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2019年5月30日 第3回 これからの地域・職域連携推進の在り方に関する検討会

健康局健康課

○日時

令和元年5月30日(木)10:00~12:00

 

○場所

厚生労働省共用第8 会議室(11階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

 

○議題

1 地域・職域連携における現状と課題について
2 本検討会における論点について
3 その他

○議事

○保健指導室長 それでは定刻となりましたので、ただいまより第3回「これからの地域・職域連携推進の在り方に関する検討会」を開催いたします。先生方には御多忙のところ、御出席いただき誠にありがとうございます。本日は藍構成員、白井構成員、鶴岡構成員につきましては御欠席との連絡を頂いております。本日は話題提供として国際医療福祉大学荒木田美香子先生に御出席いただいております。またオブザーバーとして経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課の西川課長、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の丸山推進官が出席しております。事務局に人事異動がありましたので、御紹介いたします。保険局医療費適正化対策推進室長に木下が着任しておりますが、本日ほかの用務のため欠席しており、代理として室長補佐の東が出席しております。なお健康局長につきましては、本日国会用務により欠席させていただきます。
次に、本日の資料について説明いたします。本日の会議につきましては、前回同様ペーパーレスで行います。お手元のタブレットには、議事次第、構成員名簿、座席表、資料1~5、参考資料1~2を格納しております。タブレットの使用方法につきましては、机上に使用方法を記した資料を配布しておりますが、御不明な点がありましたら事務局がまいりますのでお声掛けいただきたいと思います。なお議事次第、構成員名簿、座席表の3点につきましては、机上配布しておりますので御覧いただければと思います。それでは、以降の進行は津下座長にお願いいたします。
○津下座長 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。前回4月18日第2回では、論点について、その方向性などについて話合いをスタートしたところです。本日の議事は(1)として地域・職域連携における現状と課題について、(2)本検討会における論点についてです。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは議事(1)「地域・職域連携における現状と課題について」に入ります。まずは、地域・職域連携推進協議会に関するデータについて、事務局より御報告をお願いいたします。
○健康課長 それでは健康課長から、資料の説明をいたします。お手元のパッドから資料1を開いていただき、適宜資料5も御参照いただきたいと思います。本日の重要な論点については資料5に記載しておりますが、Ⅱ.具体的な論点のうち、(2)地域・職域連携による取組の促進ということで、具体的な連携の方向性やデータの収集、リソースの確保等です。(3)の地域・職域協議会の機能ということで、関係者の一層の連携強化や効果的な取組を進めるための評価、こういった点について御議論いただく予定となっております。
資料1ですが、一番最初の所に「協議会の役割」とあります。都道府県協議会、二次医療圏協議会でそれぞれ異なっているところもありますが、共通する事項も多くあり、目標の策定、評価、連携推進方策の協議、最終的には情報交換を通じて健康課題の明確化につなげていくというところです。次は、「地域・職域連携の構成団体の例」とあります。これも以前見ていただきましたが、二次医療圏、それから都道府県単位、国及び中央の関係機関等で若干は異なっておりますが、例えば、これは色分けしてありますが、黄色の所には医療関係団体が入っておりますし、ピンク色の所は産業保健に関する団体、オレンジ色の所に保険者が入っております。その他いろいろな関係団体が入っており、地区組織や商工会議所、住民代表なども当然入ってきます。
4コマ目は、「協議会の設置状況」がグラフとして出されております。県レベル、それから二次医療圏レベルで見ていただきますと、まず県レベルでは、単独設置と他の協議会との合同設置も含めますと非常に高い割合で設置されておりますし、二次医療圏レベルで見ましても設置が94.2%ということで、どちらも9割以上の高い割合で設置されていることが見ていただけると思います。
5枚目は、「地域・職域の連携状況」です。青色が「非常に重要である」、「ある程度重要である」、重要である認識の下に赤色の所を見ていただきますと、実際に「既に連携している」という割合が示されており、青い部分の合計と赤い部分の差、ギャップが、ある意味理想と現実のギャップと考えたらいいのかもしれませんが、このギャップが大きいところを、どうやって埋めていくかというところが大きな課題になっているかと思います。分野別に見ますと一番上にある「小規模・自営業者の健康対策」や、一番下の「データヘルス計画の活用」については注目していく必要があろうかと思います。それから中ほどに「働く世代のメンタルヘルス対策」という項目がありますが、こういった指標についても、今後の対策を考えていく上で重要なインディケーターになっていると思います。
次の6枚目ですが、同様な傾向が見て取れます。割合自体は若干異なっておりますが、同様な傾向があるということで、これを次の議論にいかしていければと考えております。
7枚目と8枚目は、「データの収集・分析」、「リソースの確保」です。まず、データの収集に関して、「課題がある」、「課題がない」に分けて示しております。圧倒的多数の協議会が課題があるというふうな認識で、例えばその内容はデータ収集に関することであったり、データが把握できていない、データを共有する体制が構築されていないということです。二次医療圏レベルで見ますと、やはりデータを収集すること自体が相当困難であるということや分析方法も未確立、さらに評価・分析になりますと、要因分析が難しいという回答がありました。
次のページはリソースの確保です。こちらは第1回、第2回でも御議論いただいたところですが、予算やマンパワーの体制が不十分であるといった点や制約があること、それからそれに伴ってキーパーソンやスーパーバイザーがいないといった点についても御指摘いただいたところで、実際にそういったことが、こういったデータにも表われているところかと思います。
次を御覧ください。「必要性・有用性の周知における課題」という資料があります。この中で、まず都道府県の協議会ですが、意識付けが必要であるということで、健康づくりの重要性についてしっかり認識していただいたり、そのための広報や啓発。こういった点からのアプローチ、事務局や委員の意識から変えていく必要があるのではないかということで、この点については二次医療圏でも指摘されているところです。参考までに二次医療圏の所を見ていただきますと、こうした問題点から効果的な事業展開にはなかなかつながりにくい、健康づくりに対する関心が高いとは言えない、サービスそのものが職域に浸透していない、協議会の開催が数回開催する必要があるということで、現状1回の開催にとどまっているところがあることから、今後の改善点がこういった御意見から示唆されるのではないかと考えております。
最後のページには、この資料の課題のまとめを付けました。1つ目の論点は、非常に重要で、先ほどのデータがありますが、非常に重要であるという認識はあるものの連携は進んでいないということで、職域との一層の連携が必要であるというところが最初のポイントになると思います。2つ目が、既に連携している割合が低いとかデータの共有を進めていく必要があるという点が指摘されておりますが、人的・予算的・技術的課題により十分にその次のステップに移っていない、適切にデータを分析できていないというところかと思います。
3つ目の○です。リソースの確保。先ほどの人や予算の事項に加えてアドバイザーの不在という点が指摘されています。これは第1回の検討会でも御議論いただいた点ですが、きちんとアドバイスを頂けるような、そのようなネットワークを作っていくとか、そうしたリソースの確保が重要であり、また、併せて担当者の資質向上や今後の人材育成が重要な課題になっているという点も浮き彫りになってきたところかと思います。最後の○ですが、地域・職域連携のメリットや必要性について共通の認識が必ずしも十分でない。それが連携が進まない1つのボトルネックになっているのではないかという点、リソースをうまくニーズにマッチさせていく取組も必要であると思いますし、常に連絡が取れる体制ということで、窓口の設置等の工夫をしながら体制を整備していくというところも重要な論点になってきているところかと思います。
こうした課題につきまして、本日の議論の参考にしていただければと思います。説明は以上になります。
○津下座長 ありがとうございます。前回の会議で地域・職域連携の現状は一体どのようなことになっているのかという御意見も出ましたが、厚生労働科学研究や保健指導室の調査の結果を御報告いただいたところです。深掘りの議論は、また後で行いますが、この資料について御質問がありましたら、いかがでしょうか。
1つだけ質問させてください。こういう調査は、この厚生労働科学研究が平成29年度になされていて、経年的に実施しているわけではなく、単年度の御報告がこのような結果であったということでよろしいでしょうか。
○健康課長 はい、単年度です。
○津下座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは引き続き、「地域と職域の連携に向けたヘルスケア産業政策の推進について」ということで、経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課の西川課長より報告をお願いいたします。
○経済産業省ヘルスケア産業課長 ヘルスケア産業課長の西川です。本日はお時間をいただきありがとうございます。10分ぐらいいただき、関連する政策を説明いたしますが、津下座長をはじめとして、ここにおられる多くの委員の方々の御協力を得て、また、健康課長にもいつも御指導いただいていますが、次世代ヘルスケア産業協議会というところでヘルスケア産業政策の議論をしております。本日はその中から、特にこの地域と職域の連携に向けた施策として、我々のほうからも、この会議のお力を貸していただきたいところがありますし、逆に、我々がお力になれるようなところもあると思うので、御紹介させていただきます。特に地域・職域ですので、健康経営やデータヘルス、コラボヘルスを中心に説明いたします。
ほとんどの先生方には釈迦に説法ですが、改めてもう一度申し上げます。日本の社会、経済全体にとって、人材への投資は非常に大事だということであります。したがって、生涯現役社会や人生100年、全世代型社会保障等そういったものが厚生労働省はもちろんのこと、経済産業省や次世代ヘルスケア産業協議会、成長戦略の文脈でもこういう議論をされていることになります。職域、特に企業側にとっても、個人の健康というのは大事なアセットです。健康に投資をして生産性や創造性を上げて、持続的な企業の発展、組織の発展を図っていく。こういったものが企業の経営戦略の中心になりつつあります。またマクロの経済からいっても、少子高齢化の中でいかに日本人が、あらゆる方が元気で、若しくは多少健康を害しても社会性をもって活躍いただけるような社会にしていくと、社会を支える側、こういった方々が多くなれるし、また消費というような面においても、日本の経済成長や地域のレジリエンスの向上につながります。こういった問題意識で進めています。
鍵は、商工労働関係者と社会福祉関係者がきちんとタッグを組んでいくことだと思っています。そのためのきっかけとして、この健康経営、コラボヘルスというのは非常にいい取組です。なぜならば、これに取り組むためには必ず両者の協力が必要です。また、そのベネフィットは両方に出てくるということで、比較的取り組みやすい。この取組を厚労省と経産省。また、日本医師会と日本商工会議所などのご協力で、ある程度形になっているのですが、各地域でしっかりやっていくことが、実は地域・職域連携につながるのではないかと思っています。
健康経営はもちろん労働安全衛生法を守る、最低水準を守るというのは当然ですが、それに加えて人々の健康に投資をすることで生産性、創造性を上げて成長していく、中長期的な安定を得ていこうと、こういった取組であります。最初は大企業を中心に始め、今は大体1,800社ぐらいの大企業、従業員数でいうと数百万から1,000万ぐらいの方々がカバーできるぐらいまで、ある程度広がってきています。ただ、地方の中小企業や地域の個人事業主に、どうやって広げていくかというところが非常に大きな課題になります。中小企業も広げて、大体2万5,000から3万ぐらいまで健康宣言を実施されています。また最近、自治体が健康経営をやろうということで、自治体の商工労働部と社会福祉部や地域の医師会と商工会議所が連携するといった取組もどんどん進んでいます。これは非常にいいことですが、4ページを見ていただくと、今年2月に厚労省にも参加いただいて、健康経営アワードを開催しました。立派な健康経営を実践されている方々を表彰するということなのですが、その中で、右を見ていただくと、特に中小企業の健康経営の普及には、地方自治体の複数部局、地域の関係機関が連携して取り組むことが効果的であり、かつ必須だと。この赤い部分ですが、これをしっかりやっていこうではないかというのが今、大きな政策課題になっています。
5ページ目以降は自治体で取り組んでいただいているもので、大体8割ぐらいの都道府県でも健康経営の顕彰をやっていただいている。また、市町村でも広がっているということであります。協会けんぽがこれを一生懸命やってきていただいているわけですが、そこに商工会議所も医師会も、どんどん入ってきていただいて、それぞれが連携して地域を応援していこうということです。
10ページをご覧ください。先ほど地域の健康づくりのリソースというのがありました。1つの解決というのは、健康経営アドバイザーを、もともと東京商工会議所が始めたのですが、全国に広げるということで、昨年度だけで1万2,000人がアドバイザーになられています。これは職域に対して、どういう取組をすれば従業員が健康になって、生産性や創造性が上がるのだということのアドバイスをするための制度であります。勉強をして、この研修を受けて認定する形ですが、さらに昨年からはエキスパートアドバイザー制度も始まっています。私が東京でしゃべっているよりも、実際に現場でいろいろな方の声を聞いて、エキスパートがアドバイスをしていただく。こういった方をしっかり作っていこうということです。
11ページは、そういうことに取り組む中で、正にこの地域・職域連携が非常に大事だということです。大企業であれば、健保組合があったり、また大企業の中で産業医を選任いただいています。ただ地域では、なかなか中小企業や個人事業主は自分で産業医にお願いするわけにもいかないし、また健保は協会けんぽや国保だったりします。そうすると、どうしても1対1で保険者と企業がコラボヘルスをしていくのはなかなか難しい。協会けんぽにしてみると、いろいろ応援団がいないとなかなかできないということなので、ここに自治体や医療関係者、金融機関、地域の経済団体が絡んでいくという取組が必要かと思っています。
参考までに、地域でそういったコンソーシアムを作る形として、地域版次世代ヘルスケア産業協議会を作り、12ページ以降にありますが、こういった取組もしっかりやっていきたいと考えています。
最後に2点だけ。こういった予防、健康づくりを行うためには、公的保険によるヘルスチェックや治療も非常に大事です。ただ、予防や健康づくりを行うためには適切な公的保険の外のサービスも使っていくことが大事ではないかということで、公的保険の中のサービスを担っていただく方と公的保険外のサービスを担っていただく方の連携を促進しようという取組も進めています。
最後の18ページは、大阪府の高石市の地域・職域連携の具体例です。大阪府の高石市はコンビナートがあります。コンビナートに企業が工場を造っておられて、そこに数千人が働いています。この方たちは退職すると、多くが高石市や周辺に住んでおられるので健康保険は健保から国保に変わるということであります。健保のいろいろな健康づくりの取組と、国保による取組を普段から連携しておくと、個人はつながっているので非常に取組が継続しやすいのではないかと考えています。こういうことを「健幸ポイント」等を使って実施いただいています。是非こういった取組を我々の立場からも支援させていただきたいし、逆にお助けいただけると有り難いと考えています。以上です。
○津下座長 ありがとうございました。経済産業省の立場からヘルスケア産業の健康投資の動きがかなり加速している状況について御説明いただきました。前回の次世代ヘルスケア産業協議会でも、この地域・職域連携検討会が話題になりまして、多くの参加者から期待感が寄せられたところと思っております。ただいまの御説明について、御質問等がございましたら、いかがでしょうか。非常に重要なキーワードをたくさん頂いたと思いますので、また後ほどの論点の議論の中で反映させていただければと思います。
それでは引き続き、地域・職域連携の現状と課題について、保険者のお立場から松下構成員より御報告を頂きます。どうぞよろしくお願いします。
○松下構成員 全国健康保険協会の松下でございます。よろしくお願いいたします。私からは、協会けんぽの保健事業に関して、資料3に沿って御説明します。1ページのスライドを御覧ください。まず、協会けんぽの概要です。協会けんぽは、国が運営しておりました政府管掌健康保険を引き継ぐこととして平成20年10月に設立された法人です。主に中小企業で働くサラリーマンとその御家族を加入者とする医療保険者です。本年3月末時点で、222万事業所にお勤めになっている3,940万人の方々に御加入いただいております。被保険者が2,380万人、その御家族が1,560万人です。なお、加入事業所数及び加入者数は年々増加しておりまして、現時点で国民の3.2人に1人が協会けんぽの加入者となっています。また、円グラフでお示ししていますように、加入事業所の約8割が従業員9人以下の事業所となっています。
2ページを御覧ください。協会けんぽの加入事業所はそのほとんどが中小企業になります。
中小企業の加入者の健康を取り巻く状況としては、労働環境が厳しく、個人レベルでは健康増進が難しい一面が見られます。大企業でもそうだとは思いますが、仕事が忙しくて健診受診や通院ができない、勤務シフト等の関係で欠食や夜遅い時間の食事となるなどといったことが相対的に多いと言えるかと思います。実際にも、協会けんぽでの事業所規模ごとでの健診受診率を見てみますと、事業所規模が小さくなるほど健診受診率が低くなっております。また、健診受診者の4割近くの方が健診結果を知らない、忘れたといった調査結果もありまして、その結果、治療が必要な方が医療機関を受診していない割合も高くなっております。
このような特性を有している協会けんぽの保健事業につきましては、3ページにありますように、他の保険者と同様、データヘルス計画を作成して実施しているところです。データヘルス計画は、健診データやレセプトデータを効果的に活用することにより保健事業を確実に実施するための事業計画でして、昨年度からは、平成30年度から令和5年度までを計画期間とする第二期のデータヘルス計画に基づき保健事業に取り組んでおります。またその策定に当たりましては、協会けんぽは各都道府県に1つずつ支部を設けておりますが、地域ごとの健康課題のほか、行政機関や関係団体との健康づくりに関する連携等、各々の地域の実情等も踏まえて策定する必要があるため、各支部の健康特性を把握した上で独自性を発揮できるように支部ごとに計画を策定しています。なお、第1期、第2期を通じまして、特定健診・特定保健指導の推進、重症化予防事業、コラボヘルスを3本柱として取り組むこととしています。本日は、この3本柱それぞれの取組のうち、データを活用した取組、また地域と連携した取組について御説明したいと思います。
4ページからが「健診・保健指導の推進」に関してです。健診に関しては、健診受診対象者が勤務する事業所情報につきまして、地域別や業種別に分析し、受診率の低い地域や業種への受診勧奨を強化したり、巡回健診を実施するなどの取組を行っております。また、特定保健指導に関しては、健診結果について支部別や業種別に比較して、ほかに比べて多く見られる異常所見の項目と関連性の高い生活習慣に着目し、その生活習慣の改善に重点を置いた助言等を行っております。
分析の事例として5ページを御覧ください。こちらは、特定保健指導の効果について分析した事例です。上のグラフは、平成23年度に積極的支援を利用した方と利用しなかった方について、平成23年度から平成26年度までの4年間の男性の入院外一人当たりの医療費を年齢別に分析したものです。40歳から64歳までの全年齢で積極的支援を利用した方のほうが、利用しなかった方に比べて平成26年度の医療費が約3,800円低いという結果でした。また、下のグラフは、平成24年度に特定保健指導を利用した方と使用しなかった方について、保健指導翌年度の体重の変化率別に一人当たりのメタボ傷病に関する医療費を分析したものです。縦軸が医療費、横軸が体重の変化率です。青の折れ線グラフは保健指導を利用した方、赤は保健指導を利用しなかった方です。保健指導の利用、未利用ともに体重が増加した群は、体重を維持した群や体重減少群と比較するとメタボ傷病に関する医療費がより多く発生しており、いかに体重の増加を抑えられたか否かが、メタボ医療費の抑制につながる可能性があります。そのため、特定保健指導の対象となった方については、まずは特定保健指導を受けていただくようにお勧めし、実際に効果の出る保健指導を行うことが重要と考えております。
6ページのグラフは秋田支部のものになりますが、協会けんぽでは、他支部でも同様に加入者の健康状況を把握するためにこのようなグラフを活用しています。特定健診データなどについて年齢調整を行い、都道府県別の特徴をグラフに表示し見える化したものです。横軸は、健診や問診などの項目、縦軸は全国平均をゼロとし、全国平均からどのくらい離れているかスコア化したものです。スコアの解釈目安としては、左下にありますように、高いと「悪い」、低いと「良い」となります。年齢調整を行っていますので、支部別、都道府県別などに比較が可能になります。また、このようなグラフにすることで、健診データの中でどの項目が全国平均と比較してリスクが高いのか、その傾向が分かります。秋田支部における40歳から74歳の健診データの中では、男女とも血圧のリスク保有者について全国の中でほとんどトップになっており、血圧リスクが高い傾向にあることが分かります。
7ページは、秋田支部の収縮期血圧、130以上の方の年齢調整割合を業種別に見たものです。「道路貨物運送業」と「その他の運輸業」がリスク保有割合が高い業種の1つとなっています。また、これらの業種は、下の表にありますように、血圧リスクが高い他の業種と比較すると、その総人数も多くなっています。このようにリスク保有者の割合だけでなく、対象者数が多い業種と連携することにより、加入者全体への影響度を高めることも期待できますので、秋田支部では、運輸業の各団体と連携した取組を行っています。
8ページは健診に関する自治体との連携の例です。被扶養者の特定健診について自治体と連携させていただき、自治体の集団健診やがん検診との同時実施を進めています。平成29年度は、1,158市町村の集団健診等で同時実施しております。なお平成30年度については新たに87市区町村増加し、1,245市区町村で同時実施を行っております。
9ページが「重症化予防」に関してです。データの活用ということでは、医療機関に受診していない方への受診勧奨が挙げられます。健診結果データとレセプトデータを活用しまして、生活習慣病予防健診で、血圧又は血糖において要治療と判定されながら医療費データが確認できない方を抽出しまして、健診受診から6か月後に一次勧奨文書を送付し、より重症域にある方に対しては電話や文書等による二次勧奨を行っています。平成28年度健診受診に対する受診勧奨においては、一次勧奨文書送付後3か月間では9.8%の方の受診行動に結び付いたという結果でした。なお、6か月で見てみますと15.3%の方が受診されていました。また地域との連携ということでは、糖尿病性腎症患者への重症化予防が挙げられます。こちらについては、医療費データがある一方で、健診データが高値といったコントロール不良の方や、定期的に医療費データがあったものの中断してしまったという治療中断者の方を対象として、まだ数は少ないのですが、県や市区町村、医師会等と調整しながら、糖尿病性腎症重症化予防プログラムにのっとった、かかりつけ医と連携した保健指導や受診勧奨を支部ごとに実施しております。
10ページからが「コラボヘルス」についてです。事業主との協働連携した取組の代表的なものとしまして、事業主の方に健康課題の解決のための健康づくりの取組を宣言していただく健康宣言事業を行っています。なお、事業所ごとの健康状況や課題が把握しやすいよう事業所カルテを活用しており、事業所カルテには、生活習慣病のリスク保有率、加入者あるいは被保険者一人当たりの月平均医療費の全国平均、都道府県平均、同業種平均、その事業所の経年数値などを掲載しています。また、それらをグラフやレーダーチャートなどを用いて支部ごとに工夫をこらして見える化をしております。この健康宣言の取組を含めまして、行政や業種団体等と連携した取組の事例について、協会の中で地域等の連携が進んでいる静岡支部の取組を御紹介したいと思います。
11ページは、静岡支部における健康宣言事業についてです。静岡支部の健康宣言事業所数は2,049社になっておりまして、この2年余りの間に10倍になっています。また、このうち87社が経済産業省の健康経営優良法人の認定を受けており、県内で健康経営の気運が高まっているとのことです。静岡支部では、健康宣言事業所が取組内容を振り返り継続して取り組みやすいよう、毎年3の事業所カルテを送付しています。また、協会けんぽ単独の取組から発展して、今では2、4のように、2年ごとにランクアップさせる県全体の認定制度になっており、健康保険組合や共済組合の健康宣言につきましては、県の健康増進課と健康福祉センターが窓口になっています。
12ページ、県では、この宣言事業所を中心に、取組内容が特に顕著な事業所に対して県知事褒賞を行っており、静岡支部でも対象事業所の推薦を行っています。このように、県の認定制度と褒賞制度、そして国の健康経営優良法人認定と3段階の認定・褒賞制度を取り入れることにより、企業の健康づくりのモチベーションを高める工夫がされています。 13ページが業態別に見た事例です。静岡支部の健診結果の分析によりますと、メタボや腹囲、血圧、代謝などのリスクが最も高いのは運輸業であることが見て取れるとともに、特に、ドライバーの定期的な運動が不足しているという生活習慣が他の業種と比べて顕著に見られます。先ほど、秋田支部で運輸業団体と連携した取組を行っていると申し上げましたが、静岡支部におきましても、静岡支部を含む協会けんぽの東海、北陸の数支部と各県の運輸支局が合同で、トラック、バス、タクシーなどの業界団体や個々の事業所を訪問して、社員の生活習慣の改善に向けた働き掛けを行っています。
14ページ、業界団体と連携して、加入者の方々に対して健康経営の取組や健康づくり、生活習慣の改善等について業界の全国紙で呼び掛けているほか、静岡支部でも運輸業特有の生活習慣とメタボとの関係等について分析した結果を学会に発表するなどしております。なお、運輸支局等とのコラボの効果によって、県内の健康宣言事業所では運輸業の事業所が最も多くなっており、職場での健康づくりにつながっているところです。
15ページは、経済団体、自治体、民間企業との連携体制についてです。静岡支部では、県内の経済団体や自治体など様々な団体と協定を結び、それぞれが得意とする役割を担いながら協働して企業の健康づくりを応援しています。
16ページ、商工会議所との連携例です。県内の商工会議所では、それぞれの地域性をいかし独自に工夫された活動を実践されています。また、最近では、静岡支部と商工会議所のコラボへの参加を希望される自治体も増えているとのことでした。
17ページ、市町村との連携の例です。比較的高齢者や退職者の多い国保のデータとNDBデータ、就労世代である協会データを比較し、市町村との連携の中で教えていただいた、その市町村特有の健康課題が現役の被用者等にもそのまま当てはまるかといった視点で検証してみたものです。こちらは、浜松市のケースです。国保のデータによると、糖尿病と腎不全により死亡する人の割合が県平均より高くなっています。また、右側のチャートのように、国保のデータに協会のデータ及びナショナルデータベースのデータを重ね合わせてみますと、空腹時血糖値が協会の県平均やNDBよりも高くなっていることが分かりました。後期高齢者医療を含むNDBの数値より高いということはよほどのことであり、働き盛り世代に対して早急に何らかの対策を講じる必要があるという具体的な課題が見えてきたところです。静岡支部ではこれらの取組を行っておりますが、先ほど申し上げましたように、静岡支部は地域との連携が進んでいる支部だと思っておりますが、全ての支部において地域連携が更に推進されるよう取り組んでいきたいと考えております。
最後に、「保健事業の効果的・効率的な実施のために」としております18ページを御覧ください。健康課題や保健指導対象者の把握のため、また、データヘルスの推進のためには、まず特定健診データが必要となります。また、健康づくりの取組を進めていくに当たっては、数値的な分析だけでは見えてこない質的な情報も踏まえる必要があります。平成29年度の健診受診率は資料中段のとおりでして、引き続き健診受診率向上のための取組を行っていく中で、事業者健診データの取得率を向上させる必要があると考えております。
なおその場合、健診や保健指導の重複を排除するとともに、効率的な受診勧奨等を実施するためには、早い時期での情報共有が望まれるところです。そういったことから、事業者健診データを提供しやすい仕組み作りが行われることにも期待しております。また、協会けんぽ加入事業所は山間部や島嶼部を含め広い地域に事業所が点在していることや、健康保険組合等と比べて保険者と加入者及び事業主との距離間が大きいことなどから、健康づくりに向けた働き掛けが難しい面があります。そういった現状等を踏まえ、健康意識の醸成に向けた情報提供や方法について、また加入者のニーズ等も含めた質的情報の共有等についても、地域と職域との連携が深められることに期待しております。また協会も努力していきたいと考えております。雑駁な説明になりましたが、私からの御説明は以上です。ありがとうございました。
○津下座長 ありがとうございました。ただいまの協会けんぽさんの取組の御説明について、御質問等がありましたら、いかがでしょうか。
○齋藤構成員 協会けんぽさんの業態別のアプローチの方法は大変参考になりました。ありがとうございました。その中で教えていただければと思います。本市においても、ターゲットを絞ってハイリスクの業態にアプローチをしようと考えているところなのですが、発表の中の13ページにもありますどのような過程で国土交通省と合同で動くことになったのかということと、業界団体のアプローチ、事業所訪問等を合同であたったということでしたが、どのような役割分担をされたのか、もし分かれば教えていただければと思います。
○松下構成員 ありがとうございます。まず、国土交通省との連携の経緯と申しますか、はじまりといったところですが、国土交通省様のほうでも、運輸業の健康リスクが高いということを把握されている、また問題意識を持たれていることを聞いておりまして、ほかの支部等でも国土交通省に働き掛けることで一緒に取り組める事例が多いと聞いているところです。協会けんぽのほうからお声掛けをして、一緒に行っていただけているといったところです。申し訳ありません、もう1つは。
○齋藤構成員 もう1つは、業界団体へのアプローチとかをしたときの役割分担はどのようになっているか、もしわかれば教えていただければと思います。
○松下構成員 役割分担としましては、働き方とかそういったところについては運輸局のほうで御説明いただきまして、その中で、協会けんぽにできること、例えば、やはり健康宣言を行っていただいて我々が協力できるようなことを御説明していくといったことですとか、健診受診率を高めていただくといったところを我々から御説明をするといったところです。よろしいでしょうか。
○齋藤構成員 ありがとうございました。
○津下座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○巽構成員 今、御紹介いただいた静岡県の健康経営の推進なのですが、研究で、県へのインタビューをさせていただいたところで、地域・職域連携推進協議会との関わりがどうなっているかということについて説明します。以前から、協会けんぽさんがこのような健康経営を進めておられた中で、県が平成29年度からは新規に健康増進計画の中でこの健康経営のプロジェクトを進めるという方向性を出したので急速に健康経営進んでいるというところです。組織として生活習慣病対策連絡会というのがあるのですが、これがイコール地域・職域連携推進協議会として、県の7つの保健所の中にあります。そこを窓口にして企業が職場の健康状態をチェックして、健康経営の申込書をその7つの保健所に提出すると、県から認定証を送付して、健康づくりをスタートして実施して、報告書を出すと、また次の年にPDCAを回していくというしくみで、2年ごとにホワイトからランクアップしていくといく形で続いていけるようにこのシステムを作っていることから、地域連携推進協議会と関わりながら行っていると言えると思います。
○津下座長 ありがとうございます。ただいまの静岡の事例ですが、地域・職域連携協議会との関係という点ですが、それぞれが持っている健康課題を共通の場で話し合って対策を進めていくには、協議会という場の活用が重要であるということではないかと思います。よろしいでしょうか。それでは、これから地域・職域連携推進事業の具体的な取組事例について、荒木田先生より御報告いただくわけですが、その前に、まず荒木田先生の御紹介をいたします。国際医療福祉大学小田原保健医療学部副学部長看護学科学科長の荒木田美香子先生です。地域・職域連携については、かねてよりずっと御指導いただいている先生ですが、荒木田先生には、前回の検討会で議論しました地域・職域連携推進協議会の成長イメージのレベルごとに事例をおまとめいただきました。荒木田先生の御報告に先立ち、事務局より成長イメージについて御紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○健康課長 事務局、健康課長です。今、御紹介のありました資料5の別紙です。資料5の一番最後のページを御覧ください。前回も御議論いただいたこの成長イメージですが、それぞれの協議会の開催レベルを徐々にスケールアップしていくというイメージの中で、最終的には具体的な取組を強化していくことになろうと思いますけれども、このようなイメージで考えたらどうかという提案をさせていただいたところです。
レベル1~3となっておりますが、レベル1が協議会の開催、レベル2が取組の実施、レベル3がPDCAに基づく取組の実施ということで、これを更に細分化しています。レベル1-1が協議会の開催、レベル1-2が意見交換や情報交換、レベル2-1が課題を共有し、協働した取組、レベル2-2が地域特有の課題を特定し、関係者が連携、レベル2-3が課題の明確化、都道府県全体の方針と一体的な取組でして、最終的にはレベル3に持っていきたいというところですが、PDCAサイクルの活用とか、予算や人員を確保し、自立的かつ継続的に実施するということで、一番上の所に二次医療圏協議会と都道府県協議会の連携となっています。このページの一番右側にありますように、情報の伝達、共有、課題の整理を通じて、二次医療圏協議会をサポートし活性化していくと、こういったイメージです。具体的には、荒木田先生から御説明いただければと思います。
○津下座長 ありがとうございます。荒木田先生には、地域・職域連携の推進による生活習慣病予防等に関する研究成果等も踏まえて、資料4をおまとめいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒木田参考人 資料4をもとに発表させていただきます。事務局から成長イメージということを頂きましたので、それに合わせて平成29年度に聞き取り調査を行った所を中心に、どのような事例があるかということで分析をしてみました。まず、2ページのレベル1です。協議会が開催されて意見交換をしている所では、こちらの事例は特別区の事例だったのですが、特別区として地域・職域連携推進協議会を設置して進めているというところなのですけれども、設置するまでにかなり努力をしております。設置した効果としては、関係機関がそれぞれ事業所に働き掛けることの必要性がすごく分かったと。それがあって、事業所に対しての対策を展開するときには、この協議会ができてからは非常に意思疎通がスムーズに図られるようになったというメリットが出てきています。
取組が進んだ要因としては、きっかけとなったのは協会けんぽとの覚書と書いてありますが、これらがあってデータの分析ができたということです。協会けんぽにデータの分析に御協力いただいて、市町村の国保のデータと同じ枠組みでデータ分析をすることによって、住民の約半分ぐらい、50%のデータをカバーして分析できたということで、根拠を示して、説得力のあるデ ータがこの覚書がきっかけとなってできております。根拠のあるデータができたので、庁内でも連携というか調整ができて、このようにやっていきましょうということで地域・職域連携の活動目標が設定できたということです。こちらは事務局が非常に努力しており、継続的に推進していくためには健康増進計画に何とか位置付けていかなければいけないということで、健康増進計画の中に「地域・職域連携推進連絡会と」という文言をきっちり載せております。この辺りは、この事例の工夫しているところかなと思います。
次に、レベル2-1のイメージとして、協議会を開催して課題意識を共有しているという事例です。こちらの事例は、これまでに取組は非常に長くて、幾つか取り組んできた上で、次のレベルに行くときに課題は何にしようということになりました。この地域の特性として、喫煙率が高いということがあったり、学校の運動会で保護者がたばこを吸っている事例や現状等もあったりして、そこから総合的なたばこ対策に取り組んでいこうというところに展開していきました。取組としては、管内の禁煙実態について情報共有・調査した上で実施計画を策定して、禁煙啓発活動をしております。受動喫煙防止ステッカー等を配布して展開しています。
推進要因としては、まずは事業場の実態把握ということです。大掛かりな調査はしていないのですが、まず事務局が事業場を訪問して産業保健の実態を知るということをしております。それから、データ等を出す際にその場で出すのではなくて、会議開催前に、「準備と仕掛け」と書いてあるのですが、意見が出やすいように事前に委員の皆様に配布して、このような観点で御意見を頂けないだろうかということを仕掛けていますし、全員に発言していただくということで、いろいろと皆さんも工夫して意見を出すということをやっておりました。データ等も、分かりやすい情報提供の工夫を頑張ってやっておられました。
もう1つここで特徴的なのは、キーパーソンの存在かと思います。こちらのキーパーソンは、実は10年以上にわたって関わっていて、その中でこの協議会の歴史を知っているというか、取り組んできたことが分かっていて、事務局が変わっていても今までの経過を踏まえてサポートをするというか、意見を出すことができていました。
次に、4ページのレベル2-1、協議会で課題意識を共有しているという所です。こちらの地域では、取組内容として書かせていただいていますが、地域・職域連携推進協議会として第1次計画、第2次計画というように、協議会で中期計画を立てているところが非常に大きなところです。取組による成果という所に書かせていただいておりますが、「めざす姿」例ということで中期計画の項目と、それが平成21年から平成26年にどう変わったかということを書いています。このように、中期計画で数値目標を挙げて、取組を評価しているところが大きいと思います。
この取組の推進要因ですが、まずは保健医療計画に重点事項として位置付けたということがあります。それから、こちらでは中小事業所の実態調査をしております。この中小事業所の実態調査においては、最初は回収率が余り良くなくて苦労されていたのですが、商工会議所とか業種団体の協力を得て、回収状況も良くなってということで、この実態調査を基に、中期的な視点を持った数値目標を立てています。
取組の広報活動として、実は事業所訪問等もして情報収集をして、それを広報誌にももちろん出しているのですが、YouTube等で公開して広く展開しています。こちらもキーパーソンがしっかりおりまして、建設業労働災害防止協会の委員とか、地域産業保健センターのコーディネーターが度々事務局(保健所)を訪れて、こうしたらよいのではないか、ああしたらよいのではないかということで御意見を頂いていたということです。
資料の5ページは、「働く世代などの糖尿病と肥満予防」として、特定健診の啓発活動を実施したということです。取組による成果では、まずは保健と保険と職域が連携して事業を実施し、周知に3師会や商工会が協力して、連携事業が主体的に実施できたことで、特定健診の受診率は国保加入者で上昇しています。協議会のWGメンバーに大型商業施設の企業が入っており、こちらが協力して、休日に大型商業施設で啓発活動をすることができて、若年層や働き盛りの世代に効果的に啓発活動ができたというように聞き取っています。
まず、地区別のデータを分析したということです。データの分析に当たっては、県の本庁からデータを保健所が頂いて、それを地区別に分析してという形になって、データの分析をしっかりしております。あと、WGでこのデータを読み込む作業をしており、WGのメンバーで課題の共有をしています。それから、「構成員がメリットを認識できるよう工夫」と書いてあるのですが、この活動を行うことによって、特定健診なのだけれども小規模事業所にとっては定期健診なのだというように、それぞれの所でどういうメリットがあるかをきちんと説明しております。こちらもキーパーソンの存在として、医師会の医師が積極的にアイディアをくださって、効果的だったという意見でした。それから、やはり事務局担当者が努力をしており、連絡事項を電話で済ませることもあるのですが、電話だけではなく必要時タイムリーに関係機関を訪れて説明をして、ニーズを聴取してくるということをしておりました。
6ページは、糖尿病を持った人の定期的な眼科受診の啓発ということで、ちょっとユニークな活動をしております。実はこちらの事業は、取組が進んだ要因の所に「データ解析と課題の明確化」と書いてありますが、まずこの地域は、事務局がもともと糖尿病が多いことが分かっていて、そのデータを納得がいくというか、エビデンスのあるデータを集めるのに非常に苦労しています。がん循環器病予防センターのビッグデータの解析とか、地区診断とか国保のデータとか、様々な情報を集めてきています。
もう一度取組による成果に戻りますが、ここは眼科と病院と薬局がすごく連携しているところでして、病院がまず定期的な眼科受診勧奨ということで、これを処方箋等に印字します。薬局が受診勧奨カードを配布して、取組による成果の所なのですが、配布したのを眼科受診した所で受け取っており、回収しています。薬局で3,329人に配布して、眼科で276人から回収しているということで、こういう成果を見えるような形で出すように工夫しています。
この工夫を出していただいたのは、推進要因の2番目になりますが、医師会の先生が単にポスターだけでは効果が薄いので、具体的に活動を評価できるようにできないかというアドバイスをして、事務局も考えて、眼科だったらそんなに管内に多くはないので協力を得られるのではないかということで、この事業を開始しています。医師会、薬剤師会、PRに商工会議所等が協力して展開しております。
7ページは課題の明確化ということで、都道府県と二次医療圏とが協力した事例です。都道府県が「健康経営事業所」を認定するという枠組みを作り、それを活用して二次医療圏域でも取組を進めています。取組による成果では、その登録事業所が増え、認定事業所も増えています。さらに、事業所訪問を行って、具体的にどのような取組をしたらよいのかをアドバイスしています。
こちらも推進要因としては、管内事業所の実態把握、県の枠組みを使って活動している、県と連動した活動をしているところが大きいと思います。また、好事例の横展開と、事業所がどんどん増えてくるときには、市町村が事業に協力してくれて実施できるという枠組みになっております。
8ページの事例ですが、こちらは皆さんも御存じかと思います。「パパ、ちゃんと寝てる?」というキャッチフレーズで有名になった自殺予防対策ですが、これはポスター等によるポピュレーションアプローチと、主治医への照会ということでのハイリスクアプローチを組み合わせたものを県がしっかり作って、それを地域・職域連携の事業の枠の中で展開しているということです。
取組が進んだ要因としては、やはり県の枠組みを地域としてしっかり活用したということ。この地域は、早い段階から地域・職域連携に取り組んでいて、調査等もしっかりしていて課題が明確であったということ。この市独自で職域の健康づくりネットワークを持っており、そういったところを活用しながら展開したところが強みかなと思っています。
9ページです。赤字で書かせていただいた推進要因をまとめてみますと、まずは都道府県による事業展開を可能にする場とか条件とか、事業の設定というところがあるかと思います。やはり、健康増進計画が基盤であることを忘れてはいけないと思います。それからデータ分析です。データ分析はそれぞれの所で苦労されておりますが、根拠があってそれがインパクトのあるデータとなり、皆様の御協力を生むきっかけになっていましたし、評価の糧ともなっていました。それから、産業保健の実態把握ということで、事業所を訪問したり、関係機関を訪問したりという事務局の努力や調査も活用しておりました。協力機関・キーパーソンの活用も重要と思われます。市町村が実際に事業を展開していく際には、やはり市町村が協力をしていくことが重要でして、こちらも要因として挙がります。それから、目標を掲げるとか、具体的な数値を掲げる等成果が見えるような工夫をしていました。
最後になりますが、「事務局の体制整備」と書かせていただいておりますが、こちらが非常に重要かと思います。事務局は、時々に応じて何年かに1回担当者が代わることは致し方ないことだと思います。その申し送りと共に、まずは事務局担当者がしっかりと事業所に出向いて、あるいは関係機関に出向いて実態を知る、ニーズを知ることが非常に重要かと思います。その上で庁内連携ができていって、活動目標がしっかり立っていくのかなと思いました。以上です。
○津下座長 ありがとうございました。荒木田先生には膨大なフィールドワークや調査の結果から、地域・職域連携の推進要因についてレベルごとにおまとめいただきました。御質問等がありましたら、いかがでしょうか。
○経済産業省ヘルスケア産業課長 オブザーバーの立場ですみません。途中で抜けなければいけないものですから、質問と半分は御紹介のようなものをさせていただきます。質問は、私が先ほど申し上げた地域・職域連携推進をするに当たって、官であるか民であるかは問わず、社会福祉の関係者と商工労働の関係者の連携が大事かなということを、ふだん安藤課長とか、いろいろと厚労省とは話をさせていただいて、例えば地方の出先でも経済産業局と厚生労働省の出先とで連携して、いろいろとやっていきましょうというような話をよくやっているのです。
思い付きなのですが、市町村とか都道府県にしてみると、例えば農業行政をやっている人がいる、担い手がいない、これからどんどん高齢化していく。長くしっかりと働いてもらうと、地域の農業も栄える。そうしたときに、健康状態というのは非常に大きな課題になるわけですが、そうしたところで社会福祉の部門の方と農業部門の方が一緒になって、win-winの関係になるわけですが、そういうのがいいなと思ったり議論をしたりしているのですが、先生がいろいろ見られていて、県とか市町村と言っても、その中の縦割りと言うか、当然セクションごとの役割があるのですが、セクションを崩すことについてはどのように思われるか。そういういい例があるか、また論理的にはいいのだけれどもそんなに進んでいないということなのか。少し示唆いただければと思います。
○荒木田参考人 地域保健と商業関係というところだと思うのですが、今具体的に挙げていただいた農業団体というところでは、実を言いますと、JAとの連携は非常に大きいかなと思います。
具体的には、JAとは特定健診の受診率向上だとか、保健指導のところ、さらにその後の生活習慣病予防というところで関係しておりますし、またJAからも発信していて、健康的な食事づくりだとか、そういうようなところからも発信していただいているということで、これはあり得ると言うか、実際にもう展開しておりますし、大いに強めていく必要があるところかなと思います。
○津下座長 今の御質問に関連してなのですが、例えばこの都道府県の協議会とか、自治体といったときに、衛生部局だけではなく例えば産業労働部局の方も参加しているような例とか、または直接衛生部局が事業所とコミュニケーションしているのか。コミュニケーションの際に自治体の産業労働部局などが一緒になって動いているのか、その辺りはいかがでしょうか。
○荒木田参考人 まず、県の労働局だとか労働基準監督署に入っていただく際にすごく有効なのは、説明会等で時間を取っていただいて、今このような所で地域・職域連携を展開しているから協力してほしいと土台作りをしておいた上で入らせていただくというのが、すごく重要かなと思います。そういう土台作りをしておいていただくと、先ほど言ったデータを取るというところで、小規模事業所に向けた調査だとかをしたときに、回収率が高まるということもあります。
また、事業所訪問をされる際には、地産保センターと一緒に行っていただくと、またどちらも情報を持つことになりますし、どちらのPRにもなるということで、これはどちらにとってもいいことかなと思います。
ですから、保健所が核になって市町村も連れて行く、そして地産保センターにも入っていただくといった中で、事業所訪問とかをしていくと効果的なのかなと思います。
○武林構成員 非常にうまく整理していただきましてありがとうございます。今のことと少し重なるのですが、最後にまとめていただいている「推進要因」という表が、今後を考える上で非常に大事だと思っています。この中で「産業保健の実態把握」ということがありますが、これは実際を考えると、意外に把握というのは難しいのではないかと思っております。
この都道府県レベルあるいは二次医療圏レベルの中で、具体的にはどういう主体があり、どういう手法でというのが、何か共通なものがあるのか、あるいはかなり地域によってばらついているのか。この辺について、具体的にはどのような形で把握されているのでしょうか。
○荒木田参考人 まず具体的に入る前に、事務局が産業保健の仕組みを知るということが重要でして、どういう法体系になっているのかとか、そういったところをまずは勉強するというところからあって、その勉強があった上で、関係機関からニーズを聴取するということが必要かなと思います。
それぞれの関係機関が、うちは糖尿病が多くてとか、うちは健診の受診率が低くてとか、いろいろな所によってニーズが違うのですが、そのニーズを聞き取ってきて調整をした上で、それから事業所に入っていく。事業所訪問とか事業所に対する調査というのも、焦点を絞らなければいけないので、まずは事務局の勉強と、関係機関のニーズ把握をした上で、がんに絞るのかとか、特定健診に絞るのかとか、そういったところを決めて調査に入ったり訪問に入るという手順がいいのではないかと思います。
○武林構成員 要するに具体的な目標があったほうが入りやすいということですね。
○荒木田参考人 はい。
○武林構成員 もう一点だけ教えていただきたいのですが、同じ分け方の中で、「市町村との協働」というように書いてありますが、実際に市町村を考えると、いわゆる地域保健、健康を担当している課と国保を担当している課というのは通常は違う所だと思うのですが、実際にはどちらがより主体的に協働の中のプレイヤーになっているのかというのは、何かございますでしょうか。
○荒木田参考人 国保のほうでは、まずはデータを提供していただくというところが重要かと思います。でも、健康作りとして動けるのは衛生部門かなというように思いますので、そちらが展開していくときには大きいかなと思います。
○藤内構成員 この9ページの推進要因のまとめの中で、「キーパーソンの活用」を挙げられています。先ほどの報告でも、地域・職域の課題の1つに、こういうキーパーソンなりアドバイザーの不足というのを挙げられていたのですが、今回荒木田先生が紹介した事例の中では、長年にわたってこの地域・職域連携に関わっておられる方が、今いろいろな事例ではキーパーソンになっておられるのですが、行政の場合は2、3年で交替というところがどうしてもネックになるのですが、もちろんたまたま長く関わっていらっしゃる方がいる地域はいいのですが、そうではない場合に、やはり行政がキーパーソンとしての役割を果たす上でのポイントみたいなものがあれば教えていただきたいのですが。
○荒木田参考人 行政がキーパーソンの役割を果たすということですね。
○藤内構成員 もっと言えば、2、3年で交替する行政が、きちんとその役割を果たすためには何が必要なのか。
○荒木田参考人 キーパーソンになるかどうか分からないのですが、行政が役割を果たすために何が必要かと言われますと、やはり文章化した中期計画だと思っております。そういったものを残しておいていただくとか、健康増進計画などにしっかりと位置付けておくとか、そういうものがないと忘れられてしまったり、根拠が明確でなくなったりするので、それが何より重要かなというように思います。
○渡辺構成員 これは最後に推進要因がまとめられていますが、その前のレベル2、レベル3の各要因を見ますと、課題ごとに推進要因が違っているようですが、共通ということはなくて、それぞれ違うということなのでしょうか。
○荒木田参考人 実は、こちらはまだ13事例の分析だけですので、このレベルで必ずこれが必要ということは言えなくて、レベルごとにということでは言えません。今、私が思っているのは、都道府県の仕組み作りというところは、これは始めるときにも活用できるし、表彰制度とかポイント制度というのを作っておいていただければ、事業を具体的に展開するときにも使えるということで、これらは全ての段階においていろいろな形で使えるのかなと思っております。キーパーソンの活用については、始めるときには非常に重要な役割を果たしているかと思いますので、そういったところはあるかと思います。
データの活用、分析なのですが、こちらは初めの段階で結構必要なのかなと思います。ただ、データの分析がしっかりしていないと協議会が乗らないかというとそうでもないのですが、データの分析がしっかりしていると、評価指標ができたりしますので、継続的につながっていく、発展につながるということで、やはり初めの段階にデータの分析などがきちんとできているということは、やはり大きな推進要因になるのかなと思います。レベルごとにきちんとは言えません。申し訳ありません。
○渡辺構成員 今のところレベル3の事例はないのですね。
○荒木田参考人 まだないかと言うと、そうでもないと思っております。非常に大きな市町村とか。私の個人的な意見としては、横浜市など自分の所で仕組みを作ってやっているという所はあると思いますが、現段階ではレベル3までいくかどうかというところも検討が必要なので、今回は入れておりません。
○渡辺構成員 先ほどの産業保健のほうの実態調査ということで、私どもは地域産業保健センターを持っており、対象は50人未満の小規模事業場なのですが、実際には相談がこないと行きません。相談にくるのは、推定ですが対象事業場の1割以下です。まず健診をやっているかどうかも分からないし、事後措置もちゃんとやっていないというのがほとんどです。先ほど荒木田先生が言われたように、労働基準監督署が一言言うと、急に相談件数が増えてきますので、非常に効果があるのではないかと思います。
○津下座長 ありがとうございました。たくさん御意見を頂きまして、既に(2)の「本検討会における論点について」にかなり入ってきているのかなと思いますので、議題(2)に移りたいと思います。
資料5になりますが、「本検討会における論点」を御覧いただきまして、前回はⅠ.基本的な方向性、Ⅱ.具体的な論点の(1)まで議論いたしましたので、これから(2)の地域・職域連携による取組の促進について、また(3)の連携協議会に求められる機能についてということで、この資料5の論点を基に、フリーで御意見を頂きたいと思います。先ほど荒木田先生に御紹介いただいたことや、厚生労働省の最初の課題というのがあって、それに対する対応策というのが呼応しているようにも見えておりますので、この論点の中で取り組むべき方向性の明確化、データの収集・分析、具体的な取組を実施するための必要なリソースの確保、地域・職域連携の必要性・有用性の周知、これらの項目が挙がっております。また、(3)の連携協議会に求められる機能として、1役割の明確化等を通じた関係者の一層の連携強化、2効果的な取組を進めるための評価。先ほどの事例でも、最初から評価指標を決めておくことが重要ではないかというようなお話もありました。この辺りについて、今から各構成員から御意見を頂きたいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
○漆原構成員 まずは、3ページの(3)の1つ前の「地域・職域連携の必要性・有用性の周知」が重要であると考えておりまして、これが効果的でないと、会議の設置や運営にも影響すると思います。
産業保健の中でも二極化がみられるのではないでしょうか。先ほどの経産省の発表にあったように、できる所というのは単独で、地域と連携しなくてもできてしまっており、そういった所は地域との連携の有用性やニーズをどこまで重要と考えているのか、ということがある一方で、また本日御発表いただいた協会けんぽのように、単独でも活動をやっていない企業は本当に興味がなかったり、そもそも何が連携できるのかということが周知されていないのではないでしょうか。そういう企業には、その有用性をどう周知していくのかというところが重要かと思っています。それがないと、情報共有までにも至らないと思います。
また、パートや派遣で働く人がそもそも健診を受けていないとか、提起されていたように、中小企業になかなか周知がされていないということも承知しています。御存じのとおり、産業医が選任されている50人以上の事業場でカバーできるのは、今働いている労働者の半分にも達していないという状況で、半分以上は産業医が選任されていない事業場となっています。
さらに、リソースの問題がありながら、「連携してできることはないか」といったときに、「情報を出し合って共有してから」と言う前に、「一般的なデータで読み取れる範囲内で連携することができないか」というようなアプローチでないと連携は難しいのでは、と感じているところです。荒木田先生の発表を伺って、そういう1つの分かりやすいテーマ、例えば高血圧の対策などについて、事業場の社員食堂を減塩にするといったことであれば簡単に取り組めるので、シングルイシュー的に分かりやすいところからいくと、やりやすいのではないかと思ったところです。
○津下座長 連合の立場から漆原委員より、今まで動けていない所に第一歩を踏み出していただくための分かりやすさ、テーマ設定についてお話がありました。ほかにいかがでしょうか。
○小玉構成員 これからガイドラインの改訂に向かうときに大事なのは、これから地域・職域連携推進協議会に何の機能が求められるのかということだと思うのです。先ほど荒木田先生からの話があったように、各県で健康づくり運動を推進しているところですが、その健康づくり運動との連携が一番大事になってくるだろうと考えています。
したがって、(3)の1の役割の明確化等を通じた関係者の一層の連携強化、これをまず整理すべきではないかなと思いました。この中の1つとして、都道府県協議会と二次医療圏協議会の連携の在り方はどうあるべきか。これは、正にアドバイザーとかキーパーソンが、この中にどのようにして介在していくかということが挙げられると思います。
やはり、一番データ分析に詳しい公衆衛生学を専門とする教授でも講師でもいいのですが、その方に参画していただくということです。それから、都道府県協議会というのは大勢が参加しますので、WGでもいいのですが、できれば小委員会のようなものを作って、その中でデータ分析をしっかりとして、今後の取組の方向性を出していくということも必要なのではないかと思います。
○津下座長 ありがとうございます。どこに根拠を持っていくか。先ほど荒木田先生のお話の中で、担当者が代わるとトーンが落ちてしまう、そういったことのないようにきちんとした位置付けとか、目指すべき方向性ということも大事ですし、実際に動くにはデータの読み込みなど、ワーキングチームでしっかりともむことも重要だという御意見だったと思います。
○小松原構成員 先ほどの話と全く同じでして、まず分析から始めましょうというと、キーパーソンもいない中で、誰が分析するのかという壁にぶち当たってしまいます。また、その分析をするに当たってはデータが必要になってくるのですが、データ集めはどうしたらよいかという話になってしまい、なかなか最初の第一歩が踏み出せないのではないかと危惧しています。
先ほどの松下構成員の資料にもありましたように、職域同士でもデータの共有がなかなかできていなくて、特定健診のデータが事業主から保険者のほうに来ているのはわずか6.4%だということです。職域間ですら6.4%の中で、地域と職域がデータを共有するというのは、私は今の段階では不可能に近いのではないかと思っています。そういう意味では先ほどの話の中にあった、たばこや減塩、運動といった、どこの地域でも課題となるようなものをまず目標に掲げて、第一歩を踏み出すことが大事ではないかなと思います。確かにPDCAサイクルを回すのは重要なのですが、プランを作るためにデータ分析からと言ってしまうと、現状ではかなり足かせになってしまうのではないかと思います。
○津下座長 と言いますと、レベル1からレベル2と言うか、まずお互いにやっていきましょうといったときに、具体的に関心度の高そうなことから始める。それは調査ではなくて聞き取りとか、そういうニーズ把握は必要なのかなとは思いますが。
○小松原構成員 確かにニーズ把握も必要だとは思いますが、たばこ対策は国策で進んでいるので、これはどこの地域でも必ず手をつけてもいいと思います。また、スポーツ庁のFUN+WALK PROJECTといった施策が回っているのであればそういうものに乗っかって、まずは始めてみるということが大事ではないかと思います。
○古井座長代理 私から2点コメントさせていただきます。今、小玉先生からお話があったのですが、我々は静岡県・市町と県内の郡市医師会との地域・職域連携の協働の取組を支援していまして、現段階は連携して取り組むレベル2の取組だと思うのですが、これの起点として、データヘルス計画で可視化された健康課題の共有というのが重要な要素の1つだということを伺いました。これは先ほど荒木田先生がおっしゃった健康課題が関係者間で共有されますと、その課題を解決するという目標、評価指標が関係機関と自治体と一緒に立てられるという様子を伺っています。
特に地域性が高い中小企業の働き盛り世代をカバーしている協会けんぽから、今静岡県内の住所地別のマップを提示いただいていまして、これを国保のデータヘルス計画に加えることで、先ほど松下先生からお話があったのですが、例えば伊豆半島は今まで糖尿病予防をものすごく一生懸命やっているのですが、実は若年層から血圧が高いということが分かりまして、今保健事業の組み立てを改めて検討されています。
現在、データヘルスのポータルサイトには健保組合がほぼ100%、協会けんぽの4都道府県支部に導入されていますので、今後の健康課題の共有というのが進めやすい環境が整いつつあるのだと思います。小松原先生からもありましたが、まだ保険者横断の仕組みになっていませんので、これは地域・職域を含めて連携をしていくといいのではないかと感じています。
もう1つは、先ほど西川課長からもあったのですが、人材が本当に大事だと思います。先ほどあった健康経営のエキスパートアドバイザーの研修というのが今年から始まっているのですが、これは今までどちらかと言うと産業医の先生とか、産保センターにつなぐということをすごく重視していたのですが、それに加えて今年から地域・職域の連携の取組であったり、その地域、職場の健康課題の事例を我々は協会けんぽとか県のデータからピックアップして、教育素材として使わせていただいています。したがって、人材の育成と連携の推進が、相乗性を持った取組になっていくのではないかと感じております。以上です。
○津下座長 ありがとうございます。
○松岡構成員 国保中央会の松岡でございます。先生のお話と重なるところが1点ございます。データヘルス計画については、保険者の方で第2期データヘルス計画を策定して実施しております。実際のところ、既に保険者協議会と地域・職域連携推進協議会でそういったことも見ておられるかもしれませんが、各保険者で作っているデータヘルス計画では、いろいろ、指標を設定したり課題を出したりしていますので、そういったものも見ていただきながら、課題を抽出したり、どういうことをやっていけばいいのかということも、この協議会の中でまたお考えいただければ良いのではないかと思います。
それからもう一点、保険者の集まりとして保険者協議会というものが各都道府県にあります。この活動としては、平成30年度から特に都道府県がイニシアティブを取って、保険者の義務である特定健診の取組とか保険者横断的な医療費の分析等々をやっていくということをしております。この取組については日本健康会議の宣言3にも位置付けられています。こういうことで保険者協議会という保険者サイドでの集まりがありますので、こことの連携をうまく考えていっていただければと思います。その中でやっていくと、また地域・職域連携推進協議会のパワーアップにもつながるのかなと思います。
それからもう一点。データの話でしたが、国保データベースでは国保の都道府県単位の分析ができるようになって機能が充実しつつございますが、その中でもう一点、二次医療圏単位のデータ分析といったこともできますので、二次医療圏の協議会などでやるとき、これは国保に限っているということで限界はあろうかと思いますけれども、そういったことでも御活用いただけるのではないかと思います。以上です。
○津下座長 ありがとうございます。
○藤内構成員 今、データの分析、つまり課題を明確にするところからPDCAサイクルを始めるのではなくて、逆に、実際にテーマを決めてDOのところからやったらどうかという提案を頂いて、すごく大事なことだと思います。最初のデータ解析に時間を取りすぎて、それは確かに重要なことではあるのですが、それにはまってしまっても次に進まないことも少なくありません。先ほど協会けんぽから支部ごと、あるいは業種ごとにも、そういう特定健診の結果とかの分析が既に出来ているということですので、こうしたものを地域の中で、それこそ行政が事務局としてそういうデータを分かりやすい形でしっかりとフィードバックすることによって、地域の関係者に、まず、地域には、あるいは、この業種にはこういう課題がありますよねということを提示して、そこからスタートできるのではないかと思います。そして確かに、今、どうなのかという現状把握は重要なのですが、取組が始まってきて、こういう取組の効果があるかどうかを確認する意味で、実態の把握といいますか、中小の事業所も含めて、実際に調査をさせていただくというのもありかなと思います。調査が最初にありきというのは、なかなか難しいかなと思います。
○津下座長 ありがとうございます。非常に貴重な御意見を頂きました。確かにデータは必要なのだけれども、だから、既存のデータで地域の状態が、地域側のデータ、職域側のデータ、KDBや協会けんぽさんの支部別データなど、そういう既存のデータを見ながら考える、ブレインストーミングの素材に使うというのはできそうですよね。
○小松原構成員 少し補足をさせていただきますと、我々健保組合がデータヘルス計画を先行して実施したわけですが、最初に分析から入った所はそこで手一杯になってしまって、先の事業に行き着いていないというのが実態です。いろいろな分析をして風呂敷を広げすぎてしまい、次に行けないという形なのです。PDCAサイクルは大事だと思うのですが、私が健保組合に言ったのはCAPDサイクルと言いまして、まず事業のチェック、棚卸しからしてみましょうということで、実施している事業を1回見直してくださいということを伝えました。分析から始めず棚卸しができた所は第2期にすんなり行けたのですが、先にいろいろな分析をやってしまった所は、その分析疲れという形で次に行けないという現状がありますので、私は多分、地域・職域の所でも同じようなことが起きるのではないかと思います。
○津下座長 ありがとうございます。データ分析も、例えば喫煙とか、何かテーマを絞ってその視点で分析をするということが大切で、膨大なデータがあるからそこから分析というよりも、視点を絞って地域と職域のデータを、もう一度その視点で見てみようとか、と考えることが必要と思います。データの海に溺れなくて済むために、目的を持ってデータを見ていくということが必要なのかなということですね。そのときにKDBとか協会けんぽのデータなどが非常に有用なツールにもなるし、必要に応じて更に調査を加えた事例が先ほど御紹介されていましたけれども、必要があるならば、その先に行けるのではないかと思います。いかがでしょうか。
○小玉構成員 ちょっとよろしいですか。
○津下座長 はい。
○小玉構成員 私は秋田県の医師会長も兼ねているので、その立場でちょっと発言させていただきたいのですけれども。みんな、いろいろな協議会があって、全てが予防、健康づくり、それが見えたわけですよね。それをどうやってつなげるかというのは、私も非常に難儀しているところなのです。特に、私は健康づくり運動の協議会の会長を務めているのですけれども、その中に全部包含されるのではないかというような感じはしています。その中で地域・職域連携推進協議会がどのような役割をするかという議論をしておかないと、幾ら取り組んでも、いわゆる隠れてしまう可能性があるだろうと、かすんでしまう可能性があると。その辺も、やはり議論していかなければいけないのではないかと。先ほど経産省の西川課長からも次世代ヘルスケア産業協議会というのを立上げ、これもまた同じような取組をするわけですね。行き着くところは違うのだけれども目標は同じなので、いろいろなものが立ち上がってしまって、いわゆる受ける側が見えなくなる可能性があるということなので、その辺をしっかり整理したほうがよろしいのかなと思いました。
○津下座長 ありがとうございます。
○焔硝岩構成員 実際に現場でさせていただいている立場からですけれども、以前に県庁で健康づくりのことをやっておりました。そのときに3年間の重点事業として健康教育の媒体なども作成し、モデル事業所に入らせていただいて事業もやりました。事業はやったのですけれども、結局、3年間という期限の中で予算も3年というように縛られていたこともあって、その予算が終わってしまうと、その勢いが落ちてしまい、次につながらなかったというところが課題だと思いました。
もう1つは、つながらなかったといったところでは荒木田先生のお話にもありましたがキーパーソンといったところで、中心的な人がどう展開していくかということで、現在、今の所属でも、地域・職域を担当して2年目になるのですが、実際に今、取り組んでいる事業所、一体、どこまでやるのかとか、どのように展開すればいいのか、2年目はどうすればいいのかといったところも悩んでいるところです。何かうまいモデルケース、特に、行政ですと担当が大体3年ぐらいで異動してしまうということもあるので、1年目、2年目、3年目、もし2年目で代わった場合には次の人が2年目から引き継げるような、そういった、何かモデルケースのようなものが紹介いただけると、また少しつながるのではないかと感じたところです。
○津下座長 ありがとうございます。リレーのバトンタッチといいますか、それが非常にうまく進んでいけばいいのですけれども、バトンタッチに失敗してバトンを取り落として元に戻ってしまったりとか、そういうことだと、ほかの参加者が、ああ、また同じことをやっているのよねというようになってしまう。先ほどの課題にも関係すると思うのですけれども、担当者が迷わないような仕組みが必要ということですね。その中で事例集も、どこどこ町がどうという、何か、町の特殊な事情に引っ張られるのではなくて、先ほど荒木田先生がおっしゃったようなルールとか、どう進めるかみたいな、そういうものが必要ということでしょうか。ありがとうございます。
○矢内構成員 先ほどデータに溺れるというような話があったのですけれども、企業側とすると調査疲れみたいなものもありまして、本当に各省庁から、地方自治体から、いろいろな調査とか表彰制度がありまして、同じようなことを何度も何度も振り返るとか、ちょっと微妙に角度を変えて答えなければいけないというようなところがありますので、評価指標などを固めるときに、そういった本当に軸となる考え方のようなものがあって、職域ではこういうことをキーにすれば非常に効果的だというようなものが見えて整理されていくと、先ほど小玉先生のお話にもありましたが、そうなってくると非常に助かるなと感じました。
○渡辺構成員 先ほどからいろいろお話を伺いましたけれども、やはり地域・職域連携におけるキーパーソンは各自治体、県とか市町村がならないと駄目だと思うのです。そこでしっかり計画を立てながら、いろいろな団体と協議をしていくと。確かに担当者は3年ぐらいで代わってしまうということですけれども、きちんとした計画さえ出来れば大丈夫ではないかと思うのです。
そこでキーワードとして、私は、先ほど経済産業省の方がおっしゃったように、健康経営というのは現在のはやりでもありますし、良いのではないかと思います。私は横浜市にいますが、横浜市も今年が4年目になりますが健康経営の認証をもっています。ここに表紙だけ持ってきたのですけれども、今年度横浜市からの、是非、連携したいという申出がありました。認証制度で優秀とされる事業場には中小企業も入っていまして、実際に従業員が5人とか少ない所もあります。そこで横浜市は今年度、募集の要項に、産業保健総合支援センターに、例えばメンタルヘルス対策やその他の産業保健に関する事を事前に相談すればポイントがもらえるという項目入れたいと希望しています。私どもも、このような連携は大歓迎で、前回の会議で提案した健診後の事後措置だけではなく、普段からの取り組みにおいても地域(市)と連携できるかなと考えています。
○津下座長 ありがとうございます。
○真鍋構成員 私は県とか市郡地区の地域・職域連携推進協議会にも参加させてもらったことがあって、皆さんが言っていることとちょっと重複するかもしれないのですけれども、モデルケースは私もとても大事だと思っています。
表現の方法なのだけれども、モデルケースとかにすると書くと、結局、真面目に取り組もうとしている所は、「じゃ、うちはどうなのか分析しよう」と言って中途半端な分析で1年が終わってしまうというケースは結構多いのです。なので、恐らく、支援が不十分な層の困りごとはこういうものであると10個ぐらいのものを出して、モデルケースというか、ヒント集みたいなものを出して、この中からも選んでくださいと。どれをやるかの優先順位とか何個やるかとかというのは各地域で選べるのだけれども、極めて突飛な所でない限りは、きっと不十分な、これが困っているはずですというようなものを御提示してあげて、なるべく早く施策に結び付けるようなのがこのステージなのかなと思っています。それとは別の仕組みとか、若しくは中央の皆さんとかの中でデータの分析とかデータの横のつなぎとかは粛々と進めていって、それがどこかで使えるようにコラボできるというのがその次のステップになるのかなと感じたりしています。私からは以上です。
○津下座長 ありがとうございます。段階的に、今やれることは何かということと、将来的にもっといろいろなデータインフラが整ってきたらこんなこともやれるのではないかと進めるようにしていく。先行的な所はこんな次の段階があるのだという見せ方もあるし、大事なことはステップ1というか、そこを少しでも上げていく方策の具体的なチェックリストなどを示すという御提案だったかと思います。齋藤構成員は、何か、聞かれていてありますでしょうか。
○齋藤構成員 先ほど地域全体の健康課題の把握の部分について、古井先生からの御提案にもありましたそれぞれのデータヘルス計画を基に協議会の健康課題を把握するということは有効な手段かと感じました。また,それらを活用する場合、協議会において,それらを活用した健康課題のまとめ方や、評価の仕方などを明示するということも必要かと感じました。
具体的な取組を実施するための必要なリソースの確保のうち各機関が保有する資源、取組の共有については、例えば職域の健康づくりに、地域の資源である地域の健康づくり推進員などの地域資源を活用したり地域の健康づくりの活動の場として職域の会議室を地域住民が活用できるなどお互い補完できるしくみができるとよいかと思っております。そのためには、地域資源の中で職域で使える情報、職域の中で地域に提供できる資源の情報を共有していけるよう活用できる資源の一覧表を共同で作成しいつでも見られるオンラインシステムなどの検討も必要かと思います。
○津下座長 ありがとうございます。構成員の皆様方から今後の具体的な取組促進に向けての御意見を頂き、また、協議会に求められる機能として、役割の明確化、構成員の役割などについても御意見を頂いたところですが、事務局側から、この論点でもう少しここのところの御意見が欲しいなとか、何か、今までのお話の中で確認しておきたいようなことがございましたら、いかがでしょうか。
○健康課長 ありがとうございました。今日は非常にたくさんの御意見を頂きまして、それを次の会議に結び付けていきたいと思うのですけれども、二次医療圏の課題というところで、もし御経験されていて、連携とか、取組の強化とか、二次医療圏について、もし御意見がございましたら何点か示唆いただければ大変助かります。
○津下座長 二次医療圏でステップアップさせるための具体的な方策のアイディアなど、いかがでしょうか。焔硝岩構成員から先ほど二次医療圏の話も出たわけですけれども、こうしたら進むのに、逆に言うと、進まない課題をつぶしていかないと、「うまくいっている自治体はやっているよね」になってしまうので、全国どこでも進んでいくために、進まないところ、どこをつぶすのが一番重要だとお考えでしょうか。
○焔硝岩構成員 地域・職域ともですし、食育も担当しているのですが、いずれもなのですが、行政、我々の県の組織、保健所の管轄部門と、例えば医師会さんであるとか、あるいはJAさんの管轄エリアが行政組織の再編によってずれてしまっているのです。そういったところがなかなか、集まっていただくにも、保健所だけのことを考えてしまうと、ほかの組織は自分の対象のエリアが外れているといったところもあったりして。その辺りも課題であると感じています。
○齋藤構成員 二次医療圏の立場から意見を出させていただきます。県の協議会がまず方向性を出して、それと連動する、又は同じ方向で二次医療圏の事業を実施していくというのが理想的であると考えるのですが、実際にはなかなかそのようになっている自治体ばかりではないと思います。都道府県協議会との連携が十分進んでいない二次医療圏もある現状の中では、まず情報を共有化する、そして、二次医療圏の中で、先進的に取り組んでいる内容を全部の医療圏に拡大していけるよう、都道府県の協議会が牽引していっていただくということが大切なのかと思います。
○津下座長 ありがとうございます。
○藤内構成員 1回目でも少し紹介させていただいたのですが、大分県は県のこの協議会にそれぞれの二次医療圏ごとの協議会のメンバーにも出席していただいていますので、そこで県の協議会が何を目指しているのかということも確認できますし、逆に、今おっしゃられた、二次医療圏の中でユニークな取組とか、少し先進的な取組の横展開もできるということは、県の協議会に二次医療圏の協議会のメンバーの代表的な人が入る意義だと思います。
それからもう1つ。先ほど協会けんぽでも支部や業種ごとに、それぞれ健診データを分析して返しているのですが、それが、二次医療圏ごととか、あるいはもっと言えば、市町村ごととかに出していただくと、既存のデータで二次医療圏の協議会で地域の課題を確認することもできます。二次医療圏ごとで何か出せるような、そういう工夫も、協会けんぽであったり、KDBであったり、そうしたところも一緒に取り組んでいただけるといいなと思います。
○津下座長 ちょっとお伺いしたいのですけれども、都道府県協議会に二次医療圏の事務局の方がメンバーとして入っている、事務局の方が構成員として入っているということでしょうか。それとも傍聴ですか。
○藤内構成員 いや、構成員として各保健所の地域・職域担当者が入っているということです。
○津下座長 これが傍聴している所と、傍聴もしていなくて、保健所代表とか、そういう形で出ていて、ここのつながりが希薄な都道府県があったりするのかなと思うので、その構成員のことやこの二次医療圏と都道府県協議会の間の矢印をどう有機的にしていくのか、都道府県協議会で出したのは都道府県の全体のデータが出てくる、又は地域別のデータが出てくる、それが二次医療圏でもその情報がそのまま活用できるとか、そのような工夫も非常に重要ではないかということです。これは事務局に伺いたいのですけれども、都道府県協議会と二次医療圏協議会の接続に関して、又は荒木田先生、その辺で、良い事例とか、何か御知見はありますでしょうか。
○荒木田参考人 うまく接続が出来ているという事例でしょうか。今、藤内構成員がおっしゃったように、まずは、県の協議会に各二次医療圏の協議会が出てきているとか、あるいは、出てきているだけではなくて、県の協議会が二次医療圏の協議会で何をやっているかというのをしっかり把握して一覧表にまとめているというような所が幾つかありまして、それはやはり重要なことかなと思います。先ほど、やはり県が主導してという意見もありましたけれども、主導かどうかは分からないのですが、何度も言いますが、県の増進計画というのは県として進めなければいけないところなので、やはり、そこが根拠にはなってくるのだろうとは思いますので、そことどう関連付けて各二次医療圏の取組を県がうまく説明していくかというところで、ある程度整理ができるのかなとは思いました。
○津下座長 もう1つ、逆に二次医療圏の協議会をされるときに都道府県の事務局の担当の方が出られているかどうか、この辺りはいかがですか。
○荒木田参考人 全部ではないのですけれども幾つかでは確かに、幾つか回らせていただいた所では、都道府県の方が参加してくれている。ただ、委員になっている所もあれば、傍聴という所もありますけれども、参加しているという所はありまして、そこでは県の動きを報告しているという活動はありますので、それはそれでしっかり役割として位置付いているのかなと思いました。
○津下座長 ありがとうございます。今日、様々な御意見を頂きまして、お時間も随分迫ってきました。本日御発言いただいた内容以外に、又はそれを深掘りした御意見など、論点案への御意見がありましたら、検討会終了後でも結構ですので、事務局へお伝えいただければと思います。
次回の検討会については、地域・職域連携推進ガイドラインの改訂骨子(案)と検討会報告書骨子(案)について議論する予定となっておりますが、本検討会の下に作業部会を設置した上で、本検討会で更に議論してはどうかということで、この全体の検討会の下に作業部会を設置させていただけないかということですが、このことについて御意見、いかがでしょうか。より具体的な記述に入っていかないといけないということで、作業部会を設置することについて御了承いただいたということでよろしいでしょうか。また、開催する場合、この作業部会のメンバー及び検討内容につきましては、座長及び健康局長に一任していただくということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。それでは、次回検討会までに作業部会を開催し、ガイドラインの改訂作業を行うことといたしたいと思います。それでは最後に事務局より連絡事項をお願いいたします。
○保健指導室長 本日は長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。次回検討会につきましては、7月1日を予定しております。場所等詳細につきましては、別途御連絡をさせていただきます。事務局からは以上となります。
○津下座長 それでは、第3回の検討会は以上をもちまして終了とさせていただきます。本日はたくさんの御意見を頂きました。また、協会けんぽの松下構成員、荒木田参考人には詳細な報告を頂きまして、ありがとうございました。これで終了したいと思います。

 

 

 

(了)

健康局健康課 保健指導室
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