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2015年10月22日 第15回保険者による健診・保健指導等に関する検討会

○日時

平成27年10月22日 13時~15時


○場所

全国都市会館第1会議室


○議題

1.保険者共通のインセンティブ指標の検討について
2.平成25年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について
3.その他

○議事

○多田羅座長 定刻にはまだ1分ぐらいあるのですけれども、委員の皆さんほぼおそろいになりましたので、ただいまより「第15回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催させていただきます。

 委員の先生方には、お忙しいところ本日御出席いただきまして、まことにありがとうございます。私は座長を仰せつかっております多田羅です。本日、検討会が充実した審議ができますよう御協力よろしくお願いいたします。

 それでは、会議に先立ちまして、前回の開催から委員及び事務局の交代がございますので、本日の委員の出欠状況とあわせて事務局から確認をお願いいたします。

○医療費適正化対策推進室長補佐 それでは、まず、委員の交代について御紹介させていただきます。

 平川委員にかわりまして日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長の伊藤彰久様に御就任いただきました。また、本日御欠席でございますけれども、横尾委員にかわりまして、全国後期高齢者医療広域連合協議会副会長の細江茂光様、全国町村会行政委員会委員長・愛知県飛島村長の久野時男様に御就任いただいております。

次に、本日の委員の皆様の出席状況を確認させていただきますが、本日は井伊委員、今村委員、岡崎委員、佐藤委員より御欠席の連絡をいただいております。

 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方について御紹介いたします。細江委員の代理として伏屋参考人に御出席いただいております。

 また、本日はオブザーバーとして、東京大学政策ビジョン研究センターの古井先生に御出席いただく予定ですけれども、ちょっとおくれての御出席となる予定になっております。

なお、事務局にも人事異動がございまして、医療介護連携政策課長の城でございます。

保険課長の宮本でございます。

 国民健康保険課長の榎本でございます。

 それでは、城より御挨拶をさせていただきます。

○医療介護連携政策課長 失礼いたします。医療介護連携政策課長を拝命しました城でございます。よろしくお願いいたします。

 この会議もそうなのですが、医療費適正化対策という形では、今、安藤のもと、医療費適正化対策推進室で進めておりますが、その統括する課として医療介護連携政策課がございます。そこにこの10月から着任をいたしました。私は実は5年ほど前に医療費適正化対策推進室長をやっておりまして、そのときにちょうど保険者の支援金の加・減算をどうするかというところで非常に課題が多かったときに、この会議の立ち上げというか、再開に参画をさせていただいた記憶がございます。その後、ヘモグロビンA1cの基準が変わるのだけれども、どうしましょうかとか、そういったことの細かいところからお話をして、なかなか本題に入らなかった段階で私異動になってしまいまして、どうなるかなと心配しておりましたが、もうそれから、こうして制度も一応動き出して、さらに保険者の皆様方に御活躍いただくようなインセンティブのあり方について検討するというふうに回っておりました。本当に隔世の感がございますが、これも皆様方の御協力のたまものと本当に感謝をいたしております。改めてまた次に向けてということで、こういった会で御議論いただけるのは非常にありがたいと思っております。

本日は所用がございまして、途中で外しますが、引き続き、皆様方とこうした意見交換をさせていただいて、何らかの結論が得られる方向で参加できればと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。

○医療費適正化対策推進室長補佐 事務局からは以上でございます。

○多田羅座長 それでは、議事に入らせていただきます。議事の1でございます。「保険者共通のインセンティブ指標の検討について」、事務局から説明をお願いいたします。

○医療費適正化対策推進室長 医療費適正化対策推進室長でございます。お手元の資料1及び資料2に即しまして御説明をさせていただきたいと思います。

まず資料1として「保険者へのインセンティブについて」というタイトルの資料を本日配付させていただいておりますが、こちらにつきましては、前回この検討会で御議論いただいたことも含めでございますけれども、一たん今の後期高齢者支援金の加算・減算制度を含め、保険者へのインセンティブについての経緯についてまとめさせていただいておりますので、前回の検討会とも重なるところもございますが、改めて御説明をさせていただきます。

ページをおめくりいただきまして2ページでございますが、「保険者へのインセンティブについてのこれまでの指摘事項マル1」といたしまして、まさにこちらの検討会において、時点といたしましては、平成24年になりますけれども、現行の後期高齢者支援金の加算・減算制度について、運用の詳細を決めるに当たって御議論いただいたときに提起された課題について2ページはその概要を整理させていただいております。

4点ほど大きな課題として提起されてございまして、まず、1が、現行の後期高齢者支援金の加算・減算制度について、一部の保険者にある意味ペナルティーを課す仕組みとなってしまっているのではないかといったような課題が提起されているところでございます。

2といたしまして、特定健診・保健指導の実施に当たっては、保険者の規模、地域・職域の別など、保険者ごとに状況が異なる中で、一律に種別をまたいで実績を比較することは不適切ではないかといったような御指摘。

3が、特定健診・保健指導の実施率を指標とするに当たって、こういった実施が75歳以上の後期高齢者の医療費の適正化にどうつながるのかといったエビデンスに係る御指摘もあったところでございます。

4といたしまして、医療費の適正化に資する取組は、現行、特定健診・保健指導の実施率をやっているわけでございますけれども、それ以外にも保険者の取組としてあるのではないか。すなわちこういった単一の指標で保険者の取組を評価することは不適当ではないかといったような趣旨の御指摘もこの検討会の中で出されたところでございます。

続きまして、3ページでございますけれども、こちらは政府部内の動きになりますが、昨年、本年の「日本再興戦略」及び、いわゆる骨太の方針の中でも、こちらの保険者へのインセンティブについての指摘がなされておりますので、そちらについても御紹介させていただきます。

まず、一番上に書かれておりますのは、これは昨年になりますけれども、「日本再興戦略」の中で、「個人・保険者・経営者等に対する健康・予防インセンティブの付与」となってございまして、その中で保険者に対するインセンティブとしては、「後期高齢者医療への支援金の加算・減算制度について、保険者の保健事業の取組に対するより一層の効果的なインセンティブとなるよう、関係者の意見や特定健診・保健指導の効果検証等を踏まえ具体策を検討する」という指摘がなされたところでございます。

それから、下段に行きまして、これは今年の「日本再興戦略」でございますが、こちらの中でも保険者に対するインセンティブということで、「後期高齢者支援金の加算・減算制度や国民健康保険において新たに創設される『保険者努力支援制度』については、被保険者の健康の保持増進や医療費適正化等に向けた保険者の努力を促すよう、特定健診・特定保健指導実施状況や後発医薬品の使用状況等を積極的に評価するメリハリの効いたスキームとすべく、検討を行う。また、協会けんぽ、後期高齢者医療制度についても、新たなインセンティブ制度の創設に向けた検討を行う」ということが記載されているところでございます。

下段でございますけれども、今年の「骨太方針」でも「日本再興戦略」と同様の趣旨の記載がなされているところでございます。

次のページをごらんいただきまして、前回の検討会でも御議論いたたいたところでございますけれども、こういったこれまでのこの検討会での御指摘や日本再興戦略等々を踏まえまして、また、今年の医療保険制度改革関連法において、国保の保険者努力支援制度が創設されたこともあり、今後の保険者に対するインセンティブの仕組みでございますけれども、それぞれの種別の特性に応じた新たなインセンティブ制度に見直すこととさせていただいているところでございます。

その下にイメージ図、これは前回の検討会でも配付させていただいたものと同様でございますけれども、イメージ図をつけてございます。現行は平成29年度までになりますけれども、今と同様、後期高齢者支援金の加算・減算制度ということで、指標といたしましては、特定健診・保健指導の実施率を指標といたしまして、29年度まで行っていくということでございます。

他方、平成30年度以降は、今、申し上げましたように、それぞれの保険者の種別ごとに制度が切り分かれまして、それぞれの制度の中で、このインセンティブを評価していくということで考えているところでございます。ただ、一方で、制度としてはそれぞれの種別ごとに動かしていくのですが、およそ保険者であれば、共通の評価をする指標も考えられるのではないかということで、共通の評価指標につきまして、この検討会で本日を皮切りに御議論をいただきたいと考えているところでございます。

次の5ページ以降でございますが、現行の仕組みも含め、平成30年度以降にそれぞれの種別でどういった仕組みでこのインセンティブを実施していくのかということについて、現時点、これから検討というところも多々ございますけれども、その概要について5ページ以降でまとめておりますので御説明します。

まず、5ページは、これは今の後期高齢者支援金の加算・減算制度についてでございます。こちらは御案内のとおりでございますが、1点、今後共通的な指標を検討するに当たって留意するべき点にもなるということで、概要に書かせていただいておりますが、後期高齢者支援金の加算・減算制度につきましては、75歳以上の高齢者の医療費の適正化に資する保険者は全体の保険者の財政にも貢献していると考えられること等から、保険者の高齢者の医療費に対する適正化の努力を支援金に反映する仕組みとして、18年の制度改正で設けられたものでございます。もちろん取組の評価は今の足元の取組の評価ではかるわけでございますけれども、実際それが主として高齢期の医療費に対してどういった効果があるかという観点で、後期高齢者支援金の加算・減算制度で指標が位置づけられているということ。若干留意が必要ですのでその部分だけ概要に書かせていただいております。

次のページをごらんいただきまして、6ページでございますが、続きまして国保でございます。「保険者努力支援制度」ということで、これは今回の制度改正の中で新しく創設された仕組みでございます。概要といたしましては、「保険者努力支援制度」を今回創設いたしまして、医療費適正化への取組や国保が抱える課題への対応を通じて保険者機能の役割を発揮してもらう観点から、適正かつ客観的な指標に基づき、保険者としての努力を行う自治体に対し支援金を交付する。その際、支援金につきましては、保険者の努力を判断する指標を踏まえて交付額を決定するという仕組みが設けられているところでございます。

具体的な制度の中身につきましては、今後、地方と協議の上決定する予定になってございますけれども、おおむねこの保険者努力支援制度に用いる財源、交付金の規模は、700800億円程度を想定させていただいているところでございます。実施時期といたしましては、法律の施行時期になりますが、平成30年度からということになってございます。

「ただし」ということで「」を書いてございますが、基本は30年度以降「保険者努力支援制度」という形で実施していくわけですが、保険者努力支援制度の趣旨を現行補助制度、具体的には今既に動いております特別調整交付金に前倒して、平成28年度から前倒して実施することを考えているところでございます。

 続いて7ページでございますが、今度は協会けんぽでございます。「都道府県単位保険料率」と書いてございます。こちらは現在御案内のとおり協会けんぽにつきましては、それぞれの都道府県ごとに設けられております支部単位でいろいろ事業等を行っているところでございますけれども、上段に書かれておりますように、協会けんぽでは各支部の加入者の年齢構成、所得の調整を行った後の「医療の地域差」を反映した都道府県単位保険料率というものを設定しているところでございます。

今後、30年度以降になりますが、協会けんぽにおいても、支部単位で設定している保険料率の設定に当たって、それぞれの支部の医療費適正化等々の取組状況等を考慮して、各支部にさらなる保険者機能を発揮してもらうインセンティブイブを設けるということで考えているところでございます。こちらも先ほどの国保と同様に、今般の制度改正で新たに設けられているものでございますので、具体的なところについては、今後、検討を行っていくということで考えているところでございます。

資料1の最後の8ページになりますが、国保組合と後期高齢者医療広域連合会についてでございます。

まず、国保組合のほうは今現在もある仕組みでございますが、特別調整補助金という形で国から一定額を国保組合に流しているところでございます。今後、こちらは運用上の対応になりますが、医療費適正化努力を促すために医療費適正化の取組を評価し、保険者としての努力を行う国保組合に対して特別調整補助金を交付することで考えているところでございます。こちらにつきましても、具体的なところについては、今後関係者等々と調整の上、検討を行っていくということで考えてございます。

後期高齢者医療広域連合についても同様の形でございますけれども、こちらも現在、後期高齢者医療広域連合会に対して、実際に国から交付しております特別調整交付金がございますので、今後、交付に当たって医療費適正化の取組を評価して、保険者としての努力を行う広域連合に対して交付金を交付するという形に運用上の見直しを行っていこうということで考えているところでございまして、こちらの具体的なところについては、今後検討を行っていくということで考えているところでございます。

以上が資料1でございまして、続きまして資料2をごらんいただきたいと思います。「保険者共通のインセンティブ指標の検討について」ということで、今、資料1を用いまして、これまでの経緯等々について御説明させていただきましたが、今回、この検討会において、今、申し上げましたように保険者共通のインセンティブの指標となる項目について御検討いただくと。本日は1回目ということでございますので、まずもって具体的な指標を提示することではなくて、指標を検討していくに当たっての考え方や視点ということで案をまとめさせていただいたものが資料2でございます。

ページをおめくりいただきまして2ページをごらんいただきたいと思います。まず、基本的な考え方として3点「○」で書いてございます。

医療保険加入者の予防・健康づくりを進め、ひいては医療費適正化を進めることは、医療保険者共通の重要な役割(責務)ではないかと考えてございます。

保険者へのインセンティブの仕組みは、もちろん制度によって異なる部分もございますが、基本的にはこうした保険者の役割を促進するための1つのツールとして検討していくべきものだろうと考えているところでございます。

したがって、保険者共通のインセンティブ指標を検討していくに当たりましては、現行の特定健診・保健指導に限らず、より幅広い観点から保険者が共通的に今後進めるべき予防・健康づくりや医療費適正化の取組が何なのかということを明確化した上で、さらに今から申し上げます視点(留意点)を踏まえて検討していくことが必要ではないかということで基本的な考え方を整理してございます。

2.でございますが、今後指標を検討するに当たっての視点ということで、大きく4点ほど提示をさせていただいております。

 まず、1点目、日本健康会議や骨太方針2015等からの提案を踏まえ医療費適正化や予防・健康づくりに資する取組を進めるための指標とする必要があるのではないかと書いてございます。

大変恐縮でございますけれども、資料おめくりいただきまして5ページをごらんいただきたいと思います。今、申し上げました「日本健康会議」、既に御案内の方もいらっしゃるところでございますけれども、日本健康会議の説明資料を5ページ以降で概要をつけてございますけれども、日本健康会議というのは、経済界・医療関係団体・自治体といった民間の方々のリーダーが手を携えて健康寿命の延伸とともに医療費適正化を図ることを目的として、具体的には自治体、企業、医療保険者における先進的な予防・健康づくりの取組を全国に広げるために、今年の7月10日に発足した会議でございます。

次の6ページをごらんいただきますと、メンバー表が載ってございますけれども、経済界、医療保険者の方々、医療関係者、学識、マスコミ関係者等々およそ予防・健康づくり等にかかわりの深い方々の団体のトップでこの会議自体は構成されているものでございます。

7月10日に今回会議が開かれたわけでございますけれども、7月10日の会議の中で、7ページでございますが、「健康なまち・職場づくり宣言2020」がこの会議において採択されているところでございます。こちらの宣言は、オリンピックが行われる2020年に向けて、先ほど御紹介いたしましたメンバーの方々が連携して取り組むべき具体的な取組を宣言1~宣言8までの形でまとめたものでございます。一定、数値的ないわゆるKPIみたいなものを置けるものについてはこの宣言の中に入っているところでございます。例えば宣言1のところをごらんいただきますと、こちらは「予防・健康づくりについて、一般住民を対象としたインセンティブを推進する自治体を800市町村以上とする」といったような形。宣言2を見ますと、「かかりつけ医等と連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を800市町村、広域連合を24団体以上とする。その際、糖尿病対策推進協議会等の活用を図る」といったような形で、地域・職域にまたがるところでございますけれども、今後こういった宣言に則して2020年に向けて取組を進めていこうということが、今年の7月10日の日本健康会議の中で採択が行われているところでございます。

恐縮ですが、ページをお戻りいただきまして2ページを再度お開きいただきたいと思います。今、申し上げましたような、日本健康会議で、こういったような宣言も採択されていることを踏まえまして、さらに骨太2015の中では、後期高齢者支援金の加算・減算制度の運用面での強化など保険者における医療費適正化に向けた取組に対する一層のインセンティブ強化について制度設計を行うというふうにされていったようなことも踏まえまして、今後、予防・健康づくりや医療費適正化に資する取組を進めるための指標としていくことが必要ではないかということを1点目の視点として書いてございます。

それから、2でございますが、全ての保険者で進めているデータヘルスの動きを踏まえる必要があるということで、データヘルスにつきましては、御案内のとおり、今、保険者において、26年度から計画策定を始めて進めているところでございます。まずは29年度までの3年間を計画期間として実施して、30年度からの本格実施ということをこのデータヘルスは目指しているところでございます。このため、保険者共通のインセンティブの指標の検討に当たっては、こういったデータヘルスの今後の動き、具体的にはスケジュール感みたいなものも踏まえながらこの取組を推進する、ある意味底上げする方向で検討していくことが必要ではないかということを2番目の視点として書かせていただいているところでございます。

それから、3ページへまいりまして、3といたしまして、これは留意点に近いような視点でございますけれども、保険者種別ごとのインセンティブの仕組みの趣旨・内容の違いを踏まえる必要があるということで、先ほど資料1で御説明させていただきましたが、30年度以降、それぞれインセンティブの仕組みは種別ごとになるということでございます。これらの仕組みについては、もちろんその趣旨・内容において細かくは異なるところもございますので、当たり前のことでございますけれども、それぞれ共通指標を検討するに当たっては、それぞれの趣旨・内容と矛盾を来さないように検討していくことが必要ではないかということを3つ目の視点として書いてございます。

4も、ある意味、言わずもがなでございますけれども、保険者種別ごとの加入者の健康課題の違いを踏まえる必要があるということで、種別によって加入者の平均年齢も異なってまいりますので、当然健康課題についての違いがある場合もございます。今回、共通的な指標ということで検討していくことになりますので、やや種別的な健康課題の違いみたいなものは、ある意味当然のことですけれども、踏まえて検討していくことが必要ではないかということを4点目の視点として整理させていただいているところでございます。

本日はまさに提示させていただきました基本的な考え方や視点を参考にしていただきながら、ややフリーディスカッション的に御意見を賜れればと考えているところでございますが、3ページの下の「*」で書いてございますように、次回の検討会におきましては、インセンティブ指標の具体的な案を事務局からできるだけ幅広く提示をさせていただきまして、もう少し具体的な御議論をしていただきたいと考えているところでございます。

また、その際、これはまた次回のときに申し上げますけれども、仮に共通的な指標とすることが適当でないものであったとしても、種別によっては指標とすることが適当と考えられるものもあると思いますので、次回の検討会での議論に当たってはそういった点も含めて御検討いただければと考えているところでございます。

最後のページになりますけれども、4ページでございます。「検討スケジュール(案)」ということで、今後のおおむねの検討スケジュールを書かせていただいております。第1回目は本日でございますが、今、御説明したような内容、主としてこの指標を検討するに当たっての目的・視点を資料として提示させていただいておりますので、これも踏まえながら本日御議論いただきたい。

先ほどの話とも重なりますけれども、第2回目、11月を予定させていただいておりますけれども、11月の会議では具体的なインセンティブの指標の案、考え方をやや幅広に、これは事務局から提案させていただきたいと思いますので、そちらを使って御議論をいただきたい。

第3回目、調整できれば12月に開催させていただきたいと思っておりますが、そこでおおむね共通のインセンティブの指標をどうしたものとしていくかということについて、一定の方向性をこの検討会でお取りまとめいただきたいと考えているところでございます。

その上で、この検討会での議論を踏まえまして、今度はそれぞれの種別ごとに、まだ制度の各論についてはでき上がってございませんので、それぞれの検討の場が設けられてございますから、それぞれにおいて具体的な基準等について検討を行っていただく。そちらのほうが一定程度まとまりましたら、また、この検討会にその成果について共通認識を持っていただくためにも御報告をさせていただきたいといったような、おおむねのスケジュール感としてはそんなような形で今後議論を進めていただくことを考えているところでございます。

 事務局としては以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。「保険者共通のインセンティブ指標」という概念が説明されました。おおよその観点については、今、室長から詳細にお話いただきましたので御理解いただけたと思いますが、本日はこの指標というものについて、どのように考えていけばいいのか、どういうことが考えられるのか、委員の皆さんに御意見をお伺いするのがメーンの今日の会の目標でございますので、よろしくお願いいたします。

議論を始めるに当たりまして、私も座長として、余り立派な座長ではないのですけれども、口火を一言切らせていただきたいと思っております。私の意見ですけれども、インセンティブというのはなかなか難しい言葉かと思うのですけれども、考えてみますと、我が国の国民の健康づくりは昭和58年に始まりました、老人保健法による市町村の保健事業というのがございます。主なものは基本健康診査として平成20年から今回の特定健診・保健指導が始まるまで30年、日本人の健康づくりの基盤として大きな役割を果たしてきたものでございます。それが今回の高齢者医療確保法が平成18年に制定されまして、これまで市町村の保健事業として行われてきた保健事業、まさに税金を財源として行われてきた国民の健康づくりの事業が高齢者医療確保法によって、保険者によって行われるということになりました。つまり保険料で、税金は使わないということなわけですね。

このことは非常に画期的なことであり、国民の健康づくりが保険者によっておこなわれるというのは、国民自身によって進めるという道筋が示されたものとして非常に画期的なものであるかと思います。しかし、市町村の保健事業の場合は、これは税金で市町村が行うものですので、簡単に考えますと、国の行政機構を使って上意下達的な行政の仕組みとしてこの事業の推進といいますか、その実態であるとか、状況というものを把握し、事業を進めることができたということがあったと思います。市町村が主体ですので、行政の上意下達の機構のもとに推進していくことができたというわけでございます。それが現に大きな成果も上げてまいりました。しかし今回、保険者になるということになりますと、これは国といえども上意下達のそういう行政の画一的な形で事業を推進したり事業の成果を見ることはできないということがあります。つまり保険者自身の努力による事業として進むものでございます。ですから、今日も室長の言葉の中でも、「保険者の固有の事情」という言葉がございましたが、固有の事情というのがあるということを非常に強調されました。

そういうことを踏まえながら、従来のように市町村という機構を使っての管理、状況把握ができないとすれば、保険者によって進めていただく事業の推移をどのような指標によって把握し、どのような指標を見ながら推進していくのかということが、保険者に固有の事情がございますので、一律にそこのところのことを決めることは難しいということですので、国のほうから一応の原案は出てくると思いますけれども、特定健診・保健指導という、それぞれ固有の役割と特徴を持つ保険者によって推進される事業をどういう指標によってその推移、その実績を評価していくのか。あるいはその評価に基づいて、それなりの課題を抽出していくということが、まさに保険者による保健事業だからこそ問われているところかと思います。

そういう意味で、固有の事業の状況を見ていく指標というものは、この検討会で、保険者の皆さんが同じテーブルで、こういうことで見ていこうではないかということで御議論いただく必要があるのだろうと思います。そういうことで、国が今日のこういう場を私は用意したのだろうと思います。

それをインセンティブ、指標と言っているわけですが、インセンティブという言葉は非常に微妙な言葉でございます。何となしにちょっと餌をぶら下げているような言葉でもありますので、先ほども室長に、インセンティブというのはちょっと微妙な言葉ですね、と言ったのですけれども、ですからインセンティブという言葉の意味合いは微妙なところございますが、私は税金制度ではない、保険制度の下で、それぞれ固有の特徴と役割を持つ保険者が推進していくものではあるけれども、全体として、お互いに理解し合いながら、国の制度として育っていかないといけないという点において、それぞれ固有であるけれども、全体の評価ができる、そういう指標というものを考えたい。それはちょうど制度に血液を流すようなもので、腎臓もあり肝臓もあり、肺もあって、それぞれ機能があるのだけれども、同じ血液が流れていて、1つの人体というものができている。そういう特定健診・保健指導というものが育っていかないといけない。健保組合があり、国保があり、それぞれ大きな役割を果たしているけれども、国民の健康づくりというものが1つの実態として、人間の体の全体のように育っていかないといけない。だから固有の役割を尊重しながら全体との関係を見ることができる指標をつくるというのは、この検討会のまさに実質的な第一歩であると私は思います。それまでの実績があって成果が上がるということですから、この成果をどのように育てていくのか。そして固有の保険者が協力しながら1つの指標を大事にして全体で育っていこうではないかというところを、このインセンティブ、指標ということの中で考えていただきたい。全体と部分という関係の中で、それぞれの保険者の固有の役割というものもございますので、そういうものを見ながら、この事業をどのような指標で育てていけばいいのかということとして考えていただければいいのではないかと思っております。

室長から詳細な内容を御説明いただいておりますので、私が申し上げていることは蛇足になるかもわかりませんが、座長としては、固有の保険者が担うというところは画期的であるけれども、その固有の保険者が協力して、全体として1つの制度を育てていくためにはどのような指標がいいのかといったことを全体として考えなければならないということではないかと思う次第です。これはもちろん私、座長というよりも一人の委員としての意見でございます。

ちょっと長くなって申しわけございませんでした。そういうことを申し上げて議論に入らせていただきたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ、白川委員。

○白川委員 座長が前向きな議論をやろうと呼びかけていただいてありがたいのですけれども、具体的な議論に入る前に少し論点を整理したほうがよろしいかと思いまして、質問をさせていただきます。加算・減算とかインセンティブというと、現在は特定健診・保健指導の加算・減算に直接的に結びついた制度があるわけですけれども、これは、高確法で加算・減算をすると定められているもので、この法律が廃止されるまでは加算・減算は続けなければいけないということで間違いないですね。

 今回、厚労省が問題提起されているインセンティブは、これにとどまらず、資料2の1ページ目の一番上に基本的考え方として、「特定健診・保健指導に限らず、より幅広い観点から保険者が共通に今後進めるべき」だと。それは私も全面的に賛成なのですが、そうするとこのインセンティブの仕組みは、特定健診・保健指導の加算・減算とは別の枠組みということで議論を進めるのかどうか。また、特定健診・保健指導の現在の加算・減算制度の位置づけはどういったお考えなのか、どうもイメージがわかないのですが。

以前、財政審等の話でも、特定健診・保健指導の加算・減算システムを少し幅を広げるとか、後発医薬品の使用割合を評価するとかいろいろありましたね。あれは高確法に基づく加算・減算システムで、後期高齢者になったときの医療費を将来的に抑制する努力を評価しましょうという考え方ですが、そういう意味から言うと、広域連合は対象にならない、そういう仕組みになっているはずなのです。

ところが今回はそうではなくて、多分広域連合まで含めて、国民全体の健康づくりとか、予防ということでインセンティブを与えようという話ですね。ですから全く別物と考えていいのか。その方向で検討を進めるというのであれば、別に法律を制定するのか、あるいは特定健診・保健指導の法律はもう廃止するのかという点が、整理つかないものですから、その辺についてお考えを伺いたいのですけれども。

○医療費適正化対策推進室長 確かにわかりづらいところがあって、しかも29年度までは今の仕組みで流して30年度から切りかえるという話をしてしまうものですから、若干その辺のところが混乱を来してしまうという御指摘ありましたけれども、いずれにしても、次回、資料としてはきちんと整理して、そこについてはもう少しわかりやすく御説明させていただきたいと思いますけれども、本日は口頭で御説明させていただきますと、先ほど白川委員おっしゃられましたように、高確法に基づく加算・減算制度は、別に今回の法改正の中で削除しているわけではございませんので、法律上の規定としては30年度以降も引き続き残ることになります。

ただ、今は対象となっている保険者は全保険者、厳密に言うと、後期高齢者医療広域連合を除いた国保、健保組合がまさに対象として今の制度動いているという形になっているのですけれども、今後、まず高確法の加算・減算制度の部分については、政令や省令の中で対象を決めているところもございまして、政令や省令の中で、後期高齢者支援金の加算・減算制度の実際に対象となる保険者種別の限定をかけていくことを、まだ、これはやっておりませんけれども、今後、そういった政令以下の改正を行うことを考えているところでございます。

結果的に後期高齢者支援金の加算・減算制度については、本日、資料でもお配りしましたように、健保組合と共済組合がまさにこの制度の対象になってくるという形に変えていくということを、まず制度的な話になりますけれども、そういったことを考えています。

それとは別の仕組みとして、保険者努力支援制度ですとか、それぞれの種別ごとによってそれは若干異なってまいりますけれども、それぞれの種別の中の仕組みの中で保険者の努力を評価していくといったような同様の仕掛けを、既に法律改正で設けられているものもございますし、今後、検討していくものもございますけれども、先ほど申し上げましたような制度をつくっていくということで考えているところでございます。

○白川委員 そういう回答ですとちょっと悩ましいのですけれども、例えば協会けんぽと健保組合は特定健診・保健指導の加算・減算という限定で、政令を変更するという話はありましたが、基本的には特定健診・保健指導に限定した形での効果指標をどうしようかという話にとどまってしまうのではないかと思っているわけです。

それと国保等に対する特別調整補助金はいわゆる医療費の適正化以外の要素も入る可能性はありますよね、まだ決まってないですから。そういう全く性格の違うもので共通の効果指標と言われてもなかなか議論が進まないのではないかというのが私の問題意識なのです。最悪、被用者保険と国保とを分けるという話ももちろんあり得ると思いますけれども、ほかの法律で縛られたもので、共通のインセンティブと言われても、なかなか議論がかみ合わないのかなという懸念を持っているのですけれども、違っていますか。

○医療費適正化対策推進室長 すみません、説明に舌足らずのところがありまして申しわけございません。もう一点だけ補足させていただきますと、今現行は後期高齢者支援金の加算・減算制度というのは、特定健診・保健指導の実施率でも御案内のとおり評価をさせていただいておりますけれども、今後は後期高齢者支援金の加算・減算制度についても対応としては下位法令、政令以下での話になりますけれども、見直しをかけていくことを考えてございまして、特定健診・保健指導の実施率に限らず、先ほど書かせていただきましたように、もちろん制度の趣旨には照らして合致するようなことは当然前提となりますけれども、もう少し幅広い、予防・健康づくりや医療費適正化の観点からの評価する指標を入れていくということを、後期高齢者支援金の加算・減算制度についても今後考えていきたいと思っているところでございます。

○白川委員 ちょっとしつこいようですけれども、例えば特定健診・保健指導の加算・減算の仕組みというのは、被用者保険だけではなくて国保もあるわけですね。

○多田羅座長 今はね。

○白川委員 それはどうされるのですか。国保のほうはそのまま残すのですか。

○医療費適正化対策推進室長 そこについては、端的に申し上げますと、下位法令で適用除外の規定というのがあって、要は市町村国保ですとか、そういったところについては適用から外すということを、それは政令以下の対応が必要になりますけれども、そういうような制度改正を行うということを考えているということでございます。今でも、例えば小さい保険者さん、数が非常に小さい保険者さんというのは適用除外されていて、対象から外れておりますね。まさにそういったことで下位法令の中でやっておりますので、今、そういった規定を定めているところに市町村(国保)、国保組合ですとか、協会けんぽ、そういったものについて、適用除外の規定を活用して対象から除外するということをやろうと考えているということでございます。

○白川委員 要するに言いたいのは、そもそも加算・減算制度について、それが後期高齢者の医療費の適正化に寄与するという思想でこの法律がつくられていますね。その法律の趣旨は被用者保険だけやって国保は適用しないということですね、今の御回答は。

○多田羅座長 私は、しゃしゃり出ない方がいいかもわかりませんけれども、白川委員、加算・減算というのは、最初から座長として議論にずっと参加させていただいて、非常に大事なところだと思っているのですけれども、先ほど申し上げましたように、保険者でこの制度を担っているわけですね。各保険者というのは全国の市町村にあるように上意下達的に一律に管理できるものでありません。それぞれがそれぞれの役割と特性を持っている。その保険者の皆さんに制度を担ってもらうということは非常に大事なことですし、画期的なことですね。しかし、各保険者が主人公なのだけれども、1つの全体の制度の中の一部を担っているという面も何とか理解いただきたい。そのために加算・減算というのは保険者間に流れているような血液のようなものだと思うのです。量は余り大きくないですけれども、加算・減算制度によって、1つの体の中の一部を担っているのだということが担保される。だから、成果が上がってないと、若干の血液が流れる、そういう横の関係が存在している。そういう格好で何とか全体が、1つの制度の下にあるということを、それぞれ固有なのだけれども、全体性を持たせていくという、そのための苦労であると理解いただきたい。だから、そのために血液を流す制度を制定したと理解いただきたいと思います。

ところが実際に運営してみると、保険者間の固有性が想像以上に大きかったのですね。だから、その大きい、固有性がある団体の間で血液を流すというのはどうも無理があったと国は、白川委員にも厳しく言われることもありまして、考えた。保険者間の固有性というものを若干超えているのではないか、共通に血液を流してしまうことが、現状では無理であると国は考えた。それで今回はやや共通性のある、行けるところはそれでやっていただいて、国保のように、ほかに国との関係があるところは、そこはそういう意味で現状では固有性を認めた方がいいと考え、それぞれの保険者の固有性をもう少し担保させていただく時間をつくって、そのために今までに一律にやっていた加算・減算制度は少し修正して、やれるところは、もともとの思想は血液・血管を通したいということですから、それは何としても育てたいというところはあると思うのですね。

だから、団体の固有性のところで、政府が今、反省して、かなり反省があって、固有性を少し厳しく見過ぎて、それで白川委員に指摘されるように、ちょっと下がり過ぎている。これでは下がり過ぎではないかと指摘受けているような感じですか。

○白川委員 すみません、私ばかり時間をとって申しわけないです。私も今、座長のおっしゃることはよくわかります。ただ、法律が適用されているその中で4,000万人を適用除外という対応はおかしいと思うのです。つまり、私が言いたいのは、それだったら特定健診の加算・減算制度そのものを廃止して、新たに新しい枠組みでどういう効果指標があるかと、その中に特定健診の実施率などを入れてもいいと思うのです。むしろそういう形でそろえたほうが、すっきりするのではないかと思います。

○医療費適正化対策推進室長 重々反省させていただいているところでございますけれども、白川委員がおっしゃっていることは、ある意味ごもっともで、確かにそういう形にしたほうがすっきりした仕組みにはなると思っているのですけれども、現時点の到達点としては、やや、いびつなところがあるというご指摘については、そこはご指摘のとおりかなという感じがいたしますけれども、それぞれの制度は分かれてしまうのですけれども、ただ、予防・健康づくりや医療費適正化を目指すというところでは、ある意味共通項だと思いますので、そういったことについては、それぞれの制度の中できちんと保険者の取組を促していこうということで、ある意味、完全に違う仕組みにならないように、今回こういった検討会で、やや横軸的に評価するような指標を検討させていただきたいということで議論させていただいているところでございます。

○白川委員 議論が白熱し大変申しわけないです。繰り返しになりますが、要するに考え方が法の趣旨と違うのではないかと私は思っているのです。特定健診・保健指導は後期高齢者になったときに医療費が適正化できるようにということで加算・減算の仕組みをつくったということですね。ですから、それにかかわらないものを特定健診・保健指導の加算・減算の中に入れると法の趣旨に反することになるから、逆にそれを外してしまって、後期高齢者になってからの医療費の適正化に資するとか、資さないとかに限定するのではなく、幅広く健康づくりや予防ということで指標を議論したほうが、国民全体にとってもいい話ではないのですかという趣旨とともに、法律の趣旨は守らなければいけないので、制限をつけられるのはいかがかなと思っています。

○多田羅座長 わかりました。これはかなり根本的な議論ですので、大事な議論かと思います。ちょっとほかの委員の意見も。

○白川委員 すみません。

○多田羅座長 申しわけございません。今のことに関連して、お聞きした方がいいと思いますので、ほかの委員の方にお願いします。どうぞ、吉田委員。

○吉田委員 総合健診医学会の吉田でございます。白川委員の意見にかなり近いのでございますけれども、予防医学の効果を見るという段階では1次予防から3次予防まできっちり広いスペクトルが必要であるかと思います。そういう点で今までの後期高齢者の問題は、特定健診というフェーズで見ているわけですので、それを拡張したときにどういった法体系にするかというのは大きな検討課題かと思いますし、それをすっきりするというのは納得感とか、そういうことを考えますと必要なのかと考えております。ぜひ、その後にも幅広い要素が保険診療に影響するという観点を含めまして、それをインセンティブ評価指標をうまく整理していただけるとうれしいのかなと考えております。

○多田羅座長 わかりました。深井委員。

○深井委員 別の観点から、今回の厚生労働省の資料2の1ページの「基本的な考え方」についてです。医療保険加入者の「予防・健康づくりを進める」ことを、進めるということは取組と理解すれば、「予防・健康づくりの取組を進めるため」のインセンティブを特定健診・特定保健指導に限らず、幅広く検討してはどうかというように読めますので、その点は大賛成です。

その際に、保険者共通のインセンティブ指標ということを考えるときに、どういった基本的要件があるかという観点からお話をさせていただきます。要件の1つは病気で見れば疾患量やニーズが高いかどうか。2点目が取り組みやすいものであるかどうか。3点目は効果がはっきりしているかどうか。こういうようなことは基本的に考えないとならないと思います。そして、効果という場合に、予防とか健康づくりをするときに予防できないものに取り組んでも余り意味がないので、本当に予防できる疾患、予防できる健康課題ということを対象にすることが前提です。そして、1つの疾患とか1つの取組が他の疾患の予防とか、その分野の取り組みに波及するかどうか、そういう効果の考え方もあります。これら3点ぐらいを保険者共通のインセンティブを考える際の要件というか、考え方ではないかと思ったところです。

そのような観点から、例としてお話をしたいのですけれども、例えば歯科疾患は、平成に入ってから子供のむし歯が劇的に減少しているようにむし歯は減ってきています。また、中高年の中等度以上の歯周病も減少していることは国の調査等でも明らかにされてきています。なおかつ「8020運動」のように、平成元年スタートした当時は、80歳で20本以上ある人は約7%だったものが、最新の調査である平成23年には約40%まで上がってきています。このように歯科疾患というのは確実に予防できる疾患です。ただ、その一方で、まだまだ罹患率とニーズが高い分野です。しかも日本は国民皆保険制度ではあっても、まだ歯科疾患で見ると、歯科疾患とか歯科医療の受けやすさという点では社会経済的な要因が影響しています。

そんなことが、例えば医療費全体から見ると、今、40兆円の医療費の中の歯科の占める割合は6.7%ですけれど、保険者種別に見ると、歯科の占める割合が保険者種別ごとに異なるというようなことも歯科疾患の特性とか皆保険制度の中の社会経済的な要因みたいなことが関連しているのだと思います。

先ほど言った3点目の効果の点から言うと、例えば歯科医療機関を受診する歯科患者数は毎日130万人いて、月単位で見ると受診者数は約1,000万人となります。その歯科受診者の中には糖尿病や、高血圧や肥満であったり、高脂血症等の患者さんがいます。どれぐらいいるかというと、1万2,000人を対象とした歯科の初診患者の調査が今年公表されているのですけれども、それを見ると6064歳で糖尿病の治療を受けている人が8.4%、心疾患の治療を受けている人が3.7%、高血圧の人が26.6%、高脂血症が13.1%、肥満が2.2%となっています。エビデンスからみると、例えば歯科治療で定期的に歯石除去を受けている人は、約2万人を対象とした7年間のコホート調査で心血管イベントが起こるのが20%減という報告があったり、あるいは地域住民を対象としたコホート調査でも、歯の数が少ない人のほうが死亡率が1.3倍であったり、死因から見ても、歯の数が多い人は、心血管疾患による死亡が少ないというようなエビデンスが示されています。このように歯科疾患とか口腔保健に対する取組は、歯科疾患の予防を目的として行っても、得られる成果は、プラスアルファの効果があります。プラス効果と、エビデンスが高いものを共通の取組の中に入れたらどうかというふうに考えます。

歯科疾患というのは、今、例で申し上げたのですけれど、そういうような視点はあるのではないかと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。津下委員。

○津下委員 基本的な考え方として、今、深井委員がおっしゃったように、保険者さんには改善できる病気についてしっかりと予防対策をしていただくことが重要です。現状、保険者が一人の人を一気通貫で生涯にわたってみるということではなく、保険者をリレーしていくという制度上の課題があります。ということは前の保険者さんが一生懸命予防対策をやっていただかないと、次の保険者に移った後に重大な病気が発生し、そこに医療費がかかるという問題があります。保険者間でうまくリレーがいくようなインセンティブ、それぞれの保険者がしっかり予防対策をしていくことで生涯がつながっていくという考えに基づいて制度を考えていくことが必要だと思います。

共通の指標についてですが、制度が変わっても人間の体は連続しており、予防法が急に変わるというわけでもなく、共通の医学的な観点でしくみを考えていくことも重要と思います。また、今回は保険者に対するインセンティブなので、保険者が実施し得ることという範疇で指標を組んでいく必要があるかと思います。例えば健診とか保健指導の提供とか、効果を上げる方法を実施するのは保険者が中心となって動けることなのですけれども、例えば医療の提供体制までは保険者さんが変えられないとすれば、そこまで影響が及ぶような指標を入れることは望ましくないと思います。保険者さんの努力で改善し得る指標について共通項目を考えていくのが非常に重要なのかと思います。

それから、一方では保険者さん単独で保健事業をやっているわけではなく、健保では会社、企業、事業主と一緒に行う。国保では衛生部門と行う。後期では介護との関係というものが出てくると思います。保険者が頑張るべき事業と保険者がほかのステークホルダーというか、ほかの関係者に働きかけて、そこを巻き込んで動かせることもあるかと思います。そういう環境要因といいますか、活用できる資源等も考慮した上で、保険者さん別に特徴のある指標を検討していくことも必要なのかなと思います。その点でデータヘルス計画では、保険者みずからの事業と、例えば市町村の国保であれば衛生部門が実施している事業がどんなものがあるのかという既存事業を調査した上で、足りない取組を実施するとか、そういう形で行っていますので、データヘルスの動きをしっかり推進しながら、それと連動させた項目を考えていくことが重要なのかと思います。

 

もう一点、指標をどう評価するのかという点ですけれども、もともと良好なところ、低いところが上がったケース、低いままの場合などのケースがあるので、何に対してどういうふうにプラス評価をしていくのかというのもまた論点になるかなというふうに考えています。

以上です。

○多田羅座長 ありがとうございます。保険者共通のインセンティブを育てて、この制度全体をフォローし育てていこうではないかというのが、基本の今、我々が検討しているところだと思います。加算・減算制度が最初にかなり衝撃的に出てきたところもありまして、白川委員がおっしゃるように、いろんな御意見があったわけでございます。それを国のほうは若干反省して少し引き過ぎた、私の立場から見ると、そういうような御意見のようにもお伺いしたのですけれども、国もそこは相当苦労されているということは私も横から見てわかりますので、何とか加算・減算制度も残しながら、という感じになっていただきたいと思うのです。どうぞ。

○伊藤委員 連合の伊藤です。2年ぶりに参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど白川委員から問題提起ありましたことについては、私どももずっと問題意識を持ってきた点でありまして、前回示された資料を見ましてちょっと驚いたところであります。資料1の4ページの仕組みですが、加算・減算をやめるのかと思って見ていたのですけれども、4ページ見ますと、健保組合・共済組合だけ加算・減算やるということなのですね。国保から右側にあるところは国とのお金のやりとりの中で努力を反映させるということで、これは高確法の加算・減算の仕組みとは全く違うものなのかなと思っていたところで、今日の説明では一部残す、ほかは適用除外と、こういう仕組みは、法の趣旨に照らして、もともと想定されていたものとは違うと言わざるを得ず、きちんとした法律の議論が必要だと思っています。

また、資料の絵を見ると、加算・減算の仕組みをそのまま使うのは健保組合と共済組合ということですけれども、このグループだけで行うことになると、なかなか保健事業を行えていないような弱小健保とか総合健保が、優良な健保といいますか、共済とか健保のための財源を出すという役割を一手に担うというような形になりかねないわけですね。前回の議事録を見ましたけれども、そういう弱いところに対する支援が入っている中で、ここに負担しろというのはまさに矛盾していると思いますし、資料を見て、今のところ全く理解ができていない状況です。

また、共通の指標を設定することと保険者種別それぞれの特性に応じた新たなインセンティブ制度を設けるということとの関連がまだ理解ができておりません。もしかしたら後期高齢者医療制度も含めた共通の指標があり得るのかもしれませんが、私にはそれが想像できないもので、共通の指標といったものはどういうものなのか。それを前提にした議論が私の方からはできない状況です。別々のインセンティブを設けるのに共通の指標で評価をすることになると、またその間でのお金のやりとりにその指標を使うということが想定されているのか、何なのかなと思いまして、まだ指標の具体的なところまでは意見が持てないところであります。

○多田羅座長 伊藤委員から御意見いただきましたけれども、これは座長の感想なのですけれども、先ほど申し上げたように、加算・減算制度というのは、それぞれ保険者がやるのだけれども、霞が関からすると、日本全体の保険者を運営する健康づくりという、全体像も育てたいわけですね。そのためには血液を流したいわけです。その加算・減算の中で流れるお金が血液なのですね。そういうものがあるということで全体観を担保したいということを制度をデザインした人は考えたと思うのです。だから血液を出すほうは出血になるのだけれども、それは1つの体の中の一部だという認識にもなるわけなのです。

そういう格好で、どうしても国はこの加算・減算制度は血液として、ペナルティーとかそういうものではなくて、1つの制度の全体観を育てるために、どうしても霞が関は私はこれをやりたいと思っていると思います。しかし先ほど申し上げたように、大事なことだと思ったので、ぼんと持ってきたために各保険者の固有の財力であるとか、状況というものに対する配慮が、そこに生かしきれなかったために議論が生まれた。そのために今回はこれは変更した訳ですけれども、将来は、私は加算・減算制度は全部の健康保険制度の中に持ってきたいという気持ちがあると思います。

これは私の判断ですよ。向こうは怒るかもわからない。だけど、ここにあるのは、もう一歩下がって、それぞれの固有の事情を大事にしながらやりたい。しかし加算・減算制度はこの制度の思想であり原点なので、何とか健康保険組合・共催組合のところでは残して育てて欲しい。そして、これで時間がたって、お互いの保険者の役割が育ってくれば、この加算・減算制度を受け入れていけるという方向を、将来を私はこれは考えていると思います。ここにある案が、永久にこのままでいくというのではなくて、むしろこれを出発点にしたいと私は思っていると思うのです。だから加算・減算制度はけしからんというお考えがあっても、しかし国としての1つの制度をつくる以上、勝手に基本健康診査であれば市町村という全体の中で、国の全体のイメージを育てることができた。今回は保険者がやるとしても、保険者が全体意識を持って、自分の保険組合だけが成り立てばいいというのではなくて、日本全体の健康づくりの制度を担う、保険者も全体の一部であるということをどこかで認識できる制度を担保したい。そのことが保険者にとっては場合によったら余計なことだと思う。自分らがやっているのに、なぜ国の全体のことを考えないといけないのだという問題が組織としてあるわけですね。しかし、そこを何とかこういう検討会でのり越えて、保険者による国民のための健康づくり制度を育てようというところは、そういう意味で、これは多分出発点だと思います。今回一歩引いて、ここからもう一度、血の流れている全体の特定健診・保健指導を育てたいということなので、ここまで下がってしまっているということで、国のほうを余り、何というか、攻めてもちょっとかわいそうなのではないか、座長すぎるかもわかりませんけれども、そういうところです。どうですか。

○医療費適正化対策推進室長 すみません、まず制度の、特に高確法の趣旨に照らしてというところについては、いずれしても次回そこは整理をしてきちんと資料としてお出しをさせていただきたいと考えております。

もう一点、先ほど伊藤委員から御指摘ありました健保組合・共済組合の中で実際やる場合に、例えば総合型と単一型とでは、もともとこれまで行ってきている保健事業の種類も違うし、財政規模も違うしという御指摘、前回のこの検討会でも、白川委員からまさにあったところでございますけれども、そこは確かに同じ健保組合の中であったとしても、そういった違いがあることについては認識してございまして、それは検討会でというよりは、むしろ具体的な健保組合・共済組合で、実際に今の後期高齢者支援金の加算・減算制度を見直していくに当たって御議論をさせていただきたいと考えているところでございます。ある程度、公平的な形で比較するということがどうしても必要になってくると思いますので、そこについては、まさに別途ワーキングをつくってございますから、その中で御議論をさせていただければと考えているところでございます。

○多田羅座長 いかがですか、飯山委員。

○飯山委員 すみません、私ども国保といたしましては、前々から加算・減算については国保には非常に厳しいものであって、これはもともと法律できたときから発動しないでほしいというようなことは前から申し上げて、もう一つはインセンティブは必要なのですけれども、そのインセンティブがプラスの方向で出していただいて、マイナスのペナルティーをかけるのはやめていただきたいと。

○多田羅座長 ペナルティーではないのです。

○飯山委員 いや、当時の話です。というふうに申し上げてきました。今、座長がおっしゃったように、全体のことで考えれば確かにおっしゃるとおりだと思います。ただ、そうはいっても、国保については御案内のとおり、前期高齢者が他の保険と比べて偏在をしているというような状況で、私どもとしてみれば、津下委員がおっしゃったように、連続性を持って、健康な状態で国保に来ていただきたいと。それを担保するためには、国保に年齢が来て入る以前のところで、どういうふうな健康増進をされていたか、予防されていたか。それまでの被用者保険は被用者保険、国保は国保ということで、全くそこに壁があると連続性がないわけですから、全体としての共通的な認識、これを持って保健事業を行っていく。

そのためには、先ほど深井委員がおっしゃった、やりやすい、とっつきやすい、そして効果を生みやすい、そういうものを全体として検討していくことが非常に大事だと思っています。白川委員がおっしゃったことも十分わかるのですけれども、ただ、我々といたしましても、これはぜひ、今、できれば加算・減算には戻らないで、この方向でずっとプラスのインセンティブが常に出るような格好で制度をつくって運営していただきたいと思っているところであります。

○多田羅座長 血液を流すというのはどうですか。1つの制度として、お金が流れるということは血液だと思うのですが。

○飯山委員 そこは先ほど健保のほうで、弱小と言っていいかどうかあれなのですけれども、基盤の弱いところというのはどこにもあるわけですから、そこが大きな成果を上げるようなことをするというのは非常に難しいので、構造的に弱いところが常に血液を出すほうになりかねないものですから、そこのところはある程度御容赦をいただければというように思っているところでございます。

○多田羅座長 伊藤委員、ありますか。

○伊藤委員 先ほど室長の話の中で、公平に比較をできるように指標については共通のものを検討したいという話だったのではないですか。

○医療費適正化対策推進室長 違います。

○伊藤委員 違いますか。

○医療費適正化対策推進室長 先ほど私申し上げたのは、健保組合の中でも総合型とか単一型とあって、そこは必ずしも同じ土俵で比較することが適当ではないと考えられる場合があるので、そこについてはこの検討会というよりは、今後、健保組合・共済組合に後期高齢者支援金の加算・減算制度を見直した形で適用させていくということの具体的な見直しの内容を別途ワーキングを既に立ち上げさせていただいているのですけれども、そこで検討していくことにしておりますので、その中でまさに伊藤委員とか、あるいは前回の検討会で白川委員がおっしゃられた点については考えていきたいということで申し上げたところでございます。

○伊藤委員 そこは理解したつもりだったのですけれども。それは被用者保険と共済のグループのところの話ですね。

○医療費適正化対策推進室長 はい。

○伊藤委員 そうではなくて、それとは別に公平に比較するために共通の指標をつくることにしたいとか、最後におっしゃったような気がしたもので、その部分について申し上げたいなと思ったのですけれども、もしかして言ってなければ失礼なのであれですけれども。

○医療費適正化対策推進室長 すみません、私、申し上げたのは、先ほどの健保組合・共済組合の、そのほうで公平ということを申し上げさせていただきました。

○多田羅座長 また、その辺の具体的なところは次回案のところで出ますので、今のところは少し考え方の方で議論いただけませんか。方法のところは今置かせていただいて。

○伊藤委員 ペナルティーということについて、そうではないという座長の御説明は。

○多田羅座長 それは明確です。

○伊藤委員 そういう理解はしたいのですけれども、被用者保険のところだけ、どうしても財源を出すという保険者が出てくる仕組みになっているものですから。

○多田羅座長 そうなります。

○伊藤委員 そういう説明は理解させていただきたいですけれども、プラスのインセンティブになってないというところはどうしても納得できないところです。

○多田羅座長 そこは難しいところですね。

○白川委員 よろしいですか。

○多田羅座長 はい。

○白川委員 今、健保組合のことについて、伊藤委員からも御発言いただいたのですけれども、正直申し上げて、多田羅座長、若干誤解があると思うのです。要するにインセンティブを受けるようなところは、はっきり言えば大企業健保なのです。大企業健保は財力もあって、一生懸命やっているから成果が上がって、さらに減算を受けるという形になっているのに対して、弱小の健保組合は、出血を防ぐために頑張れというふうな考え方なのです、現実は。

○多田羅座長 厳しい。

○白川委員 ええ、厳しいのですよ。飯山委員から加算・減算の仕組みはいかがかというのは前から議論になっていたというお話ありましたけれども、念のために申し上げますけれども、私は加算・減算はやめるべきだと思っています。それよりももっと幅広く、健康全体についてインセンティブなり、若干であればペナルティーがあってもいいかもしれませんけれども、そういう仕組みにしていかないといけないと思います。加算・減算制度が始まって今年が2回目、来年は3回目になります。大企業健保が減算され、財政的に困っている健保組合が加算を受けるというようなことが固定化することは決してよくないと思っているものですから、どこかで見切りをつけて、もっと幅広い観点で評価していったほうがいいのではないかと言っているわけです。

○多田羅座長 白川委員がおっしゃる弱者いじめになっているということなのですけれども、しかし、保険制度というのはお互いさんでやっているわけですね。先ほど白川委員もおっしゃいましたけれども、これは後期高齢者の医療費を下げるためにやっているわけではないですか。そうすると成果を上げてないところは、そのお金、負担をつくっているわけです。それはどうなりますか、それは大目に見るのですか。

○白川委員 それは10年先、20年先の話ですね。

○多田羅座長 それはわかりませんよ、10年先か、でも連続していますから。負担をつくっているのはいいでしょう、その成果が上がってないところは、後期高齢者の医療費において負担をつくることになる。

○白川委員 また、もともとの議論になりますけれども、それでは特定健診・保健指導を受けたら後期高齢者になったときの医療費は下がったというエビデンスはあるのですかというと、なかなかないですね。

○多田羅座長 医療費が下がっているということは出しています。だから結果として後期高齢者も下がってくるだろうと類推できると思いますけれども、1件当たり外来診療費が2万円ですか、3年間で2万円。

○白川委員 それは現役時代という意味ですね。

○多田羅座長 現役時代の医療費です。それは健康保険の医療費です。

○白川委員 現役時代の医療費は、特定健診の効果だけではなくて、いろいろな保健指導もやっていますので。

○多田羅座長 ちょっと待ってください。そこは保健指導を受けた人と受けてない人の年齢補正もした比較はしていますから。

○白川委員 もちろんです。

○多田羅座長 それで差が出ていますから、そこは。医療費を下げていることについては、今日も発表がありますけれども、結果は出ていますから、そこのところは。

○白川委員 医療費を下げていることはもちろん理解していますし、やってないところは体力がないから多分一人当たりの医療費はやっているところよりは高くなっていることも別に間違いではないと思います。ただ、だからといってペナルティーを与えて、さらに弱くするということが国全体の施策としてはいかがかと申し上げているのです。

○多田羅座長 ペナルティーではないのですよ。

○白川委員 ペナルティーですよ、絶対に。

○医療費適正化対策推進室長 すみません、よろしいでしょうか。申しわけございません。いろいろ白川委員から、繰り返しになりますけれども、次回きちんと資料にそこはとどめて、考え方をきちんと整理してお示ししたいと思っております。

白川委員がおっしゃったことも1つの考え方だと思うのです。そのほうが確かにすっきりすると言われれば、それはそのとおりかなという感じが私はしているのですけれども、ただ、制度改正につきまして、こちらは今回初めてということではなくて、まさにこの5月の制度改正も絡んで、それで今回ややいびつと言われればいびつなのかもしれませんけれども、こういう形で進めることができないかということを御提案させていただいているところでございまして、その中でも、個々の各論的に見ると、先ほど来、伊藤委員、あるいは白川委員がおっしゃっているように、弱者の健保組合が常に血を流す的なところがあってしまってはいけないだろうと思っておりますから、そこの部分については、繰り返しになりますけれども、個別の制度の見直しの議論の中できちんと、そうならないようにできる限り工夫ということはもちろん検討させていただきたいということだけ、今申し上げて、基本的な法の趣旨ですとか、その辺の考え方、そこについては、1回きちんと整理をして、次回、具体な指標の議論に入る前にその時間をとりたいと思いますので、そこまでお待ちいただければと、大変恐縮でございますが、よろしくお願いします。

○多田羅座長 そうしましょう。かなり具体の議論になっていますので、国の方から、もう少し具体的な考えを説明できる資料も出していただいて議論することに。どうぞ。

○伏屋参考人 後期高齢のほうで初めて、私、参考人という立場ですので意見言わせていただいていいかどうかわかりませんが、岐阜県の後期高齢者医療広域連合の事務局長をしております伏屋と申します、現場の部分で。

 今の御議論ですと、皆様に血を流させておる張本人がここへ来ておるみたいで、すごい完全アウェーのような状態の中で今お話をいろいろお聞きしておるわけですが、後期高齢者医療保険も、先ほどから座長がおっしゃっておるとおり、国民皆保険の1つの仕組みとして非常にいびつな形ではあると思いますが、各県に保険者として広域連合ができております。

今回、いわゆる健診についての委員会ということで、私ども考えましたのは、先ほどからいろんな委員さんに言っていただいているように、要は年取ってから医療費がかからないように、若いうちからいろいろ健診やっていきましょうということでそれぞれやってきていただいているわけですね。22年から岐阜県の広域連合もこの健診事業に取り組んでおります。保険者といっても全然手足も何もありませんものですから、市町村さんの御協力いただきながらやっているわけなのですけれども、せっかく国の方が見えますので、いろいろ健診率のことを非常に言われますけれども、どこでもそうですが、県といっても広うございまして、岐阜県の場合も42市町村ありまして、健診率が3%の自治体から、30%ぐらいの自治体まであるのですね。

健診率の悪いところを、私、まだ半年ですけれども、4月からずっとおじゃましました。そうしましたら、それぞれの事情があって、要は小さな自治体におじゃましますと、町の診療所の先生が、どこのだれか全部おれはわかっておると。1年に一遍や二遍は診ておると。何でその上、また健診なんて余分に税金あんたら使うのかと怒られるような地域もあるわけなのですね。そういうのを考えたときに、この後期高齢になられた人を含めて医療費を下げていく。先ほど御紹介がありました日本健康会議さんですか、中であったように、年寄りが多いのは、重複ですね。1つの医者で診てもらって、あなた、どうもね、と言われたもので心配でもう一遍別の医者へ行ったとか、投薬についても多剤というのがあるわけですね。

そういった観点からいくと、今、私どもの県で医療計画をつくっておりまして、保険者協議会にも保険者として参加させていただいているのですけれども、あれは病床数とかお医者さんの適正配置で医療費を下げようと、片一方でそういう話があって、地元へ行ったら、かかりつけ医、近くに行けるお医者さんがあるのかないのか。10年先、2025年、2035年とかいろいろ言われますが、そういうときに医者があるのかないのか。そういった部分でかかりつけ医というのを、自治体とか保険者さんとしてどうやって推進できるかというのは、今、何もイメージがないのですけれども、そういった部分を1つの目的にしていくというのは、各年齢とか年代とか、保険者云々かんぬんを問わず、健康とか医療費の適正化といったら、1つのいい指標になるのではないのか。

漠とした意見で大変申しわけありませんけれども、そのようなことを議論というか、検討される会議なのかなということで、ちょっとおじゃましたような次第なのですが、すみません。

○多田羅座長 わかりました。それでは、まだ議論があるかと思うのですけれども、先ほど室長から、次回もう少し詳しい資料も出してということですので、それを待つことにさせていただく。特に御意見ある方ございましたら、よろしいですか、御了解いただけますか。

(「はい」と声あり)

○多田羅座長 それでは、ちょうど時間も2時間半ぐらいになってきましたが、3時には終わりたいと思いますので、次の議題2のほうに移らせていただきます。事務局から2のほうの説明、よろしくお願いいたします。

○医療費適正化対策推進室長 そういたしましたら、本日2つ目の議題でございますけれども、特定健診・保健指導の実施状況につきまして資料3を御用意しておりますので、お手元に御用意いただければと思っております。

 こちらは特定健診・保健指導の実施状況でございますけれども、実施率につきましては、今年の夏になりますけれども、8月21日に最近の実施率の状況、平成25年度の特定健診・保健指導の実施率についてホームページで公表させていただいているところでございますが、数字を単にホームページで公表するだけではなくて、こちらの実施状況につきましては、本検討会とも非常にかかわりが深いところでございますので、今回を皮切りに今後毎年度、毎年度新しい実施率が出る都度、全体実施状況という形で一定の資料をまとめまして、この検討会に御報告をさせていただきたいと考えてございます。今回、8月21日に公表したもので、本日ということで、若干時間があいてしまって恐縮でございますけれども、まず、25年度の実施率を受けて、全体の実施状況の概況について資料3を用いて御説明させていただきたいと思います。

ページおめくりいただきまして3ページでございますが、まず全体の概況でございます。特定健診・特定保健指導の実施状況ということで、前段が特定健診、下段が保健指導の実施率となってございますが、いずれも毎年度着実に伸びてきてはございますけれども、ただ、目標が特定健診については全国で70%、特定保健指導で45%ということになってございますので、伸びてきてはいるのですけれども、依然としてまだ目標との乖離があるということで、さらなる受診率の向上に向けた取組が必要になっている状況でございます。

それから、次の4ページは、それを折れ線グラフにしたものでございますので、御参照いただければと思います。

5ページに今度は特定健診・保健指導の実施率の保険者種別で見た数字を書いているところでございます。下から上に直近の数字になっているという形で表をつくってございますけれども、こちらはごらんいただきますと、おおむねどの保険者種別においても健診実施率・保健指導実施率ともに伸びてきているわけでございますけれども、特にここも完全にそうだというところまでの傾向は見えないかもしれませんけれども、人数を考えますと、協会けんぽの伸び率が近年大きくなってきているのではないかという感じがいたします。

次の6ページでございますけれども、これは25年度の特定健診・保健指導の実施率につきまして、被保険者・被扶養者別に実施率について見たものでございます。上が健診で下が保健指導でございますけれども、こちらは25年度から被保険者・被扶養者に分けてナショナルデータベースでデータをとれるようにいたしましたので、今後はこういった形で被保険者・被扶養者と分けて実施率を出していきたいと思っておりますが、23年度は参考までにアンケート調査によって把握した数字でございますけれども、対比するために参考として書かせていただいております。これまでの傾向と基本的には同じでございますけれども、被保険者につきましては、協会けんぽにおいて若干ほかの種別に比べると低くなっておるのですけれども、おおむね8割を超えるような健診の被保険者については実施率になってございます。

他方、被扶養者の部分については、こちらは従前からの課題でございますけれども、被用者保険の中で実施率の課題があるところでございまして、こちらについては引き続き、実質率の向上が特に課題になっているところでございます。

7ページでございますが、先ほどちょっと申し上げましたけれども、協会けんぽで近年健診の実施率が特に伸びてきているということで、その背景的なところということで、協会けんぽの中で実際に行われている健診の内訳について書いているところでございます。被保険者の受診率と被扶養者の受診率とございまして、協会けんぽでは、被保険者の受診率の部分でございますけれども、安全衛生法に基づいて実施されている事業者健診から保険者のほうに結果が来る結果取得率については、ここは低い水準がずっと続いてきてございまして、むしろ協会のほうでは「生活習慣病予防健診」と書いてございますが、これは特定健診にがん検診等を加えた協会けんぽ独自の健診でございますけれども、そちらのほうで健診の実施率を大きくしているといったような状況にあると考えてございます。あるいは事業主のほうからの、データ移行のここはいろいろな課題がございまして、なかなかここは伸びていかないので、協会みずから健診を行って、そちらのほうで被保険者の全体の受診率を大きくしているといったような協会けんぽの頑張りということで御紹介させていただきます。

それから、次のページ、8ページでございますが、特定健診受診者に占めるメタボの該当者及び予備群の人数と割合の推移を見たものでございます。

まず、上段が全体マクロの数字でございまして、特定健診受診者数に占めるメタボリックシンドローム該当者及び予備群の人数・割合を書いてございますけれども、20年度と比較しますと、若干減っているのかなと、ほとんど同じような水準でございますけれども、おおむね26%台で推移をしてきているという状況でございます。

下側の保険者種別ごとに見たメタボの割合でございますが、こちらも全体の傾向とほぼ同様、徐々に減ってきているような感じもするのですけれども、そんなに大きく減ってきているわけではなくて、ほぼ同じような割合が20年度以降続いている状況でございます。この中でやや協会けんぽだけが若干増えているような傾向が見えますので、健診の実施率が高まってきたことに伴って、メタボ該当者の方々が発見されてきたのかなという感じがちょっとしているところでございます。

9ページでございますが、今度はメタボの該当者及び予備群の20年度比での減少率について整理した表でございます。3段書いてございますけれども、一番左側がメタボリックシンドロームの定義に純粋に従って、その該当者と予備群者の減少率、20年度比で見たものが一番左の欄になります。こちらも2325年度までを書いてございますけれども、毎年度徐々に減少率自体は大きくなっていっているという傾向でございますけれども、ただ、25年度でまだ3.47%という非常に低い減少率の水準になってございます。

右側2つが、もう少し特定保健指導の効果を見るために、メタボリックシンドロームの定義の中には服薬者が含まれているものですから、真ん中は非服薬者に限定をかけて、その非服薬者のうちのメタボリックシンドローム該当者と予備群の減少率について2325年度までの数字をとったものでございまして、さらに一番右側の表につきましては、特定保健指導対象者数の減少率そのものを、こちらも2325年度まで数字を載せてございます。こちらで見ますと、先ほどのメタボリックシンドロームの定義に従った減少率に比べると、かなり大きく減少率が伸びてきているといったような状況が見てとれるところでございます。

それから、次のページ、10ページでございます。今、ごらんいただきました一番右の欄でございますけれども、この特定保健指導対象者数の減少率が大きくなってきている理由として、どういったことが考えられるのかということで3点ほど整理してございます。1点目は平成20年度から開始された特定保健指導のいわば効果が徐々に出てきているのではないかということは考えられるところでございます。

下段に参考までに、こちらは既に検討会のほうでも御報告させていただいているものでございますが、特定保健指導を実施することによって、翌年度どういった保健指導レベルの改善が見られるかということについての効果検証の結果でございますけれども、左側に棒グラフがございますが、20年度に積極的支援を受けられた方について見ると、翌年度、単年度でございますけれども、約3割の方が検査値の改善によって特定保健指導の対象外になっているというような、効果検証、以前お示しいたしましたけれども、こういったような結果から見ても、特定保健指導の効果が徐々にあらわれていると、そういった効果もあるのではないかと考えているところでございます。

他方、特定保健指導の実施率につきましては、先ほど全体、マクロでごらんいただきましたように、まだ1520%の間ぐらいでございますので、全体的にまだ水準が低いという状況でございます。もう一つ、減少率が大きくなっている効果として、いわゆる腹囲基準ですとか、メタボという言葉が国民により知られるようになって、いわば特定保健指導を受けない方であったとしても、意識してそういったことに気をつけるといったような方々もふえてきているのではないかと考えられるところでございます。言ってみれば、ポピュレーション的なアプローチというものがある意味行われてきていると、そういった効果が減少率の増加にあらわれているのではないかというのが2つ目として考えられるところでございます。

それから、3つ目として、健診によって受診勧奨領域の人が多く発見され、受診勧奨につなげることで、服薬のほうに移行されるという人も存在するのではないかと、そういう可能性も考えられるところでございます。

次の11ページ、これは特定健診受診者の服薬の状況について表を整理したものでございます。上段が生の数字でございますけれども、実際に特定健診を受けられた方のうち、1剤でも薬剤を使用している方の割合を見たところでございまして、こちらは20年度からごらんいただければおわりになりますように、徐々に服薬者の割合がふえてきているという状況が見てとれます。こちらは特定健診の受診者の中で見ておりますが、下の段は特定健診の対象者にそれを広げて薬剤を使用している方の割合はどれぐらいなのかというのを推計したものでございます。それで見ましても、2025年度までほぼ特定健診受診者と同様の傾向で大きくなってきているという傾向が見てとれるところでございます。

次の12ページでございますが、こういったように、服薬者が増加している理由としてどういったことが考えられるかということでございますけれども、1つには健診受診率が向上してきておりますので、その結果として、服薬の対象となる人が発見されて、受診勧奨によって服薬につながっている人が出てきているということですとか、服薬中の人の健診が進んだといったようなことも考えられるのではないかと思っているところでございます。

服薬中の方でございますけれども、服薬中の方はメタボの該当であっても、これは正論ですけれども、特定保健指導の今、対象となってはおりませんので、メタボ改善に必ずしもつながってない可能性があるのではないか。メタボリックシンドロームでは、定義上、服薬が診断基準の1つとなっていると。すなわち腹囲に併せて降圧剤を飲んでいるといったように、3疾患の服薬をされている方はそれでリスクというふうにカウントして、メタボの対象になってくると、そういうような定義になってございますので、メタボの改善のためには、薬が解除された上で検査値が改善するか、もしくは減量によって腹囲基準を切るというようなことが取組として必要になってくるのではないかということを最後書いているところでございます。

13ページ以降は参考で、それぞれのデータの出し方、あるいは今申し上げましたけれども、メタボの定義と特定保健指導対象者の定義の関係がどうなっているかというイメージ図等々をつけさせていただいておりますので、後ほど御参照いただければと思います。

資料の説明は以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。2025年度まで6年間の主として実施率、実施状況を中心にデータを整理いただいたものを報告いただきました。いかがでしょうか。減少率のところなどはわかっていただけたでしょうか。どうぞ。

○武藤委員 すみません、今、御説明のあった服薬中の方がメタボリックシンドロームの特定保健指導の対象になってないわけなのですけれども、こういう人たちこそ本来は指導したほうがいいと思うのですが、制度的にそれが今対象になってないと。どういう経緯でなっているかどうか、それはわからないのですが、例えば主治医が認めれば特定保健指導を受けることができるようにするとか、そういう方法もあるのかなと。保険者の方々も心配になっている服薬量、薬の量も減る可能性も十分あるわけですから、より効果が出やすい人たちなのではないかと思いますが、その辺、もし検討できればと思いますけれども。

○多田羅座長 津下委員。

○津下委員 まさに武藤委員のおっしゃるとおりで、最初は高血圧の薬だけ飲んでいた人が、2剤、3剤、脂質異常症、糖尿病というふうに薬の数がふえていくという現象も観察されています。薬が始まったときに、薬だけではなく生活習慣改善、特にメタボの方は減量指導を組み合わせると有効性が高いと考えられますが、今回の制度では特定保健指導は、服薬中、医療にかかっている方は対象としないという制度で、特定保健指導の対象とはならないのです。現在、データヘルス計画において、保険者さんが自身のデータを分析する中で、治療中の方に対する保健指導も積極的にやっていくべきではないかという考え方が広がってきているのではないかと思います。今後それらの効果も検証して、生活習慣改善指導が十分に行われていない服薬中の対象者への対応を改めて整理していく必要があるかと思います。その中でかかりつけ医の診療と保健指導の実施をどのように連携していくのか、乗り越えなければいけない課題もいろいろあるかと思いますので、よい方向に向けて議論していく必要があると思います。

あと先ほどの資料の補足になるかもしれませんが、服薬者が若干ふえているという効果を入れてもメタボ自身の数が減ってきています。この分析とは別に、国民健康栄養調査で見た男性の「BMI25以上の方が特定保健指導始まって以来、増加が抑制されているとか、糖尿病の予備群の方が特に40代、50代で割合が減ってきていることなどが示されており、その結果とこの結果は一致するものかなと思います。ほかの国ではこういう肥満者が減ってきたというデータはほとんどないわけで、先日、アジア・オセアニアの肥満学会においても、モデル的に少数のグループでの生活習慣介入研究はあるのですけれども、国を挙げて、75万人の方に保健指導してその結果を見ていることはないわけで、非常に注目されているところだと思っています。

○多田羅座長 3.47でも立派だと。

○津下委員 3.4、減っている国がないので、放置すればふえる一方で。

○白川委員 減っている国はないのですか。

○津下委員 ないです。それと特定保健指導のデータ評価でも、メタボの対象者で保健指導に参加していないとa1cが年々上がっていくという現象もありましたので、病気になるまで放置してはいけない人たちだというのは間違いないのではないかと思います。

○多田羅座長 3.4712.67、大分差がありますが、この差は服薬者はメタボから卒業できてないということですね。

○津下委員 ということです。

○多田羅座長 それが大分持ち上げているということ。いかがでしょうか。まだ3時までに10分少々、どうぞ、この機会に御意見をお願いします。

○吉田委員 総合健診医学会の吉田でございます。特定健診を実施することは非常に有効であるというのはいろんな調査で出されているわけですけれども、協会けんぽの被扶養者の方の受診率が低いことを勘案しますと、そういうところに健診にかかわる団体がうまく交渉していくというような場がありますと受診率向上を図られるのではないかと思います。ぜひ何かそういう健診関係の団体と受診率が低い保険者との情報提供の場を検討いただきたいと希望します。受診率が低い原因にはいろいろと要因があるかと思いますけれども、私どもとしても、より受けやすい健診環境なり、健診のメニューをつくっていきたいと思いますので、ぜひそういう場を検討いただければと思います。お願いでございます。

○多田羅座長 どうぞ、深井委員。

○深井委員 インセンティブの議論のときの津下委員の発言にも関連するのですが、先ほどの服薬の問題で、保険者が取り組む健康づくりとか予防のところに医療提供体制までは踏み込めないというような発言があったかと思います。津下委員の意見は、地域の資源として医療機関や歯科医療機関も含めてあるので、それとどう連携して活用するかという意味では、医療提供体制そのものにもかかわると私は理解できるので、余り医療とこの保健の話を切り分けるよりも、服薬の例や、先ほど歯科治療の話をしましたけれども、健康づくりと医療というのはかなり密接につながるので、このインセンティブの中でもこの視点から考えていいのではないかと思います。

○津下委員 先ほどの話では、直接保険者が変えられないものまで指標にするのは少し荷が重いのではないかという趣旨でお話をしました。しかし、地域にある社会資源としての医療機関との連携で、例えば保健指導の実施率がまだまだ低いという状況に対して、保険者と地域の医療資源が共同で対策をとっていくということは非常に重要なことだと思います。その中で、データをできるだけ可視化して地域ごとに対策を考えていくことが必要と思います。今回も被扶養者と本人でこれだけ受診率、実施率が違うということがナショナルデータベースで明らかにされたことも非常に重要ですし、今後、地域で取り組む課題として、地域別のデータを利活用しやすいようにしていくことも非常に重要なのかと思います。

冒頭、御紹介のあった日本健康会議の中で、重症化予防や治療中の方への保健指導のあり方とか、また一歩進んでいくことを非常に期待したいと思っています。

○多田羅座長 ありがとうございます。河合委員、いかがですか。一般市民というか、大部分の方は専門職なのですけれども、全体の御議論の印象でも。

○河合委員 議論を聞いて思ったのは、どういう改革をしていくにしても、国民の納得感が一番大事だということです。特に白川委員がおっしゃっていたような話は、専門家の人たちが理念で語っても一般国民が理解しないということでは全くだめなわけです。なぜ健保組合だけが加算・減算の話があって、それ以外のところはないのかということを、仮にそういう議論にこれから発展していったとしても、きちんと国民に説明がつくような論理の展開に努めないと、多分後々大変なことになるのかなと思って聞いておりました。どのように国民に説明するのかということを、これからの議論の中では忘れてはいけない。今紹介があった数値の話も多分同じですね。数値そのものに意味があるのではなくて、この数値をどう受けとめればよいのか、それを国民全体が健康づくりにつなげ、努めていくのかというように話を持っていくことがすごく大事なのです。特に事務局には気をつけてもらって、説明の仕方を工夫していただきたいと思います。

○多田羅座長 お隣の金子委員、いかがですか、その辺も含めまして。

○金子委員 私もどちらかというと保険者の立場ですので、白川委員の言われていることもよくわかります。むしろそちらのほうが強いかなという感じもします。

○多田羅座長 現実にはね。

○金子委員 目的は予防と健康づくりですので、それをどうやって保険者がやっていくかであって、財力の弱いところでも努力しているところがあると思うのです。

○多田羅座長 そこなのです。

○金子委員 だから努力というのをどういうふうに評価するかということなのです。その努力では足りないよというかどうかです。

○多田羅座長 それが今日の指標なのです。

○金子委員 多分そうだと思うのです。そういう意味では、津下委員が言われた保険者ができるものというのは賛成です。逆に言えば、今、保険者がやっていることをもう一度洗い直ししてみて、また、それらのことでもまだやってない保険者もいると思いますので、それらのことをまねしてやることによって、予防・健康につながるのであれば、それはよしと評価するかどうかだと思います。どこまでをよしとするか、悪いとするかということなのではないでしょうか。一番は保険者間でお金が行き来することに、抵抗を感じるのですけれども、税金か何かで一括してどこかに集めておいて、小さいところでもよくやっているねという評価であれば、そこへご褒美をあげられるような、そういうようなことにはできないものでしょうか。

○多田羅座長 保険者間でお金が行き交うというのも私は大事だと思うのです。

○金子委員 そのあたりが理解できないのですが、小さいは小さいなりに精一杯努力していてもとられるということは、努力が足りないねということを実証しているようなことになりますので、そこをどうやって評価するのですかというのは難しいです。

○多田羅座長 それが難しい。それで指標なのです。

○金子委員 そうだとは思うのですが。そこがなかなかうまく出てこないなというのが、気持ちとしてはあります。

○多田羅座長 指標がないまま加算・減算が言われると、白川委員がおっしゃる、弱い者いじめではないか、ということになるわけなのです。だからその指標を明確にしてね。

○金子委員 我々も率先して、なかなか思いつくものがありませんので、どちらかというと、ほかの保険者のやられていることをまねしながら、後追いで行くところが結構多いです。後追いで一生懸命やっているのに、それでだめだと言われてしまうと、そうなのかなという感じを受けます。そのあたりの違いが、受けとめ方が違うのかなと思います。

○多田羅座長 今回の加算・減算も一切やってないところに加算していますから。

○金子委員 そうですね。そういう見方であれば。まだいいですが。

○多田羅座長 そういうことも随分控えた格好にはなっている。

○金子委員 そうですね。そこが一番大切という気がしております。それから、メタボ健診の結果も、服薬中の方に確かに指導しないとだめかもしれませんね。

○多田羅座長 そこが1つの課題ですね。

○金子委員 それから、協会けんぽの実施率が低いというのも、我々もそうなのですけれども、事業者健診はやられていても、その健診結果を特定健診用に書きかえて提出しなければならない。その手間がかかるために提出がなかったりというところも中にはあるのかなという気もします。

○多田羅座長 それはここにありましたけれども、非常にわずかなのです。安全衛生法のデータを使っているのは。

○金子委員 そのあたりがスムーズに出てくれば、もうちょっと本当に上がるのかなという印象としては持っております。

○多田羅座長 ありがとうございます。岩崎委員、いかがですか。

○岩崎委員 岩崎でございます。全体を通しては多田羅座長おっしゃられておりました健保による特性は違うのだけれども、全体を見て大同小異ではないですけれども、大きな目的に向かって行くべきだというのは非常に共感をいたしました。

○多田羅座長 そのために指標を何とかつくりたい。

○岩崎委員 老健法から今回の法律に変わってきた流れの中で、地域から保険者へという中で、以前も地域診断みたいな形で地域の年齢構成とか地理的な状況を評価しながらと、そういう特性の評価をどうするかというのが1つあるだろうということと、共通の指標をつくる上では、何かをやっているというプロセスの評価の部分と、その結果のアウトカムの評価それぞれ、アウトカム出にくいものもあるかもしれませんけれども、それを意識しながら、そういうものが出てくれば非常によろしいのではないかといった印象を持っております。

それと事業者の立場で発言させていただきますと、今回、協会けんぽさんの取組が7ページに出ておりましたけれども、被用者保険全体の中で見ても、労働安全衛生法の健康診断の枠組みがある中では、本来はもう少し健診受診率は高いはずで、適切に取得できる仕組みのではないかという印象がございます。

○多田羅座長 事業者健診結果取得4.4です。

○岩崎委員 そうなのですね。がん検診を含む生活習慣病予防健診を協会けんぽさんに頑張っていただいていて、がん検診なども国全体でやろうという取組とも一致していると思いますし、すばらしいと思います。けれども、高確法と安衛法の法律の枠組みではある程度カバーされているはずだと思いますが、せっかく実施している健診情報の流通にまだ課題があるかと思いまして、場合によっては非常にもったいない感じがいたしました。

○多田羅座長 ありがとうございます。伊奈川委員、いかがですか。

○伊奈川委員 ありがとうございます。協会けんぽの話が出ましたので少し感想めいたお話を何点か、させていただきたいと思います。今、まさに出ました事業者健診の取得の関係は本当に苦労していまして、我々の各支部で取り組んでいて、それなりの成果は出るのですけれども、国のほうでもプッシュをよりしていただければなと、これは前々から申し上げている点ですけれども、せっかくデータがあるわけですので、そこはお願いをしたいことであります。

また、先ほど被扶養者のところが出まして、健保組合は大きい組合、小さい組合という話がありましたけれども、うちのほうは丸ごと小さい企業がほとんどですので、そういう中でやっているということで、それなりの努力はさせていただいております。被扶養者についても健診の御案内を送るときのやり方なども工夫して今までもやってきております。

そういうことで、なるべくこの会議も建設的にということであれば、先ほど来、座長のお話聞いていて、久しぶりに老人保健の話を聞きまして、確かにそういう時代と比べればここまで来たのだなということですので、より前に進むようにしていきたいと思っております。さはされど、今、申しましたように、何分、中小の会社が多いわけでありますので、そのあたりは御配慮いただかないと、今までも苦労しておりますけれども、こういう指標づくりにおいても、そういうところも目配りしていただく必要があろうということであります。また、そういった中で、私どもについて言いますと、今後、各県の支部でどうしていくかという話がありまして、今でも実は保険料率が各支部ごとに異なっておりまして、これは一種のゼロサムゲームでありますので、これからも大変だと思います。そのあたりは御配慮いただければと思っております。

とりあえず以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。ほぼ予定の時間になりました。よろしいでしょうか。下浦委員、何かございますか。

○下浦委員 先ほど多田羅座長から、血液を流すというようなお話がありました。このインセンティブ見直し後について、それぞれの保険者種別のところは、私はバイパスを通すというか、バイパス手術的にその間をちょっと迂回して本流に流していくのかなというような考え方だと感じたところでございます。

それと先ほどのデータ説明の中で、服薬に移行したときこそ、まさに行動変容を起こしやすいと思われます。そこに何かポイント的に働きかけができればいいのですが服薬により血糖値が下がっているのでこれでいいだろうということで。

○多田羅座長 ほうってしまいますからね。

○下浦委員 そのまま放置してしまってはいけません。服薬になったときに、これではいけないということを感じていただき、何らかの働きかけによって、服薬から離脱するという仕組みがあったらいいなと思っているところです。

 以上です。ありがとうございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。まだ御意見あるかと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」という声あり)

○多田羅座長 ありがとうございます。ちょうど予定の時間になりましたので、議事としては2までですが、3はいかがですか、議事のその他は。

○医療費適正化対策推進室長 特にございません。

○多田羅座長 ありがとうございます。それでは、事務局から次回以降、何か連絡事項とか、その他ございますか。

○医療費適正化対策推進室長補佐 ありません。

○多田羅座長 次回はいつになっていましたか、11月。

○医療費適正化対策推進室長 1116日を次回予定させていただいておりまして、皆さんに御案内させていただいているところでございますので、また次回よろしくお願いできればと思います。詳細な場所ですとか、時間については追って皆様方に御連絡させていただくようにいたします。

○多田羅座長 次回1116日、ちょっと立て続きになりますけれども、指標という非常に大事な概念と実態等が議論されないといけない形のところでございますので、ぜひ16日、また御出席いただいて、熱心な御討議いただくよう、お願いしたいと思います。

本日はどうもありがとうございました。


(了)

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