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2016年1月22日 第10回雇用仲介事業等の在り方に関する検討会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成28年1月22日(金)10:00~12:00


○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
共用第8会議室(19階)


○出席者

委員

阿部座長、安藤委員、大久保委員、竹内(奥野)委員、松浦委員、水島委員、水町委員

事務局

松本需給調整事業課長、戸ヶ崎主任指導官、手倉森派遣・請負労働企画官、
木本需給調整事業課長補佐、梅田需給調整事業課長補佐、吉田需給調整事業課長補佐

○議題

(1)個別の論点について検討
   ・その他の論点

○議事

○阿部座長 おはようございます。それでは、第 10 回雇用仲介事業等の在り方に関する検討会を開催いたします。本日は、これまでの検討会で個別の論点を議論してまいりましたが、本日はその他の論点ということで公開で議論をしてまいります。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○木本補佐 お手元の配付資料について御確認をお願いいたします。議事次第、座席表に続き、資料 1 「御議論いただきたい事項 ( 10 ) 」資料 2 「現行制度関連データ等について」資料 3 「第 9 回雇用仲介事業等の在り方に関する検討会議事概要」の 3 点となっております。資料に不備等がありましたら、事務局までお申し付けください。

○阿部座長 それでは議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。議事の進め方ですが、本日は大きく 2 つの論点について御議論いただきたいと考えております。このうち 1 つ目の論点については、さらに 4 つの論点に分けて論点ごとに事務局から資料の説明を頂き、議論の時間を取ります。まず、資料全体と、資料 2 の論点1職業紹介事業以外の雇用仲介事業等についてのうち、直接募集、文書募集について、説明をお願いいたします。

○木本補佐 資料全体の説明をいたします。資料 1 は、本日御議論いただきたい事項です。中身ですが、その他の論点として、論点1「職業紹介事業以外の雇用仲介事業等について」ということで、直接募集、文書募集について、委託募集について、労働者供給について、その他の雇用仲介事業についての 4 つを挙げております。論点2「国際化への対応について」ということで、国外にわたる職業紹介に対する規制についてです。資料 2 は、各論点の議論の際に改めて説明いたします。資料 3 は、前回の議事概要です。

 続いて、資料 2 の論点1、職業紹介事業以外の雇用仲介事業等についてのうち、直接募集、文書募集についての説明です。募集者に課される主な義務等です。現行の規制については、労働条件等の明示、募集内容の的確な表示、罰則となっております。一番上の労働条件の明示等については、募集者は求職者に対して労働条件等を明示しなければならないという規定になっております。これを設けている理由として、労働者がその従事する業務内容及び労働条件をあらかじめ知った上で就職することは、労働者を保護する上からも、就職における紛争を避ける上からも、またその労働者が当該職業に定着してその有する能力を完全に発揮するためにも必要なことであるという観点から設けております。

 募集内容の的確な表示です。募集内容等を明示するに当たっては、労働者に誤解を生じさせることのないように、平易な表現を用いる等、その的確な表示に努めなければならないという規定です。これについては、求人広告文書などによる労働者募集については、募集内容が明確ではなく、求職者の適切な職業選択が妨げられるなどの問題が生じうることから、募集内容の的確な表示を通じてトラブルの発生を防止する必要がある観点から設けております。

 罰則です。虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して募集を行った者については、罰則が掛かってくる形になっております。この設定の理由は、誇大な広告によって労働者を欺罔したり、労働条件を偽って労働者を募集することについての罰則を規定する。このことによって、労働者の募集が公正に運営されることを担保するためとなっております。これら労働条件等の明示についての論点として、明示すべき事項について、その範囲、その内容の具体化について検討する必要がないか。いわゆる固定残業代などとしております。 2 つ目として、雇用情報の提供について検討する必要はないか。その他として、報酬受領の禁止と報酬供与の禁止があります。報酬受領の禁止は、募集者は募集に応じた労働者からその募集に関していかなる名義でも報酬を受けてはならないという規定があります。この設定の理由は、募集に応じる労働者は経済的に弱者の立場にあるものであって、これらのものから金品を受け取ることは他人の就業に介入して利益を受ける中間搾取的な色彩が濃厚であるということで、労働者を保護し、その生活の安定を図るために、これを禁止しています。報酬供与の禁止については、募集者は被用者に対して賃金、給与、その他これに準ずるものを支払う場合を除いて、報酬を与えてはならないという規定になっております。この設定の理由は、募集従事者に対する報酬は応募した労働者の人数に比例的に支払われることが多い。このため、募集従事者が応募者を増加させるため甘言を弄するなどの弊害が生じやすいということで、これらの弊害を除去するために報酬の支払いを禁止している形になっております。

 続いて 4 ページから 5 ページに関しては、労働条件等の明示の関係で、関係条文を抜粋しております。また、論点に関係する資料として、他法令における取組を 6 ページに記載しております。主に 2 つあり、いわゆる固定残業代への対応ということで、若者雇用促進法に関する法律の中での規定を書いております。もう 1 つが、募集情報提供の取組ということで、若者雇用促進法の規定と、女性活躍推進法の規定を書いております。論点 1 について、直接募集と文書募集についての説明は以上です。

○阿部座長 それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御感想、その他御意見何でも結構ですので、何かありましたらよろしくお願いいたします。

○竹内委員 質問いたします。 3 ページの右側に、論点という形で、明示すべき事項として検討をする必要がないかということで、具体例として、いわゆる固定残業代が挙がっております。固定残業代を巡る募集段階での、ここでは直接募集するような場合を特に念頭に置いて話があったかと思いますが、この条件を巡っての紛争が比較的多く生じていることが前提にあると理解してよろしいでしょうか。その辺りの実情について、少し追加的な情報を頂ければと思います。

○松本課長 定量的なデータとして、この項目について多いということでは必ずしもないのですが、苦情が寄せられる際に、要はこれは賃金ですし、また労働基準法の割増賃金の支払いの履行確保の観点からよく論点になるところで、そういったことを前提に若者法の際にも同様の措置をされたことから、特に挙げたものです。一部繰り返しますと、定量的なデータとしてこの紛争が多いということまでデータがあるわけではありません。

○竹内委員 ありがとうございました。その上で、これも確認なのですが、現状でも賃金については労働条件を明示すべきとなってはおりますが、割増賃金の支払い方に関しては、その中でカバーされていないのが前提だという理解でよろしいでしょうか。というのは、賃金として示すべき情報ということで、固定残業代制度、要するに、割増賃金がどのように払われるかについても、カバーされているのであれば、現行法でカバーされていることを前提に運用していくことが考えられるわけです。そこで、現行法上の賃金の明示の理解の中身として、少し教えていただければと思います。

○松本課長 法令上、この固定残業代と称する手当であっても、これは賃金です。ただ、賃金として示されるときに、例えば月額幾らというだけであると、通常それは基本給であると考えてしまうことが多いと思われます。ですが、実際に時間外手当の支払いの時点において、この手当というのはそういう手当なのだという主張を使用者側がする場合もあると。そういうことであれば、それは後のトラブルを予防するために基本給部分はこれ、ここはたとえ残業がゼロでも払うけれども固定残業代相当の部分というように、きちんと明確にしてくださいということを明らかにする必要があるのではないかという観点です。これは繰り返しますが、いずれも賃金ですが、その性格をより明らかにしなければならないことがあるのではないかという論点提示です。

○竹内委員 そうすると、必ずしも十分理解できていないかもしれませんが、現行法令上でも、割増賃金については固定残業代として支給するというような条件は、労働条件明示の規制としてカバーされているのか。あるいは、とにかく賃金額の全体が何らかの形で示されていれば、募集の際の労働条件明示義務としては法規制をクリアできていて、したがって固定残業代というような、より詳細でトラブルになりがちな部分については必ずしも現行法令上カバーされているか分からないので、そこは改めて法令上規制を設ける必要があるのか、と考えた場合、答えは後者だと理解してよろしいでしょうか。

○松本課長 法定時間外労働の場合に割増賃金を支払わなければならないのは、現行の労働基準法上いわば当然の義務ですので、それは仮に明示がなくても支払われることになります。固定残業代がこのように論点となり得るのは、法定内、又は法定外、 40 時間を超える時間外があろうとなかろうと支払われる。そして、一定の時間までは別枠で支払われないという点が分かりにくいという点に尽きるわけです。要は、時間外労働がない場合でも支払われるという点が固定というところの意味ですので、そういう意味で基本給と区分が、受け取る側が分かりにくいわけですので、そういった点を区分して誤解のないようにしましょうということで、この固定残業代という支払い方そのものが法令上問題があるということでもなく、合計額で示すことが必ずしも法令に不適切ということではないのですが、よりトラブル防止のために明確にする必要があるのではないかという提示です。

○竹内委員 分かりました。そうすると、理解としては現行法上、固定残業代の制度を取っているけれども、しかしそのことを必ずしも明示しなくて、月額で給料がこれぐらいになるというような示し方をしても違法とは言えないので、その点について何らかの形で対応すべきではないかということが考えられるという理解でよろしいですね。分かりました。そこは、対応できるならばすべきと考えますが、それを言っていくと、ほかの労働条件に関しても同じような問題になるようなことがないかということが当然出てくると思います。そうすると、初めの質問に立ち返って、どのような事柄が実際に募集等の場面で問題になっているかということを踏まえて、必要な具体的事項を詰めるというような話になってくるのではないかと思いました。

 あとは、参考として他法令における取組が出ておりますが、他法令では指針等、あるいは基本的には努力義務等で規制が存在するというような形で理解できるかと思います。そうしますと、職安法としては規制がないかもしれませんが、他法令で既に規制があるので、それをもって、こうした問題については既に規制があると理解をすべきなのでしょうか。あるいは、やはり職安法による規制で対応すべきということでしょうか。前提としては、これらの他法令での定めでは、なお十分ではないということが前提にあると理解してよろしいでしょうか。

○松本課長 職業安定法上の明示が義務付けられている労働条件等とは、直接の労働条件です。一方で、他法令でここでは雇用情報という書き方をしておりますが、例えば 6 ページのこれらの項目というのは、直接には労働条件ではない情報です。そういう意味において御質問がありましたように、職業安定法上求人を出す場合に必要な情報、労働条件ではないわけですが、求人を出している企業、事業主が、どのような事業主であるかを表す一指標です。こういった雇用情報の群が、果たして現在入手できるかどうかといいますと、若年者や女性にとってはこれら他法令で何らかの情報が得られるような整備は進んでいて未施行なのですが、今後施行されることが予定されております。そういった若年者や女性以外の方の求人を探すときの指標としては、今のところ現状ではないわけです。

○阿部座長 私の理解なのですが、若者雇用促進法の審議の過程で出てきた話としては、若者というのは就労経験が浅い。したがって、求人情報を読み取る力が一般的に低いのではないか。より親切に情報を提供していって情報を流通させたほうが、非常に効率的なマッチングになったり、よりよいマッチングにつながるのではないかということで、こういう固定残業代の問題もそうですが、それ以外の職場情報の提供をお願いして、よりよいマッチングに結び付けようという議論があったのですね。ですので、こういうところがあるのだろうと思うのです。若者だけではなくて、一般的にやはり求人情報を読み取ることは、できる方もいらっしゃるかもしれませんが、なかなか難しい。例えば、残業代の話にしてもそうでしょうし、職場情報といってもなかなか見えないところも出てくるでしょう。ですから、これをどこまで努力義務にするかどうかは別として、効率的で、良好なマッチングに結び付けるためには、職場情報も必要ではないかということだとは思います。私の理解はそうです。

○水島委員 今のところで、私は 6 ページの上に書いてある固定残業代の話は、労働条件の明示の話と理解し、下の部分は職場情報と思っておりました。したがって、上のほうは竹内先生がおっしゃったように、労働条件の明示を現行より拡大、明確化するという議論であるのに対し、後者は情報提供ですので、法 5 条の 3 からストレートには出てこないと思っていたのです。座長のお話は、固定残業代も雇用情報としての提供という形で指針に入ったと理解したらよろしいでしょうか。

○阿部座長 私は厳密に区別を付けていないので、ざっくりとお話したのですが、もしかしたら法律家の方々、あるいは法律を作る方々は、今、水島委員がおっしゃったような理解をされているのかもしれません。

○水島委員 そうなりますと、この若者雇用促進法で、こうした労働条件的なものを明示するという言い方をしているのは、労働条件を意識しているのではないかと思うのですが。ほかにはこのような項目はなく、これだけでしょうか。

○松本課長 私どもが他法令も含めて並べてみたところ、欠けているといいますか、ほかが先行している項目というのは、この固定残業代の部分だけと認識しております。気づいていない項目があれば別ですが。

○大久保委員 労働条件の明示を募集する求人者に求めるのは、非常に重要なことだと思っております。もともと古い慣習としては、求人で文書募集は新聞の産業広告の時代から始まっていて、そこで要するに 3 行しか書けないわけです。そこにおける募集条件では、昔は委細面談と大体書いてあったのですよ。これだと、何の情報にもなっていなくて、実際には賃金の問題というのは面接を受けて採用される側は聞きにくいので、どうしても聞かないままに話が進んでしまうことがあるので、やはりきちんと明示されているほうが望ましいです。一般の民間の文書募集をやっている事業者も、給与を細かく書くということをずっとチャレンジをして取り組んできました。ただ実際には、募集する事業者側が細かく書くことを随分嫌がって、それこそ来る人の経験のレベルによっても基本給の考え方も違ったりするので、なるべくそこは対面の中で具体的に説明したいという声が強くて、例えば求人広告の中に細かく書くことに関しては理解がされないケースもあり、その闘いを随分長い間やってきた、そんな実感です。今でも、業界によっては、給与を書くことをすごく嫌がる業界もある状態ですので、求職者の利益を保護するために労働条件の明示についてより踏み込んで考えていくことは大事だと思います。

 その中で、実際にトラブルになりやすいというか、誤解を生じやすいのは、賃金と労働時間です。賃金と労働時間をクロスしたところに残業手当の問題があり、そこがホットイシューになるのだと思います。これは非常に分かりにくくて、例えば一般の求人の中で月額の賃金が 20 25 万と書いてあったとすると、 20 25 万が何を示しているかがほとんど分からないのですね。これは、会社によって賃金報酬システムが違いますので、実は若年者だけではなくて、誰が見ても分かりにくい、私たちが見ても分かりません。何かというと、基本給の概念が会社によって違うのですよ。基本給プラス一律の固定手当を含んだものが月額の固定給だと我々は大体考えて、それは表示してもいいけれども、それ以外は例えば個別の残業によって違うとか、何によって違うというものは別枠で表記をすることを推奨しております。その辺りのことをきちんと書かれないと、実際に読み手はほとんど分からない、理解できない状態だと思いますので、いわゆる残業手当や本当は賃金ルールの構造、固定給がこうなっていて、それに一律の手当があって、残業手当はこういう考え方で付いてと書くのが一番理想的だと思うのです。全部が全部をここの段階で縛るのは少しやりすぎかと思いますので、残業手当について一定の踏み込みをして議論するのは、私はあったほうがいいのではないかと思います。それは、募集主が直接募集する場合においても、あるいは文書募集の事業者にそれを委託する場合でも、あるいはハローワークや職業紹介事業者に委託する場合においても、基本的には同じ考え方で、募集主はまず労働条件を明確に開示することを義務付けることが大事なのかなという考え方をしております。

○水町委員  3 点あります。 1 つは、今の固定残業代の話ですが、労働条件明示の中の賃金の中に固定残業代、若しくは固定残業代を取っている場合に固定残業代について具体的に明示するということですが、固定残業代の定義によっては、割増賃金の計算方法自体を明示させたほうがいいのではないかということも考えられます。これは、若者雇用促進法の中で既にこういう書き方がされていることを参考にして、いわゆる固定残業代などについて明確化を促すということは分かりますが、少しその方法についてもどのような定義にして明確化するかを検討されてもいいかもしれません。いずれにしても、いわゆる固定残業代などについて、賃金の中に入っているからきちんと具体的に明示しなさいということを盛り込むことには賛成です。

 それから、いわゆる雇用情報は、法律家ですと労働条件明示と分けて考えることが一般的ですが、この若者雇用促進法と女性活躍推進法が参考として挙げられております。若者については、特に経験がないので認識することが難しいからより丁寧に出してあげようということと同時に、さらに女性については女性活躍のために、また内容を大分変えて具体的に公表しなさいと。女性と若者だけでいいかというと、同じようなことが女性でもない、若者でもない、転職しようと思ってそれを支援する観点からは必要だと思いますので、政策的にこれは職安法そのものではないとは思いますが、何らかの形で若者や女性以外の一般的な求職者、転職者についても情報が行くような形にしたほうがいいとは思います。それを検討いただくことが大切だと思います。

 方法については、若者雇用促進法と女性活躍推進法で方法が少し違って、若者雇用促進法については募集を行うときにこの内容を出しなさいと言っていて、具体的な募集のときに出すので、特に企業規模を問わずという形になっておりますが、女性活躍推進法の場合は募集などは関係なく、とにかく企業の中の今の状況を出しなさいと。これについては、 PDCA も合わせたりいろいろなことがあるので、さし当たり大企業から進めるというので、企業規模の大きな所からやることになっております。どういう出し方にするかによって、企業規模をどうするかということも関わってくるので、その辺りを検討しながら、なるべく多くの企業が大切な情報を転職者に出せるような政策的なやり方で、制度を設計してもらうことが大切かなと思います。

3 点目は、 3 ページの募集内容の的確な表示、法第 42 条に関わる所です。平易な表現を用いる等、その的確な表示に努めなければならないという努力義務になっています。これはなぜ努力義務なのか、この努力義務というところを少し実効性の観点から、何らかの制度改正を検討したほうがいいかどうかについて、少し背景にあるお考えを説明していただければと思います。

○松本課長 まず、労働条件の明示そのものは、 5 条の 3 で義務であるわけです。これが虚偽であることは、いわば想定していなく、事実を正確に書く。それで、初めて義務を履行したということです。正確であるということと分かりやすいということは、別です。正確、又は事実ではないものは 5 条の 3 との関係では排除されますが、それが求人者にとって分かりやすいような表現となるようにという意味で、 42 条の「努めなければならない」というものが重畳的に係っていると理解しております。

 努めなければならないというのは、これは何をもって平易、分かりやすいかは人によっても基準が異なってくることから、これを義務とすることはなかなか難しいのです。平易な表現や誤解を生じさせないためには何に注意したらいいのかというのは、今のガイドラインで告示しておりますので、そのガイドラインの示し方、又は示す内容を充実させるといったようなことはやったほうがいいのではないかと、今のところは想定をしております。

○水町委員 御説明はよく分かりました。誤解を生じさせないとか平易な表現というのがある程度抽象的な文言なので、余り強い義務付けやサンクションを掛けることや罰則を付けることは罪刑法定主義の関連から難しいと思います。その中で、義務規定のような形にするのか、努力義務規定にとどめるのか。努力義務規定にとどめるとしても、ガイドラインの中でなるべくこういうことを具体的にやってくださいと。例えば、賃金を 15 80 万と書いたら、これは分かりやすくないでしょということを、なるべく制度との関係でより具体的に分かりやすく説明するような内容にできるようなガイドラインの策定と、それに基づく誘導・指導をやることを御検討いただければと思います。

○松浦委員 固定残業代について明示することは賛成です。将来的には、大久保委員がおっしゃったような、必ず支払われる賃金と、例えばインセンティブ給等も含めて、状況や成果などによって必ずしも支払われない賃金を峻別するような求人広告を目指していくべきなのかなと思います。

 確認したい点が 2 点あります。 1 つは、罰則の 65 条の対象に、職業紹介事業者に求人を出す企業が入っていないという理解でよろしいですか。それがなぜなのかを質問させていただきます。

 もう 1 つは、求人広告の文字数が限られる中で、例えば正社員募集と書いたときに、法第 5 条の 3 に関する所で、労働契約の期間に関する事項は正社員だから当然無期ですよねとか、あるいは正社員だから当然フルタイムですよねと類推できるような形の場合は、そういうことを割愛してもいいような仕組みになっているのでしょうか。あるいは、正社員募集と書いた場合も個別に労働契約の期間、勤務時間をきちんと表記しなさいということになっているのでしょうか。

○松本課長 まず事実として申し上げれば、今、 65 条の対象がこうであることの理由について説明されている資料が検索できておりませんので、そういう意味で確定的に線引きした理由を申し上げることができません。ですので、この場では差し控えさせていただきたいと思っております。

2 点目は、情報のスペースが十分でない場合にどうするかというのは、別途記載すると。どこを見ればそれが載っているかが分かるように表示してくださいということになっておりますので、明示しなければならないこと自体が縮むわけではないけれども、そこだけでは分からないという事情もあるでしょうというのを踏まえた法令の体系になっております。

○松浦委員 ありがとうございます。 1 点目について、これは私自身の考えですが、職業紹介事業者に出す求人内容が虚偽でないかどうか等が一義的に分かるのは企業なので、職業紹介事業者に求人を出す企業が罰則の対象にならないというのは、やはり違和感があります。

○安藤委員 固定残業代のお話について、誤解を防ぐとか、トラブル防止という言い方をしておりますが、やはりその前段階として大事なのは、比較がしやすいかどうかだと思うのですね。明確になっていればいいという問題よりは、複数の会社の募集があったときに、どこに応募するかとか、両方受かったときにどこに行くかみたいな比較をする際に、同じ基準で明示されていれば、そのどちらが自分にとってふさわしいのかが選びやすいと思います。実際ここに書いてある法第 42 条も、労働者の適切な職業選択に資するためとか、選択や比較みたいな視点があると思うので、是非誤解を招かないために明確化するだけでなく、どういう見せ方をすると適切な比較、選択に資するのかという観点から、見せ方についても考えていただくといいのかなと思いました。

 例えば、家を借りる際に目安賃料が最近よく示されていますよね。毎月の賃料だけではなく、礼金や更新料とかを月額で割って、それを毎月のものに乗せて、実際に 2 年間住んだとしたら 1 か月当たり幾ら払っていますかというのを明示するのが増えているわけです。例えば、週 40 45 時間の間なら給料は幾らですよとか、何らかの比較しやすいものになっているといいなと思いましたので、少し考えていただければと思いました。

○阿部座長 ありがとうございます。それでは、また何かありましたら後ほど議論したいと思いますが、時間もありますので次の論点2へ移りたいと思います。それでは、委託募集について、及び労働者供給について説明をお願いします。

○木本補佐 引き続き、先ほどの資料 2 の続きです。まず、委託募集についてを説明させていただきます。 8 ページになります。委託募集ということで、現行の規制が左側にあります。許可制と報酬の認可制と届出制となっております。まず、一番上の許可制ですが、被用者以外の者に報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を取らなければならないということになっております。その際の報酬の認可制ということで、報酬を与えて委託募集をする際には、報酬の額についてはあらかじめ厚生労働大臣の認可を受けなければならないという形になっています。認可制以外に届出があり、こちらは被用者以外の者に報酬を与えることなく、労働者の募集に従事させようとするときには、大臣への届出を求めるというものです。こういった規制にしている理由が右側に設定理由としてあります。

 委託募集については事業主と労働者の間に第三者が介入する形態である。かつ、その第三者が労働者のためではなくて、事業主のために活動するというものですので、労働者の保護が図られにくいという面があります。このため委託募集を行う事業主、募集の委託を受ける者及びそれに従事する者については、その適格性を事前にチェックする必要があるということで、報酬を与えて委託募集を行う場合には許可制、報酬を与えることなく委託募集を行う場合には届出制という形にしております。

 報償金は労働者の募集の対価として支払われるものでありますが、募集従事者は他人の就業に介入して利益を得るというものですので、報償金についても規制を加えて不当なものにならないようにするという観点で認可制としております。これについての論点は右側にありますが、現行では受託者ではなくて委託者を規制しておりますが、委託者自身を規制する意義というものはあるのかということで挙げさせていただいております。

 続いて 9 ページですが、こちらは委託募集の許可基準を抜粋しております。その次は 10 ページになりますが、こちらは委託募集の許可数などの推移を示しております。届出制については、平成 16 年度から開始しておりますので、途中からという形になっております。近年の数値を見ますと、都道府県労働局長の届出が一番多くなっており、一番上ですが、 100 200 件程度の間で推移しております。その他については 0 10 件の間を動いているという形になっております。委託募集についての説明は以上です。

 引き続き、労働者供給事業についての説明もさせていただきます。 12 ページになります。労働者供給ということで上のほうを御覧いただければと思いますが、労働者供給の内容は一番上です。供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、派遣法に規定する労働者派遣に該当する者は含まないという形になっています。少し長いですが、業務取扱要領の中でもう少し細かく書かれており、労働者供給における供給元、供給先及び供給労働者の三者の関係は次のいずれかとなるとなっています。

 まず、イのほうです。 1 つ目の○ですが、供給元と供給される労働者との間に支配従属関係があって、 2 、供給元と供給先との間において締結された供給契約に基づいて労働者を供給して、 3 、供給先は供給契約に基づいて労働者を自ら指揮命令の下に労働に従事させるといった形がまず 1 つです。

 もう 1 つの形がロです。 1 つ目ですが、供給元と供給される労働者との間に雇用関係がある。 2 、供給元と供給先との間において締結された供給契約に基づいて労働者を供給して、 3 、供給先はその契約に基づいて労働者を雇用関係の下に労働に従事させるという形になっています。こういったパターンが考えられるということです。これについての論点ですが、労働組合が行う労働者供給事業についてはイに分類されているとなっておりますが、こういった形の定義を見直す必要があるかということを、 1 つ論点として挙げさせていただいております。

 下の現行の許可基準です。まず 1 つ目が労働組合等の資格要件ということです。先ほど少し論点の所で説明しましたが、労働組合については許可を受けて労働者供給事業ができると。それ以外の方についてはできないという形の規定になっているのですが、この労働者組合の資格要件として労働組合法上の労働組合、又は国家公務員法上の職員団体などであるということが、まず要件とされています。また、事業に関する要件として無料で行うものであることが定められております。

 これを設定している理由として右側にありますが、労働者供給事業が禁止されるのは、封建的な雇用慣習を排除して、労働部門を民主化し、労働者の地位の向上に図るためである。この点は、労働組合というものは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善、その他で経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体であることから、労働組合には無料で労働者供給事業を行うことを認めても、その間において身分的な支配関係や中間搾取などといった弊害の発生は起こらない。また、労働組合が無料で労働者供給事業を行うことによって労働者の職業の安定が図られるということと、産業の必要とする労働力の充足に資することになるということです。

 上記の労働組合が供給事業を行うことを認める趣旨に鑑みれば、労働者供給事業を行う労働組合というものは労働組合法上の労働組合であることなどが必要だということで、こういった許可基準を設けております。論点としては右側です。許可基準というものを厳格化する必要があるかということを挙げさせていただいております。

 続いて 13 ページです。 13 ページと 14 ページについては労働者供給の許可基準というものを御説明させていただいております。説明は省略させていただきます。

 続いて 15 ページです。こちらはヒアリングの結果ということで、昨年の本検討会の中で行ったヒアリングの結果について、ざっとですが書かせていただいております。

 続いて 16 ページです。こちらは労働者供給事業の現状となっております。組合数については、 80 90 程度の数で推移しております。供給実人数は 1 年間に実際に 1 度でも労働者供給された方の人数ということで計算しておりますが、およそ 3 5,000 4 7,000 人の間で推移しているという形になっております。労働者供給事業についての説明は以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問、御感想その他の御意見、何でも結構ですので御発言いただければと思いますがいかがでしょうか。

○竹内委員 委託募集について 1 点と、労働者供給についても、これは質問ですが、 1 点あります。委託募集に関しては、論点として受託者ではなく委託者を規制する意義はあるかというものがあります。現行の規制の、特に許可制や届出制についてですが、事業主と労働者の間に第三者が介入するので労働者の保護が図られにくい。このために委託募集を行う事業主と募集の委託を受ける者及び募集従事者等については、その適格性を事前にチェックする必要があるというつながり方をしています。第三者が介入することで労働者の保護が図られにくいということであれば、まずもって第三者について的確に規制を施すべきではないかという感があります。

 そういう意味では現行では受託者のほうが規制されていないわけですが、受託者のほうこそ規制すべきということになってくるのではないかという気がします。委託するほうの規制を残すべきか残さなくてもよいかという点も、もう 1 つありますが、そちらについては、もともと労働者の募集を最終的に行う主体として、先ほど来、要するに企業としていろいろと的確に情報を出すなどの義務はもともとあるわけですので、許可や届出ということを要する必要性がどこまであるかということは少し考える必要があるかとは思います。

 ただ、許可制の中では報酬も認可ということになっているわけですが、その報酬をどのように与えるかについて、規制を残すべきかどうかというのは、許可制や届出制などの話とは別個に考慮し得るかなと、私も具体的なアイディアがないのですが、思います。少なくとも受託者のほうが規制されていないことについては見直しが必要ではないかと思いました。これは私の考えです。

 それから、労働者供給のほうで質問です。関係の協議会にヒアリングをした結果が 15 ページに示されていますが、その 2 点目で労働者供給事業の許可要件について厳格化するべきであるという意見が出ているようですが、どこをどのように厳格化すべきか、この中身が具体的にもし分かるようでしたら御教示いただければと思います。

○松本課長 ヒアリングの際に表明された意見の内容についてのお尋ねですので、 15 ページの厳格化といいますのは 14 ページに、許可基準の改訂という資料を付けておりますが、この改訂によって、ここに載ってある許可要件を廃止しております。つまり労働組合であるだけではなくて、1産業別又は職種別の全国組合に加入していること。2そうでない場合には、こういった場所的概念といった、そうでなければいけないという事情があるなど、この 2 つのいずれかといった要件があったわけですが、これが緩められたのが不適当という御意見でした。つまり、ここで意見表明があったのは、こういった要件を、いわば元のように縛らなければならないのではないかという御意見であったと承知しております。

○竹内委員 ありがとうございます。

○水町委員  2 点ですが、 1 点目は竹内委員のおっしゃったことと基本は同じことですが、そもそも委託募集がなぜ規制されているかというところの根本に戻ると、例えば人身売買、強制労働、中間搾取のようなリスクが第三者が介入することによって生じるのではないか。それに対する規制だとすると、これは根本は職業紹介事業に対する規制と同じなので、実態としても職業紹介と微妙な場合も出てくる可能性があるので、基本は職業紹介事業の規制と連続線上にあるような規制の方向にしたほうがいいのではないか。

 だとすると、委託者ではなくて受託者の規制ということが法令の全体の建て付けとしては、望ましいのではないか。実際に委託募集の場合、労働者と接触して具体的にやり取りすることができないですが、委託募集という形であっても労働者と接触して、コントロールを及ぼし得るような対応であれば今言ったような弊害が生じるので、その場合には例えば職業紹介事業でカバーしながら規制するか、そこの建て付けの問題で、逆に労働者と接触しないしコントロールも及ぼさないし、今言ったようなリスクが生じる恐れがないような形態で行われているのであれば規制を外す。ビジネスとしてやっていいですよと。

 ただ、そのリスクが生じるという判断は微妙なので、その建て付けをしっかりできれば規制の在り方をここの論点で書かれているような方向で立て付けを変えると。その中で人身売買、強制労働、中間搾取のリスクが生じ得るかどうか、更にはプライバシー保護というのはいろいろな形で入ってくるので、そういう規制はこういう形態を問わず及ぼしていくべきかどうかという観点から整理いただければいいかなと思います。

 もう 1 点が、先ほど 2 点目で出ていた労働者供給の許可基準で、労働組合についてどうするかという所です。今の就労形態だけではなくて、労働組合の形態も非常に多様化していて、全国レベルのものもあれば地域レベルのものもあるし、いろいろな労働組合が出てきています。

 ですから、逆に昭和 61 年改正前のものに戻すとすると、その多様な労働組合の形態の中で、労働者供給をできなくなってしまう健全な労働組合に、縛りを掛けるという可能性もあるので、ここに戻すかどうかは慎重に、厳格化するかどうかは慎重にお考えいただければと思います。

 他方で 13 ページに労働者供給の許可基準として、 (1) で労働組合等の資格要件と、 (2) の事業運営に関する要件と 2 つありますが、 (1) で労働組合で1の労組法 2 条及び 5 2 項の規定に該当する労働組合というのは、例えば労働組合などで資格審査、法人格を付与する審査で、 2 条と 5 2 項の要件を満たしているかという審査で、労働組合と認めることをやっていますが、実態の中身に踏み込んで審査することが実際上難しくて、形式審査で行っています。

 ですから、ここでもしかしたら考えられる悪質な労働組合を切るというのは、実際上難しいので、 (2) の事業運営に関する要件の所で、きちんとチェックできる体制を恐らくこれまでも取られてきたと思いますので、その体制を維持するという観点からいろいろな弊害が生じるかもしれない事業に対する制約を、組合の要件の所に動かすというよりも (2) の所をしっかりとやっていくということで対応することが望ましいのではないかというのが意見です。以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。

○大久保委員 委託募集に関してですが、この委託募集に関する職安法のルールは大変古い時代から作られているものだと思いますが、多分この委託募集の規定が考えられた段階と今とでは、いわゆる有料職業紹介や派遣業といった受託する側に関する規制が圧倒的にルール化されて整備されてきたのだと思うのです。

 これは委託者ををケアする意味があるかという論点なのですが、仮に受託者と変えたとしても受託する側についても、その仲介することに関しては様々な規制を今、作っているところなので、どちらかというと、そちら側で本来はカバーするべきものではないかと思います。現段階においてこの委託募集の許可制・届出制というのに、本当にそれを存続させる必要性があるかどうかというのは、若干疑問があるかなと思います。

 それから、この中にグラフが出ており、都道府県の労働局長届出数が 23 4 年頃から飛躍的に数が伸びており、これはグループ会社などが募集活動を行うときのために届け出ているのではないかという気がするのですが、そのような企業の活動に関して、届出を求める必要性があるのかどうかということには、若干疑問に感じるということ。

 それから、委託募集という規定そのものは、私の知る限りは諸外国で余り見たことがなくて、日本独特なものだと思うのですが、そういう幾つかの観点から、この委託募集を制限する規定そのものについては、私は役割は終わっているのではないかと思います。以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。

○水島委員 労働者供給事業で、先ほど水町委員がおっしゃったことで、事業運営に関する要件の所で、実質的にここできちんと判断していくという御指摘には私も同様に思っていたところですが、 (2) の1や2を実質的に判断することが可能かということについて、少し疑問を持っています。 (2) の3のように「無料で行うもの」であれば、客観的に明確ですが、第三者機関が1や2について、極めて悪質なものを排除することならできるかもしれませんが、その判断は非常に難しいのではないでしょうか。

12 ページの許可基準の (2) で、「無料で行うものであること」のみ挙げられているのは、 (2) の1と2の要件では余り判断されていないのではないかと思ったのですが、そのようなことはないでしょうか。1や2の要件で許可をしなかったというようなケースを御存じでしたら、教えていただきたいと思います。

○吉田補佐 過去に今まで全部、調べたことがあるわけではないのですが、少なくともここ数年においては2、3の要件で許可をしなかったというような事例はありません。

○松本課長 許可を受けた後の要件が無料であるだけということとの関係ですが、許可をする時点では、先ほども御答弁を申し上げたように、不許可とした事案はないわけですが、事業運営上、例えば民主的ではない運営がされている、事実上運営能力がないといった事実を把握すれば、それは許可要件を満たさないということで最終的には許可の取消しということで対応します。事業運営に関する要件は無料ということだけですが、当然これが満たされているということが前提だと思います。そういう意味で組合員から不適切という情報提供なり御申告を頂戴いたしますれば、それは事実を調査して、必要な措置を取るということだと。当然、私ども行政の責務だと思っております。

○水島委員 ありがとうございます。ただ、組合員の方が不適切と思われたイコール民主化に反している、にはならないわけですよね。組合は、そういう主義主張が異なるものが出てくる可能性がある所で、いかにこの点をきちんと判断するのかが、難しいという感想です。

○竹内委員 今のところで、若干、確認的な形かもしれませんが、 13 ページの労働組合等の資格要件や事業運営に関する要件というのは、許可の際の基準でもあり、かつ、許可がされる条件と理解してよろしいのでしょうか。条件を満たさなくなると、取消しも有り得るという理解でよろしいでしょうか。

○松本課長 許可条件として、許可する際に付しているわけではありませんが、そもそもその許可基準を満たさない時点で、許可の前提が変わったという取扱いをすべきものだと考えております。

○竹内委員 分かりました。扱い自体はそれでいいと思いますので、そのような形で対応することが必要かなと思います。

○阿部座長 ほかにはいかがですか。委託のほうは、竹内委員、水町委員、大久保委員が言われたことが参考になるのかなと私も思いました。あと、労働供給のほうですが、事務局が出されている論点として、そもそも労働者供給の取扱要領のイとロというのがあって、イに分類されているが、定義を見直す必要はあるかということについては、皆さん直接余りお触れになっていなかったような気がするのですが、これについてはどなたか何か御意見などありますか。どうしてこういう論点なのかが、もしかしたら、私自身も余りよく分からない所があるかもしれません。違いとしては、支配従属関係か雇用関係があるかというところかなとは思うのですが。

○木本補佐 少し補足させていただきます。労働組合がイに分類されることについて、今ですと労働組合が供給元になって供給しているということなのですが、正に今、座長がおっしゃるとおり、その関係が支配従属関係という用語になっておりますが、それが組合と労働者の関係で、そういう表現ぶりで適切なのかという観点があるかと思います。

○阿部座長 そういうことですか。確かに支配従属関係ではないと言っているのでしょうが何か適切な用語ということなのでしょうかね。では、また御意見があったところでお願いしたいと思います。

 それでは、次に移りたいと思います。その他の雇用仲介事業について説明をお願いしたいと思います。

○木本補佐 引き続いて資料 2 です。「その他の雇用仲介事業について」の御説明をいたします。 18 ページです。詳細については割愛しますが、職業紹介、募集、労働者供給、その他として募集情報提供などの雇用仲介事業などについて、それぞれの対応に応じて様々な規制が設けられている表となっています。この点について下に論点を書いています。各事業についてルールの在り方を検討する必要はないかということと、その際、ルールを設定する目的、例えば求職者・労働者の保護、事業の適正運営などと併せて検討する必要があるのではないかということを挙げています。

19 ページは、各都道府県労働局が実施した民間求人広告に対する実態調査の結果を示しています。こちらは、以前御説明した内容になりますので説明は割愛いたします。

20 23 ページです。こちらは JILPT の調査における求職者、求人者からの苦情に関するデータを示しています。こちらについても、以前御説明した内容になっていますので説明は割愛します。

24 ページは、公益社団法人全国求人情報協会が実施した、協会の会員企業 10 社に対するアンケートにおける求人広告に関する苦情の内容を示しています。相談・問合せ件数約 8 万件のうち、労働条件に関するものが約 8,000 件ほどありまして、このうち、企業の説明不足、あるいは企業責任による相違がおよそ 8 割を占めている形になっています。

25 26 ページにかけては、ハローワークにおける申出・苦情等の件数を示しています。こちらは、平成 26 年度に、ハローワークが受けた求人票の記載内容に係る求職者からの申出・苦情に関する表になっています。全国で約 1 2,000 件申出・苦情があったことになります。具体的な内容では、賃金に関することが最も多いということで約 27 %、次いで、就業時間に関することが 22 %となっています。

26 ページ、その具体的な要因で、求人票の内容が実際と異なるというものが最も多くて 36 %、次いで、求人者の説明不足が約 20 %となっています。

27 ページは昨年の本会議で行われたヒアリングの結果を簡単に示しています。資料については以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見、あるいは御感想含めて何でも結構ですので、御発言を頂きたいと思います。

○竹内委員  18 ページの現行のルールに関わる話になってくるかと思いますが、先ほど委託募集の話の所で、水町委員が全体の立て付けの整合性という話を出されましたが、職を求める人と人を求める人の間に立って、具体的にどう振る舞うかの振る舞い方の違いはもちろんある程度あるでしょうが、基本的には、第三者が間に立って情報等をやり取りさせたりすることがその他の雇用仲介事業についてもあるかと思います。

 そういう意味では網羅的ではないかもしれませんが、例えば、この表にある求職者等の個人情報の取扱いの義務とか秘密を守る義務とか、情報の取扱いに関する責務とか、あるいは、例えば求職に係る労働条件を扱うという意味では、労働条件明示関係の規定、第 5 条の 3 とか第 42 条とか第 65 条とか、あるいは、募集に係る報酬規制の中で、第 39 条が定めているような、これは求職者からの報酬受領の関係の規制だと思われ、これは求職者のほうが弱者だからという形の規制の趣旨だと思いますが、今申し上げたこれらのものについてはその他となっているところでも規制が考えられるのではないかと考えます。

 先ほど申し上げたとおり、間に入ってマッチングに関する情報を取り扱う、その中でのトラブルを防ぐという意味では、その他の規制となるべくそろえていくことが適切ではないかと思うので、そのように検討する必要性があるのではないかと思います。以上です。

○阿部座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○水町委員 基本的に同じです。その他にどういうものがあるかのイメージを教えていただきたいのと、基本的には竹内さんの言われていることと同じで、総論の部分の中でも差別的取扱いの禁止は既に全部○が付いているからいいのですが、個人情報の取扱義務と秘密を守る義務等についても、全体として形態によらずそろえるべきではないかということと、あと、労働条件明示というのも、基本的にマッチングをするとか労働者の権利を守るためにも重要なものなので、そろえたほうがいいとは思います。募集内容の的確な表示というのに○が付いている所と付いていない所があって、これは、付いていない所は何か理由があって付いていないのであれば、そのことを教えていただければと思います。

○木本補佐 まず、その他に何が入るかということですが、先ほどの説明の際にも少し触れましたが、募集情報提供事業などが入ってくるかと考えています。もう 1 点の御指摘の、現行制度で対象とされていない原因については、ちょっと今、手元に資料がないので、また確認したいと思います。

○水町委員 募集情報提供事業は具体的にはどのようなイメージですか、感じではなくて。

○松本課長 新聞広告等のそういった媒体、それは Web 上であることもありますし、あと紙媒体のものもあるかと思いますが、そういったものをイメージしています。

○水町委員 ありがとうございます。

○安藤委員 その他について、個人情報でしたり、秘密を守る義務についてはいいと思うのですが、例えば、求職者側から対価を取るかどうかという話でいったら、それこそ求人募集が書いてある雑誌であったりをお金を出して買うとか、情報を買うということはよく行われることでして、あくまで、取ってはいけない対価という話をもしするのであれば、それは、採用が決まったことによる報奨金みたいなものは何かいけない気がしますが、例えばインターネット上で情報がまとめられているもの、その情報を買うという意味では、アルバイト情報誌みたいなものは普通本屋さんで売っていたりする雑誌形態なわけで、そこを取り締まる必要はないのではないかとも考えました。加えて言うのであれば、例えば雑誌自体は無料で配らないといけないと規制してしまうと、お金をどこから取るかといったら広告を出す側からお金を取るわけで、そうすると、逆に労働者がフラットにものを選べるのかといったときに、どちらからお金を取ったほうがより正確で、かつ歪みのない情報が出てくるのかといったら、その点については求職者側から取ったほうが、良いかもしれません。求人企業からお金を取ると、例えば出したお金に応じてどの順番に並べるかとか、枠の大きさとかが変わったりすることによっての、最も望ましいマッチングが実現するかという観点から、かえってよろしくないことも起こり得るのではないかということもちょっと懸念があるので、情報サービス業みたいなものについては、誰が費用負担をするのが結果的に労働市場の良いマッチングに資するのかということを考えないといけないと思いました。 

○阿部座長 では、水島委員どうぞ。

○水島委員 私もその他の所がまだ十分にイメージできていないのですが、 27 ページに「多様なビジネスモデルの登場」とあり、この辺りも関係してくるのではと思いました。その他にとどまっている限りは規制がほとんど掛からない状態ですが、こうした多様なビジネスモデルの中に、も従来型の募集情報提供とかなり違うものが出てきているのであれば、それに対して規制が必要であるかどうかは、正に今、考えなければいけないと思いました。

○阿部座長 ありがとうございます。私も水島委員と同じような意見を持っていて、多様なビジネスモデルというのがその他になって、全く規制が掛かっていないというので何か問題がないかというのは、少し考えておくべきかとは思います。ほかにはいかがですか。

○松浦委員 「その他」には多様なものが含まれていて、どこが論点になっているのかがまだ理解し切れていないところがあります。具体的にこういう新しいビジネスが出てきていて、それに対してどういう懸念点があるから、どういう規制をすべきというような、少し具体的なイメージが必要なのではないかという印象を持っています。

 それともう 1 つ、これは単純質問ですが、 24 ページの求人広告に関する苦情件数の過半数を企業責任による相違というのが占めています。この企業責任による相違というのは、企業が虚偽の求人を出したとか、何かそういう悪質なものなのか、結果として誤解を招いてしまったというようなものなのか、もう少し中身を把握されていれば教えて下さい亜。これしか選択肢がなく、これ以上は分からないということであればそれで結構です。

○松本課長 これは全国求人情報協会から頂戴したデータではありますが、分類がそもそもこういう分類であったのでしょうと。これが故意なのか過失なのか、はたまたそうでないのかというところまでの分析ができるような詰め方はしていないかと思いますが。

○松浦委員 分かりました。

○松本課長 また、この相違というのは、これまでも何度か議論があったように、求人の時点で示されたものと、実際に話を聞いてみると違っていたというものから、そういうやりとりの結果、雇われるに至ったときの条件と最初の条件と違っているとか、いろいろな形態の相違があり得まして、苦情というのは全件拾った上での分類でもあるので、その苦情がいかなる苦情なのかというところも影響を受ける。

○松浦委員 そうですね。

○松本課長 あくまでも目安と言いますか、参考として見る程度のデータだとは思います。傾向値を見る程度の話なのだとは思います。

○松浦委員 分かりました。

○阿部座長 ほかはいかがですか。特にないですか。大久保委員はよろしいですか。

○大久保委員 そうですね、今、御質問があった求人広告の話は、全体的にいくと、やはり最初の議論にありましたが、労働条件の明示が十分に行われていなかったりとか、あるいは分かりやすい説明になっていないとか、あるいは、もう 1 つは、例えば年齢条件などで、今、年齢差別禁止がありますから、年齢の上の人は駄目よとか、書けないのですが、実際に行ってみたら 50 歳の人は駄目よと言われたとか、そういう類いのものがいろいろ複雑に入っているのかと。ですから、全体としては労働条件明示とか、先ほど言った、より分かりやすいものに努めるという方向で解決していくべきことかと思います。

 今回の最後のものは、私ちょっとまだ、先ほどの皆さんのお話だと論点がいまいちよく分からなくて、その他が全体を混乱させていますが、その他でないところについて何を論点にされたいのかが余りよく腹落ちしていないものですから、ちょっと意見がなかなか言いにくかったのですが。

○阿部座長 何か事務局から追加的にありますか。その他を今、論点としていますが、具体的に何を論点にすべきか、何が問題なのかがちょっと分かりにくかったということです。

○松本課長  18 ページの一番下の部分ですが、職業安定法は、そもそも職業紹介その他について求職者や労働者の保護という、いわばそういった弊害が生じないよう彼らを保護するように、一方で事業の適正運営という観点から許可制その他のルールを設定しているという法令の立て付けになっているわけです。つまり、このような目的に照らして、この絵で言いますと、 4 つの列についてはそれぞれ必要な規制を講ずると、随時見直しが必要であるとは思いますが、一方で、これら以外の業態で、こういった求職者・労働者保護の観点からルールを設定しなければいけないものがあるような気がします。御意見であったように、少なくとも個人情報であるとか守秘義務というものは、こういう今、○が付いているもの以外も恐らく当然に守っていただくべきルールのような気がしますが、一番左のように対象になっていないという現状にあるわけで、今、このように設定されているルールそのものかどうかという議論も別途必要ですが、こういうルールが適用されていない状況についていかがでしょうかというのを御検討いただきたいというつもりでした。

○阿部座長 ということです。何と言ったらいいのでしょう、今まではある意味、何らルールが課されていない、規制が課されていないけれど、新しいビジネスモデルとして出てきたものの中には、例えば、職業紹介にかなり近い、あるいは似ているとか、実質的にはそうではないかとか、そういった重複感があるようなものについてどうするかということなのかと。問題意識としては、そういうことかと思います。多分、一番最後の 27 ページの所で、ヒアリングを我々してきましたが、こういうその他に分類されているものがほかの職業紹介、あるいは委託募集等と比べて何も規制されていないというか、義務等がないということについてどう考えるかということではないかと思います。

 またこれもお考えいただいて、御意見がありましたら後ほどお聞きすることにしまして、時間もありますので、次の論点2国際化への対応についてに論点を進めていきたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いします。

○木本補佐 引き続きまして、資料 2 の論点2「国際化への対応について」を説明いたします。 29 ページになります。国外にわたる職業紹介に対する規制ですが、現行の規制として、事業の許可申請時の添付書類に、次のような書類を添付しなければならないとしております。まず 1 、国外にわたる職業紹介を行おうとする場合について、相手先国の関係の法令。また相手先国において国外にわたる紹介について事業者の活動が認められているということを証明する書類及びその書類が外国語で記載されている場合にあっては、その日本語訳が必要となってきます。 2 つ目に、そういった国外にわたる職業紹介を行おうとする場合に、間に取次機関を利用して行おうとする場合については、更に要件が課されており、 1 つ目が取次機関及びその事業者そのものの業務分担について記載した契約書、その他事業の運営に関する書類。もう 1 つが相手先国において、その取次機関の活動というものが認められていることを証明する書類及びその日本語訳を提出していただくという形になっております。こうした規制を設けている理由が右側にありますが、国外にわたる職業紹介事業については、 1 つ目が、需給システムというものの影響が非常に大きくなること。 2 つ目として、国内で完結している場合と比べて、仲介ブローカーなどが介在する可能性が高いということであったり、労働者に不測の損害を与える恐れというものがより大きいことなどの観点から、国内の需給調整システムと比べて、より実効性のある管理をすることが必要となっており、左のような規制を設けているということです。これにつきまして、論点として右側にあります。 1 、どの程度ニーズがあるのか。 2 、問題が生じにくい又は問題が生じても解決しやすいケースというものがあるのではないかということを挙げています。

 続いて 30 から 31 ページには、国外にわたる職業紹介の状況についてお示しております。まず、平成 25 年事業年度における国外にわたる職業紹介の実施状況です。新規求職申込件数、求人数、就職件数について、更にそれぞれのうち技能実習生に係るものについて数値をお示ししております。続いて国外にわたる職業紹介に係る届出をしている事業所数になっています。特別の法人、例えばこれは農業組合や中小企業組合などが該当しますが、こちらは多くの場合、技能実習生の紹介を行っているということで、割合が非常に高くなっています。一方で、有料、無料の許可を有している事業者については割合はそれぞれ 3 %と 14 %という形になっております。一事業所当たりの届出先国、又は地域数は、有料で 3.0 、無料の許可事業所で 1.9 となっております。

31 ページは、対象国・地域別の国外にわたる職業紹介届出事業所数となっています。詳細は割愛させていただきますが、有料、無料とも中国が最も多く、次いでベトナムが多くなっております。説明は以上です。

○阿部座長 御意見、御質問、御感想などありましたら御発言いただきたいと思いますがいかがでしょうか。

○竹内委員 確認させていただければと思います。 30 ページの表では、技能実習生に係る職業紹介の話が合わせて出ているわけですが、技能実習生に関してもこの職業紹介等に関しては、職安法の規定の下で規制を受けて紹介等が行われていくという理解でよろしいでしょうか。

○木本補佐 技能実習制度として、実際には職業紹介を行うという形になっておりますので、その際に許可が必要になってくるということです。

○竹内委員 その点を念頭においた場合にはこれは周知と言ってよいのかなと思いますけれども、技能実習生に関しては、送り出し機関等を含めて問題がある事例が非常に多数あると思います。そのような意味では適切な機関がこの職業紹介等に携わること、それは国内であれ、相手先国の機関であれ、そのことが重要かと思いますので、技能実習生を念頭においた場合には、適切な規制が維持される必要が高いのではないかなと考えます。

○水町委員 その前提として、 29 ページの論点の所で、「どの程度ニーズがあるのか問題が生じにくいケースがあるのではないか」等が書かれていますが、これをもう少し説明していただけますか。

○松本課長  2 つはおおむねセットなのですが、問題が主として生じるのは、竹内先生も御指摘のあったように、技能実習をはじめとして外国人が国内に来るときに、外国人が送り出し側で何かが起こるというケースは問題が多いと、ほぼ認識は共有されているかと思います。一方で、日本人が帰国して来て、日本で職業を探すケースは果たしてどれぐらい問題があるであろうか、というのはあまり認識は共有されていないような気がいたします。逆に日本人が海外に行く場合、海外で職を得るときの問題というのは、いわば相手国での法体系の話ですので、そういう意味もあってそこの問題というのが私どもとしてほとんど承知できない状況ということです。つまり問題が生じにくい又は生じても解決しやすいエリア、対象者ということから言うと、国内であれば私どもとしても何かしらの対応もできる。またその対象者についても、一定の方であれば問題が生じにくい層があるのかもしれないということで、つまり保護すべき程度に差があるかもしれないということを申し上げているつもりです。

○木本補佐 若干補足させていただきます。どの程度のニーズがあるのかという形で書いておりますけれども、 30 ページの職業紹介の実施状況を御覧いただければと思います。中段に、国内の全体の申込件数などを記載しております。これの上と真ん中との比較でいきますと、海外にかかるものというのがおよそ 1 2 %という形で、全体から見ると相当程度規模が小さいということ。またその中を見ると、技能実習生に関するものが大多数になっているという現状がまずあるという形になっています。技能実習生への職業紹介については、現行は職業安定法の規制に係っておりますが、技能実習生に関する法案など出ており、今後の取扱いは若干変わってくるということを踏まえると、職業安定法上の規制としてどういったものが考えられるか、というような論点があるかと思ってお示させていただいております。

○大久保委員 今現在は大変人数が少なくて、事業者数も少ない状況で、むしろグローバル化が進んでいく中で、これからの論点だと思います。ただし状況として、例えばよく海外勤務している日本人が日本に帰任するに当たって、転職したいというケースもあるわけですけれども、その日本人が帰任するタイミングでの日本国内で就業するときの仲介ということ、日本人が海外に行って働きたいという場合と、これはもちろん海外の現地の法律との関連性が出てきますという場合と、外国人の 2 国間あっせんという話とちょっと違うと思うのです。その辺りを少し丁寧に整理をしながら議論をしていく必要があるかなと思うのです。いずれにしてもこれは事業的にいうと、本当にこれから本格的化していく可能性が高いもので、実はそれは進みながらいろいろな論点が見えてくるというものではないかと思います。今の段階ではそういう段階だと思いますけれども。

○竹内委員 ちょっとこれは概念的なので実態、あるいは実情を踏まえていないような話になってしまうかもしれませんけれども、日本人と外国人で区別すべきなのかというようなところは理念的にはあろうかと思います。それが 1 点です。

 あともう 1 つは、今論点として挙がっていますけれども、恐らく、現行の規制があって、それに何らかの課題があるから見直すべきかどうかという形での論点の設定だと、一応思います。この点では、現行の規制では、国外にわたる職業紹介をしようとする場合には、法令等について、文書で書類を添付しなければいけないとなっていますが、この文書添付という現行の規制がどのような困難を課しているものかといったことも考えて、現行の規制の適否を考えていく必要があろうかなと思います。現行の規制はざっと見ると関係法令とか、相手先の機関あるいは相手国で活動をする主体が適法に活動していることの証明書類が基本だと思います。そのようなものの用意等がそれほど困難なのかと考えてみた場合、あまり困難ということは想像しにくいのですが、それは実情を知らないだけかもしれませんけれども、そのようなこともこの問題については少し考える必要があろうかと思います。

○水町委員 基本的に同じですけれども、外国人技能実習生については、それ以外の方々と違う特有の問題があるので、これは外国人技能実習制度に関する法改正が成立して、また別の規制の下におかれるというのであれば、それはそれで対応すればいい問題だと思います。そこから残されたそれ以外のところで、規制の在り方を考えるというときには、日本人かどうかと竹内さんもおっしゃっているように、うちの事業はこの国籍の人は扱います、扱いませんという制度の仕組みを法令の中に書き込むことがかなり難しいというか、あまりよろしい規制の方法だとは考えられないので、それを前提にどのような整理が可能なのか、だったら今のままでいいのではないのという話になるのかを、やはり慎重に検討したほうがいいのではないかと思います。

○松浦委員  2 つあって、まず、今の議論の中でも出てきましたこの許可申請時の添付書類をこのような形で課すというやり方が、負担の問題ももちろん検証する必要があるのですが、むしろ問題解決に実効的なのかどうかという点が気になります。要は規定を集めるということだけで、本当に実効的な規制になるのかどうかも少し疑問に思うところがあります。

 もう 1 つ、国をわたる職業紹介で随分イメージが変わってくるのは、国籍よりも、多分職種、あるいは年収水準なのではないかなと思います。グローバルで活躍できるようなホワイトカラーの人材だとかなり高額な年収で、ヘッドハンティングで国を越えてマッチングがなされる。その人たちに対する保護規制と、それほど高い年収でない人たちの国をわたる転職の問題と必要な保護規制はやはり変わってくるのかなという印象を持っております。国籍というよりも、職種とか年収水準のほうが何となくイメージがわくのかなという気がしました。

○安藤委員 設定理由の所で、国による労働慣行との相違もあり、その内容の確認に困難が伴うことなどを理由として、この書類をいろいろ出せと言っているわけですけれども、この後にあるみたいに、例えば中国とかベトナムとかもうたくさん労働者の職業紹介をやっているような所については、この書類を受け取る側も十分に知識を持っている状況になるわけです。これに対して、 1 %未満みたいな国の場合には、そこの国の労働法制がどうなっているのか、こういうことについての情報が監督機関にない。そのために情報が必要だというようなことを考えたときに、この添付書類を求める理由をどう考えればいいのか。行政機関側にデータがないからそこでビジネスをやるのだったらちゃんと情報を出してくださいという話なのか。それとも、もう既に情報がある所であったとすると、例えば事業者として活動するに当たって、対象国の知識がないとさすがに真っ当なビジネスはできないでしょうという観点から、ちゃんと把握していますかというのかが確認のためなのか、どういう目的かを考えたときに、設定理由は、その内容の確認が目的であるのだったとしたら、ここに書いてあるような中国、ベトナム、フィリピンとかこういう所はもしかしたら要らないのかもしれなくて、マイナーなというか、あまり扱い件数が多くない所については、また行政機関が情報を持っていない場合には情報を出すべきだという話になるような気がするのです。この添付書類の求める理由が、行政機関に情報が必要だということなのか、それともビジネスをやる上で最低限このくらいの知識はあなたたち確認しておいてくださいね、それを持っていますかという確認なのか、みたいなところも理解が必要なのかなと感じました。

○阿部座長 ほかにいかがですか、特にありませんか。大久保委員がお話になられたように、これから場合によっては、国外にわたる職業紹介というのが本格化する可能性もあるということなので、それを見越して考えるということは 1 つあるかと思います。

29 ページの設定理由を見ますと、国内労働市場を国外に拡大することになるので、需給調整システムが国内に限定される場合に比べて難しくなるということ。それと就労経路が国外に及ぶために、ここに書いてあるのは仲介ブローカーが介在することなどで、あるいは労働慣行が国によって違うので、労働者に不測の損害をあたえる恐れがあるということが挙げられていると思うのです。こういった理由が果たしてどうかというのも考えながら、議論をもう少しやっていくべきかなという感じはしました。

○大久保委員  1 つだけいいですか。正しくこれからの市場ではあるのですが、背景環境としては、国全体の取組として、グローバル企業のグローバル展開については、当然進んでいくだろうし、その環境を整えていくということは社会的な価値観としては割と安定したものだと思うのです。これからのマーケットではあるのですが、やはりこれは民間もそうだし、厚生労働省もそうですけれども、どういう形でその環境を整えていくのかは、やはり準備をしていく必要があるだろうし、先ほど安藤さんも言われましたけれども、日本と実際に行き来のある中国をはじめとした、数が動いている国に関しては、それぞれの国の関連法令についても十分に精査しておく必要があるというのは、これは個別民間というよりは、国としてそのことについて少し取組を進めていく必要があるかと思います。これは法律の話とは全然別の話ですけれども。

○阿部座長 そうですね、なかなか難しいと。

○安藤委員 規模の経済が働くというか、公共財として情報が使えますからね。それは一定のルールを国のほうで、例えば中国との間でビジネスをやるのだったら、これは抑えておいてくださいみたいな資料であったほうが、個々の企業で調べてもらうよりも効率性が高いかもしれないですね。

○阿部座長 そういうことかもしれないということですが、果たして国外に行く転職者がどれぐらいあるかとか、いろいろ出てくるとは思いますけれども。

○安藤委員 これからの人口減少の中で、海外から技能実習生ではない形で日本に働きに来てもらうというような形も増えないとも限らないというか。

○阿部座長 可能性はあるかもしれません。

 全然違うところにいって申し訳ないですけれど、私自身はイノベーションとかをむしろ推し進めると思うと、あまり外国人労働力を期待しないほうがよいのではないかなと、個人的には思っています。それはまた別の議論ですので、そういった場合にはこうした国外にわたる職業紹介に対する規制も少し考えていく必要はあるだろうということだと思います。もう少し時間はありますが、今日、全体にわたって、御発言があれば御発言いただきたいと思うのですが、最初のほうの労働条件の明示の所ですが、いろいろ議論をして私なりに整理がついたかなと思っているのは、雇入れの際に労働条件の労働契約を取り交わしますが、その際に募集の際の労働条件と、契約の際の労働条件というのはできるだけ近いほうがいいということなのかなと思うのです。もちろんその途中で、以前大久保委員が御発言されたと思いますが、この方は正社員、あるいはこの職種では向かないけれどもこっちで募集している職種があるので、こっちでどうですかと。それが正社員ではなくて契約社員かもしれないし、パートかもしれないし。それで OK だったらもともとの求人票で書かれている条件と違ってくる可能性もありますよね。だからその辺りをどのように押えるかというのはあるかもしれません。最終的なマッチングのところに良好な結果をもたらすかどうかというのはもちろんあるのですが、結果として採用のときに相違が出てくる可能性はあると。その際の間をどれだけ求人側と求職者側が納得感をもって契約に至るかが大事かなと思います。それを少し考えておかないと、求人情報と違うではないかということになりかねないので、そこは少し考えて、この辺りは議論をしないといけないかなと思います。

 水島委員に労働条件と職場情報と分けていないといったことを言われていたのですが、確かに分けないといけなくて、そう考えると労働条件というのは明示して、それが雇用契約に反映されるということになるのだろうと思うのです。が、それ以外の職場情報というのは雇用契約には載らないような情報で、それがマッチングを良好に進めるための情報だろうと。だけどそれはマッチングを成立させるためには、できる限り提供していくべき情報だろうと思いますので、その辺りの取扱いも含めて少し考えたほうがいいかと思います。これはないよりもあったほうが断然いいだろうと私はそのように自分の中では整理しましたが、皆さんはそれぞれ御意見があるかもしれません。

 あと、労働組合のところは、どうしていいか私自身はアイディアがないですけれども、少し思ったことは、労働組合が行う労働供給事業は無料で行うということなのですが、無料だけれども、組合費がどこまでも高くていいかという問題はもしかしたらあるのかなという気はします。例えば民主的に決定されたとしても賃金の 70 %を組合費で納めてくださいとか、あるいは 100 %はないと思いますけれど。それが結果として労働者にどういう影響をもたらすかを考えておいてもいいかなと思います。これはここの労働供給事業とは関係のないことかもしれませんが、無料だから果たしていいのかというのは、何となく考えないといけないのかなと、感想として、意見ではないですが思いました。

 あと、皆さんは、国外のところは今日で足りなければもう少し議論をしてもいいかなと思いました。私は以上ですが、ほかに皆さんからどうでしょうか。

○松浦委員 組合による労働者供給というのは無料だけれども、そこがよく、ヒアリングしたときもおっしゃっていたように、当然のことなら、企業開拓とか、最低限の費用は掛かるわけですよね。

○阿部座長 掛かりますよ。

○松浦委員 掛かりますよね。それが多分組合費に乗ってきていると。

○阿部座長 もちろんそうですよ。

○松浦委員 だから「無料」という言葉はややファジーというか、誤解を招く気がします。人件費は必ず掛かるはずなので、それは組合費から充当されてる。ただし、その組合費の体系等を決める際には、極めて民主的なやり方で決めているとおっしゃっておられたと思うのですが、そういうことだろうと思います。「無料」という言葉についての確認でした。

○阿部座長 これの対極にある派遣というのは、かなり手数料というか、派遣料でしたか。

○松浦委員 いわゆる派遣料金の賃金以外、その他の部分。

○阿部座長 というのを明示しなければいけないというようになっていますね。

○松浦委員 なっていますね。

○阿部座長 それで派遣料の何%が派遣会社にいくのかとかを見るわけですよね。だけど組合のほうはよく分からないというところはあるかもしれません。それは民主的に決められていれば問題はないと思いますが、果たしてどうなのか。普通はそうなのでしょう、きっと普通は多分大丈夫です。私は普通のところを考えて言っているわけではないので。そこはどのように考えるべきかというのがちょっとあるということです。ほかに何か。

○水町委員 今日の論点ではなくて、これまで通してきた中で、もう 1 つ、一番最初の会合でも申し上げましたけれども、今日の資料の中でも、「業務取扱要領」というのが所々で出てきていて、その業務取扱要領の法令上の位置付けをどうするかについても、少し検討をして、何らかの回答を頂ければと思います。実際の問題としては、例えば同じように事業運営はやっているけれども、東京労働局と大阪労働局の言っていることが必ずしも同じことを言っていなくて、それをたどっていくと業務取扱要領の中で、労働局ごとに違うような指導をしているということに対して、それをどのように実質的になくしていくか。 1 つのやり方としては、法令上の根拠のある形にして、きちんと民主的なプロセスの中で決められたことを要領として、要領ではない形でやるというようなことも考えられるかもしれませんが、それはただちにすぐやるかどうかという、少し長い目で見て、形式を変えていくということを考えられるかもしれません。直近の課題としては、全国の労働局で同じ問題なのに違う指導をやっているとすれば、それをどのように直していくかについて、今後の取りまとめの中でも結構ですので、何らかの御示唆を頂ければと思います。

○阿部座長 是非その点は議論する機会を少し設けていただければと思います。ほかはいかがですか。皆さんまたお気づきの点があれば議論することとしたいと思います。本日はこの辺りで終了させていただきます。

 事務局から連絡事項をお願いします。

○木本補佐 次回の日程は、決まり次第御連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。傍聴の方々に御連絡いたします。傍聴者の方々は事務局の誘導に従って御退席ください。以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。


(了)

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