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2015年7月30日 第44回中央最低賃金審議会 議事録

労働基準局

○日時

平成27年7月30日(木)
10:00~10:30


○場所

厚生労働省9階省議室


○出席者

【公益委員】

仁田会長、戎野委員、鹿住委員、武石委員、中窪委員

【労働者委員】

木住野委員、須田委員、冨田委員、新沼委員、萩原委員、松井委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、中西委員、横山委員

【事務局】

谷内大臣官房審議官、松本大臣官房参事官(併)賃金時間室長
川田代主任中央賃金指導官、上月中央賃金指導官、新垣賃金時間室長補佐

○議題

平成27年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)

○議事

○仁田会長 それでは、ただいまから第44回「中央最低賃金審議会」を開催いたします。
  本日は、吉岡委員、渡辺委員、土田委員が御欠席でございます。
  本日の議題は「平成27年度地域別最低賃金額改定の目安について」でございます。
  本年度の地域別最低賃金額改定の目安につきましては、目安に関する小委員会におきまして熱心な御審議を重ねていただき、一昨日から昨日にかけての第4回小委員会において報告が取りまとめられましたので、委員長の私から報告したいと思います。
  今年度の目安審議につきましては、去る7月1日の総会におきまして諮問が行われるとともに、目安に関する小委員会に付託をされました。
  その後、小委員会におきまして7月1日、7月15日、7月22日、7月28日までの4回にわたって会議を開催をし、委員の皆様にはまことに熱心な御議論をいただいたところでございます。
  小委員会報告を取りまとめるべく、公益と労使各側の個別の打ち合わせを数回にわたり開催をし、とりわけ第4回については一晩中御議論をいただきましたが、労使の意見の一致を得ることができませんでした。
  しかしながら、公益委員の見解を小委員会報告として地方最低賃金審議会に示すよう、本審議会に報告することを了承いただき、お手元にございますとおり報告を取りまとめた次第でございます。
  それでは、小委員会報告を事務局に朗読していただきます。

○上月中央賃金指導官 朗読させていただきます。
中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告。平成27年7月28日。
1 はじめに。平成27年度の地域別最低賃金額改定の目安については、累次にわたり会議を開催し、目安額の根拠等についてそれぞれ真摯な議論が展開されるなど、十分審議を尽くしたところである。
2 労働者側見解。労働者側委員は、春季労使交渉で賃上げが妥結した労働組合員である組織労働者は4月から賃上げが実施されたものの、団体交渉の機会がない未組織労働者、特に最低賃金近傍で働く労働者は「ワーキングプア」と呼ばれる水準にとどまっていること等から、将来への不安を払拭し安心感を醸成できるよう、暮らしの底上げに直結する最低賃金の大幅な引上げが必要であると主張した。
  また、審議に当たっては、経済的に自立し、人たるに値する生活を営むことのできる最低賃金の適正な水準を念頭に置いて議論していくべきであり、賃金改定状況調査(第4表)に基づく引上げ幅のみの議論に終始すべきでない、と主張した。
  現在の最低賃金の水準は、こうした観点からすれば不十分と言わざるを得ない。したがって、平成26年平均の消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の3.3%に加え組織労働者の賃上げ結果を上回る引上げが必要であると主張した。また、この物価上昇は各ランクに共通の事象であること等を踏まえた審議が必要である。
  また、ランク間の水準の差も拡大してきており、経済実態に応じて全国的な整合性を確保できるような目安とすべきであると主張した。
  さらに、雇用戦略対話合意の全国で最低でも800円という目標到達へ向け、また地域活性化という観点からも、早期に800円到達への道筋を示す目安額とすべきである。
  労働者側委員としては、上記主張が十分に考慮されずに取りまとめられた下記1の公益委員見解については、不満の意を表明した。
  なお、本年の審議においても論点となった最低賃金法(昭和34年法律第137号)第9条第2項の3要素を考慮すべき事実について参考にすべき資料等に関しては、目安全協で議論を尽くし、来年度の審議に万全を尽くすことが必要であることを主張した。
3 使用者側見解。使用者側委員は、企業の経営環境は、安倍政権の経済政策によって、総じて改善してきているが、中小企業・小規模事業者では、円安による原材料価格の高騰や電力料金の増大などによるコスト増や、人手不足による人件費の増大への対応に苦慮していることに加えて、取引先企業の海外進出による受注の減少、地域における人口減少などのマイナス要因もあり、景況感に大きな改善が見られるまでには至っていないこと、ギリシャの財政危機や中国の金融市場の混乱など、日本の実体経済の先行きについても不透明感が強まっていることを主張した。その上で、このような現状を踏まえると、中小企業・小規模事業者の活力を削ぐような事態を招くことになれば、地域の雇用・経済に深刻な悪影響を与えることになると主張した。
  また、過去5年間にわたって、生活保護との乖離解消や、生産性と関係なく引上げを最優先する審議が続いたことにより、中小企業の支払能力を超えた大幅かつ急激な引上げが続いてきた結果、影響率も上昇し、最低賃金の引上げが企業経営に与えるインパクトが従来以上に高まっていると主張した。
  さらに、賃金水準の引上げは生産性向上に裏付けられた付加価値の増加を伴うものでなければならず、中小企業や小規模事業者にとってベアに相当する最低賃金の引上げは、生産性向上とセットで考えるべきである。したがって、中小企業・小規模事業者に対する生産性向上のための政府の支援策の成果が生産性の上昇という明確な形で認められることが大変重要であり、十分な生産性の上昇が確認できないまま、最低賃金の大幅な引上げだけが求められることになれば、引上げの具体的な根拠が説明できない目安を地方最低賃金審議会に示すことになる。そうなれば、地方での審議において大きな混乱を招くことになり、ひいては、目安そのものに対する信頼が失われることになりかねないと主張した。
  その上で、今年度のランク別の目安については、「法の原則」である、地域における労働者の生計費、賃金及び通常の事業の賃金支払能力の3要素を総合的に表している「賃金改定状況調査結果」の特に第4表のデータを重視した審議を行うとともに、最低賃金のはり付き状況などを踏まえた、ランクごとの実態を反映した目安とすべきである。また、物価の上昇分を最低賃金の引上げで充当することについては、これまで物価が下落する中で、企業自らが生産性の向上に努め、経済の回復に先行して最低賃金の引上げに協力してきたこと、最近ようやく一部で経済状況が追いついてきたとはいえ、中小企業の生産性の向上が未だに確認できていない、ということを踏まえ、慎重に検討すべきであると主張した。
  使用者側委員としては、上記主張が十分に考慮されずに下記1の公益委員見解が取りまとめられることについて、不満の意を表明した。
4 意見の不一致。本小委員会(以下「目安小委員会」という。)としては、これらの意見を踏まえ目安を取りまとめるべく努めたところであるが、労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるに至らなかった。
5 公益委員見解及びその取扱い。公益委員としては、今年度の目安審議については、平成23年2月10日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告」の4(2)で合意された今後の目安審議の在り方を踏まえ、加えて、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)及び「『日本再興戦略』改訂2015」(同日閣議決定)に特段の配慮をし、諸般の事情を総合的に勘案し、下記1のとおり公益委員の見解を取りまとめたものである。
  目安小委員会としては、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、これを公益委員見解として地方最低賃金審議会に示すよう総会に報告することとした。
  また、地方最低賃金審議会の自主性発揮及び審議の際の留意点に関し、下記2のとおり示し、併せて総会に報告することとした。
  さらに、政府において、「経済財政運営と改革の基本方針2015」及び「『日本再興戦略』改訂2015」に掲げられた中小企業・小規模事業者の生産性向上をはじめとする中小企業・小規模事業者に対する支援等に引き続き取り組むことを強く要望する。
  また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
記。
1 平成27年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安は、次の表に掲げる金額とする。
平成27年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安。
ランク。都道府県。金額。
A、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、19円。B、茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島、18円。C、北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡、16円。D、青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄、16円。
2(1)目安小委員会は、今年度の目安審議に当たって、平成23年2月10日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告」の4(2)で合意された今後の目安審議の在り方を踏まえ、特に地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整備充実に努めてきた資料を基にするともに、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)及び「『日本再興戦略』改訂2015」(同日閣議決定)についても特段の配慮をした上で、とりわけ平成26年において消費者物価が上昇していること、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率が低下していること、影響率が高まる傾向にあること等、諸般の事情を総合的に勘案して審議してきたところである。
  目安小委員会の公益委員としては、地方最低賃金審議会においては、地域別最低賃金の審議に際し、目安を十分に参酌することを強く期待する。
(2)生活保護水準と最低賃金との比較では、乖離が生じていないことが確認された。
  なお、来年度以降の目安審議においても、最低賃金法(昭和34年法律第137号)第9条第3項に基づき、引き続き、その時点における最新のデータに基づいて生活保護水準と最低賃金との比較を行い、乖離が生じていないか確認することが適当と考える。
(3)目安小委員会の公益委員としては、中央最低賃金審議会が今年度の地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることを要望する。
  以上でございます。

○仁田会長 ありがとうございました。
  皆様の御尽力によりまして、先ほど御報告いたしました小委員会報告を取りまとめることができました。重ねて御礼を申し上げたいと思います。
  なお、この報告にもございますとおり、小委員会としては、政府が最低賃金引き上げに向けた中小企業への支援事業を初めとする中小企業に対する支援等に引き続き取り組むことなどの要望をさせていただいていますので、今年の答申におきましても、この趣旨を盛り込みたいと考えております。
  ここまでの内容につきまして、御意見などございますでしょうか。
  よろしゅうございましょうか。
  特にないようでしたら、当審議会としての答申を取りまとめたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。


(異議なし)


○仁田会長 それでは、事務局から答申(案)を配付してください。


(答申(案)を配付)


○仁田会長 それでは、答申(案)を朗読してください。

○上月中央賃金指導官 朗読させていただきます。
(案)。平成27年7月30日。厚生労働大臣塩崎恭久殿。中央最低賃金審議会。会長仁田道夫。平成27年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)。
  平成27年7月1日に諮問のあった平成27年度地域別最低賃金額改定の目安について、下記のとおり答申する。
記。
1 平成27年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった。
2 地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解(別紙1)及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)を地方最低賃金審議会に提示するものとする。
3 地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることとし、同審議会において、別紙1の2に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待するものである。
4 政府において、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)及び「『日本再興戦略』改訂2015」(同日閣議決定)に掲げられた好循環を生み出す経済運営のためにも、中小企業・小規模事業者の生産性向上をはじめとする中小企業・小規模事業者に対する支援等に引き続き取り組むことを強く要望する。
5 行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
 別紙1、2は先ほど読み上げさせていただいたものです。

○仁田会長 ただいまの答申(案)について、御意見はございますでしょうか。
  よろしゅうございますでしょうか。
  ございませんようでしたら、この案のとおり、答申を取りまとめたいと思います。いかがでしょうか。


(異議なし)


○仁田会長 それでは、そのようにさせていただいて、答申を谷内大臣官房審議官にお渡ししたいと思います。答申を用意してください。


(答申文手交)


○仁田会長 それでは、一言御挨拶をお願いいたします。

○谷内大臣官房審議官 賃金担当審議官の谷内でございます。
  本来であれば、労働基準局長の岡崎がこの場に来て答申を受け取り、挨拶をするところでございますけれども、本日は国会の法案審議の関係でこの審議会に出席できないということで、私のほうから挨拶を申し上げたいと思います。
  平成27年度の目安につきましては、小委員会報告を取りまとめていただきまして、皆様に厚く御礼を申し上げます。
  本年度の調査審議におきましては、経済財政運営と改革の基本方針及び日本再興戦略に配慮しつつ、とりわけ平成26年におきまして消費者物価が上昇していること、地域別最低賃金の最高額に対します最低額の比率が低下していること、影響率が高まる傾向にあることなど、諸般の事情を総合的に勘案して、真摯な御議論を尽くしていただいたと承知しております。
  今後、本日いただきました答申を各都道府県労働局に伝達いたしまして、各地方最低賃金審議会におきます地域別最低賃金額の改定審議が円滑に進められるようにしてまいりたいと考えております。
  皆様方の御尽力に心より感謝申し上げまして、お礼の御挨拶とさせていただきます。
  長時間にわたる御審議、まことにありがとうございました。

○仁田会長 どうもありがとうございました。
  ほかに何かございますでしょうか。
  よろしいですか。
  それでは、以上をもちまして第44回「中央最低賃金審議会」を終了いたします。
  本日の議事録の署名につきましては、新沼委員と中西委員にお願いいたしたいと思います。
  本日はどうもお疲れさまでございました。
 

 

 


(了)
<紹介先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室
最低賃金係(内線:5532)

代表:03-5253-1111

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