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相談支援の質の向上に向けた検討会(第3回) 議事概要(2016年5月27日)
日時
場所
出席者
沖倉 智美 (大正大学人間学部教授)
上條 浩 (横浜市健康福祉局障害福祉部障害福祉課課長)
菊本 圭一 (日本相談支援専門員協会代表理事)
佐藤 進 (埼玉県立大学名誉教授)
島村 聡 (沖縄大学人文学部准教授)
田村 綾子 (聖学院大学人間福祉学部准教授)
土屋 幸己 (公益財団法人さわやか福祉財団)
冨岡 貴生 (公益財団法人日本知的障害者福祉協会相談支援部会)
原田 重樹 (一般社団法人日本介護支援専門員協会副会長)
白江 浩 (社会福祉法人ありのまあ舎常務理事)
議事
【相談支援専門員の資質の向上】
・ 相談支援専門員の育成には、障害福祉サービスにかかわる人に相談支援業務をまずは知ってもらうと同時に、事業所単位での育成は人材的に難しいところがあるので、スーパービジョンの体制をどのようにつくっていくか、また、研修の講師やインストラクターといった資源をどうつくっていくかなどの地域づくりが課題。
・ 相談支援専門員のキャリアパスを考える上で、法人内での位置づけが余り高くないという現実がある。資格要件を引き上げる等で、法人内での相談支援専門員が定着しやすくなるような状況をつくることが必要。また、現任研修については評価が必要であり、ただ受けて終わりということではなく、そういうものがあって質も高められていくことで定着化を図っていくということも必要。
・ 相談支援専門員のキャリアパスについて、環境によって必要な経験年数に差が出てくるので、実務年数よりはスーパービジョンや職務環境づくりが大事である。また、資格要件についても、社会福祉士や精神保健福祉士等の国家資格との関係性を一度整理し、入り口の資格にしたら良いのではないか。
・ 相談支援専門員の評価体制が現状では行政のみとなっているので、組織の中での評価体制の構築や、基幹相談支援センター等の外部機関による評価が必要ではないか。
・ 主任相談支援専門員を創設し基幹相談支援センターに配置することによって、地域でのスーパービジョンやグループスーパービジョンが十分に実施できるのではないか。
・ 相談支援専門員のキャリアパスについては、研修制度と達成目標を一体で考え、ビジョンを明確にし意思統一をした上で、グループスーパービジョンや現場での検討会や座学、様々なチェック体制等を連動していくべき。
・ 相談支援専門員のキャリアパスを構築することは、法人や事業所にどういったメリットがあるのかを理解しやすくすることで、定着率の低さは改善すると思う。
・ OJTやスーパービジョンとは、単にスーパーバイジーを連れて歩く、スーパーバイザー自身の面接を見せるだけではなく、スーパーバイジーがスーパーバイザーの行っている業務や利用者支援の意図や目的を考えること、そしてそれをスーパーバイザーがスーパーバイジーに説明することを通して、結果的に両者が育っていく。一人職場が多い現状では、地域や圏域の自立支援協議会において専門員相互で行う体制を作る必要がある。
・ 支援の質を向上させるには、利用者や家族からの支援に対する評価に耳を傾け、それを具体的に日常の業務や支援に反映させていくことは重要ある。
・ 国が全国から人を集めて伝達研修を行うという方法には限界があり、獲得すべき目標を設定、伝達し、その目的を達成するための講義や演習を、各自治体や地域で展開できるような、より具体的なカリキュラムを再度作る必要があるのではないか。
・ 相談支援専門員の資格は試験がなく、キャリアパスの設定が難しいので、幅広く活躍する人と専門的に活躍する人を整理して育てていくべきではないか。
・ 社会福祉士や精神保健福祉士等を基礎資格に置くことで、相談に対する基礎知識・対応方法ではなく、相談の実務的なものやスーパーバイザーに特化した研修に設定できるのではないか。
・ 相談支援専門員の業務内容等を十分に普及啓発することで、目指す人が増えると同時に目的意識も形成され、定着率も向上するのではないか。
・ 評価をしてもらうことは非常に大切なことなので、同じ地域内の相談支援専門員・事業所間同士で評価をし合うような仕組みを構築するのがよいのではないか。
・ キャリアパスについては、相談支援専門員の社会的評価を作る必要があり、基礎資格や主任相談支援専門員等の上の資格を整備する必要がある。また、実務経験年数についても、どの業務をカウントするのかをはっきりさせる必要がある。
・ 障害の相談は入り口も緩くOJTもないという状態かつ、試験もなくてスーパービジョンも十分体制ができていない状況なので、社会福祉士や精神保健福祉士を基礎資格にすることによって相談援助技術の基礎は最低限押さえられるのではないか。
・ 生活困窮者自立支援法を参考にして、主任相談員と相談員を分け、個別相談する者とスーパービジョンをする者を明確にするべきである。
・ 多様なスペシャリストを集めて個人では持てないジェネラルな視点を構築するために、職種連携について法律で位置づけることも必要。
・ スーパーバイザーの育成については、事業所内の指導的立場の者や経験年数が長い者ができるというものではないので、スーパービジョンに絞った人材養成が必要である。
・ 相談支援の3層構造では、地域ケア会議や多職種連携が必要であり、そういったものを運営するためには基幹相談支援センターの設置が必要である。
・ 資格要件については、介護支援専門員の資格の付与から養成の仕方について参考にすべき。高齢者も障害者も生活上の困難を抱えていることは同じである。
【相談支援体制について】
・ 障害者には知的・身体・精神と種類があるが、窓口を一本化して、そこからの連携で対応するような形を整備していくと障害者にとっては非常にわかりやすいと思う。また、自治会や民生委員・近所の人が一緒になって対応できる窓口にすることで、地域全体で障害者を支える事ができる。
・ 障害・高齢・生活困窮等の総合的な相談支援を行うためには、どこか主管するかを明確にしなければならないので、社会福祉法の中に総合相談事業を起こすなどする必要があると思う。
・ 相談窓口を一元化するには、障害者の実情に合わせて背景情報まで集めてアセスメントできるような総合的なコントロール機能を持たせなければいけない。また、総合的な問題が発生した場合には、他職種を集めてケース会議を行う等の対応をすべき。
・ 児童、高齢、生活困窮も合わせたところでの相談支援体制を今後本格的に考えていく一方で、得意分野・専門的な分野を持った人材も育てて配置すべき。
・ 自立支援協議会をもう少し小さなエリアで設置し、地域ケア会議や他の分野とのネットワーク会議を充実することで、地域が一体となって対応できるのではないか。
・ 各相談支援事業所は障害者の特性によって得意不得意がある場合もあり、包括的・総合的に運営していく事は難しい面もあるので、その部分は自立支援協議会を機能させて対応していかなければならない。
・ モニタリング頻度については、回数や報酬を増やすことも大事であるが、まずは利用者のニーズに沿って実施する事を再度理解する必要がある。
・ 地域における重層的な相談体制をつくるためには域包括支援センターや基幹相談支援センターの位置づけを明確化する必要がある。その際に、様々な分野が絡んだ問題については、他の業界の支援方法等を参考にしていくべき。
・ 障害領域は高齢領域から学ぶ姿勢を持つべきだが、対象となる年齢層が幅広く、障害特性も多様なので、対象者の特徴を見極めることが重要だと考える。
・ サービス等利用計画を作成してからモニタリングの時期を迎えるまでにも、専門員がサービス提供事業所と連絡を取り合う等の連携を図るインセンティブとなるような仕組みを作る必要があるのではないか。セルフプランについても、セルフだからと言って専門員が関わらないのではなく、当事者自身がプランを作成する過程を支援することができる人材を育てる必要があるのではないか。
・ 総合相談窓口を開設することは良いことだが、総合的にやることによって障害の部分が埋没したり浅くなってしまうのではないか。
・ モニタリングの回数については、利用者の状況や市町村の判断によって変わってくるが、やはり最低限必要な回数は定めないといけない。特に複数事業所にまたがってサービスを利用している場合は情報共有のためにも定期的に行う必要がある。
・ 利用者によって計画相談のニーズには差があるので、給付管理中心の相談員と基本相談に重きを置いた相談員等の区別も必要である。
・ 相談支援のアドバイザー事業の有無によって協議会の活用方法に差が生じるのではないかと心配している。
・ モニタリングの頻度については、回数を増やすことでプランの質を上げることが前提である。モニタリングの支援方法等についても会議等で取り上げ、充実させていくべきと思う。
・ 機能分担・役割分担という点では、基幹相談支援センターや自立支援協議会、今後は主任相談支援専門員等が中心になるのだが、負担がとても大きいと思うのでしっかり議論して進めていくべき。
・ 障害の分野での総合相談ということでは基幹相談支援センターが合致すると思うが、障害種別や年代の多様性を考えた場合、一つに集約するのは厳しい。一元化は相談の窓口で、そこからは各専門的な相談につなげていくべき。
・ モニタリングは本来的には、月に1回等の回数にこだわらず、必要に応じて随時行う事が理想だと思うが、事業所の収入面を考えると定期的に入らざるを得ないところがある。
・ 基幹相談支援センターの立ち上げや運営については、市や協議会の自主性に大きく左右されるが、機能等に差が出ることに関してはあまり良くないのではないか。
・ 自立支援協議会を運営していくためには、客観的に見る外部のアドバイザーを運営委員に入れる必要もあるのではないか。
・ 広域的な自立支援協議会を作るよりも、市単独で対応した方が良い部分もある。
・ 多様で複雑なニーズに応えていくためには、重層的な支援体制、複合的な相談窓口を配置する必要がある。