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2015年8月3日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 議事録

○日時

平成27年8月3日(月)15:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席委員(17名)五十音順

○新 井 洋 由、 大槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、 川 上 純 一、
  川 崎 ナ ナ、 菊 池   嘉、 清 田   浩、 鈴 木 邦 彦、
  関 水 和 久、 田 島 優 子、 中 島 恵 美、 濱 口   功、
  半 田   誠、 前 崎 繁 文、 増 井   徹、 山 口 拓 洋、
◎吉 田 茂 昭
  (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名)

  庵 原 俊 昭、 田 村 友 秀、 森 田 満 樹、 山 本 一 彦

行政機関出席者

  神 田 裕 二 (医薬食品局長)
  成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
  森   和 彦 (審査管理課長)
  宇 津   忍 (安全対策課長)
  梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
  俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
  他

○議事

○審査管理課長 「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日は大変な猛暑が続く中、先生方にはお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。

 本日の委員の出席についてです。庵原委員、田村委員、森田委員、山本委員より御欠席との御連絡を頂いております。それから、大槻委員におかれましては少し遅れておられる様子ですので、現時点では当部会委員数21名のうち16名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数には達しております。それでは、吉田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 早速、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目、競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 それでは資料の確認をいたします。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。それから、議事次第に記載されております資料1~9をあらかじめお送りしております。このほか、資料10は「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料11は「専門委員リスト」、資料12は「競合品目・競合企業リスト」、資料13は「スピオルトレスピマット28吸入、60吸入 新旧対照表」を配布しております。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについてです。資料12の1ページです。ブイフェンド錠50mg他3規格です。本品目は「造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。2ページです。ゼビアックスローション2%です。本品目は、「表在性皮膚感染症、ざ瘡」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページです。スピオルトレスピマット28吸入、同60吸入です。本品目は、「慢性閉塞性肺疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。4ページです。レミケード点滴静注用100です。本品目は、「腸管型ベーチェット病、神経型ベーチェット病、血管型ベーチェット病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページです。カプレルサ錠100mgです。本品目は、「根治切除不能な甲状腺髄様癌」を予定効能・効果としており、同用の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。6ページです。カルフィルゾミブです。本品目は、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○吉田部会長 ただ今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目、競合企業リストについては皆様の御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況についての報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況について御報告いたします。議題1、ブイフェンド錠。退室委員は前崎委員です。議決には参加しない委員は、大槻委員、清田委員です。議題2、ゼビアックスローション。退室委員なし。議決には参加しない委員は、大槻委員、山口委員です。議題3、スピオルトレスピマット。退室委員なし。議決には参加しない委員は、大槻委員、清田委員です。議題4、レミケード点滴静注用。退室委員なし。議決には参加しない委員は、大槻委員です。議題5、カプレルサ錠。退室委員なし。議決には参加しない委員は、大槻委員、清田委員、山口委員です。議題6、カルフィルゾミブ。退室委員は、山口委員です。議決には参加しない委員は、大槻委員です。以上です。

○吉田部会長 ただ今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。ないようですので、ただ今の説明については皆様に御確認いただいたものとして、早速、議題に入ります。本日は、審議事項6議題、報告事項3議題です。それでは、審議事項の議題1に移ります。前崎委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づき、議題1の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

( 前崎委員退室)

○吉田部会長 それでは、議題1について医薬品機構から、概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ブイフェンド錠50mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるボリコナゾールはトリアゾール系の抗真菌薬であり、本邦ではボリコナゾールを含有する錠剤、注射剤及びドライシロップ剤が、重症又は難治性真菌感染症を効能・効果として承認されております。

 造血幹細胞移植患者は、移植前治療や免疫抑制剤の使用などにより感染しやすい状態にあり、深在性真菌症が発症すると死亡などの重篤な転帰に至る可能性が高いことから、国内外の診療ガイドラインにおいては抗真菌薬の予防的投与が推奨されています。今般、造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防の効能・効果の追加に係る承認事項一部変更承認申請がなされました。本申請の専門委員としては、資料No.11に記載の4名の委員を指名いたしました。

 審査内容について、臨床成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書16ページの1段落目を御覧ください。造血幹細胞移植患者を対象として海外で実施された第 III 相試験において、有効性の主要評価項目である移植後180日の予防成功率は、ボリコナゾール群で48.9%、対照群のイトラコナゾール群で33.5%であり、深在性真菌症の予防目的で国内外で使用されているイトラコナゾールに対するボリコナゾールの非劣性が検証されました。

 また、この試験ではプラセボ群が設定されていませんが、造血幹細胞移植患者に抗真菌薬を投与しなかったときの真菌症の発症率は、日本の疫学調査では5.4%と報告されており、この試験での真菌症の発症率はボリコナゾール群で1.3%、イトラコナゾール群で2.1%でした。以上に基づき、本剤の深在性真菌症の予防効果は期待できると判断いたしました。

 次に安全性についてです。審査報告書9~10ページにわたっている表3を御覧ください。先ほど御説明した海外第 III 相試験で、ボリコナゾール群又はイトラコナゾール群のいずれかで10%以上の発現が認められた有害事象及び副作用を示しています。認められた有害事象の多くがボリコナゾールとの因果関係は否定されています。また、10ページの表の下の記載を御覧ください。死亡は、ボリコナゾール群6.9%、イトラコナゾール群6.3%に認められていますが、全て治験薬との因果関係は否定されています。

 重篤な有害事象は、ボリコナゾール群47.2%、イトラコナゾール群37.2%に認められていますが、これらの多くは造血幹細胞移植に関連する事象で治験薬との因果関係は否定されています。因果関係が否定されなかった肝障害などの重篤な有害事象についても、ボリコナゾールの既承認効能・効果で認められている事象と同様と考えられました。本剤の投与対象である造血幹細胞移植患者が深在性真菌症を発症すると死亡などの重篤な転帰に至る可能性が高いことから、これらの患者における本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防の効能・効果を新たに追加するものであり、既承認効能・効果よりも投与期間が長期になることが想定されることなどから、今回追加される効能・効果及び用法・用量の再審査期間として4年間と設定することが適切と判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 本剤についてプラセボでの試験はしていないけれども、非劣性が証明されたという説明ですが、本剤の効果が非常に顕著であると、私にはとても思われず、質問させていただきます。示されたデータとは別に、この薬の真菌症に関する一般的な効果・効能を実証するデータがある、と考えてよろしいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 予防に関しての臨床試験は先ほど御説明したとおりですが、本剤に関しては既に真菌感染症に対する治療の効能・効果を有しております。特にアスペルギルスを原因菌とする真菌症の治療に対してはガイドラインでも本剤が第1選択薬として推奨されていることから、真菌に対する本剤の有効性は示されていると考えられます。同様に真菌症を対象としている予防においても有効性が期待できるものと考えております。

○関水委員 恐縮ですが、それはどこに書いてあるのか教えていただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書に臨床試験成績は記載していませんが、審査報告書6ページの「起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」の4行目から、ボリコナゾールを有効成分として含有する製剤が重症又は難治性真菌感染症の効能・効果で、本邦で承認されている旨の記載をしています。

○吉田部会長 よろしいですか。

○菊池委員 二つあります。簡単な方から、添付文書の所にも出ているように「患者の状態に応じて」ということがあります。よくほかの薬でも患者の状態に応じてというのが出ますが、逆に臨床医からすると有り難いのです。患者の状態に応じて増やしたとか、減らしたとか。ですから、患者の状態がよいから増やしていいのかとかは文脈的にこれだけを見ると難しいですよね。というのは、全体として添付文書に、こういう曖昧な表現を使うときの使い方の注意点というか意味合いとかは、どういうところにあるのでしょうか。

 用法・用量の所に患者の状態に応じてと書いてあります。効果不十分の場合はもちろん足りないということで、増量するということになります。安易に患者の状態で、「では増やそう」という、例えば、査定されたときに結局、添付文書でやり取りをするわけですが、それに患者の状態に応じてやったのだという根拠として使ってもいいかという、そういう意味合いで、こういう曖昧なことはあまりどうなのかと思いまして。

○医薬品医療機器総合機構 今回追加される予防目的に本剤を使用される場合は、患者の状態に応じてという判断は難しいものと考えております。治療目的に本剤を使用される場合は、重症な場合には臨床医の判断で増量されるものと考えております。

○菊池委員 ですから、そこら辺の考え方が、そういう曖昧な表現でいいのかということについてのお答えをいただけてないのです。

○医薬品医療機器総合機構 もともと、ここの部分は「症状に応じて」と記載されて、重症例のときには増量できるという表現としていたのですが、今回は、予防目的なので重症というような表現は馴染まないので、「患者の状態に応じて」と書き換えております。

○菊池委員 分かりました。それでは分からないのではないのという話ですけど。それだったら、しょうがないと思います。更に意地悪なことを言いますが、そういうことを言うのであれば、国内臨床試験をしていないのにそれでいいのですかという意地悪なことを言いますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書14ページを御覧ください。()海外臨床試験成績の利用についてという所の1ポツ目、2ポツ目に記載しております。対象患者である造血幹細胞移植患者の医療環境やボリコナゾールの薬物動態及び深在性真菌症の原因真菌のボリコナゾールに対する感受性について国内外で比較しております。その結果、いずれにおいても有効性の評価に影響するほどの大きな差異は認められず、日本人においても外国人と同様の有効性は期待できると考えております。

○吉田部会長 よろしいですか。

○菊池委員 臨床試験は日本人でやらなくていいという判断で、効きそうだからということですか。日本人の中でもpoor metabolizerとか、逆に代謝が悪いからすごくピカピカするような人がいますよね。それの頻度はそんなに低くなかったような気がするのですが、それを含めて。Alloの造血幹細胞移植は世の中的にはそんなに少なくないと思います。ですから、そこら辺も含めて、そのことをしなくてもOKだという根拠が、ほかの薬はやっているはずなのにどうなのかと思ったところで、立ち返るとそういうこともあるところで、患者の状態に応じて増減までできるということまで認めていること自体が、かなり緩々なのではないかと、一番、肝な所かなと自分の中では思ったので、そこら辺を含めて伺ったところです。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、日本人にはボリコナゾールの代謝酵素であるCYP2C19poor metabolizerが多くありますが、その点に関しては既に過去の審査で議論をしており、用法・用量は、その点も考慮されて設定されているところです。また、CTD1.8の添付文書「用法・用量に関連する使用上の注意」の項の()に、「投与期間中は血中濃度をモニタリングすることが望ましい。」と記載されています。

 もう1点、日本人でなぜ臨床試験を実施しなかったというところですが、先ほどお示しした審査報告書14ページの()海外臨床試験成績の利用についての項に記載しております。造血幹細胞移植は国内でもある程度の数は実施されていますが、それが多数の医療機関で実施されており、1施設当たりの例数は少数で、主に対象となる同種造血幹細胞移植患者の実施例数が限られていることから、国内で予防投与の有効性・安全性を検討するための例数の集積が難しいという判断があり、国内臨床試験を実施していないということはやむを得ないと判断しております。

○吉田部会長 今回申請のあった骨髄幹細胞移植患者だけではなくて、既に真菌症でも承認されているわけですよね。患者の状態に応じて云々というのは、ほかの適応も全部横並びになるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 治療では症状に応じて用いられるものと考えております。

○吉田部会長 私は良く読んでいないのですが、ブイフェンド錠をアスペルギルスの適応でやろうとしたときも、結局、患者の状態に応じて使い分けるようにという注意書きになるということですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。そのとおりです。

○吉田部会長 これが一般的なのですね。

○医薬品医療機器総合機構 治療に関する臨床試験において、症状等に応じて用量調節が可能なようにプロトコルで規定されていたこと、また、本剤は個々の患者によって血中濃度のばらつきが非常に大きいということも明らかになっておりましたので、そこに対応できるように用量調節は可能という文言を付けております。

○吉田部会長 私も先ほど若干、不親切だなと思ったのですが、例えば、我々が使うときには身長が高いとか太っているとかありますよね。また、患者さんの状態も、元気だとか元気でないとかということがあります。そういうときに、実際にこれを指針にしようとしても、「もうお任せしますよ」みたいな感じに聞こえてくるのです。その辺、確かにデータはないかもしれないが、例えば、この範囲はここからここまでの範囲でとか、これを超える場合はとかいうような表記はできないものなのですか。まあ、そうは言っても、結局は医師が判断すればいい話だとは思うのですが。

○医薬品医療機器総合機構 患者さんの体格や基礎疾患の有無など、いろいろな要因をすべて記載することは現実的には難しいと思われますので。

○吉田部会長 逆に、この辺の範囲ではこうですよとしておいて、これを超える場合は医師の判断でやりなさいと、そういうわけにもいかないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 「患者の状態に応じて」という表現で抗がん剤などの場合も医師の裁量にある程度の幅を持たせております。

○吉田部会長 というのが、どうやら精一杯のようです。ほかにございますか。ないようですので、議決に入ります。なお、大槻委員、清田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくことといたします。お諮りします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で御待機いただいている前崎先生をお呼びください。

( 前崎委員入室)

 それでは、議題2に移ります。議題2について医薬品機構から、概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2-1及び2-2、医薬品ゼビアックスローション2%の製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるオゼノキサシンは、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して抗菌活性を示すキノロン系抗菌薬であり、本剤はオゼノキサシンを2%含有するローション剤です。なお、平成27年5月現在、海外において本剤は承認されていません。本申請の専門委員としては、資料No.11に記載の10名の委員を指名しました。審査内容について臨床試験成績を中心に説明いたします。

 ざ瘡に対する有効性について、審査報告書39ページの中ほどにある表26を御覧ください。ざ瘡患者を対象とした第 III 相試験では、主要評価項目である最終評価時(塗布開始12週後)の炎症性皮疹数の減少率において、「本薬2%QD群」と示している本剤1日1回塗布は、オゼノキサシンを含まない「基剤群」に対する優越性が検証されています。また、本剤1日1回塗布と「NDFX群」と示している既承認薬のナジフロキサシン外用剤1日2回塗布の有効性は同程度でした。以上に基づき、本剤のざ瘡に対する有効性は示されたと判断しました。

 表在性皮膚感染症の代表的な疾患である「毛包炎及び毛瘡」に対する有効性については、審査報告書42ページの3)毛包炎及び毛瘡に続く段落を御覧ください。毛包炎及び毛瘡患者を対象とした第 III 相試験において、本剤7日間塗布後の臨床効果は毛包炎で69.4%、及び毛瘡で75.0%の有効率であり、原因菌であるブドウ球菌属の菌陰性化も認められました。また、本剤塗布時の皮膚中、又は膿疱中のオゼノキサシン濃度は毛包炎及び毛瘡の原因菌であるブドウ球菌属の90%最小発育阻止濃度の60倍及び500倍以上であることを確認しました。これらのことから、毛包炎及び毛瘡に対する本剤の一定の有効性は期待できると判断しました。

 安全性について、審査報告書39ページの下段の表27を御覧ください。この表は、ざ瘡患者を対象とした第 III 相試験において、いずれかの群で2%以上の発現が認められた有害事象及び副作用を示しています。本剤を1日1回塗布したときの有害事象及び副作用の発現状況は、基剤及びナジフロキサシンと同様でした。また、審査報告書45ページの上段の表33を御覧ください。12週間塗布時の列は、ざ瘡患者を対象とした第 II 相及び第 III 相試験において、いずれかの群で塗布部位に2%以上の発現が認められた有害事象を示しています。塗布部位に適用部位乾燥等の副作用が認められていますが、ほとんどが軽度又は中等度であり、いずれも回復又は軽快したことから本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬、劇薬、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 本剤のナジフロキサシンに対する優位性というのは全くないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 臨床使用上の有用性という説明になるかもしれませんが、ナジフロキサシンは1日2回塗布という使用方法です。本剤は1日1回塗布である点がナジフロキサシンと異なりますが、有効性は同程度であることが確認されています。

○関水委員 2回か1回かは大変重要な差だと思いますが、2回でなくて1回でいいのだというデータはあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の48ページを御覧ください。塗布回数の設定根拠に関して記載していますが、表34において、第 II 相試験における本剤1日2回塗布群、本剤1日1回塗布群の成績を示しています。1日2回塗布群と1日1回塗布群で、炎症性皮疹数の減少率が約56%と、同程度の有効性が示されていることから、より少ない塗布回数の方が使いやすいだろうということで1日1回という用法が選択されています。

○関水委員 競合する既存薬がありますね。その既存薬よりも、ある点では優っているというデータは特にないのですね。1回だけ塗ったときに片方は治らないけれども、こちらを使えば少しいい成績があるのだというデータがあれば非常に結構なのですが、別にそういうものがなければ既存薬よりも劣らないということ以外に、見るべき点はないということになりますね。

○医薬品医療機器総合機構 本開発の中では、既承認薬のナジフロキサシンに対し、先ほど述べた用法・用量の部分以外で何か本剤が特別優れているというデータは得られていません。

○関水委員 そうでなく、ナジフロキサシンでは1回では駄目で、こちらではいいという比較のデータです。そういうものがあれば既存薬よりも、この点で優っているということが明らかですがね。片方が2回適用で、片方は1回で大丈夫だとなれば、その点で優ったということになるのではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 比較対照として、ナジフロキサシンの1日1回群を設定することは、必ずしも本剤の承認において必須の条件ではないと考えています。臨床試験における比較対照薬の用法・用量は、承認されている用法・用量で設定することが原則だと考えていますので、例えば、承認されていない用法・用量と比較する臨床試験を実施し、本剤がそれに優越性を示したからといって、それで本剤の有用性を説明できるものではないと考えています。

○関水委員 何か一つでも利点が明確になれば、この点で承認しようとなるのですけれども、そうでない場合、すなわち、構造もほとんど同じで、競合薬に対する耐性菌に対する有効性も全く期待できない抗菌薬がどんどん承認されていくのは、いかがなものかという批判に答えられないと思います。

○医薬品医療機器総合機構 臨床試験成績ではないですが、抗菌活性について、ナジフロキサシンに対して耐性を有している菌に対して、オゼノキサシンが抗菌活性を示しているという成績が得られています。審査報告書の9ページ、表9を御覧ください。MRSA、オフロキサシンに耐性の表皮ブドウ球菌等に対するオゼノキサシンとナジフロキサシン、クリンダマイシンの感受性を検討しています。一番下の列を御覧ください。2014年に分離されたMRSAに対してですが、オゼノキサシンのMIC90が2μg/mL、ナジフロキサシンのMIC9016μg/mLとの成績が得られています。

○大槻委員 この薬剤がこのように開発されていることを知らなかったものですから、援護射撃というよりはむしろ質問です。審査報告書の5ページの一番上ですが、「塗布後に垂れない一定の粘性を持つローション剤とするため」とあり、実際の臨床の場でナジフロキサシンは、ローション製剤の基剤の関係でものすごく垂れるのです。実際に非常に無駄になるところがあって、これがサラサラと流れていくものでなければ、例えばクリンダマイシンのような使い心地であれば、ナジフロキサシンと同じキノロン製剤でも使い道はあると思います。そういう使用感の違い、この製剤はここが使いやすくなっている、といったデータが出ていれば有用性があると私も思うのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 垂れるかどうかに関しては、机上に実薬がありますので、そちらで御確認いただければと思います。

○大槻委員 かなり粘性がありますね。これだとナジフロキサシンとは使用感に相当違いがありますので、それが何らかの形でデータにというか、使用感の違いというのが公表されているのではないか。そこをもう少し前面に出していただけると分かりやすかったかなと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。臨床試験でそういった点をデータで取っているようであれば、情報提供も含めて行うように企業には指示したいと思います。

○吉田部会長 ほかにございますか。私、関水先生の質問に更に加えたいのですが、要するに、今までの審査のやり方だと、ある薬に対して非劣性が証明されると自動的に承認されます。でも関水先生がおっしゃったのは、標準治療に対して難治だった人や駄目だった人に対して、新薬が効いたか効かなかったかということは、かなり大きな事実ではないかということですよね。非劣性が単に証明されただけでなく、例えば既存の類薬が効かなかったものに対して、これだけ有効だったというデータは、どこかで欲しくなるのではないかと私も思うのです。そういったことは試験の中では義務付けられていないですね。

○医薬品医療機器総合機構 試験の中では、そういう検討は行っていません。おっしゃったような考え方は、確かに医薬品開発における考え方としてあり得るものと考えますが、抗菌薬の外用剤の種類がそれほど多くない現段階で要求することは困難と考えます。

○吉田部会長 外用薬の場合はね。

○医薬品医療機器総合機構 現時点では治療の選択肢を増やすことに、意義はあると考えています。

○吉田部会長 前崎先生、そうやってどんどん類薬を非劣性で認めていいのかという関水先生の御意見に対して、何か先生からコメントはございますか。

○前崎委員 外用薬でなくて普通の一般的な抗菌薬ですと、有効性は、どの薬剤でも高いので、差を出すというのは実際問題として難しいのが現状だと思います。そのため、非劣性が確認されれば十分と考えます。

○吉田部会長 世に出してもいいと。

○前崎委員 そう思います。

○吉田部会長 ありがとうございました。ほかに御意見はございますか。

○川上委員 審査報告書の42ページで二つ教えていただきたいことがあります。一つは、ヒトとラットの皮膚透過性の違いについての記述がフットノートにあります。動物種間で約20倍、皮膚の透過性が違うと書かれているのですが、その理由が分かったら教えてください。二つ目は、本文中にそういった皮膚中濃度と臨床分離株のMICを比較している記載があると思います。組織濃度を比較する際には、組織中の遊離型濃度を用いないと本当の意味での薬効濃度の比較にならないと思います。この薬物は90%ぐらい血漿タンパク結合率があるので、恐らく皮膚タンパク中にも相当の割合が結合しているのではないかと思います。実際に薬効を現す濃度は10分の1、あるいはそれ以下ではないかということが予想できます。概要書の中では遊離型濃度に基づく考察が書かれていないのですが、どうお考えか教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 御質問の1点目、動物種間での違いということですが、明確に原因というものははっきりしていません。皮膚の構造が違うのだろうという考察にとどまるものと考えます。2点目について、タンパク結合をフリー体の方で検討していないというのは御指摘のとおりです。御指摘を踏まえると、皮膚中濃度の観点からのみでは、本剤が最小発育阻止濃度を超えているということをもって有効だと断言するのは、やや困難と考えます。ただし、その他にも理由として書いていますが、臨床試験では一定の有効性が示されているということもありますので、検討の方向性に問題があったかもしれませんが、それが本剤の有効性を否定するという結論には至らないのではないかと考えています。

○吉田部会長 よろしいですか。

○川上委員 御回答としては結構かと思います。抗菌剤によっては、タンパク結合率がとても高いものと低いものがあるので、一律に同じ解析方法では時に誤る場合もあるかと思ったものですから、一応、指摘をさせていただいた次第です。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。

○吉田部会長 ほかにございますか。

○清田委員 普通、抗菌薬の開発試験と言いますと、原因菌が分かっていて除菌率も明らかにするというのが普通の感じではないかと思いますが、この資料を見る限り、同じ疾患の中で混合感染もあると思いますけれども、それでの除菌率というかエンドポイントを何に置いているのか。ただ、ブツブツの数が減ったというだけの感じで評価してしまっているのですかね。それでいいのかという話があって、私は泌尿器科ですし皮膚科の先生がここにおられますから、いつもそうやっているのかなと思ったのです。除菌率というのは一番肝なのではないかと思いますが、これはいかがですか。これをやっているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 ざ瘡に関して述べさせていただきます。顔に複数個のざ瘡があり、例えば1カ所から菌が検出されたとしても、治癒するとその病変部は消失してしまい、そこから菌が消えたかどうかを取るサンプルがなくなりますので、ある特定の病変部に関して除菌されたかどうか、つまり、菌の消失に関する評価は難しいと考えています。また、投与前に菌がいるかどうかサンプルを取ることで、それが治療行為につながってしまうところがあります。その同じ部位に抗菌薬を塗って症状が消えたかというよりは、むしろ先にサンプルを取るために、そこの膿疱を潰してしまったこと自体が治療になってしまうため、特定の病変部に関して除菌したかどうかという評価は、抗菌薬の外用剤の開発では非常に難しいのではないかと考えています。

○吉田部会長 なるほど。尿路感染の場合であれば、尿から病原菌が消えれば良くなったと言えるけど、顔の場合は難しい。

○清田委員 私が伺いたいのは、皮膚感染症の有効性に関してのガイドラインを私は存じ上げませんが、そういう薬効評価に関するガイドラインはあるのですか。これがスタンダードなのですか。ちょっと外れるかもしれませんが、もしあれば教えていただきたいと思います。

○吉田部会長 専門家に教えていただけますか。

○大槻委員 皮膚科の大槻ですが、座瘡の治療に関するガイドラインはありますが、薬効評果に関するガイドラインについては、詳しくは知りません。膿瘍であれば、そこから菌が消失するということは非常に意味があることですが、それとは違いますし、また座瘡は単なる感染症ではないので、とびひのような表在性皮膚感染症とも異なります。座瘡は、少なくとも1か所からの菌の消失だけでは議論できないと思います。

○清田委員 化学療法学会のガイドラインはここにあると、今、教えていただいたのですけど。

○菊池委員 2.5の所の32ページにあります。

○清田委員 となると、これにのっとって評価したと、それは正しいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 有効性に関する判定基準は、化学療法学会等の臨床評価のガイドラインを指標とされています。

○清田委員 それで、臨床試験は行われたのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○清田委員 では、よろしいかと思います。ありがとうございました。

○吉田部会長 そのほか、ございますか。御意見もないようですので議決に入りたいと思います。なお、大槻委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題3に移ります。議題3について機構からの説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.3、スピオルトレスピマット28吸入、同レスピマット60吸入の製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 本剤は、長時間作用性β2刺激薬(「LABA」)であるオロダテロール塩酸塩と、既承認の長時間作用性抗コリン薬(「LAMA」)である、チオトロピウム臭化物水和物を有効成分とする吸入用配合液剤であり、慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)を対象疾患として開発されたものです。安定期のCOPDの薬物治療の中心は気管支拡張薬であり、単剤で効果不十分な場合などには2種類以上の気管支拡張薬の併用が推奨されており、海外において本剤はCOPDに関する効能・効果で、米国及び欧州で2015年5月に承認されています。本申請の専門委員としては、資料No.11に記載しています9名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に御説明いたします。審査報告書46ページ、1)国際共同第 III 相試験(1237.5試験)の項を御覧ください。日本を含む国際共同試験として、COPD患者を対象に、高用量群としてチオトロピウム5μg及びオロダテロール5μgを含有する本剤、また、低用量群としてチオトロピウム2.5μg及びオロダテロール5μgを含有する本剤を、1日1回、吸入投与したときの有効性及び安全性を、チオトロピウム及びオロダテロール各単剤と比較検討するため、無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されています。その結果、有効性については47ページの表25に示していますとおり、主要評価項目である投与24週後のFEV1トラフ値等について、高用量群、低用量群ともに、チオトロピウム、オロダテロール各単剤群との対比較において、統計学的に有意な差が認められ、各単剤群に対する本剤の優越性が検証されました。日本人部分集団の成績についても48ページ、表26のとおり、全体集団と同様の傾向が認められました。また、50ページ、2)国際共同第 III 相試験(1237.6試験)の項に記載のとおり、1237.5試験と同様の試験デザインで実施された試験においても、同様の結果が得られています。以上より、COPD患者に対する本剤の有効性は示されていると判断いたしました。

 次に、60ページ以降、()安全性についての項を御覧ください。本剤の臨床試験の併合集計成績に基づき検討した結果、62ページの表42及び表43に示していますように、本剤投与時の有害事象の発現状況は、チオトロピウム、オロダテロール各単剤と比較して大きな相違は認められませんでした。また、LAMA、LABAともに関連が指摘されている心血管系有害事象の発現状況を64ページの表45に、LABAに関連する有害事象の発現状況を66ページの表50に、また、LAMAに関連する有害事象の発現状況を67ページの表51にそれぞれ記載しています。いずれの事象についても本剤群の発現率は、チオトロピウム、オロダテロール各単剤群と同程度であったことなどから、本剤の安全性は臨床上、許容可能のものと判断しています。しかしながら、心血管系への影響は、LAMA及びLABAのクラスエフェクトとして知られている事象であることから、72ページの表56に記載している製造販売後調査等において、心血管系有害事象の発現状況を引き続き検討する必要があると考えています。

 次に、少し戻っていただいて69ページ、()用法・用量についての項を御覧ください。第 III 相試験において本剤の高用量群、低用量群ともに、各単剤に対する優越性が示されましたが、いずれの試験においても高用量群のFEV1トラフ値は、低用量群を上回る傾向が認められました。また、高用量群でも安全性は許容可能なものであることなどを踏まえ、本剤の用法・用量について申請のとおり、チオトロピウム5μg及びオロダテロール5μgを1日1回吸入投与と設定することは可能と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品に該当することから、再審査期間は8年、また配合成分のうち、オロダテロール塩酸塩は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。なお、オロダテロール単剤の海外試験成績につきまして、CTDに誤記がありましたので当日配布資料、資料No.13として新旧対照表をお配りしています。本修正に伴う審査結果への影響はなく、また審査報告書等の修正はありません。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○清田委員 有害事象の中に、尿が出なくなるという尿閉というのはなかったかどうか、これを確認させていただきたいのです。抗コリン薬と、β2でしたか、Stimulantだと、いかにも、お年寄りの前立腺が大きい方は出にくくなってしまうような感じがあると思ったのです。これをちょっと教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。審査報告書66ページ、67ページを御覧ください。表51として、抗コリン剤でよく見られる有害事象の発現状況をお示ししています。表中には腎及び尿路障害とまとめていますが、実際は尿閉及び前立腺障害等を集計したものです。表51より、単剤に比べて配合剤群で高い傾向は認められていませんが、やはり抗コリン剤というところもあり、一定のリスクはあると考えています。

○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。

○菊池委員 LABAとLAMAの合剤の3番目になるわけですね。その合剤の二つと比べているわけでは全くないわけですね。それは開発時期が違うから、それぞれのということ。この企業が出してきた競合品の中には、それぞれ別個のものが出ているという解釈であって、結局、そこにウルティブロとか、名称を忘れましたが2剤ありますね。それはこの中では論じられていないという解釈なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ウルティブロ、またアノーロという類薬との比較試験は実施されていませんが、単剤のオロダテロールの方に関しては、ホルモテロールという別のLABAとの比較試験があり、オロダテロールの有効性が劣るという結果は認められていません。ただ、おっしゃるとおり配合剤としての比較成績はありません。

○吉田部会長 この3剤とも同じ効能・効果になっているのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、全く同じです。

○吉田部会長 全く同じですよね。使い分けは使う人に任せる。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。本剤のみ吸入液剤であり、ほかの2剤は粉末になります。ボタンを押して液剤が噴霧されるというものですので、呼吸機能が落ちている患者様では、より使いやすいのではないかと考えられます。

○吉田部会長 なるほど。ほかにございますか。

○奥田委員 恐らく誤植なのだろうと思いますが、64ページの表45の有害事象の中で、上から四つ目の虚血性心疾患の値が、本剤2.5/5μg群で21例、本剤5/5μg群で22例ですけれども、割合の値が0.2%と2.1%になっていて、恐らくどちらかが間違っていると思います。値が正しくて割合が間違っているのだったらいいのですが、割合が合っていて値が間違っているのであれば、虚血性心疾患に関する評価は変わってくると思いましたので質問させていただきました。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。64ページの表45の虚血性心疾患の割合、括弧の中が恐らく誤記かと思われますが、確認の上、適切に修正させていただきます。

○吉田部会長 どっちがどっちか、まだ分からない。

○医薬品医療機器総合機構 下の方の重篤な心血管系有害事象の虚血性心疾患は8例(0.7)となっていますので、括弧の中身が誤記かと思われます。

○吉田部会長 よろしいですか。2.0でいいということですね。分かりました。ほかにございますか。ないようですので議決に入りたいと思います。なお、大槻委員、清田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を「可」とし薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題4に移ります。議題4について医薬品機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.4、レミケード点滴静注用100の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明します。

 本剤の有効成分であるインフリキシマブ(遺伝子組換え)は、ヒト腫瘍壊死因子(「TNF」)αに対するモノクローナル抗体であり、クローン病や関節リウマチ等の効能・効果で承認されています。本申請は、腸管型、神経型及び血管型ベーチェット病の効能追加に関わるものです。ベーチェット病は、急性炎症を繰り返しながら慢性的な経過をたどる全身性の炎症性疾患です。このうち、消化管、中枢神経、血管の病変を特徴とする各病態は、それぞれ、腸管型、神経型又は血管型ベーチェット病と定義され、予後不良とされています。国内の医療現場では、これらの病態に対して、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤等が使用されていますが、効果不十分な場合には抗TNF製剤による治療もなされています。

 このような背景の下、本剤の腸管型、神経型及び血管型ベーチェット病の適用に関する開発要望がなされ、厚生労働省の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性の高い薬剤に該当するとの評価を得たことを受け、201012月に申請者に対して開発要請がなされました。その後、2012年8月に当部会で希少疾病用医薬品指定について御審議頂き、特殊型ベーチェット病(腸管型、神経型、血管型)を予定する効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されています。本申請の専門委員としては、資料No.11に記載されています4名の委員を指名しました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明します。

 審査報告書8ページ、()国内試験の項を御覧ください。既存治療で効果不十分又は不忍容な腸管型、神経型及び血管型ベーチェット病患者を対象に、非盲検非対照試験が実施されています。その結果、9ページの表3に示しますように、投与30週後において18例中11例が著効例と判断されました。また、各病型の主な有効性評価の結果は、審査報告書の18ページの表5、20ページの表7及び21ページの表8のとおりであり、組み入れられた患者の多くで、臨床症状、画像所見及び炎症マーカーの改善又は不変が確認され、副腎皮質ステロイドの減量も確認されました。少数例の本試験成績のみから各病態に対する有効性を評価することには限界がありますが、本試験成績に加えて、文献報告、国内外の診療ガイドラインや成書の記載内容等も踏まえ、希少な疾患である腸管型、神経型及び血管型ベーチェット病に対して一定の有効性は期待できるものと判断しました。

 用法・用量について、国内試験では、既承認の用法・用量、国内外の診療ガイドライン等を参考として、1回5mg/kgを、0、2、6週以降8週間隔で投与し、投与30週以降は、効果減弱例に対して1回10mg/kgへの増量が可能と設定されました。国内試験における増量例の結果は25ページの表12のとおりです。この試験では増量例は限られていますが、増量後においても臨床症状の改善及びCRPの改善が認められています。また、1回投与量5mg/kgを超える増量又は投与間隔の短縮等により、薬効を維持できた症例に関する文献報告があること、既存治療では効果不十分な腸管型、神経型及び血管型ベーチェット病では他の治療選択肢が極めて限られていること等も踏まえ、10mg/kgへの増量も用法・用量に含めることは許容可能と判断しました。

 次に、審査報告書22ページ以降の()安全性についての項を御覧ください。国内試験の主な有害事象の発現状況と既承認の適応疾患における安全性情報との比較は、23ページの表11のとおりであり、既承認の適応疾患で認められている安全性プロファイルと比較して新たな懸念は示唆されていないと考えています。しかしながら、国内試験における検討症例は極めて限られていることから、29ページの表15における製造販売後調査を実施し、腸管型、神経型及び血管型ベーチェット病における使用実態下での本剤の安全性等について、更に検討する必要があると判断しています。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は、本申請時に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回、追加される効能・効果及びその用法・用量についての再審査期間は10年とすることが適切と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。以上です。よろしく御審議のほどお願いします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○菊池委員 この希少な疾患でよく国内試験をされたなと思うのですが、この5.3.5.2.1試験の18症例ですが、何施設ぐらいにお声掛けをしてやったのですか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書8ページの国内試験の項の3行目を御覧ください。本試験は国内21施設で実施されています。

○菊池委員 何を言いたいかと言うと、この薬自体の申請に文句はないのですが、今日の1件目の所で、希少疾患であって、いろいろな所に分散しているから国内試験をやらなくてよろしいという判断が可であれば、これも目標症例数が15症例のところ、21施設にお声掛けして大体そのようになるだろうと。神経とか血管型なども更に少ないですから、消化管はまだ見つかるかもしれませんからということでそういう設定をしていると思いますが、PMDAというのは、公平に薬事審議もしなければいけないし、いろいろなことを含めると、対面助言の段階から最初の薬にもやれと言うことはできたはずです。とにかく、やはり日本人での薬の安全性について科学的に考えていくのがこの部会であって、PMDAとかのお仕事だと思うので、そこら辺がいかがなのでしょうかと思って、ちょっと今日、今日だからこそ聞く質問であって、このお薬に対して、けちを付けているわけではありませんが、その姿勢について、ちょっと伺いたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 まず、本日の議題1に関してですが、審査報告書の中にも、今ですと、国際共同試験が結構実施されている状況になっているので、PMDAとしても、国際共同試験を実施すればよかったのではないかというコメントを記載しています。

○菊池委員 申請のときに何も相談に来なかったということなのですか。まあ、遡って第1件目の話はよしとして。ですから、申し上げたいことは、私は、エイズの、HIVの薬であっても日本人の試験をしなさいと、した方がいいということを常々申し上げているように、希少疾患だから海外の論文で、海外のデータでオーケーだという姿勢は、やはりおかしいと思っています。希少疾患であっても、国内の有名な所と言うか、18症例を目標として、来そうな所の21施設に声を掛けているのであれば、先ほどのようなことでも同じようなポリシーでやった方がよかったのではないのかということです。今回のことは、努力はすごく認めて、これは、こういうことがあったので、遡って1件目の冒頭に私が申し上げたということはそういうことです。とにかく、日本人での安全性というのを知るべきだとは思います。あとはいいです。

○吉田部会長 今の件は、申請企業がどこかにもよります。日本の企業であれば日本人の言うことを聞きますが、外国の企業はまず言うことを聞いてくれません。これは私の勝手な推量ですが、今回のレミケードの場合、要するに、未承認薬の検討会で医療上の必要性が高いので、是非ともということがあり、しかも、日本の企業が中に入ってくれたのでできた、ということも一面においてあるかと思うのです。この辺が、先生の言われるように、何か公平でないような感じになってしまうのだろうと思うのです。ですから、私も状況は理解しますが、そういう意味で、治験を指導する側には、できるだけ公平に力を注いでいただきたいし、どれくらいになるか分かりませんが、なるべく日本人の参加を募るような形のご指導をお願いしたいと思います。

 そうは言っても、外国の企業が、もう日本のデータは要らない、これで承認を取ると言われたらそれでお終いなので、この辺もなかなか難しい問題ではあるかと思います。よろしいでしょうか。

 特段の御異議がなければ議決に入りたいと思います。

 なお、大槻委員におかれては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事審議会へ報告とさせていただきます。

 それでは、議題5に移ります。議題5について医薬品機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料番号5、カプレルサ錠100mgの製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明します。本剤の有効成分であるバンデタニブは複数のキナーゼを阻害する化合物であり、血管内皮増殖因子受容体、上皮増殖因子受容体等、腫瘍細胞の増殖等に関わる各種キナーゼのリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は根治切除不能な甲状腺髄様癌を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は平成2511月の当医薬品第二部会における審議を経て、甲状腺癌を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されています。本剤は、平成27年5月時点において、41の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.11にあるとおり8名の委員です。

 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第 III 相試験、以下58試験と略します、58試験の成績が提出されました。

 有効性については、審査報告書43ページの下から8行目以降、47ページの下から7行目以降及び86ページの上から13行目以降を御覧ください。根治切除不能な甲状腺髄様癌患者を対象とした58試験において、主要評価項目とされた画像中央判定による無増悪生存期間、以下PFSと略します、PFSについて、対照群として設定されたプラセボ群に対する本剤群の優越性が示されたこと等から、当該患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性については、審査報告書49ページの下から1行目以降、及び86ページの下から7行目以降を御覧ください。本剤の使用時に注意すべき有害事象としては、QT/QTc間隔延長、間質性肺疾患関連事象、皮膚反応、高血圧、感染症、眼障害、腎障害、低カルシウム血症、肝障害、心臓障害、出血事象、可逆性後白質脳症症候群、創傷治癒遅延、消化管閉塞及び消化管穿孔、血中甲状腺刺激ホルモン増加、並びに下痢が認められています。これらの有害事象については、臨床試験で実施された安全対策に関する詳細な内容について、申請者が医療現場に適切に情報提供をし、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師によって慎重な患者選択が行われ、有害事象の徴候に対する厳重な観察や管理、本剤の休薬、減量、投与中止等の適切な対応がなされるのであれば、本剤は忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は極めて限られ、承認審査時点における日本人での本剤の安全性情報は限られていることから、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。

 以上のような審査の結果、機構は、根治切除不能な甲状腺髄様癌を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いします。

 なお、事前に、山口委員から、58試験の副次評価項目とされた全生存期間、以下OSと略しますが、OSで群間差がなくプラセボから本剤へのスイッチが影響していると考察されているが、主要評価項目とされたPFSの代替性はどの程度検証されているのか。また、薬剤のスイッチを考慮した上での群間比較解析等が行われているのかお教えくださいという御質問を頂いたので、機構から回答します。本剤の投与対象である甲状腺髄様癌において、OSに対するPFSの代替性に関する報告はこれまでにありません。また、58試験においては、OSの最終解析結果が未だ得られていないこともあり、プラセボ群における本剤へのクロスオーバーを含め、後治療の影響を考慮して群間比較を行った解析は実施されていません。当該解析の実施については、最終解析の結果を踏まえて今後検討したいと考えています。

 なお、58試験における有効性の評価結果については、審査報告書48ページの本文下から9行目以降に記載したように、主要評価項目とされた画像中央判定によるPFSの結果に加えて、実施医療機関判定によるPFSについても、本剤群で臨床的に意義のある延長が認められたことから、OSの中間解析結果等において本剤群で劣る傾向が認められなかったことを確認した上で、本剤の有効性は示されたと判断しました。説明は以上になります。

○吉田部会長 ありがとうございました。山口委員、いかがですか。

○山口委員 具体的にPSがOSのサロゲートエンドポイントになっている報告がないということで、こういった形で承認しても構わないのかどうかというところが少し気になって、質問させていただきました。

○吉田部会長 御了解いただいたということで、よろしいですか。

○山口委員 あとは、ここでどういった判断をするかということで、プライマリーエンドポイントは確かに達成されていますので、よしとする。後々でOSの、もう少しフォールアップの長い期間での結果が出てきた上で、もし何かあれば、また考えるということなのかなと思ったのですが。

○吉田部会長 分かりました。それでは、委員の先生方から御質問の追加はありますか。よろしいですか。

甲状腺の髄様癌というのは、予後の悪い病気と思っていましたが、このOSを見ると、乳頭癌と同じような感じで驚いたのですが。

○医薬品医療機器総合機構 髄様癌に関しては、自然の予後が未分化癌と異なりまして、比較的予後が良好とされています。10年生存率が7585%程度という報告があります。

○吉田部会長 未分化癌の予後は非常に悪く、即死に近いですよね。髄様癌も、これ程ではなくとも、かなり悪かったと思っていたのですが。

○医薬品医療機器総合機構 乳頭癌、濾胞癌ほどではありませんが、比較的、髄様癌も予後が良好とされています。

○吉田部会長 そうすると、このプラセボ群の3年生存で8割ぐらいというのは、普通の成績だと考えられるのですね。というのは、私は、プラセボ群の3年生存率が、いわゆる一般的な髄様癌の予後に比べてすごく良い成績だとすれば、それは、プロトコル上、増悪したときにクロスオーバーすることになっていて、プラセボ群にも実薬が入ったからではないかと思ってしまったのです。というのは、PFSを見ると、大体半年とかそこらで落ちてきていますので、そこで実薬が入るとなると、両群とも長期間実薬が入ることになって、その結果、全体が持ち上がったように見えているのかなと思ったのです。ですから、髄様癌の一般的な、ヒストリカルでもいいのですが、3年生存率がどのぐらいのパーセントかが分かれば、この辺の話がスッキリするかなと思ったのですが。

○医薬品医療機器総合機構 先ほど御説明したのは、甲状腺髄様癌全体の患者における予後で、遠隔転移を有する場合の甲状腺髄様癌の予後についてはCTD1.5の5ページに記載がありまして、5年生存率が約40%とされています。ですので、御指摘の乳頭癌、濾胞癌ほど良くはないのですが。

○吉田部会長 何ページでしたか。

○医薬品医療機器総合機構 CTD1.5の5ページです。

○吉田部会長 生存曲線が出ているわけではないのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 でも、40%ぐらいということは。

○医薬品医療機器総合機構 OSの中央値が2~3年と考えられます。

○吉田部会長 そうすると、大体3年で6~7割ぐらいになるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 その一般的な予後と比較しますと、プラセボ群でも本剤がクロスオーバーされて、良くなっている可能性はあると考えられます。

○吉田部会長 一応、OSの延長も伺われるということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 ありがとうございました。

○山口委員 今のような話になると、何パーセントぐらいスイッチされているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 プラセボ群の100例のうち、71例がクロスオーバーされています。

○山口委員 先ほど部会長からもお話があったように、それぐらいの時期でプレグレッションして、大体ひっくり返って、クロスオーバーしているという形ですか。

○吉田部会長 そういうことのようです。ほかにありますか。

あと、臨床腫瘍医、いわゆる化学療法の専門家と一緒に使えというのは大変いいと思うのですが、具体的には誰々が監視するようにとか、どういうことをするようにというような指導をするのですか。

○医薬品医療機器総合機構 現在、甲状腺癌に対しては、1月の本部会で御審議いただいたレンビマ等が上市されていますが、臨床腫瘍学会が中心となった甲状腺腫瘍のプログラムで、臨床腫瘍専門医との連携において使用されることとなっているので、本薬についても同じようなプログラムの中で、専門医が扱うようになると考えています。

○吉田部会長 それがいいですね。ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。御意見がないようであれば、議決に入りたいと思います。なお、大槻委員、清田委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題6に移ります。山口委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題6の審議の間、別室で御待機いただくこととします。

                                 ( 山口委員退室)

○吉田部会長 それでは、議題6について事務局からの概要説明をお願いします。

○事務局 議題6、資料6、カルフィルゾミブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明します。資料の評価報告書のタブをお開きください。報告書1ページ中段を御覧ください。申請者は小野薬品工業株式会社、予定される効能・効果は、再発又は難治性の多発性骨髄腫となります。

 まず、指定要件の対象患者数について御説明します。多発性骨髄腫の総患者数は約1万4,000人と報告されており、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えています。

 次に医療上の必要性について御説明します。再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する治療法は、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミド等を含む多剤併用化学療法が中心となりますが、いずれの治療法によっても根治しないことが報告されており、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対する新たな治療薬の開発が望まれています。以上により本剤は、本邦における薬物治療に際して、新たな選択肢となるものと期待され、医療上の必要性は高いと考えています。

 最後に開発の可能性について御説明します。2ページを御覧ください。再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、レナリドミド及びデキサメタゾン併用投与(以降「Rd群」と略)に対する、本剤、レナリドミド及びデキサメタゾン併用投与(以降「CRd群」と略)の有効性及び安全性を検討する海外第 III 相試験が実施され、主要評価項目とされた無増悪生存期間の中間解析において、Rd群17.6か月と比較してCRd群26.3か月で、有意な延長が認められました。

 また、同様の患者を対象に、ボルテゾミブ及びデキサメタゾン併用投与(以降「Vd群」と略)に対する、本剤及びデキサメタゾン併用投与(以降「Cd群」と略)の有効性及び安全性を検討する国際共同第 III 相試験が実施され、主要評価項目とされた無増悪生存期間の中間解析において、Vd群9.4か月と比較してCd群18.7か月で、有意な延長が認められました。本邦においても同様の患者を対象に、CRd群の有効性及び安全性を検討する第 I 相試験が実施中であることから、開発の可能性は高いと考えています。

 以上により、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えています。よろしく御審議のほど、お願いします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。似たような薬も少なくないのですが、御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。なお、大槻委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。別室で御待機されている山口委員をお呼びください。

                                 ( 山口委員入室)

○吉田部会長 それでは、報告事項に移りたいと思います。報告事項について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 それでは、報告事項を三つほど御説明させていただきます。まず資料7を御覧ください。報告事項、議題1、医薬品クラビット錠250mg他2規格、及びレボフロキサシン錠250mg「DSEP」他2規格の製造販売承認事項一部変更承認について御報告します。

 本剤はフルオロキノロン系抗菌薬であるレボフロキサシン水和物を有効成分とする経口剤で、各種感染症に対する薬剤として承認されています。本剤は国内外の診療ガイドラインにおいて、結核の初回療法に用いる薬剤が使用できない場合の抗結核薬として位置付けられています。医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議における検討を踏まえて、今般、結核症患者を対象とした臨床研究等の結果を基に、申請者より肺結核及びその他の結核症の効能の追加に関する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、資料番号7の表紙に示している効能・効果及び用法・用量にて、承認して差し支えないと判断しています。

○事務局 続きまして報告事項、議題2、優先審査指定品目の審査結果について、事務局より御説明します。資料8を御覧ください。優先審査の取扱いについては、資料の2ページに概要をお示ししています。この制度は医薬品医療機器法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品やその他、医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断されます。

 資料の表紙、1ページにお戻りください。対象品目の販売名は、オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、一般名は、ニボルマブ(遺伝子組換え)、申請者は小野薬品工業株式会社です。記載のように、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(非扁平上皮癌を除く)に係る効能・効果で承認申請がなされています。

 事前に取りまとめられた医薬品医療機器総合機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明します。資料の7ページを御覧ください。適応疾患の重篤性については、当該疾患は生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)に該当すると判断されています。

 次に資料8ページ下段の総合判断を御覧ください。医療上の有用性については、国内白金系抗悪性腫瘍剤を含むレジメンによる治療歴がある切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺癌患者に対して、既存の治療法と比較して、全生存期間の有意な延長が認められ、また、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能であると考えられることから、本剤は、「有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法、若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されています。

 以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査品目に該当すると判断しています。当該薬剤の承認の可否については、今後、機構での審査を得た後に、改めてこの部会で御審議いただく予定です。

○事務局 続きまして資料番号9-1及び9-2を御覧ください。報告事項、議題3、医療用医薬品の再審査結果について御報告します。資料9-1は、一般的名称はオロパタジン塩酸塩、販売名はアレロック錠2.5他4規格の再審査報告書です。資料9-2は、一般的名称はロラタジン、販売名はクラリチン錠10mg他2規格の再審査報告書です。これら2品目について、いずれも製造販売後の特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて、再審査申請が行われまして、審査の結果、医薬品医療機器法第14条第2項第3号に掲げている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない、カテゴリー1と判定したものです。報告事項は以上となります。

○吉田部会長 一部変更承認が1件、優先審査指定が1件、カテゴリー1の再審査結果について2件です。委員の先生方から御質問等がありましたらお願いします。

○奥田委員 レボフロキサシン錠の適応拡大に関する事項ですが、レボフロキサシン錠は御存知のように、昨年ジェネリックが発売されているわけですが、今回、第一三共のジェネリックのみが適応拡大になったというのは、これは開発要請された時点で、既に発売されていたのでしょうか。あるいは、ほかのジェネリックの会社への開発要請については、どういう今後の予定をされているのかということについて教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御質問は、第一三共ではない会社のレボフロキサシン錠も今回承認されているではないかというところだと思うのですが、これは第一三共エスファという会社で、言い方が正しいかどうか分かりませんが、第一三共の子会社という所で連携がとりやすかったということがあり、同時に承認申請をしてきたと理解しています。

○奥田委員 ということは、少し整理すると、第一三共エスファに対して開発要請をされたわけではなくて、これは独自に会社の判断で申請してこられたということで、手順としてはそういうことなのですか。そうすると、ほかのジェネリックの会社も同様に申請してくることはできるけれど、まだ上がってきていないという理解なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 開発要請は第一三共株式会社のみに対してされているところです。その他の後発医薬品の会社は、この適応がクラビット錠で承認された後に、必要があれば承認申請されてくるものだと考えています。

○奥田委員 できるだけ適応がそろうことが望ましいのではないかと考えられるので、その辺りについては、できるだけ御配慮をいただくべきかと思います。

○吉田部会長 御配慮の件についてはよろしいですか。

○審査管理課長 はい。こういった最近ジェネリックが存在する薬で適応の拡大といったことが行われて、今回のものは再審査がついていないという形で承認になりますので、比較的速やかに各社の申請が可能になります。漏れがないように、こちらからこういったケースについては指導するようにしていますので、先生が御指摘のとおり、ジェネリックも含めて、販売を広く、適応をそろえて使えるようにするということでやって参りたいと考えています。

○吉田部会長 ほかに御意見等はありますか。ないようですので、報告事項については御確認いただいたものとします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会について、御報告させていただきます。次回の部会は8月31()午後3時から開催させていただくので、どうぞよろしくお願いします。

○吉田部会長 それでは、本日は、これにて終了とさせていただきます。御苦労さまでした。

 


(了)

備 考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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