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2016年3月30日 第17回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成28年3月30日(水)8:30~9:30


○場所

ベルサール九段 ROOM B(4階)


○出席者

井口、田中、千葉、藤井、堀田、山本(敬称略)

○議題

1.平成27年度介護従事者処遇状況等調査の結果について
2.その他

○議事

○西嶋介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので、第17回「社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」を開催いたします。

 初めに、本日の委員の出席状況でございますけれども、堀田委員が若干おくれてございますが、全ての委員に御出席をいただける予定でございます。

 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料について御確認をさせていただければと思います。

 議事次第の下でございますけれども、

 委員のメンバー表

 資料1 平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント(案)

 資料2 平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(案)

 資料3 平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果(案)

参考資料といたしまして、3月30日のときの資料をつけさせていただいてございます。

 資料の過不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。

 冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただければと思います。御協力をよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○西嶋介護保険データ分析室長 以降の進行につきましては、田中委員長にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田中委員長 皆さん、おはようございます。

 朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございました。

 早速ですが、議事次第に沿って進めてまいります。

 議題1「平成27年度介護従事者処遇状況等調査の結果について」を事務局から説明をお願いします。

○説明者 それでは、資料に沿って御説明をさせていただきます。

 まず、資料1「平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント(案)」となっております。以降、資料2、資料3の資料と重複するところがございますが、一番上でございます。介護職員処遇改善加算((ローマ数字1))を取得した施設・事業所における介護職員の平均給与額について、平成26年と平成27年を比較すると、13,170円の増となっております。

 左下でございますが、加算の届け出の状況を見ていただくと、おおむね9割ぐらいの事業所が何らかの加算の届け出をしている。

 さらに下ですが、では、どの種類の加算を取得しているかというと、処遇改善加算((ローマ数字1))を取得している事業所が約75%、処遇改善加算((ローマ数字2))が約21%と、ほぼここに集約される状況になっております。

 一番下ですが、加算を取得した事業所ついて、どのように給与を引き上げたか、その手法を聞いたところ、「定期昇給を実施(予定)」が59.8%、「手当の引き上げ、新設(予定)」が50.7%、この二つがほぼ多数を占めている状況になっております。

 一方、右に移っていただいて、処遇改善加算を届け出していないと回答した事業所に、なぜ加算の届け出をしないか理由を聞いたものです。

 「事務作業が煩雑」、「利用者負担の発生」、「対象の制約のため」が主な理由として挙げられております。

 また、同様に、処遇改善加算((ローマ数字1))以外、加算((ローマ数字2))から((ローマ数字4))を届け出ているところに、なぜ加算((ローマ数字1))の届け出が困難なのか理由を聞いたものです。「キャリアパス要件(ローマ数字1)(賃金体系の整備)を満たすことが困難」と回答したところが60%ということで、多数を占めています。

 そのほか、一番右下でございますが、経営悪化、赤字等々によって、賃金水準を引き下げた上で加算を取得するといった場合には、特別事情届出書を都道府県、市町村に出す必要がありますが、この特別事情届出書を届け出た事業所は、調査を行った5,094事業所のうち、9事業所でございました。

 その下では、特別事情届出書を届け出たところが、どういう手法で賃金水準を引き下げているか聞いたところ、「賞与等の引き下げ、廃止」、「給与表を改定して賃金水準を引き下げ」、「各種手当ての引き下げ、廃止」で引き下げているという結果でございます。

 続きまして、資料2でございます。

 3ページでございます。

 「○ 調査の目的」でございますが、介護従事者の処遇の状況及び介護職員処遇改善加算の影響等の評価を行う。また、次期介護報酬改定のための基礎資料を得ることを目的とするということでございます。

 「○ 調査の対象」については、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、訪問介護事業所、通所介護事業所、認知症対応型共同生活介護事業所、居宅介護支援事業所、また、これらの事業所に在籍する介護従事者の方について調査をしているということでございます。

 「○ 調査の方法等」につきましては、調査の実施時期は2710月、調査対象施設・事業所に在籍している介護従事者等について、平成27年9月と26年9月における給与の調査をさせていただいております。

 下段の表でございますが、有効回答率は約72.7%、となっております。

 6ページでございます。

 「○ 施設・事業所別にみた介護職員処遇改善加算の取得(届出)の有無」で、先ほど何らかの介護職員処遇改善加算を届け出ている事業所が約9割と御紹介させていただきましたが、その9割を施設の種類別に見た結果になっております。

 同じように、加算を届け出ているといったところについて、処遇改善加算(ローマ数字1)を届け出ているのか、((ローマ数字2))を届け出ているのか、それについて同様に施設の種類別に見たものが7ページの結果になっております。

 8ページでございます。

 「○ 介護従事者の給与等の引き上げの実施方法」でございますが、これを先ほど複数回答の中で「定期昇給を実施予定(予定)」または「各種手当の引き上げまたは新設(予定)」という対応が多いと御紹介をさせていただきましたが、これにつきまして、施設の種類別に見たものが8ページの表でございます。

 9ページにつきましては、介護職員処遇改善加算((ローマ数字1))を届け出ているところの大体4分の3、75%ぐらいは((ローマ数字1))を取っておるのですけれども、それ以外のところについて処遇改善加算の取得が困難な理由について、同様に施設の種類別に見たものがこの9ページの表でございます。

10ページにつきましては、そもそも処遇改善加算を届け出しない理由を同様に施設の種類別に見たものが10ページの表でございます。

12ページでございますが、先ほど((ローマ数字1))を取得した事業所で月給・常勤の者については、1万3,170円の増になっているとご説明させていただいておりますが、介護職員のみならず、その他の看護職員とか、生活相談員・支援相談員など職種別に見た状況をまとめたものがこの12ページの表でございます。

 平均給与額につきましては、下の注2に書いておりますとおり、基本給(月額)に手当と一時金(4~9月支給金額の1/6)を加えた額を平均給与額とさせていただいております。

12ページのほうが加算((ローマ数字1))を取得した事業所、13ページはいずれかの加算を取得した事業所について見たものが下段の表でございます。

14ページは、平均基本給額、手当とか賞与を除いた額で比較した表でございます。

 同じように、14ページが加算((ローマ数字1))を取得した事業所、15ページがいずれかの加算を取得した事業所という構成になっております。

16ページ、17ページにつきましては、平均基本給となっておりますが、時給の人、非常勤で働いている人の時給を見たものでございます。16ページが処遇改善加算((ローマ数字1))を取得した事業所、17ページのほうがいずれかの加算を取得した事業所という表になっております。

18ページ、19ページでございますが、こちらは平均給与額を地方公共団体はどうであろうか、社会福祉協議会はどうであろうかと、法人の種別ごとに見たものが18ページでございます。

19ページは、同じように、いずれかの加算を所得した事業所を法人の種別ごとに見たものでございます。

20ページにつきましては、規模別に見た平均給与額で、介護老人福祉施設と介護老人保健施設を記載させていただいております。21ページがいずれかの加算を取得している事業所となっております。

22ページでございますが、こちらは職位別に見た介護職員の平均給与額ということで、管理職である者、管理職でない者がどうなっているか。こちらはいずれかの加算を取得した事業所というデータのみとなっております。

 以降、23ページにつきましては、勤続年数別に見た平均給与額ということで、処遇改善加算((ローマ数字1))を取得した事業所について、勤続年数別で見た表でございます。

24ページが、同様に、いずれかの処遇改善加算を取得した事業所となっております。

25ページにつきましては、勤続年数別で見たものでございますが、基本給額で比較した表でございます。

25ページが処遇改善加算((ローマ数字1))を取得した事業所、26ページのほうがいずれかの処遇改善加算を取得した事業所という表になっております。

 おめくりいただいて「(ローマ数字3) 給与等の引き上げ以外の処遇改善について」ということで、職場環境等要件と言われる部分でございますが、幾つか分けて記載をさせていただいております。資質の向上という取り組みについては、研修等の受講支援を行っている割合が高いという結果になっております。

 そのほか、労働環境・処遇の改善という意味では、マニュアルの作成等による責任の所在の明確化、職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善といった取り組みを実施している割合が高いというところでございます。

 そのほかにつきまして、30ページでございますが、「非正規の職員から正規職員への転換」が進んでいる状況でございます。

 最後になりましたが、特別事情届出書、賃金水準を引き下げた上で加算を取得するといったときに届け出が必要なものでございますが、調査を実施した5,094事業所のうち、届け出をしていない事業所が5,085、届け出をしたという事業所が9という結果になっております。これを施設の種別ごとに見た表が32ページの表でございます。

 最後になりましたが、33ページは、特別事情届出書を届け出した施設・事業所がどのような手法で賃金水準を引き下げたのか、まとめた表が33ページでございます。

 資料3につきましては、非常にデータの分量が多くなっております。後ほどお目通しいただければと思います。

 長くなりましたが、資料の説明については、以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 ただいま説明のありました事項について、御質問、専門的な立場からのコメント、意見がありましたら、お願いいたします。

 むしろ、私の立場としては、質問よりもコメントや意見があったほうが世の中のためになると考えますが、いかがでしょうか。

 藤井委員、お願いします。

○藤井委員 まずは質問ということになると思うのですけれども、基本的に公務員の給料を上げるというのと違いまして、事業のほうは技術指標というところで、株式会社あり、非営利法人ありというところで事業を運営していただいているところに、介護職員の処遇をどう上げていくかということで、どのような政策手段を用いてこれを上げていくのかというのは、そもそも非常に難しい話だと思います。

 特に今回の((ローマ数字1))を創設した2015年改定におきましては、基本報酬そのものを下げた上で、その分を職員の処遇に充ててもらう。つまり、全般的には利益がしっかり出ているではないか。この利益分は、介護職員に向けてはどうかという報酬でございまして、事業者の方からは随分評判が悪いようなことも私は聞いておりましたので心配をしていたのですけれども、実際に見ますと、狙っていた金額に多少のプラスをされているということかと思います。

 加算そのものが総額をプラスしていないともらえないわけですから、総額では必ず人件費に多く充てている。これは間違いなく保証されている。きちんとチェックということは重要でございますけれども、そこは保証されているということで、今回の調査に関して言うと、これは基本は総額が保障されている部分を個々人単位で見たときに本当に上がっているでしょうかというために行う調査だろうと思います。

 そこでも狙いが満たされているというところになります。今度は、逆に気になりますのは、少数派ではあるとはいえ、そもそも処遇改善加算を全く届け出できていないとか、今回の((ローマ数字1))に乗れなかったといったところはどうしてなのだろうかというところに、一つはなってくると思います。

 全体的にはうまくいっているとはいえ、これを見ますと、そもそも届け出をしていないところは、事務が煩雑であるという部分が45%になっていますけれども、確かに要らない事務は煩雑でないほうがいいに決まっているのですが、保険料、税金で集めたお金をしっかり使っていただくためには、それなりの事務をしていただかなければいけないという面はあると思うのです。

 この事務が煩雑というのも、いろいろとございまして、ミクロ的に見ますと、ちゃんとやればできるのにやろうとされないで事務が煩雑だと言われているケースもなきにしもあらずでございます。

 現に、この体制でそこまでやるのは大変だろうというケースもあるのだろうと思うのです。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、そうしますと、この事務作業が煩雑である、あるいは、加算((ローマ数字1))がとれないということで、キャリアパス要件((ローマ数字1))、賃金体系をつくっていない。これも非常に小規模なNPOで5人ぐらいでやっておりますと言われますと、それは大変だろうなと思うのですけれども、このとれないというところについて、全般にうまくいっているということを御報告いただいたのがきょうの主たる目的だとは思うのですけれども、今度はそちらのほうが気になってまいりますので、次の段階としては、これはどういうところなのかということを分析した上で対応策ということになるのではないかと。

 あるいは、事務作業が煩雑だということであれば、一定規模のところにはこんな事務でいいのではないかとか、そういう方策があり得るのではないかと思うのですけれども、まず、質問したいことは、現段階の分析で、非常に短い間の分析ですからそこまで行っていいないのではないかと思いますけれども、この事務作業が煩雑であるとか、要件((ローマ数字1))を満たすことができていないと、きょうの資料にはついていないようなのですけれども、どういうところの事業所がこういう特徴を持っているかといった傾向が、もしわかっていれば、その傾向を教えていただきたいなという質問でございます。

○田中委員長 質問にお答えください。

○説明者 集計に時間がかかって、なかなか分析まで追いついていないというのが正直なところですが、資料2の10ページをごらんください。

 処遇改善加算の届け出をしない理由で「事務作業が煩雑」が45.4%となっていますが、明らかに傾向として見えるのは、施設の種類別に見たときに、介護老人福祉施設や老人保健施設など、ある程度大規模な施設については、この割合が低くなっている一方、訪問介護や通所介護など比較的小規模な事業所において、事務作業が煩雑であると回答いただいているところが高くなっています。

 現行の調査では、この事務作業が煩雑というものについて、具体的にどういう事務が煩雑なのかというところまでは調査はしていないので、なかなかそれ以上の分析は困難な状況なのですが、傾向としてはそういった傾向になっているところでございます。

○田中委員長 山本委員、お願いします。

○山本委員 まず、質問をさせていただきます。

 全体の結果として、おおむね満足な数値が得られたと御報告いただいたのではないかと理解をしております。

 その中で質問なのですけれども、この数字をもって満足したような結果だということなのですけれども、一方で、裏側のところで、調査方法等というところ、有効回答率が72.7%でございますので、逆に言いますと、28%のデータがまだ見えていないところがある。

 全体の中で、均質にサンプル抽出されているのであれば、この数字でおおむね満足できるということなのですけれども、これはもしわかればということでの質問なのですが、この処遇改善加算等は、届け出に基づく制度でございますので、もし厚生労働省さんのほうで、この全体の加算、届け出の状況をデータとしてお持ちで、これはアンケートですので、自己申告でございますので、おおむねこの届け出の状況が国全体として捉えておられる届け出の割合というのですか、((ローマ数字1))がどのくらいという状況とほぼ一致していれば、これがおおむね全体を代表しているのではないかと推測もできますので、もしそういうデータがあって、そういう形で突き合わせができるということであれば、教えていただきたいなと思います。

○田中委員長 サンプルバイアスがあるかどうか。わかりますか。

○説明者 本日、資料としてお配りはしていないのですが、この調査以外に、介護給付費等実態調査という調査があります。実態調査ではいわゆるレセプトの請求件数を把握できるのですが、この調査でも処遇改善加算((ローマ数字1))を請求している事業所の割合は約7割弱となっております。

この処遇状況等調査では加算を届け出ている事業所が約9割、その中で((ローマ数字1))を届け出ている事業所がそれのさらに4分の3ということですと、大体66%から67%ぐらいになりますので、実際に請求されている事業所と今回の調査結果というものがおおむね一致しているのではないかと考えております。

○田中委員長 裏づけがあるようですね。

○山本委員 それであれば、はい。

○田中委員長 どうぞ。

○藤井委員 今の点に関して、一般的な調査とか、そういうものでいいますと、我々がアカデミックな調査をやると、今どき、この有効回答率は3割行ったら高いとか言っている水準ですので、国がやる調査とはいえ、かなり一定程度の回答率として評価していいことは間違いないと思うのですが、ただ、これは現場でも非常に関心がありまして、政策的にも関心があるところで、声として聞きますのは、うちは非常に給料が安い。そして、こんなものの調査にも対応していないではないかという、非常に個別の声を聞いたりいたします。

 今の山本委員のお話でバイアスがないということが一定程度裏づけられたとしてもなのですが、今後のことを考えますと、それだけ注目されておりますので、例えば、都道府県に届け出されるときに、去年、ことしの給料を比較した表をそのときに出していただくとか、あるいは、今回回答してくださらなかったところの幾つかをサンプリングして、お邪魔をしてデータをいただきに行くとか、本当に回収によるバイアスがないかどうかというのは、通常はそういうことはやらないのですけれども、それぐらいのことをひょっとしたらやることが求められているのではないかという感じをひしひしと感じますので、こういうことはほかの政策上やったということをほとんど聞いたことがないのですけれども、もし検討の余地があればやっていただきたいということと、マネジメント領域ですと、検証・研究委員会のほうで申し上げたのですけれども、回収の時期です。早く返してくれたところはぎりぎりにならないと返してくれないあるいは催促して返してくれた、ここの差があるかどうかを持って回収バイアスがあるかを見る方法もあったりしますので、ぜひ山本先生におっしゃっていただいた回収バイアスがあるかないかというのは、この調査に関して特に重要だという点を御理解いただいた上で、何らかの方策を考えていただければと思います。

○田中委員長 コメントをありがとうございます。

 千葉委員、お願いします。

○千葉委員 私も、この調査全体を見て、特に((ローマ数字1))という、今回新しく導入された加算の効果ということで、1万3,000余り、一応その制度の目的というか、政策の意図したところからいうとうまくいっているのかなと認識しています。

 質問というか、コメントみたいなものになるかと思うのですが、先ほど藤井先生が加算を取得しない理由という中で、御質問というか、御意見の中で、事務局のほうで御対応があったのは事務作業が煩雑というところについての御回答があったのですが、それ以外に対象者の制約というところもちょっと気になっていまして、資料2でいうと、10ページの表、「対象の制約のため困難」と回答している施設種別を見ると、例えば、施設サービス型のほうでいうと、介護療養型医療施設は51.7ということで、多分ここはドクターとかナースという方がいらっしゃるからだろうと思います。ここでいう「対象」というのは、多分処遇改善加算の対象のことだと思うのですけれども、介護医療施設だと限定的な職員のみをやるのがなかなか難しいという事情があるのかなと思いました。逆に言うと、それでも介護福祉施設も54.3%があると、これはどういうことなのだろうかというのがちょっと気になりました。あと、その他のところでも、認知症対応型、グループホームのところでも一定程度はいるということで、ここら辺は何が制約なのか

というのが、当初、想定した仮説とちょっと違う考え方をしているのではないかなという気がしていまして、目を引くのは、ナースとか、そういう介護職員ではない方で一緒に働いている方との関係ということで、法人の持ち出しでこの処遇改善加算を期に法人全体を底上げしているという努力をよく聞くのですけれども、逆にそれが相当負担感になっているところもあるのかなとここで見ようと思ったら、ちょっと違う動きもしているのかなと思って、その辺はどう解釈したらいいのだろうかというのは、もし何か所見があったら教えてください。

○田中委員長 御質問ですが、いかがですか。

○説明者 まだそこまでの分析に至っていないものですから、今後、分析をしてまいりたいと考えております。

○千葉委員 わかりました。多分これは調査票上の設計でもそんなに深掘りできない項目になってしまうかと思うので、次回はこの辺も深掘りできる調査項目も加えておいたほうがいいかなと思いました。

 以上です。

○田中委員長 井口先生、お願いします。

○井口委員 全体的な感想といったらいいのでしょうか、そういうことで述べさせていただきたいと思いますが、個々の施設・事業所においてそれぞれ状況は違うということはわかるのですが、トータルとしては、まず、当面の目標金額と言ったらいいのでしょうか、それをクリアしていることは一定の評価ができるのかなと思っておりますし、有効回答率が7割を超しているというのも、ある程度の実態をあらわしているのかなと思います。

 ただ、介護職員というのは、もともと他の職種に比べると結構低い数字でありますので、これらについては、さらに対応が必要なのかなと思います。

 それと、民間福祉の中核と言われている社会福祉協議会が断トツに低い。もちろん社会福祉協議会が介護事業に参入という表現が当たるかどうかわかりませんが、それは極めて遅いので、他の福祉法人と比べればそういうこともあろうかと思いますが、これもしっかり見ていく必要があるのかなと思っています。

 ありがとうございました。

○田中委員長 まとめをありがとうございます。

 堀田委員、どうぞ。

○堀田委員 この調査の結果全体としては、一定程度の効果があったのかなと見まして、どちらかというと、これをもとに次にどうするのかなということに対する関心ということで、もしおわかりであればお聞きしたいのですけれども、9ページのところなのですが、「キャリアパス要件((ローマ数字1))を満たすことが困難」がそれなりに多く挙がっているわけですけれども、これは特にそれぞれ「キャリアパス要件((ローマ数字1))を満たすことが困難」と回答しておられるのは、例えば、規模が小さいところが多いとか、あるいは、新設のところが多いとか、何か既に分析をしておられたら教えていただければというのが一つです。

 というのは、キャリアパス要件((ローマ数字1))は、水準そのものではなくて定めて周知なので、何がハードルになっているのかなと。これだけ困難というところがそれなりの数があって、この定めて周知というところをやれるようにするにはどこから手をつければいいのかなと思いまして、事業所の傾向があれば教えていただければというのが一つです。

 さらに、どうしたら進められるかなという観点で同じような質問なのですけれども、後ろのほうの給与等の引き上げ以外の処遇改善状況というところで、資料2の28ページ、29ページあたりで、より詳細には資料3の80ページのところなのですけれども、こちらについては、従来または今回は実施しているというのが少ない割合のものが、今後、どうしていけるかなという感じのことをやはり考えていまして、例えば、小規模事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築というものが、2割がやられているというのは、それはそれでよかったなと思うのですけれども、少なくとも事業者として小規模であれば、ある程度こういったことを考えていかなければ、天井が見えてくるわけなので、進められればと思うものの、放っておくと、このまま一番右側の「従来及び今回実施しておらず、今後も予定なし」というところが過半数ということで、逆に、やっているところの特徴みたいなものが練られていれば、既に分析をされていれば教えていただければというのが2点目です。

 3点目も、同じ資料3でいうところの80ページですけれども、真ん中ら辺ですが、「労働環境・処遇の改善」のところで、介護職員の腰痛対策を含む負担軽減のための介護ロボットやリフトなどの介護機器等の導入というのが18.9%、これはとどまっているという感じがしまして、どちらかというと、訪問系でなかなかこれが難しいので、全体としては施設系ではほとんどされていて、訪問系が難しいことなのか。これについても何か傾向が見られていれば教えていただきたいなと。

 いずれも多分まだではないかと想像しつつ、関心事として、3点、質問させていただきます。お願いいたします。

○田中委員長 難しい質問がありましたが、お願いします。

○説明者 まず、処遇改善加算((ローマ数字1))をとられていないところ、((ローマ数字2))~((ローマ数字4))についてキャリアパス要件((ローマ数字1))を満たすことが困難だというところについて、例えば規模が大きいところ、小さいところなど少し深掘りした分析が可能であるかどうかということでございますが、現時点でこれ以上、詳細に分析したものはございませんが、分析することは可能ではございます。

 ただ、割合的に((ローマ数字2))~((ローマ数字4))というところの絶対数が少ないものですから、その分析結果が評価に値するものかどうかというのは、やってみないと正直、わからないところがあるという状況でございます。

 そのほか、給与等の引き上げ以外の処遇改善中で、小規模事業者による人事ローテーションとか、介護ロボット、リフトの導入というものについて、やっているところ、いないこところの特徴があるかでございますが、こちらは職場環境等要件として各事業者さんが都道府県に届け出をしているところに丸をつけて提出をしてくださいとお願いしている部分でございまして、事実関係としてこのように出てきているというところだけでございまして、どのような事業者がこういう取り組みが比較的高い、または低いというところまでの分析は、現状のところ、まだできていないというところが実態でございます。

○堀田委員 ありがとうございます。

 この報酬改定に直接どうこうということではないのですけれども、こういう調査結果をもとに、恐らく今回の調査の分析だけでも、事業者規模別とか、あるいは事業種別でやられていないところの属性を見ることは可能だと思いますので、もちろん報酬で云々ということではなくて、今後、どうやって充実させていくかという観点で少し見ていただくことも必要かなと思います。

 それから、1つ目のほうについても同じことで、この調査だけでこの背景を見るのも難しいと思うのですけれども、一般の事業者であればそんなに難しいことではないことがキャリアパス要件((ローマ数字1))だと思うので、それを困難と言っているところが、どのような実際の困難を抱えているのかというのも、別にこの調査でということではなくて、やや問題意識を持って、底上げを図るということにつなげていければいいのではないかなと思いました。

 これはコメントです。

○田中委員長 政策的にそのような底上げも必要であると。大切な点でした。ありがとうございます。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 2点、千葉委員がおっしゃったことと井口委員がおっしゃったことについてなのですが、千葉委員がおっしゃった対象の制約のためという件でございますが、これは今あるデータでどう掘り下げていくかということと、冒頭に申し上げましたように、かなり徹底してきているから、ゆえに対応できていないところをどうお願いするかという考え方で見ますと、よく聞きますのは、政策のお願いとすれば、介護職員の給料というのは安いと言われている。

 実際のデータ上も、一般の仕事と比べると安いので、その分を上げてくださいということなのですが、ほかの職種も安いのです。ほかの職種も一緒に上げないと難しいのではないかといった話を聞くときがあります。

 そういうところの給与表を見せていただくと、介護職員の給料は決して安くないといいますか、何をもって安いか高いかというのは難しいのですけれども、地域の賃金水準とか、いろいろと比べましても、あるいは、同じ法人に勤める事務職員、看護職員と比べても、そこそこの賃金をつけてきている。

 基本的に、似た賃金テーブルでもって運用している。そこで運用しているわけですから、介護だけ挙げろと言っても無理があるという話なのです。この低いあるいは上げるべきだという話は、平均だけを見て物を言っておりまして、やはりきちんと給料を払っているところがないわけではない。そういうところにさらにふやしてくださいと言うべきかどうかというのは次の段階の話なのだろうと思うのです。

 ですから、今の段階とすれば、既にある程度は払っていて、ほかの事務職員、看護職員、ソーシャルワーカーといった賃金と変わらないのに、へたをすると抜いてしまうとか、事務作業をやっている事務職員がお金をもらえないで、介護職員だけ給料が上がって、同じぐらいになってしまうということの問題がある。そういう問題であれば、むしろ気にしなくてもいいのかもしれません。

 もう一つは、これは千葉委員がおっしゃった特養などでよく聞くのですが、特養だけではなくて社会福祉法人でさまざまな種別をやっておられる。障害の場合は障害も同じように上げているからいいのですけれども、児童をやっておられるとか、違う家庭関係のことをやっておられるということになりますと、一部の事業をやっている職員だけ上げにくいという話があるかと思います。

 これを介護あるいは障害の分野だけを上げるというのは、社会福祉法人にとってみれば、これはどうもバランスに欠けるのではないかということでよくわかるのですが、政策としてどう考えるかということはまた別の段階の話になろうかと思います。

 最後、聞く話で言いますと、そもそも介護職員はそこまで給料を出さなくても来てくれるし、あるいは、看護というのはそれなりにお金を払わないと来てくれないのだけれども、その差を見たときにバランスに欠ける。

 これはこちらのお願いからすると、それでもやはり払ってくださいという話になるのだろうと思うのです。

 何を申し上げているかというと、この対象の制約のためというのは、千葉委員がおっしゃったように、今あるデータで分析するあるいはそろそろこれを腑分けするようなデータをとることによって、対応、対策はかなり変わってくるのではないかということですので、3割ということで、そろそろ見ていく段階に入ってきているかなというのが1点でございます。

 井口委員がおっしゃったことで言いますと、今、申し上げましたように、給料が低いと言われているものが、平均として見れば、やはり平均的な賃金より低いということが確かに言えるわけでございますけれども、審議会でも2014年度に議論いただいて、非専門職と比較して、特に女性の賃金においては決して低くはない。むしろ一部においては比較的には高い部分もあるという結論が出ていたのではないかと思います。

 堀田委員、田中委員長などはよく御存じだと思いますけれども、今、介護職員の給料を見ますと、高卒女子の勤務年別の給料に若干プラスアルファという賃金になっております。

 今の介護職というのは、制度上から言いますと、別のサービス業をやっておられた方が専門性を獲得しないで働いていたとしてもこれは介護職員でございます。それから、資格を取り、体系的に学び、切磋琢磨しておられる方も介護職員でございます。これを一緒くたにして安い高いという議論になっているわけでございまして、今回は、資料3の68ページ等を見ますと、残念ながら資格の有無あるいは介護福祉士を持っているかというところだけを見ますと、給料を上げているかどうかに関して言うと、同じように上げていると。

 これはもともとのベースの給料が別途あると思いますし、もともとのベースの給料でいうと、介護福祉士の給料は高いというデータが介護労働安定センター等のデータで出ていると思いますが、それにしても大して大きな差があるわけではないということなのだろうと思います。

 何が言いたいかといいますと、やはり専門性を獲得されないで他のサービス業並びの業務というのが、実際には、今、介護の現場にあり、この賃金というのは、例えば、高卒女子と申し上げましたけれども、学歴によって賃金差があるというのは事実でございますし、介護サービス提供者というのは、職業分類で9分類に入っておりますけれども、これでいいますと、たしか高卒女子が5割近くありまして、中分類でいうと一番高卒女子が多い。

 したがって、そこに引っ張られるのはやむを得ないのではないか。女子と男子との給与差で女子の給料が低いということは、これはゆゆしき問題なのでございますが、これは、片働き社会を日本でつくってきて、そこに日本型福祉が乗ってきたという大問題でございまして、それをどうするかというのは介護だけの問題ではございません。

 つまり、現実として高卒の女性の賃金に介護職員が多少足した程度であるというレベルの労働というのは、介護の中ではやはりあるのであろう。それが間違いであるとか、おかしなことであるとは余り思えないのです。

 問題なのは、やはり専門性を獲得していかれるところで賃金が追いついていかない。あるいは、専門成果を獲得するのはどういうことなのだろうかとか、少なくとも、今、資格でそういうものが余り見えて来ていないということがあるわけですから、この問題は、次の段階としては、やはり専門性であるとか、技術であるとかといったものを評価していく、これは堀田さんあるいは田中先生がやっておられた社援局の人材のほうでも言われておりますけれども、介護職員と一くくりにして賃金水準を考えるべきでは、もうそろそろないのではないかということと、獲得している専門性をどのように現実化していくか。

 例えば、病院でいいますと、正看、准看、看護助手というのは明確な賃金格差がございます。これは、やはり支払うほうが明確な賃金差があると認識し、その賃金を支払わないと来てくれないということで賃金格差がついているのだと思うのですけれども、今は少なくとも介護福祉士についてはそういうものが残念ながらでき上がっていない。

 そうなると、養成課程の問題なのか、資格を取る問題なのかとかもありますけれども、老健局ベースで言えば、介護福祉士をお持ちで就職された方の最初の段階の研修です。介護福祉士を取るための支援という項目があるのです。それから、研修と広くくくっているものはあるのですけれども、一番専門職として重要なのは、あらゆる専門職でそうですけれども、資格を取って就職した後に、現場に応じて、その現場の中できちんとした体系的な研修が行われるということが重要なのですが、介護福祉士についてこれを特別にやるという話は恐らくどこでもやっていないと思います。

 初任者に対しての研修はそれなりにやっているところはありますが、むしろ介護福祉士の養成校を出られて、それなりにある程度の技術を持っておられれば、その部分はあなたはできるねということで、逆に言うと放置されているというケースが多くなっておりまして、これは介護福祉士の専門性をなかなか獲得していけないのではないかと思っていたりします。

 いろいろなことを長く申し上げたのですが、要は、全般にというところでもって賃金を上げることはそれなりの成果を得ているわけですが、現場で専門性を獲得して生涯介護職を続けていこうと思っておられる方にすればするほど、何か実感が湧かない。あるいは、自分たちがやっている、獲得している専門性の割には安いのではないかという部分のところをぬぐう政策には今はなっていないというところにも手をつけていただかなければいけないということと、介護の仕事の中でも専門性がそう要求されていない部分については、それなりの賃金にならざるを得ないという部分は理解した上で、データをとったり、世の中に見ていただくということをしていかなければいけないと思いますし、その部分については、例えば、世の中の賃金が上がっていくと我がほうでも上げなければいけないわけです。

 これは、今、世の中の賃金が上がってきていると言われておりますけれども、景気の先行きがどうなるかは見えなくなってきておりまして、この賃金が上がるかどうかわからないということになっていますと、このタイミングに合わせて事業所の方々が時給を設定できるような、いわゆる一般労働市場の中での戦いをどうするかという問題と、専門職労働市場に対しての賃金をどうするかということを政策としてやらなければいけないということで、大変難しいことに取り組んでいらっしゃると思うのですけれども、まずは専門職労働市場と一般労働市場の問題であると。

 お亡くなりになった池田先生がこのことは常々言っておられて、いわゆる家計補助的な働きをしておられる方々がそんなに賃金を要求するわけではないという言い方をされておられましたけれども、そのあたりを分別した政策をしていく段階のデータなのだろうなと。このベースでいうと、本当に政策的な目的は果たしていると評価できるのだと思いますが、さはさりながら、井口先生のおっしゃるように、これで現場の方々が満足しているかというと、どうもそうは思えないということは、そういった問題につながっていくことではないかと思っております。

 済みません。長くなりました。

○田中委員長 ありがとうございます。

 今の点は堀田委員にもコメントを求めたいのですが、議長から指名していいですか。

 一般労働市場で介護職だけがほかの産業に比べて低い。これは全体の底上げを図る政策の視点ですが、介護の中の専門性が高い人について、プロフェッショナルになってほしい。プロフェッショナルとしての処遇をしなくてはいけない。プロフェッショナルに関する社会・援護局の検討会の言い方をすると、まんじゅう型から富士山型へと、富士山の上のほうに行かれる方については、これは一般産業との比較だけではなく、プロフェッショナルとしての給与、処遇であると分けてきたと思うのですが、専門家として、いかがですか。

○堀田委員 なかなか難しいなと思うところが幾つかあるのですけれども、まず一つは、藤井委員も触れてくださった、分科会でも分析をしていただきましたけれども、まずは世の中での介護職員の賃金の水準に対する正しい理解はまだまだ進んでいないと思っているので、議論の前提として、もちろんこれは一つの材料ではありますが、しっかりと他職種との比較では、この勤続年数とか、いろいろなものに引っ張られているところがあるので、いろいろとコントロールした上で、きっちりと議論のベース、エビデンスに基づいてやる必要があるのではないでしょうかということがまず第1点。

 第2点目は、多分藤井委員も同じ御趣旨だと思いますけれども、きょうのこの68ページなどでは、資格があるなしあるいはその資格の種別で水準や賃金の上昇の幅ということを見ているわけですけれども、一方で、専門性がしっかりと発揮されて、実際に現場でその職業能力が発揮されていれば、それは評価されるような枠組みが必要ではないだろうかと思っていますが、現在のところ、必ずしも職業資格を持っていることが現場での実際に発揮される職業能力と連動していない場合も多く見受けられるので、少なくとも、今回の調査のような職業資格の有無あるいはその種別ということによる賃金の水準の差だけで議論をするのは、やや難しい点があるのではないかなと思います。

 他方で、座長も藤井委員も、結局、その資格を持っているかどうかということではなくということだと思いますけれども、必ずしも資格の有無あるいはその種別で現場で発揮されている職業能力とは連動しない部分があるのではないかというときに、しかし、まんじゅうから富士山へというときに、実際に発揮されている職業能力に見合った処遇をということに向けて、もちろんキャリアライン制度のようなものも導入されつつありますけれども、どのような枠組みでそれを行っていくのかということについての政策科学というか、議論はこれからますます必要ではないかと思います。

 ただ、それと同時に、期待される職業能力が発揮されていて、それを評価される枠組みをつくっていくというバケツの中のことに加えて、世の中全体として、さまざまな仕事があって、すべからく全て何らかの求められているものがあるので、いろいろと世の中にたくさんの仕事がある中で、それがしっかりと評価されるためには、もっと発揮されるべきものが高まらなければいけないということも事実ではないかと思います。

 以上です。

○田中委員長 急な指名にもかかわらず、的確な答えをありがとうございました。

 まさに介護現場における職務を分析して、職務ごとの期待される技術が、介護現場の中の、例えば、10の職務について分けた技術があって、だから、ここはプロなのだとの評価基準がないと、単に資格だけではだめだという点はおっしゃるとおりですね。ありがとうございます。

 千葉委員、どうぞ。

○千葉委員 それに関連して一言だけなのですが、確かにおっしゃるとおりで、本当に発揮能力に着目した評価というのをしっかりやっていかなければいけないなというのがあるのですが、さはさりながら、これはあえて資格を云々ということに拘るつもりはないのですが、資格を取っていても逆にメリットがないというのもまた問題があるかなということがあって、いわゆる看護師等々の国家資格では、業務独占という部分もあるのでしょうけれども、それなりの地位というか、ステータスが、かなり歴史を積んだ中で築かれてきたと私は認識しています。

 そういう意味では、今後、介護福祉士等々の資格についても、そういうコースを歩めるような模索をし続ける。多分、そのロードマップとして堀田先生がおっしゃったこともあるのだろうと思うし、その際に一つ問題になるのが、この養成課程の養成コースも、求められているものとカリキュラムの不一致というのもそのうち見えてくるのではないかという気もしています。そこのところもいろいろ多面的に、それも多分この部局、老健局マターの話だけではなくなるとは思うのですけれども、そういうものをやはり包括的に見ていくことが必要なのではないかと思います。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございます。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 今の点に1点だけなのですけれども、求められている職業能力を発揮できている人を高評価するという話と、今の事業所が求めている職業というか、サービスの質は何なのかという話と2つがあると思うのです。

 つまり、ケースとしては、介護福祉士の養成は極めて適切に行われているにも関わらず、現場で行われているサービスのレベルがうまくいっていないがゆえに、現実と習ったことが違うと。これでやってくださいと。あなたはこれもできないのと。そんな理想のことだけを言わないでくださいというケースがなくはないわけですね。

 したがって、一緒にやらなくてはいけないのは、サービスの質というものをきちんと評価をして、今はとにかく預かってくれたら幾らというやり方でわかりやすくシンプルに来ておりますけれども、シンプルな点はいいのですが、どうもこれが非常に適切な質を維持して、自立支援とか、そういうことをやっておられるケースとそうでないケースがあって、それが同じような報酬が支払われている。

 そうでないようなケースのところでは、それなりの仕事をやってくれればいいと。そうすると、幾ら専門性を獲得しても、職業能力としては、うちでは要らないよということになるとおかしな話になりますから、やはりこれはサービスの質をどう評価するかということと非常に連動する話だと思いますので、その点も改めてちょっと追加しておきます。

 以上です。

○田中委員長 どうぞ。

○堀田委員 どんどんこの場から離れますが、今の議論に続けますと、一言だけ、今のお話に関連して、いろいろと分析をしていると、学校で福祉の勉強をしたこととか、あるいは、より上位の資格を取ったこととか、勤続年数を長くしていくことというのは、現在のところ、勤続意欲を下げるほうに働いているという分析が多く出るのです。

 なので、もちろんいろいろな推測はできて、今の議論のように、資格を取ったことが処遇に反映されていないのではないか、資格と処遇が連動してはいけない部分もあるかもしれないのですが、あるのではないかということが一方でありつつ、藤井委員がおっしゃったように、勉強したことというのは、必ずしもそれだけでは納得できない職場の現状があって、他方で、資格を取ったとか、勤続年数を高めたというだけでは、本当は職場の改革まで率先してやっていただきたいのですけれども、その改革ができるような能力は身につけられていない現状があるのではないかというところもあって、全然ここの話題からは大分離れた議論なのですけれども、現状の職業資格を身につけていくところが、恐らくまだ間に合っていない職場をよりよくしていくというところにもつながるような専門性を身につけていただくことも期待して、そうすると、今の議論にもつながるかなと思います。

 大分遠ざかりました。済みません。

○田中委員長 介護報酬の話から介護経営にまで広がりましたけれども、意味のある議論ではあります。

 時間になってまいりましたが、よろしゅうございますか。

 では、本日の議題1「平成27年度介護従事者処遇状況等調査の結果について」は、本委員会として了承し、この後、開催される介護給付費分科会に報告させていただくことにいたします。それでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中委員長 本日は、これにて閉会いたします。

 朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございました。

 

 

 


(了)

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