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2015年11月13日 第69回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録について

職業安定局 雇用開発部 高齢者雇用対策課

○日時

平成27年11月13日(金)10:00~12:00


○場所

職業安定局第1・第2会議室(中央合同庁舎第5号館12階)


○議事

○阿部部会長 おはようございます。これから、「第 69 回雇用対策基本問題部会」を開催します。本日の委員の出欠状況を報告します。欠席は、公益代表が玄田委員、使用者代表が川上委員、市瀬委員、労働者代表が小倉委員、芳野委員です。

 それでは議事に入ります。本日は、前回に引き続き「高齢者雇用対策について」を議題とします。事務局において前回の議論を踏まえた論点の整理について、資料を準備いただいていますので、これに沿って議事を進めていきます。その際、まずシルバー人材センター以外の論点について議論を行い、その後シルバー人材センターに関する議論を行う形で進めていきます。事務局から、シルバー人材センター以外の論点の整理について、前回の委員からの指摘事項に関する資料も含め説明をお願いします。

○渡部高齢者雇用対策課長補佐 御説明します。資料 1-1 と資料 2-1 、資料 3 3 点について、御説明します。資料 1-1 は、前回御指摘いただきました事項に対応する資料ということで用意させていただいたものです。 1 ページを御覧ください。高齢者の就業ニーズについて、より掘り下げたものが必要であるという御指摘を頂いたところです。有業者数と就業希望者数ということで、こちらは「就業構造基本調査」 ( 平成 24 ) を基にまとめたものです。黄色くなっている部分が有業者、青い部分が就業希望者ということで、無業者のうち何か収入のある仕事をしたいと思っている方で求職者を含むものです。見ていただきますとおり、高年齢者と女性において就業希望者が多い状況となっており、 65 歳以上の就業希望者は 207 万人に上るということです。

 2 ページは、高年齢者の就労希望年齢についてです。前回、平成 25 年度のデータをお示ししていますが、今回、平成 19 年度の調査と比較する形で整理をしています。こちらについては、 55 64 歳の高齢者の方がいつまで働きたいかという形になっており、平成 19 年度と比べますと、 65 歳ぐらいまで働きたいという方が 44.2 %から 34.5 %と減少しているのに対して、 70 歳ぐらいまで働きたいという方が増えている状況があります。

 3 ページは、就業形態別に就労希望年齢を調べたものです。こちらは青くなっている部分が 60 歳以降働きたくないとか、 65 歳ぐらいまでという部分ですが、見ていただきますと、農林漁業とか、自営業・個人事業主といった働き方の方については、より高齢まで働きたいという希望が出ています。

 4 ページは、高齢者の就業理由について、男女別で、更に経年的な変化が分かるような資料がないかとの御指摘を頂いたところです。前回提示した資料と少し異なる調査にはなりますが、比較できるものがありましたので資料を整理しました。上が男性、下が女性となっており、棒グラフが 3 本並んでいますが、左から平成 13 年度、平成 18 年度、平成 23 年度という状況です。見ていただきますと、上の男性の「生活費をまかなうため」に働くという方が、平成 18 年度から平成 23 年度の調査にかけて大きく増加しているところが分かるかと思います。

 5 ページは、定年・退職後の「就業形態」の希望と状況です。 55 69 歳の高齢者の方で、希望と実際の状況といった調査です。年代別の区分と男女別の区分とともに示しています。正社員を希望する方が割と多く、総数としては 44.2 %という状況ですが、実際の状況としては正社員として働いている方は 18.6 %、嘱託やパートで働いている方のほうが多い状況です。でも、やはり高齢になるにつれて正社員の希望という方が減って、嘱託やパートで働く方が増えている状況です。

 6 ページも同様の観点の調査ですが、こちらは「勤務形態」で見ています。こちらも今の調査と同じようにフルタイムで希望する方が相当数いらっしゃるというところで、状況はそこまでいっていない、短時間とかそういう働き方をしている方が多い状況です。

 7 ページは「産業雇用安定センターの活用が重要と思うが、センターにおいて、 65 歳以上の高年齢者にどのような取組をしているのか具体的に示してほしい」という委員の御指摘を受け、用意した資料です。産業雇用安定センターは、労働力の産業間、企業間移動の円滑化に寄与するため、出向・移籍による失業なき労働移動に関する情報の提供や相談を年齢にかかわりなく実施しています。平成 26 年度以降は、毎年、出向等支援協力員といった方を増配置し、マッチング機能の強化を図り、併せて個人の課題に応じた各種講習・訓練等の実施によるあっせん機能の強化、拡充を図っています。

 また、 8 ページですが、平成 28 年度からは、 65 歳を超えても安定的な雇用機会を得ることができるように、キャリア希望実現支援助成金を新設しています。これは、 65 歳を超えて継続雇用が可能な企業、すなわち生涯現役企業が、キャリアチェンジを希望する中高年人材を移籍で受け入れた場合に、助成金を支給するものです。このキャリア希望実現支援助成金は、産業雇用安定センターを利用して移籍を行った場合にも、活用することが可能な仕組みとなっています。

 このように産業雇用安定センターについては、あっせん機能の強化と助成金の活用により、中高年齢者を含め 65 歳以上の高年齢者の雇用の機会を確保する取組を進めています。資料 1-1 の説明は以上です。

 資料 2-1 です。こちらは前回の議論を踏まえて事務局で論点を整理したものです。前回部会で頂いた御意見については、資料の下のほうに御意見の概要をまとめていますので、併せて御参照いただければと思います。

1 ページは総論です。 1 点目として、平成 24 年の高齢法改正により、希望者全員の 65 歳までの雇用確保の仕組みが整備されたという中で、 65 歳までの雇用確保措置が確実に実施されていることを前提に、今後は 65 歳を超えても働きたい高齢者の就業機会の確保が課題ではないかとしました。

 2 点目は、高齢者の多用なニーズを把握した上で、施策を検討していくべきではないかと。 3 点目として、将来的な人口構成や就業構造の変化を見据えた上で、中長期的に必要となる施策を検討していくことも必要ではないかと。以上 3 点まとめました。

2 ページは、各論の 1 つ目として、企業における高年齢者の雇用の促進に関することです。 1 つ目は、改正高齢法に基づく希望者全員の 65 歳までの雇用確保措置を確実に実施することが必要ではないか。

2 点目として、 65 歳を超える高齢者の雇用等については、企業の自主的な取組を支援することが必要ではないか。これについては、例えば、高齢者を多数雇用する事業所について助成金の支給を検討してはどうか。また、高齢者の健康管理への支援を望む声が多いことを踏まえて、高齢者向けに健康管理制度等を導入した事業主について、助成金の支給を検討してはどうかということにしました。

3 点目は、雇用確保措置の対象とならない有期雇用労働者についても、雇用機会が確保されるよう支援すべきではないか。これについては、例えば、高齢の有期雇用労働者について、定年・雇用確保措置の対象となる無期雇用への転換を促す支援を検討してはどうかという形でまとめました。

3 ページです。こちらは中高年齢者の再就職の支援に関する論点です。 1 つは、高年齢者の就職支援においてハローワークの果たす役割は重要であり、 65 歳以上の就職支援について、ハローワークでも取組を強化すべきではないか。 2 点目として、自社内にとどまらずに活躍の場を探す高年齢者に対しては、産雇センターによる出向・移籍等のあっせん機能を活用していくべきではないかということです。

4 ページ、地域における多様な雇用・就業機会の確保という部分です。●にしているのは、法改正につながる事項かという所を●にしています。 1 つ目は、地方自治体を中心に、地域の関係機関のネットワークを構築し、地域の実情を踏まえた高年齢者雇用の在り方を協議し、推進していく仕組みを設けるべきではないか。その際、労使関係者も含め、地域の高年齢者雇用に関係する者が広く参加できる仕組みとすべきではないか。

2 つ目としては、地域の取組が普及されるよう国としても必要な支援を行うべきではないか。 3 点目は、高齢者の多様な就業ニーズに対応した雇用・就業機会が確保されるようにすべきではないかと。以上のような形でまとめています。

 資料 3 です。こちらは協議会とかシルバーの関係については、どのようなことが考えられるのか、イメージできるものが必要という御指摘を踏まえて、事務局で準備をした資料です。資料 3 は協議会の設置についてのイメージということで、目的としては、高齢者等の地域での就業機会の確保等を効果的に推進していくために、地域で高齢者の就業対策に関わる関係機関が集まる協議会を設置し、関係機関の情報共有、連携強化等を図るということです。このために、地方自治体が関係機関で構成する協議会を設置することができるものとしてはどうかということです。

 協議会で取り扱う事項を 3 点挙げています。関係機関が行う高齢者就業支援等に係る情報の共有や連携の在り方に関すること。また、地域の高齢者の就業機会確保に関するビジョンや計画の作成に関すること。その実現のために必要な事業の実施に関すること。こういったことが考えられるのではないかということです。

 構成員は、県や市の関係課、労働局、シルバー人材センター、労使関係者、社会福祉協議会、地域の金融機関といった所を例で挙げていますが、こうした高齢者の就業機会確保に関する関係者を、幅広く構成員に含めることができるようにしてはどうかという形で資料をまとめました。シルバー人材センター関係以外のものについての説明は、以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。ただいま事務局から説明いただいた点について、御質問、御意見があればお伺いしますので、よろしくお願いします。

○紺谷委員 資料 2-1 、前回の議論を踏まえた論点整理の 2 ページ、各論です。企業における高年齢者の雇用の促進について事務局の考えをお伺いしたいということです。上から 3 つ目の○には、高齢の有期雇用労働者について、高年齢者雇用確保措置の対象となる無期雇用への転換を促す支援を検討してはどうかとありますが、こうした施策は是非検討し、実施しなくてはいけないと思います。

 さらに、高年齢者雇用安定法の高年齢者雇用確保措置の対象について、今現在、対象外になっている有期労働契約を反復更新して 60 歳を迎える労働者についても、 65 歳までの安定した雇用確保が図られなければならないと考えていて、そのためには雇用形態にかかわらず、まずは労働者を 65 歳まで雇用する事業主に対する助成の拡充、こういった施策を検討するなど、一層の環境整備を行う必要があると考えます。

2 つ目の○について質問です。高齢者を多数雇用する事業所や健康管理制度等を導入する事業主を支援するとあるのですが、前回も議論があったように、高齢者で就労する方は、健康や生きがい等のために働きたいという方から、収入を得るために働きたいという方まで様々だと思います。ここに記載のある助成金に関して、「高齢者」や「多数」、「雇用」という要件をどのように整理するかが重要だと考えますので、これらに関して事務局の考えがあればお伺いしたいということです。

○阿部部会長 御質問ですのでお願いします。

○福士高齢者雇用対策課長 高齢者を多数雇用するという助成金の今の考え方ですが、企業に対する助成としては、多数雇用するという助成に関しては、過去に高齢者多数雇用奨励金等として、 60 64 歳の雇用保険被保険者の割合が一定の割合を超えるという場合に、超えている人数に対して奨励金を支給していたという例があります。我々としては、こうした例を参考にして 65 歳以上の高齢者の雇用数に応じた支援について、今後検討してまいりたいと考えています。

○阿部部会長 ありがとうございました。紺谷委員、よろしいですか。では、御意見も出たと思いますので、またよろしくお願いします。その他いかがですか。

○近藤委員 基幹労連の近藤です。前回は欠席し申し訳ありませんでした。各論の 2 の中高年者の再就職支援の関係で、産業雇用安定センターについて質問します。資料 1-1 7 ページ、産業雇用安定センターによる出向・移籍のあっせんについてです。平成 26 年度実績は、送出件数が 1 4,000 件ぐらい、出向・移籍の成立件数が 8,500 件ぐらい、成立率が 60.1 %ということです。

 資料には産業雇用安定センターの年齢別の実績や評価が示されていませんが、高齢者の実績はどうだったのかということ、あと、厚労省で認識する産業雇用安定センターでの高齢者の出向・移籍のあっせんの状況と課題について、見解をお伺いします。

○北條雇用開発企画課長 産業雇用安定センターの実績ですが、年齢別の実績については、今、手元に数字がありませんので、次回にお示しします。概要を申し上げますと、主に中高年の、特に中年の方の出向・移籍が多いため、これからは中高年齢者の方に対する出向・移籍のあっせんを拡大していかなくてはいけないと思っています。

○近藤委員 続けてですが、資料 1-1 7 ページの真ん中辺りの下の所には、キャリア・コンサルティング、個人の課題に応じた各種講習・訓練の実施が記載されているわけですが、産業雇用安定センターでは、企業から派遣された企業の実態を御存じの方が従事されていると思いますが、出向・移籍の対象となる労働者に対しては、本人の意向を十分尊重していただきたいと思っています。

 併せて、中高年者の再就職の支援に関して数点お聞きします。 8 ページの上にある「生涯現役移籍受入コース」についてですが、現行の「受入れ人材育成支援奨励金」との関係がどうなるのかという点、あと、 65 歳を超えて継続雇用が可能な企業とありますが、対象とする企業の判断基準があるのかどうかをお伺いします。最後ですが、予算について平成 28 年度要求額で 14.3 億円ということですが、根拠があればお聞きしたいと思います。 3 点お願いします。

○北條雇用開発企画課長 1点目の受入れ人材育成支援助成金とキャリア希望実現支援助成金の関係については、既存の受入れ人材育成支援助成金の中に移籍・出向によって受け入れた場合の助成措置がありますので、それを切り出して新しくキャリア希望実現支援助成金を設けています。したがって、ある程度両者は重なる部分があるということです。2点目の 65 歳以上を超えて継続雇用が可能な企業であるかどうかの判断基準ですが、これは助成金の支給申請書に就業規則を添付していただいて、それに基づいて判断をします。3点目の予算要求額 14 億円の積算根拠については、 65 歳を超えて継続雇用できる企業の数と、対象者である 40 59 歳までの労働者のうち、移籍・出向すると推計された人数を掛け算して求めた額になっています。

○阿部部会長 近藤委員、よろしいですか。

○近藤委員 はい、ありがとうございます。

○阿部部会長 その他いかがですか。

○鎌田委員 資料 3 の高齢者の就業機会確保に係る地域の協議会の設置についてのイメージで、質問と意見を述べたいと思います。この協議会の性格ですが、目的については書かれているとおり、地域での就業機会の確保を効果的に推進していくということで、正に地域のイニシアティブによって地域の雇用を創出していくことであり、それが効果的に実施されるよう協議会を設置してということですから、そういう意味では大変意義深いことだと思っています。

 その上で協議会がどういう役割を果すのかということですが、協議会という言葉からいうと、何か関係者が集まって協議をするということにとどまるように見えますが、よくよく御説明を聞きますと、真ん中の協議会で取り扱う事項のポツの 3 点目に、ビジョンや計画の実現のために必要な事業の実施も行うということでして、協議だけではなくて実施についても行うということです。

 そうしますと、もちろん地域の中での様々なスクリーニングをした上で、計画立案の評価をした上で実施するということですが、当然マンパワーを含めて様々な経費が掛かってくるだろうと思っています。そうした観点から考えますと、地域の雇用創出に関しては、現在、様々な形で助成金・補助金などが支給されていますが、私の理解ですと、期間を定めた短期的なものもあるということです。この事業の実施を含めて、そういった国からの財政的な支援はどうなっているか。その点については、より積極的に支援を図ることも併せて考えたらどうかと思っています。質問と意見です。

○阿部部会長 関連して北野委員もお願いします。

○北野委員 協議会の設置について、 1 点だけ質問させてください。鎌田委員からもご発言があったのですが、この協議会が取り扱う事項や国の関与の仕方、これをどのように規定していくのか、厚労省としての見解があればお聞かせいただきたいと思います。併せてお願いします。

○福士高齢者雇用対策課長 協議会については、都道府県並びに市町村等々で設置していただくことになると思います。鎌田委員からもありましたが、その中で事業を展開していきたいとか、こういうものをやっていきたいという場合については、国の関与としては、それに係る経費について支援をしていきたいと。今、そういう考えの下予算要求をしているところでもありますので、国の関与としては、そこに関する財政面の支援をしていくことになると思います。

○阿部部会長 鎌田委員、よろしいですか。

○鎌田委員 はい。

○阿部部会長 北野委員は、今の点、大丈夫ですか。

○北野委員 今のご説明は、助成措置を検討したいということですよね。

○福士高齢者雇用対策課長 そうです。

○北野委員 この協議会で取り扱う事項に対する国の関与の在り方をどのように規定して運用するのかをお聞きしたいのですが。

○福士高齢者雇用対策課長 例えば事業を実施する場合においては、それに対して国で同意を行うという形の中で関与していきたいと思っています。

○北野委員 いずれしても法改正を伴うという説明もあったと思うので、そういう意味で法令にしっかり規定するということですよね。

○福士高齢者雇用対策課長 そのとおりです。

○猪熊委員 協議会のことで質問です。資料 3 で、設置することができるものとしてはどうかということですが、これは、設置義務が全部あるわけではなくて、やりたいところはできるようにするということでよろしいのですか。あと、法改正を伴うというところで、法改正をなぜ伴うのかと思っていたのですが、今おっしゃった実施に関する国の関与の推進をしっかり行うために法改正が必要という解釈になるのでしょうか。

○福士高齢者雇用対策課長 協議会については、今、御指摘があったように法に規定しなくても設置することは可能ですが、法に規定することにより、高齢者の就業確保において地域の役割が重要であることを明確にしていただくということと、自治体における協議会設置の動きが促進されていくと。先ほども申し上げましたが、事業を展開していく上で国が関与していくという形の中で、法律に規定させていただきたいと思っています。

○阿部部会長 ということは、最初の質問で設置の義務はあるのかというのは、特にないと。

○福士高齢者雇用対策課長 はい、設置することができるということです。

○阿部部会長 できるということですよね、はい。

○森戸委員 資料 2-1 の論点の整理の 2 ページですが、私も前回欠席したので既に少し議論があったのかもしれませんが、気になったのは、○の 3 つ目で、要するに有期雇用労働者は高年齢者雇用確保措置の対象とならないと明言されているわけで、そうだと思います。その問題に対しては無期雇用転換を支援することでどうかと。それはもちろん分かるのですが、現在、高年齢者雇用確保措置が有期雇用労働者はある意味枠の外ということが、全体の趣旨としてそこは穴が空いていると思いますので、無期雇用転換はもちろんいいのですが、無期雇用転換をみんながされるとは限らないし、しない場合は、結局、その適用範囲外ということなので、それでいいのかという議論は、今後はちゃんとしていかないのではないかと思います。

 趣旨としては、有期雇用を 60 歳になったら更新しないというのは、法の趣旨には反するのだということになるのではないかと思うので、これは将来的な話かもしれませんが、無期雇用転換だけではなくて、そもそも元の定めがいいのかということも、一応頭に置いて議論しなくてはいけないのかとは思いました。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。将来的ということもおっしゃっていましたが、ここでやる議論というふうには、もう少し時間的なものもあるし、必要だろうというところまでいけるかどうかは、少し考えさせていただきたいと私は個人的には思っています。

○森戸委員 それはもちろんお任せします。

○阿部部会長 というのは、これは高齢者だけですが、高齢者だけでいいのかとか、そういういろいろなところもあると思いますので、少し考えさせてください。

○村上委員 今の森戸委員の御意見と同趣旨ですが、本日の資料では有期雇用労働者については高年齢者雇用確保措置の対象とならないと言い切っていますが、高齢法改正時に厚生労働省が作成した Q&A の中では、実態として雇用契約を反復更新し 60 歳を迎えた方については実質的に無期雇用になっていると見なされることがあり、高年齢者雇用確保措置も講ずることが望ましいという内容が書かれていたかと思います。是非、その内容についての周知を図っていただきたいと思います。

○阿部部会長 ありがとうございます。

○坂下委員 お願いです。資料 1-1 7 ページの産業雇用安定センターに関して、同センターをもっと活用していくべきだという論点で整理していただきました。是非、その方向で御検討いただきたいと思うのですが、実際、どのような形でこのセンターをより強化するのか、これまでもセンターの機能強化をしてきましたが、今回の取組で具体的にどのように変えていくのか、それによってどのような効果が期待されるのかを、次回以降、もう少し分かるように資料を御提示いただけると理解が進みやすいかと思います。是非お願いしたいと思います。

 続いて、資料 3 の協議会に関して申し上げます。このように地域で考えていただく場をつくっていくことは重要だと思いますので、進めていただければと思いますが、これに関して 2 点ありまして、 1 点目が構成員の部分について、それぞれの地域で考えていただくことかもしれませんが、具体的にどのような形で、どのような人たちが選ばれていくのかを、もう少し仕組みが分かるように御説明いただけると有り難いということです。

2 点目は、このような協議会の運営にあたって、その効果や、地方での先進的な取組について確認をしたいと考えます。好事例については共有していくことが重要だと思いますので、そのような事例を踏まえ、フォローアップしていく仕組みも必要ではないかと思います。 2 点目は意見です。

○阿部部会長 ありがとうございました。

○福士高齢者雇用対策課長 今、協議会の構成メンバーについてのお尋ねだと思いますが、今のところ考えているのは、県や市でやる場合について、そのときの関係課、都道府県労働局、シルバー人材センター、労使関係者、社会福祉協議会、地域の金融機関と高齢者の就業機会確保に関する関係者を幅広く、要はその中心である首長ないしは知事が参加を呼び掛けるということで考えています。

 フォローのことに関しては、好事例等々、広く普及させていくということでやっていきたいと思っています。

○福田委員 先ほどの坂下委員のお話で、産業雇用安定センターの資料を出していただきたい旨の発言がありました。私も産業雇用安定センター の監事を 5 年ぐらいやっているので、この資料は大事だと思います。平成 26 年度の実績と送出しが 1 4,000 件あると。出向と移籍は全然違うと思います。まず出向させて、ある一定期間から今度は移籍させるわけですが、移籍から転籍してその職業に就くことはすごく大事なことだと思います。それは多分、この 8,495 件の内訳がどうなっているのかは、かなり大事なことかと思います。本来なら出向は、元いた会社からもお金を補助してもらうことがあるので、それはそれでいいと思うのですが、移籍したときに、今度はそこの移籍した所がお金を全額払わなくてはいけない。そうなると、何らかの補助が必要かと考えますので、その辺の資料もお願いしたいと思います。

○北條雇用開発企画課長 細かい資料は次回お示ししたいと思いますが、平成 26 年度の出向・移籍の成立実績約 8,500 件のうち、移籍の割合が 6,100 件程です。出向が 2,400 件程で、移籍が多いということです。移籍元と移籍先、又は出向元と出向先の賃金負担の方法はバリエーションがあり、例えば、移籍をしたとき、当初だけは移籍元から一定程度補助があるということもあるようです。また、移籍先で受入れが進むように助成措置が必要であるというご指摘については、先ほどのキャリア希望実現支援助成金といった措置を講じ、移籍先に助成をすることを考えて、来年度の予算要求をしていますので、それで対応できると思います。

○阿部部会長 よろしいですか。

○小野委員 資料 3 の地域の協議会の設置についてですが、構成員の中で高齢者の就業機会確保に関係する関係者ということで、「等」と入っているので、恐らくその中に読み込んでいらっしゃるのかもしれないのですが、例えば地域の新しいニーズを掘り起こして就業につなげるのであれば、高齢者がたくさん入っている自治会であったりとか、 NPO であったりとか、そういう所もニーズの掘り起こしに寄与すると思うので、こういったお堅い所ばかりではなくて、もう少し地域に根差した団体も入れていただければと思っています。

○福士高齢者雇用対策課長 それで構わないと思います。

○阿部部会長 その他いかがですか。では、もしほかに特になければ、次のシルバー人材センターについて移ります。シルバー人材センターについては、委員指摘事項に関する資料を含め事務局から資料が提出されていますので、御説明をお願いします。

○渡部高齢者雇用対策課長補佐 それでは残りの資料につきまして御説明いたします。まず、資料 1-2 です。こちらは前回御指摘を頂いた事項のうち、シルバー人材センターに関するものを取りまとめたものです。最初の 1 ページですが、こちらはシルバーの就労時間ということですが、請負や派遣で働く会員の就業時間、またその分布等につきましてどうなっているのかといった御指摘がありました。

1 番が請負で働く高齢者の就労時間ですが、そこにありますように、請負につきましては就労時間で管理しているものではないということですが、いくつかのシルバー人材センターのほうに代表的な仕事の一般的な 1 日当たりの作業時間ということを聴取した状況を資料として示しております。

 そこにありますように、剪定・除草等の業務であれば 6 時間から 7 時間程度、駐輪場の管理というものであれば 5 時間から 6 時間程度、家事援助等であれば 2 時間から 3 時間程度、こういったところで働いているというのが実態かと思います。

2 つ目の派遣で働く高齢者の就労時間です。派遣で働く高齢者の 1 週間当たりの就労時間の分布というものを、こちらについては平成 27 8 月の状況をサンプル調査した結果ということでお示ししております。見ていただきますように、各時間帯ごとのその区分に、大きな偏りはなく分布しているという状況です。その中で、 20 時間ですとか、 20 時間以上、 21 時間以上というものについては、今の運用をおおむね 20 時間ということでやっておりますので、恒常的に発生するようなものではないものについて、 20 時間を超えることもあり得るというところです。もちろん大きく超えるということはないものですが、そうしたところで、 20 時間ですとか、 21 時間以上といったところで働いている方も 10 %程度いるという状況です。

 続いて 2 ページです。こちらはシルバーの要件緩和をした場合の就業拡大のイメージということですが、こちらは要件緩和を行うことによって、どういう分野で活用が期待されるのか、そういったイメージできるような資料が必要ということで用意させていただいたものです。

 この要件緩和の趣旨ですが、会員からより長く働きたいという要望があることですとか、発注者のほうからも会員により長い時間働いてほしいという要望があるといった、こうしたニーズを踏まえまして、会員の就業の選択肢を広げるということで、高齢者の就業機会の拡大を図るということです。

 その際、見込まれる就業拡大のイメージということで、 3 つ挙げさせていただいております。 1 つがサービス業、介護、育児分野などの人手不足分野で、会員の就業が増加するであろうということです。そこではスーパーマーケット、保育施設の例ということを挙げていますが、こうした仕事については、業務の繁閑の状況によりまして、必要な人員等が変動するというところですが、人員が不足する場合であっても、今の臨・短・軽の要件を超えて就業することができないということです。要件緩和を行えば、こうした所で会員は発注者の求めに応じて、より長く働くことができるようになるだろうということです。

2 点目が、会員が複数の仕事を兼務できるようになり、会員の就業が増加するということです。こちらは例として、現行としてデイサービス施設の朝晩の送迎等を行っているような方、朝晩各 2 時間で週 3 日間働いているというような方が、要件緩和がされますと、これに加えて宅配便の配送等、こちらは 1 7 時間のものを週 2 日といったものも追加して担えることができるようになると。こういう効果もあるのではないかというところです。

3 点目が、専門的な能力やノウハウなどを必要とする分野で、会員の就業が増加するだろうということです。こうした専門的な能力、ノウハウが必要なものについては、発注者のほうから会員により長く働いてもらいたいという要望が強いと考えられます。例えば、そこで挙げていますのが会計事務とかシステム管理、営業、測量といったような分野ですが、そうした分野で会員の就業が増加するであろうということで資料を整理させていただきました。

 続いて資料 2-2 です。こちらはシルバー人材センターについて前回の議論等を踏まえました論点整理です。 1 ページ目が論点で、 2 ページ目がいただいた御意見の概要です。論点として 1 つ目ですが、高年齢者の多様な就業ニーズを踏まえた就業機会を確保するためには、シルバー人材センターの機能強化を図るべきではないかとしております。 2 点目、シルバー人材センターを通じた就業について、派遣・請負の区分など、労働者性の有無等を明確にすべきではないか。また、請負に従事する方については、適切な就労環境を確保する必要があるのではないかということです。こちらについては、例えばシルバー人材センターにおける適正就業確保に係るガイドラインといったものを作成、その検討をしてはどうかとさせていただきました。

3 点目が法改正につながる事項かと思っておりますが、高年齢者の就業機会の拡大を図るために、地域の実情に応じてシルバー人材センターの取り扱う業務を臨・短・軽に限るとする要件を緩和することを可能とすべきではないか。その際、関連して下に 4 つ挙げています。要件緩和は、労働者性や労働者保護の観点から、職業紹介、派遣に限るべきではないか。また、要件緩和を行うことで、シルバー人材センターの活動が民業を圧迫することのないような仕組みが必要ではないか。また、要件緩和を認める判断の基準を明らかにする必要があるのではないか。最後として、要件緩和を行う地域については、国としても、地域の労働市場への影響等の観点から、判断に関与すべきではないかという形で整理させていただきました。

 続きまして資料 4 です。こちらはシルバー人材センターの関係でどういうことが考えられるか、イメージができるものということで、事務局で用意させていただいた資料になります。目的ですが、シルバーを通じた就業について、高齢者の多様な就業ニーズに的確に対応できるよう、臨・短・軽に限られている取扱業務の要件を緩和し、会員が就業可能な業務の選択肢を拡大するということで、今後、必要な労働力減少が懸念される中で高齢者の就業機会の拡大を図るとさせていただきました。

 要件緩和の内容ですが、シルバー人材センターが行う労働者派遣、職業紹介業務について、シルバーの指定・監督権限を有する都道府県知事が、対象となる業務の範囲を明確にした上で、「臨・短・軽」要件を緩和して、週 40 時間までの業務を取り扱うことを可能とすることとしてはどうかということです。

2 ページ目が前回でも大きく議論になっておりました民業圧迫等を防止する仕組みです。知事が今申し上げたような指定を行う際には、要件緩和が民業圧迫、地域の労働市場への重大な影響を及ぼすことのないよう、要件を設けるとしてはどうかということで、 5 つほどその要件が考えられるのではないかということで整理しています。

1 つ目が業務範囲の指定で、要件緩和の対象となる業務の範囲を明確にするということにしてはどうかということです。 2 点目が関係者からの意見聴取で、要件緩和を行おうとする業務に関する地域の関係者の意見を、あらかじめ聴取することを要件としてはどうかということです。 3 点目が要件緩和が認められるための基準の作成で、都道府県知事は厚生労働省が定める基準に適合すると認められる場合に、要件緩和を行う地域等を定めることができることとしてはどうかということで、この基準については、例えば 3 つ、要件緩和が当該地域の高齢者の就業機会の確保に必要なものであること。また事業所間の競争を不当に害することがないと認められること。さらには、他の労働者の就業の機会に著しい影響を与えることがないと認められること。こういったことが考えられるのではないかということです。

4 点目で、国の同意手続ということで、国としても全国的な労働市場へ与える影響等の観点から、要件緩和に当たって問題が生じないものであるかということについて、確認する必要があるのではないかということです。

 最後に問題が発生した場合の対応ですが、問題が生じた場合には、要件緩和を実施する地域等の指定を解除することができるといったことも、しっかり盛り込んでいくべきではないかということで、資料をまとめさせていただきました。説明については以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。それではただいまの事務局の説明について、御質問、御意見があればお願いしたいと思います。北野委員どうぞ。

○北野委員 シルバー人材センターの機能強化について、ちょっと多いのですが、意見を 4 点、質問を 1 点させていただきたいと思います。 1 つ目の意見ですが、これは前回も申し上げたのですが、シルバー人材センターの位置付けは労働政策と福祉政策のバランスの上に成り立っているということからすると、臨・短・軽の要件緩和について、最後にイメージでも示されておりましたが民業圧迫、さらには現役世代や若者の雇用機会、労働条件の阻害要因とならないよう、慎重にしていただきたいということ。

2 つ目の意見ですが、約 660 万人のいわゆる団塊世代が平成 26 年に 65 歳に達していくことを踏まえると、一方で、シルバー人材センターで就業機会の促進を図るということと、もう一方でフルタイムの労働を希望する方は企業等で就労することを棲み分けていくことでいいのではないかというのが 2 つ目の意見です。

3 つ目ですが、ガイドラインの作成にあたってなのですが、まず適正就業確保については、シルバー人材センターでの適正な運用を実効性ある形でしっかりガイドラインに示すことが必要だろうと思っています。その上で、仮に要件緩和がされた場合であっても、シルバー人材センターの活動の原則は、臨・短・軽、原則はあくまでも臨・短・軽であるということを、明記しておく必要があると思っています。

4 つ目ですが、連合の労働相談には、シルバー人材センターの会員からも相談が寄せられておりまして、その中には賃金、報酬に関する相談事項も少なからずあります。そういう意味ではこのシルバー人材センターの会員に対するマネジメントの強化はやはりしっかりすべきだろうということと、派遣で就業する方の最低賃金の確保、さらには労働条件の内容等を特に注意すべきであることを、ガイドラインにもしっかり記載すべきではないかと思っています。

 この労働相談の中に、実は労災問題に関する相談もあります。健康保険が使えるようになりましたし、労働者性が認められれば労災認定されているのですが、この労災に関わる現在の取扱いについても、しっかり会員に周知しておくべきだと思っていますので、そういう内容の周知をガイドラインの中に記載し徹底すべきではないかと思っています。今後は、この労災の問題について労災保険への特別加入も検討できないのかということも含めて、検討が必要ではないかと思っています。

 最後に質問ですが、今のシルバー人材センターでの偽装請負に関する是正指導の状況について教えていただきたいと思います。

○阿部部会長 御質問ですので、事務局、お願いいたします。

○福士高齢者雇用対策課長 最初のほうは意見として賜りました。質問ですが、シルバー人材センターの請負の違反状況ということなのですが、一般企業と同様に、労働局から違反の程度に応じて助言、助言指導、改善命令、事業停止命令、事業廃止命令の順に受けるわけですが、シルバー人材センターが 26 年度に助言、助言指導を受けた件数は 71 件です。改善命令以上の処分を受けた事例はありません。

○阿部部会長 北野委員、よろしいですか。

○北野委員  71 件の内容を明らかにしていただくことは可能ですか。

○福士高齢者雇用対策課長 いろいろなケースがあると思うので。

○北野委員 主な項目でまとめていただくということは可能ですか。

○福士高齢者雇用対策課長 それは調べるので時間をいただきたいと思います。

○北野委員 はい、分かりました。お願いします。

○阿部部会長 では、ほかにいかがでしょうか。森戸委員どうぞ。

○森戸委員 また、本来、前回に聞いておかなければいけない話なので恐縮なのですが、今日の資料だと 2-2 で、派遣・請負の区別とか、労働者性の話が出ていましたが、ちょっと確認させていただきたいのです。この参考資料の 80 ページにシルバーの事業の概要という図がありまして、これを見てちょっと確認させていただきます。職業紹介、労働者派遣は分かるのですが、そこに出ている図によると、それ以外のものが請負と呼ばれているのかと思うのですが、この請負というのは発注者とシルバーとの間が請負契約、シルバーと会員の間も請負契約という図になっていますが、労働者性云々の問題と言われているのは、ここのシルバーと会員が実際は労働者なのではないかという、例えばそういうことを問題としているのかと思うのです。この書き方だと要するにシルバーの請負型というのは、この会員とシルバーの関係がいわゆる雇用関係とか、労働者だという形態はあり得ないという前提でできているという、そういう趣旨で理解していいのですかねという質問なのですが。

○阿部部会長 どうぞ。

○福士高齢者雇用対策課長 おっしゃるとおりでして、シルバー人材センターと会員の間は個人対個人の請負という形になっています。ですから、ここに雇用関係という形は成立してはおりません。

○森戸委員 それは成立してはいけないという法の作りになっている趣旨なのですかね。

○北條雇用開発企画課長 シルバー人材センターの主な事業は、請負事業ですが、労働者派遣事業も、職業紹介事業も行えます。請負事業の場合は個人事業主として会員がシルバーとの間で請負関係を構成しますが、労働者派遣事業の場合は、シルバー人材センターが雇用主となり、会員との間に雇用関係を結んで派遣を行いますので、その場合は雇用が成立することになります。

○森戸委員 もちろんそれは分かっているのですが、だから、派遣職業紹介の場合は、もうここは、つまり世の中でいう請負というのは偽装請負とかで問題になるのは、シルバーに当たる請負先は自分で使っている労働者を派遣というか、委託で行かせているというのがあるので、ただ、この図だと、そこは労働者ではあり得ないという前提で書かれているので、そういうことかということで、今の話だとそうだということだと思うのです。そうすると、労働者性の有無の問題というのは、どこの問題ですか、派遣とか職業紹介のところ。

○北條雇用開発企画課長 シルバー人材センターの請負事業における労働者性の問題は、端的に言うと、会員が請負先で発注者から指揮命令を受けてしまうという問題です。したがって、シルバー人材センターとその会員との間に雇用関係が生じるというよりも、会員と発注者との関係に問題が生じることになります。

○森戸委員 なるほど。分かりました。こっちも労働者性がないとも限らないのかなと思ったものですから、つまり、先ほどの例で上がっていた自転車を 7 時間管理するというのは、本当に請負なのかなとちょっと思ったりしたものですから。

○森戸委員 専門家がいるので、余り言わないほうがいいかもしれないけど。

○鎌田委員 私もいわゆる法令上の根拠というのを、今、探さなければいけないとなるとちょっと大変かなと思って、私の理解だけでいきます。まず、基本はこのシルバー人材センターの請負事業といっていますが、いわゆる民法上の請負ではなくて、それに限らず、一般的にいわゆる請負事業で、委任だとか委託だとか、様々なことが含まれているということですから、民法上の請負であれば仕事完成義務ということなのですが、もちろん駐輪場だとか、ああいう所は仕事完成というイメージではなくて、むしろ一定の駐車場の管理の委託を受けて実行しているということで、そういうものも含めて請負事業と言っているということで、これは派遣と請負の区分においても請負というのは民法上の請負ではなくて、広く委託も含めるということと、平仄が合っているということです。

 それから労働者性の問題ですが、これは今、森戸委員がおっしゃったように、シルバー人材センターと発注者との両者の関係での労働者性とともに問題になると思います。ただ、法律上の仕組みからいうと、シルバーなり発注者が指揮命令をするような形態は含まないということで整理していると思います。指揮命令を含むという瞬間にそれは当然労働者性が出てくるわけですから、そういうものを含まないものとして、シルバー人材センター事業というものを構築して実施をしていると。こういうことで整理していると思っています。

○森戸委員 分かりました。では、労働者性というのは行った先での問題がメインなのですね。こっちは余り起きないというか、シルバーのほうとはそもそもそういうことがないような。

○鎌田委員 両方が入っていますよね。

○森戸委員 理論上はなくはないのだけれどもという理解でよろしいですか。すみません、ちょっと時間をとって、ありがとうございます。

○阿部部会長 はい、どうぞ、村上委員。

○村上委員 今の議論に関連して、労災などの問題については主に発注先との関係だと思うのですが、最低賃金の問題もありまして、請負で就労するシルバー人材センターの会員が介護施設などに行き指揮命令を受けている場合には、発注者もあるし、シルバー人材センターとの関係もあるということで、最低賃金の支払いは雇用主との関係というか、シルバー人材センターとの関係になってくるかなと思いますので、両方の関係があるのではないかと思います。

○森戸委員 そっちが使用者でなければ、最低賃金の問題にはならないのですが

○村上委員 ならないのですか。シルバー人材センターの会員からトラブル相談などがあるのは最低賃金と労災の問題であるということであります。

 それから今日の資料 4 2 ページについて幾つか質問したいと思います。臨・短・軽の要件緩和については後ほど意見を申し上げたいと思うのですが、仮に要件緩和を認めるという前提で民業圧迫等を防止する仕組みということで考え方を出されています。 1 つ目の○で、業務の範囲の指定とありますが、業務の範囲だけではなくて、どれぐらいの期間を解除するのかについても指定しておく必要があるのではないかと思います。

2 つ目の○、関係者からの意見聴取のところに、地域の関係者の意見をあらかじめ聴取するとあるのですが、地域の関係者というのはどういう人なのかをお伺いしたいと思います。 3 つ目の○には、要件緩和が認められるための基準の作成とありまして、123とありますが、もう少し具体的にどんな指標を考えているのかを、お示しいただけないかと思います。4つ目の○、国の同意手続というところになりますが、労働市場に与える影響に関して、どういうことを考え、どういう指標を用いて労働市場に与える影響を判断するのか、イメージを教えていただきたいと思いますし、是非、ここはきちんとやっていただきたいと思います。

 最後の○にある問題が発生した場合の指定の解除ですが、問題とは具体的にどういうことを想定されているのかということと、その問題をどのようにして把握していくのかということについても教えていただきたいと思います。以上です。

○阿部部会長 では、御質問ですので、お願いします。

○福士高齢者雇用対策課長 たくさん出たのですが、まず、関係者について、今想定しているのは当該地域の指定、意見を出してくるところの市町村長、シルバー人材センター又はシルバー人材センター連合、要件緩和を行おうとする業種の事業者代表と認められる者、それから労働者派遣事業や有料職業紹介事業を代表すると認められる者という、いろいろな人たちを想定しています。

 基準の指標という部分だと思うのですが、この123に関わる指標としましては、1につきましては当該地域の高齢化の状況ということで、年齢別・職業別の人口、労働力人口、就業率などだと思います。当該地域のシルバー人材センターの活動状況ということでは、会員数とか職業別受注件数等が指標の目安になると思います。2につきましては関係者から聴取した意見、派遣事業者等の活動を示す指標としましては、派遣事業者の数とか、要件緩和を行おうとする職業における派遣先の数とか、そういうものになると思います。それから要件緩和を行おうとする職業の求人の充足状況等です。3につきましては要件緩和を行おうとする職業の当該地域の求人動向ということで、求人数とか有効求人倍率、求人充足数、要件緩和を行おうとする業種の当該地域の求職の動向ということで、年齢別、職業別の求職者数等の数値を基準にして、ある程度総合的に勘案するのかなというふうに思っております。

 それから、全国的な労働市場へ与える影響ということで、地域において、例えば隣県とか近いところで、全体的にどのような影響を与えるかというところも見ながら、国としては適切かどうかということで判断していきたいと思っています。問題が生じた場合、いろいろ考えられると思いますが、訴訟になってしまうのが一番大きい問題ですけど、ある程度そういう関係団体から、そういう不満とか御意見が出たときに関しましては協議会を開いていただいて、議論していただいて、そういう中で指定を解除するか、また知事の下で決めていただくということになると思います。今のところ、我々業務の範囲ということで、地域と業種と職種というものを考えておりまして。期間というのは考えていませんでしたので、検討させていただけますか。

○村上委員 はい。

○阿部部会長 ありがとうございました。ほか、どうぞ鎌田委員。

○鎌田委員 意見なのですが、資料 4 の民業圧迫等を防止する仕組みということですけれども、民業圧迫を防止するという観点から整理をされていると思いますので、こういうことかなというふうには思います。一方で、先ほど来話題になっておりますように、仮にその派遣と職業紹介に限定すると言って、限定した上であっても、その働くシルバーの方の就業環境ということも重要な論点となるかと思います。そうしますと、例えばこの地域で知事が主催をされて、こういう協議会を議論するときに、実際に要件緩和した結果として、そこで働くシルバーの人たちの就業環境というのをどういうふうに考えたらいいのかということ、問題にしなくていいのでしょうかということなのです。

 実際、例えば知事などがそこでの労働環境に関わる専門家の方を入れると、当然その民業は圧迫ということだけなくて、そこで働くことがどのようなシルバーの方たちの就業環境に影響を与えるかという議論になるのではないかと思います。そう思いますと、先ほどこの要件緩和が認められるための基準の作成といったところで、この基準の中に直接民業圧迫とは関係はしないわけですけれども、その要件を緩和した場合の、緩和されて拡大された範囲でのシルバーの方の就業環境等についても一定の協議をしていただくような仕組みは必要ではないかというふうに思っております。

以上です。

○阿部部会長 では、どうぞ事務局。

○北條雇用開発企画課長 現時点での基準案については資料4に、1高齢者の就業機会の確保に要件緩和が必要であること、2民業圧迫にならないこと、3他の労働者に悪影響を及ぼさないこと、という 3 つの論点をお示ししております。要件緩和がシルバー人材センターの会員御自身の就業環境にどういう影響を与えるのかということは、原案としては基準の中に入っておりません。ただ、関係者からの意見聴取をする際に、シルバー人材センターあるいはシルバー人材センター連合からも直接御意見を賜る機会があります。また、議論になっております要件緩和した後のフォローをどうするのかという点については、シルバー人材センターの方々から状況をお伺いするという方法もあると考えています。そういった方法を通じて、ご指摘いただいたことは実現できると思います。

○小野委員 資料 4 の民業圧迫等を防止する仕組みのところですけれども、シルバー人材センターの気になっているところは一つ、法人格というのがありまして。一般社団とか、公益社団とかいろいろあると思うのですが、現在どのぐらいの割合になっているのかというのを教えていただきたいというのがあります。お答えいただいた後、もうちょっと意見を言いたいと思います。

○北條雇用開発企画課長 シルバー人材センターは、ほとんどが公益社団法人であり、一部、公益財団法人もあります。一般社団法人もありますが、ほぼ公益社団法人に変わっており、公益的な仕事をするというシルバー人材センターの趣旨が示されていると思います。

○小野委員 公益社団法人、公益財団法人に認定されるという、その過程で、シルバー人材センターがやってらっしゃる全事業のうちの半分の事業が、いわゆる公益目的事業で会計上 50 %占めなきゃいけないということになっていると思います。恐らく、現在、公益社団とか財団に認定されているということは、各都道府県に認定の審議会がありますから、そこで民業圧迫とか、そういうことも含めて公益に認定されます。ですので、今、現時点の中では民業圧迫をしてないだろうという判断の下において、公益目的事業をやっていると認定されている。今後、この臨・短・軽を緩和することによって、毎年その会計を報告して、立入り検査も行われますし、民業圧迫の話も含めて公益法人としてきちんとやっているかを審査されます。ですので、ある逆説的に考えれば、この要件緩和が認められるような基準の作成のところに、必ず公益法人、公益財団が公益社団法人であることと、私は明記する必要があると思っています。そのほうが信頼が損なわれないのではないかと思っております。

○福士高齢者雇用対策課長 先ほど北條課長からもありましたが、シルバー人材センターは 95 %ぐらい公益法人です。残り 5 %が一般法人ではありますが、ここについては、まだ年数がたってない中で認められてないという部分がありますので、今後はみんな公益法人という形の中で、申請されていくのかなと思っております。それで、公益法人以外の今の一般法人においても、収支相償という形の中で利益は得ないような形で運営していますので、その辺の公益性は保たれているのかなと、我々思っていますので、そういう方向で進めていきたいと思っています。

○小野委員 現状ではそうだと思うのですよ、当然今、臨・短・軽やっていらっしゃるし、今現状ではその公益目的の事業であると思っています。そこから要件緩和をするというふうに言っているわけですよね。だから、今後民業圧迫になるのなら、公益目的事業じゃないねと判断されないように、やっていく必要があるということでございます。

○福士高齢者雇用対策課長 分かりました。

○阿部部会長 ほかはいかがでしょう。では、森戸委員どうぞ。

○森戸委員 正に今の話にちょっと関わるかもしれません。この資料 4 のシルバーの民業圧迫等を防止する仕組みですが、これ、法令上に、法令上というか、法律上なのかな、民業圧迫とか、地域の労働市場に重大な影響を及ぼさないときは要件緩和できるみたいな条文が出来るイメージで捉えていいのですか。

 だとすると、何かそういう法律って、別に労働に限らず、民業圧迫しないことみたいなことが書いてあるものってあるのかなというのが。別にあってもいいですけど。つまり、国のやることって、常に民業には関わるので。でも、それでもやはり公益的な目的があるからやるのですということに、みんななっていると思うので。だから、これ、その条文を書くときに、民業圧迫とか、地域の労働市場に重大な影響も勘案しということにはもちろんなるのでしょうけれど、もともとには、やはり公益的なより大きな目的があってというのが、当然何かあると思うのです。もし、これだけが要件だと、その民業圧迫しないことが要件だったら、とてもハードルは高くなってしまうのかなという気もして。さっき鎌田先生とかもおっしゃったことかもしれないですけれど、どういうイメージで、この条文が出来るのかなというのをお伺いしようかなと思うのですが。

○北條雇用開発企画課長 シルバー人材センターは、民間では採算の合わないような地域の生活に密着した仕事を集め、それを地域の高齢者の皆さんに提供するという理念から出発しています。その理念を実現するために臨・短・軽という要件を決めて、その範囲内で事業を行ってきましたが、高齢者の雇用、就業の場を拡大する必要があることから、地域の皆様の御理解もいただきながら、シルバーの要件を緩和していこうということです。

 そういった状況においても、民間では採算の取りにくい、いわばニッチの部分を扱うという理念自体を変えるものではなく、民業を圧迫することなどは全く意図してい。ません。その前提に立って、法律をどのように書くのかということは、これから内閣法制局と相談しなくてはいけません。民業圧迫や、地域の労働市場に重大な影響を及ぼさないという文言そのものを条文に書けるか分かりませんが、シルバー人材センターの理念を実現するために、省令、告示、要領等の何らかの形で基準を明確にできる方法を考えたいと思います。

○森戸委員 何か民業圧迫しないという条文に、正面から書いてあるものって、この世にあるのかなというのがちょっと。

○北條雇用開発企画課長 それを書けるかどうかについて、内閣法制局と相談していきたいということです。

○森戸委員 また、それ今後議論していきたい。

○北條雇用開発企画課長 はい。

○阿部部会長 ほかはいかがでしょう。猪熊委員どうぞ。その次に喜勢委員です。

○猪熊委員 とても基礎的な質問をさせていただきたいのですけれど、今緩和をしようとしている労働者派遣と職業紹介の部分で、 20 時間から 40 時間になると、社会保険の適用は変わるのですか。今 20 時間で働いている人には、雇用保険は適用されているのですか。

○福士高齢者雇用対策課長  20 時間未満であれば、雇用保険は適用されていません。 20 時間を超えると、雇用保険は適用される。 40 時間というよりは、 30 時間を超えると社会保険料が当然掛かってくるので、当然手数料も上乗せしなければ運営していけないということです。

○猪熊委員 厚生年金とか、健康保険に入るということですか。

○福士高齢者雇用対策課長 はい、そうです。

○猪熊委員 保険料も折半して払うということですか。

○福士高齢者雇用対策課長 はい、そうです。

○喜勢委員 大変基礎的な質問をするようで恐縮なのですが、前回の議論の中でも、きちんとニーズを踏まえていろいろな対応をしようという御意見がたくさん出ていたと思うのです。今日のいただいた資料 1-1 4 ページに、高齢者の方が仕事をする理由というのが書いてあるのですが、今御議論になっているシルバー人材センターの要件緩和というのは、このニーズとは余り関係なく議論されているということなのでしょうか。どういうニーズにお応えするということで、この議論が進んでいるのかというのが、とても単純な質問で申し訳ないのですが、その点はどう理解したらよろしいのでしょうか。

○福士高齢者雇用対策課長  4 ページの所は、高齢者全体についてのニーズということで書かれているものです。今回シルバー人材センターの要件を緩和するというのは、一つは就業機会を拡大するという部分があります。今、高齢者の中で、フルタイムを希望する人はハローワークに再就職に行ったり、そういう形の中でやっていただく。シルバーは、大体月平均 4 万弱ぐらいの収入ですが、派遣・職業紹介という部門だけを取り出して要件緩和をして、多様な働き方に対応していくことになると思います。

○喜勢委員 そういう意味では、先ほどの森戸先生の御指摘の公益というのは、そういう意味で理解するということでしょうか。

○福士高齢者雇用対策課長 はい。

○阿部部会長 ほかはいかがでしょうか。村上委員、どうぞ。

○村上委員 シルバー人材センターの臨・短・軽の要件緩和については、先ほど北野委員が意見を申し上げたように、労働側としては慎重な立場を取っております。今日の資料 4 1 ページ、要件緩和の内容として「臨・短・軽の要件を緩和し」と書かれておりますけれども、何でも緩和できるように読まれることを懸念しておりますので、記載ぶりについては今後慎重に書いていただきたいと思っております。

 それから臨・短・軽要件の定義は、参考資料の 80 ページにも記載がありますけれども、臨時的・短期的な業務というのは概ね月 10 日程度の就業ということで、軽易な業務というのは、 1 週間当たりの就労時間が概ね 20 時間を超えないものとなっています。今回議論するのは、その 1 週間当たりの就労時間を 20 時間から 40 時間ということであれば、軽易な業務の要件のみを緩和したいという御提案と理解してよいのかどうか、そこを確認したいと思います。

○北條雇用開発企画課長  20 時間を最大 40 時間まで緩和するという説明を便宜上しておりますが、 40 時間働くことになりますと、月に換算して、 20 日程働くこともあり得ますので、 10 日を 20 日に拡張するということを含め、御提案申し上げている趣旨でございます。

○村上委員 ありがとうございました。月 10 日程度の部分も月 20 日にする、緩和するのかというのは、そういう認識はしておりませんでしたので、少し考えなければならないかなと思っております。

 先ほど、鎌田委員から、シルバー人材センターで働く方の就業状況のチェック、フォローも必要だということには、大いに賛成でございます。資料 4 2 ページの最後の○にある「問題が発生した場合の指定の解除」に関連して、問題を把握する仕組みが大事だと思っております。シルバー人材センター事業で就労する方々の状況、トラブルが起こっていないかとか、報酬、報奨金の状況がどうなのか等についても、是非フォローしていく仕組みをこの中に入れ込むことが必要だと思っております。以上です。

○阿部部会長 ほかにはいかがですか。

○穂岐山委員 今回のシルバーの要件緩和につきましては、いわゆる臨・短・軽の原則を崩すということではなくて、臨・短・軽の原則を維持しつつも、その中で一定の要件を緩和しようというものだと理解した上で発言をいたします。私は東京都のシルバー連合の評議員もやっていますが、その中でもやはり各シルバーから要件緩和の、結局高齢者の実需を受けてということになろうかと思うのですけれども、要望が強いということもあります。そういった意味合いでは、ここでテーマになっている、高齢者の旺盛な就労意欲に応えられるという一方で、御案内のとおり、今、人手不足という現状があります。これは、恒常的なものだったら問題になろうかと思うのですが、我々の組合に所属している中小スーパーでは、年末になると、主婦が 100 万円の収入の関係で、一斉に辞めてしまって、一番忙しい時期にいなくなるという話もあります。そういったようなところでは、企業側にとっても非常にメリットがある部分も、本来的目的ではないにしてもあります。そういった観点から考えると、その民業圧迫という批判は、いつも公の金を投入する以上は出て来るかと思うのです。そこをきちんと担保を置きつつということを前提に、一定の緩和は図っていいのではないかというふうに、私は思います。

 ちなみに、東京都内で、また中央会傘下ではかなり小規模な事業所もいろいろな組合に加入していますが、そこで民業圧迫というような話は、少なくとも私は聞いたことがございません。以上です。

○阿部部会長 ありがとうございました。今、穂岐山委員の御発言がありましたけど、私もその点補完をさせていただきたいと思うのですが、特にこれから若年人口が減っていく地方では、やはり高齢者の雇用というのを活用していくといったところが相当出てくると思うのですよね。そんなところで、特に地方、派遣会社がないとか、職業紹介機関が乏しいとか、あるいはハローワークもなかなか手が届きにくいとか、そういったところを補完するような形で、このシルバー人材センターというのを活用していくというニーズが多分出てくるのだろうと思うのです。その意味で、ここで民業圧迫等を防止する仕組みということで、いろいろ要件緩和の条件というのは出てくると思いますので、これの運用をしっかりやることで、特に人手不足あるいは高齢化が深刻な地方部でシルバー人材センターを活用して、労働不足がないとか、あるいは労働供給者側の高齢者もきちんとした所で働けるという状況は望ましい姿の一つではないかというふうに、個人的には思います。ただ、いろいろ各論にいくと、いろいろ問題はあるかなとは思いますので、その辺りをもう少し詰めていくことかなというふうに思います。

 その他、いかがでしょうか。では坂下委員、紺谷委員の順番で。

○坂下委員  2 点申し上げます。 1 点目は、村上委員が先ほど確認をされた臨・短・軽に関して、今回の議論は軽の部分に限るのか、臨・短も入るのかということについてですが、臨・短もセットですということでした。私も軽の部分しか対象になっていないという理解でしたので、次回で結構ですが、もう少しその関連性も含めて御説明いただければと思います。

2 点目は、この場で議論をして、臨・短・軽を緩和していくのであれば、国としてしっかり関与していただけるということですので信頼はしておりますが、この審議会においても、緩和した結果、どのような状況になっているのかということはチェックしていく必要があると思いますので、定期的な御報告や、御説明をしていただければと思います。以上です。

○紺谷委員 総論的になってしまうのかもしれないのですけれども、資料 1-2 にある、要件緩和により見込まれる就業拡大のイメージにつながるのかもしれないのですが、一昨日でしたか、閉会中の国会審議の中では、介護保険料報酬を引き下げたことによって、廃業している所が増えてしまって、逆に、人手不足が起きているとか、そういった問題の話になっていたのです。ニーズがあって、そこに補助的に働く人が、例えばシルバー人材センターの就業拡大で出て来て、その結果それが標準になってしまって、肝腎なその介護の問題とか、そういった事業の問題をどうするかというところ、要はバランスだというふうに思っているのですね。

 ですので、これからどんどん高齢化が進んでいって、労働力人口が減少していくという、将来的な見通しとしては当然のことだろうというふうには思うのです。そこに行く過程で何かおかしなことになっていって、本末転倒というか、労働環境がどんどん悪化していってしまって、若者がそれこそ結婚もできない、子どもを産む状況にならないという、ワーキングプアが増大していってしまうというような流れにならないようバランスと言うのですか、そういったものはやはり絶対必要なのだろうなというふうに感じました。

○阿部部会長 ありがとうございます。では、その点は私も大事な点だとは思います。だから、そういう意味で民業圧迫というか、要件緩和の条件というのはかなり厳しめに考えておかないといけないのかなというふうに思うわけです。その他、いかがでしょうか。特にございませんか。村上委員、どうぞ。

○村上委員 前回部会において、臨・短・軽要件を緩和し、シルバー人材センターが行う職業紹介と派遣を週 40 時間までに拡大するということであれば、派遣については他の事業者同様に許可制にすべきではないかと申し上げました。その点については今回盛り込まれておりませんが、どのようなお考えなのかをお聞かせいただければと思います。

○阿部部会長 では、お願いします。

○北條雇用開発企画課長 シルバー人材センターが行う派遣事業は届出制とされていますが、これは公益法人であることから、都道府県知事の指揮監督の下で適正な運営が図られる措置が定められているためです。また、シルバー人材センターには、高齢者雇用安定法に基づく監督命令も掛けられます。これらの点から適正な運営が二重に担保されているということをもって、届出制となっているところです。

 今年の派遣法改正によって、派遣事業については許可制が原則になりましたが、現状のシルバー人材センターの派遣事業については、届出制であるために問題が生じたり、許可制にしなければならない事態に至ったりはしていません。確かに、シルバー人材センターについては、先ほど議論になった偽装派遣の問題等、その運営に全く問題がないと言うわけではありませんが、それは届出制か、許可制かということとは無関係です。運営上の問題については、定期的に労働局が監査に入り、問題を見つけ、一つ一つ是正指導することで対応しております。また、許可制ですと、 3 年に 1 度の更新の機会に監査することになりますが、労働局は常に偽装派遣がないか監視しています。したがって、この段階で届出制から許可制に変えることは、今のところ事務局としては考えていません。

○阿部部会長 村上委員、よろしいですか。

○村上委員 そういうお考えであることは分かりました。

○阿部部会長 その他いかがでしょうか。では、特になければ、本日もいろいろと活発な御意見いただきまして、ありがとうございます。前回に引き続いて、いろいろな論点が出てきたと思いますので、事務局にはこれまでの議論を整理していただいた上で、議論の取りまとめに向けた必要な資料を準備いただいて、次回において更にこの場で議論を進めていきたいと思っております。次回開催の日定等については、後日事務局から御連絡いたします。本日の署名委員ですが、北野委員及び坂下委員にお願いしたいと思います。本日もお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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