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2015年9月8日 第43回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録

職業安定局雇用開発部建設・港湾対策室

○日時

平成27年9月8日(火)9:30~12:00


○場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

公益代表

鎌田座長、柴田委員、大橋委員

労働者代表

時枝委員、曾根崎委員、勝野委員、小倉委員

使用者代表

土屋委員、大木委員、福田委員、鈴木委員

参考人

日本建設業連合会 山本常務理事、建設産業専門団体連合会 才賀会長、全国建設業協会 中村業務執行理事

事務局

広畑雇用開発部長、谷建設・港湾対策室長、富永建設・港湾対策室長補佐、佐藤建設・港湾対策室長補佐

○議題

(1)建設業の現状と課題について
(2)建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定による実施計画の変更等について(非公開)
(3)その他

○議事

○富永補佐 ただいまから、第43回「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会」を開催いたします。

 まず、配付資料の確認をお願いいたします。資料1~4、資料4-1~4-3、参考資料となっております。

 お手元にもし足りない資料がございましたら、お申し出いただければと思います。

 続いて、本日の委員の皆様の出欠状況を報告させていただきます。本日は、皆様御出席の返事をいただいておりますが、大橋委員が遅れて御参加です。

 それでは、以後の進行は座長からお願いいたします。

○鎌田座長 それでは、議事に入ります。議事次第にありますとおり議題は2つでございます。

 1つ目の議題は「建設業の現状と課題について」として、本日ヒアリングを行います。

 2つ目の議題は「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定による実施計画の変更等について」であります。

 なお、2つ目の議題については、その審査につき個別事業主の資産の状況等に関する事項を扱うこととなりますので、審議会等会合の公開に関する方針の審議会等会合の公開に関する考え方のうち、個人に関する情報を保護する必要がある及び公開することにより特定の者に不当な利益を与えまたは不利益を及ぼすおそれがある場合に該当するため、非公開の取り扱いとさせていただきます。

 それでは、1つ目の議題ですが、前回は建設業の現状と今後の見通しについて、建設経済研究所と国土交通省から御説明いただきましたが、今回は建設業の現状と課題について、業界団体側からお三方にお話を伺うことになっております。

 最初に、一般社団法人全国建設業協会の中村理事から、次に、一般社団法人日本建設業連合会の山本常務理事から、最後に一般社団法人建設産業専門団体連合会の才賀会長からお話をお伺いいたします。

 それでは、初めに中村理事、よろしくお願いいたします。

○中村理事 全建の中村と申します。平素より建設労働全般にわたりましてお世話になっております。感謝を申し上げる次第でございます。

 座らせていただいて説明を申し上げます。

 本日は、建設業の現状と今後の見通しをテーマに御意見をいただきたいということですので、約20分にわたりまして、全建の取り組みについてお話をさせていただきます。

 まず、建設業の現状についてでございますが、国交省と建設経済研究所から既にお話があったと聞いておりますので、魅力ある職場づくり、若年労働者の入職促進、女性と活躍の場の拡大などにつきましてお話をさせていただきます。

 まず、全建とはどういうところだということがとても大事だと思いますので、簡単に申し上げますと、全建は地方の元請企業、いわゆる地方ゼネコンの集まりでございます。全建の会員企業は47県、全国組織でございまして、企業数で見ますと約1万9,500社が下にぶら下がっているということです。

 1社平均当たりの雇用者数なのですが、これは単純に割り戻すと大体35人程度でございます。35人の内訳なのですが、技術者が大体60%、経理とか総務とかいわゆる事務職の方が大体25%程度、残りの15%が技能労働者でございます。簡単に言えば、技能労働者は少ないということでございます。

 これを前提に、全建の取り組みを2点説明いたします。資料1「将来の地域建設産業の担い手確保・育成のための行動指針」という資料をご覧いただければと思います。この行動指針は昨年の6月ごろだったと思いますが、第7回の建設産業活性化会議におきまして中間取りまとめがなされ、官民が向かうべき方向性が示されましたので、全建としても行動計画の作成に着手をして、中長期的視点の総合的な人材確保・育成に向けて作成したというものでございます。これが行動指針でございます。

 まず「はじめに」について説明しますが、昨今の建設業を取り巻く環境、我々の使命、建設産業活性化会議で人材確保・育成対策が取りまとまりましたので、これに呼応して全建として行動指針を作成することとなった経緯等を記載してございます。

 次に、指針の柱でございますが、4本の柱から構成しています。1つ目が1ページの「1 処遇の改善」、2つ目の柱が2ページの「2 将来の担い手づくり」、3つ目が3ページの「3 多様な人材の活躍」、4つ目の柱が「戦略的広報の展開」で、この4本の柱から構成しています。

 「1 処遇の改善」でございますが、建設労働者の処遇の改善を図ることがまずもって重要ですので、適切な賃金水準の確保に努めるとともに、下請企業に対しても適切な水準の賃金を払うよう要請・指導する旨を記載しております。

 また、社会保険の加入促進については、平成24年に策定した全建版の社会保険加入促進計画に基づいて、下請選定時に、元請による加入状況の確認・指導を徹底するということでございます。民間建築工事においても加入状況の確認に努める旨を記載しております。

 標準見積書の活用につきましては、国交省の下請指導ガイドラインに沿って、確実に法定福利費が技能労働者に行き渡るよう、提出指導の徹底や加入をさせているかを確認することとしております。

 労働環境の改善については、現場の安全衛生管理が重要ですので、安全衛生教育の徹底に努め、労働災害を防止すること。工事関係書類の簡素化等については、発注者と連携しつつ取り組むということでございます。

 週休2日制については、適正な工期の設定や、現場での工程管理の徹底により実現を目指すこと。また、賃金等の処遇改善のためには、適正な利潤の確保が必要なため、行き過ぎた重層化やダンピング受注は行わず、技能労働者の賃金水準を確保できる請負契約の締結に努める旨を記載しております。

 次に「2 将来の担い手づくり」で、まずもって担い手の確保が重要ですので、教育関係者との意見交換会、インターンシップ、職場見学会の開催等を通じまして、建設業への理解を高める活動を展開することとしておるというよりは、現在、展開をしている状況でございます。

 また、担い手の育成に当たっては、地域ネットワークを構築する建設産業担い手確保・育成コンソーシアムを通じまして、富士教育訓練センターの充実や三田にあります三田建設技能研修センター、広島建設アカデミー等の人材育成を進めることとしております。

 一方、国などの育成策等も積極的に活用する視点、具体的に申し上げますと、建設業退職金共済制度の加入促進について記載をしております。

 次に「3 多様な人材の活躍」では、変動する社会に対応するために、多様な人材の活躍ができる職場の実現が重要として、女性、若年者、高齢者、外国人について取り上げてございます。女性については、別途この後説明したいと思います。

 次の「4 戦略的広報の展開」は、専門紙・一般紙等のマスコミ媒体、動画投稿サイトなどの各種ツールやイベントを通じて、災害対応や社会貢献活動などの必要性や重要性を広く一般に伝えること。職場見学会、インターンシップはもとより、小・中学生のレベルや父兄とのコラボレーション活動など、より魅力的な建設産業を目指す取り組みを図ると結んでおります。

 私の記憶が誤りだったら申しわけないのですが、去年の11月ぐらいに総務省の労働力調査、いわゆる年バージョンが出されていまして、それを見ますと、技能労働者の数が少し増加傾向になってきている統計が出ているということで、若干明るい兆しが見られるのかなと思っております。この好循環の兆しを確実なものにするためにも、この指針の取り組みを周知して進めてまいりたいと考えております。

 これが資料1の関係でございます。

 資料ナンバーを振っていないのですが、このように派手なものが1冊入っているかと思います。この件について説明をいたします。タイトルは「建設業における女性の活躍の場の拡大へのロードマップ」でございます。

 開いていただくと、ページがないのですが、まず1ページ目に「~建設業に働く女性の倍増を目指して~」として副題をつけておりますが、昨年の8月22日に太田国土交通大臣と建設業5団体の間で、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」が策定されたということで、この会議には全建代表として近藤会長が出席されてございます。

 策定された行動計画では、官民で目指す目標を女性技術者、技能労働者を5年以内に倍増とされておりまして、そのためには1点目が建設業に入職する女性を増やす。当たり前ですが入る人を増やす。2点目が入った後なのですが、働き続けられる女性の職場環境をつくる。3点目が、女性がさらに活躍してスキルアップできる環境を整える。4点目は、建設業での女性の活躍を社会に発信する。この4本立てでやるのだということで発信されました。

 一方、全建なのですが、女性の活躍の場の拡大につきましては、2年前の平成25年度から全建の重点事項として取り組みを進めてまいりました。全建内に労働委員会があるのですが、全国に点在していますので、労働委員会だけではなかなか委員が集まりにくいということもありましたので、その下にワーキングチームを設置して、さらに10月にブロック会議がありますので、ブロック会議でも御意見をいただきまして、会員に対する調査のデータも収集して、このロードマップを作成したということでございます。

 検討準備の過程の中で実施した、昨年9月の全建の傘下会員企業への在職調査をご覧いただきたいのですが、9ページに載ってございます。これは全建会員企業にかかわらず、うちの業界全てが同じ状況かと思うのですが、技術者、技能者の数は少数にとどまっている状況でございます。また比較的数の多い事務職においても、管理職登用の課題があるということでございます。これは建設業以外のサービス業、製造業等でも同じ状況なのではないかと考えています。

 女性の少ない現状を改善して、建設現場で女性が積極的に参加して生き生きと働くために、もっと女性が活躍できる建設業を実現するための道筋を示すということで、その狙いとしてこのロードマップを作成したということでございます。

 2ページ目は「建設業における女性の活躍の場の拡大へのロードマップ」ということで、円マークが4つございます。まさにこれをつくりたかったということでございます。

 この円マークの解説なのですが、3ページ目に「建設業における女性の活躍の場の拡大へのロードマップ解説」とございます。この4本の柱ですが、先ほど触れましたが国土交通大臣と建設業5団体との会合で策定されました行動計画の柱立てと同じくしてあります。

 ゴシック体で書きました左上の「1 建設業に入職する女性を増やす」をご覧いただきたいのですが、建設業に入職する女性を増やすためには、まずもって女性の入職を促進することが重要。そのためには学校関係者との関係を密にして、積極的に採用活動を進めること。各地で実施しているインターンシップ、出前講座、女性の交流会を継続的に進めること。専門工事業者にも協力を求め、下請企業などの採用活動を支援するということ。また、一旦退職した女性にも職場復帰を促す方策が有効としております。

 それから、企業現場の意識改革が重要ですので、トップの明確な方針と建設現場の意識改革を記載してございます。

 次に「2 働きつづけられる職場環境を作る」でございます。一旦入職した女性が働き続けられる職場環境をつくる方策を書いておりまして、まずは労働環境の整備として、女性用トイレ、更衣室等の整備、セクハラ防止の相談窓口の設置などを記載してございます。男性職員の積極的な育児・家事・介護への促進、有給休暇の取得の増加への取り組み、企業を越えた働く女性のネットワークの形成なども女性の職場環境の構築には有効でございます。

 仕事と家庭の両立を図る職場環境構築としては、育児休業制度の利用、休業後の職場復帰が大事なのです。休業後に現場復帰するのは非常に大事です。

 「ノー残業日」みたいな取り組みを進められたらということで盛り込んでおります。

 次に「3 女性がさらに活躍しスキルアップできる環境を整える」でございます。せっかく入職したからには、女性にはスキルアップできる環境を整えることが重要でございます。そのためには、建設関係の資格取得の支援、富士教育訓練センター、三田建設技能研修センターの充実等、女性の人材育成の取り組みを進めるとしております。

 また、意欲・充実感の涵養として、女性の意欲を引き出すために、責任あるポジションへの女性登用を進めること、企業表彰や女性の表彰なども有効な方策としております。

 次に「4 建設業での女性の活躍を広く社会に発信する」でございます。建設業に働く女性の活躍などを広く伝えることが重要ですので、建設業で働く女性の座談会とかシンポジウムの開催などの広報を進めていくこと、女性技術者等による交流の輪のネットワーク化の促進について記述をしております。

 これらがロードマップの解説でございます。今、私が説明した内容を4つの円で表現しているのが2ページでございます。つまりこの円は「1 建設業に入職する女性を増やす」から始まって右回りに回転していくことで、小さくて見にくくて申しわけないのですが、1から4と取り組みを進めて、また1に戻り、2、3、4とサイクルする表現としてございます。つまり、4つの円はサイクルで時計回りに回転して上昇しながら、女性の活躍の場の拡大につながる道筋、ロードマップがこの表でございます。

 次に、せっかくですので6ページ目「国及び全建の動き」で、これは時系列にあらわしたものです。このような関係で、ずっと全建は国の動向にも協力しながら動いていますという表でございます。

 先ほどの9ページ目は「女性職員の在職状況」の調査結果で、去年の9月ごろにやったものでございます。回答ぶりが47分の38の協会でございます。回答が7,081ですので、回収率が36%でございます。これを見ますと、全体に占める事務職を含む女性の割合が左上の表でございますが、12.4%でございます。

 次の10ページで、最近1年間の女性の採用状況が真ん中のピンクのところなのですが、これを見ますと14.3%でございます。つまり、12.4%の女性の割合なのですが、この1年間の採用状況を見ると14.3%で、2%ぐらいは採用が増えているということでございます。このようなことがわかるということでございます。

 次に12ページ目は、各都道府県建設業協会の取り組み状況でございます。ごく一部でございます。左側を見ますと栃木、兵庫の例が載っていますが、【インターンシップ事業・出前講座】を展開しているということです。右に行きますと【意見交換会の開催】とありますが、石川県建設業協会で官公庁勤務の女性技術者と民間企業の女性技術者との意見交換会をやっています。それから、将来の担い手となる高校生との意見交換会も開催していますということです。

 特に下の新潟の建設業協会ですと、「女性部会」をつくって活動しています。特に、小学生向けの体験学習会なども実施しているということでございます。部会長は女性でございます。

13ページは大阪、岩手、福井、また大阪の例が載っていますが、高校生を対象にさまざまな職業体験等を通じて若者の育成などを支援しているとか、親子現場見学会や女性を集めた現場見学会を実施している例が載っています。

14ページは群馬の協会さんですが、左上で女性職員による現場点検【環境すみずみパトロール隊】を結成しています。その下は石川で、「エフエム石川」がFMを活用して、「けんせつこまちドキッ!」を放送ということで魅力を紹介している。右は島根の例ですが、関係団体と協力して「しまね建設産業イメージアップ女子会」を結成していることで、カレンダー等を作成して配布しているということです。

15ページは【懇談会の開催】で、愛知の協会、下は富山の協会。建設業で働く既に入った女性技術者の方による座談会を開催しています。右ですと山口の例ですが、一般紙、機関誌で現場で活躍する女性を紹介してございます。

 ということで、非常に危機感を感じて女性に何とか入ってきてもらおうということで、今、活動中でございます。これにつきましては、先ほど時計回りと言ったのですが、1万9,500社もありますと、時計回りが正解なのかどうか非常に難しいところがございます。うちは4からやるのだとか、1と4を一緒にやるのだとか、いろいろな協会がございますし、いろいろな会員企業がございます。どんなやり方でも私はいいと思いますということで、今、しっかりやっているということでございます。

 いずれにしても、たまたま女性の方で話が長くなりましたが、若年労働者の活用も大変重要でございますので、これは全国建設業協会だけの問題ではございません。建設業界全体の問題だと私は思っていまして、力を合わせて若年労働者に入ってきてもらうということと、女性の活躍できる場を拡大する旨を努めていきたいと思います。

 以上でございます。

○鎌田座長 どうもありがとうございます。

 それでは、ただいま御説明がありました内容につきまして、御質問等がございましたら、発言をお願いいたします。10分程度の時間をとりたいと思います。なお、中村理事は質疑終了後退席される御予定でございます。

 どなたからでも結構ですが、どうぞお願いいたします。

 どうぞ。

○小倉委員 全建さんで入職に向けたさまざまな取り組みをされていることは以前から承知をしておりまして、私どもの団体でも非常に参考にしながら展開をさせていただいているところでございます。

 とりわけ今後、女性入職者をふやしていくということで、今回、いただいた資料の中でさまざまな取り組みをされておりますが、例えばインターンシップですとか現場見学会を開催することによって、実際に全建さんの会員企業の中で女性の入職者が増えてきたというデータがもしあるのであれば教えていただきたいと思っているのです。

○中村理事 増えてきたというのをどの時点で見るかは非常に難しいのです。組合の方が詳しいかもしれませんが、どうしても女性に限らず3年ぐらいたちますと、48%ぐらいでしたかがやめてしまうということですので、何人入ったのだということをまず押さえたいと思うのです。そうしますと、継続しておられる方の割合もわかるということで考えております。もうちょっと時間をいただければと思います。

 それから、先ほどデータをお示ししましたが、まさに今、第2弾をやろうとしています。つまり1年たったらどうなのだという部分です。その辺のデータを今、地方協会から上げてもらっているところでして、それが上がると1年後の姿が出ますので、その辺からも若干見えるのかなと思います。

 後、トイレの問題とか更衣室の問題とか、去年はそういう質問をしなかったのです。今年、新たにそういう質問も加えましたので、今年の統計ができ上がると、その辺も新たな部分で見えてくるのかなと思います。

○鎌田座長 よろしいですか。

 どうぞ。

○柴田委員 素朴な疑問でいいですか。そもそも人手不足以外の理由で、女性を活用するメリットはどのように捉えておられるのですか。

○中村理事 統計ではとっていないのですが、さまざまな会議でうちの協会の有識者の方にお聞きしますと、職場が明るくなったとまず言います。私は男であるものですから、女性の方が困っていると手助けしたいという本能がきっと男にはあると思うのです。女性の方がパワーに欠けますので、困ったときはみんなで手伝ってやるということで、非常に仲間意識が強くなって助かるということを聞いています。

○柴田委員 例えばトイレも何もかもきれいに整備しなければいけないこととか、費用対効果で考えたときに、女性を活用する積極的な理由が仲間意識が高まるとか優しい気持ちになるとか明るくなるというだけの効果で、それが物すごく大きな要素になるのかなというのが若干疑問です。要するに体力勝負のところに女性を活用する必要もないと思ったり、一方で、私は時々「幸せ!ボンビーガール」というテレビを見ているのですけれども、森英恵の孫が100円ショップのいろいろなものを使って、すごく上手にちょっとした家具のようなものをつくったりするのです。

 だから、例えば物すごくいい機械が入ったから力を使わなくても器用さとか、女性の持つ特質や能力が建設業でもの凄く活かされるのだという感じがないと、何となく何でも女性活用、老人活用というブームに乗っているだけだと、本人たちのインセンティブにつながりにくいという疑問が湧いたのです。

○中村理事 おっしゃるのがまず前提だと思います。後、今、政府、特に内閣府で、活用という言葉自体が失礼なのですが、女性活用という委員会がたくさんあるのです。それで、建設業以外のマスコミの方とか製造業の方とかといろいろ議論をするのですが、完全に女性をシャットアウトしている業界も中にはあるのです。後、100人の会社でうち95人が女性だとかです。

 うちの業界が全く違うのは、来てと言うのに来てくれない。そこが一番違うのです。来てということで来てもらうために何をするのかがすごく重要だと思うのです。

 これはどこのデータか忘れましたけれども、厚労省のデータかもしれませんが、生産年齢人口が後30年もたつと1億1,000万~8,000万ぐらいになるのですね。そうすると、今でもなかなか来てもらえないのに、1人に対して建設業だけではなくいろいろなところから来てという声が高まる。そんな中でほかの産業に負けずに建設業が引っ張ってくるのはとても重要ですので、まさしく委員がおっしゃるとおりその辺がとても大事なのですが、まずできるところからということで今、やっているところです。

 それと、女性を孤立させてしまうとだめなのです。つまり女性のネットワークということも先ほどありましたが、男でしたらお酒を飲んだりして終わった後仲よくなるチャンスがあるのですが、女の人はなかなかそうはいかないということで、例えばちょっと早く帰って、そのかわり女の人だけで、特に自分の会社の女の人だけではなくてほかの会社も入れて、いろいろ話せる環境というか、愚痴を言える環境が構築できたらいいと思います。

 でも、建設業は正直なかなか難しいです。

○柴田委員 私しか気がつかないことがあるのだとか、私ができることがあるのだという女性特有のものが、例えばリフォームなどのときに、インテリアデザイナーなどだと女性らしさみたいなものができたり、設計などもそうだと思うのですけれども、壁の厚さをちょっとだけへこませておいて調味料を入れられる棚をつくってくれるとか。そんなものは今は普通になっているかもしれませんが、思いつきみたいな、本当に2センチのすき間とか1センチの幅がほしいとか、そういう生活の中で出てくるようなものとか、そこにちょっとした丁寧さを大工さんでも入れられるとか。何かそういう仕事の喜びが本人たちに感じられることがすごく重要だと思ったのでお聞きしたのです。

○中村理事 14ページの左上のブルーの帯のところで、【環境すみずみパトロール隊】を群馬でやっていますと御紹介しました。これはいわゆる女性目線なのです。

 これはまだ群馬だけしかやっていないのですが、女性目線は建設業でとても大事だと思いますので、まだこれは4~5人なのですが、こんなことを進めていくことによって、今まで男子の目では見えない部分、常識的に見える部分が実は常識でないのだということが見えてくるのかなと思っています。

○柴田委員 どうもありがとうございました。

○鎌田座長 そのほかはございますか。

 では、私から一つ。女性の入職希望者は、いただいた資料を見ますと、土木建築系の女子高校生を主なターゲットにさまざまな宣伝活動をおやりになっているのかが一つです。

 だとすれば、土木建築系の女子高校生の経年変化といいますか、増えているのか減っているのかといったところをもし御存知であれば教えていただきたいと思います。

○中村理事 先ほど若干それについて触れたのですが、昨年12.4%だったのです。細かく見ていただくと9ページの左の円マークなのですが、女性という枠組みで見ると12.4%なのです。その右の技術者という部分で見ますと3.5%です。100人のうち3人しかいないということです。これはあくまでも全建だけの企業ですので、ここは要注意なのですが、全建の会員企業は左側の下の技能者を見ますと2.4%しかいないのです。

 下の右の事務職を見ますと41.5%ですので、全建会員企業は大体女性は事務職に多いということでございます。同じような統計を集計中ですので、その答えが出ると、1年後にどうなったかが若干見えるかなと思います。

○鎌田座長 同じことの繰り返しになってしまいますが、要するに入職希望者として土木建築系の高校生の女性が主に取り組みの対象ということで、それ以外の事務職が多いということなので、事務職といったら必ずしも土木建築系でないのが多いのだろうと思います。そうすると、前の取り組み状況を見ると土木建築系の高校生にかなり丁寧な取り組みをされているので、そこをターゲットにされているのかと。

○中村理事 基本はそうなのですが、最近、大学進学率が2030年前と比べると上がってきていますね。そんなところで、工業高校に限らず、例えば商業科とかそういうところで、高校時代建設業について何もわからなくても、一生懸命やるのだという人間であれば商業科でも普通科でもとるということで、若干今、変わってきています。

○鎌田座長 わかりました。どうもありがとうございます。

 それでは、よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。

(中村理事、退室、山本理事、着席)

○鎌田座長 それでは、引き続き、山本理事に御説明をお願いいたします。

○山本理事 日本建設業連合会の山本でございます。本日はお招きいただきましてありがとうございます。

 座って御説明をさせていただきます。

 私どもの日本建設業連合会につきましては、皆さんはよく御存知だと思いますので、時間もありませんので省略させていただいて、本日はお配りしております「建設業の長期ビジョン」につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。

 私どもがこのビジョンをつくりました背景は、一言で言いますと、建設業界を取り巻く潮目が変わったことを我々は感じたということでございます。それはどういうことかと言いますと、皆さんはもう御存知かと思いますが、この資料の2ページの上のグラフを見ていただきますと、棒グラフが建設投資の額でございまして、1996年ごろまで80兆を超えるぐらいの規模があったのですけれども、そこから15年にわたるデフレが続きまして、簡単に言いますと半分になったということでございます。

 そういうデフレの中から、2010年を底としまして緩やかなインフレに変わってきたと思っておりまして、その中で何が起こったかと言いますと、やはり供給力といいますか労働力が非常にタイトになってきた。人手不足が言われるようになってきたということでございます。もう一つ起こっていることは、資料の1ページの下の我々がワニの口と呼んでおりますグラフの中で、非常に就業者の高齢化が進んでいるということでございます。

 私どもは非常にこれに対して危機感を持ちまして、今後の建設業界を考えたときに、国民の皆様に対して業界としてのメッセージを出す必要があると考えまして、昨年1年間かかりまして日建連の中でビジョンをつくりました。こういう本にいたしまして、今、販売もしておりまして、世の中に問うております。

 このビジョンの特徴は、日建連は大手ゼネコン140社の団体ですけれども、日建連としても初めてですが、大手ゼネコンの立場ではなくて業界全体のビジョンを出したというのが大きな特徴です。

 内部は2つに分かれておりまして、2050年というかなり先に向けて建設業のあるべき姿を示すというのが1部で、2部が2025年、今後10年間の建設業のあり方を示したものです。メッセージ性は1部の方が強いのですけれども、今日は時間がありませんので、1部は割愛しまして2部を御説明させていただきたいと思います。

 皆様のお手元の資料ですと7ページで、まず私どもがやりましたのは、今後の建設市場の見通しを出すこと。10年間にわたってどれぐらいの市場規模があるかを推計しました。これは建設経済研究所に頼みまして、内閣府のいろいろなデータをもとに行ったということでございまして、ケースAはアベノミクスが結構うまくいった場合、ケースBがそれほどでもなかった場合で、内閣府が示されているデータをもとに推計したものです。

 実質値で見ていただきたいのですけれども、2014年度が49.1兆としますと、今後10年にわたって大体横ばいか少し増えるぐらいの見通しを出しております。この見通しを我々は非常に慎重にやったと思っておりますので、多分実際はこれよりもよくなるのではないかと思っております。

 このデータをもとに次の8ページをご覧いただくと、第2章で「(1)新規入職者の確保」にブルーで囲った結論が書いてありますけれども、後で申し上げますが、結論として言っておりますのは、今後、100万人規模の大量離職時代が到来する。これを乗り切って世代交代を進めていかなければならないことから考えますと、2つ柱を立てておりまして、一つが入職者の目標でございます。「34歳以下(入職時)の若者を中心に90万人(うち女性20万人以上)」「生産性向上による省人化35万人」という2つの目標を立てまして、これから乗り切っていかなければならないという目標を出したところが今回、一番大きな特徴でございます。

 これをどのようにして出したかにつきましては、9ページから幾つか説明がしてありますが、みそは10ページをご覧いただきたいと思います。ここが余りよその団体はやっていないところでございまして、今後10年間の技能労働者の離職の見通しを出しまして、2014年度の60歳以上の方は10年後には全員離職するだろう。そして約79万人がいなくなる。50代の方は4割ぐらい離職するだろう。そうすると約29万人。その他1549歳の者は10%ぐらい離職するだろうということで、これを見ますと、2014年度にいる技能労働者でございますけれども、大体128万人ぐらい離職していくと見るべきだと思いまして、これを考えますと、今、343万人いる技能労働者は216万人に減っていく。先ほど予測した建設投資の規模を実行するために必要な技能労働者との差を計算すると、10ページに書いてありますようにケースに応じるのですけれども、77万~99万人ぐらいになるということで、思い切って数値目標としましては90万人。

 女性の20万人といいますのは、今、大体10万人弱の女性技能労働者がいらっしゃいますので、その3倍にしていきたいということで20万人以上を確保することを目標としました。

 このような目標を立てたところが、今回、非常に大きな特徴でございまして、これを実現していくために何をするかが11ページから書いてあるわけでございます。

 これは先ほど全建も言われましたけれども、国土交通省の建設産業活性化会議などで示されている方向と一致しておりますが、まず処遇改善が一番大きなテーマでございます。その中でもまず書いてありますのが賃金水準でございます。

 「他産業に負けない賃金水準」と書いてありますけれども、我々としましては目標を定めておりまして、20代で450万円、40代で600万円。これは全産業労働者の平均レベルで、今、大体これより100万円以上低いと思いますけれども、そこを目指していくのだと。そのために元請ゼネコンとして一番大事なことは、ダンピングをやめて適正な利潤を確保する。これを日建連として何度も申し合わせておりますけれども、これをしっかりやっていこうということを言っております。

 2番目は「社会保険加入促進」です。これは厚生労働省と国土交通省の強い指導がございまして、2年後には建設業界で働いている技能労働者は製造業並みの社会保険加入率にしようということが示されております。非常に厳しい目標で、言い出された数年前はそんなことができるかみたいな話だったのですけれども、やはりしっかりと取り組んでいかなければならないということで、日建連としても今年の1月に「社会保険加入促進要綱」を決定いたしまして、日建連で受けた仕事の現場では、技能労働者が社会保険に入っていないことはないようにしようという取り組みを始めております。これはおかげさまで着実に成果が上がってきていると、国土交通省からも聞いています。

 もう一つは退職金の問題です。建設現場で働く方は現場を転々としますので、退職金制度が非常につくりにくいのは御案内のとおりでございまして、そのために建設業退職金共済制度という仕組みがあるわけですけれども、この制度は公共事業ではほぼ活用されておりますが、民間工事ではまだまだということで、民間工事においてこの制度を推進していくことが一つ大きな問題。もう一つは、現在証紙を張りつけるという非常に時代おくれな方式でやっておりまして、ICT技術を使って改善していく必要があるという2つの問題が退職金制度にはあると思っております。

 それから、休日の問題です。これは特に若い人の入職を促進するためには、お金の問題も大きいのですけれども、休みの問題も非常に大きい。私どもの実態では、今、4週4休ぐらいです。日曜日がせいぜい休めるぐらいの感じで、土曜日の休みは月に1回あるかないかぐらいが実態でございまして、それを改善していく必要がある。

 ほかの業態との人の取り合いを考えますと、休日を拡大していかなければならない。工事工程と工事費との影響があるのですけれども、施主さんといいますか発注者の理解を求めつつ、4週8休を目指していくという大きな目標を立てています。

 今、国土交通省でも公共事業でこういうことができるように、モデル工事などを始めていただいております。これにつきましても、業界としてはなかなかできないという思い込みはあるのですが、そこを排して週休2日を進めていかなければならないと思っております。

 それから、いろいろな対策をやる上で一番の問題は、雇用の安定といいますか、社員にすることが一番のポイントで、御存知のように建設技能労働者は日給月給とか、日々雇用とか、日雇いとか、場合によっては雇いではなくて請負とか、いろいろな形で仕事をしておるわけでございますけれども、労働組合の方は十分御存知だと思いますが、近代化されていない部分がありまして、その制度が全ての原因の根本にあると思っておりまして、できるだけ直接常時雇用を増やしていく必要がある。

 そのためには専門工事業者の方が採用しなければいけないわけですけれども、元請としてもそういう専門工事業者の方が社員を常時雇用するために必要な支援をやっていく必要があるということで、我々もそこに踏み込んでいろいろな支援をしていこうと言っております。

 もう一つは、建設業界特有の重層下請構造。私どもは原則二次までと言っておるのですけれども、これは特に土木部門よりも建築部門で重層化が進んでおりまして、これをできるだけ中抜きを減らすという意味で、重層下請構造を改善していこうという目標を立てて取り組んでおります。

 それから、先ほど全建の方が詳しく説明されましたが、女性の活用につきましては、私どももアクションプランをつくって取り組んでおります。先ほどの柴田先生のお話に答えますと、私どもは女性が活躍できる職場は若い男性も働きやすい職場だというのがみんなのコンセンサスでして、建設業界は3Kと言われてなかなかイメージがよくない。みんなそう思うのだけれども、イメージをよくするためには、わかりやすく言うと女性が働きたくなる職場にすると。

 一つは職場環境の問題です。これはトイレ、洗面所、休憩室、非常に男の目線でしかつくられていないという問題もあります。若い男の子であっても余り働きたくない職場に近いという議論がありまして、若い男性に入ってもらうためには女性が働きやすくする。

 後は、この頃男の人も出産、育児に意識を持っていかなければいけません。朝から朝礼をやって、朝8時半とか8時頃から全員集まって朝礼をする。何でこんなことをしなければいけないのかは、女性が子育てをするためにはそういうことができません、行けませんという話が出てくるとわかりやすくなる。

 先ほど全建の方もおっしゃいましたけれども、そういうことからも建設現場の働き方を女性目線で見直していこうと。そうすることが建設現場のイメージであるとか働き方を変えていくことに大きくつながるのではないかと思いまして、私どもも国交省と業界団体と一緒になってやっています。

 その中で一つだけ「愛称『けんせつ小町』」とロゴマークだけ紹介させてもらいますけれども、実は建設業界の女性の愛称としては、自然発生的に「ドボジョ」がありまして、漫画とかテレビとかでも紹介されている。「ドボジョ」もいいのですけれども「ドボジョ」は御存知のように土木系女子のことでございまして、建設業界は建築分野も内装とか仕上げとか造園とか、女性がたくさん働いております。

 そういう女性が「ドボジョ」と言われるとピンと来ないということで、建設業で働く女性全体の愛称を考えようということで、日建連で公募をしまして「けんせつ小町」を選びました。

 また、このロゴマークも決めまして、日建連としましてはこれを使っていろいろとPRをやっている。これはヘルメットでございます。5つのヘルメットをマークにしましてやっております。

 後、「けんせつ小町委員会」という日建連の中に委員会をつくりまして、ここの委員会の中の部会の座長さんには、元厚生労働省の北井久美子先生が我々の会員企業の取締役になっておられましたので、その方についていただきまして、今、一生懸命具体的な取り組みをやっております。現場環境マニュアルをつくりましたし、それを現場でチェックするためのチェックリストとか、そういうものをつくって元請としてやれることに取り組んでいるという状況でございます。

 後一点だけ、13ページの人材の中で、外国人の問題について我々がどう考えているのかでございますが、外国人に関して言うと、今、技能実習生など実習生プラスアルファの制度ができておりますけれども、そういう仕組みがあるわけでございます。その制度はこれで大変ありがたいのですけれども、これはいずれも就労できる期間が限定されておりますので、私どもが一番問題としております技能労働者の世代交代の対象として考えることはできないと思っておりまして、外国人ではなく日本人の方を中心に建設技能労働者を確保していく必要があるということで、いろいろと取り組みを進めております。

 後、省人化の話もあるのですけれども、そこは若干省略させていただきます。時間もありますので、御質問がありましたら、お答えする形でよろしくお願いします。

○鎌田座長 どうもありがとうございます。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問があったら、よろしくお願いいたします。どうぞ自由に御発言ください。

 どうぞ。

○勝野委員 どうもお世話になっています。

 今回のビジョンの作成に当たっては、担い手の育成と申しましょうか、人に視点を当てたという点で非常に画期的と申しましょうか、私どもは非常にすばらしいビジョンをつくっていただいたと思っております。

 1年間かけて全会員企業さんで論議をされてきたということでありますけれども、そうした1年間の論議の過程で、今回かなり具体的な目標値でありますとか目標等も立てられているわけであります。そういうことに対して会員企業の論議の中で、そうではないよとか、結論はこういう形になったと思いますが、そこに至るまでの論議の中で特に特徴的な御論議がもしあれば、少しお聞かせ願えればと思います。

○山本理事 ありがとうございます。

 今の委員の御指摘は、私の方ですと、日建連は使用者側でございますので、使用者側が何でこんなに働く人のためのことを一生懸命考えるのかは大きな疑問ではあるかと思うのですけれども、それは元請が自分たちの足腰といいますか、業界は元請だけでは成り立っていなくて、働いている担い手の人で支えられていると。その危機感、危ない、高齢化していてこのままではもたないという危機感をみんなが共有できた。こうやって議論をやりまして、これから100万人以上減っていって、90万人ぐらい新規入職しないともたないという予測に対しては、我々も相当心配しましたけれども、ここに関しては会員企業からそれは大変だという話はほとんど出ませんでした。もっと厳しいのではないかという意見も多いぐらいでした。

 さらに取り組みにつきましては、数年前まで、非常に厳しいデフレのもとでは、ある意味自分たちも生き残らなければいけないので、そのしわ寄せを下に寄せていくのがこの業界の特徴でありましたけれども、15年のデフレの中で技能労働者の処遇も非常に悪くなりましたし、ゼネコンの社員そのものの処遇もよくなかったと思うのですが、それが2010年を底にして、大震災でありますとか、アベノミクスでありますとか、オリンピックの決定みたいなことを背景にして、建設投資額がやや上向いてきた。その中で一気に人手不足が出てきた時点でみんなが気がつく。本当に下部構造というのでしょうか、一番の担い手の人たちが高齢化していて、このままでは大変だと。

 その危機感の認識が十分できたと思っておりまして、今回、このビジョンをつくって具体的な対策、社会保険にしても賃金にしても休日にしても、いろいろ難しい問題がありますけれども、みんなで今は取り組んでいこうという機運は高まっていると思っています。

○鎌田座長 よろしいでしょうか。後はございませんか。

 どうぞ。

○柴田委員 すばらしい計画で、やっと重い腰を上げてくださったのだと思いますが、特に処遇改善の難しさは本当に大変だと思っていて、中で私が気になっていることは建退共なのです。ほかの中退共などに比べると、受給資格があるのに受給しないまま住所も不明になっている人がすごく多いと伺っているのです。

 これから離職される方がすごく増えていって、その方たちもひょっとしたら受給資格があるのにということで、ICT技術の導入で証書ではなくすると言っても喫緊にはできないと思いますし、そこは労働組合の方たちも、日雇いの人たちが傘下になっているのかどうかはわからないのですけれども、自分たちの傘下の本人たちが、受給資格があって幾らもらえるかをわかっていない人がすごく多いと思いますので、そこの情宣はどうされていくのかと思ったわけです。

○山本理事 先生のおっしゃるとおりでございまして、元請としては負担をしておるわけでございまして、そういう形で負担したものが退職金という形で働いた方にきっちり渡るのは、我々としても望むところでございまして、そのための仕組みづくりは我々の話ではないのですけれども、厚生労働省なりそういうところで、ぜひそういう方向になるようにやっていただきたいと我々も心から思っております。

○柴田委員 ありがとうございます。

○鎌田座長 どうぞ。

○曾根崎委員 けさのニュースでマイナンバーの話が出ていて、私はどうかと思うのですけれども、軽減税率をマイナンバーで返すといったものを使えないかというのは、1人に1個ですから、そういった検討も今後、これは国交省になるのかもしれませんが、していただければいいのではないかと思いました。

○鎌田座長 どうぞ。

○大橋委員 2点だけお伺いしたいのです。

 重層下請を改善するのだというのは、2018年7月までという期限も決めておっしゃられているのは非常に画期的だと思うのですけれども、これは多分業界だけではないですね。契約の仕方とか、そういうところから発注者も含めて抜本的に考え直すみたいな、要するに請負のあり方も含めておっしゃられているのか、あるいはもう少し小さい形でもこれは可能なのかということが1点。どんな具体的なステップを考えられているのかということ。

 2点目は、この文言自体は私は全く異論はないのですけれども、外国人の技能実習生に関して「世代交代の対象と考えることは不可」と書かれているのですが、一旦戻られて向こうで働いて、場合によると日本に来るということは制度上不可能なのかどうかというところだけ、制度というか実態をお願いします。

○山本理事 まず重層下請の問題ですけれども、これは元請というか発注者もかなり意識は持っておられると思うのです。まだ具体的に国土交通省から重層下請についてどうこうしようという議論は特には来ていないのですが、我々は元請でございますので、我々が受けた仕事のやり方でございますから、基本的には発注者に必要があれば御理解をいただくこともあるかもしれませんけれども、自分たちの問題だとまず思っています。

 日本は重層下請が七次とか八次とかいう実態もあるみたいな話がありまして、どうして重層下請が進むのか、今いろいろ分析をしておるのです。どちらかというと土木系の仕事は余り重層化が進んでいなくて、建築系の特に設備でありますとか、電気とかが絡む発注に重層化がかなり進むという議論があります。

 この辺は今、分析をしておりまして、必要なといいますか合理的な下請もある。しかし、労働者供給みたいな本当に横請というのでしょうか、さらに一枚かんでいるだけとか、業界の風習で代理店が入るとか、決まったところを使えとか、いろいろな形で重層化がどうも進んでいるようでございまして、その辺を分析しながら、合理的な下請とそうではない下請を整理しているところです。

 元請が自分で個別に下請に発注すればいいのをある業者に発注してそこからさらに下請に発注させているみたいなものもあるのです。それはある意味、元請の事務を簡素化するために行っているのです。それを全部元請が自分で分離発注、分割発注すれば一つ次数が減るのですけれども、ただそこにも元請として事務の問題もあって合理性がある。その辺を分析しながら合理的でない下請を減らしていこうという形で目標は原則二次までということで取り組んでおります。

 後、外国人の方が基本的には今までの実習制度は3年で帰るということだったのですけれども、お国へ一旦帰った方をまた呼び戻す仕組みもつくられておりますので、それも動き出しておりますが、それも戻ってきても、たしか5年だったか、やれる期間が限定されております。

○福田委員 その件は私がお話します。一応今までの制度は3年間技能実習生として日本に来るのですけれども、オリンピックまでの暫定処置として2年は延長できるということで5年になりました。オリンピックまでですが、一旦3年を経て帰られた人は1年間を経過していれば3年間来られるという制度に変わりました。

 それで、今年ぐらいから増えて来ていると思えばそうでもないのです。先般、新聞にも書いてありましたが、日本の賃金状況と、外国、例えば中国などと比べたときに、良い市場だと思われていません。日本国内の業者も来ても宿舎を用意しないといけないし、そういう技能を教える人もつかなければいけないので、お金がかかります。その辺でなかなかうまくマッチングしていないという状況だと思います。

○鎌田座長 よろしいでしょうか。

 それでは、山本理事、お忙しいところ本当にありがとうございました。これで御退席すると伺っております。

(山本理事、退室、才賀会長、着席)

○鎌田座長 それでは、引き続き才賀会長に御説明をお願いいたしたいと思います。

○才賀会長 建専連の才賀でございます。

 お久しぶりの先生方も大変多くおられるということで、ひとつ座って説明させていただきます。

 今、日建連さんと全建さんで建設業界のことはほとんど詳しくお話があったので、我々としてはそんなに言うほどのことはないと思っていますけれども、チャンスをいただきましたので、お手元に資料として1ページの紙を提出させていただいています。

 「建設業の魅力を発信、建設労働者の雇用改善に向けた取組について」で、先ほど日建連さんも言ったように128万人減りますと。技能、技術、いろいろなことで38万人ぐらいは補えるだろう、しかし90万人足りないです。この90万人をどうするかという問題だと思います。また、今度2020年のオリンピックまでに労働者が非常に必要だろうということで、我々も真剣に考えなければいけないと思っています。

 そんな中で、今、一番初めの○に、国が建設産業に期待しているものを明示してくださいと。いろいろなことを何となくずるずる言っているのではなくて、何年には何をやるということを発表していただく。発表していただいたことについて、各地区で労働者が知らないということができるのではないかと思います。

 こういう問題については、経済研究所、日建連さん等が発表していて、皆様は御存知だと思います。特に我々専門工事業者は、下に書いている「建設産業の特殊性」ということで「単品受注生産」「移動生産」「屋外生産」「総合産業」だということで、物が一つずつ全部違う。それから、移動産業であるものですから機械と労働力の能率化が非常に難しい。天気、台風等について工期その他がめちゃめちゃになってしまう。総合生産といっても先ほどお話があったように、土木はそうでもないのですけれども、建築の現場は80職種ぐらい入るのです。そうすると、前工程、後工程で一つ狂うと全部狂ってしまうことがあって大変だと思われています。また現実にそうでございます。

 このような産業構造において、労働者の雇用形態改善に向けた取り組みを行うことが必要ではないか。過去にもいろいろな取り組みが行われてきましたが、改善していない理由は何なのだろうと。専門工事業者とゼネコン、国、発注者がばらばらではないかと思います。

 具体的な取り組みとしては、就労履歴管理システムということで、数年前から話があって、第8次雇用改善計画においても、民間における雇用改善に向けた取り組みとして事例発表などもしておられますが、国土交通省においても、平成27年度技能技術者の処遇改善の取り組み、技能に見合った処遇が受けられる環境づくりとして、業界関係団体を挙げて取り組むと検討されております。これも一つ国交省だけでやるのではなく、厚労省も文科省も、全部の省庁で建設業を見直すということであるならば、取り組んでやっていただきたいと思っております。それには予算だとか組織体系だとかいろいろありますので、多くの省庁が取りかからないとできないのではないかと思います。

 「若年者の入職促進に向けた取組」で、第8次雇用改善計画において、公共労働能力開発施設等を地域の職業能力開発のために総合センターとして活用し、職業訓練指導員の派遣、施設使用の便宜、共同訓練の実施を促進するというのが、富士教育訓練センターとともに連携を図りながら、振興基金「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム」において、地域連携ネットワーク構築・アドバイザー建築等取り組みもされておりますが、言葉で言うと簡単に聞こえますけれども、やるとなると非常に大変なのです。

 それでなくても今、小学校、中学校、高等学校等の現場見学、職場体験、インターンシップ、実践的な技術研修などのキャリア教育、進路指導、職業指導に取り組んでいる企業支援をあわせてお願いしていきたいということで、この職場体験だとか現場見学においては、今、国交省さんにお願いしているのは、工期の中に職場体験する期間を設けてもらいたい。そうすればゼネコンさんが、学校がこういうことで見学したいということをわざわざ行かなくても、何月何日から1週間なら1週間は現場体験してくださいと、近隣の学校なりに連絡することでそういうものができる。

 また、学校等公共工事の建築においては、自分たちの入る学校の現場体験などをすれば、余計勉強になるのではないかと思います。

 それから、これに入っている中で、登録基幹技能者の現場配置義務化と処遇改善で、これは国交省さんと厚労省さんの問題だと思いますけれども、今、登録基幹技能者が出て7年たっているのです。5年目の書きかえに入っているのですけれども、何もメリットがないものですから、せっかく勉強して取ってもしようがないのではないかということで、せっかく今、5万人近くになりつつあるのに若干減りつつあるということで、もう少し前向きに考えていただきたいと思っております。

 「建設業務労働者就業機会確保事業」で、これは送出し・受入れの問題になろうかと思いますけれども、これができて送出し・受入れを第7次計画からやっていると思うのです。それで5団体ぐらいしかまだできていないので、何とか使い勝手がいい問題にならないのかなと思います。

 そんな中で今回の案件につきまして、我々は団体に緊急にアンケートを出したのですけれども、アンケートのお答えがうんと少なかったのです。その中に、他団体の意見として、仕事量の繁閑差が大きく平準化がなされないとか、作業員の労務単価が上がっていないとか、建設労働者確保育成助成金について、給料だとか工事費だとかをもう少し上げてほしいとか、都道府県によって申請書類が違うので統一してもらいたい。この助成金について、いろいろな助成金があるのですが、この県は紙1枚でいいけれども、こちらの県は紙を10枚出さなければだめだということがあって、書類的に非常に難しいという問題が出ていますので、なるべく統一してもらいたいと思います。

 また、ここには書いてございませんけれども、一昨日、全鉄筋さんから平成20年までに大都市の鉄筋屋が非常に少なくなるだろうということで、送出し・受入れを何とかやれるように考えるからテーマに載せていただきたいというお願いがございました。これは全鉄筋さんがいろいろ考えて、二次下請、三次下請も全部一次下請の中に入れて社会保険も入れることまで考えているらしいのですけれども、なかなか組合法でそこはできるのかということで、厚労省さんにも問題点があろうかと思いますので、できないと一言ではなく、前もって何となく考えていただければ幸いかと思っております。

 それから、高齢者による技能継承で、今、65歳以上70歳以下の人たちは現場で働けないことになっています。しかしこれだけ労働者が不足してきますと、若年者の教育等々については、この年代の労働者が技能技術の伝承を持っていますので、ぜひともこの人たちの教育ができる場をつくっていただきたい。それについての助成金もひとつお願いをしておきたいと思っております。

 労働条件で、第8次では「土日連続全休制」ということで、週休2日制も出ていますけれども、建専連と労働組合とが一緒にならなければ、この問題については現場ではオーケーが出ないのではないかと思いますので、ぜひとも建専連も交えて週休2日制を頑張っていきたいと思っております。

 先ほど問題が出ていました女性労働者の活用についてということで、昔と違って肉体労働が建築では少なくなってきたのです。機械化されて、非常に重いものでも簡単に持ち運びができる。簡単なボタン操作一つで上げたり下げたりできるということで、女性労働者でも仕事ができるということで、女性に目をかけているというのがあります。また、女性も、これは女だからできない、これはできるということで分け隔てをすること自体も嫌がって、できれば何でもやりたいという方が結構出ていますので、今、90万人も不足するということであるならば、その3分の1でも女性が入ってくれれば、なお結構かと思います。

 キャリア形成、他の助成金制度についてということで、申請書類は、類似する資料が多く、簡素化ができないか。また、退職勧奨を含めた企業へも緩和ができないかということで、社会保険をやめてもとか建退共をやめても、建退共などは会社で掛けているものですから、本人は全然知らない。うまくやめれば、掛けているからこれを持っていけと言うのですけれども、けんか別れしたりおまえは首だなどと言うと、会社の社長さんはそんなものは出さないので、ないと言われれば終わりですから、そういうことの問題点も、先ほど先生がおっしゃったように、マイナンバー等々で取り入れられないかと思います。

 また、過日も建退共に行ってお話をしてきたのですけれども、建退共が始まったころの建退共制度に入っている労働者は、どうにもこうにもならない人間か動物かというような労働者ばかり入っているものですから、名前も違えば住所も違うし何もない。そんなものを何十万人も何十億のお金をかけて調べても、理事長、だめですと。それはそれである程度で切って、新しく入る人に3年間プラスするから新規に入ってくれた人に使った方がいいのではないですかというお話はしたのですけれども、そのころの労働者の名前といったら、佐藤栄作だとか吉田茂だとか平気で書いていた。そのような労働者の名簿を幾ら調べても解らない。

 私が今、とび土工の会の会長もやっています。そのときに、どうにもこうにももたないので厚生年金基金をやめようかということで、2年前に手続をとりだしたのですけれども、今、厚生年金と年金基金の突き合わせをやっているのですが、2万人ぐらいいる中で、20年間でぴたっと合ったのは1社だけです。後は全部違う。いかに事務手続が悪いかというのを本当は痛切に感じているのです。それを一日も早くしないと、金ばかりかかってしようがないので、そんなこともあるし、これから国でやるマイナンバー制度ももう少し考えていただかないと、どうにもならないと思います。

 マイナンバー制もたしか第1次計画か第2次計画で、土木の現場の手帳をこの委員会でつくったと思うのです。ダムだとか護岸だとか山だとか、そういうときの労働者を労働手帳でナンバーと住所と名前とその辺を入れてつくったものがあったのですけれども、そのうちなくなってしまったというのがあるので、せっかく今度は第9次計画ですから、今までのものを一回振り返ってみて、これは余分なものだと思いますが、取り残しのないように一つずつ片づけていただければ幸いかと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

○鎌田座長 質問を幾つかお受けしたいと思いますが、どうぞ皆さん、御自由に発言をしてください。

 どうぞ。

○勝野委員 建専連さんの取り組み自身は、私どもの団体としても非常に身近な立場ということで、今日、いろいろ御指摘いただいた点についても、ほとんど同じような認識でいるところでございます。

 特に最後におっしゃられた建退共の適用の適正化については、現場の労働者にとっても非常に大切なところだと思っておりますので、これは国交省、厚労省を含めてぜひお願いをしたいと思っているのですが、その際、先ほどもございましたけれども、今、進められているマイナンバーとのリンクについては、私自身は非常に危険だと、危惧を持っております。

 現在、国交省が中心的に進めている就労履歴の関係で、フォーカスできるのではないかと私は思っておりますので、ぜひ建退共の関係で御論議いただけるものがあれば、そこで御論議いただきたいと思っております。

○才賀会長 マイナンバーだけではなくて就労履歴も早くできるなら、そちらで使えるならそちらの方がいいと思います。

○鎌田座長 ほかにございますか。

 どうぞ。

○福田委員 才賀会長には、女性活躍について前向きな御発言があったので本当にうれしく思いました。先ほど柴田先生が女性はか弱いものだという御発言があったので心配していました。

○柴田委員 か弱いとは言っていない。力仕事には向いていないと言っただけです。

○福田委員 私は女性技術者の担当としてずっとワーキングチームを立ち上げてやってきているのですが、回を重ねるごとに女性の能力はすばらしいのだなと、思っています。

 日本はどちらかというと欧米を追っていますね。そうすると、アメリカはクリントン大統領候補となるかもしれないし、ドイツはメルケルが首相になった。日本は今日断念したかもしれませんが、野田さん。いずれ女性が首相になっていくかもしれない。

 そんな中で人間の祖先、猿の話を聞きました。高崎山の猿は今、女性というか雌猿が大ボスなのだそうです。雄が近寄れないということになって、いずれ男性社会と言われている建設業も女性が支配していくときが来るかもしれないと思っているのです。

 だから、もう20万人をなんとかしなければいけない。女性を頼らないとやっていけない感じになってくるのではないかと思っていますので、優しい目で見ていただければと思います。

○柴田委員 活用してもらうのはうれしいのです。例えば、ただ下の人たちだけではなくて現場監督にもいてほしいし、あらゆる階層に女性がいた方がいいと思っているので、今はどちらかというと技能者とかにフォーカスされているような気がしたので、それも含めてです。

○福田委員 女性技術者も現場所長になってきました。増えて来ています。

○才賀会長 内装屋さんだとか左官屋さんとかは富士の学校へ女性が来て実習をやっています。聞いたら短大を出ているのだと、うちで商売をやっているのだけれども、事務はやりたくないので、現場の人と一緒にやりたいので見習いに来たという方もおられます。

○柴田委員 期待しています。

○才賀会長 先生もひとつ、富士の学校へ来ていただきたい。

○柴田委員 場違いなことばかり言っていると思います。いつも済みません。

○鎌田座長 ほかにございますか。よろしいですか。

 才賀会長、どうもありがとうございました。

(才賀会長、傍聴者、退室)

○鎌田座長 本日は主に使用者側からのヒアリングでございましたが、次回の委員会は労働組合からのヒアリングを予定しております。

 次々回の委員会においては、スケジュールでいくと学識者、教育関係機関等からのヒアリングとなっておりますが、ヒアリングの対象となる方について御推薦、御意見はこの場でありますでしょうか。

 今すぐは無理であれば、事務局にその旨の御推薦をいただいて、私と事務局で調整をしたいと思いますが、いかがでしょうか。今、あるのであれば言っていただいても結構ですが、そのような方式でよろしいですか。

 では、事務局にぜひ御推薦をお願いしたいと思います。調整につきましては、私に一任をさせていただくということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○鎌田座長 ありがとうございます。

 1つ目の議題については以上でございます。

 次は2つ目の議題でありますが、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条1項の規定による実施計画の変更等について」であります。こちらについては冒頭に申しましたように、非公開とさせていただきます。

(非公開)

○鎌田座長 

 本日予定されていました議題は以上ですが、事務局からほかに何かございますか。

○佐藤補佐 別紙で参考「今後の建設人材確保対策について(平成28年度)」と書いた資料をお配りしていると思いますが、ございますでしょうか。こちらの資料につきましては、平成28年度の建設人材確保対策に関する厚生労働省の概算要求の状況をまとめた資料でございます。

 平成28年度につきましても、引き続き国土交通省と連携しながら建設人材確保の取り組みを推進していきたいと考えております。厚生労働省の概算要求の状況として、主なものを御説明いたしますと、まず1の「➀建設労働者確保育成助成金による支援」でございますけれども、こちらは昨年度から約2億円増の534,000万円を要求しているところでございます。技能労働者のキャリアパスの最上位に位置づけられております登録基幹技能者の処遇改善ですとか、女性専用のトイレなど女性専用作業員施設の整備等に対する助成をメニューとして追加しております。

 それから「➁雇用管理制度導入に係るコンサルティング支援」といたしまして、今年度新規事業として実施しております事業でございますが、こちらは来年度も継続して実施するということで、4億3,000万円を計上しているところでございます。

 それから、2の「➀建設人材確保プロジェクトの推進」で、建設労働者が不足している地域の主要なハローワークにおきまして、建設関係職種の未充足求人へのフォローアップの徹底等の取り組みを現在行っているところでございますが、来年度につきましては、建設業の魅力を伝え、建設業への就職を検討するような契機となるよう、取り組みの充実といたしまして、職場見学会を実施するところでございまして、1億7,000万円を計上しているところでございます。

 それから「3 職業訓練の充実等」の「➁中小建設事業主等への支援」といたしまして、今年度から5年間の期限で実施しております建設労働者緊急育成事業の実施に9億2,000万円を計上しているところでございます。

 主なものは以上でございますが、年末の政府予算案の決定に向けまして、予算の確保につきまして努力してまいりたいと考えております。

 以上、概算要求の状況について報告させていただきました。

○鎌田座長 質問してもいいのですね。だめですか。

 せっかくの機会ですので、何かこの点につきまして、御質問等がありましたら、どうぞ。

○曾根崎委員 先ほどから女性の活躍というか活用というか、活用という言葉は好きではないのですが、活躍という話が出ていまして、ここの事業の中にもそういった視点で、よく言われるのが、経営者の方はわかっている、下の方もわかっている、間の粘土層というらしいのですが、ここの方たちの意識を変えてもらわないと、なかなか現場であれ女性が働くことについて理解をし、活用し、能力を発揮してもらうといったところを、評価とか処遇とかも含めて平等にというか、均等にというか、きちんとそういうことができるようなことを教えてあげないと、どうしても今、一般のあれでも男女の、例えば賃金格差があるだとか処遇の格差があるだとかいうことがありますので、その辺のことをしっかりいろいろなところで教えていくというか、啓蒙していくようにしていただきたいと思っています。

○谷室長 女性の活躍促進の観点では、女性の技能実習を企業が行う場合に、今、大企業には助成していないのですけれども、大企業であっても助成する措置を28年度の要求に盛り込んでおりまして、そういった技能の向上の面についても手厚く助成していきたいと思っておりますので、御意見がありましたけれども、また今後参考にさせていただきたいと思います。

○鎌田座長 どうぞ。

○鈴木委員 質問なのですけれども、不勉強で申しわけないのですが、1の「➄職長等に対する現場での指導力向上等に係る研修」と3の➁の「建設労働者緊急育成支援事業」は、来年度また事業主体がかわるのですか。これは入札制度か何かで事業者は委託になるのですよね。今年度と同じところがやるのですか。

○谷室長 委託事業は毎年度公示してやりますので、そこで決めていくことになります。

○鈴木委員 4月から少したってから決まるという形になるのですか。

○谷室長 予算の編成状況にもよりますけれども、通常、年度末には大体決めて行っております。

○鎌田座長 そのほかございますか。

 どうぞ。

○小倉委員 資料の右側に「1 魅力ある職場づくりの推進」で➀~➄までそれぞれメニューがあるわけですが、➁~➄については建労助成金の中に含まれているものなのか、それとも建労助成金以外に、要は概算要求で措置をされているものなのか。

○佐藤補佐 助成金以外ということでございます。

○鎌田座長 どうぞ。

○福田委員 「2 ハローワークにおけるマッチング強化」で「➀建設人材確保プロジェクトの推進」のターゲットは高校生をターゲットにしているようですが、例えば小・中学校生もターゲットにしてもらって、例えば親子で現場を見るのが大事なのかなと思います。最近、いろいろな意見とかアンケート結果から、小・中学生に現場の魅力を知ってもらった方が将来建設業に行こうかなという気持ちになるのではないかと思います。できればそういうところも目を向けてもらいたいと思っています。

 よろしくお願いしたいと思います。

○鎌田座長 事務局から何かありますか。

○佐藤補佐 建設人材確保プロジェクトにつきましては、未充足求人に対するフォローアップですので、小・中学生までは行っていないところなのです。

○谷建設・港湾対策室長 基本的には小・中学生まではここでは想定していなくて、「➁ジョブサポーターによるきめ細かな支援」では高校生、大学生を想定しておりますけれども、今言った御意見も今後、参考にさせていただきたいと思います。

○佐藤補佐 後、建労助成金で事業主団体が行う事業につきましては、助成対象となっているところでございます。

○福田委員 国でやってもらえなければ各団体でやるしかないという感じのようですね。わかりました。

○鎌田座長 でも、確かにそれは感じますよね。

○福田委員 山本常務の話にあったように、長期ビジョンを考えた時、10年後はどうなるのかというと、小学生も10年たったらすぐ担い手になっていくので、将来の事も考えてもらいたい。

○鎌田座長 ほかにございますか。

 どうぞ。

○時枝委員 今のお話で思い出したことですが、文部科学省の土曜学習応援団という官民協働による「土曜日教育ボランティア」運動の仕組みが昨年できました。そこには建設産業だけではなくていろいろな産業のキャリア教育があります。いわゆるゆとり教育で土曜日に子供は授業がなくなってぶらぶらしてしまう、親がもてあますということがあって、学校によっては地域やPTAが子供たちに職業観を身につけさせる体験学習などいろいろあるのですけれども、それらをネットワークでつなげる仕組みとして、文科省が土曜学習応援団のポータルサイトを設置しました。すでに多くの企業や業界団体などが登録をされています。利用者があるコンテンツを希望し、マッチングされると応援団が出向くといった出前講座の仕組みです。日建協も今年度エントリーをしました。

 せっかくいい制度がありますので、霞ケ関の子供デーみたいなものだと思いますが、ぜひ省庁連携というか、建設産業における人材確保にむけ、文科省を含めたより一層の連携をはかっていただきたいと思います。

○鎌田座長 どうぞ。

○鈴木委員 要望なのですけれども、先ほど才賀会長からも話がありましたが、建設労働者確保育成助成金の登録基幹技能者の助成をぜひ100%助成していただくと、確保、取得のあれになると思います。それもひとつ考えていただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○谷室長 平成28年度の登録基幹技能者の処遇向上助成措置として新たに追加させていただきまして、そういう意味ではこの中の一つの目玉となっておりますので、御理解いただければと思います。

○鎌田座長 どうぞ。

○土屋委員 先ほどと重複するのだけれども、1の「➄職長等に対する現場での指導力向上等に係る研修」で【拡充】と書いてあるのですが、これは今の現制度よりさらに広げるということは、人数を増やすということですか。

○佐藤補佐 回数を増やすということで聞いております。指導力向上教育研修会の開催回数の増ということ。

○土屋委員 今ですと、30人単位で100回開催で3,000人が対象ぐらいでやっているのです。それをさらに増やすということですか。

○佐藤補佐 参加見込み数も増えるような形になっております。

○土屋委員 私はこの委員長をしていますので、また来月の会議で検討します。

○鎌田座長 よろしいですか。

 では、ほかに何かありますか。

 どうぞ。

○富永補佐 次回委員会につきましては、労働組合からのヒアリングとして、日本建設産業職員労働組合協議会、日本基幹産業労働組合連合会、全国建設労働組合総連合から御説明いただく予定となっておりますが、日程として9月25日の午前10時から開催としたいと思っております。

 場所等詳細につきましては、また追って御連絡させていただきたいと思っております。

 以上です。

○鎌田座長 それでは、そのように御予定をお願いいたしたいと思います。

 本日の委員会はこれで終了いたします。

 最後に、本日の会議に関する議事録の署名につきましては、労働者代表は勝野委員、使用者代表は大木委員とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 本日はお忙しいところありがとうございました。


(了)

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