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2015年10月9日 新型インフルエンザ等対策有識者会議 医療・公衆衛生に関する分科会(第6回)

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

○日時

平成27年10月9日(金) 17:00~19:00


○場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬の
備蓄について
(2)その他

○議事

○齊藤室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから「第6回新型インフルエンザ等対策有識者会議医療・公衆衛生に関する分科会」を開催いたします。

 開会に当たりまして、厚生労働省福島健康局長から御挨拶を申し上げます。

○福島健康局長 10月1日付で健康局長を拝命いたしました福島でございます。

 本日は大変お忙しいところ、また遅い時間の設定にもかかわらずお集まりいただきまして大変ありがとうございます。

 日ごろから感染症対策のみならず、健康政策全般につきまして御指導を賜りまして、この場を借りて厚く御礼申し上げたいと思います。

 先生方御承知のとおり、新型インフルエンザ対策につきましては病原性の高い新型インフルエンザや危険性のある新感染症が発生した場合にその対策の実効性を高めるために、平成25年4月に新型インフルエンザ等対策特別措置法が施行されまして、同法に基づく政府行動計画、それからガイドラインというものが策定されているわけでございます。

 これらを踏まえて、現在、抗インフルエンザウイルス薬やプレパンワクチンの備蓄を始めとして総合的な対策を進めているところでございます。この政府行動計画、ガイドラインを見直す際には、新型インフルエンザ等対策有識者会議に御意見をお伺いする、そういう形で進めてきているところでございまして、本日のこの医療・公衆衛生に関する分科会では、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄方針について御議論をいただきたいと考えているところでございます。

 この後、具体的な中身については担当から御説明をさせますけれども、これまで厚生労働省の厚生科学審議会において備蓄薬剤の種類と割合、あるいは備蓄目標量に関する考え方を整理していただいておりますので、こちらも参考にしていただきまして御議論いただくようにお願い申し上げます。

 簡単でございますけれども、冒頭の御挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

○齊藤室長補佐 次に、本日御出席で前回の医療・公衆衛生分科会開催以降に委員になられた方々を御紹介いたします。

 鹿児島県伊集院保健所長の宇田委員です。

○宇田委員 宇田でございます。よろしくお願いいたします。

○齊藤室長補佐 国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長の小田切委員です。

○小田切委員 小田切です。よろしくお願いします。

○齊藤室長補佐 名張市長の亀井委員です。

○亀井委員 亀井市長です。

○齊藤室長補佐 次に、委員の皆様の出欠状況を御報告いたします。

 委員18名中、本日は14名の出席をいただいております。

 井戸委員、庵原委員、河岡委員、戸田委員から御欠席の連絡をいただいております。

 なお、井戸委員の代理として兵庫県健康福祉部健康局薬務課の稲田課長様に御出席いただいております。

○稲田課長 稲田でございます。よろしくお願いいたします。

○齊藤室長補佐 現時点で定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立いたしますことを御報告いたします。

 また、事務局にも異動がありましたので御紹介いたします。

 厚生労働省健康局長の福島でございます。

○福島健康局長 よろしくお願いします。

○齊藤室長補佐 厚生労働省大臣官房審議官健康生活衛生担当の樽見でございます。

○樽見審議官 どうぞよろしくお願いします。

○齊藤室長補佐 厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼でございます。

○浅沼課長 どうぞよろしくお願いします。

○齊藤室長補佐 内閣官房新型インフルエンザ等対策室企画官の大場でございます。

○大場企画官 お願いいたします。

○齊藤室長補佐 厚生労働省健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長の中谷でございます。

○中谷室長 よろしくお願いいたします。

○齊藤室長補佐 同じく、室長補佐の田村でございます。

○田村市長補佐 田村でございます。よろしくお願いします。

○齊藤室長補佐 同じく室長補佐の私、齊藤でございます。よろしくお願いします。

 冒頭のカメラ撮影は、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。

(カメラ退室)

○齊藤室長補佐 それでは、以降の議事進行を岡部分科会長にお願いいたします。

○岡部分科会長 それでは、今回は「新型インフルエンザ等対策有識者会議医療・公衆衛生に関する分科会」の第6回、ちょっと久しぶりだと思うんですけれども、開催させていただきます。

 私は、今、御紹介いただきました川崎市の健康安全研究所の岡部です。進行をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、最初に事務局のほうから本日の資料の確認ということでよろしくお願いします。

○齊藤室長補佐 議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料1から資料4まで、参考資料1、参考資料2をお配りしております。議事次第の資料一覧と照らし合わせの上、不足等ございましたら事務局へお申しつけください。以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございます。抜けているところがあったらまた事務局のほうにおっしゃっていただいて、きょうの議事ですけれども、議事次第にありますように、テーマとしてあるのは「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬の備蓄について」ということになります。

 これまでの経過、それから先ほどもお話がありましたように、これは厚生科学審議会の小委員会、またその下にあるワーキンググループや何かで話し合って持ち込まれているというようなことでございますのでよろしくお願いいたします。

 まず、背景と経過について事務局のほうから資料1に従って御説明をお願いします。

○田村室長補佐 事務局から失礼いたします。

 お手元に資料1を御用意くださいませ。横つづりでございます。

 まず、お開きいただきまして1ページ目でございます。「現行の抗インフルエンザウイルス薬の備蓄方針」といたしまして、現行では新型インフルエンザ等対策政府行動計画に基づきまして、「国は、諸外国における備蓄状況や最新の医学的な知見等を踏まえ、国民の45%に相当する量を目標として、抗インフルエンザウイルス薬を備蓄。その際、現在の備蓄状況や流通の状況等も勘案する」となっております。

 同時期に制定されましたガイドラインでは、「備蓄目標量は5,700万人分とし、流通備蓄分400万人分を除き、国と都道府県で均等に備蓄」するとなっております。

 また、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄の考え方等につきましては、平成25年3月の健康局結核感染症課長通知でございます備蓄薬剤と割合につきましては、タミフルが8割、リレンザが2割となっているところでございます。

 おめくりいただきまして2ページ目、「抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン」でございます。こちらでは、「抗インフルエンザウイルス薬を効率的・効果的に使用するため、国、都道府県、医療機関、医薬品卸販売業者等による適切な備蓄・流通・投与を促す」とございます。こちらにも「国民の45%に相当する量を目標として国と都道府県で均等に備蓄する」とございます。

 そのほか、流通や、または医療機関での治療内容、治療方針、予防投与の対象患者等、細かく具体的に記載がございます。

 おめくりいただきまして、3ページ目は「抗インフルエンザウイルス薬の備蓄目標の経緯」でございます。平成17年度新型インフルエンザ対策としまして、タミフルの備蓄を国民の23%に相当するよう開始いたしました。平成20年度備蓄目標の引き上げは23%から45%、そして備蓄薬にリレンザを追加いたしました。平成24年度にリレンザの割合を2割に引き上げ、本案が現行の備蓄方針となってございます。

 おめくりいただきまして、4ページ、そして5ページ目でございます。両ページにわたりまして、「タミフルの行政備蓄状況」と「リレンザの行政備蓄状況」が平成18年度から記載してございます。

 おめくりいただきまして、6ページ目でございます。「抗インフルエンザウイルス薬備蓄における課題」といたしまして、平成18年度に備蓄を開始したタミフルとリレンザは平成28年度から順次期限切れを迎えます。タミフルが1,093万人分、リレンザが59.5万人分、そして期限切れに伴い、平成28年9月から備蓄目標量45%を下回ることでございます。国の不足分が272万人分、そして都道府県の不足分が265万人分です。今回、厚生科学審議会感染症部会及び新型インフルエンザ対策に関する小委員会でこちらのことを議論してまいりました。

 おめくりいただきまして、まず課題1で「備蓄薬剤の種類と割合について」でございます。

 おめくりいただきまして、右下8ページでございます。「抗インフルエンザウイルス薬の種類と特徴」としまして、現行、季節性インフルエンザで使われているブルーで囲まれている4剤、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの審議を行っておりました。

 一番右にございますオレンジのアビガン錠につきましても、同様に審議を行っておりました。

 次のページ、課題2で「備蓄目標量について」でございます。

 おめくりいただきまして、10ページ目は「現行の抗インフルエンザウイルス薬備蓄目標量の考え方」でございます。平成21年、諸外国の備蓄状況や危機管理の観点から備蓄量を増加いたしました。以下の事例に抗インフルエンザウイルス薬を使用する可能性を想定して、人口の4050%相当量の備蓄が適切といたしまして、45%を目標といたしました。

 この45%の内訳といたしましてはマルイチからマルサンで、マルイチは「新型インフルエンザの治療」、マルニは「予防投与」、そしてマルサンの「季節性インフルエンザが同時流行した場合」といたしまして、45%相当量が妥当であるという考えから備蓄を行ってまいりました。

 以上を踏まえて、厚生労働省厚生科学審議会小委員会並びに感染症部会で審議を行ってきた状況でございます。以上でございます。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。資料1は、これまでも委員会がダブっている先生方は御存じのところも多いと思うんですけれども、その方々も含めて何か御質問、御意見がありましたらどうぞお願いします。

 特にございませんでしょうか。また後でさかのぼって御意見いただいても構いませんので、それでは続いて資料2ですね。また田村さんのほうからよろしくお願いします。

○田村室長補佐 ありがとうございます。では、資料2をお手元に御用意いただければと思います。

 資料2「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬備蓄目標及び薬剤の種類と量に関する議論の整理」でございます。こちらは平成27年9月18日、先月の厚生科学審議会感染症部会で決定されたものでございます。

 1ページ目でございますけれども、こちらは先ほど御説明してまいりました資料1と同様の内容でございますので割愛させていただきます。

 次に、2ページ目でございます。まず、「2.備蓄薬剤の種類と割合に関する考え方」といたしまして、感染症部会では2-2のマルイチの「備蓄薬剤の種類に関する考え方」といたしまして既存のタミフル、そしてリレンザに加え、タミフルドライシロップ、ラピアクタ、そしてイナビルの備蓄を行ってはどうかという内容でございました。

 個々の薬剤につきましては次の中段からでございます。「タミフルドライシロップについては速やかに備蓄を行ってはどうか」。その理由が下に付記されてございます。

 おめくりいただきまして、次の3ページ目でございます。上のチェックでございます。「ラピアクタについて一定の備蓄を行ってはどうか」。理由は2つ付記させていただいてございます。

 次のチェックでございますけれども、「イナビル及びリレンザの両薬剤について一定の備蓄を行ってはどうか」というところでございます。

 また、アビガン錠につきましては「薬事承認で付されている臨床試験における有効性・安全性のデータが揃い次第、引き続き備蓄の是非等について検討する」というところでございます。

 マルニですけれども、「各薬剤の備蓄割合に関する考え方」といたしましては、各薬剤の備蓄割合につきましては市場流通の割合を踏まえてはどうかということでございました。理由につきましては、その次に付記させていただいております。

 次に、4ページ目でございます。「マル3各薬剤の計画的備蓄に関する考え方」では「タミフルドライシロップについては優先的に備蓄を開始することを検討し、その他のラピアクタ、イナビルについては既に備蓄しているタミフルやリレンザの有効期限を踏まえつつ、順次切り替え及び買い足しを行ってはどうか」でございます。以上までが、備蓄薬剤の多様性についての議論でございました。

 次は3でございますけれども、「抗インフルエンザウイルス薬の備蓄目標に関する考え方」でございます。

 3-1につきましては、先ほど資料1で御説明申し上げましたので割愛させていただきます。

 3-2の「新しい備蓄目標の考え方」といたしまして、「マル1新型インフルエンザの治療について」です。

 1つ目のチェックです。「対象者数は、新型インフルエンザ等政府行動計画の被害想定に基づく罹患者数や医療機関受診者数を基本としてはどうか」「行動計画上罹患者(全人口の25%は3,200万人、医療機関受診者数は最大で2,500万人」。

 2つ目のチェックです。「現在は受診者数の1割を重症患者と想定して、その全ての患者を倍量倍期間治療の対象にしている。しかし、重症患者の考え方として入院相当程度の患者として考えることも可能ではないか」、こちらは倍量倍期間の考え方です。

 おめくりいただきまして、6ページ目で「マル2予防投与について」でございます。

 1つ目のチェックでございます。「海外発生期及び地域発生早期等における患者に濃厚接触した者に対する予防投与は、平成21年新型インフルエンザの経験から国内まん延期に入るまでの5-7月の患者数約5,000名を基礎とし、その患者が接触した可能性のある者の数を試算した上で対象者数を考慮してはどうか」です。

 次のチェックです。「平成19年当時のWHO Protocol(プロトコール)では、重点的感染拡大防止策用に300万人分備蓄されていた。平成25年のWHO Interim Guidanceにおいて、一定量の重点的感染拡大防止策用の備蓄はウイルスの急激な拡散や全体的な社会的影響を減少させる可能性があると結論づけていること、また、新型インフルエンザ等対策政府行動計画には、限定的ではあるが感染拡大防止策を行うとの考え方もあることから、重点感染拡大防止策用に備蓄を考慮してはどうか」。

 おめくりいただきまして、「マルサン季節性インフルエンザ同時流行の発生規模について」です。

 新型インフルエンザが起きた際、季節性インフルエンザが同時流行を起こす可能性は低い。そのため、例年の季節性インフルエンザと同規模分の備蓄を行う必要性はないのではないか。一方、過去に新型インフルエンザと季節性インフルエンザの同時発生は小規模ながら確認されている。同時流行の可能性や過去の発生規模を参考に備蓄の必要性を考慮してはどうか」。

 こちらの資料が、感染症部会で議論し、感染症部会決定として報告された内容です。

 引き続き、資料3をごらんいただければと思います。資料3は「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬備蓄目標及び薬剤の種類と量に関する議論の整理を踏まえたシミュレーション(案)」として事務局がつくらせていただいたシミュレーション(案)です。

 まず1つ目は「備蓄薬剤の種類について」、そして2つ目は「備蓄目標量について」、それぞれは今、御説明申し上げた資料2をまとめさせていただいた内容です。

 1つ目の「備蓄薬剤の種類について」は「現行の備蓄薬はタミフル、リレンザに限定されているが、臨床現場では、タミフルドライシロップ、ラピアクタ、イナビルが広く使われていることを踏まえ、備蓄薬の多様化を図る」。

 2つ目の「備蓄目標量について」は、「平成21年の新型インフルエンザの状況、最近のインフルエンザ治療の状況等を踏まえ、治療のあり方、予防投与のあり方、季節性インフルエンザの同時流行の可能性に関し、再検討する。様々な状況に応じた柔軟性を考慮した上で、必要な目標量を設定する」「各薬剤の備蓄割合については、市場流通の比率等を踏まえる」「新たな薬剤の備蓄は計画的に行うこととし、以下の順に備蓄を進める。1)タミフルドライシロップ 2)ラピアクタ 3)イナビル」です。

 そして、中段以下は先ほど御説明申し上げた備蓄目標量の論点の整理、議論の整理を行った際、出てくる数字を計算し、わかりやすくまとめさせていただいた見取り図です。

 次に、お手元に参考資料1を御用意ください。参考資料1は「新型インフルエンザ対策に関する小委員会の継続審議事項」です。こちらは、新型インフルエンザ対策に関する小委員会から感染症部会に報告された内容です。「新型インフルエンザ対策に関する小委員会(平成27年9月11)は、抗インフルエンザウイルス薬備蓄目標及び薬剤の種類と量に関する作業班の議論を了承し、加えて以下の事項について継続的に検討する」とあります。

 まず1つ目は「備蓄薬剤に関する事項」、そして2つ目に「備蓄目標に関する事項」があります。

 それぞれの継続審議の事項といたしまして、厚生科学審議会小委員会で審議した際にまだまだ十分な科学的エビデンスがそろっていないという委員の先生方からの御意見を踏まえ、引き続き今後小委員会において同内容を継続審議していくというところを感染症部会に報告させていただいた内容です。以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 参考資料1を含めて資料2、それから資料3も続けて御説明をいただきました。これが小委員会の検討事項、それから感染症部会で決まって、今後の課題、それから検討すべき案として整備されたものですけれども、ここまでについて何か御質問、御意見がありましたらどうぞ御遠慮なくおっしゃってください。

 資料3のシミュレーション(案)が課題として出ているわけですけれども、これは最終的な議論はどこでやってどういうふうになっていくということをちょっと話していただけますか。

○田村室長補佐 事務局から失礼いたします。

 本シミュレーション(案)は、まず新型インフルエンザの小委員会に提出させていただいて、まず小委員会で本シミュレーション(案)を御議論いただきました。その後、その小委員会の議論を踏まえ、さらに感染症部会にこの本シミュレーション(案)も提出させていただいて、同感染症部会でもこのシミュレーション(案)を使いまして議論をさせていただいた次第でございます。以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。これについて、どうぞ。

 今までその議論に参加された先生も、あるいはそのときには参加されていない先生もおいでになると思うのですが。

 どうぞ、坂元委員。

○坂元委員 1点だけよろしいですか。今さらな議論かと思うんですけれども、このタミフルの有効期限が5年から7年になって、それから10年になってというふうに有効期限が延びてきたが、端的に言えば10年たてば廃棄しなければならない。もったいないという感覚があると思います。この10年というのは今後さらに延ばすという検討とか、計画とかあるのでしょうか。恐らくメーカーにとってはその有効期限が延びることはメーカーの経営上いろいろ問題はあると思うんですけれども、恐らく安定性のデータからは10年でも15年でも20年でもほとんど変わりはないんじゃないかという気がします。そういう場合、何かもうちょっと延長を検討できないかという、そういう検討というのはどこかでされるのかという漠然とした質問です。

○田村室長補佐 実は、この有効期限の延長につきましては、各製薬メーカーの方々と、相談させていただいて、今後の有効期限の延長につきまして話し合いをさせていただいた経緯がございます。

 確かに坂元委員がおっしゃるように、有効期限3年以上有効期限を延長するのであれば製薬メーカーがその安全性・有効性等を担保して添付文書の改編から全て行うということで、10年以上の有効性の延長につきましては各メーカーからそれ以上のことについては特に報告は受けておりません。

 そしてまた、厚生労働省としまして今、何か研究班をもって有効性の延長に対する研究を行っているのかということにつきましては、特に現段階では行っていないところでございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。

 では、最初に兵庫の先生、それから亀井委員お願いします。

○井戸委員(代理・稲田課長) 今の御質問に関連してなんですけれども、確かに今回の市場在庫の分で400万人分というようなことが基礎数字として挙がっておりますが、当時は非常に有効期限の短かった時期でございますけれども、今、仮に10年としましたら毎年700万人分が使われていて、仮に3,500万人分が市場にあったとしても、無駄にならなくて5年たてば変わっていくようなという単純な発想もできるわけですけれども、やはりその市場在庫の400万人分というのは変わらないという考え方でしょうかという質問が1点です。

 それから、被害想定につきましてFluAidを使って検討されたということですけれども、見直しを検討されたということでしたら少し教えていただければありがたい。この2点でございます。

○田村室長補佐 御質問ありがとうございます。

 まず1点目の流通備蓄400万人分の考え方なんですけれども、確かに稲田課長がおっしゃるように、厚生科学審議会では45%相当量の議論の整理は十分してきたんですが、その供給量の議論については本委員会でも積極的に行っていただきたいと考えているところでございまして、この資料4、次のほうでまた事務局からそちらの供給方法についての議論の進め方について岡部委員長に御報告申し上げたいところでございます。

 そして、2点目のFluAidにつきましての御質問ですけれども、実際、小委員会並びに感染症部会におかれましても各委員の先生方からこのシミュレーション(案)についての質疑がございました。実際、そのフルエイドを使ったシミュレーションというのは、確かに現行の行動計画の推計シミュレーションで記載されている以上、それなりの重みを持っていると事務局としては認識しているところでございますけれども、実際その研究内容、FluAidのシミュレーションの研究については、現時点では特に行っていないところでございます。

 そういうところをもちまして、先ほど御説明申し上げた参考資料1の中段のやや下の「備蓄目標に関する事項」の中に、「新型インフルエンザ発生の被害想定」という項目がございます。こちらで、実はこの小委員会の先生方から質疑がございまして、いわゆる被害想定の考え方について引き続き検討が必要ではないかという御質問がございまして、やはり小委員会としてこの被害想定の考え方を引き続き議論し、検討していったらどうかというところでこちらを読ませていただきます。「新型インフルエンザ等政府行動計画の被害想定では、シミュレーションにFluAidが使用されているが、今後新たな科学的根拠に基づいた被害想定の考え方等が報告されれば、俎上に載せることを検討する」。つまり、こちらでまた新たな考え方等については、出てくれば小委員会を中心に議論をし、その後、感染症部会でまたお諮りするという流れになってくるというところでございます。以上でございます。

○岡部分科会長 それでは、亀井委員お願いします。

○亀井委員 今の兵庫県の方と同趣旨の質問でございましたが、参考までに聞かせていただくのですが、期限切れになったら薬というのは捨てるんですか、どうされるんですか。

○田村室長補佐 御質問ありがとうございます。基本的には、破棄を考えております。

○亀井委員 それはもったいないですので、これをうまくローテーションして捨てる量が軽減されるような方法はないのかと思うんです。全く素人の考え方ですが、我々も自治体病院を抱えていますが、薬の備蓄とそこの関係はローテーションして捨てずに済むようにということでやっているんですけれども、その辺はどうですか。

○岡部分科会長 これも事務局のほうからいいですか。

○田村室長補佐 失礼いたします。実際、今、亀井委員から御指摘のあったように、もったいないという御指摘はごもっともだと事務局としても認識しております。過去、審議会の中でも、例えばタミフルのカプセルを脱カプして中のパウダーだけを取っておけないのか等についての議論がされた経緯もございます。ただ、実際、薬事承認上、有効期限が10年であるということ、あとは国が製薬メーカーから薬剤の購入するに当たっては幾つかの制約がございまして、基本的には、それを踏襲する、それを破って備蓄薬をまた市場流通に戻して有効活用するというスキームが現段階ではできない状況でございます。

 なので、もったいないという意見は十分承知しているところなんですけれども、引き続き当案につきましては検討していくべきだと認識はしておりますが、それ以上の回答は現段階では持ち合わせておりません。以上でございます。

○亀井委員 ちょっと違う質問をさせていただきます。基礎自治体としてはこの薬の備蓄、それから有事の際に放出があって予防投与とこういう一連のガイドラインを専門家の方々によってつくっていただいてそれが示されているわけでございますが、21年のときも我々は対策本部を立ち上げているわけですね。

 ところが、いろいろごたごたと言うことではないんですけれども、その薬の流れというのは余りスムーズでなかったとは思っているんです。ですので、あのときは優先が妊婦であったり、あるいはまた子供であったりというようなことでなされていたんですけれども、あのような轍を踏まずに済むように、我々としてもある一定の想定をした中で、県との連携の中で国は県と連携していただいてやるのですが、我々は県との連携の中でそういうような机上訓練というか、今、災害対策本部と同じメンバーで立ち上げているんです。ですので、そういう訓練も必要かと思うのですが、その辺のことについて御所見があったらどうぞおっしゃってください。

○田村室長補佐 事務局から失礼いたします。御指摘ありがとうございます。確かに2009年のときのパンデミックの際には、いろいろな先生方から御指摘を受けた点も十分反省材料として認識しております。

 平成25年の6月に策定されました新型インフルエンザのガイドラインの中に、先ほど私から説明させていただいた資料1の2ページ目でございますけれども、こちらに抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドラインといたしまして、こちらのガイドラインの中にも確かに流通の面ですとか、特に流通の面では新型インフルエンザが発生する前は都道府県の発生時における安定供給の体制を図る。国は流通状況を確認して卸業者、医療機関等に対し適正流通を指導する等の文言がございまして、国としては同じ轍を踏まないような努力を今後していくべきだと十分認識はしております。

 また、年に1度、ことしであれば1月23日に内閣官房並びに厚生労働省を中心としました新型インフルエンザの発生を想定した訓練というものも行っております。そういったところで、なるべくその実践に即した形で新型インフルエンザ対策が行われればと考えているところでございます。以上でございます。

○岡部分科会長 官房のほうから何かつけ加えることはありますか。

○大場企画官 政府全体訓練をことしの1月にさせていただきまして、今年度、11月ごろですけれども、また改めて訓練を行うことも今、調整をして準備をしているところでございますが、ことしの訓練の中ではぜひ市町村の方々にも御参画いただくような形で実施をさせていただきたいという形で今、検討しているところでございます。以上です。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 では、続きをどうぞ。

○亀井委員 よろしくお願いします。

 それと、きょうのこの審議とは全く関係ないんですけれども、そういう疑いのある人が出たら保健所にまず通報しますね。しますけれどもね、それでは医療機関が発熱外来を次に立ち上げていただきますね。それをするんですけれども、専門の医療機関がかなり遠方にあるわけです。それと、私は三重県ですが、それを搬送する救急車というのは1台しかないわけです。それでいいのかどうかと思うんです。それはどうですか。例えば、普通の救急車で運べるようなことができないのかどうか。そういう場合は、患者用の防護服みたいなものがあったらできるのではないかと思ったりもします。これは素人の考え方ですよ。素人としては、通常の普通の救急車を使おうと思えば、患者用の防護服があったらそれはできるのではないかと思うんです。

 もう一つは、中山間がありますから、これは救急車が行くのに6時間ぐらいかかるところもあるんです。そういう場合はヘリになります。ヘリになった場合、そこでおとなしくしておいていただいたほうがいいということもあれば、やはり緊急を要する子供さんなどがいらっしゃる場合もあるかと思うのですが、ヘリで搬送する場合はそんなに特殊なカプセルとか、そういうふうなものが必要ないのかどうか。私たち地域住民の命、安全・安心を担っているものとしては、非常にそれが気になるところなんですね。その辺はどうですか。

○岡部分科会長 今のことはきょうの備蓄の話とはちょっと外れるので、それから離れた話ということで、中心的な話まではいきませんけれども、お答えのできる範囲で情報提供ということでどうですか。

○中谷室長 今の御指摘は医療体制に関する部分ということで、政府の行動計画に基づいたガイドラインを複数出しておりまして、そのうちの一つが医療体制に関するガイドラインということで搬送体制、あるいは感染防御等のようなことをやって運ぶのかということを示しております。

 それで、今アイソレーターという患者さんを囲むものも随分昔から比べると進んでまいりまして、昨年来エボラの出血熱が出たときも各自治体に搬送訓練などをお願いしたのですが、それとともに簡易型アイソレーターという軽いものができまして、そういったものが図らずも新型インフルエンザにも役立つような形になってきているのではないかと思っております。

 お答えが全てになっているかはわかりませんが、一応医療体制のガイドラインということで、このガイドラインも適時見直していくものですので、きょう御意見ということでいただいてまいりたいと思います。

○岡部分科会長 新型インフルエンザという言葉だけで動き出すのではなくて、最初の前提としてはやはりかなり病原性とか、広がりであるとか、そういうことを総合的に勘案して動きが出てくるので、ただ、訓練などをやるときにはかなりものを一応想定して動き出すので、アイソレーターであるとか、あるいは物すごいこんなものが出てくる可能性もあるとは思うんですけれども、この新型インフルエンザというキーワードが出てきたときに全てそれが通用するかどうか、通用すべきかどうか。少しそこも科学的に判断をしなくちゃいけないのですが、それが官房のほうでやっている新型インフルエンザ対策の専門家会議とか、それから厚労省のほうでもそれに対するコンサルテーションをやることになっているとは思います。

 あとは、何かつけ加えることはよろしいですか。そのほかに何か御質問がありましたらどうぞ。

 では、稲田課長どうぞ。

○井戸委員(代理・稲田課長) 例えば先ほどの繰り返しになりますが、市場で備蓄タミフルを流通品に交換出来ないとしましても、例えば国有ワクチンに類するようなものとして、ある程度の青タミフルを一旦、国がお買いになってそれを市場に流していく。いわゆる普通のタミフルですね。備蓄用の赤タミフルではなくて普通のものを流していくというような方法で、仮に2,000万人分はそれをローテーションして、残りを備蓄にしたらどうなるかといったような金銭的なシミュレーションをされる予定はないのでしょうか。

○田村室長補佐 御質問ありがとうございます。次の資料4の際に、またそちらもつけて御説明申し上げたいと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございました。実際に最初にぶち当たった自治体ですから、かなりいろいろなことが具体的になってくると思います。今までのものは、今までの経緯ということで事務局から御説明をいただいているので、それに対して今、御質問が出てきたようなことに対する整理といったようなことが次のこの資料4のところになってくると思うので、そろそろこの資料4の話をお願いします。

○田村室長補佐 ありがとうございます。

 では、お手元に委員の先生方、資料の4を御用意いただければと思います。「厚生労働省新型インフルエンザ対策に関する小委員会及び作業班における議論を踏まえた備蓄目標量の新たな試算の考え方」といたしまして、資料の4をつくらせていただきました。本日は、こちらの資料4を中心に先生方各委員に御審議していただければと思います。

 まず上の項、「45%相当量の試算」といたしまして、一番左の項目で1、2、3とございます。こちらは、現在まで私が説明してまいりました「季節性インフルエンザ同時流行の発生規模について」、2つ目は「新型インフルエンザの治療について」、そして3が「予防投与について」というところで、各項目がそれぞれ現行の考え方として国民の45%総量を考えた試算でございます。

 そして、厚生科学審議会感染症部会の先生方の御意見といたしまして、「季節性インフルエンザの同時流行の可能性や過去の発生規模を考慮してはどうか」。また、「新型インフルエンザの治療におきましては行動計画の被害想定に基づく罹患者数や医療機関受診者数を基本としてはどうか」。また、重症患者の倍量・倍期間の治療におきましては「重症患者は現行の250万、もしくは入院相当程度の患者200万人として考えてはどうか」。また、予防等につきましても「患者1人当たりの濃厚接触者数を10100人と想定してはどうか」。また、地域封じ込めとしまして平成19年のプロトコール、もしくは25年のガイダンスを考慮してはどうか。こういった先生方の御意見がございました。

 確かに、厚生労働省ではテクニカルに45%相当の議論を十分にしてきたところでございますが、被害想定の議論といたしまして十分に今の段階ではまだ科学エビデンスがそろっていない。そしてまた、参考資料1にございますように、引き続き小委員会並びに感染症部会ではまだまだ議論の必要性があると先生方から御意見をいただきました。

 そういったところから、一番右にございます論点といたしまして、今まで考えていた45%相当の試算といたしまして、事務局案では国民の45%を維持する案としてまず1つ先生方に御議論いただきたいというところでございます。

 そして、2つ目の論点といたしまして下段のほうでございます「供給方法」でございます。実は、こちらは厚生科学審議会でテクニカルに議論を深めてきたというものではなくて、まだ議論がこれから十分必要ではないかと事務局で考えているところでございます。

 現行の供給方法の考え方といたしましては、まず行政備蓄で5,300万人分、そして流通備蓄として400万人分を計上しているところでございます。

 ただ、感染症部会の先生方からの御意見では、当時と比べて抗インフルエンザウイルス薬の市場流通量も増大しているのではないか。また、「新型インフルエンザ発生時には流通量の増加が見込める」のではないかとの御指摘もございました。

 そして、事務局として各製薬メーカーにヒアリングをかけたところ、大体当時は流通備蓄としまして400万人分程度であったものが、現行では約800万から1,000万程度まで各製薬メーカーの流通備蓄として在庫があるという現状報告をいただいております。

 そういったことを踏まえて、論点2としてこの供給方法につきましても本日先生方に御議論いただければと思います。この論点1と論点2を同時進行で議論していただければ幸いでございます。以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 この論点1、論点2についてどういう意見を持っているかというようなことできょうの委員の先生方から御意見をいただければと思うのですが、今、事務局からありましたように論点1、論点2、どちらからスタートしても構わないと思いますので、まず御質問、御意見のあるところからおっしゃっていただければと思います。

 では、坂元委員どうぞ。

○坂元委員 私は小委員会に出てちょっと理解できなかったのですけれども、この季節性インフルエンザと新型インフルエンザの同時流行がないだろうというのは、素人質問ですが、過去の経験からそう言えるのか。それとも、何かウイルス学的に根拠があるのか、そこら辺をちょっとお教えいただければと思います。

○岡部分科会長 では、田村室長補佐どうぞ。

○田村室長補佐 御質問ありがとうございます。

 まず、過去の新型インフルエンザと季節性インフルエンザの同時流行です。こちらも作業班のほうから審議を進めてきたのですが、例えば1968年の香港風邪の論文を読みますと、東大の福見先生等が報告しているんですけれども、確かに季節性インフルエンザと新型インフルエンザの同時流行はあるという論文もございます。また、最近では2009年の新型インフルエンザの発生では、国立感染症研究所の先生方の御尽力により、年間約2~3%程度、H1N1の新型インフルエンザが流行した際に季節性インフルエンザの同時流行もあるという報告がございます。

 ただ、昔からウイルスインターフェアレンスという、いわゆる宿主の免疫学的な考え方からその同時流行の可能性はないのではないかと言われている報告ももちろんあるんですけれども、本当にないのかどうかというところではまだ十分な科学的エビデンスと申しますか、そういった報告が現時点では見られていないところでございます。以上でございます。

○岡部分科会長 どうぞ、押谷委員。

○押谷委員 今の件ですけれども、どうしてそれまで流行していた季節インフルエンザがパンデミックが起こると駆逐されるのかというのはウイルス学的にも免疫学にもよくわかっていないところがあります。

 ただ、過去には実際に大規模な季節性インフルエンザの流行とパンデミックが同時に起こるということはなくて、今、事務局から説明があった同時流行というのはパンデミック初期に小規模な季節性インフルエンザの流行は同時にかぶることがあるということで、大規模な同時流行が起こるということは今までもなくて、一般的にウイルス学、免疫学の考え方からして同時に大規模な流行、だからこの3,200万人のパンデミックが起きて、それと同時に1,270万人の季節性インフルエンザの流行が起こるということは非常に考えにくいというのが今の一般的なコンセンサスだと思います。

 ただ、その小規模なパンデミックの始まりとか、そういうところで起こり得るということは当然あるということだと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 では、宇田委員どうぞ。

○宇田委員 ちょっとお尋ねしたいんですけれども、現在の備蓄分で国の備蓄分と都道府県の備蓄分で、都道府県がどの程度の備蓄が今なされているのかというのは把握できていますでしょうか。

○岡部分科会長 これは、事務局のほうが持っていると思います。どうぞ、田村さん。

○田村室長補佐 資料1の3ページ目でございます。こちらで、平成24年度の国並びに都道府県の備蓄量がございます。その後、多少買い足しをしてこちらが全く正確な数字とは言いがたいんですけれども、大体このような数字になっているところでございます。

○岡部分科会長 では、稲田委員が先で、その次に小森委員お願いします。

○井戸委員(代理・稲田課長) 国がこの27年3月末に出された数字でしたら、国備蓄が3,530万人で都道府県分が3,308万人で、多分6,838万人という数字が出てくるんじゃないかと思います。

 それに加えて、メーカーの3月末でしたら約1,100万人分の在庫があるということで、約8,000万人分の抗インフルエンザ薬が我が国にあるというのが今の実情ではないかと思います。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 小森委員、どうぞ。

○小森委員 今、委員がおっしゃったことは私も手元にデータがありましたので、毎年2回経済課が調べておりますので、今、委員がおっしゃったのが最新のデータだと思います。そのとおりです。

○岡部分科会長 備蓄という名前だけではなくて、我が国の中に存在すると言ったほうがいいんでしょうか。その割合として、国が持っている分もあれば自治体が持っている分もあるということだと思います。

 宇田委員、何かございますか。

○宇田委員 実は、本件をちょっと確認させていただいたら、その人数の割り振り分というんでしょうか。当県の目標とするものよりは少し少ないような現状があって、多分ほかの都道府県も、例えば財源との絡みでいうと幾らかその目標値に達しない自治体もひょっとするとあるのではないか。目標値と現状値の乖離がないかどうかということをちょっと確認させていただいたところです。

○中谷室長 済みません。データを確認しますので、ちょっとお時間をいただけますか。先にほかの議論をお願いします。

○岡部分科会長 では、その次について何か御発言がありましたらどうぞお願いします。

 では、永井委員どうぞ。

○永井委員 資料4の2の「患者の治療」のところですけれども、基本的に罹患者全員を対象とした場合と受診者を対象とした場合ですが、私ども病院団体としてはやはり医療を提供できる範囲というのはなかなか限られているわけです。本当に罹患者全員を見ることができるかどうかというのは非常に難しいところがあるわけで、現実的にはやはり受診者を対象とした数ぐらいのところが私としては無難なんじゃないかという気は、病院団体としては申しわけありませんけれども、しています。

○岡部分科会長 感染者だけであって、軽症者の場合は様子を見てもいいことになるのと、それから確かにガイドラインのほうにもあると思うんですけれども、自宅で様子を見られるような方についてはファックスで処方するとか、そういうような形で全てが、しかも重要な医療機関に訪れるわけではないようにしておかないと、入院医療機関の混乱ということがあるんじゃないかと思うので、その辺の整理も自治体でのトレーニングなどで必要になると思います。

 事務局のほうから何かありますか。よろしいですか。

 ほかに何か御質問がありましたらどうぞ。

○井戸委員(代理・稲田課長) 何度も済みません。この45%相当量というのは趣旨は理解しているんですけれども、この時間軸についてということで少しお尋ねしたいんです。

 と申しますのも、一遍にどんと全員がかかるわけではない。いろいろな対策は立てていただいて、そもそもゆっくりと患者さんの発生も均てん化ということでならしていきましょうということで対策を立てているというのが根本にあるかと思います。

 そういうようなことを考えた場合、確かに45%、トータルでは要るのかもしれませんけれども、時間軸で見た場合に、あるいは追加生産も可能ではないかとか、何もしなかったら45%かもしれないけれども、極端な言い方ですが、効果的にしたらこれは30%や35%になるのではないかとか、1年目でそんな議論は特にされなかったのか、お伺いしたいと思います。

○田村室長補佐 特に、時間軸に関する供給並びに製造ラインについての議論というのは厚生科学審議会のほうで行われてはいませんでした。

 ただ、確かにおっしゃるように、本日は供給方法で、数点ほど各企業からの報告として、例えば新型インフルエンザが起きた際にどのくらいの薬をすぐに放出できるのかどうかとか、こちらは企業の非公開データにも基づきますので、作業班レベルで非公開として、各企業の生産能力並びに放出状況について議論してきた経緯がございます。

 それで、本日、今、稲田課長からの御質問にありますように、まさしくこの供給方法についての議論というところで、この資料4の下段ですね。1つは、現在は市場流通が非常に充足しているというところを踏まえて、ある程度流通備蓄分もふえているというところを踏まえた段階で、この供給方法についてひとつ御議論いただくと、将来的な備蓄方針についての一つの方向性が見えてくるのかなと考えているところでございます。

○岡部分科会長 どうぞ、続けてもしあるのでしたら。

○井戸委員(代理・稲田課長) 下の供給方法でございましたら本当にいろいろ流通在庫という方法もあるでしょうし、当然医療機関でもどこで在庫をするのかは別にしまして、かなり減るのではないかと、私どもが県民に説明するにも理解を得やすいのではないかというのが本音でございます。

○岡部分科会長 どうぞ、事務局。

○田村室長補佐 ありがとうございます。今、稲田課長がおっしゃったように、確かに税金のかなりの額を投入してとなりますと、一つの考え方として現行の考え方をそのまま踏襲して、ただ踏襲するだけではなかなか難しいという印象もあるという認識は事務局としてはございます。

 例えば、一つの考え方といたしまして、現行では流通備蓄の量が400万人分と、これは既に平成25年6月のガイドラインに明記されているところでございますけれども、例えばこの流通備蓄分を少しふやす形で量をふやすことで供給方法の行政備蓄分を減らすとか、一つの案としてそれも議論していただけるのではないかと事務局としては考えているのですけれども、いかがでしょうか。

○井戸委員(代理・稲田課長) 実態に即してありがたい考え方だと思います。

○岡部分科会長 45%についてもまだまだ議論をしなくちゃいけないところだと思いますし、委員会のほうでも必ずしも45%の人が全部、投薬が必要かどうかというような議論もありました。

 ただ、そこの数字も見つつ、一方で確かに45%を従来どおりの形で生産量その他がふえている中で全部が自治体の備蓄ということになると、それを取っておいてはもったいないという話もありますし、予算を使うのでもったいないというような考え方もあるので、そこはある程度流通分でこれだけ流通しているのであればそれを賄えるのも計算の中に入れたらどうだろうかというのが小委員会などでの議論でした。

 ですから、ここの委員会でもそういうような考え方についてある程度了承をいただけるならば、そういったような方針であとの組み方ですね。バランスなどは実情に即してやっていくんじゃないかと思うのですけれども。

 では、小森委員どうぞ。

○小森委員 今、委員のおっしゃられたことはとても大事だと思っていまして、なぜ400万人かというのは、21年1月16日の局長通知、課長通知で400万とされたからなんです。その時点の数字であって、そしてその後、それを追認する形でガイドラインが書かれたということです。

 それで、委員はいらっしゃいませんけれども、この分科会ですね。20121029日に開かれた第3回のこの分科会において流通在庫の資料が事務局からも提出されて、ただ、時間がなくてそのとき余り議論していないんです。だから、議事録にはほとんど記載はないんです。私も参加しておりましたが。

 ただ、このときに流通在庫をどれくらいと見るかということがあって、その後、通常流通用抗インフルエンザウイルスの供給状況というものが医政局の経済課に報告をされて、年に2回ずっと報告をされ、今は委員も一番新しいデータを言われたんですね。

 ただ、季節性インフルエンザですので、私が承知している限り3月の状況と11月の状況は当然違うんです。11月の在庫状況は恐らく1,5001,600万程度あるのではないかと思いますし、3月は少ないんですね。 ですから、私は作業班から出ていますので、ぜひこの会で議論していただきたいのは、この流通在庫というのはどれくらいというふうに把握をするか。変わるわけですけれども、それが一つの論点かと思いますので、ぜひ委員長、現時点で流通・在庫をどれくらいと見積もるかという議論をしていただければと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございました。それは、先ほど事務局のほうからちょっとデータとして出していただいた、だんだん流通分が上がっている中で現状ではどのくらいだろうか。それから、それはことしだけ、ぱっと一時的にふえたものなのか。あるいは、見込みとしては大体同じような形でいくのかというところだと思うんですけれども、その辺を教えていただければと思います。

○田村室長補佐 ありがとうございます。先ほど小森委員がおっしゃられました、医政局の経済課からアップデートされております抗インフルエンザウイルス薬のメーカー及び卸業者の保有量の推移というものがございます。例えば2015年の3月末のデータですと、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ、各社の合計が1,100万人分程度、また確かに小森委員がおっしゃられたように年度末の3月末と10月ではデータは多少違うのですけれども、大体季節性インフルエンザの流行がある程度収束してくるような時期が一つの目安になるかと考えますと、例えば昨年、2014年の3月の末では4社合わせて1,400万人分程度の薬がメーカー及び卸にあるというデータがございます。

 また、各メーカーに実際に流通備蓄の考え方について当方がヒアリングといいますか、内々でお話を聞いているところでは、大体8001,000万程度の流通備蓄としてある程度考えていただけるような感触も、まだ正確に定まった数字ではないんですけれども、そのような数字も得ておりますので、そういったところを先生方に御審議いただければと思います。以上でございます。

○岡部分科会長 大体1,000万前後ぐらいは確実にあって、多目に見ると1,500万人くらいでしたか。それで、従来からいうと500600万人くらいで、今までのところはそういうものがずっと上がってきて1,000万前後であるというのが今の流通備蓄、これはヒアリングの結果ですが、その割合はまだはっきりわからないところもありますけれども、それはもう一つの課題というか、これから実際にやらなくちゃいけないところとして、ではその割合はどういうものであろうか。タミフル、あるいはリレンザ、ラピアクタといったようなものがありますが、その割合はまた別のところでの検討ということになってきますね。

 では、どうぞ。

○田村室長補佐 1つ、過去の厚生科学審議会の検討では行政備蓄を行うに当たっての一つの割合の考え方、多様性を持った4剤の考え方としましては、一般的に市場流通の割合を反映させたらどうかという先生方の御意見がございましたので、まず行政備蓄の多様性の割合の考え方というのは、1つは市場流通の割合を考えた形で考えていけるのではないか。そうすると、流通備蓄についても1つは市場流通の割合を踏まえた形で考えられるのではないかというところも事務局案としては持っていますけれども、またそちらも先生方に御審議いただければと考えているところでございます。

○岡部分科会長 どうぞ、櫻井委員。

○櫻井委員 私はきょう初めてこの話に参加させていただきますので基本的なところで申しわけないのですが、今の国と都道府県の支出の負担の仕方については、前提としては国が備蓄する分については国の予算から出て、都道府県については交付税措置等があると思うのですけれども、そうすると持ち出し分というのはどのくらいなのか、そのあたりの仕組み、基準はここでわかりますか。

 交付税で措置されるのであれば、いい悪いは別にしまして都道府県のほうでなるべく支出は控えたいというようなインセンティブは事実上、働かないと思うんですけれども、そこの仕組みはどういう形になっているのかをお尋ねしたいです。

○岡部分科会長 国側と自治体側とそれぞれだと思うのですが、国側のほうはいかがでしょうか。あるいは自治体の実情としては稲田課長、あるいは坂元先生わかりますか。予算の組み方といいますか。

 でも、市は違って県なんですね。県はどなたかいかがですか。

○井戸委員(代理・稲田課長) 参考になるかどうかわかりませんが、交付税も一般の交付税がいきますので、財政力の豊かな県と、ちょっと貧しい県というと失礼ですけれども、十分でない県とでやはり持ち出しのある県、ない県が当然できてきていると思いますが、個別に幾らというのはわからないというのが実態でございます。

○櫻井委員 いや、わからないではすまないというか、そんなちゃんぽんな議論はしていないはずです。交付税だけではなくて、補助金もありますし、負担金的なものもあるし、地方財政の話は非常に複雑なので、前提のご説明をお願いします。回り回ると国民の税金なので、そのあたりの配分の仕方ですね。あとは、市町村については政令市も含めて持ち出し分はないということでよろしいのでしょうか。

○亀井委員 それはありません。

○櫻井委員 そうすると、事務的な運営の費用がかかるという理解でよろしいということですね。

○岡部分科会長 備蓄の場合は、ストック先はあくまでも都道府県なので、市のほうはそこからのものを待つという形だと思います。

 では、室長からどうぞ。

○中谷室長 都道府県備蓄の分につきましては一般交付税の算定項目の中に含まれているということで、ただ、一般交付税ですので幾らそれに割り振るかは各県で多少差があるということでございます。

 国のほうは、補助金事業で購入しているということです。直接入札で、国の予算で直接買っております。

○浅沼課長 では、先ほどの宇田委員からの御質問にお答えします。

○中谷室長 先ほど、各都道府県の備蓄の充足率がどうかという充足状況についてお尋ねがございました。タミフル、リレンザについて各県の目標量の充足状況はほとんどの県が充足しておりまして、幾つか充足していない県もありますが、それでも8割以上、9割以上というところばかりで、全体の目標量としてはタミフル、リレンザ、両方ともクリアしているという状況です。

○岡部分科会長 そうすると、パッケージといった交付金の中でも、これに対してはある程度適切にと言っていいんでしょうか。自治体のほうではストックされているということではないかと思います。

○櫻井委員 兵庫県さんにお伺いしたいのですけれども、先ほどのなるべく流通分のほうをふやしたいという御発言の真意は、一般交付税の使い道についてこの備蓄等のみに使うのではなくて別のところに使いたいという発想ですか。

○井戸委員(代理・稲田課長) もともと減らされてもいいと思うんです。そもそも実際に医療機関や薬局の卸さんにあるのにそれを過小評価して、それを備蓄計画に入れるのはおかしいんじゃないですかというのと、もともとこの計画を立てたときというのは、抗インフルエンザウイルス薬の期限が短かったんです。だから、なまじ市場に抱えてしまうと期限切れを起こしてしまって皆さん損をしてしまうんですけれども、無駄があるというような状況であったのですが、それぞれの薬剤の使用期限が長くなったんです。

 そうしたら、昔でしたら仮に5年のものだったらもうあと1年しかないようなものを卸さんが納入したらこんなものは使えるかと言って返されたかもしれませんけれども、例えば10年のものでしたらまだ3年、4年のものでも、あと5年、6年もあるものでしたら受けてくれるよというようなことも十分考えられますので、もう少し柔軟な流通在庫の考え方というのを、当時と変わっておりますので、ひとつ検討いただけるところがあるのではないかということで提案させていただいているものでございます。

○櫻井委員 そうだとすると、一般交付税は減りますけれども、それでいいということですね。そうであるとするとやらない理由は全然ないといいますか、財政状況も厳しいですので、そういう形で進めるのが筋論になるのだろうと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 では、坂元委員どうぞ。

○坂元委員 メーカーと流通備蓄を合わせると、メーカーそのものが持っているものを合わせると1,000万人以上の備蓄があるだろうということなのですけれども、もう一つ、メーカーがバルクでどれくらいのバックアップを持っているかというところもかなり重要ではないかと思います。

 メーカーの生産能力にもよると思うんですけれども、カプセル詰めくらいの作業であれば簡単であり、一体バルクをどれくらい持っているかということだと思います。メーカーはなかなかその辺のところは明らかにしないと思うのですが、このデータもある程度公開できるかどうかはわからないのですけれども、バルクというのは実際どれくらい予備を持っているものなのかということも情報として必要なのではないかと思います。

○田村室長補佐 ありがとうございます。今、坂本委員がおっしゃられたバルクでどのくらい即時、カプセル詰めですとか箱詰めぐらいのレベルですぐいけるということですので、現段階ではバルクの総量についてはこちらとしてはまだヒアリングをしていないところですので、確かに坂本委員がおっしゃったようにそれも試算の一つの考え方として考えていきたいところです。

 確かに、今回厚生科学審議会のほうで多様性を持たせるという審議で、初めて国産である第一三共株式会社のイナビルという吸入薬と、あとはシオノギ製薬株式会社のラピアクタという薬が入ってきましたので、この2社は国内製造であると伺っておりますので、輸入製剤なのか、国内製造なのかというところでも迅速性とか、タイムラグとか、いろいろ考えられるところがあると思いますので、今後事務局としてヒアリングしていきたいと思っております。ありがとうございます。

○岡部分科会長 それと、繰り返しにはなりますけれども、備蓄する薬剤はこれからバランスを考える中で、小児用としてはタミフルのドライシロップは必要であるという委員会の意見も出ていますので、これについてもよろしいですね。こうやってカプセルを開ければいいじゃないかということがあったのですが、あの大騒ぎのときに全部開けてというのも、それとまずくて飲めないので実際は余り使えないということがありますので、そういったような実際上のところも勘案して、小児も備蓄用として大切であるということも出しておきたいと思います。この辺は大体よろしいでしょうか。

 あとは、全体の量ですけれども、非常に大ざっぱで、これが800万でいいのか、1,000万でいいのかということはありますが、確実な数字としては1,000万という数字が一応出ているわけですね。もうちょっと上のほうまで持っていっても大丈夫ですよ。

○田村室長補佐 ありがとうございます。正式に国と製薬メーカーでのコントラクトといいますか、正式な書面でのやりとりはしていないので、まだヒアリングレベルの状況ですけれども、のりしろをもって800万から1,000万程度で、確かに岡部委員長や稲田課長がおっしゃるように、財政的なものも含めてなるべく国として、事務局として前向きに製薬メーカーの方々に御協力、ヒアリングをかけていきたいと考えているところでございます。ありがとうございます。

○岡部分科会長 委員会としては1,000万前後を目標にしていただいて、これはメーカーの方の協力ももちろん必要ですけれども、もちろんプラスアルファがあればそれにこしたことはないのですが、従来の400万というところからははるかに超えた目標値が設定できるのではないか。そのようなところで決めておいてよろしいでしょうか。

 数字を出すとすれば1,000万前後というところだと思うのですけれども、できるだけそのプラスマイナスのところで、プラスにいくのはいいんですが、マイナスにそごを来さないようにというところでお願いできればと思うのですが、自治体のほうとしてはいかがですか。

○井戸委員(代理・稲田課長) 例えば、国立病院さんで備蓄していただくと患者さんがどれだけ来られるかわかりませんけれども、そういう方法とか、いろいろ多様的な備蓄方法を国、県以外の備蓄方法などももう少し多様性をもって考えていただければいいんじゃないかと思います。それについて、都道府県でもいろいろ案を出して御協力させていただきたいと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございました。この2番目の資料4の下のほうですね。供給方法ということについては大体、今のところで議論ができているのではないかと思います。

 では、朝野委員どうぞ。

○朝野委員 その1,000万という上限を決めているリミテーションは何なのか。企業側がどういう理由で1,000万というふうに決めてあるのかということを教えていただきたいんです。もし2,500万だったら、先ほどの最も少ない数字を国が備蓄しても、あとの2,500万でいけるので、今の45%もいけるということなので、そのリミテーションは何なのかということを教えていただけますか。

○田村室長補佐 ありがとうございます。平成17年に備蓄を開始した当初、この流通備蓄の考え方と定義づけさせていただいたところでは、季節性インフルエンザの流行が終了した際の倉庫にある見込み量という形で当初、流通備蓄の量が規定された経緯がございます。

 そうなりますと、1つは現在有効活用できるようなデータとしましては、医政局の経済課様が出されている、3月末日、いわゆる季節性インフルエンザの流行が終了した際の4社のいわゆる在庫量という形で一般的には1,000万前後、多いときでは1,400万とかあるのですけれども、1,000万前後が一つの相場観かと考えているところでございます。

 もちろんメーカーにヒアリングをかけますと、今後その流通備蓄としてガイドラインにこの文言を反映させるとなるとやはり責任も伴ってくるということから、例えば各社で300万ですとか、350万とか、いわゆる流通備蓄が考えられるとコントラクトを結んだ後に、例えば在庫量が少なくなってしまった際の危機ということもございまして、一般的にそのシーズンを終えて大体倉庫に残っている量という形でその上限が1,000万人前後かなと事務局としては把握しているところでございます。

○朝野委員 もしその倉庫の在庫を置くスペースの問題とか、そういうことであれば、再流通というものが可能であれば、その再流通は絶対できないというふうに最初にお話をされたのですけれども、それは多分外資と国内のメーカーの違いというのもあると思いますので、再流通制度ということで国に一遍倉庫に入れて再流通すれば一緒じゃないか。そこのリミテーションがどうなのかということは。

○田村室長補佐 失礼いたします。今、朝野委員のおっしゃった再流通の考え方ですけれども、今回のこの流通備蓄というのは国がお願いしてメーカーに備蓄していただいている量で、これはメーカーが自由に使って市場流通の中で使っていっているお薬で、常にそのメーカーとして倉庫にある量ですので、それはそのメーカーに国がお願いして一定程度ずっと持っていてくださいというわけではなくて、いわゆる市場流通の中で常にその倉庫にあるという量を考えていますので、特にこれは市場に流してはいけませんとか、国のためにずっと持っておいてくださいとか、そういうものではなくて、常に市場流通の中で季節インフルエンザの治療の中で流れている中で、常にそのバッファーとして企業が倉庫に持っている量というものを考えているところでございます。

○朝野委員 国に入れて、国からも流通させるということができれば、再流通がもし可能であれば国が入れてしまえばそのバッファーが少しふえるだけだと思うんですけれども、多分消費が追いつかないかと思うのですが。

○岡部分科会長 今のことは、多分消費の部分と価格の部分があるんじゃないでしょうか。国が一旦、国の倉庫に入れてしまうというような形でのストックをするときは、購入価格が違うはずなんですね。それがもう一回流通するとなると、ここは商取引上問題が出てくるんじゃないかというような話が前にあったんですけれども、課長、そうですね。

○浅沼課長 では、補足します。タミフルが一番わかりやすいのですが、国、都道府県が備蓄しているタミフルは今、岡部委員長がおっしゃったとおり、価格面も考慮していただいた上で中外製薬、ロシュさんと契約しているもので、その契約条件の中にいわゆる市場、医療現場で使うということを前提としたものではないので、そういった考慮があって、もったいないという話がいろいろございましたけれども、市場に出せない。いわゆる掛け捨て保険と近い発想でやらせていただいているものなんです。

 ですから、もし今おっしゃったように一回、国に入れてまた出してとか、そういうようなことをするとなると、価格面は今、市場に出ている実際の医療機関で使っているものと同じものになってしまうと、流通備蓄に備える予算は上がってしまう状況になっています。

 ですから、相手方の製薬企業さんもそこのところを御理解していただいた上でやらせていただいている話になっていますので、いわゆる行政備蓄分というのは今、申し上げたような配慮の中でやっているので制約があります。

 ところが、流通備蓄のほうは今、先生方がおっしゃっているように実際に医療現場で使えるものなので、価格面については通常どおりのものですけれども、昔と違ってタミフルを医療現場で使う機会がどんどんふえていっているので、400万という量から実態としては1,000万を超えるような量になっている。これをうまく今回の見直しの備蓄という世界の中で活用できないかということで議論をお願いしているということになります。

○岡部分科会長 どうぞ、朝野委員。

○朝野委員 赤タミは捨てると思っているから安く買うので、もし市場原価で買って再流通すれば捨てるわけじゃないので余り損はしないと思うんですけれども。

○浅沼課長 ディスカウントしている額がかなり大きいです。ですから、今、先生がおっしゃっているアイデアで再計算をきちんとしなきゃいけないんですけれども、逆に予算がかさ上げになる可能性もあります。

○岡部分科会長 そういうような複雑なところがあるというのが問題点でもありますね。

○井戸委員(代理・稲田課長) できたらそういう金額のシミュレーションを出していただければもう少し皆さんも理解できるし、私も納得できるんですけれども、青タミフルを買ってそれを流したら確かに差が出るんですが、ではどんな持ち出しになるんだ。10年で見た場合にどちらが多いんだとか、そういうものをぱっと出していただければ簡単に結論が出ると思います。今はないので空中戦をしているような感じなので、ちょっと前に進まないのかなと思います。

○岡部分科会長 きょうの議論としては、一応流通備蓄を含めて仮に1,000万プラスマイナスというようなところが必要で、これはやってもいいだろう。

 それからもう一つの課題としては、朝野委員がおっしゃられるような仮に流通備蓄ではなくて再流通できるような形にした場合に損か得かといったようなところのシミュレーションは、余り細かい数字は多分取引の関係なのでできないんじゃないかと思うんですけれども、そこら辺は事務局のほうで調べていただいて、出せるものならば出していただいたほうがわかりやすいだろう。そこはどのくらいだというのは限度もある程度わかるような気もしますけれども、できるところまで調べていただければと思いますのでよろしくお願いします。

 そのほかのところで、そのほかというのは今の供給ですね。この辺については何かございますか。

 では、最後ということで丸井委員どうぞ。

○丸井委員 今、金額についての話もありました。もう一つは実際に物があるわけですね。その物が都道府県の場合には都道府県単位で備蓄されているのでしょうか。備蓄といってもセキュリティー上、明らかにはできないと思いますけれども、恐らくは国が買い上げて製薬会社のどこかに置いているのか。いざというときに全国に、あるいは必要なところにすぐ流せるような形で恐らく備蓄されていると思います。そういう備蓄の状況そのものというのも、今のお話のように再流通の可能性とか、あるいは実際にそれを10年間ならば10年間、一定のところにきっちり保存しているわけですね。

 その実際の物ですね。これも、数千万人分ということになってくると物すごい分量だと思います。それを別にここで明らかにする必要はありませんし、知りたい、明らかにしろというわけではありませんが、その辺の物を補完し、いざというときにそれがすぐ動かせるような状態になっているのでしょうか。その辺のところも安心できるような形にしておく必要があるかと思います。

○岡部分科会長 では、事務局どうぞ。

○田村室長補佐 御指摘ありがとうございます。この抗インフルエンザウイルス薬の備蓄ですけれども、実はガイドライン上に規定がございまして、国は国家備蓄のお薬を備蓄している場所は非公開にさせていただいているところでございます。確かに、先生がおっしゃるように本当に新型インフルエンザが起きた際のロジックがうまくいくのかというところについては、こちらとしてもシミュレーションが必要なのか検討する必要もあるかもしれません。以上です。

○岡部分科会長 私が聞いたところでは、ある保存されているところにどうしてもスペース的なものがあるので、そうするとパッケージの大きさとか、その重さとか、そういったようなものも全て備蓄する際の種類の条件に入ってくるといったようなことが実際はあるようです。

 それから、流通のほうに関しては実際にパンデミックのような状態になったときに、国の備蓄されているものが一気に放出されるということでは、さっきのステージ的なことがあるので、多分それはないだろう。シミュレーションのほうでも、最初の段階では流通されているものはまず使いやすさからいって動いて、それからその次の段階で自治体がその間に備蓄されているものを配分するようなことをやって、そして自治体の分が出て、その最後のほうで国が出てくるというようなことが前のパンデミックのときに随分議論されたことだと思うんですけれども、大体そのような形も踏襲しているんじゃないかと思うのですが、事務局のほうではいかがでしょうか。

○中谷室長 そのような御理解でよろしいと思います。

○岡部分科会長 ですので、時間軸的なところはそういったような動きがありますけれども、ただ、地域によって過疎なのか、過密なのか、あるいは中都市なのか、大都市なのかで随分違ってくるので、例えば今パンデミックトレーニングでワークセッションや何かのシミュレーションをやっていますけれども、その次の段階というか、その先にあるものとして実際にどういうことでスムーズにいくのか。

 明日起きてしまうと困るんですけれども、そういったようなことのシミュレーションもステップとして国もどの程度までそういうシミュレーションができ上がっているかということを見ていただいて、それで次はこういうものが必要だというのはやはり提示していったほうがいいだろうと思いますし、自治体においても恐らくはいろいろな計画の中で組み入れていっていただければとは思います。わからない分のデータは国のほうにも聞いていただいて、それが自治体の中で応用できるものであれば出していただければと思います。

 そろそろほかの論点のほうもちょっと見ておきたいと思うんですけれども、例えば資料4の「同時流行をどのように考えるか」というのは押谷先生がさっきまとめていただいたように残存しているというか、季節性インフルエンザがあることはあるんだけれども、それと例えばパンデミックインフルエンザが同じレベルで出ているということは今までにないし、治療そのものにそんなに差があるわけではないと思うんです。ですから、余り細かい差はつけないけれども、実際に同時流行のために何かを置いておく必要はないだろうというのが今までの議論です。

 それをここの委員会でも踏襲していいかどうかということで、何か異論があればおっしゃっていただければと思います。あるいは疑問があれはどうぞ。これは、よろしいでしょうか。

 それから治療対象になる患者数、これは永井委員から先ほど御意見もありましたけれども、基本的には医療機関受診数ということになるのですが、例えばファックス処方や何かが仮に動いた場合、これは受診者数に数えられるのですね。そこはまだはっきりしないですか。

○田村室長補佐 済みません。確認させていただければと思います。

○岡部分科会長 そこら辺が恐らく永井先生がおっしゃった患者数の算定のところにちょっと影響が出てくるかもしれないので、そこは見ていただければと思います。

 それから、倍量・倍期間の対象となる患者数、これは随分議論したので押谷委員からそのときの議論の経過なども含めておっしゃっていただけますか。

○押谷委員 倍量・倍期間というのは多分、まず最初に動物実験の結果が報告されて、そこから考えられてきたところだと私は理解しています。

 ただ、実際に季節性インフルエンザ、あとはH5N1に関してNIHとかウェルカムとかがお金を出してつくったアジアのクリニカルリサーチネットワークというものがかなり大規模な研究をして、今のエビデンスは倍量・倍期間でのベネフィットというのは見られなかった。

 それとは別に、香港中文大学のグループが別のスタディーをして、そちらでも見られていない。ただ、別の会議で臨床の現場で実際に重症の患者が来た場合、倍量とか通常量でやらないということはあるんじゃないかというような御意見もあって、そういうことはやはりある程度考慮しておく必要はあるのかもしれませんが、実際に倍量・倍期間でクリニカルなベネフィットがあるというデータは、エビデンスは現在のところないというのが私の理解です。

○岡部分科会長 ありがとうございます。実際の臨床の現場では川名委員、朝野委員から何か御意見がもしあればどうぞ。

○川名委員 現段階では、恐らく倍量・倍期間を使う対象というのは非常に少ないのではないかと思います。最初から重症化するか否かは一般的にはわかりませんので、経過を見ながら改善が認められないような人に対して投与期間を延長していくことはあり得ると思いますが、これが例えば1週間とか10日になってきますと、インフルエンザウイルス感染症そのものよりも、例えば2次性の細菌性肺炎ですとか、いろいろな合併症による疾患の長期化という側面が多くなってくると思うので、ニーズはないかといえば当然あると思いますけれども、かなりの数を見込んでおかなければならないほどのニーズがあるかと言われるとちょっと疑問です。

○岡部分科会長 感染症学会のほうに大石先生は。

○大石分科会長代理 川名先生も入っておられるんですけれども、日本呼吸器学会のほうでインターネットサーベイランスというものを始めていて、そこの中でもその倍量・倍期間投与という実態はまだ見えてこないんですね。それで、次年度以降、次シーズン以降はそういう項目を設定することである程度拾える可能性はあるのですけれども、もう一つは御存じの発生動向調査の中で入院サーベイランスというものがあるわけですが、現在治療内容についてはまだわからないのですが、研究ベースでそういったところもやはり検討していく。入院でどういう治療がされているのかですね。倍量投与する対象がどのくらいあるのかというのは、やはり知っていく必要があろうかと思います。

○岡部分科会長 では、小田切委員どうぞ。

○小田切委員 確認ですけれども、今はどういうレベルの新型インフルエンザを対象にした議論をしているのかということですね。いわゆるかなり重くなる、死亡率の高い新型インフルエンザを想定しての議論なのか。中程度、もしくは低程度の重症度で起こる新型インフルエンザを対象にして議論しているのか。議論するプラットホームによっては必要とする薬の量にしろ、その患者数にしろ、全部変わってくるので、その辺はどういう柔軟性を持った議論なのか、もしくは分けて議論すべきなのか。ここはやはり検討したほうがいいかもしれません。

○岡部分科会長 では、田村さんどうぞ。

○田村室長補佐 御指摘ありがとうございます。確かに今、小田切委員がおっしゃられましたように、その次にどういった人への病原性を持つウイルスがあらわれてくるのかというのは推測は難しいところでございます。それをもって、行動計画では一つの考え方として1918のスペイン風邪等のモデルを考えているわけであります。

 そうすると、本会議であれば、本会議は内閣官房の医療・公衆衛生に関する分科会ですので、1つは危機管理としてある程度、重症をきたすものも十分に考えていただいて、その中でやはり国民への安心・安全、いわゆる新型インフルエンザ対策としては国がどのように国民に対して安心・安全なものを提供できるのかというところを御審議いただければと考えているところです。

○岡部分科会長 うんと軽いものの場合は、もちろん新しいインフルエンザであっても対象にならないわけですけれども、特措法の対象にしているのは少なくとも重症かつ蔓延であるということで、モデルとしてはこの間のパンデミック、2009年のものはその対象になるか、ならないか、ぎりぎりぐらいのところで一応対象にはならないというような考え方だったと思うんです。

 ですから、それを超えたもの、ただし、パンデミックが起きて特措法が出なくても厚労省というか、全体のパンデミック対策はもちろんやらなきゃいけないので、そのときに持ち出されるのはやはりこういうところで議論しているところのレベルよりちょっと低くなるかもしれないけれども、これを応用するということじゃないかと理解しているんです。

 どうぞ、大石委員。

○大石分科会長代理 委員長のおっしゃるとおりだと思うんですけれども、どういう重症度の新型インフルエンザがくるかはわからない状況下ではやはりベースラインとなるのは季節性インフルエンザの治療の内容を知っておくことが大事なんだと基本的には思っています。

○岡部分科会長 よろしいですか。

 では、どうぞ。

○小田切委員 やはり事務局のほうからも出たように、一番悪いケースを想定して、それより軽い場合は使うものは実際に少なくてよかったねというやり方のほうが絶対安全だと思うんです。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、元の話に戻ってしまうと、この45%の備蓄がいいかどうかというところにいくのですけれども、小委員会のほうでも45%よりももっと備蓄量が実際は少なくていいんじゃないかというのが大体の医療関係者の考えどころなんですけれども、では一方で45%を30%にしていいのかどうかというような、むしろ危機管理の観点からの意見も随分出ました。

 その再議論をした結果としては、先ほどちょっと御説明したようなこれだけ日本の場合には抗インフルエンザウイルス薬が出ているというのであれば、その備蓄を全てその予算を投入するような形でのものではなくて、少しいろいろなところの協力もいただきながら、流通の場合もこの備蓄の中の計算に入れていこう。

 それで、次の段階としては本当に45%が正しいか、正しいというか、適切な想定かどうかということも続けてやっていなくちゃいけないんですが、きょうまでの議論としてはその辺のところになると思います。

 一応、想定としては重症なものということで、したがってこの倍量・倍期間も小委員会のまとめた意見をちょっと申し上げると、重症というのはやはり入院相当くらいの患者さんであって、全ての人が例えば外来で点滴をするものまで重症だとは考えないので、ある程度限られてくるだろう。それが入院サーベイランスや何かからもこれから実際の数字として出てくる可能性はあるけれども、今までの過去の例から考えた入院相当分、これが一つの数字として出てくるだろう。

 それからもう一つ議論されたのは、例えば倍量・倍期間に関しては大石先生がおっしゃったような季節性インフルエンザのことがやはり基礎データにはなるので、そこは多分いいだろうとか、そういうことではなくて、今度は医学会のほうできちんとしたデータをとっていただいて、それについては研究というようなことで厚労省のほうもバックアップしていただければというような委員会での議論だったと思います。

 もう一点は、特に最重症例というか、経口投与ができないとか、そういうようなところの場合に使う頸静脈投与があるわけですけれども、これは日本発なのでほかの国でデータが出てくるはずがないという押谷先生の意見もあり、やはりこういったようなものはむしろ日本から逆にデータとして海外にも示すということが重要なので、これも季節性インフルエンザをベースにしてちゃんとしたテーマをまとめてもらう。今のところ残念ながらそこのところは絶対まとまっていないので、これも促す。

 それで、効くか、効かないか、今、両方の議論があるので、それも並行しながらやはりデータをきちんと出していただくということが小委員会のほうでも随分議論されました。

 押谷先生、今のようなところで追加意見があればどうぞ。

○押谷委員 全体の備蓄量というのが、45%が適切かどうかということをもう一度きちんと議論する必要があって、この45%に引き上がったのは多分2009年のパンデミックの前で、かなり病原性の高いものが皆、日本だけではなくて世界中でそういうことを考えていた中で、積み上げるものは全部積み上げたということで出てきたものだと思います。

2009年のパンデミックは例外的に病原性は低かったので、それを基準にされると困るのですけれども、2009年のパンデミックを受けてもう一度冷静に本当に何が必要なのか。危機管理という観点からも当然考えなければいけないんですけれども、もう一度考えないといけないというところで、その流れでいうとやはり季節インフルエンザの1,270万というのはいかにも多いかと思います。

 同時に、予防投薬の300万人というのも、今となってはそのころ考えられていたラピットコンテインメント、封じ込めというのはなかなか国際的にも実現性が低いというようなことが言われてきているので、そうなるとこの辺は見直してもいいかと私は思います。

 それで、重症化のところは危機管理の問題とも関連するので、その辺はもう少し議論をする必要があって、患者の治療の3,200万人、ここも罹患者数で計算していて、先ほど永井委員から話があったように受診者数という話をやはり考慮する必要があるかと思います。

 ただ、そのときにこの資料の3では二者択一で2,500万もしくは3,200万になっていて、この2,500万まで落としてしまうのはやはり問題で、これは稲田課長のほうから先ほど話があったフルエイドが元になっていると思うのでフルエイドの初期値でやっていると思うんですけれども、これはアメリカの受診コードが基本になっていますので、日本の受診コードを考慮すると2,500万まで落とすのはやはり基本的には問題かと思います。日本はかなり受診率が高い。このあたりをきちんと整理した上でどこまで危機管理という観点からと、あとは当然予算の問題もありますので、どのあたりが適切なのかという議論をする必要があるかと私は思います。

○岡部分科会長 どうぞ、坂元委員。

○坂元委員 私は、先ほど永井先生がおっしゃった医療機関のキャパシティーというのはすごく大きな問題で、2009年のときも実際に我々市町村、自治体の現場として医療機関の確保というのは非常に大変な作業であったので、もちろんこの備蓄量の算定ということは非常に重要なことですが、同時に現在新型インフルエンザの特措法に基づいて都道府県とか政令市はその登録医療機関の作業をやっているという中でどれくらいの登録医療機関があって、その登録機関が実際にどれぐらいの患者が診れるかという観点からもある程度備蓄量を算定する作業をしておかないと、実際に大量の抗インフルエンザ薬があってもそれを処方・使用できる医療機関が確保できるかという問題をあわせて両方考えておかなければいけないと思います。この会での審議課題とは思わないんですけれども、その辺の試算も十分やっておく必要があると思います。

○岡部分科会長 どうぞ、川名委員。

○川名委員 4種類のノイラミニダーゼ阻害薬の話が出ましたのでちょっと言及したいと思うのですが、先ほどの季節性インフルエンザの流通割合を参考に新型インフルエンザの備蓄を考えるということは私も賛成です。それから、イナビルですとかラピアクタに備蓄薬を振り分けていくということも私は大賛成です。

 ただ、先ほど小田切先生が言われましたように、どのくらいの重症度を想定するかということも非常に重要です。例えば今の季節性インフルエンザですと多くの方が外来で治療する軽症例ということになります。したがって1回吸入で済むイナビルが非常に人気があり、ラニナミビルの市場占有率はだんだん上がってきていると思いますが、それはあくまでも軽症例が多いということが前提にあるだろうと思います。そういうことも勘案した上で割合を決めていく必要があるだろうと思います。

 それから、先ほど押谷先生からラピットコンテインメントの考え方が随分変わってきているというお話がありましたけれども、私もこれは賛成であります。

 かつて言われていたような流行地域に初期に大量投入して封じ込めるというようなことは多分現実的でなくなりつつあるのだろうと思うのですが、一方、臨床の現場では10年前に比べますとインフルエンザの予防投与は非常に広く行われるようになってきていまして、ある程度病原性の高い新型インフルエンザが出てきたときに現場で予防投与のニーズが今まで想定されていたものよりもかなり多くなってくる可能性があるのではないかとちょっと懸念しております。

○岡部分科会長 どうぞ、押谷委員。

○押谷委員 今、川名委員から言われたのは私も同意見で、ラピットコンテインメントはかなり戦略として破綻しつつあって、それはなかなか考えにくくなってきていると思うんですけれども、予防投薬をどうするかというのはもう一度議論しなければいけなくて、資料3だと思うのですが、2009年の7月の下旬くらいだと思いますけれども、5,000人のところで予防投薬をやめたというのを基準に考えていいのか。もっと病原性の高いものだった場合、5,000人を超えても予防投薬を続けるという選択肢は当然あっておかしくないかと思いますので、そこら辺の議論はやはり必要なのかと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございました。ほかには御意見いかがでしょうか。

2009年のパンデミックはこれで5~6年たっているわけですから、ちょっと思い起こしてみると当時のインフルエンザ治療と今とやはり随分違ってきていますし、それからサーベイランスの考え方であるとか、積極的なトレーシングであるとか、今の予防投薬も実際のよしあしというか、治療の効果はともかくとしても、今度は一般の人が求めるものということも考慮していかなくちゃいけないと思うんです。

 ですから、幾つかの要素を考えながら、きょうのところの議論としてはどういう薬の備蓄かということが中心なので、その多様性を見ながら、そして危機管理という点からは45%だけれども、しかしそれが本当にその数字で適切かどうかというのは議論を続けていくということと、基本的な考えとしては流通、備蓄も全体の備蓄の一つのパッケージの中に入れていくんだというようなことできょうのところをまとめておいて、きょう幾つか議論をいただいていますので、その辺もこの委員会の中で解決できるものは解決をしておいて、それから宿題としてもしデータがそれまでに出てくるものがあれば、そのときも見せていただく。

 それから、課題としてこの委員会は多分これでなくなってしまうわけではないと思いますので、ここの委員会から、あるいはこちらの委員会でやってくださいという投げかけも含めて少しまとめ上げていただいて、それを次回のときの今回のこの備蓄に関する議論のまとめというふうに持っていければと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 では、小森委員どうぞ。

○小森委員 1点、厚生科学審議会の新型インフルエンザに関する小委員会の作業班から参加をしているということと、新型インフルエンザ特措法の成立のときから関係をしているということがあって、本当に被害想定については一番の問題ですので、ただ、そのことまで触り出すと議論がとてもまとまらないということで、今回は被害想定については基本的には触らない。ただ、それは先生方がおっしゃるようにまったくもって重要な話である上に、その重症患者に対する対応や予防投与について、これは別途しっかりした議論をこれから積み上げていくことが必要だと思っております。

 ただ、とはいえ、私は一番問題にしておりますのは201110月の時点の、これは流通備蓄そのほかを全部合わせて5,800万人分だったんですね。

 ところが、現在先ほど委員が御指摘のように瞬間風速で変わるわけですけれども、それが8,000万人分近くあるという現実と、そして今タミフルを中心に今度は期限切れの薬が出るんです。したがって、早急にこのことに対する対応が必要だということがありましたので、まずはやはりそのことに対する対応をメインに、一定の結論を早急に出す必要があると思っています。それは委員の方の同意だと思うんです。それぞれの先生方が御指摘になったことは別途きちんと議論をするということで、ここは整理をして議論をしていただければいいのではないかと思います。

○岡部分科会長 まとめていただいてありがとうございました。今のところで全てであります。

 それでは、押谷委員どうぞ。

○押谷委員 ここで議論する話ではないのかもしれないし、もっと長期的な話なんですけれども、そもそも論として、昨日こういうユーズ・オブ・ノイラミニダーゼ・インヒビーター・インフルエンザというものがイギリスから出て、これはパンデミックの御存じの委員の方もいらっしゃると思いますが、イギリスのコクランレビューが本当にノイラミニダーゼ・インヒビターが重症化阻止に効いているのかというかなりショッキングな投げかけをして、イギリスではそもそもこの備蓄そのものが正しいのかという議論になってこの報告書が出ているんですが、きちんとこれだけの税金を投入するので、エビデンスに基づいて備蓄方針というものを決めていく必要があって、残念ながら今、強いエビデンスがあるのは主にタミフルですが、強くエビデンスがあるのは有熱期間が短くなるだけで、この文書の中には14時間から17時間、有熱期間が短くなるだけで、今まで1日から2日、24時間から48時間とかというデータもあったんですけれども、14時間から17時間有熱期間が短くなる。それが強いエビデンスとしてあるだけで、1日早くよくなって学校に行けるとか職場に行ける。

 季節性インフルエンザの場合にはそれでいいと思うんですけれども、国民がよりシビアなパンデミックが起きたときに1日有熱期間が短くなるということを期待してこれだけのお金を使っているのではないわけです。重症化がどれだけ阻止できるか。そこのところのエビデンスというのはやはりオブザベーショナルスタディーズ、特に2009年のオブザベーショナルスタディーズである程度の有効性はあるだろうというのがこの報告書にも書いてありますけれども、そこはまだきちんとしたエビデンスがないというところで、ラピアクタの問題とか、そういうこともあって、やはりきちんと日本でエビデンスを積み上げていく。それに基づいて、やはり備蓄方針というものを今後、将来として考えていくということが私は必要だと思うんです。

 そこのところは、実はまだまだこういう議論がなされているくらいで弱いところで、これだけの税金を使う以上、やはりそこのところをきちんと日本も整理をしていくことが必要だと私は思います。

○岡部分科会長 いい御意見をありがとうございました。本当に今やらなければいけない部分と、やはりこれから議論を持っていくときのベースをしっかりしていかなくちゃいけないので、その研究ベースでやっていくということもぜひサポートしていただいて、こういう意委員会のところに少しでもステップアップしたものを持っていって次の議論に持っていきたいと思いますので、今の御意見をよくメモしておいていただいて、パンデミックをやらなくてもいいんじゃないかという意見もありますけれども、やはりこれは危機管理としては必要なことで、前の委員会のときにもちょっと申し上げたんですが、パンデミックに対する対策がそのままするっと応用になったわけではないですけれども、やはりエボラにしてもMARSにしてもかなりそういうような危機管理意識というものが以前に比べて違ってきているのは、こういったようなことも一つの大きな影響だと思います。

 それにしても全てエビデンスがあるわけじゃないからと言い切りにもできませんから、そこはエビデンスをきちんとつけていく努力を我々もしなくちゃいけないし、事務局のほうもぜひそれをサポートしていくような形、あるいはリードをしていただければと思います。

 それで、先ほど申し上げましたように小森先生にまとめていただいたきょうの議論としては必要な部分を出しておいて、それから今後の課題も含めて、それからもう一つお願いしようかと思っていたのは、そちら側の組織が変わってきていろいろな委員会ができている中で、このパンデミックに関する議論がどこでどう行われているか、もう一回整理しておいたほうがいいんじゃないかと思うので、例えばこの中でワクチンの話が出ているけれども、このワクチンの話は一体どこでやっているんだとか、もう一回まとめておいていただければわかりやすくなるかと思いますので、次回のときによろしくお願いします。

 恐らくほかの委員会でもそういったようなペーパーは必要だろうと思いますし、自治体も一体どこで何をやられているのかという話をよく聞いたりしますので、そういうときの材料もつくっていただければと思います。

 一応時間がまいりましたので、きょうのところは今までのようなことでまとめておきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

(委員 異議なし)

○岡部分科会長 ありがとうございます。長時間、時間外で議論していただいてありがとうございました。

 あとは、事務局のほうから御挨拶と次回の予定がありましたらお願いします。

○齊藤室長補佐 次回は1016日金曜日夕方5時から、新橋の航空会館で開催させていただきますのでよろしくお願いいたします。

○岡部分科会長 それでは、きょうは閉会にします。どうもありがとうございました。


(了)

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