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2015年4月28日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成27年4月28日(火)17:00~


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室


○出席者

出席委員(17名)五十音順

奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫、 金 子 明 寛、 川 上 純 一、
神 田 敏 子、 佐 藤 雄一郎、 鈴 木 邦 彦、 武 田 正 之、 
内 藤 幹 彦、 野 田 光 彦、 平 安 良 雄、 古 川   漸、 
増 井   徹、◎松 井   陽、○松 木 則 夫、 村 田 美 穂、
山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名)

小 川   聡、 木 村   剛、 林   邦 彦、 平 石 秀 幸

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森   和 彦 (審査管理課長)
宇 津   忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○審査管理課長 「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催いたします。本日はお忙しい中、また少し暑い中、先生方には御参集いただき、ありがとうございます。

 本日の委員の出席については、小川委員、木村委員、林委員、平石委員より、御欠席との御連絡を頂いております。鈴木委員は少し遅れられるとの御連絡を頂いております。川上委員からは御連絡はないのですが、少し遅れておられます。現在のところ、当部会委員数21名のうち、15名の委員の御出席を頂いております。定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 それから、先生方におかれましては、最近利益相反に係る申告内容について多大な調査に御協力いただき、大変御迷惑をお掛けしているかと思います。本当に短期間に次々とお願いをしており、誠に申し訳ございません。

 現在、頂きました御回答についての確認作業を進めており、この確認が終わりましたら御報告させていただきたいと思いますが、何分最近こういったことに関して、社会的にもかなり厳しい状況ですので、先生方に御迷惑が掛からないようにするためにも、この調査はきちんと整理し、対応したいと考えております。

 利益相反に関する内容については、今後も事務局にいろいろとお問合せいただくことがあるかと思います。それから、このように改善してほしいということがございましたら、これもまたお寄せいただきたいと思います。引き続き御協力いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。

 それでは、松井部会長に以後の進行をよろしくお願いいたします。

○松井部会長 本日の審議に入る前に、薬事分科会の審議参加規程・運用等が一部改正されておりますので、その内容について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 薬事分科会参加規程・運用の一部改正について、事務局より御説明いたします。当日配布資料の資料11を御覧ください。

 薬事分科会の審議参加規程については、独立した評価委員会を開催し、運用状況の評価、必要な改善方策の検討を継続的に行うということになっております。今年の1月に開催されたこの評価委員会において、規程を一部見直してはどうかという意見が取りまとめられましたので、それを踏まえて3月30日付けの薬事分科会にて規程の見直しが了承されたところです。

 具体的な改正内容については、別添2を御覧ください。まず、「薬事分科会審議参加規程」についてですが、第14条については文言の修正を行いました。その下の16条は、特例的な審議、議決への参加について規定したものです。具体的には、50万円を超える場合は議決に参加できない、500万円を超える場合には審議に参加できないというのが参加規程になっているのですが、パターンは二つあり、一つ目が、当該委員が審議、議決への参加を希望した場合、二つ目が、当該委員等の発言が特に必要だと分科会等が認めた場合、これらについては、特例的に、50万円を超える場合でも議決に参加できる、あるいは500万円を超える場合であっても審議に参加できることになっています。ただし、この審議参加規程に基づいて運用を始めた平成21年以降、この特例を発令した事例はないということもありましたので、簡略化したというのが、新の16条に書いてあるところで、具体的には「500万円を超える場合であっても、審議に参加することができる」という規程のみを残し、ほかの場合については特例を発令しないという形に変更させていただいております。

 その下に「審議参加に係る確認事項」というのがあります。これは審議参加規程について、Q&Aのような形で解釈を示したものになるのですが、具体的には審議参加規程の8条で、特別の利害関係を有する委員等については、当該品目の審議の間は退室していただくことになっています。特別の利害関係を有する委員等の範囲を明確にするというのが、そこの「第8条関係」という所に書かせていただいた内容です。具体的には家族、この家族というのは配偶者及び一親等の者であって、当該本人と生計を一にする者という範囲を限定させていただいておりますが、その家族が申請者又は競合企業の常勤の役職員である場合には、その委員については特別な利害関係を有する委員とみなし、その委員については当該品目の審議の間は退室していただくことを明確にしたものです。

 続いて、その裏側、第12条関係です。これまで、寄附金・契約金等の申告については家族も対象にしてきたところです。その家族というのは先ほど御説明しましたが、一親等以内でかつ生計を一にする者です。その生計を一にする者の範囲の考え方についても、この「第12条関係」という所で明確化させていただきました。

 具体的には()ですが、家族が同一の家屋に起居している場合は生計を一にする者とみなすと考え方を整理しました。()は仕送り等をされている場合についてで、これも所得税法の基本通達でも同一生計とみなしているところで、これについても同一生計とみなすと規定を明確化させていただきました。

 また、一番後ろの「別紙」に記載していますが、寄附金・契約金等の申告の様式について、該当する3年度をこちらからあらかじめ記載させていただく形にしております。先生方におかれては、3年度のうち最も受領の多い年度についてチェックいただき、更にその年度で受領した金額の範囲についてチェックしていただきます。例えば今回の議題で、平成26年度に50500万円の受領があるということであれば、「50万超~500万以下」の所にチェックをいただき、更に「平成26年度」という所にチェックをしていただく形で申告いただきたいと思っているところです。

 1枚目に戻ります。もう一つ規程の運用の見直しも行っております。具体的には2. の改正内容の()です。昨今、製薬企業等が業界団体で「透明性ガイドライン」を定め、自主的に先生方への寄附金・契約金等の公開を進めているところです。評価委員会において、そういった情報を活用し、先生方の申告内容を確認するという仕組みを試行的に導入してはどうかという御意見を頂きましたので、それを踏まえて、今年度より対応を開始しているところです。

 具体的には、流れとしては1.から4.まで書いています。1.で、本運用の参画についての意向の確認を先生方にさせていただいているところです。これは、製薬企業から先生方への寄附金という個人情報を頂く形になりますので、個人情報を厚生労働省が頂く形になってもいいかということを確認させていただくものです。

 続いて2.で、これまでどおり、事務局に対して寄附金・契約金等に係る申告書を先生方から頂く流れになります。ここで一つ留意点があり、製薬企業に厚生労働省から先生方の申告内容を確認するという段取りが一つ増えますので、その意味では先生方に提出していただく時間を早めていただく必要があると思っております。具体的には、会議開催前1週間頃までの提出を依頼する形になりますので、これについて御協力をお願いできればと思っております。

 それから3.で、先生から頂いた申告内容を厚生労働省で取りまとめ、審議品目の製造販売業者に先生方の申告内容を送付させていただきます。製薬企業の方でその申告内容を確認し、もし先生方の申告が過小になっている場合には、製薬企業から厚生労働省に連絡をしていただきます。その旨を厚生労働省から先生方にお伝えさせていただくという段取りになります。

 4. で、もし過小になっていると企業から連絡があった場合には、再度先生方に寄附金・契約金等を確認していただき、間違いなければそのままで結構なのですが、もし過小になっているということが分かった場合には、改めて厚生労働省に申告書を提出していただくということでお願いさせていただきたいと思っております。

 ただ、1点留意点があり、製薬企業から、先生方に対しての寄附金をお渡ししている際に、大学等、施設が間接経費を取っている場合もあるかと思います。その間接経費が幾らになっているかというのを製薬企業が把握していないということもあるかと思います。そういった意味では、先生方に過小申告になっているという企業からの連絡があったとしても、先生方の申告の方が正しいというケースはあるかと思いますので、その点でお手間を取らせることが何度かあるかもしれませんが、御理解いただければと思います。事務局からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。

○松井部会長 ただいまの説明に対して、御質疑のある委員の方はいらっしゃいますか。

○松木部会長代理 直接は関係ないのですが、自分でもらったかどうかが分からないというようなケースもあるのです。というのは、ランチョンセミナーなのですが、ランチョンセミナーは年会などを開いたときに、協賛金は年会長の名前でもらうのです。製薬企業からすると寄附した認識かもしれませんが、受け取った方にはありません。年会長名で募集しますが、実際には分担していろいろな人が集めてきたものなので、それが個人への寄付金として載っているかどうかというのは分からないのです。

 私が2年前にやったときに尋ねてくれた企業があったので、それは違うのではないかという議論をした覚えがあるのですが、ほかの企業は何も言ってこなかったので、載っているのか載っていないのかも分からないというところです。むしろ載っているという情報があれば、またそこで何か対処した方がいいのか教えてもらいたいと思います。参考の情報としてお伝えしました。

○事務局 御意見ありがとうございました。基本的には供応接待という形になれば、寄附金等の範囲内ということにさせていただいているところですが、今回改めて企業等に確認をするという作業も行いますので、そういった中で齟齬がないように適正化を図っていきたいと考えているところです。

○野田委員 今回の私自身の確認の中でもあったのですが、企業側が間違っているということがあるので、私ども自身もきちんと記録を付けておく必要があるということは思いました。

○松井部会長 ほかにございますか。これは、言わずもがなのことだとは思うのですが、届け出られた個人情報は然るべき対応をして、時期がくれば処分されるとか、そういうことは大丈夫なわけですね。

○事務局 間違いのないようにさせていただきたいと思います。

○松井部会長 ほかにございますか。

○内藤委員 金額について、先ほど間接経費のことをおっしゃっていましたが、金額というのは直接経費を記載するのですか。それとも総額なのでしょうか。

○事務局 寄附金・契約金等につきましては、先生方が正に使途を決定し得る額ということで申告いただく形になっており、具体的には間接経費で取られた分については先生方が使途を決定し得る金額ではないということで整理させていただいていますから、外して申告していただく形になります。

○内藤委員 そうすると、企業が公開している金額と研究費として実際に使える金額が、必ずしも一致しないですよね。それで問題はないわけですか。

○事務局 基本的には、審議を行う上で、先生方が受領された金額に基づいて適切に審議会を運営させていただきたいというのが事務局の考え方になりますので、先生方の申告が適切であれば、それは問題ないと我々としては考えているところです。

○内藤委員 実際に直接経費として研究室で使用した金額が幾らであるかということを証明する書類を出していないわけですが、それでも構わないのですか。

○事務局 基本的には、先生方の方で適切に申告していただくという形で、この審議会のルールを運用してきているところですので、適切に申告していただくということでお願いしたいと思います。

○野田委員 先ほどの説明の追加ですが、「企業の方が間違っている」というのは、記録は間違っていないのですが、チェックするときに企業の方で間違えたということがありましたので、私ども自身も記録を取って、対処する必要があるなと思いました。

○松井部会長 ほかにございませんか。ないようですので、御承知いただいたということにいたします。

 本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。

○事務局 本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1から資料5については、あらかじめお送りさせていただいているところです。

 このほかに資料6「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料7「専門委員リスト」、資料8「競合品目・競合企業リスト」、資料9-1「サインバルタカプセル20mg他国内第III相試験成績に関する補足説明資料」、資料9-2「サインバルタカプセル20mg、同カプセル30mg添付文書の改訂について」、資料10「エビリファイ持続性水懸筋注用300mg他3規格の医薬品第一部会審議を受けた対応について」、資料11は先ほど御説明したものですが、「薬事分科会審議参加規程・運用等の一部改正について」です。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料8の1ページを御覧ください。

 サインバルタカプセル20mg、同カプセル30mgですが、本品目は線維筋痛症に伴う疼痛を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。イリボー錠2.5μgほか3規格です。本品目は下痢型過敏性腸症候群を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。リツキシマブ(遺伝子組換え)です。本品目は、腎移植、肝移植におけるABO血液型不適合移植における抗体関連型拒絶反応の抑制に係る予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 4ページを御覧ください。metirosineです。本品目は褐色細胞腫におけるカテコールアミン分泌過剰状態の改善並びにそれに伴う諸症状の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

○松井部会長 今の事務局からの説明に御質疑があれば、どうぞ御発言ください。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんの御了解を得たものといたします。

 それでは、委員からの申出状況について報告してください。

○事務局 各委員からの申出状況について御報告いたします。

 議題1のサインバルタカプセルは退室委員はなし、議決には参加しない委員は金子委員、武田委員、平安委員。

 議題2のイリボー錠及び同OD錠は、退席委員なし、議決には参加しない委員は武田委員、野田委員、平安委員。

 議題3のリツキシマブ(遺伝子組換え)は、退席委員なし、議決には参加しない委員なし。

 議題4のmetirosineは退席委員なし、議決には参加しない委員は金子委員、武田委員、野田委員、平安委員。

 なお、本日の審議事項の申請品目については、先ほど事務局から御説明しましたとおり、寄附金・契約金等の申告に係る運用の見直しに沿って、あらかじめ同意を頂いた先生については、寄附金等の状況を申請企業にも確認いたしましたことを申し添えます。

○松井部会長 今の事務局からの説明について、御質疑はございませんか。よろしいですか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとして、議題に移ります。

 本日の議題は審議議題が4議題、報告事項は1議題となっております。それでは、早速審議事項の議題1に移ります。御説明をお願いします。

○機構 議題1、資料1、医薬品サインバルタカプセル20mgほかの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤につきましては、補足説明資料として、資料9-1を配布しておりますので、こちらの資料を中心に説明させていただきます。

 本剤の有効成分であるデュロキセチン塩酸塩は、米国Eli Lilly社において開発されたセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬であり、海外では2015年1月現在、うつ病、糖尿病性神経障害に伴う疼痛などの効能・効果で承認されており、今回の申請効能・効果である線維筋痛症(以下「FM」と略す)に対しては、当日資料2枚目のスライドを御覧ください。こちらに示したとおり、米国を含む37か国で承認されております。

 本邦では2010年1月にうつ病・うつ状態、2012年2月に糖尿病性神経障害に伴う疼痛の効能・効果で承認されており、また国内外の診療ガイドラインにおいて、線維筋痛症に対する治療薬として、プレガバリン、ミルナシプランとともに推奨されております。

 このような状況を踏まえ、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高いと判断され、201012月に厚生労働省より申請者に対し、本剤のFMに対する開発が要請されました。

 当該要請を受けた申請者により、20 月より臨床試験が開始され、今般、日本人におけるFMに伴う疼痛に対する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料7に記載されている4名の委員を指名しております。審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。

 まず、有効性についてですが、3枚目のスライドを御覧ください。海外においては、こちらに示した四つのプラセボ対照試験が実施されており、疼痛の程度を評価するBrief Pain Inventory(以下「BPI」と略す)疼痛重症度(平均の痛み)の最終評価時の変化量について、3試験においてプラセボ群と比較して、統計学的に有意な改善が認められました。

 次に、当日資料4枚目のスライドを御覧ください。国内第III相試験におけるBPI疼痛重症度(平均の痛み)については、混合効果モデル(以下「MMRM」と略す)を用いた主要解析では、本剤群とプラセボ群の間に統計学的な有意差は認められませんでした。

 一方、共分散分析を用いた解析においては、LOCF、BOCF及びWOCFにより、欠測値を補完した場合、本剤群とプラセボ群の間に統計学的な有意差が認められました。

 また、追加でPattern Mixture Modelを用いた解析も実施しましたが、感度パラメータが大きいほど群間差が広がり、0.15以上で統計学的な有意差が示されました。

 なお、当日資料5枚目のスライドを御覧ください。図の実線で示したように、被験者が試験中に投与中止した場合、それ以降の値は欠測してしまいますが、MMRMは得られたデータの推移を基に、モデルを用いて全体集団の推移を推測する方法、LOCFは最終測定値で欠測値を補完する方法、OCは欠測値を補完しない方法、BOCFはベースライン値で欠測値を補完する方法、WOCFは最悪時の値で欠測値を補完する方法です。

 また、当日資料の6枚目のスライドを御覧ください。国内第III相試験におけるBPI疼痛重症度(平均の痛み)の経時推移を示しております。投与14週時点においては、統計学的な有意差は示されていないものの、投与2週から10週まではMMRM解析においても、統計学的な有意差が示されております。

 次に、当日資料7枚目のスライドを御覧ください。こちらに国内第III相試験における副次評価項目の結果をまとめました。BPI疼痛重症度(平均の痛み)について改善率で比較した場合、プラセボ群と比較して、統計学的な有意差が認められました。また、疼痛以外のFMの随伴症状も含めた評価尺度であるFIQ総スコアについても、有意な改善が認められました。また、疼痛に関するその他の評価尺度として、FIQの痛みスコア及びSF-36の体の痛みスコア並びに全般的な評価尺度であるPGI改善度及びCGI改善度についても、有意な改善が認められました。さらに、異なる試験であり比較に限界はありますが、本剤の平均疼痛重症度スコアの週平均値の群間差は、プレガバリンの国内第III相試験と同程度でした。

 次に、当日資料8枚目のスライドを御覧ください。以上をまとめますと、本剤は米国をはじめ、37か国で既に承認されており、国内の診療ガイドラインで推奨されております。海外プラセボ対照試験では、プラセボに対する優越性が示されており、国内第III相試験では、主要解析ではプラセボに対する優越性を示すことはできなかったものの、他の解析では有意な改善が認められたことから、中止例が影響していることが考えられました。さらに、疼痛や随伴症状に関連する副次評価項目では、有意な改善が認められており、これらの試験成績はプレガバリンの国内第III相試験成績と大きく異なるものではありませんでした。

 以上より、日本人FM患者における本剤の有効性は期待でき、FMに対する治療薬がプレガバリン1剤に限られていることを踏まえれば、現時点で本剤を医療現場に提供することが適切と判断しております。

 次に安全性について、審査報告書の38ページの表26を御覧ください。FM患者における本剤の安全性プロファイルは、既承認効能・効果と大きな差異はないと考えられたことから、現時点で得られている臨床試験成績、国内外製造販売後安全性情報を踏まえ、こちらの表に示した項目を医薬品リスク管理計画における安全性検討事項と設定いたしました。

 なお、机の上に配布させていただいている当日資料9-2を御覧ください。本剤の添付文書について、審査報告書作成後の4月23日に、これまで「重大な副作用(類薬)」の項に記載されていた「悪性症候群」が、国内症例の集積に伴い、「重大な副作用」の項に記載箇所が変更されました。これに合わせて、医薬品リスク管理計画においても、悪性症候群については「重要な潜在的リスク」から「重要な特定されたリスク」に変更させていただきます。

 以上の審査を踏まえ、本剤の線維筋痛症に伴う疼痛に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能及び新用量医薬品に該当するものであり、今回追加される効能・効果及び用法・用量に対する再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、本日は御欠席ですが、事前に林委員よりコメントを頂いておりますので、紹介させていただきます。コメントは以下のとおりです。

 「確かに主要解析での結果はプラセボ群に統計学的に有意に勝るものではありません。しかしながら、投与後14週の測定の欠測例がプラセボ群で24.6%、本剤群で14.7%と、プラセボ群に明らかに多く、14週未測定例の偏りが両群比較に影響していると考えられます。そのため説明資料にあるように、この偏りの影響を補正する各種の感度分析が行われ、その結果では統計学的に有意に本剤群で痛みが改善されていることが示されています。これらのこと、また海外試験の結果などから、有効性は期待できるとしたPMDAや専門協議の判断は(もしくは再度国内試験を行って主要解析で優越性を示すことを要求することまでは不要との判断は)、妥当なものと思います。」とのコメントを頂いております。

 以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から、御質疑をお願いします。最初に、林委員の事前コメントを中心とした解釈について何か問題、御指摘はありますか。あるいは賛意を表するとか、いかがでしょうか。特にないですか。ないようでしたら、全般的に御質疑をお願いいたします。内藤委員どうぞ。

○内藤委員 今回の線維筋痛症に伴う疼痛の承認に関しては余り問題ないと考えています。以前から承認されている、うつ病・うつ状態あるいは糖尿病性神経障害に伴う疼痛の場合の投与量が、標準的には40mgで、今回のは標準的には60mgと用量が変わってしまっています。以前の効能に関しても、1日60mgまで増量できることになっているので、実際に使用できる用量としては違いがないので、そんなに大きな問題ではないと思うのです。しかし、このように標準的な投与量が違うと、線維筋痛症の方が痛みが強いから、より高用量を使うのではないかと普通には考えてしまいます。そういう理解で正しいのかどうか。それから、もともとの標準的投与量である40mgというのはそのとおりで本当によろしいのかどうか。それを今後将来的に見直すことは必要かどうかについてコメントを頂けたらと思います。

○機構 こちらの用量の違いについては、基本的には線維筋痛症に伴う疼痛の方が、糖尿病性神経障害に伴う疼痛より強いという観点よりは、開発戦略の問題の方が大きいと考えております。線維筋痛症に伴う疼痛に関しては、国内臨床試験を実施するに当たり、用量設定に海外の臨床試験成績を参考にしました。海外の臨床試験では、20mg60mg120mgが検討されていて、40mgは検討されていない状況でした。20mgに関しては、海外の臨床試験で有効性が示されていません。海外では60mgが承認用量で、120mgは海外では承認されておりません。海外の承認用量が60mgのみであったことから、今回開発要請された品目ということもあり、速やかに開発をするということも考慮し、40mgの検討を日本独自で実施するのではなく、海外に合わせて60mgのみの検討を行い、速やかに医療現場に本剤を提供することの方がいいのではないかということです。今回国内第III相試験では60mgの検討を行っておりますので、用量としてもこちらは60mgが適切と判断しております。

 今後見直す必要性についてですが、40mgの有効性については先ほど説明したとおり、国内外ともに明らかになっていないので、もし両効能の用量を合わせるということであれば、どちらかというと線維筋痛症の方の40mgの有効性はどうなのだという話になってくるかと思います。現時点では、40mgの開発を必須とするようなことまでは考えておりませんが、もし市販後に何か問題があれば、そういうことも考えられるかと思います。基本的に用量として使える幅としては、これまでの効能・効果と同じく60mgですので、大きな問題にはならないのではないかと考えております。

○内藤委員 私も大きな問題にはならないとは思っているのですが、実際の医療現場で、症状によって推奨用量が違うということがここで起こっているわけです。そこで、現場の方で多少の混乱は起こらないのかを危惧しただけです。

○機構 これまでうつ病・うつ状態ですと精神科が中心になってきています。糖尿病性神経障害に伴う疼痛ですと、糖尿病を診ている医師がそのまま使うことも多いかと思います。また、ペインクリニックでも使うことが多いかと思います。線維筋痛症に伴う疼痛ですと、リウマチ科などでも使うことになり、診療科がやや重複している部分はあるものの、主に使う診療科が違うことにもなりますので、大きな混乱までは起こらないのではないかと考えています。

○松井部会長 今の点について平安委員、野田委員から御発言はありますか。用量に関して混乱が起こらないだろうかということです。

○野田委員 私どもは、基本的に糖尿病性神経障害による疼痛の効能で処方します。私ども自身が線維筋痛症を診療することは余りないと思います。そういう意味で、糖尿病の臨床の現場での混乱は比較的少ないのではないかと思います。

○平安委員 心療内科の領域だと、両方の患者さんが混在する可能性があるのかと思います。精神科領域では、線維筋痛症独自の方は少ないかと思います。その場合にうつ病・うつ状態の患者さんに最初から、あるいは急激に増量した場合に精神的な副作用が惹起される可能性がありますから、線維筋痛症だと思ったときに、精神症状がどうかを確認した上で投与されないと、用量が多いために起こる心配はあるかと思います。

○松井部会長 内藤委員、よろしいですか。

○内藤委員 はい。

○松井部会長 鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 サインバルタカプセルですが、臨床試験では一部プラセボに対して統計的な有意差が認められなかったということです。このまま適応外として、利用現場で使用されるよりも、承認を取った上で処方される方が望ましいので、承認で差し支えないと思いますが、作用機序を考えると、他のSNRI等でも同様の効果が推察されますから、より安い薬を使った適応外使用という状態が続く可能性もあると思います。

 当日配布の資料9-1を見ると三つの線維筋痛症に対する治療薬があり、真ん中のプレガバリンは承認されています。今回対象とならなかった、右側のミルナシプラン、トレドミンは既に後発品もあって、薬価は安くなっています。本剤サインバルタは、日本線維筋痛症学会が、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に要望して、国が企業に開発要請をしたものです。学会はミルナシプラン、トレドミンの検討も要望していましたが、選ばれなかったとのことです。企業も開発をする気がなかったようですが、薬価が高い薬だけが承認されるのはどうなのかという気もします。

 この表を見て、米国では三つとも承認、EUでは全部駄目、日本はリリカだけで、今度もう一つということですけれども、この差はどういう理由なのか。日本では、特に両側が適応外使用だったわけですが、一方には開発の検討が要請され、一方には開発の検討が要請されない、その差はどこから来たのか分かったら教えてください。

○機構 今の御質問は、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の中で、ミルナシプランが、医療上の必要性が高いと判断されなかった理由ということでよろしいでしょうか。

○鈴木委員 はい。

○機構 その点に関しては、当時の精神・神経WGでの報告書によると、FDAでは承認されていますが、FDAのレビューの中に、最終的に本剤のベネフィットはリスクに見合っていると結論付けられているものの、有効性について懸念も示されていることから、有効性についての評価が十分に確立しているとは言い難いと当時のWGで判断されました。また、製薬企業にも開発する意思がなかったこと、

本邦で線維筋痛症を対象とした他の薬剤が開発中であることも踏まえ、ミルナシプランの線維筋痛症については、本邦における医療上の必要性が高いとまでは言えないという判断がされております。

○機構 補足いたします。EUで承認されていない状況に関しては審査報告書の31ページに、海外における審査の経緯等が書かれております。ここで、EMAから短期投与の問題、長期投与の問題、対象集団の適切性、抗うつ症状の改善の有効性に及ぼした影響の四つに問題があるということで承認に至っていません。アメリカ、日本、EUで承認の状況が異なっています。

○松井部会長 鈴木委員、よろしいですか。

○鈴木委員 わかりました。

○松井部会長 加藤委員どうぞ。

○加藤委員 確認ですが、本日配布していただいた資料の6枚目のスライドの表というのは、元の報告書の8ページの表4の内容と同じです。さらに、この厚い束の第1部()「起原又は発見の経緯及び開発の経緯」という耳が付いています。その中の9ページにあるのが全く同じデータと考えてよろしいでしょうか。9ページにグラフが出ていて、「起原又は発見の経緯及び開発の経緯」の9ページです。

○機構 御指摘のあった3つの表・図については全て同じものです。

○加藤委員 そうですね。9ページを見ると、プラセボと14週の所では有意差がないということです。その主な原因は何かというと、プラセボが相当効くことが一番問題かと思います。疼痛科学でも、今はプラセボというのは実際に痛み、これをBPIと言っていますけれども、このBPIというのも本人の主観的な尺度ですので、主観的な痛みの認知に対してはプラセボが相当効く。それに関しては、かなりバイオロジカルなメカニズムが関与していて、それは下行性疼痛制御系が関与しているというのは、支持されているエビデンスがたくさんあるような考え方になっていると思います。

 その下行性の制御系は主にノルアドレナリンとセロトニンを伝達物質として使っているのが一般的な理解です。ある意味では、プラセボの効果が出ていることと、このデュロキセチンの効果はほとんど同じ生物学的なメカニズムを使っているので、そもそもプラセボとの差というのは、プラセボがバイオロジカルに効くのとデュロキセチンがバイオロジカルに効くのとは同じようなことで、どっちが強いかを比較していることになります。ある意味では患者さんの感じている主観的な痛みに対して、それを低下させる意味では、プラセボと差は小さいかもしれないけれども、有意にちゃんと低下させる効果を持っているということです。

 そのことを踏まえて、線維筋痛症というのはリウマチ学会が定義していますけれども、リウマチそのものと直接関係があるかどうかという議論があります。線維筋痛症の診断基準そのものも新たなものが必要ではないかと考えられる症例の報告が増えてきており、さらに、皮膚科であったり、精神科であったり、他のいろいろな科で線維筋痛症と診断される場合もあります。もしかすると、一つの疾患ではない可能性がかなりあります。この報告書には動物モデルがないと書かれていますけれども、ここ1、2年の研究で動物モデルがかなり作られてきているのも事実です。そういう患者さんが確かにいるのは間違いないので、そういう患者さんがプラセボで、ある意味でそれよりも部分的には有効であることが証明されている薬物というのは非常に重要だと思います。

 今後これが臨床に出たときに、例えば線維筋痛症と診断されているけれども、その中でどのようなサブグループに対して有効であるのか、あるいはその有効性の時間的なプロファイルで時間経過とか、慢性痛がどのぐらい持続しているとか、患者さんのプロファイルとか、一番大事なのはうつ傾向とか、そういうメンタルなものの評価としてのデータをきちんと取らないと、これから先こういう線維筋痛症という中枢神経系の変化も伴っていると考えられる疾患においての痛み、疾患による痛みの薬物の開発は難しいと思います。そのデータを、製造販売後調査という形でできるだけ収集するようにということで、製薬会社の方に言うことは可能かどうかをお伺いします。

○機構 製造販売後調査においては、線維筋痛症の臨床症状については痛みだけではなく、その他の膠原病様症状、疲労などの身体症状、又は頭痛などの神経症状、睡眠障害、不安感などの精神症状を持っているかどうかという点も情報収集し、臨床症状別の有効性なども解析できるようにしておりますので、御指摘いただいた点については、製造販売後調査の中で検討できると考えております。

○松井部会長 加藤委員、よろしいですか。

○加藤委員 はい。

○松井部会長 他にないようでしたら、議論、質疑は十分に尽されたように思いますので、議決に入ってもよろしいでしょうか。なお、金子委員、武田委員、平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮願います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明してください。

○機構 議題2、資料2、医薬品イリボー錠2.5μg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。過敏性腸症候群は、器質的疾患を伴わずに、腹痛・腹部不快感を伴う便通異常が、慢性的に持続又は再発・改善を繰り返す機能性疾患であり、便形状に基づき下痢型、便秘型等に分類されております。本剤の有効成分であるラモセトロン塩酸塩は、選択的セロトニン5-HT3受容体拮抗薬であり、腸管に存在する5-HT3受容体を阻害することにより、排便亢進や下痢を抑制します。

 本剤は、本邦では2008年7月に、男性における下痢型過敏性腸症候群を効能・効果として承認されております。初回の医薬品製造販売承認申請時に、女性の下痢型過敏性腸症候群に関する効能・効果も申請内容に含まれておりましたが、本剤の女性における薬物動態、有効性及び有害事象の発現割合は、男性と異なる傾向が認められ、提出された臨床試験成績からは、女性の下痢型過敏性腸症候群患者における至適用量は明確になっていないと判断されたことから、男性患者に対してのみ承認するとともに、女性患者の至適用量と、その有効性及び安全性について再検討するよう申請者に指示がなされました。

 申請者は、新たに実施した女性の下痢型過敏性腸症候群患者を対象とした、国内第II相試験の結果から用量の検討を行い、さらに、設定した新たな用量に基づいて、第III相試験及び長期投与試験を実施した結果、当該患者に対する本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、今般、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。

 なお、2015年2月現在、本剤は韓国及びタイにおいて、男性の下痢型過敏性腸症候群で承認されていますが、女性の下痢型過敏性腸症候群の効能・効果で承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議では、本日の配布資料7に示す専門委員を指名しております。

 以下、本剤の有効性及び安全性について臨床試験成績を中心に説明いたします。主な臨床試験成績としては、女性の下痢型過敏性腸症候群患者を対象とした国内第II相試験、第III相試験及び長期投与試験の成績が提出されております。有効性に関しては、報告書7ページの表5及び8ページの表6を御覧ください。国内第III相試験の主要評価項目である最終時点の過敏性腸症候群の症状の全般改善効果の月間レスポンダー率及び最終時点の便形状正常化の月間レスポンダー率のいずれにおいても、プラセボ群と比較して、本剤2.5μg群で統計学的に有意な差が確認されました。

 続いて報告書24ページの表21を御覧ください。過敏性腸症候群の症状の全般改善効果について、今般提出された女性の下痢型過敏性腸症候群患者を対象とした第III相試験における本剤2.5μg群、プラセボ群の群間差は、初回申請時に提出された第III相試験における男性集団の本剤5μg群とプラセボ群の群間差と比べて大きな差は認められませんでした。以上より機構は、女性の下痢型過敏性腸症候群患者において、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 安全性に関しては、報告書19ページの表18から表20を御覧ください。これまでに実施された第II相試験及び第III相試験の併合解析データにおける女性の下痢型過敏性腸症候群患者の有害事象の発現状況を示しております。プラセボ群と比較して、本剤群では硬便、便秘、腹部膨満の発現割合が高い傾向が認められました。しかし、これらの有害事象はいずれも軽度又は中等度であり、休薬等の対応により回復したこと、また男性患者において既知の副作用であり、添付文書において投与中に硬便及び便秘が認められた場合には、患者の症状に応じて休薬等の適切な処置を行う等の注意喚起がなされており、そのような対応により、現時点までの市販後の安全性に特段の問題は生じていないことから、男性患者と同様の安全対策を講じることで対応可能と考えました。また、本剤の長期投与により、有害事象の発現割合が増加する傾向も認められませんでした。

 以上より機構は、男性患者と同様の安全対策を講じることで、女性の下痢型過敏性腸症候群患者における、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。ただし、硬便及び便秘については、女性では男性と比較して発現割合が高いことを添付文書及び資材等に記載し、医療現場や患者へ適切に情報を提供するとともに、製造販売後調査等で情報収集することが必要と考えました。

 以上、機構での審査の結果、女性の下痢型過敏性腸症候群患者に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、効能・効果等の追加について承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。

 なお、本申請は新効能・新用量医薬品としての申請であることから、今回追加する女性における下痢型過敏性腸症候群の効能・効果及びその用法・用量について、再審査期間は4年と設定することが適切と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。内藤委員お願いします。

○内藤委員 今回、女性への適応となると、催奇形性とか胎児に対する安全性が問題になる可能性があると思うのです。それに関するデータは何かありますか。

○機構 催奇形性等については、過去の承認時に生殖発生毒性試験成績が提出されており、影響を及ぼさないことが確認されております。

○松井部会長 内藤委員、よろしいですか。

○内藤委員 はい。

○松井部会長 山田委員どうぞ。

○山田委員 添付文書を見ると、男女差の理由の一つは薬物動態に差があるという印象を受けましたが、その理由は分かっているのでしょうか。

○機構 本薬の薬物動態の性差の原因は明確にはなっておりませんが、主にCYP1A2に起因する男女の代謝能の差によるものと推察されております。

○山田委員 例えば、閉経後の女性の場合にはどういう用量を使うとか、そういうことについては何か情報があるのですか。

○機構 閉経前、閉経後に分けた試験成績は得られておりませんが、部分集団解析から年齢による有効性及び安全性の差異は認められておりません。

○山田委員 理由はよく分からないということで、その性ホルモンが関与しているかどうかも分かりませんけれども、何かリスク管理計画で、この性差について注意すべき点等が指摘されているのであれば教えてください。

○機構 本薬の安全性プロファイルの特徴的な性差として硬便及び便秘があり、男性と比較して女性において発現頻度が高いことが示唆されております。女性における硬便及び便秘の発現状況ついては製造販売後に情報を収集するように指示しています。

○松井部会長 山田委員、よろしいですか。

○山田委員 はい。

○松井部会長 奥田委員どうぞ。

○奥田委員 1点教えてください。恐らく当初、アステラスさんの申請用量というのは、1日1回5μgに増量することができるという形で申請があったものが、最終的には1日最高投与量は5μgまでとするというように修正された形でここに挙がってきていると思うのです。素人質問で恐縮なのですけれども、このように書いたときには、何か実際のアクションが違うのですか。5μgに増量することができると書いた書き方と、最高用量を決めるということは、何か意味が違ってくるのでしょうか。これは、単に男性との並びでこのようにしたということなのでしょうか。

○機構 初回申請時に申請された用量としては、5μgを通常用量として、10μgまでを最高用量とするような申請用量でした。今回、女性について至適用量を新たに検討したところ、その半量である2.5μgを通常用量として、最高5μgまで増量することができるとしています。

○奥田委員 審査結果の書きぶりの話です。

○機構 男性との並びを考慮して記載整備をしております。申請用法・用量は、「なお、効果不十分の場合には、1日1回5μgに増量することができる」と設定されておりましたが、男性における用法・用量の記載に合わせた方が分かりやすいと考えましたので、「なお、効果不十分の場合には増量することができるが、1日最高投与量は5μgまでとする」と整理しました。

○奥田委員 分かりました。

○松井部会長 加藤委員どうぞ。

○加藤委員 この医薬品と同じ化学物質が4ページに書いてありますけれども、ナゼア注射液、ナゼアOD錠ということで、抗悪性腫瘍剤を使ったときの消化器症状について使っているということです。そちらの方はDOSEが0.3mg0.1mgではるかに多いと思うのです。そちらの方で認められている安全性のプロファイルと、今回5μg、男性だと10μgのどちらでもいいのですけれども、安全性のプロファイルというので、HIGHDOSEを、抗がん剤のときには短期間にパッと大量に使うという意味なのだと思います。安全性のプロファイルということで報告されていることの違いは何かあるのでしょうか。

○機構 両薬剤の安全性プロファイルについて、ナゼアOD錠はショック、アナフィラキシー様症状が、イリボー錠は硬便、便秘等が重大な副作用として添付文書において注意喚起されており、両薬剤の安全性プロファイルは添付文書上では異なる記載となっております。この安全性プロファイルの違いについては、おそらくは投与量や投与期間の違いが影響していると推察されます。

○加藤委員 先ほど問題があった、上限5μgということですけれども、そこで何らかのナゼア錠と同じような有害反応が観察されることは余りケースとしてはないと考えているのですか。

○機構 ナゼア錠で認められておりますアナフィラキシー様症状等については、女性よりも通常用量が高い男性において臨床試験及び市販後情報で特に認められておりませんので、女性において問題となる可能性は低いと考えております。

○松井部会長 加藤委員よろしいですか。

○加藤委員 はい。

○松井部会長 松木委員どうぞ。

○松木部会長代理 多分、IBSは女性の方が多いのではないかと思うのです。今まで女性が対象になっていなかったのは残念なことだと思うのです。ラモセトロンが効きすぎて、セロトニン3のブロックが強すぎ便秘してしまうというのが一番の問題だったと思うのです。ですから2.5μgでも多すぎて、半量ぐらいでもいいような人が出てくるのではないかと思うのです。そのような場合の対応とか、そのような説明は何かする予定はあるのですか。

○機構 より低用量の開発をする必要はないかという点について、第II相試験において1.25μgで検討がなされており、その結果を報告書の14ページに記載しております。第II相試験における最終時点のIBS症状の全般改善効果の月間レスポンダー率について、1.25μg群とプラセボ群の群間差は1.2%であり、1.25μgとプラセボでは効果がほぼ変わらない結果が示されておりましたので、1.25μgまで用量を下げて開発をする必要はないと考えております。

○松井部会長 松木委員よろしいですか。

○松木部会長代理 はい。

○松井部会長 他にないようでしたら議決に入ってもよろしいですか。なお、武田委員、野田委員、平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。

 議題3に移ります。議題3について事務局から概要の説明をお願いします。

○事務局 審議事項、議題3、資料3、リツキシマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。資料の総合機構による評価報告書のタブをお開きください。報告書、1ページ中段を御覧ください。申請者は、全薬工業株式会社。予定される効能・効果は、腎移植又は肝移植のABO血液型不適合移植における抗体関連型拒絶反応の抑制となります。

 希少疾病用医薬品の指定要件三つについて、順に説明いたします。1.対象患者数を御覧ください。ABO血液型不適合腎移植症例数については、年間200例から400例。ABO血液型不適合肝移植症例数については、年間60例ほどであり、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 2.医療上の必要性についてを御覧ください。本邦では、海外と比較して臓器移植のための脳死又は心停止ドナーからの臓器提供数が著しく少ないことから、腎臓と肝臓については生体臓器移植の割合が共に90%以上を占めております。血液型が一致するドナーからの臓器提供が難しい場合もあり、血液型不適合による拒絶反応の抑制が非常に重要な課題となっております。

 臓器移植時、拒絶反応の抑制を効能・効果として承認されている医薬品として、タクロリムス、シクロスポリン等の免疫抑制剤がありますが、いずれもABO血液型不適合臓器移植における抗体関連型拒絶反応の抑制に対する効果は十分ではありません。本剤は、レシピエントのB細胞を特異的に枯渇させ、ドナー移植臓器のABO式組織型抗原に対する抗体産生を抑制することで、抗体関連型拒絶反応を抑制する結果が示唆されております。

 以上より、医療上の必要性は高いと考えております。なお、本薬のABO血液型不適合腎移植に対する開発については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高いと判断され、厚生労働省より申請者に対して開発要請を行っております。

 最後に、3.開発の可能性についてを御覧ください。ABO血液型不適合生体腎移植患者を対象とした臨床試験が実施されており、現在試験結果の取りまとめが行われているところです。試験を完了した18例において、抗ABO式血液型抗体に起因する抗体関連型拒絶反応は認められず、移植後1年時点での生存率及び生着率は100%でした。また、ABO血液型不適合肝移植については、現在日本移植学会及び日本肝移植研究会を中心として、ABO血液型不適合肝移植における本薬の用法・用量及び有効性及び安全性に関する国内使用実態調査が実施されているところであり、開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から、御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。

○武田委員 この薬は、以前から使っていて、当然我々は非常に必要としていたものでしたので、非常に喜ばしいことだと思います。治験計画の所で、既に行われたと思われる治験計画の概要があり。

○松井部会長 ページ数をお願いします。

○武田委員 ページ数は、113ページです。この結果を今まとめている最中だとお話があったようなのですが、通常このABO血液型不適合で抗体関連の拒絶が予想される場合は、血中の抗体価を下げなくてはいけないので、血漿交換を併用することが多いです。この治験の中でも、115ページの一番下の行に、抗血液型抗体価に応じ、腎移植前は原則4回まで、血漿交換を施行することができると。116ページの上から8行目、3.腎移植後の免疫抑制療法の所で、腎移植後は原則2回まで血漿交換を施行することができると。これは、多くの症例では血漿交換を併用してやっていると思われるのですが、この薬の効きめがどの辺まであったのか、血漿交換は必要なかったのか、どのぐらいなのかが非常に知りたいところですが、そういうデータはありますか。

○機構 開発計画に関する情報は資料3の添付資料に書かれているのですが、現時点では承認申請されていないことから詳細なデータは提出されていません。先生から御指摘があったところは、承認審査でもポイントになるところだと思いますので、出されたデータを基に確認させていただきたいと考えております。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○武田委員 ABO血液型不適合移植の場合は、比較的成績は良好ですので、非常によい感触をもっております。HLAの抗体陽性も、かなり実際に患者はおり、このリツキサンを使った移植は実際に行われているのですが、これについては今後どのような形になっていくのでしょうか。今日の議題とは直接関係ないのですが。

○松井部会長 腎移植についてですね。

○武田委員 私は腎移植を担当しているので、それについてお願いします。

○機構 ほかの適応の開発については、機構では現時点で十分な情報を得ておりません。承認申請されたときにほかの適応拡大の開発予定などを確認していきたいと考えております。

○松井部会長 ほかにはありますか。これは、日本にかなり特有の事象だと思いますが、ブレインデス、脳死の移植のドナーが少ないということですね。ほかに御質疑はありませんか。よろしいですか。それでは、議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題4に移ります。事務局から概要を御説明ください。

○事務局 審議事項議題4、資料4、metirosineを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局から説明いたします。資料の2番目のタブ、希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書をお開きください。御覧のページに記載のとおり、名称metirosine。こちらは、チロシン水酸化酵素阻害剤で、カテコールアミンの生合成を抑制する薬剤です。

 予定する効能・効果は、褐色細胞腫におけるカテコールアミン分泌過剰状態の改善、並びにそれに伴う諸症状の改善です。申請者は、小野薬品工業株式会社となっております。

 対象患者数について説明いたします。1ページ下段から2ページを御覧ください。褐色細胞腫は、副腎髄質又は副腎外傍神経節のクロム親和性細胞に由来し、カテコールアミンをはじめとする各種生理物質を生成、分泌する神経内分泌腫瘍です。厚生労働科学研究班による平成21年度の調査では、国内患者数を2,920名と推定されているなど、患者数は指定基準である5万人未満を満たしているものと考えられます。

 次に、医療上の必要性について、2ページ中段から述べられております。褐色細胞腫の患者は、カテコールアミン分泌過剰による高血圧症、頻脈、頭痛、動悸、発汗、便秘等に加え、カテコールアミン分泌過剰を合併し、メタボリックシンドローム等と同様の臨床所見を呈します。また、カテコールアミンの急性あるいは慢性の分泌過剰により、高血圧クリーゼ、心不全、不整脈等の致死的な心関連事象のリスクが高まり、生命維持に著しい悪影響が及ぶとされております。

 厚生労働科学研究班が取りまとめた本邦における褐色細胞腫診療のアルゴリズム()によると、カテコールアミン分泌過剰に伴う諸症状の治療及び予防を目的に、術前管理として薬物療法を開始するとされ、幾つかの薬剤が示されているところです。

 3ページに移ります。既存の交感神経受容体遮断薬では効果が不十分な症例や、適用できない症例においては、カテコールアミン分泌過剰を抑制する対症療法が必要となります。本邦において、カテコールアミン生合成阻害薬は承認されておりません。また、本薬metirosineは、海外でも薬物療法の選択肢の1つとして用いられているところです。

 以上より、本薬は本邦における褐色細胞腫の薬物治療に際して新たな選択肢となるものと期待され、医療上の必要性は高いと考えられます。

 最後に、開発の可能性について、御覧の3ページ下段に記載のとおり、米国では1979年に承認されており、また日本では医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議をへて、開発企業の募集が行われたものです。現在、国内で第I相試験が実施中で、さらに褐色細胞腫患者における本薬の安全性、有効性及び薬物動態の確認を目的とした第I/II相臨床試験が計画されていることから、開発の可能性は高いと考えております。

 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件は満たしていると考えております。よろしく、御審議のほどお願いいたします。

○松井部会長 御質疑をお願いいたします。

○武田委員 かつて、20数年前にメルク社から個人輸入して使ったことがあるのですが、かなり強い副作用が出る薬だと思われますが、これに関してはいかがでしょうか。

○事務局 申し訳ありません。今、第I相治験実施中で、国内での臨床試験としての使用成績はありませんので、データとして有害事象の頻度などを説明できるものは今は手元にはありません。当然、臨床試験の実施中については副作用報告を丁寧に見てまいりますし、治験の結果が出てまいりましたら、その辺を十分に審査したいと思っております。

○武田委員 今、読み上げていただいた資料で、本当の適応は恐らく悪性褐色細胞腫で、もう手術もできない。ただ、カテコールアミンの管理が全くできないという患者が一番いい適応だと思うのですね。それ以外、多くの褐色細胞腫というのは、今はαブロッカーなどの薬で術前管理をして、あとは腹腔鏡で摘出は可能です。ですので、極めて限定されると思うのですが、そういう患者に対して安全性をある程度確保してあげないと、極めて大変なことになると思うのですが、これはやはり重要だと思いますが。

○事務局 コメントありがとうございます。担当審査部も含めて、その御意見を踏まえて、申請の暁には審査をさせていただきたいと思います。

○松井部会長 今のお答えでよろしいですか。

○松木部会長代理 やはり、チロシン水酸化酵素を抑えてしまうのは、大丈夫かなという気がします。これは、褐色細胞腫に効くというのは、そちらの方がチロシン水酸化酵素の活性が高いからとか、何かそのような展望があるのでしょうか。これは、多分慢性に使ったら必ず副作用があると思いますので、局所投与するとかそのようなことで海外でも承認されているということなのですが、どういうことを狙って効果を期待しているのでしょうか。

○事務局 今、手元にある情報は限定的ではありますが、むしろこちらは厚生労働科学研究班が取りまとめた治療アルゴリズムの中でも、本当に最後のラインとして使う薬として指定されているものです。アメリカでは、1979年に承認されており、それを日本に使えなかったので持ってこようという話で、学会の要望に基づき開発企業が公募されて、今回小野薬品がやってくれるというような話になっているものです。当然、副作用の情報等については注意深く審査いたしますが、局所に効かせるような特殊な製剤を作るよりは、あるものといいますか、海外で使えるものを日本に持ってきたいということで開発を進めているものと理解しております。

○松井部会長 ほかに治療手段がないと考えてよろしいですか。

○事務局 そうですね。

○武田委員 確かに最後の手段ですので、こういった病気を扱っている医師にとってみると、本当に必要なものだと思うのですね。ただ、1ページ目の適応、予定される効能・効果の所が、褐色細胞腫におけるカテコールアミン分泌過剰状態の改善並びに、それに伴う諸症状の改善となりますと、何でも使ってよさそうに聞こえてくるので、本来は転移していてほかの治療法がない。例えば、I-131-MIBG投与は今はできないので、最後の手段として使うような薬か、あるいはほかのαブロッカーとかβブロッカーで全く効かない、術前のコントロールができない人が適応になるので、余り全員に使えるとはうたわない方がいいと思いますが。

○事務局 御助言ありがとうございます。今回のオーファン指定では、基本的に申請者が言ってきた効能をそのまま書いております。この予定されている効能・効果の対象範囲が妥当なのかについては、改めて審査の過程で記載ぶりを調整いたしたいと思います。今のところは、厚生労働科学研究班が取りまとめているアルゴリズムに記載のとおり、ラストラインといいますか、一番最後に使われる薬だという認識のもとに、今回のオーファンの指定の御審議をお願いしているところです。

○松井部会長 よろしいですか。ほかにはありますか。

○加藤委員 チロシン水酸化酵素の阻害薬ということで、末梢レベルでの循環器系などに対する副作用というのは考慮されていると思うのですが、例えばこの資料の72ページ「別添治験薬概要書第1版」という4番目のタブを見たのですが、こういうチロシン水酸化酵素阻害薬がもし中枢に入るのだとすると、ドパミンもアドレナリンもノルアドレナリンもその合成が抑えられるので、重篤な副作用、中枢神経系を介した副作用が出るのではないかと思い、いろいろ資料を見せていただきました。やはり、この7273ページには、留意すべき有害事象として、相当の重篤な神経症状が出てくることが報告されています。しかも、これは循環器内科とか末梢のカテコラミン系の専門家というよりは、むしろ神経内科、精神科の方が判断するところで、早く検出できるような副作用が相当多いなという印象をもちましたので、今後臨床で使っていく際に、中枢神経症状に関しての専門医がきちんとモニターすることもある程度指示しておくことが必要なのではないかと感じましたが、いかがでしょうか。

○事務局 これも、結論としては、審査の過程でとなってしまいますが、各領域の専門医が連携して必ず診れるような形をつくることは必要だと思いますので、その辺りも注意深く見させていただきたいと思います。

○加藤委員 かなり明白な中枢神経系症状が出るということをきちんと明記して使っていただく必要があると思います。

○松井部会長 今の答弁は、この薬剤を使う施設もかなり限定されるという意味でしょうか。

○事務局 この場では、希少疾病用医薬品の指定の御審議を頂いているところですので、医薬品の承認時にどのような添付文書の記載にするのか、どのような承認条件をかけるのか、どのような効能・効果にするのかについては、また新たに臨床試験の成績を提出いただいたあとに機構で審査をして、我々の方で評価した上で先生方に御審議いただくことになります。ですので、今の段階で断定的に何かということは申し上げられないのですが、今日先生方にいただいた御助言を踏まえ、注意深く審査の際に見させていただきたいと思っております。

○松井部会長 今の委員の先生方の御意見を十分に勘案していただきたいと思います。

○事務局 ありがとうございます。

○松井部会長 ほかにありませんか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、金子委員、武田委員、野田委員、平安委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。

 それでは、報告事項に移ります。

○事務局 報告事項について説明いたします。資料番号は、5-1~5-9を御覧ください。報告事項議題1、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。まず、資料5-1は、販売名スミフェロン注バイアル300万IU。以下、資料5-2は、販売名献血グロベニン-I静注用500mg。資料5-3は、販売名レベトールカプセル200mg。資料5-4は、販売名グルファスト錠5mgほか1規格。資料5-5は、販売名エビスタ錠60mg。資料5-6は、ユリーフ錠2mgほか1規格。資料5-7は、販売名ケアロードLA錠60μg及びベラザスLA錠60μg。資料5-8は、販売名ビジクリア配合錠。資料5-9は、販売名FDGスキャン注ほか1規格の再審査報告書となっております。

 これらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、それから製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器法第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はないカテゴリー1と判定されておりますので、御報告いたします。報告事項は以上です。

○松井部会長 ただいまの報告事項について、何か御質問があればどうぞ、御提示ください。特にありませんか。それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。以上で議題は終了いたしましたが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 前回の部会において、委員の先生から御指摘、御質問を頂いた点がありますので、この場をお借りして御報告いたします。

○機構 1点目について御報告いたします。前回の2月部会で御審議いただいたエビリファイ持続性水懸筋注用300mgほかについて御報告いたします。当日資料として、資料10を配布しておりますので、そちらを御覧ください。2月部会では、山田委員より添付文書2.重要な基本的注意()の「本剤を投与することが望ましい」との記載について、()の記載と同様に「本剤を投与すること」とすることが適切ではないかとの御指摘を頂いたところです。2月部会の場においては、当該注意喚起の修正は不要で、承認を可として差し支えないと結論されたところですが、部会後に総合機構及び厚生労働省にて注意喚起の適切性について再度検討し、1ページ目の新旧対照表左側の列に記載したとおり、「過去にアリピプラゾールによる治療の経験がある場合であっても、現在経口アリピプラゾール製剤以外の抗精神病薬を使用している患者では、原則として、経口アリピプラゾール製剤に切り替え、症状が安定したあとに本剤を投与すること」と記載を変更いたしました。

 また、重要な基本的注意()の本剤は持続性製剤であり、精神症状の再発及び再燃の予防を目的とする製剤であることから、急性期の治療や複数の抗精神病薬の併用を必要とするような不安定な患者には用いないこととの注意喚起については、変更前の重要な基本的注意()及び()にも関連する注意喚起であることから、その旨が明確となるよう構成を見直しました。

 なお、変更後の添付文書の記載については、松井部会長、山田委員、平安委員に事前に御説明し、御了解を頂いております。以上です。

○松井部会長 よろしいでしょうか。今の点は、御承知置きいただきたいと思います。ほかに何か御質問、御意見はありませんか。もしなければ、事務局の報告については御確認いただいたものといたします。事務局から、ほかには追加事項はありますか。

○機構 もう1点御報告いたします。同じく2月に御審議いただきましたワントラム錠について、当日加藤委員より御質問を頂き、部会後に回答させていただきましたので、その内容を御報告いたします。ワントラム錠の慢性疼痛に対する有効性、安全性に対する併用薬の影響の検討において、本邦では神経障害性疼痛の効能・効果で承認されているプレガバリン並びに、抗てんかん薬の検討結果を示しておりました。しかし、抗てんかん薬としてプレガバリンも含めた集計とされており、プレガバリンは本邦では抗てんかん薬としての効能・効果で承認されておりませんので、この理由と、それから実際の抗てんかん薬の併用状況について御質問を頂いておりました。

 まず、抗てんかん薬にプレガバリンを含めて集計をした理由としては、プレガバリンは海外では抗てんかん薬としても承認されていること。また、プレガバリンと同じ作用機序の抗てんかん薬であるガバペンチンが併用されていることを踏まえ、今回の解析では抗てんかん薬併用時の影響として、プレガバリンも含めた集計をしておりました。

 実際に、慢性疼痛を対象とした臨床試験の中では、188例でプレガバリンを含む抗てんかん薬が併用されており、またプレガバリン自体の併用は184例で行われておりました。したがって、抗てんかん薬併用の影響の結果としては、プレガバリン併用例とほぼ同様の結果が示されておりますが、プレガバリン以外の抗てんかん薬を併用していた4例についても、特段の問題は認められていないことを確認しております。

 なお、抗てんかん薬を含む併用薬の影響については、製造販売後調査において検討することとしております。

 以上について、加藤委員並びに松井部会長に御説明し、御了解いただきましたことを御報告いたします。

○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかには何かありますか。

○事務局 最後に、こちらも前回2月の医薬品部会で議論になった件です。アジルバ錠の小児の用法・用量の開発に伴い、再審査期間の延長をすることの可否について御審議いただいた際に、このアジルバ錠の小児開発に伴って小児用の製剤を開発するのかという御質問を頂きました。その場で、事務局より錠剤でないことは間違いないのだけれども、何を開発するのか確認して御報告しますと申し上げさせていただきましたが、申請者である武田薬品工業に確認したところ、生物学的同等性試験を実施するに当たって、ドライシロップを第1候補、顆粒剤を第2候補としてやってみて、うまくいった方を開発しますという御説明を頂きましたので、御報告いたします。

○松井部会長 是非、美味しい味のドライシロップに。子どもが飲めなければ何にもなりません。ほかにはありませんか。事務局から、次回の予定についてお願いいたします。

○事務局 次回の部会の予定について報告いたします。次回の部会については、6月5日()午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 それでは、本日はこれで終了といたします。どうも御苦労さまでした。

 

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

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