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2016年1月27日 第2回一類感染症に関する検討会 

健康局結核感染症課

○日時

平成28年1月27日(水)14:00~15:52


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○議題

(1)「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き」(案)について
(2)その他

○議事

○中谷室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第2回「一類感染症に関する検討会」を開催いたします。

 初めに、構成員の出欠状況を御報告いたします。本日は、全ての構成員が御出席ということでよろしくお願いいたします。

また、参考人として、国立国際医療研究センターの加藤先生、亀田総合病院の林先生にも御出席いただいております。

 次に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料、クリップどめを外していただきまして、議事次第、座席表、資料は、構成員一覧、資料1-1として「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(案)」、資料1-2としまして、パワーポイントの資料で、「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(概要)(案)」、資料2といたしまして、「一類感染症に関する検討会報告書 骨子(案)」。1枚です。

あと、参考資料は、資料一覧にありますように、既存の通知等をつけさせていただいております。参考資料は1から8まで御準備しております。

 不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。

 よろしいでしょうか。

 それでは、申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

以降の議事運営については、西條座長にお願いいたします。

○西條座長 それでは、第2回「一類感染症に関する検討会」を始めたいと思います。

 まず、本日の議題について確認します。本日の議題ですけれども、議題1「『ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(案)』の策定について」、議題2「その他」を予定しております。

構成員の皆様には、円滑な議事進行に御協力をお願いしたいと思います。また、時間につきましてもしっかりと守って進めていきたいと思っております。

 議題1「『ウイルス性出血熱への行政対応の手引き』(案)の策定について」、それでは、早速ですけれども、議事に入りたいと思います。資料1-1、資料1-2を事務局から説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○中谷室長 それでは、お手元の資料1-1「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(案)」をごらんください。こちらの手引き(案)につきましては、前回のこの検討会で手引きの項目について御了解をいただき、それに基づきまして検討会のメンバーの先生方にこの関連する分野について御執筆をいただき、事務局のほうでとりまとめを行ったという形でございます。

 前回からの変更点としましては、前回は「ウイルス性出血熱と一類感染症への行政対応の手引き」という仮称を用いておりましたが、このスコープがウイルス性出血熱であり、そのウイルス性出血熱とほかの一類感染症では感染経路なり対応が異なるということでしたので、この手引きは、最終的にウイルス性出血熱とさせていただいております。

 また、目次の部分、1ページ目から3ページ目までございますが、項目、より詳しく追加になった部分等ございますが、大項目につきましては前回御承認いただいた項目と同じになっております。一部名称が変わった部分がございますが、同じ構成となっております。

 中身についてですが、まず4ページ目の「はじめに」の部分ですが、こちらにつきましては、この2014年以来の西アフリカで発生したエボラ出血熱のアウトブレイクの概要で、それを踏まえてこの手引きを、それらの行った対応につきまして、あるいはその間に出された通知等を技術的指針として総括して、将来、このような感染症が起こった場合に迅速かつ円滑に対応できるようにするための手引きとして作成するという趣旨をまとめさせていただいております。

 こちらの「はじめに」のパラグラフの下から7行目のところ、「201512月現在、確定患者は発生していないものの」という部分につきましては、1月にシエラレオネでエボラ患者、確定患者が確認されたりしておりますので、これは通知としてこの手引きを発出する時点で最新の記述に変更させていただければと思っております。

 続きまして、同じページの「2 基本的事項とリスク評価」の部分のまず2.1の「エボラ出血熱」につきましては、今般の西アフリカでのアウトブレイクを踏まえて得られた新しい知見も踏まえて、改めて先生方にまとめていただいております。

 5ページ目の、例えば「2.1.2 感染源・感染経路」の部分でございますが、中央部分になりますけれども、「感染拡大の要因のひとつに、貧弱な医療環境を背景とした院内感染、伝統的な葬儀・埋葬の風習があげられ、20142015年の西アフリカのアウトブレイクの要因となった」といった今回の分析、また、その3行ほど下の部分に、同じように、「20142015年のリベリアにおける流行では、これまでに2度、流行終息宣言後に新たな患者が発生しており」といったような内容ですとか、「いずれの場合もエボラ回復者の精液に残存していたウイルスが性交渉によりパートナーに伝播した可能性があるとみられており、ゲノム解析結果もそれを支持している」といった新しい知見について記述をいただいております。

 その次の2.1.3の「流行地」の部分は、パラグラフの下から2番目の部分に、この西アフリカのアウトブレイクの総患者数について、ことしの1月8日時点の報告数を書かせていただいております。

 続きまして6ページ目の部分ですが、今回のエボラ出血熱の臨床像について、こちらも新しい知見を踏まえて記述をまとめていただいております。触れる部分としては、6ページ目の中ほど、2つ目のパラグラフの最後のほうに、「病名を『エボラ出血熱』に代わって、『エボラウイルス病』と呼ぶようになってきている」ということで、感染症法上は現在もエボラ出血熱となっておりますが、エボラウイルス病ということも将来的には考えていく必要があるのかなあと考えておりますが、こちらはそのような状況についても触れていただいております。

 また、致命率について、そのさらに4行ほど下の部分に、「ザイールエボラウイルスは、最高で90%前後の致命率が報告されている。201415年のアウトブレイクでは、致命率は約70%と推測されている」ということですとか、「血中ウイルス量が高い群、年齢が40歳以上の群で致命率が高いこと」などの知見を盛り込んでいただいております。

 また、そのページの一番下のパラグラフ、「また」以下ですけれども、「エボラ出血熱から回復した患者において比較的高頻度で関節痛、視野・視力障害、聴力障害といった後遺症がみられることが明らかとなっている」という、今回認められている、現在も臨床研究が行われているバグ群についての記述をいただいております。

 続きまして、7ページ目の「2.1.5 国内侵入に関するリスク」につきましては、パラグラフの下から3行目で、今回の大流行で、流行地から非流行地への輸出例が発生して、医療従事者における二次感染が発生したという例も書かれております。

 7ページ目の下、2.2の「クリミア・コンゴ出血熱」につきましては、こちらは既に出されているウイルス性出血熱の手引きの記述なども踏まえまして改めて整理して記載させていただいております。

 少し飛ばしまして、13ページをごらんください。以降、先ほどのエボラ出血熱と同様に、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱に関する同様の記述の後に、13ページの上から3分の1ぐらいのところに、2.6としまして「ウイルス性出血熱の感染性期間」としてまとめさせていただいております。

表1にそれぞれ4つの出血熱の潜伏期、感染性期間、致命率とまとめさせていただいていまして、エボラ出血熱の感染性期間の部分で、精液として、発症後91日以下ということで、長期間のウイルスが排せつされるというデータについてアップデートしていただいております。

 それから、その右の致命率については、先ほど申し上げたように、5090%という記述になっております。

 次、14ページをごらんください。「2.7 ウイルス性出血熱の治療法」でございますが、ウイルス性出血熱に特異的な治療法はなく、支持療法であるがということで記述していただいておりまして、こちらについては、その2.7の最後のパラグラフで、関連事項として、「10.2 一類感染症の治療に関する専門家会議」ということで、今回、未承認薬に関しての治療をできるような臨床研究の体制を整えるとか、治療に関してこの専門家会議に相談した上でといった内容のことを10.2で追加させていただいております。

 「2.8 ウイルス性出血熱の予防法」につきましては、こちらの中で感染予防対策の徹底といったことで、参考資料として、感染防護服ですとか、ウイルス性出血熱診療の手引きについて触れさせていただいております。

15ページですが、3.2の「国内での患者発見」です。15ページの下から3分の1ぐらいの部分で、こちらは国内でどのように患者が発生するかという記述に関しまして、実際、検疫所による健康監視下に置かれて、その方が検疫所に報告をして、検疫所から保健所というのが基本のルートなのですけれども、入国後に発症して、そうした連絡なく来院するようなケースもありますので、それについての、特に国内に入ってから発見するケースもあるということについて留意点を書かせていただいております。

 続きまして16ページ。次は「対応時の組織体制」ということでございます。「4.1 厚生労働省の組織体制」ということで、今回、先ほども申し上げました一類感染症の治療に関する専門家会議を設置しましたので、そのことを追加させていただいております。また、その組織の参考としまして、本検討会の開催要綱も資料として添付させていただいております。

 続きまして、17ページでございます。「4.3 地方自治体の組織体制」という部分で、これは東京都の西塚構成員にも別に御協力をいただいた部分でございまして、特にそのパラグラフの5行目の、平時対応として、あらかじめ手引書を作成し、その手引書の有効性検証のための訓練ですとか人材育成、関係機関との連絡体制の確認などについて御記載をいただいています。

 また、これ以外にも記述いただいていたのですけれども、ほかの部分と重複するところですとかリスク・コミュニケーションの部分に移した部分もございますので、御了解いただければと思います。

 続きまして、5番の「感染症法に基づく届出基準」の部分ですが、基本的には、これまでの対応について、17ページの下から5行目のところに、アウトブレイクにおいての疑似症の定義をした通知について記載させていただいておりまして、18ページの部分ですが、現状は平成2710月2日付の通知の定義ということになっておりまして、そちらのほうを本日参考資料としてもつけさせていただいておりまして、参考資料4となっております。

 参考資料4、かなり分厚いものになっておりますが、こちらは、通知本体の後に、参考となりますエボラ出血熱に対する個人防護具のガイドラインですとか積極的疫学調査の致死用量、地方自治体向けなどですとか、その調査票などもつけさせていただいておりますので少し厚くなっておりますが、こちらのガイドラインと疫学調査の実施要領はこの参考資料4の後ろについておりますので、適宜ごらんになっていただければと思います。

 続きまして、同じページの6番、「感染のリスクがある者及び患者等発生時の初期対応」ということで、まず「6.1 国内での患者発生時の基本的な対応フロー」については、通知を出すことに少しずつ修正等ありましたが、現状が今申し上げた2710月2日の通知のフローチャートということでございます。

 続きまして、「6.2 検疫所での初期対応」の部分でございますが、こちらについては、検疫法上の取扱いについて書いておりますのと、19ページ、6.2.2のほうで、この14年から15年のエボラ出血熱対応で行った対応について書いていただいておりまして、そのパラグラフの中段部分ですが、サーモグラフィーによる体温測定、数カ国語のポスター、検疫官による呼びかけなどについて書いていただいています。

本対応については、そのパラグラフの下から5行目にありますが、20151229日付で西アフリカに21日以内に渡航または滞在していたことのみをもって健康監視対象とする対応を取り上げたということでございます。

 続きまして、6.3の「保健所での初期対応」の次の20ページ、保健所での対応の検体に関して、1行目に「なお、検体採取については、迅速な危機管理体制を構築することを目的に、患者等が検体の提出要請に応じない場合、都道府県知事等が強制的に検体を採取できることが、法に規定された」ということで、こちらは一昨年の法改正を踏まえた記述を追加させていただいています。

 また、その同じパラグラフの最後に、「患者及び接触者に対しての、プライバシー、人権の保護に関する配慮、調査にあたる調査員の安全確保にも十分に考慮する」ということで、疫学調査の実施要領の中で、特に前回もプライバシーの保護等については御発言もありましたので、書かせていただいております。

 それから20ページ、下から3分の1ほどに「6.4 対応者の安全管理」とございまして、これは前回大曲構成員からも御指摘ありましたが、対応した医療従事者の安全管理の考え方について、これまでまとめていただいています個人防護具ガイドラインですとか国立感染症研究所の個人防護具着脱などの参考資料を付して御紹介させていただいております。

 また、21ページの「6.4.2 対応者の健康管理」としまして、ウイルス性出血熱患者に直接接触するなどの対応を行う者は、事前に自身の健康状態について十分に確認する。また、症状を呈しているなど、健康状態が万全でない場合は患者対応への従事を避けるといったことも記述させていただいております。

21ページの中ほど、「6.5 関係機関との連携」ですが、今回、エボラアウトブレイクへの対応に当たっては、一類感染症に係る患者及び検体の搬送について、それから、エボラ出血熱患者の移送に係る保健所等に対する消防機関の協力についてということで、警察と消防との協力ということについて通知を出させていただいていまして、きちんと連携をとるということが重要で、エボラ出血熱患者への、ほかのウイルス性出血熱患者もこのエボラの対応に準じるということで書かせていただいております。

 この通知がエボラ出血熱の通知ですけれども、ほかのウイルス性出血熱にも準じるということはこの手引きで新たに記載させていただいております。

 続きまして22ページですが、「7 検査診断」ということで、関連するマニュアル等を踏まえまして、検査材料の最終検体材料の輸送について書かせていただいております。

 続きまして23ページ、7.3の「検査法」の部分ですが、これは国立感染症研究所でやっていただいている内容について記載していただいていまして、特に23ページの下から5行目の部分ですが、「リアルタイムRT-PCR及びコンベンショナルRT-PT-PCRの第1回目のPCRにそれぞれ約2時間と4時間」ですとか、「さらに高感度nested RT-PCRまで終えるのに約10時間を要する」といったことも紹介していただきまして、実際、エボラの疑似症ができたときに何時間後に結果が出るのかということにつきまして自治体からも問い合わせいただくのですが、こちらの記述がその参考にしていただけるかと思っております。

 続きまして24ページです。8番の「疫学調査及び接触者の管理」という部分でございます。これは感染研の疫学チームで実施要領を出していただいていまして、特に今回出した通知の絡みでは、「8.1 積極的疫学調査」のパラグラフの最後ですが、「なお、積極的疫学調査を行う都道府県等の要請に応じて、感染研から疫学の専門家を派遣等の協力を求めることができる」というのを書いていただいています。

 また、そのすぐ下の(資料8.1-1)「ウイルス性出血熱に対する積極的疫学調査実施要領~地方自治体向け」については、こちらの手引きが最終まとまるときに合わせて改定をしていただいて、新しいものをつけていただく予定で、平成28年X月という形でこの準備をいただいております。

 特にこの改定の中には、今回報告書で議論いただく退院基準ですね。退院の目安ですとか病原体を保有していないことの確認方法に関するこの検討会での議論を踏まえて、その部分を改定していただこうと思っております。

 「8.2  接触者の管理」の部分ですが、こちらは、今の通知等々踏まえて記載しておりますが、特に下から7行目、「なお」以降ですけれども、この2016年1月現在、ウイルス性出血熱の発症予防について、効果と安全性が認められ承認されたワクチンや医薬品は存在しないため、その針刺し等の曝露を受けた者に対する発症予防として、抗ウイルス薬投与、ワクチン接種について、一類感染症治療に関する専門家会議の意見を聞き迅速に対処すると。国際医療研究センター国際感染症センター国際感染症対策室が連絡先ということで、この記述を入れていただいております。

 次の25ページの一番最初のなお書きのパラグラフは、この直前と重複していますので、削除させていただきます。大変失礼いたしました。

 続きまして、下の10の「医療体制」の部分です。下から8行目ぐらいですが、医療体制につきまして、この2行目、厚生労働大臣が指定する特定感染症指定医療機関(全国4医療機関)ということで、ことし1月4日に1カ所ふえまして4医療機関となっておりますので、それを更新させていただいております。

 また、その同じページの下から2行目、「第一種感染症指定医療機関がない都道府県においては、あらかじめ患者の発生を想定して、近隣県等と調整の上、入院医療体制を確保する」ということですが、これは当然、搬送体制についてもあらかじめ確保しておくことが必要ですので、その点を後ほど追記させていただきたいと思っております。

26ページの上から5行目の部分ですが、先ほど疫学調査チームの派遣について記述がございましたが、こちらは国立国際医療研究センターから専門家派遣できるという記述を書かせていただいております。

26ページ中ほど、「10.2 一類感染症の治療に関する専門家会議」でございます。その下の表2にありますように、現状、この専門家会議の最終的なまとめの概要としては、表にありますように、エボラ出血熱の患者に対する基本的な支持療法、1.から3.については、全てのエボラ出血熱の患者に対して行われるべきものということと、次の27ページ、2.としまして、追加的な治療については以下の点に留意ということで、(ア)未承認薬等による治療、(イ)血液透析等の侵襲的な治療ということで、今の治療の考え方としてはこれを参考にするということでございます。

27ページの中ほど、「10.3 退院基準」についてですが、こちらについては、現状の感染症の病原体を保有していないことの確認方法についてということで、参考資料5に通知のその部分をつけさせていただいておりますが、今、エボラ出血熱の流行が起こる前からこちら出ておりますけれども、その27ページの下から3分の1ぐらいのところですが、「しかしながら、WHO等によりエボラ出血熱から回復した者の精液等の体液中において、6~9カ月以上の長期にわたってエボラウイルスが検出されうる場合があること等が報告されていることから、今後、最新の知見を踏まえた新たな退院基準に関する通知を発出する予定である」ということで、ここは、この検討会で少し御議論、御意見をいただいて方向性がまとまりましたら、それを踏まえてこの通知を改定したいと思っておりますので、この手引きの後に議論します報告書への意見ということで、きょう御意見いただければと思っております。

 なお、その下の(参考)にありますガイドライン、回復者に関してWHOのガイドラインがことしの1月22日付で出ていまして、それをきょう、参考資料6と7につけさせていただいていまして、ガイドラインのサマリーを感染研のFETPチームにつくっていただいて、参考資料6がそちらになりますので、そちらはまた報告書の議論のところでごらんいただければと思います。

 あとは、28ページの部分ですが、今回、10.4の廃棄物処理におきましては、平成2610月2日にエボラ出血熱の通知を出させていただいておりまして、それを記述しています。

11の「遺体の管理」につきましては、前回、西塚構成員からも御指摘ありましたが、厚労省から9月24日付で火葬の取扱いについて通知を出しておりまして、それを記述しています。

12番、「広報及び情報提供」につきましては、リスク・コミュニケーションが重要であるという御意見、前回もいただいておりまして、それを記述させていただいております。

 また、29ページですけれども、下から3分の1、12.3の「疑似症患者及び患者(確定例)に関する情報公開について」ということで、これは厚労省及び都道府県等の双方が公表すること、また、確定した場合は厚労省から記者発表すること、その他のウイルス性出血熱についても、この対応に準じるということを記述させていただいております。

 最後の30ページですが、13番、「調査研究の実施」の部分ですが、この点については、先ほど、一類感染症治療に関する専門家会議の中で、まだ効果や安全性が確認されていないが、使用の選択肢になり得る場合に関しての、それに必要な研究等について記述させていただいておりまして、今般のエボラ出血熱のアウトブレイクに関しては、そのパラグラフの最後から2行目にありますが、「国立国際医療研究センターにおいて、ファビピラビルの治療に関する臨床研究を実施する体制が整えられた」ということですので、それを記述させていただきました。

 次、資料1-2の一枚紙ですが、これは手引きの構成の概要を参考資料としてまとめさせていただきました。概要として、この手引きの目的、それから対応としては、「平常時の備え」と「患者発生時対応」で、各手引きの大項目の関係性について概念整理としてまとめさせていただいていまして、目的として、右下にありますように、「迅速・円滑な行政対応」につなげるということで、こちら、また手引きのほう、御意見、修文等ありましたら、一緒にこちらも直していこうと思っていますので、並行して見ていただければと思います。

 資料の説明は以上です。

○西條座長 中谷室長、ありがとうございました。

それでは、これから、このウイルス性出血熱への行政対応の手引き(案)について議論を深めていきたいと思っております。その方法を少し初めに説明しますと、これから各委員に順番に、5分程度の時間を想定しておりますけれども、執筆した内容のポイント、それから、この手引きの中に記載されている内容に関する質問やコメントがありましたら一人ずつ述べていただきたいと思っています。その予定を踏まえた上で、今、中谷室長のほうから手引きの概略について説明を受けましたけれども、中谷室長のほうに質問等コメントがあれば、まず初めにお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

○小森構成員 今、室長が御提案になったように、その執筆のポイントというものについてお話をいただいた上で、後でまた意見を申し上げる機会はありますね。その折で結構でございます。

○西條座長 わかりました。一人一人の委員のほうから説明、コメントをいただいた上で議論を深めるポイント等もあろうかと思いますので、そこで議論したいと思います。

 それでは、今、中谷室長のほうから資料1-1、資料1-2の説明をいただきましたが、続いて、各委員から、執筆した内容におけるポイント、それから質問等がありましたら述べていただきたいと思います。

 まず、大曲構成員から発言をお願いしたいと思います。

○大曲構成員 国際医療センターの大曲です。

私のほうは、ページで言いますと5ページの2.1.4以降の「臨床像」を主に担当させていただきました。先ほど御説明がありましたように、基本的には一類感染症の研究班の診療の手引きがございますので、その記載を踏襲するというのが全体としての方針であります。大きな変化としては、2014年と15年のエボラのアウトブレイクが起こることによってエボラ自体の臨床像がかなりわかってきましたので、そこの記載のところは厚くしております。

 具体的に今回意識して書いたところを申し上げますと、例えば5ページですと、臨床像としては、5ページの2.1.4の一番下の行ですね。「出血熱」という名前がつくというところで、出血する疾患であるというイメージが非常に強かったわけでありますけれども、今回のアウトブレイクを見ますと、下痢とかいった体液のいわゆる喪失、それに伴う電解質の変化等が前面に出てくる病態であるということがわかったわけでして、それは実際患者さんの診療にも非常に大きな影響がありますので、そちらのところは記載のほうを加えております。

 6ページに参りますと、パラグラフの2番目ですけれども、先ほども御指摘のありました、先ほどの出血するしないという言い方ではよくないのかもしれませんが、「エボラ出血熱」と呼ぶよりも、今回のアウトブレイクの経験を踏まえると、「エボラウイルス病」という言い方のほうが適切なのではないかと、そういう意見も出てきておりますので、そこのところを記載しております。

 3点目は、同じページの3番目のパラグラフでありますけれども、非常に致命率の高い疾患であるということは従来言われてきたわけですが、その中でも、どういうグループの患者さん方が致命率が高いのかということはわかってきました。それは一定の年齢以上である、あるいはウイルス量が多い方であれということですけれども、それは反映してございます。もう一つは、体液の喪失と電解質異常等が前面に出る疾患でありますけれども、主に先進国の経験によって、それらに対して適切な治療を行っていくことで、実際に患者さんの予後がかなり改善されてきているということがわかってきておりまして、これは非常に重要な事実であるということでして、そちらの記載も厚くしております。

 また、最後のパラグラフでは、長期的な観点で見ますと、さまざまな障害等が出てきます。目の問題もありましたし関節の問題もありましたけれども、これはどこまでフォローするかというところにもかかってくる話でありまして、こちらに関しても記載を厚くしております。

 それ以降のクリミア・コンゴ出血熱等の出血熱の記載に関しては、今回、2014年、2015年のエボラに関して得られた知識に何か付加してつけ加えた事実があるわけではございませんので、大きな変更はないというところであります。

 私からは以上になります。

○西條座長 ありがとうございます。

それでは、今の大曲構成員の御発言、それから、個々の記載部分について、何か質問等ございませんでしょうか。

 また後で質問の機会をつくりますので、もしなければ、続いて、柏樹構成員のほうからコメント等いただきたいと思います。

○柏樹構成員 私は、特段執筆に携わった場面のところはなかったので、検疫のところもほとんど事務局の方でされて、今初めてこの文章を読むところであります。皆さんの意見が出た後で、少し私が気がついた点を述べさせていただければと思います。

○西條座長 よろしくお願いします。

 それでは、続いて小森構成員のほうからコメント等いただければありがたいと思います。

○小森構成員 発言の機会を与えていただいて恐縮でございます。私も、執筆には携わっておりません。

ただ、前回、10月の第1回の当検討会におきまして幾つかの要点を提示させていただいたことについて、座長のほうから、それを手引きで取り扱うか、それとも報告書で取り扱うか等については、またこの会議の中で一旦検討して、御意見を伺って決めたいと思いますと、こう議事録を残されておりまして。そういう意味で、資料2で整理していただいたことはそれで私はいいと思っておりますが、この中の6ですね。21ページの「関係機関との連携」というところには、前も強調させていただきましたが、エボラのときも、疑似症患者さんがまず、検疫等、あるいは保健所等に連絡する場合に、一般の医療機関を訪れて、結果として陰性だったわけですが、そういった事例が今後もやはり起こり得ると思っておりまして、検疫等をくぐり抜けて一般の医療機関に訪れるということに対する適切な対応等について、日本医師会と協力・協調をして適切な対応に努めるとかいうことを書いておいていただきたいなと思います。

まさに現実にあった危機でございましたので、恐らくそういうことをされることに結果としてはなると思いますが、手引きについては、そこのところを、書いておいていただきたいなという希望でございます。

以上です。

○西條座長 ありがとうございます。

続いて、齋藤構成員のほうからコメント、それから、執筆した内容におけるポイント等を説明していただきたいと思います。

○齋藤構成員 私のほうでは、全体の構成と、あと公衆衛生対応区分につきまして幾つか書いております。事務局からお話がありましたように、今回の手引きの意義といたしまして、エボラ出血熱対応中、1年半余りにかけて、いろいろな通知が出たり、マニュアルが出たり、ガイドラインが出たりというのがございましたけれども、その全体像というのをきちんと整理することで、次回起きたときにでも、あのときはこうやった、この場面ではこういうことをやったというのをきちんとひもとけるように、あるいは、そういったときに対応する方、実際にエボラ(出血熱流行に対する国内対応)を前回体験したことのない方がきっとそのとき職務についていることもあるかと思いますので、そのときに、どの場面でどのマニュアルを使うべきか、どの文書を参照すべきかというのをきちんと整理するというところを一つの目的として構成させていただきました。

 そして、あともう一つ重要なのは、適宜アップデートがしやすいようにということで、項目を区切って、それから、そのそれぞれにそのとき最新の文書を示せるような形で書き込むという形をとっております。

 そして、幾つか特徴といいますか、重要な点として申し上げたい部分は、15ページに「想定すべき国内発生状況」というところがございます。この前段のそれぞれのウイルスの特徴の部分で、いわゆる国内侵入に関するリスクという記載もございますが、ここでどういう人がリスクなのかというのを理解しつつ、また、実際患者が発見される状況としてどういうことが起こり得るのかというのを記載しております。

 この中で、決して、検疫とか、あるいは帰国者が、健康監視下などにある方から発症するばかりではなく医療機関などでの二次感染者というところから1例目が見つかるということもあり得るということ、先ほど小森先生の御指摘もありましたけれども、一般医療機関等でも備えるべきという注意喚起的な意味として記載しております。

 最後に、前回も確かこの検討会でお話しさせていただいたかもしれませんが、調査研究の実施という項目でございます。こういった、なかなか症例がない事象などでございますと、どうしても発生時に患者さんの治療、それから対応というのが大前提であるわけですけれども、一方で、そこできちんとしたエビデンスというものを見出して、次回によりよい対応をしなければならないという側面がございます。

 ただ、こういったことを事前に対応計画の中にも織り込んでおかないと、いざ起きたときに慌てて研究プロトコールなどをつくっても対応が間に合わないという点がございますので、そういった調査研究というものも対応の中で並行して考えておく必要があるという意味合いも込めて、この項目を立てて書かせていただいた次第です。

 私からは以上です。

○西條座長 ありがとうございます。

それでは、私のほうのコメントは最後のほうに述べたいと思いますので、続いて、西塚構成員のほうからコメント等いただきたいと思います。

○西塚構成員 私、西塚のほうでは行政対応などについて書かせていただいております。厚生労働省さんのほうで書かれたものと重複しているかもしれませんので、ちょっと省きますけれども、初めに17ページ、4.3の「地方自治体の組織体制」につきましては、健康危機管理という地域保健法の概念を使わせていただきました。

 突発的に何が起こっているかわからない、病原体がわからない、またマニュアルがない、情報がないというときに、マニュアルがないから対応できないということではなく、包括的な危機管理の中で、保健所長のリーダーシップのもと対応できるということを平時から行うことを規定しておりますが、地域保健法のこういった危機管理の概念をここに書かせていただき、また、そのための人材の育成、資機材の整備などを平常時から行うということを書かせていただいております。

 次に18ページの患者発生時の初期対応のところで、ほとんど厚労省さんのほうで書いていただいていると思いますけれども、6番の6.1の真ん中あたりの、所在地を管轄する都道府県に連絡が入るというところでございますけれども、こういった検疫と都道府県庁、また保健所の連携というのが重要ということがありますので、発熱時だけでなく、本当は健康監視の対象者が出た時点で把握すべきだと思いますけれども、こういったことが重要かなと思っております。

 また、19ページ、20ページの「6.3 保健所での初期対応」でございます。こちらについて、ちょっとまだ迷っているというか、また逆に御意見をいただきたいのですけれども、20ページの人権規定でございます。20ページの上から5行目ぐらいのところに積極的疫学調査のことと人権への配慮ということでございますが、今回、病原体の採取などで権限もふえるということや、また都内でも疑似症の発生のときに十分に勧告入院の説明をしていると思うのですけれども、なかなか御本人に伝わってなくて、少し御不満をいただいたというような例もありますので、こういった措置に伴う人権への配慮というのはしっかりもっと書いたほうがよかったかなあというようなことを今考えております。

 あとは、飛んで29ページ、広報、情報提供のところで、上から5行目ですけれども、状況に応じて、接触者に対する相談窓口などを書いていただいております。そのほか、場所を忘れてしまいましたけれども、健康監視者の健康相談なども保健所の役割ということで明記していただいております。そういったこともありますので、健康監視の段階から、検疫所と保健所の連携が重要だということが少しわかるようにしたいなということで考えておりました。

 そのほか、本当は医療の面だとか消毒だとかいった点について、少し境界の部分もありますので、そういったところは後でまた御意見させていただければと思います。

 以上です。

○西條座長 ありがとうございます。

ただいま西塚構成員のほうからコメント等いただきましたけれども、その中で20ページの2番目のフレーズの最後のあたりになりますが、「プライバシーや人権の保護に関する配慮、調査にあたる調査員の安全確保にも十分に配慮する」といった記述がありましたが、特にプライバシーや人権保護に関する配慮のあり方についても少し具体的に記載する必要があるかどうかといったコメント、または私たちに意見を求められたわけですけれども、この点について、何か皆さんのほうから意見があればいただきたいと思います。何かコメントありますか。

 小森構成員、こういった人権配慮に関して何か御意見ありませんでしょうか。

○小森構成員 特に検体の採取等については、一類感染症のみならず、大きく今回改定された。そのときに、医療機関の役割、また、今回いろんな経緯があるのですけれども、特に結核等については、社会的弱者、つまり、高齢者であること、それから海外から日本に来られた方、それから住所不定者とか、そういったこともあって、特に検体の収去等について非常に丁寧な記載を求めたという経緯もございます。

ただ、どの程度書くかということでございますので、全体の文脈の中でしかるべき丁寧にお書きになっているということであれば、私は殊更、それに向けて特別項目を追加するぐらいのボリュームを書き込む必要はないのではないかと思っております。

○西條座長 今の御意見は、この手引きの中でプライバシーや人権の保護に関する配慮についても十分考慮するといった書きぶりなのですけれども、この程度でいいのではないかということですか。

○小森構成員 今、まだそこまで思い至っていないのですけれども、基本的にこういう記載をしてありますので、十分かどうか、また皆さんの御意見ということですが、一定の記載がありますので、それはいいのではないかなと思います。

○西條座長 加藤参考人のほうが中心となって作成された診療の手引きがあると思うのですが、その中に人権の配慮等の内容について項目ありましたでしょうか。

○加藤参考人 それほどボリュームを持って内容を記載しているわけではありませんが、今、行政の手引きにある程度の内容ですね。例えば、厚労省のほうからも、感染症指定医療機関医療担当規程の中に、患者さんは外部と連絡がとれるようにといった内容がありますので、特に家族との面会というか、テレビカメラを通じたような面会時間を設けるというような記載はしてあります。

○西條座長 その手引きの中では、診療における患者の人権配慮という面ではあるわけですね。

○加藤参考人 そうです。隔離ということが強調され過ぎないような配慮が必要だということを触れてあります。

○西條座長 西塚構成員からの今の問いかけについては、具体的には患者も含めた、接触者も含めたプライバシーの、または人権の保護に関する配慮ということに関して、もう少し肉づけするような内容を加筆する場合には、どういった項目が考えられますか。

○西塚構成員 18ページ以降のこういった対応のところの一つの保健所の初期対応の後ろにくっついていくというだけではなくて、ひょっとしたら全体に係るというところで1つ項番をつくってもいいのかなと。6の幾つにするとか、そういったものはあってもいいかなと。調査だけではなくて、医療もそう、さまざまな入院の措置もそうという形ではどうかなとは思っております。

○西條座長 ありがとうございます。このプライバシー、人権の保護に関する配慮に関しては1項目別建てに書くと、よりそこが重要視されるようになり、よくわかるということですね。私のほうと、あと事務局のほうと相談します。次に柏樹構成員のほうからお願いします。

○柏樹構成員 このプライバシーや人権の保護のところで、例えば検疫所で接触者の情報を収集して、それを都道府県にお伝えするときに、必ず接触者に対し都道府県にお伝えしますよということをお知らせして行うということは、検疫所に来ている検疫所長宛ての通知できちんと明記されているところです。

 それによって、西塚構成員が書かれたこの都道府県と検疫所と両方でフォローしていくという体制がうまくできるのではないかと思います。この手引きの中で1つ項目を設けるという方法とともに、これにうまく載せられないものは、この検討会の報告書骨子のほうに少し書かれるということにもなるわけですね。プライバシーの配慮、人権の保護といっても、場面場面によって、そこでどういうところに配慮とかいうのが多分出てくると思うので、書きにくいところは、この検討会の報告書のところで、どういう場面ではどういうところをよく注意しないといけないという記載の仕方もあるのかなと思います。

○西條座長 ありがとうございます。それでは、中谷室長のほうからコメントをいただきたいと思います。

○中谷室長 今、プライバシーや人権の保護に関する配慮の記述についての御意見がございました。1点だけ補足しますと、20ページ、6.3.2の「感染症法に基づく事務の実務について」、これは入院勧告の際にきちんと書面で通知するとか、入院に関しては感染症の審査に関する協議会で行うとか、この協議会の手続や書面で通知するといった手続自体が人権に配慮して、あえて法律で定めてある手続ということですので、その直上に患者や接触者に対してのプライバシーや人権保護に配慮するという記述もありますので、どこかこのあたりに少し項目を立てて、それに関して、こういう手続があるので人権保護の観点からしっかり行うとか、あと、プライバシーに配慮するということから、関係機関間での個人情報をやりとりするときには、御本人ないしは家族の了解を得て行うとか、今既に通知出されているものがあるので、もしうまく入るようでしたら、そういった修正を検討させていただければと思います。

○西條座長 ありがとうございました。今の議論で、大体このポイントについては解決、答えが出たと思います。

 それでは続いて、松井構成員のほうからコメント等いただきたいと思います。

○松井構成員 私が担当しました部分は国内侵入のリスク評価の部分でございます。そちらにつきましては、ほかの方々が書かれた文章と一緒に掲載していただいております。もう一つ、疫学調査については現在まとめているところであります。この骨の部分は事務局のほうから抜いていただきまして、手引きのほうに入れていただいておりますし、エボラ出血熱用に使用しておりましたものを一類のウイルス性出血熱全般にということで、現在、書き直しているところであります。それは資料8.1-1という形で入れ込まれる予定でございます。

原則的には、以前から使っておりましたエボラ出血熱における積極的疫学調査の手引きでよいと考えておりますけれども、退院の判断基準、また退院後のフォローアップが必要だということがだんだんわかってまいりましたので、その点に関する地方自治体の役割というところを整理した後にまとめていくことになると思います。

 以上です。

○西條座長 ありがとうございます。

ただいま松井構成員のほうから説明がなされましたが、多分、非常に大切なポイントが、治った、回復された患者さんのその後の検査を含めたフォローとか、そういったことを判断する上で参考となる最近の知見が加わっておりますので、そのあり方についてしっかりと議論する必要があろうかと思っています。ありがとうございました。

 それでは、加藤参考人のほうから御意見、コメントをいただきたいと思います。

○加藤参考人 発言の機会をいただき、ありがとうございます。

私は、直接どこを担当というわけではなかったのですけれども、診療の手引きを担当した立場で、中に参照文献としていろいろ触れていただいたりしていることは非常にありがたく思います。

 私のほうから少しコメントさせていただければと思う点は、17ページの「感染症に基づく届出基準」のところなのですけれども、このパラグラフの一番下に、国立感染研等の専門家と十分に相談した上で、検査実施が必要な疑似症患者かどうかを判断するというところがございますが、この部分が診療の手引きでも議論があったところでありまして、1つは、保健所の担当者が判断するのか、あるいはその届出をする医師が判断するのか、ちょっとこの記載ですとわかりにくいのかなと思います。どちらの立場でもそういう判断が必要になってくると思うのですが、疑似症とこの検査実施が完全にイコールになっている点

と、医師が直接感染研等の専門家に相談する場合に、最寄りの保健所のかかわりが不明確であるところが気になりました。発熱があり、マラリアが否定されて、それでも状態が悪いアフリカ帰りの帰国者を診た場合に、もしかするとVHFかもしれないと思われるときに、届出をするとスイッチオンになってさまざまな行政対応が始まってしまいますので、感染研と相談して、まず検査が届出前でもできるような体制が確保されていると現場は動きやすいこともあるのではないかと感じております。それが1点。

 あと、松井先生のリスク評価のところで、疾患ごとに非常にわかりやすいというか、最新の情報が載っていると思うのですが、VHF全体として、国内に入ってくるリスクというのはどのようなものなのだろうかというのが少しわかりにくい。ほとんどがラッサ熱であるといったような事実、西アフリカから来た旅行者のラッサ熱が全体としては多分9割ぐらい、8割ぐらいでしょうか、がどこかにまとまっているような記載があるとよりいいのかなと思いました。

 以上です。私から2点だけ(コメントしました)。

○西條座長 ただいま加藤参考人のほうから2点コメントをいただきました。1つ目は、17ページの届出基準のところの文章に、少し曖昧なところがあるということです。誰が専門家と相談するのかとか、それは保健所の担当者なのかとか、そういったところ(説明)の文章の書き方は改めて整理する必要があるかなと思いました。時間の問題もありますので、ここは検討させていただくことにしたいと思います。

それから、届出前に(必要に応じて、一類感染症であるかどうかの)検査ができるようなフレームがあると臨床の現場としては動きやすいというコメントをいただきました。これについては、ここに(この手引きに)書き込むのか、または報告書の中に(疑似症例とされる前に感染研で検査を実施することのできる)フレームを確保することを検討するべきであるということを書き込むことを検討するのか、検討する必要があります。実際はそのようなことが現場では行われる(必要がある)こともきっとあるかも知れません。この事項をどのようにこの手引きや報告書に書き込むべきなのかを、事務局のほうと私の間で検討したいと思います。

 次に疫学調査の件でが、松井先生のほうから何かリスクに関する指摘に対する御意見ありますか。

○松井構成員 ラッサ熱が一番これまで多かったというところは記述しております。あと、全体合わせてどうかというところは事務局と相談させてください。

○西條座長 ありがとうございました。

それでは続いて、林参考人のほうからコメント等いただければありがたいと思います。

○林参考人 ありがとうございます。

 私のほうは、10の「医療体制」、特に10.1の「入院医療体制の確保」に関連する点で提案というか意見があります。現在、国内に47の第一種感染症指定医療機関というのが設置されていて、それよりも上位に4つの特定感染症指定医療機関があります。従来からの感染症行政という観点からは合理性のある枠組みかもしれませんが、医療サービスを提供する側の視点からすると現実的にはこの枠組みでは難しい面があります。

 第一種感染症指定医療機関と言っても、提供できる治療のグレードという観点では実に様々です。地域の中核急性期医療機関としてもともと実績のある第一種感染症指定医療機関もあれば、急性期医療機関としては充実していないもののなんとか基準を満たして昇格した第一種感染症指定医療機関もあるはずです。例えば、急性期病院としてあまり充実していない第一種感染症指定医療機関を持つ都道府県で患者が発生した場合、患者の重症度によってはその都道府県の第一種感染症指定医療機関では対応できない場合が想定されます。そのような場合、他の都道府県にあるより急性期医療体制の充実した第一種感染症指定医療機関に紹介搬送できるような体制が必要と考えます。さらに言えば、第一種感染症指定医療機関の中でもブロックごとに提供できる急性期医療の観点からヒエラルキーのようなものが事前に作られていた方が良いと思います。ブロックごとに軽症から中等症まで管理できる第一種感染症指定医療機関、集中治療を含めた重症患者管理までできる第一種感染症指定医療機関というような色分けを行政が事前にしておいた方が、医療従事者の立場からもまた医療行政の立場からも合理的であると考えます。

このような判断を、医療現場や個々の都道府県に投げてしまうと大混乱が生じる可能性があるので、国レベルで考えておく必要があると思います。

○西條座長 ありがとうございます。今のコメントに対して、大曲構成員のほうから何か御意見ございますか。

○大曲構成員 林参考人のお話は本当に納得できるところです。今回、14年、15年のアウトブレイクの中で、ほぼ全県に一種の指定病院ができたわけですが、では現実的にその中で医療をどう回すかということを考えると、やはりイメージが描けないというのが正直なところです。それは個別の医療機関レベルの話でもそうですし、県レベル、ブロックレベルで考えたときに、どの医療機関が実際に今診ることのできるキャパシティがあって、あるいはどの医療機関にはないのかが問題となります。

ブロックレベルでもそれぞれの医療機関の位置づけというのは変わってくると思います。ブロックで対応できないということになれば、例えば特定の感染症指定医療機関に移送ということが出てきます。実際の移送のやり方とか実際の流れ、実際に本物のエボラ出血熱の患者さんが出たときに、どのように診療を実施し、対応していくのかというのは、これらの問題点は確かに見えにくいところです。まだ経験がない中で、まずは形にして動かしていくということが必要ではないかと思っています。

○西條座長 ありがとうございます。林参考人のコメントのポイントに対して、そのほかの方々から意見等ございませんか。

もしなければ、私からの意見を述べます。非常に大切なポイントではあると考えている事項です。この各第一種感染症指定医療機関における提供可能な医療レベル情報等を「手引き」の中に細かく書くのは難しく、記述するとしても、それは概要になるのではないかと考えます。そして細かいポイント(詳細)について記述するとすれば、例えば「報告書」のほうに盛り込むのが適切で、それが現実的ではないかという印象を持っております。

それから、大曲構成員が座長を務められている一類感染症の治療の専門家会議等あると思いますが、そちらの会議での議論との連携が重要なポイントと思います。その点も配慮しながらこの「手引き」の中に書き込む、または報告書に書き込む必要があるのではないかと考えます。

その他事務局、または皆さんから、今の議論に関して、コメント等ございますか。

○中谷室長 事務局ですが、林先生の御意見につきましては、恐らく今日準備している資料2の骨子案の、まさに「3.今後の課題とそれに対する対応の方向性」として、隔離病床における管理だけでなく、どの程度の医療提供ができるのかということ、その感染症指定医療機関の要件というのを考えるべきかどうかといった、前回こちらで御議論いただいた内容で、手引きには入っていないものについて事務局のほうで項目立てさせていただき、そのような視点を、今、西條座長がおっしゃっていたように、概略ですとか、コメント、項目出しを手引きとして、より具体的に報告書のほうに記述するのがいいのかなと思いました。それについて、また座長とも御相談させていただければと思います。

○西條座長 ありがとうございます。

齋藤構成員、よろしくお願いします。

○齋藤構成員 今の議論につきましては、患者を動かすのか医者を動かすのかという問題でもあると思います。もし全県で診られないのであれば隣の県に頼むといった場合に、そのときには患者を動かさなければいけないという問題が生じるので、搬送体制をもう一つのファクターとして議論しなければいけないかと思います。

逆に、医者を動かして、県内で収容してもらうけれども、治療などの専門医、あるいはそういったスタッフについては中央から派遣するというやり方もあるかと思います。今回の「手引き」の中でも、国立国際医療研究センターから派遣できるという記載がございますが、ここにはもちろん、このガイドラインに書き込むのか、一言あるだけではなくて、もしそういった体制の下でスタッフで支援するという形をとるのであれば、費用負担等その体制をどうつくるかという議論もまた出てくるのではないかと思います。

○西條座長 ありがとうございます。

それでは、最後に私のほうから幾つかコメントを、または議論しておくべき課題について提案させていただきたいと思います。

まず第1点は、(一類感染症患者の)治療は難しいけれども、医療従事者が、例えば、または家族の方々がもしかしたら接触したのではないかと考えられる場合とか、または万が一(医療従事者が)針刺し事故を起こしてしまった場合とか、そういったイベントに対する対応がどうあるべきなのかということも考慮する必要があります。この辺(領域)での研究成果が進んでいます。特に説明したいと思うことは、次のことです。日本の製薬メーカー、具体的には富山化学により開発されているファビピラビル、商品名アビガンですけれども、この薬のいわゆる一類感染症の原因となるウイルスの増殖抑制効果が認められるという知見がかなり出ています。

それで、私たちの研究でも、日本で流行しているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という、クリミア・コンゴ出血熱に類似する感染症ですが、リバビリンとファビピラビルとのin vitroにおける細胞増殖抑制効果を調べると、ともに同じような程度に増殖抑制効果を示します。細胞培養レベルでは、両方とも強い増殖抑制効果を示しますが、動物モデルで調べると、ファビピラビルの効果はリバビリンの効果に比べると遙かに高くなります。ですから、クリミア・コンゴ出血熱やラッサ熱に対してはこれまでリバビリンが一般的には治療薬として使用されるということがこれまでの一般的な考え方だったけれども、もしファビピラビルが使用できるような環境になるとすれば、現実的にはファビピラビルがリバビリンより優先的に使用されるべき薬剤ではないかなといった考えを持っています。

このようなポイント(事項)をこの中(手引き)に書き込む必要があるのかどうかとか、または報告書のほうに書き込んで触れておく必要があるのかどうか、検討する必要があると考えています。この領域の研究では、私がよく知っているかもしれませんが、構成員の皆さんや参考人の方々からも、特に加藤先生と大曲先生には御意見を賜りたいと思います。いかがでしょうか。

○加藤参考人 先生がおっしゃられたのは、接触者に対してファビピラビルとかをどのように提供していくかという体制のことですね。

○西條座長 そうです。

○加藤参考人 この「手引き」に入れていただいているのですが、国立国際医療研究センターのほうで、ファビピラビル、治療もそうですけれども、発症防止についても投与できる臨床研究を準備しています。主に医療従事者を対象にはしていますが、同居家族のような方も登録できるようになっています。ただ、実際、患者さんが都内で出て、当センターのほうに入院してくるような場合に、その家族に対する発症防止にも当センターが対応するということになりますと、当センターでも、その受け入れの数にもより、積極的疫学調査の対象者の範囲にもよると思いますが、それが数十人とかになってきますと、我々のほうも体制を少し強化する必要が出てくるのではないかと考えます。医療従事者についてのイメージは私どもも持っていますが、対象が家族まで広がっていくと、それに応じた体制をつくっていく必要があるので、それは今後の課題と考えています。

○西條座長 そのほか御意見ございますか。

○大曲構成員 私は、加藤先生と同じ職場におりますので、体制づくりということは私も必要だと思います。またもう一つは、現在、例えばファビピラビルに関しては、うちの国際医療センターの中でも2つ臨床試験が走っていまして、1つは曝露後の予防ということで走っていて一応の形を見ているわけですけれども、それを例えば対象を広げる等々ということになれば、その体制がすぐに動かせるような準備はやはり必要になるのではないかと思います。

 それを、行政対応の中でどう位置づけて行うべきかということは、かなり具体的な話になりますので、この手引きの中に記載するというよりは、「手引き」と一緒につくられていきます「報告書」の中で触れたり、あるいはもうちょっと具体的に記載しておいたりすることが必要なのかもしれません。先ほど齋藤先生もおっしゃっていましたが、可能な限り事前に整理をしておいて、何か起こったときにはすぐに動かせるように整理しておくことが僕も必要ではないかと思います。

○西條座長 ありがとうございます。そのほか、御意見ございますか。

 では私のから。ファビピラビル、またリバビリンについても、一部の感染症、ラッサ熱を除けば、決してリバビリンの治療効果が証明されているわけではありません。また、発症予防効果があるとかいった成績もあるわけではありません。しかも、リバビリンについては効能が認められているわけでもありません。そういった状況の中で、現状ではリバビリンが(予防薬や治療薬として)使用されることが多いと思いますが、一方、ファビピラビルのような新薬、それが実はより効果ある可能性もあるといった知見が少しずつ出てきています。あくまでも動物実験のレベルの話なので、解決されるべき課題があるかもしれませんが、例えば「報告書」のほうにこれらの議論の内容を書き込んでおいて、しかも、それについては今後しっかりと検討し、必要なときに迅速に対応できるような準備をしておくことも必要ではないかと思います。そういった観点から、報告書の中にコメントを書く必要があるかもしれません。この事項については事務局とも相談しながら検討し、また皆さんの意見をいただきたいと思います。

 もう一点、私のほうから提案したいポイントがあります。退院の基準のことももう一度詳しくディスカッション(議論)しておく必要があろうかと思っています。西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行、これは非常に大きな流行があって、これまでも精液、または眼房水、眼液等に直接免疫がかかわることができないこれらの体内の部署でウイルス遺伝子が、エボラウイルスが比較的長く存在するということが知られていました。しかし、今回の流行では、非常にまれなケースではありますけれども、回復者が性的交渉を持ったときに、そのパートナーにウイルスを感染させてしまった事例が報告され、その事実はこの手引きの中にも書かれています。そういった事例が報告されているということは事実なのです。

そこで、このような現実を踏まえて、今後「退院の基準」をどうするのか、今の退院の基準で、例えば感染予防のための教育、または指導のための情報提供をどのようにするべきなのか、そういった今後の「退院基準のあり方」についても、この手引きの中においてすぐに直す(改訂する)べきかどうかは別として、議論しておく必要があろうかと思っています。

 これについて、どなたか、退院の基準、またはその退院された、回復された患者さんのフォローアップに関する意見がございませんか。松井構成員から先ほどコメントがありましたけれども、改めてこのポイントについて意見をいただきたいと思います。どなたかありませんでしょうか。

○中谷室長 今の課題をもし御議論するのでしたら、補足として、参考資料6と7について、もしよろしければ参考資料6について、松井先生から補足の御説明をいただければと思います。

○松井構成員 WHOが1月22日に発出しましたサバイバーに対するクリニカルケアのガイダンスの概略をまとめております。西アフリカにおける状況と日本国内を、一緒に捉えることはできないと思うので、西アフリカの文脈の中でと理解しておりますけれども、精液においては3カ月間はウイルスがいる、「contain」という表現が使われておりますけれども、そのような取扱いをするという書き方がなされております。

 以上です。

○西條座長 議論しておくという上では非常に大切なポイントだということで提案させていただきました。さらに追加して私のほうからコメントしておくとすれば、その上で、人権の配慮を含めて検討していく必要があろうかと思います。今現状で、この手引きの中で、この部分について何か改めて変える必要があるかどうかということについては、決してそうではないかとは思っていますが、改めてこの委員会の中でこういった議論がなされたということを議事録として残しておきたいと思います。

 細かなポイントで恐縮ですけれども、ページ数忘れましたが、感染予防のところで、エボラ出血熱、マールブルグ出血熱病の場合は感染が成立する場合に必要な感染性ウイルスが少ないため、より感染予防が重要だといった記載がありました。しかし、一類感染症全体にわたって厳重な対応が必要なので、クリミア・コンゴ出血熱や(ラッサ熱)等に対しても、感染症予防対策は厳重であるべきで、感染予防でクリミア・コンゴ出血熱や(ラッサ熱)においては力抜いてもいいような印象が生じます。そこは後で文章を直しておきたいと思います。

 それから、13ページの表1について、補足します。クリミア・コンゴ出血熱の場合は感染性期間のところが空欄になっておりますが、クリミア・コンゴ出血熱の場合は、回復した人が後に、その人がまた感染源になるといった事例はありません。そのため、この欄は空欄になっていると理解していただきたいと思います。

 私のほうからは以上です。

 各構成員、それから参考人のほうから御意見、コメントをいただきました。全体を通じて質問、コメント等ございますか。

○齋藤構成員 先ほどあった退院基準の議論についてです。27ページの10.3で「退院基準」という項目を立てていますが、回復者の管理とか、項目の名前を変えて、退院基準の話と退院された方のマネジメントの話を(区別して)、どういう注意をして日常生活を送ってもらうかということやプライバシーの話をまとめて書くような形にするとうまくまとまるのではないかと思いました。

○西條座長 大変いいコメントだと思いました。ありがとうございます。これにつきましては、事務局のほうと相談して、その部分を、ブラッシュアップ(改訂)したいと思います。

 松井先生。

○松井構成員 全体を通じまして、メンタルサポートに関する記述というのを入れておいたほうがいいかなと思います。積極的疫学調査の実施要領におきましては、症例、疑似症、家族、それから調査に当たった者に対するメンタルケアの重要性について記述しております。しかし、「手引き」におきましてもメンタルケアの重要性について強調していただくとともに、また、西アフリカにおいてのコンテクストで随分研究が進んでいる分野あることから、日本のコンテクストの中でエボラ出血熱の直接の当事者におけるメンタルケアの価値についても、研究的テーマとしても記述していただければよいのではないかと思います。

○西條座長 ありがとうございます。その点につきましても、事務局のほうと相談して、ぜひそのポイントについて盛り込んでいきたいと考えます。

 (柏樹)先生、どうぞ。

○柏樹構成員 28ページの「遺体の管理」の記述についてです。ここには火葬の取扱いについて記述されているのですが、こういう一類感染症の患者さんは、外国の方であることも大いに可能性があります。日本に来て発症されることも大いにあるので、そのあたりはしっかり対応方法を考えておいたほうがよろしいのではないかなと感じました。

○西條座長 ありがとうございます。ただいまの柏樹構成員からのコメントですが、何か御意見等ございますか。

 もしなければ、これも重要なポイントだと思いますので、「報告書」の中に書き込むことができるのかどうか、または、「手引き」の中に書き込めるかどうか、これは私と事務局とで相談しながら検討させていただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

 (西塚構成員)どうぞ。

○西塚構成員 今の補足に関連した内容なのです。火葬、また搬送業者を各都道府県で今選定しているところだと思うのですけれども、ただ単に運ぶだけという業者さんよりも、外国の方が一人で来られて亡くなったときの対応、また現地の外国の御家族と連絡のとれる、またそういった手続などにもたけている業者さんを探すということが重要だなと東京都も認識しております。そういった視点をぜひ入れていただけるとありがたいなと思いました。

○西條座長 ありがとうございました。その点についてもしっかりと検討して、報告書または手引きの中に文章を加えることを検討したいと思います。

そのほかございますか。

 それでは、議論も尽くされてきました。それから、幾つか重要なポイント、または書き方を変える、加えるべき記述等々、ポイントが明確になったと思っております。そのほか、特段、御意見、それから対立しているポイント等があるようには思いませんので、以上、先ほどの議論の中で出てきたポイントをしっかりと反映させた手引きをつくる方向性でまとめていきたいと思っております。

 ウイルス性出血熱への行政対応の手引き(案)については、本日においてはこの議論を踏まえて、ほかに(議論すべき)問題点(課題)はなく、御異議もないようにと思います。もしあれば御意見いただきたい。もしなければ、きょうの議論を踏まえて文書の作成に入りたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、議論の点を含めて、本検討会として、この行政対応の手引きについて了承していただいたと考えてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○西條座長 御意見ないので、そういうことで、委員会としてこの手引き(案)を了承したと考えたいと思います。

 続いて、議題2「その他」に入りたいと思います。次に資料2について、事務局から説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○中谷室長 それでは、資料2をごらんください。既に一部御説明もしておりますけれども、こちらの手引きのまとめと一緒に、この検討会としてまとめていただくものと考えております。

なお、その手引きも、こちらの報告書も、3月、年度末までを目途にとりまとめて、手引きにつきましては、厚労省から自治体に通達という形で周知していきたいと思っております。よろしくお願いします。

 資料2については報告書の骨子ということで、1は検討会の背景、2はこれまでの対応の総括ということで、手引きのほうにも既に総括を書いておりますので、それを少し引用するということを考えたいと思います。

 3番が今後の課題ということで、これについて、こうしたほうがいいという御意見もいただいていますので、検討会としての御意見という形でまとめていただいて、今後我々がその制度を見直すとき、あるいは予算事業や研究事業を見直すときなどに、この報告書を、いただいた御意見を踏まえて直していくためにまとめていただくものと考えております。

 (1)は、特定及び第一種感染症指定医療機関の要件ということで、現行の基準について、参考資料1と2とにつけておりますので適宜御参照いただければと思います。その隔離病床における管理だけでなく、どの程度のレベルの医療が提供できるのかという観点が必要ではないかといった御意見がございましたので、それを入れております。また、医療等に応じた感染症指定医療機関の、同じ、裏返しになりますけれども、その指定医療機関のキャパシティについて、何名対応可能か、あるいは重症患者を2週間以上診られるとか、そういった内容を盛り込むべきなのかどうかといった御意見があろうかと思いますので、そういったこと(課題)を念頭に置いています。

(2)はそれに少し近い(内容な)のです。重症患者かつ新興感染症(一類感染症)の患者に対してどこまで医療提供できる、集中治療対応がどのレベルまでできるか、現状ではその医療機関に集中治療室があるのか、人工透析器があるのか、このように少し総論的な内容なので、前回の第1回目にも具体的にデータを大曲構成員などからお示しいただいておりますが、何人ぐらい、どの程度の集中治療できる施設は全国に何カ所ぐらいあるのが現実的と望ましいのか、ともに重要な課題であると思います。項目に書いていませんが、実際患者を搬送する場合に、広域の搬送体制の確保も必要になってくると思います。2つ目には、これは林構成員から前回、登録制の医療チーム、専門チームを用意して、実際、重症の患者を例えば4週間診なければいけない場合には、恐らくその医療機関のスタッフだけでは困難になるということを想定した仕組みを検討すべきではないかといった御意見がありましたので、そのことを念頭に置いて書いております。

 また、検査体制に関してです。これはたしか加藤構成員から指摘あったかと思いますが、エボラに関してはその医療機関でマラリアやデングの迅速検査ができるのかというようなお話があったと思いますので、そうした、今の第一種より少し集中治療にも対応、実際治療していくときにはそういった機能も要るのかどうか。あるいは、実際入り口で見るということでは、本来であれば全ての第一種の指定医療機関はそれができたほうがいいといった、いずれか御意見があるかなあと思っておりまして、そういったことが書ければなと思っております。

 (3)は、前回、小森構成員から御指摘ありました、一般医療機関に実際検疫をすり抜けて来てしまった方が(一般の医療機関を)受診することになるわけなので、一般医療機関向けの研修、ケーススタディを踏まえたワークショップのような研修を推進すべきであるとか、実際すり抜けてきた患者が今回のエボラでは全て陰性でしたが、もし陽性だった場合、実際に患者を診た一般の医療機関ではどういう対応をすればいいのか。接触者の対応については既に実施要領がございますが、具体的にどの程度の、かなり接触者が多かった場合に医療スタッフがどこまで対応するべきなのかというようなことも考慮する必要があると思うので、少し御意見を入れさせていただければと思っております。

 (4)は「情報公開のあり方」と書いておりますが、個人情報、プライバシーや人権への配慮というタイトルのほうが正しいかもしれませんが、そうした健康監視者や疑似症患者、患者の個人情報への配慮について、今日、西塚構成員から御指摘いただいたので手引きにもう少し詳しく書いていきたいと思います。さらに踏み込んだ内容については、具体的に、例えば搬送のときに曇りガラスのほうがいいといったようなことですとか、病院の入り口のほうも曇りガラスであるいはシールドにしたほうがいいですとか、いろいろ想定されるケースを踏まえて、もう少し具体的に、具体的な御意見をいただいたものはこちら(報告書)のほうに反映させていければと思っております。

 次に、柏樹構成員から外国人への対応における通訳に関する前回御意見あったと思います。少し具体的にこういった対応も必要になるといったことをこちら(報告書)のほうに書き込まさせていただければと思います。

 (5)は、先ほども既に御意見、御議論いただいておりますが、(回復期患者が)病原体を保持していないことの確認方法の通知の見直しが必要かどうかについてです。退院基準と書いていますが、これは病原体を保持していないことが確認されたら退院させなければならないということを示しています。一方、臨床的には、十分に体力もよくなって、ほかにウイルス、いわゆる日常生活では感染させるようなリスクが減った場合には、患者の人権を配慮すると、しっかりメンタルヘルスや教育をした上で、退院させることはできると思います。感染症法上も、病原体保持しなくなってからでなければ退院させられないということではなく、その逆です。ですから、そのあたりのこと、実際退院させられる目安はどのぐらいで、病原体の確認方法としてはこういったことが適当だろうといったような御意見をいただければと思っております。

 また先ほど回復者のフォローや外国人の火葬に関する御意見などもありましたので、少しまた項目も足す(加筆する)などさせていただければと思います。

 4番目、「引き続き検討が必要な課題」ということで、この3月までにはどういう方向性に進むべきかというのをこの検討会としてまとめるのが難しそうですが、御意見があった項目として挙げられました、研究のあり方やそのための予算のあり方ということでございます。研究のあり方については、齋藤構成員から御意見を前回もいただいていますし、予算のあり方について、小森構成員から前回御発言がありましたので、もし補足的に(何かございましたら)御意見を今日いただければと思います。

 こちら、今日御意見いただきました。前回と今回の御意見を踏まえて報告書のたたき台を事務局で作成しまして、また第3回目の検討会までに何度か委員の皆様とやりとりさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○西條座長 ありがとうございます。

ただいま、資料2、その他、この一類感染症に関する検討会報告書骨子(案)について説明をいただきました。構成員、それから参考人の方々から御意見、質問等ありましたらこの場でいただきたいと思います。

○林参考人 オレンジ色の紙の中のディテールに関しては、今特にコメントするような機会ではないと考えていいですか。

○中谷室長 はい。

○林参考人 では、特にないです。ちょっと言葉のこととか、非常に細かいことになってしまうのですけれども、後でいいですか。

○中谷室長 はい。

○西條座長 そのほかございますか。

 では僕のほうから、まとめの話にもなりますが、この報告書の中に触れるべき項目については、先ほどの手引きの議論の中でかなり煮詰まっていると思います。そこの中でもはっきりしている点を踏まえて、事務局のほうで骨子案をブラッシュアップ(改訂)していただき、(次いで)委員の中で確認し、次回の委員会で承認ができるようにしたいと考えております。

 それで、1つだけ確認しておくと、回復した患者さんのフォローアップのことや退院の基準の部分に関する意見です。「病原体の保持」という言葉についてです。この書き方は比較的曖昧なので、この場で明確にしておく必要があろうかと思います。コメントすると、ウイルスの遺伝子が存在するということと、それらが感染性のウイルスであるということとは明確に区別して考えなければいけないということです。遺伝子があるかどうかというのは、この手引きの中に記載されておりますが、高感度の遺伝子検査を実施し、陰性であれば、少なくとも超高感度の遺伝子検査でも、ウイルス遺伝子が検出限界以下だということになります。

 一方、遺伝子があった(陽性であった)としても、そこに感染性のウイルスがいるかどうかは別で、感染性のウイルスがいるかどうかを調べるための検査としては、(細胞を用いた)ウイルス分離検査であったり、または乳のみマウスの脳内接種によるウイルス分離検査を実施して、本当に(感染性のある)ウイルスがいるかどうかを調べる必要があります。これは結構感度のいい検査なのですけれども、そういった検査(ウイルス分離検査)を今後フォローアップのときに組み込んでいくことが必要かどうかを、そういったことを考えていく必要があろうかと思います。

 いずれにしても、私のほうからの確認として、「病原体の保持」という言葉の意味は、遺伝子があるかどうか、それとも、感染性のウイルスがいるかどうかというこのポイントは区別して考えなければ、回復した患者さんのフォローアップの上で適切に対応できないということになります改めてこの点を明確にしておきたいと思います。

 そのほか、この骨子案のところでは、先ほど議論が出てきた幾つかのポイントについてです。(具体的には)治療の提供、各施設における提供できる治療の内容、そのレベル、患者をどう集約していくべきなのか、ファビピラビルの問題、退院後のフォローアップ、それからメンタルサポートの部分に関する事項です。これらを「手引き」または「報告書」の中に書き入れることも考えることになります。それから、外国人の方が亡くなられた場合の対応や、また発症した場合のサポートについても検討することが確認されました。(患者が)亡くなられたときの埋葬のあり方とか、そのようなポイントについても書き込んでいくといったことが確認されたと思います。

 それから、議論の中で小森構成員のほうから、日本医師会等、関連の機関との連携、こういったところで、その中心となる機関をもう少し中に書き込む必要があるのではないかという意見だったと思いますので、そういったポイントについても配慮して報告書の原案をまとめたいと思っています。

 私のほうでまた少しまとめに入ったようなコメントをしましたが、皆さんのほうからさらにコメント、それから質問等ありましたらこの場で。

○小森構成員 1点だけ。先ほど私が最初に申し上げたのは、「報告書」ではなく「手引き」にそれを書いてほしいということです。今のとりまとめは私の意図とはちょっと違っていましたので、事務局からできれば回答していただきたいと思います。

○西條座長 よろしくお願いします。

○中谷室長 関係機関、特に日本医師会との連携というところでは、御指摘いただきましたので、手引きの中では、例えば「国内での患者発見」、15ページ、下の3.2ですね。検疫をすり抜けてくるケースがあるので、特に一般医療機関との連携についても考慮するといったような、少しここの記載の工夫等、あと、先ほど御指摘の点については、21ページ、6.5の関係機関との連携ということでしたので、例えば6.5.1が患者の移送の話になっていますけれども、その前に、例えば初期対応における一般医療機関との連携の、国内で発見された場合ということも想定して、地域の行政機関は日本医師会との連携を行っていくといったような、きょう御発言いただいたような趣旨の項目を、ここに項目を起こして少し入れるといったような工夫をさせていただいて、もう一度御確認いただければと思います。座長にもまた見ていただきます。

○小森構成員 そのようにお願いします。

○西條座長 どうも御意見ありがとうございます。そのほかございますか。

 もし御意見、それからコメント等なければ、次回までに本日の意見を踏まえて、本検討会としての報告書案を作成したいと思います。議題2、「その他」についてですけれども、ありがとうございます。

事務局のほうから、さらに何か報告、それから提案等ございますか。

○中谷室長 次回の検討会の日程調整は改めてさせていただいて、また御連絡したいと思います。

○西條座長 ありがとうございました。今日は、皆さん、建設的な意見と、また議論の時間をしっかりと守ることができて、よかったと思っています。今日は本当にありがとうございました。

それでは、本日の議事は以上をもって終了とさせていただきます。先ほど中谷室長のほうから説明がありましたが、日程調整をして第3回目の委員会を開催するということになります。御協力、よろしくお願いします。それから、報告書等の案が皆さんに届くことと思いますが、そのときにはまた御意見等よろしく協力をお願いしたいと思います。

 本日はこれで終了といたします。ありがとうございました。


(了)

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