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2015年11月9日 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録

○日時

平成27年11月9日(月)14:00~


○場所

航空会館B101会議室


○出席者

出席委員(12名)五十音順

有 森 和 彦、◎大 野 泰 雄、 神 田 敏 子、関 東 裕 美、
栗 原 正 明、 杉 林 堅 次、○西 川 秋 佳、西 村 哲 治、
藤 井 まき子、 松 永 佳世子
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(2名)

井 上 和 秀、 木 津 純 子

行政機関出席者

山 田 雅 信 (審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきありがとうございます。

 まず、本日の委員の出欠についてです。井上委員、木津委員より御欠席との御連絡をいただいております。また、御連絡はないのですが、西村委員が遅れているようです。現在のところ、当部会委員数12名のうち9名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 続きまして事務局に人事異動がありましたので、御報告をいたします。まず、厚生労働省ですが、10月1日より、局の名前が「医薬食品局」から「医薬・生活衛生局」へ変更となっております。また、本日は欠席ですが、医薬・生活衛生局長に中垣、それから審議官に森が就任しております。次に、医薬品医療機器総合機構ですが、こちらも本日欠席ですが、審査マネジメント部長に中山が就任しております。最後に、申し遅れましたが、私、審査管理課長の山田でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは大野部会長、以後の進行よろしくお願いいたします。

○大野部会長 それでは本日の議題に入りたいと思いますが、その前に、皆さんお忙しいところ集まっていただいて、ありがとうございます。中には遠くから来られている先生もおられます。本当にありがとうございます。

 まず、事務局から、配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告をお願いいたします。

○事務局 事務局でございます。それでは、資料の確認をさせていただきます。本日席上に、議事次第、座席表、当部会の委員名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~資料3については、あらかじめ送付をさせていただいております。このほか、資料No.4「専門協議委員リスト」、資料No.5「競合品目・競合企業リスト」、資料No.6「化粧品基準について」、また、右肩に「当日配布資料」とございますが、「薬事分科会審議参加規程・運用等の一部改正について」も配布をさせていただいております。こちらの当日配布資料については文書にて以前にお知らせをしているものになりますので、また御確認をいただければと思います。配布資料について、過不足等ございましたらお知らせいただければと思います。

 続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」(資料No.)について御報告をさせていただきます。資料5の1ページを御覧ください。ライオンデンタルペーストCですが、本品目は、歯及び歯肉の疾患予防ができるペースト状の薬用歯みがき類であり、同様の効能・効果を有する品目を競合品目として選定をしております。

 続いて2ページ、化粧品基準の関係です。トリスビフェニルトリアジンは、化粧品基準への収載が要請されている新規の紫外線吸収剤であり、同様の使用目的を有する品目を競合品目として選定をしております。説明は以上です。

○大野部会長 今の説明について、特段の御意見ございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものといたします。次に、委員からの申出状況について報告してください。

○事務局 申出状況についてです。議題1「ライオンデンタルペーストC」、退室委員なし。議決に参加しない委員、杉林委員、松永委員です。議題2「トリスビフェニルトリアジン」、化粧品基準の関係ですが、退室委員なし、議決に参加しない委員、杉林委員、松永委員です。以上です。

○大野部会長 杉林先生、松永先生、よろしいですか。貴重な意見をこれから伺わなくてはいけません。議決には参加されませんけれども御意見は適宜お願いいたします。

 ほかの先生方、よろしいでしょうか。それでは、皆さんに確認いただいたものといたします。

 議事に入りたいと思います。本日は審議事項が二つございます。まず、審議事項の議題1に移りたいと思います。資料1を御覧ください。これについて、機構から概要の説明をお願いいたします。

○機構 それでは議題1、医薬部外品ライオンデンタルペーストCの製造販売承認の可否について御説明申し上げます。資料1の審査報告書3ページ、1.申請品目を御覧ください。申請品目の販売名はライオンデンタルペーストC、申請者はライオン株式会社です。本剤は、有効成分としてリン酸L-アスコルビルマグネシウムを□%、モノフルオロリン酸ナトリウムを□%配合する薬用歯みがき類です。なお、申請時効能・効果のうち、リン酸L-アスコルビルマグネシウムによる効能・効果として「歯周炎の予防」、「歯肉炎の予防」、「出血を防ぐ」、□□□□□□□□□□□□が設定されておりました。その他の効能・効果のうち「むし歯の発生及び進行の予防」はモノフルオロリン酸ナトリウムによるもの、「歯を白くする」、「口中を浄化する」、「口中を爽快にする」はブラッシングを行う薬用歯みがき類一般の効能・効果として、薬用歯みがき類製造販売承認基準にて示されているものです。

 3、4ページのイ項、起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料を御覧ください。リン酸L-アスコルビルマグネシウムは生体において加水分解された後、アスコルビン酸として機能し、その活性酸素消去や好中球の機能向上等の作用により、歯周病に対して効果を発揮するとされています。なお、アスコルビン酸は承認基準において、歯肉炎の予防を効能・効果とする有効成分として示されていますが、アスコルビン酸は酸化され易く、水を含む製剤中での安定性確保が困難であることから、申請者は安定性を向上させたアスコルビン酸誘導体として本成分の開発を行ったと説明しております。海外においても、本成分を歯みがき類へ配合した事例は確認されておりません。

 続いて4、5ページ、ロ項及びハ項を御覧ください。本剤の規格及び試験方法は適切に設定されており、安定性も問題ないと判断いたしました。

 続いてニ、安全性に関する資料について御説明いたします。リン酸L-アスコルビルマグネシウムは、皮膚適用の医薬部外品のクリームにおいて有効成分として承認前例があります。今回、新たに口腔適用の薬用歯みがき類に配合することから、各種毒性試験が実施されました。その結果、いずれの試験においても懸念される所見や特段の問題は認められておりません。

 続いて、ホ、効能又は効果に関する資料について説明いたします。効能又は効果を裏付ける基礎試験として、8~11ページに記載の各種試験が実施されました。また、ヒトを対象とした試験として、予備試験のほか、13ページに記載しておりますように、歯肉炎指数GIの平均値が0.5以上、かつ、重度の歯周炎に罹患していない被験者300例を対象とした、プラセボ対照二重盲検比較試験が実施されました。

1516ページ、審査の概略()「本剤の有効性について」を御覧ください。本剤のヒト使用試験の結果から、リン酸L-アスコルビルマグネシウムによるとされた申請時の効能・効果について、専門協議における専門委員の意見も踏まえ、それぞれ次のように判断いたしました。「歯肉炎の予防」について、プラセボ群と比較して本剤群で歯肉炎症の程度を示すGI値が有意に低かったことから、歯肉炎に対する有効性を確認できたと判断いたしました。歯周炎の予防について、本試験では歯周炎の状態を評価するための指標である、臨床的アタッチメントロス(CAL)やプロービング深さ(PD)による評価が実施されていないことから、歯周炎に対する有効性を評価することはできないと判断いたしました。「出血を防ぐ」について、評価項目の歯肉炎重症度指数(GSI)について、統計学的に有意な群間差が認められなかったことから、本剤の歯肉出血状態に対する効果は、確認できないと判断いたしました。□□□□□□□□□□□□について、申請者は評価項目である□□によりその効果を説明しているものの、当該評価項目は□□□□□□□□□□□□□□を評価したものと考えられ、本成分による炎症抑制作用とは異なる効果が期待できるとする根拠として、脆弱であると考えました。以上より、機構は本成分による効能・効果としては「歯肉炎の予防」を設定することが適切であると判断いたしました。

 続きまして、その下、「本剤のヒト使用時における安全性について」を御覧ください。ヒト使用試験において、本剤との因果関係がありと判断された有害事象は認められませんでした。また、本剤との因果関係が否定できない有害事象として、口腔内での刺激症状が認められましたが、その発現頻度はプラセボ群で2.7%であったのに対し、本剤群は0.7%であり、いずれの症状も試験の継続に伴い消失したことから、本剤のヒト使用時の安全性について、特段の問題はないと判断いたしました。

 最後に、3.総合評価を御覧ください。以上の審査を踏まえ、機構は本剤を医薬部外品の薬用歯みがき類として、こちらに記載の効能・効果、用法・用量において、承認して差し支えないと判断いたしました。なお、承認後、少なくとも2年間、本剤に関する製造販売後調査の実施が適当と判断いたしました。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 ちょっと今気がついたのですけど、審議を始める前にお聞きしたいのですが、これは機構としての判断について、企業との間のやり取りはされているのですか。

○機構 やり取りは照会回答や審査中に、いろいろな観点の確認をしておりますし、今回の最終的な機構の判断についても、既に申請者にお伝えしまして、理解して頂いているところです。

○大野部会長 分かりました。効能・効果が随分変わっていますので、企業としての反論があったら聞いておかなくてはいけないのかと思ったのです。ありがとうございました。では順次、先生方から御意見を伺いたいと思います。では、この品質とか安定性の関係で、御意見ございますでしょうか。栗原先生、何か御意見ございますか、そういった面で。

○栗原委員 いや、特にはありません。

○大野部会長 よろしいですか。薬理作用のところでは、井上先生と西村先生にお聞きしようかと思っていたのですが来られておりません。私も薬理の出身なので、一応目を通しましたが。薬理から見ると、結構作用が出ているのかというように思いましたけれども、今の機構の判断で、この薬理作用の一部が認められないということについては納得しております。

 薬理効果の面で、杉林先生、何か御意見ございますでしょうか。

○杉林委員 おっしゃるとおりだと思うのですね。これ、歯肉炎に関しては評価項目、この効能をしっかり言う場合は、その評価項目としてCLとかPDの評価をするということになっていて。そこのところがデータが出ていないので、こういうふうにそこの項目を落とすというのが妥当かと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。藤井先生、何か御意見ございますでしょうか。

○藤井委員 薬理効果については、これでいいのではないかと思います。

○大野部会長 動態面で、これがどこで作用しているのかと思ったのですが、これは細胞の中に入って作用しているということです。よろしいのですか。それとも歯の周辺で作用しているのか。これはちょっと本文を読むと、組織全体、組織の中で作用しているようにも読めるようなところもあったのですが。このものは入るというふうに考えて、よろしいのですか。

○藤井委員 ちょっと。

○大野部会長 杉林先生、いかがですか。

○杉林委員 ビタミンCですからね、当然組織、それから組織、細胞の中、外に分布していると思いますけどね。

○大野部会長 リン酸化しているということで、入り易くなったのかと思ったのですが、そういうことはないですか。

○杉林委員 これは、書いてある場所が、リン酸化することに、あまり安定で、ビタミンC自体が、特に水溶性のところでは安定ではないので。こういうエステル化しておいてやっているのでしょうけれど、やはり効いているところはビタミンCになっているはずですから、それが細胞の中、外にも分布していると思います。

○大野部会長 ありがとうございます。今までのところについて、先生方、御意見ございますでしょうか。神田先生、お願いします。

○神田委員 意見といいましょうか、質問なのですけれども、今の御説明で分からなかったところがありましたので。この二つの有効成分についての効能は歯肉炎予防と虫歯の発生及び進行の予防ということで、そこはいいかと思う、そのとおりなのでしょうけれども。そのほかに、歯を白くする、口中を浄化する、口中を爽快にするというふうなことが効能・効果のところに書かれておりまして。ここのところの御説明をもう少し欲しかったと思ったのですけれども。効能・効果に評価項目に設定されていない、この歯を白くするという、以下の三つですね。そこが入っているので、その説明についてはもちろん資料の16ページにも書かれておりまして、承認基準においても配合する有効成分によらず、設定することができる効能・効果として示されているので、これを書くのも適切であるというふうに読み取っておりますけれども。その辺がこの部会において何を承認するのかというところで、その評価もされてない部分についても、この部会において承認するのかどうかというところが、先ほどの説明ではよく分からなかったので、製品自体にこれを書くのはいいのでしょうけれど、基準があればいいのでしょうが、ここの部会において承認する範囲が、私にはこういった例が初めてなので、その辺をもう少し説明していただきたいと思います。

○大野部会長 私もあまり経験ないので、事務局から説明していただけますでしょうか。

○機構 説明でも申し上げましたが、薬用歯みがき類には承認基準というものがございます。そちらの中で、今回のようなブラッシングを伴う歯みがき類については、何らかの有効成分が入っている場合には、ここに書きました、「歯を白くする」、「口中を浄化する」、「口中を爽快にする」という効能・効果が謳えると承認基準で定められております。

 今回、新たに評価するものはリン酸L-アスコルビルマグネシウム、こちらが新規有効成分となりますので、これを配合することに伴う効能・効果、こちらを御審議いただくということになるのかと理解しております。すなわち「歯肉炎の予防」をリン酸L-アスコルビルマグネシウムを配合することによって謳えるという範囲を、今回の御審議いただく範囲と理解しております。説明になっておりましたでしょうか。

○神田委員 今の説明は、分かったのですけれども、この資料自体、そうしたらこの二つの有効成分についての評価のところで留めておいていいのではないかと思ったのですが、そうではなく。では、基準があるのは説明で分かったのですけれども、ここで審議し、承認するというその範囲がちょっと広いのかと思ったのです。どうなのでしょうか、書かなくてもいいのではないかと思って。

○審査管理課長 審査管理課長でございます。PMDAからの御説明でもありましたように、今回の申請品目について、従来の既承認のものにない、新しい部分というのが御説明させていただいたように、このL-アスコルビルマグネシウムの新規の有効成分としての御審議と、その新規の有効成分を配合することによって付け加えられる効能・効果の「歯肉炎の予防」ということでございます。ですから、狭い範囲で御審議いただく範囲とすれば、そこに限られるのですけれども、ただ、薬事上の手続きからいたしますと、これの製品としての承認の可否ということが問題になりますので、新規の部分以外の既承認と同等性を有する部分についても、併せてこの製品の承認の可否ということで、最終的には全体をこちらで御承認いただくと、新規部分の審議の上、新規性のない既承認の部分も、既承認と同じ部分も含めて、製品全体としての承認の可否ということで御意見をいただいているということでございます。

○大野部会長 このモノフルオロリン酸ナトリウムが入っているか。それについては既にこういう四つの項目、虫歯の発生及び進行の予防、歯を白くする、口中を浄化する及び口中を爽快にするということ。それについては認められているということで、それを前提に審議をする。

○審査管理課長 そうしたら、もし、仮にリン酸L-アスコルビルマグネシウムが含まれておらずに、このフッ素の成分だけが入っているこういった薬用歯みがき類であれば、こちらにお諮りすることなく、事務局の処理によって承認する訳ですけれども。このものにつきましては、それに加えて新しい成分が含まれているということで、その新しい成分の新規の部分について、御審議をいただくということでございます。ただ、その製品としては全体のその承認の可否ということになりますので、それも既承認と同等の部分も含めて、こちらに資料としてのお示しをしますし、お諮りをしているということでございます。

○大野部会長 よろしいでしょうか。

○神田委員 はい、分かりました。委員としての役割がどこまであるのかが分からなかったものですから、非常に化粧品はいろいろ問題も起きておりますし、どこまでが私たちの責任の範囲なのかということも、これまでのいろいろなことの中で気になっておりましたものですから、お聞きいたしました。

○大野部会長 既承認については今までの部会とか、審議会とか、そういうところで承認されている内容ということです。ですから、そのことについての責任は私どもにはないと。その当時の審議会にあるということですね。私どもは判断を求められているのは、歯肉炎の予防関係、新しく加わった部分ですね。それで、よろしいでしょうか。

 それでは次のところで、臨床面で、栗原先生、お願いします。

○栗原委員 細かいことで恐縮なのですけれども、構造式が違って書いてあるので、どこを見ればいいのでしょうか。概要ロの、1枚めくっていただいた15ページを見ていただいて。ここに構造式が書いてあるのですけれども。まず、アスコルビン酸に「PO 4 2- 」と書いてありますけれども、これ、Pと炭素が結合している訳ではなくて、Oで結合しているので、「OPO 3 2- 」と書くのが正しい。

 それからマグネシウムに、「2+」のあとに「1.5」という小さい下付きの字がありますが、これはマグネシウムの前に持ってきて「2分の3」としていただいた方が、構造式としては正しいということになります。本質的なことではないのですけれど。

○大野部会長 ありがとうございます、気が付きませんでした。ほか、藤井先生、お願いします。

○藤井委員 10ページなのですが、表の4、ヒト正常歯肉繊維芽細胞増殖に対する本成分の影響というようなところで、本成分はアスコルビン酸として効いているようなイメージで読んでいたのですが。ここの欄で見ると、上から2行目のところでは、「本成分、アスコルビン酸ナトリウム塩化リゾチームで有意な細胞数の増加を認め」と書いてあるのですが、表を見ますと、本成分は確かに増加しているのですが、アスコルビン酸ナトリウムは有意な減少なのではないかと思うのですが。そうしますと、作用はアスコルビン酸ナトリウムではなくて、リン酸マグネシウムにすることによって見られるというふうに考えないと、いけないのでしょうか。

○大野部会長 そうですね。これ、事務局の方でいかがですか。

○機構 少々お待ちいただけますか。確認をします。

 先ほども少し出ていましたが、アスコルビン酸とリン酸L-アスコルビルマグネシウムなのですけれども、若干その透過性といいますか、そういったところが違うという知見が得られています。それで、この結果の解釈におきましても、文献報告があるのですけれども。アスコルビン酸に比べて、このリン酸マグネシウムの方は上皮組織の透過性が高いというデータが、別の結果で得られています。それを加味して解釈すると、恐らくこの試験系ではその差が反映されたため、このような結果が生じたのではないかというのが、一つ考えられるところです。

○大野部会長 そうですね、ここの表現があれですね。

○杉林委員 全体評価はいいのですが、ここの書き方自体だけがおかしいとおっしゃっているのです。

○機構 失礼いたしました。増加と記載しているところは、確かに減少だと思いますね。ここは修正させてください。すみません、失礼いたしました。

○杉林委員 ですから、ここ、アスコルビン酸ナトリウムだけ取れば、問題ないのではないですか。

○機構 はい。

○大野部会長 アスコルビン酸ナトリウムでは細胞数が減ってしまうけれども、そのリン酸化したものだったら増えるということですね。

○機構 はい。適切に修正したいと思います。御指摘ありがとうございます。

○西川部会長代理 一ついいですか、8ページの4)モルモットの口腔粘膜刺激性試験についてですが、最終投与後1日目に、平均評点1.2とあります。これについては、市販の歯磨剤と同程度とあるので、実用上問題ないという結論になっているのですが。細かいことですが、市販の歯磨剤というのは、評点はちなみにどのくらいになるのでしょうか。

○機構 文献の結果で、市販の歯みがき剤について、今回の試験と同じように試験をして、評点を求めたものと比べているのですけれども。

○西川部会長代理 評点は幾つぐらいだったのですか。

○機構 評点自体は、少々お待ちください。すみません、ちょっと今、具体的な数値はすぐ手元には出てこないのですけれども。確か幾つか市販の歯みがき剤を調べておりまして。その評点のばらつきの範囲内に今回の評点が確か入ってくるというように、申請者に確認したところです。

○西川部会長代理 もちろん信用しますけれども。ただ、文字で同程度と言われてもなかなか納得いかないので、そのばらつきというか、数値で示していただいた方が分かりやすいかと思いました。

○機構 はい。

○大野部会長 今出てこないから、後でお知らせするということで。

○機構 では、調べて後ほど具体的な数値をお知らせさせていただくようにしたいと思います。よろしいでしょうか。

○大野部会長 では、お願いいたします。それでは臨床的な面で、関東先生、松永先生、いかがでしょうか。御意見ございますでしょうか。

○関東委員 特にないのですが、アスコルビン酸が化粧品に多く含まれており、経粘膜の吸収が経皮膚に比べて随分と高いでしょうか。

○機構 すみません、もう一度御質問をよろしいですか。

○関東委員 経皮吸収されるビタミンC含有化粧品が多く使われているので、更に経粘膜的な吸収が高まって、皮膚アレルギーに進展することはないかと使用性格上、そういう注意は要らないのかと臨床医は考えます。

○機構 このものについては、既に化粧品に配合されている成分でして、化粧品では既に市販されているものもございます。こちらが粘膜に初めて適用するということなのですが、毒性試験等から安全性はいろいろな角度で確認しているのですが、今回、安全係数というものを算出したところ、少々お待ちください。

○関東委員 ごく稀にアレルギーの報告もない訳ではないので、皮膚の方で。

○機構 各種毒性試験成績から、ヒト使用時における安全係数を出したところ、大体、毎日使ったとしても、5万倍以上の開きがあるというところで、十分な安全域はあるので、多少、アスコルビン酸と比べては、若干透過性は向上するのですが、大きく安全性が何か懸念されるほど、変わるものではないと理解しております。

○関東委員 経口粘膜からの吸収が特に高い訳ではないということでしょうか。

○機構 すみません、口腔での吸収率自体については、試験で直接、定量的には求めていないのですが、先ほど申し上げましたように、毒性試験の無毒性量から考えるに、仮に相当量吸収されたとしても、十分な安全域はあるので大丈夫ではないかという理解でおります。

○大野部会長 関東先生、よろしいですか。

○関東委員 はい。

○大野部会長 松永先生、よろしいでしょうか。

○松永委員 臨床試験で、295例の安全性解析対象、1日2回使用して、3か月という試験をされていて、その結果、プラセボの方がむしろ実薬よりもちょっとだけ何か症状が出たということで、その3か月に限れば問題はないと考えられますので、そのまま、この段階ではその条件では特に問題がないのではと思いました。

○大野部会長 ありがとうございます。薬剤的な面で、有森先生、いかがでしょうか。

○有森委員 このリン酸L-アスコルビルマグネシウムの透過性など非常によろしいということで問題ないと思いますけれども、ただ、従来嫌がられていたアスコルビン酸との比較において、これは薬剤学的ではないのですが、79ページの炎症強度の図のホ-8、モルモット皮膚でやられているのを見ますと、ほとんどアスコルビン酸ではプラセボと有意差がないのです。このリン酸L-アスコルビルマグネシウムにすると、有意差が出ているということで、非常に有用性が高いと思いますが、逆に申しますと、これまで承認されていましたデンタルなどはアスコルビン酸ナトリウムの配合医薬品で、歯肉炎などの適応が通っていると思いますけれども、臨床的な効果というのは、前のものはきちんとあったということでよろしいのでしょうか。

○大野部会長 いかがでしょうか。

○機構 具体的に承認基準で、アスコルビン酸配合によって歯肉炎の予防が認められた背景という所までは調べ切れていないのですが、参考までにアスコルビン酸ナトリウムを配合した歯みがき剤を被験物質として、臨床試験を行ったという文献などがございまして、そちらでは歯周炎に効く評価項目として、GIですとかPDなどを設定して、歯肉炎に効果があるというような結果が出ている報告はございます。

○大野部会長 ありがとうございました。ほかに全体を通していかがでしょうか。それでは、機構の方から説明を頂くというところが残っていますけれども、それは全体的な判断にそれほど影響しないと考えてよろしいですか、西川先生。

○西川部会長代理 はい。

○大野部会長 それでは、それについての情報は頂くということで、それを前提に審査結果、今日の資料1の2ページに書いてありますが、その内容を効能・効果、歯肉炎の予防、虫歯の発生及び進行の予防、歯を白くする、口中を浄化する、口中を爽快にするというようなところ、あとは用法・用量ですね、こういう形でやると。これについて御意見を伺いたいと思いますが。

○神田委員 内容についてはあれなのですが、少し表示のことについてお聞きしてもよろしいでしょうか。それとも後にした方がよろしいでしょうか。

○大野部会長 その前に今、お願いします。

○神田委員 すみません、歯を白くすることに拘って申し訳ないのですが、黄色い注意という所、使用上の注意の所に表が出ていまして、効能・効果にもちろん先ほどの御説明のとおり、歯を白くするというのが入っておりまして、下に成分が書かれていて、成分それぞれにいろいろ書いてありますが、当該成分については薬用成分というだけで、どこを探しても歯を白くすることについて、どの成分が関わっているのかというのが、白くすることについてだけは分からないのですね。そういうものは表現されないのでしょうか。そのほかのは、口を爽やかにするとか、そういったことはここの表示から読み取れるのですけれども、この二つの成分が白くすることに関わりがあるということが、この辺に書かれないものなのでしょうか。買う側からするとそういったところが、白くするというといろいろな歯磨きが出ていて、白くするのを謳い文句にしている歯磨きはいっぱいあるのです。それが削るのか、何が変化なのかというのがある場合に、これはちょっと、まあ、研磨剤はあるのですが当該成分ではないので、その辺が分からないと思ったので、ちょっとお聞きしたかったのですが。

 それからもう一つ、内容に関係ないのですが、これは申請されたのから今日まで7年以上掛かっているのですが、何か特段長くかかった理由はあるのでしょうか。この2点をお願いします。

○大野部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○機構 歯を白くするというのは今回のものに限らず標榜が可能であり、我々が審査したこの品目の中で問題にした訳ではありません。推測をするのに、少なくともブラッシングをするものについては、この効能を謳っていいということは承認基準に入っていますので、恐らくは物理的な汚れを落とすということで、薬剤的に歯を白くするということではないと考えることができるのではないかと思います。まず、それが1点目です。

 二つ目の、審査が遅かったのには、いろいろな事情があるのですけれども、申請者とのやり取りの間でなかなか解決しない問題もありました。正直申せば我々の審査への掛けるべき労力が足りなかった部分もあると思いますが、今回、いろいろなやり取りをしたというのも大きな原因だと考えています。

○大野部会長 その一番中心となるやり取りというのは何だったのですか。

○機構 効能・効果の点です。

○大野部会長 有効性の。

○機構 有効性のところです。

○大野部会長 認める、認めないという、そういうところですか。

○機構 そうです。

○神田委員 ありがとうございました。長く掛かる点については、拘らないですし、いろいろあるのだと思います。ただ、今回は仕方がないのですけれども、ブラッシングで歯を白くすることを謳えること自体が、そもそも消費者に誤解を与えると思うのです。何か非常に期待をすることなのですよ、歯を白くすることは。ですので、今回はそういう経過の中でありますから結構ですが、何とかその辺は消費者に誤解を与える、あまりいい点ではないのではないかと思いますので、与えないような何か改善といいますか、ブラッシングだけで白くするというのは、ちょっと常識的に過大な期待をさせてしまう表現ではないかと私は思いますので、意見としてですが、受け止めておいていただければと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。既に決まったことを変えるというのは、なかなか難しいのではないかと思いますが、将来の問題として考えていただければと思います。

○機構 歯磨きに関して言うと、いろいろありまして、単に研磨剤と発泡剤などが入っている、いわゆる化粧品としての歯みがきと、それが正に歯を白く、ブラッシングと研磨剤によって歯を白くするという効能が基本にありまして、その上に作用が緩和なものを今回のようなアスコルビン酸の前駆体みたいな、そう言っていいのか、こういう類似の化合物を入れるということで、医薬部外品としてのもの。更に歯槽膿漏などの治療ということで、更に医薬品成分を配合すると医薬品とある歯みがきというのではないのですが、医薬品というように、段階が分かれているのですが、あくまでもベースはブラッシングをすることによって研磨剤や発泡剤が歯を白くする効果と。多分神田先生がおっしゃるのは、すごく歯を漂白するようなことを消費者が間違うのではないかと、私はそういう懸念に思ったのですが、それはそれとして別に規制を対象とするものが、作用が緩和でなければ、こういうものに入りませんが、基本的に過去からブラッシング効果によって発揮するもので、歯を白くすることはずっとあるものですから、我々はこの部分については特に承認基準の中でも認めた範囲なので、今回、プラスアルファの部分を御審議いただいたということです。

 ちなみに、ブラッシングしないのは、洗口剤について、こうグチュグチュッとやって吐き出すようなものもありますけれども、それらについては歯を白くするという効能は基準の中にも謳われていないというようなメリハリをきちんと付けて、過去から運用していることを御理解いただければと思います。

○神田委員 分かりました。ですから今回は結構なのですが、やはり歯をきれいにするのか、白くするのかというのは、一つのラインがあると思うので、それは是非、何か機会がありましたら、ちょっと議論していただいて、できれば見直していただいて、白くするのは白く、きれいにするのはきれいにという形で、私は区別していただけた方がいいのではないかと思いました。以上です。

○関東委員 よろしいですか、ビタミンCはメラノサイトにダイレクトにアタックする訳ではないですけれども、産生抑制をする訳ではないですけれど、美白剤として随分効果があって、消費者の多くの方がお使いになっている化粧品のイメージが、ビタミンCが入ったということで、この歯ブラシに対しての、そういう期待感というのはあるのかという気はしますけれども。

○神田委員 もしそうであれば、ここの成分表示の所に「歯を白くする」みたいなものを書いた方が分かり易い。最初にお聞きしたかったのはその点で、白くするのであればそこに書けばいいということなのですよ。

○関東委員 私もそう思います。ブラッシングというのは今までのもので、あえて新しく入れたということに対して、その効果をというのは入れても良いのではないかという気はしますが。

○神田委員 書くだけは書いたらいいと思うのですが。

○大野部会長 今回の成分について、それ自身が白くするという証明はありませんから、「それを入れろ」と言われたら、「駄目だ」と言わざるを得ない。

○関東委員 そうですね、もちろんそうなのですが、期待を込めて皆さんビタミンCを化粧品には配合しているので。

○機構 いわゆる消費者に過剰なイメージを持たせないという御懸念がある。

○関東委員 そうですね

○機構 そこについては今日のこの委員会で、こういう御意見が出たということは、申請者の方に私どもから伝えたいと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。それでは、議決に入ってよろしいでしょうか。議決の内容は2ページに記載されておりますが、それをこの部会として承認してよろしいでしょうか。松永先生と杉林先生は議決権がありませんけれども、ほかの先生方、よろしいですか。ありがとうございます。それでは多数の方に承認していただいたということで、この部会として承認といたします。ありがとうございました。

 それでは、審議事項2ですが、資料2について説明を事務局からお願いいたします。

○事務局 それでは、議題2の化粧品基準の一部改正について御説明させていただきます。資料2の3枚目を御覧ください。御審議いただきます内容は、化粧品へ配合できる紫外線吸収剤の新規収載成分の収載要望による化粧品基準の一部改正の可否となります。今回は、成分名トリスビフェニルトリアジン、100g中の最大配合量として10.0gの評価となります。

 次のページから、今回、要望がありました成分に関しての評価を記載しておりますが、まずはその前に、化粧品基準の概要について御説明させていただきますので、当日配布いたしました資料6「化粧品基準について」と記載されたものを御覧ください。化粧品は配合成分が化粧品基準を満たしており、かつ、全成分を表示する場合には、都道府県知事に届けることにより、製造販売が可能となっております。

 次に、化粧品基準の概要を説明させていただきます。資料の3ページ以降に化粧品基準を添付しておりますので、併せて御覧いただければと思います。この基準は平成13年4月から適用しており、1.総則、2.配合禁止・配合制限リスト(ネガティブリスト)、及び3.特定成分群(防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素)について配合可能リスト(ポジティブリスト)について規定しております。今回、要望のありました成分については、紫外線吸収剤の新規収載要望であり、基準に示す紫外線吸収剤はリストに記載された成分でなければ配合してはいけないこととなっております。化粧品基準では、紫外線吸収剤のリストは11ページにお示ししておりますが、別表4となっております。既に30成分以上が収載されております。

 ここで別表4の配合可能リストについて説明させていただきます。配合可能リストには、1の「全ての化粧品に配合の制限がある成分」と、2の「化粧品の種類により配合の制限がある成分のリスト」があります。2の「化粧品の種類により配合制限のある成分リスト」では、3種類の化粧品により基準を設定しておりますが、その違いを説明させていただきます。

 まず一番左の欄の「粘膜に使用されることのない化粧品のうち、洗い流すもの」がありますが、洗顔料、シャンプー、リンスなどの洗い流すものが対象になっております。また、中間の欄の、「粘膜に使用されることがない化粧品のうち、洗い流さないもの」ですが、クリーム、ファンデーション、ヘアトニックなどが対象です。また、右の欄の、「粘膜に使用されることがある化粧品」ですが、口紅、アイライナー、口中浄化の洗口液等が対象となります。

 次に、1ページ後半の、ポジティブリストへの収載手続きについて御説明いたします。資料の2ページにポジティブリストへの収載手続きのフローを示していますので、併せて御覧いただければと思います。防腐剤、紫外線吸収剤としての新規の成分を化粧品に配合するためには、ポジティブリストの改正が必要となります。ポジティブリストの改正を希望する者は、ポジティブリストの収載要領に従い、要請書を厚生労働大臣宛てに提出することとしており、平成13年通知でお示ししているところです。要請がありました成分については、提示された資料に基づいて調査を行うこととしております。調査終了後は本薬事・食品衛生審議会に当該成分に係る化粧品基準の改正の可否についてお諮りした上で、必要な事務手続きを行うこととしております。

 それでは続いて、今回、新規収載要望のありましたトリスビフェニルトリアジンについて御説明させていただきます。もう一度、資料2を御覧ください。評価報告書のタグの付いている所から御説明させていただきます。評価報告書の1ページを御覧ください。化粧品基準におけるポジティブリストへの収載希望成分の評価に関する報告書として、成分分類は紫外線吸収剤、成分名はトリスビフェニルトリアジン、要請者は岩瀬コスファ株式会社、配合量は記載のとおりです。

 それでは資料の2ページを御覧ください。本成分は2003年から、チバ スペシャリティケミカルズ スイス本社(現BASF SE社)によりUVB290310nm及びUVA320340nmの両波長領域において特徴的な紫外線吸収能力を有し、安定性の高い成分として開発が進められました。2014年8月にEUにおいて、また、2015年4月にASEANにおいて新規紫外線吸収剤としての承認を取得し、現在、全世界で総計□□が使用されております。

 続いて、2ページの物理的化学的性質等のうち、安定性についてですが、加速試験では経時的な変化は認められておらず、また、苛酷試験の結果からは、温度及び光に対して安定であることが確認されています。以上より、本成分の安定性は問題ないと判断しています。なお、具体的な評価については、資料概要のタグの20ページ以降にデータが添付されているので、御参照いただければと思います。

 続いて、3ページのハの安全性に関する資料について御説明させていただきます。まず、誤記載の修正がありますので御説明いたします。3ページの2)ラット単回経皮投与毒性試験については、上から5行目、反復経皮投与毒性試験とありますが、本成分については、反復経皮投与毒性試験は実施されておりませんので、ここは削除いたします。大変申し訳ございません。本成分の安全性に関する資料として、単回投与毒性試験等各種特性試験が提出されています。試験結果ですが、()単回投与毒性試験、1)ラット単回経口投与毒性試験として、概略の致死量は雌雄共に2,000mg/kg超えとなるなど、これ以降各種毒性試験において問題のない結果であると判断されています。

 続いて、少し飛びますが、8ページの安全係数について御説明いたします。各種毒性試験から得られた本成分の無毒性量や経皮吸収性より本成分の安全係数は5万5,555と算出されています。安全係数100は、種差10及び個体差10を乗じたものであるため、安全係数100以上が一つの目安となりますが、本成分は十分な安全係数が確保されております。

 次に、評価の概略ですが、機構は粘膜に使用しない場合の安全性については、皮膚一次刺激性試験、連続皮膚刺激性試験、感作性試験、光毒性・光感作性試験及びヒトパッチ試験において刺激性、感作性等が認められなかったことから、特段の問題はないと判断しています。また、粘膜に使用された場合の安全性について、本成分を用いたウサギ眼刺激性試験において軽度の局所反応が認められておりますが、本成分を10%配合する製剤で、眼刺激性は認められなかったことから、本成分の刺激性は特に問題ないと判断いたしました。

3の総合評価ですが、機構は本成分を要請のとおり紫外線吸収剤として、化粧品製品100g中の最大配合量として、各種の化粧品に10.0g配合しても差し支えない成分として、化粧品基準のポジティブリストに収載して差し支えないと判断しています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長 ありがとうございました。それでは、先ほどと同じように品質とその周辺から御審議いただきたいと思いますが、何かありましたら適宜、御意見くださるようお願いいたします。まず、品質や安定性の面で、栗原先生よろしいでしょうか。

○栗原委員 先ほど御説明があったように、熱や光でも特に不安定なことはないようですので、ラジカルが出ればそのものは壊れてしまいますので、ラジカルが出るようなことはないだろうということです。もちろん、エネルギーを吸収してそれを出すということをしますので、近くに何か別の物質があれば話は違いますが、これ単体としては、安定性については特に問題はないと思います。

○大野部会長 では、これ自身で活性酸素を出すとかそういうこともないですか。

○栗原委員 それも考えにくいと思います。

○大野部会長 西村先生、いかがでしょうか。

○西村委員 特にありませんが、水で見直しをしているのですが、水溶解性はすごく低いということなのでしょうか。どこかに記載されていたら教えていただきたいのですが。構造から見ると、あまり溶解しないのかと思うのですが。

○大野部会長 溶解性に関してですが、いかがでしょうか。

○西村委員 特に、その数値がどうかということで問題にする訳ではないのですが、今、私からは特に問題はありません。

○大野部会長 確かに、水に溶け難い。

○西村委員 溶け難いのだろうとは思いますが。

○大野部会長 そうですね。資料概要の12ページに書いてありますね。

○西村委員 ありました。

○大野部会長 水に不溶性・水分散物と書いてありますね。製品の中でも分散していると考えてよろしいのでしょうか。

○機構 今回、試験の中で製剤化して検討を行っているパッチテスト等があるのですが、その中でも微粒子の状態として存在しているということですので、溶解するということではありません。

○大野部会長 ありがとうございます。西村先生、よろしいでしょうか。

○西村委員 はい、結構です。

○大野部会長 紫外線吸収作用の面では、いかがでしょうか。薬理の問題ではなくて、西村先生と栗原先生に伺った方がよろしいかと思うのですが、よろしいですか。薬物動態の面で、吸収、排泄のデータが書いてあるのですが、その辺りについて杉林先生、藤井先生いかがでしょうか。コメントありますか。

○杉林委員 もともとあまり吸収しそうにないので、いいのかと思うのですが。

○大野部会長 つまり、溶解性が。

○杉林委員 安全性さえ、しっかり確保されていればということです。

○大野部会長 藤井先生もよろしいですか。

○藤井委員 細かいところなのですが、評価報告書の7ページ、97mg/立方センチメートルなのですが、多分平方センチメートルですね。ミスプリだけですね。それから、少し塗布量が多いので、吸収率で安全性評価で5万何倍の安全係数となっておりますが、それは若干問題があるかと思います。後ろの方に、透過速度、Fluxの評価も出ており、Fluxの評価でも1,000倍以上の安全係数になっているので、大丈夫ではないかと思います。

○大野部会長 ちょっと待ってください。安全係数の評価の所で、そうするとこれはこの表現でよろしいのですか。吸収の計算が違うのではないかということですか。

○藤井委員 たくさん塗る、経皮吸収される量は限られますので、たくさん塗ると吸収率は塗った量に対する比率になるので、少なく見積もられます。ただ、ここでは97mg/平方センチメートル塗っているのですが、最終的に評価するときには、0.5mg/平方センチメートルを塗るということで、安全性評価をされているので、安全係数を求められるところで。そうしますと、塗っている厚さが全然違いますから、吸収率で考えると変わってきてしまいます。と同時に、透過度、Fluxを用いた評価もされていますので、それでも1,000倍以上ということであれば問題ないのではないかと思います。ハの11の所。どこで見たか忘れました。最後の所に何かあったと思います。

○大野部会長 私の理解が弱くて申し訳ないのですが、8ページの(12)の文章、安全係数が5万5,555となっているのですが、これを修正しなくてもよろしいのですか。

○藤井委員 これから計算すると5万幾らですが。

○事務局 資料概要の77ページです。

○藤井委員 77ページに、Fluxを使われた評価もされていて、それも十分な安全係数になっているので。

○大野部会長 今、概要の所に書いてある部分では不十分だということだと。Fluxの部分を含めてここに記載しないといけないのでしょうか。

○藤井委員 Fluxの部分も含めて、より厳しい判断をしても大丈夫だったということの方が、OECDガイドラインに準拠し、とお書きになっておりますが、その際の適用塗布量は、1平方センチメートル当たり10mg以下、5mgでしたか。はっきり覚えていないのですが、そのような状況でされることになっているので、それから考えるとこのときにきちんとFluxも調べられているので、そちらの結果も併記されておいた方がいいのではないかと思います。

○大野部会長 ありがとうございます。機構の考えとしては、いかがでしょうか。

○機構 御指摘の点については、特に異論はありません。従来報告書の記載として、このような観点での安全係数の記載をしておりましたので、従来に則って記載しました。御指摘のように、概要書にはもう少し精緻な、ほかの観点での安全係数の算出もありますし、今回のケースについてはそちらの安全係数の考え方、御指摘の意味も含めて考慮して判断すべきだというのは、御指摘のとおりだと思います。

○大野部会長 この(12)の所に、その部分を追加することになるのでしょうか。

○機構 はい、承知いたしました。追記いたします。

○大野部会長 では、そういうことで藤井先生、よろしいでしょうか。

○藤井委員 はい。

○大野部会長 安全性の面で、西川先生いかがでしょうか。

○西川部会長代理 特にありません。

○大野部会長 私も、安全性を見なくてはいけないかと思っているのですが、その中で少し修正していただかなくてはいけないのは、評価報告書の6ページで、ウサギの眼刺激性試験の結果が書いてあるのですが、下から4行目からの数値が普通の眼刺激性試験のときの計算の仕方と違うのですね。これは、平均評点と書いてあるのですが、例えば平均評点が処置後1時間後の平均評点ではなく、1時間目と24時間目、72時間目の平均なのですね。添付資料のハの1、資料概要の55ページで、例えば901の動物についての結膜の評点の浮腫の評点が、右のカラムに平均刺激性スコアと書いてありますが、これは0.3と書いてあります。これは、24時間目、48時間目、72時間目の平均なのですね。これが回復傾向にあるというのはいいのですが、このものの眼刺激性疾患がどのぐらい強いかという判断をするには、やはり1時間目の刺激スコアがどうだったか。24時間目のスコアがどうだったかという形で評価しないと、実態を見誤ってしまいます。この試験をやった所の評価の仕方が、みんなそうなのですね。投与直後と1時間目、24時間目の値を平均しているのですね。ですから、刺激性を評価したことにはなっていないのですね。やはり、皮膚刺激性試験の所でも確かそうだったと思うのですが、47ページでも平均刺激性スコアがこの表にありますが、これも意味がないのですね。こういう計算の仕方をする施設が、本当に信頼できるデータを出す施設なのかと思い、最初の章を見せていただきました。そうしたら、一応GLPでやって、OECDのガイドラインに則ってやっており、報告書の様式もそれに則って書かれているということで、試験そのものは駄目だとはちょっと言えないのですね。本来でしたら、実験をやり直してもらいたいぐらいなのですが、今の時代ですと一度動物実験をやったものを繰り返してやるのは認められないですし、特にヨーロッパでは化粧品の動物実験がもうできない状況ですので、今あるデータで判断するということですと、このGLPに則ってやった試験データを信頼するということですと、一応最終的な結論として弱い刺激だと。刺激がないか、非刺激性と判断されるところはいいと思うのですね。ところが、この数値が違うということで、それを修正していただきたいということです。西川先生、いかがでしょうか。

○西川委員 大野先生の仰るとおりだと思います。

○大野部会長 事務局、よろしいでしょうか。修正していただかないとまずいかと思うのですが。

○機構 御指摘ありがとうございます。適切に、資料概要の該当する箇所と、報告書を併せて修正させていただきたいと思います。

○大野部会長 よろしくお願いいたします。今までのところで、先生方の御意見はありますか。

○神田委員 安全性のところですね。

○大野部会長 安全性までの、今までのところ全部。

○神田委員 非常に感覚的な質問で申し訳ないのですが、3ページの安全性に関する資料の2)の単回経皮投与毒性試験の雌雄のラットを5例ずつの所で、2日目に全動物の皮膚に白色変色が見られたということで、ただしこれは結論的には一過性のものなので問題ないというような判断になっておりますが、感覚的には全動物に出るということはちょっと気になるところでしたので、その辺りはどう安心したらいいのでしょうか。そこをお願いいたします。

○大野部会長 私も、気にしていたのですが、事務局から説明をお願いいたします。

○機構 御指摘ありがとうございます。今、神田先生から頂いたラット単回経皮投与試験の全例において、皮膚の白色変化が認められたというところなのですが、機構としては一過性のものであるとして判断いたしました。一つは、この単回経皮投与毒性試験では、動物の死亡を含む過酷な急性毒性を評価するためのもので、この試験結果からでは、本所見の原因を明確にすることは、とても難しい状況です。なお、本所見は粉末状の本成分を24時間皮膚に密着させた後の2日目のみに認められた変化ですので、更に3日目以降には認められておりません。仮に、白色変化が皮膚中の色素に何らかの影響によるものだとした場合に、そのような速やかな回復が生じるとは考えにくく、白色化の原因は別にあるものと考えております。

 また、実使用における適用量を十分に今回の投与量は上回る投与になっておりますので、さらに、ほかの経皮投与の試験結果においても、そのほかの所見として、皮膚の色の異常などは報告されていないことからも、今回この試験で認められた所見は極めて高用量を投与した際に生じる一過性のものと判断することが妥当と判断しております。

 補足ですが、本成分は先ほど最初の説明にありましたように、既に欧州やASEANにおいて使用されているもので、一定の使用実績がある中での本所見に関連するような安全性の報告もありません。以上より、本試験で認められた皮膚の白色変化については、一過性のものであり、毒性学的に意味のあるものではないと判断いたしました。

○神田委員 過酷な試験であるということの経過の中で起きたということですね。今、外国での使用量が現在□□使用されているという御説明があったので気がついたのですが、その量をどう受け止めたらいいのかと思ってお聞きしようと思ったのですが、これはたくさん使用されているという意味の量で受け止めるということなのですか。

○機構 この□□というのが、多いか少ないかでしょうか。

○神田委員 これで、どのように受け止めていいのかが分からなかったのですが。たくさん使われていますよというので出しているということですか。

○機構 すみません、正直なところ、ほかの成分がどれぐらい流通しているのかは、今持ち合わせておりませんので、多いか少ないかというと一概に判断ができないのですが、現状として海外で承認されてから出荷量としてはこれだけ□□出荷しているという使用の実績があるというものを要請者より情報として提供いただいているということです。

○神田委員 こういった形で量が出てきたのは、私はまだ経験が短いですが、今まで何か国で承認されているかという数字を見たのですが、どれだけ利用されている、重さが出てきたのはあまり経験がなかったので、どのように受け止めたらいいのかと。資料で出てきている以上は、何かの形で受け止めなければいけないのかと思ったものですから、ちょっと分からなかったのですが、ではその範囲で受け止めればいいということですね。

○機構 そうですね。一応、17か国での総計ということで、要請者より報告は受けております。主には、ヨーロッパ地域、トルコ、インド、インドネシア、フィリピン、タイといった所でも、既にASEAN地域ということで流通もあると伺っております。

○大野部会長 薬ですと、何錠ぐらいとか、何人ぐらい使ったとか、そういうものが分かると、大体イメージとして分かりますね。紫外線吸収剤というと、一般チューブではどのぐらい入っているのでしょうか。これが、そうですか。これは違いますか。例えば、一つのチューブに50g入っているとすると、どのぐらいというようなイメージが湧くようにしていただけると有り難いなと思います。そんなに、一つの化粧品にたくさん使われているものではないでしょうから、少なくとも□□□ですから、□□人以上ぐらい使っているのではないでしょうかね。それから、白色変化のことなのですが、こういうものが白色化するというのは、例えば紫外線吸収剤だと光に当たって、それがラジカルを作って活性酸素か何か発生して、それによる漂白作用みたいなものが出てきてしまうのではないかということが気になったのですが、それについては先ほど栗原先生の御説明でそういうものではないのだと、可能性は低いというような御説明があったかと思います。

○関東委員 そういう状態ですと、一過性で元に戻るとは考え難いのではないでしょうか。白色変化は、浮腫ではないのですか。一過性に戻るなら浮腫でしょうし、パッチテストも光感作、毒性で、刺激反応も湿疹反応は誘発されないので、一過性であるというのは接触性のじん麻疹が浮腫を起こしたから元に戻った。何か代謝状態が起こって変化して、それが元に戻ってしまうということは考え難いように思うのですが。

○大野部会長 浮腫。

○関東委員 浮腫は、白っぽく見えたりはします。

○大野部会長 どうですかね。

○関東委員 ラットを観察している訳ではないので分かりませんが。

○機構 実際問題、今回の適用形態というのは、多分固体の粉のものを皮膚の上に乗せて、包帯のようなもので半閉塞貼付をやっていますので、いわゆる絆創膏みたいなものを例えば1日ずっと付けていて、剥がしたあとに白くなっているのと多分似たような状況が起きているのではないかと考えているところです。

○関東委員 浸軟なら、一過性の変化で元に戻ってもいいですね。

○松永委員 もともとは、ラットの剃毛したあとの皮膚は、そのラットというのはどんな色なのですか。

○機構 薄いピンクのような感じです。

○松永委員 ピンクが白くなって見えると。

○機構 そうですね。

○関東委員 浸軟が戻るのにもすぐには戻らないので、1日や2日かかるということなのかと思います。実験系の中で、そのように角層の水分量に変化するようなことをやったのだとすれば、一過性の変化で白色変化は理解ができます。ただ、化学的なものではないということですね。この物質によるものではないと理解いたしました。

○機構 そのように考えております。

○松永委員 ヒトのパッチテストをやった結果が、資料概要の中の73ページにありますが、方法の中で1人当たり適用量が0.01gですから10mgというのは分かるのですが、こういうものは何で貼ったかが分からないと、例えばフィンチャンバーであれば、とてもいいですね。レギュラーのサイズだと軟膏だと20mg、溶液ですと15 μ L がちょうどいっぱいになる適量なのですが、そういうものがこの試験には今回は書いていないにしても、陰性であるので、特に問題はないのだと思いますが、今後は書くべきだろうと。幾ら適用したか、何をもって貼ったかが、物によっては完全密封にならないテストの絆創膏がありますし、後ろがvaporというか、蒸気が飛んでしまうものもあれば、横に漏れてしまって密封しないものもあるので、それをきちんと書いてもらった方がいいのではないかと思います。もしそうだとすると、今のラットで出てきたものは粉なので、面積当たりどれだけのものが置いてあるかがすごく大事だったと思うので、それと比較してヒトでは起こらない反応なのかは興味があります。本当に密封したとしたら、ラットの条件よりこちらの方が強い訳ですね。24時間密封して取ったのだけれども、何のコメントもないので、そのとき白色化はしていない、恐らく診断はしていなかったかもしれませんね。

○関東委員 私もラットで実験をやったときに、絆創膏で2日間貼っておいても、そう浸軟は実はしないのですよ。

○松永委員 圧迫効果というのもあって、ぐっと周りを圧迫して、物理的に圧迫が強かったら、そこだけ白くなって、取ったらだんだん血流がよくなって普通の色になってしまう。その可能性もありますね。

○大野部会長 今後、概要を書くときには、方法もきちんと書いて欲しいということでよろしいですか。

○松永委員 そうですね。それがないと、幾ら書いても面積も分からないし、密封状態も分からないです。お願いします。

○機構 少し補足させてください。御指摘ありがとうございます。ヒトのパッチテストについては、今、大元の報告書を確認して、フィンチャンバーを用いていることを確認しました。概要には、きちんと記載させていただきたいと思います。

○松永委員 そうすると、量が足りないです。フィンチャンバーの中に10mg入っていますが、20mgが適切です。ですので、半分の量なので、しっかり密封して全部の皮膚に反応が出ないのですね。ですので、アレルギーの反応も含めて、フィンチャンバーの適量は軟膏ワセリンで20mg、水溶液で15 μ L です。これは、国際的にそのようになっているので、今後使用するときにしていただければと思います。

○機構 はい、ありがとうございます。

○大野部会長 そういう形で、これから指導をしていただければと思います。今、関東先生と松永先生から御意見を伺いましたが、臨床的なところでよろしいですか。

○松永委員 これは、今回はヒトで使ったということはいらないのですね。使用試験はいらなくて、ヒトパッチテストまでのことで審議でよろしいかと思います。

○大野部会長 それでよろしいですか。

○機構 ポジティブリストの成分の収載要領に定められており、そちらにおいてはヒトの試験については、ヒトパッチテストのみ安全性に関する資料として求められております。

○大野部会長 ありがとうございます。薬剤的なところは、これはそういうことでないということですが、何か御意見はありませんか。よろしいですか。全体としてほかに。

○神田委員 これは粘膜に使用されるか使用されないか、洗い流すか流さないか、全部に100g当たり10mLという形で設定をしていこうという提案ですね。それは分かるのですが、実際に洗い流す洗顔料とか、リンスとか、そういうものは先ほど御説明がありましたが、そういうものにも配合されるものなのですか。そういうものにもこういった基準を設定する必要があるのでしょうか。その辺がしておけばいいという受け止めもできますが、洗い流すのに紫外線吸収剤は必要かというところが理解できないのですが。

○松永委員 洗い流すものでも製品としてはずっと置いてある訳だけれども、そういうものには使わない訳ですか。

○機構 今回認める範囲は、あくまで紫外線吸収剤効果を期待して配合する場合の配合量の規定になりますので。

○関東委員 洗顔料クリームは、基準を設けることが必要だろうと思うのです。

○神田委員 先ほど今日配られた別紙の4を見ますと、成分によって設定されていない所もあるのです、粘膜に使用されないとか。そうなので、今回は全部設定されているので、お聞きしてみました。

○機構 すみません、先ほどの松永先生の回答を修正させてください。大変申し訳ありません。御指摘のように安定化剤として配合する場合もあります。実際、紫外線吸収剤でそういう使い方の分もあります。失礼しました。

○大野部会長 こういうものについては、どの化粧品に展開してもいい訳ですね。

○機構 そうです。

○大野部会長 ありがとうございます。神田先生、よろしいですか。

○神田委員 聞き漏らしたのがあります。洗顔料とか、リンスとかと、洗い流してしまうものについても、それは残っているからとか、保存性とかという点で設定しておくということでしたか。

○大野部会長 使われる可能性があるというお話でしたが。

○神田委員 実際には使われないかもしれないと。

○大野部会長 使われないだろうけれども、使っても構わないことなのではないですか、このポジティブリスト制のこの項では。

○神田委員 私も設定しない方がいいのではないかという訳ではなく、使わないのに何となく設定するのも、流してしまうのにと思った。洗顔料とかリンスだと先ほど仰ったものですから、口の中を漱ぐのとか仰ったので、何かピンとこなかったものですから、承知しました。結構です。

○杉林委員 意見、質問を伺っていて分からないのですが、これはポジティブリストにする場合、条件はないのですか。これは多分、この物質に関しては水溶性の基剤に懸濁させることになっていますね。これはそういう条件は使われるのですか。

○機構 製剤の処方、添加物の種類とかの製品があるかという御質問と理解してよろしいですか。

○杉林委員 はい。

○機構 今回認めた場合には、その製品は特にないです。

○関東委員 製品に入る場合は、単剤で十分効果が期待できるのでしょうか。

○機構 先生から頂いた御質問で、今回、要請者に成分ということで製剤設計としてどう考えているかを聞いております。一応、要請者としては単剤で配合することはなく、ほかの紫外線吸収剤と併用して処方するとのことです。

○関東委員 当然そうだろうと思うのです。ですから、配合変化は見なくてよいですか。

○機構 はい。それで、一応、本成分とは併用していくのですが、安全性についてどう担保していくかについては、一応、今回化粧品ですが、医薬部外品において配合する紫外線吸収剤の合計量が10%を超える場合には、新規添加物としてというふうに取り扱われて、改めて安全性評価が必要となるのですが、この量を目安にして配合量は考えていくことは申請者も説明しています。

 その際に、ほかの紫外線吸収剤と併用する場合についても、今回、化粧品基準の方で粘膜に使用されることがないものについて、洗い流す、洗い流さない、粘膜に使用されることがある化粧品ということで三つあるのですが、そういったものの製品のそれぞれの適用部位を考慮して安全性評価を確認すると回答を得ています。

 医薬部外品を申請する際に、安全性評価をする際に参考となる資料が、「質疑応答集」というのですが、「Q&A」で出ており、配合前例のない添加物を配合する場合の安全性試験に必要な資料は、どのようなものが必要かといったQ&Aが出ていますので、それを参考に安全性を確認するとの説明を受けています。

○大野部会長 よろしいですか。

○関東委員 はい。

○大野部会長 ほかに全体を通して御意見はありますか。それでは議決をしたいと思いますが、資料2の3枚目の別紙について、議決ということでよろしいですね。この別紙に書いてある化粧品に配合できる紫外線吸収剤の新規収載成分ということで、別表第4の1の一部改正ということで、別表第4の1の「全ての化粧品に配合の制限がある成分」で、成分名がトリスビフェニルトリアジンと、それについて100g中の最大配合量を10.0gと、そういう制限を付けた上でのリストへ載せるということについて、承認してよろしいですか。

 では、承認することにします。どうもありがとうございました。一応、本日の審議品目については終了です。

 引き続いて、報告事項に移ります。本日は、報告事項が1議題あります。資料3を御覧ください。これについて機構から概要の説明をお願いします。

○機構 報告事項の議題1「医薬部外品」、薬用No.6について御説明申し上げます。資料3の部会報告資料を御覧ください。申請品目の販売名は薬用No.6、申請者は勇心酒造株式会社です。

 6の備考を御覧ください。本剤の概要ですが、本剤はイネの種子から得られた□□の抽出成分であるライスパワーNo.6を有効成分として、□□配合する薬用化粧品の乳液です。なお、既承認の有効成分として、本成分に類似した米由来抽出成分であるライスパワーNo.11があります。

 本剤の安全性について御説明します。本成分及び本剤の眼刺激性試験において、点眼1時間後に結膜の充血が認められましたが、点眼24時間後から48時間後に消失していることから、本剤の使用に当たっては、眼に入れない、眼に入った場合は洗い流すことなどを注意喚起することで、実使用上問題ないと判断しました。なお、本成分の単回経口投与毒性試験及び反復経口投与毒性試験において特段の問題は認められず、また、本成分の皮膚一次刺激性及び連続皮膚刺激性、並びに本成分及び本剤のヒトパッチテストについては、いずれも問題となる所見は認められず、皮膚感作性、光毒性及び光感作性はいずれも陰性でした。

 ヒト使用時の有効性及び安全性について御説明します。本剤をヒトに用いた場合の有効性及び安全性を評価することを目的として、ヒト使用試験が健常人を対象に、本剤又は本成分を含まない基剤を1日2回、顔面に適量塗布する用法・用量にて実施されました。有効性について皮脂量を測定した結果、塗布中の本剤塗布部位における塗布前に対する皮脂量、すなわち皮脂量比率は、基剤塗布部位と比較して有意に低下しましたが、塗布終了後には皮脂量は回復し、塗布終了後6日及び8日後には本剤及び基剤塗布部位の皮脂量に有意な差は認められませんでした。安全性については、試験期間を通じて全ての被験者に有害事情は認められませんでした。

 次のページを御覧ください。続きですが、ヒト使用試験のほか、本剤の連用時の安全性を評価することを目的として、追加でヒト連用試験が建常人を対象に、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□本成分を40%配合する製剤を3か月間連続して、1日2回、顔面に化粧水タイプを2g及び増粘化粧水タイプ1gを、重ね塗りする用法・用量で実施されました。皮膚状態を観察した結果、試験期間を通じて全ての被験者に有害事象は認められませんでした。また、角層水分量、皮膚pH及び経皮水分蒸散量(TEWL)を測定した結果、特段の問題は認められず、乾燥肌の誘発及び皮膚バリア機能の異常は生じないことが確認されました。

 最後に、使用上の注意について御説明します。使用上の注意を別紙として添付していますので、御覧ください。ライスパワーNo.11をはじめとする本成分に類似した米由来抽出成分である既承認成分について、これまで米アレルギーを発症したとの報告はありませんが、本剤は米由来原料を使用していること及び米アレルギーを保有しているものが使用しないように注意喚起を行うことが必要であると判断しました。

 そのほかの注意事項については、化粧品一般において記載されているものとなります。以上より、機構における審査の結果、本剤を医薬部外品の薬用化粧品として、冒頭に記載した効能・効果及び用法・用量にて承認して差し支えないと判断しました。なお、効能・効果のうち「皮脂分泌の抑制」が有効成分による新規の効能効果であり、そのほかの効能効果については、従来より薬用化粧品のクリーム、乳液類によるものとして、広く認められているものとなります。説明は以上です。よろしくお願いします。

○大野部会長 ありがとうございました。ただ今の説明について、先生方から御意見、御質問はありますか。

○松永委員 資料3のヒト使用試験ですが、皮脂量が減っていると認められたのは、どのぐらい使ったかがここに書かれていないので、何日の試験で皮脂量が下がったのでしょうか。塗るのをやめてから6日か8日で元に戻ったというのは書いてあるのですが、どれだけ塗ったら下がったというべきか、ここのまとめにないものですから。

○大野部会長 書いていないですね。

○松永委員 ちょっとどうなのだろうと思って。顔面に適量、試験期間ですね。

○機構 添付資料を確認して、被験物を夜から14日後の朝まで。

○松永委員 2週間塗ったということですね。

○機構 2週間塗布したということになります。

○松永委員 1日2回塗布というのを、後ろに多分2週間か何か入れるといいのかも分からないですね。

○機構 はい。

○松永委員 14日間ですね。

○機構 はい。

○松永委員 主食である米の成分から外用する化粧品等を作るときに懸念されるのが、蛋白の経皮感作ですが、その分子量が3,500とか3,000未満であれば、惹起もしないのではないかという加水分解小麦のときの事例があったのですが、本ライスパワーNo.6についてはいかがですか。

○機構 御指摘がありましたように、加水分解小麦のときにも問題となりましたアレルギーの発現ですが、今回、ライスパワーNo.6についても米に由来するアレルギーの発現というところで、その原因が米に含有される分子量1万6,500のグロブリン蛋白質という報告があります。

 しかしながら、今回、ライスパワーNo.6の中に含まれているものについてですが、本成分については、以下の三つの観点から米アレルギーを発現する可能性は低いと考えています。一つ目が、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、抗原性を失っていると考えられていること。もう一つが、今回、本成分の分子量をSDSページにより含有する蛋白質を確認したところ、分子量3,000以上の蛋白質は検出されませんでした。更に、ゲル濾過クロマトグラフィーにより分析した結果、□□の抽出液に含まれる高分子成分が分解されており、本成分には分子量約6,500以上の高分子成分はほとんど検出していないことを確認しています。ということで繰り返しになってしまうのですが、今回の本成分については、米アレルギーの発現の可能性は低いであろうと考えています。

○松永委員 ありがとうございました。もう1個だけ質問していいですか。

○大野部会長 はい。

○松永委員 ヒト連用試験のときに、男女ともに61例に3か月間塗っていらっしゃるのですが、このときは角層水分量皮膚pHとTEWLは測定していると書いてあるのだけれども、課題であった皮脂量は測定していないのですか。

○機構 こちらのヒト連用試験の試験計画というものがあるのですが、そこで皮脂量は測定項目としては設定されていませんでした。

○松永委員 そうすると、安全性を検討したということなのですね。

○機構 はい、基本は長期間投与したときの安全性を主に評価しました。また、用法も過剰に塗布しても、安全性上問題が生じないかを確認する意味で試験が実施されています。なお、副次的な評価項目として、あくまで被験者の感想にはなりますが、皮脂の抑制効果が見られたかというアンケート的なところは取って確認はしていました。

○松永委員 それで、どうだったのですか。

○機構 1か月後、3か月後ともに、効果が認められるようなアンケートの結果でした。

○松永委員 アンケートではそうだったということですね。

○機構 はい。

○松永委員 ありがとうございました。

○神田委員 原料の話ですが、事前にもお聞きしているのですが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□残留農薬の問題が気になったのですが、残留し易いかと思ったときに、これは使われる原料は、食用、□□□□□と同じ残留農薬についても、基準で作られたものと受け止めておいてよろしいですか。

○機構 御指摘ありがとうございます。今、御質問いただいた所で、こちらの原料とする米ですが、きちんと規定がされており、国産の□□を使用していて、全てJAから仕入れているそうで、JAで仕入れた米の品質に関しては等級があると思うのですが、実際に食品として用いる原料を使っているということになります。

○大野部会長 ありがとうございました。ほかにありますか。よろしいですか。

 それでは、報告事項については確認していただいたとします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 本日はありがとうございました。先ほど審議案件で御指摘がありました審査報告書とか資料概要の修正点については、また改めて部会長、大野先生に御確認いただいて、適切に修正又は指導して参りたいと思います。そのほか、次回の部会の開催日程については、品目の審査状況等を見て、また事務局から調整をして、改めて御連絡します。以上です。

○大野部会長 ありがとうございます。今、説明がありましたが、修正点は私が確認するということでよろしいですか。

 ありがとうございます。本日はこれで終了とします。御協力、御議論をどうもありがとうございました。


(了)

備 考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 大原(内線2737)

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