則の対象にしているように読めるのですが、必要な情報を出していない場合にはどうなるのか。この 2 点について教えていただければと思います。

○松本課長  1 点目のプライバシー確保のための措置ですが、これは、ある程度幅を持った要件として設定することを想定しています。事業所にそういったコーナーを設けること、それが密室であるか否かというところまで求めるかというのは、これは引き続きの検討ではありますが、音が漏れないということまでは必ずしも必要ではないのではないかと思っていますが、これは今後引き続き検討を深めていきたいと思っております。

 その次の点ですが、現行の第 65 条第 8 号は、「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示し」という規定ぶりから言えば、呈示していない場合が含まれるかというと、文理的には含まれないと思います。これは刑事罰ですので、そのように限定する必要があると思います。

 一方で呈示しないこと、つまり呈示すべきことを呈示するようにすべきという点に関しては、罰則の第 65 条ではなくて安定法第 5 条の 3 で、「呈示せよ」というところで議論すべきことかと思います。その上で、どこまで刑罰をもって呈示することが適当かというところもまた別個の議論かと思いますが、安藤委員もおっしゃったように、特に情報提供事業の場合はメディアによってその許容度も違ってくるかと思います。それも含めて、第 5 条の 3 と第 65 条の 8 号との関係を引き続き検討を深めていくことになるのではないかと思います。

○阿部座長 ほかにはどうでしょうか、特にございませんか。

 平成 27 3 31 日が第 1 回で、それ以来 1 年と 3 か月、 16 回にわたってこの検討会をやってまいりまして、事務局の皆様、検討会の委員の皆様のお陰で、検討会の報告書案が出来上がったと思っております。皆様には大変感謝しております。

 皆様から本日も御意見を頂戴しましたけれども、特段大きな修正はないと思いますので、本報告書をもって本検討会の最終報告書として公開したいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○阿部座長 ありがとうございます。

 それでは、本日は検討会の最終日ということですので、ここで坂口派遣・有期労働対策部長から御挨拶を頂きたいと思います。

○坂口部長 阿部座長をはじめ委員の皆様方には、今、座長からもございましたけれども、昨年 3 月からということで、計 16 回にわたりまして、この雇用仲介事業等の在り方について御検討いただき、今日報告の取りまとめということで、誠にありがとうございます。

 今日、お取りまとめいただいた報告の「基本的な考え方」の所でも触れられているとおり、経済社会が少子高齢化の人口減少であったり、 IT 化、グローバル化ということで、大きな変化が起こっている中で、求人あるいは求職者、あるいはそのマッチングをする雇用仲介事業等がどういう影響を受けているのか、あるいはそういう変化を受けながら、今はどう対応しているのかということをいろいろ踏まえながら、そして一方で、求職者の保護が重要という観点を常にしっかりと押さえていただきながら、雇用仲介事業等のマッチング機能の一層の強化ということについて、御検討を頂きました。

 議論の中で、冒頭の頃から余り議論を早い段階で絞り込むのではなくて、間口を広く持って、幅広く検討していこうということで、この資料にも付いていますが、いろいろと多くの団体の方、事業者、有識者の方からもヒアリングをしていただくということで、非常に丁寧な御検討を頂いたかと思っております。

 その上で、今回この報告書ということで、労働条件等明示等のルールについての必要な強化であったり、今日も御議論が出ていましたが、求人・求職者情報提供事業者についての必要なルールの設定ということなど、この雇用仲介事業等をどういう方向で今後やっていくかということについて方向性を示していただいて、御提言を頂けましたことに、改めて御礼を申し上げる次第です。

 私どもとしましては、今後この報告を労働政策審議会の需給制度部会に御報告し、それで公労使の皆様に、更に具体的な制度見直しの検討についての御議論を深めていただきたいと考えています。

 足元の雇用情勢は、大分失業率、有効求人倍率等も改善されて、就業地別では全ての都道府県で 1 倍を超えるという状況にはなってきているものの、やはり職種においてのミスマッチということも見られますし、報告にあるように中期的な課題の中で、この雇用仲介事業等ということがミスマッチがないように、どうマッチング機能を果たしていくかということは非常に重要かと思っています。

 私ども行政としましても、求職者保護ということを踏まえつつ、それでより質の高いサービスを提供していただくにはどうしたらいいかということを、しっかりと踏まえながら対応してまいりたいと思いますので、委員の皆様方には今後とも御指導、御助言を頂きますよう、最後にお願い申し上げまして私からの御礼の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○阿部座長 ありがとうございました。私からも各委員の皆様に対しては、お忙しい中御参集いただき、また大変貴重な、活発な御意見を多数頂きましたことについて、改めて感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして雇用仲介事業等の在り方に関する検討会を終了したいと思います。ありがとうございました。


(了)

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