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2015年11月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成27年11月30日(月)15:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(15名)五十音順

○新 井 洋 由、 奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
 清 田 浩、 鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、 田 島 優 子、
 中 島 恵 美、 濱 口 功、 半 田 誠、 前 崎 繁 文、
 増 井 徹、 森 田 満 樹、◎吉 田 茂 昭
 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名)

 庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 菊 池 嘉、 田 村 友 秀、
 山 口 拓 洋、 山 本 一 彦

行政機関出席者

中 垣 英 明 (医薬・生活衛生局長)
森   和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (審査管理課長)
宇 津   忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
林   憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
武 田 康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出席についてです。庵原委員、大槻委員、菊池委員、田村委員、山口委員、山本委員より欠席との御連絡を頂いております。また、川上委員におかれましては連絡がありませんが、遅れているようです。現在のところ、当部会委員数21名のうち14名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。それでは吉田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストの報告をお願いします。

○事務局 本日は席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~13は、あらかじめお送りしております。このほかに資料14として審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料15として専門委員リスト、資料16として競合品目・競合企業リストを配布しております。

 続いて本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストを、資料16に沿って御報告いたします。資料16の1ページを御覧ください。ルコナックですが、本品目は爪白癬を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。2ページを御覧ください。レミケードですが、本品目は川崎病の急性期を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。3ページを御覧ください。タルグレチンですが、本品目は皮膚T細胞性リンパ腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。4ページを御覧ください。オプジーボですが、本品目は切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。5ページを御覧ください。プロボコリンですが、本品目は気道過敏性検査を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。6ページを御覧ください。ピリメタミンですが、本品目はトキソプラズマ症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。7ページを御覧ください。スルファジアジンですが、本品目は同じくトキソプラズマ症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。8ページを御覧ください。plerixaforですが、本品目は自家末梢血幹細胞移植のためのG-CSFとの併用による造血幹細胞の末梢血中への動員促進を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。最後に9ページを御覧ください。HBI-8000ですが、本品目は末梢性T細胞リンパ腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見等はありますか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況についての報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1のルコナックですが、退室委員は前崎委員、議決には参加しない委員はありません。議題2のレミケードですが、退室委員、議決には参加しない委員ともにありません。議題3のタルグレチンですが、退室委員は新井委員、議決には参加しない委員は奥田委員、清田委員、前崎委員です。議題4のオプジーボですが、退室委員、議決には参加しない委員ともにありません。議題5のプロボコリンですが、こちらも退室委員、議決には参加しない委員ともにありません。議題6のピリメタミン又はスルファジアジンですが、こちらも退室委員、議決には参加しない委員ともにありません。議題7のplerixaforですが、退室委員、議決には参加しない委員ともにありません。最後に議題8のHBI-8000ですが、退室委員はありません。議決には参加しない委員は清田委員と田島委員です。

○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に、特段の御意見等はありますか。ないようです。よろしければ皆さんに御確認いただいたことといたします。

 早速、議題に入りたいと思います。本日は審議事項8議題、報告事項5議題となっております。それでは、審議事項の議題1に移ります。前崎委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議題1の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

                                ( 前崎委員退室)

○吉田部会長 議題1について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題1、資料1、医薬品ルコナック爪外用液5%の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤はイミダゾール系抗真菌薬であるルリコナゾールを有効成分とする外用液であり、今般、爪白癬に係る効能・効果で申請されました。今年8月時点で本剤が承認されている国及び地域はありませんが、本剤より低濃度のルリコナゾール1%外用剤は足白癬等に対して、本邦、米国等の6か国で承認されています。本申請の専門委員としては、資料15に記載の各委員を指名しました。

 以下、審査内容については臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性については審査報告書の16ページの下から6行目、「主要評価項目」から始まる段落を御覧ください。軽度から中等度までの爪白癬患者を対象とした国内第III相試験として無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施され、塗布開始48週後の治癒率は本剤群14.9%、基剤群5.1%であり、基剤に対する本剤の優越性が検証されました。また、この試験において真菌学的効果の指標である塗布開始48週後の直接鏡検陰性率は、本剤群45.4%、基剤群31.2%であり、爪白癬の原因菌である白癬菌に対する本剤の真菌学的効果も確認されています。これらの差について機構は、臨床的にも意義があるものと考えており、爪白癬患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。

 次に安全性について、17ページの表8を御覧ください。国内第III相試験において2%以上の発現が認められた有害事象を記載しています。湿疹、皮膚乾燥、接触性皮膚炎等の塗布部位における有害事象が認められています。重篤な有害事象は、本剤群で7例認められているものの、いずれも治験薬との因果関係は否定されています。また、中止に至った有害事象は本剤群で12例認められ、そのうち塗布部位で認められた8例で治験薬との因果関係は否定されていませんが、いずれも転帰は回復又は軽快でした。認められた事象、発現割合等を踏まえ、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新効能医薬品及び新剤形医薬品であることから、再審査期間は4年、製剤は毒薬、劇薬、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。特にございませんか。では、私から一つ質問させて下さい。この08-01試験ですが、通常だったら本剤群が5%ですから、コントロールには1%の群を持ってくると思うのですが、基剤群としたことに何か理由があるのですか。

○機構 既承認のルリコナゾール1%外用剤の効能・効果は足白癬等であり、爪白癬の効能・効果は承認されていませんので、対照群としては適切ではないと考えられました。

○吉田部会長 分かりました。ほかに御質問はありますか。

○奥田委員 審査報告の2の中で、菌の種として、rubrumに対しての治癒率が低いということを専門委員から指摘されていて、そこを情報提供すべきではないかということで、機構側の意見として菌種別の成績も含めて、医療現場に適切に情報を提供する必要があると書かれています。しかしRMPの追加の「リスク最小化活動」という所には、そういう文言が出てきていないのです。これは特にそういう矛盾はない話なのでしょうか。

○機構 審査報告2に記載の文章は、添付文書で臨床試験における菌種別の有効性を現場に情報提供するようにという意図で記載しています。添付文書の「臨床成績」の1.の「臨床試験」項、一番下の段落の「参考として」に、菌種別の有効性を記載しています。

なお、日常診療では爪白癬の治療に際し、一般的に菌種の同定は行われないことから、菌種別の有効性を製造販売後に積極的に情報収集することは困難と考えます。

○奥田委員 分かりました。

○関水委員 効能・効果の所で、菌に対する成分の有効性というのが、今説明された部分にはデータとしてないのですが、私は問題だと思うのです。要するに、治ったことに関する因果関係で、白癬菌の増殖を抑えたためにこの薬が効いたというデータがないと思うのです。そこは問題ではないのですか。

○機構 菌に対する効果としては、先ほど御説明した直接鏡検陰性率という指標で確認されています。

○関水委員 いやいや、私が伺ったのはin vivoというか、動物あるいはヒトの実験のことではなくてin vitroで、この薬がこの原因菌に作用して増殖を抑えているというエビデンスはあるのかということです。

○機構 in vitroの試験は審査報告書の5、6ページに記載しております。

○関水委員 これは一般的な真菌の増殖を抑えるメルクマールとは違うと思うのです。白癬菌に関してはこのようなヒトの爪スライスを用いた発育阻止作用で良いので、一般に行われるようなMIC、栄養培地中での菌の増殖を抑えるという証拠がなくても良いのかということです。

○機構 7ページの「審査の概略」の上から10行目の「なお」から始まる段落に、既承認のルリコナゾール1%外用剤の承認申請時に提出された感受性のデータを記載しています。 □□ 年のデータですが、rubrummentagrophytesに対する、本薬のMICの範囲を記載しています。この成績も踏まえて、これらの菌種に対する本薬の抗真菌活性は期待できると判断しています。

○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で御待機されている前崎委員を呼んでください。

                                ( 前崎委員入室)

○吉田部会長 それでは議題2に移ります。議題2について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題2、資料2、医薬品レミケード点滴静注用100の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるインフリキシマブ(遺伝子組換え)は、ヒト腫瘍壊死因子TNFαに対するモノクローナル抗体です。本剤は既にクローン病や関節リウマチ等の効能・効果で承認されており、今般、川崎病の急性期に係る効能・効果を追加する一部変更承認申請が行われました。

 川崎病は主として4歳以下の乳幼児に好発する、全身の血管炎を症状とする原因不明の疾患です。川崎病の合併症としては冠動脈の炎症による拡張や、冠動脈瘤の形成等の冠動脈病変が引き起こされると予後不良となることから、急性期の強い炎症反応を可能な限り早期に鎮静化させる目的で、標準的治療である静注用人免疫グロブリン(以下IVIG療法という)が実施されております。しかしながら、IVIG療法では十分な効果が得られず、冠動脈病変を合併する患者が存在します。このような背景の下、日本小児リウマチ学会より本剤に関する要望書が提出され、第6回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高いと評価されたことを踏まえ、201012月に申請者に対し、本剤の開発要請がなされました。2012年9月には、当部会で希少疾病用医薬品の指定について御審議いただき、「難治性川崎病」を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員としては、資料15に記載されている4名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容については臨床試験成績を中心に、簡単に御説明いたします。審査報告書の8ページの()、「国内試験」の項を御覧ください。初回IVIG療法不応の川崎病患者を対象に、本剤5mg/kgを単回静脈内投与したときの有効性及び安全性を検討するため、追加IVIG療法群を対象とした無作為化非盲検並行群間比較試験が実施されております。有効性の主要評価項目である投与開始後48時間以内の解熱率については、表1に示しておりますように、本剤群で追加IVIG療法群を上回る傾向が認められました。また、表2に示している冠動脈病変の発現率についても、本剤群で追加IVIG療法群と同様の減少が認められました。本試験における評価には限界がありますが、本試験成績に加え、9、10ページにかけて記載している公表文献も踏まえ、初回IVIG療法で効果不十分な川崎病に対する本剤の有効性が、追加IVIG療法に劣る可能性は低く、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 次に、15ページ以降の()、安全性についての項を御覧ください。国内試験の対象年齢を踏まえ、国内試験と小児を対象とした本剤の海外臨床試験における10歳以下の安全性データを比較したところ、16ページの表6のとおり、副作用の発現率は川崎病で高い傾向が認められたものの、感染症及びInfusion reactionを含む重篤な有害事象について、川崎病での発現率が他疾患を上回る傾向は認められませんでした。また、川崎病の好発年齢は定期予防接種の対象年齢と重複するため、本剤の投与を避けるべき生ワクチン接種後の期間について検討を行いましたが、現時点で確立した知見は得られていないことから、添付文書において個々の患児のベネフィットとリスクを慎重に判断した上で、本剤投与の可否を決定するよう注意喚起することが適切と考えております。更に専門協議における議論を踏まえ、21ページの表9に記載している製造販売後調査を実施し、生ワクチン接種に起因する感染症を含む本剤の安全性を検討することが適切と考えております。

 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は本申請に係る効能・効果で、希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加される効能・効果及びその用法・用量について、再審査期間は10年とすることが適切と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方の御質問、御意見をお願いします。特になければ私から。今回の承認申請で一番気になるのは、やはり安全性だろうと思います。ワクチン接種前後の云々とありますが、基本的にはインフリキシマブが免疫抑制に働いてしまって、生ワクチンの毒性が活性化してしまうというようなことが、危険性として考えられるということですね。もちろん、そういうことのないように対処はするのでしょうが、例えば間隔をどれぐらいあけるかといっても、別に根拠はないですね。ということなので、もしそういった有害事象が出た場合の体制づくりとか、ストップの掛け方について、何か考えていらっしゃることがあれば、お聞かせ頂きたいのですが。

○機構 今回の治験自体は、生ワクチン接種後6か月あけるようにという規定がありました。本試験には、全例で6か月より前に生ワクチン接種歴がある小児が組み入れられており、これらの患者において安全性上の問題は認められていないというデータはあります。また、公表文献において、BCGの生ワクチン接種後6か月未満に本剤が投与された事例11例も報告されており、詳細が不明な点もありますが、安全性上の問題は認められておりません。

 以上より、生ワクチン接種後に本剤投与を避けるべき期間は6か月程度と考えていたのですが、専門協議等において、一部の専門委員から1年あけておいたほうがより良いのではないかという御意見もありましたので、何か月という具体的な期間を注意喚起することは難しいと考えております。御指摘のとおり何か起こったときの体制というのは、非常に重要と考えておりますので、本剤を使用される先生に、資材を用いて生ワクチン接種後の本剤投与に関する注意喚起を十分に行った上で、製造販売後調査においても、本剤投与前後の生ワクチン接種の有無及び生ワクチン接種と本剤投与の間隔に関する情報を収集する予定です。

○吉田部会長 川崎病のことはよく分からないのですが、やはり小さいうちから治療したほうが治りの質がいいというか、合併症の頻度が少ないということなのですか。

○機構 突発的な急性の疾患ですので、1回治療を行うと、その後に再発するようなことは通常ありません。ただ、合併症、特に冠動脈病変を合併してしまうと、その後に運動ができないとか、予後が悪くなります。

○吉田部会長 結局、待っていられないという事情はあるわけですね。発症時期がいつになるか分かりませんからね。

○機構 したがって、生ワクチンから期間がたっていなくても、治療を行わないといけないと判断される場合は、やむを得ず投与されると考えています。

○吉田部会長 分かりました。いずれにしても医療上の必要性については、未承認薬検討会のほうからの申請でもあるので、我々が云々ということもなかなか言いにくいところもありますので、十分に注意をしていただくということで。

○前崎委員 大人の場合はインターフェロンγ測定試験であるQFTが有用ですが、小児ではその有用性が確立していません。大人の場合はQFTが陽性になれば、抗結核薬の予防投与を行いますが、小児の場合はいかがでしょうか。ここには成人と同様に記載されていますが、レントゲンで病変が見つかれば、もちろん中止や予防投与をすることになりますが、小児ではQFTの結果が参考にならないとすればどのように考えればよろしいのでしょうか。

○機構 御指摘の、クォンティフェロンを必ず実施して投与するようにとの注意喚起については、クォンティフェロンの結果がすぐに入手できるような状態でないことも多いこと、川崎病の急性期において治療を待つことができない状況も多く想定されることを踏まえると、困難と考えておりました。したがって、小児でも、特にクォンティフェロンの結果を確認した上でないと本剤を投与できないという規定にはしていません。ただ、レントゲン等は撮っていただいた上で、投与の可否を判断していただくことにはなるかと思います。

○前崎委員 成人の場合、レントゲンで病変があれば投与中止しますが、QFT陽性の場合は予防投与を行います。小児と成人とではQFTの有用性が異なるため感度が結核の専門医は理解していると思いますが、これを川崎病に詳しい医師は結核の専門医は少ないと思いますので、結核の専門医に相談することや、大人と子供QFTの有用性が異なる点を何らかの形でインフォメーションしておいたほうがいいと思います。

○機構 ありがとうございます。いただきましたご意見を申請者に伝え、対応について検討させていただきます。

○吉田部会長 ほかにありますか。御意見がないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは議題3に移ります。新井委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議題3の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

                                ( 新井委員退室)

○吉田部会長 議題3について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題3、資料3、医薬品タルグレチンカプセル75mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明をさせていただきます。本剤の有効成分であるベキサロテンは合成レチノイドであり、レチノイドX受容体に結合し、アポトーシス誘導及び細胞周期停止作用により腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。今般、本剤は皮膚T細胞性リンパ腫(以下CTCL)を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は平成25年3月の当医薬品第二部会における審議を経て、CTCLを予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。本剤は平成27年8月時点において、CTCLに係る効能・効果にて39の国又は地域で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料15にありますとおり8名の委員です。

 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を御説明いたします。今般の承認申請では主な臨床試験成績として、本邦で実施された非盲検非対照試験である第I/II相試験の成績が提出されました。有効性については審査報告書の34ページの本文の下から3行目以降、及び68ページの上から13行目以降に示しますように、標準的な治療が確立していないCTCL患者を対象とした国内第I/II相試験において、本剤投与により得られた奏効の結果から、当該患者に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 安全性については、本剤の使用において注意すべき有害事象として、審査報告書の39ページの下から13行目以降、及び68ページの下から15行目以降にお示ししますように、脂質異常症、膵炎、内分泌障害(甲状腺機能低下及び低血糖)、血液毒性、肝機能障害、感染症、光線過敏症、催奇形性、白内障、間質性肺疾患、ビタミンA過剰症、血栓症並びに横紋筋融解症が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による慎重な観察と適切な処置により、忍容は可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られていることから、製造販売後には本剤を使用した全例を対象にした製造販売後調査の実施が必要であり、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は「皮膚T細胞性リンパ腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。特にございませんか。本薬については以前、希少医薬品の指定の際にこの会議で議論を1回しておりますが、特段御追加や御質問がなければよろしいでしょうか。御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。なお、奥田委員、清田委員、前崎委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくものとします。お諮りします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で御待機されている新井委員をお呼びください。

                                ( 新井委員入室)

○吉田部会長 それでは議題4に移ります。議題4について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題4、資料4、オプジーボ点滴静注20mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤は、Programmed cell death-1(以下PD-)に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。現在、本剤は根治切除不能な悪性黒色腫に対して承認されております。

 今般、本剤は切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果として承認申請されました。なお、平成27年8月の当部会において、本剤が優先審査に指定された旨を報告しております。

 本剤は、平成2710月時点で、非小細胞肺癌のうち、扁平上皮癌に係る効能・効果にて、35の国又は地域で、非扁平上皮癌に係る効能・効果にて、米国のみで承認されております。

 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料15にありますとおり5名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、審査の概略を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第III相試験であるCA209017試験及びCA209057試験の成績が提出されました。有効性については、審査報告書11ページ、本文上から5行目以降に示しますように、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴を有する進行・再発の非小細胞肺癌のうち、扁平上皮肺癌を対象としたCA209017試験及び、非扁平上皮肺癌を対象としたCA209057試験において、主要評価項目とされた全生存期間について、対照群として設定されたドセタキセル水和物群に対する本剤群の優越性がそれぞれ示されたこと等から、両試験の対象患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書15ページ上から9行目以降及び、36ページ下から19行目以降に示しますように、本剤の使用時に注意すべき有害事象としては、間質性肺疾患、肝機能障害等が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師によって、慎重な観察と過度の免疫反応による副作用を考慮した鑑別診断や管理等により、対応可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られていることから、製造販売後には本剤を使用とした全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として、本剤を承認することが可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品の新有効成分が含有医薬品に対する希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果の追加であることから、追加される効能・効果等に対する再審査期間を5年10か月とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には、報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

○新井部会長代理 副作用で神経障害があるのですが、どういうメカニズムで提示されているのでしょうか。何で神経障害が大きな副作用になるのでしょうか。

○機構 どういった事象が出ているか、というご質問でしょうか。

○新井部会長代理 いや、どうして出るのかです。

○機構 神経障害の具体的な事象に関して、審査報告書の18ページに記載しておりますが、これらの神経障害が本剤の投与により発生する明確な機序というのは、現時点では分かっていないと考えております。

○新井部会長代理 自己抗体ができているとか、そういうことを調べてはいないのですか。

○機構 自己抗体との関連は分かっていませんが、例えば既に添付文書改訂で注意喚起している筋無力症症候群については、抗アセチルコリン抗体が発症に関与していることが分かっております。

○新井部会長代理 分かりました。

○吉田部会長 これは、恐らく今後相当数使われる可能性がある薬だろうと思います。ですから、今は分からなくても、かなりしっかりモニターをする中で、不明な有害事象についてはしっかりと押さえておく必要があると思いますので、対応方、よろしくお願いいたします。

○関水委員 批判ではなく感想ですが、この種の薬のときはいつも思うのですが、非常に使われると委員長が言われるので申し上げるのですが、これは実際にほとんどの患者が亡くなるときに、実際にこの薬で救われることについて、そんなに多くの人がこの薬で救われるわけではないという感想をもちます。それは、正しい感想なのですか。何か、私のデータの見方に問題があるのでしょうか。この薬を使うことによって、患者はどれぐらいベネフィットを得るかについて、このデータを出したときに、一般の方がどう思われるかということなのですが、例えば15か月のときに80%の人が亡くなるのが、この薬を使うと70%になるという意味ですよね。こういう見方でよろしいのですか。

○機構 今、関水委員から御指摘のとおり、Kaplan-Meier曲線の見方に関してはそれで問題ないと思います。それから、そのデータを見てどう感じるかですが、非小細胞肺癌は患者数に関してもどんどん増加している癌腫で、極めて予後が悪い癌ですので、全生存期間が3か月といえども延長する薬というのは、臨床現場では有用と判断されるものと考えております。

○森田委員 この副作用のことで、24日に機構が発表したということで、I型糖尿病が発症したという報告が5例あり、添付文書の改訂を要請しているのですが、そのことについて記載されていないと思いますが、御説明いただいてもよろしいでしょうか。

○機構 今回の審査中には、審査部と添付文書の改訂を行っている安全部とで情報共有を行い、I型糖尿病に関しては、審査が終了するタイミングではなく、より早く臨床現場に注意喚起すべきと考え、添付文書改訂の作業を先に進めさせていただきました。そのため、I型糖尿病に関しては別途、検討されていたことから、今回の審査報告書には触れませんでした。

○森田委員 恐らく、たくさんの肺がんの患者が待っている新薬だと思いますし、マスコミなどでも大変よく取り上げられていると思います。待ち焦がれている方もいると思うのですが、新しい副作用もたくさん出てくることも懸念されますので、よくモニターしていただければと思います。

○吉田部会長 おっしゃるとおりだと思います。逆に言うと、この薬はきちんと薬効を出しているとも言えます。その結果、糖尿病の抗体もできますし、先ほど言った神経もひょっとしたら抗体かもしれないし、大腸炎もそうかもしれない。ということになると、やはり抗体をつくるというか、免疫系に作用していることが、生存を長引かせていることに繋がっている可能性は高いと思うのですね。しかし、関水先生のおっしゃるように、長生きした生存期間の絶対値に意味あると感じるか感じないかは、各自の考え方でも違ってくると思います。この治療の対象患者がどういう人達かというと、通常の治療が全部終わってしまった人達ですから、ほかに治療法がないのです。もう期待できる治療法がないから、もうあとは何もしないで死を待ちますか、それとも生存を少し長く延ばすような薬がありますが、どうしますか、というときに、お金を持っている人はこの薬を選択するだろうし、お金のない人は立て替え払いの一時金も用意できませんので使わない、というような選び方がされていくのではないかと思います。そのような状況で、自己抗体が出ますよ、I型糖尿病になるかもしれませんよと言われても、命さえながらえばそちらのほうがいいという人も少なからずいるわけです。つまり、一般の治療薬の場合の有害事象とは全然違う話になりますので、その辺りは一般論で語れない部分があります。であれば、私どもがやらなければいけないことは正しい情報提供だと思うのですね。たくさんの情報をあげることで、患者さんが間違わずに選択できるようにすることが大事だと思います。いい御指摘をありがとうございました。ほかにありますか。

○奥田委員 今の話は、多分臨床的な判断にどう影響するかという話だと思うのですが、審査報告書の中にPD-L1の発現状況によってかなり差があることが、26ページのデータなどでもはっきり出ていると思います。結果的には、副作用が対照のドセタキセルに比べて少ないということ等を理由にしていくと、特に情報提供をするときにしないような結論になっていたかなと、どちらも推奨されるということになっていたと思います。今のような話とも関連すると思うのですが、やはり臨床の現場でどのぐらいこの患者に対して予後が期待できるのかによって、使う、使わないという判断は結構変わってくると思います。その辺りの情報提供はもちろん専門医が使われるので御存じだとは思うのですが、添付文書に全くないと思ったのですが、それはいかがなものかと思ったのですが、どうなのでしょうか。

○機構 そちらに関しては、審査報告書の40ページの表の下に記載させていただいたように、専門協議において、専門委員の先生方からも情報提供すべきという御意見を頂きましたので、PD-L1に関しての解析の結果等については、資材を用いて医療現場に情報提供するということで対応していきたいと考えております。

○吉田部会長 よろしくお願いいたします。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題5に移ります。議題5について、機構からの概要説明をお願いいたします。

○機構 議題5、資料5、プロボコリン吸入粉末溶解用100mg及び、ケンブラン吸入粉末溶解用100mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤は、メタコリン塩化物を有効成分とする気道過敏性検査用製剤です。1970年代より、研究用試薬のメタコリン塩化物を用いた気道過敏性検査が国内外で行われており、1986年に米国でメタコリン塩化物が気道過敏性検査薬として承認されて以来、2015年9月現在、本薬は世界7か国で承認されております。

 本邦では、本剤の開発を行っていなかったことから、日本アレルギー学会より本剤の開発要望が「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」に提出され、厚生労働省からの開発企業募集に応じた株式会社三和化学研究所及び参天製薬株式会社により、共同で開発されました。今般、国内臨床試験成績等に基づき、本剤の製造販売承認申請がなされました。

 本剤の審査に関しては、専門委員として資料15に記載されております5名の委員を指名しております。本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。まず、審査報告書13ページ上段()国内第III相試験(MC1001試験)の項を御覧ください。MC1001試験では、健康成人及び気管支喘息患者を対象とし、本剤を用いた気道過敏性検査を行った結果、感度は66.7%、特異度は86.7%であることが確認されました。 □□ 年代に行われた海外臨床試験成績に比べ、感度がやや低い結果でしたが、感度に影響を及ぼす吸入ステロイド剤の使用状況の変化等を踏まえますと、現在の医療環境でこのような試験成績が得られたことは理解でき、日本人成人喘息患者においても、海外と同様に本剤の有効性が期待できるものと判断いたしました。

 次に、審査報告書14ページ上段()国内第III相試験(MC1002試験)の項を御覧ください。MC1002試験では、小児気管支喘息患者を対象とし、本剤を用いた気道過敏性検査を行った結果、10例中7例で陽性と判定されました。成人での検討と同様に、 □□ 年代に行われた海外臨床試験成績に比べ、陽性率はやや低い結果でしたが、現在の吸入ステロイド剤の使用状況等を考慮すると、理解できる結果であると判断いたしました。また、 □□ 年代に行われた成人と小児の海外臨床試験の結果、並びに国内での成人を対象としたMC1001試験と、小児を対象としたMC1002試験の結果がそれぞれ大きく異ならないこと及び、気道過敏性の成立機序が成人と小児で同様であることも考慮いたしますと、小児喘息患者においても成人と同様に有効性が期待できると判断しております。

 安全性については、審査報告書21ページ下段()安全性についての項を御覧ください。国内外の臨床試験で認められたコリン作動性作用に基づくと考えられる呼吸器症状、全身症状の有害事象は全て非重篤であり、これら臨床試験においては成人及び小児喘息患者において、特段の安全性上の懸念は示されていないこと等から、本剤の臨床使用は可能であると判断いたしました。しかしながら、本剤の抗コリン作用により重篤な呼吸器症状が発現する可能性も考えられることを踏まえ、呼吸器疾患や喘息の治療及び診断に十分な経験のある医師の監督の下で、緊急時の対応が十分に取れる体制で用いられる必要があるものと判断しております。

 以上のような検討を行った結果、「気道過敏性検査」の効能・効果で本剤を承認して差し支えないとの結論に至り、医薬品第二部会において御審議いただくことが適切であると判断いたしました。

 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年と設定することが適切と判断しております。また、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。特にありませんか。結局この薬は、喘息かどうかの診断や治療効果の診断などに使おうということなのですか。

○機構 御指摘のとおり、喘息であるか否かの診断と、喘息の治療中の治療効果のモニタリングに用いられることが想定されます。

○吉田部会長 聞くところによると、これはもう既に日本で随分やられていて、どうやって保険診療にしたかは知りませんが、そのような臨床現場の実態に対して、未承認薬検討会議の方からきちんと承認を取ってほしいということで申請されたと聞いているのですが、そのとおりですか。

○機構 国内の臨床現場では、研究用試薬を用いて実施されておりました。

○吉田部会長 研究用試薬でやっていたのですね。

○機構 はい。研究用製剤を用いた院内製剤を用いて実施されていました。

○吉田部会長 院内製剤ということは違法ではないですね。

○機構 国内では開発が行われていなかったというところで、未承認薬適応外薬検討会議において開発要請がなされました。

○吉田部会長 そうすると、実際問題として使われていたのは、何千人の世界ですか。それとも、何十人ぐらいの世界ですか。

○機構 規模までは把握していないのですが、全ての施設で広く実施しているというものではなく、実施している施設では実施しているという状況です。

○吉田部会長 専門医の間では、もう普通にやっていたと。

○機構 そうです。

○吉田部会長 分かりました。という状況だそうです。追認のような形にはなるとは思うのですが。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題を承認してよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告といたします。

 それでは、議題6に移ります。議題6について、事務局からの概要説明をお願いいたします。

○事務局 議題6、資料6-1がピリメタミン、資料6-2がスルファジアジンですが、これらの薬剤を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。希少疾病用医薬品ですが、三つの要件があり、一つ目として対象患者数が5万人未満又は難病であること、二つ目として医療上の必要性が高いこと、三つ目として開発の可能性が高いことという三つの要件があります。この3要件に即して説明いたします。

 資料6-16-2で品目は違いますが、中身はほぼ一緒ですので、資料6-1のピリメタミンの事前評価報告書を御覧ください。1ページ目の中ほどにありますとおり、予定される効能・効果はトキソプラズマ症です。一つ目の対象患者数について説明いたします。1ページ目の下段ですが、トキソプラズマ症は先天性トキソプラズマ症とAIDS患者等の免疫機能低下症が発症する後天性トキソプラズマ症に大別されますが、先天性トキソプラズマ症は新生児で年間5~10例程度と推計されております。胎児についてのデータは存在しないところですが、仮に妊婦の不顕性感染者数が、その胎児の患者数とイコールと仮定しても、多く見積って、年間1万例程度と推計されております。

 他方、後天性トキソプラズマ症ですが、AIDSにおける患者数は年間50例程度です。AIDS以外ですが、それぞれ2例、0例と、多くて2例程度ですので、極めて少数と考えられます。最後に、眼のトキソプラズマ症ですが、眼のトキソプラズマ症は先天性や後天性いずれにおいても発症するものですが、計36例というデータがあり、これら三つを足しても5万人未満という条件を満たしているものと考えられます。

 次の条件の医療上の必要性ですが、先天性トキソプラズマ症ですが、特に妊娠初期の感染の場合には水頭症等の重篤な症状を胎児に引き起こすことがあります。また、後天性トキソプラズマ症では、トキソプラズマ脳症が発症し、脳炎が発症した場合には死に至ることもあります。そして、眼のトキソプラズマ症ですが、重度の視力障害を生じ、失明に至ることもあるという状態です。

 一方で治療薬は、トキソプラズマ症を効能・効果として承認されている薬はないという状態です。また、ピリメタミンとスルファジアジンですが、未承認薬検討会議において医療上の必要性が高いと判断されており、医療上の必要性はあると考えております。

 最後に、三つ目の開発の可能性ですが、ピリメタミンは1952年にカナダで初めて承認され、スルファジアジンも1941年にアメリカで初めて承認されており、海外の使用実績は十分あると考えております。一方で、いずれの状態でも極めて少数であることから、患者を対象とした国内臨床試験を実施することは困難であると考えております。今後、日本人と外国人における本薬の薬物動態の類似性を確認することを目的に、日本人健康成人男性を対象とした第I相試験の実施も予定されており、開発の可能性はあると考えております。

 また、資料6-2のスルファジアジンの評価報告書も、同様となっております。以上から、ピリメタミン及びスルファジアジンについて、希少疾病用医薬品の三つの要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。対象症例数、医療上の必要性は問題ないと思うのですが、開発の方は症例数が少ないので、薬理動態のファーマコダイナミックスの同一性試験のような形で、第I相試験が計画されているということのようです。

○奥田委員 1点だけ教えていただきたいのですが、これは3剤で併用されるということで、ホリナートカルシウムについては、恐らく承認済みの薬を使うということだと思うのです。ですから、臨床開発はやはり必要だと理解をするのですが、こういった場合に希少疾病医薬品に指定されなければ、開発への支援などが得られないのかなと思ったのですが、そのような不利はないのでしょうか。ホリナートカルシウムについて、1点質問です。

○事務局 ホリナートについても、同じく未承認検討会議でファイザーですが開発要請はされております。ただ、このホリナートについて、オーファンの申請をするかどうかはファイザーに確認したところ、ファイザーから再審査期間は余りほしくないというような理由があり、オーファンは申請したくないという意向がありましたので、この2剤のみ申請が上がった状況です。

○吉田部会長 ほかにありますか。ないようですので、議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題7に移ります。議題7について、事務局からの概要説明をお願いいたします。

○事務局 議題7、資料7、plerixaforを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。資料の事前評価報告書のタブ、報告書1ページ中段です。申請者はサノフィ株式会社、予定される効能・効果は自家末梢血幹細胞移植のためのG-CSFとの併用による造血幹細胞の末梢血中への動員促進となります。

 対象患者数について説明いたします。自家末梢血幹細胞移植を受けた患者数は、年間1,800人と報告されており、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 医療上の必要性について説明いたします。1ページ目の下から2ページ目です。自家末梢血幹細胞移植において、一定の割合でG-CSF製剤の投与による末梢血中の造血幹細胞の動員が不良な患者が存在し、当該患者に対してはG-CSF製剤を再投与することにより、末梢血中へ造血幹細胞を動員する、又は骨髄から直接造血幹細胞を採取する等が治療選択肢とされておりますが、それぞれG-CSF製剤の再投与を行っても十分量の造血幹細胞が採取できずに、自家末梢血幹細胞移植が施行できない、若しくは骨髄からの採取は身体的な侵襲が大きい等の問題点が挙げられます。

 本剤はケモカイン受容体であるCXCR4を可逆的に阻害する低分子化合物であり、造血幹細胞に発現しているCXCR4とそのリガンドである骨髄間質細胞のストロマ細胞由来因子-1αとの結合を阻害することにより、造血幹細胞を末梢血中に動員させると考えられており、本剤とG-CSF製剤を併用投与することにより、末梢血中に動員される造血幹細胞数が増加し、造血幹細胞の動員が不良な患者が減少する、また造血幹細胞の追加採取が減少する等、患者の負担及び造血幹細胞の採取に伴うリスクの軽減につながることが期待されることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に2ページ目の開発の可能性について説明します。自家末梢血幹細胞移植を施行予定の非ホジキンリンパ腫患者を対象に、海外第III相試験が実施され、主要評価項目として設定された造血幹細胞採取実施日数4日以下で、CD34陽性細胞数が5×10の6乗cells/kg以上に達した患者の割合は、プラセボとG-CSF製剤との併用投与群19.6%に比較して、本剤とG-CSF製剤との併用投与群において59.3%で有意に高い結果でした。

 また、自家末梢血幹細胞移植を施行予定の多発性骨髄腫患者を対象に海外第III相試験が実施され、主要評価項目として設定された造血幹細胞採取実施日数2日以下で、CD34陽性細胞数が6×10の6乗cells/kg以上に達した患者の割合は、プラセボとG-CSF製剤との併用群34.4%と比較して、本剤とG-CSF製剤との併用投与群で71.6%で有意に高い結果でした。

 また、自家末梢血幹細胞移植を施行予定の非ホジキンリンパ腫患者、更に自家末梢血幹細胞移植を施行予定の多発性骨髄腫患者を対象に、本剤とG-CSF製剤との併用投与の有効性及び安全性を検討することを目的とした国内第II相試験が実施中であることから、開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。この薬については、何か放っておいても臨床試験をどんどんやってくれそうな感じがするのですが、これは今の所まだ成績が出て来ないので、取りあえず申請しておきたいということなのですかね。要するにこれは全部、希少疾病のオーファン指定を受けてから、もう1回申請してくるのですか。

○事務局 はい、もちろんです。

○吉田部会長 よろしいですか。

○中島委員 ちょっと教えていただきたいのですが、poor mobilizerかそうでないかは、どの時点で決定されるのでしょうか。

○機構 機構よりお答えいたします。これは投与してみないと分からないところがありますので、G-CSFなり本剤の併用を投与した上で、どうかと判断されるところです。

○中島委員 将来的に、個別化の有用な指標となるものなどは何か考えていらっしゃらないのでしょうか。

○機構 それが投与前に可能であれば、G-CSF単剤でいけるか、若しくは本剤を併用する必要があるかの貴重な材料になるとは思うのですが、現時点でそのような指標なり、何か分子が見つかっているということはないものと現時点では理解しています。

○中島委員 将来的にこういう重要な薬効を持つ薬ですので、副作用の回避などにもつながると思いますので、是非その辺が分かれば記録していっていただきたいと思っております。

○機構 申請されましたら、その点も含めて判断させていただきたいと思っております。ありがとうございます。

○吉田部会長 今の話ですが、臨床的には普通のG-CSFを打って、うまくいかなかった人に使うのではないのですか。そうではなくて、全例に使うのですか。

○機構 併用で。

○吉田部会長 初めから併用でいくと。要するに骨髄移植については、全例これでいくのだと。

○機構 適正使用の方策は審査の上で判断したいと思いますが、現時点では、G-CSF単独ではpoor mobilizerであるかどうかの指標がないと理解しているものですから、安全性情報を加味した上で、併用することによって使用されるのではないか、と予想しております。

○吉田部会長 要するに手間も時間も余計に掛けないように初めからいくのだと、そういう話ですね。そうですか。それはなかなか大変だ。よろしいでしょうか。ほかに御意見はありますか。ないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題8に移ります。議題8について事務局からの説明をお願いします。

○事務局 議題8、資料8、HBI-8000を希少疾病用医薬品として指定することの可否について事務局より説明いたします。資料の機構による事前評価報告書のタブ、1ページ中段です。申請者はHuya Japan合同会社、予定される効能・効果は末梢性T細胞リンパ腫となります。

 対象患者数について説明いたします。悪性リンパ腫の患者数は約5万5,000人と報告されており、そのうち末梢性T細胞リンパ腫は約25%を占めると報告されていることから、総患者数は1万4,000人よりも少ないと推定されることから、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 2ページ目の医療上の必要性について説明いたします。未治療の末梢性T細胞リンパ腫に対しては、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロンの併用投与を中心とした治療が行われておりますが、大部分の患者が再発いたします。また、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対する薬物治療としては、多剤併用化学療法を中心とした治療、またCCR4陽性例に対してはモガムリズマブ(遺伝子組換え)の単独投与等が実施されておりますが、いずれの治療においても延命効果を示す治療成績は得られておらず、末梢性T細胞リンパ腫に対する新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、開発の可能性について説明いたします。本薬は経口のヒストン脱アセチル化酵素阻害薬であり、ヒストン脱アセチル化酵素の阻害により、腫瘍形成期間に抑圧された遺伝子の再発現を誘導することで抗腫瘍効果を示すと考えられており、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者を対象に、海外第II相試験が実施され、主要評価項目とされた本剤単群投与による奏効率は27.8%でした。なお、本試験の結果を基に、2014年に中国において、本剤は再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果として承認されています。また、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者を対象に、本剤単独投与の国内第II相試験が計画中であることから、開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。特にありませんか。対象患者数も医療上の必要性も開発の予定も第II相試験が用意されているということで、特段問題ないと思われますが。よろしいですか。御意見がないようですので、議決に入りたいと思います。なお、清田委員、田島委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、報告事項に移ります。報告事項の議題1と議題2について、説明をお願いします。

○事務局 報告事項の1と2について、事務局から説明します。議題1、レブラミドですが、資料9です。本剤は、サリドマイドの誘導体として創製された抗悪性腫瘍剤で、アポトーシスの誘導、サイトカイン産生抑制、Tリンパ球やナチュラルキラー細胞の活性化、血管新生抑制等の様々な作用を有することが知られております。現在、6.の効能・効果にありますとおり、再発又は難治性の多発性骨髄腫及び5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群の効能・効果で承認されております。今般、セルジーン株式会社から、未治療の多発性骨髄腫を対象とした試験成績を基に、再発又は難治性の多発性骨髄腫への効能・効果を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しました。

 議題2、コセンティクスですが、資料10です。本剤の有効成分であるセクキヌマブですが、炎症誘発性サイトカインの1つであるヒトインターロイキン-17Aに対するモノクローナル抗体で、現在6.の効能・効果にあるとおり、既存治療で効果不十分な下記疾患、すなわち尋常性乾癬及び関節性症乾癬の効能・効果で承認されております。今般、ノバルティスファーマ株式会社より、膿疱性乾癬患者を対象とした臨床試験において、本剤の膿疱性乾癬に対する有効性及び安全性が確認されたとして、既存治療で効果不十分な膿疱性乾癬の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断しました。以上です。

○吉田部会長 承認事項変更の件と適応症の一部変更ということで報告ですが、何か御意見はありますか。なければ、報告事項3に移ります。報告事項3について説明をお願いします。

○事務局 議題3、医療用医薬品の再審査ですが、資料11です。資料11は、一般的名称はボリコナゾール、販売名はブイフェンドです。こちらの品目は、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果や用法・用量の承認事項について変更の必要はない、カテゴリー1と判断しました。以上です。

○吉田部会長 委員の先生方から御質問、御意見はありますでしょうか。カテゴリー1ということですので、追認ということだと思います。よろしいでしょうか。報告事項4に移ります。報告事項4について説明をお願いします。

○事務局 報告事項4、承認条件解除です。資料12-1です。コルベット錠とケアラム錠ですが、イグラチモドで、関節リウマチに使われる薬剤として平成24年6月に承認されております。IIの1ポツの3行目ですが、ただし、その承認時の臨床試験において、重篤な汎血球減少症等の発現等があったことから、全例調査に係る承認条件が付されているところです。今般、承認取得者である富山化学工業株式会社及びエーザイ株式会社から、全例調査に関する報告書が提出され、機構において評価されましたので、報告いたします。

 2ページ目の1)調査方法及び登録症例数です。報告された調査ですが、本剤を使用した全症例を対象に、目標症例数は2,000例、観察期間は52週間とされており、安全性解析対象が2,246例の調査結果がまとめられております。安全性ですが、2ページ目の3)です。安全性解析対象例2,246例において、副作用発現率が31.3%、3ページの重篤な副作用が3.1%に認められており、重篤な副作用については臨床試験よりも高い傾向を示しました。

 ただし、重篤な副作用についてですが、背景因子別の重篤な副作用発現状況について調べたところ、高齢者や経口ステロイドの最大併用用量を満たしている患者が多いという状態で、高齢者やステロイドの併用患者に対して重篤な副作用の発現が多い傾向が認められましたが、その中で一番多かった副作用が感染症で、一方で関節リウマチの重症感染症のリスク因子として、日本リウマチ学会のガイドラインでは高齢者とかステロイド併用などが挙げられていますので、本剤特有のものではないと考えられたところです。

 8ページの4)の有効性ですが、有効性解析対象症例の投与24週後におけるEULAR改善基準評価の有効率は55%程度で、本薬の有効性については特段問題ないと考えられております。

10ページ目の総合評価ですが、機構では本剤の安全性及び有効性について、現時点で適正使用に必要な新たな措置を講じる必要のある問題はないと判断し、本剤の全例調査に係る承認条件については対応されたものと判断しております。

○事務局 資料12-2、アラノンジー静注用250mgの承認条件に係る報告書になります。2ページ目です。ネララビンを有効成分とする本剤は、平成1910月に再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病ならびにT細胞リンパ芽球性リンパ腫の効能・効果で承認されており、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。このたび、グラクソ・スミスクライン株式会社から全例調査に係る報告書が提出され、機構において評価されましたので報告いたします。

 3ページ目、1)製造販売後調査の結果です。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に、目標症例数300例、観察期間1年間として実施され、345例が登録されました。安全性については、4ページ目、2)安全性です。安全性解析対象症例329例のうち、副作用が219例、66.6%、重篤な副作用が101例、30.7%に認められました。また、4ページから5ページ目にわたって表に示している重点調査項目で設定した副作用の発現状況について、臨床試験と比較して添付文書上で更なる注意喚起を要するような問題となる状況は見られませんでした。

 有効性については6ページ目、3)有効性に記載されています。本調査と承認審査で有効性が検討された主な臨床試験である海外第II相試験での完全寛解率は、成人患者において、それぞれ189例中46例、24.3%、及び39例中7例、17.9%、小児患者においてそれぞれ90例中41例、45.6%、及び70例中18例、25.7%であり、本薬の有効性について新たな問題となる治験はありませんでした。機構において、本調査で抽出された安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現段階で更なる製造販売後調査等の実施は必要ないと判断されております。

 以上を踏まえ、製造販売後調査が適切に実施され、患者背景、安全性及び有効性に係る情報が収集されていること、収集された情報に基づいて、本剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、全例調査に関する承認条件については対応されたものと判断しております。以上です。

○吉田部会長 全例調査報告2件ということです。委員の先生方からの御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、議題4については御確認いただいたものといたします。報告事項の議題5について、事務局からの説明をお願いします。

○事務局 報告事項、議題5、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて説明いたします。資料13です。届出者はマリンクロットジャパン株式会社、医薬品の名称はインジウム111-ペンテトレオチドです。本剤は平成6年7月1日にシンチグラフィによる消化管ホルモン産生腫瘍の診断を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されました。しかしながら、平成27年9月28日に富士フィルムRIファーマ株式会社が同様の効能・効果である神経内分泌腫瘍の診断におけるソマトスタチン受容体シンチグラフィの適応を有するオクトレオスキャン静注用セットの承認を取得したため、マリンクロットジャパン株式会社として本剤の開発を行わないことが確定し、希少疾病用医薬品試験研究中止届が提出されたものです。よって、本剤の本効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。以上、御報告いたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問はありますか。

○鈴木委員 指定が平成6年7月1日と随分昔なのですが、これまで放置されていたかどうか、どういう理由でこんなに長くたった挙げ句にこういう形になったのか、説明していただけますか。

○機構 本剤については、正確な年月日までは記憶していないのですが、指定当時から開発が進められており、実際に平成11年に一度、申請がなされていたのですが、その審査の過程において、新たに第III相試験の追加が必要になったことや、企業としても既に放射性の医薬品を開発する設備を国内で保持しないという結論になったということから、一度開発がストップしていました。その後、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、開発企業募集がなされた他結果、マリンクロットジャパン株式会社と富士フィルムRIファーマ株式会社が提携して、本剤の開発を再スタートさせたということで、今年の8月の部会で御審議いただいたという経緯になります。

○鈴木委員 ということは、マリンクロットジャパン社は、途中の時点で実際には開発する意思がなかったわけですね。今回富士フィルムRIファーマ株式会社が開発することになったので、一応それに引き継ぐという形で、今回取消しになったということなのでしょうか。その辺がわかりにくく、とっくに取消しを申請してもいいのではないかという気がするのですが、もう少し詳しく教えていただけますか。

○機構 確かに御指摘のとおり、マリンクロットジャパン株式会社としては、もっと前に開発の意思なしということで取下げになっていてもよかったのですが、現実にはそのままとなっていたということかと思います。そのオーファン自体を引き継ぐこともできたのですが、マリンクロットジャパン株式会社及び富士フィルムRIファーマ株式会社ではそういったことは行われずに、単に開発権についてマリンクロットジャパン株式会社と富士フィルムRIファーマ株式会社が提携するという形を取って申請がなされたということですので、オーファンの指定についてはそのままマリンクロットジャパン株式会社のみに残っていたものを、今回取消すというような状況です。

○鈴木委員 取消しを引き延ばすことによって、企業としてのメリットはないですか。その分何か加算がもらえるとか、そういうことはないのですか。

○審査管理課長 実際の助成金等については、毎年毎年、実際にやられた研究開発費を基盤研のほうで認定して、その上で支払われることになっておりますので、実際の開発自体が中止された場合には、特段助成金が支払われるということはありません。ですから、引き延ばして、この企業に対してメリットは特にないと思いますけれども。我々のほうでももう少し早く手当をすればよかったということはありますが、そういうところです。

○吉田部会長 要するに排他的な利権が生き続けてしまうということにならないかということ。つまり、富士フィルムRIファーマ株式会社もこれも、例えば一つのシーズに対して二つの会社が競合したというか、例えばライセンスアウトみたいな形で引き継いだわけではないのでしょう。

○機構 実際はマリンクロットジャパン株式会社が行った試験も使って富士フィルムRIファーマ株式会社が申請を行っています。

○吉田部会長 試験はやはり引き継いでいるわけですか。

○機構 そうです。開発権とともに引き継いでいます。

○吉田部会長 鈴木先生が言われるように、例え、開発を中断したとしても、そこで頑張っていれば、誰かが買いに来て、それが売れるということになるのではないかということは、ありそうな気がします。たとえば、私どもが希少疾病薬の承認をする場合、開発の可能性というのを3番目にやっているでしょう。そこのところで我々がごまかされて、開発の可能性があるというように認定してしまったとします。その企業が、当該薬の開発を中止したにも関わらず、頑張り続けてシーズみたいなものをずっと押さえているうちに、それが売れてどこかで企業に買われるとかいうことが起こるとなると、甚だ具合が悪いのではないかということをおっしゃっているのではないかと思うのですけれども。何か良い手立てを考えてください。

○鈴木委員 もう開発する意思がないのであれば、早く返上させるとか、そういう仕組みが必要ではないかと思います。

○吉田部会長 そうですね。遅くとも何年以内に結論を出しなさいというような条件はあってもいいかもしれないですね。ありがとうございました。その件についても、御対応のほうをよろしくお願いします。ほかに御意見はありますか。よろしいですか。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次の部会ですが、年明けの2月1日()午後4時から開催したいと思います。よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、本日はこれにて終了といたします。長時間、御苦労さまでした。


(了)

備 考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

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