ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会雇用対策基本問題部会)> 第73回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について(2016年3月10日)




2016年3月10日 第73回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

職業安定局 雇用開発部 雇用開発企画課 建設・港湾対策室

○日時

平成28年3月10日(木)10:30~12:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(中央合同庁舎第5号館19階)


○議事

○阿部部会長 おはようございます。定刻より若干早いのですが、皆様おそろいですので、ただいまから「第 73 回雇用対策基本問題部会」を開催いたします。議事に先立ちまして、本日の委員の出欠状況の報告をさせていただきます。本日は、労働側委員の近藤委員、使用者側委員の喜勢委員から御欠席の御連絡を頂いております。

 それでは早速ですが議事に入りたいと思います。本日は議事次第にありますとおり、本部会の下に設置されている建設労働専門委員会において、昨年の 7 月以降議論されてきました「第 9 次建設雇用改善計画」について議題とさせていただいています。まず、事務局から資料を説明していただき、その後、皆様に議論いただくことにしたいと思います。なお、建設雇用改善計画については当部会の専決事項となっていますので、当部会の議決をもって分科会の議決となります。では、事務局から資料の説明をお願いします。

○佐藤補佐 建設・港湾対策室の佐藤です。私から配布資料に基づいて「第 9 次建設雇用改善計画 ( ) 」について御説明します。建設雇用改善計画については、建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づいて、おおむね 5 か年を計画期間として建設労働者の雇用の改善、能力の開発、福祉の増進などに関する施策の方向性を定めている計画です。また、最初に参考資料 1 をお配りしていますので御覧ください。参考資料 1 に建設労働者の雇用の改善等に関する法律の抜粋を掲載しています。本計画に定める事項については第 3 条の 2 項に定められていて、建設労働者の雇用の動向に関する事項。建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項。それから、建設労働者の福祉の増進を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項。それから、建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業の適正な運営の確保を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項。こうしたものについて定めることとされています。

 参考資料 2 を御覧ください。こちらが「第 9 次建設雇用改善計画の検討経緯」です。上段が建設労働専門委員会の構成メンバー、下段がこれまでの検討状況になります。昨年の 7 月から検討を開始しまして、計 8 回御議論を頂きました。その中で、国土交通省や関係業界団体、それから労働組合、有識者等からヒアリングを実施して論点の審議を行い、 2 10 日に計画案として取りまとめを頂いたという検討状況になっています。そこで取りまとめられた計画案が資料 1 になります。

 「建設雇用改善計画 ( 第九次 )( ) 」という資料です。こちらの計画案の御説明をしますが、資料 2 の概要版で御説明します。まず、計画の背景と課題の前に、先に、建設雇用の現状、動向ということで、下にグラフでまとめていますので、こちらについて御説明します。

 まず、「建設経済・建設労働者の動向」についてです。緑の枠の「建設業における投資額と就業者数の推移」です。折れ線グラフ赤線の部分が建設投資の推移になります。平成 4 年に 84 兆円をピークとして徐々に下げ続けて、平成 22 年には 42 兆円ということで底、それから徐々にですが平成 22 年以降増加傾向にあるという状況です。

 棒グラフは、オレンジが建設業の就業者数、青が技能労働者の就業者数になります。技能労働者についても、平成 9 年は 455 万人ということで、こちらがピークとなりましてそれ以降徐々に減り続けています。平成 22 年に 331 万人になった後、横這いの状況で推移している状況です。

 右に行き、「就業者に占める若年層・高年齢層の割合の推移」です。実線が建設業、点線が全産業の線になります。まず、建設業の 55 歳以上の推移です。平成 8 年、 9 年辺りについては、全産業と建設業はそれほど変わらないような状況でしたが、それ以降、建設業については高齢化が急速に進んで、平成 27 年、昨年の状況においては高齢化率が 33.8 %、全産業が 29.2 %ということですので、全産業よりも大きく高齢化が進んでいる。若年層についても、全産業 16.2 %よりも低い状況、 10.8 %という状況で、高齢化による将来の担い手不足が懸念されているところです。

 緑の枠の下の部分が「建設業における女性就業者数の推移」です。緑の上の折れ線が全産業の女性就業者の比率になります。こちらが 43 %、下の赤線が建設業における女性就業者の比率で、平成 27 年で言うと 15 %ということで女性の就業割合が低いと。それから、技能労働者で見ても、この青い棒グラフがそのうちの技能労働者の数です。 8 万人ということで非常に低い状況になっています。

 右に行き、「建設労働者の需給の動向」で、ピンクの枠です。「有効求人倍率の推移」ですが、各職種とも、有効求人倍率は高くなっていて高止まりの状況になっています。上の赤い線が建設躯体工事、とび、鉄筋、型枠、そういった職種になりますが、 7.0 倍ということで非常に高い状況になっています。全体的に人手不足の状況が見て取れるのではないかと思います。

 その下、「新規高校卒業者と 3 年目の離職状況の推移」です。就職者数の動向ですが、オレンジの棒グラフになります。就職者数は近年増加傾向にありますが、折れ線グラフを見てください。こちらが 3 年目までの離職率になります。上の赤線が建設業になります。建設業においては、平成 24 年卒で、 3 年以内に辞めていく割合が 50 %ということで、全産業で言うと 40 %、製造業で言うと 27.6 %、こちらと比べても非常に高い数値となっています。せっかく入ってきても半数が 3 年以内で辞めていっているという状況になります。  

下の青い枠が「建設労働者の労働条件等の動向」です。一番左端が「建設業の生産労働者の年収額の推移」です。下の赤い点線の部分が建設業の生産労働者の年収の動向になります。平成 24 年の 392 万円以降、徐々に近年は上がってきている状況ですが、他と比べてまだ低い状況になっています。

 その下、「建設業の週休二日制の導入状況」です。建設業は 40.0 %、全産業の 50.7 %と比べて低い週休二日制の導入率となっています。ただ、この調査については事業者規模が 30 人以上の数字となっていますので、中小零細が多い建設業における実態についてはまだ低いのではないかと思われます。真ん中のグラフは「建設労働者の労働時間の推移」です。上の赤線が建設業、真ん中は製造業、下は全産業になっています。建設業においては 2,058 時間、製造業が 1,958 時間、全産業が 1,734 時間、こちらと比べても建設労働者の労働時間は長いことが見て取れます。その下、職業能力開発の実施状況です。こちらについては、仕事柄資格等が必要ということもありまして、比較的能力開発の取組については高い状況が見られます。

 続いて、一番右です。「建設業における労働災害の発生状況」です。建設業における、上段が死傷者数の推移、下段が死亡者数の推移になっています。全産業に占める割合は、死傷者数については 14.4 %となっていますが、死亡者数になると 35.7 %と非常に高くなります。ほかの産業に比べても、建設業の場合については、一旦事故が起こると重篤な災害につながりやすいことが言えるのではないかと思います。

 こうした建設業を取り巻く状況の中で、今回の計画の課題と背景です。概要版の一番上の枠に「計画の背景」を記載しています。景気回復、それから大震災からの復興需要、国土強靱化、オリンピック・パラリンピックなどの開催により建設投資が近年増加傾向にあります。それから、雇用情勢が改善する中で、有効求人倍率が上昇、企業の雇用不足感の高まりなど人材不足の状況にあるということで、前回 8 次計画を策定したときは、 5 年前で建設投資が減少している時期でして、雇用も過剰供給の状況でした。そこから比べると現在の取り巻く状況は大きく変わっています。

 それから、これまでの長期にわたる建設投資の減少の下で、建設労働者の高齢化が進展する中で、新規学卒者の入職者が減少するなど将来を担う技能労働者の不足が懸念、それから重層下請構造、ダンピング受注等の影響により、雇用環境の改善が停滞している、といった問題が存在しています。また、人口減少、急激な少子高齢化による労働力の大幅な減少等が、建設産業の持続的な発展への悪影響となる恐れがあるということです。

 こうしたことを背景として、今回の「計画の課題」です。建設産業の今後についても、社会資本、それから産業基盤を造成・維持し、国民の安全・安心な生活と財産を守り、この国の産業の活性化に貢献していくためには、建設産業の持続的な発展が不可欠であります。このためには、ということで、この課題設定については専門委員会の中でも多くの意見を頂いたのですが、今回の計画の一番の課題というのが、若者をいかにして建設業に入れて定着を図っていくかということ。かつ、長く働いてもらうためには将来を展望することができること。将来に不安がない、安心できるということが重要であることから、概要のタイトルにもあるように、今回のテーマを「若者が展望をもって安心して活き活きと働ける魅力ある職場づくりの推進」として、施策の最重点事項として、 1 つ目が、若年者等の建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成。 2 つ目が、魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備。 3 つ目が、職業能力開発の促進、技能継承。こちらを最重点事項として施策を推進していくことにしています。

 概要の裏面を御覧ください。こちらが今後 5 年間の施策の基本的事項です。本文ですと 7 ページ以降に記載している部分です。まず「施策の基本的事項」の 1 番目、「若年者等の建設業の入職・定着促進による技能労働者の確保・育成」です。 (1) の若年労働者の確保・育成ですが、建設業の魅力の発信、関心の喚起のための取組ということで、若年者に建設業の魅力・役割などを伝えて、建設業で働くことに対する意識を高めるために、小中高など教育機関と連携して、現場見学会、職業体験、インターンシップなどの取組を行っていくこととしています。 2 つ目、ハローワークによるマッチング支援です。未充足求人のフォローアップとか、建設関連職種に関する求人の情報提供、就職面接会の開催など、建設人材確保プロジェクトというのを今やっていて、こうしたものによるマッチングの支援を行っていくことにしています。 3 つ目、若年労働者を育成する職場風土の醸成のための支援です。こちら、技能労働者における高齢者と若年者の年代ギャップが拡大していまして、コミュニケーション不足とか技能方法の違いが若年労働者にとって職場環境への適応や技能の習得がうまくいかない一因となっているという指摘もあります。こうしたことから、コミュニケーションスキルの向上への支援とか、若年労働者を育成する職場風土の醸成を行う事業主団体への支援、こうしたことを行うとしています。

(2) です。女性労働者の活躍の促進です。仕事と家庭の両立や女性のキャリアアップ促進のための就労環境の整備を行い、長期勤続を促進していく。男女別トイレの設置と職場環境のための支援ですが、建設現場における女性の就労環境を整備するために、女性用のトイレ、それから更衣室などの設置について事業主に対して支援を行うこととしています。

(3) が高年齢労働者の活躍の促進です。高年齢者については引き続き活用を図っていくということで、適正な配置とか、安全衛生対策、能力開発等、高齢者の活用について検討する事業主への支援を行っていくとしています。

2 番目、「魅力ある職場環境づくりに向けた基盤整備」です。 (1) 建設雇用改善の基礎的事項の達成のまず 1 つ目、雇用関係の明確化に向けた取組です。建設業においては、重層下請構造の下で雇用関係や労働条件が不明確であるといった指摘もなされています。雇入通知書の交付などによる労働条件の明示について適切に指導監督を行う。それから、一人親方については、実態が労働者である場合には、労働関係法令の適用があることについて周知啓発を行うことにしています。 2 つ目、長時間労働の改善のための労使の自主的な取組への重点的な指導。これについては、ワーク・ライフ・バランスや若年者の入職・定着促進の観点も併せて、技術者、技能労働者の職種の違いからくる就労実態に留意しながら、労使が具体的な目標設定の下に自主的に取り組む事項として重点的な指導を行うこととしています。建設業においては完全週休 2 日制の導入が遅れていまして、土日現場閉所に向けた労使の取組、それから段階的な方法としての 4 8 休制に向けた労使の取組を促進することにしています。労働保険、社会保険の一層の適用ということで、国土交通省等関係機関と連携をして一層の適用に取り組むとしています。

(2) 労働災害防止対策の推進です。労働災害防止計画を踏まえて、リスクアセスメントの実施の促進と建設業における総合的な労働災害防止対策を引き続き推進するとともに、特に 2020 年、東京オリンピック・パラリンピック大会施行工事については、今後の快適で安全な建設工事のモデルとなるよう官民が連携して取り組むこととしています。

3 番目、「職業能力開発の促進、技能継承」です。認定職業訓練、技能実習については、都道府県など関係行政機関と連携して支援をしていく。それから、公共職業能力開発施設等における建設労働者の訓練を実施していく。資格、教育訓練、処遇を関連付けたキャリアパスの検討への支援。こちらについては、若年労働者を確保する観点から、資格、教育訓練、処遇等関連付けたキャリアパスについて検討して若年者に提示していくことが重要であるということで、こうした取組を行う事業主団体への支援、キャリアパスの見える化のための処遇改善を行う事業主の支援、こうしたことを行うとしています。

 多能工化に資する職業訓練の推進ですが、重層下請構想の下で分業化が進み、手待ち時間等が発生するなど技能労働者の稼働率が低く、労働生産性が低いという指摘もなされています。手待ち時間を短縮して生産性を向上させ、労働時間の短縮、それから賃金等の処遇の改善につなげる一方策として、一人の技能労働者が受け持つ仕事を増やす多能工化に資する職業訓練の推進、これを推進することとしています。

(2) 労働者の自発的な職業能力開発の促進です。こちらは、ジョブ・カードの普及等を通じてキャリア形成を目指すこととしています。

(3) 熟練技能の維持・継承及び活用です。各種大会を通じた技能の魅力・重要性の啓発ということで、技能五輪大会の実施とか、技能五輪の国際大会への選手の派遣、こうしたものによって技能の魅力、啓発を実施していきます。それから、熟練技能労働者による技能講習等。技能労働者が不足する職種等についての教育訓練の取組への促進。高齢者の技能指導方法等向上のための訓練の促進ということで、こちらについては、先ほど職場風土の醸成の所でも御説明しましたが、コミュニケーション不足とか指導方法の違い、例えば、俺の背中を見て覚えろとか、技は盗むもの、こういうように、具体的な指導がないというのが若年労働者の技能の習得がうまくいかない一因となっているという指摘があります。こうしたことから、高年齢者が若年者に技能を指導する方法、こうしたものに対する訓練を行う事業主に対して支援を行うことにしています。この 3 つが重点的に取組む事項となります。

4 番目が「雇用改善推進体制の整備」です。右上に図を載せています。国土交通省や地方自治体と連携して、建設事業主団体の雇用管理改善・能力開発の取組等に対して支援を行っていくこととしています。この中の (6) ですが、雇用改善を図るための諸条件の整備として、建設業における雇用改善を図るためには、生産の仕組みに関わる事項についても国土交通省など建設業を所管する関係行政機関による指導ですとか、民間事業者の取組が必要ということで、主に国土交通省の取組となりますが、労務関係諸経費の確保、それから適正な工期等の設定ということで、法令で規定されている安全対策経費、それから社会保険への適正な加入に不可欠な経費の確保、適正な工期の設定について指導等を行うこととしています。それから、ダンピング対策の強化とか、施工時期の平準化等、労働条件の改善に資する公共工事の発注の取組についても進めていくということです。

5 番目の「円滑な労働力需給の調整等による建設労働者の雇用の安定等」です。こちらについては、建設業務については有料職業紹介や派遣というのは禁止されているのですが、雇用の安定のために、許可を得て建設業有料職業紹介事業、建設業務労働者就業機会確保事業ができるとされていて、この制度の運営に当たっては、制度の趣旨に沿った適切かつ効果的な事業運営の確保を行うこととしています。

6 番目、「外国人労働者への対応」です。外国人労働者の就労環境の整備については、労働基準関係法令に基づいて、外国人労働者の労働条件とか、安全衛生の確保、それから不法就労等の防止ということで、関係行政機関との連携協力の下で事業主の啓発指導等を行う。東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の建設需要に対応した外国人材の活用ということで、オリンピック関連施設整備等による一時的な建設業務需要の増大に対応するため、緊急かつ時限的な措置として外国人建設就労者受入事業を実施することとしています。計画の概要については以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。本件については、当部会における審議に先立ち、建設労働専門委員会において事前に審議を行っております。ここで、建設労働専門委員会の座長である鎌田委員から、同専門委員会における審議結果について御報告をお願いします。よろしくお願いいたします。

○鎌田委員 それでは、審議経過について御報告をいたします。建設労働専門委員会においては、平成 27 7 3 日以降、計 8 回にわたり、建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づく、「第 9 次建設雇用改善計画」の策定について精力的な検討を行ってきたところですが、本日、資料 1 が配布されておりますとおり、平成 28 2 10 日に開催された「第 48 回建設労働専門委員会」において、本日議題とされております「第 9 次建設雇用改善計画 ( ) 」について、妥当と認めるとの結論が全会一致で得られたことを御報告申し上げます。

 なお、座長としての報告は以上ですが、感想を一言述べさせていただきたいと思います。先ほど、計画 ( ) については御報告いただいたとおりですが、労使公益も含めて共通した認識としては、第 8 次に比べて第 9 次は、建設投資が非常に増加傾向になって、人手不足が深刻な問題になっている。見方を変えますと、建設業にある様々な雇用、就業状況の改善のための機運が非常に高まっているといえます。この時期に是非とも、この改善を進めていきたいというのが労使の一致した願いということであります。

 とりわけ、高年齢者の割合は非常に拡大している一方、若者の入職が減っているということは、この産業の持続ということから、非常に危惧されるところであります。同時に、この建設業の魅力というものを若い人たちにもっと知らせていこう、分かってもらおうということが大切だという認識を持っております。

 資料 2 にあるように、今回、 PR の言葉として、「若者が展望をもって安心して活き活きと働ける魅力ある職場づくりの推進」という、こういう言葉を作りまして、積極的にこの産業の魅力を伝えていくことが大切だと思います。

 実は、第 8 次まで、ちょっと読んでいただけないような文章が長々あったのですが、もっと短く魅力が分かってもらえるような文章にということで、私としては 30 字以内という注文を付けたのですが、 32 字ぐらいになって、皆さんの御意見をいろいろと入れると、やはりちょっとずつ長くなりました。しかし、労使の、あるいは関係者の皆さんの強い気持ちがピタッとまとまった文章で、これから魅力を伝えていこうということで作ったということです。私からは以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見等がありましたら、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○市瀬委員 案の 7 ページの下から 4 行目の所で、「若年労働者と円滑なコミュニケーションがとれるよう、そのスキル向上について、事業主に対しての支援を行う」と書かれていますが、具体的には、どのような支援策を想定されているのでしょうか。

○佐藤補佐 まず、雇用管理責任者というものを建設業の各事業所に置くことになっていますけれども、雇用管理者研修を毎年やっておりまして、実は平成 28 年度からになりますが、こちらの研修の中にコミュニケーションのコースを設置して、コミュニケーション研修をやっていこうとしております。

 こちらについては、雇用管理責任者、全体を統括する方もそうなのですが、現場の職長とか、こういった方々も参加できるようにして、コミュニケーションがうまくできるようにそのスキルアップを図っていきたいということで、平成 28 年度から新しい事業としてやることとしております。

○市瀬委員 管理者に対して、新たな支援をするということですか。

○佐藤補佐 管理者についても、現場の職長とか、そういうことにしております。

○阿部部会長 よろしいですか。

○市瀬委員 事業主にということは、特にはお考えではないということですね。

○谷室長 雇用管理責任者は各事業所に設置されて、そこで労務の管理をする。その中には、事業主の方もいらっしゃいます。

○市瀬委員 はい。

○谷室長 そういった意味では、雇用管理責任者に周知することは、事業所全体のコミュニケーション能力の向上、支援に役立ち、また、若者との円滑なコミュニケーションについての気付きも大事だと思いますので、若者を育てるとか、今までの接し方が、ちょっと若者にとって受け入れづらいということに関して、、事業主に研修を通じて、気付きを与えていきたいと思っております。

○阿部部会長 関連ですが、忙しいと、どうしても研修を受ける時間がないとか、いろいろ出てくると思いますので、もしそういった研修等を行う場合には、時間帯だとか、日にち、そういったところに配慮してやらないと、忙しいから行きたくても行けないという状況も出るかもしれませんので、その配慮も必要かと思いますし、そういった研修が行われていること自体の周知も大事かと思います。よろしくお願いいたします。ほかはいかがでしょうか。

○村上委員 既に建設労働専門委員会で時間をかけて議論されているということなので、関係の皆様の意見はかなり入っているかと思いますけれども、より魅力ある職場づくりをしていくためにということで、意見を申し上げたいと思います。

 労働環境という中でも、長時間労働の問題については、魅力ある職場づくりにはそこがとても大事な要素ではないかと思っております。先ほどの御説明にもありましたように、建設労働者の皆さんの年間総実労働時間はやはり 2,000 時間をずっと超えていて、なかなか下がっていかないという状況にあるとか、あるいは過労死、過労自殺の事案を見ても、建設関係の職種の割合が高いということもあります。やはりそういう長時間労働の問題があり、土曜閉所の運動などもされているとは聞いておりますが、国の対策として、労使の自主的な取組への重点的な指導というだけで、労働時間の短縮はできるのかという点については、もう一段踏み込むことも考える必要があるのではないかと私ども労働側としては考えております。

 具体的に申し上げれば、建設関係の労働組合の方からも、自動車運転手の労働組合の方からも言われているのですが、労働基準法の「 36 協定」の限度基準告示の適用から工作物の建設等の事業とか、自動車運転手の事業は除外されていて、結局、年間 360 時間の時間外労働に抑えようという告示の対象からも外れてしまっています。現場だけでなく、管理部門も全て限度基準告示の対象から外れてしまっているということについては、なぜ、建設だけなのか、なぜトラックだけなのかということの指摘はこれまでもなされてきているところです。自主的な取組への指導も必要ですが、それを超えて、長時間労働がなかなか解消されないということであれば、その点も施策として考えていく必要があるのではないかと思っております。今後、検討いただければと思っております。

○阿部部会長 ありがとうございます。では、事務局からお願いします。

○谷室長 今の件ですが、長時間労働対策は、専門委員会でもかなり議論をしていただきまして、特に技能労働者なり、技術者なり、その職種に応じてもかなり労働時間が違うということ、特に技術者の若い人などは非常に労働時間が長いということで、態様に応じた労働時間対策もしっかりやっていくべきではないかという発言もいただきました。それについては計画文に基本的な施策の方向性については書いています。

36 協定の時間外労働の限度に関する基準については、担当部局は基準局になっていますが、それも専門委員会でご議論いただきましたけれども、工作物の建設等の事業については、事業の性質上、天候等の自然的条件に左右され、限度時間の適用がなじまないということで、適用除外と今させていただいております。この適用除外を撤廃するか否かについては、労使で意見が分かれるところであり、今後、慎重な検討が必要と考えています。今、お話があったことは、担当部局のほうに伝えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿部部会長 では、ほかにいかがでしょうか。

○紺谷委員 計画案、本冊のほうで幾つか質問というか、意見というか。計画案の 7 ページの 1 です。若年者等の建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成について記述があります。具体的には 7 ページの➂には、本部会でも議論をして、職場情報の提供等について本年 3 1 日から施行された、いわゆる「若者雇用促進法」に関する記載もあります。若年者等の建設業への入職・定着を促進し、建設業の担い手を確保していくことの重要性については、本計画案に記載のとおりであると考えます。

 併せて 13 ページの (3) には、熟練技能の維持・継承及び活用について記載してありますが、若者の入職が進まなければ、将来的な技能労働者の確保は立ち行かなくなるということは明らかだと思います。こうしたことを併せて厚労省としては、どのようにして若年者、若者等の入職から、それから技能継承、こういった一連の流れを支援していくおつもりなのか、今後、取組を強化する施策等について、具体的に検討している内容があれば教えていただきたいと思います。

○阿部部会長 ありがとうございます。事務局、お願いします。

○谷室長 今回、計画案には最重点事項を 3 つ挙げまして、これらの対策を進める中で、全体として若者の入職促進を図っていきたいと思っております。

 若年労働者の離職者から辞めた理由を聞くと、やはり賃金が低い。あと、計画的な休暇が取れない。建設産業の特性ですが、移動生産なので、就業場所が変わるというのが辞めた理由で多くなっています。建設業にとっては、就業場所の移動をなくすことは難しいのですが、他産業と遜色のない労働条件、賃金なり休暇等、そういったものを今後、雇用の改善を図ることによって、若者労働者の確保を進めていく、この計画の中の施策を着実に行っていきたいと思っております。

○紺谷委員 御説明、ありがとうございます。やはり建設業への入職者を確保すること。それから、早期の人材育成、それから技能継承、こうしたことについては喫緊の課題だというように承知しておりますので、是非、厚労省におかれましては、積極的な取組を進めていただきたいと思います。

○阿部部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○北野委員 情報労連の北野と申します。よろしくお願いします。資料 1 の第 9 次計画案の 8 ページ、女性活躍の推進でお願いがあります。専門委員会で全会一致ということですので、お願いを 2 点させていただいて、対応をお願いしたいと思っております。

 実は、御案内のとおり、女性活躍推進法ですけれども、 301 人以上が行動計画の策定、公表等の義務付けがされたということですが、中小企業白書を見させていただくと、建設業については 300 人以下という企業は 99.9 %と、ほとんどが 300 人以下であるというような状況ですし、更には 20 人以下という小規模事業者も多いというのが、この建設業の大きな特徴だろうと思っております。是非、その特性も踏まえて、均等法も含め厚労省からの周知・啓発に徹底して取り組んでいただきたいというのが、まず 1 点、お願いです。

 もう 1 点は、女性活躍推進に関しての女性の職域拡大などの取組の支援を通じて、建設業における女性の入職を促進するというように、どちらかというと、少し一般的な記載になっているのかと思っております。恐らく、建設業で、いかに女性が感性なり特性をいかして活躍できるかというような職域の具体化、若しくは女性労働者の働く労働条件の整備に加えて、やはりしっかりした就労促進に向けた PR 、この強化が必要ではないかと思います。本計画期間においては、これまで以上に踏み込んだ施策を是非お願い申し上げておきたいと思っておりますし、その際は、国土交通省と連携した取組、新たな施策の検討も是非お願い申し上げたいと思います。

○阿部部会長 ありがとうございます。お願いということでしたけれども、何かコメントがあれば。

○谷室長 女性活躍推進法については、中小企業について、 300 人以下に関しては努力義務ということで、義務化ではありませんが、計画にも書いてありますので、しっかりやっていきたいと思っております。

 また、女性の価値観、工夫をもたらし、とあるのですけれども、今、女性の方の現場で働いている職種を見ると、内装関係とかインテリア関係の方が多く、結構活躍されているというお話もありましたので、そういった面での女性の活躍の場は、まだまだあるのではと考えています。女性が持っている感性を活かして何かそういう新たな仕事に取り組めるのではないかという話もありました。

 今、福田委員がおられる日建連で、「けんせつ小町」という委員会を作って、女性に建設業で活躍していただこうという取組をしています。国交省も応援していますが、私どももその委員会等に参加して、一緒にやらせていただいております。そういうのも含めて一緒に女性の活躍について、推進していきたいと思っております。

○阿部部会長 では、ほかにいかがでしょうか。

○玄田委員 資料 1 16 ページの最後の文章の所で、➁の最後に、「国内での人材確保に最大限努めることを基本とした上で、即戦力となり得る外国人材 ( 技能実習修了者 ) の活用を図る外国人建設就労者受入事業を実施する」と明記されております。一方で、資料 2 の一番最後の所に、技能実習制度に関する言及がないのが若干違和感があることはありますが、それを踏まえつつも、やはり技能実習制度というものの本来の目的との整合性に十分に配慮しつつ、昨今、技能実習制度については様々な見解があるということもやはり踏まえて、是非こちらについて、混乱なきよう慎重に導入を進めていただきたいという要望をここに申し上げておきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○小林委員  1 つ確認をしたいと思います。計画案の 14 ページの (6) の所で、雇用改善を図るための諸条件の整備が書かれていて、ここにはダンピング受注の問題に触れていまして、ダンピング受注が建設事業主の経営を圧迫し、技能労働者の賃金低下に悪影響を及ぼすということが指摘されております。 A3 の資料 2 の真ん中の左側の図にあるように、平成 27 年度の建設投資の名目ですが、 48 兆円とあります。国交省の資料を見させていただきましたが、これによれば、 48 兆円のうちの大体 20 兆円が政府投資ということで発表されており、建設業は公共事業の中でも比率が高く、特徴があるというように考えております。

 公共工事における対応については、この資料 14 ページの➁の所に記載されていますが、今後は各自治体において、公契約条例の制定をするとか、また、自治体の工事や業務委託の入札、契約に関わる条例の要綱、若しくは労働基準法等に関する労働法制など、また、社会保障関連の法規に違反した場合、企業に対して発注対象から除外するとか、そういう項目を設けるなど、発注者の責任について明確にすることが求められているのではないかと考えております。こうした点について、建設労働専門委員会でどういう議論をなされたのか、確認をしたいと思っておりますので、お願いいたします。

○阿部部会長 では、御質問ですので、事務局、お願いします。

○谷室長 この 14 ページの (6) の➀➁については、これは両方とも公共工事関係のことも含めて書いてあります。今、国交省のほうで、建設産業の担い手確保が重要ということで「担い手 3 法」を改正しまして、その中で公共事業における施行に関して、担い手をきちんと育成するという理念も法律に書きました。それに基づき、いろいろな施策を打っております。労務単価などの引上げとか、社会保険の適用促進などを行っておりまして、それが賃金や社会保険、労働保険の適用にも数字的にもかなり上がってきておりますので、ここに書いてあることを引き続きしっかりとやっていきたいということで、今、国交省とも調整しています。

 これによって労働者の雇用の改善につなげるための環境整備を図っていきたいと思っております。

○広畑部長 補足になりますけれども、今、申し上げたとおりですが、ただ、足下については、むしろダンピングというのは、もう公共工事では逆にダンピングの状態ではなくて、むしろ設計労務単価を上げても入札不調になるような所もありますので、時代が変わってきているなということは建設労働専門委員会でも議論がありました。ただ、いずれにしても残っているのは、今回初めて 14 ページの最終行に書いてありますが、例えば、民間事業者、民間発注者の所が社会保険の加入の問題でも遅れているのではないかということで、ここは国土交通省とも連携して、民間発注者の責任をきちんと書くべきではないかということで、そこは一歩、今回踏み込んでおります。

○阿部部会長 よろしいですか。その他はいかがでしょうか。それでは、御質問、御意見を頂きましたが、ほぼ御意見も出尽くしたと思いますので、当部会としては、「第 9 次建設雇用改善計画 ( ) 」については、原案のとおり了承することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                    ( 異議なし )

○阿部部会長 ありがとうございます。それでは、そのように取り扱わせていただきます。事務局から報告文の ( ) をお願いいたします。

                                 ( 報告文案配布 )

○阿部部会長 「第 9 次建設雇用改善計画 ( ) 」について、今、お手元に配布しました報告文案のとおりとしたいと思います。よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○阿部部会長 ありがとうございます。なお、今後、何かありましたら、私に御一任いただくとして、処理をさせていただければと思いますが、それについてもよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○阿部部会長 ありがとうございます。ほかに御意見等がありましたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。特にございませんか。それでは、本日の部会は、これで終了したいと思います。

 最後に本日の会議に関する議事録の署名委員は、労働者代表は北野委員、使用者代表は川上委員にお願いしたいと思います。

 本日もお忙しい中、ありがとうございました。


(了)

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