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2022年8月3日 第45回 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会(議事録)

健康局健康課

○日時

令和4年8月3日(水)13:00~

 

○場所

AP東京八重洲 11階L+Mルーム


○議題

<審議事項>
1.健康日本21(第二次)最終評価報告書案について
2.歯科口腔保健の推進に関する基本的事項最終評価報告書案について
3.次期国民健康づくり運動プラン策定に向けた検討の進め方について
4.次期歯科口腔保健の推進に関する基本的事項策定に向けた検討の進め方について
5.地域保健法の課題等について

<報告事項>
なし


○議事

第45回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会
                 
○加藤健康課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第45回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会を開催いたします。
本日、議事に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます健康局健康課の加藤と申します。よろしくお願いいたします。
委員の皆様には御多忙の折、御参加いただき、御礼申し上げます。
本日は委員の皆様にオンラインにて御参加いただいております。なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、報道関係者及び一般の方の傍聴は行わず、代わりに会議の模様はユーチューブによるライブ配信にて公開しております。御承知おきください。
それでは、開会に当たりまして、健康局長の佐原より御挨拶を申し上げます。佐原局長、よろしくお願いします。
○佐原健康局長 健康局長の佐原です。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本部会に御参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、厚生労働行政に日頃からいろいろと御協力をいただきまして、本当にありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症が今、第7波を迎えておりまして、非常に予断を許さない状況が続いております。ただ、感染症対応と併せまして、平時からの健康づくりや疾病予防はますます重要になっていると考えております。国としても、健康に係る諸施策を着実に進めていきたいと考えているところ、引き続き御支援のほどよろしくお願いいたします。
本日の本部会の審議事項としては、次第にありますとおり、5つの項目を掲げております。
健康日本21(第二次)につきましては、昨年6月から健康日本21(第二次)推進専門委員会において議論されました最終評価や、また、次期国民健康づくり運動プラン策定に向けた検討の進め方等について御議論をお願いしたいと思います。
また、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項につきましても同様に、昨年12月から歯科口腔保健の推進に関する専門委員会において議論された最終評価や、次期基本的事項の策定に向けた議論の進め方等について御議論をいただきたいと思います。
それから、地域保健法につきましては、保健所体制や地方衛生研究所に係るこれまでの新型コロナウイルス感染症の対応、そして本年6月の政府の新型コロナウイルス感染症対策本部決定で示されました方向性等を踏まえ、今後の課題等について御議論をいただきたいと思います。
以上につきまして、委員の皆様には忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げて、甚だ簡単ではございますが、私の御挨拶とさせていただきます。
0本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○加藤健康課長補佐 ありがとうございます。
では、議事に入る前に、ウェブ御参加の方への留意点、本日の出欠状況等について御説明いたします。
まず、オンラインでの参加の方に向けてのお願いです。ビデオカメラはオンにしてください。発言時以外は、マイクはミュートにしていただくこと。発言される場合は挙手をしていただき、部会長からの指名後、発言いただくこと。発言時にマイクをオンにしていただくこと。発言時に、名前をおっしゃった上で発言してもらうこと。発言が終わったら、マイクをミュートにしてもらうこと。
以上となります。よろしくお願いいたします。
次に、資料の確認をさせていただきます。事前にお送りしているファイルに不足がないか、御確認ください。座席表、委員名簿、議事次第がございます。資料としましては、資料1から資料5までの8つのファイル及び参考資料が本日の配付資料になっております。不備がございましたら、お申しつけください。
次に、前回開催が令和4年2月2日になりますが、それ以降に委員の改選がございましたので、新しく当部会の委員に御就任いただきました2名の方々を御紹介させていただきます。
東北大学大学院医学系研究科老年・在宅看護学分野教授、尾﨑章子委員でございます。
○尾﨑委員 尾﨑と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○加藤健康課長補佐 続きまして、公益社団法人日本医師会常任理事、黒瀨巌委員でございます。
○黒瀨委員 黒瀨でございます。日本医師会の常任理事に選任されまして、このたびこちらの委員として参加させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤健康課長補佐 ありがとうございます。
次に、出席及び欠席状況でございますが、本日は委員の方はウェブでの御参加になり、座席表上に御出席委員を記載しております。御欠席委員につきましては、達増委員、松下委員、水澤委員、諸岡委員から御欠席の連絡を受けております。達増委員の代理としまして、野原岩手県保健福祉部長に御参加いただいております。
なお、岡村委員におかれましては、遅れて御出席と伺っております。また、井伊委員、祖父江委員、本田委員におかれましては、他の用務のため、途中退席と伺っております。
以後の進行につきましては、辻部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 皆さん、こんにちは。それでは、委員の皆様方、どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、審議事項1につきまして、事務局から説明をお願いします。
なお、資料は事前に送付されていますので、審議時間確保のため、説明は簡略にお願いいたします。
○寺井健康課長補佐 それでは、審議事項1に関しまして、健康日本21(第二次)最終評価報告書案について御説明いたします。
前回2月2日に開催されました第44回地域保健健康増進栄養部会におきまして、最終評価の進捗を途中まで御報告いたしまして、骨子案まで御了承いただきました。。栄養部会後、第17回、第18回の健康日本21(第二次)推進専門委員会におきまして、骨子案に沿って最終評価報告書案を作成しましたので、本日、前回の続きを御報告いたしまして、最終評価報告書案につきまして御審議いただきたいと思います。
資料1-1、1-2、1-3をお送りしておりますうち、資料1-2、1-3が最終評価報告書案の本体及び別添になります。かなりボリュームが大きくなっておりますので、本日は、概要版でございます資料1-1を用いて報告書の内容を御説明させていただきます。
資料1-1を投影いたします。表紙をおめくりいただきまして、初めの数枚は概要及びスケジュールになります。健康日本21(第二次)ではこちらにお示しします5つの基本的な方向に沿って具体的な53項目の目標項目を定めております。最終評価におきましては、この53項目の目標項目について進捗状況を評価いたしました。
3ページがシェーマで、5つの基本的な方向を①から⑤で示しておりますが、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を最終的な目標としまして、それらを達成するために、生活習慣病の発症予防・重症化予防、社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上、また社会環境整備に関わる目標を設定しております。また、一番下、ベースとなります層に、個人を取り巻く生活習慣や、社会環境の改善に関わる領域として、栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康の各領域があり、それぞれの目標を定めております。
4ページが検討のスケジュールでございます。昨年6月より健康日本21(第二次)推進専門委員会において、最終評価の具体的な作業を行っていただいており、本年2月に一度、本部会に進捗を御報告した後、前回6月に行われました第18回の推進専門委員会までで、推進専門委員会としての最終評価報告書案を取りまとめていただきました。本日、報告書案につきまして御了承いただけましたら、報告書を公開し、この後は、次期国民健康づくり運動プランに向けての検討を開始する予定としております。
5ページが最終評価報告書案の目次になります。報告書案は骨子案に沿って、第1章から第4章で構成しており、第1章が「はじめに」、第2章が「評価の目的と方法」ということで、これまでの経緯やABCDEの評価づけの方法等を記載しております。
第3章が最終評価の結果の本体になりますが、前半部分に53項目の目標項目の評価のまとめ、後半部分に諸活動の成果の評価としまして、都道府県・市区町村・団体に対して行いました取組状況の評価のためのアンケート調査の結果等をまとめております。後半部分のアンケート調査の結果のまとめに関しましては、2月の栄養部会で既に提示させていただきましたので、本日の説明では割愛させていただきたいと思います。
第4章は、これまでの健康づくりのまとめと、次期国民健康づくり運動プランに向けての課題でございますが、こちらも2月の本部会の際に、資料として提示させていただいておりますので、説明は割愛させていただきます。
本日は、最終評価の結果のメインとなります第3章前半部分、53項目の評価結果について御説明させていただきたいと思います。
まず全体の達成状況ですが、2枚おめくりいただきまして、7ページにまとめがございます。前回2月に提示した暫定版に、歯・口腔の健康の領域の目標の評価を加えまして、全53項目の評価結果をまとめております。ABCDの4段階で評価しておりますが、53項目中、過半数の目標項目におきましては、「A 目標値に達した」もしくは「B 現時点で目標値に達していないが、改善傾向にある」の評価で、ベースラインから改善を認めているという結果でございました。
また、「E 評価困難」となった目標項目が7項目ございましたが、このうち6項目は、新型コロナウイルス感染症の影響で、国民健康・栄養調査等のデータソースとなる調査が中止となったため、最終評価のためのデータが取れなかった項目になります。Eとなった項目に関しましては、関連する指標等があり、それらを参考として何かしら目標項目としての評価ができた場合には、括弧書きで参考評価を入れております。
1枚おめくりいただきまして8ページ目、先ほどシェーマでお示ししました5つの基本的な方向ごとに、目標項目の評価結果をまとめております。1が健康寿命の延伸と健康格差の縮小、2が生活習慣病の各領域でございますが、例えば健康寿命の延伸でしたり、がんや循環器疾患等の年齢調整死亡率といったアウトカムとなる指標におきましては、Aと評価されたものが多くございました。
一方、ベースとなります基本的な方向の4や5、社会環境整備や生活習慣の各領域においては、Aと評価された目標項目が少なかったという結果になっております。ベースとなる層で目標に達していないにもかかわらず、アウトカムとなる目標項目が目標に達している要因としましては、治療の進歩の影響などもあろうかと考えますが、生活習慣の各領域の目標に関しましては、まだまだ改善の余地が残るところですので、引き続き重点的に取り組んでいかなければならないところとも考えております。
続きまして、各領域の評価結果について簡単に御説明いたします。各領域、まとめのスライドとデータのスライド、及び関連する取組数枚、今後の課題数枚という構成にしておりますが、本日は主に各領域のまとめのスライドを提示しながら御説明させていただきます。
まず10ページ目、健康寿命の延伸・健康格差の縮小の領域でございます。こちらのスライドは既に前回2月の栄養部会でお示ししたものになりますが、最終的な目標でございます健康寿命は、男女とも順調に延伸しており、「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」につきましては、男女ともに目標を達成しておりました。
一方健康格差につきましては、右下のグラフでお示ししますように、都道府県の健康寿命の最長県と最短県の差を見ており、男性ではベースラインから短縮しておりましたが、女性では最長県が顕著に伸びているということもございまして、差は広がっているという結果でございました。
今後、格差に関してどのような指標で見ていくのかについては、最長と最短の差でいいのかといったことも含め、次期プランに向けて議論が必要なところとは思いますが、現状、健康日本21(第二次)で設定しました目標項目としましては、11ページにまとめておりますとおり、健康寿命は男女ともにA、健康格差は男性A、女性Dで、総合してC:変わらないという評価結果になっております。
続きまして、16ページ以降に基本的な方向の2つ目、生活習慣病の発症予防・重症化予防に関する領域として、がん、循環器疾患、糖尿病、COPDの各領域の評価の結果をお示ししております。
4領域まとめて結果を御説明したいと思いますが、がん領域においては、年齢調整死亡率はA、がん検診の受診率はBという結果でございました。
22ページが循環器疾患のまとめになります。こちらも年齢調整死亡率はAでしたが、リスク因子の低減として設定されておりました高血圧や脂質異常症の目標に関しましてはBやCという結果で、目標には達しておりませんでした。
アウトカム指標のみがAとなっている要因としましては、先ほど申し上げましたように、治療の進歩の影響もあるだろうと考えられております。また、例えばがんの死亡率に関しましては、胃がんや肝がんなどにおいて死亡率が低下していることなどから、感染症対策の影響も考えられるのではないかとご指摘いただいているところです。
循環器疾患の目標項目の4つ目、5つ目は、糖尿病領域と共通する目標項目になりますが、「メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少」については、ベースラインから25%の減少を目指しておりましたが、むしろ増加しており、D:悪化しているという結果でございました。特定健診・特定保健指導の実施率は、目標値には達していないものの、ベースラインから上昇しており、メタボリックシンドロームの該当者が増えた要因として、これまで健診を受けていなかった者が受けるようになったことによる掘り起こし効果もあるのではないかと考えられております。
続きまして29ページ、糖尿病の領域になります。循環器と共通の2項目を含めまして、6つの目標項目を設定しております。コントロール不良者の割合の減少のみAと評価されましたが、残りはB、C、Dと、課題も残る結果となっております。
30ページに具体的な数値をお示ししておりますが、4つ目の糖尿病有病者数についてのみ、少し補足させていただきます。糖尿病有病者数は、4年に1度国民健康・栄養調査の大規模調査年に推計されている指標でございますが、令和2年・3年の調査が新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったため、最新のデータが把握できず、E評価となっております。
正式な評価はできなかったということになりますが、参考として、令和元年までの通常の規模の調査のデータを用いて、厚生労働科学研究で令和元年の有病者数を推計していただいたところ、参考ではございますが、令和元年の有病者数は1,150万人と推計されました。
具体的なグラフは、資料1-2の報告書の本体の120ページに載せておりますので、今、画面で共有させていただきます。当初目標を設定しました約10年前の時点で、今後同じペースで糖尿病有病者数が増加する仮定すると、令和元年には1,270万人にまで増えると予測されておりましたので、今回推計しました令和元年1,150万人という数値は、目標値にまでは達していないものの、当初予測された数値よりは抑制されているという結果で、参考としてBの評価をつけております。
資料1-1に戻りまして、38ページがCOPDの結果です。認知度を80%にするという目標でございましたが、ベースラインから大きく変わらず、Cという評価になっております。COPDの対策としましては、今後目標が認知度でいいのかということも含め、検討していくことになろうかと考えます。
続きまして、40ページ以降に、基本的な方向の3つ目「社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標」としまして、こころの健康、次世代の健康、高齢者の健康の各領域の評価結果をお示ししております。3領域まとめて結果をお示しします。
まず、こころの領域です。4つ目の目標項目がAと評価されたほか、1つ目の「自殺者の減少」に関しましても、最終評価ではB評価になっておりますが、中間評価で既に目標を達成しており、目標値を厳しく設定し直した項目になります。
46ページが次世代の健康の領域になりまして、2つの目標項目につきまして、結果をお示ししております。先ほどお示ししたメタボリックシンドロームの該当者もD評価でございましたが、子どもにおきましても、「肥満傾向にある子どもの割合」は増加しているという結果になっております。子どもの身体活動量の低下等が要因として指摘されているところです。
52ページ目が高齢者の健康で6つの目標項目がございます。6つ目の社会参加の目標に関しては、国民健康・栄養調査が中止となったため、E評価となっておりますが、残り5つに関しましては評価が出そろっており、「認知症サポーター数の増加」や、「低栄養傾向の高齢者の割合の増加の抑制」などで目標を達成しました。
以上、こころ、次世代、高齢者と、3領域お示ししましたが、これらの領域におきましては、自殺総合対策大綱や、健やか親子21等、関連する計画も走っておりますので、今後これらの計画と連携しながら、各ライフステージに合わせた対策を推進していく必要があろうかと考えます。また、個人の健康には、出生時からライフコースにおける様々な要因が影響していると示唆されるため、引き続き、ライフコースアプローチの観点からも対策を検討していく必要があると考えております。
続きまして、60ページを御覧ください。基本的な方向の4つ目、「健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標」の結果をまとめております。5つの目標項目のうち、2つがE評価となっております。1つは調査中止のために評価ができなかった項目ですが、この10年間の間に指標のモニタリングができなくなった項目もございました。
社会環境整備を5つの基本的な方向の一つとして位置づけ、具体的な目標設定をしたということが、健康日本21(第二次)の特徴の一つでもございましたが、策定の段階で発展途上にあった指標もありましたので、今後はこの10年の知見も踏まえて、次期に向けてどのような指標を設定していくのがよいか検討していく必要があろうかと考えております。
最後、66ページ以降に、基本的な方向の5つ目、個人を取り巻く生活習慣及び社会環境の改善に関する目標として、6領域の目標項目の結果をまとめております。
1つ目が栄養・食生活領域でございますが、5つ目標項目がございまして、C、C、A、B、Bという結果でございました。生活習慣の領域全体とおしてAと評価されたのは、ここに示します1項目のみで、残りはBやCやDという評価になっております。
「適正体重を維持している者の増加」に関しましては、目標項目全体としてはC評価でございましたが、67ページにお示ししますように、指標ごとに見ますと、「20歳~60歳代男性の肥満者の割合」に関しては増加しており、Dと評価されております。また、2つ目の目標項目「適切な量と質の食事をとる者の割合の増加」においても、「野菜と果物の摂取量の増加」等、Dと評価された指標がございました。
続きまして、73ページに身体活動・運動領域の結果がございます。3つの目標項目のうち、個人の生活習慣や行動が結果に表れる「日常生活における歩数の増加」、「運動習慣者の割合の増加」に関しましてはC評価で、特に20歳~64歳女性における運動習慣者の割合は、D:悪化しているという結果でございました。社会環境整備の観点から入れておりました3つ目の目標「運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治体数の増加」については、ベースラインから改善を認めております。
81ページが、休養領域の結果のまとめになります。目標項目は2つで、DとBの評価でしたが、全53項目中、D:悪化している、と評価された項目は4項目になります。そのうちの一つが休養領域の、「睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少」ということになりました。睡眠の妨げとなっている要因としましては、男性では仕事、女性では育児、また若い世代では、寝る前にスマホを使用すること等が挙げられているところでございまして、今後、ターゲットに応じた対策を検討していく必要があろうかと考えます。
85ページが飲酒領域の結果のまとめになります。3つの目標項目の評価結果はD、B、Bという評価でございまして、飲酒領域にもD評価が1つございました。
「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合」に関しまして、1枚おめくりいただきまして、86ページに具体的な数値をお示ししております。男性で1日40グラム、女性で20グラム以上のアルコールを摂取している者の割合を見ております。男性ではベースラインから有意な変化を認めませんでしたが、女性では増加しておりました。要因としまして、女性の社会進出等の影響もあるのではないかと指摘されているところでございまして、今後これらの背景も踏まえて、対策を検討していく必要があろうかと考えます。
また、2つ目、3つ目の未成年の飲酒、妊婦の飲酒に関しましては、理想としてゼロ%を目標値としていたために、目標値にまでは到達しませんでしたが、ベースラインから改善を認めておりました。
91ページが喫煙領域になります。4つある目標項目のうち、2つ目、3つ目の未成年、妊婦の喫煙に関しましては、飲酒領域と同様、ゼロ%を目標としており、目標値には達しておりませんでしたが、改善傾向でした。
そのほか、1つ目の「成人の喫煙率の減少」に関しましては、喫煙をやめたい者がやめるということで、12%を目標としておりましたが、実績値としましては、16.7%にとどまったという結果になっております。
4つ目の受動喫煙に関しまして、93ページにデータをお示しします。健康増進法が改正されまして、全面施行される前の令和元年のデータで見ておりますが、この時点においてもいずれの指標も改善傾向ではございました。全面施行後については、まだ調査が行われていないところですが、どのようなデータをたどるか、引き続きデータをフォローしていきたいと考えます。
最後、99ページが、歯・口腔の健康の領域になります。5項目中3項目がEということで、新型コロナウイルス感染症の影響で、歯科疾患実態調査が中止となったためにデータが取れなかった項目が多くございました。2つ目や4つ目の目標項目のように、最終評価ではEやBとなっている項目の中には、中間評価で既に目標に達していた項目もあったということは補足させていただきたいと思います。
以上が各領域の評価となりまして、最後、まとめのスライドとして、105ページ目を御覧いただければと思います。上半分は再掲になりますが、AとBを合わせまして過半数の項目で改善を認めました。Aと評価された主な項目は、「健康寿命の延伸」、「75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少」、「脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少」などで、アウトカムとなる項目においてA評価が目立ちました。
一方、D:悪化していると評価された項目としましては、「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少」や、「適正体重の子供の増加」など肥満に関わる項目、また休養、飲酒の領域においてもD評価が見られました。
各領域の中にもプロセス、アウトプット、アウトカムなど様々な段階の目標が混在しており、また目標の設定としましても、目標達成が比較的易しいと考えられる項目から、例えば理想として0%、100%を目標として掲げている項目など、目標達成が現実的に難しいだろうと考えられる項目まで様々ございまして、このまとめだけでは、全ては語れるものではないかと考えますが、現状このようにまとめとさせていただいております。
個人の生活習慣や行動が結果に反映されるような目標項目に関しましては、目標値に達した項目が少なく、今後、個人へのアプローチだけでなく、無関心層へのアプローチも含め、社会環境の整備やターゲットに応じた対策等、引き続き重点的に取り組んでいかなければならないと考えております。
また、指標設定に関しましては、指標間、領域間の関連も踏まえ、引き続きエビデンスに基づいた指標の検討が必要になるとも考えます。今回、新型コロナウイルス感染症の影響で、6項目が評価できなかったということも踏まえ、データソースやモニタリング方法についても検討していく必要があると考えられました。
106から109ページに53項目の評価をまとめてありますので、御覧いただければと思います。また、最後、110から112ページに、第4章部分のまとめのスライドを入れております。111ページ目、112ページ目のまとめ及び次期に向けての課題につきましては、2月の栄養部会の資料と同内容をパワーポイントのスライドとさせていただいたものになりますので、説明を割愛させていただきたいと思います。
以上、最終評価報告書案の内容の概略を説明させていただきました。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○辻部会長 どうもありがとうございました。
本審議事項につきましては、まず本日御欠席の諸岡委員より御意見を事前にいただいておりますので、事務局から御紹介をお願いします。
○齋藤栄養指導室長補佐 事務局でございます。日本栄養士会の諸岡委員よりコメントをお預かりしておりますので、代読をさせていただきます。
審議事項1について、次期プランの検討に当たっては、国としての将来ビジョンや具体的なアクションプランを示し、自治体や団体、住民の主体的な取組につなげる効果的な打ち出し方法について、さらなる議論を重ねていただきたい。特に、全ての国民が共に支え合い、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現を目指し、誰一人取り残さない視点から、社会経済的要因に伴う栄養格差の縮小をするため、保健部局と福祉部局や教育委員会等の他部局、職能団体等の民間、学術団体等とのさらなる連携による取組により、格差是正を進めていく必要がある。
最終評価において、栄養・食生活に関しては、全ライフコースにおいて様々な課題があり、次期プランにおいてはさらに健康無関心層を含め、自然に健康になれる食環境づくりを推進するための産官学の連携体制の構築が重要であると考える。厚生労働省において、健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブが立ち上がり、産官学と関係者の緊密な連携による取組が進められていることから、本会としてもイニシアチブに協力するとともに、食環境整備の成果を明らかにしていくための介入のエビデンス構築に向けて、企業と消費者をつなぐ仲介役としての取組に努めていく。
以上、日本栄養士会の諸岡委員からのコメントを代読させていただきました。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。どなたからでも結構ですので、挙手をお願いいたします。
まず津金委員、それから荒籾委員、お願いいたします。
○津金委員 3点ほど質問とコメントをさせていただきます。
まず10ページの、平均寿命の延びに比べて健康寿命がより延伸しているということで、がんとか循環器疾患の年齢調整死亡率が下がっているので、平均寿命が下がるんだろうということは予想できるんですけれども、より健康寿命が延びた理由、例えば要介護の原因になる脳卒中の発症率がより下がっているのかとか、そういうことの分析みたいなことが行われていたら、それを教えていただければと思います。
それから2点目は、がんの検診の受診率に関して、肺がんが50%を超してA評価になっていて、これは男性なんですけれども、この間、東京都のがん対策推進協議会でも同じように、肺がんの受診率が上がったと。それは、特定健診と組み合わせてやったために、非常に上がったと。要するに、受けやすい環境を設定することによって上がったと分析されていたんですけれども、日本全国においても同じように、そういうことで肺がんの検診受診率が特に上がったのか。
それから、そのときちょっと問題になっていたのは、逆に受診率が上がると、精検受診に対応できなくて、精検受診率が下がったという問題点も指摘されていて、今後、次の目標で、検診受診率だけ上げてもしようがないので、精検受診率の向上とのセットで考えていく必要があるのではないかということです。
それから最後は、食塩とか野菜・果物とか、これはなかなか、健康に良いからちゃんとやれと言っても、そう簡単に自分の努力でできるものじゃないし、健康意識が強い人は、野菜とか減塩食品を選ぶかもしれませんけれども、先ほど栄養士会の方がおっしゃったように、やはり環境から、さっきのがん検診の肺がんの受診率が上がったのも同様だと思うんですが、環境を整備することというのは、今回の第二次においても特出しはされていたんですけれども、あまりそこでの対策が見えなかったんじゃないかなと思っていて、やはり食生活を変えるとかは、本当に健康的な食品を流通させたりとか、自然に野菜を食べたりとか、食塩が減塩できたりとか、そういう環境整備の必要性がますます重要だと思いますので、次の目標においては、環境整備に関してもうちょっと具体的な対策を盛り込んで、設定していただければと考えます。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
多くの委員の先生方から御意見、御質問をいただきたいと思いますので、一問一答形式というよりは、まずいろいろお伺いしてから、事務局でお答えいただくことにしたいと思います。
では荒籾委員、お願いします。
○荒籾委員 健康日本21推進全国連絡協議会幹事の荒籾でございます。今回の報告書を拝見させていただきました。全体的にA・B評価が50%以上を占めているという中で、新型コロナウイルスによって6項目が調査不能という形になったということは、大変残念に思っております。
私が危惧しておりますのは、効果を上げてきた健康日本21(第二次)の活動が、新型コロナウイルスによって、国民の皆様が健康増進に向けた活動や、健康日本21を推進する各団体の活動に、今後影響が出てくるかといったことでございます。この辺りも今後、第三次に向けていろいろ検討が必要なのではないかなと感じました。
一つ要望ですが、健康日本21推進全国連絡協議会は、医療、保健、栄養、運動、医療や運動、健康に関する学会など、健康日本21(第二次)を推進するために、今現在約140団体が加盟して活動しております。当協議会として健康日本21(第二次)が掲げる目標の達成に、様々な活動を行ってまいりましたので、可能でございましたら、その協議会の活動の報告、概要なども、今回の報告書の巻末にでも付け加えさせていただければ幸いでございます。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、田中委員、その後、松岡委員、井伊委員という順番でお願いします。
○田中委員 日本食生活協会、田中でございます。今、荒籾委員からもお話がありましたように、国民栄養調査の影響で、53項目中6項目できなかったというところで、我々からの食生活を中心とした団体からの要望でもございますが、この2年間の国民栄養調査の影響というのは、コロナ禍で外出自粛による習慣化、これがとても影響があると思いますので、ぜひ今年度は絶対にやっていただきたいというところでございます。次々とコロナの波は来ておりますけれども、こちらとしては御要望ということでお伝えしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 松岡委員、お願いします。
○松岡委員 国保中央会の松岡でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私ども国保中央会におきましては、国保保険者の保健事業などの推進などを御支援させていただいておりますが、健康日本21というのは保険者の保健事業を進める上でも重要な指針でありますので、今回の調査結果が今後の事業を展開していく上で参考になればと思っておりますし、よりよいものになればと思います。
その中で、特に一つ気がついたのは、105ページのところで、メタボリックシンドロームの該当者などの減少というのが、悪化している項目に挙げられています。保険者の事業として、特定健診とか特定保健指導に力を入れてきておりますけれども、実施率は若干伸びてはきておりますが、そこら辺の効果が出てくるといったところが、なかなかできていないといったところがございますので、その辺は次回進めていく上で、どうしていくのかといったことであろうかと思っております。
それから、幾つか御要望でございますけれども、医療保険者の保健事業との協働の明確化といったところを、今回、医療保険者の方では、健康日本21で掲げられているようなことを進めておりますので、そこと連携をしていくという取組の推進についても明確化を、次回の健康日本21の改定におきまして、挙げていただければということでございます。
それから、次がフレイル対策でございますが、これも52ページ辺りにロコモティブシンドロームといったところがございますけれども、そのほかにも高齢者の健康を考える上で、加齢に伴うフレイルと生活習慣病が相互に関連して、疾病の重症化につながるということが明らかになってきております。そういった中で、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施を、保険者の事業として進めてきております。そういったこともございますので、フレイル対策、生活習慣病の重症化予防につながるような新たな取組といったことも、今後指標を考える上でお考えいただければと思います。
それから最後に、保険者の事業として、保険局サイドで今、医療費適正化計画の改定などをこれから進めていくということにしておりますので、そことの連動や、あるいは保険者のデータヘルス計画にも関わってまいりますので、そこら辺も意識して進めていっていただければと思います。
以上でございます。どうもありがとうございました。
○辻部会長 ありがとうございます。
では引き続きまして、井伊委員、それから武見委員、祖父江委員の順番でお願いします。
○井伊委員 ありがとうございます。全体の評価の報告としては、よく分かりました。随分整理されていると思っております。
D項目についてでありますが、改善しなかった、悪化しているということで、肥満の関連が多いなというのが印象なのですが、特に次世代の健康の、肥満傾向にある子供の割合の減少がD、ちょっと前の中間評価でもDでした。そして、取組としては、健やか親子21でも指標を設定し、今後、一緒になって取り組んでいくということですけれども、連携をどうなさるのかが、この資料だけではよく分からないというのが一つです。
それから、一体となってという記載になっていますが、同じことをもう一回繰り返していくのか、このことについては強化をする方向ではないのか、お尋ねしたいです。強化すべきと思いますので、意見として申し上げたいと思います。
それから、すみません、私は本日、中座をさせていただきます。日本看護協会といたしまして、審議事項の5の地域保健法の課題等についても意見を出させていただいておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○辻部会長 では武見委員、お願いします。
○武見委員 ありがとうございます。報告書の内容について、基本的に、大変な作業をありがとうございました。
一つは、目標間の関連ということを、ある程度各評価のところで書かれているんですけれども、特に健康日本21(第二次)では、個人の行動変容に関する目標と環境整備を両側面からとしたことが特徴だと思うんですね。その個人の行動変容の部分と環境との目標の関連が、図の中で説明されている身体活動とか栄養とか、示されていたと思うんですけれども、そこの部分をもう少し、関係性を書いていただくことが重要かなと思います。
それはなぜかといえば、環境整備として、今後どういうことをやっていく必要があるかという話ともつながるからだと思うんですね。環境整備はポピュレーションアプローチなわけですけれども、例えば情報提供をたくさんやるような普及啓発だけでは、効果には限界があることは分かっているわけで、今後の次のプランで環境整備として、その内容としてどんなものが必要なのかを考えるためにも、今申し上げたような行動変容と環境との関連性みたいなところを、もう少し深めていただけるよいことができるならば、お願いしたいと思います。
それから、もう一つですけれども、今日の御報告ではあまりなかったんですが、次期プランに向けてというところで、報告書の461ページから462ページのところで、ちょうど今、これからどんな取組が必要かで、環境整備の取組ももちろん必要なんですけれども、エビデンスに基づいた施策、アクションプランについて検討していく必要があると書かれているんですね。どんな取組が必要かを目標とつなげて考えていくことは必要なんですけれども、それが、全体が示される一つのロジックモデルを出していって考えるということの必要性を、この次期プランに向けてのところに書き込んでいただきたいなと思います。
つまり、どんな取組が必要かというアクションプランと、それによってどんなアウトプットが来て、アウトカムがつながるという、ずっとそのつながりが全体で見えるもの。現在のフレームワーク、健康日本21(第二次)のフレームワークは、目標間のところはあるんですけれども、その具体的な取組の部分は、まだほとんど書き込めていないフレームなんですよね。ですから、次の段階はそこをぜひ発展していただきたいので、そういうことを今後の課題として、今回の最終評価の報告書に入れておいていただく必要があるかなと思いますので、ぜひ御検討をお願いいたします。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
では、祖父江委員、黒瀨委員、本田委員、それから清田委員の順番でお願いします。
○祖父江委員 祖父江です。今回、53項目というのを最終評価に上げて、その評点をつけているわけですけれども、2019年でのOECDのレポートで、53項目というのはちょっと多いんじゃないかという指摘もあったりします。必ずしも多いとは思わないんですけれども、フラットな形で提示されているというのは、やや理解しにくい。今、武見委員もおっしゃったように、項目間の構造化というところ、あるいは、最終アウトカムに当たるのか、中間なのか、初期なのかという、レベルが違うものが混在しているというのが、やや分かりにくいんですね。
ですから、今後こういう最終評価の際に、もう少し項目をレベルに分ける、構造化するということを提示すると、結果の理解が深まるんじゃないかなと思います。
それからもう一つ、私も中途で退席しますので、ここで言うべきかは分からないんですけれども、評価プロセスの中に一般の方々の声を拾う仕組みというのが、あまり内蔵されていないということがあるかと思います。私はがん計画のほうには関わっているんですけれども、がん計画のほうは、がん対策推進協議会に患者さんの代表の方が入っていますし、いろいろなところに患者さんの声を聞くという仕組みが内蔵されているんですね。
それは、がんの分野の場合は医療というのが中心になりますので、患者さんが組織化されていて、声を拾い上げやすいというところもあるかもしれません。ただ、一般の方の声というのも重要ですし、それを拾い上げるような何らかの仕組みは、単にパブコメというよりは、何か研究班を組織して、きちんと声を拾い上げるような研究をするとか、そういった取組が必要なんじゃないかなと思います。
以上です。
○辻部会長 では、黒瀨委員、お願いします。
○黒瀨委員 ありがとうございます。まず、この最終報告書案につきまして、大変丁寧に御説明いただいてありがとうございました。
私から、がんに関して少しお話をさせていただきたいと思うんですけれども、まず、津金委員も先ほど述べられていたように、がんの検診の受診率を上げることももちろん大切なんですが、それに伴って、精密検査の受診率もきちんと上げていかなきゃいけないというところは大切なところだと思います。
その中で、17ページの下のほうにも書いてありますけれども、効果的な受診勧奨、特に職域とか、あるいはかかりつけ医の問題が出ていますが、自治体の検診にとってはかかりつけ医、企業の検診にとっては産業医といったところの意識づけ、あるいは先生方からの受診勧奨も非常に大切だと思います。
その中で、日本医師会としましても、かかりつけ医機能に係る研修ですとか、あるいは産業医研修会等を通して、さらにレベルアップを図っていきたいと考えておりますけれども、またその中で、かかりつけ医や産業医が受診勧奨しやすくする、あるいは見落とさないようにするためには、例えばオンライン資格確認等を通したPHR機能を使って、きちんと受診の状況を確認する、あるいは精密検査を受けていない方の確認をするということが、きちんとできるようなシステムづくりというのも、目標の中の視点の一つに入れていただければと思います。
また、今後の目標としましては、例えばスマホ等を使ったプッシュ型の受診勧奨というものも、PHR機能と連動させて行っていけるような、そういった仕組みづくりも大切なのかなと感じました。
以上でございます。ありがとうございました。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、本田委員、お願いします。
○本田委員 本田でございます。大変なデータのまとめ作業、また御報告ありがとうございました。
私が大変興味を持ったのは、平均寿命と健康寿命の、健康寿命が延びているという、最大のアウトカムかもしれませんけれども、そこが延びているということは、大変すばらしいことだと思ったんですが、気になったこととして、女性の場合、特に格差が広がっているという御報告がありましたけれども、この背景というか、延びた県がすごく延びたことによる格差の広がりだけなのか、また、先ほど祖父江委員がおっしゃって、私もそうだとすごく思ったんですけれども、こういうことが、ほかの項目とすごく関連づけて、こういう結果ができているのかという関係性、そういうものが私には読み取れなかったもので、そういうことが何かしら背景要因として説明できることがあるのか、それとも今回はこういうそれぞれが出ているのかということも、伺いたいと思いました。
同時に、肥満の傾向とか、子供の肥満とか、そういうことが今後関係してくるのかとか、そういうことも見えるように、今後の出し方としていくことも必要なのかなと感じました。
もう一つだけ、睡眠、休養が十分取れていないというところがDということで、働く世代という意味ではとても関心を持っているんですけれども、これは男性も女性もかもしれませんが、仕事のこととかを挙げておられましたけれども、取られたデータの部分が、コロナによるテレワークとか、そういうものの影響があったのかとか、その辺の分析というのも今後、関係あるのかどうか、今後の働き方を考える上でとても気になる項目だなと感じましたので、何かありましたら御教示いただけたらと思います。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、清田委員、お願いします。
○清田委員 清田です。よろしくお願いします。全国保健師長会から参加させていただいております。私からは2点、御意見を申し上げさせていただきます。
まず1点目は、領域の中の5点目の栄養・食生活等の生活習慣及び社会環境の改善に関する目標に関することなんですけれども、これに関しては、評価がAが少ないということで、今後の努力対象という説明だったと思います。
まず、アウトカム的なことに対してはA評価が多かったということに対して、医療の効果と説明がありましたが、納得するところでございまして、といいますのは、健康日本21の目標が設定されまして、保健師全体的に、健診の結果、またハイリスク対象者へのアプローチということで非常に熱心にやりまして、それによって医療への結びつき、適正な医療につなげていくということを、全国的にみんなで頑張ってきたところだと思います。対象者が明確でございますので、非常に結果が出やすかった。そういうことで、アウトカムとしての結果も出てきたのかなと思います。
一方で、地域における各個人の健康づくりで、個人だけではなかなか続かない中で、いかにポピュレーションアプローチ、ヘルスプロモーションの考え方を入れて、住民主体の健康づくり、地域の中の健康づくりまでに発展させていくかというところが、まだまだ努力が足りなかったところが、領域の5つ目のところで評価が上がらなかったことだと感じておりますので、今後さらに地域における健康づくりや、住民主体の健康づくり、ポピュレーションアプローチ、ヘルスプロモーションの重要性ということを、今後の取組の課題にぜひ入れていただきたいというのが1点目でございます。
2点目は次世代の健康でございますけれども、課題の中にも、子供の健康問題の解析と対策ということが挙がっております。子供の肥満、そして20代の肥満というのがありますが、赤ちゃんの頃から引き続き、健康というのは切れ目なく見ていくわけなんですけれども、今ここで感じますのは、小学生・中学生の健診の在り方があるのではないかなということを思っています。
ある自治体では、小・中学生に血液検査をして、糖尿病、そしてコレステロールということを、家族と共に取り組み始めているというところもございまして、若い頃からしっかりと子供の体のことを、親と共に食生活を含めて対応しますと、20代、30代の健康にもつながってくる、肥満対処にもつながると思いますので、改めて次世代の健康、小・中学生の健診の在り方ということは、課題の一つ、取り組むべきことだと感じております。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。
では引き続きまして、萩委員、その後、長津委員、お願いします。
○萩委員 ありがとうございます。東海大学の萩と申します。おまとめありがとうございました。私からは、身体活動・運動に焦点を当ててお話させていただきたいと思います。
ずっと運動、歩数が、前回の評価ではDになっておりましたので、今回もDではないかと大変心配していたんですけれども、総合評価としてCになったと。これはもしかすると、コロナ禍の影響で動かないことに対して、まずいというようなことがあったのかどうか、その辺りは分かりませんけれども、先ほど武見委員がおっしゃっておりました、例えば積極的に運動をするような環境を整えた自治体が、そういうところで歩数が上がったのかどうなのかという結果を出していただければ、環境と個人のライフスタイルとの関係が見えてくるような気がいたします。
今回の結果では、20歳代から64歳の女性というところがなかなか上がってこないということが明確になってまいりました。その辺りはかなりしっかりと背景を踏まえてアプローチしないと、なかなか上がってこないところだと思います。
ちょっとお願いなんですけれども、今回、アクティブガイドも改定されて、また新たなものになるかと思うんですが、そのアクティブガイドの中に、具体的にどのようにすれば体を動かすことができるのか、あるいは、こういうコロナ禍とか、非常に気候が悪くて雨が多いとか、そういう環境の中で、どうしても運動というのは、やらなくてもいいようになってしまっておりますので、そういうところでどんな工夫があるかということをきちんと示していかないと、ガイドにならないんじゃないかなと思いますので、その辺の細かいところも今後は検討していただけるといいかなと思います。
以上です。ありがとうございました。
○辻部会長 ありがとうございました。
では長津委員、お願いします。
○長津委員 長津でございます。御説明の中にもありましたとおり、医療の進歩で数字が伸びているというところは少なからずある。少なからずというか、伸びているところは、医療の進歩が必ずその横にあるように見えています。
それが今後の評価として、医療の進化があった、医療は今後進歩し続けるものですので、それがあったからなのか、あるいは社会環境が整備されたものなのか、あるいは国民の行動変容がそれに寄与したのかというところは、うまく整理して考えないと、結果だけ見ると、どうしてもAがこれなのか、Bがこれなのか、あるいは評価できなかったのかという、そこだけに注目されますと、なかなかやはり、本当は国民の行動変容というのが、あるいは社会の整備というのが大変重要なところだと思いますので、そこを切り分けて考えられるような今後の方法としまして、分析があるとよいのかなと思います。
そして、国民のセルフメディケーションがどこまで浸透するのかというところも、極めて重要な今後の課題だと思いますので、そこをどのように今後見ていくのかなというところにつなげて、また次回の施策につなげていただきたいなと感じました。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。
今、植木委員と尾﨑委員から手が挙がっていますけれども、このお二人で取りあえず締めさせていただいて、残る時間は事務局からフィードバックをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
では、植木委員からお願いいたします。
○植木委員 植木でございます。私も、何人かの委員から御指摘がございました、男性では20歳から60歳まで、あるいは小児の肥満が増えている、あるいは女性でも40歳から60歳までは増えている点が気になります。厚生労働省からの御説明では、特定健診の受診率が上がったことも一つの要因ではないかともおっしゃっていましたが、全年齢で肥満の増加があるということを考えると、必ずしもそれが要因のようには思えませんので、何人かの委員から御指摘がございましたように、何がこれを招いているのか、社会環境なのか、あるいは栄養や歩数についてはそれほど大きな変化があったようには思えないので、少し深掘りした分析が必要かと思います。
今回の結果の解析は令和元年度ということなので、コロナの影響は全くないわけですけれども、次期の解析においては、コロナの影響のインパクトは非常に強いだろうと思いますので、これまでの分析手法でいいのかどうかということも慎重に考えておく必要があって、そのような質問項目というのも、あるいは調査項目も、恐らく取り入れられるのだろうとは思いますけれども、ぜひそういうところも勘案してお願いできればと思います。
以上です。
○辻部会長 どうぞ、尾﨑委員、お願いします。
○尾﨑委員 よろしくお願いいたします。大変膨大なデータをおまとめいただきまして、ありがとうございました。
休養、睡眠のところに限ってお話させていただきますと、先ほど御説明がありましたように、男性では働く世代、女性では育児、若年世代ではスマホといった御説明がございましたが、今回D評価、悪化しているということを、さらに次に改善に生かすためには、先生方がおっしゃっておりますように、個人の問題なのか、それとも社会環境の問題なのかというところを、より深く精査していく必要があろうかと思います。そのためには、もう少し詳しいデータが必要なのではないかと思っています。
特に睡眠の場合は、心の健康、体の健康、全てに多岐にわたっておりますので、その辺りの解析が必要なのかなと思うのと、あと最近のデータでは、不眠が孤立感、孤独感を増加させて、それが鬱につながっているといったデータも出ております。ソーシャルサポートが直接鬱に関係しているのももちろんあるんですけれども、孤立感を介在して鬱を低減させるといった研究結果も出ておりますので、そうしますと、例えば不眠があったとしても、孤立感を解消させるような何らかの関わりも、社会的に睡眠、個人の問題だけではなく、そういったアプローチも可能になってくるかと思いますので、今のは一つの研究の一つの例でございますが、そういった解析ができるとよろしいかなと思っております。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から大変貴重な御意見、御質問をいただきましたので、事務局からフィードバックをお願いしたいと思いますが、その前に一つだけ、健康寿命の延伸していることの要因、あるいは健康寿命の都道府県格差が広がっていることの要因は何だということが、津金先生、それから本田委員からございましたので、少しこれについてだけ、私から発言させていただきたいと思います。
まず最初に、健康寿命が延びている理由として、津金委員御指摘のように、脳血管疾患の死亡率が減っているということは非常に大きく効いていると思います。恐らく脳血管疾患に関しましては、がんと違って疾病登録がないので罹患状況は分かりませんけれども、恐らく罹患率も減っていると考えていいと思いますし、臨床の先生方の話としては、軽症化してきているのかなというお話も伺っております。
今、介護保険の原因疾患のトップが、これまでは長らく脳血管疾患だったんですが、最近認知症がトップに替わりました。そうしますと、脳血管疾患の好発年齢と認知症の好発年齢は、当然認知症のほうが発症年齢は遅くなっていますので、その分だけ健康寿命が延びるのは当然かなと思っています。
それから、2つ目といたしましては喫煙の、日本でも喫煙率が低下して、それによって後ればせながら肺がんが減ってきたりとか、幾つか喫煙率減少に伴う効果が出ておりますけれども、恐らく健康寿命に関しても、そのような喫煙率減少の影響、効果が出てきているのかなと推察しております。
3つ目なんですが、ここで言います健康寿命というのは、単に要介護というだけではなくて、社会生活を営む機能、通勤・通学、家事とか、スポーツ、運動までできるというところまで幅広に取っておりますので、そうして考えますと、近年、高齢者の社会参加が非常に増えてきているという辺りも、健康寿命の延伸の大きな理由かなと思っております。
特にこれは2016年の都道府県比較と、2019年の都道府県比較を比べてみますと、2019年にランキングが相当上がったところが幾つかあるんですけれども、そこは軒並み、高齢者の通いの場の参加率が高いとか、そういった高齢者の社会参加が多いところが、2016年から2019年までの3年間の間で健康寿命が顕著に延びているというところがありますので、恐らくそういった3点は堅いかなと考えております。
それから、都道府県格差でありますが、女性の健康寿命の格差なんですが、1位と47位を比べると、確かに差は広がっているんですね。ところが、第2位と第46位の県の差を見ると、実は縮まっておりまして、どこを基準にするかで大分違ってきたりするんですね。
一方、もう一つは、最小・最大の差だけでは不十分なので、ばらつきの大きさを見ようということで、標準偏差を見る統計的な方法があるんですけれども、それで見ますと、3年ごとに測定していますが、男性はこの10年間、3回、4回の調査をやっておりますが、その都度標準偏差、ばらつきは、男性では減ってきているんですが、女性では拡大とは言いませんけれども、どちらかといいますと、横ばいの傾向が強いと言うべきかなというところがあります。
そういった意味で、1位と47位の差が女性では広がっているという話なんですが、分布全体として見ても男女差があって、男性は都道府県の格差が減っている、女性は横ばい、むしろ拡大傾向というところと押さえていいのかなと思いますが、その理由、要因についてまでは、まだ分析し切れていないというところが現状であります。
では、それ以外につきまして、事務局からフィードバックをお願いいたします。
○寺井健康課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
まず、全体を通しまして、多くの先生方からロジックモデル、各項目間の関係性、要因分析などにつきまして御意見をいただきました。健康日本21(第二次)では目標項目間の関係性も考慮しながら目標設定の考え方を整理して、目標や指標を設定してきたわけですが、最終評価におきましては、関係性を分析ができたところも、十分に分析できていなかったところ、分析が難しかったところもございました。また先ほど申し上げましたように、医療の進歩など、もともと想定していなかった影響といいますか、計算に入れていなかった影響などもあり、アウトカムとなる目標はA評価、ベースにある目標はBやC評価というように乖離した結果になったものもございました。
今後も引き続き、ロジックモデル等を考慮しながら、目標項目、また、複数の先生方からご意見いただきましたアクションプランや目標を達成するための具体的な対策につきましても、エビデンスに基づいて検討していきたいと考えております。
53項目の指標につきまして、構造化するような形で整理するのがいいのではないかという御意見も頂きました。今後、次期プランにおいて指標をどのように設定していくかにつきましては、次期プラン検討のための委員会の中でも改めて検討していくことになろうかと思っております。
また、保険者との連携や、適正化計画、健やか親子21等関係する他計画との連携、教育部門等他部局との連携など、様々な連携につきましても御意見もいただきました点、課題と認識しております。まだ十分に連携できていないところもございまして、具体的にどのように連携していけばいいのか等、連携につきましては引き続きの課題として検討していきたいと思っております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響に関するご質問につきまして、今回は令和元年度までの、コロナの影響を受ける前のデータを用いての最終評価になっております。健康日本21(第二次)が約10年間という長い計画期間でのプランですので、まずはコロナの影響を受ける前までのデータで評価しようということと、直近の調査が中止となったためにデータが取れなかったという要因もございまして、そのようにいたしました。今後、次期プランの検討に向けましては、コロナの影響を踏まえた健康づくりの在り方や、調査の在り方についても検討していかないといけないと思いますので、新型コロナウイルス感染症の影響等も踏まえて検討していきたいと考えております。
その他の御質問に関しまして、肺がんの受診率が他のがん種と比べて増えているのではという点、肺がんに限った要因分析まではできていないところですが、がん検診受診率を上げる対策としまして、特定健診と一緒に受診すること等で受診率を上げるといった取組は行われているところですので、肺がんで特にどうかということは申し上げられないところですが、そうした取り組みの影響もあって検診受診率が伸びているということもあるだろうと考えます。
また、津金先生、黒瀨先生から、精検受診率が下がったということもあり、今後は検診受診率と精密検査の受診率を合わせて対策を検討していく必要があるのではないかという御意見をいただきました。がん対策に関しましては、がん対策推進基本計画もございますので、今後、がん計画等とも連携を取りながら、対策、指標等を検討していきたいと思います。
基本的な方向の5つ目の生活習慣の各領域の各目標(栄養・食生活、肥満、歩数、睡眠等)等に関しまして、個人の意識変容、個人へのアプローチだけではなかなか難しい、十分ではない、社会環境整備(に関する検討)やポピュレーションアプローチも必要ではないかという御意見もいくつか頂きました。今後、社会環境の整備と個人へのアプローチ、両方含めて、無関心層へのアプローチ等も検討しながら、目標や対策を考えていくところかと考えております。
そのほか、次期に向けて様々な御意見御要望をいただきまして、ありがとうございました。最終評価の中に十分に書き込めていないところ、分析しきれなかった部分も多々あるかと思いますが、次期プランを作成していく中で頂いたご意見を踏まえて検討していければと思います。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、大分時間も迫ってまいりましたので、まとめていきたいと思いますが、委員の先生方から大変貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。大筋としては、これを最終案としてお認めいただけたかなと思いますが、今、大変貴重な御意見もいただきましたので、その御意見も踏まえまして、事務局とも相談して、修正させていただきたいと思っております。
つきましては、その修正の内容につきましては、部会長の私に御一任いただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○辻部会長 ありがとうございます。では、お認めいただいたということにしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、議題の2に移ります。審議事項2につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○小嶺歯科口腔保健推進室長 事務局でございます。資料の2-1について御説明をさせていただきます。
前回2月2日の本部会では、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項に関しまして、歯科口腔保健の推進に関する専門委員会で最終評価の検討を進めている旨、御報告をさせていただきました。その後、6月24日に専門委員会で報告書案を取りまとめましたので、本日御審議いただければと思います。
それでは、6ページをお開きください。最終評価の目的と方法をお示ししております。中段にございますように、目標値に対する実績値の評価等を行っております。
8ページを御覧いただきまして、実績値の評価につきましては、健康日本21(第二次)と同じように、AからEの5段階の評価を行っております。本日は、まず評価の結果を御説明させていただきまして、最後にまとめて課題を簡単に御説明させていただきたいと思います。
では、10ページを御覧ください。最終評価の結果でございます。
結果の概要ですけれども、基本的事項は大きく5つの目標があり、うち4つの目標において具体的指標を定めております。具体的指標は全19項目ございまして、今回の結果といたしましては、A評価が2項目、B評価が6項目、うちB*が2項目、C評価が1項目、D評価が1項目、E評価が9項目となっております。E評価の項目につきましては、いずれも新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、データソースとなる調査が中止となったために評価ができなかった項目となっております。各目標、それから各項目の評価結果は、表の2-2に一覧でお示ししております。
12ページを御覧ください。ここから各目標の評価についてまとめております。
まず1番目の、口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の縮小につきましては、具体的な目標・計画は設定しておらず、各目標、各項目のそれぞれを達成することによって実現を目指すこととされております。
同じページ真ん中の2番目、歯科疾患の予防のところを御覧ください。歯科疾患の予防は11項目ありますが、8項目でE評価、評価困難となっております。そのため、目標全体の総合評価につきましても、E評価となっております。評価の内訳は、中段の表にお示ししているとおりでございます。
1番目、まず乳幼児期の3歳児でう蝕のない者の割合の増加に関しましては、直近値で88.1%と改善傾向にあり、目標値には達していないので、B評価となりました。
続きまして、13ページを御覧ください。学齢期ですけれども、12歳児でう蝕のない者の割合の増加につきましては、直近値で68.2%、目標値65%に達していることから、A評価となりました。
14ページ下段を御覧ください。成人期については3項目ございます。このうち20歳代における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少のみが評価可能でした。こちらは直近値が21.1%ということで、目標値25%を下回っておりますので、A評価となりました。
続きまして、17ページを御覧ください。40歳で喪失歯のない者の割合の増加ですけれども、こちらはE評価でしたが、国民健康・栄養調査において、自記式の回答による歯の本数の調査結果が18ページの図の12のとおり得られておりますので、こちらで参考指標について検討を行いました。その結果、統計学的に有意な変化は見られないということで、参考指標はC、変わらないとさせていただきました。
続きまして、19ページを御覧ください。4番目、高齢期ですけれども、4項目ございますが、いずれもE評価でした。
21ページになりますけれども、60歳で24歯以上自分の歯を有する者の割合の増加、23ページにお示ししております80歳で20歯以上自分の歯を有する者の割合の増加につきましては、先ほどと同様に国民健康・栄養調査の結果を用いて参考指標の分析を行い、いずれも増加の傾向が見られるということで、参考指標はBとさせていただきました。
少し飛びまして、32ページを御覧ください。次に、生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上に関する目標でございます。この目標は2項目あり、目標全体の総合評価はD評価となりました。
乳幼児期及び学齢期の指標である、3歳児で不正咬合等が認められる者の割合の減少につきましては、直近値が14%ということで目標値に達していないことから、D評価となりました。
続いて33ページ、成人期及び高齢期の指標である、60歳代における咀嚼良好者の割合の増加につきましては、ベースライン時から同程度で推移しており、C評価となりました。
続いて、36ページを御覧ください。定期的に歯科検診または歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健になりますけれども、この目標も2項目ございます。目標全体の総合評価はB*となりました。
障害者支援施設等での定期的な歯科検診実施率の増加、37ページの介護老人保健施設等での定期的な歯科検診実施率の増加、いずれも目標値には達しませんでしたけれども、改善傾向が見られており、B評価となりました。
続いて、40ページを御覧ください。歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備の目標ですけれども、この目標は全部で4項目ございます。目標全体の総合評価はB評価となりました。
過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加については、直近値を得ることができず、E評価となりましたが、残り3項目、43ページにお示ししている、3歳児でう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加、それから44ページにお示ししている、12歳児の一人平均う歯数が1歯未満である都道府県の増加、それから45ページにお示ししている、歯科口腔保健の推進に関する条例を制定している都道府県の増加は、いずれも改善傾向が認められ、B評価となりました。
なお、この3項目はいずれも中間評価時点で当初の目標を達成していたため、中間評価の際に、目標値を47の全都道府県と再設定した項目となっております。
49ページに総括をまとめさせていただいております。上の2パラ目、3パラ目の辺りを御覧いただければと思いますが、今回特に改善傾向が認められたのは、定期的に歯科検診や歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科口腔保健、それから、歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備の領域で、歯科疾患の予防に関しましては、評価が可能であったう蝕に関連する乳幼児期・学齢期に関する項目ですとか、若年層の歯周病に関して改善傾向が認められております。
最後、52ページ以降に、次期基本的事項に向けての課題等をまとめさせていただいております。課題の主な部分を御紹介させていただきます。
54ページを御覧ください。総論の3つ目については、現在の目標について、次期ではどのように考えていくかということを書かせていただいております。
それから5つ目、今回、データソースに関する課題のところで、新型コロナウイルス感染拡大によって調査ができず、評価困難が多数あったことを踏まえて、今後どのように考えていくかということも検討課題と考えております。
続いて各論ですけれども、各論の丸2つ目、う蝕対策については、地域格差や社会経済因子による罹患状況の個人差などをどのように考えていくか。
丸の3つ目、歯周病対策については、特に40歳代以降について、中間評価において悪化傾向で、直近評価はできませんでしたけれども、あまり改善されていないと考えられている状況を踏まえて、どのような対策が必要か。
丸の5つ目、口腔機能について、今回いずれの指標も改善をしていなかったという状況を踏まえ、今後どのような評価指標や対策が考えられるか。
それから次のページ、55ページに行きまして、丸の2つ目、定期的に歯科検診などを受けることが困難な方に対しては、今後、在宅で療養する方なども含め、歯科保健医療の状況を把握するためにどのような方法が考えられるか。
そして最後、丸の3つ目になりますけれども、生涯を通じて歯科健診を受診することが重要であるという意識が高まる一方で、若年層においては受診率が低いということも指摘をされております。そういったことを踏まえて、受診率の向上ですとか、目標の設定などについてどのように考えるかといったことを今後の課題として、これらの課題を踏まえて、次期の基本的事項の検討を行う必要があると考えております。
事務局からは以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
では、この件につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
山本委員、お願いします。
○山本委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の山本でございます。事務局の方々、そして福田先生には、非常にデータソースがない中を、よくまとめていただいたということで、非常に感謝をしている次第でございます。
その中で、4ページの中間評価の結果の一覧を見ていただくと分かるんですが、先ほど小嶺室長からも言われましたが、学童期あるいは乳幼児期といった時期においては、歯科口腔保健は非常に推進をされているということが分かりますが、問題が大きなところは成人期、特に成人期の歯周疾患をどのように今後考えていくかということだと思います。
そこで、次期の目標を立てる際には、ぜひ現在行われている歯周疾患検診の改善を見越した形で、目標をつくっていただければ大変ありがたいと私どもは思っております。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、まとめて事務局からお答えいただくということにして、委員の皆様から続けていただきたいと思います。友岡委員、それから長津委員、お願いします。
○友岡委員 日本大学の友岡でございます。55ページにあります一番下から2つ目の白丸なんですけれども、効果的な歯科口腔保健施策を進めるため、自治体と関係組織・関係機関が連携を深めると。これは、私なんかは情報とか、そういった法制について勉強していますと、どうしてもこういった連携に関しては、それぞれの自治体がこういうデータを処理したり、あるいは国との連携がうまくいかないという話をよく聞きます。
この場合が必ずしもそうだとは言えないんですけれども、自治体と国との連携というのは、比較的この場合は意識していると思うんですが、とりわけこういうビッグデータ、そして今後、きめ細かなテーマに沿った情報の集め方ということを考えた場合には、自治体間の連携というのが必要になってくるのではないかなと思います。
これは前回の会議の際も、若干同じような指摘をさせていただいたんですが、連携に関してもう少しきめ細かに、今後御対応いただきたいなということ、とりわけデータの処理とか、今後デジタル化の推進の過程の中で、この分野についても大変重要だと思いますので、その辺りについて御検討いただければと思います。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
では長津委員、お願いします。
○長津委員 恐れ入ります。今回の調査結果というよりは、むしろ今後のことなんですけれども、私が個人的に考えるに、歯科の領域というのは、歯科医師の先生へのアクセスが悪いところにお住まいの方というのは、なかなか手当てがつかないところが多いと思うんです。
だから、国民全体を分母に取ると、この調査でもいいのかもしれないんですけれども、日本の国土全体、その面積を分母に取るとすると、人口密度の薄いところの方々に対して、どのような歯科の領域での本施策が届くのかというところも、これはこの調査の本質とずれるのかもしれないんですけれども、ただし、離島・僻地とは言いませんが、我々で言えば、私は薬剤師ですので、薬剤師サービスが提供できにくい地域。ただ、歯科医師の先生方というのは、本当に患者さんの目の前に行かないとうまくいかないものですから、そこは今後考えていくべきところなのかなというイメージは持って、調査結果を見ていました。
参考までに、以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかに先生方から何か御質問、御意見ございますか。
福田先生、何かございますでしょうか。よろしいですか。
○福田委員 大丈夫です。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかにございませんか。よろしいですか。
では、事務局小嶺室長、今の先生方の御質問、御意見にフィードバックをお願いします。
○小嶺歯科口腔保健推進室長 事務局でございます。御意見ありがとうございました。
山本委員からいただきました成人期の対策について、現在、歯周疾患検診の健康診査票の見直しの議論を、歯周病対策ワーキングで行っているところですので、そちらでの議論も踏まえて検討してまいりたいと思います。
それから、友岡委員からいただきましたデータの扱いにつきまして、御指摘のとおり、今回、歯科疾患実態調査が行えないことで、いろいろそのデータが得られずに、評価に苦労した点もありました。それを踏まえると、自治体間のデータの連携といったことも、今後課題になっていくと思いますので、こちらもまた検討していきたいと思っております。
長津委員からいただきました、歯科医師へのアクセスが悪いところで対応が悪くなっていくのではないかということに関しましても、まさにおっしゃるとおりかと思っております。今回、総じて見ていくと改善はしているものの、地域間の差、さらに都道府県の中での差というのは、今後さらに見ていくべきだろうということは、歯科口腔保健に関する専門委員会でも出てきましたので、検討していきたいと思います。
御意見いただき、ありがとうございました。事務局からは以上でございます。
○辻部会長 尾﨑委員、どうぞ。
○尾﨑委員 今、御説明いただいた後で恐縮なんですけれども、在宅看護、訪問看護の立場から発言させていただきますと、実は訪問看護師の方々が、あまり歯科のことに関しては関心が薄いかなと感じております。そして、在宅の利用者さんのところにも、歯科衛生士さんが行っていらっしゃるというところは非常に少なくて、そういった状況も考えますと、訪問看護師に対する歯科口腔保健の教育なども必要なのかなと思いました。
意見でございます。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 小嶺室長、いかがでしょうか。
○小嶺歯科口腔保健推進室長 御意見ありがとうございます。今回、考察の中でも書かせていただきましたけれども、今後、在宅療養されている方に対する歯科保健をどう提供していくかということは大きな課題ですので、そういった点で、訪問看護師の方との連携も非常に重要になると考えております。御意見ありがとうございました。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、審議事項2につきましては御了承いただいたものとさせていただきまして、形式的な修正につきましては、事務局とも相談の上、部会長の私に御一任いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○辻部会長 ありがとうございます。では、お認めいただいたということで、ありがとうございました。
では、次の議題に移ります。議題3であります。
審議事項3について、事務局から御説明をお願いします。
○山本健康課長補佐 事務局でございます。資料3に基づきまして、審議事項3について御説明を申し上げます。次期プラン策定に向けた検討の進め方でございます。
資料冒頭から御説明申し上げますと、1番、検討の方法でございますけれども、令和6年度から開始予定、次期プラン策定に向けた検討につきましては、第二次策定時から引き続きまして、栄養部会において行うこととするとしております。
2点目、また検討に当たりましては、健康日本21(第二次)において設定された各分野のほか、新たに設定すべき分野、評価手法などに係る具体的なデータ収集、あるいは指標の設定といった具体的あるいは専門的な作業が必要となってきますので、部会の下に専門委員会を別途新たに設置いたしまして、関係する分野の先生方に御参集いただき、栄養部会と連携しながら進めるということにさせていただければと考えております。
2番、検討内容でございますけれども、資料1-1で御説明申し上げました最終評価報告書の中にございます次期プランに向けての課題のところを中心に、検討を行うとしてございます。
スケジュールにつきましては、3ページ目で具体的に御説明申し上げます。
続きまして、2ページ目でございます。別紙1とありますけれども、次期プラン策定専門委員会の設置要綱のたたき台をお示ししてございます。
1番、設置の趣旨でございますけれども、生活習慣病の対策が喫緊の課題であるということを踏まえまして、平成12年から健康日本21を厚生労働省では開始し、25年からは第二次をスタートしたという旨を記載してございます。
こうした健康日本21(第二次)の評価の結果、あるいは国民の健康を取り巻く現状・課題といったものを踏まえまして、次期プランの策定に向けて専門委員会を設置するという旨、記載してございます。
2番、検討事項でございますけれども、次期プランに盛り込むべき目的や理念といった大きなところから、対象とすべき分野、評価指標、目標の在り方、あるいは国民健康づくり運動全体の推進方策といったことの検討ということとさせていただいております。
3番、構成でございますけれども、公衆衛生学、生活習慣病等に関する有識者から構成するとしておりまして、加えてでございますけれども、栄養部会の運営細則に基づきまして、委員及び委員長につきましては、栄養部会長が指名する旨、記載してございます。
続きまして、3ページ目でございます。スケジュールでございますけれども、本日第45回栄養部会で御説明申し上げております次期プラン策定に向けた検討の進め方を御了承いただけましたら、専門委員会を9月からキックオフしたいと考えてございます。9月から約1か月に1回のペースで開催いたしまして、3回程度開催した後、栄養部会に中間報告という形で、11月頃開催したいと考えてございます。
その後でございますが、約1か月に1回のペースで続けまして、年明け頃に専門委員会としてはプランの案をまとめまして、それを踏まえたものを栄養部会で、最終的な御審議を年度末にお願いしたいというところで考えてございます。年度末に最終審議いただきましたプランに基づきまして、来年度、2023年度、都道府県あるいは市町村が健康増進計画を策定し、実際のプラン、計画がスタートするのは2024年度という流れになろうかと考えてございます。
ここにも記載ございますけれども、専門委員会の前半は全体の方向性あるいは指標の検討といった内容、後半につきましてはプラン、基本方針そのものの文章をしっかり固めていくという流れを想定してございます。
簡単でございますが、資料3の説明は以上になります。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、本事項につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。
荒籾委員、どうぞ。
○荒籾委員 失礼いたします。次期国民健康づくり運動プランの策定に向けまして、私ども健康日本21推進全国連絡協議会では、新たなこの推進に伴う提言の素案というものを、今現在、検討中でございます。先ほどの審議事項1の審議で各先生からお話が出ました保険者との連携や、職種連携、健康日本21をより推進するために、C評価、D評価のところをB、Aにするためには、既存のそれぞれの専門領域の方々が努力するだけではなかなか難しいところも有るかと思いますので、多職種連携というものを主眼といたしまして、提言の素案を検討しております。
何とか提案内容を提出できるように進めてまいりますので、時期が来ましたら、こちらのほうも検討の材料にしていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○辻部会長 荒籾委員、どうぞよろしくお願いします。
では、津金委員、お願いします。
○津金委員 今回、例えばがんとか循環器とか糖尿病とか、疾患別にいろいろなワーキンググループみたいな感じで章立てされたりとかしていたんですけれども、先ほどいろいろな全体の関係という意味で、疾患別に対応するのもいいですが、疾患横断的にもうちょっと、あるいは今、コロナとかそういう感染症も含めて、いろいろな疾患横断的に健康寿命の延伸というか、そういうことを目指すには、どうするべきであるかという視点が必要と思います。
まさにがんセンターにいるときに、がんだけ予防してもしようがないなということを、つくづく前から思っていて、コホート研究をやるといろいろな病気が出てきますので、精神とか感染症も含めて、全体的に横連携ということで。病気別では、例えば糖尿病を予防しても、ほかの病気のリスクが上がるとか、そういうことも起こり得ちゃうので。そういうことが分かっているので、例えば6つのナショナルセンターが協力して、まさに植木先生がそこら辺の取りまとめをされていますけれども、そういう概念もぜひ次のプランにおいては取り込んでいただければと思っています。
6NCの中で、疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸に向けた提言とか、そういう試みをされていますので、私はもう離れていますけれども、逆に病気別の6NCだけじゃなくて、栄養の国立健康・栄養研究所とか、感染症の専門の国立感染症研究所とか、そういうところ、あるいは保健医療科学院とか、いろいろなところも全部総出で対応するようなプランニングを、ぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 ありがとうございます。
では米川委員、そして岡村委員、お願いします。
○米川委員 御説明どうもありがとうございました。
進め方には全く異存ございません。議題の1ですが、指標の検討の目標値の立て方については、全体の評価にも関わるところなので、専門委員会での討議でどのような議論をされるのか、考え方について、ぜひ説明をお願いしたいと思います。
具体例で申し上げると、特定健診と特定保健指導を一生懸命、健保組合等では進めています。、ですが、この取組が生活習慣病そのものの防止効果とマッチしないので、そのマッチしない状況で、より高い目標を設定すれば済むということではないと思います。
評価に結びつく施策と目標値については、全体を通して、ぜひこの専門委員会で注力いただきたいと、お願いいたします。
○辻部会長 ありがとうございます。
では、岡村委員、武見委員、それから福田委員ですね。その順番でお願いします。
○岡村委員 ありがとうございます。
これはスケジュールが非常にタイトだというのが見てとれておりまして、それで、評価指標をいつも何に設定するかというのが迷うところで、結局このタイムスケジュールだと、現在使える評価指標が何かというのをまず洗い出して、それで評価できるものを、まず設定する。どうしようもないやつは新しい評価指標を設けるという感じで進めざるを得なくて、例えば前に循環器のときなんかは、発症で見られたら予防の評価が見られるんですけれども、結局、死亡でしか見られないから、医療の進歩なのか、健康増進なのか、両方が混じった結果になってしまうという形になるんです。
ただ、スピード感的に、新しい指標をつくるというのがなかなか難しいので、ある程度限界を持った上でやらなきゃいけないかなというのが見てとれますので、評価指標の設定の仕方について考えながら、どうしても理想的なところに、まず計画をつくるのに行ってしまうんですけれども、評価できなかったら意味がないのでというところを、現実的にやっていかなきゃいけないかなというのを一番思ったところです。
以上です。
○辻部会長 では、武見委員、お願いします。
○武見委員 私はすごく事務的なお願いなんですけれども、結構全体的な指標とか、今のプランのお話は全体があって、次の部会ですよね。ですので、専門委員会は公開だと思いますので、いつ開かれるのかというのを部会のメンバーに情報をもし送っていただけたら、自分で探しに行っているのだと忘れちゃうので、そうすれば、私たちも途中のプロセスをよく把握しながら、次の部会で議論ができると思うので、これは事務局にお願いですけれども、ぜひ日程が決まったらお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。
○辻部会長 ありがとうございます。
では福田委員、お願いします。
○福田委員 ありがとうございます。先ほどの津金委員の意見に深く賛同するわけですけれども、分野横断的な検討の場というものを、ぜひ設けていただければと思っております。
それから、分野間における共通の指標というものが幾つかありそうです。共通の指標があると、より効果的に施策を進めやすいため、ぜひ設定できるよう、検討できる場を設けていただければと思っております。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
委員の皆様からの御質問、御意見が大体出回ったみたいですので、まとめまして、事務局からフィードバックをお願いします。
○山本健康課長補佐 ありがとうございます。貴重な御意見、大変ありがたく思います。
疾患を含めまして、分野横断的なものをどのように考えていくかとか、そういった内容につきましては、まさに次期プラン専門委員会を含めて、今日の御意見を含めて考えていきたいと思います。
岡村先生からございましたように、スケジュールがタイトであるというのは事実でございます。そういった中で、可能なもの、できるもの、一方で、理想としてどういったものを考えていくか、そこのバランスをしっかり考えながら進めていきたいと考えてございます。
武見先生からございましたとおり、専門委員会と栄養部会がしっかり連携して進めていく必要があろうかと思いますので、事務的な日程のお知らせを含めて、しっかり対応していきたいと思っております。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
それでは、審議事項3につきましては、御了承いただいたということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○辻部会長 どうもありがとうございました。
それでは、審議事項4に移りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○小嶺歯科口腔保健推進室長 それでは、資料4について御説明させていただきます。次期歯科口腔保健の推進に関する基本的事項策定に向けた検討の進め方の案をお示ししております。
1番目、検討の方法ですけれども、令和6年度から開始予定である次期基本的事項につきまして、この検討はこれまでと同じように、本栄養部会において行うこととさせていただきたいと考えております。
また、検討に当たりましては、現在、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項において設定されている各基本方針などのほかに、新たに設定すべき分野、手法等ありますし、また評価指標等について検討作業が必要であるということを踏まえて、こちらにつきましては、現在、部会の下に設置されている歯科口腔保健の推進に関する専門委員会において、必要に応じて委員の追加等を行い、本部会と連携をしながら検討作業を進めさせていただきたいと考えております。
2番目、検討内容です。今回、資料2-1でお示しさせていただきました、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の最終評価報告書に掲げられた「次期歯科口腔保健の推進に関する基本的事項に向けての課題等」を中心に検討を行い、策定をしていきたいと考えております。
スケジュールにつきまして、次のページ、2ページ目を御覧ください。本日、栄養部会で検討の進め方について御了承いただきましたら、こちらも先ほどの次期プランと同じように、9月から大体月に1回のペースで全体の方向性、それから指標の検討、骨子案の議論を行い、11月頃の栄養部会に御報告をさせていただきたいと考えております。その後、基本的事項の素案、それから最終案をまとめまして、年度末に御報告をさせていただければと考えております。
2023年の春頃をめどに、次期基本的事項を公表して、2023年度に都道府県などが、次期基本的事項に基づきまして歯科保健計画を策定していただき、そして、2024年度から次期基本的事項を開始するということで考えております。
簡単ですが、以上になります。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、本事項につきまして、委員の皆様から何か御質問、御意見いただけますでしょうか。
福田委員、お願いします。
○福田委員 ありがとうございます。先ほど述べました分野横断的な検討の場、共通指標の設定と関連するのですが、専門委員会を開く際に、他分野の指標の情報提供をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。
事務局、何かございますか。
○小嶺歯科口腔保健推進室長 御意見ありがとうございました。次期プランの専門委員会とも適宜連携をさせていただいて、進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
それでは、審議事項4につきまして、御了承いただいたということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○辻部会長 ありがとうございます。では、御了承いただいたということで進めたいと思います。
では、審議事項5について、事務局から御説明をお願いします。
○綾企画官 事務局から、資料5について御説明をしたいと思います。
皆さん御存じのとおり、2019年12月以降、新型コロナウイルスが発生して以降でございますけれども、政府といたしましては、各分野におきまして、自治体の皆様方であるとか、医師会、看護協会であるとか、様々な関係団体の皆様方の御協力を仰ぎながら、様々な対応をしてきたところでございます。
この中で、去る6月の15日、それから6月の17日に、それぞれ新型コロナウイルスの感染症対応に関する有識者会議、それから、新型コロナウイルス感染症対策本部という政府の会議の中で、課題と対応の方向性について、このような報告書が出てきたところでございます。
今回の資料につきましては、本部会の所掌である地域保健法に関係する保健所であるとか、地方衛生研究所の関係につきましてフォーカスを当てまして、両方の政府の会議の中で、どのような課題と対応の方向性について記載があったのかということを中心に御報告をさせていただいて、委員の先生方の御意見を賜りたいということでございます。
早速、資料の中身を御説明させていただきます。3ページ目をお開きください。
皆様よく御存じのとおり、この3ページ目につきましては、重症者であるとか新規陽性者の数が、新型コロナウイルスが発生して以来、どのような状況で変わってきたのかというグラフが載っているところでございます。オンラインでは資料がきちっと載っていないような感じですが、大丈夫ですか。3ページ目。その次のページです。
じゃあ、口頭で御説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料等を御覧いただければと思います。
皆様御存じのとおり、11月の下旬以降のオミクロン株の発生前後で、非常に様相が変わっているところでございます。オミクロン株の前、アルファ株であるとか、デルタ株であるとか、そのように言われていたときにつきましては、皆様御存じのとおり、感染の割合は低いのですが、重症化率であったり死亡率というのは非常に高いという状況。その後でございますけれども、オミクロン株以降は新規陽性者の数というのがどんと増えている状況でございますが、重症化の割合というのは減っているという状況が見てとれるということでございます。
今申し上げたことというのを、4ページ目、重症者数のところで見ますと、非常にはっきり分かるのではないかと思います。ちょっと資料が乱れているようですが、説明を続けさせていただきます。
資料5の5ページ目を御覧ください。5ページ目は新規の死亡者数の推移ということでございます。
すみません、資料は大丈夫でしょうか。時間もありますので、委員の皆様方におかれましては、お手元の資料のほうを御覧いただければと思います。画面が乱れておりまして、大変失礼します。
続きまして、先ほど申し上げました有識者会議の中で、これまでの政府の取組について、どのようなことが行われたのかということがまとめられてございます。資料は7ページ目でございます。すみません、説明を続けさせていただきます。
7ページ目を御覧ください。7ページ目は、各フェーズごとにどのような対応を取ってきたのかというのがまとめられているところでございます。簡単に御紹介したいと思います。
まずは、保健所の体制について切り取った部分で、フォーカスを当てて御説明をしたいと思います。
まず一番最初の、水際対策を中心に対処した時期から、最初の緊急事態宣言、2019年12月下旬から2020年5月下旬というところでございます。
こちらでございますけれども、まず保健所の中では、積極的疫学調査が非常に数が増えて大変だということ。それで、今までの体制ではなかなか難しいということで、1つ目として、外部委託であるとか、非常勤の活用であるとか、市町村等からの保健師の派遣であるとか、あと、②のところでございますけれども、緊急性の低い業務の縮小・延期であるとか、そういうことを打ち出したところです。
2つ目でございます。2020年の夏の感染拡大の時期ということでございます。真ん中の四角でございます。
1つ目の丸でございますけれども、この時期の感染拡大におきましては、保健所の即応体制をきちっと整備するということを、厚生労働省として打ち出させていただきました。こうしたことで指針をお示ししまして、最大需要に応じた人員確保であるとか、外部委託・本庁の一括対応、またICTツールの活用であるとか、こうしたことを求めてきたところということ。さらに、2つ目の丸のところでございますけれども、応援派遣のスキームというのを構築したということでございます。
一番下の囲みのところでございますけれども、2020年の秋冬の感染拡大から2回目の緊急事態宣言ということでございますが、このときには潜在保健師を登録する人材バンク、これは後ほど御説明しますが、人材IHEATという仕組み。それから、関係の体制整備を行った。それから、その下の「また」のところでございますけれども、保健所の人員というのを抜本的に増やすという対応を取りまして、これについては23ページに詳しい資料をつけさせていただいておりますけれども、総務省と協力をしまして、地方財政措置を取ったということで、コロナ前のおよそ1.5倍の規模の人員を確保するという方向で努力をさせていただいたということでございます。
続きまして、8ページ目の1つ目の四角でございますけれども、さらに、こういう体制整備だけではなくて、アルファ株、デルタ株の中で、保健所体制というのは逼迫するような地域が見られたわけなんですけれども、こういうところをつぶさに拝見しますと、全庁体制の整備というのがまだまだ不十分である。それから、業務継続計画、BCPがちゃんと定められていない保健所がある。このように、運用面で様々な課題がある。
これは地域によってばらつきがあるわけですけれども、そういうことが明らかになったということで、その下に書かせていただいておりますけれども、非常時に発動するような計画をちゃんとつくってくれということをお願いしてきた。それが保健・医療提供体制確保計画ということで、こういうものをつくってくださいとお願いをしてきたところということでございます。
一番最後のオミクロン株以降につきましては、こうした取組について、本当に具体的に計画が策定されているのかどうかであるとか、各自治体において、各保健所において、きちんと体制が整備されているかどうかという点検・強化を行ってきたということでございます。
9ページ目をお開きいただければと思います。こうしたことにつきまして、総括的にまとめさせていただいているのが9ページ目ということでございます。
1番目でございますけれども、即応体制、人材確保体制を構築したということでございます。
説明が重複しますけれども、1つ目の丸のところは、全庁体制の構築、アンダーラインを引かせていただいておりますが、さらに、業務継続計画というのをしっかりつくっていただくようにお願いしているということ。
それから、2つ目の丸でございますけれども、人材の確保体制を構築するということ。非常時に人員が足りなくなるということで、まずは自治体の中で、全庁体制による応援職員の応援体制を組んでいただくとか、民間の人材派遣会社等を活用していただいて、しっかり自治体の中で人材確保体制を構築していただくようにお願いするほか、国としても、その下のポツのところでございますけれども、保健師の自治体間の応援派遣調整の仕組みを構築すると。
さらに、先ほど申し上げました民間の専門職、保健師さんであるとか、そうした専門職を派遣する仕組み、派遣して保健所の中等でしっかり働いてもらう仕組み、これをIHEATと申しまして、詳細は22ページに書かせていただいております。また御覧いただければと思います。こういうものを創設したということ。
それから、さらに3つ目のポツでございますけれども、先ほど申し上げました地方財政措置を講じたということ。
それから、2つ目でございますけれども、業務についても徹底的に見直しをしまして、効率化・合理化を図ったということ。
1つ目の丸でございますけれども、システムを導入し、HER-SYSを活用したサーベイランスの仕組みを推進する。それから、その下の矢印のところにございますが、My HER-SYSというスマホ等を活用した健康観察の仕組みを構築するとともに、さらにお電話するにしても、自動架電等ということで、なるべく保健所の職員の手を取られないような仕組みというのを導入するということ。その残った余力というのを、真にやらなければならない業務に振り向けるということでございます。
さらに、一番最後の丸のところでございますけれども、保健所が専門的なコア業務、積極的疫学調査であるとか、そういうものに当たると思うんですけれども、に専念できるように、例えば事務仕事であるとか、そういうものについては、徹底的に外部委託を推進する、または都道府県における一元化を原則とする。こういう体制を構築してきたということでございます。
続きまして、11ページ目以降については、地方衛生研究所に関してまとめてございます。こちらにつきましては、地方衛生研究所だけではなくて、検査体制全体について触れておりますので、11ページ目、12ページ目の説明は割愛いたしまして、14ページ目をお開きいただければと思います。
地方衛生研究所の強化に係りましては、かなり初期の段階に財政的な支援というのを国から行ってございます。財政的な支援につきましては、そちらに書いてあるとおりでございますけれども、例えば機器であるとか、そこに書いてあるとおりでございますが、検査能力の増強のための国庫補助というのを行ってきたところでございます。
続きまして、2つ目でございますけれども、さらに保健所と同様に、整備計画をきちっと立てていただくと。それに従って計画的に検査能力を増強していただくと。そういうことをお願いしてきたところでございます。この検査能力の推移につきましては、26ページ目に参考でつけさせていただいております。説明は割愛させていただきます。
こうしたことから、課題と今後の対応の方向性ということで、16ページ目、17ページ目を御覧いただければと思います。
まず、保健所体制に係る課題と対応の方向性ということで、有識者会議の報告書、それからコロナ対策の本部決定ということで、それぞれ該当部分について、事務局で抜粋をさせていただいております。
まず、課題でございます。左側を御覧ください。有識者会議の報告書に書いてあるということを簡単に御紹介したいと思います。アンダーラインを引いているところでございますけれども、まず保健所につきましては、日常業務の増加であるとかICT化の遅れなどによって、有事に対応するための余力に乏しい状況にあったと。こうした状況に加えて、さらに下のアンダーラインでございますけれども、保健所業務の優先順位や、保健所と医療機関、消防機関、市町村等との役割分担や協力関係が不明確であった。こういう指摘があります。
さらに、2つ目のポツでございますけれども、業務負荷の低減、かかりつけの医療機関への検査や健康観察の委託、検体搬送の簡素化、陽性者の移送についての救急搬送機関との連携、事務の外部委託や都道府県での一元化が必要。さらに、その下のアンダーラインでございますけれども、保健所業務が逼迫した地域であっても取組がまちまちであったため、逼迫状況が解消されない地域もあったと評価をされております。
その下のポツでございますけれども、健康危機に関する実践的な訓練が必ずしも十分には行われておらず、実際には対応について円滑に進まなかったのではないかと。こういう課題も指摘されています。
さらに、その下のところでございますけれども、保健所のコアの業務である積極的疫学調査や情報の収集・管理などが十分実施できなかった地域などが見られたということについても書かれております。
さらに、一番最後のポツでございますけれども、市町村と都道府県の間での情報共有が円滑に進まないなど、地方公共団体間の連携が十分にできなかった。こういう課題を挙げられております。
対応の方向性でございますが、右側のところでございまして、こうしたことから、平時・緊急時における保健所の役割・機能の見直し。それから、保健所と医療機関、消防機関、市町村等が協働して対応する仕組みづくり。それから、ICTツールの徹底的な活用。それから、他部署や外部委託でも保健所業務を実施することができる体制づくり。さらに、医療機関との連携を密にし、危機時に速やかに協働して対応することができる体制の構築。こういうことについて、対応の方向性として挙げられているところです。
さらに、その下の対策本部決定と書かれているところでございますけれども、IHEATの強化であるとか、保健所機能の強化、それから、計画的な保健所の体制整備ということについても、指摘をされているところでございます。
続きまして、地方衛生研究所の部分でございます。17ページでございます。
左側の課題でございますが、設置が都道府県等に委ねられている地方衛生研究所の法令上の位置づけが不明確であり、発生初期の段階において、地方衛生研究所における検査体制は十分ではなく、その能力拡充も遅々として進まなかったという課題を挙げられております。
こうした対応の方向性として、右側でございますけれども、初期段階から必要な検査が円滑に確保されるよう、公的部門の体制整備を行うべき。検査体制を抜本的に強化することが必要だということ。
その下の本部決定の部分でございますけれども、検査が円滑に実施されるよう、都道府県等自治体が必要な体制をきちっと整備することが重要だということで、具体的な事項として、都道府県、保健所設置市・特別区が試験検査・調査研究等をするために必要な体制(地方衛生研究所等)をきちっと整備すべきであるとか、数値目標を設定し、計画的に検査能力を確保すべきだと。このような方向性が示されているところでございます。
最後に、18ページ目を御覧ください。こうしたことを踏まえ、こちらは事務局で、先生方に御意見いただきたいと思うことについてまとめているわけでございますけれども、論点として挙げさせていただいているのは、保健所体制について、逼迫を防ぐためにはどのような取組が必要であったのか。次の健康危機の発生に備えて、どのような準備を行う必要があるのか。地方衛生研究所についても、どのような取組が必要であったか。それから、今後どのような準備を行う必要があるのかということで、簡単ではございますが、論点として挙げさせていただいているところでございます。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
本審議事項につきましては、初めに、井伊委員及び諸岡委員から御意見を事前にいただいておりますので、まずこれにつきまして、事務局から御紹介をお願いします。
○五十嵐保健指導室長 事務局でございます。審議事項5に対する意見といたしまして、日本看護協会、井伊委員より御意見いただいていますので、代読させていただきます。
1、保健所保健師の増員について。
令和3年から4年の2年間で、全国の保健所で感染症対策業務に従事する保健師を900名増員するための地財措置が講じられたが、他の担当の保健師の振替ではなく、確実に保健所保健師数全体が、少なくとも900名の純増となるよう、総務省と連携しつつ、厚生労働省より強く要請すべきである。健康危機発生時においては、迅速な体制構築が必要であるため、900名の保健師純増に加え、各保健所には総合的なマネジメント、指導等を担う保健師の配置が必要である。
2、保健所・市町村間の連携体制強化について。
保健師を多く抱えているのは市町村である。市町村保健師は、住民の特性や社会資源等を把握した活動を展開しているため、IHEATの前に、市町村保健師との連携強化のほうが即応性がある。市町村保健師を含む保健所管内保健師のネットワーク構築の推進に向け、保健所が市町村と連携し、相互支援を行うことが可能な体制とすべきである。
3、感染症に対し脆弱な施設への保健所介入体制の強化について。
保健所の機能として、平時における高齢福祉施設や障害者施設等の監査時の保健所の同行及び施設内感染予防対策状況の確認を加えるべきである。対策が不十分な施設への継続指導と、感染症に対して脆弱な施設に対し、平時からアプローチできる体制整備が不可欠である。
4、健康危機管理に対応する人材派遣調整における役割の整理について。
8月1日の感染症部会において、国による広域での医師・看護師等の派遣等の調整の仕組みを創設することが示され、他方では、保健所についてIHEATの強化等が示された。人材派遣調整のための複数の仕組みが併存することになるため、それぞれの役割を分かりやすく整理して示すことが必要である。
5、医療機関、保健所等の職員に対するメンタルヘルスケアの体制の整備について。
感染症危機管理対応に当たる保健所や医療機関職員等に対する初期からのメンタルヘルスケア体制の整備(PTSD予防を含む)について、予算措置を含め、実施できる体制の確保やガイドラインの作成が必要である。
6、有事に活用できるシステムの開発と、有効に運用する体制の整備について。
保健所、市町村、関係機関間での情報共有を可能とするシステムの開発や、既存のシステムを有効に稼働させるとともに、有事を想定した訓練等の実施が必要である。
以上でございます。
○齋藤栄養指導室長補佐 続きまして、日本栄養士会、諸岡委員からの御意見につきまして代読をさせていただきます。
議事5につきまして、日本栄養士会の会員は保健所職員も多数所属しており、新型コロナウイルス感染症対応では、積極的疫学調査や、自宅療養者の健康観察等を行ってきたところである。今後、感染症蔓延時等でも保健所業務を遂行していくためには、保健所体制の強化が非常に重要だと考える。今回は、新型コロナウイルス感染症に罹患した自宅療養者や宿泊療養者等に対する栄養相談や食事支援については、各自治体と連携して対応しており、さらなる連携体制を整備していきたい。
また、IHEATには日本栄養士会会員も200名程度登録しており、応援派遣人材向けの研修を通じて人材育成を図っている。新型コロナウイルス感染症の重症化予防においては、日頃からの健康・栄養管理が重要であることから、引き続き、保健所や市町村等の管理栄養士の人材の確保や育成に協力をしていきたい。
以上、代読でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。既に大分、手が挙がっていますので、挙げていただいた順番に沿ってお願いしたいと思います。
また、これは特に今回、何か取りまとめるというものではありませんので、委員の先生方からできるだけフリートークということで、御活発な御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
では最初に、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いいたします。保健所の所長をしておりますので、保健所長会の役員もしておりますので、その立場から発言いたします。この間2年半もたちましたけれども、感染症対応について、当初は新型コロナウイルス感染症が指定感染症になって、新型インフルエンザ等の行動計画にもある程度準拠しながら、それぞれのところが対応してきたところなんですけれども、その段階に応じて、保健所の対応というか、その辺はどのように変えていくのか。
もちろん、厚生労働省から事務連絡やら通知やら、いろいろいただきながら、それを変えてきたところもあるんですけれども、そもそもの人材がというか、逼迫とか書いてありますけれども、足りないわけですね。保健所の数も足りないですし、保健師も900人も純増になっていないということもありますし、もちろん、そういうきっかけで増やしていただくということはありがたいなと思っているんですが、それに加えて保健所長も、今、保健所が468になりましたけれども、過去800以上あった、900近くあった保健所から見ると、半数近くに減ってしまったことから、その当時の感染症のやり方は、もう全くできないわけですね。
できないというか、音を上げるのは悔しいんですけれども、逼迫というよりも、そもそもの備えがなかったということについては、保健所長であるとか保健師の数であるとか、その辺を人口当たりとか、もう少し基準をきちっと出していただきまして、人材育成なり体制整備を、改めてやる必要があるんじゃないかなと思っています。
また、いろいろな報告の中で、保健所の支援というか、今回も7月の末についても、かなりいろいろな負担軽減ということで事務連絡を出していただいているんですけれども、今までいろいろと学びがあったはずの対応についても、いまだに保健所だけがいろいろな業務をやっているという地域もあるんですね。それは、そういう逼迫した地域がなかなか解消できなかったということだけではなくて、保健所の役割が、どういうものが本来業務であるかということについて、自治体の中でオーソライズされていたのかという問題もあるかと思います。
それは自治体の中で、設置自治体の保健所と都道府県との関係であったということもあるかもしれませんし、発生の地域によって、かなり様子が変わってきた中で、一律にできなかったということは、そもそもの体制の違いがあったと。それがいいとか悪いとかはなかなか言えないと思うんですけれども、そういう問題や課題が、このようなパンデミックが起こったことで露呈されたのではないかなと思っています。
そういう意味では、国民栄養調査がなかなかできなかった2年間も、途絶えてしまったということなんですが、経過を見ていただきますと、国民栄養調査をやるような余力が全くなかったと言えますし、この国民栄養調査についても、今は栄養士さんとかにやっていただきますけれども、これ自体もある程度、委託をしてやれる仕事ではないかなと、継続をするのであれば、そのように思ったりもします。
あと、先ほど津金委員もおっしゃいましたけれども、感染症も含めて、健康増進というのを考えていかないといけないということは、本当におっしゃるとおりで、この感染症については、生活習慣病がかなりリスクになっているということもお分かりになっていると思いますし、そこと両輪で全体を考えていかないといけないと思います。
そういうところで、次の備えということについては、事務局でもいろいろとIHEATとか、人材育成というか、サージキャパシティーがかなり必要だと思いますが、その前に、一段底上げをした体制整備が今、必要かなと思っています。
ただ、コア業務については、積極的疫学調査とか言っていただきましたけれども、これは本来の仕事というよりは、感染症対策を進める上での方法論であって、これをいつまでもやればいいかという話ではありませんし、地方衛生研究所の強化についてもお話をいただきましたけれども、サーベイランスであったり、患者さんの支援であったりということは、地方衛生研究所と共に保健所のデータを集めながら、疾患の特徴を捉えながら、また医療機関とも連携しながらということで、本来の業務というのは公衆衛生の体制整備というか、公衆衛生の地域における対策の立案をするための、一つの行政機関だと私たちは思いたいと思っています。
そういった意味で、ちょっと長くなって申し訳ないんですけれども、保健所の本来業務についても、さらに私たちの中でも考えていって、意見を出していきたいと思いますし、そもそもの備えが十分ではなかったということから、自治体の中で保健所を設置している現状について、ここの委員の中に自治体としての方はいらっしゃらないかもしれませんけれども、それを国として考えていっていただく必要があるかなと思います。
以上です。長くなって失礼しました。
○辻部会長 では、岡村委員、その後、津金委員、お願いします。
○岡村委員 ありがとうございます。私も保健所にいたことがあるもので、今の状況というのがある程度緊急事態的に動いているので、支援しましょうということで幾つか動いているのは、それはもちろんいいんですけれども、喉元過ぎたら熱さを忘れるみたいなことになってしまって、一番危惧しているのは、今、例えば専門職をすごく雇っていると思うんですが、ある程度落ち着いてきたら、今度は新規の採用を抑制するほうに働いて、多分揺り戻しが来て、今度は新規採用が全然ないような状態というのが一番危惧されるところで、やはり新しい人が入っていって、人がどんどん替わっていかないと、全然予備的な力というのが発揮できない状況になるかと思います。
今、そこが一番、個人的に見ていて危惧しておりまして、どうも平和なときは、すごく暇そうに見えて憎らしく見えるのかどうか知りませんけれども、行政の部局の中でそういう雰囲気というのをありありと感じるときが昔はあって、いざ何か起こったときに、足りないということになるんですけれども、逆にふだん余裕があるぐらいのほうが、緊急時の対応ができないということもありますから、もちろん応援体制を組んで民間の力を借りるというのもあるんですけれども、とにかく、今、白井先生が言われたことと関係するんですが、余裕を持った体制をどう組むかということと、緊急事態が過ぎ去っても忘れずに、ちゃんと人の補充というか、新しい人を入れていくような体制をつくっていかなきゃいけないと思います。
意見です。以上です。
○辻部会長 では津金委員、その後、田代委員です。
○津金委員 保健所長さんが大体、私が言いたいことも含めておっしゃられていましたけれども、健康づくりにおいても、保健所というのはそれなりに一定の重要な役割を果たしてこられたわけで、肥満とか、いろいろな健康づくりという面において、コロナでそれが全部どこかへ飛んで行っちゃったと。
それから、健康日本21の大事な指標である国民健康・栄養調査も、やはり保健所の逼迫ということが主な原因として、結局やれなかった。1年のみならず、2年連続やれなかったということで、問題が起こったら対応するということがあまりにも多過ぎて、予防というのは、先ほどの疾患横断的に戻るんですけれども、いろいろな病気を予防しなきゃいけないわけで、場当たり的に対応するものじゃないので、総合的にいろいろな病気のことを考えながらも、本当にいつも対策を考えていかないといけないんじゃないか。
特に今回、感染症の司令塔、CDC機能とか言われて、感染研とか国立国際とかで新たにつくるという話をしていますけれども、じゃあ、ほかのNCDはいいの? という話になって、現実問題としては、NCDで亡くなっていたりとか、健康寿命を奪われている人が、数的にはまだまだずっと多いわけで、そっちの対策がおろそかになってしまう。
アメリカのCDCというのは感染症対策だけじゃありませんから、慢性疾患、NCDもやっているし、それから環境汚染とか、そういうのを全部総合的にやっていますので、今は感染症、取りあえずコロナという話じゃなくて、もうちょっと長期的に予防対策というものに、要するに、保健所とかも日頃からちゃんと役割を果たすような形できちっと地固めして、こういう非常時でもうまく対応できるような体制をつくることを、この機会にぜひ進めていただきたいなという意見です。
以上です。どうもありがとうございました。
○辻部会長 ありがとうございます。
では田代委員、その後、友岡委員です。
○田代委員 全国町村会の理事をしております大阪府岬町長の田代でございます。資料5の保健所体制について、先ほど枚方市保健所長さんの白井様からもお話がありましたので、重複するかもしれませんが、御容赦願いたいと思います。
第7波では感染力、そして重症化リスクなどが明らかでない未知の変異株による急速な感染拡大の場面においても、先ほど来、話の出ております保健所が機能不全に陥らないよう維持することは、大変重要かと思っております。そのことから、各地域に必要となる保健衛生機能を保健所が十分に提供することができるよう、業務の効率化や人員の確保による保健所体制の強化は、必要不可欠であると思っております。
一方で、本町の保健所体制の実態をお話ししますと、岬町は泉佐野保健所の管轄なのですが、かつて、大阪府内では泉佐野市以南にも保健所が2か所ありましたが、現在は1か所しかございません。行財政改革等の理由から統廃合があったことは理解しておりますが、コロナ禍において、小さな町村では検査を受けられる医療機関も少なく、保健所業務の逼迫が起こるなど、その脆弱性が浮き彫りになっているところであります。これは本町だけではなく、全国の多くの町村においても直面している課題ではないかと考えております。
特に今後、第7波の感染拡大に加え、サル痘などの新たな感染症が流行するおそれもあり、保健所への期待は大きい一方で、現状の保健所での対応は大変難しいのではないかと危惧をいたしております。国においても、このような町村の状況を御考慮いただき、保健所の数を見直す、また、保健所の支援協力者の登録システムでありますIHEATを拡充することなどによって、広域的な支援を行うといった御検討もお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
今、自治体という立場で田代町長からお話しいただきましたけれども、今日はほかにも周南市の藤井市長にもお越しいただいていますので、後で自治体の立場から御発言いただきたいと思います。どうぞ御準備をお願いいたしたいと思います。
では、お待たせしました。友岡先生、それから長津委員、お願いいたします。
○友岡委員 友岡でございます。私からは、資料5の17ページ、地方衛生研究所に係る課題と対応の方向性ということで、法令上の話が出てきていますので、少しコメントを差し上げたいと思いました。
有識者会議の報告書の論点をピックアップされているんですけれども、従来、地方衛生研究所に関しては、自治体ごとにこれを設置すると。根拠規定が要綱というレベルで、実際に地方議会を経て法的根拠のあるような条例レベルではないというケースもあるけれども、他方で、これを条例で設置しているという自治体もあると。今回のケースでは、ここで書かれているのは多分、国レベルでの法律の位置づけが不明なんじゃないかというところはあるかと思います。
そのように考えた場合に、自治体ごとでこれまでやってきた研究所の事務ということを考えた場合に、これを法令化した場合について、ある程度骨格をしっかりして、その事務に関しても、所掌事務がどういったものかということも書かないといけないということがあると、これまでやってきた内容に対して、緊急事態が起きた際に、このコロナパンデミックで起きた際に、動きにくかった、ないしは対応できなかった部分が、果たして法令化によってどれくらいスムーズにいくのかというところの検証が必要なのかなと思います。
一概に法的根拠があるからといって、うまく機能するかというところも問題だし、他方で、根拠がないとうまく動かないというところもあろうかと思うので、ちょっとその辺りは気になりました。
今後、設置される自治体さんの中でも、どのような作業をこの研究所に求めるか、事務を求めるかということも、実は自治体ごとに、もちろん共通したベースというものがあるとは思うんですけれども、自治体ごとに決める権限というのは持っていたということを考えたら、どの辺りでここの危機に対してうまく対応し、そして、先ほども議論が出てきましたけれども、今後は平常時に戻っていく段階でも、十分に研究所の存在意義というのを活用できるのかということも、検討材料になるのかなと思います。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
では長津委員、その後、松岡委員、お願いします。
○長津委員 長津でございます。保健所の機能についてという議論なんですが、私自身は日本薬剤師会の常務理事でありまして、同時に神奈川県薬剤師会の副会長であり、さらに鎌倉市薬剤師会の副会長をしているという中で、保健所レベルで、保健所は一番現場に近いわけなんですが、私としては、あらゆる階層で行政の方と、今回いろいろなコロナに対しての仕事を整理してきたわけですが、保健所がうまく機能できないという、保健所の単体の問題も、もちろん先生方は皆さんおっしゃっていましたが、あるんですけれども、それよりも何よりも、行政間での連携が全くうまくいっていないんです。
厚生労働省の言うことを、都道府県はすんなり受け入れないし、それをさらに保健所がうまく運用できているのか、さらに、私は鎌倉市と申し上げましたけれども、鎌倉市の社会保険事務所と鎌倉市役所、ここの連携も取るのが難しい。さらに、神奈川県というのは政令指定都市が3つあると、これまた大変で、例えば神奈川県と横浜市の関係とか、行政間の仕組みが今回の現場の混乱を絶対招いているのは間違いないと、現場で思うんです。
ですから、来る次の戦いに向けては、もっと行政間の階層がうまく連携を取っていかないと、幾ら保健所の機能を整理したとしても、勝てないと思うんです。実際に、例えば保健所さんとか市役所さんが、地域の医師会さんや歯科医師会さん、看護協会さん、薬剤師会、これらとも日頃から常にいろいろなコミュニケーションの場を取っていかないと、いざ敵が来たから戦うぞといっても、なかなか容易でない戦いを強いられるわけです。
ですから、とにかくみんなで同じ目的を持ってやることは確かなので、いかに行政間でうまく情報がスムーズにいって、気持ちを理解しながら進めていくかという、先走らず、後れを取らず、行政同士の足並みの乱れが一番、保健所の機能を阻害しているのかなという気もしますので、ここは何とか皆さんでうまく御理解いただいて、次に備えたいなと思っています。
じゃないと、特に医師会の先生は相当苦労されていると思いますし、私たちも医薬品を供給する立場としては、全く行政の話が国と県と市で言っていることが違うと、どうしたらいいものかということになりますので、その辺りを非常に私たちは俯瞰して、今回の新型コロナウイルス感染症という災害を見たときに、そこが最も大きな問題だと痛感しているところです。
ちょっと趣旨からずれる意見で恐縮ですけれども、現場感覚としてはそういう印象が強いということであります。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
では、松岡委員、その後、荒籾委員になります。
○松岡委員 ありがとうございます。保健所の体制の強化などについては、基本的に、こちらへおまとめいただいていたの方向で、世の中の関心が高いうちにしっかり整備をしていく、機を逸せず整備をしていくというのが大事だろうと思います。
その上で、若干出ていなかったお話で、意見を申し上げさせていただきますが、9ページで即応体制、人材確保体制の構築というところがございますけれども、感染の初期とか、そういったところにおいて、全庁体制とかBCPを推進してきたといったことが書かれております。
恐らくこれを想像するに、当初新型コロナウイルスが来たときには、これまで国でつくっていた新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づきます行動計画、新型インフルの行動計画に基づいて動き始めたんだと思います。それから保健所については、それぞれについてはこれをベースにしたガイドラインというところでつくっていたと思います。さらにまた、それぞれ各行政機関も会社もそうですけれども、保健所でも、新型インフルの行動計画みたいなものをBCPという形でつくっていたところが多いんじゃないかと思います。
そういう意味で、新型インフルの行動計画、最初何があるか分からないときには、こういった既存のもので、取りあえずあるもので動き出すということが大事だと思いますので、今回、次に備えるに当たりましては、その辺をどうされるのか分かりませんけれども、何らかの形で、新型インフルの行動計画みたいなものをつくっていたようなものを改定する形で、行動計画をつくったり、ガイドラインをつくったり、BCPをつくったりといったことが必要ではないかと思います。
その上で、平時と有事の切替えといったことが非常に大事だと思います。平時のときには保健所も、いろいろ備えをしっかりやっておかなくてはいけないというのは大事なことだと思いますけれども、ただ、平時においてはなかなか、そう人を充てられないという事態もありますので、有事になって感染症が広がったときには、すぐ人が動員して集められるようにするといった切替えができるようにしていくといったことが必要だろうと思います。その辺は今後の中に盛り込んでいっていただくといいのではないかと思います。
これはもちろん、保健所だけではなくて我々も、中央会や国保連合会も、新型コロナの予防接種の請求・支払とか、いろいろな形で御協力させていただきましたので、いろいろな団体が協力をしていくというのは当然前提にはなってくると思います。
それからもう1点、お話にも出てきましたけれども、ICTを活用した基盤をしっかりやっておいていただくということが必要だろうと思います。
いずれにしても、頻繁に大きな感染症が起こってきたり、国際的に流行するようなもの、サル痘の話でも出てきておりますけれども、いろいろなものが来ますので、備えをしっかりできるようにしていただければと思います。
それから2点目、地衛研の話でございますけれども、先ほど友岡先生からお話もありましたが、ここのところがはっきり法律とかで位置づけられていないところというのは、整備をしていく上で、ちょっと弱いのではないかと思いますので、法制化を今後考えるとか、そういった形で体制整備をしていけるようにする。
それから、国立感染研とのネットワークも、しっかりつくっておけるようにする。これは、地衛研は検査をする上で、今回も非常に大きな役割を果たしたと思いますので、そういった点を踏まえて、法制化をしっかり考えていただくということが大事ではないかと思います。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、荒籾委員、その後、清田委員です。
○荒籾委員 保健所の業務の混乱等については、マスコミによる報道や、実際に保健所に勤務する方を通じて感じておりました。先ほど委員の先生方のご発言にもありましたように、法整備の課題があるかと思います。
例えば大規模地震等の災害が発生した場合、総合的な司令部のようなものが設置されて、消防や警察、また地域の医師会、自衛隊などが、一つの司令部の下に被災地支援活動に効果的に運用されているというのを耳にしております。今回のような大規模な感染症等が発生した場合に、総合的に各機関や従事する人材を掌握し、効率的な活動を指揮できるような司令部的機能の設置を考えておくことも良いのではないかと思います。
そして、保健師の方々の増員も行われましたが、保健師の人数を確保していても、一部の保健師の方に業務が集中するなどして、ほとんど休みなく数週間、数か月勤務してしまい、身体や心の健康を害してしまうということも考えられます。メンタルなどの健康状態を維持しながら活動いただくために、人材のローテーションが可能になるよう、個々人の勤務状況を管理する方の確保や、体制づくりも必要ではないかと思いました。
あと、新型コロナウイルスによる混乱が去った後、平時になったときにこの出来事を忘れないように、9月1日の防災の日のような、新型コロナウイルスに対して国が総力を挙げて対応したことを忘れないための日をつくり、その日には、自治体や医療機関、保健所等各職種が連携して訓練や図上演習のようなものを実施して、次の事態の発生に備えては如何かと思いました。
また、資料の16ページのところにありましたが、自宅療養者の方々に食べ物とかを届けるといったことも、保健師の方が従事されていたと伺っております。その業務を各地域の民生委員の方々にお願いしては如何でしょうか。民生委員の方々は、高齢の方も多く難しい課題もあるとは思いますが、居住する地域の実情に詳しく、玄関前などに食料を置く作業等であれば、感染リスクも低く抑えられるので、普段から講習会などで多少の知識や訓練を行い、備えておくことも良いと思います。また、宅配業者など、民間の力の活用も検討しては如何かと思いました。
地方衛生研究所につきましては、建物の老朽化など、施設運営に大変な苦労をされている施設もあると伺っております。また、新型コロナウイルス発生当初には、感染症を防ぐための防護具なども不足していた施設もあったと聞いております。そのため、運営管理費予算の検討も必要かと思いました。また、各地の地方衛生研究所が、それぞれの研究データや活動内容を共有する体制がまだ整備されていないのであれば、各研究所間の連携体制の構築や強化も必要かと思います。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは清田委員、お願いします。
○清田委員 ありがとうございます。全国保健師長会として、保健師の立場から保健所体制について御意見を申し上げます。
まず、保健所体制のお話をする前に、保健所を管理する機関について、2点御意見を申し上げさせていただきます。
まず1点は、政府の司令塔機能のより一層の強化についてす。
保健所は、初動の対応の病原性が分からない段階から、例えば防護服をどう対応するか、また1例目から県単位でのコールセンターだとか、また初動期からの帰国者・接触者相談センター、また様々な初動態勢ということに臨んできたわけですが、そのときに、医療の観点に加えて、公衆衛生のエビデンス、そして、そういうことを踏まえた疫学リスクマネジメント、また地域保健という様々な観点からの政府の司令塔という指示が、より必要でした。初動期の体制整備、情報発信を、より強化することをお願いしたいと思っております。
2点目は、地方自治体による保健所の体制整備の機能強化についてです。
発災から徐々に感染者が増えるに従って、夜間や土日を含む24時間体制で、シフトができる保健師体制を組みますが、人員確保の人事に加えて、メンタル管理の観点から、有事のシフトを自治体の責任の役割の下でしっかりと組んでいくということを、自治体が積極的に関与することが必要で、それを明文化しながら、体制を維持してほしいという思いがありました。
次に保健所体制について4点述べさせていただきます。
1点目は、IHEAT等の人員確保は、非常にありがたい、新しい仕組みができたなと思っております。保健所がIHEATを受け入れるための受援準備や人員確保、人材の育成、そういう健康危機に関する指針を整備するということは、重要になるのではないかというのが1点目です。
2点目は、委託ということは随分増えました。患者搬送や検体の移送、さらには、当初は電話相談が保健所の役割として置かれましたが、初動の保健所体制を随分制約することにもなっていますので、相談体制並びに検査体制も委託もできるのではないか、委託に関する考え方の整理が必要というのが2点目です。
3点目は、ICTについて取り組むということが含まれておりますが、ICTに加えて、DXの推進ということで、業務の効率化を含めて進めていただきたいというのが3点目です。
4点目は、高齢者・障害者機関を含めて、学校も含めて、平時の頃からの公衆衛生という観点をさらに広めて、保健所の関与、ネットワークということの取組を、課題として位置づけてほしいということでございます。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
他にございませんでしょうか。周南市の藤井市長さん、御意見ございますか。
○藤井委員 お世話になります。周南市長の藤井律子です。今日は全国市長会の代表として出させていただいておりますけれども、ここでの発言は周南市長としての発言として、全国的に了解を得たことではございませんので、周南市の市長としての発言にしてください。
今、周南市は人口14万人、周南環境保健所があります。そこでは、隣の下松市、その隣の光市、合わせて約二十四、五万人の人口の人たちを保健所が見てくださっております。今、本市からもこうした保健所への人的支援に出ておりまして、山口県においては新型コロナウイルス感染症の発生当初から、県内の各市町の保健師が保健所への派遣を行うための協定を締結しております。保健所の要請により、速やかに各市町の保健師を派遣できる体制というものを整備しております。
現状としては、この協定に基づいて、周南保健所には10人の保健師さんがいらっしゃるんですが、とてもじゃないが足りないということで、単独の周南市からも、うちは40人ぐらい保健師がいるんですが、第1波から第6波までで、延べ132人、第7波以降は延べ35人の職員を派遣してきたところでございます。その派遣された保健師たちが帰ってきて、聞いた声を届けたいと思います。
今、全数把握をしておりますので、うちから応援として入った保健師たちの仕事としては、行動歴調査であるとか、濃厚接触者の調査であると。ここに非常に時間がかかっている。これが逼迫している原因ではないかと聞いております。これを見直していくことで、現状を変えていくことができるのではないかと聞いております。
もう1点、これは市長としていつも感じているところなんですが、県の応援をしたいんですね。感染は県の任務でございまして、私は元県議でございましたので、県と市の仕事の分担というんですかね、それはきちんと把握した上で思うんですが、情報をもう少し出してくだされば、周南市としては、もっとお手伝いができるのではないかと思います。例えば、小さなお子さんがいらっしゃる家庭、例えば母子家庭であったり、ほかに買物にも行く人がいないとか、そういう家であるとか、高齢者がいらっしゃる、高齢者単独の家であるとか、そういう小さな情報を市としては把握しております。
こういう家庭にはきっと感染者としての支援だけじゃなくて、もっと生活を見る大きな支援の方法があるのではないかと思います。そこで、県からこういうことをお願いしたいということがもしあるんでしたら、言っていただければ、市としては積極的に応援していきたい。ただ、これはまだ、先ほど申し上げましたように全国市長会にかけたわけではございませんので、本市としての考えでございます。
以上の2点でございます。
○辻部会長 どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。
では、委員の皆様から大変貴重な御意見をいただきましたので、これにつきましては、事務局から何かフィードバックはございますか。
○綾企画官 事務局でございます。大変熱心に、非常に有意義な御意見をたくさんいただきました。一つ一つこの場で触れると時間が足りなくなってしまいますので、幾つか私がなるほどと思った意見をピックアップさせていただいて、ちょっと触れさせていただきたいと思います。
例えば、まず人員育成、体制整備という根本から、しっかりやるべきじゃないかという御意見であったり、あと、感染症だけじゃなくて、健康増進についても保健所の役割はしっかりあるんだと。そこのところについてもしっかり考えていかないといけないんだということであったり、また、平時と有事の切替え。一過性のある非常事態としての保健所の強化ではなくて、しっかり即応体制というのをどのように取るのかというのを、まさに私は、災害時の体制というのは今、非常に根づいてきたところでありますけれども、感染症についても同様に、非常時を見据えた平時の体制というのをしっかり取っていくというのが課題なんだろうなと感じた次第でございます。
ほかにもたくさんあるんですけれども、事務局としましては、今日いただいた意見をちゃんとまとめさせていただきまして、我々のほうでどのように対応するのかというのをしっかり検討していきたいなと思っております。
このような受けでよろしいでしょうか。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、審議事項5につきましては、事務局から提出されました対応の方向性は基本的に認められたという上で、さらに、本日の委員の皆様からの御意見に沿って、事務局でさらに検討を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、以上で審議事項1から5について、全て審議が終了いたしましたけれども、委員の皆様から何か追加の御質問、御意見などございますでしょうか。よろしゅうございますか。
特に御意見ないようですので、では本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。
では、最後に今後のスケジュールなどにつきまして、事務局から御説明をお願いします。
○加藤健康課長補佐 今後のスケジュールについて御案内申し上げます。
次回の部会につきましては、今回の議論等を踏まえまして、追って調整させていただきますので、お忙しい中恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
○辻部会長 それでは、本日の部会を終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、スムーズな議事進行に御協力いただきましたこと、改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
では、これにて閉会といたします。お疲れさまでした。
 
── 了 ──
 

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