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2019年4月18日 第2回 これからの地域・職域連携推進の在り方に関する検討会

健康局健康課

○日時

平成31年4月18日(木)10:00~12:00

 

○場所

厚生労働省専用第22 会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

 

○議題

1 地域・職域連携における現状と課題について
2 本検討会における論点について
3 その他

○議事

○保健指導室長 定刻になりましたので、ただいまより第2回これからの地域・職域連携推進の在り方に関する検討会を開催いたします。
議事に入ります前に、構成員の交替がございましたので御紹介させていただきます。日本商工会議所企画調査部課長鶴岡雄司構成員です。
○鶴岡構成員 日本商工会議所の鶴岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○保健指導室長 また、前回第1回の検討会に所要のため御欠席でした慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教授武林亨構成員です。
○武林構成員 どうぞよろしくお願いいたします。
○保健指導室長 本日、日本医師会常任理事小玉構成員が御都合により御欠席されており、日本医師会常任理事釜萢敏様に代理出席いただいております。
○釜萢構成員 よろしくお願いいたします。
○保健指導室長 事務局にも人事異動がありましたので御紹介いたします。健康局健康課地域保健室長の主藤です。
○地域保健室長 主藤でございます。よろしくお願いいたします。
○保健指導室長 なお、健康局長につきましては、本日ほかの用務のため、途中退席をさせていただきます。
本日の議事の進行に当たりお願いを申し上げます。厚生労働省では省全体の取組としまして、審議会、検討会などでペーパーレス化を進めているところです。本日はこれに伴い、構成員の皆様にもお手元のタブレットにて資料を御覧いただきたく思います。資料につきましては、現在タブレット画面の資料1~8が格納されております。御確認ください。タブレットの操作方法ですが、お手元にペーパーレス審議会等のタブレット操作説明書というカラー刷りの紙が資料としてありますので、基本的な操作につきましてはそちらを御覧ください。操作方法など御不明な点がございましたら、事務局がお手伝いいたしますのでお知らせいただければと思います。
併せて、紙で配布しております資料についても御案内申し上げます。お手元には、議事次第、構成員名簿、座席表の3点についてお配りしております。また、構成員の皆様には、後ほど御報告いただきます渡辺構成員に御提供いただきました資料につきましても、机上配布とさせていただいております。そのほかの資料については、参考資料も含め、全てタブレットに格納しております。
それでは、以降の進行については津下座長にお願いいたします。
○津下座長 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。本日の議事は、地域・職域連携における現状と課題について、それから、本検討会における論点についてです。
まず、議題(1)地域・職域連携における現状と課題についてです。産業保健のお立場から真鍋構成員より御報告いただきます。よろしくお願いいたします。
○真鍋構成員 おはようございます。今、紹介していただきました真鍋と申します。私は三菱ケミカル株式会社で産業保健のお世話をしております。今日はよろしくお願いします。タブレットの資料を御覧いただきながら御説明させていただきたいと思うのですけれども、少し総論的になる部分もあろうかと思います。御容赦のほどお願いいたします。
2枚目の御報告項目の所ですが、1つ目は産業保健における健康づくりの取組状況として内容と課題です。2つ目として、アプローチしやすい対象としにくい対象です。3つ目として、地域側から職域側に提供できることです。私が職域側を代表してお話するのは大変おこがましいかと思うのですが、私の考えるところではこういうものがあるのではないかということを、少し御説明したいと思っております。
次のスライドです。1、産業保健における健康づくりの取組状況です。健康づくりの取組状況の内容は、改めて考えてみると極めて多種多様です。当然のことですけれども、業界、業種、企業規模や文化によって全く異なっており、恐らくの共通点は、当然ではありますが、職場における健康づくりの目的に合致したものだろうと思います。多種多様であるというところで、少し左に四角で囲んでいますように、それを状況の可視化をしたいというニーズが昨今高まってきていて、健康経営という考え方が出てきたり、健康会計という発想が出てきたりしたのだろうと私は考えています。
さて、その目的は5つほどに分けられると思っていて、あくまで企業と言うか職域側から見たら、その目的は法令遵守、リスクマネジメントです。これは疾病の予防であったり労災対策であったりです。それから健康の増進ですが、これは企業のブランドイメージもありますでしょうし、雇用の維持力とか採用力の担保、確保があるのだろうと思います。生産性や創造性の向上、就業人口層が比較的高齢化にシフトしているのは間違いない事実ですので、それに対する対策です。高齢化していくと、体力の平均レベルは低下していきますし、個人差が拡大していきますので、それを職場でどう安全に若しくは健康に働いていただくかということの対策をしていくことだろうと思っています。黒ポツの下へ行くほど、例えば企業健保、保険者との協働はしやすくなるのだろうと思っていて、コラボヘルスとか医療費の削減とかそうしたところは、黒ポツの下へ行くほど協働がしやすくなっているというような視点があろうかと思っています。
次のスライドです。私が考える大きく分けて5つの目的に、それぞれどういったものが当てはまるのか、重複というかクロスオーバーする所はあると思いますけれども、具体的な内容をお示ししてみました。法令遵守というのは、当然法律上の健康診断やストレスチェック、長時間労働者の健診です。リスクマネジメントの大きなものは特定健康診査や特定保健指導、それから企業が独自に取り組んでいるがん検診などが当てはまるのではないかと思います。健康増進の辺りから企業の文化であるとか考え方、コストをどう掛けていくかというところで、オリジナリティが出てくるのだろうと思っていますけれども、生活習慣の評価や改善プログラム、職場の受動喫煙対策などだと思います。生産性や創造性の向上というところからはプレゼンティズムをどう評価していくかであるとかでして、最近健康とか産業保健といったものがコミュニケーション力の向上、昔は例えば人材開発とか人事とかのセクションがやっていたものが、健康という視点でこのコミュニケーションをやっていこうということが、職域では比較的盛んになっているのではないかと思っています。それから、シニアベテラン層というか、そういうシニアの方々が働くということでいくと体力評価とか転倒災害は御承知のとおり労働災害の中では増えていっているものですし、発生分類では大きなウエイトを占めている部分ですので、こういった対策というのは職場では重要視されているのだろうと思っています。
今から数枚は私どもの例で大変恐縮ですけれども、当社の例をお示しします。コンセプトというスライドを御覧ください。当社は自分の健康を真ん中にして、職場の健康、家族と地域の健康、社会の健康を一緒に向上していきましょうということで、私どもは3つの健康と呼んでいますけれども、そういったコンセプトを作っています。そのアクションプランとして、健康支援をやる部分と働き方改革をする部分だろうということです。これは法律であるとか国の方向性とかということも含めながら、従業員にどう説明していくかというコンセプトですけれども、この2つのテーマに分けてアクションプランを考えています。それには、ICTやIoTを積極的に活用していこうということです。後ほど少し説明しますけれども、「i2 Healthcare」というように名前を付けて、これを従業員に展開しています。こうしたことをやっていくと、上の四角で囲んでいますコンプライアンスが向上したり、組織が活性化したり、生産性が向上したり、従業員の満足度が上がったりという評価がついてくるだろうと、結果がついてくるだろうというようなコンセプトです。
次のスライドです。当社の例、PDCAというものですが、詳しく説明するのはちょっと時間の都合で避けますけれども、ここで何を申し上げたかったかというと、コンセプトを作るのに比較的時間を掛けました。多分、この地域・職域の連携においても、コンセプトが脆弱であれば、ユーザーというか、それを見ている方々というのは機敏に反応しますので、やはり堅いコンセプトを作って、それに向けて何かアクションプランを考えていくということが必要なのではないかと考えています。
次のスライドです。当社の例、DOの具体的表示というのは、先ほど申しました健康支援の部分と働き方改革の部分の2つに分けて、それぞれどのようなことをやるかということを決めています。
次のスライドです。ICT活用、i2 Healthcareというのは、うちの従業員には、これは希望者になりますけれども、全員にウエアラブルデバイスを配って、あと会社の御自身のパソコンを立ち上げると何個かのステップがありますけれども、自分のマイページに飛んでいって、前日にどのぐらい寝たかとか、そのウエアラブルデバイスに格納されているデータが、自分の会社のパソコンに表示されます。そうすると自分の健康に目がいくということです。そういうもので、意識変容や行動変容が起こっていくようなことを期待して作っているものです。
次のスライドは、どの企業さんもきっと大きく対応しているところだと思いますけれども、うちの喫煙防止対策ということと、次のスライドですが、転倒災害の防止をしていこう、体力評価をしていこうということです。地域のほうでも、改めて体力の評価をしていこうというようなことは大きなニーズであると伺っていますけれども、こうしたことは我々の会社でもやっております。
次のスライド、課題です。これも非常に雑多なまとめ方で申し訳ないのですが、それぞれ5つの目的に近いところの課題を挙げてみました。例えば、法令遵守やリスクマネジメントというのは、制度管理とか費用対効果というのがなかなか難しかったり、これは全てに通じるのかもしれませんけれども、プロセス評価や改善が固定化しやすいところがあります。健康増進、生産性や創造性に関しては、短期的な効果確認がしにくいとか、アウトカム指標が限定的であったり、社外との比較がしにくいというようなことがあると思うので、もし地域・職域連携の中で1つのヒントがあるとするなら、その社外との比較やほかの業界との比較、当該地域全体の比較とかいうものの提案ができたりツールがあれば、職域側は比較的それには反応するのではないかという気がしています。
最後2枚のスライドは、アプローチしやすい対象、しにくい対象という図ですけれども、円の上半分は個人というか、個に目を向けており、円の下半分は組織に目を向けて、改めて少し整理をしてみました。職域というか企業が影響力を及ぼしやすいところ、もう少し乱暴に言うと強制力が発揮しやすいところというか、それは所属員があって籍社員がいて、被保険者がいて、ちょっとこれは健保とあえて混同していますけれども、被保険者がいて、被扶養者がいて、そうでない家族がいると。円の外に向かっていけばいくほど、影響力や強制力は少なくなっていくというわけです。前回のこの会議で、今まで影響力が及んでいなかった、若しくは光が当たっていなかった所に、光を当てていくことも大事なのではないかというお話があったと思いますけれども、そうであるなら、それはどこが影響力を出すのかということをきちんと論じないといけないと思っていて、そうであるとするなら、この同心円状のシェイマは時間軸を無視して書いていますけれども、影響力が及ぶときから何かをし始めて、その影響力が及んでいる間に、例えば意識変容や行動変容を起こしていくというような仕掛けというか、そういうコンセプトを作っておくということが大事なのかなと思っています。
最後のスライドです。提供しやすいものと、提供しにくいけれども職域データや地域データの統合後に効果が高いものとして、このように書かせていただきましたけれども、強制力を及ぼす及ぼさないという話ではなくて、自発的に参加するとか能動的に参加するというような仕組みの中のツール、仕組みカテゴリーのツールというのは、職域側から比較的簡単に提供しやすいと思っています。一方で、強制力のように仕組みの中に依存しているような方法論とか方式というのは、その仕組みが違えば提供することはできないのだと思いますが、これは当たり前のことですけれども、まずその提供しやすいものというのはソフト関係とかポピュレーションアプローチ、すなわち余り強制力とかがないようなものに関しては提供しやすいのではないかと考えています。
この10分の発表で私が申し上げたかったのは、影響力が及ばない、強制力がなかなか発揮しにくいというところは、発揮しやすい時期から、若しくは発揮しやすい組織が適切にやっていけばいいのではないかということと、もう1つは、職域側には職域が、企業が何かウインになるというか、何かメリットがあると思うものがないとやはり動きにくいと思うので、そういったことを言語化して、企業側に分かりやすく言語化して提供していくことが大事なのだろうと思っています。だから、コンセプトメイクは比較的大事だろうと思っています。雑多な報告ですけれども、私からは以上です。ありがとうございました。
○津下座長 ありがとうございました。全体像そして事例を踏まえて、大事なメッセージを御発表いただきました。数分お時間ありますので、もし御質問がありましたら受けたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
真鍋先生、時間軸の話と影響力のその場の効かせ方についてですが、やれることとやれないことを整理したらどうかということと受け止めればよろしいでしょうか。
○真鍋構成員 そうですね、ありがとうございます。すみません、分かりにくいですよね。それと、こうすれば影響力が発揮できるのだということを、もやっとしてではなくて、明確にお伝えしてあげたらいいのだろうと思っています。例えば、大きなデータが集まりやすいような仕組みが作れれば、そのデータとの比較ができますよと、そうすると、企業側は自分の立ち位置や今のポジションが分かるということです。それは極めて企業側にとっては福音というかメリットがあると思うので、こうやればもうかりますとか、こうやれば医療費が下がるというような即物的なことはなかなか直ちには難しいと思うのです。このようにすれば、お宅の企業の若しくは職域の立ち位置や現状のレベルが分かりますよというようなことも大事なのではないかと感じています。
○津下座長 よろしいでしょうか。あともう1つですけれども、産業保健が、例えば会社の工場とか支店とかが全国にあった場合に、働く人の健康に地域の健康状態が影響を及ぼしているなとか、そのようなことを感じられることはありますか。
○真鍋構成員 答えになるかどうか分かりませんけれども、私はかなり影響していると思っています。それは何ですかと言われたら、明確にすぐお答えできませんけれども。製造業の事業場は、比較的地方にあることが多いと思うのです。土地があって水があって、そこそこ人がいてという所です。そうすると、そこの企業の中で元気な従業員がいるとか、健康感が高い従業員がいる若しくはその人がOBになるとかということは、明らかに地域の健康には影響が出ると私自身は確信をしておりまして、すみません、専門家ではないような発言であれですけれども、あると思いますという、すみません。
○津下座長 ありがとうございました。また、御質問の後の検討の中でしていただければと思います。
引き続き、地域・職域連携の現状と課題について、労働行政のお立場から渡辺構成員より御報告いただきます。よろしくお願いいたします。
○渡辺構成員 私は主に小規模事業場、50人未満の小規模事業場における地域連携についてお話したいと思います。タイトルは「地域産業保健センターと保健所・市町村の連携による小規模事業場の健康保持増進対策」ということで、「情報の連携から利用の連携、誰が主役」というタイトルです。
まず、簡単に私どもセンターの説明をいたします。私どものセンターは、厚生労働省が所管します独立行政法人労働者健康安全機構に属しております。この機構には労災病院とか治療就労両立支援センターなどがあり、産業保健総合支援センターは各都道府県に1つずつありますので、全国40何箇所あります。
3枚目です。産業保健総合支援センターの事業としては、産業保健推進センター事業、それから、これからお話します地域産業保健センター事業、メンタルヘルス対策支援事業、治療と仕事の両立支援事業があります。
4枚目から地域産業保健センターについてとなります。神奈川県内には、地域産業保健センターは12か所あります。もともと、労働基準監督署と郡市医師会が始めていましたので、その数だけあるということになります。対象は従業員50人未満の小規模事業場です。地域医師会の産業医245名の協力を得て、地域産業保健センター事業を展開しております。
5枚目、このセンターで行っている事業ですが、まず地域産業保健センターの産業保健サービスとして労働者の健康管理(メンタルヘルスを含む)に係る相談、健康診断の結果について医師からの意見聴取、ストレスチェックに係る高ストレス者及び長時間労働者に対する面接指導、個別訪問による産業保健指導などがあります。平成30年度、神奈川県では利用者は3万3,000人と、平成28年、29年、30年と毎年約4,000人ずつ増加しています。センター利用の目的の内訳ですが、2番目に書いたように、健康診断の結果について医師からの意見聴取というものが全体の7割を占めています。すなわち、健康診断の結果によって事後措置が必要ですので、産業医の意見を聞きたいということで利用される方が多いということになります。
6枚目、メンタルヘルス健康管理に係る相談になります。これも産業医や保健師による健康相談です。
7枚目、健康診断の結果についての医師からの意見聴取ですが、労働安全衛生法に基づく医師からの意見聴取ということで、異常所見者になった方に対して産業医の意見を聞くということになります。健康診断の結果を基に、通常勤務、就業制限、要休業の就労判定をいたします。
8枚目、ストレスチェックに係る高ストレス者や長時間労働者に対する面接指導です。これも労働安全衛生法に基づく医師による面接指導です。
9枚目、個別訪問による産業保健指導の実施です。産業医、保健師、労働衛生工学専門員、これは労働衛生コンサルタントとか産業環境測定士の資格を有する者が事業場へ訪問して個別指導を行います。この中では作業環境管理、作業管理、メンタルヘルス対策等の指導を行います。実際にこういうパンフレットを作成して各事業場に配っております。
10枚目からが連携になります。地域産業保健センターと地域・職域連携を図にしたものです。真ん中の大きな円が地域産業保健センターになります。周りのピンク色の円が主に職域側です。上の2つの小さい円が保健所、市町村ということで、地域の窓口になります。どのようにこの連携をしていくかが問題になるわけですが、私どもはあくまでセンターを中心に書いております。
11枚目です。これまでの連携は、1番目に書きましたように地域・職域連携によるいろいろな会議、私どもの所では横浜市や神奈川県の会議がありますが、ここでは各機関からの情報提供、すなわち自分のところではこういうことができますということで大体終わってしまうと、いわゆる情報の共有で終わるということになります。2番目で書きましたように、実際にセンターを利用される大部分、約7割以上が健康診断の結果の異常所見者に対する意見聴取ということですから、ここで各種の指導が必要になります。そこでこの指導に対して、職域だけではなくて、地域の保健所、市町村との保健サービスと連携して、小規模事業場の従業員の健康増進を図ることが必要になってまいります。
そこで、私どもが考えていますのが、利用の連携です。これまでは情報の連携でしたけれども、これからは利用の連携へということで、ワンストップ地域職域サービスを考えております。ここでは、市町村あるいは保健所と私ども地域産業保健センターで共同のパンフレットを作成し、私どものセンターに来られた方に対して保健指導が必要な場合は、市町村あるいは保健所のサービスをすぐ提供できるように、お互いにワンストップでいこうと。場合によっては、電話ですぐ連絡ができるようにしたいと考えています。こうすることによって、利用の連携が将来図れるのではないかと考えております。実際、治療と仕事の両立支援においては、私どもは神奈川県と一緒にこのような共同のパンフレットを作成し、お互いに利用できるようにして、各事業場に配布しております。是非、このような利用の連携ということを、次のガイドラインに入れてほしいと思います。以上です。
○津下座長 ありがとうございました。御質問、コメント等がありましたらいかがでしょうか。
○藤内構成員 大変興味ある御報告をありがとうございます。最後に御紹介された利用の連携の所ですが、実際にその産業医が指導の内容をお伝えした後、保険者、市町村の保健師や栄養士による指導は、今はどのくらい実施されているのでしょうか。
○渡辺構成員 現在まだできておりません。
○藤内構成員 これからですか。
○渡辺構成員 これからです。お互いに情報を共有して共同のパンフレットを作ってやっていこうという提案です。
○津下座長 ほかにいかがでしょうか。
○齋藤構成員 私も、先ほどの利用の連携の所で、この取組は非常に素晴らしいと思っておりまして、地域側としても職域の方で働く世代の方が健康課題を抱えている中で、なかなかそこにアプローチできないという課題を抱えています。職域から地域につなぐアプローチの手法がどうやっていいか分からない中で、こうした取組が更に進んでいくことがすごく大切であると思います。
○渡辺構成員 ありがとうございます。まず、1つには私どものセンターの知名度が低いものですから、余り知られていないというのがありますので、こういうパンフレットを一緒に作って、お互いに連携したいと思っています。
○白井構成員 貴重な御報告ありがとうございました。私、先ほどの真鍋先生のご報告の、影響が及ぶときからの対策という部分と、この利用の連携の部分が非常にすごく大きくリンクしているのかと感じました。企業とか役所もそうですけれども、しっかりとそこの部分でフォローされているものが、その後の連携をしていくことで、住民の皆さんとか企業の皆さんの健康増進につながっていくのかと思いました。
個人的なことで恐縮ですが、先日は両立支援のセミナーを受けさせていただきましたが、センターをたくさんの方が利用していることがよく分かって、大変頼もしい気がいたしました。
○渡辺構成員 どうもありがとうございます。
○津下座長 ほかによろしいでしょうか。1つ質問をお願いします。このような取組に対して、市町村の温度差というか、先ほど非常にいいですねという話もありましたし、いや大変だという声とか、そういう市町村の連携に対する温度差とか何か感じられることはありますでしょうか。
○渡辺構成員 実際には、まだそれほどアプローチしているわけではありませんが、確かに温度差はあるかもしれません。
○矢内構成員 今の温度差のことで、地域産業保健センターを通してのケースではないですが、企業から地域保健にケースの連携をアプローチをした際に、企業からのニーズでは動けませんということがあります。個人情報などの壁があり、本人や家族から連絡があれば動きますということです。ただ、地域につなげたい方というのは、家族がいない単身者だったり、家族ごと病気を抱えられていたりというケースがあるので、そういう壁をこの仕組みの中で少し整理していただけると助かります。
○津下座長 よろしいでしょうか。それでは引き続き議題(2)でまたディスカッションを深めていきたいと思います。
議題(2)、本検討会における論点についてに移ります。まずは、事務局より論点(案)について御説明をお願いいたします。
○健康課長 それでは、事務局の健康課長より、この論点のペーパーについて説明をしたいと思います。資料3をお開きください。本検討会における論点ですが、前回御議論いただきました第1回の構成員の皆様からの御意見を、参考資料1としてまとめてあります。そちらも併せて御参照いただければと思います。こちらの資料3ですが、まずは基本的な方向性を整理したいというところが出発点でして、そのためにその背景を冒頭で整理させていただきました。
1ページ、背景です。これは皆さん御存じのことかと思いますが、保健事業については、複数の制度(老人保健法や労働安全衛生法など)に基づいて行われていることを背景として、その目的、対象者などが異っており、制度間のつながりが希薄であったという点が指摘されているところです。また一方で、働き方やライフステージ、最近では非常に転職をされる方も多いということや退職後のことも1つの議論になっているかと思いますが、そうした変化に伴いまして、保健事業の継続性の課題について、効率的・効果的な保健事業の実施が困難であったといった背景もございました。
こうした課題に対して、平成17年のときにガイドラインを策定しているということで、都道府県及び二次医療圏における地域・職域連携推進協議会を設置して推進をしてきたわけです。しかしながら、この協議会は年に1回程度の開催といった自治体も多いと伺っているところでして、それに加え、現在までのところ、特定健診、特定保健指導がスタートしたり、新たな制度がスタートしたところもございますし、データヘルス改革ということで、ITやIoTを活用した議論も始まってきています。こうした地域保健・職域保健を取り巻く環境が大きく変化しているところを捉えまして、今後の協議会に求められる機能や役割りを議論していく必要があるという状況に現段階でなっているかと思います。
続いて1ページの下ですが、こうした状況を踏まえまして、検討の方向性を3つの点に絞っております。
まず(1)、地域・職域連携の意義・効果ということで、ミッションを明確にした上で、今後の議論をしっかり捉えていきたいということです。
(2)の取組の促進については、具体的な取組を実施していくことにつなげていくにはどうした点が重要か、そのための工夫についても議論していく必要があろうと考えております。
(3)が協議会に求められる機能、若しくは役割といったものですので、2ページ以降の資料でそれぞれの論点について説明申し上げたいと思います。
2ページ目、具体的な論点です。(1).地域・職域連携の意義・効果ですが、これも3つにブレイクダウンしております。まず、1ですが、効果的・効率的な保健事業の実施という項目があります。これは保健事業の量的拡大や重複の排除といった課題や、アプローチルートの拡大ということで、どのようにしたら保健事業が効果的・効率的になっていくかということです。
続いて2です。今まで支援が不十分だった層への対応とありますが、例えば、先ほど渡辺構成員から御説明がありましたように、小規模事業場の従業者の方や被扶養者や退職者といった方々が、保健サービスにアクセスしにくいという状況があったかと思いますが、こうした方々に対して、どのような連携をすれば適切な対応につながっていくかというところが論点かと思います。こうした対象者に限るということではなく、より広い視点から御議論いただくことになろうかと思いますが、重点的に対応すべき層はどういった層なのかというところが、この論点の下に議論をしていってはどうなのかと考えております。
続いて3です。地域・職域連携の在り方に関する論点でして、先ほど出ましたような特定健診やデータヘルス改革、ストレスチェック制度、メンタルヘルスも含めまして様々な取組が行われていることかと思いますが、こうした状況の中、地域・職域連携の在り方はどのような方向性が良いのかいう点についても御議論いただきたいと思っております。上記の1、2を踏まえてですが、地域・職域連携のあるべき姿を1つのモデルとして提示をしていくということも、前回御議論いただいたポイントになっているかと思います。こうしたモデル、ベストプラクティスのようなものは、(1)の論点だけでなく、これから出てきます(2)、(3)にも、共通して取りあげていくような課題ではないかと考えております。
2ページ目、下のほうになりますが、地域・職域連携による取組の促進ということで、具体化に関する論点です。まず1として、地域・職域連携によって取り組むべき方向性の明確化というタイトルがありますが、具体的な取組を進めていくためには、連携のノウハウの普及や先進事例を踏まえた対応というのが必要になってくるかと思います。そのため、事例集のようなものを策定してはどうかというようなお話や、その際の国や都道府県の役割といった点も重要な論点になってくると考えております。
続いて3ページの上を見ていただきますと、2という論点があります。これも前回活発に御議論いただいたポイントかと思いますが、必要なデータの収集・分析に関する事項です。データの共有が必要であるといった点や、NDB等のデータベースの整備や保険者ごとのデータヘルス計画といったデータについて、そのデータの共有、特に生データの共有といった議論があったかと思います。データを共有した後に、そのデータをどうやって分析していくのか、評価していくのかという点も、次のステップとして重要な論点になってくるかと思います。こうしたデータを適切に分析することによりまして、健康課題の把握を行っていくというところが重要になってくるかと思います。また、その健康課題の把握をした上で、次の支援につなげていくといった議論も必要になってきているというところです。
続いて3です。これも前回御議論を頂いた重要なポイントになっております。リソースの確保ということで、人的、財政的な課題と同時に、ボランティアを含めたソーシャルキャピタルの活用など、地域にあるリソース、職域にあるリソースをどのように活用していくかというところでして、それぞれのリソースを相互補完的に活用していくことやそのための具体的な方策、こちらについても重要な論点になってくると思います。人材の確保ですが、併せて重要なのが数的な確保だけでなく、資質といった質に関する議論がありました。というのは、人材の確保だけにとどまらず、その後の人材の育成といった課題もありますので、併せて御議論いただくことになろうかと思います。
4、地域・職域連携の必要性・有用性の周知ということで、しっかりと取組を周知していく、広報していくことの重要性や、その有用性を理解した上で、周知をしていくというところも大事になってくるかと思います。
最後になりますが、3ページ下の(3)の協議会に求められる機能という論点です。1が一層の連携の強化というポイントでして、例えば都道府県協議会と二次医療圏協議会の連携の在り方をどうあるべきかといった点や、他の協議会との連携ということで、例えばとして出されていたのが、地方版日本健康会議や保険者協議会などがここに該当してくると思います。
2として、評価となっておりますが、いわゆるPDCAのサイクルを回しながら適切な評価を行い、それを次のアクションにつなげていくというようなことや、ワーキンググループを設置しているような自治体もありまして、効果的な組織づくり、それぞれの機能をワーキンググループなどに担っていただくという手立てもあるかと思います。
最後のページになりますが、別紙というのがこの資料の最後に付いております。地域・職域連携推進協議会の成長イメージということで、これは参考的な資料になります。現状、このレベル1~3と分かれておりますが、多くの自治体がレベル1の状況であるというところで、今後はレベル2、3に発展的に成長していくためには具体的にどういう取組が必要かを図示化したものでして、例えばレベル1-1を見ていただくと、協議会が開かれている、協議会の設置、開催というレベルでして、これはもうほとんどの自治体で取組が進んでいるところかと思います。レベル1-2が健康情報や取組について報告、意見交換を行っているという段階でして、こうしたレベル1-1や1-2に該当する自治体は一定数あると思います。
それから、これがレベル2になりますと、意見交換を踏まえて協働した取組につなげていったり、レベル2-2ですと、地域特有の課題を特定して、関係者が連携するということ、レベル2-3になりますと、都道府県全体の方針と一体的な取組を進めていたり、最終形、レベル3という、これは1つの例ですが、PDCAサイクルに基づきまして、自立的かつ継続的に実施しているという例です。もちろん真ん中にもありますが、二次医療圏の協議会と都道府県の協議会が連携していくという視点も重要であると考えております。資料については以上です。
○津下座長 論点の全体については、御説明いただきましたように整理されております。このような内容でよろしいかどうか、また具体的な論点については、後でまた御検討いただきたいと思います。Ⅰの基本的な方向性、その中で背景や検討の方向性が記されています。そして、Ⅱで具体的な論点として、意義・効果、取組の促進、協議会に求められる機能というようなまとめ方で、それぞれの下に具体的な検討項目が挙がっています。過不足や今の時点でお気付きのことがあれば、御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
○漆原構成員 御説明ありがとうございます。別紙と資料3との関係ですが、納得できるところは、資料3の1ページの2の検討の方向性の1、メリットに関する記載についてです。これは本日発表されていたものも含め、正に必要なことであり、そういうことができれば、別紙のレベル1-1とレベル2-1の間に当たる取組の前に、双方にどのようなメリットがあるのかを把握した上で、こういった取組をお互いにやっていきましょうという協働につなげていくところが必要なのかと思います。
意見交換をした後のレベル2-1が、いきなり「取組」となっていますので、その前の段階のものも必要であると思います。確かに、メリットも含めてどういうことができるのか等、望むものというのはいろいろとあるのですが、ハードルの高さなどもあるので、それぞれ私たちの協議会では、こういうことで双方にメリットがある、こういうことをやりましょう、とした意識合わせをした上で取組すすめていく、といったステップが必要なのかと思いました。
例えば、生活習慣病の関係では、まずリスクを把握するために特定健診、がん検診が必要ですので、双方メリットを理解したうえで、それではまず受診率を向上させるためにどのようにするか、とつなげたほうが分かりやすいと思います。
○津下座長 意見交換だけではなく、共に進めていくメリットの共有が大切であること。先ほどもありましたが、お互いにできないこと、それぞれが独自でやるべきことであって共有できないことや、いろいろな制約要因の中で共有していくものはなにかという整理も必要なのかなという、その整理の段階を入れたらどうだろうという御意見かと思います。
○健康課長 貴重な御指摘をありがとうございました。そのような視点を入れてリバイスを検討してみたいと思います。
○津下座長 ほかにいかがでしょうか。
○白井構成員 私はもともと看護師をしておりましたが、職域等の連携ということを考えると、例えば夜勤を多くしている者については、発がんの可能性が非常に高くなるというようなデータもあると聞いています。北欧では、夜勤を25年以上、30年程度続けている者が前立腺がんや乳がんにり患した場合は労災に含まれる、ということも伺っています。やはり、こういったことからも、退職した後のことを考えると、非常に重要な部分なのであろうと思います。
そういう職域の部分で危険である業務、それが本当に一般的な業務だとは思うのですが、トラックの運転手など、夜間に働く者についての退職後、地域に戻ってからのフォローについても、どこかに入れていただけると有り難いと思います。
情報の共有と言うよりも、職の特徴のような部分も情報の中にしっかりと入れ込んでいただく必要があるのではないかと考えます。いかがでしょうか。
○津下座長 リスクと言うか、健康に影響を与える要因にばく露する時期と、実際に発症する時期にタイムラグがある。例えば、がんなどの発生状況については国保では把握できるけれども、職域のデータだけを見ていても、まだ発生していないためなかなか把握できない部分もあります。その辺りの情報の共有や対策をともに考えることが大切である、地域側のデータから職域側に見えていることをお伝えすると言うか、断面ではなく時系列を踏まえた分析なども必要ではないかという御意見でよろしいでしょうか。
○白井構成員 はい。まとめていただいてありがとうございました。
○津下座長 重要な観点かなと思いますが、いかがでしょうか。
○健康課長 関連で申し上げますと、2ページの論点(1)2に関連する論点を挙げております。1つには、退職者ということ、それからライフステージに応じたとか、それから今働き方改革の議論が進んでおりますが、これは夜勤を含めてどういう働き方改革になっているか、そういう議論も踏まえた上で、保健関係の取組という視点で、特に地域と職域の連携という観点で、今回議論を深めていきたいと思っておりますので、頂いた御意見をどう反映できるか、事務局のほうでも考えてみたいと思います。ありがとうございます。
○武林構成員 今日いろいろと御説明いただいた中でも、現場で起こっているニーズの変化ということが常にあると思います。今回、事務局で用意していただいた具体的な論点、あるいは今後の取組の促進という中で、こういうニーズの共有ということは、どこで議論されるのかということがあると思います。
例えば産業保健で言うと、メンタルヘルスに関連して現在かなり議論されていることとして、例えば発達障害の方の支援をどうするかという問題が出てきます。こういう変わりゆくニーズを地域側のリソースと一緒にやらなければいけないという問題が出てくると思います。こうしたニーズの共有の不足ということがこれまであったのではないかと思うのですが、この中のどこで考えていくのかです。
逆に地域保健で考えますと、がん検診のことを考えたときに、受診率の問題、精度管理の問題ということは、むしろ地域側から職域側にフィードバックすべき点もあると思いますので、ニーズの共有ということが、議論の論点に挙げることが考えられているのかどうかというのが1点です。
そのことにも関連するのですが、そのように考えると、働き方、暮らし方というのが地域ごとに違っているとすると、今回の協議会は二次医療圏レベルだと思いますが、より具体的には健康増進法の中でも実施事業者の中で基礎自治体がどういう役割を持って、あるいはより主体的にニーズの把握とか交換ということが出てくると思います。基礎自治体がこの中で今後はどう位置付けられるのかということについて、事務局にお伺いしたいと思います。
○健康課長 ニーズの把握は非常に重要だと思います。そういった意味では、自治体の役割というのは、最初のスコープを設定する段階の作業として非常に重要になってくると思いますし、恐らく反映させていくという観点から申し上げると、最初の意義・効果で議論すべき内容とか、どういった効果が今後予想されるかというところを考えていく段階で、ニーズも踏まえて進めるということになると思いますので、ニーズの捉え方をどのように論点の中に入れ込めるかは、事務局でももう一度整理してみたいと思います。ありがとうございます。
○小松原構成員 2点ほどお話をさせていただきます。1つ目は、1ページにあった「背景」の所ですが、労働基準法であったり労働安全衛生法、あるいは健康保険法や高確法など、いろいろなものが入ってきています。法律以外のところでいくと、経産省が実施している健康経営というのもあります。確かに、地域・職域連携は大事なのですが、根本の連携についてもう少しどこかで議論しないと、あたかも連携しているように見えるのですが、それぞれが法律やルールを立てていて、実は連携されていないというのが、実感としてあります。
もう一点は、2ページの(1)の1に「対象者へのアプローチルート拡大、重複の排除など」という所があります。確かに、これも非常に問題だと思っておりまして、人によってはバリウム検査を年2回行っているという現状がありますので、この重複問題というのは非常に大事ですが、一方で、地域によっては、職域でがん検診を実施しているだろうという仮定でクーポンが送られないような対象者も出ていると聞いています。ここの重複の排除というところを、法律上、どこが実施主体なのかということを明確にして整理をしていただかないと、逆にサービスが行き届かない人たちが出てきてしまうという問題があります。是非そこら辺の着眼点もお願いしたいと思っております。
○津下座長 先ほどの話の中で、「基礎自治体の役割を明記したほうがいいのではないか」という話がありました。これは重要な観点だと思いました。
それから、今、小松原構成員がおっしゃった「根本の所の連携」ということですが、もう少し具体的におっしゃっていただけますか。
○小松原構成員 例えば、協会けんぽと健保連は全く同じような立場に置かれているのですが、特定健診保健指導は、労働安全衛生法の健診結果を基にして実施率をカウントしていいのですが、「保険者から求めがあったら提供しなければならない」という書き方になっていることによって、事業主から提供してもらえない状況です。「保険者に提供すべき」というような書き方にしていただくことによって、ここの連携はかなり進むと思います。
制度上は、あたかも連携が取れているような書きぶりなのですが、実際は連携が取れていないという1つの話ですが、他の制度でも、そういうことが起きているのではないかと思っています。
○津下座長 分かりました。引き続き検討していきたいと思います。今、全体の論点についての御意見を頂いたところなのですが、本日の検討会では、論点Ⅰ「基本的な方向性」、(1)の「地域・職域連携の意義・効果」、ここにフォーカスを当てた議論の時間をこれから持っていきたいと思っています。後半の(2)(3)は、次回以降に更に議論を深めるという予定です。意義と効果については、先ほどコンセプトを明確にしてとか、メリットを共有してといったことがありましたが、まず2ページ目の(1)までの所に集中して御議論いただきたいと思います。既に頂いていることは、事務局でまた御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか
○古井座長代理 2ページ目の(1)ですが、1について、アプローチというのが現役世代は非常に大事だなと思うのです。働き盛り世代に注目して職場から入っていくというのは、今日伺っていて、職域に閉じずに地域社会に開いていくというような、例えば住民としての立場もあるので、自治体から、あるいは保険者からアプローチをしていくという施策およびサービスの利用の連携というのも非常に大事なのかなと思いました。
2は、2つ目のポツで書いていただいている保健事業の継続性というところで、前回の検討会でもあったように、人生100年時代で、退職、復職、子育て、介護等、ライフステージが複数になるので、バトンタッチを続けるということが保健事業の運営では大事なのかなと思いました。
3ですが、新しい時代の地域・職域連携を進めるという意味で、先ほど先生方からも話があった、やはり健康課題の共有というのは大きいのかなと思います。もう1つは、目指す方向性と言うか、健康課題の解決度を測る評価指標であったり、目指すことの共有が大事かなと感じました。
職域で40代から60代の労働生産性というのを測っていくと、プレゼンティズムもそうなのですが、実は健診結果だけではなくて、主観的な健康観であったり、本人の仕事に対するやりがいというのが労働生産性に影響していました。これは住民としてのQOL向上や地域社会の健康課題の解決にリンクしていくのかなと思うのです。そういうことで、職域から入る働き盛り世代の取組なのですが、地域の健康政策とか、地域の健康寿命の延伸につながっていくのだということが共有されていくといいのかなと感じました。以上です。
○松岡構成員 論点として幾つかあったほうがいいと思ったのですが、今まで各構成員から御指摘のあったところと重なりますが、まず地域・職域連携の保健を進めていく上で、どの対象者を中心に想定していくのかということを整理しておいたほうがいいのかなと思います。恐らく、ここでは働く現役世代の方を中心にしているのではないかと思いますが、ただ、ここの論点にも出ているように、退職者にも視野を置かれています。高齢化が進んでいますので、退職者が職域から地域に戻って、その段階では比較的定年になって国保に入っていくような人が多いのですが、そういった人たちをどこまで見るのかということ、あるいは、更にそこから先の後期高齢者に入っていくような方々の健康をどう見ていくのかということを、どう考えるのかというのを考えたほうがいいと思います。
もう1つは、今、社会援護局などで生活困窮者の健康管理の取組も行われていますので、そういったことをどこまで視野に入れるのかということも考える必要があると思います。
2点目です。どこが中心になってやるのかもはっきりさせていくことも必要だと思います。例えば被扶養者への健康管理はどうやっていくのか。退職者は国保でやっていきますが、そういったところはどうなるのか。それから、地域の健康課題の共有といったことについては、かなり地域ごとの特色があると思います。恐らく、疾病構造などは被用者保険であろうが国保であろうが似ているようなところがあると思います。そういった課題をどうつかんでいくのかというのを共有していくことが大事だと思いますが、その際に県の衛生部局が保健所、それから衛生部局が中心になってこの会議を引っ張っていくような形になると思いますので、その辺を進めていく上での体制を考えていくのかを考える必要があると思います。
もう一点は、幾つかポイントとしては特定健診などの、いわゆるメタボ対策というのが割と中心になると思いますが、これまでこの連携会議が作られた後、がん対策基本法ができたり、難病対策の法ができたり、いろいろなものができています。そういう形で、がんを持ちながら働き続けたり、地域に戻ってどうサポートを受けていくとか、そういう職域、地域を超えた、個別の疾病対策における共有課題というところも意識されるようになってきていると思います。もちろん、メンタルヘルス対策というのも重要ですので、ここの検討会で、個別の対策に入り込むのは難しいかもしれませんが、少しそういう個別の対策というのも視野に置きながら検討していくといいのかなと思っています。以上です。
○松下構成員 全国健康保険協会の松下です。私も小松原構成員と重複したような意見になりますが、制度の標準化と申しますか、もしかしたら運用の範囲で対応できるのかもしれないのですが、そういった検討もしていただければと思っています。
特に、壮年層への健康ということであれば、特定健診の受診といったところが入り口になると思っていますが、先ほど小松原構成員からもあったように、事業者健診と特定健診の受診項目が若干違うとか、細かいところでは問診項目が違うために、事業者健診のデータを提供頂けない場合などもありまして、今後各地域での共通課題の共有といったところで、データヘルスといったようなデータ分析が必要になるのかなと思っておりますが、その中で、事業者健診、定期健診のデータというのが、余りないといったところが現実かなと思います。
今は保険者に提供された事業者健診のデータがNDBに登録されているところですが、先ほど小松原構成員からもあったように事業者からの提供とか、また実際に事業者健診等を実施されている健診機関からの提供の方法なども、これはマイナポータルの中でも検討されているのかと思いますが、そういったところも含めて検討いただければと思います。
もう1つは、2ページ目の2に、被扶養者や退職者などは、保健サービスへアクセスしにくいという記載がありますが、我々のほうからアクセスしにくいことと、利用者側からアクセスしにくいといった二面性があり、利用者側からアクセスしにくいことについては、分からないというところも大きいのかなというのと、健康意識の醸成が必要だとも思うので、そういった検討も併せて行っていただければなと思ったところです。
○巽構成員 効果的・効率的な保健事業の実施という所では、今までの地域診断では地域の課題を抽出するときに、働く人たちがスポッと抜けていたところがありますので、そういうのが、最近は協会けんぽから市町村単位でのデータが頂けるということと国保のデータで合わせて大体5割強がデータとして把握できるので、今まで国保のデータだけで出ていた地域課題以外のものも、健康課題として抽出し対策をすれば、健康寿命を延伸させるための健康日本21に、より寄与できるのかなということがあります。
あと、先ほど「どういうところにターゲットを絞るのか」ということがあったのですが、去年、研究で調査をしたところでも、協議会によって、小規模事業場を対象にしたというところと、それ以外の地域全体を対象にした健康づくりなど、テーマもいろいろで健康課題を絞りきれていないところと、大きく2つに分かれたやり方をしていました。それなので、その辺もその地域の特性によって課題は変わってくるとは思うのですが、どこにターゲットを置くのかというところは、例えば「これからの5年間は小規模事業場とか自営業者にターゲットを絞る」とか、そういうような方向性を同じにして決めるやり方も必要なのかなと思いました。
あと、現役から退職者への対応というのも大事なのですが、最近は定年延長しまして、かなり高齢の方々が働くようになったというところがあります。その場合ですと、(本人の健康問題だけでなく)家族に介護を要する人が増え、介護をしながら働かなくてはならない労働者の問題というところもありまして、被扶養者の対応とか、そういう縦割りのターゲットという考え方ではなくて、家族全体を含めた対応に、地域保健と職域保健が連携すれば、メリットがあるのではないかと思いました。
それから、大学の立場から言いますと、今、看護系大学が260ぐらいあるのです。すごく増えています。そういう中で看護職と言うか、特に保健師の活用の中でも、地域・職域連携の重要性についてカリキュラムの中にしっかり入れてもらうとか、そういうこともゆくゆくはしていくといいのかなと思います。以上です。
○藍構成員 大分議論が出てきたところだと思うのですが、1点だけ、(1)の1の効果的・効率的な保健事業の実施という部分について、先ほど実例が出ていましたが、重複の排除ということとアプローチの拡大というのは、一見すると反対向きのような話で、うまく回れば両方とも解決するのですが、世の中全体を見ると、アプローチルートの拡大ということに重きを置くというような感じでして、実際にガイドラインのようなものをインストールするときに、現場にとって分かりやすい形にするというのは大事な論点だと思います。
個人的には、アプローチルート拡大ということを強めにしてもいいのかなと考えているのですが、それはほかの構成員の先生方も含めて御議論いただけると、現場にとって使えるものになっていくのではないかと考えています。
○焔硝岩構成員 現場で実際にやらせていただいている立場からお話させていただきます。昨日も管内の事業所に健診の機会に合わせて、保健所から保健師と栄養士と一緒に伺ってきました。その中で、個人の方に健診を受ける合間に少しお話を聞くのですが、勤務時間に職場を離れて健診を受けていることから、ゆっくり話もできないまま、また現場に戻るという状況がありまして、個人が相談したくても、ゆっくりと時間を取ることができないのではないかと思っております。ですので、個人がそういった話をできるという環境づくりも要るのかなと思います。
その健診に来ていた医師とも話をしたときに、私が伺った900人規模の事業所はまだいいのですが、もっと小さな事業所になると、健診すら受けられないという状況もあって、それは事業主の方の意識というところを言っておられました。個人の方が受けられる環境づくりということが1つと、そのためには事業主の意識をガイドラインの中で入れていただくようなことがあれば、少し変わるのかなと感じております。以上です。
○藤内構成員 先ほど、渡辺構成員から「利用の連携」という問題の提起がありましたが、これはとても重要なキーワードだと思います。これまで情報の共有や課題の共有にとどまっていましたが、実際に必要な保健サービスを職域の方々がどう利用するのか、あるいは地域保健の現場での保健師や管理栄養士といった専門職種の方々が「利用の連携」ということで、職域保健に具体的にどう参入できるのか,それが重要だと思います。今、焔硝岩構成員から実際にそういう例も御紹介いただきましたが、まずは、地域保健サイドが、地域・職域連携にもっとマンパワーなりを投入して、結果的にその市町村における将来の国保会計も含めた保健医療財政に非常に有用であるということを、地域保健サイドが理解することが大事だと思います。そして、今、奇しくも焔硝岩構成員がおっしゃったように、事業主にもまだまだこうした職域保健の必要性について理解が十分でないという現状があります。その双方が、地域・職域連携による従業員の健康づくりの有用性について理解を深めることが必要だと思います。これは古井構成員に補足していただければ有り難いのですが、健康経営といったコンセプトが出てきた背景にも、働く人たちの年齢がこの40年間で7歳高齢化したことにより、事業主にとっても社員の健康づくりに力を入れないと、結果的に職場の生産性が維持できないといったようなことが、だんだん、特に中小の事業所で顕在化してきているので、こうした部分をもう少しこの背景の部分に明確に書いていただき、それぞれ職域、地域とも、この連携の必要性について今一歩理解を深めることが必要かなと思っています。
○渡辺構成員 先ほど私が説明しましたのは小規模事業場ですから、住んでいる所と働いている場所が大体同じ所なので、逆に言うと、こういう連携が非常にしやすいかなと思いますが、多くの職場は住んでいる所と働いている所が違いますので、なかなか難しいという課題はあると思います。
その場合、例えば職場ごとに健康の管理あるいは保健サービスなどを受けられていると思いますが、その人が退職されたらどうするのか。先ほど切れ目のないサービスということがありましたが、例えば働いている間の健診データなどは、辞められた後は御本人が持っていればいいのですが、持っていない場合、今度は地域の特定健診を受けた場合に、その情報はどこに行ってしまうかとか、それを誰が管理するかとか、そういう問題もあると思います。私が話したのは小規模事業場ですから、逆にやりやすいかなという例として挙げました。
○津下座長 鶴岡構成員、商工会議所の立場からいかがでしょうか。
○鶴岡構成員 今、正に事業主の意識の問題というお話がありましたが、足元では徐々に高まりつつあるのかなというのが実際に感じているところです。私ども商工会議所では、健康経営を冠したセミナーとかイベントも力を入れてやらせていただいているところであり、参加者も徐々に増えているように感じています。したがって、そういった部分でうまく連携させていただければ、より効果的なものになっていくのかなと思っております。
○釜萢構成員 今日は小玉構成員の代理で参りました。地域・職域の連携という今回のテーマは非常に大事だと改めて感じます。今までの話を伺っていて、最終的な目的は、この世に生を受けた方が、一生の間ずっと一貫して、いろいろなライフステージにおいて、いろいろな健康を更に高めるためのサービスの提供を受けるということに、どのように効率的に関わっていけるかということだろうと思います。
そこで問題になるのは、Personal Health Recordをどのように利用できるかということになっていて、このPersonal Health Recordの活用についても議論が進んでいますが、なかなか速度が高まらない理由は、本人にとって不都合な使われ方をするのではないかという懸念が一方であることではないかと私は思っています。そのことについて、地域・職域の連携の検討が、やはりPersonal Health Recordというのを本人に不都合のない形でしっかり利用できるというところの環境整備なり提言なりをしていくことによって、Personal Health Recordに対する国民の理解、あるいは合意が得られる方向に大きく役に立つのではないかと感じておりました。ですから、人生のいろいろなライフステージにおいて一貫して利用できるような形に、是非持っていくべきだと思いますので、その視点を常に持ちながら、地域・職域の連携の話も進めていけたらいいなと思います。
それから、今日この会議に出てくるに当たりまして、私の出身は群馬県高崎市ですが、高崎市の取組状況について確認してきました。先ほど話題になった小規模事業者に対する地域産業保健センターの役割というのは、私が地元で関わっていたときよりも、はるかに活発にやっていることが分かりました。地域産業保健センターに対して、小規模事業者からのいろいろな問合せが随分たくさんきていて、なるべく受診しやすい形の医療機関をしっかりと紹介するとか、メンタルヘルスへの対応とか、その辺りも事業所もいろいろとお困りになっておられる所もあるので、それらにしっかりと地域産業保健センターが役割を担っていくという仕組みが、私が想像していたよりもずっと有効的に働いているということを感じたものですから、そのことも報告させていただきます。ありがとうございました。
○津下座長 一巡したかと思いますが、追加でお気付きの点などはございますでしょうか。
○齋藤構成員 私も先ほどの御意見と少し似ているのですが、効果的・効率的な保健事業の実施をしていくにあたっては、まず個人においては、地域から職域、職域から退職して地域に戻ったときに、同様の支援を受けられるような仕組みづくりというものが必要かと考えております。個人情報の問題もありますが、先ほど渡辺先生からお話があったような1つのツールなどを使った形で、職域から地域につなぐ仕組みが必要なのかなと感じます。
また、集団においてのさまざまな事業は、地域のノウハウ、職域のノウハウをそれぞれ持ち寄って、重複している部分は取り除き,足りない部分を補完できる仕組みも必要だと思います。お互いのいいところを取り入れ,不足するノウハウを補完することも、今後入れていけるといいのかなと感じております。
それから,背景の部分についてですが、地方では中小企業が多くかなり労働者も高齢化している企業も見受けられる現状がある中で、超高齢化社会を踏まえ、高齢になっても働き続けられるための健康づくりという視点も、背景の中に付け加えられるといいのかなと感じました。
○矢内構成員 一貫したパーソナルデータ管理ということでは、仕組みをつくることと平行して、対象者自身が自分の健康は自分で守るといった意識が必要だと思います。ベースにこの意識がないと、いろいろな仕組みがあっても活用できないということになります。そういった意味では、まず自分の健康に関連したデータをきちんと知り、管理できることが、その一歩になると思います。これは退職後の連携とあわせて会社に入ってきた時点での連携も重要です。、先ほどもお話がありました発達障害や適応の問題があったり、ライフスタイルがかなり乱れた形で確立されていて、そこからの修正では非常に予防に時間が掛かるということがあります。今回のテーマには入らない学校保健との連携の課題などもあるかと思いますが、予防という視点では一貫した意識づくり、仕組みづくりが必要かなと感じています。
○津下座長 構成員の皆様からたくさんの御意見を頂きました。特に、「基本的な方向性」の所で、なぜ地域・職域が連携することが必要なのか、それぞれのニーズ、どういうことについて困っているのかということや、それぞれが何ができるのかという、できることの共有化ということ。お互いに制度が違うと、先ほどの真鍋構成員の資料にもありましたが、ソフト的なことというのは、それぞれの独自性でやっていらっしゃるところもあって、その情報の共有ができないと、お互いにどういうメリットがあるのかというのを感じにくいということがあろうかと思います。ですから単に健康情報の共有だけではなく、やっている事業の見える化とか、どういう取組を一緒にやっていきたいのだというニーズの共有化ということも、非常に重要ではないかという話がありました。
また、2ページ目の「効果的・効率的な保健事業の実施」の中で、国の制度として対処すべき話と、地方の努力でやれることの2つがあるのかなと。ガイドラインのほうは、どちらかと言うと地域ができることを中心に考えていくという立ち位置でよろしいのでしょうか。先ほどの制度だとかですが、地域にこの課題をポンと出しても、なかなか解決しにくい課題もあったと思うのですが、国ができることと地域ができることという、その整理も必要なのかなと私は思いました。
それから、2の地域保健と職域保健の間で、定年を迎えられて、退職されます。例えば糖尿病性腎症の重症化予防の取組はかなり市町村でやっていただいているのですが、既にもう国保に入られたときから腎機能が悪い状態まできている。多くの方が、ほんとうはその前の対策が必要なのに手が届かない。その前と一緒につながってやりたいという声がかなり出ているのではないかと思います。ニーズの可視化にもつながると思うのですが、長いライフステージの中で、どういうところが今まで漏れていたサービスなのかということも、更に整理をしていかなければいけません。
それから、在り方についてはモデルが必要なのかなと。様々な事業の類型もありますし、中小企業、小規模な事業所と地域の連携と、大規模な事業所と地域の連携は、それぞれ描くモデルが違うのかなとも受け止められたのですが、論点の中に、こういうような配慮も必要なのかなと。
それから、特に1では、効果的・効率的な保健事業の実施でアプローチルートを拡大するほうから、やりやすいところから入ったらどうだろうと。除外するというのは、どちらかと言うと細かい作業が必要になるので、まずは多くの所で実施しやすいほうから入ったらどうだろうとか、地域保健の事業、産業保健の事業があるけれども、総論として連携というのは非常に重要だとは思われるけれども、専門職の中でもまだ理解が不十分で、教育の中にも反映したらどうだろうというような話も頂いたかと思います。
事務局から、頂いた御意見の中にコメントいただけるようなことがありましたら、お願いできますでしょうか。
○保健指導室長 先ほど津下座長から、ガイドラインのほうに含める内容はどこまでかという御指摘もあったと思いますが、そういったガイドライン策定を、今年度この検討会でと考えておりますと、国の制度の中でできることについては、今できることと、中長期的にできることとあろうかと思いますので、そういった観点も踏まえつつ、報告書とガイドラインを作成してはどうかと考えています。
○津下座長 今後の議論については。
○労働衛生課長 議論を聞いていまして、地域・職域連携について反対する人はいないし、これは当然進めていくということだと思うのですが、長年取り組んできて余り進んでいないというのも事実としてあると思うのです。一度、過去の取組を総括をして、なぜこの連携は進まなかったのかという問題点を洗い出してもらって、その問題点を一つ一つ潰していくような作業が必要ではないかなと思います。本日の議論の中でも問題点の指摘はあったかと思いますが、システマチックに過去を振り返って、問題点をリストアップした上で、それを解決するにはどうしたらいいかというところを、議論しておかないと、問題点が残ったままでベストプラクティスを提示しても、それが障害になって進まないというところも出てくるかなと思います。本日の議論を聞いていまして、そのようなことを感じましたのでコメントさせていただきました。
○津下座長 保険者サイドの点でいかがでしたでしょうか。
○医療費適正化対策推進室長 保険局です。本日頂いた御意見の中で、改めて保険局事務局としてもお願いをしたいことを1点リマインドをさせていただきますと、健保連、協会けんぽから御意見があったとおり、特定健診の実施率向上、保健指導の実施率向上、これはいずれも政府の至上命題として現在も取り組んでおります。その中で、どうしても欠かせないのが、特に被用者保険については、事業主サイドの安衛法健診のデータの提供という部分だと私どもも認識しております。
この点については、確か協会けんぽからの御発言でもあったと思うのですが、マイナポータルの仕組みの活用の中でも、もう少し弾力的なやり方が可能になる方法を鋭意検討している最中です。是非、この検討会の中でも、健診データの提供という部分について、もっとこうしたら進むのではないのですかというところを、先ほど神ノ田課長からもありましたが、これがないから進まないのですという忌憚のない御意見というものをお知恵として頂戴しながら、これからの検討に活かしていきたいと考えております。よろしくお願いします。
○津下座長 今、神ノ田労働衛生課長から、何が今まで進まなかった要因なのか、思い当たることがあれば、まずはそれを潰していくのも大事だという話がありました。それから、情報提供が進まないにも何か理由があるだろうと。そこも解決しなければいけないということと思います。あと10分程度時間があるかと思いますので、その観点でのご意見をいただけますか。進めたい、地域・職域連携は大事で、何かメリットもありそうだと。でも、メリットがあっただろうけど、今まで進まなかった根の部分は何だろうか。これはブレインストーミングのような話になるのですが、思い付くところから幾つか挙げていただければ幸いですが、いかがでしょうか。
○藤内構成員 この地域・職域連携が、例えば二次医療圏ごととか、都道府県ごとに、どのくらい進んでいますかと聞いたときに、それを表す数値指標、正に見える化できるかというと、なかなかつらい状況だろうと思います。今、思い付くものとして挙げられるのは、協議会の開催回数とか、協議会に参加している構成団体数とか、あるいはワーキンググループがあるかとか、ワーキンググループの開催回数等になってしまうのですが、アウトカム指標の1つとして、例えば健康経営事業所が何事業所あるか、これは経産省の所管ではありますが、実際にホワイト500であったり、中小規模の健康経営優良法人の数があげられると思います。経産省の認定だけでは測れないかもしれませんので、健康経営事業所に取り組む事業所の割合なども、そういう取組の指標になると思います。
ただ、これらの指標では地域保健がどれくらい関わっているかが測れませんので、そこは少し課題はあります。今回のガイドラインの中で、それぞれの地域が、例えば、うちの二次医療圏は職域連携についてはここまで進んでいて、次のステップに進むためにはこういう取組が必要だということが見える道しるべというか、先ほど参考資料でレベル1~3をお示しになりましたが、あの図の中で、自分の所がどれくらいのレベルかが、もう少し細かく見えるような議論が将来できたらと思います。
○津下座長 ありがとうございます。
○巽構成員 進まない理由の1つに、最初のときも申し上げたのですが、特に二次医療圏などで展開しているのを見ますと、総務課企画室の保健師さんが中心になってやられるわけなのですが、その方も2年ぐらいで代わっていくわけですね。その方が代わられると、全くそこで切れてしまって、また最初から始まりみたいなところがあったりということで、それは言い換えれば、メリットもあるし、視点も変わるので良いところもあるのですが、やり方が今まで決まっていなかったのがあります。私が入っている研究班では、その辺を課題明確化ツールや連携事業開発ツールというものを作って、誰でもが担当者になったらこれを使って、例えば協会けんぽのデータ等を使って課題を明確化して、どうやっていくかということを共有化をするところが必要なのではないかと思いました。
また、調査などでは、協議会は2月に年に1回だけ開催するところが多かったのですが、それは、その年の総括と、次の計画みたいなところでやっていたのですが、それは、ほとんど要するに開いているだけだったのです。成果を見える化していくためには、数値化して、それを評価していかなければいけない、そういうシステムを皆さんに理解してやっていただくようになれば、かなり違うのかなと思います。また、うまくいっている所は、中期計画を3年とか5年とかをまず立てて、それから毎年と持っていっている所が結構うまくいっていたかなという感じがありました。
○津下座長 ありがとうございます。私自身も、毎年情報共有だけで終わってしまっている協議会もあれば、協議会で情報共有して、すぐその年度のうちに何かやれることを動き始めて、3年間でどういうことをしていこうかという中期計画まで行っているところもある。後者のような協議会では、担当者が異動しても連携事業が進みやすいかという実感もあります。
○武林構成員 基本的なこととして私が感じているのは、地域保健と産業保健それぞれ目的があって、たとえば安衛法が目指しているのは、基本的には適正配置という問題であって、その中で健康を扱っていると。そうしますと、人材のことで考えますと、それぞれの専門家がそれぞれの分野で育っていて、その間の交流は今までは十分ではなかったと思うのです。医師に関しては、今回社会医学系専門医を作ったときの議論もそこにあって、それで、必ずその専門医を取る人は、地域と産業の両方、どっちがメインでも経験するという仕組みを入れたのですが、この協議会の議論にはまるかどうかは分かりませんが、実際に二次医療圏や基礎自治体のレベルで連携をやるためには、人材をどう一緒に育てるかとかも是非視野に入れないとならない、お互いの専門性や目指していることの違いを理解した上でないと、実質的に進まないのではないかという気がいたします。
○藍構成員 今大分、人の話になっていると思いますが、キーパーソンがいる所って多分1人ではないですよね。前回の大分県も宇都宮市もそうなのでしょうが、多分コアメンバーがちゃんとあって、そこが経年的に機能する所がうまくいくのだと思います。逆に、私自身が幾つかリサーチして、個別の所ですけれども、進められないと言っている所は、こういうのがありますが、やりませんかと言うと、残念ながら手が挙がらないような、例えばやりたい人が実際に県内ないし市町村にいるけれども、部署が違って手が挙げられない等、人事面の何か手当みたいなものができると、人を増やせというのではなく、それこそ、やりたい方が少しやれるという環境をサポートできる形があるといいかと思います。
○津下座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○松岡構成員 ちょっとうまくできなかったかどうかという話に余りならないかもしれませんが、昨年度の平成30年4月から国保制度改革がありまして、都道府県が国保の保険者になる形になりました。従来、国保は市町村がやる仕事で、都道府県が十分情報がつかめていなかったところがあるのですが、都道府県も保険者になることによって、レセプトの情報や、我々国保で中央連合会でやっているKDBのデーター等が都道府県も使えるようになりました。そうすると、都道府県としては、地域の医療の課題、健康の課題というのは、つかみやすくなっているといったことがあると思います。もう1つ、保険者協議会を都道府県が中心になって、保険者を被用者保険も含めて束ねていこうというようなことになっています。こういう動きがありますので、都道府県の中の衛生部局と保険者の国保担当の部局等が、しっかりタッグを組んで進めていただくことが、この地域・職域の連携を進めていくにも役に立つのではないかと思います。
○真鍋構成員 ちょっと乱暴な発言をしますが、もう少し踏み込んでもいいのではないかと思っています。なぜ進まなかったのかということで、危機感とか覚悟を我々は持っているが、それが余り皆さんに伝わっていないと思っていて、基礎自治体の役割の話が出ましたが、私も極めて大事だと思っています。結論は多分そうならないと思うけれども、先ほど藤内先生でしたかが、可視化とおっしゃいましたけれども、例えば監査をするとか、評価をするとか、そういったことをしないと、高齢化とか、個人世帯の増加とか、働き方の多様化で、地域と職域が連携しないと、もう個人の健康が保てないという覚悟を持って、監査をしたりすることを議論してみて、やはりそれは駄目だったよね、乱暴だったよねといった、その結果、例えば可視化をするとか、ランキングをするとかというような、我々はそこはないものと思っているのかもしれないけれども、そのぐらいの覚悟や危機感を持ってやらないと、うまくいかないのではないかと私自身も思っています。そうでないと、多分職域とかがすごく積極的に関わり始めるのには、ものすごい時間が掛かると思っているのです。何か乱暴なというか、炎上しそうですが、強権的な何かを一回議論をしてみて、その上でどうアプローチするかということが要るのではないかと。結局、強権的にやって進むのは最低な方法だとは思っているのですが、ただ、そういうエッセンスはもしかしたら要るのかもしれないと思っているのです。炎上しても構わないので。
○津下座長 ありがとうございます。確かに保険者努力支援制度や、見える化して評価される項目については、取り組みやすく、優先順位が高まります。できればやれたらやりましょうというような事項は、どうしても後回しになりがちです。そこを一歩強いメッセージにすること、事務局にお示しいただいた別紙のレベルの段階を意識すること、今どこまでの段階に自分の自治体が来ているのかや、次にはこういうことをしていくべきということの可視化など、自治体もやらなければいけないと思うような、実質的な仕掛けが必要かなと思いました。
また、保険者の改革が進んできたので、都道府県の立ち位置も随分変わってくるとは思いますが、保健所の今の業務がどちらかというと結核や難病対策が中心で、生活習慣病は市町村が中心という状況もあります。この地域・職域連携ではメインの課題が生活習慣病になるので、保健所の役割の見直しと言いますか、もう一度その辺りも検討していく必要があるかとも思いました。それから、セクショナリズムというか、それぞれの専門家が頭の中ではバラバラになるけれども、一緒に行動するというシチュエーションを作ることがお互いを理解するためにも必要で、それは意識的に組んでいかないと、なかなかできないことかもしれないという御意見だったかとも思います。
今日の論点ですが、全体の基本的な方向性や、意義、効果について、もう少し課題なども深めていかなければいけないし、今回のガイドラインでどこまで踏み込めるのかということもございますけれども、その辺を一度整理していただいて、さらに具体的な取組の推進や、その方策について次回以降、議論を進めていければと思っております。
本日頂いた御意見以外に、この論点ペーパーについてのご意見、さらにはこのレベルの別紙については今回初めて出てきたもので、今日はこれについて議論する時間は取っておりませんが、協議会の開催、具体的な取組の実施など、二次医療圏協議会についてレベル感が示されているのですが、このような考え方でいいのかどうか。また、さらに都道府県協議会の在り方はどうなのか、それから、二次医療圏協議会の中でも、市町村の動きや保健所等の動きもあるかと思いますので、この辺りの議論は今後深めていく必要があるかと思います。お気付きの点がありましたら、事務局のほうに御意見を頂くということでよろしいでしょうか。
では、次回の検討会においては、まず今回頂いた御意見を整理したことの御確認をいただきつつ、論点の(2)以降、特に具体的な取組の促進や、協議会に求められる機能等、(2)以降について議論を深めていきたいと考えております。事務局より、御連絡事項がありましたらお願いいたします。
○保健指導室長 活発な御意見を頂きまして、ありがとうございました。本日、構成員の皆様から頂きました御意見につきましては、事務局で整理させていただきたいと考えております。次回の検討会になりますが、次回は5月30日の開催を予定しております。場所等につきましての詳細は、別途お知らせいたします。よろしくお願いいたします。事務局からは以上となります。
○津下座長 それでは、少しお時間が早いようですが、第2回の検討会は以上をもちまして、終了とさせていただきます。本日はお忙しいところ、また活発な御議論を頂きまして、どうもありがとうございました。
 

 

 

 

(了)

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