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2015年10月27日 第17回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

○日時

平成27年10月27日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省18階 専用第22会議室


○出席者

増田部会長、大山部会長代理、岩瀬委員、金田委員、喜田村委員、斎藤(聖)委員、齋藤(衛)委員、椎野委員、西沢委員、西村委員、原委員、藤井委員、松山委員、安井委員、山口委員

○議題

(1)日本年金機構の業務改善に向けての課題
(2)その他

○議事

 

○藤原参与 ただいまより第17回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 まず、委員の出席状況ですが、本日は石井委員及び磯村委員が御欠席でございます。

 それでは、議事進行につきましては、部会長よりお願いしたいと存じます。恐縮ですが、カメラにつきましては、ここまでで退室をお願いいたします。

 

(カメラ退室)

 

○増田部会長 それでは、以降、議事を進めていきたいと思います。

 初めに、前々回の9月25日にここで予定しておりました「中期目標及び中期計画等」については、本日審議いたしますように、その後、機構の方で不正アクセスによる情報流出事案についての検証・調査結果及び厚生労働省からの業務改善命令等を踏まえて日本年金機構再生本部を設置して、今、業務改善計画の検討を進めているという状況でございます。

 したがいまして、当面、当部会では、機構の再生本部の中での検討状況の報告を受けて、それを審議の対象としたいと思います。その後、この業務改善計画が12月に取りまとめられると聞いておりますので、その取りまとめられた業務改善計画を受けて、改めて「中期目標及び中期計画等」について議論いたしたいと思っております。

 そういうことで、今日は、業務改善計画の検討状況について説明をいただいた上で、皆様方から御意見をいただき、機構における今後の検討に反映していただくという場にしていきたいと思います。

 それでは、議事を進めていきますが、お手元の議事次第にございますとおり、初めに「日本年金機構の業務改善に向けての課題」ということであります。

 まず、事務局から業務改善に向けての課題について説明してもらいまして、続けて、年金機構の方から、業務改善の検討状況について説明をお願いしたいと思います。資料1と資料2-1、2-2がこの関係の資料かと思いますが、それでは、事務局の方からお願いします。

 

○中里年金事業運営推進室長 年金事業運営推進室の中里でございます。

 まず、私の方から「日本年金機構の業務改善に向けての課題」につきまして、御説明をさせていただきます。お手元の資料1、横長の資料でございますが、こちらを御覧いただければと思います。

 一番左側の列ですけれども、こちらに9月25日の当部会の御審議を踏まえまして、厚生労働大臣から機構の方に出されました業務改善命令の内容を記載してございます。

 具体的には、1点目としまして、ガバナンスですとか、組織風土を含む内部統制システムの改革、2点目としまして情報開示のあり方の見直し、3点目としまして情報セキュリティ対策の強化となっておりまして、これらにつきましては、12月初旬までに機構の方から厚生労働省に業務改善計画が提出されるということとなってございます。

 真ん中の列でございますけれども、業務改善命令のそれぞれの項目に対応した形で、現状・問題点につきまして、厚生労働省の検証委員会、機構の調査委員会の報告書、あるいは厚生労働省による業務実績評価での指摘をもとに整理をしてございます。

 かいつまんで申し上げますと、組織のあり方、ガバナンスの問題、情報共有のあり方、現場の実態を踏まえたルールの設定あるいは徹底の仕組み、人事評価の問題、情報開示のあり方、情報セキュリティの問題といった点について掲げてございます。

 右側の列でございますが、後ほど機構の方から御説明させていただきますけれども、機構の業務改善に向けた課題に関する検討体制について記載してございます。

 まず、日本年金機構再生本部におきましては、主として業務改善命令の1つ目と2つ目の項目、すなわち、内部統制システムと情報開示について検討が進められているというところでございます。

 検討テーマとしましては、大きく8つ設定されております。具体的に申し上げますと、

○ 本部、ブロック本部、年金事務所のあり方

○ 現場実態を踏まえたルール設定・徹底のあり方

○ 業務の合理化・効率化

○ 人事制度のあり方

○ 管理職の活性化

○ 人事評価制度の見直し

○ 職員の活性化

○ 情報共有・公開のあり方

といった検討テーマとなってございます。

 業務改善命令の3つ目の項目であります情報セキュリティ対策につきましては、その下の方にございますけれども、日本年金機構情報管理対策本部におきまして検討が進められているところでございます。

 再生本部、情報管理対策本部における検討内容につきましては、12月初旬までに厚生労働省に提出されます業務改善計画に反映される予定となっているところでございます。

 以上が全般的な枠組みとなってございます。

 再生本部と情報管理対策本部につきましては、別途資料の用意をさせていただいておりますので、機構の方から御説明をさせていただきます。

 

○水島日本年金機構理事長 年金機構理事長の水島でございます。

 それでは、私の方から、再生本部の検討状況について御報告を申し上げたいと思います。資料2-1でございます。

 前回、再生本部を立ち上げると申し上げておりますが、10月1日に再生本部を設置いたしました。設置の目的は、今、御説明があったとおりでございます。

 この再生本部のコンセプトでございますが、2番目の○にございますように「自ら考え、自ら改革すること」を基本的なコンセプトとして取り組みを開始したということでございます。

 そのために、まず、機構職員全員に対して機構改革に対する意見の募集をいたしました。その結果、約7,000名の職員から意見の提出がございました。その意見をもとに検討テーマを選定いたしましたが、先ほど御説明がございました8項目は、それに基づいて選定したテーマでございます。

 加えまして、その意見を提出した職員の中から、真剣かつ建設的な意見を提出した職員を再生本部の本部員として16名選定いたしました。これは採用区分、雇用形態にかかわらずということでございまして、新入構員から有期雇用職員、旧社会保険庁出身の職員等々も含めまして、その中から選定をいたしております。

 加えまして、8つのテーマについて、ワーキングチームとして40名を選定いたしました。計56名全員が、19日から仕事を離れて高井戸本部におきまして専任の体制でこの検討に当たっているということでございます。

 再生本部に関しましては、15ページにございますけれども、外部有識者からなりますアドバイザリーボードを設置いたしております。これは10月6日に設置いたしましたが、1016日に第1回目を行っております。

 この再生本部の検討に関しましては、年内に一定の取りまとめを行いまして、12月初旬に厚生労働省に提出いたします改善計画に反映させることといたしております。

 2ページ目に「日本年金機構再生プロジェクト」の概要をお示しいたしております。

 この目的は、公的年金制度を執行するという緊張感、責任感、使命感を確立し、国民の信頼に応えられる組織として機構を再生するということでございまして、大きく「組織改革」、「人事改革」、「業務改革」の3点でございます。

 それぞれの検討を進めまして、もろもろの調査報告書、検証報告書で指摘されております組織としての一体感の不足、ガバナンスの脆弱さ、リーダーシップの不足、あるいはルールの不徹底等の構造的な問題について、ここで解決を図りたいということでございます。

 個別の改革の内容については、次ページ以降で御説明をいたします。

 3ページをご覧いただきたいと思います。まず「組織改革について」でございます。

 組織改革の要点は、縦割りを排除することと、本部と現場を一体的な組織として再生する、再編するということでございます。

 まず「本部」についてでございますが、本部内の情報共有の障害、あるいは現場に対する指示等の不統一を招く要因になっております縦割りの組織を排除しなければならないと考えておりまして、民間ではいわゆる経営会議に当たりますが、常勤役員会という組織を設置する方針でございます。

 加えまして、年金事務所を総括的、組織的、横断的に管理する組織を設置します。これによりまして、現場との接点、現場の管理、あるいは現場の情報収集について、本部で一元的に取り扱うセクションを設置するという方針でございます。

 次に「ブロック本部」でございます。現在、機構は9つのブロック本部が中間組織としてございまして、そのもとに312の年金事務所と41カ所の事務センターが組織としてぶら下がっているという状況にございます。

 このブロック本部についてでございますけれども、職員から出された意見の中では、かつての地方分散型の組織風土を温存する要因になっているのではないかという意見が多く出されました。したがいまして、組織の一体化を進めるという観点からは、このブロック本部について、その存廃も含めて検討を進めたいと考えております。

 次に、現場の体制、年金事務所の体制でございます。

 現在、312の年金事務所は全て同じフルスペックの機能を持っております。これはやはり効率性、あるいはお客様、国民に対するサービスという観点から見直すべきだと考えておりまして、徴収や適用といった事業者向けの事業に関しましては、基本的に統合をしていくことが望ましいと考えております。

 一方、相談業務のような個人宛てのサービスに関しましては、お客様サービスの接点をいかに拡大していくかという観点から検討していかなければならないと考えておりまして、年金事務所のあり方についても抜本的な見直しを行いたいと考えております。

 事務センターにつきましては、今、基本的に各県ごとにできております。これがそれぞれの県のやり方を温存する一つの要因になっております。したがいまして、これに関しましては、最終的には一つにまとめていくということでございますが、ステップを追う必要はございますが、極力統合する方向で検討を進めるべきだと考えております。

 次に、情報共有と情報開示の問題でございます。

 基本的に情報共有の問題としては、本部の現場事務所等に対する情報共有のあり方が、行政機関の通知という手法から出ていないと考えておりまして、情報提供の仕組みとして、本部からの情報提供、現場からの情報吸収のあり方について抜本的に見直すべきだと考えておりまして、先ほど申し上げました現場の管理セクションの中にエリアマネジャーのような人員を配置して、常に現場の状況について把握するという体制をつくる必要があると考えております。

 次に、情報開示についてでございますが、やはりモニタリングと監視体制を機能させるということだと思っております。各現場、あるいは本部の現場セクションの中にどのような問題があるかということについてモニタリングし、それを吸収し、その兆候を把握し、それに基づいて監査を機動的に活用していく体制をとって、問題点を早期に吸収し、解決し、解除していくという体制を確立すべきだと考えているところでございます。

 次に「人事改革について1」のポイントを申し上げます。次ページをご覧いただきたいと思います。

 人事改革につきましては、職員が誇りとやりがいを持って、一丸となって国民の信頼に応える組織作りということが目的だと考えておりますが、基本的な問題としては、一体化促進に向けて人事制度の見直しを行わなければならないと思っております。

 一体化の促進に向けた人事制度のポイントとしては、資格制度において本部と地方の間に明らかに格差がある面がございます。これに関しては是正を図るべきであります。

 比較的フラットな給与体系であるために、時間外を考慮すると、管理職になった場合、給料が相対的に減るという問題が発生しています。民間ですとこれは極めて短期間で解消されるのですが、これが長期にわたって解消されていません。

 甚だしいのは、時間外が多い人は、所長よりも給料が高い。少なくとも一般職が20数時間、23時間ぐらい時間外をすると、課長の給料を上回ります。このような状態のために管理職になりたがらないという事態が発生いたしておりまして、このような制度については抜本的に見直すべきであるということが2点目でございます。

 地域調整手当というのがございまして、地域調整手当によって大阪、東京が比較的優遇されております。全国異動を前提とした組織の中で、このような制度が有効に機能するのかどうかということについては、きちんと見直さなければならないと考えております。

 最後に、幾つかございますが、もう一点だけ申し上げておきますと、この機構には本拠地制度というのがございます。それぞれの個人がどの地区、何県に自らの本拠地を有するかということを登録する制度でございます。これはやはり一体化を阻害する制度であると考えておりまして、この本拠地制度について、見直しを行うべきであると考えております。

 これが「一体化促進に向けた人事制度の見直し」でございます。

 次に「信賞必罰の人事評価」ということでございますが、幾つかの点がございますが、ポイントを3点に絞ります。

 1点目は、努力や能力の足りない職員について、改善を求めつつ、改善できない場合には、降格も含めて適正な人事を行う仕組みを構築するということでございます。

 職員から出された意見の中で最も多かった意見の中の一つは、働かないにもかかわらず高い給料をもらっている人がいる。これは甚だ問題であるという意見が極めて多く出されております。したがいまして、やはりそのような職員に関しましては、降格も含めて厳しい対処を行っていくべきであると考えておりまして、降格制度の充実も含めまして、そのような職員に対する厳格な対応を行ってまいりたいと考えております。

 次に、評価に関して成果とプロセスのバランスをとるべきだということでございます。この機構が成立をして以降、ある意味では成果に偏った評価が行われてきていると考えております。したがいまして、その結果として何が起きるかといいますと、評価されないことはやらないということでございます。

 公的な機関としてこのようなあり方というのは極めて問題であると考えておりまして、やはりプロセス、そして組織のため、あるいは国民のためと考えて仕事をする職員をどう評価していくのかという点に重点を置いた評価制度に改めていくべきであると考えております。

 これと関連いたしますが、今までは仕事をしなければ減点はないという制度でありました。したがって、仕事をする人は、ミスが起きると減点が行われるので、仕事をしない人の方が結果として有利になるという制度になっております。これはやはり改めるべきであると思っているということでございます。

 次に「360度アセスメントの実施」と書いてございますが、先ほど申し上げましたとおり、一般職の中に仕事をしない人もいますが、この機構では、管理職になると基本的に定年まで管理職であり続けるというのが基本です。この制度は、やはりマンネリ、あるいは管理職の自己研さんを阻んでいると考えております。

 したがいまして、360度アセスメントに関しては、種々の問題があると認識いたしておりますが、ここは思い切って導入すべきだと考えておりまして、制度の内容について詰めていかなければならないと思っております。

 「専門性を考慮したキャリアパスの見直し」でございますが、今、ほとんど2年から3年で転勤するという制度になっておりまして、比較的ゼネラリストを育てる制度になっておりますが、機構にとっては、専門性を持った職員をいかに育てていくかということがポイントであると思っております。

 特に相談業務であります給付とか、システムでありますとか、そういう部分については、そのような職員を育成すべきである。したがいまして、そのような専門職制度のあり方についても、きちんと位置づけていかなければならないということでございます。

 裏返しでございますが「リーダー育成プログラムの確立」でございます。リーダーをどのように育成していくのか。かつてのような庁出身という区分はございません。したがいまして、リーダーをどのように育成していくかということについては、きちんとしたプログラムを用意しなければならない。外部への出向、あるいは厚生労働省への出向等々、いろいろな制度を用意して人材を育成する必要があると考えております。

 「一体化促進に向けた全国異動のあり方の見直し」でございますが、全国異動に関しましては、既に60%を超える職員が経験しております。

 しかしながら、問題点として2つございます。

 一体化を進めるためには、本来、本部と現場との交流が進まなければならないと思いますが、60%の職員が全国異動を経験しておりますが、そのうち、本部と地方を経験した職員は16%しかおりません。したがいまして、地方・地方、横・横で全国異動を行っておりますが、これが全く意味がないということではございませんが、やはり本部との異動を促進するという観点から見直す必要があるということが1点。

 もう一点は、全国異動をすることが管理職になることの要件になっております。したがいまして、管理職になる場合に、必ず全国異動をするという制度になっておりますが、この制度を維持するかどうかについても検討を要すると思いますが、この結果として何が起きるかといいますと、優秀な人の中で管理職になりたがらない人たちが極めて大量に発生するということでございます。

 ちなみに、直近のデータでSをとっている一般職の最終の人たちは176名おりますが、その中で、転居を伴った異動を希望しないために管理職の試験を受けないという人たちが115名おります。この状態というのは、優秀な人材を登用するという観点から見直す必要があると思っております。

 次に「管理職の活性化、若手登用の促進」でございます。これに関しましては、先ほど申し上げましたとおり、管理職の新陳代謝を図らなければなりません。そういう意味で、早期退職制度、役職定年制度を導入してまいります。

 所長、副所長のあり方でございますが、副所長に関しましては、所長をサポートする役割というよりは、牽制機能を持たせるべきであると考えておりまして、コンプライアンスや監査に重点を置いて、事務所、拠点がきちんと運営されているかどうかをチェックする役割を副所長に持たせるべきだと考えておりまして、現在、このような方向で検討を進めさせているところでございます。

 「女性職員の活用」に関しましては、当機構は約11%の女性管理職がおります。女性を活用することが今後、極めて重要でありますので、今後、このようなプログラムをきちんと作るべきだと考えております。

 「非正規職員の活性化」でございますが、職員が2万2,000人おりますけれども、実はその中で1万1,000人強が非正規職員でございます。正規職員は1万1,000人弱で、非正規の方が多いという状況でございまして、しかも、この非正規職員がほぼ5年の雇用満了期間を迎えつつあります。

 そういう意味で、スキルの維持が非常に難しくなっているという面と、雇用の面で機構全体が不安定化する大きな要因になっております。これは何としても解決しなければならないと思っておりまして、現在、1万名のうち約2,000名について無期化を進めておりますが、無期化を進めることによって、地域に根差した職員をこの層から育成していきたいと考えております。

 「その他」に関しましては、派遣あるいは外部委託の活用によって非正規への依存体質から脱却しないと、この機構の安定は図れないと考えておりまして、この検討を進めているところでございます。

 6ページ「業務改革について」申し上げます。

 ここは労力を要する部分でございます。大きく分けますと「指示・依頼の見直し」と「業務の改廃」でございますが、指示・依頼の見直しと申しますのは、現在、本部から年間で約1,500件、ブロック本部から数千件と約1万件に及ぶ指示・依頼が現場に出ていると思います。これは現場の負担を極めて過大にしていると同時に、ルールが守られない極めて大きな要因になっていると考えております。したがいまして、この削減を図らなければなりません。

 そのためには、まず、ブロック本部の発出権限を奪わなければならないと思っておりまして、どのようにやっていくかというのはこれから詰めていかなくてはいけませんが、これについて、抜本的な改革によって、少なくとも下の方の数千件のレベルには抑え込むべく、現在、検討を進めさせているところでございます。

 マニュアルのメンテナンスにつきましては、極めて難しいわけでございますけれども、これに関しましては、機構内部に専門セクションがないという問題が一つありますので、まず、これをきっちり作らなければならないと思っておりますが、加えまして、これを外部委託化することが必要であると思っておりまして、これについても検討を進めております。

 「業務の改廃・集約化・システム化・外部委託化の促進」ですが、これは仕事を減らして、1万880人の正規職員と数千人の無期化職員、プラスアルファでこの機構が回せるような体制になるかどうかということについて、徹底的に現在の業務の見直しを行い、これに基づいて現場の人員の適正配置を行うということでございます。

 今まで検討のポイントを申し上げてまいりましたが、ぜひ御理解いただきたいのは、私が言っているということではございません。これは職員の中から、こうすべきだと出された意見をこの紙にまとめたものでございますので、ぜひこの点は御理解をいただきたいと思います。

 これに関しましては、アドバイザリーボードには御報告を申し上げ、数々の貴重な御意見を承っておりますので、御意見は順次取り入れてまいりたいと考えておりますが、アドバイザリーボードからは、方向感については、おおむね御理解をいただけました。しかし、要は実行だという御意見でございまして、これに関して、厳しくチェックをしていくという御意見を頂戴しているところでございます。

 私から、再生本部の説明は以上でございます。

 

○増田部会長 それでは、次をお願いします。

 

○野上日本年金機構情報管理対策室長 日本年金機構情報管理対策室の野上でございます。

 資料2-2に従いまして、情報管理対策本部における検討状況について御説明いたします。

 今般の不正アクセスによる情報流出事案に関しまして、厚生労働省に設置されました検証委員会による検証報告、あるいは政府のサイバーセキュリティ戦略本部の調査結果、さらには、先ほど御説明のありました9月25日の厚生労働省からの業務改善命令等を踏まえまして、情報セキュリティ対策を一元的に管理することによって、リスク管理や情報セキュリティに関する機構全体のガバナンスの強化を図るため、理事長を本部長とします日本年金機構情報管理対策本部を10月1日に設置したところでございます。

 体制の詳細につきましては、後ほど御説明いたします。

 具体的なセキュリティ対策についてでございます。

 9月11日に、サイバーセキュリティ戦略本部長である官房長官から、厚生労働大臣に対しましてサイバーセキュリティ基本法第27条第3項に基づく勧告が出ております。さらに、9月18日には厚生労働省から組織業務改革が発表されております。これらを踏まえまして、検討を進めているところでございます。

 検討内容につきましても、後ほど御説明いたします。

 これらの検討内容につきましては、再発防止策の推進体制等の具体的な内容をサイバーセキュリティ戦略本部に報告するとともに、12月初旬までに厚生労働省へ提出する改善計画に反映する予定としております。

 1枚おめくりいただきまして、別紙1で日本年金機構情報管理対策本部の組織について御説明いたします。

 中央に「情報管理対策本部」とございます。情報セキュリティ対策を一元的に管理するということにしてございまして、右側に主な所掌事務を記載してございます。機構が管理する個人情報の保護・管理等、そこにあるとおりでございます。

 そのもとに情報管理対策室を同じく10月1日に設置いたしました。ここが情報管理対策本部の方針のもとに実行を行う部署ということでございます。

 3つのグループに編成されておりまして、中央の下に「インシデント対策G」という四角がございますが、ここが情報セキュリティに関するインシデントが発生した場合の初動対応をする部署でございます。その右側に縦の箱で「支援要員(他部署)」とございますが、重大なインシデントが発生した場合には、本部内の即戦力のある職員を招集して対応するということにしてございます。

 これらを含めまして、点線で四角く箱を囲ってございます。その左上に「機構CSIRT」とございますが、通称「CSIRT(シーサート)」と呼んでおります。インシデントが発生した場合に、この体制で対応するということにしてございます。

 左上の方に「最高情報セキュリティアドバイザー」とございます。これは情報セキュリティに関する外部の専門家を設置いたしまして、助言等を受けるということにしてございます。

 その関連で、右下の方をご覧いただけますでしょうか。3つ箱がございますが、上が「運用・保守ベンダー」とございます。私どものシステムの運用・管理を行っている外部委託業者でございまして、24時間365日監視を現在も行っているところです。

 その下に「セキュリティベンダー」とございます。これも外部委託でございます。これはセキュリティに関する監査を行っていただく一方で、今年度につきましては、私どものCSIRTの体制作りの支援、あるいは情報セキュリティに関する助言をいただくということにしておりまして、これらの体制で臨んでいくという予定にしてございます。

 3ページ、別紙2「日本年金機構における情報セキュリティ対策の取組み状況1」について御説明いたします。

 「1.体制整備」の左側の縦の列に「NISC勧告の内容」とございます。9月11日、サイバーセキュリティ戦略本部からの勧告の内容に従いまして、取り組み状況を整理してございます。

 1点目は体制整備の関係でございます。全ての役職員の情報セキュリティに関する役割・責任・権限を明確にするとともに、組織の一体性を確保し、実効性のある情報セキュリティ対策を実現するための体制を構築する。あるいはCSIRTを速やかに組織するという勧告でございます。

 その右側の「主要事項」にございます「情報管理対策本部の設置」「情報管理対策室の設置」「機構CSIRTの設置」「最高情報セキュリティアドバイザーの設置」までは先ほど御説明したとおりでございます。

 一番下に「情報セキュリティポリシーの改正」とございます。情報セキュリティ対策の基本方針、基準を定めたものでございまして、一番右下に取り組み状況を記載してございますが、現在、政府統一基準等との整合性を確認しておるところでございまして、来月には改正予定としております。

 4ページ、2点目の勧告で「技術的対策」でございます。

 左側の「NISC勧告の内容」でございますが、1点目は、大量の個人情報や機微な情報を取り扱う業務については、インターネットからシステムを完全に分離するということ。

 2点目が、インターネットに接続された情報システムについては、多重防御対策を講ずるということ。

 3点目は、独立した外部の専門家による情報セキュリティ監査を実施するということでございます。

 「主要事項」でございますが、まず、1点目は「リスクアセスメント調査の実施」ということでございます。これはISO27005、あるいはNISCのガイドライン等を踏まえたリスクアセスメント調査を実施することとしておりますが、右側の取組み状況にございますように、本来は第三者によるリスク評価というものを取り入れる予定にしておりますが、今年度につきましては、現在、予備的に私ども自らリスク調査、アセスメントを実施しているところでございまして、来月には取りまとめる予定で進めております。

 2点目は「個人情報をインターネット環境に置かないシステム構築」でございます。右側の取組み状況に挙げてございますが、システムの構築に向けて、個人情報等の重要情報を確実に管理しつつ、業務を円滑に進めるための仕組みを工夫する必要があることから、リスクアセスメント調査等で把握した業務実態を踏まえた検討が必要。個人情報に対する情報セキュリティ対策を大前提として、私ども多くの現場を抱えておりますので、業務が円滑に進むということもあわせて検討するということにしてございます。

 これにつきましても、12月初旬には方針を出したいということで検討を進めているところでございます。

 3点目は、一番下でございます「情報セキュリティに関する監査の強化」ということでございます。これは勧告のとおりでございますが、右下、現在の取り組み状況として、今年度の監査につきましては、各拠点の自主点検項目に情報セキュリティに関する事項を追加し、それを監査において確認するということで現在進めております。

 5ページ目でございます。勧告の3点目は「教育・訓練」についてでございます。

 役職員が国民の個人情報を取り扱うことの責任を認識し、その役割に応じた情報セキュリティ対策に関する責務を果たすべく、教育研修を定期的・継続的に実施するということでございます。

 上段の「情報セキュリティ研修の充実」につきましては、本年度、本事案発生後、既に全職員を対象とした情報セキュリティ研修を実施しておりまして、来年度の研修計画策定に向けて、現在、職員の理解、あるいは意識改革を促す内容とするよう検討を進めているところでございます。

 下段の「情報セキュリティインシデントに対する訓練の実施」でございます。御指摘のとおり、実践的な訓練を行う必要がありますので、現在、その内容について、計画を検討しているところでございます。

 以上でございます。

 

○増田部会長 ただいま説明がありましたように、機構の業務改善に向けての課題について、以前、大臣の方から業務改善命令が出されたわけですけれども、大きく3点あって、1点目がガバナンスの関係を含む内部統制システム、2点目が情報開示についての不十分さ、国民の十分な信頼が得られるようにということ、3点目が今説明のあった情報セキュリティ対策と、大きくこの3つの業務改善命令などについて、今、それも含めて機構の再生本部の方で検討を進めているということであります。

 それぞれの項目については、職員の皆さん方の考え方ですとか、意見ですとか、情報セキュリティについては、どのようにこれから取り組んでいくか等について、かなり網羅的に説明がありましたので、委員の皆様方からは、その内容や方向性について、これから御意見や御質問をいただきたいと思います。

 機構で12月まで検討が続いていますので、今日いただいた御意見などについては、そういったことも含めて、引き続き検討いただければと考えているわけですが、それでは、あと1時間強、時間がございますので、委員の皆様方から自由に発言をいただきたいと思います。

 項目について、多少整理が必要なところは私の方でも整理していきたいと思いますけれども、委員の皆様方の方から御意見、御質問をお願いしたいと思います。

 それでは、岩瀬委員からお願いします。

 

○岩瀬委員 12月までにこの改革案を作って、いつからスタートするのですか。一応、それだけ教えてください。

 

○水島日本年金機構理事長 できるものは1月1日から順次行いたいと思います。工程表をどこまで精緻にできるか分かりませんが、改善計画の中には工程表を織り込んで御提出をしたいと考えております。

 

○岩瀬委員 続けてよろしいですか。

 

○増田部会長 どうぞ。

 

○岩瀬委員 この委員会は監視強化ということを非常に強く言われていまして、それがスタートしたときに、これはプランはすごくいいと思うのですけれども、実際、実現できるかどうかというのは、かつてないほどものすごく大胆な合理化だと思うのです。組織を挙げて抵抗すると思うのですけれども、改革をこの部会でサポートするという意味でも、常勤役員会、あるいは組織を横断的・総括的に管理する部署で議論した内容、議事録を全部出してもらいたいのです。それを読んでサポートしていくということです。

 もう一つは、今まで私はいろいろ資料を請求しているのですけれども、契約の問題とか、そういうものも早く出していただきたいのです。そういうものをそちらでもいろいろ整理するのでしょうけれども、こちらのほうでも整理しておかないと、いわゆる土地勘みたいなものが養えない。そうすると、実態がどのように進んでいるのか分からないので、それは至急出していただきたい。

 もう一つ、ブロック本部の廃止に関しては、私も全面的に賛成です。ブロック本部に関しては、組織再生会議でかなり議論して、私はそのときに委員だったので、ブロック本部は廃止すべきだと言っていたのですけれども、とりあえずやってみようということで、時期が来たら見直しということになっていますから、これは全面的にやっていただきたい。

 もう一つ、全国異動に関してなのですが、ここの場で言えない本当の理由があるのだったら、非公開にして教えていただきたいのですよね。

 というのは、今まで全国異動に関しては、かなりこの部会でも議論してきていて、その都度、理由が変わっているわけです。最初は介護の問題であり、次は女性の管理職の問題であり、その後、私だけ呼び出されて反対するなと説得を受けたことがありましたけれども、そのときは宿舎がないから全国異動が進められないのだという説明だった。ところが、1週間前の新聞で会計検査院が指摘されているけれども、全然利用されていない宿舎が13248戸あるとか出ていますよね。

 説明が何かその都度その都度、適当に言い抜けるという感じがしている。

もう一つ、この場で議論になったことは、硬直的ではなくて弾力的な運用をしようということだったと思うのです。困っている方、介護とか子育てとかという世代に関しては人事が話し合って外すということで十分やっていけると思うのですけれども、それをやっていけない理由をちゃんと教えていただきたいということです。

 

○増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 まず、議事録に関しましては、内部資料をどこまで開示できるかというのはちょっと詰めてみなければ分かりませんが、基本的には開示します。こちらにお出しすることについて、例えば、非公開でお願いしたいとかいうようなことがあるかもしれませんが、いずれにしても、お出しすることに関しては全くやぶさかではございませんので、きちんとお出しすることはお約束をいたします。

 御依頼いただいております資料について、お出ししていないという御指摘でございますが、これに関しましては、私どもとしても、例えば障害年金とか、確かにお出ししていないものもありますし、まだ御報告していないものもありますし、きちんと御報告すべきは御報告するということだと思います。ちゃんとやります。

 ブロック本部の問題は、ありがとうございます。ただ、私が言いましても、結局、本部もブロック本部に依存している部分、事務所もブロック本部に依存している部分というのは、非常に長い歴史の中であるわけです。そういう意味で、これを急にやるというのはかなり力仕事だと思いますし、難しい面があると思います。でも、きっちりやっていきたいと思いますし、ぜひそういう意味でサポートしていただければ、ありがたいと思います。

 全国異動に関しましては、やらないということではございません。まず、この機構は、既に新入構員に関しましては全て全国一本で採用いたしておりますので、新入構員は全員、全国に散って異動しております。したがいまして、今後、拠点網を維持するためには、全国異動を前提とした組織、全国に異動することを前提に機構に就職していただくということになると思います。

 そういう意味で、先ほど申し上げましたとおり、本部と現場との異動も含めまして、異動はどんどんやっていきます。ただ、現在の旧庁から来た人たちは、もともと地方で採用された人たちなわけです。その方々は生活の根拠がそれぞれの地方にあるわけです。

 先ほど申し上げましたように、本拠地制度というようなものもございまして、基本的にはそこに帰っていく、そこで仕事をするというのを前提として、価値観も生活の様式も決まっている職員がまだかなりいるということでございます。

 その中で、優秀な人が管理職になるために試験を受けて合格したら、必ずその県からは離れますという制度になっているわけです。そこについて、今おっしゃいましたとおり、子育てでありますとか、介護でありますとか、それぞれの要因を抱えておりますので、それについては配慮する制度を作るということだと思っています。

 弾力的な運用ということで、原則は全員が全国に異動するということについては、そもそもこの機構に就職したときにはそれを了承して入ってきているわけですから、それは維持をしてまいります。

 以上でございます。

 

○岩瀬委員 全国異動を弾力的な運用でなぜできないのかが分からなくて、この制度を変えるということをなぜしなくてはいけないのか理解できませんので、今日でなくて結構ですけれども、それがこの改革の要になるのであれば、もう少し細かく説明してもらいたい。今までも適当なことばかり言ってきているわけですから、そこのところをはっきりさせてもらいたいし、私は弾力的な運用で十分やれると思います。

 

○増田部会長 どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 申し上げたことはあまり違っていないという気がいたしますけれども、基本的には弾力的な運用で行う。全国異動を行うということに関する基本を変更するつもりは全くございません。ルールに関して変更を要することがあれば、もちろん御説明するようにいたします。

 

○増田部会長 今の点については、いろいろ検討結果が出た段階でまたよろしくお願いします。

 斎藤委員、どうぞ。

 

○斎藤(聖)委員 御説明いただいた方向性は、大変いいことだと思って伺っておりました。ぜひ実施していただきたいと思います。

 ただ、一般の民間企業から1周遅れ、2周遅れの感は否めません。通常の企業のやっていることにキャッチアップするだけでも随分時間がかかるだろうなという気がいたしますので、相当エネルギーを投入してやっていただきたいと思います。

 社会保険庁時代には労働組合の反対がかなり強力で、それによってなかなか動きがとれなかったと承っておりますが、今は労働組合の動きはどうなのでしょうか。それが障害になるということはないのでしょうか。

 

○増田部会長 理事長さん、お願いします。

 

○水島日本年金機構理事長 私が承知している限り、従業員の処遇に関しては労働組合と議論します。業務の内容に関しては議論をしませんというのが基本的な仕切りになっています。これは基本的に守られていると思っています。

 今回のこれを具体的に進めていく上で、業務であるか、処遇であるかというところでグレーゾーンも出てまいりますので、その点については、きちんと労働組合とも議論していく必要がある局面は出てくると思っておりますが、基本的にやはりこれだけ長い間多くの問題を抱えてきた組織でございまして、その組織のありように関して労働組合も同様の責任を有しているということについては、彼らも認識をしていると私は思っています。

 ある意味では本音で話し合えるところもございますので、彼らの意見も聞きつつ、本来の道、方向を踏み外さないように努力を進めていくつもりでございますし、組合ともきちんと必要な話し合いを行っていきたいと思っております。

 

○増田部会長 斎藤委員、何か追加はありますか。よろしいですか。

 

○斎藤(聖)委員 はい。

 

○増田部会長 他には。

 それでは、藤井委員からお願いします。

 

○藤井委員 お聞きしていて感じた感想を2~3申し上げます。

 1つは、リーダーシップの不足ということがいろいろ言われていて、それについて、どうする、こうするというのが一部あったかと思うのですけれども、これと関連する事項として本部からの指示・依頼の徹底ということも掲げられています。

 本部またはブロックから年間に1万件程度の指示があるということのようなのですけれども、しかも、マニュアルもなかなか理解しがたい。こういう中で、お聞きしていても、どのような能力を発揮するどのような存在がリーダーなのか。

 恐らく「リーダーシップ」と言う場合、実は2層あって、本部のリーダーシップと現場のリーダーシップということなのでしょうが、今お聞きした範囲では現場の方々の意見をまとめたとおっしゃっていたので、恐らく現場のリーダーたちに関する職員の皆さんの御意見をまとめられたのだと思うのですけれども、それにしても、リーダーシップのイメージとか姿形というか、どのようなものを目指しておられるのかというのが結局よく分からなかったような感じがします。それが1つです。

 もう一点は、いろいろな職員の方々から意見をいただいたということなのですけれども、本部に関わる改革というのがよく見えなかったような気がします。

 恐らく事務所の多くの方々から意見が出てきたのだと思うのですが、その内容というのはごもっともな内容が多いと思いますけれども、本部の内容に関して言いますと、拝見しますと、常勤役員会を設置するということなのですが、一見、これもものすごそうな感じはしますけれども、その責任範囲、権限といったものがいま一つよく分からない。

 本部の組織の縦割りを排除するというわけなのですが、実際、よく分からなかったなという感じがするのと、例えば、今、役員の方々はそれぞれ役割を現在でも持っておられるわけですけれども、役員に関する評価とか、業績などに関する視点も必要なのではないかなというような感じもいたしました。

 大きく言いますと、本部に関する切り込みがいま一つではないかなという感じがいたしました。

 あと、全くの感想ですが、事務センターが県単位であったというのは全くの驚きで、県によっては1つ、2つの事務所があるような場合もあろうかと思いますけれども、そこでわざわざ事務センターを設けて、そこに毎日書類を郵送しているというのはびっくりな感じでありまして、それであれば、郵送するよりは事務所で処理した方がいいのではないか。郵送する手間と時間が省けて、その方がよほどよいという感じがしますし、交通網が発達した今日の日本においては、おっしゃるように、全国47カ所なんて全く不必要で、事務センターを設けるのであれば全国で1カ所か2カ所でいいし、そうでないならば、むしろ事務センターがない方がいいのではないか。各事務所で処理すればいいだけのことではないかなという感じがいたしました。

 これは感想で、全国で1個を目指すということなので、それはそれでいいのではないかと思います。

 もう一つは、本部またはブロックで年間1万件の指示を出しているということが、ブロックは廃止されるということで、それはそれでよろしいかなと思うのですけれども、よく1万件も指示を出すものだという感じがしまして、多分、それが一つのノルマというか、仕事になっている方がいらっしゃるのではないかと思います。その意味でも、本部に関する切り込みをされるとよろしいのではないかという感想を持ちました。

 

○増田部会長 ありがとうございます。

 理事長さん、今、特に本部の関係の御質問が多かったと思います。

 

○水島日本年金機構理事長 アドバイザリーボードでも同様の御指摘をいただきました。この意見については、当然、本部の職員からもとっておりますが、結果として本部の組織のあり方についての意見があまりなかったということは確かだと思います。

 であるから問題がないということでは決してございませんで、現在、その点については、本部組織のあり方は別の切り口でさらに切り込まなければならないと思っております。

 それはリーダーシップのあり方とも関わっていくと思いますが、リーダーシップとしては、本部と現場との一体感の中で、本部に対する信頼感とか、あるいは率直に申し上げますと、リーダーという人を全国の職員が顔を知っているかというと、知らないと思います。そういう組織であるところに、どのような形でリーダーシップを養成していくべきかというところは非常に難しい面があります。

 ただし、先ほど来、申し上げておりますとおり、少なくとも信頼をされないといけませんので、信頼されているかどうかということについて、きちんと判断をするというところからスタートするのかなと思っておりますが、御指摘に関しましては、私もそのとおりだと思う点がございますので、よく考えてみたいと思います。

 指示・依頼に関しましては、いろいろなものがございますので、本当に指示をしている者ばかりではないという面はございますけれども、おっしゃるとおり、指示・依頼を出すことが仕事になっているという面は否定できないと思います。

 これは私がおりました旧職でも同じ現象は常に起きるわけでございまして、これをどのように排除していくかというのは、組織としては、本部の肥大化を排除するという観点から、常に行っていかなければならないことでございます。今回、抜本的に行うことによって本部の肥大化をここで排除するといいますか、一定の効率化・合理化を行うということだと思っております。

 いただいた御意見は大変参考になりましたので、今後の検討の参考にさせていただきたいと思います。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 今、西村さん、手を挙げられましたか。では、西村委員、原委員ということでいきます。

 

○西村委員 今日、他の方からも出ましたが、大変いいお話を聞けたと思っております。このとおり、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいとは思いますが、老婆心ながら心配を差し上げますというところで、ちょっとデジャビュ感があって、2007年4月3日に「社会保険庁改革リスタートプラン」という紙が出ていまして、そこでは長官と本庁の幹部が全事務所を回って話を聞いたとか、当時のことを覚えていらっしゃる方もいらっしゃるとは思うのですけれども、そういうことをやって集約して、もちろんでこぼこはありますが、恐縮なのですけれども、今回と同じような紙を作ったという経緯があります。

 その後、機構の設立に関しましても、同じようなキャッチフレーズを掲げてきたということがあるかと思うのです。何人かからもあったかと思いますけれども、これは何でできなかったのか、きちんと分析をしていただければありがたいなと思っています。

 組合問題というのもあったと思いますし、それ以外に、当時はどうでした、現在ならどうです、だからできますという話があるかなと思っておりますし、当時のいろいろな関係上こういうことはできなかったのですよというものが果たして除かれているのかというのがちょっと心配になって手を挙げさせていただいたのですけれども、そこら辺、今、お伺いした範囲では、あくまでも職員さんの意見を集めて集約したということでございますので、そこら辺、今日、お答えいただきたいということではなくて、どういう障害があったとか、これはもう障害がないので前向きに進めますとか、これからはやるだけですというだけのものなのか、そうではないのかというのを少し仕分けをして進めていただければありがたいなと思っております。

 

○増田部会長 では、これは今後の検討の際に生かしていただきたいと思います。

 それでは、原委員、お願いします。

 

○原委員 ありがとうございます。

 全般にはこれまで他の委員がおっしゃられたとおりだと思っておりますけれども、今、西村委員もおっしゃられたように、これまでもさんざん言われてきたような項目もありますし、また、斎藤委員がおっしゃられたように、民間企業だったらもう当たり前でしょうということも多いわけでありまして、ただ、やはり今回なさっていることの大きなポイントというのは、職員の方々が自らのイニシアチブで今度こそ進めようとされているということだと理解しております。なので、これはもうぜひ理事長以下、強力に進めていただくように、私たちもできる限りのバックアップをしていく体制を作りたいと思います。

 その上で3点御質問をさせていただけましたらと思います。

 まず、1点目は、この検討のプロセスにも関わる話でありますが、お話のあったような現場の職員の方から見たときの問題点と、組織経営の側から見たときの問題点というのは、これはおのずとずれている場合があるかと思います。これが今回の12月初旬までの検討プロセスの中で、どう解決されていく仕組みになっているのかというあたりを少し教えていただけましたらと思います。

 2点目、これは最初に岩瀬委員からもお話のあった全国異動の話でありますけれども、私も先ほど理事長の御説明を伺っていて、やはり全国異動のあり方について見直すという、方向転換をされるという御説明なのかなと聞こえたものですから、ここが気になりました。

 必ずしもずれていないということなのかもしれませんけれども、仮に方向転換なされる可能性があるのであれば、再生本部で議論がなされてしまって、その後、私たちでこれを議論してみると、おかしいのではないかというようなことになると建設的ではないと思いますので、並行してそこの議論ができるようにしていただけましたらと思います。

 3点目、これは単純によく理解できなかったのですが、人事改革のところで、人事評価、成果とプロセスのバランスがとれていなくて、成果に偏り過ぎでしたというお話があったのですが、これは具体的にどういう問題なのか、含意がよく分からなかったものですから、もう少し教えていただけましたらと思います。

 一般的な実績評価と能力評価がなされている中では、恐らく実績評価の中の目標設定のあり方についての運用の問題なのかなと思ったのですが、あるいはより制度的な問題を含んだ問題提起なのか、そのあたりをもう少し教えていただけましたらと思います。

 以上です。

 

○増田部会長 理事長さん、お願いします。

 

○水島日本年金機構理事長 まず、1点目でございますが、検討のプロセスの中で、現場の職員の意見と経営としてのあり方ということに関してでございますが、現場の意見は幅広く吸収いたしました。現在、これを踏まえて8つのワーキングチームを設置しております。これは60名弱でございますが、平均年齢45歳前後で、当機構でいいますと比較的若い層が中心になっております。

 ここで経営のあり方という観点からも検討を行って、その検討結果について、再生本部において議論を行って、方向感を決めて、アドバイザリーボードの御意見を承り、この部会の御意見を承るというステップで最終的な決定をしていくということだと思っています。

 したがいまして、職員の意見の中で、少数ではあるけれども採用するもの、多数であるけれども採用しないものというのはもちろんございまして、これに関しましては、やはり経営としての意思だと御理解をいただければと思います。

 全国異動でございますが、私の説明がそういう印象を与えたということでございますれば、大変申し訳ないと思います。

 先ほど申し上げましたとおり、全国異動を前提にしないとこの機構は成立しませんので、全国異動させます。職員全員に対して必ず全国異動が伴います。ただし、先ほど申し上げましたような全国異動のルールの中で、女性に限らず優秀な人材の登用に障害になっている部分に関しては、先ほど岩瀬先生がおっしゃいましたけれども、弾力的な運用で解決できるところがあるのではないか。基本を変えずに、弾力的な運用についてお認めいただければありがたいと考えているということでございます。

 人事評価のプロセスと実績でございますが、その詳細については、これはまた改めて御説明を要すると思いますが、ポイントだけ申し上げますと、実績評価に偏りがちだということだと思っておりまして、したがって、例えば、国民年金に対してどれだけの納付をいただいたかとか、そのような数字に関しては、わかりやすい実績になりますね。

 そういうことが評価の中心になっているために、どういう形でどういう方にどういう行動をして、その成果に結びつけたのかということについて、この機構は一般の企業と違いまして、そこの成果主義というところに偏ることが、この機構にとって必ずしもいいことではないと私は思っております。そういう意見もかなりあります。

 ですから、成果は必要なのですが、それに結びつくプロセスに関して、こういう公的な機関に奉職する人間のビヘービアとしてどうあるべきなのかということをみんなが意識できるような評価というのは、私はあるのだろうと思うのです。

 そういうことを求めていくべきではないかということを議論しているということでございまして、まだ結論が出ているわけではございませんが、やや抽象的といいますか、具体性に乏しいかもわかりませんが、そういう点について、評価の内容をもう少し広目にといいますか、数字に偏らずにと考えているということでございます。

 まだ検討途中でございますので、また御報告して御意見を承りたいと思います。

 

○増田部会長 原委員。

 

○原委員 おっしゃられているところは理解いたしました。

 2点目に関して一言だけ補足的に申し上げさせていただければと思いますが、これは前回のこの会のときに、西沢委員が、これまでやってきたことで方向転換すべきこともあるのではないのかということを確かおっしゃられたと記憶しておりまして、これは大変重要な視点だと思っております。

 なので、この論点に限らず、基本は変わっていないのですと言いながら、実は水面下で変わっていくというようなことになるぐらいであれば、むしろ正面から方向転換すべきことがあれば、きっちりと議論してみるということもあるかと思いますが、それも含めてこの12月初旬までのプロセスでできるといいのではないかと思います。

 

○増田部会長 よろしくお願いします。

 それでは、松山委員、お願いします。

 

○松山委員 本日はいろいろ御説明いただき、ありがとうございました。

 本日も、職員の方から御指摘いただいた事項は、本当に非常に真剣に考えていただいている御意見ばかりで、これがいかに改善計画の中で実現されるかが重要なのだろうと思うのですが、ただ、率直な感想として、なかなかこれは一朝一夕に実現するのは非常に難しい内容も含まれているのかなと個人的には感じています。

 処遇・報酬体系、人事制度、こういったものの組織のあり方を、しかも社会保険庁という歴史がある組織をこういう理想的な形に変えていくというのは、民間企業でこの状況の会社の改革をなし得ようとする場合、経営トップが相当な覚悟を固めてやらないと難しいような内容も含んでいるようにも思われます。

 今回、いろいろと不祥事が起きた中で、腰を据えて取り組むということだと思うのですが、やはりこれはすぐにはできない。時間をかけて少しずつ、少しずつ目指すべき方向性に向かっていくという形で進めざるを得ない部分も多々含まれているのかなと感じています。

 なので、今回、この改善計画のスケジュールをできる限りお示しすると先ほどお話がありましたが、この改善計画の時間の軸がどのぐらいの長さでスケジュールを組まれるのか分かりませんけれども、この点は、たとえ長期的になったとしても実現していくのだということであれば、そういう形でいわゆる実現可能性のあるプランで練っていただきたい。

 あとは、先ほど本部機能というお話がありましたけれども、本部というか、経営トップというか、目指すべき方向性を定めて、それに向けて実現していくという部署がやはり必要なのではないかなと思っておりまして、今回、こういう形で再生本部ができて、ワーキングチームができて、非常に今は議論されていると思うのですが、これが1年たち、2年たち、だんだんなし崩しにならないように、本部の方で全体の組織のあり方を常に考えていく部署というのを作っていただければと思います。

 そこの中で、方向性を定めて改革を進める、プラス、その方向性に沿ってできているかの監査を行うというところも充実させていただきたいと思いますし、この機構の本部機能というのがどうなっているのか、私、実はあまり詳細は存じ上げていないのですけれども、本部として全体の働き方とか、例えば業務の効率性とか、そういったところを見る部署、さらにはその監査をする部署、いわゆる企業で言うところの管理部門みたいなところを、全国展開でもっときちんと効率的に回せるような組織を作っていただきたい。いわゆる現場の見直し、プラス、本部の中のそういった見直しもしていただければと思っております。

 ちょっと細かく言えば、先ほどマニュアルメンテナンスのところで、そのようなものを内部でやる部署がないから、外部委託化を検討すべきだというようなお話もありましたけれども、例えば、業務の効率化を目指すためのもろもろの見直しというのは、やはり業務を知っている方でないとできない部分も多々あると思いますし、そういった部門が本部にないとすれば、何らかの形でそういう機能を本部に作っていくこともぜひ考えていただきたいなと思っております。

 以上です。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 理事長さん、どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 おっしゃるとおり、どういう時間軸で取り組んでいくかということが最大のポイントになってくると思います。実現可能性も踏まえながら、きちんとした計画を作っていかなくてはいけないと思いますが、時間をかけてやるべきものと、一気にやるべきものを分けて考えていくことかなと思っておりまして、その区分について間違えないことが必要かなと思っているということでございます。

 本部のあり方について御指摘いただきましたが、先ほど申し上げましたが、いわゆる現場管理セクションというのは、こういうお話を申し上げるとお分かりいただきやすいかもわかりませんが、今、現場管理はブロック本部にかなり依存しているわけですが、ブロック本部に正規職員は約700名おります。1万880人のうち700名です。多分この人員の中で200名ぐらいは本部に持ってこないと、現場の管理というのはできないと思います。

 この人たちを、現場管理セクションというのを人事も含めて持ってきますので、先ほど藤井先生から御指摘いただきましたときにも申し上げましたが、その中で本部のつくりを大幅に変えないといけないと思っておりまして、まさに現場を管理するセクションをどうするかということに伴って、本部のあり方というのは、基本的には今まで現場を管理していなかったわけです。それを、管理機能を全部取り込むわけですから、その部分と他の部分との調整をどう進めるかというのは、本部機能を非常に大きく変えていかないといけません。本部のあり方というのは、組織設計の中で検討をしていかなければいけない、していくべきテーマであり、もちろんその中で考えていくということになります。

 そういう意味で、管理部門をどうするかということに関しましては、過渡的な問題も含めて非常に重要な問題があると思っておりますので、御指摘を踏まえて慎重に、かつ、きちんと検討していきたいと思っております。

 マニュアルの件でございますが、本部の中にマニュアルを考える専門家のチームは作ります。その上で具体的な作業を外部委託化するという方針でございます。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 よろしいですか。

 

○松山委員 はい。

 

○増田部会長 それでは、西沢委員、お願いします。

 

○西沢委員 資料2-1の4ページでの「信賞必罰の人事評価」でまず2つありまして、1つは質問なのですが「信賞必罰の人事評価」の2つ目で「努力や能力の足りない職員については、改善を求めつつ、改善できない場合は降格も含め適正な人事を行う仕組みとすべきではないか」と。

 これは降格要件が今はあまり定まっていないということなのかなと。普通、考えますと、あなたは降格ですと言えば降格できるので、民間企業の立場からすると、できるのかなと思うので、今後、降格要件などを厳格に定めていくという仕組みを設けるということなのでしょうかという質問です。

 2つ目は、そこから2つおりて「成果とプロセスのバランスの取れる評価を行うべきではないか」というのは、まさにそのとおりだと思います。

 これもこの場で何度か申し上げていますが、成果というと、我々も反省すべき点があって、納付率の向上とか、注目される指標について、強く指示がおりていると思いますけれども、業務の中で厚年適用を強化すると、恐らく納付率が下がりがちであったり、国民年金についても同様のことが言えたり、あるいは年金相談も丁寧にやると待ち時間が長くなってしまったり、いずれの業務もジレンマを抱えていると思いますので、このジレンマをうまくくみ取って評価してあげることが必要で、これは年金事業管理部会でも、あるいは政治でもメディアでも納付率、納付率となりがちですが、確かに重要なのですけれども、そこはやや反省して我々自身も多面的に評価していくことが必要で、それを職員の処遇に反映させていくことが必要かなと思います。

 3つ目で、これは最後ですけれども、6ページの「指示・依頼の見直し等」と関連するのですが、先ほど来、ブロック本部の話が出ていまして、私もこの資料を見る限りでは廃止した方がいいなと思いますし、岩瀬委員のお話でも、昔からそういう議論があって、いまだに廃止されていないという話で、理事長の御説明だと、ブロック本部に本部も事務所も依存している側面があるからというお話でもありましたけれども、ただ、それより以前の理事長のお話ですと、ブロック本部の発出権限を奪うという強い表現をとられていて、やはりブロック本部の方でもなかなか仕事を手放さないという側面もあるかなと推測して、それがネックになっている部分もあるのかなという印象を私は受けたのですが、この資料を見る限り、廃止すべきですし、ブロック本部の存廃については、真実が見えてきていないような印象もあるところです。

 以上です。

 

○増田部会長 理事長さん、どうぞお願いします。

 

○水島日本年金機構理事長 降格については、降格要件は今でもあるのです。その降格要件というのは、例えば、一番下の評価を2年連続とったら降格しますとか、こういうことなのですが、評価者がなかなかそれをつけたがらないということです。それについて評価者に依存するのではない仕組みというのが、結局、評価者に依存せざるを得ないのですけれども、これからそういう仕組みを含めて考えていかなくてはいけないと思っているということでございます。

 降格者は確かに毎年おるのでございますけれども、職員の意見を聞いていると、それだけではないという感じを強く持ちますので、それについてどう解決すべきか、どういう人であるかということもよく見極めた上で、再生できるのかという点も含めて見極めた上で、どういう制度であるべきかということについて、検討しなければならないと考えているということでございます。

 成果とプロセスに関しましては、西沢先生のおっしゃるとおりでございまして、それについて、あるべき評価の体系というのはどうあるべきかということについて、もっと検討していかないといけない。考えなければいけない部分がたくさんあるということだと思います。

 ブロック本部に関しては、もちろん機能として持っているところはあるわけで、ブロック本部を一挙にやめていくということについては、ものすごく大変な部分はあると思います。それは現場の意見もよく聞きながら、現実的な方策というのはどこにあるのかということを議論していきたいと思いますが、少なくとも現在、ブロック本部について、絶対にやめるべきでないという議論が機構内にあるということは聞いておりませんので、その方向について、多くの人たちが真剣に考えつつあるということは事実だと思います。その辺も踏まえて、御指摘も踏まえながら目的を外さないように対応してまいりたいと考えております。

 

○増田部会長 それでは、他に。

 そうしましたら、山口委員、お願いします。山口委員、藤井委員の順でお願いします。

 

○山口委員 3点あります。

 1つ目は、組織の資料の3ページの「組織改革について」に関わるところですけれども、年金事務所のフルスペック体制を機能別に再編するという検討ということで挙げられています。

 先日、年金事務所を視察させていただきまして、ありがとうございます。

 その中で、相談窓口の体制ということについて、お話をお聞きすることができました。今後、個人の相談窓口を充実させていこうというときに、これはあまり詳しくお聞きしたわけではないのですけれども、例えば障害年金というのは対応が難しそうだなという印象を持ちました。

 そういうときに、今の西沢委員の御意見に私も同感なのですけれども、例えば、評価が一面的にされてしまうと、時間をどう短縮したかとか、短縮すると対応が十分にできないとか、そういう窓口対応の充実に反するような事態にもなってきますので、そういった窓口業務として必要とされるようなことについて、それを全体として盛り込んで、それがうまく流れていくように方向づけるというところについては、本部でお考えいただくのが適切ではないかと思っております。

 2つ目が、5ページの「人事の改革について2」ですけれども「管理職の活性化、若手登用の促進」ということで、所長・副所長の役割を明確化すべきではないかということで、副所長には、所長の補佐というよりは牽制機能、コンプライアンスや監査に役割を果たすという役割をより求めていくという方向が考えられるというお話でした。

 これに関しましても、これまでコンプライアンスに関する調査を機構が行われていて、コンプライアンス違反に対してなかなか声を上げにくいという調査結果が見られたというような御報告もありましたけれども、職場でコンプライアンスの取り締まりという色彩が強くなると、多分、職場としては働きにくい職場になってくると思うので、職員の不満・苦情をどのように吸収して、組織内でならしていくかと考えると、あまり監査とか、チェックとかあまり言い過ぎない方がいいところもあるかと思います。

 そういうときに、特に一つ一つの年金事務所というのはあまり規模が大きくないような所が結構あると思うのですけれども、正直、一般の状況として、やはり狭い、人が限られる組織ですと、ひょっとすると、不満・苦情がみんなに知れわたるようなところだと、不満・苦情が言いづらかったりとかもありますので、そういうところをうまく吸収してならしていくというときに、長の役割というのは重要であると思いますので、そういったコンプライアンスを確保するための組織のマネジメントというようなところは、より詳細に今後見ていく必要があるかと思います。

 3つ目は、情報開示ということで業務改善命令にも指摘されているところですけれども、情報を公開していくというときに、誰に対して何でやらないといけないかということが明確に認識されて、それが共有されていないと、どうしてやらないといけないのかということになってきますので、どうしてやらないといけないのかということにはしっかりこだわっていただいて、情報開示のあり方を御検討いただきたいと思っております。

 以上です。

 

○増田部会長 何か御意見ありますか。よろしいですか。次のときでよろしいですか。

 

○水島日本年金機構理事長 十分承って、検討の際に参考にさせていただきたいと思います。

 

○増田部会長 では、ぜひよろしくお願いします。

 次は藤井委員なのですが、他にまだございますか。

 それでは、すみません。

 

○藤井委員 どうぞ。

 

○増田部会長 それでは、齋藤委員、お願いします。

 

○齋藤(衛)委員 2点質問と1点コメントがあるのですが、情報管理対策本部の資料2-2の2ページ目の図で、CSIRTという大きな枠組みを作られるということなのですけれども、そのインシデント対策グループの箱の中に平時と有事にやることが書いてあるわけなのですが、平時の状態から有事の状態、今、何か事が起こっているということを判断するためには、日常的に何か仕事をしていて、今、異常なのですよと判断する機能がどこかに必要だと思うのですが、それはどちらでやられるのかというのが1つ目の質問です。

 2つ目は、有事の際に事案の対応を行うわけなのですが、そのときの権限と責任の範囲というのがこの文章の中には書いていないので、恐らく前回の件もそうですけれども、業務をとめて事案の調査であるとか、対策を行うという強い権限が必要で、また逆に、その強い権限を持った新しい組織に事案対応を預けるということによって、事案対応という面に関しては現場の責任がなくなる。ここの専門組織が責任を持って対応するということを決めないといけないのではないかなと思っています。

 3番目、コメントなのですが、4ページ目の「2.技術的対策」のところで「NISC勧告の内容」には、2つ目の○で「インターネットに接続された情報システムに対し、多重防御の情報セキュリティ対策を講じる」とあって、それに対する受けの部分である「主要事項」「方針」「取組み状況」というのは、今回の事案に対する対策としては十分だと思うのですけれども、NISCの勧告の読み取り方なのですが、インターネットに接続された情報システムに対して、一般的なこと全体で言われると、年金機構さんは「ねんきんネット」というインターネットの窓口をお持ちなので、恐らくそこもスコープに入るのではないかなと読み解きました。

 そうすると「ねんきんネット」に対する対策としては、右側に書いてある方針がそぐわない面もあるのかなと。インターネットの窓口ですから、インターネットと切断するということはあり得ない前提で対策を考えなければいけないのではないかなというのがあって、そこもスコープに入れた方がよいのではないかというのがコメントです。

 以上です。

 

○増田部会長 今の関係は何かありますか。

 どうぞ。

 

○野上日本年金機構情報管理対策室長 1点目のインシデントが発生した場合の対応について、どこで判断するのかということだと思いますが、今、インターネットの接続から遮断しているわけですけれども、現在でも、例えばウイルスの検知というのは、実際は現場ではされています。そういったものはこの図の右下の運用・保守ベンダーの方から連絡が行きますので、私どもの方でこの連絡に基づいて初動の対応をし、何が原因なのかということを探っているところでございまして、そういった点では、私どものインシデント対策グループが初期的に判断する。そこから関係部署等の連携によって対処していくことにしているところです。

 もう一点の権限と責任の範囲ということでございますが、所掌事務にもございますが、情報管理対策本部が私ども機構の情報セキュリティ対策の全般を一元的に管理しておりますので、初動としては私ども情報管理対策室が対応します。その中で、当然、判断を要するものについて、必要に応じて情報管理対策本部に上げ、判断を仰いでいく。最終的にはここが判断をするということになってくると思います。

 3点目の「ねんきんネット」につきましては、御指摘のとおりでございます。「ねんきんネット」というのは、インターネットと接続しているということでございますが、現在、インターネットとの接続を遮断しておらない、サービスを継続しているということでございますけれども、これにつきましても、私どもは現在のいろいろなセキュリティ対策で一定の安全性が保たれているという判断をして、今、継続しております。

 ただ、御指摘のように、これで本当に十分なのかということにつきましては、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

○増田部会長 3点目は、多分この読み取り方の問題もあると思うので、いずれにしても、今、もう既にスタートしたものですけれども、今の関係については、その対策の取り組み状況とか、もう少し丁寧に書いておいてもらった方がいいのだと思います。

 

○野上日本年金機構情報管理対策室長 分かりました。

 

○増田部会長 大山さん、どうぞ。

 

○大山部会長代理 今、話があったことに触れ、その後に一つ質問させてください。

 今のセキュリティの関係のことは、また別途議論するところがあると思いますので、そこでまた申し上げたいと思いますが、簡単に申し上げると、ちょっと言い方は悪いのですが、最近いろいろな企業のお話を聞いていて、こういう話があるのかと思って驚いたことがあります。ご存知の方も多いと思いますが、マイナンバーが危ないと騒がれると、企業等で安全に管理しなければならないマイナンバーを預かることがビジネスになっています。

 これはビジネスの考え方としてはおもしろいと思ったのですが、要は、年金機構が努力をなさるのはもちろんですが、年金の情報を出すにしても、安全にサービスを任すことのできる人を用意することも必要ではないでしょうか。年金機構が直接出そうとするから、今のような話になるという面についても、一考の価値はあるのではないかと思いました。

 私の質問ですが、最初に資料2-1の6ページです。これは理事長さんの方から、こういう意見があったという説明なので、それはそれで結構なのですが、先ほどから聞いていて気になるのはマニュアルメンテナンスの話です。

 この話は、6ページのところの「指示・依頼の見直し等」で「マニュアルメンテナンスの外部委託化について検討すべきではないか」と書いてある一方で、アドバイザリーボードの方の意見を見ると、9ページ目のところに「マニュアルが多すぎてよく分からない」ということが書いてあります。これらの2つが対応しているのかをまずは確認させてください。

 対応しているとすると、マニュアルが多過ぎるから、委託化すべきと言っているのか、分かりにくいから委託化と言っているのか、この辺のところがこの2つを見ても分かりません。

 さらに気になるのは、コンピューターシステムにもマニュアルがあることを考えると、これらのマニュアルを機構が作っているわけではないと思うので、そういう意味では既に外部委託化しています。

一般的に、よく分かっている人が書いたマニュアルは、分からない人から見ると分かりにくく、書いてはありますが、知りたいことが見つからないという現象が往々にして起こります。

 例えば、パソコンを使っていてヘルプで助かったことはあまりないと思います。知っている人に聞いて、教わって、それで探すと実はヘルプに答えが書いてあるというようなこともよくあります。この辺の話は、マニュアルが多過ぎるというのが、制度的な説明でのマニュアルなのか、システム操作上のマニュアルを言われているのかを明確にする必要があります。

 したがって質問は、外部委託化と言っている意味が、どこのことを指しているのかを教えていただきたいと思います。

 

○増田部会長 それでは、理事長さん、お願いします。

 

○水島日本年金機構理事長 私が答えるのが適当かどうかという問題もありますけれども、少なくとも、現在、議論をしている方向は、おっしゃるとおり、今、マニュアルで規定しているものとか、要領で規定しているものとか、システム側で規定しているものとか、いろいろなものがあるのです。一つの取り扱いを行う上で、どこに準拠しているかというのが必ずしも一定ではないという状態になっているわけです。

 それを、知識のある人や経験のある人は、あそこに書いてあったからあれに従ってやるというふうにやるわけですが、これを新しい人たちが全部きちんとできるような状態にするということは、現在はそうはなっていないわけです。

 知っている人がちゃんと教えないとだめでして、知らない人がいると事務処理誤りが起きる懸念があるという状況にあると認識いたしておりまして、この担当グループはそれも含めて全体を見直ししたいと、しなければならないと言っております。

 ただし、先ほどおっしゃいました分かりやすさとか、そういうことに関しては、外部委託をしないと、中で本当に分かりやすくできるかということについては、限界があるなという認識を彼らも持っておりまして、実際に作り上げるというところについては、一定の外部委託をすることが必要ではないかという議論を行っているということでございますが、こういうことでよろしゅうございましょうか。

 

○大山部会長代理 ありがとうございます。

 そういう面があることは理解できますが、年金事務所の中で実際に動いている状況を見せていただくと、制度改正が度々起こっていて、それに従って職員の方も研修を受けるということになりますが、昨今のように頻繁にいろいろなことが変われば、ミスは必ず起こると思うのです。

 他方で、古い制度も残っているので、その辺は、今回、いろいろな見直しをするという状況であるのであれば、やはり全部フルセットで各年金事務所が対応するのではなく、ある一定のものについては、特殊な話という言い方をしていいかどうか分かりませんが、専門の人がいるところに扱いを変えるとか、何かそういう工夫が必要なのではないかと考えます。なかなか言いづらいことですが、この際、そこまで手を打ってみる必要もあるのではないかと思います。

 と同時に、言っても仕方ない面もありますが、やはり制度の改正が多過ぎます。これだけ制度変更があると、システムを長く見てきたものとしては業務のミスの防止、正確性の確保、あるいは業務の改善のためのシステムではなく、制度改正に対応するところで、システムの改修・維持運用で精いっぱいになってしまっているように見えます。だから、十分な人手をかけることができず、結果としてシステムの刷新もなかなか進みづらい状況に陥っているのではないかと思います。

 その辺については、残念ながら、起きてしまったことがきっかけになっていますが、やはりここで大きく変えるためのことを、一度しっかり厚生労働省と一緒にお考えいただく必要があると思います。


○増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 ありがとうございます。参考としてきちんと受けとめるべき御意見だと思いました。

 大山先生がおっしゃった点に加えまして、ぜひ御理解いただきたいのは、時効が撤廃されておりますので、始まって以来の制度を全て知っていなければならないという状況にあります。

 この人材をどう育てていくかということについては、並大抵のことではございませんで、事務処理誤りが起きないという状態をどう作っていくかというのは、極めて難しい問題でありますからこそ、専門性を持った人材をどう育てていくかというのが喫緊の課題だと思います。

 今はまだ知識とノウハウを持った人たちがいる状態にありますので、その人たちの知識やノウハウをどのように伝承して、組織の中できちんと位置づけていくかということは極めて大事だと思います。

 そのような点も含めて、機構の持っている問題点、結局そういう意味でマニュアルというのは膨大にならざるを得ない。しかも、システムでやっていますので、システムの取り扱い要領みたいなもので規定している部分がかなりございますので、私がお答えするのが適切かどうか分かりませんが、私が聞いている限りでも、非常に難しい綱渡り的なところがあるということは確かです。おっしゃるとおり、今、そこを何とかして解決する方向を議論していかなければいけないと思っております。

 

○増田部会長 大山委員のお話の前半の方の情報セキュリティ体制については、いずれにしても、大山委員以下、別途、専門の先生方でまた別の場でより深く検討していただきたいと思っておりますので、またどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、藤井委員。

 

○藤井委員 ちょっと話が元に戻るかもしれないのですが、いろいろな方の御意見を聞きながら、もう一回感想を述べてみたいと思うのですけれども、全国異動云々というところの中で、理事長さんの回答を私なりに要約すると、全国異動を要件とすると、管理職に登用できないようなことが生ずるので、どうにかしたいということだと私は理解します。

 しかし、その背景には、これも理事長さんがおっしゃっていたところですけれども、管理職になればいいのになと評価されている人の大半が、ほぼ全員がというような非常に高いパーセンテージで管理職になろうと考えていない。

 それは、結局、管理職になっても処遇が改善されないからだということもあるでしょうし、さらには、先ほど私が申し上げたように、リーダーシップの像がよく分からないので、なっても何をしていいかよく分からないというのもあるでしょうし、管理職になれば、当然、部下の方々の評価をする。もめごとを解決する。不満を聞きなだめる。勇気づける。とても苦労が多いわけですけれども、その割には報われない。

 そうなりますと、先ほど来、出ている信賞必罰とか言ってみても、小さな範囲でちょっと上げたり、ちょっと下げたりするだけの話で、結局、大きく見れば、無風な中でほんの小さなところで多少行き来する程度のことだと。

 そうすると、恐らく、これは想像ですけれども、波風立てずにゆったり仕事をしている方がよくて、余り上昇志向を持って改革しようとか、よくしていこうとか、何かここで一旗上げようなんていうようなことはしない方がよろしいということになるわけでしょうし、だからこそ機構としては、どうにかして管理職になりたいという人を、多少全国異動とかという要件を曲げても、引き上げざるを得ないという事情もあるのではないかなと想像するわけです。

 一方、先ほど来、出ている、専門性を生かしたキャリアパスというのも特にないので、結局、どうにもならないという状況なのではないかなと思います。今回、そこら辺に踏み込むような御決意だと伺ったので、ここに非常に大きな本質があるのではないかなと思います。

 加えて、先ほど私も挙げました本部との関係、本部における改革、あるいは役員の役割評価という点に関するものも含めて必要だと思いますが、例えば、事務所で頑張っている方の中から理事になれるのかどうか。しょせんそういうことはないのであって、かつ、課長や所長になっても、かえって面倒なばかりで、さして報われないということであれば、恐らくどんな改革をしても、ほとんど何もやる気が出ないのではないかなという印象を個人的には持ちましたので、そこら辺を含めた御決意だったのだろうと思いますので、それについて感想を申し上げます。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 それでは、他の皆様方はよろしゅうございますか。

 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 全国異動についてお聞きしたいのですけれども、理事長が先ほど原委員の質問に対して、基本は変えず弾力的な運用をやっていくから、それを認めろと。

 しかし理解しがたいのは、あえてこの仕組みを変えたいというようなことを言いながら、私が弾力的運用という言葉を使えば、それに飛びつくようにそこに後退するというのがちょっとよく分からなくて、先ほども言いましたように、今まで適当な説明を受けているわけです。宿舎がないと説明を受けたのですけれども、そのときに理事長もいたわけです。そういう虚偽説明を行い、適当にやり過ごそうとしてきた組織なので、私は信用できない。

 だから、理事長の考えている弾力的運用の中身と、それはどのようなことを期待してやろうとするのか。弾力的運用の定義と、その運用によってどのような効果が期待できるのか、それをペーパーでもらえませんか。

 

○増田部会長 理事長さん、どうぞ。

 

○水島日本年金機構理事長 もちろん再生計画の中の一つとしてやるとすれば、ペーパーでお出しします。

 

○増田部会長 それでは、よろしくお願いいたします。

 それでは、時間が参りましたので、今日は12月にまとめる業務改善の課題について、広く意見交換いたしました。

 恐らくアドバイザリーボードの方の意見も何回かいただくことになると思いますし、部会としても、検討の途上でまたさらに議論したいと思いますので、まだ次回の日程等については決めていませんが、方向性について、また場を設けて、この場で皆様方の御意見をいただきたいと私は思っております。

 それを踏まえてさらに検討を煮詰めるということで、次回の当部会ではさらに今日の意見を踏まえて、機構の方で検討を深めた業務改善の方向性について、議論いたしたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 それでは、次回の日程について、事務局の方からお願いします。

 

○藤原参与 次回の日程につきましては、改めて御連絡させていただきます。

 

○増田部会長 それでは、本日の会議はこれで終了といたしたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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