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2016年6月2日 第23回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

○日時

平成28年6月2日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省12階 専用第14会議室


○出席者

増田部会長、大山部会長代理、石井委員、岩瀬委員、金田委員、喜田村委員、斎藤(聖)委員、齋藤(衛)委員、西沢委員、西村委員、原委員、藤井委員、松山委員、安井委員

○議題

(1)日本年金機構の平成27事業年度業務実績の評価について
(2)その他

○議事

 

藤原参与 定刻になりましたので、ただいまより第23回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず委員の出席状況ですが、本日は、椎野委員及び山口委員が御欠席でございます。

 それでは、議事進行につきましては、部会長よりお願いしたいと存じますが、恐縮ですが、カメラにつきましては、ここまでで御退室をお願いいたします。

 

(カメラ退室)

 

増田部会長 おはようございます。ただいまから第23回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。

 本日から、日本年金機構の平成27事業年度業務実績の評価について、審議をしていきたいと思います。

 日本年金機構法では、事業年度ごとの機構の業務実績の評価を行うに際して、当部会で審議をすることになっています。

 昨年は、不正アクセスによる情報流出事案がありまして、少しイレギュラーな形になりました。昨年度の機構の業務実績の評価ということになりますが、そうしますと、昨年の末に、改善計画が出ましたので、年度当初の計画と改善計画、両方がこの対象になります。

 本日は、平成27年度における業務の取り組み状況等について、全体を網羅的に記載した報告書の案が機構から提出されていますので、これについて、説明をいただくところから始めていきたいと思います。

 その上で、当部会として、業務実績を評価するに際して、機構にさらに説明を求めたい事項、今日、御説明があった点についての御質問や御意見をいただきたいと思っております。

 お手元の資料と書かれた、機構から提出されております、業務実績報告書(案)に基づいて、説明いただくことになりますが、事前に御覧いただいていると思いますけれども、この中の後のほうで、業務改善計画が記載されて、それも含めた形で、全体が構成されております。たしか78ページ以下になりましょうか、そこが改善計画の該当部分、主に書いているところだったと思います。その他にも、書いてあるところがあるかもしれませんが、そういうことになっておりますので、その点などについて、お含みおきの上、まず初めに、機構からの説明を聞いていただければと思っております。

 それでは、機構から説明をお願いいたします。

 

水島日本年金機構理事長 理事長でございます。

 それでは、御説明いたしたいと思います。

27年事業年度の業務実績報告書の内容につきましては、後ほど担当より詳細な御説明をいたしたいと存じますが、私からポイントについて、まず何点か申し上げたいと思います。

 今、部会長からお話がございましたとおり、27年度につきましては、当初、国民の信任の獲得に向けて、結果を残すということを目標にして、基幹業務の推進はもちろんでございますけれども、内部統制システムの確立、あるいは事務処理誤りの防止等につきまして、さらに徹底するということに向けて、スタートをいたしました。

 しかしながら、極めて遺憾ながら、27年5月でございますが、不正アクセスによる情報流出事案が発生する事態を招きました。その要因といたしまして、情報セキュリティ体制の不備ということだけではなくて、組織としての一体感の不足、ガバナンスの脆弱さなど、機構がかかわる構造的な諸問題があるという指摘を受けました。あるいは自らの調査報告書においても、それらの問題点の解決が急務であるということを、指摘してきたところであります。

 このような結果を踏まえまして、昨年の実績評価におきましては、大変厳しい御評価を受けました。

 また、それに基づきまして、昨年9月25日には、厚生労働大臣から業務改善命令が発出されたところであります。

 当機構といたしましては、昨年12月に業務改善計画を作成・提出をいたしました。組織の一体化・内部統制の有効性の確保、情報セキュリティ対策の強化等につきまして、日本年金機構再生本部並びに情報管理対策本部を立ち上げまして、3年間の集中的な取り組みに着手してきておるところでございます。

 今回の改革は、既に御説明いたしているとおりでございますが、組織、人事、業務、情報セキュリティなど、全体で70項目を超える広範な改革でありますが、その趣旨、原点といたしておりますところは、日本年金機構を年金制度の執行機関として、旧社会保険庁組織の残滓であります、本部と現場間に一体性を欠いた地域分散型の組織から、国民接点である現場、拠点を中心とした、本部と現場が一体となった組織に作り変えるということでございます。そして、その改革に向けては、自ら考え、自ら改革するということであります。

 既に多くの改革項目に着手をいたしておりまして、4月には、中間組織でございます、ブロック本部を本部に統合いたしました。本部組織として、地域部を設置いたしました。また、ブロック本部長に委任をいたしていました、一部の人事権につきましても、本部に統合いたしております。各ブロック本部におりました、人事関係者の本部への異動も完了いたしました。

 また、基幹年金事務所への機能集約、あるいは事務センターの8センターへの統合等を進める予定にしておりますが、具体的なスケジュールについては、既に現場に通知をいたしております。

 これに伴いまして、従来の現場と本部の間での人事的な資格関係の見直しも同時に行う方針といたしております。

 ルールの統合、徹底のためのプロジェクトもスタートいたしました。

 業務削減会議も予定どおりスタートをいたしております。

 情報セキュリティにつきましても、組織面、技術面、運用面、いずれも予定通りの進捗であると認識をいたしておるところでございます。

 引き続き、真摯かつ全力で取り組んでまいる所存でございます。

 なお、ここで、昨年度の基幹業務の実績について、若干申し上げさせていただきたいと思います。

 国民年金保険料の収納対策でございますが、残念ながら、不正アクセスによる情報流出事案によりまして、一部、業務を中断いたした時期がございました。しかしながら、中期計画の最大の目標は、最終納付率で70%を達成するということですので、27年度実績で概ね70%を達成したと考えております。現在、集計中でございますので、最終的には詳細を御報告申し上げたいと思っております。

 また、厚生年金保険の適用対策でございますが、国税情報の活用が既に始まっておりますが、その効果もございまして、約9万件、前年の2倍を上回る適用実績を得ることができたという状況でございまして、基幹業務についても、大変厳しい状況でございましたが、一定の成果を得たと考えております。極めて厳しい状況の中で、こうした成果を得られたことにつきまして、現場職員の努力、本部職員の努力も含め、率直に評価したいと考えております。

 平成28年度は、業務改善計画の3年間の集中取組期間の初年度であります。先ほども申し上げましたが、今回の改革の目的は、制度執行機関として、現場中心の一体的な組織を作り上げるということであります。率直に申し上げまして、まだまだ問題点の多い組織であることは事実でありまして、私もその点は認識をいたしております。何としてもこの改革をやり遂げまして、信頼をいただける組織を作り上げるために、一人一人が努力をしてまいる所存でございます。委員の先生方におかれましても、引き続き、御指導、御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。

 私からは以上でございます。

 

樋口日本年金機構経営企画G長 引き続きまして、日本年金機構経営企画部の樋口から、資料に沿いまして、実績報告書(案)につきまして、御説明したいと思います。

 資料は、非常に多いものになっておりますので、駆け足で恐縮ですけれども、概要のみ、御紹介したいと思います。

 最初に資料を1枚めくっていただきまして「目次」と「はじめに」という記載がございます。これにつきましては、省略させていただきたいと思います。

 3枚めくっていただきまして、個別の実績報告が、それぞれの施策の内容でございます。一番左は、御案内させていただきましたけれども、27年度の業務改善計画を枠囲いで載せさせていただいておりまして、その実施状況が真ん中の欄にございます。そして、一番右側は、評価欄といたしまして、自己評価と今後の取り組みについても記載しております。

 国民年金の適用からでございますが、資料の1ページであります。年度計画に基づきまして、20歳到達者等に対する届出勧奨及び資格取得などを継続して実施したということでございます。

 進んでいただきまして、資料の4ページ、国民年金保険料の収納対策でございます。これは先ほど理事長からも説明がございましたとおりの状況でありまして、正確な結果は、現在、集計中でございますので、次回、御報告させていただきたいと思います。

 それ以降、納付率向上のための手段につきまして、載せているところでございます。事務所ごとに行動計画を策定し、きめ細かく進捗管理をする、または市場化テストによる納付の勧奨、強制徴収などを実施してきたということでございます。

 資料の8ページには、市場化テストの個人情報の保護対策について、触れております。前回の部会で御質問もいただいておりましたので、実際の市場化テストの個人情報保護対策はどうされているかということにつきましては、参考資料集の別表という形で、用意させていただいております。別表2に記載しております。業者のシステム面での対策、訪問員の端末の管理、事業終了後のデータ削除などの各項目に及びまして、対策を実施している状況でございます。

 続きまして、資料の13ページでございますけれども、厚生年金の適用でございます。これも、冒頭、理事長から説明があったとおりであります。新たに国税源泉徴収義務者情報を活用しまして、年度計画を大幅に上回る結果になるということでございます。

19ページからは、厚生年金等の徴収対策でございます。これにつきましても、事業所ごとの行動計画の策定、進捗管理の徹底、強制徴収などを実施いたしまして、収納率が98.8%と、前年度を上回ることができた状況でございます。

 続きまして、23ページから、年金給付の項目であります。

 サービススタンダードにつきましては、目標の90%を維持できたということであります。

 また、24ページの下のほうにございますが、障害年金につきましては、認定の地域差の問題でありますとか、窓口対応の問題がございました。これを解消するために、等級判定ガイドラインの実施につきまして、業務を進めるとともに、覆面調査の結果を踏まえまして、初期対応の手引きや障害年金請求キットを作成し、周知して、運用を開始したということでございます。

26ページからは、年金記録問題の関係でございます。一昨年、厚生労働大臣から示された追加的施策、いわゆる紙コン事業により判明した記録のお知らせ、未回答の方へのアプローチなどによりまして、未解明記録が、27年3月の段階では2,032万件ございましたが、1,986万件まで減少したということでございます。

 その他、30ページ以降は、再発防止施策といたしまして「ねんきん定期便」等の送付でありますとか、基礎年金番号の重複付番の解消の取組みを報告させていただいております。

33ページからは、事務処理の正確性の確保の項目でございます。

 特に33ページの一番下でございますが、事務処理の遅延、書類紛失、誤送付等といった、業務の根幹に関わる事務処理誤りの根絶の取組みを進めておりまして、結果につきましては、34ページの表のとおりでございますが、特に遅延、紛失につきましては、大幅に減少させることができたということでございますが、誤送付等につきましては、減少はしているものの、引き続き残っているということでございますので、さらに取り組みを徹底してまいりたいと考えております。

 事務処理誤り全体といたしましては、36ページの表に載っております。これにつきましても、検証しておりまして、制度別の内訳も記載されておりますが、引き続き防止に努めたいと考えております。

38ページからは、年金相談の項目であります。これは真ん中の欄の2つ目の○に記載しておりますが、相談担当者の業務スキルの向上を図るために、年金相談に特化した研修を本部、年金事務所で実施してまいりました。研修実施に当たりましては、講師の質が重要でございますので、スキルの高い職員を対象に、プレゼンテーションの能力を高めるカリキュラムなどを盛り込んだ講師養成研修を実施するとともに、初心者向けの研修、業務スキル別の研修や現場でのOJT研修を実施してきたところであります。

 ブロック本部において、実施してきた研修につきましては、実践的な内容を創意工夫して実施してきたものと考えておりますが、28年度からは、ブロック本部の統合にあわせまして、より統一的な研修を推進するため、4月から本部に人材開発部を設置いたしまして、集合研修を本部で統一的に行っていくこととしております。

 具体的な内容につきましては、別表7に整理しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。

 続きまして、39ページでございます。相談体制につきまして、現状を表でまとめております。正規職員等で4割以上として整理を進めてまいりまして、27年4月の段階では、53%となっているということでありまして、今後は、業務改善計画でも申しておりましたけれども、正規職員と無期転換職員を中心とする体制として、さらに充実させていきたいと考えております。

 続きまして、43ページにつきましては、分かりやすい情報提供の推進ということで、ホームページの見直しでありますとか、また、47ページからは、公的年金制度に対する理解の促進といたしまして、年金セミナーの回数の増加によりまして、受講者を増やすなど、地域年金展開事業を推進していくという状況であります。

49ページは、お客様サービスの向上の項目であります。お客様の声を収集し、改善に繋げる取組みを継続して実施していくということでございます。

 また、覆面調査につきましては、障害年金の項目で御説明したとおり、窓口の対応の見直しに繋げることができたということであります。

53ページからは、ICT化の推進の項目であります。年度計画に基づきまして、電子申請の推進、「ねんきんネット」の利用促進を図ったということであります。

56ページからは、制度改正等への対応といたしまして、被用者年金一元化法という大きな制度改正が昨年10月にございまして、その円滑な実施でありますとか、今後、予定されております、パート適用拡大に取り組んだ点を報告しております。

59ページからは、社会保障・税番号制度への対応といたしまして、昨年、実績報告でも報告させていただきましたけれども、情報流出事案の結果、年金とマイナンバーとの連結が遅れているところでありますが、業務改善計画に基づく情報セキュリティ対策を実施しているところでございまして、これによって、今後、連結できるように、取り組んでいきたいと考えております。

61ページからは、IIの業務運営の効率化に関する項目でございます。

63ページでは、事務センターの集約について触れております。27年度は39拠点まで集約ができたということでありまして、これにつきましても、業務改善計画に沿いまして、30年度には8拠点まで集約していく予定としております。

64ページでは、年金事務所の機能集約についても報告をしております。これにつきましては、今年度、試行的に実施を行うとしておりまして、4カ所を決めて、取組みを進めている状況でございます。

65ページは、業務削減会議の準備や業務量調査の実施・検討等を進めたことにつきまして、御報告をしております。

67ページからは、運営経費の抑制等でございます。計画に基づきました、定員管理でありますとか、削減等を図っているということであります。

70ページは、外部委託の推進といたしまして、委託業者の適切な選定・管理・監視等を計画に基づいて実施した点を記載しております。

73ページ以降でありますが、契約の競争性・透明性の確保といたしまして、目標を達成している旨を記載させていただいております。

75ページからは、社会保険オンラインシステムの運用・開発、見直しにつきまして、それぞれの報告をまとめさせていただいております。

 続きまして、78ページからでありますが、III、業務運営における公正性及び透明性の確保に関する事項でございます。

 1つ目が、内部統制システムの有効性の確保ということで、業務改善計画の実行につきまして、報告しております。

 内容は79ページからでございますが、本部の縦割りを改善するという趣旨で、常勤役員会を、この1月から、毎週1回実施してきているということであります。

 また、4月からは、本部の見直しをいたしまして、事業企画と事業推進の2つの部門に再編するという見直しをしております。

 また、事業推進部門におきましては、現場の管理を統括する事業推進統括部を4月に設置いたしまして、これとあわせまして、15の地域部を設置いたしまして、ブロック本部の統合を進めている状況であります。

 地域部には、それぞれ地域マネージャーを配置いたしまして、拠点の訪問を行わせまして、その結果につきまして、月1回程度、本部役員に報告を行うなど、現場に対するルールの徹底と現場の状況の把握を担う役割を担わせたということであります。

80ページの1つ目の○は、組織改革の続きでありますが、ブロック本部統合につきましては、人事・労務関係の業務に携わっていた職員は、この4月に本部に全て異動させたということで、約190名が異動になったということであります。

 今後の予定といたしましては、10月に経理関係業務、そして、来年4月には、全ての職員を本部に集約いたしまして、ブロック本部の集約を完全に果たす予定としております。

81ページからは、コンプライアンスの確保の関係でございます。

83ページは、コンプライアンス上問題の疑いがある事案につきまして、調査をして、必要な制裁、減給等を実施した点を報告いたしております。今後も綱紀粛正等に取り組んでいくところであります。

86ページからは、業務改善計画に関する事項のうち、業務改革に関する事項でございます。ルールの徹底のために、指示・依頼の削減の取り組みを始めた点、また、指示の実効性を確保するために、本部に専門の審査体制をこの4月から構築しております。

87ページには、先ほども申しましたけれども、地域マネージャーの取り組みでありますとか、指示を受ける拠点の各課(室)に伝達担当者等を置くことによりまして、ルールの徹底を図る体制を作っていくことを御報告させていただいております。

88ページからは、適正な監査の実施といたしまして、監査体制は、従来、9つのブロック本部にありましたが、これを標準化するために、東日本と西日本に統合するという点、また、無予告監査を全年金事務所で実施するなど、不備がある点の改善に繋げておりまして、不備があった件数と改善状況につきまして、それぞれ記載させていただいております。

 また、監査の報告会を開催いたしまして、改善に向けた提言を関係部門の長に実施するということも、あわせて行っております。

89ページは、組織風土改革の推進という項目でございますが、これは業務改善計画にあります、今後、再生プロジェクトを進めるということでございますが、自ら考え、自ら実行するということを実現するために、再生プロジェクトを現場レベルで推進する組織につきましても、検討しているところでございます。

91ページからは、人事及び人材の育成の項目であります。

92ページは、全国異動の状況であります。

93ページからは、職員の管理職、女性職員の推進ということで、女性の管理職割合13%を27年度の目標にしておりましたが、これにつきましては、達成できたということで、引き続き、女性の活躍の推進に努めたいと思っております。

 また、有期雇用職員の正規登用でありますとか、無期雇用への転換も引き続き実施しております。

96ページからは、人材の育成といたしまして、研修でございます。

 特に97ページにあります、情報セキュリティ研修がなかったということでございましたので、その強化を図ったということを御報告させていただきます。

100ページからは、業務改善計画に関する事項のうち、人事改革に関する事項でございます。人事制度のあり方・職員の活性化といたしまして、本年1月から、組織の一体化や若手人材の発掘を推進するために、人事の一元化を行ったということ、また、一体化の観点から、本部・拠点間の人事異動を促進するとともに、全国拠点網維持のために、引き続き拠点間異動を行う方針を、本年3月に職員に周知したところであります。

101ページの真ん中のあたりでございますが、新キャリア形成につきまして、状況を御報告いたしております。新キャリア形成につきましては、ゼネラリストと専門職のキャリアパスを示し、キャリアの形成を図っていくこととしているものでございまして、本日のこの資料でいいますと、別表の14ページに、キャリアパターンの案をつけておりますが、この原案につきましては、3月に全体図を職員に示させていただいたところでございます。

 また、新入講員に対するキャリアパスといたしましては、本年4月から総合コースを開始しておりまして、課長代理など、それぞれの役職につきましては、人事制度の改革として、今後、鋭意実施に移すこととしておりまして、各制度の実施期間が遅れることがないように、進めているところでございます。

103ページからは、人事改革のもう一つの項目、信賞必罰の人事評価につきまして、報告いたしております。本年1月から、意欲・実績ともに低い職員に対しては、降格の要件を拡大いたしまして、能力改善プログラムを実施しても、改善しない職員は、降格することといたしました。

 一方で、人事評価の評価分析につきましては、よい評価と悪い評価のウエート配分を行いまして、メリハリのある人事評価とするという見直しを行っております。

 続きまして、106ページ、情報公開の推進の項目であります。アニュアルレポートの実直しを行うとともに、事務処理誤りの公表につきましては、26年度の年次報告から、解明中の案件につきましても、件数を公表することとしておりましたが、これを継続実施したということでございます。

107ページ、業務改善計画でも、情報開示につきましては、見直しを行うとしておりました。1月から情報開示の担当理事を設置するとともに、4月に担当部署も設置いたしまして、各種の情報をモニタリングし、問題点を早期に把握する体制の確立に向けまして、検討を進めております。

108ページに記載しておりますが、現場の状況を迅速に把握するために、拠点長からの日報、日次での業務報告を4月から導入しているところでございます。

 最後の項目となりますが、110ページは、個人情報の保護に関する事項でございます。業務改善計画の大きな柱の1つとなっていたものでございまして、その進捗につきましては、112ページから、それぞれ記載しております。

 組織名につきましては、御案内のとおり、昨年10月、情報管理対策室などの体制を整えて、また、今年の4月からは、最高情報セキュリティアドバイザーを設置して、高度な専門性のあるアドバイスをいただく体制を作ったところでございます。

114ページからでありますが、技術面の対策といたしまして、年金個人情報を安全性の高いシステム領域に構築すること、また、現在、遮断中のインターネットについては、独立した領域に専用の環境を構築することなど、システム上の防御対策につきましては、準備を進めた点を御報告しております。

116ページの運営面の見直しであります、情報セキュリティーポリシーの見直しでありますとか、従来、備えておりませんでした、インシデント対処手順書、また、これら諸提言の周知を図りまして、危機意識を高めるための研修・訓練の実施に取り組んだ次第でございます。

 以上、報告書の案につきましての説明でございます。

 

増田部会長 ありがとうございました。

 ただいま、業務実績報告書(案)について、説明をいただきました。

 昨年は、情報流出事案があって、当部会の開催もイレギュラーになりましたが、一昨年までは、案がとれた確定版で、この部会に機構から出していただいておりました。昨年、さまざまな事案等がありまして、部会の機構に対する監視機能を強化していくというお話があって、そこで、計画についても、従来、部会は、案の段階で特に申し上げることなく、機構が作って実行する、部会はそこを評価するという建前で、一昨年まではやっておりましたが、この部会が、計画案の段階について、いろいろ意見を申し上げて、計画案に反映させていただく。こういうことが、27年度、特に業務改善計画なので、まさにそういう形で行われたものであります。

 それから、いざ評価することにつきましても、業務実績報告書の案をまず出していただいて、それで、さらに評価することについて、必要な資料があれば、追加に用意をしていただくとか、今日、これからの質疑を通じて、さらに評価に当たってのさまざまな点について、理解を深めて、こういう形でやっていきたいと思っております。

 そういうことで、これまで各委員の皆さん方から出ておりました、当部会としての機構に対しての積極的な監視機能の強化をする、こういう部会の役割を果たしていきたいと思っておりますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。

 それでは、ただいまの説明内容について、御意見、御質問など、資料提出要求等もあろうかと思いますが、各委員の皆様方から御発言をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 岩瀬委員からどうぞ。

 

岩瀬委員 いくつかありまして、基本的なことをまずお尋ねしたいのと、資料の提出をお願いしたいのですが、理事長のおっしゃった、自ら考え、自ら実行する、この理念は正しいと思いますけれども、それを予定どおり進捗しているかどうかをチェックするための資料というのを、部会に提出していただけないでしょうか。

 これは我々がチェックする場合、基本になるのは、2月の部会に提出された、再生プロジェクト工程表だと思うのですけれども、この工程表に書かれている具体的なプログラム、それと、何を目指して、中期計画でこれを実施していくのか。そういう全体像が分かる資料をいただきたい。

 特にキャリアパスと全国異動ルールに関してですが、私、この間、三度ばかり、機構にお尋ねをしていますけれども、全く納得のいく資料が提出されていない。ようやく出てきたのが、先ほど紹介された、このキャリアパターン案という、ポンチ絵1枚です。これがあるから、実施しているという言い方というのは、なかなか納得ができなくて、この工程表を作るに当たって、何をやり、どこをどういうふうにしているのか。それの詳細なプランを出していただけないと、これを中期計画でやっていくわけですから、最初にそういうプログラム、計画書がないと、途中でどうなるかわからないという不安がありますので、それをぜひ出していただきたいと思います。

 もう一点、年金相談に対する研修等、いろいろやっていらっしゃるということですが、研修はたくさんやっているのだけれども、これの効果測定は、どういうふうにして見ているのか。そこのところをはっきりさせていただきたいのです。

 研修がきちんとされていれば、前回、前々回だったと思いますが、職員から内部通報があって、きちんとサポートがされていない。どういう事案だったかということも調べてみて、お聞きしましたけれども、それほど難しい事案ではない。そのサポートがきちんとできない。しかも、事実であるということは、そちらが調査されて分かっていると思うのですけれども、それを今後の相談体制にどう生かしていくのか、その辺をとりあえずお聞きできませんでしょうか。

 

増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

水島日本年金機構理事長 まず研修体制は、後ほど、担当から御説明させます。

 現在の進捗につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、実行段階のスケジュールも含めて、概ね予定に沿ってきていると思っておりますが、必要な資料はお渡しいたしますので、例えばスケジュールが、今、どうなっているかという個々の項目についてのスケジュールをお出しすることは、全く構いません。

 

増田部会長 御担当の方、どうぞ。

 

木谷日本年金機構理事 人事・会計部門担当の木谷でございます。

 研修につきましては、制度的な研修といえば、総合研修を本部でやっていたわけでございまして、実務的な研修というのは、今までブロック本部というところでやっておりまして、その後、現場でOJT、職場内研修というのが主な流れとなっています。そういう形で、今回、職場内で、特定業務契約職員についても、年金相談の窓口に出られるように、研修をやってきたということでございます。

 そういう中で、今回の投書といいますか、あったわけでございますけれども、本人については、いわゆる上司がなかなか対応してくれなかったといったこともございますが、上司がお客様の質問内容を確認するのに時間を要したこともあって、実質的には、当日中に所長がお客様対応を完了していたということで、それはこちらで確認をしたということでございます。

 こういった状況も踏まえて、今後については、先ほど申し上げましたように、今回、人事部門を一元化したことによって、研修の体制を見直すと同時に、研修制度についても、見直しを引き続き取り組んでいきたいと思っています。

 

増田部会長 岩瀬さん、どうぞ。

 

岩瀬委員 まず再生プロジェクトについて、12月、1月の段階で、プログラムを策定して、3月の段階で告知して、今、実施している。この3点セットはどういうプログラムが作られて、それを中期計画でどのように実施していくのか、基本計画、設計図がないといけないと思うのです。それと、どういう告知をしたのかという具体的な告知の内容で、その中で、今、何をやっているのか、3点セットで出してください。

 

増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

水島日本年金機構理事長 よくお話を承って、御要請の資料がどういうものかということを、よく理解した上でお出しをしたいと思いますが、一点、御理解をいただきたいのは、今、お手元にその資料でお出しをしている、一番最後の資料でございますが、別表14というところなのですが、基本的には、キャリアパターンについて、やっていこうとしているものというのは、ここでお示ししているような項目になるわけでございます。

 その中で、4月に既に行っておりますものは、新入講員に対する業務ローテーションの変更を行っておる等々、3点ほど、実際に4月から行っておりますが、具体的な制度を設計というのは、今も行っているものもあるわけです。例えば専門職制度について、どのような制度にしていくかということについては、下期から募集を開始して、来年の4月には、具体的にスタートしたいと思っておりますが、それに向けて、現在、検討を詰めている段階でございまして、これはスケジュールとしては、遅れているということはございません。

 ただ、3月には、専門職制度を作るということについては、周知をいたしておりますので、そういう意味では、そこに職員周知として書いてございますが、スケジュール及び制度の概要について示すということでございますので、そういうようなものについては、予定どおり進めているということでございます。

 

増田部会長 ありがとうございました。

 他にどうですか。

 斎藤委員、どうぞ。

 

斎藤(聖)委員 まず短い期間に全体的な取り組みを始められたこと、まだ成果は十分に出ていないところもあるかと思いますけれども、いろいろな問題に対して、取り組みを始められたことに、敬意を表したいと思います。

 その上で、御提出していただく書類に書き添えていただきたいことがあります。セキュリティの問題の報告を拝見いたしますと、羮に懲りて膾を吹くみたいな、オーバーリアクションに走っているところがあるのではないかというところが危惧されます。機構を経営なさっていく上で、当然セキュリティを強化しなければいけませんけれども、効率的な運営が重要なわけで、それが損なわれていないのか、そのあたりのバランスをどのように工夫していらっしゃるのかというところを書いていただけたらと思いました。

 それから、自ら考え、自ら実行するということを伺いました。これは岩瀬委員と同じ意見なのですけれども、それをどのような形で実行しているのか、何か成果が現れているのだろうかというのをもう少し知りたいと思います。例えばどこでしたか、何かカタログを作って、市町村に配布しましたということがございました。配布しただけで、通知が徹底されるのでしたらいいのですが、なかなかそうはいきません。そのためには、どうすれば周知徹底できるのかということを、職員の方たちがどのように考えていたのかとか、そういったところをもう少し具体的に教えていただけたらいいと思いました。

 以上です。

 

増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

水島日本年金機構理事長 セキュリティに関しては、御指摘のとおり、極めて業務に大きな影響が出ているままの状態が、約1年間、まさに昨年の6月1日からストップをしている業務がかなりございます。既にスケジュールどおりに進めておりますが、しかし、おっしゃるとおり、現場の実態について、よりもっと精緻につかんで、何としても解決をするという姿勢で臨まなければいけないと、私は強く思っておりまして、そこについて、各方面の御理解を得ながら、できるだけ早く進めたいと思っております。現在の問題点及びスケジュールについては、お示しできると思います。御報告を申し上げるようにいたします。

 それから、自ら考え、自ら改革するということでございますが、1つは、冒頭申し上げましたが、職員一人一人がこの組織のあり方について、まだ旧社会保険庁時代と同じ考え方を持っているというところに問題がある。

 その問題というのは、2つございまして、1つは、本部は指示をする人で、現場はやる人ですから、現場は指示されたことはきっちりやる。これは非常に厳格にやっていると思います。しかしながら、それ以上のことが果たして自ら実行できるかということについては、自らの役割をどう考えているかということについて、もう一度、それぞれの事務所のあり方について、今、考えさせるプロジェクトをスタートしたいと思っていまして、これからでございますけれども、現在、早急に立ち上げる準備を進めているところでございます。

 本部でございますけれども、本部の問題として、これも大変語弊があるかもわかりませんが、本部も自らの組織設計について、自ら考える能力というのを失ってきている部分があります。これの目的を明確にして、執行機関でありますから、制度を執行する機関として、どうあるべきかということを自分で考えさせることは必要だと思っておりますが、再三申し上げておりますが、これも全員来ているはずですが、このプロジェクトは、彼らが作っております。彼らに実行させておりまして、まさにプロパー職員たちが作り上げてきたものでございますので、もちろん意見は言っておりますが、それを何とかして実現させてやって、結果を出させるということが我々の務めだと思っております。

 先ほど申し上げましたとおり、いろんな問題がありまして、短時間で一人一人の意識が変わっていくことは、非常に難しいというのは、まさに実感をしておりますが、後にいる多くの人たち、一人一人が現場拠点にも行って、多くの議論をしてくることが結果を出してくることだと思っていまして、そういう方向で進めたいと思います。拠点でどういうプロジェクトを発足させるかということにつきましては、別途、御報告を申し上げます。

 

増田部会長 どうぞ。

 

斎藤(聖)委員 今の御説明をいただいて、大変よく分かりました。そのようなことを定性的な言い方に当然なりますけれども、もう少し膨らませて、報告書に書いていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

増田部会長 ありがとうございました。

 他にいかがでしょうか。

 藤井委員、それから、西沢委員にしましょう。藤井委員からどうぞ。

 

藤井委員 ありがとうございます。

 いくつか気がついたところを申し上げます。13ページを見ますと、前年を大きく上回る9万2,550事業所の加入指導ができたということをお書きになっていて、私ははかばかしい成果だろうと思いますが、これを評価するに当たって、注意するべき点と思われることとして、平成27年度から国税の源泉徴収義務者の情報を入手することができるようになったことだと思います。したがって、何をどう評価するかですけれども、国税から情報が得られたということを、要求をしていたということが実現したということを評価するということが、1つあればと思います。

 一方で、国税がそれを許したというのは、棚ぼたという面もあるわけでありまして、それを受けて、昨年度、何を行ったからどう評価されるのかというのは、いま一つ、よく分からないので、これがすばらしい成果なのか、誰のいかなる成果なのかというところをどう評価するのかというのは、考察を要するのではないかという感じがいたしました。

 次に34ページでございますが、事務処理遅延・書類紛失・誤送付・誤送信・誤交付というところで、平成26年度が233件、平成27年度は51件と、これもはかばかしい改善と見られます。恐らく相当な努力、または体制上の工夫などがあったのではないかと思いますけれども、書いてあるのかもよく分からないのですが、特に検討されたり、説明されたりして、どのことがこのようなはかばかしい結果を導いたのかというところが重要ではないかと思います。先ほどのやりとりの中でも、理事長も全体方針、または事務所内での心のあり方の改善が、ひょっとしたらこういうところに具体的な数字であらわれているのかもしれないですけれども、ちょっとよく分からないので、数字だけ見ると、極めてはかばかしいわけですが、その背景をどう捉えればいいのかということは、評価と関係するのではないかと思いました。

42ページですが、離島でテレビ相談をするというアイデアで、これは改善計画の中でお示しになっていて、これは一見いいアイデアのようには見えるのですけれども、テレビ電話にとどまるのであれば、今どきであれば、個別のメーカーの商品名を言うのも何ですけれども、フェイスタイムにしろ、何にしろ、現在のテクノロジーでは、テレビ電話というのは、極めて安価で、容易で、誰でも日常的に使用しているものでありますから、これをとりたてて言うほどのものになるのかという疑問はあります。仮にバンキングを遠隔地でやるとか、そういうこととのアナロジーで考えているとしますならば、具体的な手続だとか、確認だとか、具体的に何かができることでなければ、電話するのとテレビ電話と、どれほど違うのかという問題もあるでしょうし、一見すばらしいことのようだけれども、具体的に何がどうできるのかというのは、重要な検討を要するのではないかという感じがします。特に大変な予算をかけた結果、ただ、フェイスタイムと変わらないようでは、特に意味がないのではないかという感じがいたします。

51ページでございますが、中段に満足とほぼ満足が87.5%ということで、前年の75.4%を上回っている。これもはかばかしい成果のように一見見えます。しかし、この調査の内容をよく知る必要があると思います。87.5%の反対の数は12.5%ですけれども、恐らく計算は合っていると思いますが、調査の仕方は5段階なのか、4段階なのかという大きな違いがありまして、満足、ほぼ満足の次に、普通というのがあって、その後ろに少し不満と不満があるのか、それとも、満足とほぼ満足の次は、少し不満なのかというのが大きな違いで、もし普通がないとすると、12.5%の方が不満を持っておられるということで、満足が増えるのは結構なのですけれども、明確に不満を述べておられるとすれば、誤りの数は大きく減ったのかもしれないのですが、誤りと認定されるには至らないけれども、強い不満をお持ちになっているケースがあるのかもしれないという気がします。内容の明確化と内容の分析と、そういうことが評価との関係では重要ではないかという感じがします。

 今、思いついた最後のことなのですけれども、これは書きぶりの問題ですが、88ページを拝見いたしますと、言葉遣いの問題なのですが、全体には監査という言葉をお使いですけれども、一部特別監査の中で、検査的手法という言葉をお使いになっています。一部議論があったように伺っていますが、私の理解では、国語としての監査と検査にそれほど大きな違いがあるとは思えません。これは特定の法令のもとにおいて、特定の定義をする場合には、違いがある場合はあると思いますけれども、本件の場合、特に定義なく、部分的にこう書き分けた場合、読者がそれをどう理解するかという疑問があるのではないかと思います。特に定義なく書き分けるのであれば、そういうことをしないほうが分かりやすいのではないかと思います。

 以上です。

 

増田部会長 ありがとうございました。

 どうぞ。

 

深田日本年金機構理事 いただきました御質問のうち、最初の13ページの厚生年金の適用の関係でございますが、国税の源泉徴収情報は、大変有効な、まさに給料がお支払いされているという情報ですので、この情報を得たことは、とても我々にとっては、活動のしやすい、価値の大きなことだったと思っています。ただ、それだけでは当然ないわけで、我々としては、そういう情報をもとに、職員が文書勧奨をしたり、あるいは訪問したりという活動を、資料の15ページを御覧いただきたいと思うのですが、26年と27年で比べていただきますと、文書、または電話による指導回数、あるいは来所要請の回数、訪問による回数というものが全て増加しておりまして、言葉がちょっと変かもしれませんが、ターゲットを決めて、そこにかなりの頻度で勧奨に伺ったという結果だと思っております。

 それから、いただきました51ページの満足度調査の関係でありますが、評価は12.5%ですけれども、この評価は、満足、やや満足、普通、やや不満、不満というのが入っていまして、満足とほぼ満足を足して87.5%でございます。12.5%のうち、普通とお答えになられた方が10.2%という状態であります。まだ分析が十分完了しておりませんので、次のときには、分析できたもので御説明させていただきたいと思います。

 

増田部会長 どうぞ。

 

下山日本年金機構理事 それでは、34ページの事務処理遅延・書類紛失及び誤送付・誤送信・誤交付の発生状況について、御説明させていただきます。

 私どもでは、今の表と次の誤送付・誤送信・誤交付の3大事案は、非常に業務の根幹を揺るがす事務処理誤りと位置づけまして、取組みを行ってまいりました。取組んだ状況につきましては、誤送付等防止チェックシートとか、書類の状況を6色ボックスといいまして、6つの色に受付とか、処理中など、そういうように色分けする6色ボックスというのを徹底してきております。また、受付進捗管理システムの導入の徹底を図りまして、特に処理遅延、書類の紛失には、効果が上がったのではないかと思っておりますが、さらにまだゼロというわけではありませんので、今後、また今までの取組みの徹底をしまして、ゼロを目指していきたいと考えております。

 

藤井委員 今のお話の中で、受付進捗管理システムというのが、このページの上のほうに書いてあるのですけれども、これにより、未完結となっている云々と書いてあるのですが、これは新しく導入したシステムということですか。要するにそれが原因で、昨年度、はかばかしい変化があったかというのは、従前からあるシステムを昨年も使ったということであれば、はかばかしい原因にはならないような気がします。

 

増田部会長 理事長、どうぞ。

 

水島日本年金機構理事長 彼女は1月からでございますので、去年の細かいところは、私から御説明したいと思いますが、受付進捗管理システムは、2~3年ぐらい前から導入をいたしておりまして、全ての書類について、受付した時点からバーコードで処理状況を管理する、こういうシステムでございます。それが定着をしてきているということがまず1点あると思います。

 それから、それを物理的に担保する仕組みとして、極めて原始的ですが、書類の管理状況に応じて、箱を作りまして、色で分けてあるのです。それは、ある事務所がやった好事例でありまして、その好事例を当時深田君が所管でしたが、それを全国に広めた。それが定着をしてきたのが、昨年ということがあった。

 もう一点は、これはあまりいいことだとは思っておりませんが、これだけ書類をなくしてしまうということは、あるいは処理遅延が起きるということは、組織としてもたないと認識をして、評価上も極めて厳しい評価を行いました。したがいまして、それが隠ぺいされるということについては、極めてさらに厳しい処分をいたしておるという状況を作っておりまして、その結果で、こういうふうに減ったと思っておりますが、まだまだ発生していることは事実でございます。何としてもこれを根絶しなければいけないと思っておりまして、起きている事案について、なぜ起きたかということを1つずつ分析して、現場の指導を徹底するということを彼女の部下は毎日やっている。それによって、減ってきているということでございます。

 

藤井委員 自慢げに書くと、書きにくいかもしれませんけれども、もう少しお書きになると、さらによろしいと思います。

 

増田部会長 どうぞ。

 

○樫本日本年金機構業務改革第1G長 再生プロジェクト推進室の樫本でございます。

 テレビ電話相談についてでございます。こちらにつきましては、29年度の下期から、試行的に実施をするということで考えておりますが、御指摘のとおり、テレビ電話と電話の区別をきちっとしなければいけないと思っております。

 今、検討しておりますのは、テレビ電話につきましては、対面相談と同じような相談ができるような形で、例えばお客様が年金請求書を記載したいと言っているときに、電話ではなかなか指示ができませんので、テレビ電話を使いまして、請求書を追いながら、お互い見ながら、ここにはこういうものを書いてほしいとか、そういった形を検討しておりまして、離島のお客様というのは、なかなか事務所に出向くというのは、非常に厳しいわけでございますので、できるだけ対面相談と同じようなテレビ電話相談を実現していきたいと考えております。これを踏まえて、ニーズ等を検討していきたいということでございます。

 

増田部会長 理事長さん、どうですか。

 

水島日本年金機構理事長 テレビ相談に関しましては、彼は長崎県の離島の出身でございますので、実際に不便を現場で感じている人たちがいることを踏まえて、そういう案を出してきている面があります。実際には、現実にどういうコストで、どういうものができるのかということは、まだ具体的にはありません。今、検討中でありますので、そのコストを見ながら、最終的に決定したい。また、御説明をした御意見を承って、進めてまいりたいと思います。

 

増田部会長 続けて、どうぞ。

 

水島日本年金機構理事長 検査的手法と監査的手法の問題でございますが、私どもといたしましては、種々御指摘がございましたが、監査的手法に関しましては、機構のシステム、業務のあり方に関して、是正をする、あるいは見直しの必要な部分について、監査部の監査セクションで、担当させたいと考えているということが1点です。

 検査的手法に関しましては、先ほども申し上げましたが、いろいろな事故が起きます。これを摘発しないと、よくならない点があります。これはどこがどういう形で是正すべき項目があるのかというのを、事務所ごとに指摘していく。これは検査的手法であると定義をいたしておりまして、このような使い方をいたしているということでございます。

 

増田部会長 ありがとうございました。

 次に西沢委員、それから、齋藤委員、お願いします。

 

西沢委員 全体を見て目を引いたのは、先ほど来、話のあった厚生年金の適用事業所が大幅に増えたことで、それは昨年度のイノベーションだと思うのですけれども、ですから、ここは大いに評価されるべきだと思います。

 2つ質問なのですけれども、1つは、実績報告書(案)の本文中の1ページ目の下のほうで、市町村との関係の話ですが、昨年の8月の部会で、年金事業管理課長から国民年金市町村管理支援ツールを紹介されて、非常にいいと思っていたのですけれども、それがどういうふうに扱われているのか、市町村にきちんと手渡されて活用されているのか、結果を教えてほしいですし、年金事務所だけでは、エリア的に手薄な地域で、市町村に特に相談が多く来るようなところがあると思うのですけれども、そういったところがどれぐらいあって、例えばどんなふうに活用されているのかといった、フォローアップが必要だというのが1つです。

 もう一つは、別表1の1ページ目の下の下から4行目に、国民年金の口座振替利用率がありまして、足元で数字が落ちているのですけれども、その要因ですとか、下にクレジット利用率が1.9%とあって、その下に線を太くして、マルチペイメント利用状況というものがありますが、全体として、国民年金保険料の納付のルートとしては、口座振替、クレジット、振り込み等々ありますけれども、全体を100としたときに、どういう数字になっているのかといった情報が欲しいですし、前年度に比べて振替利用率が落ちているのは、推測ですけれども、年齢の高い方は振替を比較的利用していて、その方が抜けて、新しく入ってきた若い人たちがあまり使わないので落ちていると思うのですけれども、そこら辺の分析と対応についても、教えていただきたいと思います。

 以上です。

 

増田部会長 ありがとうございました。

 どうぞ。

 

宮本日本年金機構理事 事業企画を担当しております、宮本でございます。

 御質問いただきました、1つ目の口座振替が前年度を下回った理由でございますけれども、これにつきましては、あまりはっきりとした、確定的にこういうことだろうという調査ができているわけではございませんが、1つ、私どもで考えておりますのは、昨年度は不正アクセス事案に基づく情報流出事案がございましたので、それに基づくなりすまし防止の観点から、私どもからの納付の勧奨をとめていた時期がございました。通常、口座振替につきましては、そういった納付の勧奨をするときに、あわせて口座振替のお勧めをするということで、割と口座振替を申し込んでいただけるお客様がいるという感触がございましたが、去年、口座振替の勧奨がややできなかった、低調であったということが、原因ではないかと推察はしております。

 2点目、資料のことですが、納付、ツール別にといいますか、経路別にどういう比率になるのかということにつきましては、次回、資料を整理して、御報告させていただきます。

 

増田部会長 それでは、よろしくお願いします。

 どうぞ。

 

高橋事業管理課長 最初で、市町村への業務支援ツールの話だと思いますけれども、お話いただきましたが、元々は市町村で、国民年金事務をされている職員の方で、在職年数がそんなに長くなく、必ずしも国民年金業務に精通されている市町村職員の方ばかりが窓口に立たれているわけではないということで、そういう方にとって、使いやすいマニュアルというのをお配りしてやってきておりまして、制度改正などがあれば、適時、そのページを改定して、それについては、ホームページからダウンロードできるようにさせていただいております。

 どのように活用されているかということですけれども、私が知っている事例ですと、市長村でもう少し携帯しやすいように、サイズを縮小して印刷をして、それを職員の方が日々活用されているというお話は伺ったことがございます。

 

増田部会長 今の関係は、もう少し調べて、高橋さんのほうで、後で報告しておいてくれますか。

 

高橋事業管理課長 活用状況等、どういうデータがあるか調べて、何かあれば御報告をさせていただきます。

 

増田部会長 よろしいですか。

 齋藤委員、どうぞ。

 

齋藤(衛)委員 齋藤です。

 細かいところなのですけれども、先ほど藤井委員のお話の一部を拾うと、事務処理遅延等の改善ですけれども、34ページの表を月単位で見ると、平成26年の9月から10月の間に実施した施策が、すごく効いている様子が数字で見てとれるのではないかと思うのですけれども、このときに何をやったのかというのと、施策がいくつか書いてあるのですが、チェックシートとか、監査、6色ボックスなどということが、それはどの時点で、どういうふうに実施されたかというのが少し分かりにくいので、平成27年度の評価としては、26年度にがっと下げたものを維持したということなのか、新しく打っていった施策が適切だったという評価になるのか、考える上では、もう少し記述を分かりやすくしていただいたほうがいいと思いました。

 

増田部会長 理事長さん、よろしいですか。

 

水島日本年金機構理事長 確かに御指摘の時期に、相次いで起きた時期がございます。緊急点検と緊急再発防止策というのを、その時期に出しました。評価も含めて、あるいはここでも一度御議論いただいたと思いますが、例えば今まで判子を押すルールになっていないものを、全て個人印を押させるようにするとか、そういうようなことも含めて、ルールを再度見直しして、作り上げた。その結果、26年下期に減りました。そして、27年度にさらに減ったと、こういう状況にあると御理解をいただければと思います。

 

齋藤(衛)委員 どこが27年度の活動なのかということがもうちょっと分かりやすくしてもらいたくて、ここに書いてあることは、全て27年度なのですか。

 

水島日本年金機構理事長 精査して、別途、御報告いたしますが、26年度にやったことをそのまま27年度も徹底しているというのが、基本的なことだと思いますが、ただし、徹底の度合いについて、例えば個別に指導して回るということは、26年度はやっておりませんで、そういうようなことを行うとか、あるいは監査を強化するというところで、ちょっと見てみます。

 

増田部会長 よろしくお願いします。

 大山部会長代理、お願いします。

 

大山部会長代理 大山ですが、2つほどお聞きしたいのと、あと、お願いが入るかもしれません。

 まず27ページにあります「ねんきん定期便」を契機にした年金記録の確認に関する申し出が約3万件あるという話についてです。かつてから年金記録の正確性の確保に関しては、さまざまな取り組みをなさってきたことは、よく承知しておりますけれども、年金記録の確認の中で、前にあったのは、標準報酬月額の記載が違う、あるいは届け出が違っていることなどが、事務処理誤りとして分類されたことがあったやに記憶しています。

 今回、その件に関して、先ほど申し上げた3万件ですが、まず記録の確認に関する申し出が3万件あったというときの中身が何であったかというのを、もう少し詳しく教えていただけないだろうか。もし、その中に、標準報酬月額の誤りがある、あるいはこの3万件以外でも結構なのですが、標準報酬月額の誤りに関しては、今回、出していただいている事務処理誤り、すなわち36ページの部分で、発生状況が減少していると見えますけれども、こちらに含まれているのかどうか、この辺は今までの流れの整合性を考えると、その辺の記述が全くないので、そこを明らかにしていただけないだろうかというのが、1つのお願いです。

 2つ目ですが、これも重要なことと認識しておりますが「ねんきんネット」に関してです。115ページで、記載の仕方についても、改善のお願いをしたいと思いますけれども「ねんきんネット」は、御案内のとおり、これから重要な情報提供手段、あるいは被保険者にとって、自分の記録の確認手段になっていくと思います。その中で、インターネットの環境にどうしてもバツとなっているわけで、このインターネット環境に出ている状況が、万が一、何らかの問題を起こすと「ねんきんネット」自体の信頼が失ってしまいかねない。ここはある意味不安であり、日々不安が残っているわけです。

 例えば115ページのところを見ますと「ねんきんネット」等については、運用管理業者等により、情報セキュリティ対策の点検を行いましたと書いてあって、結果が書いていないのです。点検は手段であって、目的ではないので、その意味では、目的を達成したのかどうかということを、ちゃんと触れていただきたいと思います。

 さらにあるのは「ねんきんネット」については、多段の防御をするような話も含めて、いろんな形で説明がこれまであったかとは思うのですけれども、ホームページを見ると、不正なアクセスについては、見つかっていないというか、事例は機構側に分かっていないという言い方が正しいのか、文章を見ていただければすぐ出てくるので、こういう言い方をするのは、目をつぶっていたら見えないということと同じことなので、もしこの言い方は、もちろん通例で考えてもこう言わざるを得ないのは分かるのですけれども、具体的に例えば不正があったかどうかについて、追いかける方向、あるいは知るための努力というのはなさっているかどうか、ここについて、補足等があれば、教えていただきたいと思います。

 以上です。

 

増田部会長 最初に理事長さん、どうぞ。

 

水島日本年金機構理事長 3万件の中身、今の御指摘については、調べまして、次回、御報告申し上げます。

 

増田部会長 その点、お願いします。

 

水島日本年金機構理事長 「ねんきんネット」についてでございますが、各方面からチェックをいただいておりまして、どこかということに関しては、控えさせていただきたいと思うのですが、今のところ、システム的な問題はないといいますか、ないということをおっしゃっているわけではないということですが、具体的な指摘がここを是正すべきであるという指摘には至っていないということだと思います。

 これは、ぜひ大山先生の御意見も承りたいのですが、私はオンラインといいますか、インターネットに直接全てのデータがさらされる可能性があるというシステムそのものは、やや問題があるのだろうと思っておりまして、ただ、お客様の利便性をどこまで犠牲にするかという問題と、御指摘いただいておりますが、マイナポータル等の関係のセキュリティ措置、それらの関係をどういうふうに考えるのかという問題も含めまして、検討していかなくてはいけないと思っております。

 いずれにいたしましても、いわゆる不正な通信といいますか、そこは常に監視をしているという報告を受けて、特段の問題の通信、あるいはログが発生しているということはないという報告を受けておりますが、常に不安があることは事実だと思います。このシステムを将来にわたって維持していくためにも、一定の不便さは御理解をいただいた上で、安全性を優先するということを考えて、その場合にコストがどうなるか等々については、一定の検討を進めなければならないと思っております。

 

増田部会長 よろしいですか。

 それでは、資料は後日、よろしくお願いします。

 松山委員から原委員、どうぞ。

 

松山委員 実績報告をどうもありがとうございました。

 すごく幅広い取り組みを始めておられて、その中には、組織体制の変更とか、研修など、時間をかけて取り組まねばならないこともたくさんあると思いますので、この後、成果を見ながら、PDCAを回していただければと思うのです。

 私のほうで、もう少しこうしたらと思ったところは、1カ所だけでございまして、監査のところです。これだけいろいろな不祥事等も報道されている中で、内部監査体制の強化というのは、ものすごく課題でいらっしゃると思うのです。今回の報告書の中に、結構あちらこちらに出てくるのが、28年3月までに行った、全年金事務所312拠点への無予告一般監査というのがあるのですが、これは非常時対応として強化した監査なのか、それとも定例的にルーティーンで繋がるものなのか。

 やはり監査というのは、全拠点は無理にしても、ある程度重要拠点というか、ルーティーンで続けていって、見つかった不祥事とか、問題事象が増えたのか、減ったのか。増えている拠点の監査を強化するという形で、継続性が必要だと思うのですけれども、いろいろな年金関係の取り組みについては、すごく重視しておられるところは、経年変化というか、何年前は何件だったのが、今、何件ですという形で御報告いただいているのですが、監査のところについて、88ページのところにある、適正な監査の実施というところの監査については、そういう経過的なものではなくて、今年、やった大がかりな監査で、これだけの検出がされて、改善がされましたという御報告になっていて、できれば今後の取組みということで、特に監査体制も今回、かなり大きく東日本監査グループに統合したということで、大きく変化されたところだと思いますので、この先での取組みで十分結構なのですけれども、その中で、毎年どういうところを監査したのか、その中で、どういう不祥事が発見されて、それが毎年着実に減っていっているかどうかという形での、ほかの項目でもあるような経年的なところの見え方がわかるように、報告書を作っていただけるとありがたいと思っております。

 特別監査とかを実施したというところも、これは内部通報や不適切事案についてということなので、そういうものが、今年一年間、過去と比較して多かったのかどうかというところも把握したいと思いますので、そのあたりの取組みもお願いできればと思います。

 

増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

水島日本年金機構理事長 監査の担当は私でございますので、お答えいたします。

 前年から大きく変えましたのは、2つございまして、今までは全て予告監査でございました。前年から全て無予告監査に変更いたしています。まず基本的なところについて、例えば書類は散乱していないかとか、鍵がかかっているかとか、そういう部分について、まず徹底を図る必要があるという観点からは、やはり無予告で行うことが必要であると考えた結果でございます。

 まだ結果を評価には使っていないのでございますけれども、今後、評価に使ってといいますか、非常に問題が多い事務所に関しては、評価上も何らかの措置を行うべきではないか、全てについて行うということではございませんが、そのように考えております。これは先ほど定義をいたしました、検査ということになります。そういうことに関しまして、実験的に評点をつけるということを行って、それを事務所に返して、その結果、悪いところには改善計画を出させて、その改善計画に基づいて、今度は監査を行うということを、今、やっております。

 摘発型検査というのは、この機構において、まだ定着をしておりませんで、それが制度として、全ての事務所長、あるいは末端までを含めて、認知をするということはさせないといけない。ただし、検査ということが是正措置でありまして、人事評価にダイレクトに結びつくというのは、なかなか難しい問題もある。そこは試行錯誤の面でございます。そういう変化が1つです。

 それから、ブロック別に分かれていたものを東西2カ所にまとめたということで、標準化を行ったということでございます。将来は1カ所にしていくのかと考えておりますが、検査を担う人たちの人材の問題もございますので、1カ所にするのかどうかということは、まだ結論を出していません。

 経年でどういうふうになったかということについて、ウォッチすべきであるということは、まさにそうだということでありまして、検査、監査を積み重ねることによりまして、改善状況について、きちっと把握をし、これはもし改善しないのであれば、臨時的な対処を取らざるを得ないと思います。それを踏まえながら、機構のシステムの問題点がそこにはあると、多くの事務所が守れないとすれば、それはどこかに問題があるのだと思います。そのルールの見直しということも同時に行っていきたいと思っていまして、経年をどういうふうにお示しできるか、今はすぐにお示しできる材料はございませんが、そういう体制を整えてまいりたいと思っています。

 

増田部会長 それでは、原委員、それから、安井委員です。

 

原委員 どうもありがとうございます。

 私は、今日、この資料をこの場で初めて拝見しておりますものですから、各論的なコメントは、別途、追ってさせていただければと思います。この場では、総論的なことだけ、簡単に申し上げたいと思いますが、まずこの部会でも、昨年、相当な時間をかけて検討された、策定された、業務改善計画について、この工程表に沿って、きちんとしっかりと実行されているのかということについては、ここで十分に検証評価をしないといけないのだろうと思います。

 今、いただいている資料で、これが十分に検証できるのかというと、まだ十分ではないところがたくさんあるように思いました。先ほどのやりとりを伺っていて、個別に資料の要求があれば出しますということをおっしゃっているように聞こえたのですけれども、そうではなくて、評価するために必要な材料というのは、最初から出していただくのが筋だと思いますので、そこはぜひよろしくお願いしたいと思います。

 先ほど岩瀬委員もおっしゃられた、101ページのところで、全国異動のルール、こういったところであれば、全国異動のルールの見直しをして、どういった周知をされたのかという周知の内容がなければ、これは評価ができないと思います。ということを、先ほど岩瀬委員がおっしゃられたのかと思います。

 個別に申し上げるつもりはないのですが、もう一点だけ申し上げれば、その後の103ページのところで、信賞必罰の人事評価、これも大変重要な点だと思います。この中で、降格基準の見直し、D評価1回と通算でC評価5回といった基準の厳正化をされているということが記載されていますが、この結論だけでは、これが妥当なのかどうかというのは、なかなか評価ができないわけでございまして、この厳正化、このルールを新しく作られたことによって、どの程度の実効性があるのか、どういった検討をされたのかということが分からないと、この評価はこれでいいのではないですかという評価ができないのではないかと思います。場合によっては、機微に関わる事項もあるのかと思いますので、クローズドの作業チームで検証するといったこともあってよいのかもしれません。そういった可能性も含めて、ぜひきちんと検証していければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

増田部会長 ありがとうございました。

 理事長さん、どうぞ。

 

水島日本年金機構理事長 資料に関しましては、きちんとお出しをするつもりでございますので、御理解をいただきたいと思います。

 いろいろやっていることがどういう効果があったのかということについては、27年度についてはやっておりませんので、そこの評価にはならないと思いますが、その目的のするところと、28年度にその結果がどういう結果になったのかについては、これは28年度評価の中で御説明することではないかと思いますが、まだ実際にやって、その結果というのが出ていないものは、27年度については、少なくとも出ていません。

 ですから、そういうルールを作って、あるいはこういう制度を作って、提示をしましたということについて、御報告申し上げているわけでございますが、その結果というのが、どういう初期の結果を生んでいるのか、あるいは弊害があったのか、是正すべきなのかということについては、今は正しいと思ってやっているわけで、もちろん申請はしてまいりますが、そこを27年度の資料として、どうお出しするかということについては、ややイメージが湧かないのです。

 

原委員 申し上げましたのは、事後的な評価は、もちろんルールを実際に施行された後でということになると思いますけれども、ルールを作られる前に、当然新しいルールによって、どういう効果が期待できるのかという検証は、当然されているわけですから、それを教えてくださいということを、先ほど申し上げました。

 それは、必ずしも文書で全て出せるもの、あるいはその機微に当たるものが含まれる可能性もあるということを申し上げたつもりでおります。

 

水島日本年金機構理事長 分かりました。

 

増田部会長 安井委員、どうぞ。

 

安井委員 89ページの組織風土改革の推進というところで、これは前回でもお尋ねしたと思うのですけれども、機構自身の組織風土自身は分析されているのですか、どうなのですかという質問を差し上げたと思うのです。その後、取り組み状況として、業務改善計画の実行に着手しました。それから、いろいろなレベルでの組織運営も検討しています。自己評価として、計画を実行に着手しています。ところが、前提となっています、風土そのものの表現が依然としてここに全く表れてこない。

27年度中の組織風土の機構の中のプロジェクトチームというのがあったと思うのですけれども、今年度は、そのレポートも発表されていないということで、まず組織風土そのものは、どう分析したのですか。それから、取り組みはどんな効果が現にあるのですかということになると、自己分析ができていないものに、取り組みの方策だけ書いていただいても、内容が全くないということになるのではないですかという質問なのです。

 そういうことは、組織風土改革そのものは、この中では成立していないのではないか。前例として、IHIと今回の東芝の事件が発生したときに、最終的なくくり分けというのは、会社組織風土が悪かったのだ、その悪さについて、具体的に述べているわけです。その述べることというのは、まだ機構の中ではされていないのではないか。そういう疑問を思わざるを得ないので、結局、この報告書としては、組織風土の欄は実質空文になっているのではないかという感想を持っているのです。

 

増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

水島日本年金機構理事長 大変厳しい御指摘だと思いますが、例えば組織が一体になっていない、その組織が一体になっていない原因というのは、旧社会保険庁組織の持っていた残滓があるということでございますし、その結果はルールが徹底されないとか、リーダーシップが不足しているなど、そういうことになってきていて、それについて、是正するために業務改善計画を作ってやってきている。

 その業務改善計画の中で、ここの組織風土改革について書いてありますことは、そのような業務改善計画、あるいは再生プロジェクトに対する取り組みについて、それぞれの拠点、現場において、どのような取り組みをしていくのかということについては、今後、それぞれの拠点において、プロジェクトチームを作って、対処をし、そして、得たものについて、報告をしていただいて、議論をしていくということをしていきたいと申し上げているわけです。

 反省が足りないという御指摘かもしれませんが、質問といたしましては、さらに問題を私どもなりに掘り下げて、考えてきているつもりでございまして、そこが足りないということがございますれば、御意見を踏まえて、最善の努力はしてまいりたいと思いますので、御指摘を頂戴できればと思います。

 

増田部会長 今の点については、まだこの場での審議は続きますので、改めて内部で御検討いただければと思います。

 他にございますか。西村委員、どうぞ。

 

西村委員 2つあります。

 先に全体的な感想を申し上げますと、事務処理のところに少々関心がありまして、効率化されたとか、実施したとか、そういうことは書かれているのですけれども、どういう裏づけが出されて、こうなっていて、結果として、サービスが悪くなったことはないとか、そういうことについて、やや表現が足りないと思います。結果を書かれるのは構わないと思うのですけれども、どうしてこうなって、実はもっとこうできたのではないかとかいう話は、少し御検討していただくことがよろしいと思って、読んでおりました。

 例えばということで、29ページを見ていただきますと、これ自体は大変すばらしいことだと思います。ただ、文章を読みますと、ただ単に、体制を確保して、迅速化を図りましたということが書かれているのですけれども、今までなぜできていなくて、それがどういう体制になって、どういう教育をして、結果として、こういう結果になりました、早くなりましたというところと、もう一つ言うと、表を見ると、3カ月ごとにプロットしていただいているように見えるのですが、例えば再裁定のところを見ると、最初はすごく早いペースでやっています。だんだん遅くなっているように見えるのですけれども、これは案件が難しくなっているのか、人が減ったのかよく分からないというところがあります。文章だけを読むと、順々に教育していったので、ペースが速くなったと思ってしまうのですけれども、結果を見ると、逆になっているところがあって、ここら辺はどのような手だてをして、どうしてこういう結果になっているということを、きちんと分析していただいた結果を出していただきたいと思っています。

 こういうところが散見されるのですけれども、結果、それを一番感じているのは、事務センターを統合されていくというお話で、事務センターを統合して、業務の標準化というところがあるのですけれども、その結果、事務所と事務センター間、もしくはお客様との間で、齟齬が増えていないですとか、事務量はどうなったのですかという話というのは、ちょっと見えませんというのと、後のほうで、これから業務量調査をしますという記載がありますので、そこら辺の整合性がうまく読み取れないというところがあります。繰り返しになりますけれども、ここについては、どういう分析をされて、こういう判断に至ったのかをきちんと出していただいたほうが、より分かりやすくなるかと思いますというのが1点です。

 2点目として、人事政策のところなのですけれども、信賞必罰で、異動してというのは、組織の活性化にはいいことだと思いますけれども、私の会社は、事前説明のときにも申し上げたのですが、夫婦とか、家族では、上司、部下になってはいけないとか、評価に情実が入ってはいけないというところもありまして、これだけを読むと、そこら辺はどう運営されているのか。情実が入ること自体は、あってはならないことなのですけれども、それを防止するために、どういう施策を打っているのかというところについては、外に出される文章としては、気になるところですので、そこら辺を教えていただければありがたいと思いますし、そういうところを考える必要があるのでしたら、来年度以降に考えていただければと思って、聞いておりました。

 以上です。

 

増田部会長 今のことは、よろしいですね。

 

西村委員 結構です。

 

増田部会長 どうぞ。

 

深田日本年金機構理事 29ページを見ていただきまして、再裁定時効特例関係の件数の関係でありますが、もうちょっと詳しい分析もしていますので、次回、させていただきますが、基本的には、かなりの件数は、だんだん難しいものが残ってきていまして、処理に時間を要するものはありますが、全体としては、件数自体、さらに減ってきていますので、処理体制としては、この間は迅速に、何とか人をかなり投入するなりして、実現することはできたということであります。

 

木谷日本年金機構理事 人事施策の関係でございますが、今、例えば共働きとか、そういう関係は同一カ所に配置しているのかどうかということで、具体的な取り決めというのはございませんが、当然同一部署には配属しないということでございます。人事上は、そういった運用をしております。

 

増田部会長 それでは、委員の御疑問というか、求めに応じて、また必要であれば、委員に説明をよろしくお願いしたいと思います。

 

水島日本年金機構理事長 もう一つだけ、事務センターの統合に伴う事務量の変化については、基本的に一定の効率効果は見込んでやっております。出せる資料があれば、考えておきます。

 業務量調査は、そもそもそれとは異なる問題でございまして、現在の定員配分がそれぞれの業務量に応じて、異なるということではございません。その一部ではございますけれども、そのために、業務量調査というのは、旧社会保険庁時代にやったままで、それからやっていないのです。ですから、定員配分がかなりいびつになっている面があるのかどうか分からないのですが、あるのではないかということも含めて、現在、業務量調査を行っているということでございますので、これが先にできなければ、事務センターは統合できないということでは、必ずしもないということは御理解いただきたいと思います。

 

増田部会長 藤井委員、どうぞ。

 

藤井委員 2点、思いついたことを申し上げますが、1つ目は、この書式が全体として、互いの関連がなく、結果に関わることと、手段を行ったことが並列的になっているので、先ほど来、これは手段で目的はどうかという話があったと思うのです。そのとおりだと思うのですけれども、理事長は先ほど信賞必罰の人事制度の効果は、来年以降ということをおっしゃったのですが、私の質問に対しては、34ページの事務処理遅延等が激減していることの背景として、人事評価のことをおっしゃっていますし、効果があるのだろうと思うのです。

 だから、項目間の関係が不明なので分からないし、人事評価などというのは、人事評価をこうしたから、結果、こういう効果があったということを観測するのは、かなり難しいですけれども、それは経営上の主観でいいのだろうと思います。こういう効果が認められると、我々は考えているということで、特に問題はないと思います。そうではないという方がいらっしゃれば、それはそれでいいのですけれども、それは議論すればいい話で、特に私の直感では、人事評価などというのは、人事評価の結果が効果を及ぼすという面もありますが、むしろアナウンスメント効果というのが結構大きくて、人事評価をやりそうだとなると、みんなぐっと引き締まって頑張るとかというのもあると思いますから、既に効果が現れているのだと思いますし、それをうまくお書きになることで、読みよいし、分かりよいし、互いの項目間の連携もとれるのではないかと思います。これが第1点です。

 第2点ですけれども、この話と全く変わりますが、事務センターのことで、これは27年度の評価とは、ずれるかもしれないのですが、新システムの効果あたりのときのことを、おぼろげに覚えているのですけれども、システムを変えても大して処理が短くならない。なぜかというと、事務センターへ送ったり、戻したりしていることで、そこで1日ずつかかっているとか、送ることによって誤送信・誤送付ということも生ずる。荷造りをして間違いがないように送るというのが1つのジョブになるわけですけれども、ジャストアイデアかもしれませんが、事務処理センターに集中して処理をするということの効果と、それによるかえって日数を要している、ミスが生じ得るということもあるし、システムの高度化をすると、果たして集中することが、全体として効果があることかどうかというのは、結果としては、そうなのかもしれないのですけれども、第一義的には疑問があるのではないかという気がしています。これは別途の話で、27年度の評価とは別だと思いますが、発言させていただきたいと思います。

 

増田部会長 ありがとうございました。

 他にいかがですか。

 岩瀬委員、どうぞ。

 

岩瀬委員 資料に関して、再度お願い事項です。

 今日、委員の先生方のお手元に配っているA3の資料ですけれども、以前に部会で機構側に資料を出してほしいと言って、出してもらったものを整理したものです。これを整理するのに、1年ぐらいかかっているのです。なぜかというと、資料出しがすごく悪かったというのと、ヒアリングをしても、まともな説明をしてもらっていない。いまだにこれの評価はできていない状況です。これが評価できるような資料を出していただきたいと、事前説明でお願いしていますので、それは速やかに出していただきたい。

 私が1つ、非常に疑問に感じるのは、機構の職員の身分を6~8種類に分ける必要があるのかよく分からないのです。同一労働同一賃金という理念からいって、これが本当に実践できているのか。これは検証させていただきたいので、人事制度の中期計画の見直しとも関係してくる問題だと思いますので、至急、お願いしたいと思います。

 それと、別表の2ページ目の市場テスト事業における受託事業者のセキュリティ対策の一覧表が載っていますけれども、部会でお願いしたのが、機構がどういう指示を出したのか、どういう中で検討して、きちんと安全性を確認した上で、指示をしているのか。これはその結果です。指示と結果をセットで出していただきたい。これは事前説明で聞いていると、機構はアバウトな指示を出して、それに対して、市場化テスト業者がこういう対策を立ててきたととれる説明があったので、そこのところをきちんとしていただきたい。

 もう一つは、研修のことを先ほど聞きましたけれども、効果測定についてもお聞きしているのですが、それに対して、一切お答えいただいていないと思うのですが、どういう効果測定をしているのか。それと、研修で非常に重要だという説明も書かれていました、講師養成研修のテキストを見せてもらって、読みましたけれども、とてもではないが、理解できない内容なのです。これが本当に講師養成研修なのか。だから、講師養成研修に関して、できたら作業部会では一度見学するということも御検討いただきたい。これは部会長にお願いです。

 以上です。

 

増田部会長 資料の関係は、機構で御検討していただく必要と、それから、かなり個別の詳細な資料でありますので、これまで事前説明等で、岩瀬委員といろいろお話をされている部分もあると思いますので、私も詳細は承知しておりませんけれども、必要に応じて、岩瀬委員と調整をして、対応をお願いしたいと思います。

 あと、後ほど申し上げますが、現場に一度、この委員会でまた行こうと思っております。それとは別に、研修の関係について、今、岩瀬委員からお話がありました。機構でもその点について、何か対応が可能かどうか改めて検討しておいていただければと思いますが、私のほうでも、取り扱いの結果見ながら、考えておきたいと思います。

 他には、委員の皆さん方からよろしいですか。

 安井委員、どうぞ。

 

安井委員 事前説明のときに、5月9日のコンプライアンス部からいただいた書類について、内容に黒べたが入っているので、これは一体誰が何を根拠にそうされたのかということを質問しておりますので、次回には、その回答をお願いいたします。

 

増田部会長 それでは、よろしくお願いいたします。

 大体時間いっぱいにまいりましたけれども、委員の皆様方はよろしゅうございますか。

 それでは、今日は、業務実績報告書(案)について、各委員から御意見をいただきました。機構で今日の意見を踏まえて、業務実績報告書をより分かりやすくという意味合いで、加筆等を行っていただく部分もあるかもしれませんし、必要に応じて、追加すべき資料を用意していただくということも必要と思いますが、また引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。

 次回以降の日程ですけれども、このような機構の業務実績の評価を行っていくに当たりまして、年金事務所の現場の視察を行っておいたほうがよいかと思いますので、まずはその日程を組んでみたいと思います。日程が固まり次第、委員の皆様方に早急にお知らせをして、御参加をお願い申し上げたいと思います。その上で、その後の部会において、業務実績の評価について、引き続き御審議いただく、このようにしていきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、今日の議題は以上で終了させていただきたいと思います。

 次回の日程について、事務局から説明をお願いします。

 

藤原参与 次回、年金事務所の視察日程等につきましては、改めて御連絡させていただきます。

 

増田部会長 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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