ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 受動喫煙防止対策助成金の今後のあり方に関する検討会> 第1回受動喫煙防止対策助成金の今後のあり方に関する検討会(議事録)(2016年5月17日)




2016年5月17日 第1回受動喫煙防止対策助成金の今後のあり方に関する検討会(議事録)

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成28年5月17日 15:30~17:30


○場所

経済産業省別館1階各省庁共用108会議室


○議題

(1)助成金の枠組み(助成対象経費の範囲、助成率、上限等)について
(2)受動喫煙防止対策が遅れている業界等に対する助成金の有効活用について
(3)その他

○議事

○奥野環境改善室室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻より若干早いですが、委員の皆様方がおそろいですので、ただいまから第1回受動喫煙防止対策助成金の今後のあり方に関する検討会を開催させていただきます。開会にあたり、厚生労働省労働基準局安全衛生部長の加藤より御挨拶申し上げます。

○加藤安全衛生部長 先生方には、お天気の悪い中お集まりいただきましてありがとうございます。また、日頃から安全衛生行政につきまして、御理解と御協力を頂いておりますことを、この場をお借りして御礼申し上げます。

 受動喫煙防止対策については、平成4年以降、快適職場の形成の一環ということで取り組んでおります。平成2310月には喫煙室等を設置する中小企業に対し、当該設備の設置に係る費用の一部を助成する受動喫煙防止対策助成金制度が創設され、受動喫煙防止対策の一層の推進の後押しをしているところです。

 また、昨年6月から施行された改正労働安全衛生法においては、労働者の健康障害防止の観点から、事業者が事業場の実情等を把握・分析した上で、適切な受動喫煙防止対策に取り組むことが努力義務とされました。助成金制度についても、法律に基づく「国の援助」に位置付けられました。

 助成金制度は、創設から5年を経過して、これまでも交付対象や、助成金の見直し等を随時行ってまいりました。改正労働安全衛生法を円滑に施行する観点から、これまでの執行状況等に基づき、より効率的、かつ効果的な支援のあり方について検討を進めていきたいと考えております。

 本日お集まりいただきました使用者団体の方々、そして有識者の方々におかれましては、受動喫煙防止対策を進めていく上での、この助成金の枠組みや有効活用など、今後のあり方について忌憚のない御意見を頂き、活発に御議論いただければと思います。事業場での取組のなお一層の推進に向け、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○奥野環境改善室室長補佐 続いて、事務局より本検討会の委員を紹介させていただきます。資料1の開催要綱の3ページの参集者名簿の順に紹介させていただきます。明石祐二委員です。内藤恵委員は本日は御欠席です。西津康久委員です。福田泰也委員です。保利一委員です。山口直人委員です。山田篤裕委員は本日は御欠席です。

 事務局を紹介いたします。安全衛生部長の加藤です。労働衛生課長の武田です。環境改善室長の木口です。環境改善室係長の蓮見です。私は環境改善室室長補佐の奥野です。なお、本日は安全衛生部長と労働衛生課長は所用のため、会議の途中で退室させていただきますので、あらかじめ御了承いただきますようお願いいたします。

 配布資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、資料1「受動喫煙防止対策助成金の今後のあり方に関する検討会開催要綱」、資料2「職場の受動喫煙防止対策及び受動喫煙防止対策助成金の現況について」、資料3「受動喫煙防止対策助成金の今後のあり方に関する検討会の論点について()」。参考資料1は、この助成金の交付要綱です。参考資料2は、交付要領です。参考資料3は、本助成金に関する質疑応答集です。参考資料4は、この助成金の申請に係る必要書類の作成要領です。参考資料5は、受動喫煙防止対策助成金のパンフレット(平成27年度版)です。資料の不足、落丁等がありましたら、事務局までお申し付けください。

 議事に入る前に、資料1の開催要綱について、環境改善室長より御説明いたします。

○木口環境改善室長 環境改善室長です。資料1に基づき、今回の検討会の内容について御説明いたします。先ほど、加藤部長から御説明いたしましたとおり、平成2761日より職場の受動喫煙防止対策に関する部分が努力義務ということで施行されております。この努力義務に関しては、国が必要な援助を行うことが規定されております。その援助のメニューの1つとして平成23年度より、中小企業が喫煙室を設置する費用の一部を助成する受動喫煙防止対策助成金制度があり、実施から5年が経過いたしました。

 今回は、受動喫煙防止対策の支援を、一層効率的かつ効果的に進めていくために御検討いただく会議です。実施事項として、2番の(1)助成金の枠組み(助成対象経費の範囲、助成率、上限など)についてです。(2)受動喫煙防止対策が遅れている業界等に対する助成金の有効活用についてです。(3)はその他です。

3番は、この委員会の構成です。参集者は先ほど御紹介したとおりです。検討会の座長については、厚生労働省労働基準局安全衛生部長より、名簿に記載されている方から指名をすることとしております。その中で、私どもとしては山口委員に座長をお願いしたいと考えております。

 開催要綱の裏面、4番「その他」ということで、本検討会は基本的に公開といたしますが、個人情報とか個別企業に係る事案を扱う場合については非公開とすることとしております。

○奥野環境改善室室長補佐 ただいまの開催要綱の説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。特にないようですので、ただいまの説明にもありましたとおり、山口委員に座長をお願いいたします。山口委員より御挨拶をお願いいたします。

○山口座長 座長を仰せつかりました山口です。委員の皆様の御協力と、御支援を頂いて、職場の受動喫煙防止対策が、より推進されるように検討会を頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○奥野環境改善室室長補佐 傍聴されている方にお伝えいたします。カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。以降の議事進行は山口座長にお願いいたします。

○山口座長 本検討会の主な議題は、受動喫煙防止対策助成金の今後のあり方についての検討です。事務局から、職場の受動喫煙防止対策及び受動喫煙防止対策助成金の現況について、資料2に基づいて説明をお願いします。

○木口環境改善室長 資料に基づき、現状の説明をさせていただきます。スライドの3枚目で、職場の受動喫煙防止対策の現状です。経年変化を示したものが上のグラフです。全面禁煙がオレンジ色、空間分煙がブルー、その合計を示しております。平成19年から最新の統計が平成25年です。対策を講ずる事業場は着実に増加しています。最新のデータでは、65.5%の事業場で、全面禁煙又は空間分煙の対策を講じています。

 一方、下のグラフは事業場の規模別の対策の実施状況です。1,000人以上の事業場においては、全面禁煙又は空間分煙の合計で、9割を超える事業場で対策がなされております。規模の小さい、一番下の1029人の規模の事業所では、合計でも62.7%です。事業場の規模による差が出ています。

 次のページは、業種によってどのような違いがあるかを示したものです。受動喫煙防止対策の割合が高い順番に業種を並べております。まず一番トップが医療・福祉、その次に教育・学習支援業が88.5%、あるいは85.8%で、極めて高い数字を示しております。一方で、下位のほうでは建設業、農業、林業、鉱業といった屋外型の産業が多いです。下から3行目で宿泊業、飲食サービス業では、対策を講じている事業場の割合が50.9%です。こちらの対策を、今後一層進めるためにどうしたらいいかということを検討しなければならないと思っております。

 先ほど、事業場の規模によって、対策の実施状況に格差があるというお話を申し上げました。その事業場の規模ごとで、対策を進めるに当たっての問題点としてどういうことがあるかを整理したのが下のグラフです。オレンジ色が1,000人以上の規模、緑色が1029人の規模です。規模が大きい所については、一番大きいのが、喫煙室からのたばこの煙の漏れを防ぐことが困難だという技術的な問題。あるいは受動喫煙に対する喫煙者の理解が得られない、という辺りが高い割合を示しています。一方、1029人の規模については、顧客に喫煙をやめさせるのが困難である、喫煙室を設けるスペースがない、喫煙室からのたばこの煙の漏れを防ぐことが困難という辺りが高い割合を示しています。

 事業場の規模が大きい所に比べて高い数字が出ているのが、その下の喫煙席を設けるための資金がないということです。こちらについても、小規模事業場における受動喫煙防止対策を進める上で、財政的な支援も重要な課題であると言えるかと思います。

 次のページは、労働者に対する調査です。職場に受動喫煙防止対策を望むことがあるか・ないかを青と赤で示したものです。全産業の調査では、何らか望むことがあるという回答が58.4%、望むことがないが41.6%でした。58.4%の方だけに質問したのですが、どのような対策を望むかということで、複数回答していただきました。回答が多かった順番に並べております。一番多かったのが、事業場内部に閉鎖された喫煙所を設け、それ以外は禁煙とすること。2番目は、敷地内を含めた事業場全体を禁煙とすること。3番目は、事業場の建物全体を禁煙とし、屋外のみ喫煙可能とすること。以下、空気清浄装置の設置、換気扇の設置等が続いています。

 同じ調査で、今度は対策が遅れている宿泊業、飲食サービス業について示したのが下のグラフです。望むことがあるという回答が51.9%で、全産業に比べると若干低い数字です。その中で具体的に望む内容としては、内部に閉鎖された喫煙所を設けて、それ以外は禁煙とするが27.4%で、全産業における調査よりも高い数字が出ています。この業種において、喫煙室の設置を望む労働者が多いことが示されています。

 一方で2番目にある、敷地内を含めた事業場全体を禁煙という割合はかなり低く、宿泊業、飲食サービス業においては、お客様の喫煙の要望等に対応するために、敷地内を含めた事業場全体の禁煙は難しいということで、割合が低くなったのではないかと考えられます。あとは屋外のみ喫煙可能、空気清浄装置の設置と、全産業と同じような傾向です。以上が、現在の受動喫煙防止対策の現状の御説明です。

 次に、受動喫煙防止対策助成金について、現状の御説明をいたします。スライド11です。先ほど来、御説明いたしましたとおり、改正労働安全衛生法が昨年61日に施行され、労働者の受動喫煙を防止するための適切な措置を講ずることが努力義務と規定されています。この適切な措置の促進を図るために、労働安全衛生法第71条の国の援助ということで、受動喫煙防止のための設備の設置の促進が挙げられております。現在、国による支援措置の概要として、大きく3つのメニューがあります。1つ目は、受動喫煙防止対策助成金で、現在の助成対象は、全ての業種の中小企業事業主です。助成対象としては大きく3つのメニューがあります。1つ目は屋内の喫煙室設置のための費用、2つ目は屋外に設ける閉鎖形の喫煙所設置のための費用、3つ目は換気装置の設置費用です。喫煙できる区域に換気装置を設置するもので、飲食店と宿泊業のみに助成金の支給を認めています。助成率は、設置費用の2分の1で、上限200万円となっています。

 この他に2つのメニューがあります。1つは受動喫煙防止対策に関する無料相談窓口です。喫煙室設置とか、喫煙エリアにおける浮遊粉じんの濃度基準とか、そういう技術的な事項について無料の電話相談を実施しております。依頼者の希望に応じ、無料の実地指導なども行っています。また、経営者とか人事担当、安全衛生担当者を対象とした受動喫煙防止対策に関する説明会なども実施しています。

3つ目のメニューとしては、たばこの煙の濃度などの測定機器の無料貸出しです。受動喫煙防止対策を実際に講じて、その効果が上がっているかどうか、粉じんの濃度の測定とか、風速の測定などをするための計測機器の無料貸出しを実施しています。

 下のスライドです。受動喫煙防止対策助成金については、平成23年度に創設されてから幾らか変遷があります。当初、平成23年度、平成24年度は、対象事業主が飲食店、宿泊業限定でした。この欄外にある、平成2212月に労働政策審議会の建議の中で、飲食店、宿泊業における受動喫煙防止に対し、必要な財政的措置・支援を行うことをベースにしたものです。この当初の助成率は4分の1で、上限額200万円、交付対象は喫煙室と換気設備でした。

2年経過した平成25年度になってから、対象事業主について、飲食店、宿泊業のみから、全ての業種の中小企業事業主に範囲を拡大いたしました。併せて、助成率についても4分の1から2分の1に引き上げを図りました。上限額は200万円で変わっていません。このときに、業種を全ての業種に拡大したこともあり、換気設備を一旦交付対象から外し、屋内の喫煙所のみを交付対象としました。翌年には、飲食店、宿泊業については換気装置の設置も助成対象に復活させております。平成27年度においては、屋外に設置する閉鎖型の屋外喫煙所も助成の対象に加え、平成28年度もこの内容で運用しています。

 助成の対象となる喫煙室、屋外喫煙所、換気装置の要件については次のページです。喫煙室については、喫煙室内の煙が外に出ないように、出入口において、喫煙室内に向かう風速が毎秒0.2m以上であることを要件としています。屋外の喫煙所に関しては、出入口と吸排気口以外に、非喫煙区域に対する開口面がほとんどないこと、かつ屋外喫煙所における喫煙によって、その喫煙所の直近の建物の出入口における浮遊粉じん濃度が増加しないことを満たす屋外喫煙所に対しては助成の対象としています。3つ目の換気装置については、措置を講じた結果、喫煙区域、いわゆる喫煙席の粉じん濃度が0.15mg/^3以下となること、あるいは喫煙区域における1時間当たりの必要換気量が70.3^3×客席数以上となること。このいずれかを満たす場合は助成金の対象としております。

 助成対象の範囲については、認められるもの、認められないものに分けています。例えば、喫煙席本体の工事費とか、本当に必要なもの(換気装置、照明機器など)は認められますが、助成金の申請書作成の費用とか、什器(喫煙室の中に設置する机とか椅子とか、映像機器)というようなもの。あるいは土地の取得に関する費用といったものは、助成金の対象としては認めておりません。黄色い枠の中に入っているものは、特別に必要なものと認められる場合に限り、助成対象となります。これは個別に労働局で判断をして、認められる場合には助成対象としているものです。

 次のページは助成金の実績です。助成金については、予算額が平成23年度は2.8億円から始めて、増やしてきています。飲食店と宿泊業に対象を限定していた平成23年度と平成24年度は、18件、82件と、執行率があまり芳しくありませんでした。平成25年度に全産業に拡大し、助成率を2分の1に拡大したことで、実績がかなり向上して、平成25年度には347件で3.7億円、執行率は49%。平成26年度は544件で6.2億円、執行率は85.2%まで伸びております。平成27年度については、件数は560件で前年度より若干増えたのですが、執行額が5.9億円で、執行率77.8%でした。

 下の欄は、業種別の交付件数内訳です。もともと飲食店、宿泊業から始めていましたが、平成27年度の実績だと560件のうち、飲食店は52件、宿泊業は61件です。業種別で一番多かったのが製造業で151件です。その他の中には建設業、運輸業、郵便業なども入っています。いろいろな業種が入っていますが、飲食店、宿泊業はなかなか件数が伸びてこない状況です。

1718ページを御覧ください。昨年度、財務省で予算執行調査がありました。受動喫煙防止対策の助成金も調査の対象になりました。18枚目のスライドで、大きく赤い囲みで、真ん中に囲ってある所があります。この助成金事業について幾つか指摘を受けています。1点目は、喫煙席の面席と助成対象経費との関係です。右側に青い棒グラフがありますが、面積が広くなるほど助成金額は増えていく、これが相関しているというですけれども、その面積に比べて、助成対象経費が割高になっているケースが見られる。そういう設置例を調査したところ、通常必要となる機器のほかに、真に受動喫煙防止対策として必要な経費かを判断し難い追加費用が入っているのではないかというケースがあるという指摘を1点受けています。

2点目は、喫煙室の面積と従業者数との関係です。従業者数の規模に比べて、喫煙室の定員がかなり多く、従業員数を超えた定員を設置しているケースも見られたということです。例えば飲食店ではお客様も利用されるというケースもあるわけですが、こういう指摘を受けました。「今後の改善点・検討の方向性」ということで右側に書いてあります。喫煙室設置のため真に必要となる経費の範囲を精査すること。利用者数と喫煙室の規模の均衡の検討をすることなど、過大な設備設置・助成金支給を防止するための審査を徹底するようにという指摘を受けています。現在は2分の1助成ということで、一律の助成率にしておりますが、これについても規模に応じた段階的な助成金支給の仕組みの導入についても検討すべきという指摘を受けています。この辺りも踏まえ、この検討会で御検討いただきたいと思います。

 次のページは、具体的な助成金の執行状況について、平成27年度の事例を分析したものです。喫煙室と屋外喫煙所と換気装置等とで分けてあります。事業場によっては、例えば複数の建物があって、片方は喫煙室、片方は換気装置ということで、複数の申請がなされているものは除外して、喫煙室のみとか、屋外喫煙所のみで申請されたものについて、それぞれ整理したものということで御理解ください。まず喫煙室ですが、件数は413件で、助成額の平均が約100万円(104万円)。喫煙席の面積の平均が8.5^2で、定員が大体6.9人です。これは業種別で整理すると、一番右の面積当たりの助成額で、飲食店、宿泊業、小売業といった、お客様も併せて使うことが想定される業種において、全体の平均よりもちょっと高めの水準で出ています。屋外喫煙所については、一番多く設置されていたのが製造業の35件です。あとは小売業などもあったのですが、飲食店、宿泊業については各1件で、あまり屋外喫煙所の設置はなされておりませんでした。あとは、建設業、運輸・郵便業なども屋外喫煙所が設けられていました。

3番目の換気装置等は、飲食店と宿泊業限定です。平成27年度の実績では、宿泊業で換気装置等での助成金の支給の例はなく、全部が飲食店でした。飲食店については、喫煙室が22件、換気装置等が26件で、どちらかというと、喫煙席に対して粉じん濃度を低減させる措置をとることが多いようです。

 次のページは、助成金が交付された喫煙室の概要で、面積の分布、定員の分布、それから定員1人当たりの喫煙席の面積の分布を示したものです。特に御覧いただきたいのは、下にある散布図です。これは横軸が喫煙席の面積で、縦軸が単位面積当たりの助成額ということでプロットしたものです。助成金の上限が200万円ですので、上限のこの曲線の所に張り付くような形にはなっています。面積が著しく狭い所について、単位面積当たりの金額は高いほうに出ている所もあります。これについては、先ほどの財務省の予算執行調査の指摘とも照らし合わせて、どこまでが適正範囲なのかを検討する必要があるのではないかという問題意識を持っています。

 同じことで、定員をベースにしたものが右側の赤いグラフです。これについても、定員が大変小さい所では単価が高いほうにシフトしている所があります。この辺のあり方についても是非御検討いただきたいと思います。

 次のペーパーは、同じものを屋外喫煙所について作ったものです。屋外喫煙所についても、単価的にものすごく高いという所はなかったのですけれども、それでも幾つか全体の様子から飛び出しているような所が見受けられます。

 換気装置についても、このような状況です。換気装置は、もともと26件しかありませんので、点数としてはパラパラとばらついていますが、やはり面積が小さい所では、ちょっと高い所に出ています。換気装置の特徴としては、面積、定員等も他の喫煙室とか、屋外喫煙所に比べて、かなり多い所にシフトしているのが特徴です。

 受動喫煙防止対策等の助成金の現状について、駆け足ではありましたが、以上御説明申し上げました。

○山口座長 ただいまの御説明について、委員の皆様から御質問とか確認したいことがありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○保利委員 6ページの受動喫煙防止対策の現状で、対策を進めるに当たっての問題点という所ですが、これは事業所規模で違うというようなお話だったと思うのです。これは事業所の規模のほうが問題なのか、それとも業種が事業所の規模と関連していて、業種の影響のほうが大きいのかというのはいかがでしょうか。つまり、喫煙室を設けるスペースがないとか、喫煙をやめさせるのが困難などというのは、業種のほうの問題なのか、それとも規模の問題なのかというところです。

○事務局 そこは両方あるのだと思います。詳しい統計を取っているということではなくて、あくまでも事業者規模で取っている統計なので、推測の域を出ないところではありますが、例えば小さい事業所ですと、飲食店や小型の宿泊業等の業種も多分に含まれていると思いますので、顧客の方との関係で難しいという意見が見られるのではというところです。一方で、そもそも規模が小さい所なので事業所面積もないということで、喫煙室を設けるスペースがないという答えも出てくるところだと思います。両方の要素が入り交じっているのだと捉えていただければというところです。

○保利委員 特にスペースに関しては多分そういうところが大きいかなと思うのですが、やめさせるのが困難などというのは、むしろ業種のほうが大きいかなという気がするのです。今回、業種によってというか、特に業種のところをやられるという話でしたので、飲食業とか、そういうところの問題が多いのかどうなのかというところを確認したかっただけです。

○木口環境改善室長 その点については、業種別が出せるかどうか、また次回までに整理したいと思います。

○山口座長 私から、16番のスライドで、飲食店や宿泊業が、思ったほど助成交付件数が伸びないというのは、何かこんな理由かなという推測はありますか。

○木口環境改善室長 やはり先ほど申しました、そもそもスペースが狭いということもありますし、場所を借りて営業されている場合に、事業場の御判断で工事をやることがちょっと難しいという面も、もしかしたらあるのではないかなとは推測はしております。

○山口座長 ありがとうございます。

○明石委員 1点質問ですが、今の16ページですが、各労働局の段階で受け付けませんでしたというか、助成金の申請を出したけれども承認はされませんでしたという件数は分かりますか。

○木口環境改善室長 御相談いただいて、いろいろと調整していく中で、工事の工期の都合であるとか、性能要件の面で報告と合わなくてお断りしたというケースはあるとは承知しております。

○事務局 各労働局のほうから、どのぐらい申請件数ないしは交付件数があったのかは、適宜把握するようにしているのですが、一旦相談があったものの、後々取り下げられたり、あるいは一旦、交付決定をしたにもかかわらず、結局、工事されなかったりなどという案件を合わせると、恐らく700件は超えるというところです。各労働局から報告いただいたベースなので、恐らく電話レベルでの相談などというと、もっとたくさんあるのだと思います。実際に交付してお金をお出ししたというのが、今回、速報値ですが560件ということなので、実質上100件を超える数が、実際に申請は考えていたのだけれども、途中で頓挫してしまったということがあり得るのだと認識しております。

○明石委員 分かりました。

○保利委員 13枚目の助成金の助成対象の所で、例えば屋外喫煙所の2番目に、喫煙所の直近の建物の出入口等における浮遊粉じん濃度が増加しないこととあります。これは風向きによって変わってくると思うのですが、助成対象としては具体的にどういう形で審査されるのですか。例えば風速が毎秒0.2mとか、必要換気量というのは分かるのですが、特に屋外喫煙所の直近の建物、出入口等における浮遊粉じん濃度が増加しないことというのがあるのですが、これは風向きによって変わってくることがあるかと思うのです。そういうものの助成金の認可は、どういう形でされるのですか。

○事務局 参考資料の4が一番分かりいいかと思うので紹介させていただくのですが、こちらは申請に係る必要書類の作成要領となっております。この別紙13-2(27ページ)に「屋外喫煙所の要件に対する適合状況の確認結果」ということで、こちらは申請事業者に御記載いただくという形としております。労働局のほうで、その内容について御審査いただき、必要に応じて適宜、実地で調査していただくことにしております。

○保利委員 風向きがどうかなというのがちょっと気になったものですから、風向きによっては、というのが。

○山口座長 もう1つ、今、気が付いたことを私から質問したいのですが、22番のスライドの相関の分布図です。とてもきれいな相関図で、こうなって双曲線みたいになっているのは、多分上限であり、よくよく見ると、意外に下の辺りにいっぱい固まっているなと、意外に安く上げているところが多いのだろうと見えますので、例えばこれをビシッと切ったときに、どのように分布するのか、みたいなことはおやりになっていますか。中央値が一体どのぐらいにあるのか、結構下のような感じもします。

○木口環境改善室長 喫煙室、単位面積当たりの助成金額で言いますと、中央値は12700円で、平均値が176,000円ぐらいの水準です。

○山口座長 そうすると、こういうように分布しているのですよね。

○木口環境改善室長 そうですね。分布としては10万円までが4割ちょっとになっております。15万円までが6割弱といったところです。かなり高い所が引っ張っていると。

○山口座長 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。また疑問に思われる点がありましたら質問していただくことにして、次に進みたいと思います。事務局のほうで資料3として、今後、検討会で議論を進めていく上での論点()を御提示いただいておりますので、これについて事務局のほうから御説明をよろしくお願いします。

○木口環境改善室長 資料2でお示しした受動喫煙防止対策及び助成金の現状を踏まえて、大きく3点の論点ということで、御提案申し上げたいと思います。1点目は、喫煙席の面積に係る適正水準ということで、もちろん既存の部屋を改装して喫煙室を設けるとか、どうしてもこの面積になってしまうということも、もしかしたらあるかもしれないのですが、助成金の対象となる喫煙室の利用人数当たりの面積に上限を設けるべきではないか。あまり利用者が多くないのに、面積がやたら広いというのは、ちょっと考える必要があるのではないかというところです。また、喫煙席の定員に関しては、事業場における喫煙者数などに比べて過大なものにならないようにする。もし、外来客の利用が想定される場合であっても、その利用見込みに見合った規模とするべきということで、むやみに大きなものはよろしくないのではないかというのが1点目の論点です。

2点目ですが、喫煙席の面積当たりの助成金額の適正水準ということで、先ほどの3.での議論にもありますが、例えば喫煙室の内装など、受動喫煙防止対策に直接寄与しない部分について、高価な材料を使うなどによって助成金額が増大することは、助成制度の趣旨に鑑みてあまり好ましくないのではないかということで、喫煙室の単位面積当たりの助成金額の上限を設定することによって、助成額の適正化を図るべきではないかということです。

3点目としては、受動喫煙防止対策が遅れている事業者に対する助成金の有効活用です。受動喫煙防止対策が他の業種に比べて低調である業種に対して、助成金の活用を促進するためにどのような仕組みにしたらいいか。特に不特定多数の方が集う飲食店、宿泊業などに対して、どのような仕組みをしたらいいか。この3点について論点として検討してはどうかということで、事務局より提案させていただきます。

○山口座長 これからは先ほどの現況も併せて、委員の皆様にフリーなディスカッションをしていただけたらと思いますが、まずこの3つの論点を御提示いただきましたので、1項目ごとに御議論いただいて、最後に、その他という感じでいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。1点目の「喫煙室の面積に係る適正水準について」ということですが、委員の皆様から御意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。

○保利委員 先ほどの資料の18枚目に、面積に比例して助成対象経費がこれだけになっているというところの例で、喫煙室の定員が従業員数を上回っているというのは、明らかに確かに過大だとは思いますよね。今、喫煙率は30%ぐらいですか。

○事務局 喫煙者数の割合としては全体で2割で、男女別ですと、概算で男性が3割、女性1割ぐらいです。

○保利委員 だから、逆に言えば全員が吸ったとしても、せいぜいそのぐらいということですよね。そういうのは過大だというのが明らかだと思いますけれども。

○西津委員 資料の22ページの分布図がありますね。これで見ると、結局、面積当たりでいうと10平米ぐらいまでで、プロットが多いということは、大体10平米ぐらいまでの大きさが多いということですよね。

○木口環境改善室長 はい、そうです。

○西津委員 10平米というと、6畳ぐらいですよね。平米だとちょっと感覚が分からないですが、6畳ぐらい、10平米ぐらいまでの所に結構多い。だから、このプロットの下のほうの、もう0平米に近い所でとんでもなく高いというのが異常値なのだろうと思うのです。当然こちらの右のほうの人数で割っても10人ぐらいですね。要するに6畳ぐらいで10人ぐらいまでが多いと、そういうイメージと捉えればいいわけですね。

○木口環境改善室長 面積については、22ページの上に円グラフがありますが、10平米までで、7割ぐらいのところまできております。定員についても、10人以下というのが8割のところまで来ており、定員1人当たりの喫煙席の面積も、ばらつくのですが、大体平均を取ると1.3平米、中央値1.1平米といったところです。

○西津委員 そうですね。ほかの資料を見たときに、立っている場合だと1.2平米ぐらいですか。座ると1人当たり1.8平米ぐらいというデータが出ているようですが、これを考えると大体立っているほうが多いというぐらいの感覚なのでしょうかね。座ってみると、上限を設定するかどうかという話なのでしょうけれども、この分布図を見ると、常識的に結構入っているということですよね。かなりの部分が常識的に入っていて、先ほどの高額などというのは、突出したデータがあるという感覚なのでしょうかね。おおむねは大体、常識的な金額に挟まっていて、特殊な例が正に散見されると。そういう中で上限を設定すべきかということですよね。

○木口環境改善室長 はい。

○西津委員 人数で言うと、先ほどお話が出た従業員数とか喫煙室もあると思うのですが、製造業などでは、休憩時間があって、休憩時間に職員が一斉に休憩だから、そこまではたばこを吸わない。事務だと何となく交代で行けるのですが、工場などだと休憩時間でなければ行けない。なので、休憩時間になると、たばこを吸う人は一斉に喫煙室へ行くということで、当然、必要な面積は事務系とはちょっと違うのかなという気はします。

○保利委員 もう一度、18ページに戻りますが、喫煙室の定員が従業員数の半分を上回るのが23%もあるということは、かなり多いような気がするのですけれども。

○明石委員 多分、飲食業や宿泊業などがあるので、それを考えると、従業員割りだけではないし、マル1とマル2は分けて考えないと、ちょっと違うのではないかと思います。

○保利委員 これは喫煙室ですよね。喫煙室の問題で、先ほど言った換気設備などではないのですよね。

○木口環境改善室長 はい。ただ、喫煙室で従業員もお客様も使うということは認められますので、この場合は来客がどのぐらい使う見込みかということも併せて、適正規模を考えていく必要があると思います。

それから、先ほど中央値と平均値の話で、数字を申し上げたのですが、全部、一緒くたの話でしてしまいまして、喫煙室限定ですと中央値が133,000円ほど、平均値が19万円ほどという水準でした。失礼いたしました。

○山口座長 この外来客の利用が想定される場合であってもということなのですが、この想定される利用者数というのは、申請時に何人ぐらいが見込まれるみたいな、そういう数字は出すことになっていますか。

○木口環境改善室長 定員だけですね。

○山口座長 常時雇用する労働者の数はありますが、お客さんの見込み数というのは特にない。

○事務局 顧客の見込み数という形というよりも、参考資料の1番になるのですが、様式の中で受動喫煙防止対策助成金の事業実績報告書を御提出いただくことになっております。様式の番号で申し上げますと、第9号です。9号の別添として、「事業結果概要報告書」を提出していただくことになっているのですが、その書類に喫煙室の面積、それから喫煙室の定員という形で御記載いただくことになっております。

○山口座長 ただ、先ほどの保利先生のお話で、定員を決めるときの根拠に、外来のお客さんがどのぐらいという数字がないと、働いている人よりも定員のほうが大きいではないかみたいなものも、多分出てきてしまうということですよね。

○木口環境改善室長 それについても従業員数を超えるような場合は、どういう理由でこのような定員になったのかということを書いていただいて、合理的な御説明を頂けるかどうかで判断する必要があろうかと思います。

○福田委員 実際の審査の場合には、当然、現場とかそういう状況も見ながらという形になるのでしょうか。

○事務局 必要に応じて実地で確認していただく場合もあります。

○福田委員 必ずしも全てのケースにおいてということではないのですか。

○事務局 そうですね。そこは各局がどのような運用をしているかによります。

○西津委員 この喫煙室は、喫煙室としてしか使ってはいけないのですよね。要するに喫煙ルーム兼食堂みたいにしてはいけないというようになっていますよね。

○事務局 はい。

○西津委員 と考えれば、一般的に考えれば、従業員数を超えるなどということは考えられないのではないですかね。そういうのが出てきていること自体がおかしいのであって、普通考えれば、たばこを吸うだけにしか使ってはいけない。でないと補助金が出ないのだと言っているのだから、従業員数を超える人間も入れる部屋というのはどういうことなのか。

○山口座長 多分レストランなどで、その隅っこに喫煙ルームがあると、それは必然的にお客さんのほうが使う場合が多いようです。それも一応、従業員も使うということだったら、補助の対象になっているということですよね。

○西津委員 喫煙室ですよね。

○山口座長 はい。最近レストランの中にありますよね。

○西津委員 ありますね。

○山口座長 あれですよね。

○西津委員 新幹線の喫煙ルームみたいなものですよね。

○木口環境改善室長 そういう指摘を受けてしまったということは、そこの利用者が外来の方なのか、従業員なのかというのがはっきりしないという面もあったということは考えられますので、申請書の中で明記して、ちゃんと適正かどうかを審査しましたという形、これを徹底するようにということで軌道修正が図られるのではないかと思います。

○明石委員 このときは、そういうことはされていなかったのですか。

○木口環境改善室長 これは、ある労働局が調査に入られたのですが、書面の中では、面積と定員数と従業員数しか入っておりませんので、それで。

○明石委員 従業員数を超えたから。

○木口環境改善室長 と判断された可能性もあるのかな。詳しく具体的に、どの事案でというのは追わなければいけないのですが。

○山口座長 今のレストランの話で、何となく従業員のためではなくてお客さんのためのものに、お金を助成するのは変だなと最初は思ったのです。でも実際は、お客さんがそちらの喫煙ルームを使うことで、レストランの中がきれいになることで、従業員の受動喫煙が防止されるということです。そういう意味で、合理性があると考えてということですよね。

○木口環境改善室長 はい。

○西津委員 そういうことですね。

○木口環境改善室長 ですから、換気装置についても、喫煙席にサービスで従業員が入るわけですから、そこの粉じん濃度を下げることによって、受動喫煙のリスクを減らしていくということです。

○西津委員 そうか、従業員が5人の飲食店で、1617人が入れる喫煙ルームを作って、お客さんが50席ぐらいあるとか、100席あるということはあり得ると思うのです。そういうことですね。

○明石委員 一般的な事務所では利用者は立ってたばこを吸うのですが、飲食店では座って吸うことができるので、少し広くなったりする可能性はあるのではないかなと思います。

○山口座長 お客さんに立たせるのはまずい。

○明石委員 それはまずいでしょう。それは商売上がったりになりますから。

○山口座長 次の(2)に進んでよろしいでしょうか。(2)は喫煙室の面積当たりの助成金額の適正水準についてです。御意見がありましたらお願いいたします。

 先ほどの資料2の分布図を拝見すると、中央値というか、適正値はありそうで、分布を見て、これより外れているのはいけないのではないかということは出せそうだということですよね。

○木口環境改善室長 はい。次回は標準偏差なども含めて分布図で、どの程度ばらついているかというデータを出したいと思います。

○山口座長 いろいろな立地条件によって、例外的に費用が嵩んでしまうということはあり得ると思うのです。例えば急な坂の所に何か作らなければいけないというと、平地に作るよりも単位面積当たりは高くなると思うのです。それは局の裁量で、そういう例外はきちんと説明が付くかどうかなどについては、審査が行われているということでよろしいのですね。

○木口環境改善室長 それに関しましても、財務省の予算執行調査の中で、割高になっている事例ということで、水はけの悪い所に喫煙室を作る場合は防水工事などで費用が嵩んでしまうというのが割高の指摘もありました。あと、プラスアルファの部分はどこまで容認できるのかということで、受動喫煙を減らしていくことに直接寄与しない部分ではありますので。どうしてもそこにしか建てられない場合にどうするかという判断にはなろうかと思いますが、そういう周辺部分があまりに過大になるようでしたら、助成金の対象としては問題ではないかと思います。

○山口座長 いかがでしょうか。

○保利委員 左側のほうですが、一番狭い所でどのぐらいの面積なのですか、1^2だとか。必然的に、分母が小さくなると面積当たりにすると大きくなりますよね。

○木口環境改善室長 喫煙席で一番小さいので1.4平米というのはあります。定員1人で、本当に小さいというのがございます。

○山口座長 1人用ですよね。

○木口環境改善室長 そうだと思います。

○山口座長 でも、高さは低くできないから、そんなに安くならないですね。

○木口環境改善室長 はい。

○保利委員 分母が小さくなると、どうしても平米当たりにすると単価は高くなりますよね。それはやむを得ないかなと思います。

○木口環境改善室長 はい。

○山口座長 保利委員、これは工学的に考えて、室が大きくなると吸気の効率が悪くなるとか、そういうことはあるのですか。

○保利委員 大きくなれば必然的に入れ換わるのに時間がかかりますね。定常になったときの濃度は換気量等や発生量で決まるのですが、そうではない途中は、どうしても換気速度が遅くなりますからね。

○山口座長 そうですよね。理論的に考えて、これぐらいの大きさが適正ということはあるのですか。

○保利委員 それは作り方によると思うのです。一様流に近い形であれば、換気量はそんなに要らないのです。ただ、全体換気に近くなってしまえば、必然的に室内に残ってしまう量が増えますので、広くなればなるほど濃度低下が遅くなってしまうということです。

 プッシュプル型換気のような一様流的な流れで進むと、少なくて済むのです。

○山口座長 御意見がないようでしたら、(3)に進みます。受動喫煙防止対策が遅れている事業者等に対する助成金の有効活用についてです。御意見がございましたらお願いいたします。「遅れている」というのは、事務局としては飲食業、宿泊業などを想定しているということですか。

○木口環境改善室長 はい。もともとそちらからスタートした助成金でもありますし、何とかここは延ばしたいと思っているのですが。

○山口座長 先ほどのテナントでビルに入っているような所、そういう所は最近多いと思うのですが、そういう場合には自分の所だけではできないので、その場合には例えば、1フロアに1つ喫煙ルームを設けましょうというのは、今までのところは助成の対象にならないということでよろしいのですか。

○事務局 そこについては、申請事業主がそもそもビルのオーナーで、そこで事業場を持っているというようなことで御申請を頂いて、共用部分に喫煙室を作るというパターンですとか、あるいは店子で入っている事業主がビルのオーナーに許可を取って作っていただくというパターンについては、オーケーということですので、申請されているケースもあります。

○山口座長 今のお話のようなことというのは、テナントで入っているようなお店の方は、Q&AQ2の辺りを読んで、「そうか、できるのだな」というようなことで申請してくるという感じですかね。

○事務局 そうです。御覧いただいているとおり、パンフレットのQ2に、その旨が記載されているところでもあります。

○山口座長 事業者そのものが申請できるということなのですよね。

○事務局 はい。

○山口座長 そういうことが進むと、雑居ビルでも進みそうな予感がするのですが、いかがですかね。これはオフィスビルも基本的には同じですよね、オフィスビルというのは、大体皆さん借りて入っていますので、自分の所だけで工事ができるということはあまり想定できないのではないかと思います。そのビル会社。

○木口環境改善室長 施設管理者のオーケーが取れるかどうかということで。

○山口座長 ビル会社が喫煙室を作ろうと思ったら、200万円というようなレベルではないから、あまり助成の対象にならないのかもしれませんね。

○西津委員 宿泊業は低いわけです。宿泊業の場合に従業員とお客さんがいらっしゃいます。喫煙室を作ったけれども、宴会場では煙草は吸える、要するに宴会場でお客さんは煙草を吸えます。その場合は、補助金の対象にならないのですよね。要するに、ホテルや旅館でしたら、宴会のときに従業員が料理を運んだりしますが、そこで喫煙室を作って、従業員もお客さんも吸えたとして、でも宴会場を禁煙にしなければ駄目なのですよね。

○事務局 そうです。その旨は参考資料3の質疑応答集Q&Aの問1-36ページ目を御覧ください。こちらに、「本助成金の交付を受けるためには、喫煙室や屋外喫煙所、換気措置等を講じた区域以外の場所を禁煙とすることが条件となるのですか」という所で、宿泊施設において、客室については、労働者の滞在時間が短時間にとどまるため、全面禁煙とすることは交付の条件としては求めません。一方、今おっしゃっていたような、宴会場などの不特定多数の者が共有する空間については、従業員が受動喫煙の影響を受ける可能性が高いと考えられるので、換気措置等を講じない場合は、全面禁煙とする必要があります。

○西津委員 だから、旅館では喫煙室を作っても宴会場で煙草を吸えれば補助の対象にならないと書いてありますね。

○事務局 はい。

○西津委員 補助金を申請しても無理なのですから、利用するわけないですよ。

 旅館などは、実際にはお客様対応のようになっているわけです。煙草を吸うお客様と煙草を吸わないお客様がいるから、煙草を吸わないお客さんのために煙草を吸う人の喫煙ルームを作っている。どちらかというとお客様対策ですよね。それで、例えば旅館で考えても、喫煙室の中でお客さんと中居さんが一緒に煙草を吸うというのはあり得ないわけだから、そうすると従業員は従業員用にバックヤードに喫煙室を作るという話になるわけですよね。でも、宴会場で煙草を吸えたら補助金の対象にならないのだから、補助金の対象になるとか、対象ではないとかではなくて、経営者がそういうことをやるかどうかだけれども、補助金の対象にはならない。飲食店と一緒ですよね。調理場より、フロアで働いている人が一番つらいわけですね。同じことですよね。

○山口座長 厚生労働省としては、今のお話のような場合も、できたら宴会場も禁煙にしてほしいという方向性はあるということですか。

○木口環境改善室長 それとも、換気装置で粉じん濃度を下げていただくかです。そこに入る従業員が受動喫煙を受けないようにはしていただきたいということです。

○西津委員 ただ、最近のいろいろな世の中の動きとして、例えば飲食店でもランチタイムは完全に禁煙だとか、ホテルや旅館でも大体は宴会場も含めて禁煙で、吸う人は喫煙ルームでという方向にはなっていますよね。

○木口環境改善室長 はい。

○西津委員 だから、働く人にとって一番大変なのは、飲食店の従業員なのではないですかね。飲食店の従業員、特に居酒屋です。居酒屋で煙草を吸えなかったら入らないお客さんもいるだろうし、そこでフロアで料理やお酒を運ぶときは、もうもうとしていたりするわけだから、そこは換気とか。飲食店でも喫煙室ができていくというような方向になっていくのではないですかね。

○福田委員 皆さん、いろいろな工夫や努力をされて営業されていますので、今までの話にあったように、実態に合ったものでないと進まないというのが、一番の根本にあるのかなと思います。

○山口座長 ただ、少し世の中の流れを作るという意味では、実態よりも少し先を行くようなもの、でもあまり先を行ってしまうと、誰も付いてこないというところはありますよね。

○保利委員 かなり飲食店でも進んでいると思うのですが、喫煙家の所に従業員が行くということで、そこをどうするかというところですよね。お客さんも煙草を自由に吸える所には行きたくないというのもありますが、それはいいのですが、確かに喫煙できる所で働いている従業員に関しては難しいですね。

 喫煙室内の粉じん濃度を0.15mg/^3以下にしましょうという話があるので、そういうことをきちんとやれば、喫煙室であっても、それなりの換気を保てるという喫煙場所があるというところまでやるということですかね。

○山口座長 先生がおっしゃったのは、換気装置のことですか。

○保利委員 そうです。そこまでやればいいのかもしれません。

○山口座長 換気装置の基準というのは、少し甘くなるのですか。例えば先ほどの宴会場の話がありましたが、換気装置も基準的には同じですか。

○木口環境改善室長 そこは、喫煙区域という縛りにするということであるなら、粉じん濃度か換気量の基準のいずれかを満たしていただければ、対象になります。

○山口座長 そういうことですね。ただ、宴会場を全部、みんなで煙草を吸っても、粉じん濃度を許容限度以下にするというのは絶対に無理だと思います。

○保利委員 恐らく自由にやると無理ですね。宴会場の中でも、喫煙コーナーではないですけれども、喫煙場所を、ある程度。

○山口座長 換気装置というのは、それが部屋になっていない場合ということですよね、飲食店、宿泊所に限るというのは。

○保利委員 最初の頃のガイドラインには喫煙コーナーというのがありましたが、これは仕切らずに、喫煙の場所と非喫煙場所を分けるものです。宴会場の場合は、区切ってしまうと宴会にならないので、気流を利用して喫煙席と非喫煙席を分けるような設計をしてもらえばいいのかなと思うのですが。

○山口座長 ほかにはいかがでしょうか。

○明石委員 いずれにしても、こういう飲食店、宿泊業の方に一度ヒアリングをしてみたほうがいいのではないですかね。

○木口環境改善室長 はい。

○西津委員 製造業、建設業など、低調な業種がありますが、これは事業所統計ぐらいから取っているのだと思いますが、これらの業種です。このパーセントなのですが、下位5業種というのは、一番下の鉱業、採石業、砂利採取業等がありますが、これは日本全体で2,000ぐらいしかないですよ。そういう話と、製造業だと50万近く、建設業は50万あまりあり、業種の数、いわゆる母数が全然違うわけです。

 そういう意味で、製造業だと母数が多い中で、なかなかそれは簡単にいかないという気はしますよね。

○山口座長 あと建設業とか、農業、林業、鉱業、採石の辺りというのは、アウトドアの作業場が多いですよね。

○西津委員 質問ですが、ここに出なかったのですが、屋外の喫煙所というのは開放型も対象になるのですか。

○木口環境改善室長 閉鎖型だけです。

○西津委員 開放型は対象にならない。駅などですと、駅の外れに開放型の喫煙所のようなものがありますが、あのような開放型は駄目なのですね。

○木口環境改善室長 助成金の対象にはなりません。

○保利委員 換気扇で強制的に換気すると、屋外に出すのと同じになるのですが、そこはどうなのですかね。

○西津委員 そう思うのです。

○保利委員 強制換気しても、結局は中にあるものを外に出すので、同じかなという感じはしますが。

○木口環境改善室長 即座に希釈されればいいのですが、やはり出て直ぐの所は滞留するような所がありますので、そのそばを通った受動喫煙者が煙を摂取することも考えられますので。

○山口座長 よろしいでしょうか。この論点案全体を通じて、何か御意見はございませんでしょうか。

 それでは、大体議論が大方出たと思いますので、本日の検討はここまでということでいかがでしょうか。

○木口環境改善室長 ありがとうございました。

 次回については、追って御連絡を差し上げたいと思います。先ほど、飲食店や宿泊業に関して、業界からのヒアリングをする必要があるという御指摘がございましたので、ヒアリングを実施することも含めまして事務局で調整し、また御連絡させていただきたいと思います。

 次回は6月中旬ぐらいを予定しておりますが、具体的な日程についても改めて先生方にお知らせいたします。できれば3回目は7月頃に開催し、一定の方向が得られましたら、平成29年度の予算にも反映できるように進めたいと思います。

 また、助成額、分布など、いろいろと宿題を頂きましたので、その辺りもデータを整理して次回に御提示したいと思います。

 会議の冒頭にも申し上げましたが、次回以降に個人情報、個別企業に関する事案を取り扱う場合には、非公開となるということで御承知いただきたいと思います。

○山口座長 本日は貴重な御意見をたくさんありがとうございました。お疲れさまでした。



(了)

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