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2016年3月16日 第2回大学附属病院等のガバナンスに関する検討会

○日時

平成28年3月16日(水)


○場所

共用第8会議室


○議事

○佐藤医療政策企画官 それでは、定刻まで少しございますけれども、皆様おそろいのようですので、ただいまから、第2回「大学病院等のガバナンスに関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本検討会に御出席いただき、まことにありがとうございます。

 議事に入ります前に、前回いらっしゃらなかった方の御紹介をさせていただきます。

 国立病院機構大阪医療センター院長、楠岡英雄構成員です。

 公益社団法人日本医師会常任理事、鈴木邦彦構成員です。

 中央大学法科大学院教授、野村修也構成員です。

 東京慈恵会医科大学名誉教授、森山寛オブザーバーです。

 また、草刈構成員の補佐として、本日、長田院長補佐・医療安全管理部長にお越しいただいております。

 なお、本日は、山口構成員より御欠席の連絡をいただいております。

 続きまして、事務局です。

 医政局長の神田でございます。

 医政局地域医療計画課長の迫井でございます。

 なお、立教大学法学部の松井秀征構成員は、追っていらっしゃるという御連絡をいただいております。

 次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席表のほか、議事次第にありますとおり、資料1から5、参考資料として、本検討会の設置要綱、ほかに第1回資料がお手元にございますでしょうか。

 資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 それでは、以降の進行は、座長にお願いいたします。

○田中座長 皆さん、こんにちは。

 お集まりいただきまして、ありがとうございました。

 早速ですが、議事に入ります。

 冒頭に、前回私から質問した大学病院の組織上の位置づけ、すなわち大学附属病院か医学部附属病院かの現状について、文部科学省から資料が出ております。

 説明をお願いいたします。

○寺門文部科学省高等教育局医学教育課長 資料5をごらんいただきたいと思います。

 まず、大学での位置づけの前に、資料5の1枚目が「大学設置基準(抜粋)」でございます。ここに附属病院の規程がございますので、まず、この説明をさせていただきたいと思います。

 大学設置基準は、大学あるいは大学の学部等を設置する際、あるいは設置後の運営において、遵守すべき基準を定めているものでございます。これは、文部省令として位置づけてございます。

 その中に「附属施設」という条文がございまして、読み上げます。

 第三十九条 次の表の上欄に掲げる学部を置き、又は学科を設ける大学には、その学部又は学科の教育研究に必要な施設として、それぞれ下欄に掲げる附属施設を置くものとする。

という規程がございます。

 これに基づきまして、医学または歯学に関する学部には、附属病院を置くというたてつけになってございます。ここは、大学に医学部を置く場合は、附属病院を必須とするという規程でございます。

 大学附属病院の各大学におけます位置づけでございます。それは各大学のいわゆる内部規則によって組織上、位置づけられておりますので、今般、私どものほうで、各大学から組織規程などの提出をいただきまして、そこで調べた結果がこの次の裏面にあるものでございます。

 まず、大学附属にするという病院が30病院でございました。それから、学部付属、医学部附属等とする病院が47病院で、その他という組織規程上、学校法人に直接病院を置いている形態のものが2病院でございました。

 前提として申しおくれましたけれども、大学病院のいわゆる本院、全体数で79病院を対象に調べたものでございます。

 以上が「大学附属病院の組織上の位置付け」ということで、各大学の組織規程から見たものでございます。

 2枚目の最後にございます、いわゆる大学病院のリストでございまして、前回私から、大学の名称と組織上の位置づけが一致しない場合もあると御発言させていただきました。

 例えば1番の番号を付してございます規程を確認したところ、これは2番目にあります学部附属の位置づけという大学もございました。ここはもう各大学で、それぞれ名称や組織規程に沿った位置づけということであろうと思っております。

 以上でございます。

○田中座長 調べていただいて、ありがとうございました。

 続いて、構成員とオブザーバーの方から、それぞれの資料の説明を行っていただきます。

 説明の終了後に、残り時間を勘案しつつ、意見交換の時間を設ける予定でございます。

 まず初めに、草刈構成員より説明をお願いいたします。

○草刈構成員 皆様のお手元にあると思いますが「公益財団法人がん研究会のガバナンス体制」ということで、御説明を申し上げます。

 医療安全体制というものがガバナンスの非常に重要な部分を占めているということで、私どものがん研究会の担当をしていただいている、院長補佐で医療安全部長の長田先生に後で御説明をしていただきますが、ざっと私から概略をまず御説明いたします。

 1ページ目、左側に色つきのものがございます。これがガバナンス体制の、言ってみれば総括図、全体像です。

 これで見ていただきますと、一番上に評議員会というものがございます。これは20人いるのですけれども、外部ばかりで、これは普通の会社で言うと、株主総会に当たると言われています。

 その下に理事会というものがございまして、私がこの理事長をやっているわけですが、普通の会社で言うところの取締役会です。内部の理事、常勤と書いてありますが、これが7人、非常勤、つまり外部の有識者の医療関係者も含めて14人、そして、監事が4人ということで、毎月開催をしています。

 その下のほうに茶色っぽいもので、同じく経営会議というものがございまして、今は議長を、代表理事として研究本部長にやってもらっていると。そして、構成員はここに書いてあるとおりで、言ってみれば、企業で言うところの執行役員会だと認識していただければいいかと思います。

 評議員会、理事会、経営会議、この3つがいわゆるガバナンス体制のバックボーンと理解していただければと思います。

 それとは別に、理事会の右側に監事会というものがございます。これは監事が4人いまして、監事会というものを月1回やっているのですけれども、これは全く独立の組織で、運営の病院、つまり研究所も含めて、がん研全体の運営の監視組織だと考えていただいて、赤い矢印が研究本部、病院本部、経営本部のところに書いてあります。

 その3つのバックボーンの下というか、それが実際に運用あるいは運営をしている部隊で、経営本部、病院本部、研究本部の3つになります。

 その前に、上のほうに書いてありますが、左側がいわゆる内部統制関連の主要委員会ということで、コンプライアンス委員会、そして、がん研究会倫理委員会というものがございます。

 右側に、チーフコンプライアンスオフィサーと書いてありますが、これは理事長直轄です。そうしないと、いろいろと雑音が入るので、理事長直轄ということにしております。

 下のほうを見ていただきますと、経営本部というものがあって、病院本部、これはもちろん本部長が病院長で、この下に副院長、院長補佐等々がございますが、病院運営会議というものがありまして、これが病院の意思決定機関です。

 この左側に、病院各種委員会というものがございます。これは別紙にありますので、これで御説明しますけれども、とりわけ一番大事なものは、この病院長というところの下のほうに安全・倫理・施設担当の院長補佐と医療安全担当、ここで医療安全関係の部分を担当しているということで、これは後で長田先生から説明をしてもらいます。

 経営本部というのは、ここにずらっと書いてある総務とか企画とか財務とか人事とか購買といろいろありますが、これは病院だけではなくて研究本部も含めて、いわゆる病院の経営をどうやっていくのか、それについての運営をつかさどっていると考えてください。

 病院のほうは言うまでもないですが、研究本部のほうは3つに分かれていて、がん研究所とがん化学療法センターというものがあります。それから、ゲノムセンターとなっています。

 次のページをお願いします。

 先ほど申し上げた、いわゆるバックボーンの部分ですけれども、それの規程がそれぞれありまして、まず2ページ目ですが「公益財団法人がん研究会定款」と、いわゆる定款です。これががん研全体をつかさどるルールです。これは全部つけてもしようがないので、こういうものがありますよという意味です。

 次が、実質的に病院全体の意思決定をしているのが理事会です。それで、ここに「理事会運営規則」というものがございまして、3ページ目にありますが、これ以降、全部で9ページあるのですが、ここで省略します。

 この中で一番大事なのは、理事会で何を決裁するのか、付議をするのか、報告をするのか、そういうことを一覧表にまとめたものが、この4ページ、5ページになります。財団の経営に関する事項であるとか、次のページに行きますと、いわゆる人事の話であるとか等々、いろいろなことを、黒丸のものが決議をするということ、黒四角の部分が報告事項と規定しています。

 それから、経営会議というものがその下にあるわけですが、これも1ページから4ページまで規程がございます。

 次の7ページ、8ページを見ていただきますと、同じようにここで何を決議するのかということでございまして、その途中に「財産の処分及び譲受」というものがあります。これは、いわゆる何ぼ以内だったら決めてもいいよという権限規程があると。

 白丸が、理事会に対して付議を決議する。つまり、経営会議だけでは決まらないわけです。例えば上から3番目の「コンプライアンス体制」、これは理事会で決議しなければいけない等々、このような形にルールづくりをしています。これが8ページ目までです。

 次が、今までものは、いわゆる先ほど申し上げたバックボーンのところなのですけれども、それと同時に職員の就業規則というものは当然あるわけでありまして、これは最初の1ページ目だけですが、下のほうに書いてありますが、「第9章 秩序維持 第51条 職務上の遵守義務」というものが最終条になっていると。

10ページ目ですが、これに付随して賞罰規程というものがございまして「第2章 表彰」はどうでもいいのですが、特に「第3章 懲戒」というところで、現実にそういうことをやっていると。これも23条まであるわけです。

11ページ目、いわゆる病院関係の委員会、次の12ページになりますと、公益財団法人のがん研究会そのものの委員会と、2つに分かれます。

 がん研究会の12ページのほうですけれども、この中でコンプライアンス委員会であるとか、倫理委員会であるとか、その後、ずっと3番目から9番目ぐらいまで、これは研究所関連の委員会になります。あとは広報委員会等々です。

11ページ、これは病院のほうです。この中で、いわゆる安全・倫理・施設の担当の副院長がまずおりまして、もちろん病院長が一番上です。一番上の病院運営会議、診療部長会議、病院管理者連絡会議、経営改善委員会、これは病院長の直轄です。

 あとは、副院長に権限を渡して、この人たちが管理をすると。

 上から2番目のところで、安全・倫理・施設担当の副院長、そのアンダーウイングに院長補佐で医療安全担当という人がおられまして、医療安全については、こういう形で管理していく体制になっておりますので、その部分は、せっかく長田先生が来ておられるので、具体的に御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。

○長田参考人 では、続いてよろしいでしょうか。

 私のほうからは、病院の委員会のページを御説明申し上げます。

 当院では、病院長のもとに副院長、院長補佐を配置して、各委員会の担当というものをつくっております。私はこの3つ目のところの院長補佐(医療安全担当)のところに該当するのですけれども、私の該当する委員会のところには、オブザーバーもしくは委員として参加をする。ですから、ほかの委員の先生方は、例えば副院長の先生方であれば、この治験倫理審査委員会などの担当、もしかすると委員長という形で、何らかの形でかかわっているということになります。

 医療安全については、院内感染対策、医療安全管理委員会、当院では、事故調査委員会を、有害事象という言葉で広く定義しておりますので、有害事象調査委員会を事案に応じて開催しております。

 そのほかには、法で定められている医療機器安全管理委員会、医療ガス安全・管理委員会、こういったものを担当しているのが私の仕事になります。

 こういう委員会活動なのですけれども、先ほど草刈から申し上げましたとおり、コンプライアンスの部門が、絶えずチェックする体制になっております。

 最初の2ページ目にありますチーフコンプライアンスオフィサーもしくは監査・コンプライアンス室から、私たちのこの委員会、例えば私が担当している医療安全管理委員会ですけれども、こちらにはオブザーバーとして毎回出席していただいております。ですから、院内の医療安全に関する、例えばインシデント、アクシデント、事故事例、こういうものの検討については、全てチーフコンプライアンスオフィサーに見ていただいております。

 時々ですけれども、医学的な検討を行っているところでチーフコンプライアンスオフィサーは医学関係者ではございませんので、これこれはどういうことですかという形で質問を受けたり、普通の医療を受ける方の立場として、これこれはこう思うのですけれども、という御意見をいただくことがあって、その場で説明をしているというのが現状です。

 それとともに、監事会に、私どもが必要に応じて説明に伺うことがございます。例えば、コンプライアンス委員会で調べた事案について、これはどうなっていますかということで、私も臨時で出席して説明するということが、昨年もおととしもございました。

 こういう形で、医療安全管理委員会一つをとっても、医療安全の構成員、すなわち医師、看護師、各部門の代表者とともに、当院では、チーフコンプライアンスオフィサーを初めとする、病院の外の同じがん研という組織の中ですけれども、医療従事者ではない方が目を光らせているというのが特徴かと思っております。

○草刈構成員 私どもからの御説明は以上です。

○田中座長 ありがとうございました。

 草刈構成員は所用により途中で退席されるとのことですので、ただいま御説明いただいた内容について、質問がありましたら、この機会にお願いいたします。

 どなたからでも、どうぞ。

 鈴木構成員、お願いします。

○鈴木構成員 この1ページのガバナンス体制というところを見せていただきますと、病院長が随分下のほうにあるように見えるのですけれども、この上の理事会や経営会議には、院長は入っていないのでしょうか。少なくとも経営からは分離されているということはわかりますけれども、そこがよくわからないので教えてください。

○草刈構成員 それは失礼しました。評議員会は、もちろん病院側の説明という意味では入っていますが、理事会は、言うまでもなく理事会というところに、構成「理事(常勤):7名」の中にもちろん院長は入っております。それから、3本部長と先ほど申し上げた3人とも入っていますが、院長は当然入っている。

 経営会議にも、司会は研究本部長がやりますが、当然のことながら「理事長、理事」と書いてある、その理事の一人として当然入ってきて、一番発言が多いのは病院長です。

○鈴木構成員 わかりました。ありがとうございます。

○田中座長 せっかくの御発表ですので、どうぞ、どのようなことでも結構かと存じます。御質問をお願いいたしますが、いかがでしょうか。

 矢野構成員、お願いします。

○矢野構成員 聞き漏らしたのかもしれませんが、いわゆる理事というものは、評議員会で選ばれるということになるのだと思うので、病院長も理事の一員としてそこで、承認されたりすることになるのでしょうが、病院長の推薦などは、どうなるのでしょうか。

○草刈構成員 この前も話題になりましたけれども、病院長については、いわゆる手を挙げてもらうということはやるのですが、その場合、ほとんど手を挙げる方がいらっしゃらないので、私が理事長として、前の院長、今、名誉院長という名前で3人がいらっしゃいますが、その方とか、あるいは副院長クラスの人々の御意見を聞いて、それで、この方がふさわしいのではないかというので、まず、当然のことながら理事会にかける。理事会で承認をされた場合に、当然評議員会にもかけるという段取りでやっています。

○矢野構成員 では、立候補が特になければ、理事長の方がいろいろな情報を得て推薦してという流れになるのですか。

○草刈構成員 そうですね。立候補される方がいなければ、そういう形で2、3人の中からこの方がふさわしいというので、推薦する形です。ただ、もちろん理事会、評議員会で承認されなければできないので、そういう過程でやっていると。

○矢野構成員 わかりました。

○田中座長 梶川構成員、どうぞ。

○梶川構成員 監事会の構成なのでございますけれども、4人おられるということで、これはお医者様も含め医療従事者とそうでない方と、どのような感じでございましょうか。

○草刈構成員 医療関係者はゼロです。もちろん、事務局は病院の中にいますけれども、一人は弁護士、一人は公認会計士、もう一人はなぜか金融庁のOBの方です。この人はいろいろうるさいことを、このごろ金融庁が言うガバナンスについても言いますので、その方が一人。もう一人は、監査をずっとやっていて、日本監査役協会というものがあって、それの会長をやられた方が一人、そういう方と、会計監査と弁護士さんと、今、申し上げた金融庁という4人で、全く外部の方です。

 特にこの医療安全とコンプライアンス、この2つについて、この外部の方々がこれでよろしいと一般論としてあるいは常識論として、判断をしてもらうケースが非常に多いです。

○田中座長 私からも質問させていただきます。理事長、院長の任期は何年でしょうか。そして、任期は重なっているのでしょうか、ずれているのでしょうか。

○草刈構成員 任期ですか。重なっているというのは。

○田中座長 先ほど、院長を推薦されると言われましたが、理事長と院長の任期が一緒だと、両方とも次の期、同じときにかわるのだとなかなか頼みにくいのではないか。理事長が現職で、院長だけかわるほうが頼みやすいのかなと思ったもので、御質問させていただきました。

○草刈構成員 院長としての任期というものは特段ないのですけれども、ただ、理事ですから、理事の任期は2年ずつなのです。そこでひっかかるのが一つと、そんなに若い方は今までのところは院長になっていなくて、院長の定年は70歳なのです。ですから、今までの中でも一番長くやられた方が5年ぐらいで、大体3年前後というのが在任期間、今までの経緯から言うと、そのような感じでございます。

○田中座長 ありがとうございます。

 公益法人としての理事は2年、これは通常ですね。

○草刈構成員 理事は2年。

○田中座長 そして、院長は任命された後定年まで、ただし、理事でなくてはならないと。

○草刈構成員 そうです。

○田中座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 楠岡構成員、どうぞ。

○楠岡構成員 つまらない質問なのですが、代表理事と理事長と置かれているわけですけれども、これはどういう関係にあるのでしょうか。法人を代表されるのは代表理事で、理事会の議長が理事長という、そういう関係なのでしょうか。

○草刈構成員 そうではなくて、さっきの定款に役員等というところがございまして、ここには書いていないですけれども、まず、理事会の構成というのは、代表理事の理事長がいて、その下に代表理事を2人置くことになっています。2人以内ということになっていまして、今は研究本部長と病院長が代表理事になっています。

 そういうことで、3ページにちょこっと書いてありますけれども「理事長が事故により召集できない場合又は欠けた場合には、他の代表理事が招集する」と。だから、何かあったときに理事長の代行をするという意味で、だけれども、ほとんどそういうケースは今のところありません。

○田中座長 野村構成員、どうぞ。

○野村構成員 聞き漏らしたのかもしれませんけれども、いわゆる内部通報とか、あるいは外部の例えば弁護士事務所などに通報するような仕組みというのは、設けられているものなのでしょうか。

○草刈構成員 もちろん、このコンプライアンス委員会でCCO、チーフコンプライアンスオフィサー、そこに行ってもいいのですけれども、もうちょっとやわらかな形でやろうというので、これは私が理事長になってからつくったのですが「がん研なんでも相談所」というところがありまして、そこには各3本部のどちらかというと中堅クラスの方に委員になっていただくのと、名誉院長です。今で言うと、前の前の中川院長というのがいまして、その方が名誉院長なのですが、その方にチーフをやってもらって、それでいわゆる個人情報を、そこで一切外に言わないという前提でやっています。もちろん、コンプライアンスオフィサーのところに行ったものも、個人情報を保護するというのは鉄則です。

 そういうことで「がん研なんでも相談所」というところがあれしているのですけれども、意外とコンプライアンス室のほうに来てしまっていて、相談所に行くとばれてしまうのではないかというところで、余り期待したほど機能していないので、あなたたちが悪いのではないのと時々言っているのですけれども、そのような構成です。

○田中座長 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 この組織図を見ますと、病院本部と経営本部に分かれております。経営本部というのはいわゆる事務部門だと思うのですが、病院長は経営に対してどの程度関与しているのか、それとも経営には関与しないで、運営というか、病院の診療の責任者としてのみの仕事をされているのか教えてください。

○草刈構成員 決して関与をしていないわけではございませんで、ここに書いてありますように、病院運営会議というのも病院長がやっていますし、この図で言うと茶色い病院長の下に書いてあります。

 それから、病院の中で経営改善委員会というものがあるのです。これも病院長の直轄になっています。だから、いわゆる3本部長の会議の中に、当然、病院運営委員会に経営本部長が行ったりしていますし、幾ら経営本部がいろいろなことを言っても、病院の体制が整っていなければできませんから、そこのところは非常にソフトの部分も含めてツーカーでやっています。特に医事のところ、医事部というのが経営本部の中にありますけれども、これは病院とは切っても切れないわけでして、ただ、いわゆる職員の管理とかそういう意味では経営本部がやるということ。あと、企画とか財務というところで、予算・決算のような数字の管理はこちらでやっている。

 だけれども、今、例えば、経営的にもこれから消費税が上がるかどうか知りませんけれども、いろいろな意味でこれから苦戦を強いられるのがわかっているので、SG16というのがあるのですが、ステップアップがん研という業務改革運動をやっていまして、そのヘッドは院長にやってもらっているとか、その辺は非常に融通むげにある意味ではやっている。ただ、経営の責任は経営本部が持たなければいけないという仕掛けにはなっている。

○鈴木構成員 経営の責任が経営本部という組織になると、責任の所在が曖昧になりませんか。経営の責任者は理事長ということではないのでしょうか。

○草刈構成員 それは最終的には理事長ですが、経営本部と病院本部と研究本部の3つの中での経営部分についての責任者は経営本部長ということで、例えば医療事故であれ何であれ、研究のところも含めて最終的な責任は理事長になる。これははっきりしています。

○鈴木構成員 そうすると、医療安全管理の責任者は院長ということでよろしいですか。

○草刈構成員 そうです。ただし、そういうことについて問題があった場合は、当然、理事長の責任に最終的にはもちろんなる。

○鈴木構成員 そうすると、医療安全管理も経営も理事長が責任者ということですか。

○草刈構成員 例えば医療安全についても、これは私の知識ではとてもだめだと。だからお任せをしていますが、しかし、最終的に何かあった場合の責任は当然トップである理事長がとらなければいけないということです。

○鈴木構成員 それは立場上、組織上はそうなるでしょうが、経営と医療安全管理とでは、院長にとって責任の重さが同じレベルではないと見えたのです。理事長は最終的にどちらにも責任があるというのは当然だと思いますが、その辺はどうなのでしょうか。

○草刈構成員 医療安全については、明らかに院長の指揮のもとでやっていますから、そういう意味での責任権限は当然病院長にあるということです。

○田中座長 梶川構成員。

○梶川構成員 経営本部に人事部というのがおありなのですけれども、この人事部の見ておられる人事というのは、どの範囲の対象でいらっしゃるのでしょうか。この病院の中の人事というのにどういう御関係を持たれるかというところをお聞きしたかったのです。

○草刈構成員 まず、いわゆる管理部門については、当然この人事部長が全部責任を持つというか、管理をしている。ただし、大きく分けると、医師の関係の方々、それから看護師、この2つについては当然のことながら、研究のほうもそうですけれども、これはそれぞれの長が、病院であれば病院長、看護部であれば看護部長が責任を持って人事も当然やります。

 ただし、重要な人事については、この人事部を通して経営会議なり理事会にかける。それはやっています。ただ、例えば医長とか、そのクラスの人事は病院にお任せしている。看護師の場合は師長までは看護部長がやる。副部長以上になると経営会議にかけなければいけないというルールです。

○田中座長 ひとわたりよろしゅうございますか。

 では、草刈構成員並びに長田参考人、どうもありがとうございました。

 続いて、オブザーバーの山本先生より説明をお願いいたします。

○山本オブザーバー 「国立大学附属病院の現状と課題」ということでまとめてまいりました。

 まず1ページ目には、42国立大学病院に共通する現状をまとめております。1つ目は、2014年と2016年、2回連続した実質的な診療報酬マイナス改定が起こっております。

 それから、国立大学附属病院におきましては、人件費は人事院勧告に準拠しております。これによる人件費の負担増が平成26年、27年とここに挙げているような数字で起きておりますし、千葉大学の場合には、これに加えて地域手当が10%から15%にふえるということも起きております。この辺は病院として全くコントロールができない状態でございます。

 さらに、消費税の補填不足、42大学病院合わせて平成26年度決算で54億円の補填不足が生じております。これらがあわさって危機的な経営状況が出現しております。

 これに対応するために、各大学では医療機器設備の更新を抑制することで何とか乗り切りを図っているところでございます。実質的に平成26年度決算では、国立大学病院全体で168億円を機器の更新に充てておりますが、これは前年度に比べると87億円のマイナスでございます。正確な数字は難しいのですけれども、およそ42国立大学病院全体では年間1,000億円の投資が機器の更新に必要と想定されておりますので、減価償却が進んだ機械も、まだ、だましだまし多くの病院で使い続けている状況がございます。

 そして、何よりも重大なことは、一番最後に述べております医療安全に関する重大な事案に端を発した病院のガバナンスということがございます。これに対しては、平成27年6月に国立大学附属病院長会議が「国立大学附属病院における職業倫理、診療体制、及び、医療安全に関する緊急提言」を取りまとめて、各大学病院に発出するとともに、プレスリリースなども行っているところでございます。

 2ページ目をごらんいただけますでしょうか。次も、やはり42国立大学病院に共通した課題を挙げております。その1が医療安全管理体制の再構築でございます。特定機能病院に対する集中検査及び特定機能病院の要件見直しを踏まえた医療安全管理責任者の配置、医療安全管理部門の体制強化、そして、医療事故を防ぐ体制の確保への対応を進めなければならないところでございます。

 2番目としては、経営体制の強化がございます。病院長が責任を持って経営を行うための権限の強化と、それにあわせた組織の見直しということがございます。

 このような医療安全と経営両面にわたって大学病院のガバナンスの確保ということが重要になってまいります。中では、病院長の権限と責任の明確化、そして、附属病院の特殊性、総合大学の場合は複数の部局から成り立ちますが、その中でも附属病院は病院経営、あるいは診療提供体制の管理、医療の質と安全性の確保など極めて特殊な状況に置かれておりますので、そのような中での病院長の選考のあり方というのも課題となってございます。

 また一方で、初期研修医の確保、そして、来年度から始まる新専門医制度への対応を踏まえた地域の医師の配置のあり方など、人材育成の問題も抱えております。

 そして、数年来問題となっておりますが、臨床研究体制の持続可能性の担保、これは臨床研究の信頼性と透明性の確保ということでございますが、さらに加えて、国立大学附属病院全体の底上げというのも重要と考えております。これは特に臨床研究中核病院が今、指定が進んでいるところでございますが、それと連携する形での他の大学病院の底上げが必要と考えているところでございます。

 3ページ目以降は、千葉大学病院の事例を御紹介申し上げたいと思います。

 まず、医療安全管理体制の再構築につきましては、病院長をトップに関係部署が緊密に連携がとれる体制を構築してございます。右側の図にありますように、病院長のもとに安全管理及び危機管理担当の副病院長を置いております。その下に、情報セキュリティーにかかわる企画情報部、そして、医療機器安全にかかわるME危機管理センター、医薬品安全管理責任者を置いてある薬剤部、感染制御部、そして、最も重要な医療安全管理部でございます。

 医療安全管理部は22名から成っておりまして、このうちのコアメンバー8名、左側にございますように、27年4月1日付で専任の医療安全管理部教授、専任の医師GRMを採用しているところでございます。現在、国立大学病院では専任の教授を置いているのが5名でございますが、約半数の大学では専任の医師、GRMを置いているということでございます。

 もう一度右側の図にお戻りいただきますが、この安全管理・危機管理担当副病院長のもとにさまざまな委員会を設けてございます。病院倫理委員会、これは、高難度新規医療技術などの導入、あるいは緊急に承認外の治療を行わなければならない場合、ここで審査をいたします。そして、医療の質・安全管理委員会で、医療安全全般にわたる審議を行い、診療経過審議委員会では、レベル3B以上のインシデント発生時に診療経過を審議し、さらに医療事故調査が必要と考えられた場合には、外部委員も入れた医療事故調査委員会を組織して、病院長宛てに報告書が上がるような体制となってございます。

 4ページ目をごらんいただきたいと思います。医療安全管理体制の再構築の一環として、担当副病院長の権限の強化をいたしました。従来、医療安全管理担当であった副病院長の職務に危機管理を追加いたしまして、情報セキュリティー、感染対策、災害対策も含めた、より幅広い管理体制を構築しているところでございます。これは、どれもがお互いにリンクしているという状況を見据えての対応でございます。

 また、職員に対する研修内容の見直しも行いました。これは、インシデントレポート報告件数が他大学に比べてやや低い状態であることに着目いたしまして、研修内容の検討を行い、全職員対象の医療安全研修において、インシデントレポート報告の重要性を周知して、インシデント報告文化というものの醸成を図っております。そのおかげをもちまして、ごらんのように平成26年から平成27年で約1,000件、インシデントレポートが増加しているところでございます。

 また、27年7月からは医療安全管理部におきまして、全ての死亡退院患者の検証を行ってございます。これは各診療科への全ての死亡退院患者のスクリーニングを開始して、問題があると思われる症例につきましては、医療安全管理部が診療科へ介入をしております。その手続については、下に示すとおりでございます。

 また、高難度新規医療技術の審査体制の確立もいたしました。病院長のガバナンスをより一層明確にする観点から、平成27年7月1日付で病院倫理委員会、これはその後、名称を臨床倫理審査委員会に変更しているところでございますが、ここで臨床試験や治験以外の医療行為について倫理審査を実施しているところでございます。

 次に、5ページをごらんいただけますでしょうか。経営体制の強化に向けましては、病院長企画室というものを設けました。これは、従来の事務部門から独立させて、病院長直属の組織として設置し、この中には、外部から招聘した病院経営の専門家に特任教授をお願いして、それ以外にも3名の教員を配置しているところでございます。専門的観点から病院経営及び運営に関する分析、企画、立案及び調整を行って、健全な病院経営を確立しています。

 このような過程を通じて、経営戦略の柱というのも立てておりまして、一つは、新入院患者の増加を目指しておりますし、もう一つは、入院診療単価の向上を目指しているところでございます。そのためには、平均在院日数の短縮、あるいはDPCの医療機関別係数の向上、さらには医療材料費の削減に取り組んでいるところでございます。

 6ページをごらんいただけますでしょうか。大学病院のガバナンスの確保という点で、千葉大の現状を御報告申し上げます。

 まず、大学本部のお話でございます。役員としては、学長、理事6名、監事2名がおります。理事は学長を補佐して、法人の業務を掌握し、そして、学長に事故があるときはその職務を代理し、学長が欠員のときはその職務を行うというふうに定められております。理事の任期は2年で、再任可であります。

 役員会は、この学長と理事で構成されておりまして、役員会の審議事項は、中期目標あるいは計画、年度計画の策定、そして予算・決算、学部等組織の設置または廃止について審議し、原則月1回開催されております。

 しかし、この月1回の開催ではとても機動性が確保できないということから、その下にありますように、経営戦略の企画立案や役員会での議題整理のために、経営戦略会議というものが週に2回開催されておりまして、ここには副学長も入っております。

 千葉大学におきましては、病院長は副学長に任命されておりまして、役員会には陪席して、経営戦略会議は構成員として入ってございます。

 それ以外に、監事の業務としては、業務の適正かつ効率的な運営の確保、会計経理の適正を期するために年に1度、監事による業務監査、会計監査が各部局に入ってまいります。平成26年度の病院に対する監査の指摘事項を踏まえまして、学長からは、病院経営改善の体制整備について指示がございまして、それをもとに、先ほど御紹介した平成27年5月の病院長企画室の設立、あるいは入院診療単価の向上等についての対策を講じて、学長に報告しているところでございます。

 次に、7ページをごらんいただきたいと思います。千葉大学における病院長の選考及び任期についてでございますが、これは千葉大学部局長選考規程で定められております。その規程では、部局長は学長が選考する。そして、学長は選考に当たり、当該部局、これは医学部附属病院長の選考に当たっては医学研究院、いわゆる医学部に複数名の候補者の推薦を求めることができるとなっております。候補者は、みずから立候補するほか、原則としては、ここにありますように、医学部の教授会から4名以上、医学部の准教授・講師会から1名、あるいは助教会から1名の推薦が必要となっております。

 この立候補あるいは被推薦者の資格としては、医学部あるいは附属病院の専任教授というふうに内規で定められており、この立候補者あるいは被推薦者のうちから医学部の教授会で投票を行って、医学部長は得票上位の者から複数名を学長に推薦するとなってございます。

 千葉大学の一般の部局の部局長の任期は2年でございますが、附属病院におきましては、これを3年に延長しているところでございます。原則として1回に限り再任可ということであります。

 しかし、学長は、部局長の任期に特例を設けることができるということも選考規程に定められております。さらに、心身の故障、職務上の義務違反、あるいは部局長として不適格の場合は、学長は部局長を解任できるという規程もございます。

 8ページをごらんいただきたいと思います。千葉大学病院の中での管理者の責務、ガバナンスについての規程上の現状でございます。

 まず、病院長の責務につきましては、病院長は病院の管理運営に関する業務を総括するとなっております。そして、附属病院を含む大学教職員の任命権者は学長となっています。副病院長は病院長が指名し、学長が任命する。それ以外の病院長補佐あるいは診療科長、中央診療施設等の長は病院長が認定いたします。

 また、診療科長に関しましては、その科に対応する医学部の教授を充てるということも病院規程に定められてございます。

 副病院長、病院長補佐、診療科長、中央診療施設等の長の任期は1年で、もちろん再任は可でありますが、解任の規程は設けてございません。

 病院の運営方針の意思決定というのは、副病院長あるいは診療科長、各種委員会から執行部会に上げられて、そして、運営会議で最終決定という流れでございます。この執行部解というのは、病院長、副病院長、病院長補佐で構成されておりますが、病院の管理運営に関する事項等を審議いたします。週1回、開催をしているところでございます。

 運営会議は、病院の管理、運営に関する重要事項を審議いたしますが、月1回の開催で病院長、各診療科長、中央診療施設等の各部長で構成されているところでございます。左側には病院の組織図をお示しいたしているところでございます。

 最後のページをごらんいただきたいのですが、大学附属病院のガバナンスの強化に向けて、国立大学病院長会議として、今、提言の取りまとめを進めているところでございます。それは、国立大学附属病院長選考のあり方を改善してはいかがかという提言でございます。ここにございますように、経営環境の厳しさ、安全管理の責任が増す中で、今後の病院長には、ほかの教育研究組織、ほかの部局に比して事業規模が格段に異なる組織の運営に必要な経営力が求められるとともに、学生を含む大学の構成員以外の者、すなわち患者さんの生命・健康を預かる組織として、診療提供体制の管理、医療の質や安全性の確保に必要なマネジメント力が求められていると考えます。

 病院長は、ほかの部局と比べて、このように幅広い分野にさまざまな能力を有することが求められるため、医学教育・医学研究・高度医療を担う大学附属病院の病院長として求められる必要な資質・能力の明文化が必要であろうと。そして、病院長の職務・権限の明確化、また、病院長の選考を複数候補者のもとで実施し、その選考過程の透明化を図るために、広くステークホルダーの意見を反映させるよう、病院長選考会議を設置する。このようなことを病院長の任命にかかわる学長が定める手続、大学の内部規則に盛り込むことが必要ではないかと附属病院長会議では考えているところでございます。

 この内容に関しては、もちろん、最終的な任命権者は学長でございますので、国立大学協会とも連携して、近日中にこのような提言を国立大学附属病院長会議として取りまとめる予定でございます。

 それ以外に、病院長のマネジメント能力の向上を図りまして、国立大学附属病院幹部職員セミナー病院長塾というものを開催しております。これで病院長、あるいは将来病院長になるであろう副病院長のマネジメント能力の向上にも取り組んでいるところでございます。

 以上、国立大学病院全体にかかわること、それから千葉大学の現状について御報告申し上げました。ありがとうございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 ただいま山本オブザーバーから御説明があった内容について、御質問があればお願いいたします。

 鈴木構成員。

○鈴木構成員 ありがとうございました。幾つかお伺いしたいと思います。

 まず、千葉大の場合は院長には経営能力が必要であるということを重視されていると思うのですけれども、先生はその経営能力について、一般病院の病院長と同じ感覚でよいのかということをどのようにお考えなのか伺いたいと思います。

 ここに書いてある井上室長という方は有名な経営コンサルタントでもあるのですけれども、こういう方を特任教授にして中に入れるということは、一般病院と全く同じスタンスで経営をしようとしていると我々は受け取るのですが、大学病院がそれでよいのかという気もするのですが、どのようにお考えなのかと思います。

 次に、6ページ目にあります、病院長が副学長になっていることはよろしいと思うのですが、7ページで、病院長は複数の推薦者から学長が選考するのがいいとおっしゃっていますけれども、一方では学長が任命しているところもあるわけですが、その問題点はどういうことなのか、先生のお考えを聞かせていただければと思います。

 それから、9ページの、経営力ということですが、これは私は、臨床の教授に求められるさまざまな資質の中で最もかけ離れたと言っては失礼ですけれども、教授になるためには最も遠い能力ではないかという気がするのです。たとえ病院長になられてから経営の勉強をされても、ひととおり身につけるころには、もう院長を退任することになってしまうのではないかと思います。そうすると結局、外部のコンサルタントに頼って、事実上その言いなりに経営をしてしまうということになります。大学病院は地域医療連携の頂点に立つ病院ですので、高度医療を担う役割が期待されているわけですが、そこが経営重視ということになりますと、ある大学病院のように、大学病院でありながら回復期機能、慢性期機能を持つ病院が出るような状況にもなってしまうのではないでしょうか。果たしてそれでいいのかなという気がするのですが、先生のお考えをお聞かせいただければと思います。

○田中座長 3点の御質問です。

○山本オブザーバー ありがとうございます。

 まず、経営に対する考え方でございますが、大学病院の経営というのは、実際に担当しておりますと、一般病院よりもはるかに難しいものではないかということを考えております。先ほど先生もおっしゃいましたように、診療以外に教育、研究という医育機関として、それから研究機関としても重要な役割がございます。その一方で、私たちが担当している医療は、最も高機能の部分、最も急性期の部分を担当しておりますので、人手もかかりますし、極めて高コストの部分を対応させていただいている部分がございます。平たく言うと、利益幅の少ない部分を担当しつつ、その少ない利益の中から教育と研究にもリソースを割かなければいけないという部分で、非常に難しいということを感じております。

 そういうこともございまして、経営を専門に分析する部署を設けているところでございます。事務方はございますが、やはり大学の一部局としての事務系でございますので、経営に関する分析あるいは提案というのには必ずしも向いた組織ではございませんので、これからの大学病院には、むしろこういう部分も必要ではないかと考えております。

 これは3番目の御質問とも一致するかと思いますが、先ほど来申し上げているように、やはり大学病院の使命は高度な診療に加えて、教育と研究というところがございます。やはりそこのバランスをとるのが我々、臨床系の教授から病院長に上がった者の責務ではないかと考えております。もちろん、経営というのは全く習っておりませんので、副病院長になったところで皆さんあたふたとしながら医療経営に関する勉強を始めているのが実情でございます。しかし、最終的に我々が見失ってはいけないのは、その教育、研究という大学病院に本来課せられている残りの任務をしっかり果たすことと考えているところでございます。

 それから、学長が病院長を任命する件のお話でございますが、これは学長が直で任命する場合の弊害というお尋ねでよろしゅうございましょうか。今、恐らく病院長の選任方法の問題点は2つの面があるかと思います。1つは、医学部の教授会の中で、教授同士で選考してくるということ。これは仲間内で選んでいるではないかという御批判もあるかと思います。

 その一方で、学長が全く現場の部局の意向を考慮せずに、独断で病院長を選考して、それを病院に押しつけてくるという場合が両方あるかと思います。そのどちらに対しても透明性を確保するという意味で、一番最後に申し上げました病院長選考会議というのを外部の方にも入っていただいて、十分説明責任が果たせるような形をとったほうがよろしいのではないかというのが、最後にお話しした提言の背景となっているものでございます。

○鈴木構成員 そうすると、経営にふなれな病院長の先生が、大病院の院長にいきなりなるわけですけれども、そうすると、どうしても経営の専門のプロであるコンサルタントの意見に引っ張られませんか。判断できないのではないですか。判断できるころにはもう任期が終わってしまうのではないですか。どうですか。私の経験でも院長として5年ぐらいかかりますよ。

○山本オブザーバー それはあると思います。それもあって、実は千葉大学病院は任期を1期3年、2期までと延ばしたのは、そういうことがございます。やはり従来型の1期2年で、短いところでは2年ごとに変わるところもございますけれども、2期4年でも短いだろうということで任期を延ばしてございます。

○田中座長 楠岡構成員、どうぞ。

○楠岡構成員 病院長の企画室をどのように捉えるかによると思うのですけれども、今の大学病院の場合は、結局、ラインの方はたくさんおられるのだけれども、スタッフの方がほとんどおられない。病院長が何かをしようと思っても、それをサポートする組織が全くなくて、ラインの中で片づく問題であればいいのですけれども、そうでないものも結構多い。そういう意味では、院長をサポートする組織体というのが別途ないと、なかなか難しいと感じます。

 それから、スタッフとして副院長がいるではないかといっても、副院長も各診療科の科長とかで、御自分のところも結構忙しいので、副院長も必ずしもスタッフ的なパワーが出るわけではないので、何がそういうスタッフ的なところがやはり必要なのではないか。今は、どちらかというと医療安全部門というようなところがスタッフ的に働いているのでhないかという気がします。

 それから、どうしても日本の大学の場合は、学内というか、病院内から病院長を選ぶことが多く、経営のプロであるのか、教育のプロであるのかは別として、外から選んでくるということはほとんどない。私立大学の一部で若干あるかもしれませんけれども、そういうところに関して、病院長の選考の出発点が中からというのではなくて、外にも広げてというような発想は今までなかったのかどうかということをお伺いしたいと思います。

○山本オブザーバー まず、病院長のサポート体制については、先生おっしゃるとおりでございまして、私のところでも、医師の副病院長が7名おりますが、それぞれが各診療科の科長、教授でございますので、まず自分のところの各診療科のガバナンスをしっかりしなければいけないということで、余り一人に多くの負担をかけることはできません。数をふやしているのは、それぞれ担当を決めて、やっていただいているということでございます。

 今、私が痛感するのは、横串を刺すということだと思います。それがサポート体制というものにつながるのではないかと考えております。病院長企画室も、今、経営に重視したお話を申し上げましたけれども、経営以外にも、ここの厚労省で働いた経験のある医師であったり、非常に行政的な感覚を持った医師であったりとか、あるいは看護師経験者も含めておりますので、経営にとどまらない企画立案も可能となっております。

 それ以外に、医療安全部門、あるいは感染制御部門などは、全て横串と私は認識して、そういう体制強化に努めているところでございます。なかなか従来型の縦割りの各診療科が独立している体制では、安全かつ効率的な病院の運営というのは難しいと実感しているところでございます。

 それから、外部からの選考につきましては、国立大学で事例がございませんので、それがよいのかどうかというのは、私どもで判断しかねるところがございます。ただ、他大学で学長が一方的にというか、独断でお決めになった場合に、今度、各診療科長のアクティビティーが十分に上がらないというような話も聞くところはございます。その辺は私、経験がございませんので、それ以上のコメントは差し控えさせていただきます。

○田中座長 千葉大学では医学研究院との関係はどのような形になっているのでしょうか。

○山本オブザーバー 具体的にどのようなことですか。

○田中座長 普通の大学の言葉で表すと、学部長と院長との関係とか、病院意思決定に当たり、学部側、研究院側との関係に特段に問題ないのか、時にコンフリクトがあるのか、むしろ協力的であるのか、いかがでしょうか。

○山本オブザーバー 簡単にお答えさせていただくと、極めて協力的な関係にあると申し上げたいと思います。基本的に千葉大学の場合には、医学部長、医学研究院長は基礎系の教授がなることが多くて、病院はもちろん臨床系の教授がなりますので、それぞれに自分たちの分野で突っ走るということで、必要なところ、トランスレーショナルなところでは基礎と臨床でコラボレーションするという形でございます。病院が何かやりたいというときに、医学部長が横やりを入れてくるというのは経験しておりませんし、余り話も聞いたことはございません。

○田中座長 大変結構ですね。

 ほかにいかがでしょうか。

 矢野構成員、それから梶川構成員の順でお願いします。

○矢野構成員 国立大学病院の方では、国立大学協会と連携し、病院長の選考会議を設置する、これは選考過程の透明化という意味では、そういう方向に行くのかという気はするのですけれども、例えばそこにおいて、いわゆる選考基準だとか、そういったことについてのご検討はどうでしょうか。

○山本オブザーバー その前段のところに書いてございますように、大学附属病院の病院長として求められる必要な資質、能力の明文化、あるいは職務権限の明確化というのもやはり、その前段階として必要ではないかと思います。その上で、どのような人間が適切であるかということをこの選考会議でお決めいただくという過程になるのではないかと考えております。

○矢野構成員 その選考会議の中では、候補者の名前だけではなくて、そういったことも議論の中に入るということになる。

○山本オブザーバー はい。そのようにしていただくのがよろしいかと思います。

○矢野構成員 ありがとうございました。

○田中座長 お待たせしました、梶川構成員。

○梶川構成員 先ほど大学附属病院の使命として教育、研修という機能が非常に重要であるというお話で、それと実際に診療を行われている。この辺のコストについてのセグメンテーションした把握というのは、うまくおできになるのかどうかということで、もちろん、経営であるから採算管理というものが必要だと思うのですが、ある種、教育研修というのはコスト部門になられると思うので、その辺の実態について少しお聞きできればなということです。

 それと関連して、医学部長の権限と、管理と病院長の分野と、どういう形で、我々は管理会計的な発想で考えると、どうつけかえられるのかというところも少し含めて教えていただければと思います。

○山本オブザーバー 基本的には、医業で収支がとれるかどうかというところを見ております。医業の支出に関しては、把握は比較的容易でございます。医療材料費その他。ただ、人件費に関しては、どこまでが教育で、どこまでが診療で、どこまでが研究かという区別は非常に難しいところがございます。

 あと、人件費に関しては、医学部籍の教官に関しては運営費交付金で国からの補助金で支出されております。病院籍に関しては、病院の収入から支出をするということがございますので、人件費に関して完全に区分けするのは難しいかと思います。しかし、それ以外の部分に関しては、これは教育に係る経費である、あるいはこれは研究の部分、特に臨床研究に係る部分について、あるいは先端的な基礎と臨床をつなぐようなトランスレーショナル・リサーチの部分に関しては、研究の経費として分離が可能でございます。

 医学部長とのかかわりについては、今、私どものところでは基本的には卒前教育で病院で行われるところから先は病院長が責任を持つ。具体的には、医学部の5年、6年、そして初期研修以降というところは病院で責任を持つ。その前については、医学部長が責任を持つという形でカバーしております。

 ただ、医学部6年までの教育に関するいろいろな委員会は、基本は医学部長のもとに置いてありますが、病院という場で行われるものに対しては病院長が責任を持つという切り分けをしてございます。

○田中座長 どうぞ。

○梶川構成員 医学部籍の教授というのも、診療行為は当然おやりになるということではあるわけですね。

○山本オブザーバー そうです。

○田中座長 ひとわたりよろしゅうございますか。

 山本先生、どうもありがとうございました。

 続きまして、オブザーバーの森山先生より説明をお願いいたします。

○森山オブザーバー 私、第1回の会議は欠席していたので、きょうは大学附属病院、特に私立の附属病院と管理者のガバナンスに関してということでお話をさせていただくのですが、この会の方向性と一致しているかどうかわかりません。手づくりのスライドで、ページ番号がなくて申しわけないのですけれども、3つのパートから成っています。私立医科大学協会のほうで、先般の医療安全等々、ガバナンス等々の厚労省の見解を受けて、今、アンケート調査をしておりまして、途中ですけれども、院長の権限とか体制強化等々に関して、少しアンケートの返事が参ってきたので、それを御紹介させていただくのが1番。

 2番目としては、私がいました慈恵大学の体制と状況です。そこのところをお話しさせていただいて、3番目に、私の経験とかそういうことから、私の考え、院長に求められる資質、あるいは選出法、強化策などのまとめということでお話をさせていただきたいと思います。

 ページ番号がないので、1枚目の裏をめくっていただきたいのですが、アンケート調査を行っているのですけれども、まだ中途で半分ぐらいしか返ってきておりません。御存じのように、私立医科大学の特徴として、附属病院の多くは大都市圏にあります。それから、複数の分院を運営していて、大学全体の収入の80%以上、例えばもっと激しいところになると90%以上が病院収入ということになります。それから、私学助成金は、文科省の方がいるので申しわけないのですけれども、国立の運営交付金に比較して非常にわずかということになります。だから、私学はどうしても自分でやらないといけないということになるので、必然的にガバナンスがきいていないと困るというのは前提にあると思います。

Q1.としては、理事長とか院長の責務、権限についてなのですが、まず、病院長が理事会の構成員になっているかどうかということで、29校中14校しか返ってきておりませんが、14校中11校で「いる」。一方で「いない」が3校ですけれども、この3校はみんな総合大学です。ただ、この場合は理事長も構成員である管理者会議で要望を伝えていると仕組みがあります。

 それから、具体的に理事会において運営に関して改善を求めた事例という問いに関しまして、多いのは、やはり病院の老朽化に伴う病棟改修とか耐震補強です。というのは、昭和40年後半から50年前半に新設医大ができまして、もう大体築45年から50年になっているので、そこの建てかえというのが一番大変だと思います。それに伴って、医療のニーズの変化で新規の診療センターなどの設置の要望、あと、意外と多いのが医師の処遇改善とか、看護師さんの確保のためのいろいろな待遇の改善というのが結構多いです。あとは電子カルテの問題。

 それから、次の2枚目の表ですけれども質問事項として「病院運営の内、理事長の承認がなければ実行できない事例」と書いてありますが、実質は理事会の審議案件でありまして、理事会の総意ということで、そこには院長がかかわっているので、院長が決めたことが余り理事会でひっくり返ることはないと思います。

 ここに関しては3つありまして、人事権、予算権、組織の体制ですが、病院長だけではだめで、理事長・理事会マターということになります。

 医師の人事に関しては、実質は院長が決めているのですけれども、形式的には理事会マターです 。ただし、看護師さんとかコメディカル、事務は院長が余り関与できないところだと思います。それから、予算に関しては、ここに書いてあります機器とか施設関係改修、建築なのですが、多いのが一定額以上の機器備品・修繕・工事・委託等ということなのですが、その一定以上が幾らかというと、100万から数千万まで大学によってさまざまです。ということで、その大学によって担当の理事と相談しながら決めるということだと思います。

 組織の体制に関しては、診療部やセンターの新設などです。

 2名目の裏を見ていただきますと「病院長が病院の運営方針を決定する際のプロセス」ということですが、当然 ここは、理事長方針、あるいは理事会方針と整合性がとれておりまして、ここで書かれているようにほとんどの大学で行われれています。すなわち病院運営会議というものがありまして、これは院長、副院長、看護部長、薬剤部長等々で、管理会議とか執行部会議と、大学によって名前が違いますけれども、ここで決定をしている。そこからいろいろ発信をしていくということで、これは後でお読みいただければと思います。

 3枚目「病院長の病院の運営方針・意思決定の職員への周知ならびに迅速な伝達体制」ということですが、これも各種委員会を通じてということで、病院の運営検討会、運営会議、診療部会議、あるいは医局長会議といった病院長が出る会議で縷々説明すると同時に、イントラネットとかオールユーザーメール、あるいは診療連絡速報とか、いろいろなツールを使っているところもあります。あるいはメールアドレスで全員に発信するということをやっているところもあります。ここもかなりいろいろなことが行われていて、ポータルサイトが運営されたりというところもありますので、これも後でお読みいただければと思います。

 その裏の「職員の意見を取り入れて、病院の運営に関して具体的に改善した事例」ですけれども、ほとんどの病院長は看護部長と一緒に医事課等々で院内ラウンドをやっていまして、そこでいろいろなこと、要望をダイレクトに聞いて、改修に向かうというのも一つの案だし、いろいろなところから上がってくることに対する運営会議での検討というところです。例えば各種の改修工事、退院の促進、地域連携、メディカルクラークの導入とか、あとはやはり職員を守るという姿勢も結構ありまして、ハードなクレーマーから守るための体制の確立とかというところもあります。

 それから、医師のマナーの向上に関して、職員の意見を取り入れて院長が行ったというところもあります。

 その次ですが、「私立医科大学のガバナンスの強化策はありますか」という 問いかけに関しましては、多くのところが、院長業務が非常に多岐にわたるために、院長のサポート体制のための、医療関係者、事務の強化が必要と答えております。ただし、ただ単にサポートしろというのではなくて、やはり教職員に相当のインセンティブが必要なのではないかという回答もあります。

 先ほどの山本先生と同じように、人事、予算の裁量権の拡大はある程度必要だというところですが、今、大学によってまちまちですので、一概には言えないのですが、予算枠の拡大とか人事への関与、あるいは看護部、事務への人事の関与というのもある程度必要なのかなと思います。

 ちょっとおもしろい回答としては、各種管理体制や権限強化の整備も重要だが、教職員の自覚的な行動を醸成させることが実効性のあるものにつながるという耳の痛いものもありました。

 それから、下から2つ目のポチの、院長は専任がいいですねという意見。ただし、実際は主任教授がなることが多いので、これは院長をやめると、主任教授でなくなると戻るところがなくなってしまうので、ここはなかなか難しいところです従って専任できる制度も必要なのですが、課題も多いというところです。

 安全管理体制に関しては、私立医科大学協会でもう1 0年以上前から相互ラウンド、国大協もやっていますけれども、その回数をふやしたり、内容を充実したりするのはどうかと。あるいは、高いレベルのところの大学を認証して、そこをモデル病院として、そこに倣うようにレベルアップを図るというのもいいのではないかと思いますという回答がありました。

 ということで、次のページ、中途ですけれども、14校から返ってきたアンケートからうかがえる事項についてですが、私立の単科医科大学の組織や機構は比較的シンプルです。総合大学は4つ、5つあるのですが、やや複雑だと思います。

 それから、大学における病院機能、収入、教育などの大きな比重から、病院長の権限はかなり大きいとうかがえます。

 予算とか人事に関しては、かなり任されているのですけれども、さらなる権限強化が必要かと言われると、大学によってさまざまかなと思います。

 院長のサポート体制の強化が重要で、これは先ほど山本先生もお話ししましたけれども、副院長が何人も要るというよりも、いろいろな資格を持った事務方等々がいたほうがいいのではないかと思います。

 それから、運営方針のプロセス、透明化、迅速な伝達は比較的スムーズに行われているように思います。

 医療安全管理体制に関するガバナンスも、私大のほうはかなり今、人も整備しておりまして、全体的なマンパワーもあるので、徐々に整いつつあるかなと思います。

 ただ、外部の監視体制は、この問いかけが余りよくなかったので、いま一歩はっきりしないので、もうちょっとアンケートの結果を待ってからだと思います。

 それから、アンケートで結構見られるのは、教職員を守る視点というのが非常に大事なのかなと。これがひいては患者の医療安全にもつながると思います。

 全体に言えることですが、大学附属病院は医学教育や研究、特定機能病院としての高度先進医療の開発や提供などさまざまな役目を担っており、特殊な環境に置かれている。現状は病院経営の困難さがあります。国民に安定的により安全で良質な医療を担保するためには、特定機能病院に対する支援あるいは手厚い診療報酬上の手当てが必要だというのが、幾つかの大学から書かれてきています。

 次は、私がいました慈恵の体制とか権限をかいつまんでお話しさせていただきます。

 私学はみんな独自の建学の精神を持っております。これからできる新設はわからないですが、今までの大学に関しては、みんな建学の精神がありまして、ここに書いてある研究至上主義のドイツ医学に対しての、臨床医学を重んじるイギリス医学というのが慈恵の精神です。

 大学の組織図はこのようになっておりまして、附属病院があって、院長があって、副院長があって、病院運営会議がある、診療部会議があって、右のほうに医療安全管理部からずらっと並んでいるという組織体制です。

 次が、慈恵の寄附行為による理事会の構成です。任期3年なのですけれども、全体の教授会(100名以上)の選挙で選ばれるのが学長。これはほとんどが理事長を兼ねることが多いのですが、序列2番目の病院長ですけれども、これも同じ全体の教授会の選挙です。

 次に、教員から7名の理事ですが、副学長と病院関係者。病院関係者が多いというのが特徴ですね。

 職員から2名の理事で、看護部長、事務局長。

 評議員から2名。

 学識経験者から23名で、一 部は外部からと書いています。

 それから、監事は外部から2名ですけれども、1名は文科省の指導もあって常勤にしています。会計とか業務のコンプライアンスで、1人は法律に関する専門家で、1人は財務の専門家。

 あとほかに、外部の人も入れた顧問が数名います。

 病院長への委任事項ということで、理事会の業務委任規程がありまして、本院並びに各分院の管理運営に関する業務について、ここに云々と書いてあるように“所管業務及び臨床教育、臨床に関する業務を委任する”としています。慈恵の場合には全部で4病院ありまして、ドクターだけで1,000人以上、看護師さんは2,500人、トータルすると6,000人以上の教職員がおりますので、そこの各部門の協力を得ながら、うまく統率する必要があるので、なかなかヘビーかなと思います。

 次が、附属病院長の補佐体制なのですが、慈恵では副院長は6名です。医療安全管理担当もいますし、卒前・卒後、地域連携、経営戦略、それから看護部長が入っています。

 事務方の支援体制としては、事務部長、企画課、病院管理課、業務課、経営管理室等々があるのですけれども、この企画のところを経営戦略室として大きくしたいなと思っていますが、基本的にはうちは外部(コンサルタント)のものは余り入れないで、内部のものを育成して使いたいと思っております。

 医療安全管理体制に関しては、副院長が安全管理部長ですけれども、うちはもう一名いまして、前の医療安全管理部長を退任した者が院長補佐としてアドバイザーとして常勤でおります。

 医療安全管理室のほうは、1)の室長から7)までで、医師は2人いまして、50%、50%で内科系、外科系、看護師は専任を持っているのが2名、薬剤師1名常勤で事務方常勤3名というところです。感染対策室も、このように専従の医師と資格のある専従のナ ースがいます。

 その次が、附属病院長の運営、権限とチェック体制なのですが、ここに具体的なことが書いてありまして、大学執行部との会というのは、週1回、学長・理事長と院長と専務理事で行います。

 あとは、病院の執行部の病院運営に関する委員会としては病院運営会議、ここは院長、副院長、看護部長、事務方が出ていまして、この準備会を5 6人で週1回やる。

 月に1回、今度は各部門の事務方、コメディカルもあわせた病院運営協議会を開き、あとは診療部会議が月1回、医局長を交えた派遣検討会が1回です

 運営、権限と連携なのですが、人事に関しては、医師(教員)人事委員会というものをつくりまして、ここで医師の任命等々をやっています。各講座・診療部の有給定数もここで決めています。予算は担当理事と連携する。あとは看護部長を副院長にしているので、看護部との連携は比較的スムーズにいっているかと思います。

 運営の監視ということですけれども、理事会に外部の理事も入りますので、そこでのチェック、それから、常勤の監事によるチェック。医療安全に関しては、述べた常勤の監事、それから私大の医療安全相互ラウンド、厚労省厚生局とか東京都の医療監視が入っております。

 済みません、1つ戻っていただいて、附属病院長の補佐体制のところなのですが、右上のほうにフロア図があるのです。慈恵は港区にあって非常に狭いエリアにいるので、どうしても上に伸びていくのですけれども、このフロア図を見ると、院長室があって、事務部長室と看護部長室が隣接し、すぐそばに師長室があったり、医療安全の会議室があったり、すぐ上のフロアは医療安全管理部とかということで、かなりコンパクトにいろいろな機能をまとめています。

 また「慈恵の特徴」というところに戻っていただいて、医師(教員)人事委員会というものは結構、これがある意味目玉でありまして、ここで強い院長権限があります。

 構成は、本院院長、それから本院副院長から数名、内科系、外科系それぞれ1人ずつの代表、学校法人の理事2名なのですけれども、業務内容は、各附属病院の医師の定数を設定します。それから、各講座も含めた各診療部の医師の定数の設定もここでやります。これは過去のいろいろな診療実績に応じてやりますので、かなり膨大な資料をずっと読み込まないといけなので、大変な作業になりますけれども、全部この委員会でやりますので、ここでかなり権限が発揮されます。教授会も自分で選んだのだから、いろいろ言われてもしようがないというところがあるのかもしれないです。

 あとは解任の権限、それから関連病院の主要人事に関する事項も扱います。

 評価のほうは、院長は専務理事の評価を得るのですけれども、各診療部長は私どもで評価をする。評価をして本人へ面接を通じてフィードバック。解任ということもあり得るのですけれども、過去にも解任したことはあるのですが、解任すると診療部長と主任教授が別々になるのです。そうすると何が起きるかというと、教室員がどちらを向いていいかわからなくなる。研究・教育は主任教授だけれども、診療や人事はどうするのという話になって、なかなかこれは厄介な話なのです。

 ということで、ここからは私の私見ですけれども、求められる資質については、院長の資質はいろいろあると思うのです。患者さんへの視点とか教職員の視点、経営の視点、教育・研究への視点とか、医療・医学への視点というところで、いろいろな視点があって、そういうことを包括すると、学生、教職員に尊敬・目標とされる見識がないといけない。それから、ある程度マネジメント能力がないといけない。それから、やはり病院ですから臨床能力がもともとないといけない。それから、医療安全に係る経験と知識ということですけれども、医療安全の経験は重要なのですが、第一義的ではないように個人的には思います。

 医療安全に関しては、診療部長であれば、医療現場で長い間やっていますから、クレーマーも含めていろいろな医療事故にも遭遇していますので、身をもってある程度は体験しているのですけれども、システムとしての教育はされていないので、そこは必要かなと思います。

 あとは人材育成能力とか、経営の能力はなくてもいいのですけれども、経営の感覚はあったほうがいいかなと思います。基本的には広い視点とバランス、それから中長期的な視点が大事かなと思います。

 その次の選出法とか任期ですが、現在29校あるうち、学長または理事長が任命が12校、これは新設の医科大学に多い傾向にあります。それから、選挙などで選ぶというのが17校、これもどういう人が選挙権を持っているかということで分かれますけれども、今のところ選挙のほうが多いということを考えて、またアンケートとかいろいろな事を参考に、また私の経験からすると、指名でも選挙でも選出はどちらでもいいと思います。形式ではなくて、やはりガバナンスのきく実効性ある運用しやすい体制とか方策の構築が大事で、先ほども指名方法は理事長の意向に従いやすいし、選挙方法は、時に学閥とか大学内の力関係に利用されるところがあって、どちらも利点と欠点があるのですが、リスクの少ないほうを選ぶ、あるいは透明性のあるほうがいいかなと思います。

 任期は3年がベターで、再任制度は必要なのですけれども、余り長いのはよくないかなと思います。

 専任制については、診療部長は当然兼任できないので、診療医員になるのですけれども、主任教授の解任は問題が少しあるように思います。大きな教室であれば主任教授で併任しても、定員外教授とか准教授がたくさんいたりしますので教室運営は問題ないかと思います。私自身、9年間やりましたが、外来と手術を週1日ずつやって、日曜日も当然働きますから、エフォート率70%と書いてありますけれども、実際は毎晩10時過ぎまでやっていましたから、エフォート率は80%になるのかなと思います。ここで愚痴を言ってもしようがないのですけれども。

 ということで、理事長・学長との関係なのですが、役割分担なのですけれども、これも独立性とバランスだと思います。

院長の権限は、院長のポジションが比較的上位にある私学が多いですので、私学に関しては余り問題ないかと思いますが、評価・チェックが大事かなと考えます。

 それから、院長を補佐する仕組みというのは、先ほどから何回も出ていますけれども、これが非常に大事で、鈴木先生も御質問されたのですけれども、外部(経営など)も必要なのですが、外部の人は短期的にしか物を見ないので、中長期的な視点が大事なの で、私どもでは余り採用しません。

 ということで、さまざまな資質が求められ、当然、医療安全の経験も大事なので、ここに関しては医療安全規則あるいは規程に経験について明記するというところがいいかなと思います。

 私学に関しては、選考方法はどこでもいいのですけれども、リスクが少なくて透明性が大事ということで、建学の精神がそれぞれ独自にありますから、独自の文化もある。医療安全レベルはある程度、同じレベルが必要だと思うのですけれども、最低限のルールを決めて、あとは各大学とか病院に合った選考方法を選ぶというのがいいかなと。

 最後に、これは実効性のある仕組みをいかにつくるかということなので、形ではなくて実行しやすい内容にするのがいいというのが私の考えであります。

 以上です。

○田中座長 森山先生、ありがとうございました。

 ただいま御説明のあった内容について、質問があれば、お願いいたします。

 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 今、森山先生がおっしゃった中で、経営のスタッフを内部からというお話をされましたが、私もそれがいいと思います。事務系の人を育てないと、幾ら頑張っても外から連れて来られると、おもしろくないと思うので、内部の人材を育成することが大事で、経営を上手にするには内部の人材育成が必要だということは同意します。

 それから、幾つか質問や意見があるのですけれども、当然、病院長は理事会の上位メンバーであるということで、それはいいと思います。

 病院長は指名でも選挙でもどちらでもいいということですけれども、それは現状を反映して、私立大学の現状を見ればそういうことだということですね。

 長いのはマイナスというお話もありましたけれども、すぐれた方には長くやってもらったほうがいいのではないかという気もしますが如何ですか。

○森山オブザーバー 疲れると思います。9年間、ポケットベルと携帯を全部枕元に置いて24時間いるのは、ちょっと疲れますね。

○鈴木構成員 なるほど。それは多分、教授と併任されているからですね。

森山オブザーバー あとは、はっきり言って、大学病院の教職員全体に言えることですが報酬が少ないです

○鈴木構成員 そうですか。

 それから、診療部長と主任教授を、確かに片方だけ外れてしまうとやりにくいということはわかるのですが、そうすると、先生は主任教授だったけれども、診療部長ではなかったということですか。

森山オブザーバー そうです。私は診療医員に落ちます。もう一人の定員外教授が診療部長をやって、教授回診も含めて全部やってもらう。あとは、研究はそれぞれの准教授に任せるということで、私どものところは100人以上いますので、大きい教室だとそれが可能なのですけれども、小さい教室だとそれができないのです。

○鈴木構成員 その診療部長のみをされた先生は、その後、教授になられたのですか。

森山オブザーバー なりました。もちろん、定員外教授ですから。

○鈴木構成員 院長を補佐する仕組みを十分つくる必要があるということは同意いたしますし、医療安全の経験も必要だとおっしゃったことも重要だと思います。そういう点が非常に理解しやすいのは、私立大学なので、民間の病院にも近い感覚があるのかもしれないと思いました。ありがとうございました。

○田中座長 松井構成員、どうぞ。

松井構成員 詳細な説明をありがとうございました。

 病院長の選出法に関心があるのですが、私も選出法が、選挙でも指名でもどちらでもよいというのは同感でございます。これは各大学なり病院なりの歴史があったり、あるいは事情があったりしますので、どちらかが唯一の方法ではないというのは全く同感であります。

 それで1点、可能な範囲でということで御質問なのですが、慈恵さんでは学長が全体教授会選挙で選ばれ、附属病院長も全体教授会選挙で選ばれるということですね。学長が全体教授会で選ばれるというのは比較的よくある話ですけれども、病院長を全体教授会で選ぶという方法をとっておられるのは、慈恵さんには何か歴史的な背景とか御事情があるのでしょうか。

森山オブザーバー 多分、建学の精神が臨床医学から出発しているので、そこの病院機能というのは非常に大事にしているので、学長だけではなくて、病院長もある意味、序列で言うと2番目の理事会の序列なのです。だから、そういう意味で全体選挙でということだと私は認識しています。

松井構成員 選挙で選ばれますと、仮に自分の意向と違うような政策がとられていたとしても、選挙というプロセスを経ているので、それは従わざるを得ないということがございます。気になりますのが、学長と院長の意見が対立したような場合です。この場合、どちらも選挙での正当性を持っているわけです。そうすると、場合によっては非常に学内での問題の解決が難しくなることがあり得るのではないかという気もするのです。

森山オブザーバー 基本的に、私どもは単科の大学で非常にクローズサイクルの中にいるので、それがいいかどうかわかりませんけれども、学長と院長は結構役割分担がはっきりしていて、研究、教育、卒前教育に関しては学長に全部お任せ、あとは病院に関しては病院長ということで、学長もそういうところは割り切っていますし、そこのところは私の時はコンフリクトはないです。

松井構成員 そこは運用上、役割分担をすることによってコンフリクトが生じにくいような仕組みになっているということでしょうか。

森山オブザーバー はい。あとは、先ほど言われた選挙で3年ごとの選挙なので、かなり医師人事委員会で強引なことをして、診療部の定員をちっと削減したりすると、それなりの反発も起きますので、次は再選されないかなというところもありますけれども、政治などの選挙と違って、再任されるのを条件に甘いことをやることは大抵はないと思います。余り誰も院長になりたがらないですから。

松井構成員 ありがとうございます。

田中座長 田島構成員、お願いします。

田島構成員 大学附属病院長の求められる資質について、いろいろ挙げていただいているのですけれども、大学病院の中で院長を選ぶとした場合に、この資質を全て兼ね備えておられる方が何人ぐらいいらっしゃるのか。それで、それがなかなかそろわないとすれば、どの要素がそろわないのかということについて、教えていただきたいと思います。

森山オブザーバー まさか私の口から品格とは言えないのですけれども、患者さんへの視点と教職員の視点、あとは教育、研究もそうですけれども、経営の視点は最後のほうになるかなと思います。これはほかのものに、患者さんへの視点と教職員への視点と医療全般への視点、あるいは教育への視点というのは非常に高いところにあるかなと、そこはある程度、大事にしないといけないと思います。

田島構成員 それを兼ね備えておられる方は何名ぐらいいらっしゃる。

森山オブザーバー このぐらいだったらある程度、多少はいると思います。主任教授の中にいるかどうかはわからないですけれども、あとは、なって少しずつ成長するというところもありますので。

 田島構成員が言われたのはすごく大事なところで、歴史的に定員外の教授が院長になるということは余りないのですね。そうすると、やはり主任教授の中からなるので、そういう意味では二十六、七人の主任教授の中からなるので、必ずしもぴったり当てはまるどうかというのはなかかなか難しいところがあります。かといって、外部の人を持ってきても、やはり独自のカルチャーもあるし、人事で各自の能力を発揮させられるかは難しいように思います。少なくとも生え抜きの院長だと各講座の講師レベルまではキャラクターとか能力 とかは全部わかっていますから、呼んで話をしたりし、そういうのもうまく運用できますが外部だとそのところは確かに難しいところだと思います。一つの視点 だけあればいいという問題でもないのでしょう。

○田中座長 野村構成員、どうぞ。

野村構成員 御説明ありがとうございます。全体的にきょうお話を伺っていて、病院の院長の権限の強化と、それから専任手続のプロセス透明化というのは、どうやってそれを実現するかはいろいろな問題があると思いますが、大体みんな共通の課題として認識しているのだと思います。

 そういう中で、私はきょうお話を伺っていて、慈恵さんの場合は、私どもの大学も実は英吉利法律学校というものが出発なものですから、実務に力を注いでおりまして、非常に共感するところがあるのです。ただ、そうなったときにちょっと気になりますのが、むしろ文科省に聞いた方がいいのかもしれないですが、文科省の大学設置基準の中で、大学病院というのは一体どういう位置づけとして置かれているのかというのが、私はややわからないところがあるので教えていただきたいと思うのです。先ほどの大学設置基準を見て見ますと、教育、研究のための附属機関という位置づけになっていて、それ以上のメンションがないような感じがするのですけれども、他方で、今、お話をずっと聞いていますと、やはり病院というのは人の命を預かっている場所なので、そういう視点の重要性が強調されていると思うのです。

 そういうのをちゃんと設置基準の中で位置づけられているのか、そうではないのかということがよくわからないのです。そこがもし位置づけられていないとなると、昨今の大学ガバナンス改革の中では学長の権限が非常に強化されていっていますので、学長の中にそういった臨床に対して非常に軽視するような考え方を持っている人が出てきたときに、大学の病院というものの位置づけが、ちゃんと大学全体のシステムの中で守られるのかどうかということが気になっているのですが、これは文科省に聞いてもいいのでしょうか。

○田中座長 文科省、お答えください。

○寺門文部科学省高等教育局医学教育課長 大学設置基準においては先ほどの規程でございます。当然、今、両先生からも御説明がありましたけれども、やはり大学附属病院の使命というのは、医学教育、医学研究、高度医療の提供ということでございます。それが設置基準に明文化されているかというと、先ほど示したとおりでございますので、そのあたりは特にないとは思います。ただ、共通して文科省も含め、大学病院の使命、役割というのは、医学教育、医学研究、それに基づく診療であるという認識は持っていると思っております。

野村構成員 診療という部分、要するに地域医療の核になるとか、あるいは人の命を預かるとか、そういう部分は文科省としてははっきりとは明記していないということになっているわけですね。

○寺門文部科学省高等教育局医学教育課長 ただ一方で、文科省でございますので、医学教育の中でモデル・コア・カリキュラムというものを持っております。そこには当然そういったことは盛り込んでおります。

○野村構成員 わかりました。

○田中座長 楠岡構成員、どうぞ。

楠岡構成員 今の野村構成員の御質問にも関連するわけですけれども、この大学設置基準が昭和31年の基準で、要するに、そのころは大学病院というのは、当時、学用患者という言葉があったように、まさに研究、教育のために患者さんを集めるということで、地域医療の中心とかいうのは考え方はその当時はなかったと思います。今は全く変わってしまっているので、そういう意味では時代的には合っていないような気はいたします。

○田中座長 国民皆保険より5年も前の基準ですので。

 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 確認させていただきたいのですけれども、私は前回出なかったので、大学病院と言っているところと医学部附属病院と言っているところがあるのですが、医学部附属病院の大学では、医学部の医学部長よりも病院長のほうが権限的には下になると捉えられているのでしょうか。

○寺門文部科学省高等教育局医学教育課長 必ずしもそういったことを組織規程上に規定している例は多分ないと思いますので、仮に医学部附属病院という位置づけであったとしても、御指摘のように医学部長と病院長が上下関係にあるようなことを内部の規則で定めている例は多分ないと思います。

○鈴木構成員 でも、何となく、多くの場合は、病院長をやってから医学部長をやるような気がするのです。医学部長をやってから病院長をやるということは余りないような気がするので、医学部長のほうが上なのかなという気がするのですけれども、いかがでしょうか。

○寺門文部科学省高等教育局医学教育課長 特にそれは、先ほどの役割分担というものがちゃんとできているのではないかと思います。

○田中座長 どうぞ。

○鈴木構成員 3人のお話を聞かせていただいて、私は余り大学とは縁がないので、病院の経営や医療安全という観点で聞かせていただいたのですが、今回の検討会の目的は、そもそも医療安全の確保のためのはずなので、基本的に大学病院は潰れることはないわけですし、かつ最先端の治療を行う場所でもありますので、大学病院の病院長は、経営よりも医療安全を優先していただきたいと思います。

 そういう意味では、病院長は、医療安全部門のできれば責任者を経験することが必要ではないかと思います。

  それから、病院長の選考には、今回の発端になった女子医大の例を見ても、間接的でも現場の意向が反映されて、かつ透明性のある選考方法がよいのではないかと思いました。

 そして、経営も含めて、院長を補佐する仕組みの強化は必要だと思います。

 それから、私は、順番が回ってこないという不満が出るかもしれませんけれども、有能な方には少し長くやってもらってもいいのではないかと思います。

 それと、がん研のように経営と医療安全を含めた運営を分離することも大病院の場合には考えられるのではないかと思いますが、その場合でも、私は、森山先生がおっしゃったように、外から専門家を連れてくるのではなくて、内部の事務部門の人材を育成して、そういうことを担っていただくことが必要ではないかと思います。事務部門の強化というか、権限、地位の向上が必要ではないかという気がいたしました。

 以上です。

○田中座長 全体に関する御意見を伺いました。

 ガバナンスについては、権限を強化するだけではなく、チェック体制を強化することがセットになっていないとガバナンスになりませんので、それもこれから議論してまいりましょう。

 それから、この会議では別に一切議論しないとは思うのですが、本来、権限や責任が強化されるためには、報酬がある程度伴っていないといけないはずなのに、恐らく日本の大学病院の院長は、そこはまず伴っていないのではないかと推察いたしますが、そうですか。

森山オブザーバー おっしゃるとおりです。

○田中座長 それはこの委員会に与えられた議題ではないですが、心配するところであります。

 時間になってまいりましたが、よろしゅうございますか。

 森山先生、ありがとうございました。

○森山オブザーバー どうもありがとうございました。

○田中座長 これで本日の議題については終了いたします。

 次回は4月の開催と聞いております。今まで出た問題意識や論点を事務局で整理して、議論しやすいたたき台、資料を用意してくださるようにお願いします。

 以上で本日の議事を終了いたします。事務局からほかに何か伝達事項はおありですか。

○佐藤医療政策企画官 次回開催でございますけれども、4月2016時から厚労省内での開催を予定しております。詳細は改めて御連絡いたします。

○田中座長 これにて閉会いたします。本日はお忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございました。

 また、発表いただいた方に感謝いたします。


(了)

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