ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 保険者による健診・保健指導等に関する検討会> 第17回保険者による健診・保健指導等に関する検討会(2016年1月8日)




2016年1月8日 第17回保険者による健診・保健指導等に関する検討会

○日時

平成28年1月8日(金) 14時00分~16時00分


○場所

全国都市会館第1会議室
東京都千代田区平河町2-4-2


○議題

○合同検討会について
○特定健康診査・特定保健指導に関する検討体制について

○議事

○医療費適正化対策推進室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第17回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」及び第1回「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」の合同検討会を開催いたします。

 それでは、初めての合同検討会でございますので、本日、御出席いただいております、委員の方々の御紹介を順次させていただきたいと思います。

 まず、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」の委員の皆様につきまして、順次御紹介させていただきます。

 日本労働組合総連合会、伊藤委員、少しおくれての御出席という御連絡をいただいております。

 全国健康保険協会、伊奈川委員。

 日本医師会、今村委員。

 産業医科大学、岩崎委員。

 日本私立学校振興・共済事業団、金子委員。

 産経新聞社、河合委員。

 全国国民健康保険組合協会、佐藤委員。

 日本栄養士会、下浦委員。

 健康保険組合連合会、白川委員。

 地方公務員共済組合協議会、鈴木委員。

 一般財団法人日本公衆衛生協会、多田羅委員。

 あいち健康の森健康科学総合センター、津下委員。

 日本歯科医師会、深井委員。

 日本人間ドック学会、武藤委員。

 共済組合連合会、吉岡委員。

 なお、本日は、井伊委員、飯山委員、岡崎委員、久野委員、細江委員、吉田委員より欠席の御連絡をいただいております。

 また、欠席委員のかわりに出席される方について御紹介いたします。

 細江委員の代理として伏屋参考人。

 吉田委員の代理として三輪参考人。

 以上の方に御出席いただいております。

 続きまして、「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」の委員の皆様について御紹介させていただきます。

 大阪大学大学院、磯委員。

 慶應義塾大学、岡村委員。

 東京大学大学院、門脇委員。

 千葉大学大学院、杉田委員。

 女子栄養大学、武見委員。

 再度になりますけれども、あいち健康の森健康科学総合センターの津下委員。
帝京大学、寺本委員。
続いて、大分県福祉保健部、藤内委員。

 自治医科大学、永井委員。

 国立保健医療科学院、福田委員。

 続きまして、資料の確認をお願いいたします。

 お手元の資料につきまして、議事次第、座席表、資料1、資料2、参考人提出資料、構成員提出資料、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4。

 以上になります。過不足などがございましたら、お申し出ください。

 特にございませんでしょうか。

 それでは、続きまして、この検討会の進行について申し上げます。

 初めての合同検討会となりますが、座長につきましては、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」の座長である、多田羅委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(拍手起こる)

○医療費適正化対策推進室長補佐 それでは、多田羅委員に座長をお願いいたします。

 よろしくお願いいたします。

○多田羅座長 まことに僭越でございますが、ご指名をいただきましたので、本合同検討会の座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 今日、我が国は未曽有の長寿社会を迎えているわけですけれども、そこにおける深刻な内政課題といいますか、課題として25年問題ということが言われていることは、皆さん御存じのことと思います。

 例えば、この25年問題に対する最大の処方箋は、何といっても国民の健康づくりの推進ということになるのだと思います。そういう状況を踏まえ、特に、高齢者医療確保法において実施されることになりました、特定健診・特定保健指導を基盤として推進される国民の健康づくりの在り方について、各面から総合的に検討をいただき、国民の健康づくりの事業が順調に、円滑に、広い観点に立って進めることができるよう検討いただくのが、本合同検討会の役割だろうと、座長としては認識しているわけでございます。

 そういう会の役割、目的に向かって、委員の皆さんの御協力をいただいて、充実した審議ができますよう務めたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速でございますが、議題のほうに入らせていただきたいと思います。

 議題については、1、2と2つございます。これらは、まとめて御説明いただいた後に質疑をいただきたいと思いますので、ご了解いただきたいと思います。

 それでは、まず、合同検討会について、事務局から説明をお願いいたします。

○医療費適正化対策推進室長 保険局医療費適正化対策推進室長でございます。本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

 私のほうからは、本合同検討会について、及び今後の、この検討会での議論の進め方について御説明をさせていただきたいと思います。

 お手元に配付されております、資料1のほうをごらんいただければと思います。

 今後、第三期、平成30年度からになりますが、平成30年度からの特定健診・特定保健指導の見直しの議論というものを行っていくわけでございますが、特定健診・特定保健指導の見直しの議論につきましては、まずは、特定健康診査あるいは特定保健指導の在り方についての議論ということで、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」、そちらのほうの検討会を開催して議論することになっております。

 その際、特定健診・保健指導に関するエビデンスの収集、分析等につきましては、技術的な事項でございますので、「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」を開催し、検討すると、あるいは2つの検討会を双方で調整をとりながら議論を行い、最終的に特定健康診査・特定保健指導の見直しを行っていくということで進めていくということになっているところでございます。

 2つの検討会でございますけれども、必要に応じて合同検討会を開催し、結果を共有するとともに、共同して取りまとめを行っていきたいと考えているところでございます。

 資料1のほうの下半分のほうについては、今後の大まかな進め方について記載してございます。

 一番上にございます、合同検討会、28年1月、これは、本日、合同という形で2つの検討会を開催させていただくというものでございまして、今後の見直しに向けた検討の進め方等について御議論をいただくというものでございます。

 本日の会議をキックオフといたしまして、ちょっとお尻のほうから申し上げますと、まず、平成30年度から、第3期の特定健診・特定保健指導の実施期間がスタートするということでございます。

 仮に、平成30年度の特定健診・特定保健指導の中身について見直しを行うということになりますと、その前提として、各保険者、医療保険者のほうでのシステムの改修を行うということが必要になってまいります。

 それで、システムの改修期間は、どの程度の健診項目等の見直しが行われるかということにもよっておりますけれども、我々といたしましては、一応、平成29年度1年間を、この保険者によるシステムの改修期間という形で考えているところでございます。

 あわせまして、保険者におけるシステムの改修が行われる際に、国庫補助の取り扱いについても、私ども厚生労働省のほうで検討していかなければいけないということになっておりますので、29年度にシステム改修を行おうとすると、29年度の予算に、どの程度の金額を計上していけばいいかということを考える必要がありますので、ことしの夏の29年度の予算に向けた概算要求の段階までに、一定程度、どの程度の金額、改修規模になるかというところについて把握する必要があるという事情がございます。

 そういった意味もございまして、資料のほうですけれども、この合同検討会、平成28年半ばと書いてございますが、ことしの、具体的には夏ごろまでには、概算要求の時期までには、主として改修にかかわるような特定健診項目に関する見直しについての中間取りまとめを、こちらの合同検討会のほうで行っていただければと考えているところでございます。

 夏以降も引き続き、特定健診・特定保健指導の在り方についての御議論というものを行っていく予定にしてございまして、要はシステム改修にかかわらない事項については、その後も御議論をいただいた上で、最終的には、ちょっと時期が確定的なところはわかりませんけれども、本年、年末ですとか、あるいは年末を越えるかもしれませんけれども、それぐらいまでにかけて、30年度に向けた特定健診・特定保健指導の在り方について御議論をいただければと考えているところでございます。

 折り目、節目の段階で、合同検討会のほうは開催させていただき、先ほど申し上げましたように、取りまとめ等については、共同で行っていきたいと考えておりますが、その間、間の進め方については、まずは、健康局のほうの「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」において、エビデンスの収集・分析作業というものを行っていただき、一定程度、そこが整理された段階で、今度は、保険局のほうの「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催して、制度面を含め議論を行っていただくという形で、ややキャッチボールをするような形で、合間、合間の御議論については両検討会で御議論をいただきたいと考えているところでございます。

 簡単でございますが、今後の進め方及び合同検討会についての御説明は、以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、特定健康診査・特定保健指導に関する検討体制について、事務局からご説明をお願いします。

○健康課長 健康課長の正林と申します。よろしくお願いいたします。

 私のほうからは、今後の進め方について、全体を俯瞰するような図が、資料2でありますので、この資料2を説明したいと思います。

 真ん中より下のほうをごらんいただきまして、今、説明がありました、特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討というものが、これは、健康局のほうで運営し、今日、私から見てこちら側のメンバーが中心ですが、永井委員に座長をお引き受けいただいて進めてまいります。

 それから、保険局の方は、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」と、この検討会が運用されます。

 そして、先ほど、話がありましたように、時々合同の検討会を開いて、お互いの意見調整をしていくと。

 健康局のほうの「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」を運営するに当たって、そもそも健康診査というのは、どういうものであるべきなのか、例えば、項目を選ぶにしても、どういうものが項目としてふさわしいのかとか、健診そのものの在り方について議論する場というものが、今までございませんでしたので、そこのちょっと上のところに健康診査等専門委員会というもの、これを新たに設置いたしました。

 これは、地域保健・健康増進栄養部会という厚生科学審議会の部会の1つの専門委員会として、こういうものを位置づけて、今日、参考人としてお越しの辻参考人に座長をお引き受けいただいて、去る1118日に、1回目の会議を開いています。

 ここでは、主に、今、申し上げましたが、健康診査とは、どうあるべきかということを御議論いただき、同時並行的に、お互いの検討会の情報は相互に交換しながら健診のあるべき姿を踏まえながら、この「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」で、個別の検査項目について議論していくと、そんな形で進めていきたいと思っています。

 なお、右端のほうに労働政策審議会等がございますが、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の在り方、こちらにも後々影響してまいりますので、こちらについては、安全衛生分科会という場で議論をしていきながら、最終的に特定健診の検査項目なり、何なりを決めていくと、そんなイメージで進めていきたいと考えております。

 ちなみに、お配りしている資料の最後のほうに、健康診査等専門委員会の1回目の資料がついてございます。

 なお、これのサマリーを後ほど、辻参考人、それから永井委員に御報告をいただくことにしております。

 以上であります。

○多田羅座長 辻参考人、永井委員のご紹介は、こちらからしますか。

○健康課長 では、済みません、辻参考人からお一人15分程度でお願いできますでしょうか。

○辻参考人 それでは、参考人提出資料というところで、第1回健康診査等専門委員会における検討についてという資料を、全部で9ページになっておりますけれども、それをごらんいただきたいと思います。

 今、御説明があったように、健康診査等専門委員会というのは、そもそも健診とはどうあるべきかと、健診の在り方を議論する会でございまして、昨年の1118日に第1回目が開催されました。

 この開催に当たりまして、全体で議論することに加えまして、参考人といたしまして、永井委員、それから、きょうもお見えの磯委員、それから、聖路加病院の福井先生、この3名の専門家の方々を参考人としてお招きしまして、健診の在り方あるいは評価の方法ということについて、お話しいただいた上で、全体で討論したということでございます。

 きょうは、そのサマリーを御説明させていただきたいと思います。

 2ページ、まず、「けんしん」と言った場合、健診と検診があるわけでありますけれども、この概念を何とか整理しようということで議論いたしまして、この委員会では、次のような整理をとりあえずさせていただいています。健診は、健康づくりの観点から経時的に値を把握することが望ましい検査である。一方、検診は、疾患それ自体があるかどうかを確認するための検査である。ということで、とりあえず、整理しております。

 その下に入っていただきますと、左側は健診を書いていますが、これは、必ずしも疾患自体を確認するものではありませんけれども、健康づくりの観点から経時的に値を把握していくということであります。それが陰性であったという場合、陰性だから問題ないということではなくて、陰性であったとしても必要に応じて行動変容につなげる。そういったことで、将来の疾患のリスクを確認して、その発生や重症化を防いでいくというところになります。

 一方、検診のほうは、がん検診のように、主に疾患の存在を確認あるいは発見するための検査でございまして、これは、陰性であれば、当然、がんはないというわけですから、次の検診まで経過観察ということになります。このように陰性であった場合でも、健診と検診では違いがあるということでございます。

 そこを図の下の方をご覧いただきますと、一番右側は緑色に書いていますが、これは主に現在の疾患自体を確認する検査ということで、がん検診は、これに該当するだろうと。

 一方、左側の健診ですが、主に将来の疾患のリスクを確認する検査として、特定健康診査というのは、基本的には、大体こちらのほうに入ると思うのですけれども、しかし、健診で行われている検査の一部は、リスクの確認と疾患の確認という、両方の性質を持つことがあります。

 具体的には、例えば、高血圧でいいますと、その後の脳卒中や心血管疾患のリスクとしての高血圧もあれば、疾患としての高血圧もあるわけでありまして、両方の性質を持っているだろうと考えられます。

 まとめますと、健診と検診は、基本的に目的は違うところにあるわけですけれども、そうは言っても、完全に分けられる訳ではなくて、ものによっては、健診のような、あるいは検診のような、あるいは両方が重なるようなものもある、そういったファジーなものもあるのではないかということで、とりあえず整理しております。

 ですから、右下に書いていますが、検査ごとに健診か検診かを区別することは困難であり、また余りそれにこだわることは意味がないことではないかという議論を、この前にいたしました。

 3ページですが、基本的には、健診も検診も目指すところは同じでありまして、目指すところ、すなわち目的というものを明確に考えて、目的の達成度を評価していく必要があるというところでは一致しております。

 その意味で、検診、主に現在の疾患それ自体を発見するような検査、がん検診の場合ですと、検診で陽性と判定されますと、精密検査をいたしまして、がんのような疾患が発見された場合は、早期に治療を行うわけでありまして、がん検診の目的というのは、がんで死亡することを予防するということであります。

 一方、健診は、主に将来の疾患のリスクを発見するような検査、例えば、特定健診で考えますと、健診の結果は、陽性か陰性かというような0、1の評価ではなくて、むしろリスクにあわせて階層化していくわけです。最もリスクの高い方については、受診勧奨をして治療をしていただく。受診が必要なほどではないけれども、リスクがある方については、保健指導を行う。そして、リスクが非常に少ない方については、自己管理による生活改善をしていただくわけですけれども、この全ての目的といたしましては、右側に書いているように、予防、つまり、合併症の発症や疾患の重症化を予防するということです。予防という目的が明確にあるわけであります。

 ですから、健診だろうと、検診だろうと、目的が明確にあるわけでありますので、その目的の達成度という観点から評価をしなければいけない。

 具体的には、下に書いてありますように、一つ一つの検査の精度も含めた有効性の評価は当然必要になりますし、もう一つは検診群としての評価です。例えば、特定健康診査では、いろんな種類の検査がパッケージとして含まれているわけですけれども、その検査群全体としての評価もしなければいけない。さらに、事後措置も含めたシステム全体としての評価も必要です。このような3つの観点から評価をして、そして、検診の妥当性といいますか、有効性、安全性、効率性、そういったことを総合的に評価した上で、必要な見直しをしていかなければいけないという議論が行われました。

 4ページ目をごらんいただきたいのですが、これは、福井先生からお出しいただいた資料でございますけれども、検診計画のWilson-Jungner基準というのがWHO1968年に出されたものです。それによりますと、検診が行われる条件は、10項目あるのだということです。

 そうは言いながら、かなり多いですし、もう半世紀近くたっておりますので、このページのご説明は割愛いたしまして、次のページをごらんいただきますと、福井先生が、先ほどの基準にプラス、この50年間のさまざまな経緯を踏まえまして、福井先生のお言葉として、まとめてくださったものですけれども、検診項目とされるための要件としては、この6つがあるのではないかということです。

 1つは、症状が発現した後の治療に比べて、早期に発見して治療したほうがより効果的である。予後を改善するということですね。

 2として、検査の精度。理想は、感度も特異度もほぼ100%というのが理想ですけれども、現実には、感度ができるだけ100%に近い状況を目指す。特異度もそれに近い状況を目指すというところが現実でありますけれども、それがどのぐらいかということをきちんと評価しなければいけない。

 3として、安全性。検査に伴う合併症がないか、たとえあったとしても軽微なものが、ごくわずかな頻度で起こる、そういった安全性も重要である。

 4として、費用の問題。安価であることに加えて費用に見合っただけの効果、費用対効果というものも、これから非常に重要になってくるのではないか。

 5として、検査を行う検者と受診者双方にとって、手間が余りかからないと。

 6として、頻度が高い疾患であること。

 このような要件が、全て成立したときのみ、公共政策として検診を行うことの妥当性があるのではないかということをおっしゃっておられました。

 次のページをご覧ください、これは、本日、御出席の磯委員からいただいた資料でございますけれども、磯委員は、そもそも生活習慣病の予防とはどういうものかということについて、ライフコースの観点から大きくまとめていただきました。人間の健康状態というものを図の一番下に書いているのですが、それを規定する要因としては、上からいきますと、経済政策とか、差別、歴史、文化、制度といった非常にマクロなところもかかわってきますし、さらに近隣とかコミュニティといった社会関係、あるいはもっと近い社会関係として、友人とか、仕事とか家族、親戚、そういった社会関係もかかわってきます。さらに個人の特性として、社会経済的な要因、心理社会的な要因、行動要因、具体的な生活習慣も含めますけれども、そのような行動要因が個人の特性としてあり、さらに遺伝的な要因も相まって、これらが総合的にかかわってきまして、生理学的な病理変化が生じて、人々の健康状態に影響を及ぼすわけです。

 これを時間軸で見ていくと、受胎から出生、子供から大人へ、そして高齢者になって死亡に至るまでのさまざまな人生の段階に応じて作用していくのだというところを御指摘になった上で、ライフコースに至った健診の考え方ということで、7ページですが、ライフコースの観点から見た健診として、母子保健、学校保健、産業保健、そして成人・老人保健ということでおまとめいただきました。

 母子保健としましては、妊産婦の健診から始まりまして、新生児、1歳半、3歳児の健診。

 学校保健としましては、就学前、小、中、高、大学でそれぞれございます。

 産業保健としては、雇入健診とか定期健診、特定業務、それから、特殊業務による健診。

 そして、成人・老人では、特定健診とがん検診などがあるわけですけれども、こういったライフコースの中で、何か抜け落ちているものはないか、あるいは、それぞれのライフステージの移行期の中で、きちんと健診データや、保健指導が引き継がれているのか、そういったことについて問題提起をいただきました。

 8ページですが、もう一つ考えなければいけないのは、健診の利益と不利益ということです。健診をやれば、全て利益ばかりかというと、必ずしもそうではないわけでありまして、不利益あるいは害というものも起こります。

 利益といたしまして、早期に発見して治療することによって、予後が改善する、がん死亡を防ぐことができる、あるいはさまざまな疾病の罹患が予防される、あるいは重症化が予防できる、そういった利益がございます。

 さらに、早期介入することによって、侵襲性の低い治療、例えば、がんですと、内視鏡的な切除等によりまして、侵襲性が低い治療が可能になりますので、その方の生活の質を高めることも可能であります。

 そして、治療費用も節約されますので、保健・医療資源の節約になります。また、何よりも、この健診を受けまして、異常がないと言われることによって、御本人は自分の健康について自信を持つわけであります。そういったことも大きな利益になります。

 一方、不利益でありますが、予後の改善が見込めない病気を発見しても単に有病期間が伸びるだけというような問題もございます。

 さらには、疑陽性者への過剰介入ということがありますし、現在、がん検診では、過剰診断あるいは過剰治療ということがかなり議論になっております。

 それから、場合によっては、保健・医療資源によけいな負担をかけることもありますし、あるいはもっと大事なのは、偽陰性者、見逃された方について陰性判断をしてしまうことによって、予後が悪化してしまうこともある。

 あるいは、偽陽性者に対して不安をあおったり、あるいは疾患があるということだけで差別を受けるような疾患もないわけではございません。また、検査それ自体もリスクを抱えているということで、利益と不利益をきっちりと両面から冷静に評価した上で、バランスをとったような健診の在り方というのが、今後、求められるだろうということが、磯委員から御意見をいただきました。

 9ページ、最後になりますけれども、そういったことをまとめた上で、福井先生からいただいた宿題といいますか、私どもの検討会のほうで、このような視点で、健診の在り方について評価したらどうかということを最後におっしゃっていただきましたので、そのとおり御紹介いたしますが、この8項目の視点で評価をしてはいかがかということで、まず、1つは、対象集団の中で、その疾病の頻度は高いのか。

 2番目として、検査を行うことで、真のエンドポイントは本当に改善するのか。

 3番目として、検査は、対象疾患を適切に検出できているのか、精度の問題です。

 4番目として、疾患の治療は、真のエンドポイントを改善するのか。

 5番目として、中間エンドポイントを改善するのか。

 そして、評価の中で、6番目ですが、中間エンドポイントと真のエンドポイントには、本当に関連性があるのか、そのようなエビデンスがあるのか。

 その上で、7番目で、検査の実施に伴う合併症や費用はどうか。

そして8番目で、治療の実施に伴う合併症や費用はどうか。

この8項目について、それぞれの検診・健診について総合的に評価をしていただきたいという御意見をいただきまして、それを受けて、前回の第1回の健康診査等専門委員会では、この議論をさせていただいたということでございます。

 以上であります。

○健康課長 永井委員、お願いします。

○永井委員 私どもは、特定健康診査あるいは予防指導の在り方について検討しておりまして、まず、基本的な考え方について、私と本日お見えの岡村委員、そして、東京大学の古井先生、3人で検討したところを御報告したいと思います。

 1枚めくっていただきます。

 先ほど、辻参考人からもライフコースという言葉が出ましたけれども、これは、生活習慣病の自然史、まさにライフコースです。病気というのは、どのように悪くなっていくのか、また、どういうポイントで健診を行うべきなのかということをまとめてみました。

 ややもしますと、病気は徐々に悪くなっていくと思われがちですが、壮年期から老年期にかけて、いろいろなイベントが起こります。がんの発症であったり、脳卒中、心臓発作、いろいろ重篤な状況が起こるわけで、これは、誰もが免れないわけです。そのあたりをよく視野に入れて健診を行う必要があります。

 この図を見ていただきますと、1つは徐々にQOLが低下してくる、あるいは先ほどの中間のエンドポイントのようなものが悪化していく、これをどう防ぐかというグリーンの破線のような形の介入もあります。

 それから、崖から落ちるような、谷に落ちるような重篤なイベントをどう防ぐかという介入の仕方もあります。これは、オレンジの破線で示しています。

 ただ、再発作をどう防ぐか、再々発作をどうするかというのは、医療の範囲でありまして、健診からは少しずれてきます。

 そう考えますと、特定健診の在り方というのは、いろいろなマーカーが悪化する、それを防ぐということと、循環器リスクにどのように介入するかという2つの見方があります。この図をぜひ頭に入れて健診の議論をしていただければと思います。

 次にハイリスク・アプローチとポピュレーション・アプローチがあります。

 ハイリスク・アプローチというのは、正規分布の右の端のハイリスクの方に介入をするということで、特にハイリスクの方々を対象として、スクリーニングのカットオフ値を設けて介入をし、リスクを低下させるということです。

 次のページが、ポピュレーション・アプローチです。

 これは、特に線引きをせずに、集団全体の平均値をできるだけ改善しようということで、対象も集団全体に及びます。

 右にありますように、分煙であるとか、運動の施設の整備、外食メニューの改善、モニタリングによる情報提供など、広くアプローチをかけるというのがポピュレーション・アプローチです。

 先ほど辻参考人が健診と検診というお話をされましたが、まさに特定健診というのは、健診です。検診の代表ががん検診でして、これは、がんのスクリーニングをして、がんを見つけるということが目的になります。一方、特定健診というのは、生活習慣病のハイリスクの方をスクリーニングして、そして、リスクを管理するということです。

 母集団、白丸からグレーまでありますが、ハイリスクの方が下にあります、赤い星の方が脳・心血管疾患を起こしやすい。しかし、リスクのない方でも起こしますので、よりハイリスクの方に焦点を当て、そういう方をスクリーニングして、保健指導をしていく。場合によっては、ダイレクトに医療機関で治療していただくということです。

 こういう図式になっておりまして、がん検診と生活習慣病の特定健診というのは、かなりアプローチが違うということをぜひ御理解いただければと思います。

 したがいまして、生活習慣病が目的とする脳・心血管疾患の予防ということになりますと、よく考えて健診をしませんと、効果が出にくいわけです。ですから、ハイリスクということがキーワードになります。

 そうしますと、当然、ハイリスク者の定義が必要になります。また、実際にハイリスクの方々に介入して指導あるいは治療して、本当に脳・心血管疾患が減ると、死亡率等がよくなるという証拠も必要であるということでありますので、それなりのハイリスク者への介入方法をよく考え、その方法を選定するための健診というものが必要になります。

 下の図にまいりますが、要するに、リスクというのは階層があるということです。ここでは、高血圧対策を例にして絵が描かれておりますけれども、ベースには生活習慣の問題があります。栄養・食生活、身体活動・運動、飲酒、こういうものがリスクになりますので、とるべき手段としては、生活習慣等を改善することが重要です。

 実際、高血圧に関しては、危険因子を減らす強い根拠があります。

 最終的には、脳・心血管疾患、脳卒中等の減少、心筋梗塞や狭心症の減少に結びつけていくということが重要で、それぞれリスクの階層を考え、どのポイントに介入するかを常に考えていかないといけません。その根拠やどのくらいリスクを低下できるのかということも考える必要があります。

 次にまいります。こうした生活習慣病のハイリスクについては、世界中で研究が行われております。

 日本、アメリカ、欧州については、特にたくさんデータがありますが、どういう方がハイリスクかということは、住民のコホート研究、追跡研究によって、明らかにされます。

 日本の場合、NIPPONデータ80という非常に重要な研究があります。関連するガイドラインとしましては、日本動脈硬化学会2012があります。評価に用いるリスクファクターとしては、性別、年齢、コレステロール、喫煙、血圧、血糖、このあたりは、日本、アメリカ、欧州でも多少は違います。測定法なども各国で完全に共通しているわけではありませんが、おおよそ、同じような指標を用いています。

 大事になのは、介入した効果をきちんと評価できることです。これにより介入しなかった場合に、何が起こるかということを予測できることになります。

 下の図は、高血圧の場合、あるいは高LDL血症、高脂血症です。年齢は多少違いますけれども、例えば、高血圧で60から64歳、収縮血圧160から179という場合には、大体10年以内の脳卒中、心血管疾患の発症率が16.7%。1万人の方を10年フォローすれば、高血圧の方は、1,670人発症する。血圧を治療できちんと10下げると、約30%リスクが減って、11.7%になる。そうしますと、1万人から1,170人が発症するので、治療の効果は500人ということです。

 また、高脂血症、高LDL血症の場合は、10年以内の冠動脈発症確率、大体5%、10年で1万人から500人発症するところが、きちんとコレステロールを30ミリ下げますと、3.5%になり、150人の予防が可能です。

 こういう数字を見ながら、よく考えて健診をし、介入をする必要があります。

 次のページ、今、お話しした心臓病も大事ですが、やはり、日本人の場合、高血圧の患者さんがまだたくさんいます。これは、国民健康保険の対象者で、高血圧をスクリーニングした場合ということで、ちょっとややこしい図で申しわけありませんが、順番に見ていただけますと、御理解いただけると思います。左下、健診受診者が大体700万人ぐらい。ところが、その倍の方が健診を受けないということです。それが66%、1,400万人、そのうちの大体半分に高血圧です。その方が700万人の下の四角のところに書いておりますが、16.7%、10年以内に脳・心血管疾患を起こします。10年で116万人発症する。

 健診を受けた方も、半分ぐらいは高血圧で、350万人。ところが、高血圧350万人のうち、治療を受けている方が175万、半分しか受けていない、放置されるのが175万人、そうすると、やはり、16.7%で10年以内に脳卒中を発症します。10年で16万人。高圧治療を受けていても、コントロールのいい方は58万人、不良の方が116万人、それぞれ10年以内の発症確率が11%と14%、こうしたことをずっと計算して足し合わせますと、きちんと治療を受けていると、放置した場合に比べて5万7,000人発作を減少させることができます。

 こういうことを地道に数字で押さえながら、そして治療の効果を確認しながら健診を進める必要があります。

 したがって、がんか、がんでないかという、がん検診とは随分勝手が違うということであります。

 下の図は、心血管病予防のための予防ポイントです。生活習慣のひずみを直す、あるいは健診で指導してリスクファクターを見つける。あるいは重症化や合併症の予防。例えば、メタボから、いかに糖尿病にならないようにするか、糖尿病からいかに腎不全、透析、網膜症を起こさないようにするか、あるいは心臓の病気を起こさないようにするか、そういう重症化・合併症の措置、あるいは要介護・死亡をいかに防ぐか、いろいろなポイントがあります。それぞれの段階に応じて健康日本21やメタボ健診等が行われています。

 1枚めくっていただいて、最後に、現在の特定健診の課題です。今、非肥満者と肥満者、主に肥満者に対して保健指導あるいは受診勧奨等がされていますが、非肥満と肥満を分けて、しかもリスクの状況に応じて、A1A2A3、あるいはB1B2B3と分けて見たときに、実際、それぞれのグループから発作が起こっているかということを下の図に示しております。

 私どもは27万人の健保組合の方々をフォローさせていただきました。47.6歳が平均年齢です。脳・心血管疾患の発症者をレセプトから抽出してみますと、確かに、肥満者のほうが同じリスクであれば、イベントを起こすことは事実です。下の表の右の赤い字を見ていただきますと、A1を発症率1.0といたしますと、B11.6A21.6に対してB22.79A32.9に対してB34.26、確かに肥満がよくないというのは事実ですが、しかし、非肥満者でも、リスクの数に応じて、特に高血圧が問題になるのだろうと思いますけれども、かなり多くの方が発症するということは、非常に重要なポイントです。

 実際、発症者数で見たときに、A1A2A3から966名、B1B2B3から1,327名ということになりますので、肥満していないからよいということではありません。このあたりも、今後健診でどうするかという課題がございます。

 最後のページ、まとめでございます。

 繰り返しでございますが、特定健診というのは、心血管病のリスクを見つけ、早期に対応するということが目的で、がん検診との違いに十分御留意いただきたいということ。

 ハイリスクの定義やハイリスク者への介入効果をしっかり明らかにしていくことが大切です。

 また、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙が重要な危険因子です。メタボリックシンドロームは、内臓脂肪が原因で、喫煙以外のハイリスクを伴った状態として整理できます。

 そして、4番目に、企業の特定健診を分析しますと、非肥満者でも多くの発症者がいるということ。また、現在の特定健診後の介入では、ハイリスク者を見逃している可能性があるということです。

 何よりも疾患のライフコース、自然史というものをよく理解して、どの段階で何を予防するのか、健診なのか、医療行為の一部なのか、そういうこともしっかり見きわめながら、これから健診の在り方を明らかにする必要があります。

 以上です。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 正林課長、ご報告は、以上でよろしいですか。

○健康課長 はい、以上であります。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 議題として、1。合同検討会について、それから、2。特定健康診査・特定保健指導に関する検討体制についてご報告いただきました。

 まず、合同検討会が室長のほうから、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」が開催されていること、また、特定健康診査・特定保健指導に関するエビデンスの収集・分析については、技術的な事項であるため、「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」が行われていることについて、報告がございました。

今回の合同検討会は、平成30年度から、特に特定健診・保健指導の在り方について、データに基づく在り方を検討し、さらに一層前進した特定健診・保健指導を推進したいということも踏まえているわけでございますので、特にエビデンスの収集・分析による技術的な観点からの実績を具体的な保健指導の制度の上に、どのように反映し、生かしていくかということを検討するということが厳しく問われていると思います。

 最初に申し上げたように、25年問題という非常に深刻な課題に直面する中で、国民を挙げて、健康づくりに取り組まないといけないということが、国民の健康はもとより、国の財政の面からも厳しく求められているということもあって、本日、この合同検討会が開かれたということは、私は非常に画期的なことであると思います。

 そういうことで、技術的に明らかになった成果を制度のほうに、最終的には、どのように生かしていくかということが目的になるということもあって、私が座長に座らせていただいているように思っておるのですけれども、ここにありますように、結果を共有するとともに、共同して取りまとめを行うということがもとめられています。

 それで、それぞれ特に健康局のほうから、具体的な検討体制の現状、歴史を踏まえ、厚生科学審議会、社会保障審議会、労働政策審議会において、それぞれ、今まで多様な検討を、健康局が基本になるものかと思いますけれども、推進されてきたことを報告いただきました。

そして、辻参考人のほうから、健康診査等専門委員会における検討の内容について、また、永井委員のほうから、特定健康診査と疾病予防、特に予防という観点、そして、肥満、非肥満に対する特定健診・保健指導の在り方について、具体的な資料をもとに報告いただいたと思います。ありがとうございました。

 ということで、基本の意味合いとして、本日、この合同検討会が開かれたことは、非常に画期的なことであるということは、皆さんとともに、最初に確認させていただきたいと思います。

 座長がしゃべり過ぎて申しわけないのですが、まず、合同検討会に開催についてということで、ご意見、ご質問がございましたら、まだ、時間も約1時間程度ございますので、本日、わが国の健康づくりの中心になって活躍をいただいている方に集まっていただいておりますので、総論的な意見でも結構でございますので、考え方、合同でやるということの意味合いについて、ひとつ意見をいただければと思います。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 多田羅座長からお話をいただいた、この合同検討会の意義というのは、非常に大きいと、すばらしい取り組みだと評価をしているところでございます。

 私の質問は、資料2のほうの検討体制のほうで、正林課長からご説明のあった、この左側の2つの健康局と保険局の会議の合同部会というのはよいのですが、いわゆる安全衛生分科会との連携を、これからとっていくということで、現在、わかる範囲で結構なのですけれども、どういうスケジュール感でお考えになっているかということを厚労省から教えていただければと思います。

 約10年前、メタボリックシンドロームを対象とした特定健診が導入されたときに、健康局で、科学的なエビデンスに基づいた健診項目を決めて、それを保険局でシステムであるとか、決裁のやり方を決めたと。

 全体の枠組みができ上がった後に、最後に、この労働政策審議会のほうに話がいって、本当に大もめにもめて、腹囲という入口の話が、結局、着衣の上からでも可であるとか、最後にゆがんでしまったという苦い思い出を持っております。

 したがって、本当によい健診をしていくのであれば、最後に、一番ここが大きな課題になる、いわゆる事業主健診との連携をしている中で、そこがきちんとした御理解をいただかないと、せっかく、きちんとした健診項目を入れても、最後に、それが認められないということになっては、何の意味もないのではないかと思っております。

 したがって、こちらの担当ではないにしろ、どういう形で、これから、進めていただくのか、先ほどのスケジュール感を聞いていると、29年の予算ということであれば、28年のことしの後半までに、この両会で健診項目を決めた後に、では、予算をとるまでに非常に短期間しかない中で、この労働基準局のほうで、どこまで議論ができるのかというのは、ちょっと危惧するところなので、その辺のスケジュール感をぜひ教えていただきたいと思います。

○多田羅座長 では、まず、事務局からスケジュールについて、よろしいですか。

○労働基準局安全衛生部労働衛生課主任中央じん肺診査医 労働基準局の労働衛生課の前田でございます。

 私どもが、この労働安全衛生法に基づく定期健康診断の在り方に関する検討会の事務局を務めさせていただきますが、この資料1の合同検討会のスケジュール、これに沿って、近々この検討会を立ち上げて、28年半ばとされてございます、中間取りまとめの時期にあわせて、先ほど、今村委員がおっしゃったように、10年前の反省を込めまして、この資料1のタイミングにおくれないように検討したいと思ってございます。

○今村委員 ありがとうございました。それを聞いて、大変安心をいたしました。

○多田羅座長 どの点が一番安心したのですか。

○今村委員 やはり、きちんとした医学的なエビデンスに基づいて議論したことが、最後に、そうではない、全く違った観点で否定されてしまったように、私は思っているので、これらのことがないように対応するということについて安心したということです。

○多田羅座長 今までの歴史ではね。

○今村委員 歴史がです。ですから、今回は、そういう同じ轍を踏まないように、今、本当に厚労省も前回の反省を込めてと言っていただいて、きちんとした議論が同時に行われるということが本当に大事だと思っていますので、そこは本当に厚労省に感謝申し上げたいと思います。

○多田羅座長 わかりました。ありがとうございます。

 ということで、そこのところが、合同検討会も、具体的には、その点を課題として合同の会というものが開かれていると思いますので、今村委員から、非常に貴重なご意見をいただき、事務局からも前向きのご回答をいただいて、ありがとうございます。

 それでは、いかがでしょうか、合同検討会について、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」のほうを代表して、白川委員、いかがですか、突然の振りで申しわけないのだけれども、せっかく時間もいただいていますので、よろしくお願いします。

○白川委員 御指名いただきまして、ありがとうございます。

 たしか、一期目から二期目に変わるときも、いろいろなテーマで意見交換をさせていただいた記憶があるのですけれども、クレアチニンをどうするかとか、あるいは腹囲の基準について、肥満学会でしたか、そこでエビデンスを出していただいて少し議論したりと。

 私自身は、100%納得したような感じがなくて、何となくぼんやりしたまま第二期に入ったという印象を持っております。永井委員が座長をやっていただいている検討会は、まだ、1回しか開催していないということでございますので、2回目以降、具体的な検討に入る際には、ぜひ、第二期の前の議論も少し読んでいただいて、今回はすっきりした形で打ち出していただければと思います。

○多田羅座長 今村委員も、そこをかなりおっしゃっています。

○白川委員 そうですね。今村委員御指摘の一期目が始まる前の段階で、労働安全衛生法との関係がもめたのは、主として、経済界の理解が得られるかどうかということ。

○多田羅座長 それは、費用の件でございますか。

○白川委員 費用もそうですし、たしか、腹囲と喫煙の有無と問診票だったですかね、この3つを新しく一遍に入れるということで、企業側が準備期間もないということで、戸惑いも含めて、大分がたがたしたというふうに記憶が残っております。ただ、被用者保険では、企業の定期健康診断のデータを特定健診のデータとして頂戴するということになっておりますし、その後、時代が進んで、今や企業とのコラボで、データヘルスということで、さっきの永井委員のところにあったハイリスクに対するアプローチとかあるいは特定保健指導も含めた総括的な保健指導をやるなど、そういう形に発展してきていると思います。労働安全衛生法の関係のものは、以前以上に企業側の了解をうまくとるような準備を早目にして、説得していただくということを担当局にはぜひお願いしたいと思います。

 申し上げたかったことは、2回目せっかく、がたがたと言ったら大変言葉は悪いですけれども、大分議論をしていただいたので、その財産をもう一度洗い直して役に立てていただきたいということと、全体として、特定健診・保健指導だけではなく、新しい概念の健診、これがいろいろな形で新しい概念に変わってきておりますので、それに対応したことも少し御検討いただければということが、漠然とした言い方でございますが、今の時点での意見でございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 それでは、特にこの2つの検討会に、ともに委員で参加しておられる津下委員がおられますので、津下委員から、その辺の兼ね合いといいますか、共同、共有ということの在り方について、ご意見がございましたら、よろしくお願いします。

○津下委員 御指名ありがとうございます。

 私も第一期、第二期とかかわってきました。いろいろな制約の中で、実現可能な方法を探って、その段階でできることをやってきたというのが実感です。そして、第二期については、特定保健指導の効果をナショナル・データベースで分析をしながら、実際にはどのような成果があるのかを見ることができたというのは、第二期の議論のときよりは、新たな情報がつけ加わっていると思います。

 その点で、今回期待しているのは、エビデンスに基づいたよりよい健診のあり在り方を検討するということですが、1つ気になるところは、職域、若年期の対象とした健康課題の問題と、それから、コホート研究で10年後の死亡をアウトカムにした研究結果というのを、どのように考えていくかということです。先ほどのライフコースにあわせた健診の在り方に関連してですが、例えば、職域ですと、死亡を直接アウトカムにするよりは、その方が健康で働けるとか、保険者側は医療費適正化とか、さまざまなそういうアウトカムの捉え方があるので、それをどう見ていくかを考える必要があります。

 それから、肥満と非肥満の関係も、国保のデータと健保のデータは、随分様相が違うわけですので、それぞれにあった適切な実施方法とか、スクリーニングという考え方が必要ではないかと思っています。

 もう一点は、データが標準化されて、蓄積されてきました。パーソナル・ヘルス・レコードという話もありますように、健診データは、スクリーニングだけではない活用法が広がってきていて、健康状態のモニタリング、そして、保健指導ではないけれども、本人にきちんとフィードバックをかけていくという、そのセルフコントロールのデータとしても、非常に貴重になってきている。

 そういう観点で、スクリーニングとしての役割と、長期にわたる健康管理をどう主体的に行っていくか、そういうような観点でも活用できるような健診項目というのが、保険者サイドとしては、活用しやすいのではないかと思っております。そういう観点でのエビデンスの検討というのもお願いしたいところだと思います。

○多田羅座長 それは、在り方に関する検討会へのご要望ですか。

○津下委員 そうです。在り方に関する検討会で、コホート研究で死亡とか重症疾患で10年間しか観察していないと、40歳代など若年世代に適応できるかという問題があります。ライフコースに合わせた健診の在り方等についても、検討する必要があると思っております。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 今のところは、合同で開いているということの歴史的意味について、それぞれ内容あるいはその課題を話していただいていますが、せっかくですので、在り方に関する検討会のほうからも、磯委員から、お願いしましょうか。合同でやっていくこと、それから、今、津下委員がご指摘のような課題について、突然のご指名で申しわけないのですけれども、よろしくお願いします。

○磯委員 これまでに議論がありましたように、合同で行う意義は、私も非常に大きいと思います。

 私は健康局の在り方検討会に入っておりますが、先ほど永井委員が強調されたように、日本は非常に良い健診システムが母子保健から高齢者に至るところの特定健診・特定保健指導と整備されていますので、マイナンバーの活用により、これまでの保健・医療に関する基本統計を、国民の健康のため、医療の適正化のために、役立てるシステムを考えていくことは非常に重要だと思います。先ほど、津下委員がおっしゃったように、それぞれのライフステージの中で、どういった項目を評価するか、どういったものをアウトカムにするか、また、保健指導、医療をどういうふうに組み合わせていくかが重要な課題です。

 例えば、母子保健での健診の際は、身体・精神発達の異常やう歯等のスクリーニングがありますが、その際に、子供に対する望ましい生活習慣の形成、例えば、減塩、栄養バランスの指導を行うことは可能です。それが、母親、父親、家族を通じて、成人の生活習慣を見直すきっかけになることからライフコースや多世代を意識した複合的な介入方法も考えていくことが重要かと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか、各検討会から代表してご意見をいただきましたが、委員の皆さんで、特にこの合同で開くことの意義あるいはそのような課題について、ご質問、ご意見がございましたら、どうぞ。

○深井委員 深井ですけれども、きょうの事務局の第3回目の見直しに向けて合同検討会を開催する意義はよくわかりましたし、大事なことだと思います。

 それで、三期目の検討に向けて、より効果的で、より効率的な特定健診・特定保健指導なり、生活習慣病の予防を目指すときに、冒頭、辻参考人や永井委員から、あるいは磯委員からもお話がありましたが、健診というのは、疾患の量とか、ディスイーズバーデンすなわち疾病負荷がどの程度かということに気をつけなければいけないし、ライフコースのように、リスクが若い世代から蓄積をしていって、結果として、生活習慣病になるというリスクの蓄積ということもあります。何より健診・保健指導を評価する上で、効果を上げるためには、全体としてシステムがうまく動いているか、既存のマンパワーや、既存の人材等が活用されているかという観点が重要です。

 そんな観点からすると、例えば、健康日本21で、既に生活習慣病の予防のためには、基本的には、運動、栄養、休養、たばこ、アルコール等は、基本的な要素ですけれども、第二次の健康日本21からは、歯の健康も、その中に位置づけられています。

 そこで、この資料2のことで少し意見というか、お願いがあります。資料2の中に、この「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」の保険局は制度的な観点ということで、実際に制度として動かす前のエビデンスの整理では、この健康局の「特定健診・特定保健指導の在り方に関する検討会」で議論とあります。この健康局の辻参考人が座長の健康診査等専門委員会には、歯科の委員が入っていますし、保険局の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」にも歯科の委員が参画しています。しかし、エビデンスを具体的に検討する健康局の「特定健診・特定保健指導の在り方に関する検討会」には歯科の専門職が参加していません。今後、より効果的に三期目に向けて特定健診・特定保健指導を検討する際に、特に食事の問題は歯科に直結しますし、歯科だけでも生活習慣病に対するリスクとなるエビデンスもあるので、健診項目とか、質問項目に対する検討、あるいは保健指導に対する検討で、エビデンスを整理する際に、この健康局の検討会の中に歯科の専門家がいませんと、もし、その議論が上がってきたときに、歯科の専門家がいないまま議論ということになり、困ったことになりますので、今日は1回目ですので、ぜひ、参考資料2の裏に書いてある別紙の構成委員については、再度御検討いただきたいと思います。

○多田羅座長 わかりました。その点、ひとつ具体的にどのように取り組めるか、事務局のほうでご検討ください。

 ほかに、いかがでしょうか。

 藤内委員、どうぞ。

○藤内委員 大分県でずっと保健行政の現場で仕事をしている者ですが、今、深井委員もおっしゃられたように、特定健診・保健指導を考えるときに、スクリーニングとしての有効性だけではなくて、システムとしての有効性を検討することがとても重要です。平成20年の特定健診・特定保健指導が始まって以来、市町村の生活習慣病対策が大きく変わったと思います。そういう生活習慣病対策全体として、うまく機能しているのか、その中で、特定健診・特定保健指導はどうあるべきなのかという議論も大事ではないかなと思います。

 特定健診が始まって、もう7年たち、特定健診の受診率は、少しずつ上がっていますが、まだ、目標には遠く及ばない状況です。受診率を上げるために、市町村などの保険者がどんな工夫をしているのか、あるいは特定保健指導の実施率を上げるために、どんな工夫をしているのか、さらにはハイリスク・アプローチとポピュレーション・アプローチをうまく連携させるために、どんな工夫をしているのかといったような生活習慣病対策全体を検証することが不足しているのではないかと思います。これは、現場にいる我々もそれをしっかりやらなければいけないと思っていますが、今度の検討を機に、少しそういうところも議論できればと考えています。

○多田羅座長 貴重なご意見をありがとうございます。

 その点、この保険局のほうの「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」、私が座長をさせていただいているのですが、そこで、ようやく今年度の後半から、具体的な市町村における取り組みとか、課題とかも含めた制度的な、藤内委員のおっしゃる、システムの中における評価、ただ、医療費が下がったとか、そういうエビデンスだけではなくて、システムとして、どのように効果があり、進められているかというふうな視点も、ようやく取り組んできているというふうに思います。貴重なご意見をありがとうございました。

 事務局のほう、何か追加はございますか、システムという観点については、よろしいですか。

○健康課長 はい。

○多田羅座長 そういうことで、取り組みを始めているということは、ご報告いただけるし、それなりの評価も、また、報告いただけると思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○三輪参考人 東京都予防医学協会の三輪です。

 先ほど、津下委員のほうから、セルフコントロールできるようにという話が出ましたが、それがとても大事だと思うのです。日本は、どうも親方日の丸というか、お上の言うとおりというような意識が強くて、自分の健康を自分で守るという意識がちょっと薄いような気がするのです。健診は充実しているけれども、受診率が低い。特にがん検診などで、それでいつまでたってもがんが減らないという状況になってしまっているので、自分の健康は自分で守るという意識を持ってもらうような施策をとらないとまずいのではないか。

○多田羅座長 それは、具体的には、どんなことになりますか。

○三輪参考人 やはり、教育だと思うのですね。

○多田羅座長 学校教育のことですか。

○三輪参考人 はい、小さいころから教育する。それから、職域であれば、新入職員を教育する。地方から出てきて、一人暮らしで、どのように仕事をして、どういう運動をしたらいいのかということを。私が産業医をやっているところは、看護職がちゃんと指導しているのです。そういうことを取り組んでいただきたい。

 5年ぐらい前の産業衛生学会(84回)のシンポジウムで、私、発表したのですけれども、若い男性、35歳で、3割がBMI25を超えているのです。

 ということは、若い男性に関しては、今、35歳まで、雇入れ時から採血なしになってしまっていますね。産業医の承諾を得て省略をしているということは、まずないです。皆さん、どこの会社でも省略していいのだというふうになってしまっている。けれども、その中で、肥満があって、いろいろな病気が出てきている人が、実際います。まず、肥満が出てきて、その後、肝機能障害が出てきて、血圧が高くなって、最後に糖尿になってくるのです。そのパターンが、うちの健診を分析していると出てきます。

 女性は、そういうことはないのです。やはり、美容的な問題もあると思いますが、女性はそういうことはありません。けれども、女性は、更年期に近くなってくると、いろいろな問題が出てくるのです。

 ですから、男性と女性、若い人、年輩の人、そういうことも考えて指導するなり、健診するなりということを考えていかないと、セルフコントロールということに結びついていかないのではないかと。気がついたときには、もう悪くなっているという状況に、特に男性はなりやすい。そこを考えていただきたいと思います。

○多田羅座長 辻参考人、その辺、いかがですか。突然で申しわけございません。健康診査の在り方に関するご意見だったので。

○辻参考人 私、全く同感でございまして、特に、先ほど津下委員も、今、三輪参考人もおっしゃったことで共通しているのは、職域の若年層ですね。

○多田羅座長 若年とは、何歳ぐらいですか。

○辻参考人 20代、30代です。特に男性は、体重が増えていく年齢というのは、20代、30代でありまして、40歳を過ぎてからは、余り体重が増えないのですね。

 一方、女性は、閉経ごろから体重が増えていきますので、男女で、体重の増え方の年代が違いますので、そういう意味では、三輪参考人がおっしゃったように、特定健診の入り口で、もう既に習慣を変えられなくなってしまったぐらい太ってしまっている方は男性中心に結構いらっしゃいますので、特に、ライフコースという点でいうと、一番抜け落ちているのが、職場の若い世代、20代、30代の特定健診に入る以前のところで、きちんと対応しておかないと。

○多田羅座長 それは、具体的には。

○辻参考人 体重管理と。

○多田羅座長 具体的に方法というか、システムとしては、一応、特定健診は40歳以上ということですので。

○辻参考人 これから、ちょっと。

○多田羅座長 どうぞ。

○今村委員 三輪参考人のおっしゃった教育の話は、非常に大事だと思っております。小学校や中学校の学校保健の中で、いわゆる健康教育というもの、この学校医等あるいは養護教諭が行わなければいけないという、こういう現場の声はすごくあるのですけれども、やはり、文科省や教育委員会の壁というのは厚くて、例えば、禁煙教育だとか、ようやくがん教育も学校現場でやろうという話はありますけれども、なかなかそこが、やらなければいけないということがわかっていても、学校現場も非常に忙しい中で、そういうことができていないのが現状だと思います。

 しかしながら、大人になってしまってから、幾ら健康教育と言ってもなかなか実効が上がらないので、小さいうちに教育するということがものすごく大事で、できれば、健康診査等専門委員会に、例えば、文科省のそういった担当の方がオブザーバーで参加していただいて、議論を聞いていただくということが可能かどうかということを御検討いただきたいと思っています。

○多田羅座長 ちょっと待ってください。

 では、まず、辻参考人のご意見があれば、学校教育との関係ですかね、何か具体的に若年者の対策として、今、ご意見をいただいたのですけれども、何かございますか。

○辻参考人 いや、余り具体的には考えていないのですけれども、まさにライフコースに応じて、教育も含めてきっちりとやっていかないといけないと思います。

 それと、特に親元で暮らしているときは、まだ、親に生活を管理してもらっているのですが、親元を離れて大学に入ったり、就職したときに、食生活の習慣が崩れてしまうという人々が多いわけですけれども、それに対して、大学はそのような健康教育をしておりませんし、就職した後も、若い人は元気だから大丈夫だろうというような感じで放っておかれますので、その辺の年齢層で、健診なり、教育なりを強化する必要があるかと思います。

○多田羅座長 永井委員、その辺、いかがでしょうか。若年者も含めた健康づくりの体制の検討が要るだろうと。

○永井委員 三輪参考人が言われた40歳を過ぎると太らないというお話は重要です。男性は40歳までは太るのですけれども、その後、頭打ちになります。ところが、血糖値は、悪化していきます。

 実は40歳までに病態ができているということです。そこをもう少し真剣に考えないといけないと思います。

○多田羅座長 今、40歳ではっきり線を引いていますのでね。

○永井委員 実は40歳前から病態が進んでいるようです。

○多田羅座長 40歳では、もうtoo lateですか。

○永井委員 too lateではないのですけれども、かなりの人は病態が完成しつつあるようです。そのことを踏まえて、健診の在り方や教育をどうするかということです。

○多田羅座長 では、津下委員、どうぞ。

○津下委員 2点ありまして、今、教育というお話なのですが、文科省の話は別としても、データ分析をしたら、動機づけ支援でもやらないよりよかったという効果が出ました。では、動機づけ支援はいったい何をやっているかというと、なぜ、データが悪くなったのかとか、それから、どのような生活改善が必要かという話を、1回、初回面接を行って、あとは、フォロー。6カ月後に確認するだけなのです。

 ですから、本当に大事なことは、健診のデータが、どういうことを意味していて、そして、自分が何をしなければいけないのかということを考える時間をつくること。一般の人たちが、健診の結果、数字に関心を持ち出したというのが、すごく大事なことだろうと思うのです。

 ですから、健診の機会に、本人が思っている疑問とか、それから、さまざまな健康情報の中で自分にとって大事なことは何なのかとか、自分の1年間の過ごし方がどうで、そして次の1年間はどう過ごしたいのだということを話し合う機会が重要ではないかと思います。それが、動機づけ支援だったのかなと思うのですけれども。先ほどの、永井委員のお話にもありましたように、そういう動機づけ支援的な健診結果の見方ということを、しっかりお伝えする、そして、行動計画を立てるということについては、より対象者を広げて行うとか、そういうことの可能性を探っていくというのは、非常に重要なことなのかなと思います。

 2点目なのですけれども、国保で受診率を上げるのに非常に苦労されています。それは、健保のときには会社で受けなさいと言われて、受けさせられている。ところが、国保になって仕組みが違うことを本人が十分に理解されていないということや、受けにくさや、方法が違うということがあります。

 それで、保険者間でデータを移動するとか、退職時などに自分の健診データをもらい、そこにデータを自分が国保になったらためていくとか、などが考えられます。退職後の健康の管理の在り方の入り口、被用者保険から国保に移るところの事業というのが、今、両方がすぽんと抜けている感じです。退職前の人は積極的支援をしても途中中断になるからやらないという保険者さんも結構ありまして、そこの節目をどう丁寧にしていくのかというのも、課題認識としてあります。

 ですから、国保に移ったときに自分の健康管理をどうするのかという、新たな健康管理の仕方というのを学習していただく機会というのがあると、国保の事業はもう少し円滑に進むのかなと思っています。今の教育という観点で、付け加えさせていただきました。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 各論になりますと、まだまだ具体的なご意見、ご提言があるかと思いますが、本日は、聞き置くというと、ちょっと失礼な言い方になりますけれども、議事録のほうに残させていただくということでご了解いただきたいと思います。

 それで、議題のほうにかえりたいのですが、私のほうから合同検討会という、画期的、歴史的な検討が開かれたということについて述べさせていただいたのですが、委員の皆さんからも、非常に高く評価をいただいて、これからの成果に期待したいという言葉をいただいたと思います。

 残りの時間は、せっかくですので、この検討体制についてという議題もいただいておりますので、この検討体制について、ご意見を、特に辻参考人、永井委員から、その材料になる具体的なデータもご報告いただいておりますので、重なっているところはございますけれども、こちらのほうについてご議論、ご質疑をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 まだ、ご発言をいただいていない方、岡村委員、どうですか。突然の指名で申しわけないですけれども、若手のほうから1つお願いします。

○岡村委員 先ほどからもあるのですけれども、議論のほうが健診の専門委員会で話したほうがいいような話まで、今、行ってしまったのですけれども、特定健康診査をどうするかというのを全体の目的としてやっていますので、特定健康診査の枠組みでやった結果を、より高齢の世代とか、より若い世代にどういうふうに応用することができるかという視点も入れながら、まず制度の枠組みと固めるというのが一番必要だろうということが1点です。

 それから、先ほどのエビデンスの話になりますけれども、これは、ずっと議論があるところなのです。

 エビデンスというのは、文献を引っ張って過去の事例を集めることが普通です。すると過去の事例になかったら未来に向かって進めないのかという話になってしまいますので、エビデンスの整理はもちろんきちんとすると。ただ、例えば、今のところはそういうのはないものをどうするかです。

 例えば、先ほどの若い人で効果があるかどうかとか、多分掘っても、そんなに大したエビデンスなど出てくるはずがないのです。あれば誰か報告しています。なので、演繹的に考えたときに意味があるかどうかも重要です。ただエビデンスは今のところないのにあるようなふりをして出すのは、非常に不誠実なので、ないものはないのだけれども、方向性としては正しいと思うという、そういう整理でもっていかなければならないと思います。エビデンスだけに偏ると、がちがちになって動きがとれなくなりますし、かといって、信念だけでやっても脱線するかもしれないので、そこのバランスが非常に大事だろうと考えています。

○多田羅座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○武見委員 女子栄養大学の武見ですけれども、今、岡村委員もエビデンスのお話をなさったのですけれども、先ほどから、若い世代ということで、特に、子供も含めて教育というお話が出てきたのです。

 実は、栄養・食生活は、まさにリスクを持たないようにどうするかというのが一番基本なのですけれども、そういう意味で、子供たちに対する栄養教育とか、食育とかも行われていますけれども、現実には、それが成人以降にということでいうと、まだ数は非常に少ないですけれども、幾つか、そういうレポートがあります。どちらかというと、ネガティブです。残ってこないと。

 そうなったときに、私、子供たちの教育はとても、あるいは若い人も含めて教育は大事だと思うのですけれども、子供で言えば、例えば、教育では、やはり知識の提供が主になります。そうすると、子供たちが日常的に生活しているときにかかわっているのは、学校では先生たちだし、家庭では親たち、まさにさっき言った40代の前も後もありますけれども、その世代をどうするのかという話に、また、そこに戻って、やはり先生方自身が、実はそういうことが変わっていかない、まさに自分のセルフコントロールができるように変わらないと、恐らく子供たちへの教育は定着しない。

 そうなると、やはり健診の場でのセルフコントロールのための健診とか、意識づけをするということの意義みたいなものも若い世代に対して、もっと深い意味で出てくるのではないかと思います。

 もう一つは、若い世代で言うと、例えば、女性は、むしろもう肥満などではなく、痩せの問題というのは、皆様もよく御存じだと思いますが、若い人たちだけではなくて、やはり高齢者を考えていくと、今、栄養・食生活では、非常に、むしろ足りないという問題ですね。低栄養の問題ということも重要で、それは、特定保健指導の枠で考えれば、65歳以上の前期高齢者の特定保健指導はどうあるべきかということは、すごくこれから真剣に考えなければいけない。つまり、75歳以上の後期高齢期に向かっていく前の最後のところということになります。

○多田羅座長 今の制度では、何か課題がありますか。

○武見委員 いや、制度というよりは、むしろ、特定保健指導の、そこの在り方ではないかと思います。それは、健診ではなくて、保健指導の、こちらの検討会であると思いますけれども、やはり、控えましょうとか、そちらのものを引きずったまま高齢期に入っていくという問題、恐らく、これは、これから検証が必要だと思いますけれども、非常に大きな問題ではないかと思いますので、その辺のこと。

 もう一つは、私、協会健保の関係のお仕事を少しさせていただいていると、やはり、かなり支部間格差というのがあったり、それから、いわゆる業態による差というのが出てきています。健診の結果もそうですし、特定保健指導に対する効果なども、つまり、健康格差の問題。

 これは、先ほど、辻参考人が御紹介くださった、まさに、磯委員が社会的ないろんな要因があるとおっしゃったところだと思いますけれども、やはり、そういう健康状態でハイリスクなだけではなくて、社会的なハイリスクのようなところに対して、どういうふうにアプローチするのかということも、これは、答えが出るか、出ないかわかりません。それこそ、エビデンスでどうなるかもわかりませんけれども、やはり、視野に入れた検討というのが必要で、ちょうど、今度の5年間、30年からの5年間というのは、健康日本21の健康寿命の延伸と健康格差の縮小を最後の5年間と重なります。そういう意味でも、格差の縮小ということを視野に置くことは重要ではないかと思います。

○多田羅座長 それは、ここの健康診査等専門委員会などで、具体的に検討いただけるのですか。今、おっしゃっているような、かなり新しい課題だと思いますけれども、それは、どこで議論するのですか。

○武見委員 ここで議論すべきことかどうかも含めて。

○多田羅座長 それについて、武見委員のご意見はどうなのですか。

○武見委員 私自身は、特に、この結果がどこまで、どういう形で具体化されるのかわからないのですけれども、例えば、私の場合は、特定健診ではなくて、保健指導のほうが当然密接にかかわってきます。

 そうすると、例えば、今の標準的なプログラムなどの中の内容みたいなことに関して言うと、当然、そうした対象者の状態にあわせたものということで、どうあるべきかということは、ここで当然議論。

○多田羅座長 ここというのは、どこのことですか。

○武見委員 どちらかというと、私のイメージは、自分が所属しているほうのエビデンスとして、そこの部分も含めて整理をしていくという。

○多田羅座長 今、おっしゃっていることは専門委員会で取り組んでいただくということですか。

○武見委員 いやいや、特定保健指導の在り方という意味では、そこがあると思います。こちらは特定健診と特定保健指導もありますね。

○多田羅座長 在り方のところの検討会で、検討していきたいと。

○武見委員 はい。そこの視野に置くべきではないかという意見です。

○多田羅座長 わかりました。

 どうぞ。

○津下委員 今のお話に絡んでなのですけれども、保健指導の効果を支部間格差とか、保健指導機関格差、健保格差など、いろいろな結果がデータヘルスで見えてきつつあります。それで、どういうやり方がいいのかを検討しながら、できる体制が徐々に整いつつある段階で、平成30年を迎えるということになります。今回の検討会は、健診・保健指導の在り方ですから、在り方についての一定の方向性が出たときに、では、それをどう実施できるようにするのかについて具体的に考えていく必要があります。ガイドラインとか、研修の在り方とかを考えていかねばならないと思います。先ほど室長から、28年の半ばまでにシステムを改修しなければいけないから、その1年間が必要だという話がありましたけれども、システムを改修とともに、保健指導者の教育とか、実施できるようにするためには、何が必要かということも、現実問題として大きな課題と考えます。平成30年度から、新しいプログラムに移行できるようなトレーニング等も考えていかないといけないということで。

○多田羅座長 それは、どこで考えるのですか。こちらの在り方検討会ですか。

○津下委員 健康局で、どういう保健指導、どういう項目とか、新しい項目が入ってきたとか、どういう観点でと出てきたら、今度は、保健指導の研修ガイドラインというのを健康局でつくられたものを、また、今度保険者の検討会側で実際に保険者さんでどうやってもらうかと。

○多田羅座長 それは、在り方検討会で取り組むということですか。

○津下委員 はい。そのことが必要になってくると思います。

○多田羅座長 具体的に、どこで検討するかを言っていただかないと、一般的に検討する必要があるというのは、当然のことですから。

○津下委員 まずは、エビデンスというか、何をすべきかというのは、健康局で検討するのですけれども、現実に、今の保健指導者のできることが何かとか、そういうマンパワーが、どこにどれだけあるのかということをあわせて、そして、現実にできる方法についてしっかり仕組みづくりや教育をしていくというのも、保険者による健診・保健指導の検討会で考えていく必要があると思います。

○多田羅座長 だから、一応、この2つの会の在り方として、在り方に関する検討会で、こうあるべき論みたいなものが議論されて、それが、保険局の、関する検討会のほうで、どこまでリアリティーがあり、財政的な基盤がどう担保できるかという議論になると思いますので、やはり、在り方のほうから、あるべき論のところを出してもらう、少なくとも、あるべきがなかったら出発できないので、そういう関係で、両検討会が立つのかなとも思います。

 それで、最終的に、この合同で、こういうふうになりましたということを確認するということになってくるのかなと思うのですけれどもいかがでしょうか。

 どうぞ。

○今村委員 今の議論を伺っていて、改めて確認なのですけれども、健康局と保険局の関係は、今の御説明でよくわかったのですが、健康局の中に、健康診査等専門委員会がございます。

 それで、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」と「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」は、あくまで特定健診・特定保健指導というものに限っての話だという理解で、それをもう少し含めた、もっと広い範囲の健康診査全般については、健康診査等専門委員会で議論をすると、そして、その中で、特定健康診査の中には、もう少し、今後、こういうことを考えていただきたい、あるいは保健指導については、こういうことを考えていただきたいということを上の委員会からお願いするというたてつけになっているという理解でよろしいですか。

○多田羅座長 そういう感じが、私もしますね。

 それで、まず、専門委員会は、磯委員が委員長でしたかね。

 辻参考人ですか、失礼しました。

○辻参考人 委員長という立場で、参考人で出させていただいています。

 今村委員がおっしゃったことは、全くそのとおりだと思います。ですから、この検討会は、特定健診・保健指導に関する議論を行うところでありまして、先ほどからされているような、20代、30代どうするという議論は、本来は、私の委員会の方で行うものかと思っております。

○多田羅座長 では、順番でいくと、専門委員会で各種の健康診査について検討をいただき、その中で、特に特定健診・保健指導に関するものを、こちらの保険局の検討会に出していただいて確認するということで、事務局、そういう整理でよろしいですか。

○健康課長 よろしいと思います。

 厳密に言うと、この健康局の検討会も、それから、保険局の検討会も局長の諮問機関ですので、健診・健康診査等専門委員会との親子関係というのは、厳密に言うと、ありません。

○多田羅座長 それは、もちろんそうです。内容的につながっているか。

○健康課長 内容的には、お互いの議論の内容というのは、常に相互に交換するような形になりますので、結果的には、お互い調整するようなことになると思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○寺本委員 寺本でございますが、今、お話がございましたように、こちらのほうの健康局のほうでの議論、在り方の議論があって、それで、ある保障を得て、それがリアリティーのある健康診査として、保険局のほうで考えていただく。

 ただ、最終的なフィードバックというのは当然あってしかるべきですので、この合同委員会が最初と最後だけというのは、私はちょっといかがなものかという気がするのです。

 そうしないと、恐らく、途中でのいろんな議論というのが、フィードバックされないまま、先ほど、今村委員がおっしゃったような、どちらかに合わないものが出てくるので、そこはもう少し考えたほうがいいかという気がしております。

 もう一つ大きな問題として、もう少し上の会ということではないですが、専門委員会のほうで考えていただきたいのは、やはり、健診というものを考えるときに、ライフコースというのがございますね。先ほど来、若い方たちをどうするかという問題があったのだけれども、特定健診というのは、私、基本的には、国民全体を考えないといけないものだと思っています。40歳以降という考え方は、いってみれば、そこで、そういうことをすることによって、国民全体を教育しているという、そういう姿勢にもっていくことが必要なのではないか。

 逆に言うと、そういう政策的なことをしないといけないのではないかと思っているので、辻参考人のほうで、そういうこともお考えいただいて、検討していただけるといいかなと、私は思っております。

○多田羅座長 わかりました。ありがとうございます。

 ほかに、いかがですか。

 どうぞ。

○門脇委員 門脇です。

 一期のとき、あるいは二期のときに、相当いろいろな意見を言わせていただきました。この特定健診・保健指導は、内臓脂肪型肥満に着目した健診・保健指導ということで、我が国の生活習慣病や循環器疾患全体の予防あるいは重症化予防の上で、かなり中核的な取り組みになっていますけれども、本日、お話がありましたように、そこの枠内に収まらないものについても重要であるという指摘がされたと思います。

 まず、中核的な部分については、津下委員が、特定健診・保健指導の中で、体重を3%減らすだけで、血糖や血圧や脂質が大きく改善するということをナショナル・データで示されて、この仕組みが非常に重要であることのエビデンスになっていると思います。

 また、私、磯委員、そして、岡村委員にも加わっていただいた、厚生労働省の研究班(平成26年度で終了)で現在の特定健診の動機づけ支援群あるいは積極的支援群に相当するリスクを持つもので予後の調査を行ったところ、確かに動機づけ支援群は、情報提供に比べて、心血管イベントのリスクが高いこと、積極的支援群はさらに高いということが出ましたので、現在の特定健診については、その根拠あるいはエビデンスが裏書きされたと考えています。

 もう一方、永井委員が座長を務められましたときに、やはり提起されましたのが、いわゆる非肥満の心血管イベントのハイリスク者で、それについても、私どもの厚生労働省の班でも検討いたしましたけれども、おおよそ、心血管イベント全体の3分の1ぐらいは、非肥満のリスクファクターの保有者から発症するということがわかってきました。そこに対する一定の手当が第二期になされたわけですけれども、どうしても、現在の内臓脂肪型肥満に着目した仕組みの中だけでは不十分ですので、生活習慣病や循環器疾患の予防全体の視点から言うと、そこにやはり光を当てる議論をしたいと考えます。今回は、重層的で、多角的な視点からの検討会の構成になりましたので、ぜひ、多田羅座長の御指導のもとに、寺本委員からお話のありました、合同委員会を中間で持つことも含めて御検討いただければと思います。

 もう一つだけ追加いたしますと、先ほどありましたように、内臓脂肪型肥満は、30歳代には始まりますので、そこに対して、どのように対応するのかということについて、ぜひとも検討が必要と思います。また、先ほど御意見がありましたように、65歳以降では、特に超高齢化に伴って、フレールやサルコペニアの問題が今、非常に大きくなってきていますが、メタボ対策という考え方だけでずっといくと、低栄養などによりかえって予後が悪くなることがわかってきました。従いまして、超高齢化社会での健康寿命を確保するためには、今までの内臓脂肪型肥満の介入のエビデンスに加えて超高齢化に伴う病態の変化への対策を含めて全体を見渡した議論が行われるのが望ましいと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。非常に具体的に貴重なご提言をいただいたと思います。

 きょうのところは、一応、ご提言いただいたということで、事務局も含め、具体的に検討いただき、その結果を報告いただくということで、特段ご意見がございましたら、お願いしますけれども、よろしいでしょうか。それに対して、どのような制度の仕組みを考えていくかということになってくると思います。その点、貴重なご意見としてありがとうございした。

 ほかにどうでしょうか。

 永井委員、いかがですか、全体を踏まえて、何かございましたら。

○永井委員 もう御意見が出ているかと思いますが、これからの議論の進め方、あるべき論というのは、確かに大事です。ところが、あるべき論が余り拡大してもいけないので、もう一方で解決すべき課題は何なのかという現実を、見ながら議論することが重要です。

○多田羅座長 目的変数ですね。

○永井委員 はい。そこを両方見ながらです。

○多田羅座長 なるほど、その目的変数は、どこで検討いただくのですか、説明変数はみんなやりたい感じがあるのですけれども。

○永井委員 ぜひ、それをバランスよく。

○多田羅座長 それは、永井委員、べき論等を出すときに目的も一緒に出してもらうということでしょうか、この目的に対して、このべき論だという格好で。

○永井委員 そうです。本当はリンクしているはずです。

○多田羅座長 リンクしているはずです。目的があって方法があるわけですから。

○永井委員 べきばかりでいくと、大きく膨らみ過ぎると思います。

 もう一つ、特定健診の場合には、高齢者医療確保法のもとで行うわけですね。これは、前回も議論になったと思いますが、内臓脂肪肥満に基づく生活習慣病対策となっています。この辺をどう読むかという問題があります。多少技術的な話になるかもしれませんけれども、それは、どこかで一度議論が必要だろうと思います。

 特に、非肥満者への指導は、内臓脂肪肥満の生活習慣病に入りませんということになってしまいます。

○多田羅座長 それは、基本的な点ですね。

○永井委員 はい。そんなことを感じました。

○多田羅座長 ありがとうございます。その辺の基本的な、非肥満、肥満というところは、歴史的な課題でございますが、私は、今回、肥満という状態に対し、国民が直接、疾病の上流という観点に立って保健指導を受けるという形で、上流という概念の中で肥満に挑戦するということが脚光を浴びたということに意味があるように思います。しかし、それは、必ず一方、それ以外の課題というのを残してきているということかと思います。上流という概念を立てて、その上流というものの概念を具体化するものとして肥満というものを立てて、国民が上流に挑戦することによって、自ら疾病予防という具体的な作業に取り組むという道を示していただいたということは、非常に大きいと思います。

 どうぞ。

○藤内委員 今、座長が上流ということをおっしゃられましたし、先ほど来、セルフコントロールであるとか、自分自身の生活習慣のマネジメント力をもっと上げるべきだという議論がありました。現在、県内の保険者のデータヘルス計画の策定を、支援しているのですが、でき上がったデータヘルス計画を見ると、生活習慣そのものについての分析が非常に弱いのです。健診項目については有所見率が高いとか、そういう分析はきちんとできているのですが、その背景にあると思われる生活習慣についての分析がない、あるいは弱いので、対策として、どうするのか、特に、ポピュレーション・アプローチとして、地域でどう健康づくりに取り組むのかが議論されていないという課題があります。

○多田羅座長 それは、在り方検討会でやっていただけるのですか。

○藤内委員 問診項目は、今、22項目あるわけですが、そのあたりのところの議論は在り方検討会で議論することになるとおもいますが、それを保険者が分析してフィードバックしていくかというところは、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」で議論をいただければと思います。

○多田羅座長 我々のほうも、確かにそういうことを、今年取り組んでいますね。わかりました。生活習慣との関連ですね。

 どうぞ。

○白川委員 今の藤内委員の御意見とも関係するのですけれども、第二期までやると、10年間ということになるわけです。保険者の立場としてちょっと気になっておりますのは、ここにおそろいの委員の先生方は、皆さん、健診は非常に重要で、できる限りの国民に、どんどん参加、実施してもらうべきだというスタンスは同じだと思うのですけれども、実際には、特定健診・保健指導の実施率というのは、ここ特に2、3年余り伸びていない状況で、保険者は保険者なりにいろいろな苦労をしているわけであります。我々被用者保険でいうと、奥様方に受診していただけないと、特に、特定保健指導の実施率が、ほとんど伸びないというのが非常に気になっております。

 特定保健指導が、最初に始まったときから、ポイント制とか、6カ月間、3カ月間という期間がどうだ、こうだと、大分議論が行われたのですけれども、保険者から言わせていただきますと、現在の積極的支援をやろうとすると、金額的にも、1人5万とか、下手をすれば、8万円ぐらいかかる、期間も6カ月かかるということから、はっきり言えば、数をこなせないのです。

 それで、動機づけ支援に比べて、積極的支援のほうが効果が高いというのは、津下委員の研究で明らかになっていて、それは、そうだと思うのですけれども、私は、一方では、数を稼ぐことも必要ではないかと。動機づけ支援でも、全然効果がないわけではなくて、かなり効果が出ているわけですから、少し実施数をふやすような仕組みというのも、階層化の在り方とか、特定保健指導のガイドライン、今は動機づけ支援と積極的支援でポイント制になっていますけれども、ここのところを少し工夫するとか、そういった改良をしていかなければいけない。第三期になって、いろいろ拡大という御意見がたくさん出ていますけれども、それよりは、現在の対象者の実施状況が問題だと、保険者としては思っております。ぜひ、永井委員のほうの検討会だと思いますけれども、特に、保健指導、階層化を少し御検討いただければと要望させていただきたいと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。受診率そのものですかね、そういうものの推進。

 それについては、保険局の、関する検討会のほうでも、インセンティブですか、あるいは共通した課題、目標という概念を立てて、全保険者が目指すべき指標ですか、そういうものを今、まとめつつあるというところは、白川委員もご存じと思いますけれども、進めておりますので、そういうところも1つは、こちらの在り方検討のほうにもご検討いただいたりして、今、白川委員が言っていただいたことは、根本的な非常に大事なことだと思います。ありがとうございます。

 どうでしょうか、伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 受診率を上げるべきという話は、私も全く同感でして、今回、スクリーニングをどうかけるかということについて、技術的に検討されるということで、ぜひやっていただきたいのですけれども、私たち働いている側の立場からは、雇用労働者の4割が非正規雇用労働者という状況になっていて、被用者保険への適用拡大が進んでいくということで、より健保組合や協会けんぽさんに加入する人が増えていくとは思いますので、今後どういうように保険者で対応していただくかということがありますが、特に非正規の場合、なかなか休んでまで保健指導を受けるというのが想像しがたい現実があります。

 そういうふうに考えますと、この非正規化ということと、健診と保健指導の実施率を上げることの関係が、非常に悩ましいのだろうと思います。我々としては絶対、そこで格差を生じさせてはいけないと思っていますから、そこを含めての検討を、これは、多分保険者の方の検討会かと思いますけれども、やっていきたいと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 では、磯委員。

○磯委員 受診率に関してですが、これは、永井委員の班研究でも、保健指導の継続という意味で、健診の継続受診率の向上・維持は非常に重要なのですが、一方で、例えば3年に1回でも受けるといった、単年度制ではなくて、複数年度で累積していくという考え方も大事です。データヘルス計画の推進の中でデータが蓄積してきますと、累積受診率の算出もできますし、例えば、3年間受診しなかった人に対して、積極的に受診勧奨するといった方策も容易になるかと思います。

○多田羅座長 3年間でいいとか、そういうエビデンスはどうなのですか。

○磯委員 それは、まだないと思います。

○多田羅座長 それを磯委員あたりが、明確に言っていただくと、こちらの制度側としては、白川委員などは、一番喜ばれるのではないかと思います。

○磯委員 例えば、我々の循環器健診受診者の分析で、過去5年間にほぼ毎年受けている、数回受けている、そして、1度しか受けていない群を比較しますと、やはり、段階的に脳卒中の発症リスクが高くなりますので、観察研究の結果ですが、重要なエビデンスの一つになると思います。

○多田羅座長 それで、どうなのですか、何年に一遍というのは、取り組んでいただけるのですか。

○磯委員 データとして出すことは可能です。

○多田羅座長 だけれども、やはり段階的なのでしょう。

○磯委員 毎年受けるのに越したことはありませんが、それでも、数年に1回受けた人のほうが全く受けない人よりもリスクが下がるのであれば、数年間未受診の人に対して集中的に受診勧奨することが大事かと思います。

○多田羅座長 なるほど、そういう段階的なデータも出していくということですね。ありがとうございます。

 白川委員、いかがですか、それでよろしいですか。

○白川委員 多田羅座長のおっしゃるとおりだと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。座長がいろいろ言って済みません。

 もう時間がまいりました。まだ、ご意見をいただいていない委員もありますが、福田委員、どうぞ。まとめ的な意見を一つお願いします。

○福田委員 済みません、私は、専門が限られているのであれなのですが、福田でございます。

 先ほど、白川委員からありましたけれども、健診をするにしても、保健指導にしても、どうしてもお金がかかることになりますので、これは、参考人の資料にもありましたけれども、やはり、費用とか、費用対効果のことを考えるべきだと思います。

 そのときに、ちょっと1点確認をさせていただきたいのは、あるべき姿というのを、まず、健康局のほうの検討会で議論をするということなのですが、そこにも、やはり費用対効果的なものも含めて、一応、あるべきものを議論するという理解でよろしいでしょうか。そうでないと、あるべきというと、とにかくどんなにお金をかけても、しかも、減らせばいいということになると、何でもやったほうがいいになってしまいますので、やはり、可能な限りで、費用対効果についてもエビデンスを収集して。

○多田羅座長 それは、福田委員の専門ですね。

○福田委員 はい、一応、そのために呼んでいただいていると思っていますので、頑張ってやりたいと思います。

○多田羅座長 よろしくお願いします。ありがとうございます。

 ほぼ予定の時間になりました、最後に、永井委員、辻参考人、一言ずつ、何かコメントを残していただけますか。

○永井委員 いろいろ御意見をありがとうございました。もうほとんど意見は尽くされたと思います。よいおまとめだったと思います。やはり、あるべきという話と、解決すべき問題、これは費用対効果も当然入るわけです。学術的に、何が事実かというところへ行くと、コストがかかります。やはり、課題として、費用対効果を踏まえた上で、あるいはコストをかけないためにはどうするかとか、本当に意味のある健診とは何かの議論が重要です。

 例えば、毎年必要か、項目によっては何年かに1回でもよいのではないかなど、かなりきめ細かい議論を、これからしてまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 辻参考人、いかがですか。

○辻参考人 本日、特にライフコースに応じた健診の在り方ということで、幼児健診における教育の問題でありますとか、20代、30代に対するアプローチの問題、それから、65歳以上、75歳以上になるにつれて、肥満対策から低栄養へと変わっていく、その辺のところについて、かなり御指導をいただきましたので、そういったことも含めまして、私どもの健康診査等専門委員会のほうで議論をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 それでは、よろしいでしょうか。シナリオでは、一応、50分ぐらいまでに終わってほしいという希望にはなっております。ほぼ、予定どおりご意見をいただけたと思います。

 本日、まだご意見を言い足りていない委員には、まことに申しわけございません。もし、何かございましたら、事務局のほうに、いつでも御意見をいただければと思います。

 それでは、本日の合同検討会、事務局、以上で終わりにしてもよろしいですか。

○健康課長 はい。

○多田羅座長 では、どうもありがとうございました。ご協力、感謝申し上げます。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 保険者による健診・保健指導等に関する検討会> 第17回保険者による健診・保健指導等に関する検討会(2016年1月8日)

ページの先頭へ戻る