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2015年3月25日 第14回東日本大震災アスベスト対策合同会議 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成27年3月25日(水)


○場所

全日通霞が関ビル 8階 大会議室A


○議題

(1)被災地におけるアスベスト大気濃度調査について
(2)がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について
(3)東日本大震災アスベスト対策合同会議報告書(案)について
(4)その他

○議事

【出席者】

委員: 神山委員長、小坂委員、小島委員、小西委員、小林委員、高田委員、戸塚委員、外山委員、名古屋委員、藤吉委員
自治体参加者:福島県生活環境部水・大気環境課
専門委員(企業):株式会社日新環境調査センター、東北緑化環境保全株式会社
            独立行政法人労働安全衛生総合研究所
環境省:是澤大気環境課長、渡辺課長補佐、秋元係長
厚生労働省:森戸化学物質対策課長、富賀見中央労働衛生専門官、平地係員

 

 

【議事録】

富賀見専門官(厚労省)

 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第14回東日本大震災アスベスト対策合同会議を開催したいと思います。

 まず、委員の出席状況の御報告ですけれども、本日、石川委員、森永委員からは御欠席の連絡を受けております。現在、藤吉委員がまだ見えられていませんが、定刻になったので始めさせていただきます。藤吉委員も含めまして、本日、委員12名のうち10名の方に御出席いただいておりますので、まず御報告いたします。

 その他、本日は、自治体からは福島県から、あと専門委員として測定機関、研究機関の方にも御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、会議に先立ちまして、事務局に、前回、昨年の会議以降、異動がございましたので、紹介させていただきます。

 まず、環境省水・大気環境局大気環境課の是澤課長です。

 

是澤課長(環境省)

 是澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 

富賀見専門官(厚労省)

 申しおくれましたけれども、私も昨年7月からこの関係を担当することになっております、厚生労働省安全衛生部化学物質対策課の富賀見と申します。よろしくお願いいたします。

 続きまして、お手元の資料の確認だけさせていただきたいと思います。本日の資料は、お手元に座席図があります。その後、この会議の議事次第、1枚物でございます。その次に、委員の名簿を挟みまして、クリップどめが3つあるかと思います。1つ目が、右肩に「環境省資料」とございますクリップどめの資料。その中にA3の資料1、ちょっと字が小さいですが環境省資料2というのがございまして、最後に環境省資料3というふうに3つホチキスどめのものがお手元にあるはずです。

 厚生労働省資料として、また小さなクリップどめのものがございまして、これもまず資料1としてA3の1枚物がありまして、ホチキスどめの資料2と、1枚物の資料3となってございます。

 もう1つ、大きなクリップどめとなっておりますのが、本日の議題の1つでもあります報告書(案)というものです。それが1部あるかと思います。

 あと、机上配付ということで、右肩に「委員限り配布」と書かれているものが、厚生労働省からお配りさせていただいておりますものですけれども、委員の皆様方、お手元にございますでしょうか。それが1部ございます。

 それが本日の資料の全部になりますので、途中、不足とか落丁等ございましたら、いつでも事務局にお申しつけいただきたいと思います。

 それでは、以降の進行は神山委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

神山委員長

 こんにちは。委員の皆様方、年度末のお忙しいところを御出席、ありがとうございます。

 東日本大震災が発生して以来、丸4年が過ぎまして、御存じのように、まだもとに戻れない被災者の方々がまだ大勢いらっしゃいます。このアスベスト対策合同会議も過去13回開催して、青森から千葉に至る広域の自治体、地域の解体・改修あるいはがれき処理などに関するアスベスト調査をやってまいりました。多くのところでは昨年度にがれき処理等が終了したわけですけれども、福島県に関しては原発事故等の影響もあってがれき処理がまだ完全に終わっていませんでした。本日は、最初に福島県での調査結果等を、環境省及び厚労省の調査結果として御報告いただきます。

 そして、一応4年間が過ぎまして、中間まとめというふうな意味合いで、議題3では、合同会議の報告書(案)というものを事務局で作成しましたので、これら全てに関して委員の皆様方から忌憚のない御意見、コメント等をいただけきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

(1)被災地におけるアスベスト大気濃度調査について

 

神山委員長

 それでは、早速ですが、環境省から議題(1)「被災地におけるアスベスト大気濃度調査について」ということで、福島県のデータになりますが、よろしくお願いいたします。

 

秋元係長(環境省)

 それでは、環境省資料1につきまして説明させていただきます。

 まず、A3の資料になりますけれども、右上のほうに表がございまして、こちらが、今回、環境省が第12次モニタリングで調査した地点でございます。同じ地点を複数回測定したものもあり、その場合、それぞれを1地点としておりますので、表につきましては延べ数となってございます。全体で95地点調査を実施しておりまして、そのうち50地点が(1)丸数字1の避難所、仮設住宅、学校等といった地点でございます。また、36地点が(2)丸数字3のがれき処理現場及びがれきの集積場といった地点でございます。また、今回、解体・改修中の現場につきましては0地点となってございます。

 下の表につきましては、左側に地域分類が書かれてございますけれども、地域分類ごとに結果をまとめたものでございます。(1)丸数字1が2ページ目の途中まで続いています。こちらにつきましては半分が学校ということだったのですけれども、昨年度も(1)丸数字1では学校が多かったという状況でございました。

 2ページ目の下のほう、(1)丸数字2は環境省が毎年調査している地点でございます。

 3ページ目と4ページ目の途中までが(2)丸数字3ということで、こちらが、がれき処理現場及びがれきの集積場ということでございます。

 4ページ目の真ん中のほう、(2)丸数字4はがれきの破砕等を行っている廃棄物中間処理施設及び最終処分場で、その下が(2)丸数字5ということで、自治体が必要と判断した地点でございます。

 結果につきましては、いずれも総繊維数濃度が1f/L以下という結果でございました。

 続きまして、環境省資料2について説明させていただきます。こちらにつきましては、自治体が実施したモニタリング結果を取りまとめたものでございます。福島県と書いておりますけれども、いずれも福島県いわき市の結果になります。

 まず、1ページ目の大原局につきましては、総繊維数濃度で1f/Lを超過した日がございますけれども、3日間の幾何平均ではいずれも総繊維数濃度は1f/L以下という結果でございました。

 続きまして、2ページ目でございます。中央台局の昨年2月の結果、常磐局の昨年8月の結果につきまして、3日間の幾何平均で総繊維数濃度が1f/Lを超過しておりますけれども、石綿繊維数濃度としてはいずれも1f/L以下という結果でございました。

 3ページ目が電顕の結果になります。先ほどの、中央台局の昨年2月の結果、常磐局の昨年8月の結果につきましても電顕が実施されておりまして、いずれもNDという結果が出ております。いわき市からは、植物由来のものの影響でこのような結果が出ていると聞いてございます。

 続きまして、環境省資料3を説明させていただきます。こちらは環境省が実施するアスベスト大気濃度調査の実務マニュアルということで、今後の実務マニュアルとして出させていただきました。こちらの資料については毎回お出ししております。

 変更点としては6ページ目でございます。「デジタル粉じん計、パーティクルカウンター、リアルタイムモニターの活用に係る暫定測定マニュアル」ということでございますけれども、昨年6月の大防法の施行規則の改正で集じん・排気装置の正常稼働確認や負圧の確認を義務づけたことを受けまして、全国で実施しているアスベスト大気濃度調査のマニュアルを修正させていただきました。それに準じまして、5の「測定方法」につきまして、本測定の前に、バックグラウンド30分、作業開始前60分測定することとしていたものを、集じん・排気装置の稼働の前後で10分間測定した上で、本測定を240分行うこととしました。それ以外の修正は、特にはございません。

 私からの説明は以上でございます。

 

(2)がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について

 

神山委員長

 それでは、意見交換はまとめて行うこととしまして、引き続き、議題(2)の、厚生労働省からの気中モニタリング結果について報告をいただきたいと思います。

 

富賀見専門官(厚労省)

 それでは、厚生労働省資料を使って説明させていただきたいと思います。クリップどめのものです。

 まず、資料1でございます。A3のものでございますが、これは平成26年度の厚生労働省の事業で行ったモニタリング結果の全ての測定データを収録したものになってございます。

 本年度、合計31カ所の測定を実施しておりまして、うち環境省と合同でモニタリングを実施したものもございまして、それらについては、一番右の備考欄に、対応する環境省の番号も記載しておりますので、御参考にしていただければと思います。調査結果の詳細は後ほどまた中村専門委員にバトンタッチして御解説いただくことになりますけれども、この31カ所の測定内容を、私から、全体の概略ということで御説明させていただきます。

 まず、表の上から3行、県名で岩手、岩手、宮城となっておりますけれども、この3件が、本年度、厚生労働省のモニタリングにおいて、建築物の解体工事、吹付け石綿の除去の作業になります。ちなみに、あとは全部がれきになります。解体の3件につきましては、いずれも石綿の漏えいが疑われるものはございませんでした。

 続きまして、表の上から4行目以降、県名は全て福島と入っておりますけれども、通し番号で次のページ、裏にわたって合計28カ所、これは全てがれきの処理場、仮置き場となります。結果といたしまして、総繊維数で30f/Lを超えたもの、いわゆるこのモニタリングにおいて、電子顕微鏡で石綿の同定を行うこととされているものになりますけれども、例年この会議で、そういったものがございましたら資料に色づけさせていただいておりましたが、本年度はそのレベルのものはございませんでした。なので、色づけはしておりません。

ただし、1件だけ、ごらんいただきますと、福島の No. 12になるのですけれども、総繊維数で30本は超えておりませんけれども、総繊維数で3本を超えておりますので、偏光顕微鏡で見た結果、ここにもございますように、石綿繊維数で3本を超えるものがございましたので、この No. 12について、お手元の委員限りとして配付してございます資料を見ていただきながら、簡単に説明をさせていただきたいと思います。

 その委員限り配付資料を開いていただいて、そこにこの現場の概略がございます。この現場は、1.の(4)にございますように、スレート板などのアスベストが含有している可能性のある建材が含まれたがれきがフレコンに詰め込まれて、震災後、この仮置き場に搬入されてきたという現場です。測定機関で調査した当日、見てみると、ほとんどのフレコンが劣化して破れているという状況も見受けられたという状況でございます。

 当日の作業も、(5)にその様子を記録していただいていますけれども、これらがれきは、この仮置き場から安定型処分場に搬出していくことになるのですけれども、先ほど申し上げました、フレコンが劣化して破れている状況などもありますので、この日の作業は、より耐久性の高いフレコンに移しかえるという作業が行われていたものでございます。

 先ほどの一覧表で、個人ばく露丸数字2、丸数字3という測定で、総繊維数が17、26と出て、これも偏光顕微鏡で石綿を確認して、それぞれ石綿繊維数が5.94本、19本と確認されているといった内容の作業になっております。

 その作業当日も、委員限り配付資料の次のページにありますように、作業者は簡易マスク、防じんマスクも着用して作業を行っておりましたし、「時折」となっていますけれども、散水車で散水も一応あったとなっておりますけれども、実際に飛散が確認されておりますので、その辺の対応が不十分だった可能性もあるかなと考えております。

 この漏えいが確認された事業場については、測定機関から、この調査後、即、当方に連絡いただくことになっているので、連絡いただいて、所轄の労働基準監督署から立ち入り、必要な指導を行っておりますので、そのこともあわせて御報告いたします。

 全体の概略は、石綿が確認されたのはこの1件ということで、私からの御紹介はこれで終わりにしたいと思いますけれども、引き続き、中村専門委員から、飛散の原因とか、調査結果のさらに詳細について、クリップどめの厚生労働省資料2に取りまとめていただいておりますので、御解説を、バトンタッチしてお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

中村専門委員

 労働安全衛生総合研究所の中村です。引き続きまして、本年度の調査結果について説明したいと思います。

 今御説明がありましたとおり、本年は31カ所で調査が行われておりまして、まず建築物解体は3カ所、いずれも石綿含有建材が使用されているということで隔離された中での作業だったわけですが、この中で行われた測定においては、総繊維数濃度でも最大3.56f/Lということで、総繊維数濃度自体も高くないということでありました。

 同定に関してはこの1点だけだったのですが、偏光顕微鏡による同定で石綿は確認されておりません。それ以外の測定点は3f/Lを下回っておりましたので、同定も行っていないという状況でして、建築物解体作業に関しましては、本年度の3カ所の調査では高い濃度の石綿の飛散は見られませんでした。

 続きまして、がれきの仮置き場、集積場における集積作業ですが、こちらは福島県の28カ所で調査が行われました。がれきの種類、さまざまなものが混在している混合がれきということですが、ほとんどの現場で建材等が混入されていることが調査の際に確認されておりまして、それが石綿含有かどうかはわからないという状況でした。

 2ページ目に行きまして、位相差顕微鏡法で見た結果ですが、総繊維数濃度30f/Lを超えた点はなく、3f/Lを超えて30f/L以下のものが41点、3f/L以下が69点ということになっております。

 総繊維数濃度の最大値は、先ほど説明がありました福島県の No. 12の個人ばく露丸数字3ということで、26.16f/L、同じ現場の個人ばく露丸数字2というのが2番目に高い値だったのですが、17.83f/L、この2点に関しまして、偏光顕微鏡により石綿(いずれもアモサイト)が同定されているということです。それぞれの石綿繊維数濃度ですが、すみません、ちょっとここはミスなのですが、19.03とありますけれども、報告を受けているのは19.02という数字でした。ここはちょっと間違っております。すみませんでした。19.02f/L及び5.94f/Lということでした。

 行われていた作業は、先ほど説明がありましたとおり、破れてしまったフレコンバッグから一旦出して、それを詰めかえるという作業でした。個人ばく露丸数字2と丸数字3の方は同じ場所で作業を行っておりまして、個人ばく露丸数字1の方に関しては、ちょっと離れたところにおりましたので、その方は低かったのかなと考えております。また、定点に関しては、この個人ばく露丸数字2及び丸数字3、高かったお2人の風下2mのところで測定されていたということなのですけれども、こちらの定点に関しては、高い濃度は出てきておりません。

 この原因ですが、調査の際、移しかえ中のボード類の中にaマークのついたスレートが確認されていることが報告されておりまして、石綿含有のスレートが混入していたことが原因と考えられます。

 写真のほうで先ほどの委員限りの資料でもありますが、がれきと割れたスレートがまざっているような状態ですので、今回の原因としましては、今回、作業中にスレートを破砕して飛散したというよりは、既に破砕されていたものを地面に展開して、そういうときに発じんが起こったものが測定されたのではないかと思います。散水車による散水等が行われていたということですが、それががれきのほうにはどこまで散水されていたかわからないということで、不十分だったのかなということが、飛散した原因とも言えると思います。

 また、この現場につきましては、昨年度、平成25年度にも調査を行っております。そのときは、石綿は検出されておりません。作業内容が少し違うのかもしれないですけれども、耐久性の低いフレコンバッグに入っているボード類等、中のものを分別するという作業を行っていたということです。

 今回と同じような、フレコンバッグからボード類を移しかえる作業というのは、今年度はこの1点だけだったのですが、過去3年間の調査では、同様の作業が3つの現場で行われていたということでした。いずれも高濃度の石綿は検出されていないという状況です。また、ボード類をフレコンバッグへ詰め込むという作業も、平成25年度、3カ所で行われているのですが、そちらでも石綿は検出されていないという状況です。

 今年度の調査では、この福島県 No. 12以外の現場では、石綿を確認した現場はございませんでした。

 以上、まとめますと、今年度の調査は、解体現場で3カ所、がれき処理作業現場で28カ所行われまして、建築物解体現場においては、総繊維数濃度も低く、石綿が検出された現場はございませんでした。がれきに関しましては、1カ所10f/Lを超える点がございました。これについて、原因は、破砕されたスレート、石綿含有スレートが混入していたことが原因と考えられます。実際、石綿含有建材が混入していた場合は、当然、作業によってばく露するリスクが高まりますので、現場でそれを全て確認するのは難しいと思いますので、疑われる建材を扱う際にも、きちんと防じんマスクをつけていただくことと、湿潤化を徹底していただくことが重要であると考えております。

 以上です。

 

富賀見専門官(厚労省)

 ありがとうございました。

 あと、厚生労働省資料3ということで、もう1枚ございますので、それを紹介させていただきます。これも環境省と同じで、毎年、厚生労働省も資料として同じものを挟み込んでいるものでして、27年度、次年度も同じように測定対象の作業場を設けて、同じ測定方法でこのモニタリング事業は引き続き実施していきますというお知らせの意味として捉えていただけたらと思います。特に内容は、変更等はございません。

 厚生労働省の資料の説明は以上になります。

 

神山委員長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの環境省、厚労省、平成26年度の調査結果と、最後の、厚生労働省が平成27年度に実施する予定のモニタリング実施案、これらについて御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、私のほうから1つ。先ほど中村専門委員のほうの資料2の説明にありました確認ですが、「偏光顕微鏡」という名称をずっと通して使っていますが、机上配付資料ですと「位相差/偏光顕微鏡」になっており、「位相差/偏光顕微鏡」ですね。

 

中村専門委員

 はい。

 

神山委員長

 では、普通の偏光顕微鏡ではなくて位相差/偏光顕微鏡であるということで、修正をお願い致します。

 他はいかがでしょうか。

 

外山委員

 外山です。いわきの No. 12の状況についてお聞きしたいのですけれども、これはフレコンバッグの中にアスベスト含有建材があったということですけれども、もともと分別されていたのでしょうか。つまり、アスベスト含有建材が分けられて置いてあって、それをあけて移したということなのか、それとも、そうではない、一般のがれきの中にアスベスト含有建材がまざっていたのかということと、あとは、そういったものが出てきたときに、その後どのように対処がされたのかということです。

 もう1つ。アモサイトが出てきたということですけれども、スレート板でアモサイトが入っているのは比較的少ないと思うのですけれども、他には、ケイカル板とか、そういったものはなかったのか。3点お聞きしたいのです。

 

中村専門委員

 私のほうでわかる状況としましては、委員限りの資料の7ページの下の写真などを見ますと、こういう状態だということですので、ボードだけが入ったということではないのかなと思います。ですので、いろいろなものがまざった中にスレートがあったということ。どんなものかというところで言いますと、aマークがついたものがあったという報告を受けているのですが、それ以外になかったかどうかはわからないということで、確かにアモサイトが出てきたということですので、その辺どういうことかはわからないのですが、少なくともアスベスト含有のものが混入してしまっているような状況であったということは推定できるところです。

 

神山委員長

 今のを確認しますと、机上配付資料の3/17ページ目ですね、事前調査の結果と、それから4、5.5が解体現場の処理の様子、作業の様子、その他特記事項というふうに分けて書いてありますが、4と5では、フレコンバッグ中に保管されていたボード類という記載がありますね、ですから、このアモサイトというのは、こういった外壁とかのボード類に入っているだろうということなのですね。このアスベストマーク、aマークのついているスレートは、多分、外山委員がおっしゃるようにクリソタイルだろうと思いますが、実際はそうではないということで、まとめとしてよろしいですね。

 

中村専門委員

 それは、ちょっと難しいというか、判断するのは、ここにある情報だけでは難しいかと思いますけれども、少なくともそういう建材がまじってしまっているような状況で作業されていたということですので、他にもそういうものがまじってしまうような状況があって、アモサイトの含まれたものがあったのかもしれないというようなことぐらいしか言えないかなと思います。

 

神山委員長

 そうですね。一応、スレートにアモサイトは入らないだろうというのは、かなり重要な知識ですので、多分そんな形かもしれないですね。

 

秋元係長(環境省)

 今の現場ですけれども、厚生労働省から連絡を受けて、環境省から所管の自治体に確認させていただいたところ、こちらの現場につきましては、石綿含有建材も持ち込まれることは想定されている現場ということで、その石綿含有建材につきましては適正に処理されたと聞いてございます。

 

神山委員長

 廃棄物処理のほうですね。

 

秋元係長(環境省)

 はい。

 

小西委員

 今の外山さんの質問と同じなのですが、資料2の文章ですと、2ページのところの、調査の際、移しかえのボード中にaマークのついたスレートが確認されていることから、石綿含有スレートの混入が原因だと書いてあるものですから、スレートということがすごく強調されてしまっているので。それと、上でアモサイトと言っているので、そういったものが種々に混合されているという書き方に直したほうがいいと思うのです。そうしないと、上とちょっと合わないのではないかと思います。

 

中村専門委員

 わかりました。すみません、そこは修正させていただきます。

 

神山委員長

 2ページ目の3番目のパラグラフのところですね。

 

小西委員

 そうですね。確かに現場の写真から見るとクリソタイル様のものもあるのですよね。角閃石系のものも、両方あるみたいですから、混合しているのだと思います。

 

神山委員長

 そうだと思いますね。では、少し修正をお願いします。

 他にありますか。

 

小坂委員

 中村さんにお聞きしたいのですが、委員限り配付の13ページの個人ばく露丸数字3といいますから、その方のフィルターだと思うのですが、直線的な繊維が幾つか、位相差顕微鏡像で見えますよね。こういうのは偏光顕微鏡に切りかえても簡単に判別できると思うのですけれども、それ以外に、アスベストらしき形態で、偏光顕微鏡で確認できなかった繊維というものはあったのですか。たまにそういうのも、細くなるとあるのですけれども。

 

中村専門委員

 確認できなかったというのは、位相差で見えているけれども、偏光にしたときにということでしょうか。すみません、分析自体を私がしているわけではないので。

 

小坂委員

 そういうものがある場合があるのですけれども、セナルモンコンペンセーターというのを使いますと非常に細いものまで確認できるので、以降、もしおやりになるのであれば、そういうものを使うことをお勧めしたいと思います。

 

小林委員

 確認を含めて3点あるのですが、今ちょっと文章の修正という議論があった中村先生の報告文ですが、これはどこかに公表される予定なのですか。

 

富賀見専門官(厚労省)

 会議資料として。

 

小林委員

 会議資料としてということだけなのですね。どこかに、いわゆる報告書の中に載せるとか、論文として出されるとか、そういうのは一切ないのですね。ここの会議どまりということなのですね。

 

富賀見専門官(厚労省)

 会議資料のほうはホームページで公表されるので。また、このもの自体は、本日の修正意見とかを反映したもので……

 

小林委員

 それを直して入れられるということですね。

 

富賀見専門官(厚労省)

 それはそのようにしたいと思います。

 

小林委員

 2点目ですが、今問題になっていた、福島県の No. 12のがれき集積場のところですが、これはフレコンバッグの入れかえ、いわゆる破損による入れかえという作業をしたと書いてあるのですが、この作業をするときに、周辺にシートを張るとかという防止策はとられていない、完全なオープンでやられているのですか。そのような、フレコンバッグの入れかえとか、がれきの移動とかというときに、そういう作業について、周辺にシートを張って防止をするという指導はされていないのでしょうか。それがちょっと気になります。

 3つ目は、環境省側の調査の資料の3のところに同じ地点のデータがついているのですが、このデータでちょっと気になったのは、最後の「作業状況」のところで、5月28日、つまり問題になった数日前のところで「がれき無し」と書いてあるのです。フレコンバッグに入っているものは、がれきとは評価されていないのでしょうか。ちょっとそこのところが気になったのです。その下も、9月のところは「重機2台による焼却物の供給」という書き方をしている。この「焼却物の供給」とはどういう意味なのか、ちょっと気になったのですが。

 

富賀見専門官(厚労省)

 まず1点目、この現場に対する労働基準監督署からの指導の内容といいますか、一般的に、こういう飛散がある場合に、石綿を含んだ可能性のある建材を取り扱う際に養生するというところまでは規制であるわけではないのですけれども、湿潤化であったり、周辺に粉じんが飛散しないようにというのは、いつもワンセットで指導している内容でございますので、この現場についてもそのような指導は、労働基準監督署の立ち入りの際に指導している内容にはなります。

 

小林委員

 この調査をやっているわけですから、そういう調査をする担当者がいたわけですよね。そのときに、そういうことは見逃されてしまっているのかなと、ちょっと気になったのです。

 

富賀見専門官(厚労省)

 この事業で調査をした際の。

 

小林委員

 調査をしているにもかかわらず、養生とかそういうことがやられていないことについての注意勧告とか、そういうのはやらないのかなと。

 

富賀見専門官(厚労省)

 今回、現場で何かしら現場責任者とかとその場で話すような場面というのはございましたか。

 

東北緑化環境保全 ( )

 東北緑化環境保全と申します。測定の際には、一応、マスクの着用ですとか、散水したほうがよろしいのではないかというお話はさせていただいたのですけれども、シートで囲うのは、ちょっとお話はさせていただいておりませんでした。

 

小林委員

 これは以前もちょっと申し上げたのですけれども、飛散しているのが見えていて、調査した結果、数値が出ていますよと。そのコメントとして、飛散が目視されましたと、たしか何回か前のもので言われたのです。そのとき、では、調査をした人間が、そこでそういうことについて注意喚起をしなかったのですかと言ったら、しませんでしたというお話だったので。アスベストの分析調査をやるような専門業者がそういうことについて黙認しているといったらおかしいですけれども、放置しているというのは、ちょっと気になるのです。調査会社として、それぐらいのことは注意すべきではないかなと思うのですが、いかがなのですか。

 

神山委員長

 遠慮が少しあるのですかね。

 

小坂委員

 私、環境省の大気モニタリング検討会の委員をしていまして、毎年、環境省のモニタリングでは10カ所の解体現場の調査をするのです。そのときに必ず検討会の委員が1人以上調査に立ち会うのですけれども、非常に危険な状態というのは間々見受けるのですが、立ち会っている我々には権限がないわけです。その場に権限を持っている自治体の方がおられれば、その人に言って、業者に対して、あれをやめろとか指示できるのですが、我々には残念ながら権限がないわけです。それとなしに話はしたりはするのですけれども、工事はずっと続いていますので、やめて再チェックしようかというような、時たまそういうこともありますけれども、なかなか言いにくいのが実情です。ですから、それを調査会社の方にやれというのは大変酷な話で、どうすればいいのかということは検討すべきだとは思いますけれども、調査のときに必ず自治体に立ち会ってもらうとか、そういうことをすれば自治体の権限でやれるのですけれども、それは検討課題です。調査会社の人にというのは、ちょっと酷な話だと思います。

 

神山委員長

 検討課題ということになりますけれども、小林委員がおっしゃるように、測定していてデータが出たときには、権限があるなしにかかわらず伝えたほうがいいのではないかということですので、今後、その辺を含めてどうしたらいいか、はっきりと決めていく方向で対処していただければと思います。自治体に権限がありますが、自治体の人がその場にいないときに・・・。

 

渡辺課長補佐(環境省)

 自治体なり厚生労働省なり。

 

神山委員長

 厚生労働省とかね。今は電話連絡等ではやっているわけですね。

 

渡辺課長補佐(環境省)
 そうですね。

 

神山委員長

 でも、すぐには停止できないという状況なのですね。

 

渡辺課長補佐(環境省)

 今回の場所でいえば、厚生労働省のモニタリングポイントということで、そこについては自治体が一緒に行っているというのは、現状ではないと思っております。環境省がやっている調査ポイントであれば……、解体現場であれば、情報を連絡させてもらって、協力してもらって現場に立ち会っているということもケースとしてはあろうかと思いますので。今回のようなケースの場合には、厚生労働省から測定結果、そういったデータをいただいた時点の、事後になってしまいますけれども、そういった意味で、速やかに自治体のほうに連絡してもらって、対応を図っているというところでございます。

 

富賀見専門官(厚労省)
 この事業の仕様書になるのですけれども、そこでも、小坂委員のおっしゃったような問題意識は過去にも意見を頂戴しておりまして、その辺の反映として、やはり限界があるのですが、どのように仕様書の中で指示させていただいているかというと、そういった疑いがあった場合に、「現場責任者にその旨を伝達し、可能な範囲で注意喚起する。原則、現場で確認した事実関係の伝達もしくは関係法令等で公に明示されている事項の紹介にとどめ、現場責任者の判断を促すように対応してください」というふうに、現場での対応はそこが、委員がおっしゃるように、権限のない中での限界でございますので、現場では即そういった事実関係の伝達というところをやっていただきながら、速やかに管轄の労働基準監督署に通報ということで、そういった連携でやっております。注意喚起しながら、実際の対応のところは、権限のある監督署のほうから対応する。監督署のほうには、労働局を通じて、この事業でそのような対応が必要となった際にはすぐに対応できるように準備させております。そのように指示をしておりますので、そういった連携で、何とか速やかに対応できるようにということで現状やっているところでございます。

 

小坂委員

 先ほどの環境省のケースですけれども、そのときには、我々、特に集じん機の出口のチェックを自分たちが持っているサンプラー、自動測定器で測定し、濃度が高ければ積極的に関与していくということをしているのです。業者に対して、濃度が高いよ、集じん機を交換したほうがいいですよということを積極的に言っていっているのです。そうすると、割方素直な業者はすっとかえてくれるのです。かなりしつこい人もいるのですが、そういうことはやっています。

 ですから、厚労省の場合、各地域の労基の方に連絡体制とかをつくっておかれたら、怪しいときに調査会社の方がすぐ連絡して、労基の担当者来てもらってという体制をつくっておけば比較的速やかに飛散事故は防げるのではないかなと思うのです。そういうシステムをお考えいただければなと、今話を聞いていて思いました。

 

神山委員長

 この厚労省のほうの問題は、一応、作業はマスクをして作業をしていたということで、その辺では、直接アスベストを吸入した可能性は低いとは思いますけれども、労働局等との連携を密にして、今後、せっかく測っているわけですから、それをできるだけ生かせるように対応をよろしくお願いしたいと思います。

 

小林委員

 ちょっと私が気になって指摘させていただいたのですが、作業をされる方はそれで何らかの対応をされるのでしょうけれども、そこで飛散したら環境汚染につながるわけなので、そちらのほうの視点も考えておいていただかないといけないと思うのです。

 もう1点は、先ほど申し上げたように、これは、調査し分析することが目的なわけではなくて、アスベストの飛散を防止することが目的で議論しているわけなので、そちらのほうが必要だと。だから、私、今、小坂さんが言われるように、調査会社には酷だとは思うのですが、調査をすることについてのそういう意識づけというのが必要だと思うのです。

 ただ、以前にちょっとそれで議論したのですけれども、震災とか被災ではなくて一般の解体調査のときに、それをやって、注意したために、その分析業者は発注者から外されたという例があって、そのために言いづらいという話は聞いたことがあるのです。ただ、その辺については、逆にそういう場合は発注者側を厳しく処分するということを通告してもらえれば行政側がやれると思うので、その辺は十分対応をお願いしたいなと思います。そうしないと、何のためにやっているか、意味がないような気がするのです。

 

神山委員長

 そのとおりだと思いますね。今回も、データを見て高いというのは、その場ですぐわかるわけではなかったかもしれませんけれども、この報告では散水がされていたと。ただ、散水が破れたフレコンバッグに直接当たっていなかったのではないかとか、不十分だとか、原因が考えられるというわけですけれども、現場ではこの辺の散水等が、フレコンバッグから他のバッグへ移すときに、散水が不十分ではないかとか、そういうのは観察されたのでしょうか。

 

東北緑化環境保全 ( )

 現場では、散水は路面にのみ行っておりましたので、がれきには、当日私が行ったときは、散水はされていないようでした。

 

神山委員長

 では、起こり得る状況だったということですね。いろいろ問題がありますので、これらを含めて一つの例として、重要なデータとして、今後に生かせるような対応を考えていただければと思います。特に行政の方々にお願いしたいと思います。

 他に何か御意見はありますでしょうか。

 

( ) 日新環境調査センター

 先ほどの環境省の測定に関して、環境省資料1が測定点ですけれども、今回、がれき処理に関しては、いわき市に関しては測定を行っておりませんでしたので、今回の資料には入ってございません。

 

神山委員長
 小林委員の指摘のは違っていたということですね。

 

小林委員

 ちょっと勘違いしました。

 

神山委員長

 では、先ほどのは修正ということで。

 

外山委員

 さっき私から、これはアスベスト含有建材だけを集めたものですかと言ったら、そうではないということだったのですけれども、委員の方で石巻に行かれた方は御存じかと思うのですけれども、石巻市ですとか多くの自治体では一生懸命アスベスト含有建材を集めて、それだけをフレコンバッグに入れて回収していたという状況があったと思うのです。ですので、今回はたまたま一般の廃棄物ということだったと思うのですけれども、アスベストだけ入っているものも、当然、劣化しているものも出てきているでしょうし、そういったものを移しかえるときは、もっと濃度が上がる可能性もありますので、まだ福島でこういう作業が続くようでしたら、それに関する注意喚起も今後必要になってくるのかなと思います。

 

神山委員長

 その辺、今回は福島ですけれども、過去の青森から始まって宮城、千葉とがれき処理は終わっているということで、もうフレコンバッグの移動はないと考えてよろしいですか。

 

外山委員

 福島以外はないと思います。

 

神山委員長

 それでは、他にもしなければ次へ進みたいと思いますが、いかがでしょうか。はい。ありがとうございます。

 それでは、今の御意見をいただいた点を、直すべきところは直していただいて、報告データの保存ということで進めていきたいと思います。ありがとうございました。

 

(3)東日本大震災アスベスト対策合同会議報告書(案)について

 

神山委員長

 それでは、次の議題(3)ですけれども、東日本大震災アスベスト対策合同会議報告書として、丸4年間やってきたことをまとめてあります。この案について事務局のほうから、環境省、厚労省の順番で説明をいただきたいと思います。

 

渡辺課長補佐(環境省)

 資料にございますけれども、東日本大震災アスベスト対策合同会議ということで、環境省の東日本大震災におけるアスベスト調査委員会、厚生労働省の東日本大震災の復旧工事に係るアスベスト対策検証のための専門家会議、合同会議ということですけれども、その報告書(案)でございます。これまで委員の先生方に御協力いただきながら、平成23年5月の第1回会議から、これまで計13回合同会議を開催してまいりました。

 本日、14回目の会議となりまして、今回は第12次のモニタリング結果を報告させていただいたところでございます。これまで4年間で相当数のモニタリング調査を実施してきたところでございますけれども、厚生労働省との連携はもとより、環境省のモニタリングポイントの選定に当たりましては、各自治体さんから推薦をいただくなど協力をいただいて進めてきたところです。

 各回の合同会議において、調査計画の策定ですとか、調査結果の評価などを実施いただきまして、その検討状況については、両省のホームページでモニタリング調査結果、会議資料、議事録も含めてお示ししてきたところでございますけれども、回を重ねてまいりまして、情報量も大分多くなりまして、今回、これまでのモニタリング結果等を少しまとめて整理したというところでございます。

 環境省分についての概要を御説明したいと思います。

 まず、裏面ですけれども、目次がございます。第1部で「会議のあらまし」、第2部で「東日本大震災被災地における石綿飛散・ばく露防止対策」、第3部で「東日本大震災被災地アスベストモニタリング結果」、それから参考資料となっておりますけれども、資料がモニタリング結果等大分多うございますけれども、きょうはモニタリング結果まで載せさせていただいております。この参考資料には、これとあわせて合同会議の議事録、それから環境省、厚労省で発出した文書を加えたいと考えています。

 まず、「第1部 会議のあらまし」というところでございます。

 経緯でございますけれども、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の被災地における復旧・復興工事等について、石綿の飛散ばく露防止対策の徹底を図るため、環境省においては東日本大震災におけるアスベスト調査委員会、厚生労働省においては東日本大震災の復旧工事に係るアスベスト対策検証のための専門家会議が設置された。平成23年5月以降、数次にわたり両会議が東日本大震災アスベスト対策合同会議として、合同で開催された。本報告書は、第14回東日本大震災アスベスト対策合同会議までの同会議の開催記録、被災地におけるアスベストモニタリング結果等の記録を取りまとめたものでございます。

 環境省の会議の目的ですけれども、要綱から抜粋させていただいています。地震によって全壊・半壊した建築物等の解体及びがれき処理に伴って、アスベストの飛散が懸念されるため、アスベストによる住民等の健康被害や大気汚染防止を図ることを目的として委員会を開催するというものでございます。

 ページをおめくりいただきまして、2番目、合同会議の参集者ということですけれども、これは両会議とも同じ委員にお願いして開催しているという状況にございます。

 次のページの、東日本大震災アスベスト対策合同会議の開催状況です。第1回が2011年5月11日で、これまでの取り組みについてということで、両省からこれまでに実施してきた東日本大震災の被災地におけるアスベスト飛散・ばく露防止対策の取り組みについての説明と、アスベスト大気濃度調査に係る予備調査の結果についてということで、これは環境省が実施したものですけれども、こういったことを議論していただいた。それから、(5)一般環境におけるアスベスト対策の今後の進め方。これは環境省です。(6)がれき処理作業における石綿モニタリングの考え方。これは厚生労働省のものでございます。こういったことを検討してきた。

 第2回でございますけれども、2011年5月30日です。これは現地視察についてということで、宮城県で開催されておりまして、被災建築物ですとか、がれきの集積場の現地視察を行っていただいた後、会議を開催したところでございます。

 それ以降、23年度は計6回の会議を開催しているということでございます。

 4ページでございます。平成24年度に入りまして、第7回~第10回まで4回開催しております。9月には、石巻市内で、先ほど外山委員からもお話がございました現地視察を実施しておりまして、がれきの仮置き場ですとか建築物の解体現場などを視察しているところでございます。

 平成25年度は3回開催しておりまして、被災地におけるアスベスト大気濃度調査結果及び計画、がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等ということで継続的に検討してきたところで、本日、第14回を開催しているものです。

 6ページですけれども、「第2部 東日本大震災被災地における石綿飛散・ばく露防止対策」。1は、環境省が東日本大震災への対応として実施した主な対策ということで、これはこれまでも合同会議で更新して報告させていただいてきたものでございまして、説明は省略させていただきますけれども、11ページまでが環境省の対策、12ページ以降が厚生労働省のものということになってございます。

 続きまして、17ページから「第3部 東日本大震災被災地アスベストモニタリング結果」です。ここが一番大事なところになりますけれども、環境省の実施分ということで、(1)として「測定方法」、(2)で「測定結果のとりまとめ」、(3)で「測定結果の詳細」ということで、各モニタリング結果を添付させていただいております。

 18ページでございます。(1)の「測定方法」ですが、これが実務マニュアルということで、本文のみ掲載させていただいておりますけれども、本実務マニュアルは適切に被災地におけるモニタリングを実施するために、測定箇所の設定、記録の保存方法など細部事項を定めたものであると。

 「測定地点の選定について」ということで、2種類に分類する。(1)被災した住民等へのばく露防止と有する不安の解消の観点から選定する地域ということで、避難所、仮設住宅等の周辺、被災自治体において環境省が毎年実施している地点。(2)として、アスベストの飛散防止の観点から選定する地点ということで、倒壊、半壊または一部破損している建築物等で、解体・改修中の現場。それから、破砕等を行っているがれき処理現場ですとか、がれきの集積場、がれきの破砕等を行っている廃棄物中間処理施設及び最終処分場という形で実施しているものです。

 4で、測定地点における測定箇所の設定及び測定頻度をまとめておりまして、ページをおめくりいただきまして、21ページには、6として分析方法というふうにお示ししております。

 (1)が位相差顕微鏡法による総繊維数濃度の計数についてということで、全ての検体をマニュアルで規定している位相差顕微鏡法で総繊維数濃度を計数すること。

 (2)で、位相差/偏光顕微鏡法による確認について。総繊維数濃度が1f/Lを超過した場合は、マニュアルこれは環境省のモニタリングマニュアルですけれどもに規定している位相差/偏光顕微鏡法によるアスベスト総繊維数濃度の確認を行うこと。

 現行のマニュアルの分析方法ですが、位相差顕微鏡法で見た後で電顕という形になっているのですけれども、電顕の場合、どうしても結果が出るまでに時間がかかってしまうということがございます。このため、マニュアルの参考資料に紹介しております迅速測定法でございます位相差/偏光顕微鏡法を活用しているということでございます。

 少し話はそれるのですけれども、この位相差/偏光顕微鏡法の結果、かなりこちらのモニタリングでデータも集まりましたので、その結果を整理しまして、別の検討会、大気濃度検討会ですけれども、その中でも、位相差/偏光顕微鏡による分析方法について、今、議論を深めているところでございまして、石綿繊維の割合で見ると、位相差/偏光顕微鏡で見た場合、それから電子顕微鏡で見た場合、割合という形で見ると、よい相関がとれているということで、有効なデータが出られたのではないかと思っておりまして、引き続き検討していきたいと考えています。

 22ページでございますが、(3)電子顕微鏡法によるアスベストの同定についてということで、総繊維数濃度が10f/Lを超過した場合及び必要と認められる検討は、分析走査電子顕微鏡法によりアスベストの同定を行うこととしております。

 続きまして、24ページに測定結果の取りまとめをまとめてございます。

 まず、環境省による予備調査ということで、調査地点ですけれども、宮城県、福島県、茨城県内において、津波による被害が甚大な地点、津波による被害がないもの、地震により建築物が倒壊・半壊している地点、避難所の周辺、がれき集積場のいずれかの条件を満たす15地点を選定して実施しました。

 この分析方法ということで書いてありますけれども、少し予備調査と本調査で違ったところがございましたので、少しつけ加えております。丸数字3調査結果、予備調査の結果ですが、予備調査は、震災発生直後の平成23年4月に行っております。がれき集積場を含む全ての地点において、大気中の石綿濃度は通常の一般大気環境とほぼ変わらなかったが、被災地が乾燥していることや、がれき処理及び建築物等の解体作業が本格的に始まること等を考慮すると、さらなる石綿の飛散防止・ばく露防止対策を図る必要があったということで、環境省においては、防じんマスクの着用の周知を図ってきたところです。被災した住民等への石綿のばく露防止と、被災した住民等が有する不安への対応を図るため、石綿大気濃度調査に関して委員会を設置するとともに、引き続き石綿大気濃度調査を実施することとしたということです。

 2つ目として、環境省による本調査です。調査は、青森、岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、千葉の8県で行うこととしたということで、福島県以外の県からは、平成25年度末でがれき処理等がおおよそ完了するとの報告を受けておりましたので、平成26年度、今年度ですけれども、福島県のみを対象に行ったということでございます。

 調査地点については、合同会議において8つに分類しまして、この分類に基づいて、各県から推薦された地点を調査することとしたということで、30ページを見ていただくと、表1に「調査地点分類一覧」ということで、きょうのモニタリング結果の中でも御説明がありましたけれども、このような分類の中でやりました。

 表2に「各調査実施期間における調査分類毎の調査地点数」ということで、第1次~第12次まで実施してきております。ごらんいただくとおわかりかと思いますけれども、(1)の丸数字1、避難所、仮設住宅等の周辺の部分が、第1次から横に見ていっていただくと、38、30、35ということで、合計794地点ということで、全体で1,808地点の4割強をこの地点で実施しています。次に、もう1つ多いのが、(2)の丸数字3のところでございますけれども、破砕等を行っているがれき処理現場及びがれきの集積場ということで、ここは合計で606件ということで、3割強行っています。また、アスベスト含有建築物の解体・改修中の現場についても65地点で実施したというところでございます。

 25ページにお戻りいただいて、真ん中ほど、丸数字3調査結果概要です。23年6月から27年2月まで、12次にわたり石綿大気濃度調査を行いました。調査分類ごとの調査地点数は、先ほど御説明した表2のとおりでございます。

 調査結果、以降説明することは、これまでの会議で御報告したものを取りまとめた形になっており、各避難所、仮設住宅等の周辺という形での取りまとめ、それから分類ごとに、イであれば、被災自治体において環境省が毎年実施している地点ということでまとめております。

 26ページのウの、倒壊、半壊または一部損壊している建築物等(アスベスト含有のビル、マンション、学校、病院等)で解体・改修中の現場ということですけれども、先ほど御説明のとおり65地点で行っておりまして、測定は主に敷地境界の2カ所、セキュリティゾーン出入口、集じん・排気装置の排気口で実施しております。総繊維数濃度が1f/Lを超過した調査地点は21地点ございまして、うち総繊維数濃度が10f/Lを超過した地点は9地点ございました。また、位相差/偏光顕微鏡法または電子顕微鏡法により計数した結果、石綿繊維数濃度が1f/Lを超過した地点は15地点ございまして、うち10f/Lを超過した地点は7地点ございまして、これは表7、33ページにまとめてございます。

 33ページをごらんいただくと、これは7地点まとまっているのですけれども、中央環境審議会の石綿飛散防止専門委員会の中間報告の参考資料にもこの7事例は飛散事例としてお示ししているものでございます。御承知のとおり、平成25年6月の改正大防法が公布されましたけれども、改正の背景にはこういった事例が確認されたということも一つにございます。見ていただくとわかるのですけれども、原因の多くが、集じん・排気装置の不具合ということが推定されてございます。

 26ページにお戻りいただきまして、これらの事例については、いずれの場合においても、環境省が石綿の漏えいの可能性があることを確認した時点で速やかに現場を所管する地方公共団体に連絡いたしまして、事業者に対して注意喚起等が行われております。

 また、これらの事例も踏まえて、平成26年5月7日に大気汚染防止法施行規則が改正され、6月1日から施行されておりますけれども、これによりまして、集じん・排気装置の正常稼働確認や負圧の確認が義務づけられたということになっております。

 以降につきましても、それぞれの分類ごとに取りまとめをさせていただいているところでございます。

 あと、28ページの一番下のところでございますが、地方公共団体による調査ということで、地方公共団体が独自に行って、合同会議において報告された大気濃度調査結果も表8~表11のとおり取りまとめてございます。報告されたもののうち、総繊維数濃度または無機質繊維数濃度が1f/Lを超過した調査地点は延べ99地点ございまして、うち総繊維数濃度または無機質繊維数濃度が10f/Lを超過した地点は1地点ございました。また、石綿繊維数濃度が1f/Lを超過した地点は7地点ございまして、うち石綿繊維数濃度10f/Lを超過した地点は1地点ございました。

 31ページ以降を見ていただくと、これまでこういう示し方はさせていただいていなかったのですけれども、各年度ごとに調査地点、分類ごとに総繊維数濃度と幾何平均濃度、それから濃度の範囲ということで、モニタリング結果だけあってもなかなか見づらいかということもございますので、こういった形で分類、整理させていただいたところです。

 それ以降のページには、個別のモニタリング調査の結果、詳細ということで添付させていただいているところです。

 環境省からは以上でございます。

 

富賀見専門官(厚労省)

 では、続けて厚生労働省分のほうを説明させていただきたいと思います。

 この報告書の概略は、環境省からまとめて説明していただいたとおりでございまして、この報告書の位置づけ自体、この会議をこれまで、今日も含め14回開催してきた記録資料ということですので、当然、附属資料としては、これまでにこの会議で提出された資料、基本的にはそれも全てということになりますし、例えば、年表形式で、いろいろと取り組んできた内容を会議資料で毎回更新されてきたようなものを今回総括して取りまとめたものなどがあったり、基本的にはそのような作りになっておりますので、新たに書きおろす部分というのは、厚生労働省のほうの資料としては基本的にございません。先ほど渡辺補佐から説明があった分、環境省のほうはモニタリングの生データだけでも200ページぐらいあるので、そういう意味で、今、渡辺補佐から説明があったような内容は新たに書きおろして、今回、全体の総括ということでまとめたところの説明があったのだと思うのです。

 では、厚生労働省のほうは、モニタリングのところはどういう構成になっているかといいますと、212ページ以降になります。まず構成のほうだけ説明しますと、212ページの(1)が「測定方法」ということで、213ページ以降数ページにわたって、この会議でもいろいろと御知見をいただいて、こういう形でモニタリングしていくというのを決めて、その仕様に従って、以降、厚生労働省のモニタリングをやっているのですけれども、その仕様書の抜粋がまずついてございます。

 後ほどまた軽く触れますけれども、構成でいいますと、221ページ以降が、(2)にある「23、24、25、26年度の測定結果」ということです。厚生労働省のほうは、このように生データも、毎年、その年度の最後に、例えば221ページは23年度の分ですが、簡単に、こういう概略取りまとめたものを表紙につけつつ、その後ろにデータがつながるという資料構成で提出させていただいてきています。24年度が229ページからですけれども、同じ様式で、測定した県と、どういった内容、がれき、解体がどれだけだったかとかいうふうな構成で取りまとめております。生データは、その年度、年度で、237ページに25年度があって、26年度の分も245ページに生データと今日ちょっと説明した31現場の概略を表紙に挟みつつ、このように整理した形でお示しさせていただいております。249ページ以降ですけれども、毎年度、研究所の中村専門委員のほうで、調査の結果、その年度分の内容を分析して取りまとめていただき、会議資料としてこれまでも提出してきたものが毎年度分ございますので、それ以降、年度、年度で資料としてついているわけでございます。265ページに25年度分がございまして、277ページからが26年度分。これは、先ほど厚生労働省資料2で説明したものになりますが、こういう形になるのですということで、ここにも挟み込んでおります。

 このように、毎年度分、このような取りまとめが資料として、既にございますので、これをこのように並べて整理させていただいているというのが基本的な構成でございまして、新たに書きおろすべきものは基本的にないのですが、報告書ということで今回取りまとめるに当たって、285ページだけ、ごく簡単に、これまでの4年分を中村専門委員に、見やすいようにデータ整理してもらったものがございます。これは最後にまた中村専門委員にバトンタッチして、ここだけ軽く紹介していただこうと思います。

 構成はそのようになっております。既存の資料を並べ直し、わかりやすく、記録資料として整理しているものでございます。

 内容も、212、213ページに戻っていただいて、厚生労働省のほうの測定、モニタリングの方法ですが、委員の皆様に検討いただいて、お知恵をいただきながら、今の測定方法となっております。例えば214ページ以降を見ていただくと、厚生労働省のほうは、まず測定は、「定点モニタリング」と「個人サンプラーによるモニタリング」の2種類を行う。2種類共通の内容として、測定時間は、「作業開始から90分」ということで、「90分未満の場合は45分」であるとか、あとは流量も「1L/分」ということで数字を定めております。2種類それぞれの内容として、イの定点モニタリングですとどういったことかというと、がれきの現場、解体の現場を対象に、(カ)にあるように、デジタル粉じん計で並行して濃度測定を行うことにしているとか、ウの個人サンプラーによるモニタリングですと、これはがれきの作業に対して実施するものですけれども、(イ)にあるような、「屋外作業の作業環境管理のガイドライン」、厚生労働省の通達であるような手法で基本的に行うというふうに決めてやっております。

 次の216ページで、「計数の実施方法」というものも、いろいろ御議論いただいて、このような形になっております。基本的には、日本作業環境測定協会のガイドブックのやり方でやりますということ。あとは、これも御議論いただいたものになりますけれども、イの(ア)にあるように、総繊維数濃度(f/L)も3、30というところで、3を超えた場合は偏光顕微鏡で同定をやっていただくとか、30を超えた場合は、次のページにあるように電子顕微鏡とか、こういったやり方を、この会議の場でずっと御議論いただいて確立して、モニタリングをやっているという現状ですので、報告書としては、冒頭に、このような測定方法を、この会議の記録、成果として掲げさせていただいて、後は実際の測定結果、データが続いていくという構成で資料を調えております。

 先ほどちょっと触れました、厚生労働省の4年分のモニタリングの結果を今回1つの資料にまとめていただきましたので、その部分を、中村先生にバトンタッチして、説明いただきたいと思います。

 

中村専門委員

 それでは、まとめたものについて説明させていただきたいと思います。

 平成23年から4年間ということで、厚生労働省の調査としてはモニタリング、平成23年度と24年度はそれぞれ100カ所、平成25年度は85カ所、平成26年度は福島県を中心に31カ所、合計しまして314カ所の作業場所で調査が実施されました。これをまとめたものが、資料の287ページ、A4になってしまって、ちょっと字が小さくて申しわけないのですが、こちらに表1、表2という形でまとめてございます。

 表1のほうですが、現場件数の合計が「230」となってしまっているのですけれども、表をつくるときに、合計は、本当は314と本文中にあるとおりなのですけれども、その後に注書きということで※をつけて1と振ったときに、エクセルの計算でそういう数字ではなくなってしまったようで、「230」という数字になってしまっているのですが、これは84が抜けてしまっていて、申しわけございません。正しくは314件になります。すみませんが、後で資料のほうはこちらできちんと直します。

 続きまして、測定の総数としましては、それぞれの箇所で数カ所やっておりますので、全部で1,154点。それぞれの内訳は表1にあるとおりで、建築物解体(隔離有・無)、がれきの集積作業、廃棄物処理作業、それぞれでこのような数になっています。

 表1のほうでいきますと、その後、石綿検出件数とありますが、これは電子顕微鏡もしくは位相差/偏光顕微鏡法により石綿が1本でも確認されたものがあれば、それを全て数え、そういうものを数えてみますと105点ほどありました。その中で、石綿の検出件数として、1L当たり10本以上のものが、表1の一番右にある数になります。

 合計で、10f/Lを超えたものが16点あったのですが、まず建築物解体の中で、石綿が使われていることが確認されて、養生されて、除去作業が行われていた現場で13カ所、石綿繊維数濃度が10f/Lを超えた現場がございました。

 この数に関してですけれども、平成23年度の宮城県 No. 3というところで飛散の事例があった際に、そこの再調査としまして、宮城県 No. 15及び No. 20で、同じところで調査をしておりまして、これは一般の解体と違って、1回漏えいがあった事例の後の確認のためということで、今回、これもまぜてしまうと、どういう現場かというところで、普通の解体現場とは違うということなので、この2件は除いて数えております。それを除くと84の現場で13件の飛散事例があったということになります。

 また、隔離をせずに解体作業が行われていた現場が64カ所ありましたが、そのうち2カ所で石綿の繊維数濃度が10f/Lを超えていたところがありました。また、がれき集積作業においては157カ所で調査が行われたのですが、そのうち1つの現場で10f/Lを超えておりました。

 続きまして、石綿繊維数濃度が10f/Lを超えた事例に関しまして、どのような概要だったかをまとめたものが表3になります。それぞれの年度の現場と、そのときの作業、それから作業内容がどういうものであったかを簡単にまとめております。また、その測定の位置と濃度、10f/Lを超えた位置とそのときの濃度、アスベストの種類をまとめた表になります。推定される原因に関しても簡単に書かせていただいております。

 また、表4には、それぞれの作業において、どの測定位置で10f/Lを超えていたかという形でまとめさせていただいております。表4を見ますと、建築物解体作業でいいますと、排気口で5点、前室の入り口のところで10点、定点で2点超えています。1つの現場で複数超えている場合もあるので、点数としては合計すると13を超えるのですが、このような形になっています。調査地点に関しましては横に書いてあるとおりです。

 表4の中で、次に、解体(隔離無)のほうでいうと個人ばく露で2点、がれき集積のほうでも個人ばく露で1点あったということになっております。

 それぞれの現場の原因に関してですが、主な原因としは、負圧が不足であったということや、作業員の退出時の持ち出しによると推定されるものが多くありました。ただ、前室の入り口に関しては、限られた情報の中で原因の推定の難しいものも多くありました。また、集じん・排気装置で超えた原因としては、集じん・排気装置の不具合であろうということが考えられます。

 また、隔離有のところで、定点で2点超えているのですが、いずれも同じ現場の前室入り口のところで10f/Lを超えておりますので、その影響を定点でも受けていたと考えられます。

 一方で、排気口、前室、それぞれ1点ずつ入っているのですが、平成23年度宮城県 No. 3の事例では、隔離の外にまだ石綿が使用されていたのですが、それを見落として作業を行っていたため、そこから飛散したと推定されておりまして、その影響を前室及び排気口でも受けていると考えられまして、これは事前調査の不備が原因と言えると思います。

 最後、表5ですが、隔離有の解体作業について10f/Lを超えた事例について、どのような建材を扱っていたところかについてまとめました。吹付け材が一番多く、次に断熱材、それから、先ほどからお話ししております宮城県の例では、隔離の外にあった吹付け材が原因と考えられます。また、成形材が原因と考えられる現場が2件ありました。

 以上のように、建築解体作業におきましては、隔離有の石綿除去作業において、負圧の不足や集じん・排気装置の不具合、また、作業員の退出時の持ち出し等により隔離内からの漏えいが主な飛散の原因と推定されております。また、事前調査の不備による飛散事例なども見受けられました。隔離養生無の解体作業では、石綿含有成形材の破砕等によって発じんしてしまったために飛散したと推定されます。

 これらの調査結果も踏まえまして、平成26年度に石綿障害予防規則の改正がありまして、また、「建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」というのも26年度に、もともとあったものが名称も変わって新しく制定されましたし、それについてのマニュアルもできているところです。

 この趣旨としましては、被災地で今回の調査は行われておりますが、それ以外の全国で行われている解体作業においても同じようなことが起こり得るということも含めまして、適切な措置の徹底を図るために、留意事項について規定しております。

 今後は、これらの措置が現場で適切に実施されるように周知徹底していくことによって、漏えいが減らせるのではないか、そのことが重要ではないかと言えます。

 また、がれき集積作業におきましては、破損したフレコンバッグからの移しかえ作業を行っていた測定点で1L当たり10本を超える石綿が測定されました。それ以外のところでは、ほぼ石綿飛散はありませんでした。

 今回、石綿の飛散が少なかった要因の1つとして、疑わしいがれきを目視によって確認して、集積場に持ち込ませないようにしていたことが有効であったと考えられます。ただし、今回の事例でもありましたように、全てのがれきについて、含有を入り口でチェックすることは不可能であると思われます。ですので、入り口のチェックだけではなく、まず作業をしているそれぞれの段階で、含有建材により一層の注意を払う必要があったと考えられます。

 また、ばく露防止の観点からは、予防的措置でもありますし、それ以外の粉じんも多く飛んでいる現場もありますので、そういうものによるばく露を抑制する意味でも、石綿含有建材に限らず、疑われる建材を扱う際には、きちんと防じんマスクをつけていただくことや、湿潤化を徹底していくことが重要であると言えると思います。

 以上です。

 

富賀見専門官(厚労省)

 ありがとうございます。厚生労働省の報告書の構成並びに内容、新しく加えた内容を今説明いただきましたけれども、そのようなものになっております。

 では、委員長、よろしくお願いいたします。

 

神山委員長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいま環境省及び厚労省から報告書(案)として説明をいただいたものについて御意見やコメントがありましたら、よろしくお願いします。

 

小林委員

 書きぶりだけで申しわけないのですけれども、まず1つ目が、3ページからの環境省側の合同会議の開催状況を書いておられるのですが、後の文章のところは全部平成何年と書いてあるのですけれども、ここだけが「2011年」と西暦になっているのです。測定データは全部西暦で書いてあるので、これは直す必要はないかと思うのですが、2010何年、ここだけ直されたほうがいいと思います。

 

神山委員長

 「平成」を追加でいいですか。

 

小林委員

 追加でもいいし、置きかえてもいい。というのは、後の文章のところが全部平成で書いてあるのです。

 もう1点。これは環境省の文書の中ですけれども、1つは27ページの一番初めの行で、「平成26年5月7日の大気汚染防止法施行規則の改正」と書いてあるのです。これ以外は改正をやっていなかったでしょうか、大気汚染防止法も含めて。もしあったら、それを記述しておいたほうがいいのかなという気がします。これは後の追加ということで。

 もう1点。29ページですが、これは最後だったので気になったのです。3行目のところに「なお、採取した試料は」云々と書いてありますが、「採取した試料は」という主語と後の文章が合っていないのです。主語が違っていると思うのです。

 そこだけです。

 

神山委員長

 ありがとうございました。

 他にありませんでしょうか。

 

外山委員

 これは非常に貴重な資料だと思います。貴重な測定データだけということではなくて、測定とか調査の過程で発生した問題を解決するための通達、通知も出されていますし、この調査結果が大気汚染防止法の改正ですとか石綿障害予防規則の改正につながっていったということだと思うのです。これだけの包括的な調査がこれまでやられてきていなかったと思うのです。ですので、さまざまなことが明らかになっていったのだと思うのです。

 ですので、これは私のコメントで、報告書に入れてくれということではないのですけれども、今後ぜひ、この国による調査、こういったことは続けていく必要があるのかなと思います。この調査でわかったことが非常にたくさんあると思うのです。ですので、ぜひこれは2つの省庁にお願いしたいという、私のコメントです。

 もう1つは、これもコメントですけれども、枠組みということです。この委員会は環境省さんと厚労省さんでやられてきて、私は先日、環境省さんにお寄りして、1つ提案をさせていただいたのです。それは何かというと、各自治体が解体工事を発注して、がれきの処理をやったわけです。どれだけアスベスト含有建材が発生したのか、あるいはそのための費用がどのぐらいかかったのかというデータは非常に貴重だと思ったので、そういう調査をやっていただきたいということをお願いしにいったのですけれども、これは環境省の中でも廃棄物の担当だということで。それはそうだと思うのです。当然そういうことになると思うのですけれども、その後、廃棄物のほうにもお願いしにいったのです。

 そういう意味では、アスベストの問題というのは廃棄物の問題も当然絡んできますし、あと、今回、私たちが独自に調査して感じたのは、調査の段階も非常に重要だと。アスベスト含有建材がどのように使われて、どのように飛散したのかというところも大変重要だと思います。それに関しては国交省さんになるのでしょうか。今、国交省さんのほうで始まっているのは台帳整備ですとか、そういった方向に今進んでいますし、被災する前にアスベスト含有建材を調べておくという取り組みも始まっていますので。今後、震災は起きると思うのです。ですので、次にこのような委員会を開かれる場合には、そういう大きな枠組みで。アスベストの問題は包括的だと思うのです。調査、分析、管理、除去、廃棄まで含めてくるので、ぜひ枠組みを広げて包括的な取り組みを進めていただきたいと思います。

 

神山委員長

 ありがとうございました。

 

小林委員

 今のに追加ですが、今、外山委員が言われたようなことで、これをベースにして、今言った大気汚染防止法の改正とかという方向に動いたと思うので、そのようなことを環境省の最後の文章の、29ページの後にちょっと記述していただいたほうがいいのではないかという感がします。これだけ実績があったという報告があったら大変よかったなと思いますので、ぜひお願いします。

 もう1点。さっき同じように外山委員が言われた費用問題ですが、これは言われたとおりで、私も大変気になっていたのです。阪神大震災のときの建物の解体、公費解体、それからがれき処理に関して、アスベスト除去に関するお金は補助対象にならなかったのです。これは大変もめまして、最終的に、補助対象にしてくれなかったので、裏で相当割増をやって、処理費用は単価が高いと文句を言われながら、実際に会計検査院に大分指摘を受けながら、単価を高くして、ごまかしてやったという例はあるのですが。それが前提になって、今回の東日本大震災では、たしかがれき処理の中にアスベスト除去費用が含まれたと思うのです。その辺のこと、もし金額が出せるのであればぜひ出していただきたいし、出せないとしても、何かそういうことが書けたら一番いいなという気はします。

 

神山委員長

 わかりました。その辺は少し考えていただくとして、先ほど、外山委員のデータの保存について、こういった貴重な測定データを長く残していく意味で私も賛成なのですが、予備調査というのをやっていましたね、説明文でも入っているのですが。 2011年の4月 の段階で環境省は予備調査をやっているのです。そのデータがあったと思うのですが、これには30ページの表2に、第1次~12次までのデータをまとめてありますが、予備調査の結果も一番最初のところに入れておくことが重要かなと思うのです。特に4月ですから、3月11日発生から1カ月ぐらいで測定した結果で、真っ先に測定した結果という意味もありますので、予備調査結果は入れておいていただきたいと思います。

 それと、さっきと同じような話になりますが、厚生労働省の資料は、コピーのコピーなのか不鮮明ですので、これをきれいなものに差しかえできないものでしょうか。

 それと、先ほど言いましたように、「偏光顕微鏡」という表現は全て位相差/偏光顕微鏡に修正してください。

 

小西委員

 285~286ページの文章ですけれども、環境省の文章の最終的なまとめのところと合わせるのであれば、286ページの2番目のパラグラフが最後に来たほうがいいのではないかという気がするのです。最後のところに、またフレコンバッグの云々というのが出てきているので。というのは、2つ目のパラグラフに、環境省と同じで、平成26年、石綿障害予防規則の改正だとか、それをもとにしてマニュアルをつくったというのがあるので、それを最後のほうにそろえたほうがいいかなという気がします。

 それから、285ページと286ページのところで、途中までは「石綿繊維数濃度が10f/L」と、全部「石綿繊維数濃度」と入っているのですが、途中から全部「10f/L」になってしまっているのですね。「石綿繊維数濃度」というのが抜けてしまっているので、これは入れておいたほうがいいと思います。

 それから、286ページの3つ目のパラグラフの中に「石綿総繊維数濃度」と書いてあるのです。これは「総」は要らないだろうと思います。

 ちょっと入れかえていただいたほうが、環境省のほうとうまく対応がとれるかなという気がします。

 

神山委員長

 それから、ついでに、先ほど小西委員が指摘した286ページの最後のパラグラフのちょうど真ん中あたりに「実際10f/Lを超えた測定点においては、調査時にがれきに石綿含有スレートが混入していたことが報告されている」と書いてありますが、これはちょっと誤解を招くのではないか。これも先ほどの修正に連動して直しておいていただければと思います。

 

小坂委員

 同じ285ページですが、中ほどに、養生隔離した場合と、隔離をせずに解体作業が行われた現場ではと2つあるのですが、隔離をせずに解体された現場2カ所で漏えいがあったというのは、事前調査が不十分であったのか、ちょっとその辺がよくわからないので、隔離をせずに解体されたというのを具体的にもう少し書いたほうがいいのではないかと思います。隔離をせずに、なぜそうしたら出てきたのかというのが、ちょっとこれだけではわからないので。

 

神山委員長

 必要ないからしなかったのか、知らないでやったのかということですね。

 

小島委員

 同じく関連ですけれども、厚生労働省さんのまとめ方の中で、例えば、23年度、221ページでモニタリングの結果概要とありまして、「測定結果」のところに6現場とだけ書かれ、結果は別添に示すと、23年度~26年度までそういう書き方になっているのですけれども、先ほどの御指摘のように、中村先生のところの288ページを見ればわかるよということなのかもしれませんけれども、資料のまとめ方としては、この概要のところに、せめて、どういう場所だった、それから、隔離無というのはどういう解体現場だったと書かれておいた方がいいと思います。見ると、手作業による個人モニタリングの測定結果なのですよね。ばく露した、発じんしたというのは、表をよく見ればわかりますが、それを文章だけ読むと10f/Lを超えていましたという結論になってしまうので、23年度、24年度、それぞれの結果概要のところにまとめてあったほうがわかりやすいのではないかと感じました。

 

神山委員長

 平成23年度は中村専門委員のまとめたものはないのですね。24年度からまとめたわけですね。24年度からのものが249ページに入っているのですが、これを各年度の後ろにそれぞれ挟み込むような形のほうがわかりやすいということですね。

 

小島委員

 結果概要のところに、せめて、別添資料とだけ書かれると、縮小された全体のデータをどうそしゃくしてどう見るのかというようなところまでが、公表された場合も、ちょっと見にくいのではないかということもあります。先ほどのお話と重複しますが、隔離無というのは、どういう現場で、どうだったのだというところは、重要なポイントなので、少し加筆されたほうがいいのではないかと思います。

 

神山委員長

 確かに見にくいですね。表があって、また説明文があって、その後ろにまた表が来てということになっているから、関係性がちょっとわかりにくいので、今、小島委員がおっしゃったように、もう少しわかりやすく並べかえていただき、あるいは23年度必要のまとめを、今からでも書いていただくとか、できるだけ見やすいようにしていただきたいと思います。

 

藤吉委員

 大変貴重なデータですけれども、数表ばかりという感じがいたしまして、サンプリングのときに、サンプリングポイントをどう設定したかというのを少し絵で紹介されていたほうがいいのではないか。代表的なもので結構なので。風向の関係とかでどう地点を選ぶかというのは大変気を使いますので、そういう意味では、サンプリングポイントの平面的な配置を描いたような図があると非常に参考になるのではないか。

 

神山委員長

 両省ともですか。

 

藤吉委員

 ええ。健康被害のほうの厚労省とも環境省は狙いがまた違いますからね。環境と作業粉じんの関係ですから。その2つはあったほうがいいのではないかと思います。

 

神山委員長

 たしか記憶では机上配付で図などがあったと思うので、その辺から抜粋するような形で代表的なものを載せれば、載せられると思いますので。

 

藤吉委員

 それから、23、24年あたりに、デジタル、リアルタイムの粉じん計でアスベストを測ってみようということを少しやったりしたわけですけれども、ある程度その成果を載せておいたほうがいいのではないか。限界はあるにしても、このぐらいまでは使えるとかという話が少しは残っていたほうがいいのではないかと思います。

 

神山委員長

 今のは、先ほど小林委員からも御指摘のあった大気汚染防止法の改正にも関係するデータとりもやっているわけですね。ですから、それらを含めて、どこかにまとめた章を、別立てでも記載していいですね。それから、厚労省のほうでは大変重要なモニタリングを行ったと思うのです。名古屋委員、他の専門委員の御努力で、屋外作業場における作業環境管理に関するガイドラインを参考に、214ページ、215ページに書いてあるような方法で行いましたので、先ほど藤吉委員がおっしゃったように、代表的な場所とか、位置関係がある程度わかるような図示をするというのは、今はまだ委員の皆様は頭の中に入っていると思いますが、5年、10年するとわからなくなると思いますので、これも図解しておくことは大事だと思いますので、よろしくお願いします。

 他にないでしょうか。

 

小林委員

 今ちょっと言われていて私も気がついたのですけれども、285ページの3つ目のパラグラフのところですが、「石綿が飛散した事例は、ほとんど建築物解体作業であり、特に隔離養生から漏えいしたと推測される事例が多かった」。このように書かれると、建築物の解体作業で、隔離養生したほうが飛散したように読めてしまうのです。表現だけの問題ですけれども、ちょっとその辺注意していただいたらどうかなと。

 それから、先ほど、順番をひっくり返したらどうですかと御指摘があったのですけれども、私、これを読んでいて、中村先生の文章の書きぶりの1つの癖だろうと思うのですけれども、結論が先に書かれていて、後でその解説が書かれているのです。行政屋の文書というのは、大体、前提を書いていって、結論が最後に書いてあるのが行政屋の書きぶりなのです。そういう点で、ちょっとそういう誤解が生じるような文案があちこちに散見されるので、できたら一度見直していただいたほうがいいかなと思います。

 

神山委員長

 できるだけ今のご意見を参考に、直せる範囲でわかりやすい方向に直していただければと思います。その辺また中村専門委員、よろしくお願いします。

 他はいかがでしょうか。

 それでは、御意見をいただいたものをできるだけ盛り込んで、わかりやすく、また、長く残ると思いますので、修正してください。

 この後、修正後、本合同会議の記録資料として、ホームページに公表する予定になっているようですので、もしお気づきの点等がありましたら、会議後でもまだ間に合いますので、事務局、環境省、厚労省のほうにそれぞれ意見を出していただければ助かりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上で(3)、報告書(案)の審議が終了したということにさせていただきます。

 

(4)その他

 

神山委員長

 (4)の「その他」ですけれども、事務局、何かありますでしょうか。

 

富賀見専門官(厚労省)

 いえ、特にございません。

 

神山委員長

 それでは、以上できょうの予定の議題は終わりました。ご協力大変ありがとうございました。あとは事務局にお返しいたしますので、よろしくお願いします。

 

富賀見専門官(厚労省)

 本日は貴重な御意見を委員からいただきまして、本当にありがとうございました。

 事務的ですけれども、本日の議事録については、また各委員に御確認いただいた上で、資料の修正なども本日御指摘がありましたので、そういった修正をした資料とともに、いつものように、厚生労働省、環境省双方のホームページ上で、最終的に確認がとれたものを公開するという手続にさせていただきたいと思います。

 次回以降の会議の開催は、またモニタリング調査の状況等も勘案して検討したいと思っております。

 それでは、本日の合同会議はこれで閉会したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)
<厚生労働省>

労働基準局安全衛生部 化学物質対策課 富賀見

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