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2016年4月22日 相談支援の質の向上に向けた検討会(第2回) 議事概要

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室

○日時

平成28年4月22日(金) 17:00 ~ 19:00


○場所

厚生労働省専用第14会議室(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2合同庁舎5号館12階)


○出席者

小澤 温 (筑波大学人間系教授)
佐藤 進 (埼玉県立大学名誉教授)
島村 聡 (沖縄大学人文学部准教授)
田村 綾子 (聖学院大学人間福祉学部准教授)
近江 雅喜 (障害児・者相談支援事業全国連絡協議会)
冨岡 貴生 (公益財団法人日本知的障害者福祉協会相談支援部会)
上條 浩 (横浜市健康福祉局障害福祉部障害福祉課課長)
土屋 幸己 (公益財団法人さわやか福祉財団)
原田 重樹 (一般社団法人日本介護支援専門員協会副会長)
岩上 洋一 (特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会代表理事)
工藤 信役 (社会福祉法人七峰会)

○議事

【相談支援専門員に求められる技能】

  資質の向上に関してどうするかという問題と相談支援の機能を充実していくためにどういった体制・手続きを整理していくのかは、相互にオーバーラップするところがいくつかあると思う。

 

  相談支援専門員が利用者の立場に立って、サービス提供者に対して立場を対等化することは、権利擁護や意思決定とも関係が深い。視点をきっちりだして、最終的にはカリキュラムへ反映する。

 

  「相談支援専門員はどのような意図でどのような支援を行っているのかを具体的に説明する力が必要ではないか」は、細かく具体的にし、相談支援専門員は利用者のニーズに対してどのように支援をしているのか具体的に支援のプロセスを説明することが大事。

 

  ニーズによって関わり方や支援の方法も変わるため、ひとつのサービス・支援で対応できることではない。

 

  利用者のニーズに対して、相談支援専門員の意図とか見立てにより支援技法やプロセスが変わることを認識させることが重要。

 

  相談支援専門員が一番目指しているのは、本人が希望する暮らしや生き様を支援することにつきる。

 

  現状のカリキュラムでは、利用者の障害特性に合わせた関わり方や面接に臨む姿勢について、相談支援専門員が基礎資格もない者であることから、特にプログラムがないことが問題。実際どういった技術を持った人を育てる必要があるのかを明確にしていく必要もある。また、環境に働きかけ社会資源を創出する力の養成も現行のプログラムにはないようだ。

 

  意思決定支援のプロセスについて、本人の言ったことに対応するのではなくて、本人のデマンドから見えてくるニーズをしっかりととらえ、本人のニーズと支援者が必要としているニーズをしっかりと合意形成を取りながらすりあわせていく技術が必要。

 

  インテークアセスメントについては、表を埋めるアセスメントではなく、見えない部分をしっかりと見極めて情報を引っ張ってきてアセスメントする力が必要。

 

  相談支援事業所はサービス調整のみやっているので、運営基準にある社会資源の開発とかには現実として全然行き着いていない。議論すべきなのは、こういった規制基準を作ったのに、なぜそこにあってこないのか、そこは議論しないといけない。

 

  研修を受講しても、実務経験を長年(8年程度)積まないと社会資源開発や地域を耕すことはなかなか厳しい。

 

  障害特性は医療的な側面が強く、研修で生活モデルの話をしても、実際の演習になるとそこから離れてしまうため現場の混乱を生み出している。

 

  意思決定支援のプロセスの導入については、本人の意思を一番にするかどうかを統一していかないと研修によってバラつきがでてしまう。

 

  本人の思いと専門職から見た判断のどちらが正しいかって言うのは判断が難しく、そこをどう個別にすりあわせをするかが大事であるが、最後は本人が決めなければならない。

 

  まずは本人が言ったことに共感し、そこに寄り添って一緒に考えていくことで、本人の意思決定につながっていく。

 

  自分で意思表明ができない人に対してどのように意思決定支援のプロセスを重ねていくかが重要。

 

  親亡き後の支援と親が健在なうちの支援が必ずしも一致して、それが一番より沿うような形になっているかというと必ずしもそうではない。客観性をもたせるための仕組みを意思決定支援のプロセスの中に入れていくことをしていかないと現実的に解決していかない。

 

  相談支援専門員に求められる技能の中には、技術や価値が含まれているおり、それらを分けて整理が必要。

 

  技術・技能ということで言えば、利用者に合わせたアセスメントが大事で、利用者のニーズに対してどういう技法が求められているのかを理解して研修を組み立てる必要がある。

・  本人の意思を尊重することも大事だが、尊重した結果、良くない方向に行くこともある。案配を見ながら対応することをしっかり研修すべき。

 

  意思決定支援のプロセスを通常の研修に落とし込むのは容易ではなく、長期間の研修だと身につくかもしれないが、現在の研修システムでは難しい。

 

  モニタリングを続けていく中でサービス調整に終わらず本人が望んでいる暮らしをきちんと組み立てていくというのが相談支援の目指すべき方向性。

 

  相談支援に関する基本方針は基準省令にあるとおりであり、「求められる技能」については、この後の議題である役割やキャリア活動、支援体制などの議論も踏まえるべき。

 

  研修体系よりも、計画相談の事業所や件数が増加している現状の中で、経験を持続的に踏める環境、複数人で協力し合える現場の環境づくりが大切。

 

  相談支援専門員にどういったスキルが必要かは、ターゲットを絞らないと、全体を考えて議論をすると混乱を招く。

 

  計画作成や意思決定支援やコミュニティワークなど、どこに重きを置くかによって技術や技法が変わってくると思う。一つの方法でやろうとしてもうまくはいかない。

 

  精神障害・知的障害・身体障害の3障害を同じテーブルで議論するのは難しいと思う。こういった場面ではこういった技術がいるということを学ぶべきであり、学ぶべき事項の優先順位などを整理するべき。

 

 

【相談支援専門員の役割】

  本人や家族の希望に添った支援をするだけでなく、環境を調整する、地域・社会作りに関与することも相談支援専門員に求められている。

 

・ 利用者と相談支援専門員がお互いに影響を受け合って、うまく循環していくような仕組みを作ることが大切。

 

・ 基本的には三層構造になっていて、第一層が計画相談、第二層が計画以外の生活に幅広く対応する基本相談とか一般相談、第三層が地位の関係調整や様々な資源開発等のコミュニティワークということで、関係調整とか資源開発とか。それぞれで求められる役割があるのでターゲットを絞って議論するべき。

 

・ 基準省令にあるような資源創出等は、協議会などを活用して他の方々と一緒になって考える等で相談支援専門員だけで担う責務ではないのではないか。

 

・ 相談支援専門員への要求水準を高くしすぎると、質の高い人は創出されるが人数が集まらないのではないか。

 

・ 会議の運営やモニタリングのコーディネートは相談支援専門員に期待されることなので、早い段階でトレーニングできるといいと思う。

 

・ 事業所の種別や職員の資質・姿勢によって事業所間のレベルや特性は様々であり、本人の希望をうまく事業所に伝える技術が求められる。

 

・ 本人と事業所の間に相談支援専門員が入り3者関係になることは視野が広がるなどとてもいいことだが、相談員ができることにも限界があるので、サービス管理責任者の資質向上など事業所の努力も必要になる。

 

・ 本人の希望と家族の希望が一致していない場合、相談支援専門員が間に入りすりあわせを行っていくことで、関係がうまくいくこともある。

 

・ 利用者とサービス事業所の間に入ることは、利用者の代弁者としての役割、両者を仲介・仲裁する役割、事業所のサービスを補完する役割など様々な機能を持つ。

 

・ サービス等利用計画により地域のサービスが顕在化され、不足する社会資源が明確になるという考え方は、サービス等利用計画の意義や本来あるべき形を議論する上で必要な考え方であり、サービス等利用計画の質の評価や水準のチェックにあたり具体的な内容を含んでいる。

 

・ 高齢者の分野でも個別のケース検討会や地域ケア会議によって、不足している社会資源がどこにあるのかを明らかにし、その延長線上に政策提言がある。この構造は障害者でも高齢者でも共通であり、それぞれで交流していければと思う。


(了)

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