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2015年6月17日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成27年6月17日(水)18:00~


○場所

航空会館B101会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

○新 井 洋 由、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、 菊 池 嘉
 鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、 田 島 優 子、 田 村 友 秀、
 中 島 恵 美、濱 口 功 、 半 田 誠、 増 井 徹、
 山 口 拓 洋、◎吉 田 茂 昭
 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(7名)

 庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、 清 田 浩、
 前 崎 繁 文、 森 田 満 樹、 山 本 一 彦

行政機関出席者

 成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
 森  和 彦 (審査管理課長)
 宇 津  忍 (安全対策課長)
 山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 武 田 康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 他

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。今回は臨時開催ということで、先生方にはお忙しい日程の中、御調整いただきまして本当にありがとうございました。

本日の出欠の状況ですが、庵原委員、大槻委員、奥田委員、清田委員、前崎委員、森田委員、山本委員より欠席の御連絡を頂いております。鈴木委員は少し遅れているとお見受けいたします。現在のところ、当部会委員数21名のうち、13名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しております。

 本日、席上に幾つか配布させていただいている資料の御説明をさせていただきます。「PressRelease」と書いてある資料をお配りしておりますが、これについて御説明いたします。ここのところ、先生方に多大な御負担をお掛けして、利益相反に関する調査に御協力いただいていた、その結果を取りまとめて先日公表いたしました。それのPressRelease資料を本日お配りしております。この資料に基づいて簡単に御説明いたします。

 この部会や調査会において、利益相反に関する取扱いルールがあります。それに沿った対応に必ずしもなっていないところが、いろいろなきっかけで分かってきました。そういうことがあり、それについて先生方にはお忙しい中を調査に御協力を頂き、その結果を6月5日に公表いたしました。

 資料の()ですが、薬事分科会委員の8名が、薬事に関する企業の役職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任されていたことが判明し、この8名の先生方には辞任いただくことになりました。そのお名前については2枚目の資料1に示しております。

()は、昨年度開催した審議会において、寄付金や契約金等の申告内容について改めて確認させていただきました。その際、8名の委員の先生におかれては受領なし又は50万円以下の受取りと申告されていたのですが、改めて確認すると、50万円を超えて500万円以下の受取りであったことが判明いたしました。こうなると、本来議決に参加できないことになります。そのような状況で、本来議決に参加できない先生が議決に参加していた事例がありました。

()は、同じく16名の委員の先生方について、受領なしという申告を頂いていたのですが、改めて確認すると、50万円以下の受取りがあったことが判明しました。こうしたことが調査の結果分かりました。こういうことで公表いたしました。

 今後の対応ということで、その後に続けて、既に先生方も御存知のとおり、寄付金・契約金等の申告内容を製造販売業者に確認する。これは、昨年度から製薬業界も、透明性ガイドラインということで、どの先生に、どれだけの金額をお渡ししたかを公表するようになりました。その公表されているものとの突き合わせをさせていただくということで、試行的に始めております。それに対応して申告様式の見直しも行っております。さらに、企業の顧問等に就任した際に、これは辞めなければいけないということや、申告の対象の年度が3年度にわたるということ。それから、家族の方の受領の分も申告する必要があるのだということなど、規程の細かな内容ではありますが、極めて重要な事項を、改めて先生方に注意喚起をさせていただくということをやりたいということになりました。

 そのために、「自己点検用チェックシート」を用意いたしました。これは本日の会議で必要というものではなくて、今後開催の御案内を差し上げる際に、一緒にこのチェックシートを同封してお送りします。一応、御紹介しておきます。こうした点検を先生方にもお願いいたしたいということで御説明いたしました。

 このようなことになったことについては、後で事務局側の規程の内容を先生方にきちんと御説明する、あるいは繰り返し御確認をお願いすることの徹底が不十分だったと私どもも考えております。本当に審議会の事務局として至らないことを申し訳なく、お詫び申し上げます。先生方におかれましては、こういうことを契機とし、規程について御理解、御確認を頂いて、遵守に御協力を頂きたいということです。

 ただ、現実の申告の仕方に関しては、部会の先生方からも、今の申告の仕方だと確認をしにくいという点も御指摘頂いています。そういうところを、改善すべき点の御提案、御意見を賜れば、私どもの方でも、そのようなことを十分に検討させていただきます。できるだけ合理的かつクリアカットに、この辺りのことが確認できるよう今後も運用を改めて、改善をしていきたいと考えております。是非ともその点をよろしくお願いいたします。この点についての御説明は以上です。もし御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

○菊池委員 興味本位であれなのですけれども、この金額が50万円と500万円の線引きはどうして生じているのですか。498万円と502万円でどう違うのかということの意味なのです。

○審査管理課長 そこに実績の違いがどうあるのかという説明は、正直言って困難です。ただ、一定のラインを引いて、それを超えているか超えていないかというところで割り切りましょうということを、この審議会の中で一応合意をしていただいたところからの線引きです。当時、FDAなどで5万ドルというラインでやっていることを参考にし、おおよそそれは日本でいうと500万円という線でしょう、ということで線引きをした経緯があると聞いております。

○菊池委員 学会でも、いわゆるCOIがあるのですが、50万円とか500万円というのはちょっと珍しいと思うのです。100万円とかそんな感じになっていて、線を引く段階としてはどこなのかというのが、自分が所属している学会でも多少話題になりました。これは謝金で言っているのか、それとも電車賃も入るのか、税金の部分も入るのか。所得税とか源泉徴収されている部分があるではないですか、そこも神経質になると、例えば50万円ぐらいのところでは、そこが結構瀬戸際になると思うのです。企業によっては一括してお金を出す所と、そこから交通費込みというのもありますから、そういうのは非常に難しいです。そういう意味で50万円とかの線引きの線を超えるところは、クリティカルでちょっと気になりました。

○審査管理課長 分かりました。そのようなところの紛れがないようにということの御意見を賜りましたということで、審議会の係とも相談し、できるだけ明確に御説明が行き届くようにということで対応させていただきます。ありがとうございました。

○吉田部会長 受領なしと50万円以下と区別する理由はあるのですか。

○審査管理課長 はい、それはほかでもそのような御意見を頂きました。実際上、決議の参加の取扱いに違いはないので、受取りなし、若しくは50万円以下の受取りを一まとめにしてしまって、それであれば、少なくとも今回16名の先生方について御迷惑を掛けることを本当はしなくて済んだのではないかと。私どもの方でも、そのように考えております。ですから、それを総意として審議会の中でそのルールをこのように変えようということもあり得るかと思っております。今後その辺りを整理させていただいて、そのような方向ができるようにしたいと今のところ考えております。

○吉田部会長 是非とも検討していただきたい。

○審査管理課長 はい、そのような御指摘、御意見はほかにも頂いているものですから、それは是非そのようにしたいということで、私どもの中でも検討しているところです。この件について御不明な点、もっとクラリファイしたいことがいろいろまだ出てくることがあるかと思います。それは、いつでも事務局の方にお寄せいただければと思います。この件について必要なことがありましたらお申し付けください。この件はここで一旦区切らせていただいて、以降の議事の進行は吉田部会長にお願いいたします。

○吉田部会長 本日の審議に入ります。事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日の席上に、議事次第、座席表、当部会委員名簿、議事次第に記載されております資料1及び資料2を配布しております。このほかに資料No.3「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料No.4「専門委員リスト」、資料No.5「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。

 本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料No.5の1ページを御覧ください。オラネジン消毒液1.5%ほか2規格です。本品目は、手術部位の皮膚の消毒に係る予定効能・効果となっております。同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページは、ゾシン静注用2.25ほか2規格です。本品目は、発熱性好中球減少症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明について御質疑等はありますか。ないようでしたら、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆様の御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況についての報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況について御報告いたします。議題1「オラネジン消毒液」、退室委員なし、議決には参加しない委員は山口委員。議題2「ゾシン静注用」、退室委員なし、議決には参加しない委員は田村委員と山口委員です。

○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に特段の御意見等はありますか。ないようですので、皆様には御確認いただいたものとし、議題に入ります。本日は審議事項2議題となっています。審議事項議題1について、機構から概要説明をお願いします。

○機構 議題1、資料1-1及び1-2、医薬品オラネジン消毒液1.5%ほかの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるオラネキシジングルコン酸塩は、種々のグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して殺菌効果を示すビグアナイド系薬であり、本剤は外皮用殺菌消毒剤として申請されました。なお、平成27年1月時点では、海外において本剤は承認されていません。本申請の専門委員としては、資料No.4に記載の8名の委員を指名しました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性について、審査報告書37ページの中段にある表22を御覧ください。この表は、本剤、CHGと表記している対照薬の0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩液又は基剤を健康成人の腹部及び鼠径部に塗布したときの、塗布後の細菌数を示しています。腹部及び鼠径部のいずれにおいても、主要評価項目である塗布10分後の細菌数について、基剤に対する本剤の優越性が検証されています。また、本剤塗布10分後の腹部及び鼠径部の細菌数は、クロルヘキシジンのものと同程度であったことから、本剤の有効性は期待できると判断しました。

 次に安全性について、審査報告書41ページの1)安全性の概要についてに続くパラグラフを御覧ください。健康成人を対象として実施された国内臨床試験4試験において認められた、本剤を塗布したときの有害事象の発現状況は、既承認薬である0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩液、10%ポビドンヨード液、基剤及び生理食塩液のものと比較して差異は認められませんでした。また、本剤を塗布した局所において発現した有害事象はいずれも軽度であり、特段問題ないことを確認しました。

 次は審査報告書を少し戻って38ページの表24を御覧ください。この表は、消化器疾患に対する腹腔鏡下手術施行予定者に、本剤又は10%ポビドンヨード液を塗布したときに認められた有害事象を示しています。本剤を塗布したときの有害事象の発現状況は、PVIと表記している10%ポビドンヨード液を塗布したときとほぼ同様であり、また副作用はいずれも回復性が認められたことから、手術施行予定者に対する本剤の安全性についても、現時点で大きな問題はないと判断しました。

 ただし、実臨床においては、消化器疾患に対する腹腔鏡下手術以外の術式における手術部位の皮膚の消毒を目的とした使用も想定されることから、製造販売後調査において、様々な手術部位及び術式で使用されたときの安全性について、広く情報収集を行う必要があると判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬、劇薬、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 有効性について確認させていただきます。本剤と、塗布した後、これは値がLog表示されていますが、具体的には何分の1になっているのですか。それから、基剤だけとの間に統計学的有意の差があるとのことですが、なぜそのことを指摘する必要があるのですか。

○機構 1点目の質問に関しては、確認して後ほどお答えいたします。2点目の御質問についてですが、基剤、つまり有効成分が入っていないものと比較して、本剤が殺菌効果を示すのかどうかをヒトの皮膚上でまずは確認することが、医薬品として承認する上での前提になると考えましたので、このように基剤に対する優越性を検証することを目的として第III相試験を実施しております。繰り返しになりますが本剤が殺菌消毒薬であることを示すために、基剤との比較が必要だということで、基剤に対する優越性が検証されることが重要であると考えております。

○関水委員 基剤が何かが私にはよく分りません。アルコールのように、それ自体である程度殺菌性があるものが基剤になっているのですか。この中に入っているものが、消毒薬としての効能を有していることの証明は、化学物質としてもっと純正な系で、菌とこの化合物を混合したときに、どれぐらいの菌が死ぬかというデータがあるべきです。それはどこに示されているのですか。

○機構 基剤が入っていない状態での殺菌効果という意味でしょうか。

○関水委員 そうです。

○機構 それは非臨床の薬理試験で検討しております。審査報告書の6、7ページで示した検討より、基剤に効果はないこと、8ページ以降に示した検討より、本剤が殺菌活性を示すことが確認されております。

○関水委員 8ページにあるのは、そういう量なのですか。

○機構 はい、そうです。

○関水委員 本剤が菌に対して効いていることは明確なのですね。

○機構 はい、殺菌効果を示しているデータになっています。横に並べている、CHGとPVIと書いてあるのが、既存の消毒薬として承認されている成分です。単純に見比べることは難しいかもしれませんが、MBCという最小殺菌濃度として同程度の値は示していると考えております。

○関水委員 実際に臨床に使ったときに、確かに殺菌性があるというのが、今説明されたことだと理解しています。その時に統計学的に有意な差があるなどということを、がんの薬で効果を議論するように、議論するのは疑問だと思いました。

○機構 臨床試験では、基剤に対する優越性の他、既存の外皮用消毒薬である0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩と同程度の殺菌効果を示していますので、総合的に見ると、本剤の殺菌効果は示されたと判断しています。

○吉田部会長 一般的に使われているものとして、ヨード系の殺菌剤などがありますが、そういうものも同じような評価の仕方をするのですか。実際問題として効果持続期間がどのぐらいと言われても、臨床のデータで証明するのは難しいと思うのですが。

○機構 御質問は、このような臨床試験デザインで消毒剤として承認してよいのかと。

○吉田部会長 消毒薬は、一般にどのような評価でもって有効性を評価しているのか。

○機構 海外で臨床評価ガイドラインがあり、それに準じて今回の国内第III相試験は、塗布を2分間して、その塗布10分後に腹部、鼠径部の細菌数を評価するという試験をやっています。39ページの1)の「本剤の有効性評価について」の項に示しております。「なお」と記載したパラグラフです。米国の臨床評価のガイドラインである「TFM」について記載しております。ここで塗布10分内の細菌数の減少量が指標になるとされています。もう少し具体的に言うと、塗布前から2Log程度減少することが、消毒薬としての有効性の指標になるだろうというのが、このガイドラインに記載されています。

○吉田部会長 本剤が、米国のFDAでFullClinicalHoldに戻されたというのは、肝機能への影響とか、そういうことからですか。何か理由が明らかにされているのですか。

○機構 審査報告書の3ページに経緯は書いております。FullClinicalHoldに戻された詳細な理由は記載しておりませんが、申請者に確認したところ、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と聞いております。安全性に問題があり、Full Clinical Holdに戻されたということは、聞いておりません。

○吉田部会長 要するに、毒性とか何か有害事象が気になって戻されたというわけではないのですね。

○機構 そうではないと聞いています。

○吉田部会長 ほかに御質問はありますか。

○菊池委員 これは無菌製剤しかないわけですから、術前にこれを塗ったりするようなテストを全くしないで手術室に行って、開封して使用すると思われますが、添付文書上も、いわゆる接触テストをしてからとは書かれていないようですが、それでいいのでしょうか。せっかくやるのですから、もっと安全を期して、術前の麻酔科の回診のときに、ちょっと腕の内側に塗ったりして、話を聞いている間に大丈夫だから使おうとか。ヨードのアレルギーは事前に聞きますけれども、この成分については全く聞かずに、オペ場に行って塗布することをイメージするのですけれども、いかがですか。

○機構 事前に過敏症の反応をチェックする必要があるのではないかという御指摘と理解しました。臨床試験での安全性プロファイルを踏まえると、本剤において、そのようなテストを実施する必要があるということは、現時点では考えておりません。本剤は、ビグアナイド系の殺菌消毒剤ですが、既存の成分であるクロルヘキシジングルコン酸塩と同系統の薬剤ですので、クロルヘキシジングルコン酸塩に対する過敏症歴の有無を確認することは可能と考えています。

○吉田部会長 確認することが可能だったら、どうなるのですか。

○機構 確認した上で、過敏症がある人には本剤を使わないことになります。

○吉田部会長 使わないということを、きちんと徹底させるということですか。

○機構 はい。

○吉田部会長 わかりました。ほかにはよろしいでしょうか。御意見もないようですので議決に入ります。なお、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議はないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。議題2に移ります。議題2について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題2、資料2、医薬品ゾシン静注用2.25ほかの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。

 本剤は、β-ラクタマーゼ阻害薬であるタゾバクタムと、ペニシリン系抗菌薬であるピペラシリンを1対8の比率で配合する注射剤です。本邦において、発熱性好中球減少症の適応を有する抗菌薬は、セフェピム塩酸塩水和物及びメロペネム水和物のみですが、これらの抗菌薬に対する耐性菌の増加が指摘されているため、関係学会より本剤の発熱性好中球減少症の適応追加について要望が出され、第5回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討の結果、申請者に対して開発要請され、今般承認事項一部変更承認申請がなされました。本申請の専門委員としては、資料No.4に記載の5名の委員を指名いたしました。

 審査内容について、臨床成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書14ページの表6を御覧ください。この表は、発熱性好中球減少症患者を対象として実施した国内臨床試験の成績を示しております。一番右の列に、有効率として投与4日目に解熱効果が認められた被験者の割合を示しておりますが、成人で50.0%、小児で62.5%でした。これに加え、発熱性好中球減少症の推定原因菌に対する薬物動態、薬力学的観点等から、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 次に、安全性について、その次のページの表7及びその下の記載を御覧ください。この表は、国内臨床試験で成人において2%以上の発現が認められた有害事象を示しております。下痢及び肝機能異常が10%以上発現しております。本剤との因果関係が否定されなかった重篤な有害事象及び投与中止に至った有害事象については、いずれも転帰は回復又は軽快でした。また、小児で3例以上に認められた有害事象は、下痢、発熱性好中球減少症及びアレルギー性輸血反応であり、いずれも重篤な有害事象ではありませんでした。本試験で認められた主な有害事象は、既承認効能・効果での国内臨床試験で認められたものとほぼ同様と考えられたことから、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、発熱性好中球減少症の効能・効果を新たに追加するものであり、小児については通常の1日投与量が既承認の用法・用量に比べて増加することから、小児の発熱性好中球減少症に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間として、4年間と設定することが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

○関水委員 毎回同じような質問をして恐縮なのですが、表6から解熱効果が有効であったということが分かったというのは、これは言い過ぎだと思います。プラセボのコントロールがないのですね。学術的な観点からすれば、効果があることが示唆されると主張しても、普通の学会誌では却下されると思います。

○機構 有効性に関しては、説明が多少不足していた部分がありますので補足いたします。確かに、国内臨床試験は限られた例数でプラセボ対照でもない試験ですが、海外でもこの発熱性好中球減少症を対象とした臨床試験が実施されております。

○関水委員 私は、そのようなことを質問しているのではありません。私は、表6から有効だということが示されたというこの論理は通用しないのではないかと申しているのです。海外でほかの成績があるという場合には、そちらを説明していただきたいと思います。表6からどうして有効だということが主張できるかと質問しているのです。もし根拠があれば、教えていただきたい。

○機構 御指摘のとおりです。この成績だけをもって、本剤が有効性を示したと結論付けるのは困難と考えます。

○関水委員 そういう場合は、説得力あるデータを出して説明されるべきですね。私が見過ごしている海外での臨床例というのがあるのですか。

○機構 審査報告書の22ページを御覧ください。海外で臨床試験が実施されており、セフェピムという既に発熱性好中球減少症の適応を有している薬剤との比較試験のデータがあり、それと本剤は同程度の有効率を示したと記載させていただいています。国内試験は、先ほども申し上げたとおり非常に限られているのですが、海外で臨床試験が実施されていて、有効性データも得られているので、そういったところから本剤の有効性は示されていると考えております。

○吉田部会長 ですから、説明の順序としては逆で、海外の試験で未承認薬が公知のデータとして示されていて、日本人のある集団でも試験をやったところ、部分的に再現性があったということなのでしょう。

○機構 はい。

○吉田部会長 データの重さが逆転しているのですね。

○機構 はい。御指摘の点は、今後説明の際に気をつけたいと思います。申し訳ございませんでした。

○吉田部会長 田村先生、発熱性好中球減少症の場合の有効率ですが、一般的にはどれぐらいのレベルを期待されるのですか。たとえば、100%は目指さないのですか。100%効いてもらわないと困るような気もするのだけれども。

○田村委員 解熱する割合ですか。それは、全員を目指しますけれども。

○吉田部会長 ですから、実際の臨床現場での有効性はここにある数字より、もっと高いのではないかと思うのですが。田村先生としては、どれぐらいのパーセンテージなら合格にされますか。普通、臨床に用いられるときには。

○田村委員 このような試験での「有効」の定義を正確には把握していないので何とも言えません。よく分かりません。

○吉田部会長 よく分からないですか。もっと高くてもよさそうな気がするのだけれども。

○審査第四部長 審査報告(2)に記載しておりますが、この品目の専門協議でも、この試験に組み入れられた患者さんの背景を考えると、もう少し高い有効率が出るのではないかという御指摘が専門委員からありました。審査報告(2)の32ページの有効性の項に、この点について少し記載させていただいています。海外の試験成績等と比較したところ、この試験に組み入れられた重症化リスクの高い患者さんの割合等は若干異なっているのですが、結論から言えばこの有効率はそれほど低い数字ではなく、既存薬と同じような有効性が得られていると最終的には判断しております。

○吉田部会長 そのほかにご意見はありますか。

○川上委員 PK/PDの考え方についてお伺いします。審査報告書の11ページなどを見ますと、基本的にはT>MICが50%を超えると有効という考え方で、T>MIC・50%以上の達成率が8090%と相当高いところで用量設定されているので、PK/PDの考え方からすると、これで良いのでしょう。そこで実際に設定して臨床試験に入ると、大体効果が50%前後ぐらいということですので、そもそもの設定がそれでよかったのかと少し疑問に思うのです。その根拠論文として引用しているものは2003年のサプルメントですので、PK/PDの考え方で用法・用量を設定するところが少し甘かったということは別にないのですか。これで十分なのか、逆に例えば投与量あるいは投与回数を上げてT>MICをもっと上げても、この有効性はもう上がらないのか。その辺りは、どのようにお考えなのでしょうか。

○機構 抗菌薬ですので、投与量を増やすと効く可能性は、完全に否定できないのではないかと考えております。今回、このPK/PDの検討のみに基づいて用法・用量を設定したわけではなく、先ほど御指摘もあったのですが、未承認薬検討会議で要望があって、海外で承認されている用法・用量と同じような形で本剤を使えるようにしたいというところがまずありました。今回実施したPK/PDの検討は、発熱性好中球減少症の推定原因菌種といわれるものに対して、既承認用量と比較して海外で承認されている用法・用量は有効性が期待できるものであるのかという観点で検討させていただいたところが主な点ですので、このPK/PDの検討だけをもって用法・用量の妥当性を議論するのは困難だろうと考えております。

○吉田部会長 そういう未承認薬検討会の要請もあり、長々と試験もやるわけにもいかないという側面もあったようです。ほかによろしいでしょうか。ないようですので、議決に入ります。なお、田村委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会は8月3日()、午後3時から開催いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 いろいろと、日程を予定されている先生方も、おられることとは思いますが、委員が1名でも足りないと、こういうことにもなりますので、万難を排してご出席いただければと思います。ほかにないようでしたら、本日はこれにて終了いたします。御苦労さまでした。


(了)

備 考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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