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2015年5月28日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成27年5月28日(木)17:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(11名)五十音順

庵 原 俊 昭、 奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
菊 池   嘉、 鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、 田 島 優 子、
中 島 恵 美、 森 田 満 樹、◎吉 田 茂 昭
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(10名)

○新 井 洋 由、 大槻 マミ太郎、 清 田   浩、 田 村 友 秀、
濱 口   功、 半 田   誠、 前 崎 繁 文、 増 井   徹、
山 口 拓 洋、 山 本 一 彦

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森   和 彦 (審査管理課長)
宇 津   忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
武 田 康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催いたします。本日は蒸し暑いところ、先生方にはお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。

 本日の委員の出席についてですが、新井委員、大槻委員、清田委員、田村委員、濱口委員、半田委員、前崎委員、増井委員、山口委員、山本委員より御欠席という連絡を頂いております。現在のところ、当部会委員数21名のうち11名の委員の御出席を頂いておりますので、ぎりぎりですが定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 昨今、利益相反に関係します調査に、先生方には大変御負担をお掛けして、種々御協力いただいております。当方の調査の仕方がかなり粗いところもありまして、御迷惑をおかけするようなことも幾つかあって、大変申し訳ないと思っておりますが、先生方の御協力によって、今どうにか一通りの確認が終わっている状況です。集計、確認等をやっていますが、それが終わり次第、報告させていただくことになると思います。そのような状況ですので、まずはここまでの御協力に感謝を申し上げ、いろいろな不手際がありましたことについておわび申し上げたいと思います。

 吉田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 本日の審議に入りたいと思います。

○鈴木委員 定足数ぎりぎりということですが、途中で誰かお一人退席されると、どうなるのでしょうか。

○審査管理課長 その場合は定足数を満たしていない状態での議決はできませんので、そうした事態になりましたものについては、本日の審議では完了できないということになります。もし、諸事情で早めに退席をする必要があります委員の先生がいらっしゃいましたら、御教示いただければと思いますが。

○鈴木委員 19時までは大丈夫なのですが、それで大丈夫でしょうか。

○審査管理課長 ここは部会長によろしくお願いしたいと思います。

○吉田部会長 全力を尽くしますので、よろしくお願いします。それでは、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1から資料15については、あらかじめお送りしているところです。このほかに、資料16「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料17「専門委員リスト」、資料18「競合品目・競合企業リスト」、資料19-1「ハーボニー配合錠 アミオダロンとの併用に関する医療関係者向け資材()」、資料19-2「ハーボニー配合錠 アミオダロンとの併用に関する患者向け資材()」を配布しております。

 続きまして、本日の審議品目に関する競合品目・競合企業リストについて報告いたします。資料18の1ページです。オラネジン消毒液1.5%他2規格ですが、本品目は手術部位の皮膚の消毒に係る予定効能・効果となっており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページのゾシン静注用2.25他2規格ですが、本品目は発熱性好中球減少症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページのハーボニー配合錠ですが、本品目はセログループ1のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に係る予定効能・効果となっており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページのプラケニル錠200mgですが、本品目は皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデスを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページのオフェブカプセル100mg他1規格ですが、本品目は特発性肺線維症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 6ページのアコアラン静注用600ですが、本品目は先天性アンチトロンビン欠乏に基づく血栓形成傾向等を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページのヤーボイ点滴静注液50mgですが、本品目は根治切除不能な悪性黒色腫に係る予定効能・効果となっており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 8ページのファリーダックカプセル10mg他1規格ですが、本品目は再発又は難治性の多発性骨髄腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 9ページのベルケイド注射用3mgですが、本品目はマントル細胞リンパ腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

10ページのセリチニブですが、本品目はクリゾチニブに抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。

○奥田委員 ちょっと理解していないところがあるので教えていただきたいのですが、この競合品目に関して、いつも3品目までを挙げておられるのですが、実際どういう線引きで3品目を選んでおられるのかということと、その妥当性みたいなことについて、何かお考えがあるのかどうか、その辺りを教えていただければと思います。

○事務局 基本的には同じような位置付け、効能・効果を有する薬剤と、説明しましたとおりなのですが、3品目ということに関しては、同じような医療上の位置付けの中で特に売上高の高いものから3品目選ぶ。基本的にはそういった形で競合品目等を選定しております。

○吉田部会長 よろしいですか。

○奥田委員 説明としては理解はするのですが、その3品目目と4品目目で、利益相反に出るような違いが本当にあるのかどうかということについて、ここで議論することではないのかもしれませんが、お考えがありましたら教えていただきたいと思います。

○審査管理課長 正直言って、奥田先生が抱かれるような疑問というのは、こういった場合、特に市場占有率が比較的接近しているようなものが並んでいるようなときになると、3つだけ選んでいいのかという疑問が生じるというのは確かにあると思うのです。この利益相反のルール、特に競合品目・競合企業を選定する際のルール設定の際にも確かにそのような議論がありましたが、まずは当該品目における利益相反の関係を確実につかまえて、なおかつ競合品目というところに更に広げたという当時の経緯からしますと、まずは上位3品目ということで一つの整理にしようということで、部会でも合意が得られたという経緯があります。

 ですので、そのような疑問が生じること自体は当然あるとは思うのですが、よほど何か個別的な支障があるということ、もし御懸念があるのでしたら、それは御指摘いただければと思います。一応、基本の考え方はそのようになっております。

○吉田部会長 よろしいですか。

○奥田委員 ありがとうございます。

○吉田部会長 確かにCOIがうんぬんという話になってくると微妙な問題もあるかと思いますが、一応、三つだけ選ぶ、四つ目は関係ないという整理だということだと思います。ほかにありますか。ないようでしたら、ただいまの審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆様の御了解を得たものといたします。

 委員からの申し出状況についての報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申し出状況について報告いたします。議題1のオラネジン消毒液、退室委員は奥田委員、議決には参加しない委員はなし。議題2のゾシン静注用、退室委員は奥田委員、議決には参加しない委員はなし。議題3のハーボニー配合錠、退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。議題4のプラケニル錠、退室委員はなし、議決には参加しない委員は田島委員。議題5のオフェブカプセル、退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。議題6のアコアラン静注用、退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。議題7のヤーボイ点滴静注液、退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。議題8のファリーダックカプセル、退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。議題9のベルケイド注射用、退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。議題10のセリチニブ、退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。なお、審議事項の議題1及び議題2については、現時点で定足数を確保できておりませんので、現時点では順番を入れ替えて、最後に御審議いただく予定で進めたいと考えております。以上です。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見等ありますか。本日の出席状況ですと、奥田先生が退室されますと委員数が10人となりますので、議題1と議題2の審議ができなくなります。現在、欠席の御案内をいただいた委員の先生方には事務局からいろいろと御連絡を試みているようですので、もし間に合えば、委員のどなたかが来られた時点で議題に上げるということにして、とりあえず今回は事務局から説明があったように、議題1、議題2を飛ばして、議題3から審議します。

 審議事項の議題3について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題3、資料3、医薬品ハーボニー配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤はC型肝炎ウイルスのNS5A阻害剤であるレジパスビルアセトン付加物及びNS5Bポリメラーゼ阻害剤であるソホスブビルの2成分を有効成分とする配合剤であり、今般ジェノタイプ1のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変に係る効能・効果で申請されました。本年2月時点で本剤は、米国及びEUを含む34か国で承認されています。なお、本邦では、有効成分の一つのソホスブビルについては、本年3月にジェノタイプ2のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変に係る効能・効果で承認されています。本申請の専門委員としては、資料17に記載の各委員を指名しました。

 以下、審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書43ページの表30を御覧ください。この表は、ジェノタイプ1のC型慢性肝炎又は代償性肝硬変患者を対象とした国内第III相試験における投与終了12週後のC型肝炎ウイルスRNAの持続陰性化率、SVR12率を示しています。いずれの部分集団においても、本剤単独投与群のSVR12率は、未治療、既治療を問わず100%でした。以上より、ジェノタイプ1のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。

 次に、安全性について、36ページの表25を御覧ください。国内第III相試験において、5%以上の発現が認められた有害事象を記載しています。本剤の投与により、鼻咽頭炎、頭痛、倦怠感等が認められています。本剤単独投与群の重篤な有害事象は、157例中、肝細胞がん及び食道静脈瘤出血が各1例認められているものの、いずれも治験薬との因果関係は否定されています。これらの認められた事象及び発現割合を踏まえ、本剤の安全性は許容可能であると判断しました。

 なお、海外の製造販売後において、本剤又はソホスブビルを含むレジメンとアミオダロンを併用した患者において、徐脈等の不整脈が9例に認められており、そのうち1例で死亡例が報告されています。本邦における本剤とアミオダロンとの併用に関する注意喚起の内容については、59ページの中段から60ページにかけて御覧ください。米国及び欧州における対応の内容等を踏まえ、本剤の添付文書の重要な基本的注意の項で、本剤とアミオダロンの併用は可能な限り避け、やむを得ず併用する場合には、併用開始から少なくとも3日間は、心電図モニタリングの実施を求めるなどの注意喚起を行うことが適切であると判断しました。また、これらの情報については、医療関係者用及び患者用の情報提供用資材でも適切に情報提供することとしています。これに関連した当日配布資料、資料19-1及び資料19-2として、医療関係者向け資材及び患者向け資材の現時点の案を配布しております。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬、劇薬、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○菊池委員 ソホスブビル、ソバルディのところで、この説明の中で、ほとんど審議したから記載は省略となっていますね。それでいいのですか。そのことはもう審議済みであって、薬価収載もされたので、ここに出さずに省略していることは、いろいろなところに提出済みなので省略となっていますが、そうなると余計知りたくなって、添付文書などを読み直したりして、そもそもソバルディのほうはジェノタイプ2に対してリバビリンとの併用が認められていて、こっちはジェノタイプ1ですね。そうすると、もちろん治験をした流れで当たり前なのでしょうけれども、その辺の考え方はどのようにされているのでしょうか。

○機構 ソホスブビルに関する資料の中で、本剤の審査に関わってくるだろうと思われる内容に関しては、今回の審査報告書の中に記載しております。例えば、品質のソホスブビルの原薬の内容や、ソホスブビルの薬理作用に関する資料の概略等はソバルディ錠の審査時に評価済みとして審査報告書では省略しています。なお、本剤はソバルディ錠と異なるジェノタイプでの申請ですが、ソバルディ錠の審査時にはジェノタイプ1の抗ウイルス活性の確認もしておりました。

○菊池委員 分かりました。調べればソホスブビルは1aとか1bにも効くので、それは相乗効果があっていいのかもしれないのですが、そこがちょっと疑問に思いました。あと、36ページの表25で有害事象のことが上がっていますが、鼻咽頭炎が有害事象としてはかなりの頻度で起きていて、結局、合理的な因果関係がないということで副作用に上がっていないと思いますが、その辺はそういうことでよろしいのでしょうか。

○機構 国内外で実施している治験の実施体制といいますか、微細な症状をどう捉えられたかというところで国内外の差異が出てきたのではないかと考えております。

○菊池委員 それにしても、相当高い頻度だと思うのですが、鼻咽頭炎が4分の1ぐらいの症例に起きているということになっていますね。表26では5%とかそんな程度ですから、そういう考え方というか、それでかつ4分の1が有害事象と捉えていながら副作用でないという判断をしているという辺りは、どのように。ここは突っ込まなかったのですか。

○機構 発現割合の違いは、先ほど申し上げたところが原因になるかと考えています。副作用の判定に関しては、個々の被験者の発現状況から、治験担当医師により本剤投与との因果関係が否定されています。

副作用として国内外ともに認められていないということで、本剤の安全性に関して大きな問題があるとは考えておりません。

○菊池委員 これは余り科学的なことではないのですが、ソホスブビルがものすごい高い値段が付いて、いわゆる新規性というか、何かで高く評価されたと思いますので、ものすごい高額なことになって、12週間とはいえ恐らく相当高いことになりますし、1aと1bで耐性の遺伝子が多少入っていても、ほとんど効いたということで書かれていますが、それはそれとして、例えばダクラタスビルと交差耐性があるようなことも書かれていますので、そういうことも全く考えないで、とにかく使っていいということになれば、自由に使って、かなりなお金がかかる。ここの部会で心配することではないとは思うのですが、その辺の制限は全くなく、例えばHIVの薬だったら、耐性試験をしなさいとかいうことが書かれているわけですが、そういったことを全く考慮しないでよろしいのでしょうか。

○機構 現時点で得られている情報ですが、先ほど先生がおっしゃったように、レジパスビルではダクラタスビルとの交差耐性がin vitroの試験で認められています。ただし、国内臨床試験において投与前にレジパスビル及びダクラタスビルに耐性を示す変異が認められた患者でも本剤投与でSVR12を達成したというデータが得られております。このデータに基づくと、本剤を患者に投与する際に特別な注意喚起をしなければいけないという判断にはなりませんでした。なお、本剤の使用に関しては、C型慢性肝炎の治療等の専門的な知識を持つ医師の下で使用すべきと、添付文書の警告欄で適正使用に関する注意喚起はさせていただいております。また、耐性に関しては、今後、製造販売後調査でも新たな情報が得られたら速やかに情報提供するように指示しているところです。

○菊池委員 ハーボニーのところで、先ほど言われたようなアミオダロンとの併用での資材を使われることになっています。添付文書の案のところですが、位置付け的にはここに書かれている場所でいいわけですね。

○機構 この位置付けが適切だと考えています。

○菊池委員 そうすると、前にも時々申し上げているのですが、ソバルディのほうでも同じような資材を使ってやるようなことの御指示があるのですか。

○機構 本邦では、ソバルディ錠とリバビリンの併用がジェノタイプ2の適応で承認されています。現在、検討中ではありますが、海外の情報では、ソホスブビルとリバビリンを投与した患者に関しては、アミオダロンを併用しても、このような不整脈等の発現は認められていないという状況にありますので、ソバルディ錠に関しては、同様の注意喚起を行う必要性は高くないのではないかというところが、現時点での考えになっております。

○菊池委員 分かりました。

○関水委員 有効性の問題ですが、今、表30を基に有効性が期待できるということをおっしゃったのですが、有効性が期待できる、つまり、この薬によって、何らかの症状が改善されたとか、そういうデータは全くないのではないのですか。

○機構 基本的には症状の改善等は見ておらず、血中にあるウイルスのRNA量を指標にしております。

○関水委員 どうしてこの薬を使うとRNAのレベルが下がったと理解することができるのですか。

○機構 SVR12の定義なのですが、本剤の投与終了から12週間たった後、つまり薬剤を投与していない12週間が経過した時点でHCV RNAが陰性化しているかどうかというところがSVR12の定義ですので、本剤投与によりウイルスRNA量が減少したというデータになります。

○関水委員 本剤を使わなかったときにはウイルスが出てくるけれども、本剤を使ったらウイルスが出ない、そういうデータではないですね。そのデータはどこにあるのですか。

○機構 薬剤を投与しなくても、ウイルスが消えることもあり得るのではないかという御趣旨でしょうか。

○関水委員 薬剤を使わなかったというコントロール実験の結果はないですね。プラセボでもいいですが、それがないのに、この薬剤が効いたということが明らかだと、どうして言えるのですか。

○機構 以前、HIVの治療薬でも同様の御指摘をいただいたかと思います。今回ウイルスは違うのですが、HCVも基本的に自然に消失することはないと考えられておりまして、本剤を投与してウイルスが消失しているということは、本剤がウイルスに対して有効だということを示すデータになるものだと考えています。

 もう一つ、直接的な説明にはなりませんが、国内第III相試験の計画時において、標準的な治療とされていた治療法のSVR12率に基づき、63%という閾値を設定し、本剤を投与したときのSVR12率の95%信頼区間の下限値がこの数値を超えれば、本剤の有効性は示されたという結論に至れるだろうという仮説の下でこの試験を開始しました。試験の結果、100%という成績が得られましたので、本剤の有効性が期待できると判断させていただきました。

○関水委員 本剤を使わなければ、100%の効果が得られるということはあり得ないという前提があるのだと思います。これは受け入れられるべきかどうか、私は大変疑問に思います。この治験がされた状況で、本当にそういうことが言えているかという疑問です。

○吉田部会長 要するに無作為化比較試験で、対照群に当たった人たちが非常に不利益を被ることが予想される場合は、一応、機構が説明したように、これまでのヒストリカルコントロールとか、あるいはある程度のまとまったデータを対照群に見たてて、対照となる改善率が、大体どの辺からどの辺までの範囲にあるというのを統計学的に求めた上で、少なくとも統計学的に95%信頼区間の下限がそれよりも上回れば、一応、有意に有効性があったと判断できるというような、これは一つの統計手法なのです。ですから、先生のおっしゃるように、その手法が本当に正しいのかと言われると、これは現場のニーズに合わせた手法なので、その辺、我々は統計の専門家でもありませんし、何とも言えません。ただ、この手法は日本だけで通用するとかいうのではなくて、国際的にも広く使われている方法だと言えます。

○庵原委員 国内試験のコントロールとして、コペガスを足したのを使われているのですが、これだけ効果があるならば、こういうコントロールを置く必要はなかったのではないかというか、逆に副作用も強く出ています。ということは、なぜコペガスを入れたのをコントロールとして置いたのかという、そのバックグラウンドを教えてください。

○機構 まず、本剤とリバビリンの併用群をコントロールとして置いたわけではないという点を訂正させていただきます。なぜリバビリンを併用したかという点で説明させていただくと、これはグローバル的な開発がそのようにやられていたからというのがありまして、従来、リバビリン単剤だと特段の効果を示さないのではないかという理解がされていたかと思いますが、近年、本剤の有効成分のようなDAAと呼ばれるものとリバビリンを併用すると有効性が上昇するという試験成績も得られておりましたので、今回リバビリンを併用する群も設けて試験を実施したところです。

○庵原委員 分かりました。要するに結果として、予想より良かったということですね。

○機構 そうです。

○庵原委員 了解です。

○川崎委員 承認申請書に書かれている分子量と添付文書に書かれている分子量が違っているので、恐らく添付文書の方が間違っているのではないかと思いますので、御確認ください。添付文書の8ページ目です。

○機構 確認の上、間違えている方を訂正させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○菊池委員 リバビリンを併用した方の話になったので、日本ではリバビリンを併用したことは、むしろ貧血などの副作用が増えるから認可しないという考え方が、どこかに書いてあるのですか。というか、普通そのように考えるかと思うのですが、なくても100%で、あったほうがむしろ下がっているような感じに結果的にはなっていますので、有意差ないと思いますが、そういうことなのでしょうか。

○機構 リバビリンと併用してはいけないとは注意喚起しておりません。ただし、リバビリンの添付文書では、本剤と併用しなさいという効能・効果はありません。リバビリンの添付文書ではインターフェロンとかソホスブビル単剤と併用しなさいという書き方はしてあるので、本剤とリバビリンを併用することは現実的にはできないということになっています。

○菊池委員 先ほどからお話になっているように、結局それだったらオープン試験としてこれだけやって、リバビリンをやった人の国内試験の半数は無駄だったというわけですから、そういうことだったら、むしろそれよりはシメプレビルとかその辺を使ったものと勝負したほうが正しい治験デザインではないのかとなるのではないかと思いますが、今日はもう時間がないからいいです。

○機構 国内第III相試験が始まった当時は、今おっしゃったような薬も日本の医療現場ではまだ使用されていない状況だったので、治験の中で対照群とするのは困難でした。もう1点なのですが、先ほど庵原委員がおっしゃったように、結果的に本剤単独で良い成績が出たという状況ではありますが、当初はリバビリンと併用すれば少しは良い成績になるのではなかろうかと思っていて、海外での開発もこういう形で進んでいましたので、国内第III相試験で、もし本剤単独での有効性が悪いような状況であれば、リバビリンとの併用で承認申請される可能性もありました。そういう選択肢も考えつつ、今回の試験が計画されたのだというように理解しております。

○吉田部会長 アミオダロンとの併用ですが、例えば構造的にとか、物性的にとかで、リスクがありそうな薬というのは推定されているのですか。

○機構 現時点では特定されておりません。なぜ不整脈等が発生したのかというメカニズムも、予想されるものはあるのですが明確にはなっておりません。

○吉田部会長 ということは、メカニズムがはっきりした時点で、さらに注意の対象となる薬が増える可能性は高いわけですね。随時その辺の情報公開をお願いしたいと思って質問しました。

○機構 ありがとうございます。

○奥田委員 今の件に関しての質問なのですが、アミオダロンそのものの血中濃度が併用によって上がっているのかどうかということも、確認はできていないということなのでしょうか。

○機構 海外の製造販売後の情報になっておりますので、血中濃度の情報が得られていないというところです。アミオダロンの血中濃度が併用によって上昇している可能性はあり得るというのが、今、考察ではされているところですが、分からないところです。

○奥田委員 血中濃度のモニタリングで、注意深く観察することということまでは記述するだけの根拠はないということになるのですか。

○機構 本剤とアミオダロンの併用時にアミオダロンの血中濃度のモニタリングを実施すべきというような主旨は、現時点で本剤の添付文書等で注意喚起する事項ではなく、アミオダロンを使用する際に全般的に実施されるべき事項ではないかと考えています。

○吉田部会長 裏返しになりますが、要するにまだメカニズムをよく把握できていないし、日常的にどういう組合せが、より多くなるかという想定もなかなか難しい。ただ、インタラクションがありそうだということは見えているのですね。ですから、注意しなさいと。でも、怪しいやつだというようなレベルで、こいつが真犯人だとはまだ言っていないということなのですかね。

○機構 おっしゃるとおりです。

○吉田部会長 であれば、なおさらその辺の情報をしっかり取っていただいて、ほったらかしにしないようにお願いします。

○奥田委員 こちらの添付文書には注意喚起がされると。アミオダロン側の添付文書での注意喚起というのは必要ないのですか。

○審査管理課長 一応、相互作用については、両方側に対応するというのが基本になっていますので、今後アミオダロン側にも記載は入れていくことになると思うのです。ただ、まずはこの薬を使う患者さんの中でアミオダロンをお使いになっている方に注意が確実に行くようにというところを優先して、今とりあえず、かなり細かな説明資材を作って現場に配布して、今の状態でアミオダロンを使わなければいけないようなコンディションのC型肝炎の患者さんに、まずは使うだろう、あるいは使わざるを得ないケースに対して、しっかりモニターをしていただくようにしようと考えて今日の資材をお配りしているところです。当然アミオダロン側の対応も併せて進めていくことになると思いますが、この辺りの取扱いがある程度明確になってきたのは、ごく最近のことで、当初はソホスブビル単味製剤でも注意喚起が要るのではなかろうかという前提で情報収集していたのですが、その後、海外の対応がソホスブビル配合剤にむしろ寄ってきているという進展がありまして、それで今回、配合剤には明確に書く事になったのが、ごく最近の話です。そういった非常に直近の状況に対応してきているということなものですから、今後の成り行きとしては、アミオダロン側のほうにも対応してもらうということは、当然のこととして見込んでおります。

○鈴木委員 ソバルディ錠のときにも費用対効果の話がいろいろ出たのですが、この薬も同じようなことになると思います。適応症についてですが、この薬は欧州では代償性肝硬変は適応になっていないのでしょうか。ソバルディ錠は、代償性肝硬変はヨーロッパでもフランスなどでは適応になっていると思いましたが、その辺はどうなのでしょうか。

○機構 欧州でも代償性肝硬変は適応となっております。

○鈴木委員 分かりました。

○吉田部会長 ほかにありますか。意見がないようですので、議決に入りたいと思います。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題4に移ります。議題4について、医薬品医療機総合機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題4、資料4、プラケニル錠200mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるヒドロキシクロロキン硫酸塩(以下、「ヒドロキシクロロキン」)は、4-アミノキノリン化合物であるクロロキンの誘導体であり、抗炎症作用、免疫調節作用、抗マラリア作用、細胞増殖抑制作用などを有します。本邦において、ヒドロキシクロロキンはマラリア、関節リウマチなどに対し使用されていましたが、類似の構造を持つクロロキンなどの高用量での使用により網膜症が発現することが国内外から報告されたことから、国内ではクロロキンは1974年に製造中止となり、誘導体であるヒドロキシクロロキン製剤も現在は市販されていません。一方、ヒドロキシクロロキンを1日平均投与量として、体重当たり6.5mgを超えない用量で投与する場合には、網膜障害を含む眼障害が発現するリスクは低いことが明らかとなり、海外では1955年4月に米国で承認されて以降、2015年3月時点で、主にマラリア、全身性エリテマトーデス(以下、「SLE」)などの治療薬として、70か国以上で承認されています。

 このような背景の下、日本ヒドロキシクロロキン研究会により本剤に関する要望書が提出され、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、本剤は医療上の必要性が高いと判断され、201012月に、厚生労働省から申請者に対し本剤の開発要請がなされました。本申請の専門委員としては、資料17に記載されている8名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。審査報告書の30ページの()、国内臨床試験、EFC12368試験の項を御覧ください。海外ではヒドロキシクロロキンはSLEに対する標準的治療薬として汎用されている一方、本邦におけるヒドロキシクロロキンの使用経験は限定的であることから、海外と同一の用法・用量における日本人患者での有効性及び安全性を検討する目的で、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されております。

 有効性の主要評価項目は、投与16週後のCLASI活動性スコアのベースラインからの変化量と設定されました。39ページの表9に示しているように、CLASI活動性スコア及び皮膚症状に関する副次的評価項目について、全体集団において本剤群でプラセボ群を上回る傾向が認められました。また、本試験におけるSLE患者の倦怠感などの全身症状及び筋骨格系症状に関する評価には限界がありますが、3436ページにかけて記載している公表文献や海外における豊富な使用経験に基づき、皮膚症状と同様に、SLE患者の倦怠感などの全身症状及び筋骨格系症状に対する本剤の有効性についても国際的にコンセンサスが得られていることも勘案し、日本人患者においても海外の患者と同様に有効性が期待できると判断いたしました。

 次に40ページの()、安全性についての項を御覧ください。国内臨床試験成績、海外製造販売後安全性情報、ヒドロキシクロロキンの薬理作用などを踏まえ、本剤投与時に発現する可能性のある、網膜障害を含む眼障害などの有害事象について検討を行いました。眼障害については40ページ以降に記載しているように、国内臨床試験において、詳細な眼科学的検査を含む検討の結果、本剤投与との関連が疑われる眼障害は認められませんでした。また、最近の海外製造販売後安全性情報における眼障害の発現状況は、公表文献及び成書における発現率を超えるものではないことなども踏まえ、申請者は4142ページにかけて記載のとおり、海外と同様の安全対策を予定しています。

 機構は、本剤投与時の眼障害の発現リスクは、本剤の投与期間、累積投与量などと関連して増大することが知られていることから、本邦での製造販売後において、申請者の案のとおり安全対策を講じるとともに、当該対策が遵守されるよう、医療関係者及び患者に対する注意喚起を徹底することが重要と考えております。更に、専門協議における議論も踏まえ、50ページに記載しているように、眼科検査として光干渉断層計(OCT)検査も追加するなどの安全対策も講じるとともに、52ページの表14に記載している製造販売後調査において、長期投与時の眼障害の発現状況を検討することが適切と判断しています。

 次に、45ページの()、用法・用量についての項を御覧ください。機構は、有効性及び安全性に関する検討結果を踏まえ、日本人患者における本剤の用法・用量を、理想体重に基づき1日当たり200又は400mgと設定することは可能と考えております。また、ヒドロキシクロロキンは投与後の脂肪組織中濃度が低いことが報告されており、特に肥満患者では実体重当たりで投与された場合に過量投与となるおそれがあることから、理想体重に基づく用量を設定することは適切と考えております。しかしながら、臨床試験において使用されたブローカ式桂変法では、身長のみに基づき理想体重が算出されること、また実体重に基づいて本剤の投与量が判断される過誤が生じる可能性を回避するため、4950ページに記載のとおり、身長別の用量についても併せて情報提供することが適切と考えております。また、理想体重が46kg以上62kg未満の患者では、1日当たり本剤200mg400mgが1日おきに交互に投与されることから、医療従事者向け資材及び患者向け資材における情報提供に加え、薬剤師による本剤交付時にも、当該患者に対し用法・用量に関する注意喚起が徹底される必要があると考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品に該当することから、再審査期間は8年、また原体及び製剤はいずれも毒薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生から御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 有効性についての質問です。結局、表9の結果は、試験はしたものの、その有効性は統計学に有意な差がなかったということですか。

○機構 こちらの試験計画については37ページから記載のとおり、プラセボ投与時のCLASI活動性スコアのデータが得られていないため、プラセボを対照として設定した比較試験の立案が困難であったことから、プラセボとの群間比較を行う計画にはなっておりません。一方で、比較対照がないと、どれだけ効果があったかという判断が難しいところもあるので、一定のエビデンスレベルの確保のため、プラセボ群が参照群として設定されております。

○関水委員 そうすると質問に対する答えは、英語で言うと「ノー」ということで、差はないのですね。差がなかったからといって、それで非承認にするかどうかは別の問題です。有効性があったという御説明に問題があるのではないか、と私は申しているのです。

○機構 31ページの表5に、本試験の主要評価項目の結果を記載しています。表5に記載されている、本剤投与16週後のCLASI活動性スコアのベースラインからの変化量のプラセボ群との差等も踏まえ、有効性が期待できると判断しております。

○関水委員 統計学的に有意な差がなければ、効果は期待できないと判断するべきだと思います。今議論されている点からすると有効性は期待できないという結論になるのです。他の公表文献や海外における豊富な使用経験に基づき、これは有効なのだということであれば、それを論拠とした有効性についての説明をしていただきたいと思います。提出された試験結果だけに基づいて有効性が立証されたので承認しようというのは、間違っています。

○機構 この試験はもともと本剤群とプラセボ群の群間差について、統計学的に有意な差が出ることをもって検証されたと判断するという試験計画にはなっていないため、P値なども記載しておりません。

○関水委員 そうすると、我々は何をもって有効だと認識したらいいのですか。

○機構 この試験の計画としては、本剤群は本剤群のベースラインからの低下量を比較し、より低下することをもって有効性が期待できるかどうかを判断するという計画になっております。本剤に関しては海外でも1950年代から使用されていることもありますので、35ページ付近に記載しているような公表文献等も併せて評価し、本剤の有効性が期待できると判断しております。

○関水委員 提出されたデータからは有効性を明確に立証することができなかったと、それを認めていただければ、私は何の問題もありません。

 

○機構 この試験は、プラセボ群との差を統計学的に示す検出力を持った試験という設定ではないため、群間での統計学的検定を行うことは事前に規定されていないのですが、数値自体をご覧いただくと、確かにプラセボよりも良くなっている傾向も見えておりますので、この試験の中で本剤の有効性について全く何も語ることができないとは思っていません。

○関水委員 それは問題です。有効性がないものについて科学者として、「見掛け上差があるから違っていると認めてください」と言うのは、統計学を無視した議論ですね。

○機構 群間差が統計学的検定を行うことは事前に規定されていない試験ですが、視覚的に傾向は窺えることと、先ほど先生がおっしゃったように、海外の使用実績やこれまでの成績を踏まえて、全体を総合的に見て有効性が期待できると判断しています。

○関水委員 押し問答になっている気がしますが、得られたデータだけでは有効性は認められなかったが、別に海外のデータがあって、それを総合して有効性があると判断できる、というのならそのような議論はあり得ると思います。

○機構 有効性が期待できるという今回の判断は、群間での統計学的検定のみに基づいているものではございません。

○吉田部会長 違うでしょう。公知だということがあって、いろいろやってみたけれども、臨床データではうまくいかなかったのでしょう。どうしてかというと、コントロールなどを置くには病状がきつい。そこで、いろいろ手を加えてやってみたけれど、上手に、ラットやマウスで実験するようにはうまくいかなかった。だからこういう結果になってしまった。私も関水先生の意見に賛成です。そういう傾向があると読み取ろうとする努力は認めますが、出なかったことは事実です。出なかったことと公知とを、我々はどういう組合せで考えたらいいかというほうが、むしろ議論としては筋だと思うのです。これを有意と思うか思わないかについて、審査側と委員の間で明日の朝までやり取りをしても、議論は尽きないことになってしまう。

○庵原委員 関連することです。このプラセボは、本当のブラインドのプラセボですか。それとも、ある程度SLEに効果がある薬をプラセボと置いたわけですか。

○機構 SLEに対する標準的治療は継続した上で、プラセボ又は本剤が投与されています。

○庵原委員 要するに、標準的な治療がベースに流れていて、そこにアドオンでこの薬を乗せるか乗せないかということですか。

○機構 はい。

○庵原委員 ということは、標準的な治療をやっている以上、良くなるというのはあるレベルで良くなるということですね。要するに、アドオン効果を見ているという。

○機構 はい、そのとおりです。

○庵原委員 分かりました。だから標準的なプラセボも良くなってもいいわけですね。

○吉田部会長 未治療コントロールというわけではない。

○庵原委員 ないわけですね。

○機構 はい、そうです。

○吉田部会長 そういうこともあって差が出にくかったということのようです。ほかにありますか。

○川上委員 もし分かれば教えていただきたく思います。理想体重が4662kgの方は、飲み方として1日おきの投与量変更が必要になります。例えば300mg錠か、せめて半錠の割線の入った製剤が開発されることは計画されていないのでしょうか。

○機構 確かに300mg錠などがあれば理想的とは思うのですが、海外でも200mg錠しかないこともあり、そのような製剤の開発は予定されておりません。

○吉田部会長 1回使われなくなってしまった薬なので、それほど一生懸命用意をしていないのか、それともサノフィが言うことを聞いてくれないのか、そんなとこだと思いますが。例えば、私たちがそういう希望を出しても、申請者側が対応してくれる可能性は少ないのですか。

○機構 そういう希望があるということは、こちらのほうからお伝えできますが、実際に対応していただけるかどうかという約束はできない状況かと思います。

○吉田部会長 では、お願いだけはしてもらうということで。

○機構 会社のほうにはお伝えしておきます。

○吉田部会長 ほかにありますか。基本的には未承認薬検討会からの申請ですし、なかなか証明は難しいようですが、公知の事実として世界で受け入れられているということでもありますので、積極的にサポートはできないにしても、追認ぐらいはできるのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。なお、田島委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題5に移ります。議題5について、医薬品機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題5、資料5、オフェブカプセル100mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるニンテダニブエタンスルホン酸塩は、受容体型チロシンキナーゼのATP結合部位に競合的に結合し、リガンドとの結合を介した自己リン酸化を阻害することにより、細胞内シグナル伝達を阻害します。本剤の申請効能・効果である特発性肺線維症(以下、「IPF」)は、肺胞隔壁の炎症・線維化病変により機能障害が惹起され、進行すると呼吸困難等に至る難治性の疾患です。本剤は、線維芽細胞の増植因子である血小板由来増殖因子を介した細胞内シグナル伝達を抑制する作用を有していること等から、IPFの線維化病変の形成を抑制することによる効果が期待され、IPFの治療薬として開発が行われました。海外においては、2015年2月現在、米国、欧州を含む31か国で承認されています。なお、本剤は2011年8月に、当部会で希少疾病用医薬品の指定について御審議いただき、同年9月にIPFを予定する効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員としては資料17に記載されています8名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。審査報告書41ページの()国際共同第III相試験の項を御覧ください。IPF患者を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されております。その結果、有効性の主要評価項目である投与52週までの努力肺活量(以下、「FVC」)の年間減少率は、42ページの表11のとおりであり、本剤群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。日本人部分集団の成績は43ページの表12のとおりであり、全体集団と同様の傾向が認められました。また、審査報告書44ページの()国際共同第III相試験に示します同様の試験デザインで実施された国際共同試験においても、同様の成績が得られております。以上より、IPF患者に対する本剤の有効性は示されていると判断いたしました。

 次に審査報告書54ページ以降、()安全性についての項を御覧ください。IPF患者を対象とした国際共同第III相試験における安全性成績は、56ページの表24のとおりであり、下痢等の消化器関連事象、肝酵素値上昇等の有害事象の発現が認められております。また消化管穿孔、心筋梗塞をはじめとする血栓塞栓症等の重篤な有害事象が発現する可能性も考えられることから、本剤投与時には患者の状態を慎重に観察し、有害事象発現時には休薬・減量を含めた適切な対応がなされるよう注意喚起する必要があると考えております。また、本剤の国内での評価例数は限られていることから、投与症例全例を対象に製造販売後調査を実施し、本剤の安全性及び有効性について更に検討する必要があると判断し、承認条件とすることとしております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。日本人集団も含めて再現性があって、ベースラインからの変化量の推移もどんどん開くということで、有効性については問題ないと思います。これは抗がん剤に類するようなスモールモレキュールの阻害薬で、有害事象がかなり気になるところではありますが、この薬自体に抗がん作用みたいなものは期待されているのですか。

○機構 抗がん剤としても開発が行われております。

○吉田部会長 ですから、抗がん剤に準じて取り扱うというような形で認識してもらうということなのでしょうか。

○機構 はい。そのように考えております。

○吉田部会長 奥田先生は何かありますか。

○奥田委員 教えていただきたいことがあります。資料の中に、医療過誤防止の観点から申請時の名前が「オーフェブカプセル」から「オフェブカプセル」に変わったということが書かれています。この理由というか、どういう状況かというのが分からなかったものですから教えていただければと思います。

○機構 経緯としては、本剤申請後にオーファディンカプセルという薬剤が承認されており、オーファディンとオーフェブで頭文字3文字が重複していますので、こちらの薬剤の名称変更を行ったものです。

○奥田委員 分かりました。

○吉田部会長 御意見がないようでしたら、議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題6に移ります。議題6について、医薬品機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題6、資料6、医薬品アコアラン静注用600の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。本剤はアンチトロンビン ガンマ(遺伝子組換え)を有効成分とする、遺伝子組換えヒトアンチトロンビン製剤です。現在、本邦では、アンチトロンビン製剤として、ヒト血漿由来の製剤が承認されています。本剤は、血漿由来の製剤の代替となる遺伝子組換え製剤として開発され、申請されました。海外では遺伝子組換えアンチトロンビン製剤が既に承認されていますが、本邦では本剤が初めての遺伝子組換え製剤となります。2015年3月現在、本剤が承認されている国及び地域はありません。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料17にお示しした7名の委員です。

 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。有効性については、審査報告書24ページの表4-3を御覧ください。薬物動態パラメータを比較した結果、本剤と既承認の血漿由来アンチトロンビン製剤(審査報告書ではpAT製剤と記載)とで同様であり、抗凝固効果が期待できると判断いたしました。また、審査報告書32ページの表4-7を御覧ください。004試験において、主要評価項目である投与開始後6日目において、播種性血管内凝固症候群(以下、「DIC」)から離脱した被験者の割合、及び副次評価項目である投与開始後28日目に生存していた被験者の割合は、いずれも本剤と血漿由来アンチトロンビン製剤とで同程度であり、アンチトロンビン低下を伴うDICに対する有効性も期待できると判断いたしました。

 安全性については審査報告書34ページからの「()安全性について」の項を御覧ください。本剤のDICを対象とした臨床試験において、因果関係が否定できない死亡に至った重篤な有害事象が認められました。しかし、いずれも基礎疾患又は合併症の増悪が影響していると考えられました。加えて、過敏症に関連する副作用はいずれも軽度又は中等度であり、転帰は回復であったこと、及びそれ以外の有害事象でも臨床上問題となる有害事象は認められていないことから、本剤は忍容可能と判断いたしました。

 以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品に該当すると判断いたしました。なお、薬事分科会には報告を予定しております。

 川崎委員より、承認申請書に関して事前に御意見を頂いております。その内容ですが、「別紙を含め、本品のアミノ酸配列、単量体か多量体か、タンパク質部分の分子量、分子全体に占める糖鎖の割合、糖鎖結合位置、主な糖鎖構造、その他の翻訳後修飾に関する情報がどこにも示されていません。承認申請書2ページ目の成分又は本質記載を見直すか、別紙の追加が必要ではないでしょうか」との御意見です。委員からの御指摘を踏まえ、承認申請書に記載する内容については検討させていただきたいと考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○吉田部会長 川崎先生、いかがですか。

○川崎委員 通常、化学薬品の場合は構造式が示されていますし、これまでもバイオ医薬品の場合はアミノ酸配列が書かれていたのですが、本品目については構造情報がありませんので、どこかに記載できないか御検討いただきたいと思います。

○吉田部会長 おっしゃる通りなのでしょうけれども、例えば遺伝子組換えで作りますね。これは設計図に従った産物ですね。「その設計図と同じように作りました」と言っても、それを証明しなければ駄目だろうということですか。要するに「設計図どおりできているかどうかの証明が必要だから、構造式を出しなさい」と言っても、申請者のほうが「構造式どおりに作っています」と言ったらおしまいではないかと思うのですが。

○川崎委員 構造情報が承認申請書に示されていない、つまり、どのようなものが作られたかが記載されていませんので、アミノ酸配列と、本品は糖鎖改変体ですので、糖鎖情報が必要ではないかと思います。

○吉田部会長 私自身が素人なので、先生に質問したいのです。アミノ酸配列が、実際にヒトの場合と違っている場合もあり得るだろうということなのですか。例えば、遺伝子組換えをやって同じような物ができたときに、構造が違ってしまうということがあり得るのですか。

○川崎委員 本品目に関してはペプチドマッピングにより、予定どおりの物が作られているということは確認されていると思います。

○吉田部会長 ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。要するに、もともとはヒト由来の物を使っていたのが、それと同じような組換えの物ができて、薬理学的にも同様のアクティビティーがあって有害事象も変わらなかったということのようです。よろしいでしょうか。

 御意見、御質問がないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題7に移ります。議題7について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題7、資料7、ヤーボイ点滴静注液50mgの製造販売承認の可否等について、機構から御説明します。本剤の有効成分であるイピリムマブ(遺伝子組換え)は、T細胞に発現している負の補助刺激受容体であるヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原-(以下、「CTLA-4」)に対するヒト免疫グロブリンG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であり、CTLA-4と抗原提示細胞に発現しているCD80及びCD86分子との結合を阻害し、腫瘍に対するT細胞の免疫反応を亢進させること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。

 今般、本剤は根治切除不能な悪性黒色腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は平成25年2月の当医薬品第二部会における審議を経て、悪性黒色腫を予定効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されています。また、平成24年3月に開催された第11回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高いと判断され、厚生労働省から申請者に対して、悪性黒色腫に係る開発要請がなされています。本剤は平成27年2月時点において、悪性黒色腫に係る効能・効果にて51の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は資料17に記載されているとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験として、海外で実施された第III相試験であるMDX010-20試験の成績が提出されました。有効性については、審査報告書43ページの上から14行目以降、及び79ページの上から13行目以降を御覧ください。前治療歴を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象としたMDX010-20試験において、対照群とされた悪性黒色腫由来の抗原ペプチドであるgp100単独投与群と比較して、本剤とgp100との併用投与群で主要評価項目とされた全生存期間(以下、「OS」)の優越性が示されたことに加えて、gp100単独投与群と比較して、本剤単独投与群でOSが延長する傾向が認められたこと、また、本剤とgp100との併用投与群と本剤単独投与群のOSに明らかな差異が認められていないこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書46ページ、本文の上から5行目以降及び79ページの下から12行目以降を御覧ください。本剤の使用時に注意すべき有害事象としては、下痢・大腸炎・消化管穿孔、皮膚障害、肝障害、下垂体炎、下垂体機能低下症・甲状腺機能低下症・副腎機能不全、末梢性ニユーロパチー、腎障害、間質性肺疾患及びinfusion reactionが認められています。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理と、投与延期・投与中止等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は極めて限られ、承認審査時点における日本人での本剤の安全性情報は限られていることから、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要と判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は根治切除不能な悪性黒色腫を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 本剤とgp100、それからgp100と本剤を併せたといったときに、本剤の優越性は示されなかったということでよろしいのですね。

○機構 そうですね。計画されていたものはgp100に対するgp100と本剤併用群ですので、gp100に対する本剤単独投与の優越性は検証されておりません。

○関水委員 そうすると、本剤に有効性が期待できるとする論拠はどこにあるのですか。

○機構 gp100に対して本剤とgp100との併用投与で優越性が検証されたということは、併用することによって本剤による有効性が発揮されるであろうことは確認できることと、この試験において本剤単独投与群が設定されており、本剤群の単独投与とgp100との併用投与のOSは余り変わらなかったことや、単独投与によっても、gp100を上回る効果を示す傾向は認められていること等の総合的な判断から、本剤単独投与の有効性を判断しております。

○関水委員 今、最初に言われたご説明に納得ができないのですが、本剤とgp100を上乗せしたときに効果が増強することはなかったのですか。

○機構 gp100に本剤を上乗せしたときの優越性は示されました。

○関水委員 上乗せしたときに、その効果があるということは分かったとのことですが、それはどのデータによる判断ですか。

○機構 40ページに、本剤とgp100との併用投与群とgp100群のOSの結果を載せており、有意な差がついている状況です。

○機構 補足させていただきます。今回の海外の第III相試験の目的としては、gp100群に対する本剤とgp100群の比較というものだったのです。ただ、群としては、このほかに、本剤の単独群がありました。統計的な検出力を有している、有していないという点で言うと、gp100群が対照群なのですが、これに対しての本剤とgp100群の上乗せというところは統計学的な検出力を有していたので、それを検証するというデザインになっていました。結果として、ハザード比の信頼区間の上限が1を下回っているということをもって、OSの延長が検証されたと言えると考えています。

 一方で、審査報告書の45ページですが、これが3群のOSの結果をまとめて示したものなのですが、今回の試験計画では、残念ながらgp100単独群に対して、本剤単独群を統計学的に比較検証するようなデザインにはなっていなかったところがありますので、厳密に言うと、統計学的には検証されたとは言えないと。要は、検出力は持っていなかったので、そういうふうには断定はできない。ただ、実際の結果を見たときには、一番下の点線がgp100群で、一番上の点線が本剤群になります。その結果を見ると、本剤群はgp100群に対してOSのカーブが上を行っている。しかも、本剤とgp100群は、gp100群に対してOSの延長が検証されており、その結果と比較しても遜色はない。明らかに劣っているような傾向は認められないというところがありますので、正確に言うと、本剤群はgp100群に対して検証されたとは言えないのですが、この結果から有効性は期待でき、有効性が完全に示されたとは言い切れないかもしれないですが、一定の有効性は示されたと言ってもいいのではないかという判断に基づき、先ほど御説明させていただいたところです。

○吉田部会長 分かりました。要するに有効性が見えるように、OSの延長を示しているが、これはあくまでも後解析なので、当初想定していたものではないという意味なのですね。

 ですから、多分、初めはgp100とgp100に本薬を乗せるアドオンの試験を1対3で組んだのですね。つまり、コントロール1に対して検出力を上げるために、乗せたほうは3倍の症例を使ってやって、ついでにコントロールをダブルコントロールにして、本薬もコントロールにして同じ130例ぐらいやってと、そういうデザインで、恐らく上乗せ効果が出ると踏んでやったのですね。そうしたら、結局、本薬が効きすぎてしまって、結局、統計学的な評価をする際に、要するに後から入れた自分のコントロールと、今度は本薬とgp100を一緒にした群対コントロールみたいな形をもってくることで有意差をしゃにむに引っ張り出したという、そんな後解析になっていますよということですね。

○機構 おっしゃるとおりです。この悪性黒色腫の領域においては、薬剤が限定されていることもありまして、このためにもう一回検証的試験が必要とされるのかというところを考えますと、この結果を見たところでは、正確には関水先生がおっしゃるように、検証されたと言い切れるほどのものではないのですが、この結果には臨床的に意義はあるだろう、薬の承認を止めるようなほどではないだろうという判断の下、本剤を承認して差し支えないと機構は判断しております。

○吉田部会長 だから、本来的な意味で言うと、40ページの生存曲線が最初に狙っていた曲線で、それなりに有意差は出ているのだけれども、実際のメカニズムをいろいろ探っていくと、本薬を乗せるか、乗せないかではなくて、本薬が入るか、入らないかで見たほうがより大きなインパクトになったので、これをもって承認してほしいという話のようです。

○庵原委員 この細胞の安全性はどこまで確認されているのですか。要するに、増やす細胞のウイルスのコンタミなどはどこまで見られて、安全であるという。要するに元になる細胞です。この物質を作るために用いている。

○機構 チャイニーズハムスターの卵巣細胞でしょうか。

○庵原委員 そうです。

○機構 こちらは一般的に、抗体を作る際に使用されている細胞だと思っております。

○庵原委員 一般的に使われているのですが、最近、一般的に使われている細胞にウイルスがコンタミしているなどというペーパーが出始めていますので、そういうことがどこまで大丈夫なのか。ないしは、電子顕微鏡で、変わった物質が見つかるとか、遺伝子レベルでやると見つかるなどというのが出てきていますので、それを言うと、これが使えなくなるといろいろなものが作れなくなることは確かなのですが、その辺りはどこまでクリアされているというか、分かっていましたら教えてください。

○機構 審査報告書の5ページにありますように、CHO細胞、これは先ほど説明したとおり、医薬品製造にはよく用いられているものですが、それを前提で、ここにありますように、今回使用されるセルバンクに対しては、5ページに書かれている試験が網羅的に実施されています。これらの結果、CHOで一般的に知られている病原性のあるウイルスは確認されておりません。

 さらに、精製工程には、万が一混入ウイルスがあった場合にも、きちんとウイルスが取り除けるよう精製工程がしっかりと設定されていますので、複数の補完的な管理戦略によって、ウイルス安全性のリスクは低減されている状態になっています。

○庵原委員 最終産物に入っていなければいいという考えですか。

○機構 この分野については、国際的にもICHの、いわゆるウイルス安全性のガイドライン等がありまして、基本的には最終産物だけではなくて、使用する原材料についても、きちんとウイルスをコントロールしていくという観点から、先ほど申し上げましたように、使うCHO細胞についても、一応、知り得る限りのウイルス否定試験を行うという考え方で審査をしているということです。

○吉田部会長 御意見はほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 続いて議題8に移ります。機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題8、資料8、ファリーダックカプセル10mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。本剤の有効成分であるパノビノスタット乳酸塩は、脱アセチル化酵素に対する阻害作用を示す低分子化合物であり、ヒストン又は非ヒストンタンパクの脱アセチル化を阻害することにより、細胞周期の停止、アポトーシス等を誘導し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は平成26年8月の当医薬品第二部会における審議を経て、再発又は難治性の多発性骨髄腫を予定される効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されています。本剤は平成27年2月時点において、多発性骨髄腫に係る効能・効果にて、米国において承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は資料17にありますとおり9名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を御説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験であるD2308試験の成績が提出されました。有効性については、審査報告書51ページの下から11行目以降、及び93ページの上から13行目以降を御覧ください。再発又は難治性の多発性骨髄腫を対象としたD2308試験において、対照群とされたボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用投与群と比較して、ボルテゾミブ、デキサメタゾンに本剤を上乗せした3剤併用投与群で、主要評価項目とされた無増悪生存期間の延長が示されたことなどから、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書56ページ、本文の上から10行目以降、及び94ページの下から9行目以降を御覧ください。本剤の使用時に注意すべき有害事象としては、QT延長、骨髄抑制、出血、感染症、肝機能障害、腎機能障害、下痢、悪心、嘔吐、脱水、心臓障害、虚血性大腸炎、静脈血栓塞栓症、低血圧、起立性低血圧、失神及び意識消失が認められています。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理と、減量・休薬・投与中止等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は極めて限られ、承認審査時点における日本人での本剤の安全性情報は限られていることから、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要と判断し、承認条件としております。

 また、日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、完全奏効率を評価することなどを目的とした非盲検非対照試験が実施中であり、当該試験結果については、日本人における本剤の有効性に関する重要な情報であることから、医薬品リスク管理計画において、有効性に関する検討事項として設定した上で、結果が得られ次第、遅滞なく公表するなど、適切に対応する必要があると判断しております。

 以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

○関水委員 この有効性の問題なのですが、53ページのOSの中間解析結果で、p値が0.2586というのを、これが統計学的には差があるとおっしゃったのですか。

○機構 そうではありません。本試験の主要評価項目は、今御指摘いただいたページではなくて、審査報告書の45ページに記載されています。無増悪生存期間(PFS)ですが、こちらが主要評価項目です。44ページの表を御覧いただくとp値は0.0001未満であるというようなことで、この成績をもって有効性が示されたと判断しております。

○関水委員 45ページの表というのは、どれがどれだか、見ただけではすぐには分からないのですが、2つ線がありますね、上と下で、下のほうが本剤なのですか。

○機構 いずれの群にもボルテゾミブとデキサメタゾンが併用されていて、下のラインが対照群でプラセボ、上のラインが実薬群で本薬が上乗せされております。

○関水委員 では、このラインから、本薬とプラセボのラインの差をここで見て取ってよろしいのですね。

機構 そのとおりです。

○関水委員 そのときに、先ほど私が指摘したOSの中間解析結果に比べて、こちらのほうが結果として主要に取り扱うべきである、と言われるのはどうしてなのですか。

○機構 主要評価項目については、52ページの「主要評価項目について」で議論しております。OSは重要な評価項目であると考えてはおりますが、治療薬が限られている領域ですので、この無増悪生存期間を主要評価項目としたデザインは理解可能であると考えております。

○吉田部会長 よろしいですか。53ページの図表を見ていただくと分かると思うのですが、40か月、42か月でも生存率が50%ぐらいあるということは、すごく予後が良いのです。ですから、生存で見ようとすると、臨床試験を組みにくい。例えば5年、7年生存率などで見なければいけないということで、多分そういうこともあってPFSで評価しようということにしたのだと思います。ほかにありますか。

 それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題9に移ります。機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題9、資料9、ベルケイド注射用3mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。本剤の有効成分であるボルテゾミブは、がん細胞のプロテアソーム活性を阻害することにより、NF-kBの活性化の抑制等を介してアポトーシスを誘導し、腫瘍の増殖を抑制すると考えています。現在、本剤は多発性骨髄腫に対して承認されています。

 今般、本剤は、マントル細胞リンパ腫に係る効能・効果等の追加に関する承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は平成2210月の当医薬品第二部会における審議を経て、マントル細胞リンパ腫を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されています。また、平成22年4月に開催された第3回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高いと判断され、厚生労働省から申請者に対して、マントル細胞リンパ腫に係る開発要請がなされています。本剤は平成27年2日時点において、マントル細胞リンパ腫に係る効能・効果で、80の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に参加いただいた専門委員は資料17にありますとおり4名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験として、国際共同第III相試験である26866138-LYM-3002試験(以下、「3002試験」)の成績が提出されました。有効性については審査報告書11ページの上から13行目以降、及び33ページの上から13行目以降を御覧ください。造血幹細胞移植併用大量化学療法の適応とならない未治療のマントル細胞リンパ腫患者を対象とした3002試験において、対照群とされたR-CHOP群と比較して、本剤併用化学療法群で主要評価項目とされた無増悪生存期間の延長が示されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書14ページ、本文の上から6行目以降、及び33ページの下から16行目以降を御覧ください。マントル細胞リンパ腫に対する本剤の使用時に注意すべき有害事象は、既承認の多発性骨髄腫と同様であり、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理と、休薬・減量・投与中止等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。

 以上のような審査の結果、機構はマントル細胞リンパ腫を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、マントル細胞リンパ腫に関して希少疾病用医薬品に指定されていることから、マントル細胞リンパ腫について、再審査期間を10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いします。

 なお、報告事項の議題1、資料11、医薬品注射用エンドキサン100mg及び同500mgについては塩野義製薬株式会社から、また、報告事項の議題2、資料12、プレドニゾロン錠「タケダ」5mg及び同散「タケダ」1%、並びにプレドニン錠5mgについては、武田薬品工業株式会社及び塩野義製薬株式会社から、本剤との併用で使用される薬剤として、効能・効果及び用法・用量を変更する承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、当該品目についても承認して差し支えないと判断しております。説明は以上です。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

 ボルテゾミブですが、これは多発性骨髄腫でもかなり使われているのだと思うのですが、何例ぐらい実績があるのでしょうか。分かりますか。

○機構 手元に数字がないのですが、初回の承認が200610月ですので。

○吉田部会長 何千例という単位でしょうね。

○機構 かなりの症例数が蓄積されていると思っております。

○吉田部会長 ということで使われていて、それの適応拡大のような形でマントル細胞リンパ腫にしたいということのようですので、いわゆる安全性について特段の問題点はこの報告書からも読み取れないし、実際に臨床現場からもそういう話は今のところ出てきていないということをお含み置きいただきたいと思います。

○庵原委員 21ページです。B型肝炎のde novo肝炎の話がここに記載されているのです。そこで、本邦の抗原陽性患者の割合が高いという表現があるのですが、今、小児科領域では0.03%のキャリアですし、母親世代は0.3%で、WHOが言っているのは1%、2%だと抗原陽性者の割合が高いと言っているのですが、これは高いと言っていいのですか。日本はそんなに高くないと私は解釈しているのですが。ここの表現はいかがなものかという、そこだけ気になったのですが。

○機構 委員の御指摘のように、最近は新生児等、垂直感染、水平感染は減ってきていますので、今後は少なくなると思うのですが、マントル細胞リンパ腫の好発年齢は6070代の患者さんですので、今回本薬が使用される患者さんでは、現状では一般的に若干高いという主旨で記載しました。

○庵原委員 そういう表現ならばいいのですが、「一般に」と言われると、子供まで多いという表現になってしまいますので、ちょっとその辺りだけ何か表現を変えていただけると有り難いというか、何かこれは気になるのです。

○機構 御指摘ありがとうございます。

○吉田部会長 「高かった」とか。「高いと言われていた」とか。そういうことでいいのではないですか。

○機構 修正させていただこうと思います。

○吉田部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題10に移ります。事務局からの概要説明をお願いします。

○事務局 議題10、資料10、セリチニブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について御説明いたします。資料の評価報告書のタブをお開きいただいて、中段を御覧ください。申請者はノバルティスファーマ株式会社、予定される効能・効果は、クリゾチニブに抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんです。

 対象患者数についてですが、2ページの上部です。ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者の患者数は、約2,2005,500名と推測されており、クリゾチニブに抵抗性又は不耐容となると更に限定され、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 医療上の必要性について御説明します。ALKシグナル伝達経路は、ALK融合遺伝子陽性腫瘍の生存・増殖に大きく寄与することが報告されており、化学療法歴のないALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに関する治療として、本剤と同様に、ALKのチロシンキナーゼを阻害するクリゾチニブの投与が推奨されていますが、4050%の患者では奏効が認められず、無増悪生存期間の中央値は7.710.9か月にとどまります。本剤はクリゾチニブと比較して、ALK阻害活性が高く、クリゾチニブに耐性のがん細胞を移植したマウスに対しても、腫瘍増殖抑制効果を示したことから、本効能・効果に対して高い有効性が期待されます。以上より、本邦における薬物治療に際して新たな選択肢となるものと期待され、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、3ページの開発の可能性について御説明します。白金系抗悪性腫瘍剤及びクリゾチニブに治療歴を有するALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討する国際共同第II相試験が実施され、本剤の奏効率は37.1%で、統計学的に有意な結果が認められています。

 また、本剤の有効性及び安全性を検討する国際共同第III相試験も実施されていることから、開発の可能性は高いと考えております。以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

 疾患の重篤性、医療上の必要性、開発の可能性も十分で、既に承認も受けているということで問題はないと思うのですが、よろしいですね。

 ただ、非小細胞肺がんをドライバージーン別に、希少疾患として切り売りしていくというのは本当に正しい道なのかと、多少の懸念があるのですが、しょうがないですよね。その辺りは、もう少し数が増えてきた段階で懸念があれば、また問題にしたいと思います。他に、よろしいですか。

 御意見がないようですので議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 ここまで審議事項について審査してまいりましたが、援軍来たらずということのようです。仕方がありませんので、議題1と議題2はあきらめて、報告事項のほうに進みたいと思います。報告事項について事務局からの説明をお願いします。

○事務局 資料13-1、資料13-2です。報告事項議題3、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料13-1は、販売名はアロマシン錠25mgのもの、資料13-2は、販売名ノボセブンHI静注用1mg他2規格の再審査報告書です。こちらの品目については、製造販売後の使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器法に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当せず、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないと判断しましたことを御報告させていただきます。報告事項議題3は以上です。

 報告事項議題4、医療用医薬品の承認条件について御説明いたします。資料No.14-1、ヒュミラ皮下注40mLシリンジ、0.8mLの承認条件に係る審査報告書、1ページと2ページを御覧ください。アダリムマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品ヒュミラ皮下注40mgは、平成2210月に強直性脊椎炎における効能・効果追加が承認されたものの、承認時までに国内での治験症例が極めて限られていることから、全症例を対象とした使用成績調査に関する承認条件が付されています。今般、承認取得者であるアッヴィ合同会社から、当該調査に係る報告書が提出され、機構において審査されましたので御報告いたします。

 3ページの1)、調査方法及び登録症例数を御覧ください。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に、目標症例数は100例、観察期間は24週間とされており、調査票が収集された131例のうち、安全性解析対象127例の調査結果がまとめられています。安全性について、5ページの3)の安全性を御覧ください。安全性解析対象127例のうち、副作用が27.6%、重篤な副作用が3.9%で認められており、患者背景等は異なるものの、承認時に提出された国内第III相試験の発現率を上回るものではなかったとされています。また、関節リウマチ、乾癬及び、クローン病を対象に実施された本剤の全例調査における副作用発現率とを比較すると、本剤の副作用発現率は、これまでの結果とほぼ同程度であったとされています。

 以上を踏まえて、引き続き医療機関に対して情報提供等が、現状と同様に適切になされれば、8ページの総合評価にありますとおり、本剤の安全性及び有効性について、現時点で、適正使用に必要な新たな措置を講じる必要のある問題はないと判断して、本剤のいわゆる全例調査に関する承認条件の内容については確認できたものと判断しております。

○事務局 続いて資料14-2です。タルセバ錠25mg、同錠100mgに係る承認条件に係る審査報告書になります。1ページです。エルロチニブ塩酸塩を有効成分とする医薬品タルセバ錠25mg、同錠100mgは、平成23年7月に、治癒切除不能な膵がんの効能・効果で承認されており、その際、1ページの中ほどに示しています承認条件が付されています。この度、中外製薬株式会社から1.の全例症例に係る報告書が提出され、機構において審査されましたので御報告いたします。

 2ページ、1)調査結果の概要です。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に、登録された901例のうち、調査票が回収された843例の結果がまとめられています。安全性については、3ページ2.安全性に記載しています。安全性解析対象症例843例のうち、副作用が83.5%、重篤な副作用が17.9%に認められました。また、4ページの表に示しました重点調査項目において、本調査におけるILD(間質性肺疾患)発現率は、海外第III相試験より高いものでしたが、国内第II相試験を上回るものではありませんでした。ただし、国内第II相試験においてILDによる死亡例は認められなかった一方、本調査では2例の死亡例が認められたことから、ILD発現後は投与中止等の適切な処置が必要と考えられ、危険因子の検討結果から、肺疾患の合併又は既往、転移臓器数3個以上が新たに添付文書等を用いて注意喚起が行われます。その他の重点調査項目については、添付文書上で更なる注意喚起を要するような問題は認められておりません。

 有効性については、5ページの3.有効性に記載しております。本調査で有効率は13.6%であり、本調査での無増悪生存期間中央値は3.02か月、国内第II相試験では3.48か月、海外第III相試験では3.75か月であり、大きな差は認められていません。機構において、本調査で収集された安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現段階で更なる製造販売後調査等の実施は必要ないと判断されています。

 以上を踏まえ、製造販売後調査が適切に実施され、患者背景、安全性及び有効性に係る情報が収集されていること、収集された情報に基づいて、本剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、全例調査に関する承認条件については対応されたものと判断しております。

 続いて、資料14-3です。ネクサバール錠200mgの承認条件に係る審査報告書です。2ページです。ソラフェニブトシル酸塩を有効成分とする医薬品ネクサバール錠200mgは、平成21年5月に、切除不能な肝細胞がんの効能・効果で承認されており、その際、本ページの中ほどに示しています承認条件が付されています。この度、バイエル薬品株式会社から、切除不能な肝細胞がんの全例調査に係る報告書が提出され、機構において審査されましたので御報告いたします。

 3ページ、1)調査結果の概要です。報告された調査は、本剤を使用した全症例を対象に、登録された1,637例のうち調査票が回収された1,608の結果がまとめられています。安全性については、4ページの2.安全性に記載しています。安全性解析対象症例1,608例のうち、副作用が86.8%、重篤な副作用が36.0%に認められました。また、6ページの下部ですが、本効能・効果が承認以降、肝不全、肝性脳症の副作用報告が集積したことから、平成2111月に、肝不全、肝性脳症の発現に関して安全性速報を発出し、当該副作用について注意喚起を行うとともに、添付文書の改訂を行っております。当該注意喚起以降、肝不全及び肝性脳症の副作用報告が増加する傾向は認められていません。

 また、有効性については7ページの3.有効性に記載しています。患者背景等に違いがあり、比較には限界があるものの、本調査での奏効率と、審査で検討された主な臨床試験での奏効率は同様の結果でした。機構において本調査で収集された安全性及び有効性に関する情報を確認した結果、現段階で更なる製造販売後調査等の実施は必要ないと判断されています。

 以上を踏まえ、製造販売後調査が適切に実施され、患者背景、安全性及び有効性に係る情報が収集されていること、収集された情報に基づいて、本剤の適正使用に必要な措置が講じられていることから、全例調査に関する承認条件については対応されたものと判断しております。以上です。

○吉田部会長 カテゴリー1の再審査結果が2件、既承認条件の解除が3件です。委員の先生方から御質問があればお願いいたします。

特にないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。

 その他の事項に移ります。事務局より説明をお願いします。

○事務局 その他、議題1、資料15、ヴァクセムヒブ水性懸濁注に係る部会後の対応について御説明いたします。資料の1ページです。ヴァクセムヒブ水性懸濁注は、昨年9月5日に開催されました当部会において御審議いただき、承認を可とされています。しかしながら、同年9月24日に申請者の申出により、申請資料に記載した海外市販後情報を含めた安全性情報の集計に誤りがあることが判明しました。そこで、その内容及びその審査内容への影響を確認するために、本剤の承認に向けた手続及び薬事分科会への報告を留保しております。ここまで御説明した経緯については、昨年1027日に開催されました当部会でも御報告しております。

 本件に関しては、現在、確認作業を進めているところですが、本日、その途中経過について御報告させていただきます。資料を2枚めくっていただき、武田薬品工業から提出されています「報告書(概略)」を御覧ください。その中ほどに図1として、これまでの調査内容の概略をまとめております。この内容については、本日は詳細な御説明は省かせていただきますが、これまでに確認されている誤記載の原因として、申請資料に書かれているデータの集計期間に誤りがある。また、随伴症状というものの出力の有無に関して齟齬があったという原因が判明しています。

 しかしながら、そのほかの原因について再度確認を進める必要が生じていますので、引き続き本件の確認作業を進めさせていただいて、最終的な検討結果がまとまりましたら、改めて本部会にて御報告したいと考えております。御説明は以上です。

○吉田部会長 まだ最終段階に来ていないようですが、よろしいですか。それでは、本件については、また御確認いただいたということといたします。

 本日残された議題1、議題2の取扱いを含めて、事務局から今後のやり方、方向性等について説明を頂ければと思います。

○事務局 まず、次回の部会ですが、当初の予定では8月3日()午後3時から開催ということで、こちらは通常どおり開催させていただくことになると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 部会長御指摘のとおり、本日の審議事項の議題1と2が残ってしまっています。こちらの品目を、やはり、上市を待っておられる患者さんや、医療現場の方もおられると思いますので、先生方には大変申し訳ございませんが、臨時部会を開催することを含めて、事務局のほうでまず検討してまいりたいと考えております。日程調整等をさせていただくことが今後あるかと思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。

○審査管理課長 ただいま申し上げましたように、当部会は、本来であれば定足数に十分足りているということで設定させていただいたのですが、本日急に体調を崩された委員の方がいらっしゃいまして、そのため、やむなくぎりぎりの状態になり、利益相反の関係の取扱いにより、どうしても参加できない委員の方もいらっしゃるということがある関係上、議題1、2については、残念ながら本日は定足数を満たした状態で御審議いただくことができませんでした。こういった事態になったのは非常に残念ですが、ただ、申請している企業側のほうにはそういった責めは何もないので、大変申し訳ありませんが、先生方におかれては、再度、至急、日程の調整をさせていただきたく、そのための調査に御協力いただきたいと思います。できるだけ早期に、本日積み残しました2議題について御審議いただけるように設定させていただきたいと思いますので、大変お忙しい時期だと思いますが、御協力いただけましたら幸いです。また、事務局から御連絡を差し上げたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ということで、再審議ということになってしまいました。大体いつ頃と考えていればいいのですか。6月中旬ぐらいですか。

○事務局 おおよそ6月の中旬頃になるかと思います。薬事分科会は6月下旬の開催が見込まれますので、できればそれよりも前に開催させていただきたいというのが事務的なところではありますので、そういったところで日程調整をさせていただくことになると思います。

○吉田部会長 臨時の部会を開くということのようです。お忙しいところ恐縮ですが、御協力のほど、よろしくお願いしたいと思います。事務局からほかにありますか。

○事務局 特にありません。

○吉田部会長 それでは、本日の議題は以上です。これにて終了とさせていただきます。御苦労様でした。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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