2019年2月14日 相談支援の質の向上に向けた検討会(第6回) 議事録

日時

平成31年2月14日(木) 10:00 ~ 12:00

場所

全国都市会館第2会議室(東京都千代田区平河町2-4-2)

出席者

委員(五十音順)

阿部 一彦(社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長)
今井 忠(一般社団法人日本発達障害ネットワーク(JDDnet)理事)
今村 登(特定非営利活動法人自立生活センターSTEPえどがわ理事長)
内布 智之(一般社団法人日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構代表理事)
大濱 眞(公益社団法人全国脊髄損傷者連合会代表理事)
小澤 温 (筑波大学人間系教授)
小幡 恭弘(公益社団法人全国精神保健福祉会連合会事務局長)
門屋 充郎(特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会顧問)
熊谷 晋一郎(東京大学先端科学技術研究センター准教授)
鈴木 孝幸(社会福祉法人日本盲人会連合理事)
田中 正博(全国手をつなぐ育成会連合会統括)
玉木 幸則(特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会顧問)
冨岡 貴生(公益財団法人日本知的障害者福祉協会相談支援部会副部会長)
中西 正司(特定非営利活動法人当事者エンパワメントネットワーク理事長)
松本 正志(一般財団法人全日本ろうあ連盟福祉・労働委員会委員)
三浦 貴子(社会福祉法人全国社会福祉協議会全国身体障害者施設協議会制度・予算対策委員長)

議事

○内野室長補佐 皆様よろしいでしょうか。定刻になりましたので、ただいまから、第6回「相談支援の質の向上に向けた検討会」を開催させていただきたいと思います。
私、障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援室の内野でございます。冒頭、進行役を務めさせていただきます。
それでは、議事に先立ちまして、社会・援護局障害保健福祉部長の橋本より御挨拶を申し上げます。
○橋本障害保健福祉部長 おはようございます。障害保健福祉部長の橋本でございます。
本日は皆様方、大変お忙しい中を本検討会のためにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
また、皆様方におかれましては、日ごろより障害保健福祉に大変御理解と御尽力をいただいていることに対しまして、この場をお借りしまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
検討会の再開に先立ちまして、私から一言申し上げたいと思います。
今さら申し上げるまでもございませんが、相談支援は、障害者の方々の地域生活を支えるための施策として、誠に重要なものでございます。障害者総合支援法施行の3年後の見直しに当たりまして、相談支援の質の向上の必要性があるという御指摘を受けまして、平成28年3月から7月まで「相談支援の質の向上に向けた検討会」を実施いたしまして、具体的な取組についての御議論をいただきました。
この検討会の取りまとめにおきましては、それぞれの地域における相談支援体制、そういうあり方のこととともに、相談支援員そのものの質の向上につきましても御提言をいただいております。具体的にはソーシャルワークの担い手としてのスキルを高めることや、あるいは初任者研修、現任研修のカリキュラムの更なる充実といったことが提言されているわけでございます。
その後、この検討会の報告を受けまして、平成28年度から29年度にかけての厚生労働科学研究におきまして、新たな標準カリキュラム(案)の作成等を進めまして、昨年3月に社会保障審議会障害者部会へ報告をさせていただいたところでございます。しかしながら、その過程におきまして、障害当事者の参画がなされなかったということから、新たなカリキュラムの時間数や研修の実施に当たっての配慮事項などにつきまして、特に障害当事者の方々からの御心配の声もいただいたところでございます。
そのようなお声を踏まえまして、障害当事者の方々にも御参画をいただいた上で、「相談支援の質の向上に向けた検討会」を再び開催して、カリキュラム(案)の時間数、あるいは配慮事項などにつきまして、改めて御検討いただきたいということで、本日、お集まりいただいた次第でございます。
検討に当たりましては、昨年10月の社会保障審議会障害者部会の資料にもございますように、これまでの議論の積み重ねがございますので、その積み上げを前提とし、皆様からいただいた検討の結果を反映して、障害者の地域生活を支える、より質の高い相談支援専門員を養成・育成するための工夫をいろいろしていきたいと考えております。
ぜひ御忌憚のない意見を賜れれば幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○内野室長補佐 部長の橋本につきましては、業務により途中退席をさせていただきます。
(橋本障害保健福祉部長退室)
○内野室長補佐 続きまして、構成員の皆様の御紹介をさせていただきたいと思います。
まず、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長、阿部一彦様。
続きまして、一般社団法人日本発達障害ネットワーク理事、今井忠様でございます。
特定非営利活動法人自立生活センターSTEPえどがわ理事長、今村登様でございます。
一般社団法人日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構代表理事、内布智之様でございます。
公益社団法人全国脊髄損傷者連合会代表理事、大濱眞様でございます。
筑波大学人間系教授、小澤温様でございます。
公益社団法人全国精神保健福祉会連合会事務局長、小幡恭弘様でございます。
特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会顧問、門屋充郎様でございます。
東京大学先端科学技術研究センター准教授、熊谷晋一郎様でございます。
社会福祉法人日本盲人会連合理事、鈴木孝幸様でございます。
全国手をつなぐ育成会連合会統括、田中正博様でございます。
特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会顧問、玉木幸則様でございます。
公益財団法人日本知的障害者福祉協会相談支援部会副部会長、冨岡貴生様でございます。
特定非営利活動法人当事者エンパワメントネットワーク理事長、中西正司様でございます。
一般財団法人全日本ろうあ連盟福祉・労働委員会委員、松本正志様でございます。
社会福祉法人全国社会福祉協議会全国身体障害者施設協議会制度・予算対策委員長の三浦貴子様でございます。
続きまして、事務局の御紹介をさせていただきます。
源河障害福祉課長でございます。
大平相談支援専門官でございます。
私、進行を務めさせていただく内野でございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。
次第はございますでしょうか。1枚紙でございますけれども、配付資料を下半分に記載させていただいております。
資料1 相談支援の質の向上に向けた検討会 開催要要綱
資料2 相談支援専門員研修制度の見直しに関する今後の取り扱い(第91回社会保障審議会障害者部会資料)
資料3 第91回社会保障審議会障害者部会委員発言概要
資料4 相談支援従事者初任者研修標準カリキュラム(案)
資料5 相談支援従事者初任者・現任研修告示及びカリキュラム改定(案)における見直し内容と時間数の対比
これはA3の横の資料でございます。
参考資料1 「相談支援の質の向上に向けた検討会」における議論のとりまとめ
参考資料2 「相談支援の質の向上に向けた検討会」における議論のとりまとめ(概要版)
参考資料3 平成28年度厚生労働科学研究費補助金「相談支援従事者研修のプログラム開発と評価に関する研究概要」
こちらのほうをお配りさせていただいております。
以上、お手元にございますでしょうか。過不足等がございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
それから、カメラ撮りはここまでということでございます。
続きまして、議事に入らせていただきたいと思います。
まず、座長及び副座長の選出でございます。資料1に検討会の開催要綱がございますけれども、それぞれ座長、副座長は構成員の方の互選により選出をさせていただくこととしております。つきましては、どなたか御推薦等をいただけますでしょうか。
まず、座長から。
○阿部構成員 座長には、今回、当事者の視点ということもありますので、また、学識的なことも踏まえて熊谷晋一郎さんが一番いいのかなと思っています。
日身連の阿部でした。すみません。
○内野室長補佐 ありがとうございます。
○大濱構成員 大濱です。
私も座長を熊谷先生にお願いしたいと思っていますが、副座長として阿部構成員を推薦したいのですが、いかがでしょうか。
○内野室長補佐 どうもありがとうございます。
今、座長は熊谷先生のお声をお二方からいただきまして、副座長は阿部会長というお声をいただきました。ほかにお声はございますでしょうか。
お願いします。
○田中構成員 育成会の田中です。
副座長に関しましては、相談支援事業に長年携わってきて、現在、日本相談支援専門員協会の顧問もされている門屋さんに知見を持って座長を支えていただければと思いますので、推薦いたします。
○内野室長補佐 ありがとうございます。
○阿部構成員 私も門屋さんにしていただいたほうがいいのかなと思います。すみません。
○内野室長補佐 わかりました。どうもありがとうございます。
そういたしましたら、座長につきましては、東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎先生に、お二方から御推薦をいただきましたので、お願いできればと思っております。
副座長につきましては、門屋先生ということでお願いできればと思っております。こちらにつきまして、いかがでございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○内野室長補佐 そのような形で進めさせていただければ思います。
それでは、お手数ですけれども、今、真ん中に座長と副座長の席を準備させていただいておりますので、そちらのほうに御移動いただければと思います。
(熊谷構成員、座長席へ移動)
(門屋構成員、副座長席へ移動)
○内野室長補佐 それでは、これ以降の議事運営につきましては、熊谷座長にお願いできたらと思います。よろしくお願いいたします。
○熊谷座長 御指名をいただきましたので、座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、本検討会の目的及び議論の進め方について、事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○内野室長補佐 資料1から3を御説明させていただければと思います。
まずは資料1、先ほど少し御覧いただいた開催要綱でございます。こちらは「相談支援の質の向上に向けた検討会」の開催要綱でございます。
1番目の趣旨のところでございますけれども、先ほど障害保健福祉部長からございましたが、計画相談支援は障害者部会の報告を受けまして、この検討会を開催させていただいてきているところでございます。その取りまとめについては、平成28年7月19日に行っていただいたということでございます。
その取りまとめにおいて示されました相談支援専門員の質の向上につきましては、現行の研修を充実させるということ、効果的な実地研修を組み込むべきとの方向性が示されているということでございます。その後、厚生労働科学研究により初任者研修、現任研修に必要な要素を整理していただいて、研修のモデルプログラムの開発をさせていただいてきたということでございます。
その後、平成30年10月、社会保障審議会障害者部会の場におきまして、研修項目とか障害当事者の負担軽減などについて議論が行われております。この議論を受けまして、これまでの検討結果も踏まえつつ、必要な研修項目、時間数の調整、研修受講における障害当事者への配慮事項等について検討を行うということで、障害者部会のほうで結論をいただきましたので、今回、開催要綱を一部改正させていただいて、本検討会を再開するという趣旨でございます。
2番目の主な検討事項でございますけれども、研修項目に関する事項ということで、相談支援専門員が必要とする価値・知識・技術を獲得できる研修項目、時間数について御検討いただきたい。(2)は研修受講における配慮に関する事項ということで、障害当事者の方が研修を受講する場合の適切な配慮について御議論いただきたいということでございます。
3番目の構成等でございますけれども、検討会の構成は後ろのページにつけさせていただいております。
4番目のスケジュールでございますが、本日、2月14日に第6回を開催ということで、平成30年度中をめどに3回程度開催を予定しているということでございます。
5番のその他でございますけれども、会議につきましては原則公開ということでございます。資料、議事録は事務局で整理をさせていただいて、ホームページで公表させていただくということでお願いできればと思っております。
資料1は以上でございます。
資料2は昨年10月24日、社会保障審議会障害者部会で提出をさせていただいた資料でございます。これもホームページに既に掲載されておりますけれども、相談支援専門員研修制度の見直しに関する今後の取扱いということで昨年、障害者部会で御説明をさせていただいております。
1ページおめくりいただけますでしょうか。下のほうに参考資料1と書いてありまして、さらに続いておりますが、昨年30年3月2日に出させていただいた資料でございまして、こちらは参考につけさせていただいているということでございます。
2ページを御覧いただきますと、相談支援専門員研修制度の見直しに関する障害者部会(平成30年3月2日)以降の状況、それから、今後の対応方針(案)についてということで出させていただいています。そのときに御指摘いただいた内容ということで出させていただいております。
障害当事者の団体から、相談支援専門員の人数が不足していると考えられる状況の中で、特に相談支援従事者初任者研修の研修時間の増加は現場の実態に合っていないのではないか、研修カリキュラムの見直し(案)作成のプロセスにおいて障害当事者の意見が反映されていないのではないかという御指摘。研修の内容につきまして、障害者のエンパワメントの視点が十分ではない、セルフケアプランの位置付けに関して必要な講義を含めるべき。このような御指摘もいただいております。さらに、移動が困難な障害当事者が研修を受講しやすくなるような工夫が必要ではないかという御指摘をいただいております。
このような御指摘をいただきまして、検討の方向性として整理をさせていただいております。改めて障害当事者の方々が参画をした検討の場を設け、これまでの検討結果を前提として、新しいカリキュラムの内容、必要な時間等について整理をする。検討に当たりましては、障害当事者の方の御参画を前提といたしまして、その際、身体障害、知的障害、精神障害の各関係者の人数のバランスに配慮した構成とするということ。3点目ですけれども、これまで障害者部会において議論されてきた経緯もございますということで、検討の前提としては、現時点で提示されている新カリキュラム、研修時間は初任者研修であれば42.5時間、現任研修であれば24時間をベースとして検討をする。4点目ですが、研修の受講に当たりましては、障害者の負担が可能な限り少ない方法について検討を行うという検討の方向性を出させていただいております。
その下の施行時期等でございますけれども、今回、検討会を開催させていただくということで、検討に要する期間を考慮いたしまして、新たな告示等に基づき都道府県が実施する相談支援専門員の初任者研修、現任研修の実施時期については、2020年度以降とするということで前回、障害者部会で御報告をさせていただいて、御了承をいただいているということでございます。
これを踏まえまして今回、検討会を設置させていただいているということでございます。
資料2は以上でございます。
資料3にお移りいただければと思います。
障害者部会でそのような資料を事務局として出させていただいたということで、その内容につきまして、障害者部会の中であった各委員からの発言の概要を事務局として整理させていただいているということでございます。何点か御説明させていただきます。まず、相談支援専門員の役割でございます。
最初のポツでございますけれども、相談支援専門員の役割は障害当事者のエンパワメントをしないといけない。当事者の方が自分の意見を表に出せるか、それを支援することが相談支援専門員の役割ではないかというような御意見。
1つ飛ばしまして、3つ目でございますけれども、(障害福祉サービスのユーザーとして)相談支援専門員は当事者に理解しやすい情報を提供する。その情報は表面的な情報だけではなくて各事業所のサービスの質についての情報提供とか、定期的なモニタリングを通して当事者の思いに応じた必要な支援の調整、このような調整をする大きな役割を担っているのではないかというような御意見をいただいております。
その下、カリキュラムの内容についてです。
1点目のポツですが、現場で障害者とどれだけ向き合って、一つ一つ議論していけるのかによって、障害者のエンパワメントを高めるかが相談支援専門員の役割ではないか。そのような議論が抜け落ちている中で、根本的な見直しを図る必要があるのではないかという御意見もありました。
一番下のポツですけれども、知的障害者の方は自身で発言をしたり思いを伝えるのが難しいということ。相談支援専門員のスキルが上がらないと当事者からの思いが伝わらない。こういう状況があるので、着実で早急な研修制度の改正を求めるというような御意見もございました。
カリキュラムの時間数についてでございます。
最初のポツでございますが、初任者研修31.5時間、これは現行の時間になりますけれども、この時間について障害当事者が受講するのは厳しい。さらに42.5時間になるということは障害当事者が相談支援専門員になる道を閉ざすことになるのではないかという御意見。
その下、時間数を伸ばしたから質が向上するとは思えないという御意見。
その下でございますけれども、既に自治体のほうでは現状の告示を超えた日数で研修を実施している地域もある。その中では特段障害当事者の方から受講に支障を来しているという事例は聞いていないというお声もありました。
一番下でございますけれども、これまでのカリキュラムでは、内容を理解するためには時間数が足りないと感じているというお声もございました。
裏面に移っていただきまして、障害当事者の受講への配慮についてでございます。
最初のポツでございますが、移動が困難な障害当事者が受講しやすいような配慮について検討をしてほしいということ。一方で、1つ飛ばして3つ目のポツですけれども、今回のカリキュラムの改正の内容には、初任者研修の中では、その中にインターバルが設けられているということで、体力的な負担の軽減となるのではないかという御意見もございました。
その下、セルフプランについてでございます。
相談支援専門員の役割は、セルフプランを支援するのが役割である。本人を主体として当事者の声をベースにしたプランをつくるためには、研修に時間が掛かるのは仕方がない。本来、さらに多くの時間を要すると考えていたが、現実的な時間数として議論した結果が、新たなカリキュラムの内容であるというような御意見。3つ目のポツですけれども、知的障害者の視点から見ると、セルフプランの現状は親がつくっている場合が多く、今の本人の状態だけを見て将来的な生活を見据えたプランづくりとなっていないというような御意見もございました。
最後のテーマですけれども、議論の経過についてでございます。
最初の点ですが、厚生労働科学研究の委員に障害当事者が入っていない。障害当事者の意見が反映されていないという、まさしくこの検討会を開催する契機となった御意見がございます。
1つ飛ばしまして、このカリキュラムの改正の議論は突如として巻き起こったことではなく、これまでの理論や実践の積み重ねの結果がこの新たなカリキュラムであるということでございます。
その下、厚労科研の委員に障害当事者が入っていないことは配慮が欠けていたというのは、我々事務局側の反省点でもございます。
その下でございますが、全国に新たなカリキュラムによる研修実施を待っている人がいること、カリキュラム改定に賛成している当事者団体もあるという御意見。
最後でございますけれども、実施して課題があるのであれば、再度議論すればよいということ。今回の改正を延期する十分な理由にはならないのではないか。このような御意見をいただいております。
私からは以上とさせていただきます。
○熊谷座長 どうもありがとうございました。
以上、この検討会の設置の背景に当たる概要を説明いただきましたけれども、いかがでしょうか。何か理解の齟齬などはございませんでしょうか。あるいは質問などがありましたら、お願いいたします。大丈夫そうでしょうか。
そうしましたら、引き続きもう少し具体的な詳細に関する説明、資料4から5及び参考資料の説明をお願いいたします。
○大平相談支援専門官 相談支援専門官の大平です。どうぞよろしくお願いいたします。
参考資料も活用させていただきながら、主に資料4、5の説明をさせていただきます。
まず、参考資料2ですけれども、こちらは先ほど御説明にもありました、「相談支援の質の向上に向けた検討会」における議論の取りまとめの概要版になります。こちらの基本的な考え方のところで、相談支援専門員には今後、ソーシャルワーカーとしての活躍が期待されるということを御提言いただいています。そのためには、これまでの研修制度では不足している部分もあるのではないかということで、初任者研修、現任研修の充実を図る。さらには、主任相談支援専門員というものも位置付けて、地域での人材育成を強めていくというようなことを御提言いただいています。
それを前提にしながら、参考資料3にあります厚生労働科学研究「相談支援従事者研修のプログラム開発と評価に関する研究概要」ということで、今日も御参加いただいています小澤先生のほうに御担当いただいています。
こちらの厚生労働科学研究のほうでは、表題にもありますとおり、相談支援専門員の養成に必要な要素を整理していただきまして、それに応じたモデル研修プログラムの開発をしていただいております。それに基づいて、私どものほうで各都道府県で実施していただくための研修についての実施要綱、その中に示されています相談支援従事者初任者標準カリキュラム案を作成させていただいております。
続いて、資料2の6ページ目を御覧ください。今回の相談支援専門員の研修の見直しについて御説明をしている資料ですけれども、これまで現行のものは初任者研修31.5時間が、改定後の案としては42.5時間となる。現任者研修につきましては18時間であったものが24時間になるということで改定を図っています。
全体像としてどのような目的で初任者研修あるいは現任研修、さらには主任研修を位置付けるかということをお伝えいたしますと、まず、初任者研修のところでは、相談支援の基本的な知識、技術、さらに価値というところをしっかりと身に付けていただいて、個別の相談支援をしっかりとやっていただけるような力を付けていくということが主眼になっております。
初任者研修を修了後、実際に相談支援の実務についていただいた後に、現任研修を受講していただきますが、こちらでは個別の相談支援についてしっかりできているかどうかの振り返りをしていただくとともに、さらに力を着けていただく、チームアプローチというところでさらに個別の支援、あるいは地域課題を見出すところで活用していただける技術を着けていただく。さらには地域の協議会などに積極的に参画していくような視点も手に入れていただくというところが現任研修の目的になっています。
さらに主任相談支援専門員の研修においては、地域の中核的な役割ということで、指導的な役割を担えるような者になっていただくための能力を獲得していただくための研修ということで組み立てさせていただいております。
それを前提にしていただきまして、資料4の御説明をさせていただきます。
資料4につきましては、初任者研修の標準カリキュラム(案)と現任研修の標準カリキュラム(案)をお示ししていますが、主には初任者研修のところをしっかりと御説明させていただいて、現任のところについても触れさせていただければと思っています。
まず、1つ目ですけれども、告示(案)でお示ししているところでは、「障害児者の地域支援と相談支援従事者の役割に関する講義」ということで、5時間を設けております。括弧の中にサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者と書かせていただいていますのは、講義部分につきましてはサービス管理責任者等も一緒に受けるものになっていますので、ともに学べるものとして中身を組み立てております。
この5時間の講義の内訳ですけれども、まず、1つは相談支援の目的をお示ししております。これまで相談支援専門員というものが1つの資格として位置付けられてはいるのですけれども、基本的には社会福祉士あるいは精神保健福祉士、保健師などの資格をお持ちの方がこの研修を受けていただいて、専門性を持っていただいて、障害のある人の相談に関わっていただくということを想定しておりました。そのため、なぜ支援をしなければならないか、あるいはそのための倫理というものについては、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格によって立っていただいて、それを活用していただくことを前提にしておりましたが、実態としては、もちろん全ての方が有資格者であるというわけでもございませんし、価値をしっかりと持ってきていただいた上で研修に参加していただけていたかというと、なかなか難しかった。そうではなかったという実態がありましたので、今回の初任者研修につきましては、なぜ支援をしなければならないかというところをしっかりと中身に位置付けていくということにしております。
それが1つ目の目的ということになります。こちらでは、基本的人権の尊重のための支援の意味と価値を理解する。利用者理解の重要性について理解するとともに、障害児者の地域での生活の実情について理解をするということを獲得目標にしながら、権利条約でありますとか障害者基本法、差別解消法などの基本理念に基づいて、障害者が基本的人権を享有するかけがえのない個人としての尊重にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるために生活支援が実施されることなどを価値としてしっかりと身に付けていただくということを内容としております。
さらに、こちらについては下に書いてあるとおり、障害児者が置かれている立場の理解を深めるために、障害当事者による講義等を実施するなど、地域の実情に合わせて工夫を行う。やはり当事者の方にしっかりとお話をしていただいたほうがいいのではないかという項目になっています。
1つ下がりまして、相談支援の基本的視点になります。こちらについては、本人を中心とした支援を実施するに当たり、相談援助の基本的な姿勢を理解するということを獲得目標にしております。こちらでは、障害者ケアガイドラインを平成14年に作成しておりまして、その中に示されている重要な要素、共生社会の実現(ノーマライゼーションからソーシャルインクルージョン)、自立と社会参加、当事者主体、意思決定の配慮、地域における生活の個別支援、エンパワメントなどについて講義をすることによって理解を深めるということを内容としております。
さらには、必要な知識、技術を活用していただくときのルールといいますか、倫理として、バイスティックの7原則なども活用しながら学んでいただくということを内容としております。
また、意思決定支援というところにしっかりと配慮をしていただくために、意思決定支援ガイドラインも活用してくださいということもお示しさせていただいていたり、ICFの視点も重要だということをこの内容に盛り込ませていただいております。
さらに、相談支援に必要な技術ということで、本人を中心とした支援を実施するに当たり、獲得すべき相談援助技術について理解するという獲得目標を示しています。
内容としては、ソーシャルワーク、相談援助技術の基本的な知識を得ていただくということになります。こちらは、この講義をもって何か技術がしっかりと身に付くということではなくて、今後身に付けていかなければならない技術について全体像を知っていただくようなことが中身となっています。ですので、個別の支援あるいはグループへの支援、地域への支援、さらにはカウンセリングの技術の必要性でありますとか、ケアマネジメントの技術の必要性でありますとか、そういったものについても触れていく内容になっています。
もう一つ、一番下のポツにありますけれども、事例研究などによる経験から学ぶ省察的思考の必要性について理解するということで、相談支援専門員など、専門的な支援を行う者がただ実践をやっているだけではなかなか力が付かない。実践を振り返りながらしっかりと学習をしていくことで、さらに力を付けていけるのではないかということで、そういったことの重要性をここでも述べることにしております。
おめくりいただきまして、告示でお示ししている大きな番号としては2番なのですけれども、相談支援におけるケアマネジメントの手法に関する講義ということで3時間設けております。相談支援を実施していくときに重要な技術として、ケアマネジメントという技術を位置付けております。それについてしっかりと講義をする時間を3時間設けているということになります。
ケアマネジメントにおいては、相談支援におけるケアマネジメントの手法とプロセスということで、本人を中心としたケアマネジメントのプロセスと必要な技術の全体像についてまずはここで理解をしていただくということになります。この後、演習のところも御説明しますが、演習では、主にケアマネジメントを体験、体感していくという演習なので、事前に全体像を把握しておくというのがこの講義の目的になります。
内容としては、本人を中心としたケアマネジメントの目的、意思決定に配慮をした一連のプロセスについて、具体的な計画相談支援等の事例を用いて講義を行う。その中で、ニーズ整理の重要性でありますとか、チームアプローチの重要性についてもしっかりと触れていくということになっています。
さらに、ケアマネジメントにおいては個別の支援だけではなくて地域へ働きかけるという要素もございますので、次の項目としては、相談支援における地域への視点ということで立てております。その中では、今回、計画相談支援に注目が集まっているのですけれども、なかなかそれだけでは対応できない場合に地域生活支援事業の障害者相談支援事業でありますとか、人材育成あるいは地域づくりというところに積極的に働き掛けていく基幹相談支援センターも位置付けておりますので、そういった相談支援体制の全体像についてしっかりと理解していただきたいということがこの項目の目標、内容になっております。さらには協議会です。自立支援協議会の目的、仕組み、機能についてもしっかりとこのところで講義をさせていただくという内容になっています。
大きな3つ目は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、障害者総合支援法及び児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロセスに関する講義ということで、こちらは相談支援事業が総合支援法あるいは児童福祉法に基づいて実施されるものですので、その法律の内容についてしっかりと学ぶという時間になっています。後でも少しお伝えしますが、こうした制度については、基本的には事前学習も実施をしていただいて、それを得た上で、講義の中ではポイントを御説明していくということを想定しております。
まず、総合支援法及び児童福祉法の全体像について理解するという項目で1.5時間を確保させていただいております。この中では障害者総合支援法の目的、基本理念、障害福祉サービス等の基本的な内容を理解していただくために、その中身について、ポイントになると思いますけれども、そういったことを説明するというのが内容になっています。さらには、障害者虐待防止法などについてもしっかりと説明をするという時間になっています。
次のページは総合支援法及び児童福祉法における相談支援の基本で、そうした法律に基づいて支援を実施していくということで、例えば計画相談支援であれば、それに応じた基準を厚生労働省のほうでお示しさせていただいております。サービスを提供することにおいても基準を厚生労働省でお示しさせていただいております。どのようなことが基準になっていて事業を実施しなければならないのかをしっかりとお伝えする時間ということで、1.5時間をとらせていただいています。あわせて、障害者虐待防止法に対して、虐待防止における相談支援専門員とサービス管理責任者の果たす役割もこちらの中で述べることにしております。
こういったあたりが制度に関しての項目になります。
ここまでの講義をベースにして、以下の演習に入っていくということになります。
大きな4番は、ケアマネジメントプロセスに関する講義及び演習ということでお示ししています。講義及び演習というお示しの仕方なのですけれども、主には演習を実施するのですが、演習の前に少し講義を入れながら演習をする。間にまた講義を挟み演習をするというようなスタイルになっていますので、表現としてはこのような書き方になっています。主な時間としてはもちろん演習に割かれるということになります。
こちらの大きな4番では、ケアマネジメントのプロセス、いわゆるインテークから始まり御本人さんとの出会いから始まって、何に困っていらっしゃるかということをしっかりとお聞きする。その前に関係性をつくるということもあります。関係性をつくって、何に困っていらっしゃるかということをお聞きする。そのお困りのことについてしっかりと整理をすることによってニーズを明らかにして、それに基づいた支援のプランを立てる。さらに、誰からどのような支援を受けるかという調整を図って、実際の支援につなげていく。定期的に評価を行うことによって、より適切な支援に調整する。そういったことを御提案するという役割がケアマネジメントの流れと考えておりますが、それについてしっかりと学んでいただく、体験していただくのがこの時間になります。
まず、想定としましては、研修実施事務局、事業者からモデルとして示される事例をもとに、先ほど申しましたケアマネジメントのプロセスをたどって演習をしていくというものを2日程度で実施していくことになります。以下、お示ししていますのは、項目ごとに受付及びアセスメントということで、6時間程度の演習を設けています。
おめくりいただきまして、次のページでは、目標設定と計画作成というところで3時間程度の時間を設けております。
さらに、評価及び終結ということで、モニタリングの部分と必要に応じて支援は終結していく場合もございますので、終結という部分についての演習も盛り込んでおります。
中身の細かいところについては、それぞれの項目の中でお示ししていますが、基本的には先ほどの講義の中でお示ししているような本人中心のことでありますとか、アセスメントの視点としてのICFの活用でありますとか、そういったことについて実際の演習に取り組みながらより理解を深めていく、実際の技術として獲得していくというところを目的にしております。
おめくりいただいて5ページ目に入りますが、そのような共通の事例を持っての演習を経た後に、今度は、受講されているそれぞれの方が事業所に戻られて、事業所あるいは地域の当事者の方に協力をいただいて実習をするという項目を入れています。そのためのガイダンスということで1時間程度を設けているのが次の実習ガイダンスになります。
先に1枚おめくりいただいて、6ページ目なのですけれども、こちらでは相談支援の基礎技術に関する実習ということでお示ししています。先ほども申し上げたように、モデル事例で実施をしたケアマネジメントプロセスを、御自身の事業所に戻りまして当事者の方にも御協力をいただきながら、実際にその流れに沿って御自身でアセスメント及びプランニングを実施するという項目を実習として入れ込んでおります。
さらには一番下ですが、地域資源に関する情報収集ということで、これから相談支援専門員として活動していただくに当たって、地域にどのような資源があるのかを知っていただく。それを研修の課題として出させていただくことで、事前に地域資源について知っていただくということを実習として盛り込んでおります。
そうした実習を経た上で、5ページに戻っていただければと思いますが、実践研究という項目を設けております。それぞれの受講者の方が各事業所のところでやっていただいたアセスメントとプランニングの内容について、研修の中で持ち寄っていただいて、各受講者からそのアセスメントの中身とプランニングの中身について説明をお互いにしていきます。
これについては、基本的にはサービス担当者会議などで事例について、当事者の方についてしっかりと御説明する。そういったことも想定しながらこの演習は組まれております。また、お互いに受講者同士で説明した後に相互評価を行っていくのですけれども、このときにはグループスーパーバイズの手法を用いて、決して批判のし合いにならないように、どういった視点でアセスメントをしてきたのか、どういった視点でそのプランニングを行ったのかということをお互いに評価しながら、より深いアセスメント、プランニングにつなげていくような演習にしております。
これまでもこうした取組は入れ込んでいたのですけれども、一度評価を聞いてそこで終わりにしておりました。今回の新しいカリキュラムの特徴は、一度他の受講者から評価をしてもらったものを再度持ち帰って、もう一度当事者の方にいろいろ深くお聞きする、あるいは自分自身で検討を深めるということをした上で、もう一度事例を持ち寄るということを入れ込んでいます。もう一度事例を持ち寄ったものについて再び相互評価をすることによって、さらにアセスメント、プランニングを深めていくという過程を入れ込んで、それによって研修修了後により実践的な支援をいち早くやっていただけるような研修カリキュラムにさせていただいています。
それが事例の共有の相互評価1という部分と相互評価2という部分になります。
その後、相互評価をした事例の中から1つを選んで、最終の実際にサービスを利用するところまで受講者のグループワークにより考えるという演習に取り組んでいただくというのが事例研究とサービス等利用計画になります。
そうした演習を経ていただいて、最後にまとめとして研修全体を振り返っての意見交換、講評及びネットワークづくりということで、実際にそれまで40時間程度をかけてきた研修について振り返ることで中身をまたもう一度しっかりと自分の中に落とし込んでいただく時間になるとともに、さまざまな地域から相談員が集まってきていただいて研修をされる場合が多いですので、最後に少しグループワークの形で情報交換をしていただいたりとか、交流を深めていただくということも含めて、相談支援活動をしていただくときの仲間といいますか、そういったものをつくっていただくという要素も含めて最後のまとめの時間を設けさせていただいております。
そういったものが初任者研修の概要になります。
続いて、7ページの現任者研修ですが、こちらは少し概要的にお知らせさせていただきますと、まず、1つ目は障害福祉の動向に関する講義ということで、現任研修につきましては、初任者研修を受講された後の5年間の中でこちらを受けていただいて、スキルアップ及び資格の更新にしていただくのですが、やはり総合支援法のみならず障害福祉に関わる制度は日々変わっていく部分もありますので、そういった最新の情報をしっかりと得ていただくという時間を設けております。
冒頭に申し上げたように、現任研修の目的としては、それまでの相談支援活動をしっかり振り返っていただいて、個別の相談支援についての力をさらに深めていただく、高めていただく。さらには、チームアプローチを深めることによって、個別の支援と地域への働き掛けを深めていただくという部分。さらには協議会、それまでは初任者研修修了者などは、協議会については参加するということがメインになっていたかと思いますが、協議会を活用して地域課題を解決していく主体になるという部分についても現任研修では想定をして研修として盛り込ませていただいております。
そういったことをお話しする講義として3時間を確保させていただきました。
その次が人材育成の手法に関する講義ということで1.5時間ですが、初任者研修のところでは、相談援助技術の相談の技術の全体像について触れるということでしたけれども、こちらではそこの全体像について改めて振り返るとともに、現任者として身に付けておかなければならない技術の講義を行うということになります。具体的にはスーパーバイズの技術ということで、初任者研修の修了者はスーパーバイズを受けるということの必要性をしっかり理解するということが初任者研修での目的になりますが、現任者研修ではグループスーパーバイズなどに自身で積極的に取り組んでいくというところの視点を盛り込んで講義をする予定にしております。
おめくりいただきまして、8ページの大きな4番ですけれども、こちらからは演習になります。こちらの表現も講義及び演習ということにさせていただいておりますが、先ほどの初任者研修と同じで、講義と演習が交互に入ってくるような中身になりますので、表現としてはこのようにしておりますが、主には演習をするということになっております。
こちらでは、先ほど講義のところで申し上げたような、個別の相談支援をしっかり深めるための演習と、チームアプローチをしっかり深めていくための演習と、さらには地域をつくる相談支援の実践を深めていくための演習ということで、それぞれ6時間、1日程度の演習、講義を行うということになっております。
主には受講者が事前につくった事例を持ち寄るということを想定しておりますが、その事例に関して、意思決定支援あるいはアセスメントを深めるためにはどうしたらいいかという視点でしっかりと議論、演習をしていくのが1つ目の個別相談支援とケアマネジメントということになります。
2つ目のところでは、チームアプローチに視点をしっかりと当てて事例検討をしていくということになります。
さらに3つ目では、地域づくりというところに視点を当てて事例検討をしていくということになります。
こちらの事例検討の方法についても、グループスーパービジョンの方法を活用しながら深めていくということになりますが、初任者研修でもグループスーパービジョンの方法論ということでお伝えしましたけれども、こちらは研修の中だけで活用されることを想定しているのではなく、演習の中で活用することによって、そのやり方を知っていただく、身に付けていただくことによって、各事業所に戻っていただいた後、事業所の中あるいは地域の仲間と一緒に事例検討をしていただくときの手法として、グループスーパーバイズの方法論もお伝えするということもあわせて目的としております。
そういったあたりが初任者研修及び現任研修の標準カリキュラム(案)の概要となります。
残りの時間、あと3分ほどなのですけれども、資料5について少し御説明させていただければと思います。
資料5につきましては、表にさせていただいているのですが、1枚目が初任者研修、2枚目が現任者研修について表しています。左側に現行と書かせていただいていますが、こちらは今の相談支援従事者初任者研修の告示及び実施要綱に示されている項目を挙げさせていただいています。
一番右端に見直し後(案)と書かせていただいていますが、こちらは先ほど御説明をした新しいカリキュラム(案)についてお示しさせていただいています。資料5ですけれども、現行から見直し(案)に対してどのような視点で見直しを図ったかをお示しさせていただいておりまして、その内容を、真ん中の見直しの概要というところに少し御説明を入れております。
それぞれ左から行きますと、障害者総合支援法の概要では、制度の説明になりますが、こちらについては先ほども御説明しましたとおり、事前学習を前提とさせていただいたことによって、これまで3時間設けていたものを1.5時間ということで整理をさせていただいています。右で言うところの大きな2番の(1)に相当します。
総合支援法等における計画作成とサービス提供のプロセスについても、現行制度の理解を深めるために、制度の経過に関する項目を追加したのですけれども、事前学習を前提としているため、こちらについても1.5時間ということで短縮をさせていただいています。右で言う2の(2)に相当しております。
相談支援の基本姿勢ですけれども、こちらについては要素を少し分解しながら再構成するという形でさせていただいておりまして、相談支援を行うための意味、価値、倫理についてという項目をしっかり追加していくことでありますとか、なぜ支援をしなければならないのかということをしっかり追加していくということで再構成を図りまして、右で言うところの1の(1)(2)(3)に相当することになって、こちらについては少しボリュームを上げて説明するという項目になっております。
大きな2番ではケアマネジメントの手法に関する講義ということで、障害者ケアマネジメントの概論についてこれまで講義を行っておりました。こちらについては概要理解のため、後の演習でも講義を挟みながらやっていくということで、少し縮小して1.5時間ということで、右の3の(1)に整理をしております。
さらに、ケアマネジメントの実践ということで、これは6時間かけてケアマネジメントの全体像について講義をするような想定をされていたのですけれども、こちらについては講義ではなくて演習ということで、しっかりと体感してもらうプログラムに変えるということで、時間数については12時間に伸ばしておりますが、4の(1)で、演習の中で身に付けていただく項目として整理をしております。
続いて、大きな3の障害者の地域支援に関する講義では、障害児者の地域生活の支援、こちらは障害のある人の地域生活の実態をしっかりと学ぶという時間でしたが、右で言うところの大きな1番の中に統合させていただいております。
次の3(2)ですが、相談支援における権利擁護と虐待防止については、制度説明のところに統合させていただいております。
協議会の役割と活用については、右で言うところの(3)の2で、相談支援におけるケアマネジメント手法に関する講義の部分の相談支援における地域への視点というところで、一部簡略化をして移行をしております。
その後、演習部分についてです。これまで演習については2日程度、11時間で設定させていただいておりましたが、先ほどもお伝えさせていただきましたとおり、事例に関しての評価を2段階にさせていただくことを盛り込んだということと、講義でこれまで実施していたケアマネジメント概論を演習化したということで、これまで2日程度であった演習を5日に伸ばさせていただいております。そういった関係で、これまで3日ありました講義が縮小されて2日になり、これまで2日であった演習が拡大されて5日になり、全体として42.5時間の7日程度の研修になったということです。
次の資料は現任研修ですけれども、時間が参りましたので、ごく簡単に御説明を申し上げます。
現任研修につきましては、一番左に現行ということで書かせていただいておりまして、これについても、これまでも制度についての最新の情報を得るという講義が2時間程度それぞれつくられていましたが、一部簡略化をして1.5時間にしております。
その後、相談支援の基本姿勢及びケアマネジメントに関する講義は、以前2時間だったものと、あと、協議会に関する講義が2時間あったのですが、こうしたものを統合して一部簡略化をすることによって、右の大きな2の(1)の本人を中心とした支援におけるケアマネジメント及びコミュニティーワークの理論と方法というところで、3時間で整理をしています。
さらに、これまでは講義としてはしっかりできていなかったところなのですが、人材育成の手法を知っていただくための講義を新しいカリキュラムでは創設しているということになります。
演習につきましては、これまで2日程度で実施していたところなのですけれども、先ほど申し上げたような視点、個別の支援を深めるということ、さらには、チームアプローチを強化する、地域に向けた視点を学ぶというところをしっかりと身に付けていただきたいということで、3日程度にそれぞれの演習を充実させて、全体としてはこれまで講義としては1日程度だったものは同じく1日程度に据え置いて、演習としては2日程度であったものを3日に伸ばさせていただいて、18時間を24時間とさせていただいたところです。
少し長くなりましたが、以上で説明を終わります。
○熊谷座長 ありがとうございました。
現行の標準カリキュラム改定(案)について、詳細を説明していただきました。
初任者研修に関して時間数が増えている理由は、主にこれまで実践研究と実習のサイクルを1ターンだけ回していたのに対して、今回は2ターン回すということで、純粋に純増しているという理解かと思います。一方、座学のほうは1日短縮しているけれども、その短縮の理由は実習、演習のほうの講義に含まれていくというような理解かなと思いますが、それでよろしいでしょうか。
1点、私のほうから、資料5の1枚目の初任者研修に関する見直し後(案)ですけれども、先ほどの説明では、見直し(案)における対応項目で言うと2の(2)の部分なのですが、上から2行目です。こちらは時間が短縮というふうに説明を受けたのですが、このエクセルを見ると2時間から2.5時間に増えているように見えるのですが、これは間違いでしょうか。
○大平相談支援専門官 そこに対応しますのは、左側の現行で言うところの大きな1の(2)になります。こちらがもともと2時間でしていたものだったのですが、右の見直し(案)のところでは。
○熊谷座長 失礼しました。私の見方が間違っていた。2の(2)というのは左側の列ということなのですね。失礼しました。それで理解できました。
○大平相談支援専門官 申し訳ありません。対応項目は全て見直し後(案)を示しております。
○熊谷座長 わかりました。失礼しました。ありがとうございます。
そうしましたら、ただいまの説明に関して、何か皆さんのほうから確認したい点などはございますでしょうか。よろしいですか。
お願いいたします。
○中西構成員 このケアマネの左側の原案は、私も入って決めたものなのですけれども、どんどん専門化していって、当事者、本人にはなかなか分かりづらい内容になってきているのだなと。実際、どういうニーズがあるかというのは、当事者の聞き取りに我々はすごく時間がかかるわけですね。そのあたりが現場の感覚とかなりずれてきて専門的になりつつある。こういう専門化が本人に対して来ると、我々当事者はやはり意識するでしょうね。自分の意思を表明するのが難しくなってくる。そういう面では、現場の声を本当に聞いてくれているのかなと。我々は、知的の夫婦が今、地域で暮らそうとしているとか、そういうときに話を聞くと、本人は何を伝えていいのか、それ自体がわからないで、このケアマネプロセスに乗せられていくという中では、もっと本人の立場に立って聞き取りを行って、真のニーズに近づくまで、本当に1カ月、2カ月かかるような場合もあるのです。
それを経て自立生活に施設から移行するというふうなことをやっていますから、このようにてきぱきと我々サイドでこのカリキュラムに乗っかってつくっていくのがケアプランだというふうに考えられるといけないので、本人の意思をきちんと確認したセルフケアプランをつくるための支援を我々はやるのだという、主体者の問題ですね。そこをきちんと踏まえてこういう計画をつくらないといけないなと思いますので、後ほどもっと細かい内容についてお話ししたいと思います。
○熊谷座長 ありがとうございます。
もう早速議論に入ってきたという感じがいたしますが、もしかしたらこの議論の中でも出てくるかもしれませんが、もっと計画相談でてきぱきやるだけではなくて、基本相談にしっかり力を入れましょうというような御意見を持っていらっしゃる方は少なからずいらっしゃるのかなと拝察いたしますけれども、そういった点にも通じる御指摘だったかなと思いました。
ほかに何か、今、説明があった内容に関して何かわからなかったところとかはございませんか。大丈夫でしょうか。
○三浦構成員 身障協の三浦です。1点質問させてください。
この初任者研修は現状において、サービス管理責任者の研修との同時開催ですが、今後もそれは変わらないということですね。
○大平相談支援専門官 改正後もそれは変わらずということで、これまでよりもさらにサービス管理責任者の方とともに知っておかなければならない要素として、今回の講義部分は特に構成させていただくということをもとに検討した結果が今のカリキュラムということになっています。
○三浦構成員 わかりました。
私は熊本なのですけれども、このカリキュラムが地方におりてきた場合に、相当講師の確保と場所、予算の確保は負担が増します。そして、また、受講生は毎年こんなにたくさんいらっしゃって、やめていく職員が多いのだろうかという不安を持つくらいに多い現状があります。私は制度が始まってからずっとその講義をしていて、感じるところです。ですから、これを組み立てる側と、実施がきちんとできるかと受講生の状況、その3つをしっかり考えて検討すべきことだと思います。よろしくお願いいたします。
○熊谷座長 ありがとうございました。
実行可能性という観点ですね。フィージビリティーといいますか、実行できるかどうかという観点でもカリキュラムをしっかり検討する必要があるという御意見だったと思います。ほかはよろしいでしょうか。
○今村構成員 STEPえどがわの今村と申します。今回は構成員に呼んでいただきまして、ありがとうございます。
この場での発言のタイミングが、ここでいいのかはわかりませんけれども、この検討会に対して、進め方というか目的というか、その辺を私なりに提案したいと思います。
2つあるのですけれども、まず、この検討会で、カリキュラムの中身もそうなのですが、統一したテキストなりを作っていくということを目的としたほうがいいのではないかという提案が1つです。2つ目は、相談支援事業というもの自体が出てきた、事業化されてきたのは権利条約批准前だったと思いますけれども、改めてこの権利条約を批准した現在の状況の中で、条約のことも考えた上での相談支援の再定義をするとか、それにふさわしい研修のあり方とはどういうものなのかを改めて出して、その上で統一したテキストを作っていくのがいいのではないかと思っています。
その理由として、私の地元のことで恐縮ですけれども、相談支援初任者研修を受けた人たちを、地元の行政が改めてその人たちを集めて、行政主体の再研修をしていた時期があるのです。担当者が今は代わったのでそこまではないのですが、そこで何をやっていたかというと、あなたたち相談支援専門員は区の定めた支給決定基準やサービスの使い方を利用者若しくは事業者がちゃんと守っているか監視する役目もありますというようなことをわざわざ言って、そういうことがあった。なおかつサービス等利用計画が義務付けになったということもあって、作れる人を増やさなければいけないということもあって、特に介護保険事業所に行政から働き掛けをして、とにかく受けて相談支援専門員になってくださいということをやったものですから、介護保険関係をずっとやっていた人たちがかなり入ってきた。
初任者研修を受けてはいるのですが、介護保険との違いが余り理解できずに、とりあえず受講だけはしてきたという人が非常に増えてしまって、実際にそういう人たちが言っているのは、介護保険は枠があるからそこに当てはめていけばいいのですけれども、なかなか障害は難しいねとかを普通に言ってしまっている。それでエンパワメント支援とか、本当に寄り添いながら一緒に考えていくのだということをなかなか理解されなくて、計画だけが作られていくということが起きてしまったのですね。
そういうことも踏まえると、カリキュラムで項目を示すことは重要なのですけれども、今までの問題は、カリキュラム項目は示されるのですが、実際に都道府県での研修のときはそれぞれで作られていたと思うので、やはり統一したテキストとしてこういうものなのだということを国として示していく。統一テキストを出すということが、変なふうに捉えられることを防ぐのではないかと思いますので、ぜひカリキュラムの中身もそうですけれども、あわせて統一したテキストを作るということを念頭に進められたほうがいいのではないかと思っております。
以上です。
○熊谷座長 大変重要な御指摘をありがとうございました。
現在も告示やカリキュラム(案)としては非常に充実したものが出ているようには見えますが、やはり箇条書きである限りは、キーワードやトピックを並べている限りでは多義性がある。解釈の余地がたくさんあって、それによって地域格差が生まれてしまう。非常に理解のある自治体であれば、この精神にのっとってカリキュラムを運用されるでしょうけれども、これだけだと幅がすごく想像できますね。このカリキュラムに仮に沿っていたとしても、言い方は悪いのですが、余り大事なところを押さえていないようなカリキュラムの運用をされる可能性もあるという御指摘です。実際にそういう実例もあったというような御報告がありました。
それに対して、何らか書き込まれたものをアウトプットとして出せないかという御提案ですね。それがガイドラインなのか、テキストなのかというのはまたちょっといろいろ御議論があるところだと思いますけれども、つまり、文章として多義性が少ない形で、本当に伝えたいことを書き込んだものをアウトプットしていく必要性があるのではないかというお話だったかと思います。ありがとうございます。
もう既に議論が始まっているかなと思いますので、このまま議論に移ってまいりたいと思います。
私のほうから、議論の進め方といいますか、この検討会でこれまでにもさまざまな御意見を既にいただいておりますので、それらを整理させていただくことで、どのような議論の進め方にするかを皆さんと合意形成したいと思っております。
構成員提出資料という冊子がございます。そちらには、事前に構成員の方からお送りいただいたこの検討会への御意見がとじられてあるわけですけれども、私も簡単なものを、2ページになりますが、1枚ほどつけさせていただきました。2ページ目の私が提出させていただいた資料は、意見といいますよりは、これまでの皆さんの御意見を整理すると、こういう論点が今、挙がっているのではないかということを3つほどカテゴリー化して整理させていただいたものになります。
論点1は、簡単に言いますと、このカリキュラムの内容をもっと充実させるべきだという御意見ですね。
論点2は何かといいますと、このカリキュラム自体が間接差別になってしまっては本末転倒である。すなわち一部の障害を持った人がこのカリキュラムに障害ゆえに参加できなくなること。このようなカリキュラムになってしまったら、言っていることとやっていることが異なるということになってしまうので、それは何としても避けなければいけない。具体的にそれがどういうことなのかは個別具体的に考えるべき。つまり、合理的配慮ですね。このカテゴリーの人はこういう配慮というふうに1対1対応をするわけではなくて、個人個人で個別具体的に考えていくのが合理的配慮ですけれども、そのためにカリキュラムとしても柔軟性というか幅を持たせた運用をしなくてはいけませんし、このカリキュラムを受講したいと思った障害当事者が差別なくカリキュラムを受講できるためのコーディネートを、もしかしたらまさに主任相談支援専門員がこのカリキュラムの合理的配慮にも関わるのかもしれませんけれども、何らかの形で確実にアクセスできるように、全ての障害を持った人がこのカリキュラムに確実にアクセスできるような方法を担保しなくてはいけない。これが論点2だと思います。
論点3に関しては、これは手続き論的な話で、全てのプロセス、今回のカリキュラムの見直しプロセスにおいて民主的に進めましょう、すなわち障害を持った人も初めから継続的に関わって意見を述べられる機会を担保しながら、例えばもし今村さんがおっしゃったようなガイドラインなりテキストなりができるとしたら、そのテキストを作るプロセスにも当然当事者がインテンシブに関わっていく。最初から関わっていくということが必要になるかと思うわけですが、そのように全てのプロセスに全ての当事者が民主的に関わっていくという手続き論的な論点が3つ目かなと思います。まさにこの検討会がもう一度スタートした背景にも、再度民主的にもう一度やり直しましょうといった御意見があったかと理解しております。
まず、このような3つの論点でよいのかという御意見と、論理的に考えて、この3つの論点は優先度があると思うわけです。すなわち論点1が恐らく最も重要であろうという理解を私はさせていただきたいと思うのですね。なぜなら内容が決まらないと合理的配慮は決まりません。内容が特に絶対に外せない、本質的な部分が確定して初めて合理的配慮というものが設計可能になるということが一般論ですので、まず、順序としては並行してやるのではなく、論点1からしっかりと議論していきましょうというような始め方がよいのかなと思っております。論点3に関しては、プロセス全体に関わることなので、順序ではなく常に行うものという理解かなと思っております。
このような整理でよいかどうかに関して、皆さんの御意見を伺えればと思いますが、どうでしょうか。
○中西構成員 実際、現状ですが、権利条約ができてから、がらっと基本が変わったわけですね。当事者抜きに当事者のことを語るなと言われていますから、障害者福祉に関しては当事者の声をもう第一に聞く。その原則から外れたわけですから、きちんとそれを原状に戻して図り直さなければいけない。前回まで討議されたことについては、もう一度見直す形で議論を進めていただきたいと思います。
特に今村さんがおっしゃったカリキュラム、テキストですね。全部見直して、当事者自身の手によって作っていくという視点が特に重要かと思います。小澤先生に御苦労をかけて作っていただいたわけですけれども、我々としては、当事者の視点に立ったテキストをもとにして、全国で、統一のテキストで実施するという形でサービスの全国統一的なものが、規格ができてくる。これは当事者にとって非常に重要なことなので、ぜひこの機会にサービスの基本ベースを当事者主体で組み立てる。テキストにきちんと当事者が入って作り直そうという形に持っていっていただきたいと思います。
○熊谷座長 ありがとうございました。
最初の段階で、言葉遣いとしてテキストという言葉でよいのか、それとも、ガイドラインという表現がよいのかというのは、もしかしたら事務局のほうから少し補足がありますか。どうでしょうか。大丈夫ですか。
○内野室長補佐 私から、御説明といいますか、考え方といいますか、伝えさせていただきますと、今、我々のほうで研修の実施を都道府県にしていただくに当たっては、幾つか根拠がございまして、1つは告示と言われるものがございます。これはいわゆる法令と言われるものでございまして、これはそういう重みがあるということ。
告示は、ただ、細かな内容が書き切れないということが一般的な書き方になりますので、より詳細な運用の手続きとかを書かせていただく通知というものが書かれることになります。これは特に国と都道府県、自治体との関係で見ていただくようなものになります。
また、今、座長におっしゃっていただいたようなガイドラインというような内容のものとか、テキストというような言葉になるかもしれませんが、これは国のほうで監修するとかいうようなことではないものなのかなと思っております。民間の方々にも御協力をいただいて執筆をしていただくような内容のものが、ガイドラインとかテキストというようなものになるのかなと思っております。
恐らくそれをどういう形で国との関係性を付けるのかというようなことも出てくると思いますけれども、それを検討する場の作り方とか、どういう方が御参画いただくのかというようなことで、それぞれの位置付けが整理されていくのかなと思っております。
○熊谷座長 ありがとうございます。
小澤先生、お願いします。
○小澤構成員 中西構成員から名前が出ましたので、私は厚生労働科学研究の研究班ということで取り組ませていただいて、まず、熊谷座長の論点の3つは私も賛成です。
それで、中西構成員の意見に関して、もともとこれはどういういきさつなのかというと、要するに、相談支援の質をどう評価するかということがもともと重要な事項だったのですね。したがって、質の評価の視点は何か。そう考えたときに、これはソーシャルワーク、この前のあり方検討会では、要するに、ソーシャルワークをベースとしたケアマネジメントを実施しろという提案、提言があったので、そうすると、ソーシャルワークという観点で、今の相談支援で修得が難しい課題とか、現実にどういう課題が起こっているのかの点検作業に入ったので、私は、障害当事者の御参加に関しては熊谷座長の論点3という点では賛成なのですけれども、あと、合理的配慮も賛成なのですが、1点目の話は、要するに、ソーシャルワークをどのように評価するかという議論をしていたので、もちろん障害をお持ちの方でソーシャルワークをやっていらっしゃる方が入るのは全然問題ないと思うのですが、あくまでそういう議論の進め方が行われたということです。
したがって、障害があるか否かという議論では実はなかった。ここはぜひ伝えなければいけないと思いまして、私からは以上です。
○熊谷座長 わかりました。ありがとうございます。
玉木構成員、お願いします。
○玉木構成員 日本相談支援専門員協会の玉木です。
今回のこの会議についての熊谷さんのこの姿勢はすごくいいなと思っています。今回、何でこのプログラム改善が必要なのか、自分なりに整理したことをここで述べさせていただきたいと思っています。
本来は障害当事者も相談支援専門員になって、積極的に自立生活を推進するその機能として動いていくべきだと思っています。現行のプログラムでいくと、受講態度が悪かったり、ちょっと乱暴なことを言いますけれども、報酬などのせいにして、法人とか人をころころかえていく。だから、毎年初任者研修をしなければいけない状況がごろごろしていて、結局は入所施設からの退所も、一部進むのだけれども、空いたら入れてしまうという変な状況がずっと10年続いてきているわけでして、でも、相談支援専門員はという状況で来ている中で、やはりもう一回ケアマネジメントプロセスの視点をきっちりと評価していく必要があるのではないかと思っていたのです。
サービス等利用計画については、これは厚生労働省には耳が痛い話かもしれませんが、作れ、作れと言って100%に実はなってきているのですが、私は、この100%に疑問があって、ケアマネジメントプロセスという視点で見たときに、終結というものがあるのです。サービス等利用計画も福祉サービスとして考えていくと、きっちりとエンパワメント支援なりセルフプラン支援などができてくると、セルフマネジメント支援などが出てくると、実はセルフプランの人も増えていかなければいけない。ところが、10年近くたってもずっと100%で来ていること自体、ちょっとうさんくさいなという気がしているのです。
だから、今回のプログラム改正では徹底的にエンパワメント支援、意思決定支援を、どうやってケアマネジメントプロセスのみならず、相談支援専門員の質の中に落とし込んでくかという、そこが多分、一番の肝だと思っているので、やはり5つの視点としては、福祉サービスの中の1つとして計画相談があるということの、計画相談を進めるのが相談支援専門員ではなくて、あくまでも本人中心のケアマネジメント支援とかエンパワメント支援ができるような人材になってもらいたいという思いを込めて、私はプログラムを強化していくべきかなと思っています。
以上です。
○熊谷座長 ありがとうございます。
お願いいたします。
○阿部構成員 日身連の阿部です。
確認になるのだと思いますけれども、その前に、熊谷座長の進め方、この論点の整理は的確だと思います。ただ、ここを読みますと、論点1の括弧に「施設・国療に長期入所している人の地域移行」という文言がありますけれども、事務局に確認です。言ってみれば総合支援法の自立支援給付の中の枠組みは、今、話題にしている計画相談と、もう一つ地域相談支援とがありますことで、地域相談支援は必ずしも今、話題にしている指定特定事業所ではなくて、別個の研修があって行われているものなのか。つまり、地域移行支援と地域定着支援ですね。その辺について今回は余り触れていなかったので、別個にあるものであれば、それを明確にしていただきたいということ。
それから、小澤構成員、今回の検討の場合には、いわゆる地域移行支援、地域定着支援を含む地域相談支援という視点もあって作成されているものなのかどうかの確認だけお願いしたいと思います。
○熊谷座長 そうしましたら、事務局のほうと小澤構成員からお願いいたします。
○大平相談支援専門官 後で小澤先生にも補足いただければと思いますが、今回のカリキュラム改正については、もちろん計画相談支援を実施することだけの質を高めるということを視点にしているわけではありません。玉木構成員もおっしゃっていただいたように、相談支援専門員の質を高めるということがカリキュラム改正の目的になっています。
地域移行支援、地域定着支援と呼ばれる地域相談支援においても、基本的な相談支援の姿勢といいますか、取り組むときのプロセスは、特にケアマネジメントという手法も活用しながら実施をするものかと思っておりますので、そのあたりについては共通した事柄ではないかと考えています。
今回の研修のカリキュラムについて、さまざま多方面から御意見もいただくことはあるのですが、例えばこの障害についての特性をしっかり学ぶ必要があるのではないか、あるいはこの障害についてということで御意見をいただくこともあるのですが、それをさせていただくと、全ての障害分野についての講義、演習を含めてしまうと、全体の時間数がとてもふえてしまうということになります。その前に、まずは土台としてしっかりとした知識・技術・価値みたいなことを押さえていただくということが今回の目的になっておりまして、それぞれの障害種別に関しては、今後、専門コース別研修というところでしっかりと対応していけるように考えております。ただ、現状でも地域移行につきましては専門コース別研修で既に標準カリキュラムもお示ししておりますので、そういったところで学んでいただければと思っています。
少しだけ追加をすると、そういったものが現状としては任意の研修になっておりますので、なかなか全ての方に受けていただくという状況にはなっておりませんので、そういった位置付け、今後どういった位置付けにしていく必要性があるのかについても引き続き検討してまいりたいとは思っております。
○熊谷座長 そうしましたら、小澤構成員、お願いいたします。
○小澤構成員 御質問ありがとうございます。
ただいま大平専門官が申し上げたことと重複します。基本的には、研究班としての検討事項はあくまで基盤となるものを検討するということになっていて、もちろん個々、地域移行もあるし就労絡みの専門性もあります。それから、今、言った障害特性もありますので、これに関しては、基本はソーシャルワークとケアマネジメントに裏付けられた相談支援の手法で、これは全然揺るがないのですけれども、プラス上乗せ部分は、それぞれスキルアップ研修は、専門別研修を都道府県ではやっているところもあるかと思うのですが、そちらのほうにお任せする。そういうスタンスで取り組ませていただいたということが1つです。
もう一点追加しますと、計画相談が議論になっていますけれども、本来的に言うと、相談支援全般の質をどう見るかという検討だったので、現在の研修で言うと初任、現任、プラスアルファ、実は主任という3層のスキルアップの専門性の向上をどう考えるかという、もう一つ別の検討も行っているので、できればそういう観点で見ていただくと、計画の議論がメインではなかった。それも追加しておきたいと思います。
以上です。
○熊谷座長 阿部構成員、お願いします。
○阿部構成員 ありがとうございました。理解できました。
言ってみれば、当事者の参画というのは、考えてみたら地域移行支援、地域定着支援で大きな力を発揮することではありますので、今回の検討は検討としても、そこに当事者の関わり、これは以前から言われていることです。そのことは忘れてはならないと思いますし、私たち当事者の団体もそこに協力したいと思っているということの確認です。ありがとうございました。
○熊谷座長 ありがとうございます。
そうしましたら、事前に構成員の提出資料をいただいていて、事前に提出していただいた御意見からまずは御紹介をしていただいて、その後、今日御発言いただく構成員の方の御意見をいただくという順序にさせていただきたいと思います。途中で切ってしまいましてすみません。
そうしましたら、構成員提出資料に沿って、それぞれ事前に御意見をいただいた構成員の皆様の御意見をお聞かせいただければと思いますが、ページ順で言いますと、最初に内布構成員ですね。内布構成員のほうからお願いいたします。
○内布構成員 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の内布と申します。
このたび意見ということで申し上げさせていただきますけれども、私は精神障害者当事者でして、以前、福祉サービスを利用していた。現在は利用していないのですけれども、利用していたときには相談支援というところが法定化されていなかったので、直接サービスの利用がなかった。利用した経験はないのですけれども、私が障害当事者として、今いる、現在でも地域で暮らしたりとか入院されている方も含めて、当事者として、ユーザーとして置きかえてみると、やはり相談支援専門員はユーザーである私に対して理解しやすい情報を提供してくれたりとか、表面的な情報の提供だけではなく、サービスの質も含めて教えてくれる、情報提供をしてくれる存在。あと、定期的なモニタリングというところでは、ユーザーである当事者が、そのときの気持ちも確認して必要な調整をしてくる存在としてとても役割が大きいと思っております。
障害体験や生きづらさの中で、自信を失いやすい私たちだと思うのですね。私もそうでした。今もそうであるかもしれないのですけれども、人生を生きていく上で、相談支援を通じてエンパワメントされていくことはとても重要だと思います。後々ユーザーが描く自立生活のためにも、相談支援専門員の役割は非常に重要だと思っています。
私もピアサポート専門員の研修を行っておる立場ですけれども、必要な研修内容を削ることに対して葛藤や議論の難しさを経験してきております。相談支援専門員の法定研修も、これまで不足していた部分を積み上げた結果として新たなカリキュラムが示されたと思っております。単に時間を削ることは研修の質の低下を招くと思いますし、結果的にはユーザーが困ってしまうと思います。相談支援専門員の質を確保するための必要な時間数の確保が必要だと思っております。
最後に、私自身も相談支援専門員の資格を取得しておりまして、研修の協力も行っております。改定前のカリキュラムでは、サービスを受けるユーザーの立場を考えたときに、相談支援に必要な価値・知識・技術を取得するには不十分であり、時間数が足りないと実感しました。障害当事者も研修を受講できるように一定の合理的配慮が受けられるよう保証した上で、新たなカリキュラムの早期の実施を望みます。
以上です。
○熊谷座長 ありがとうございました。
論点1と論点2は時に鋭くコンフリクトを起こす。これは普遍的な現象なので、葛藤されて、これまでもピアサポートの研修などで経験を積まれたという非常に貴重な御意見をいただきました。ぜひそういう方向で、まずは論点1を考えますけれども、その後、論点2としてどのように、やはり当事者が支援者になるというのは、エビデンス上もそうですし、経験上も非常に重要な要素になっているので、そういうことも加味しながら、論点2のところでもう一度考えていきたいと思います。
続きまして、3ページ目になりますが、全国手をつなぐ育成会連合会の田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 それでは、全国手をつなぐ育成会連合会としての意見を述べさせていただきます。統括の田中と申します。
先ほどの熊谷座長の提案に関しては、論点1、2、3とも賛成する立場におります。特に相談支援事業に関しては、私も暮らしの生きづらさを減らして、質の向上をさせるための支援というふうに考えておりますので、さまざまな業態の方たちとつながるチームアプローチが必要だと思っています。ですから、障害のあるなしはチームアプローチの中で融合されていくべきだと思っていますので、当事者性が高い方もいれば、仲間ならではの支援ができる人もいたりしますが、第三者で関わることでチームアプローチ力が上がるということもありますので、総合的に評価すべきだと思っています。最初に、論点1でカリキュラムの内容を本人を主体にした支援になるように整えていくということが一番大事ですので、そこにはさまざまな役割の人がいるべきだと思っております。
その上で、意見書については、基本的には相談支援事業に当会としては非常に大きな期待をしているということで、国の法律としてさまざまな制度が生まれておりますが、地域格差が非常に大きくて、国の制度にはあるけれども我が町にはないということを掘り起こしていただく方たちとして、この相談支援員の方たち、先ほどお伝えしたチームアプローチ抜きには、相談支援専門員の方1人では全く太刀打ちできないわけですが、そういったかかわりをしていく上では非常に重要だと思っております。
現状でも相談支援専門員ですら地域格差が非常に大きい現状ですので、人材育成が十分な見通しのもとで図られていくという視点で、今回のカリキュラムの設定に関しては前向きに進めていただきたい。そして、論点2、3で、座長で整理していただいた課題があれば、都度都度解消していくということが重要だと思いますので、特に文章にも書かせていただきましたが、障害当事者である相談支援専門員の研修時における合理的配慮については、常に注意項目として掲げるべきだと思っておりますが、質の向上に向けたカリキュラムの推進とは別に考えていただきたいと思っております。
また、決議文に関しては、毎年全国大会で、間もなく2週間後に京都で行われるのですが、昨年北海道で行われたものとほぼ変わっていない。相談に関しての要望事項になっておりまして、この現状を一歩でも二歩でも早く打開していただきたいということが会としての強い願いです。特にセルフプランに関しては、相談支援専門員の数が足りないという現状の中で、知的障害や発達障害の親御さんが巻き込まれているという見方をしておりますので、親の願いが強く伝わるということで、アセスメントの部分では有効なのですけれども、サービスを調整するというところでの関わりでは、セルフプランを親御さんがやる場合には全く機能しないということに関して、ぜひ留意をしていただきたいというのが私たちの立場です。
以上です。
○熊谷座長 ありがとうございます。
非常に重要な御指摘をたくさんいただきました。チームアプローチで考えるというのは非常に重要で、オールマイティーな人は一人もいないので、そういうオールマイティーな人を育てるための研修は切りがないということを踏まえた上で、でも、ピアにしかできない仕事もあれば、当事者にしかできない仕事もあれば、そうではない方が参加することで初めて実現する仕事もあるのだということを御指摘いただきました。
あと、地域格差の問題も非常に重要で、ソーシャルワークにしろ相談支援にしろ、単に本人が表明されたニーズと社会資源をつなぐだけの仕事だと勘違いされやすいのですが、むしろ大変なのは、本人のニーズを形成する意思決定支援とか、あるいは地域の中に社会資源がそもそもないときに生み出す仕事とか、つなぐだけではなくて意思及び社会資源を生み出す仕事も相談支援の中には含まれるので、ある意味では非常に高い専門性が必要になってくるという御指摘でした。
3つ目の御指摘は非常に重要だなと思ったのですけれども、セルフケアプランが親御さんによって行われるといった局面において、いわゆる代理型意思決定、国連の障害者権利条約があってはならないというふうに言っている代理型意思決定のツールになってしまっている現状すらあるのだと。その現状を鑑みたときに、もちろんセルフケアプランという原則は変わらないのだけれども、真に意思決定支援を実現するための親ではないサポーターの養成が急務なのだということを伺いました。
どれも非常に重要な御指摘だと感じました。
続きまして、日本相談支援専門員協会から、本日は玉木様。
○玉木構成員 先ほど基本の考え方をしゃべらせていただいたので、この内容につきましては、当協会の顧問の門屋副座長にお願いしたいと思います。
○熊谷座長 門屋副座長、お願いいたします。
○門屋副座長 門屋でございます。
協会としましては大きく3点のことを申し上げたいと思っております。
今回のことに関しましては、協会そのものが新しいカリキュラムについての検討の中でたくさん意見を申し上げて今に至っておりますので、そのことを前提として3点ということで、1点目は何人かの方からお話がありましたが、実施体制のことが、都道府県あるいは実際にやっている現場を見ますと、かなり格差が出てきているということも多少ありまして、このことが非常に気になっておりました。そこで、ぜひこれを進めるに当たっては、国のほうからも都道府県に対して体制を整えていただくような御示唆をいただければということが第1点であります。
次は何人もの方がまた同じようにおっしゃっていますが、カリキュラムについての当事者の参加あるいは当事者の方々の御意見をもとにした取り組み方も大変重要である。なおかつ合理的配慮のことも何人かの方に言っていただいたように、私たちもそのことについてきちんと取り組んでいきたい、あるいは取り組む姿勢をきちんと見せていきたいと思っております。
もう一つは、人材育成は研修会だけで人材育成ができるわけではありませんで、実は日々の事業所内あるいは地域内の人材育成は大変重要なことであります。それがあるので、今回はインターバルを設けて実践的なということを入れたわけですから、それを現実に我々がやりながら学べるところ、自分のことを検証し続けること。このために、基幹相談支援センターというものが設けられておりますが、そこの設け方もまだ不十分であります。そんなことから言いますと、体制も整備しながら継続的な人材育成が必要である。このことは私たちの課題でもありますし、皆さんにもそのことを御理解いただきたいということで、3点申し上げました。よろしくお願いいたします。
○熊谷座長 ありがとうございました。
これまでの御発言とも共通する点が多々ありました。実施体制、フィージビリティーといいますか、実現可能な形を、体制を整えていかなければいけないという点と、当事者が受講者としても、このカリキュラムをつくる側としても参画していけるものにしていかなければいけないという点。この2点はこれまでの御意見とも重なる部分でしたが、そこにつけ加えて、やはり単発のこういった数年に1回の講習だけではだめで、日々の中でスーパービジョンや振り返りの機会を得るためには、例えば基幹相談支援センターなどのインフラというのでしょうか、そういったものをもっと充実させなければいけない。今回の検討会の中では、そういったインフラの部分はなかなか触れられないかもしれませんが、重要な検討事項として共有させていただきたいと思っております。
続いて、日本知的障害者福祉協会のほうから、冨岡構成員、よろしくお願いいたします。
○冨岡構成員 よろしくお願いします。日本知的障害者福祉協会の冨岡と申します。
要望書といたしまして6ページのほうに挙げさせていただきました。
私たち協会は、相談支援専門員の役割、業務についてとても期待をしているところでございます。また、相談支援専門員に対する期待については、多くの方が同じように求めているところはあるのではないかと思っております。
しかし、現状を見ていきますと、まず、全国の都道府県においては、研修内容の差が余りにもあり過ぎるということ。そして、研修には受講者の範囲がすごく幅広い。今日では介護保険のケアマネジャーも多々来られ、そして、障害のことも余りよくわからずにというような声を聞いたりもします。そのような中で、実際に今、相談支援専門員の業務を振り返ってみますと、事務的なケアマネジメントに特化してしまっているという御指摘もあり、本来であれば基本相談を通してしっかりその方の話を聞き取り、一緒に考え方向性を見出していく。そういう一番大事な前提の部分が抜け落ちているということを感じているところでございます。
そのため、協会としましては、今回、提案していただいております相談支援専門員を養成する法定研修の新カリキュラムへの移行については賛成をしておりまして、かつ本カリキュラムの研修の実施を速やかに行っていただけたら、とてもありがたいと思います。
また、本カリキュラムだけでは、業務を進めていく中で追加等の必要があるかと思いますので、引き続き相談支援専門員の充実のために、質の向上のために本カリキュラムの見直し等は行っていただきたいということを考えているところでございます。
○熊谷座長 ありがとうございます。
基本的には速やかに質の向上のプロセスを進めていくことが喫緊の課題であるというような御指摘でした。ありがとうございます。
ちょっと司会の不手際で時間も押してしまっているのですが、そのほか、構成員の皆様のほうから御意見はございますでしょうか。
鈴木構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員 日本盲人会連合の鈴木でございます。
私からは、これまで皆さんが議論されてきたという内容において、このカリキュラムは来年以降と書いてありますが、早い段階で実施されていくことがいいだろうなと考えております。
あと、この中では、障害当事者が受講する際に、移動のことが書いてございますけれども、私も受講したときに資料をデータでいただいたりしています。ですので、移動だけではなくて情報の提供というか、そういった資料の提供でも合理的配慮が必要なのではないかという視点を入れることが大事かなと思っております。
3つ目になりますけれども、知的障害の方たちとかの相談を受けていたりすると、そういった場合のセルフプランを立てたりするのですが、この場合、保護者の都合みたいなものがあって、本当に知的障害のある人の立場での将来を見据えた計画が、なかなか保護者が立てている計画のときには難しいので、そこら辺の視点も含めて研修の中でやっていけたらいいだろうと思っています。
それから、多職種連携、いわゆるチームとか、この辺のところなのですけれども、特に視覚障害のある人たちですと結構高齢の方たちが多くて、介護保険との兼ね合いだとか、そういった部分でよくわからなくてやっていたりするケースがあったりするので、その辺のいろいろな人たちとのチームアプローチをして、ネットワークづくりをしながらやっていくということが重要、必要なのではないか。
最後ですけれども、実際には国の制度とかそういったところでは書かれていて行われるべき内容が、地域によって行われていなかったりする実例があります。そういった際に、支援専門員が計画を立てた段階で、国のこういう制度を行政がきちんとやってほしいというようなことも含めて、新たな制度というよりは既にある制度を活用することで、よりよい計画づくりになるのかなと思いますので、その点のところを今後、既に始める中で書き換えをしていくとか変更をしていくのが重要かなと思っています。
以上です。
○熊谷座長 ありがとうございました。
小幡構成員、お願いいたします。
○小幡構成員 お時間がないので簡単に、るる皆さんお話しされているように、既に質の向上に向けたというところの議論が一定到達している部分もあるかと思うのですけれども、ここの新カリキュラムで進めていくことがその一助になるということでは、私たちも賛成の立場です。今回の議論の進め方の御提案についても賛成です。
その上で、実際のカリキュラムの中で質を向上させていこうという養成の部分と、実地の現場に出たときに担っているもの、とりわけ法人に属しながらやっている相談員が多い中で、どうしてもチーム連携、同職種での法人や地域を超えたところでの連携というところが、求めていてもかなり制限されてしまうようなところ。ここの部分との整合性をどうするかをちゃんと区分けをして考えていかないと、このカリキュラム自体を定めることと、運用上の問題が混在してしまって、整理し切れなくなるのではないかという思いがありますので、この点に注意しながら、また次回以降、私も議論に参加させていただきたいと思います。
以上です。
○熊谷座長 ありがとうございました。
こちらで最後になるかと思います。よろしくお願いいたします。あとお二人にお願いできればと思います。
○三浦構成員 熊谷座長のこのレジュメにはものすごく深い意味が込められていて、私は大賛成です。特に2番目の講習自体が間接差別にならないかということに関して、これは大変意味があると思います。カリキュラムの内容と合理的配慮を分けて考えろという御意見がたくさんありますけれども、実はカリキュラムの内容と時間、体制がそのまま結果としての差別といいましょうか、当事者である相談支援専門員が参加しづらい、もしくは諦めるというようなことになることをはらんでいるので、これは合理的配慮ではなくて基礎的な環境整備の部分なので、これをもう一回ここで議論しようというところが、すばらしい論点だと思いました。
実例がございます。ずっと当事者が相談支援専門員等になる支援をしています。福祉のユーザーだった重い障害のある方々が社会福祉士の資格を取り、相談員として自立していくことの支援を、20年ぐらいかけてやってきています。実は今回、制度が変わり、特に現任研修の時間が長くなる。これは当事者の相談支援専門員にとって衝撃だったようです。本人は仕事について3年目なのですけれども、何とか本年度中に、やっと得た仕事を継続していくためには自分の体力上本年度のカリキュラムでないと、自分はもう自信がないと。あと何年生きられるかわからないという不安もありはっきり申し出をされて、今年受講されたケースを今日は持ってきたのですが、ちょっと長過ぎるので、また次回に出したいと思います。よろしくお願いします。
○熊谷座長 ありがとうございます。
論点1と論点2は必ずしも独立ではないという御指摘でした。非常に重要な御指摘で、特に論点1の本質の部分がどこなのかというようなことを固めていくことを通じて、全ての人が参加できるような仕方で、しかし、障害のある方が積極的是正措置をある意味では得られる範囲はどこなのかというふうなことも含めて検討していかなければいけないということを進めていこうと思います。
もう一方、すみません。
○松本構成員 全日本ろうあ連盟の松本です。
相談支援の質の向上に向けて考えるということは、私としては全面的に賛成します。何を専門性というのかが大事かと思います。あと、さらに心配なのは、「相談支援の質の向上に向けて」を考えることはいいですが、相談支援専門員は、どのぐらいいらっしゃるのかとのことです。
例えば、私の経験で申し上げますと、大学を卒業して社会福祉士及び、精神保健福祉士の資格も持っている人が何人かいらっしゃいますが、ほとんど、福祉現場には入っておられません。大きな企業に入ったり、あるいはデスクワークに従事していたりという方が非常に多いように思います。
そういったことを考えますと、相談支援専門員の実務経験一覧表の中に、相談支援業務を5年以上、それから、介護等業務を10年以上ですか、業務年数に満たない人が一日も早く専門性を持って障害当事者の支援をしようと思っても、実際にはできないという現状がありますので、ここを並行して考えてほしいなと思っています。例えば、相談支援業務の期間を3年ぐらいに短縮して、一日も早く相談支援専門員を増やしていかないと、後々大変になるのではないかと思っています。
以上です。
○熊谷座長 ありがとうございました。
今、お二人ほど挙がりましたけれども、お時間がちょっと押しておりますが、簡単にお二人とも。
○今井構成員 JDDnetの今井です。
熊谷座長の提案の内容は重要です。資料4のカリキュラム(案)の1ページ目の一番上の「目的」と「基本的視点」のところにその内容をどう落とし込むかだと思うのです。つまり、相談支援専門員は、行政とサービスを受ける側の調整役なのか、それとも、弁護士みたいに、あくまで本人側に立つのだと。そこがはっきりしない。これは相談支援専門員ができたいきさつも関係しているのだと思うのですが、行政の業務の外出しなのだという感じで捉えている人と、そうではないと捉えている人がいて、そこはある程度今回、明確に言ってしまってはどうか。
あと、言葉ですけれども、熊谷さんの括弧内の施設がどうとかは、ワーディングが現状とちょっと違うところがあるので、言葉だけがひとり歩きしがちなので、修正して欲しい。最後に、親はだめという言い方は良くない。親のエンパワメントも含めてやるのが相談支援員なので、親はだめなのだということを吹聴するのは決していい結果にならないと思います。
○熊谷座長 ありがとうございました。
そうしましたら、大濱構成員からお願いします。
○大濱構成員 大濱です。
今、皆さんのご意見を伺っていて、地域間格差が大きいという田中構成員のご意見、地方の現状に関する玉木構成員のご意見を踏まえると、内布構成員がおっしゃったように新しいカリキュラムのガイドラインを出すだけでは、国としてまずいのではないかと思います。テキストの内容などを、かなりしっかりガイドラインに書き込んでいかないと、地域間格差ができたままになっていくのではないかということが1点です。
また、先ほど田中構成員がおっしゃった知的障害のある人の支援の話ですが、これも非常に重要だと思っています。それこそソーシャルワークのあり方に関わる根本的な問題だと思っています。先ほど小澤先生から、ソーシャルワークという視点で検討したので、障害当事者を検討メンバーに入れなかったというのは、ちょっと違う話ではないかと思っています。障害当事者でもソーシャルワークをきちんと勉強している人はたくさんいると思います。そういう点でもカリキュラムを根本から考え直した上で、地域間格差を生まないためにも、国がきちんとしたガイドラインやテキストを示す方向性も打ち出さないと、非常にまずいと考えています。
以上です。
○熊谷座長 ありがとうございました。
すみません。私の司会の不手際で時間が超過してしまいましたが、少し私のほうで短時間でまとめさせていただいて、おしまいとしたいと思います。
今日いただいた議論を整理すると、恐らく論点1、つまり、カリキュラムの内容を充実させる方向は皆さん総意ということでよいかなと思いました。充実の方向に関しては、もちろんこれから詰めていく必要がございますけれども、エンパワメントとかあるいは障害者権利条約、社会モデル、こういった世の中の趨勢に合わせて、先ほどソーシャルワークの話もありましたが、私も個人的に意見がございますので、第三世代のソーシャルワークでは古い。第四世代のソーシャルワークは肩を持つソーシャルワークであるということが恐らく世界的な動向なので、そのあたりを私も意見を述べさせていただく機会があるかもしれません。
そのような形で、論点2に関しては、恐らく論点1の中でさらに本質はどこなのかということを通じて、配慮の枠組みあるいは基礎的環境整備の枠組みというところを整理していくというふうな算段になるのかなと思っております。
年度内中に、あと限られた3回ぐらいの検討会しかないということで、どこまで行くのか、あるいは仕切り直しが必要になるのか、それも進捗を見ながらということになると思うのですが、皆さんの中から出てきた意見の中で、書き込まれたものが必要なのではないかと。これは地域間格差という観点からもやはり書き込まれたものが必要なのではないかという議論は、非常に議論を前に進める提案だと思うのですね。
また同じように集まって、同じように意見出しをしておしまいということではなくて、物を作る、具体的な物を出していくという形で議論するほうが、話がまとまりやすいという感覚がございますので、もしかすると小澤先生もガイドラインなどを今、作成されているかもしれないし、あるいはほかの皆さんの中でも、書き込まれたもののイメージがおありかもしれません。そういったものをテーブルに並べて書き込まれたもののすり合わせをしていくというような方向が次回以降はよいのかなと思いますが、よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○熊谷座長 よろしいでしょうか。
では、そういう形で次回整理をして進めたいと思います。
次回は10月の障害者部会における御意見と、本日いただいた御意見を踏まえて、今回のカリキュラム改正(案)について修正を加えるべき点について事務局に整理をしてもらい、次回に提出をお願いしたいと思います。
最後に事務局のほうからお願いをいたします。
○内野室長補佐 本日は、お忙しい中、さまざまな御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。
次回でございますけれども、2月28日になりますが、第7回検討会を開催させていただきたいと思っております。時間は10時からでございまして、場所はこの建物の、今度は第1会議室になっておりますので、皆様よろしくお願いいたします。
○熊谷座長 ありがとうございました。
本日はこれで閉会といたします。お気を付けてお帰りください。

照会先

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室