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2016年4月4日 第18回保険者による健診・保健指導等に関する検討会

○日時

平成28年4月4日(月)15:00~17:00


○場所

生労働省専用22会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館18階


○議題

1.個人にインセンティブを提供する取組に係るガイドラインについて
2.保険者間の特定健診等データの移動に係る当面の対応について
3.第3期特定健診・特定保健指導に向けた見直しについて
4.新たなワーキンググループの設置について

○議事

○多田羅座長 定刻になりましたので、ただいまより、第18回「保険者による健診・保健指導に関する検討会」を開催いたします。

 充実した審議に御協力いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、会議に先立ちまして、前回の開催から委員の交代がございますので、本日の委員の出欠状況とあわせて、事務局から確認をお願いいたします。

○野中室長補佐 事務局でございます。

 それでは、まず、委員の交代について御紹介させていただきます。

 深井委員にかわりまして、日本歯科医師会常務理事の高野直久様に御就任いただきました。

○高野委員 高野です。よろしくお願いします。

○野中室長補佐 次に、本日の委員の皆様の出席状況を確認させていただきます。

 本日は、佐藤委員、岡崎委員、吉田委員より欠席の御連絡をいただいております。

 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方について御紹介いたします。伊奈川委員の代理として守殿参考人、細江委員の代理として伏屋参考人、以上の方に御出席いただいております。

 続いて、資料の確認をお願いいたします。座席表、構成員名簿、議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、資料6、資料7、最後に参考資料となっております。過不足等ございましたら、お申し出ください。よろしいでしょうか。

 事務局からは以上になります。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 それでは、早速でございますが、議事に入らせていただきます。

 まず、議題1「個人にインセンティブを提供する取組に係るガイドラインについて」、事務局から説明をお願いいたします。

○安藤室長 全くもって事務局側のお話でございますが、この4月1日から室名が変わりまして「医療費適正化対策推進室」だったものが「データヘルス・医療費適正化対策推進室」と、さらに長くなってございます。もう一つ重い荷物を背負い込むことになりましたので、委員の皆様方にはますます今後、熱心な御指導のほど、よろしくお願いいたします。失礼いたしました。

 事務局のほうから、資料1及び資料2を使いまして、まず、議題1に係るものについて御説明させていただきたいと思います。

 お手元、資料1に概要がございますので、そちらの概要を使って御説明させていただきたいと思います。

 この「個人にインセンティブを提供する取組に係るガイドライン」でございますが、この検討会のもとに、ワーキンググループを設置いたしまして、昨年の9月から今年3月末まで都合6回にわたる御議論をいただいた上で、まとめさせていただいたものでございます。

 中身でございますが、資料1を使って御説明します。ページをおめくりいただきまして、まず、1ページでございますが、ガイドラインの具体的なところに入ります前に、まず、「1.基本的な考え方」ということで、何点か整理をさせていただいてございます。

 健康長寿社会の構築に向けまして、国民一人一人が「自らの健康は自らがつくる」という意識を持っていただき、それぞれの年齢ですとか、あるいは健康状態に応じて具体な取り組みとして第一歩を踏み出すことが重要ではないか。

 さらに、こういった健康づくりの取り組みを進める上で、自分自身の健康づくりに関心が低い「健康無関心層」という方々が一定程度存在していらっしゃるということで、こういった方々も含めて、国民が健康づくりの取り組みを実践し、継続していくためには、2つありますけれども、一つは、一人一人がそれぞれの選択の中で第一歩を踏み出すきっかけとなるように、ポピュレーションアプローチとしてさまざまなインセンティブの提供ですとか、あるいは昨今ですと、ICT・民間の創意工夫も活用した多様な選択肢(健康プログラム)の提供に加えまして、個人が日常生活の大部分を過ごされます企業ですとか地域社会の中で、無理なく健康づくりを行える環境づくりですとか、ともに取り組みを進めることができる新たなコミュニティーの構築などもあわせて進めていくことが必要ではないかということがガイドラインに書かれているところでございます。

 既に一部の医療保険者あるいは企業、市町村等では、加入者の健康づくりの取り組みに対して、いわゆるインセンティブを提供する取り組みを含めまして、さまざまな支援というものが実践されてございます。

 本ガイドラインにおいては、こういった先行事例も参考にさせていただきながら、インセンティブの取り組みを中心に、他方で、医療保険制度の趣旨に照らし、留意すべき点というのもございますので、そういった点も明示させていただきながら、個人が主体的に健康づくりを進めるためのさまざまな方策を提案するということを目的に、ガイドラインとしてまとめたところでございます。

 続いて、「2.個人への分かりやすい情報提供」ということで、インセンティブの取り組みにあわせまして、保険者の方々が加入者の方々に健康情報をわかりやすく提供して、継続的に健康に対する問題意識を喚起するということが、まずもって重要ではないかということでございます。

 このため、個人個人の健康への「気づき」につながるように、ICTも活用しながら、わかりやすく健診結果等を提供する。あわせて、情報の内容も本人にとって付加価値を高めるといった工夫が今後は必要ではないかということが御議論されたところでございます。その際、言わずもがなでございますけれども、個人情報も含まれますので、個人の健康情報の取り扱いには十分配慮するとともに、関連法規を順守して、いたずらに本人の不安をあおったりすることは厳に慎むことが必要ではないかということがガイドラインに記載されているところでございます。

 ガイドラインでは、本人の「気づき」の段階を踏まえて、情報提供の工夫のあり方について例示をしてございます。3つの段階で書いてございます。

 まず、第1段階といたしまして、加入者の視覚に訴えるということで、ICTも活用いただきながら、単に健診結果、いわゆる数値だけをお伝えするのではなくて、レーダーチャートにしたりですとか、あるいは経年変化のグラフをお示しするといったように、加入者の方々の視覚に訴えるという工夫が一つ考えられるのではないかということを記載してございます。

 次いで、第2段階として、数値の意味を伝えるということで、本人の疾患リスク、特に生活習慣病リスクとの関係の中で、個々人の方々の健診結果、数値の持つ意味というものをわかりやすく伝えていくということは、そういった工夫が考えられるのではないかということを記載してございます。

 さらに、第3段階として、ソリューションを伝えると書いてございますが、健康維持ですとか、あるいは生活習慣病リスクを避けるための生活習慣改善、具体的には栄養の話ですとか、運動習慣の話になってくると思いますが、そういった個別的なアドバイスを伝えていくといった形で、個人の方々に提供する情報にさまざまな付加価値をつける。そのことによって、個人の方々に健康に対する問題意識を喚起していくことが重要ではないかということを、まずもってガイドラインのほうでは記させていただいているところでございます。

 続いて、「3.個人にインセンティブを提供する方法」でございます。

 まず、現在、行われている取り組みとして、保険者等では、例えば表彰等により本人の健康づくりの取り組みを鼓舞する取り組みのほか、個人へのインセンティブの提供として、ヘルスケアポイントといった取り組みが行われているところでございます。なお、これらの方法については、関係法令に照らして問題があるというものではないと考えているところでございます。

 こういったことに加えまして、ヘルスプロモーションの一策として、例えばヘルスケアポイントを提供するタイミングを事業主の給与支払いと同時に行うなどの工夫を行いまして、これを保険者が「保険料への支援」として呼称することも考えられるのではないかと考えているところでございます。他方、現在、保険者等によっては現金を直接給付するという取り組みが行われている場合もございますが、こちらは法令に照らしてどうかという議論もございますけれども、そのこと自体が目的化しやすいということがございますので、慎重に考えることが必要ではないかといったことがガイドラインの中で記載されているところでございます。

 インセンティブの取り組みを公的医療保険制度の保健事業として行う場合には、公的医療保険制度の趣旨を踏まえますと、個人の保険料、これは率でも額でもそうでございますけれども、それを直接的に変更することは困難であるため、その点は留意が必要ではないかということを、ガイドラインの中で記載しているところでございます。

 続きまして、「4.インセンティブ提供に係る評価指標と報奨の在り方」について、ガイドラインでは記載しているところでございます。

 まず、総論といたしまして、インセンティブの取り組みを幅広い対象者にポピュレーションアプローチとして実施して、結果として、先ほど申し上げました健康無関心層を動かしていくためには、個人の健康意識ですとか、行動変容の状況に即して、評価指標あるいは報奨を検討する必要があるのではないかと考えてございます。

 ガイドラインでは、以下に掲げます3つの場面に分けてインセンティブの活用のあり方を提示させていただいているところでございます。

 まず、第1段階として書いてございますが、健康づくりに参加するきっかけづくりとして、このインセンティブが活用されることが考えられるのではないかということで、この段階ですと、いわゆる健康無関心層の巻き込みというものも念頭に、健康とは直接関係ない報奨の活用も含めて、幅広くインセンティブを活用していくことが考えられるのではないかということで書いてございます。

 次に、第2段階として、健康づくりの継続支援のために、インセンティブの一定の活用というのは考えられるのではないかということで、この段階ですと、本人の努力ですとか、その成果を評価する、継続の意欲を喚起するため、ゲーム性のある健康づくりのプログラムを提供していくといったことが考えられるのではないかということでございます。

 続きまして、第3段階、取り組みが習慣化した後の対応ということで、この段階になってまいりますと、当初のインセンティブとしての役割は完了して、以降は保健事業ですとか民間サービスを活用した本人の自主的な取り組みを支援するという形で、本人の健康づくりの取り組みを支援していくという形で考えられるのではないか。

 すなわち、このインセンティブ自体はきっかけづくり、あるいは継続支援という目的に一定程度役割というのは考えられるところでございますけれども、個人の方々の生活習慣の改善に向けた取り組みが一定程度習慣化した後には、その役割を終えて、通常の保健事業ですとか、あるいは民間サービスを活用しながらの個人の方々の取り組みを支援していくという流れになっていくのではないかという形で、整理をしているところでございます。

 そういった前提のもとで、「評価指標の在り方」「報奨の在り方」でございますが、まず、「評価指標の在り方」でございます。

 こちらは、いわゆる本人の属性を評価するのではなくて、本人の積極的な取り組みを重視して評価するというものとして考えていくことが必要ではないかと書いているところでございます。特に、これは先ほどの医療保険制度改正の中の附帯決議にもあるところでございますけれども、医療機関への受診を抑制し、結果的に重症化することがないように、この評価指標の設定の際には留意が必要ではないかということを記載してございます。

 ガイドラインでは、本人の積極的な取り組みを評価するものとして、以下の3つの類型を提案させていただいてございます。

 1つは参加型ということで、健康づくりの取り組みですとか、プログラムへの参加というものを評価する。具体的には、健診受診ですとか、あるいは各種健康教室への参加というものを評価するといったことが考えられるのではないかということで、例示をしてございます。

 それから、努力型ということで、健康づくりのプログラムの中での本人の努力を評価するということで、具体的にはウオーキングですとか、ジョギング、あるいは体重・血圧・食事の記録を継続しているといったような本人の努力を評価するという方法が考えられるのではないかということで、書いてございます。

 それから、成果型ということで、健康づくりの成果としての健康指標の改善を評価ということで、これは具体的には、健診の検査値ですとか、体重減少といったような、取り組みの結果を評価するといった方法が考えられるのではないかということで、3つの類型をこの評価指標のあり方として提案させていただいております。

 また、ガイドラインの中では、可能な限り、複数の指標で評価し、また、公平性の観点から、客観的な指標としていくことが望ましいのではないかという記述を追加しているところでございます。

 「報奨の在り方」でございますが、健康無関心層への促しにつなげるという観点からは、報奨の内容も魅力的なものとしていくことが必要ではないかということで、例えば昨今行われておりますポイント制でございますけれども、ポイントの使い道も各種コンビニで活用可能な共通ポイントから、寄附といった社会貢献に至るまで、多様な個人の価値観に合わせて多様な道を用意するということが、より本人、いろいろな方々への促しにつなげるという観点からは望ましいのではないかという形で書いてございます。

 他方で、その際、報奨の金銭的な価値が高過ぎると、報奨を得ることのみが目的化してしまいまして、最終的な目的である本人の行動変容につながらない場合も出るので、どのぐらいの価値にするかというところについては留意が必要ではないかということをガイドライン上、記載をしているところでございます。

 具体的に、金銭的な価値の水準というのは、一概に論ずることは難しいのではないかということで、ただ、実際にそれを決める際のプロセスでございますけれども、透明かつ中立的な意思決定のプロセスを経て決めることですとか、あるいは、実際に事業を行ってみて、効果を検証し、あるいは評価し、報奨のあり方についても必要に応じて見直しを行っていくことが必要ではないかということを書いているところでございます。

 続きまして、「5.個人にインセンティブを提供する取組の効果」についての記述でございます。インセンティブの事業でございますけれども、実際、実施して、その際に本人の行動変容につながっているかどうかという観点から、インセンティブの活用の場面に即して、あらかじめ効果検証の仕組みもビルトインしておくことが必要ではないかということを記載しているところでございます。

 事業の目的に沿ったKPIを設定したりですとか、あるいは、一定の効果が出てくるまでにはなかなか単年度では難しいということで、3年程度の中期計画を立てて実施していくことが望ましいのではないかということを、ガイドライン上記載しているところでございます。

 ページをおめくりいただきまして、3ページ、「6.個人にインセンティブ提供をする取組の推進方策」ということで、大きく2つの点で書いてございます。

 こちら、実際に保険者の方々にアンケート調査をしたところ、大きく2つの課題が提起されてございまして、一つが「対象者を広げる工夫」ということで、このインセンティブの取り組みも既に1割ぐらいの保険者の方々で実施されているところでございますが、実際にインセンティブを活用される方というのは、いわゆる健康に関心のある方々が多いといった課題、本来であれば健康無関心層に広げていきたいところでございますけれども、そこまで対象者が広がっていかないという課題が提起されているというのが一つと、もう一つ、後ほど出てまいりますけれども、事業を継続していくのにいろいろな課題があるということが、保険者の方々から御指摘されているところでございます。

 そこで、このワーキンググループでは、それぞれに即しまして、課題に対応する形で、どういった工夫が考えられるかということについて、事例を幾つか紹介させるような形でガイドライン上、まとめているところでございます。

 まず、「対象者を広げる工夫」ということで、これも幾つか事例を書いてございますが、マル1で書いてございますのは「普及啓発」の工夫でございまして、対象者の特性に応じた伝達方法、通知の工夫ですとか、あるいは、マーケティングの手法を活用した広報を実践して、効果を上げているところの例を記載しているところでございます。

 マル2といたしまして、「口コミの誘発」ということで、特に地域保険の場面で行われることが想定されているものでございますけれども、多様な広報媒体を通じた広報活動によって、口コミが誘発されて、事業の参加者が大幅に増加したというような事例をガイドライン上記載させていただいております。

 「事業所とのコラボヘルス」、これはどちらかというと、被用者保険サイドの話になりますけれども、保険者が事業所ですとか、労働組合と協働して、従業員が取り組みに参加しやすくなるような環境を整えたり、被扶養者へ働きかけを実施して効果を上げている事例について、幾つかこちらについても記載をさせていただいております。

 ページをおめくりいただきまして、4ページ、「日常動線の活用」ということで、こちらも職場、地域と両方書いてございますけれども、職場においては、インセンティブのプログラム自体を無理なく実施していただくために、勤務の日常動線の中で自然にプログラムが実践されるように工夫が行われた事例ですとか、あるいは、地域においてかかりつけ医あるいは歯科医・薬剤師での促しですとか励ましによって、本人のモチベーションが上がるというような事例について、記載をさせていただいてございます。

 マル5として、「インセンティブの評価指標や報奨の工夫」ということで、これはグループ活動への参加といったものを評価している事例ですとか、あるいは口コミをポイント付与の対象とするといった事例を書いていたり、社会貢献を報奨として組み込んでいるような事例について、ガイドライン上記載をしてございます。

 マル6として「効果の確認」ということで、ICT等を活用して、インセンティブの提供によって健康無関心層の行動変容にどうつながっていったかということについて確認を行った事例などを記載させていただいているところでございます。

 もう一つ、大きな課題として、保険者の方々から提起されているものとして、「継続性を確保する工夫」ということを書いてございます。

 こちらについては、インセンティブの取り組みを継続的なものとしていくためには、事業の原資の確保が最も大きな課題として提起されてございまして、他方で、健康無関心層まで広げていくためには一定の事業規模としていくことが必要ということで、やはり原資をどうやって確保していくかということが、一つ大きな課題として保険者の方々から提起をさせていただいているところでございます。

 こちらはなかなか難しい課題でございますが、一つ、ガイドライン上、事例として書かせていただいておりますのは、「民間事業者からの協賛の例」ということで、とある県の中で、県内の市町と協働して実施する健康づくりのマイレージ制度を構築しているのですけれども、その際、県内の事業者、企業の方々に協賛いただきまして、そういった企業が一定程度原資を受け持つといった工夫を行っているような事例について、記載をさせていただいているところでございます。

 あわせて、一定程度事業が進んだ後はということになろうかと思いますけれども、事業への参加に個人負担を導入していくということもこの原資の課題をクリアにする一つの解決方策として考えられるのではないかといった事柄をガイドライン上、記載させていただいているところでございます。

 以上、簡単でございますが、ガイドラインの概要について御説明申し上げました。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 今日は非常に大事な議題を第一に挙げていただき、説明いただきました。

 1ページ目を見ていただきますと、基本的な考え方ということが記載されております。健康長寿社会の構築に向け、国民一人一人が自らの健康を自らつくるという意識を持ち、それぞれの年齢や健康状態等に応じて具体的な行動として第一歩を踏み出すことが重要。これは今日の一番大きな国民の課題でございます。

 これに対しては、既に御存じのように、健康日本21、続いて健康増進法ということで、健康に対する自覚を持つことは国民の責務であるという法律も制定されており、この第一歩を踏み出すことが重要という政策は既に推進されていると理解できると思います。しかし、それをさらに推進するという観点に立って、国民一人一人がというところだと思うのですけれども、今回、これまでどちらかというとポピュレーションアプローチを中心としてきたのに対し、個人にインセンティブを持ってもらって、具体的な健康づくりに取り組んでいただくと、その方向をどのようにつくっていくかということが次の国民の健康づくりの第一歩として大事なのではないかということで、健康日本21、健康増進法を基本に、個人にインセンティブを提供する取り組みについて、この検討会で御議論させていただくということでございます。

 内容につきましては、今、事務局から御説明いただいて、かなり各論にわたって詳細な方向が示されているかと思います。

 基本的には了解いただけると思うのですけれども、各項目、あるいはこういうことは大事なのではないかということで、委員の皆さんから、御意見をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 白川委員。

○白川委員 今、座長がおっしゃったとおり、このガイドラインはワーキンググループで随分検討していただいて、詳細部分まで含めて良い内容になっていると考えおります。

 1点だけ質問させていただきたいのですけれども、以前、個人のインセンティブが議論されたときに、いわゆる受診抑制になっては困るという議論がかなりあったと思います。今回のガイドラインは健康づくりに励んだ場合のインセンティブということが中心なので、そのおそれはもちろんないと思いますが、ポイント制をやりますと、特に若い方の中には、病気にならないのに保険料だけ負担すると若干不満を持っていらっしゃる若い被保険者もいらっしゃるものですから、例えば1年間病院に行かなかったらポイントをあげますといったことにもつながりかねません。その辺の議論はワーキンググループのほうで少しされたのでしょうか。

 今、ガイドラインを拝読しますと、そんなことは一切、書いておりませんし、推奨できないという意図があることは十分わかるのですけれども、その辺、議論があったかどうかということについて、質問させていただければと思います。

○多田羅座長 どうぞ。

○安藤室長 ありがとうございます。

 今、まさに白川委員御指摘の点については、先ほども申し上げましたように、医療保険制度改正の附帯決議の中でも、このインセンティブの取り組み自体を推進していくことについてはいいのだけれども、いわゆる受診抑制につながってしまって、かえって重症化してしまうといったことにならないように、評価のあり方についてはしっかりと考えるべしといった、国会からの御要請もいただいているところでございます。

 その点につきましては、ワーキンググループの中ではまさにそういった流れで御議論をさせていただきまして、ちょっと細かくて恐縮なのですけれども、この資料2の9ページをご覧いただければと思うのですが、まさに「評価指標の在り方」の「基本的な考え方」の最初の○でございますけれども、まずは「公的医療保険制度の趣旨を踏まえると、インセンティブを提供するに当たっての評価指標は、本人の属性を評価するものではなく、本人の積極的な取組を評価するものとして考えていくことが必要である」と述べた上で、その後の米印の部分ですが、「特に、先の医療保険制度改正法の附帯決議を踏まえると、必要な医療を受けるべき者が受診を抑制し、結果的により重症化することがないよう、単に医療機関を受診しなかったことをもって評価するということは厳に慎むことが必要である」といった形で記述も加えさせていただいているところでございまして、私どもとしても、要は受診抑制ですとか、重症化にならないように、この運用に当たっては引き続き留意をしていきたいと考えているところでございます。

○多田羅座長 白川委員、どうぞ。

○白川委員 ありがとうございます。

 表題が「個人に対するインセンティブを提供する」となっているものですから、この表題だけ見ると、相当幅広い感じがします。中身的には健康増進で、それに限定しているわけではないですけれども、健康増進を中心としたインセンティブだということをはっきり明示したほうがいいのではないかという感じがしております。

 ついでに、意見を言わせていただきますと、現在、データヘルス計画1期目がスタートしたり、スタートしようとしたりという状況でございます。2期目のときに、個人に対するインセンティブを義務化するというのは、法律的な裏づけもないので難しいかと思いますけれども、推奨していくためには、計画の中に入れてもらうという形で、具体的に進めないと、ガイドラインを出して、あとは勝手にやりなさいと言うだけでは済まないと思います。せっかく良いガイドラインですので、進め方や具体化についてもぜひとも御検討いただきたい。一部事例集が出ていますけれども、これは厚労省だけではなくて、被用者保険、国保側がモデル例をまとめたり、そうした努力はしていきたいと思いますけれども、ぜひそういう工夫も必要かと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 津下委員。

○津下委員 あいち健康の森の津下です。

 ガイドライン、とても細かく具体的な事例も書かれていて、わかりやすいと思いました。

 その上で、数点、御意見と御指摘させていただきたいと思います。個人へのわかりやすい情報提供の中で、第3段階、ソリューション、本人のデータが悪いのでどういう方法をしたらいいですよということを伝えるのが第3段階だと思うのですけれども、第4段階として、これはインセンティブにもつながるかもしれませんが、行動を起こしたことによってどのように健康データがよくなってきたかを示すことが必要かと。健康づくりの究極の目的は御褒美をもらうことではなく、本人の健診データがよくなることで、そういうことについて可視化して、フィードバックをすることが重要というようなメッセージを加えていただけるとよいと思います。それは本人に対するインセンティブの3の最初にあってもいいかもしれませんし、2の第4段階にあってもいいかもしれませんが、健康づくりの成果を、手ごたえを感じさせるような情報提供をするということが必要かなと思いました。

 それから、先ほど御紹介いただいた「評価指標の在り方」の中で、「本人の属性を評価するのではなく」という、この「属性」の定義がぱっと見ただけでは少し理解しがたい部分があるのかなと思いましたので、もう少しわかりやすくしていただくか、属性とは何を指すのかというのを表記していただけるとありがたいと思いました。

 それから、もう一点なのですが、インセンティブを保険者が与える、実施することについて、保険者が、たしかこれは加算、減算というか、保険者評価の項目の中に入っていたと思うので、これがガイドライン化されていったときに、保険者としてこれを実施していることが評価される、さらには、加入者がインセンティブをうまく活用して、健康行動をとることになったことも評価をして、それを加えるのか、このあたりのこのガイドラインの活用のされ方ということも、今後、御検討いただければと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 今日のところは、時間の関係もございますので、事務局から回答いただくよりも、委員の皆様からできるだけ御意見をいただいて、その御意見をもとに事務局で再度最終案にアプローチいただくということで、会を進めさせていただきます。

 事務局、それでいいですね。

○安藤室長 はい。

○多田羅座長 どうぞ。

○伊藤委員 ありがとうございます。伊藤です。

 健康の確保に向けた個人の行動変容を促すということは大変重要だと思いますので、これで全てではありませんが、個人にアプローチするという取り組みは非常に大切だと思います。

 その中で、本人の意欲のためにずっとこのインセンティブを与え続けることはできないというのはよくわかっておりますが、せっかく行動変容につながったら、それはぜひその動きを継続させるような、つまり、参加の機会を引き続き確保していくということで、個人の取り組みを終わらせない工夫が重要ではないかと思っています。

 2つちょっと気になっている点がありますので、申し上げたいのですけれども、先ほど、資料1のほうでいいますと、「3.個人にインセンティブを提供する方法」ということで、公的医療保険の趣旨を踏まえると、料率変更は困難だということで、きちんと書いていただいているわけですけれども、その上に、ヘルスケアポイントを提供するタイミングを給与の支払いと同時に行う等の工夫により「保険料への支援」として呼称することも考えられるとわざわざ御丁寧に書いているというところが、どうも保険料へのインセンティブという抜け道を教えてあげているような感じがして、こういう書き方はいかがなものかというように私は思っているところです。

 あと、もう一点、労働組合の立場から言いますと、資料2の15ページのところに「事業所とのコラボヘルス」の例として「人事教育システムへの健康づくりの取込の例」、G社というのが出てくるのですけれども、4行目のところに「ポイントが一定基準に達した人に給与に反映される仕組み」というのが示されています。これは当然、労使合意のもとで行われているのだろうとは思うのですが、そのことが記されていないがために、安易に賃金への反映というのが何の手続もなく行えるように思われることを懸念しております。改めて、賃金の変更というのは労使合意で行うということを確認していただいて、ここにぜひ入れていただきたいと思っているところです。

 以上です。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○武藤委員 人間ドック学会の武藤でございます。

 私たちは健診施設ですけれども、実際にここにありますようなICTを活用したツールを取り入れていまして、ポイントをつけて、インセンティブを働かせるということを行っております。ある程度歩数がたまったら何ポイントがつくというようなものもやっております。ランチ券を与えたりとか、あるいは人間ドックのオプション検査に交換するとかということができており、ウオーキングイベントなども行って、結構参加する方がだんだんふえてきています。

 評価に関しましては、ICTに、このツールにログインをした回数が多い人のほうがデータが少しよくなっているというものも出ておりまして、割と効果があるのではないかと思っています。

 こういったツールを健診機関も行っていますけれども、中小の保険者の皆様ですと、なかなか実際に運用するのが大変ではないかと思います。先ほどもお話があったように、保険者の評価としても、こういうことをやっていることが評価されるということであれば、なかなか中小の保険者の皆様は大変だと思いますので、健診機関と連携してそういった事業を進めていくというのもありではないかと思っていますけれども、この(案)の中には健診機関との連携というのが余り書いていなかったものですから、一応健診機関もそういうことをやっているところがありますよということをお伝えしておこうと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 まだありますか。

 簡潔にお願いします。

○飯山委員 個人のインセンティブ、これについては私も基本的に賛成なのですけれども、ただ、行動変容を起こすということを考えると、例えば国保の加入者の場合に、無年金の人とか、本当に貧しくて生活が大変だという方もいらっしゃるし、子育てに忙しくてどうしても自分の行動に結びつかない、あるいは親の介護でどうも身動きがつかない。そういった人も結構世の中にいらっしゃるので、したくても行動変容できない人に対して、何らかの考慮、配慮ができないかというのをちょっと思っているところなのですけれども、ここで書くのは難しいかもしれませんが、裏にはそういうことも考えていただければと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 これは非常に重要な大きなテーマですので、委員の皆様からお伺いすると、全員必ず何か御意見をお持ちかと思います。この検討会でそれをやればいいのでしょうけれども、できましたら、各団体から事務局のほうに今日の正式の御報告をいただいたということで、それぞれ文章なりでコメントを事務局に送っていただいて、ワーキングのほうで取り扱っていただくというふうに座長としてはお願いしたいのです。

 ですから、今日のところは一応事務局から正式の報告をいただいたということをこの検討会の議事としていただいて、非常に重要なテーマでございますので、それに対する御意見は必ず全委員にあると思います。ですから、それについては今、二、三の委員から非常に重要な御指摘を既にいただいておりますけれども、ほかの各団体、各委員の皆様から、できましたら文章の形で、簡潔でも結構ですので、事務局のほうに送っていただいて、それをもとに今日の報告を受けた検討をいだたくということにさせていただきたいのですけれども、それでよろしいでしょうか。

 委員の皆さん、必ず御意見があるかと思います。申しわけないのですけれども、ちょっと議事進行、今日はかなり内容が多い議題になっておりますので、御了解いただければ幸いでございます。

 それでは、そういうことで、どうぞよろしくお願いいたします。

 事務局、それでいいですね。

○安藤室長 はい。

○多田羅座長 よろしくお願いします。

 それでは、議題の2に移らせていただきます。「2.保険者間の特定健診等データの移動に係る当面の対応について」、事務局から説明をお願いいたします。

○安藤室長 御説明申し上げます。

 お手元に資料3を御用意ください。この関係の資料は資料3と資料4がございますけれども、資料3が概要になってございますので、本日は概要版のほうを用いて御説明させていただきたいと思います。

 この「保険者間の特定健診等データの移動に係る当面の対応について」でございますが、こちらにつきましても、この検討会のもとに設置されてございます実務者ワーキングのほうで、昨年11月から今年の3月末にわたりまして、4回にわたって御議論をいただきまして、本日、御提出している資料という形でまとめたものでございます。

 概要のほうの御説明に移りますが、まず、「保険者間データ移動に係る現状」でございます。加入者の方が転職ですとか退職によって加入する保険者をかわる場合に、現在のいわゆる高確法のもとでは、新しい保険者は、その加入者に係る特定健康診査または特定保健指導に関する記録の写しを提供するよう求めることができるという形にされてございまして、旧保険者は求めを受けましたらこれを提供しなければならない旨が定められているところでございます。

 また、同法に基づく実施基準、厚生労働省令において、当該記録の写しを提供する場合には、あらかじめ新保険者または旧保険者において、加入者の同意を得ることが必要な旨、位置づけられているといったような、いわゆるデータ移動に係る一定の制度というものが、既に法令の中で位置づけられているところでございますけれども、現状といたしましては、特定健診等データの移動については、一部の市町村国保から被用者保険へのニーズはあっても、なかなか本人の同意取得の手続等が煩雑なことですとか、あるいは保険者が保有する現状の健診システムの中では容易に対応することが困難であること等々の理由から、その実施は確認されていないという現状にございます。

 こういった中で、次の「検討の背景」のところでございますけれども、2015年の「日本再興戦略」において、特定健診のデータにつきまして、最終的にはマイナポータルを含むマイナンバー制度のインフラ等を活用して、2018年度を目途に個人が電子的に把握・利用できるようにすることを目指して、まずは、保険者を異動した場合でも特定健診等データの円滑な引き継ぎが可能となるように、本年度中というのは年度がかわってしまいましたが、この3月末まででございますけれども、本年度中を目途にその引き継ぎ方法について検討を行い、結論を得ることとされているところでございます。

 また、昨年になりますけれども、マイナンバー法の改正が行われまして、特定健診等データ等の保健事業の情報についても保険者間で円滑に引き継ぐことができれば、それぞれ保険者で効果的な保健事業の実施が可能になるということから、保健事業の実施に関する事務についても、個人番号の利用範囲に追加されるという法改正が行われたところでございます。

 こういった最近の動きを踏まえまして、ワーキンググループとして当面の対応方策について検討を行い、今回一定の取りまとめを行ったというものでございます。

 ページをおめくりいただきまして、2ページでございますが、まず、実務者ワーキングのほうでは「保険者間の特定健診等データ移動のメリット」について整理をいたしました。この保険者間データの移動について、今日的なメリットとしてどういったことが考えられるかということで、ワーキンググループの中では3つのメリットが指摘されまして、1つ目が、保険者のデータヘルス計画の中で、保健事業の実施において対象者の優先順位づけですとか実施方法への判断に活用することができるのではないかという点。

 2点目として、新規加入者の過去の特定健診等データを新保険者が得ることができれば、そのデータを活用して、本人の過去の状況ですとか病歴等の特性に応じた、個別の保健事業へのアプローチが可能となるのではないかという点。

 3点目として、本人から、過去の特定健診等結果表を持参して特定健診を受診されれば、実際に受診をされる医師が、過去の連続した特定健診結果を見ることで、健診受診者に対して、より個人の特性に応じたアドバイスを行うことが可能となるのではないかといった、今日的なメリットがあることが確認されたところでございます。

 他方で、この保険者間の特定健診等データの移動を現時点において行う際の課題ということで、下のところでございますけれども、現在、特定健診データの保管ですとか検索状況というのは、かなり保険者においてそれぞれさまざまな状況にございまして、データを提供する側、データを受け取る側の双方ともに、システムでの対応は困難であることから、なかなか一律的・網羅的な対応を行うことは、現時点の状況では難しいのではないかということでございます。そのためには、今後のマイナンバー制度の運用状況も踏まえながら、一定のシステム改修が必要な状況であるということが確認されたところでございます。

 そういったメリット、あるいは現状の課題というものを踏まえまして、次の3ページ、「当面の対応方法」でございますが、ワーキンググループのほうでは、まず、システム改修を行うことなく、保険者間で特定健診データの移動を進めるための当面の対応方法として、以下、(1)(2)の整理を行ったところでございます。

 具体的には(1)の中で、特定健診等データの移動を行う方法として2つの方法が考えられるのではないかということで、1つは、本人を通じた特定健診等データの移動、2つ目として保険者間の直接のやり取りによる特定健診等データの移動とに分けて対応方法を整理したところでございます。

 こちら、概要のほうにはきちんと書いてございませんけれども、ワーキンググループでは、このうち現状の保管状況あるいは検索状況を踏まえますと、マル1に書いてございます「本人を通じた特定健診等データの移動」というものが、当面の対応としては中心となるのではないかというような整理をしているところでございます。

 この本人を通じた特定健診データの移動でございますけれども、そちらに書かれておりますように、本人を通じたデータ移動の方法は、データ移動の方法としては最もスムーズな方法ではないか。

 その際、保険者にとっては、どのような方法で本人からの同意を得るかというところが一つ大きな課題という形で提起されております。

 このため、本人を通じたデータ移動をより推進するという観点からは、例えば被用者保険の加入事業者の協力を得て、定年退職を控えた加入者を対象としたセミナー等の場で、本人に対して、加入期間中の特定健診等データを提供するとともに、新しい保険者にこれを提供することの本人にとってのメリットを説明するということが考えられるのではないか。

 その上で、実際に新しい保険者のほうから、加入者の、過去の健診データの求めがあった場合には、御本人を通じてデータを提供していただくといった方法が考えられるのではないかということを、まず整理していくところでございます。

 他方で、「保険者間の直接のやり取りによる特定健診等データの移動」については、なかなか現時点において網羅的に行うというのは非常に難しいのではないかということを前提といたしまして、当面の対応いたしましては、保険者が実施可能な範囲ですとかルールをあらかじめ決めておくことが必要ではないかということで、具体的には、当面は、被用者保険から市町村国保に新規加入した定年退職者を対象といたしまして、移動するデータの内容も特定健診結果のみとして、具体的な移動の場面でございますけれども、市町村国保が、例えば特定保健指導の初回面接時に、対象者の過去の特定健診結果を参考とするために必要な場合にのみということでございますけれども、これを求めるという範囲で実施するということではないかというような整理がなされているところでございます。

 これら保険者間での移動は特に、なかなかいろいろなトラブルの原因にもなるものでございますので、こういった取り組みを実施するに当たっては、あらかじめ保険者協議会等の場を活用して、具体的な連携方法等の相談を行っておくことが必要ではないかということが、当面の対応方針の中で整理されているところでございます。

 (2)といたしまして、こういった取り組みを進めていくために、円滑に実施しやすくなるように、具体的な手順、フローチャートですとか、あるいは例えば御本人から同意をとる際の必要書類の様式例もあわせてこのワーキンググループで整理がなされているところでございます。

 以降、概要のほうには「当面の対応方法の整理」ということで、いわゆるフローチャートについて、先ほど申し上げましたマル1、マル2について、最も典型的というか、シンプルな形を想定して、簡単なフローチャートを概要としてまとめておりますのと、資料4のほうになりますけれども、資料4の後ろのほうに、実際にこれらの取り組みを仮に行う場合の様式例、ひな形を参考までに添付させていただいているところでございまして、今後、保険者の方々に、当面の対応方針ということでお示しすることで、第一歩ということになろうかと思いますけれども、保険者間での特定健診結果データの移動について、推進を図っていきたいと考えているところでございます。

 事務局からは以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 特定健診データの有効活用ということで、新たな展開の時期を迎えている。その具体的な観点として、データの移動、これは簡単なようで、非常に課題の多いところでございます。ワーキングで取り組んでいただいて、こういう方向が可能なのではないかという御説明をいただきました。

 御意見いかがでしょうか。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 当面の対応となると、こういう形にならざるを得ないということだとは思います。また、大変事務局は苦労されてこれをまとめられたのだと思いますけれども、検討の背景のところで、電子的に把握・利用できることを目指してということで、「結論を得る」という記載もありますので、マイナンバー制度のいわゆる進捗状況等を見ながら、いずれそういう方向を目指すということだと理解しています。そうであれば、システムの改修だとか、それぞれ費用も、相当程度かかる話なのだと思うのです。ですから、おおよそ途中のプロセスとしてそういう検討を始めるということがないと、そのままこれで終わってしまうということもあるのではないかと懸念する次第です。もう少し先が見える書き方もあるのかなと思うのですが、その辺はいかがですか。

○多田羅座長 どうぞ。

○安藤室長 申しわけございません。ちょっと説明が足らなかったところでございますが、まさに今、今村委員がおっしゃいましたように、ワーキンググループの中でも、当面は当面として、今後の話ということについても、引き続き実務者ワーキングでいろいろ議論していかなければいけないところではございますけれども、お話をさせていただいているところでございます。

 具体的には、今、今村委員がおっしゃられましたように、実際にやろうと思うとなかなかシステム改修抜きにはできないということもございますので、一番直近といいますか、今後、想定され得るシステム改修の場面といたしましては、まさに次の議題とも関係いたすところでございますけれども、特定健診・保健指導の見直しの結果を踏まえて、保険者が抱えておりますシステムの改修を、29年度になると思いますが、行うことが想定されるところでございますので、それに向けて引き続きこちらの保険者間のデータ移動の部分については、実務者ワーキングでどういったシステムをどのように改修しなければいけないのかといった点も含めて議論をいただき、システム改修を行う際に、その結果も反映して、さらにもう少し今よりも、このまとめたものよりも進むような形で引き続き議論をしていきたいと考えているところでございます。

○今村委員 ありがとうございます。

○多田羅座長 どうぞ。

○飯山委員 その場合なのですけれども、システムで情報連携できるように法改正までも視野に入れていらっしゃるのですか。本人の同意がある場合に限られると思いますが。

○安藤室長 現時点で想定しておりますのは、あくまでも高確法の定められている制度の円滑な運用ということで、基本的にはその範囲でやっていく。それすらなかなか今、システムの対応がないと、現状、先ほど御説明しましたように、なかなか難しいというところが実態としてございますので、そこの部分について、何とかもう少しクリアにできないかということで議論をしていきたいと思っているところでございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 白川委員、どうぞ。

○白川委員 当面の対応としては非常に現実的な御提案だと思っておりますので、これで問題ないと思います。

 1点だけ、被用者保険から定年退職で国保に移るケースが一番多いと思うのですけれども、今、任継制度があるわけでして、私は廃止しろという意見を言っているのですけれども、定年退職した後、多くの方が2年間ぐらい任継制度を利用して、それから国保のほうに移るというのがかなり多いパターンだと思います。多分、ワーキンググループでもそういう御議論があったかと思いますけれども、資料4にあるいろいろな様式を、もう少し任継制度を意識したフォーマットといいますか、工夫をしていただければと、これは要望でございます。

 以上です。

○多田羅座長 わかりました。

 では、津下委員。

○津下委員 2点あります。

 1つは、平成30年度の制度改正のときに、もしデータ移管できるとすると、例えば保険者がかわったとき、前の保険者で特定保健指導の初回面接されたものが、継続して次の保険者でも実施できるようになり、脱落が減るとか、そういうことも期待されると思います。どのようなスケジュール感でそれが現実に可能になるかということについて教えて欲しいと思います。実現性が明らかになれば、さまざまな新しい方策が出てくるのかなと考えました。

 もう一点ですけれども、今回は、高確法の中で、前の保険者のデータを次の保険者が受け取るという話が中心で、現実にはそうだと思うのですけれども、被用者保険で保険者間のデータ移動するメリットとして、よく聞かれるのが、しっかりと健康投資した方々が国保に移った後でも元気にされているかどうかを知りたいというような、保健事業の評価としてつなぐ意味があるのではないかという声も聞いておりまして、健康投資効果の可視化という観点も、ちょっと枠は超えるかもしれませんが、視野に入れて御検討いただければと思います。

 以上です。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 これも議論があるかと思うのですけれども、一応今日のところは当面についてということで、時間的な要望もあると思いますので、御説明いただいたものはあくまで当面の対応についてという点で(案)となっているのですけれども、今日の検討会の決議として、(案)を取らせていただいて、事務局のほうの正式案と、検討会の検討事項という、当面についてという縛りも入っておりますので、御了解いただいてよろしいでしょうか。

 あと、以降についてはさらに、「当面」というのが残ってしまうところもあると思いますので、将来展望については引き続き御検討いただく。今日の検討会の役割としては、この(案)を取らせていただくということについては御了解いただけるでしょうか。

(「はい」と声あり)

○多田羅座長 ありがとうございます。

 そういうことで、事務局は後の処理をよろしくお願いいたします。

 それでは、次の議題に移ります。議題3「第3期特定健診・特定保健指導に向けた見直しについて」、事務局より説明をお願いいたします。

○安藤室長 お手元に資料5を御用意いただきたいのと、右肩に「机上配布資料」と書いてございます「(参考)本検討会での検討の見直しについて」という席上配付させていただいております1枚紙を御用意いただきたいのと、あわせまして、資料6「「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」における検討状況について」という3つの資料をお手元に御用意いただければと思います。

 私のほうから、まず、資料5と席上配付資料の1枚紙について簡単に御説明させていただきたいと思います。

 資料5「第3期特定健診・特定保健指導に向けた見直しについて」をご覧いただければと思います。

 まず、本日はこの検討会としては、特定健診・保健指導の見直しについての議論の1回目ということでございますので、委員の皆様方にはおさらいになってしまって恐縮でございますけれども、特定健診・保健指導の制度の概略等々につきまして、簡単に御説明させていただきたいと思います。

 1枚目でございますけれども、「制度概要」について書いたものでございます。高齢者医療確保法に基づきまして、40歳から74歳以下の被保険者・被扶養者の方々に対して行われているものでございます。

 内容でございますけれども、健診については、高血圧症、脂質異常症、糖尿病その他の内臓脂肪の蓄積に起因する生活習慣病に関する健康診査を実施するという形になってございます。保健指導につきましては、健診の結果、健康の保持に努める必要がある者に対して特定保健指導を実施するという形になってございまして、5年を区切りとして計画を策定いただいてございまして、現在、第2期、平成25年度から平成29年度までの計画期間中になってございます。

 本日から御議論いただきたいのは、平成30年度からの第3期、こちらは昨年の法改正を受けまして、平成35年度までの今後6年間が計画の期間となりますけれども、30年度から35年度までの特定健診・保健指導について、どういった形で行っていくかということの御議論を本日から行っていただきたいというものでございます。

 次のページは、ちょっと重なってくるところもございますけれども、特定健診・特定保健指導の概要ということで、真ん中の主な内容のところをご覧いただければと思います。平成25年度から29年度における全国目標ということで、それぞれ健診の実施率は70%、特定保健指導につきましては45%という全国目標を置いているところでございます。

 その結果として、今の足元の実績が表になったものでございますけれども、25年度のところ、健診ですと、大体今、半分弱ぐらい、47.6%という水準でございまして、特定保健指導の実施率は17.7%ということで、毎年伸びてはいるのですけれども、まだ全国目標とは若干乖離があるという状況になっているというところでございます。

 次のページをご覧ください。「特定健康診査」の具体的な対象者、健診項目、基本的な健診と詳細な健診の項目という形で、2つに分けてそれぞれ健診項目を記載したものでございます。

 対象者はそちらに書かれているとおり、基本は40から75歳に達する加入者の方々を対象として実施するということになってございまして、基本的な健診の項目につきましても、委員の皆様方御案内のとおりでございますけれども、そちらに書かれております健診項目で、現在、実施している。

 さらに、詳細な健診というものがございまして、こちらの、次のページになりますけれども、「詳細に健診項目について」ということで、現在、心電図と眼底検査、貧血検査の3つの検査について、一定の項目、一定の基準に該当された方に対して行っているといった健診の内容になっているところでございます。

 次のページでございますが、現行の保健指導でございます。保健指導対象者の選定基準ということで、下のところに表がございますけれども、まずは、現状は腹囲あるいはBMIで一定基準を満たす方が対象となってまいりまして、さらに、その方に、追加リスクと書いてございますが、血糖、脂質、血圧のいずれか1つ以上リスクがあるという場合に保健指導の対象になってくる。さらに、そこには喫煙歴も入ってまいりますけれども、リスクの数に応じて、保健指導の中でも積極的支援なのか、動機づけ支援なのかということが分類されているといった形で特定保健指導については実施しているといった状況になっているところでございます。

 次のページでございますけれども、「労働安全衛生法の事業主健診結果の情報提供の促進について」という資料がございますが、こちらは特に被用者保険の被保険者の方々の部分に非常に関係があるところでございますけれども、被保険者の方々は企業において、事業主さんに義務づけられております労働安全衛生法に基づく定期健康診断というものを受けられてございます。

 健診項目でございますけれども、特定健診の項目と大部分重なってございまして、実質的には被用者保険の被保険者の方々については、企業で行われました定期健康診断の結果を保険者のほうがいただきまして、特定健康診査の実質カウントをしているといった状況になってございます。

 すなわち、特定健診の項目見直しの議論をする際には、あわせて定期健康診断がどうなるかというところも非常に関係してくるところでございまして、こちらについては、現在、労働安全衛生部のほうで同時並行的にこの健康診断の見直しの議論を進めているところでございまして、その辺の足並みをそろえて、議論を進めていくことが必要ということで、最後、参考をつけさせていただいているところでございます。

 最後のページでございますが、特定健診・保健指導のこれまでの経緯ということで、単に見直しのこれまで行われてきた経過についてのみを書いてございますけれども、制度の創設ということで、平成18年の法改正によって、この特定健診・保健指導が制度としてできまして、第1期が20年4月からスタートしてございます。この検討会が23年4月に初めて開催されまして、24年7月に第2期計画期間に向けての取りまとめというものがなされているところでございまして、以降、25年4月から第2期がスタートいたしまして、今年の28年1月でございますけれども、特定健診・保健指導の見直しに向けた合同検討会を開催させていただいたところでございます。

 次に、机上配付させていただいております「(参考)本検討会での見直しの検討について」という紙をご覧いただきたいと思います。

 今の私の説明の後に、現在、健康局の「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」というものが同時並行的に動いてございまして、こちらはいわゆる学術的な見地から、科学的エビデンスの整理というものを行って、議論しているところでございます。

 そちらの今の状況については、後ほど御報告をさせていただきますが、この検討会で、それを見ながら議論を進めるに当たって、言わずもがなでございますけれども、幾つかの視点を例示させていただいております。

 この検討会においては、もちろん、健康局のほうでの検討会で出てくるエビデンスの整理というものは一定前提となるということでございますが、それ以外にも、下に掲げられておりますように、例えば生活習慣病対策全体を俯瞰した視点ですとか、あるいは、健診・保健指導を行う上での実施体制として無理がないかどうかといった観点、実現可能性と効率性ですとか、実施率、先ほども出てまいりましたけれども、そもそもとして健診の見直しを行うことで実施率が下がってしまっては元も子もないということもございますので、実施率向上に資するような見直しになっているかといった観点、言わずもがなでございますけれども、費用対効果ということで、費用に対して必要な効果が見込まれるような見直し内容になっているかどうかといった、要は、総合的な観点からこちらの検討会においては御議論いただくことが必要ではないかと事務局としては思っているところでございますので、これも参考に、後ほど健康局のほうで、今の検討状況を申し上げたいと思いますが、この検討会での御議論を進めていただければと考えているところでございます。

 まず、私からは以上で、引き続きまして、健康局の検討状況について御説明させていただきます。

○赤羽根室長 事務局の保険局赤羽根でございます。

 続きまして、資料6で、健康局の検討状況について御報告させていただきます。「「特定健康診査・特定権指導の在り方に関する検討会」における検討状況について」という資料をおめくりいただきまして、2ページからご覧いただければと思います。

 まず、こちらで3回目の健康局の検討会をまとめさせていただいております。まず、健診項目全般についてです。血圧、喫煙、コレステロール、糖尿病については虚血性心疾患とか、脳血管疾患の発症、死亡を予測する指標であると考えられます。これらについては、特定健診が虚血性心疾患とか脳血管疾患の予防を目的とした健診であることから、引き続き必須検査項目とすべきであるということを御指摘いただいております。

 次ですけれども、2番目の「脂質について」をご覧いただければと思います。まず、◎が3つございまして、1つ目について、中性脂肪は随時採血であっても虚血性心疾患や脳血管疾患の発症予測能があって、健診項目として活用可能とご指摘いただいております。

 2つ目ですけれども、non-HDLコレステロールについては、保健指導対象者の選定に用いるという指摘をいただいております。空腹時採血であれば、フリードワルド式で算出されるLDLコレステロールも使用可ということでございます。

 ◎の3つ目ですけれども、LDLコレステロール直接測定法を健診項目から廃止し、総コレステロールを健診項目へ追加するとのご指摘です。

 こちらのnon-HDLLDLにつきましては、少し下のほうで詳細に書いてございます。2ページ目の下のほうの○2つをまずご覧いただければと思います。

 1つは、国際的には、ハイリスク者のスクリーニングや、国際比較には総コレステロールが用いられているということです。それから、LDLコレステロール直接法はほぼ日本でしか用いられていなくて、測定精度に関する懸念が国際的に指摘されていたという経緯がございます。

 次の3ページ目からですが、LDLコレステロールの評価というのは、国際的にはフリードワルド式で行われている。こちらについては、中性脂肪が式の中に入っておりますので、食後の中性脂肪高値の状況の採血だと、LDLコレステロールを過小評価する可能性があるということがございます。

 そういう事情もございます一方で、日本人のHDLコレステロールは諸外国より高くて、総コレステロールのみだとリスクを過大評価してしまうというところもございますので、日本人のコレステロールの評価には、non-HDLコレステロールが望ましいということでございます。

 それから、non-HDLコレステロールについては、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012でスクリーニングとしての診断基準が示されているということ。

 ただ、LDLコレステロールの直接法については、適切な試薬を使用して精度管理が行われれば、使用は可能であるということでございます。

 続きまして、3番、肝機能でございます。

 肝機能については、肝機能検査は肝機能障害の重症化を早期に評価するための検査であると指摘されております。

 肝機能のうちのGOTについては、虚血性心疾患や脳血管疾患等の発症予測能が低いということもあるので、特定健康診査の健診項目から廃止することも可能とするとされております。

 肝機能検査を実施すべき対象者、検査間隔等は改めて検討するということでございます。

 続きまして、4ページ目、4番の「代謝系について」というところをご覧いただければと思います。

 代謝系についてですが、まず1つ目、随時血糖について、虚血性心疾患、脳血管疾患の発症予測能があるので、健診項目として活用可能であるといただいております。

 尿糖については、健診項目から廃止することも可能とするということです。

 この尿糖については、少し詳細に下のほうにございまして、尿糖は腎臓の排泄閾値に影響を受けるので、代謝系の血液検査が実施されて、特にヘモグロビンA1cの検査も普及してきたという状況もありますので、健診項目から廃止することも可能であるということでございます。

 続きまして、次の5ページをご覧いただければと思います。こちらから、4回目の検討会の内容に入ってまいります。

 5ページの1つ目「尿腎機能について」という項目がございます。

 尿腎機能については、腎機能障害の重症化を早期に評価するための検査である。肝機能と同様の位置づけをされております。

 尿腎機能検査は「基本的な項目」から「詳細な健診の項目」へと位置づけを整理し、検査の対象者を明確とした上で実施することとするとされています。

 尿腎機能検査の検査項目、実施すべき対象者、検査間隔等は改めて検討するということでございます。

 個別の項目に関する言及としましては、5ページの真ん中辺の「尿腎機能検査の検査項目について」というところをご覧いただきます。この項目の2つめの○に尿蛋白についての記載がございまして、尿蛋白については起立性蛋白などの偽陽性が知られているが、偽陰性もあることが明らかとなったという指摘がございます。

 血清クレアチニン検査につきましては、クレアチニン検査から出すeGFRについては実測値とのばらつきが大きくて、偽陽性も多いため、経年変化で判断することが重要であるという指摘がされております。

 続きまして、6ページ目でございます。従来からされている詳細な健診の項目についての検討がされております。

 まず、2「血液一般について」をご覧いただければと思います。

 血液一般は、貧血の重症化を早期に評価するための検査という整理がされております。

 血液一般は、健診項目から廃止することも可能とするという整理がされております。

 これについては、血液一般、これは内臓脂肪の蓄積に起因した生活習慣病をみるような生化学ではなく、貧血をみるための検査項目のことを言っているのだと思うのですけれども、特定健診において実施すべき検査項目とは言えないという指摘になっております。

 次の3番目「12誘導心電図について」でございます。

12誘導心電図は、合併症としての心疾患の重症化を早期に評価するための検査という整理がされておりまして、血圧高値や不整脈が疑われる方々について実施するということを書いております。

12誘導心電図は、実施すべき対象者については早期に実施することが望ましいので、次年度に詳細な健診として実施するのではなくて、速やかな受診勧奨を行うべきということです。特定健診で、速やかに心電図検査をすることが可能な場合は、引き続き詳細な健診として実施することは妨げないということでございます。

 次が、7ページ目でございます。こちら「眼底検査について」でございます。

 眼底検査については、合併症としての眼疾患の重症化を早期に評価するための検査という整理がされております。

 眼底検査については、早期の検査を実施することが望ましいので、次年度に詳細な健診として実施するのではなくて、対象者を明確にした上で、速やかな受診勧奨をまず行うべきということでございます。

 とはいえ、特定健診の中で速やかに検査を実施することが可能な場合には、対象者を明確にした上で、引き続き詳細な健診として実施することは妨げないということでございます。

 以上、健康局の検討状況の中での主な指摘等々、御報告させていただきました。

 事務局からは以上でございます。

○多田羅座長 参考のほうはいいのですか。

○赤羽根室長 はい。参考についてはご覧いただければと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 特定健診・保健指導といった場合、どのような健診項目を行うのかというのは、原点であり、出発点でございます。非常に重要な、基本的な観点でございます。これについては、この制度の発足の時点から、そういう観点から非常に御議論いただいております。そして、この10年間、一応定められた健診項目で実施いただいているわけでございますが、10年を経て、特にサイエンス、そういう知見、あるいは国際的な評価を含めたサイエンスの成果をもとに、10年という一つの節目に立って、この出発点である健診項目について見直すという点から、健康局のほうで「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」というのがありまして、御検討いただいている。その内容をもとに、事務局から、そこではこういう検討をいただいているという御報告をいただいたわけでございます。

 基本的な見直しの観点については、最初に事務局より資料5と机上配付資料で御説明いただいたとおりでございます。その点、10年目を迎え、基本的な点でございます。非常に大事な健診項目について再度確認いただきたいということでございます。

 いかがでしょうか。一つ具体的に御意見をいただければ。

 白川委員、どうぞ。

○白川委員 今の御説明、早くて難しい言葉が多くて、ほとんど理解できていないのですけれども、資料5に、特定健康診査の対象者と項目等の一覧リストがありますが、今の御説明ですと、基本的な健診項目のうちの血液検査の中で脂質検査は、方向としては、LDLコレステロールをやめて、総コレステロールにしたいということですか。中性脂肪はやらなくていいという話なのですか。

 それから、血糖はわかりましたけれども、肝機能の中のGOTとかGPTとかたくさんありますけれども、このうちのどれが必要ないと言っているのか、教えていただきたい。

 それから、尿検査の中の尿糖は要らないのではないかとか、詳細な健診の中で、貧血の検査は要らないと聞こえたのですけれども、簡単に結論だけ教えていただけますか。

○多田羅座長 わかりました。

 事務局、資料5の参考資料で労働安全衛生法の健診項目と、高齢者医療確保の健診項目の表がありますね。それを使って、今、課題になっている点、白川委員の御質問もありましたので、ポイントを説明ください。どういう議論が行われているのか。

○赤羽根室長 上から順番に申し上げさせていただきます。

 まず、今回、ポイントになった話としましては、上のほうの貧血検査ですね。

○安藤室長 ご覧いただいている資料でございますけれども、ページが振っていなくて済みません。こちらは先ほどの資料5の最後の紙の「(参考)労働安全衛生法の事業主健診結果の情報提供の促進について」というタイトルがございますけれども、そこに、労働安全衛生法と、高確法の健診項目の一覧表が、○とか□とか書いてあるものがあると思うのですけれども、そちらの右側の欄の「高齢者医療確保法」のところについて、これは□がついているところが今の健診項目になってございますので、それについてどういう見直しが議論されているかという説明をしているところでございます。

○多田羅座長 では、上から順番に言ってください。

○赤羽根室長 失礼しました。

 上から順番にさせていただきます。

 まず、貧血検査でございます。先ほど白川委員からも御指摘がございましたが、貧血検査については、健康局の検討の中では廃止することも可能であると指摘されているということでございます。

 次、肝機能検査については、健康局の検討の中では、GOTについては廃止も可能と言っているということでございます。ATLとγ-GTについては、特段廃止ということではございません。

 血中脂質検査については、まず、LDLコレステロールを廃止して、総コレステロールを測定すべきであると言っております。ただ、一応最後のほうの補足として、そうはいってもLDLコレステロールの中でもコレステロールの直接測定法の中でも、測定精度のいいものもあるので、それについてはプラスして実施することはあり得るのではないかという指摘でございます。HDLコレステロールと中性脂肪については、引き続き実施ということでございます。

 次、血糖検査については、随時血糖について先ほど申し上げましたが、健診項目として使えるということでございます。

 尿検査については、尿糖については廃止ということでございます。尿蛋白については明確な言及がされていないという状況でございます。

 最後の一番下の心電図検査については、速やかに実施可能な場合は詳細な健診として実施ということを言っております。

 以上でございます。

○多田羅座長 心電図検査は詳細検査で入れるのですね。

○赤羽根室長 そのとおりでございます。

○多田羅座長 貧血検査なども詳細でやるのですか。全く廃止なのですか。

○赤羽根室長 貧血については廃止することも可能ということです。

○多田羅座長 詳細もない。

○赤羽根室長 詳細でもないということです。

○多田羅座長 詳細で残るのはどれですか。

○赤羽根室長 詳細で残るのは12誘導心電図と、眼底です。それから、先ほど尿腎検査という話もありましたが、健康局の検討の中では、尿腎検査については詳細な健診項目とすることも検討といっております。

○多田羅座長 尿腎機能というのはクレアチニンのことですか。

○赤羽根室長 尿蛋白、クレアチニンということでございます。

○多田羅座長 ここにクレアチニンという項目はありませんね。クレアチニンは詳細でやるということですか。

○赤羽根室長 この中では、尿腎検査ということで、一括りにして詳細な健診ということを言っております。

○多田羅座長 白川委員、どうですか。わかりましたか。

○白川委員 説明は十分ではないけれども、何を検討されているかというのは理解いたしましたが、理由が私どもにはよく理解できません。例えばコレステロールで言えば、少し前までは総コレステロールと言っていたのを、学会の指摘でLDLコレステロールに変えたのですね。それを今度はまた、日本しかこれを使っていないから総コレステロールに変えますなんて、どういうことかよくわからないです。

 それから、特定健診はメタボに特化した健診ですから、厳密な意味で、それがわかる検査項目に限定していこうということを否定するつもりはないのですけれども、例えば被用者保険で言えば、御本人は定期健康診断の結果をもらうだけですから、削るだけで済みますが、そうではなくて、今、住民健診はなくなってしまいましたから、被扶養者、御家族の方々は、これが唯一の健診です。メタボに直接関係しないから外すというのが本当にいいことなのか。健診にますます来なくなるということになりかねないので、その辺は医師や専門家がメタボ健診ということに限定されているのだと思うのですけれども、例えば尿糖の話なども、それがメタボ以外のところにも多少関係しているわけです。メタボにも若干関係していますけれども、そういったことですと、私どもの立場からすると、いかがなものか。検討の方向が少し違うのではないかと、違和感を覚えます。

○多田羅座長 では、津下委員から。

○津下委員 津下です。

 健康局のこの議論にも出ておりまして、若干補足させていただきたいと思います。

 ここの中で、先ほどの資料6の9ページと7ページの枠の中に、検討の基本的な考え方が書いてありまして、今回は、健康診査を受けた人に対しその後の保健指導も含めて、何をするのか、そしてその結果を確認するという、システム全体として評価する必要があって、ただ病気の発見だけを目的としているわけではないという前提があります。

 もう一つ、7ページで、健康診査と医療が担うべき役割は区別されるべきであるというのが基本的な考え方とされています。そもそも健康診断というのは何のためにやるのだという観点から、エビデンスを一つ一つ洗うという作業をしておりまして、腹囲とか肥満とかについてはまだこれから議論するわけですし、今回、出されたものについてもまだ途中の経過の話となっています。

 おっしゃるように、治療につなげなければいけない人が治療につながっていないとか、臓器障害を今まで、健診で例えば尿蛋白が出て、腎臓が悪い状態だということが発見できることがなくなってしまうのは問題というのは私も発言はしていますが、そもそも高血圧や糖尿病や脂質異常症、そういう方々の次の段階としてそうなっていくわけで、その段階で確実な医療につなげるということが大事ではないかということです。健康な人も含めて全ての人にこの検査を毎年する必要があるのかという議論かと思います。健康な人も含めて全ての人に義務化する健診と、例えば今の詳細健診や、臓器障害、腎機能とか、心電図とか、眼底とかはリスクがある人には必要だが、健康な人も含めて毎年毎年すべきものかどうか、節目とかに実施するという考え方もあり得るので、特定健診としてすべき内容について、厳密に議論しようというスタンスになっているかと思います。

 まだ議論の途中の段階で、エビデンスとしてはどういうものがあるのかということで整理をしています。

 それから、LDLの話なのですけれども、1点は、大事な要素としては、食後に健診を受けられると、10時間たっていないとだめですよということで、健診受診に上がってこない人たちもいるわけですけれども、特定健診をできるだけ受けやすくする意味で、食後に測定しても使えるようにしたいというのも一つの要点になっています。今までのLDLコレステロールを計算で求めるときには、中性脂肪が上がってくるので正確には使えません。食後でも使いやすいように、新たにnon-HDLというのが指標として役に立つのではないかというような議論になっています。食後の随時でもある程度特定健診を実施したと言えるようにするにはどうしたらいいのか。先ほどの受診率向上策にもつながるところかなと受けとめて、そういう議論をしているところでございます。

○多田羅座長 私も座長で言うのもおかしいのですけれども、今、白川委員がおっしゃった、例えば貧血検査廃止というのがありました。これは象徴的だと思うのだけれども、たしかにこの説明を見ると、メタボの指標にならないから廃止することも可能となるけれども、いわゆる特定健診・保健指導というのは、今、国民全般の、もちろんメタボであるけれども、健康状態を把握するという基本的な検査でもあるのです。それをメタボのために使うのであって、現実に国民の健康状態を把握してもらうということは、大きな役割であって、ただメタボのためだけではないと思うのです。それは結果であって、国民が全体として健康であり、労働者も全部健康でないと、世の中の機能は維持されないので、例えば貧血検査、赤血球とか白血球というのは健康の原点ですよ。その赤血球、貧血の検査は廃止というのは、この検討会は観点を間違っているのではないですか。事務局、答えてください。どのように理解されているのか。

○赤羽根室長 事務局からお答えさせていただきます。

 健康局としては、メタボであるとか、虚血性心疾患、脳血管疾患等々の予防というか、そういう観点から今回、健診の項目の整理を行った。その結果として、メタボと基本的には関係が薄いのではないかという項目について、今、貧血検査が話題に挙がっていますけれども、関係の薄いものについては、廃止は可能という整理をしたというものでございます。

 ただ、当然ながら。

○多田羅座長 待ってください。その場合、特定健診・保健指導はどういうものと理解しているのですか。特定健診・保健指導でメタボの対策ができたらいいということですか。国民の健康づくりの基盤でしょう。メタボに資するというのはあくまで結果ですよ。

○安藤室長 まず、結論から言うと、保険局は、先ほど申し上げましたように、総合的な視点で御議論いただきたいと思っているところでございますけれども、まず、健康局が今回、彼らのミッションとしては、先ほど冒頭に申し上げましたけれども、特定健診の法令上の位置づけ、高血圧ですとか脂質異常症、糖尿病、その他の内臓脂肪の蓄積に起因する生活習慣病に関する健康診査という形になってございますので、ある意味それに学術的な意味でぎりぎり従った場合にどういった健診項目になるかという観点。

○多田羅座長 何でぎりぎりやるのですか。

○安藤室長 そういう位置づけが法令上なされているということがあるので。

○多田羅座長 ぎりぎりと法令に書いていませんよ。

○安藤室長 聞いてください。

 まず、そのような法令上の位置づけに従った場合に、どういった整理になるかというのをどちらかというと学術的な観点から、まずはエビデンスの整理をしているというのが健康局の検討会になります。

 他方で、もちろん、先ほど来、座長もおっしゃられておりますし、あるいは、白川委員からも御指摘がございましたけれども、保険局は、先ほど私のほうがあえて机上配付資料という形で御説明させていただきましたけれども、そういった一定のエビデンスというものは前提にするということはもちろん必要なのでしょうけれども、それだけではなくて、実施率ですとか、実施体制ですとか、あるいは費用対効果がどうかとか、いわば総合的な観点からこの特定健診・保健指導を実施していくに当たって、いかに健診をすべきかという、より広い観点での御議論をいただきたいと考えているところでございますので、そういう意味では、健康局が出してきているものは一つの私どものほうの検討会で議論する上での材料という位置づけで、より幅広い観点から御議論いただければ。

 さらに、これは大変我々事務局側の不手際で申しわけございませんでしたが、確かに若干健康局のほうが本日御説明させていただいた資料は非常にわかりづらくなってございますので、それについてはよりコンパクトな形で、健康局が実際に今の健診項目についてそれをどういう方向で見直しを考えているのか。あるいは、その理由は何かといったことについては、きちんとした一覧表にして、もう一回この検討会のほうに提示させていただいて、そこがまずある意味出発点になると思いますから、委員の皆様方にもできるだけ御理解いただけるような工夫をさせていただいた上で、総合的な観点から御議論いただくように、ここは事務局の不手際でございましたので、次回、御議論するときまでにはそういったものをきちんと御用意して、そういったことがないようにさせていただきたいと考えております。

○多田羅座長 事務局のおっしゃることはわかるけれども、事務局が強調されているぎりぎりというところ、健康局がぎりぎりやっていいのかどうか。国民の健康を守るために基本的にやっているし、そういう観点があって、保険者だって無理して貢献してくれているのですよ。国民全般の健康というものは基本的に守るという誇りと自負があってこそメタボ対策ができるのであって、それをぎりぎりやっていいかどうかというのは大問題だと、今日は私、言い過ぎているかもわかりませんけれども、白川委員、そういうことですね。

○白川委員 はい。

○多田羅座長 国民の健康を保険者が守っているという大きな誇りを失うようなぎりぎりというのはもう一度健康局に考え直してもらわないと、特定健診・保健指導に関するというのであれば、そこは物すごく大事な点ですよ。そこをぎりぎりやって、サイエンスという名目で扉を開こうとしているとしたら、それは、国民の健康を守るというのは何よりも大きな課題ですから、メタボはその次で結果ですから、それは皆さん、どうでしょうか。その点、御賛同いただきたいと思うのだけれども、白川委員、そういうことでいいですね。

 一言お願いします。

○白川委員 座長のおっしゃるとおりだと思います。

 先ほど申し上げたとおり、御本人ではなくて御家族にとってはこれが唯一の法定健診なのです。法定ということはないかもしれませんが、受けることができる健診。あとはもちろん市町村のがん検診がありますけれども、それは大事にしていただきたいと思います。それから、先ほどFDAのときに申し上げましたけれども、私はコレステロール、高脂血症なので、ずっと医師の指導を受けていますけれども、そうころころ変わると今まで言われてきたことは何なのかと、思います。世の中で大きな発見があって見方が変わったというのならそれはそれで納得しますけれども、今までやってきた項目は何なのかというのは、医学的には正しいかもしれませんが、国民には納得してもらえないと思うのです。

 ですから、LDLが不確かだから総コレステロールが必要なので、総コレステロールを追加しましょうかというのはまだわかりますけれども、LDLの廃止も可というような、そういう発想は絶対よくないと思いますので、ぜひ健康局のほうでも、座長がおっしゃったような、少し幅広い議論をしていただくように強く要望したいと思います。

○多田羅座長 どうぞ。

○岩崎委員 違う意見で。

 産業医科大学の岩崎でございます。

 高確法の中での議論としましては、健康局の資料を拝見させていただきまして、エビデンスというのはどうしても時代とともに移っていくところがあろうかと思いますので、非常にきちっと議論をされているという印象を持っております。

 ただ、貧血のところとかは、恐らく貧血の重症度を検査するだけではなくて、栄養状態を反映していたり、今までの公衆衛生の歴史を振り返れば、多田羅座長や白川委員のおっしゃる点もよくわかるという印象を持っています。

 その中で、一つ気になっているのは、現場でこれまで特定保健指導をとかをやっていても、例えば、ちょっと御説明の中でははしょられましたけれども、3ページのところで「LDLコレステロールの保健指導・受診勧奨判定値は厳しすぎる」という部分や、何カ所か「年齢等を考慮することが望ましい」という表現が入っておりまして、これはまさに階層化などをもとに、保健指導に対応する中で、恐らく現場として実感しているところにも合致しているところかと思いますけれども、そうしますと、この辺は今後、年齢等を考慮した新たな基準であるとか、あるいは階層化のやり方であるとかの方向に着地していくような議論につながっていくのかどうか。余り複雑になってもあれだとは思うものの、一方で、非常に重要な部分でして、今、そこは現場の判断というよりは、階層化という形で進んでいるかと思いますが、その辺の議論がもしございましたら、教えていただければと思います。

○多田羅座長 これは津下委員から。

○津下委員 現行では、このLDL120から保健指導判定値で、140から受診勧奨判定値になっていまして、大量の受診勧奨判定値が出ていると。これは治療基準値よりも厳しいという現実がありますので、それの改正というのは必要ではないか。

 それから、LDL自体の医学的な意味が失われたわけではなくて、健診として実施するときにどういう方法がいいのかという議論でございます。

 あと、基準値も、例えばLDLもそうなのですけれども、空腹時血糖100とか、血圧が130とか、そういう年齢によっては厳し過ぎる基準値というのも意見の中には出てきております。まだ今後、何回か検討会がある予定ですので、その中で深めていければと思っております。現場が動きやすいようにとか、現実に応じた対策が必要なのだろうというのが、委員の中でも共通していることかと思っています。

○岩崎委員 ありがとうございます。大変よくわかりました。

 やはり毎年の繰り返しでございますので、いつも厳しいことを言われていると、本当に必要なときに受診はもういいやという形になることもあるのかなと思いますので、年齢によってという視点は非常に重要だと思いました。

○多田羅座長 健診項目ということで、具体的に御意見いただければありがたいと思います。回答はまた次回ということになると思いますけれども、今日、問題意識だけ一つ御意見ください。

 お願いします。

○飯山委員 今すぐ回答できなければ後でもいいのですけれども、この健診項目についての記述を見ていきますと、今、話題になっているLDLコレステロールの場合には、2ページ、「廃止し、総コレステロールを健診項目へ追加する」と言い切っていますね。そのほかに、「可能とする」とか「妨げない」とか、そういう表現がいっぱいあるのですけれども、その表現については、この検討会できちんと結論を出してこちらに持ってくるのか、それとも、こういう格好で出されて、具体的にどうするかというのは、私どものこの検討会で決めていくのか、あるいは、保険者に一定の幅を持たせるのか、そこら辺のところはどうなるのでしょうか。

○多田羅座長 では、原則につていて。

○安藤室長 先ほどもちょっと申し上げましたが、健康局サイドの検討会においては、いわゆる学術的なエビデンスを整理するというところまででして、実際に特定健診・保健指導の中身をどうするかというところについては、この検討会での御議論になります。

 ただ、第1回目のときの合同会議で申し上げましたように、合同会議が立ち上がっておりますので、基本、この検討会でどうするかということについて御議論いただいて、それが結論になっていくわけでございますけれども、一応形としては合同検討会を恐らく今年の夏ごろに開催させていただいて、そちらのほうで健診項目の見直しの一定の方向性について、一応両検討会の合意事項という形で整理をするという流れで考えているところでございます。

○飯山委員 では、保険者のほうに、これだけの幅ですよということを言ってしまって、保険者が判断に迷うようなこと、あるいはあちらの保険者はこれを実施しているけれども、こちらは実施していないというような苦情が出たり、そういうことにはならないということで理解してよろしいのでしょうか。

○安藤室長 それはもちろんならないような形でこの検討会の中でどうするかということについて一本化といいますか、決めていただくという流れで考えているところでございます。

○多田羅座長 どうぞ。

○武藤委員 検尿の尿蛋白が基本項目から詳細な項目へ移るという話になっていまして、先ほど来議論になることと一緒なのですけれども、これだけCKDが数年前から話題になっていて、人工透析がふえていて、重ねて医療費がふえている。これは保険者の皆様にとっても大問題だと思うのですけれども、そういったCKDの予防の観点からも、これは基本的な項目に残すべきではないかと思います。

○多田羅座長 その辺がどうも、貧血と尿検査をなくす、ちょっとわからないですね。それまた御検討ください。

 ほかに、どうぞ、御意見をいただければ。項目についてこれはというのはございませんか。

 どうぞ。

○井伊委員 私も貧血についてです。特定健診・保健指導において実施すべき検査項目とは言えないと言い切っているのが大変疑問なのと、片や9ページには、「前期高齢者では低栄養に伴うフレイル・サルコペニアが増加する」云々で「非肥満者も含めて生活習慣病全体に光を当てた議論を行う」と記されています。議論はまだ途中だということだと思いますので、血液一般、特に貧血の検査については、改めて取り上げていただきたいと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 特に貧血は、女性の貧血というのは戦後の公衆衛生の大きな課題だったので、特にそういう点も御考慮いただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、この健診項目については改めて資料をつくっていただくということで、今日の議論を踏まえまして、メタボも大事だけれども、国民の健康のための特定健診・保健指導という誇りと自負を持って保険者にやっていただいているので、その点は検討会として、座長が言い過ぎかもわかりませんけれども、こちらの検討会のほうにお伝えいただきたいと思います。それで改めて資料を整理いただきたいと思います。

 そういうことで、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、次の、最後の議題に行きます。ちょっと時間が押してまいりましたので、よろしくお願いいたします。「4.新たなワーキンググループの設置について」、事務局からお願いします。

○藤原課長 それでは、資料7でございます。

 高齢者医療課長でございます。御説明申し上げます。

 資料7、当検討会に新たなワーキンググループの設置について御提案するものでございます。

 1枚おめくりいただければと思います。先般の医療保険制度改革の中で、高確法の高齢者医療の保健事業の規定について、高齢者の特性に応じた保健指導を実施するように努めましょうと今般の改正でも規定を付け加えたところでございます。

 データヘルスの大きな流れの中で、75歳以上の後期高齢者の医療におきましても、保健事業にしっかりと取り組むべきと考えており、既に26年度から保健事業の実施指針を告示として定めて、47ございます広域連合におきましても、保健事業の実施計画を策定しまして、PDCAで回していこうという動きが始まったところでございます。

 ただ、実際には、健診の実施ですとか、ジェネリック医薬品の差額通知のような適正化事業は何とかほぼ全ての広域連合で実施しておりますけれども、もう少し特性に応じたといったときに、例えば複数疾患に罹患されて慢性疾患が多い方々、かつ、フレイルが進行するという後期高齢者の特性に応じた保健事業がさまざま積極的に展開されているかというと、まだまだ緒についたばかりということで、これからという状況でございます。

 こういった中で、国としても、広域連合がこれから取り組んでいくべき保健事業はどんなメニューがいいのかということを、提示していきたいと思っています。

 このため、今回、本検討会の下に「高齢者の保健事業のあり方検討WG」を設置させていただきまして、地域での先駆的な取り組みを育成し、検証した上で広域連合が実施するためのガイドラインを策定したいと考えて、本日、御提案するものでございます。

 なお、米印のところに、昨年度平成27年度は、厚生労働科学研究で準備的な研究をしていただいております。これは、国立長寿医療研究センターの鈴木隆雄先生を代表者といたしまして、本検討会の津下委員にも御参画をいただいておりますけれども、公衆衛生、老年医学、あるいは循環器など、各分野の先生にお集まりいただきまして、後期高齢者の健康の状態像ですとか、あるべき保健事業の姿などについて、まず、有識者レベルで整理をいただいているという状況がございますので、こういった成果も踏まえながら、ワーキングを立ち上げて、検討をさせていただきたいと考えてございます。

 本日、この会議でワーキングの設置について御了解をいただけましたならば、早速ワーキングのメンバー選定の作業に入りまして、できればこの夏、6月とか7月ぐらいにはワーキングの検討をスタートしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

○多田羅座長 座長から質問だけれども、高齢者というのは後期高齢者のことですか。

○藤原課長 基本的には、75歳以上の後期高齢者について、私どもの47の広域連合が保健事業を実施するためのガイドラインを、最終的な成果としては策定していただきたいと考えております。

 ただ、前回の合同会議のときに、一般的な健診のあり方の議論のときにも出たかと思うのですが、前期の高齢者のときから少しずつフレイルが進んでいくとか、前期の高齢者については国保がメインになりますので、国保から広域連合に接続するときにどのように円滑に接続すべきかという課題もあるかと思いますので、その過程で国保との接続のようなことも課題としては出てくるかなと思っております。

○多田羅座長 ちょっと特徴がわかりにくくなってしまう感じもしますけれども、前期高齢者の取り組みも踏まえた後期高齢者の取り組みということですか。わかりました。

 それから、これは報告をいつごろ出すとか、そういうことはどうなのですか。

○藤原課長 ありがとうございます。

 今のところ、事務局としては、この検討会がスタートいたしましたら、フレイル等重症化予防等のためのモデル事業を育成するための補助金を28年度予算において確保しておりますので、28年度からモデル的に事業を実施いたしまして、できれば30年度目途ぐらいでは全国的な展開にしていきたいと思っております。

○多田羅座長 29年度に答申のような形で。

○藤原課長 はい。2829年度とモデル事業をしっかり進め、効果検証をしまして、30年度には全国的な展開にしたいと考えておりまして、昨年末に取りまとめました諮問会議のもとでの工程表の中でも、30年度本格実施を目指そうということを政府としても規定しております。28年度モデル事業をしっかり検証し、29年度中には具体的なガイドラインを策定するというスケジュール感で、事務局としてはおりますので、よろしくお願いいたします。

○多田羅座長 わかりました。

 津下委員、こちらの委員の中に津下委員の名前があるけれども、これの発足について何か追加はございましょうか。

○津下委員 ありがとうございます。

 後期高齢者については、生活習慣病の結果としてのいろいろな疾病もありますけれども、一方では、要介護につながるフレイル、低栄養等の高齢者特有の問題もありますので、それを多面的にどのように進めていくのがいいのかということや、後期広域連合は都道府県単位で、事業実施は市町村単位ということになりますので、そのあたりの事業の実施と評価の関係なども新たな課題として検討すべきではないかと思っております。

○多田羅座長 わかりました。

 基本的な点は御説明いただいたと思いますけれども、いかがでしょうか。

 白川委員、何かございますか。

○白川委員 ぜひとも。

○多田羅座長 ぜひともでよろしいですか。ありがとうございます。

 こちら、いかがでしょうか。どなたか御意見ございませんか。よろしいですか。

 それでは、これは取り組んでほしいという検討会の意向ということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○多田羅座長 ありがとうございます。ということですので、ワーキンググループの設置に向けて取り組んでいただき、30年度からは事業の展開を始めてほしいと、まとめさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、議題は以上でございます。今日の議事については以上とさせていただきたいと思います。

 あとは事務局のほうからよろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○飯山委員 お手元に本日、机上配付ということで、私ども国保中央会で調べたものがありますので、3枚つづりでありますけれども、「市町村国民健康保険被保険者における特定健診受診と医療機関受診の関係」というタイトルの資料でございます。

 申しわけございません。これは読んでいただければわかるようにしているのですが、2カ所ほど数字の訂正をお願いしたいと思います。

 最初の○の3行目「これに対しKDB参加保険者の」のところですが、「33.7%」とあるのは「33.2%」のミスプリでございます。

 同じ間違いがその下の○の1行目「このKDBによって抽出した33.7%」というのが同じく「33.2%」でございます。

 これは全ての疾病を対象にした統計と、生活習慣病に限った場合の統計とを出してございます。ですから、全ての場合は○の最初の3つを読んでいただければおわかりいただけますので、詳細のところだけ申し上げます。

 下から2つ目のところ、医療機関受診者の内訳をさらに、生活習慣病で受診している被保険者を抽出してみますと、お手元の資料では3ページでありますけれども、被保険者1,200万人のうちの757万人の方がかかっていらっしゃるので、40%の方がかかっていらっしゃる。これは医療機関にかかりながら特定健診も受診した方と合わせますと、66.4%の被保険者の方が医療及び特定健診とのかかわりを持っているということが、私どものKDBからわかったわけでございます。

 医療機関を受診している方々のレセプトの出ぐあいがどうかというのを4ページの表に記載してありますけれども、特定健診の受診有、特定健診の受診無、合わせました有・無の合計の欄でよろしいかと思うのですけれども、12カ月出てきている人、要するに、毎月かかわっている方が37%おられるわけですけれども、1カ月から3カ月程度という方が10%いらっしゃるわけですね。この辺の方はせっかく医療機関にかかっているのですけれども、きちんとした治療を受けられていないか、特に1カ月などという方は中断されているのではないかということが考えられるわけです。

 こういった意味から、いろいろ考えていかなければいけないと思うのですけれども、かかりつけの医療機関と保険者が被保険者の状況を共有して、的確な治療指導・保健指導を連携して行っていくことが必要ということが、これからも十分わかるのではないかと思いますので、私どものKDBではこういう統計もできるということを一つ皆様方にお知らせするのに、実態がこうなっているということを御理解いただければと思います。

 よろしくお願いいたします。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 特定健診と医療機関受診、これは非常に裏表といいますか、関連のあるもので、こういう貴重なデータをまとめていただいて、大枠が理解できるのではないかと思います。より密接に特定健診と医療機関受診が重なっていかないといけないということを、御指導いただいていると思います。ありがとうございます。

 御質問ございましょうか。よろしいでしょうか。

 非常に貴重なデータをまとめられて、これは国保でまとめられたのですか。

○飯山委員 これは中央会がつくって、連合会に提供しております、国保データベースシステムというものがございまして、これは市町村国保の分を集計したわけです。

 あと、国保組合の分も当然集計しようと思えばできるわけであります。

○多田羅座長 非常に大きなデータをまとめていただきまして、ありがとうございます。

 また御質問等ございましたら、直接伺っていただきたいと思います。

 それでは、事務局、よろしいでしょうか。

 これをもちまして、本日の検討会を終了にさせていただきます。

 事務局、何か。

○野中室長補佐 次回の開催につきましては、場所、日時等の詳細は追って御連絡させていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

○多田羅座長 どうもありがとうございました。


(了)

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