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2015年4月24日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

15:00~


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

出席委員(16名)五十音順

○新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、
菊 池   嘉、 清 田   浩、 鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、
田 島 優 子、 田 村 友 秀、 中 島 恵 美、 濱 口   功、
前 崎 繁 文、 森 田 満 樹、 山 口 拓 洋、◎吉 田 茂 昭
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)

川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、 半 田   誠、 増 井   徹、 
山 本 一 彦

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森   和 彦 (審査管理課長)
宇 津   忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日はお忙しい中、またこのような蒸し暑い中、先生方には御参集いただき、誠にありがとうございます。

 本日の出席の状況ですが、川上委員、川崎委員、半田委員、増井委員、山本委員より、御欠席との御連絡を頂いております。また、大槻委員におかれましては10分ほど遅れるという御連絡がございました。現在のところ、当部会の委員数21名のうち15名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 それから、このところ先生方におかれては、審議会の委員の利益相反に係る御申告を頂いた内容に関係して、度々面倒なお願いをさせていただいており、お忙しい中にいろいろな面倒なことをお願いさせていただいていること、それに御協力を頂いていることを大変感謝しております。大変な御迷惑をお掛けしていることについては、心よりお詫び申し上げます。今後もこの作業、実は今日も国会でも論議がされているような最中での状況ですし、まだまだ整理をして、いろいろなところに御説明ということも必要になってくるかという状況でありますので、なるべく先生方の御負担が少なくなるように事務局としても工夫をさせていただきたいということでやっておりますが、まだまだしばらくは御迷惑をお掛けすることになるということをよろしくお願いしたいと思います。それでは、吉田部会長に以後の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 審議に先立ち、薬事分科会の審議参加規程・運用等が一部改正になっておりますので、その内容について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より、資料16の当日配布資料に基づき、薬事分科会審議参加規程・運用等の一部改正について御説明いたします。

 薬事分科会の審議参加規程については、独立した評価委員会、薬事分科会審議参加規程評価委員会と申しておりますが、こちらを開催し、運用状況の評価、必要な改善方策の検討を継続的に行うということになっております。今年の1月に開催された評価委員会において、「規程の一部を改正してはどうか」という意見が取りまとめられましたので、それに基づいて、3月30日の薬事分科会において、この薬事分科会審議参加規程を改正したということで、既に先生方には文書でお知らせしておりますが、改めてこの場でも御説明させていただきます。

 具体的な改正内容としては、2枚めくっていただき、「別添2」という資料です。幾つかありますので、簡単に御説明させていただきます。

 まず、14条の所は誤記を修正したものですので、この場での説明は割愛いたします。

16 条について、これは特例的に審議等に参加できるという規程で、例えば50万を超える寄附金等の受領がある場合には、議決に参加できない、500万を超える受領がある場合には審議に参加できないといった規程になっているところですが、特例的に議決なり審議に参加できるということが規定されており、これまでは2パターンが規定されておりました。1パターン目が、旧の所の下線が引いてある所ですが、「当該委員等が審議又は議決への参加を希望し、寄附金・契約金等の性格、使途等の理由書を添えて分科会長に申し出、その申出が妥当であると分科会等が認めたとき」というものです。二つ目のパターンとして、「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めたとき」です。

 こういった場合に、特別に、金額を超えていたとしても審議又は議決に参加できるというのが、これまでの規定でした。ただ、この規程は平成2012月に取りまとめられ、平成21年から運用されているのですが、1例も特例的な扱いをしたことはないというところもあり、今回見直すことで意見が取りまとめられたところです。

 具体的にどのように改正されたかというと、特例的な扱いを行うのは500万円を超える受領があった場合であり、かつ当該委員の発言が分科会等が必要であると認めた場合に、審議に参加できるという規程にスリム化をしております。特例的に議決に参加する、あるいは自ら委員が希望する場合に参加できるという規定を削除していますので、この場でも周知させていただきます。

 それから、下の部分の「審議参加に係る確認事項」ということで、参加規程のQ&Aをまとめたものがあったのですが、幾つか追加をしております。

 一つ目が、(第8条関係)と書いていますが、特別な利害関係を有する委員等については、その当該品目の審議の間は退室をしていただくという規定になっています。その範囲が、これまで必ずしも明確でなかったところがありますので、今回一部を明らかにさせていただきました。

 具体的には、家族、この家族というのは配偶者及び一親等の者であって、委員と本人と生計を一にする者と限定させていただいておりますが、その家族が申請者又は競合企業の常勤の役職員である場合は、特別の利害関係を有する委員ということを明らかにさせていただいたところです。

 裏側にいきます。(12条関係)です。寄附金等の申告については、委員本人以外にも家族の方も含まれております。その家族については、先ほど御説明しましたように、一親等でかつ同一生計ということになっております。生計を一にする者というところの解釈を示したものが、こちらになります。具体的には、家族が同一の家屋に起居している場合は同一生計、生計を一にする者ということにして、寄附金等を申告していただく範囲内に入れましょうということを明確にさせていただきました。

 それから、 ()の所は、仕送り等を行っている場合で、これも一応含めましょうと。これは基本的には、所得税法の基本通達等といったものに基づいて、定めさせていただいたところです。

 最後の紙ですが、今回申告いただく際にも、既に改定したもので申告いただいていますが、ここにお示ししておりますように、申告の様式を見直しており、該当の年度、申告対象の期間が過去3年度となっているのですが、その年度を事務局からあらかじめ記載させていただきます。申告に当たっては、その最も多い年度についてチェックいただき、事務局に提出いただくという形になっておりますので、御協力をお願いしたいと思っております。

 それから、1枚目に戻ります。規程の改定以外にも運用の見直しも行っています。具体的には、製薬企業等が、団体の透明性ガイドラインというものを定め、先生方への寄附金等について、ホームページ等で公表するという取組を進めています。そういった状況で、製薬企業の方でも、先生方への寄附金等をまとめてデータとして持っているという状況になってきていますので、それを活用し、先生方の申告が過小になっていないかというのを製薬企業にも確認していただこうということで、今年度から試行的に取組を始めたいと思っております。実際、今回も試行的に実施させていただいています。

 具体的な手続きとしては、まず、本運用への参加についての意向の確認をさせていただいております。これは個人情報を第三者である我々が企業からもらうという形に形式上なりますので、それについて御了解いただくという趣旨になります。

 それから、従来どおり、寄附金契約金等に係る申告書を提出していただくという流れは変わりません。ただ、時期的には企業への確認の時間が発生しますので、審議会開催の1週間前までの提出をお願いするようになっていくかと思いますので、これについても御協力をお願いしたいと思っております。

 それから、事務局で先生から頂いた申告をまとめて、まずは競合企業というのは含めずに製造販売業者のみを対象にしたいと考えているのですが、先生方からの申告の情報を企業にお送りする形にさせていただきます。企業で、万が一過小申告になっていることに気付いた場合には、事務局にその旨を連絡いただき、事務局からまた先生方に御連絡させていただきます。それによって、また先生方の方で申告が確かかどうかを確認していただくという流れを考えています。

 ただ、製薬企業の方では、いわゆるオーバーヘッドというか、例えば大学側に寄附金等を渡すような形を取っていて、所属機関が間接経費を取るような場合に、間接経費は幾らかを企業側が把握していない場合もあり得ます。また、先生方の講座内でどの先生に割り当てられたものなのか、それを企業側が把握していないといったことはあるかもしれませんので、場合によっては企業からの報告が誤っているわけではないのでしょうけれども、先生方の申告が過小になっているかもしれないという御連絡がある場合もあるかと思います。その場合は先生方の申告が正しいということになるかと思いますので、十分に確認していただければと考えております。

 このようなことを通して審議会の中立、公正、透明性の確保に努めてまいりたいと思いますので、先生方におかれましても、適正な申告をお願いしたいと思っております。

○吉田部会長 ただ今の事務局からの説明に、特段の御質問等はございますか。

 私からお聞きしたいのですが、今は平成27年度ですから、確定申告の対象というと、通常は平成26年の所得ということになりますが、そうではなくて、常にオンゴーイングで、4月の時点だったら3月まで、あるいは5月の時点だったら4月までというように、直近のものまでを含めるのでしょうか。念のためこの場でも改めて確認をしておきたいのですが。

○事務局 この「3年度」というのは、当該審議の開催年度を含む過去3年度としており、今であれば平成27年度、平成26年度、平成25年度ということになります。ですので、平成27年度については、オンゴーイングで徐々に増えていくことになります。

○吉田部会長 要するに、6月開催だと5月までとか、直近のものを含めて報告してほしいということですか。

○事務局 はい、そういうことになります。

○吉田部会長 少額なものまでとなると、面倒なことになりそうですが、よろしくお願いいたします。ほかにございますか。

○奥田委員 区切りについて教えてほしいのですが、当該年度の未来のものに関しては、分かっているものについては対象になるのでしょうか、ならないのでしょうか。

○事務局 基本的には受領があったことが確実なものを申告いただくということになりますので、受領されていないものについては申告いただく必要はないと考えております。

○庵原委員 確定申告は年なのですが、これは年度ですか。確定申告でないと数字を掴みづらいのですが、年度にされるとそこの数字は分かりかねることが多いのですが、その辺はいかがなのですか。

○事務局 これまで年度ということでお願いしてきており、直ちに規程を見直すということは難しいところではありますが、いろいろな御意見を頂きながら、年の方が先生方にとっていいということもあれば、適宜見直していきたいと考えております。

○吉田部会長 要するに後ろ向き研究ではなくて、前向き研究でないと駄目だということのようです。私も確定申告分で報告していましたが、そうすると、税務署に書類が行ってしまうから、何月何日かは分からないし、後からいつ貰ったかといわれても、その辺の記憶は定かではありません。後払いということもありますし。そういう意味でいうと、過去分についてはある程度曖昧になってもしようがないというスタンスでいていただかないと、少額なものまできっちりとやれと言われると、とてもではないけれども対応できないと思います。これからはそうしてくださいというのはいいのですが、過去に関しては自信がない。

○事務局 そういった意味では、毎回開催ごとに先生方にしっかりと確認いただいて、間違いがない形で申告をお願いしたいと我々としては思っています。それで問題がなければ、遡って調査ということもないと思っておりますので、毎回の申告を適正に行っていただけるようお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ほかにございますか。ないようですので、次に本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1から資料11については、あらかじめお送りさせていただいているところです。

 このほかに、資料12「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料13「専門委員リスト」、資料14「競合品目・競合企業リスト」、資料15「オルドレブ点滴静注用150mgの医薬品第二部会審議を受けた対応について」、資料16「薬事分科会審議参加規程・運用等の一部改正について」です。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料14の1ページを御覧ください。タリオン錠5mg他3規格です。本品目は、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒に関する予定効能効果となっており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。注射用レザフィリン100mgです。本品目は化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌を予定効能効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。ペグイントロン皮下注用50μg/0.5mL用他2規格です。本品目は、悪性黒色腫における術後補助療法を予定効能効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見はございますでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものといたします。

 次に、委員からの申出状況についての報告をお願いいたします。

○事務局 各委員からの申出状況について御報告いたします。議題1のタリオン錠、退室委員なし、議決に参加しない委員は庵原委員、大槻委員、清田委員、山口委員です。

 議題2の注射用レザフィリン、退室委員なし、議決に参加しない委員は清田委員、前崎委員です。

 議題3のペグイントロン皮下注用は退室委員なし、議決に参加しない委員は前崎委員、山口委員です。

 なお、本日の審議事項の申請品目については、先ほど事務局から御説明しましたとおり、寄附金・契約金等の申告に関する運用の見直しに伴い、あらかじめ御同意いただいた先生については、寄附金等の状況を申請企業にも確認させていただいており、その結果、申告内容に特段の問題はありませんでしたので、申し添えさせていただきます。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見等はございますか。ないようですので、皆さんに御確認いただいたものとし、議題に入ります。

 本日は審議事項3議題、報告事項8議題となっております。審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題1、資料No.1、タリオン錠5mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤はヒスタミンH1受容体拮抗薬であるベポタスチンベシル酸塩を有効成分とし、本邦ではアレルギー性鼻炎及び蕁麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚掻痒症)を効能・効果として承認されております。今般、アレルギー性鼻炎及び蕁麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒を有する7歳以上の小児患者における用法・用量の追加に関する製造販売承認事項一部変更承認申請が行われたものです。

 海外においては、2015年2月現在、ベポタスチンベシル酸塩を有効成分とする経口製剤が3か国で承認されていますが、小児に対する用法・用量が承認されている国はありません。本申請の専門委員としては、資料13に記載されている5名の委員を指名いたしました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に説明いたします。

 審査報告書12ページの()通年性アレルギー性鼻炎患児を対象とした国内第III相試験の項を御覧ください。7から15歳の通年性アレルギー性鼻炎患児を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されています。有効性の主要評価項目である鼻の3主徴合計スコアのベースラインからの変化量は、12ページの表5のとおりであり、本剤群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。

 続きまして、審査報告書13ページの()アトピー性皮膚炎患児を対象とした国内第III相試験の項を御覧ください。7から15歳のアトピー性皮膚炎患児を対象に、ケトチフェンフマル酸塩を対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されております。有効性の主要評価項目である掻痒スコアのベースラインからの変化量は、13ページの表6のとおりであり、ケトチフェンフマル酸塩に対する本剤の非劣性が検証されました。

 以上より、7歳以上のアレルギー性鼻炎患児及びアトピー性皮膚炎患児に対する本剤の有効性は示されていると判断しました。

 用法・用量の設定につきまして、審査報告書9ページの図1を御覧ください。7から15歳の患児に、成人の承認用量である本剤1回10mgを投与した際の血漿中未変化体濃度は、成人に同量を投与した場合とおおむね同程度であり、更に下にございます9ページの表3のとおり、7歳程度の患児では、成人の曝露量を上回る傾向が認められたものの、国内第III相試験において、本剤10mg1日2回投与の有効性及び安全性が示されたことから、7歳以上の小児に対して、本剤1回10mgを1日2回投与する用法・用量を設定することは可能と判断いたしました。

 次に、審査報告書17ページ、()安全性についての項を御覧ください。7から15歳の通年性アレルギー性鼻炎患児又はアトピー性皮膚炎患児を対象とした国内臨床試験等における安全性成績では、7から15歳の患児において、成人を上回る特段の懸念は示唆されていないと判断いたしました。

 しかしながら、就学期の小児が適応対象となること、及び7歳程度の小児に申請用量を投与した場合には、血漿中未変化体濃度が成人を上回る傾向が認められていることも踏まえ、製造販売後調査において、抗ヒスタミン薬において発現する可能性がある傾眠、インペアード・パフォーマンス等をはじめとする精神・神経系関連の有害事象の発現状況等について、引き続き検討する必要があると考えております。以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。

 本申請は7歳以上の小児に対する効能・効果及び用法・用量を追加するものであり、新用量医薬品として追加される小児の用法・用量等に対する再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 本品目については、山口委員より事前に御意見を頂いております。「タリオン錠に関して、アトピー性皮膚炎患児を対象とした第III相試験において、非劣性デザインが用いられており、実際に対照薬に対する本薬の非劣性が証明されておりますが、有効性については非劣性で構わないとする根拠が分かりませんでしたので、教えていただけますと幸いです」との御意見です。

 本申請については対象が小児であり、特に小児のアトピー性皮膚炎患児では、夜間などに掻痒感が強くなった場合、過剰に掻いてしまうことで症状が悪化することも想定されること、既に類薬が複数承認されていることから、小児における皮膚疾患の掻痒においては実施可能性を考慮し、これまで類薬でも、非劣性試験で評価が行われているところです。

 本剤については、この非劣性試験に加え、成人では蕁麻疹を対象とした臨床試験において皮膚疾患の掻痒について、プラセボに対する優越性が示されていること、アレルギー性鼻炎では、成人及び小児において本剤10mgを1日2回投与でプラセボに対する優越性が示されていることも踏まえると、小児における皮膚疾患の掻痒に対する有効性は示されているものと判断しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

○田村委員 今の点なのですが、プラセボより有効である、既承認の類薬に非劣性であると。既に承認されている薬剤の適応拡大ですから構わないと思うのですが、単純に、この薬は既に市販されている小児用の類薬と比べてどこか優れているところはあるのでしょうか。

○機構 本剤は対象としたケトチフェンと比較して眠気の発現がやや低い傾向にあるということは言われており、実際に臨床試験でもそのような傾向は見られているところではありますが、確実な根拠が得られているものではございません。本剤は、小児に対する抗ヒスタミン薬の新たな選択肢の一つとして、有用な薬剤であると考えております。

○大槻委員 皮膚科の大槻です。既存の抗ヒスタミン薬と比べて何が優れているかというのは、非常に難しい問題ですが、タリオンの場合は血中濃度の立ち上がりが早く、1時間ぐらいピークに達しますので、早く効くというのがあります。花粉症でいえば、今だとヒノキが随分飛び始めた季節ですが、飲んで15分以内には効果が実感できる。あと、既存の薬剤に比べて効果の点で何が優れているかを検証するためには、蕁麻疹でないと厳しいです。アトピー性皮膚炎では、掻痒だけを取り出して、効果があるかどうかを検証することは難しい。外用薬はどうしても弱いステロイドしか使えない、またプラセボ効果がかなり高いということもあり、効果の差を検証するのがなかなか難しいのです。ですから、今までずっと非劣性で適応拡大が認められてきたという背景があると思います。

○山口委員 事前に質問させていただいた山口です。田村委員の御指摘のとおりで、できれば審査報告書等に、そういった類薬に比したメリットとか、非劣性試験に関しては、そういうことを是非記述していただけると、こちらも理解しやすいと思いました。

 確かに、絶対有意差を出すほどの数の臨床試験はできないと思いますが、どういったような点にメリットがあるかというのは、是非記述していただけると、こちらも解釈しやすくなりますので、今後は是非よろしくお願いいたします。

○関水委員 この薬が有効であるかどうかについてですが、表5で、「プラセボと本剤の間に統計学的有意な差がある」とあります。

 私が質問したいのは、この変化量です。プラセボでも変化量は落ちています。本剤投与時における変化量は、それよりも少ないのですが、こういうものに治療効果があると言うのは非常に難しいと思うのですが、この点いかがですか。

○機構 御質問の意図としては、今回の試験で見られたプラセボとの群間差に、臨床的な意義があるかどうかということでしょうか。

○関水委員 そうです。統計的な有意な差が、プラセボと本剤の間にあるという点は間違いないことだと思います。ただし、プラセボで6.383から5.280に落ちていますが、これは患者はプラセボで治ったのだということを示しているのではないかと私は思うのですが、もしそうだとすると、その後に治療をしたときによって得られた統計学的有意な差より、治療をしなかった方がいいので、普通の見方をすれば、治療しない方が成績がよいこととなります。このように考えるのは、間違いなのでしょうか。

○機構 本試験では、プラセボ群のスコアがベースラインから約-1.1下がっているところに対して、本剤群ではさらに0.5のスコアの低下が見られておりますが、抗ヒスタミン薬に関して、これぐらいの年齢の小児を対象とした臨床試験では、類薬でも同程度のスコアの変化量が得られていますので、類薬と同程度の治療効果はあるものと考えております。

○関水委員 私が伺っているのは、私の勘違いだったら教えてほしいのですが、プラセボ群でベースラインから値が6.3から5.2になっていますよね。これはプラセボによる治療効果があるのだということを示しているのではないのですか。

○機構 プラセボの治療効果があるかの判断は難しいところですが、本試験も含め、アレルギー性鼻炎の臨床試験では、プラセボ群でも、ベースラインよりスコアが若干よくなるという場合はあるかと思います。

○関水委員 そのときに、プラセボの効果よりも、実際上に今議論されている変化量というのは、低いですよね。これはそのように見るというのは間違いなのですか。

○機構 プラセボ群の変化量に対してさらに約0.5の低下、プラセボ群の-1.1に対して-1.6、本剤群の変化量が大きいですので、本剤の効果はあるものと考えております。

○吉田部会長 今の質問は、プラセボの変化量が-1.102で、プラセボとの群間差が0.470です。プラセボが落ちている1.1の変化量に比べて、有意とした群間差が0.4と半分ぐらいしかないのだけれども、この程度で意味がある数字になるのですか、ということです。

○機構 0.5の差は小さいと言うことでしょうか。

○吉田部会長 要するに、絶対値を比べたときに、プラセボ効果には自然に治る可能性も含まれますから、そういった自然に治るベースラインの変化量の半分しか群間差としては出ていないことに意味があるのですか、というご質問です。

○機構 類薬の臨床試験も踏まえますと、効果が大きく劣ると言うことはないと思いますので、意味があると考えております。

○関水委員 そういうものを薬だというのだというのであればそれまでですが、一般論としてそういうものが治療薬として認められるというのは、私は少し不思議に思います。

○吉田部会長 ただ、統計学的にみれば、これぐらいの差であっても、有意差が出ることは充分にあります。その辺は、もちろんNの数にもよりますが、これで有意差が出たのであれば、山口先生、この有意差はやはり有意なのですよね。

○山口委員 委員の先生がおっしゃられているのは、臨床的な意味を考えて、有意な差なのかどうかということなのだと思います。そこは臨床の判断だと思うのですが、統計学的には、吉田先生がおっしゃられたとおり、数を増やせば有意にはなりますので、この0.47という数字が臨床的にどういう意味を持つかというのは、臨床家の判断ではないかなと思うのです。

○吉田部会長 よく言われるのですが、抗がん剤の大規模臨床試験では1か月ぐらいの50%生存期間の延長が、統計学的な有意差になったりします。この1か月に本当に臨床的に意味があるのかと言われると、人それぞれの価値判断によって答えは変わります。しかし、少なくとも差があるということだけは明らかなので、この差を薬効と捉えて、有効と判断しているというのが我々の立場なのだろうと思います。

○審査管理課長 今のお話に私なりに解説を試みてみます。プラセボを投与されているケースで、「プラセボが効いて」という言い方をよくされるのですが、花粉症でくしゃみが出ているようなときに、なるべく花粉の曝露を避けたり、適応行動をしていく中で、症状が少しずつ緩和されるケースというのは、少なからずあったりします。

 ただ、この試験をしている期間中に、例えば花粉がどんどん増えるような時期にやっていると、プラセボのグループの平均値は上がってくる場合も、現実には起きております。

 そういったケースを私も見たことがあるのですが、ここはあくまでも、何も薬を使っていないときに症状の経過がどうなったかということを、プラセボ群では示していると理解をしていただければなと思います。

 一方で、薬をその上に更に使っているということで、変化する量が、プラセボの方で何もしないでやっているものに比べると、明らかに症状の数字としてはより下がっているということではあるのですが、その下がり幅が、自然経過で改善していくのに比べて、半分ぐらいしかスコアで動いていないので、本当にこの薬のパワーはどうなのかと言われますと、あまり強いパワーではないのではないかと見て取れることは、確かにそうだと思います。

 ただ、これは平均値なものですから、個々のケースを見ていくと、スコアとして1点動くと、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの、それぞれの症状スコアというのを普通は点数化をして見ているので、1点動くというのが、大体症状としての変化が結構出たなと観測できます。経験的ではありますが、1点動くと明らかに臨床的には症状が変化した、軽くなった、重くなったと見分けられるようなところが、この数字としてよく使われております。

 この領域での試験でよく使う、鼻水やくしゃみのスコアというのは、そういう形で使われています。

 したがいまして、平均値で0.47というのは、1点の動きの半分ぐらいしか動いていないということではあるのですが、これは成人の領域、小児の領域で、アレルギー症状、特にアレルギー性鼻炎の試験で、いろいろな成績がよく出ているのですが、ギリギリ成人で1点ぐらいの差が出ることが、こういったセッティングの臨床試験で差を見るデザインで、プラセボでやったときに、観測できるのは、うまくいって1ぐらいの差です。小児の場合は、症状の観測をするときに、子供さんの症状の訴えを観測すること自体の難しさもあって、成人に比べると症状の改善スコアの値が小さくなり成人に比べると変化量が小さくなる、差が出しにくくなる、そのために必要な1群の症例数が余計に必要になるというようなことが、よくあります。

 この薬について、この小児の開発においても、やはり1群の症例数が200例以上を使っている、そういう苦心をしているということが見て取れるのです。成績自体はこれまでやっている抗ヒスタミン薬の、小児の領域におけるアレルギーでの試験結果としては、それほどパワー的に劣っているということでもないと理解されていると思います。

 実際に、薬の貢献するところが、このぐらいのパワーのものなのだということを、よく見ている側からすると、この試験結果から見る限りは、抗ヒスタミン薬としての効果としては、小児の領域における試験の成績としては、大体納得できる成績かなと見ていると思います。

 それが、この部会に上程するように、審査チームが判断した背景にあると思いますので、これが理解の助けになるかは分かりませんが、一応この領域での試験をこれまでに幾つも見ている中で、分かっている範囲の解説をさせて頂きました。

○吉田部会長 よろしいですか。対象が子供さんの場合、自覚症状の捉え方が難しい、条件をきちんと設定しないとなかなか差が出にくいというような背景もあると思うのですが、小児の臨床試験の実際について、庵原先生から何かコメント頂けますか。

○庵原委員 子どもの特にこういうアレルギー関係は難しいです。それと、これは通年性と思っても、季節性のものが一部かんできていますと、一見よくなっているように見えたりしますので、ですから、こういう慢性の疾患の臨床治験というのは非常に難しくて、統計的に差が出るだけでも有効かなと思います。

○吉田部会長 差が出るだけでも大したものだというお話のようですが、よろしいでしょうか。ほかにございますか。

○菊池委員 ケチを付けるようで申し訳ないのですが、課長が熱弁を振るわれたので申し上げるのもあれなのですが、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの症状を点数化しているわけですから、その有効性というよりは満足度なのです。仕方がないですが、親御さんが多分判断していて、7歳から15歳となっていますから、ちょっと詳しく見ていませんが、私も自分が花粉症ですから、とてもくしゃみが出るタイプと、そうでないのがあって、それぞれの症状に分けているので、これを統計解析して、4点が3点になったから有意だとか、いろいろ考えたら、これは満足度です。満足度が統計的に1点下がったから、本当に有効だということ自体が科学的ではない、こういう指標は仕方がなくいろいろありますし、私の専門領域でも、患者満足度みたいなことをして研究していますが、なかなか難しいです。

 本当なら、鼻水の回数がどれだけ減ったかとか、補助薬を使う量がどう減ったということの方が、それが有効性とかのことになると思うので、致仕方ないと思いますが、難しいし、判断した時期も絶対に絡んできますから、非常に難しいと思うのです。季節が終わってしまったら、よく治ってしまうので、薬が効いたのか、飛んでこなくなったからということになるかもしれないので、そういった意味では非常に難しいと思います。

○吉田部会長 お話はよく分かるのですが、かといってどうやって薬効を評価しようかというと、結局、こういうやり方しか今のところはなくて、類薬もそうやって評価しているし、ほかにいい方法がないので仕方なくというか、その辺で了解するしかないかなと。

○審査管理課長 菊池先生がおっしゃるとおりの苦労をずっとしてきている中で、唯一進歩したのは、プラセボ対象の試験を小児の領域でもきちんとやれるようになった数少ないケースなので、これがやられて初めて有意差というのが出るのだというのが分かったという、それを今は普通にやるようになったということであります。ただ、そのときにどういうものを指標に使うのかということについても、それからスコアがどのぐらい定量性があるのかというバリデーションもかなりやってきて、結構ここが一番ましなところなのです。それで一生懸命説明させていただきました。

○吉田部会長 そういった意味で、庵原先生からも大したものだと誉めていただいたのだと思います。そういう事情も御理解いただければと思いますが、ほかにございますか。ないようでございますので、議決に入ります。なお、庵原委員、大槻委員、清田委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題2について、機構から概要の説明をお願いします。

○機構 議題2、資料番号2、医薬品注射用レザフィリン100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明します。本剤の有効成分であるタラポルフィンナトリウムは、植物クロロフィル由来の光感受性物質であり、光線力学的療法、以下PDTと略しますが、PDTに使用される薬剤です。PDTは、光感受性物質を投与した後、腫瘍組織にレーザー光を照射することにより、レーザー光を吸収した光感受性物質が励起一重項酸素分子を生成し、当該分子が腫瘍細胞を傷害すること等により、抗腫瘍効果を示すと考えられている治療法で、本剤は早期肺癌及び原発性悪性脳腫瘍に係る効能・効果で既に承認されております。

 今般、本剤について、化学放射線療法、以下CRT、又は放射線療法、以下RTと略しますが、それらの治療後の局所遺残再発食道癌に係る効能・効果の追加に関して、承認事項を一部変更承認申請がなされました。また、本剤を用いたPDTに使用される半導体レーザー装置及びプローブについても、同じく製造販売承認申請されておりまして、今月4月28日の医療機器・体外診断薬部会において審議される予定となっております。なお、本剤は平成26年2月に開催された当医薬品第二部会での審議結果を踏まえて、希少疾病用医薬品に指定されております。本剤は、審査報告書の4ページに記載しておりますように、平成27年1月時点において承認を取得している国又は地域はありません。本品目の専門協議に参加いただいた専門委員は、資料13にあるとおり5名の委員です。

 以下、臨床試験成績を中心に、本剤の承認審査の概略につき御説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、本邦において医師主導治験として実施された第II相試験であるKUTR -015-2試験が提出されました。有効性については、審査報告書の9ページの16行目以降及び20ページの13行目以降を御覧ください。KUTR -015-2試験において得られた局所完全奏効率の結果などから、CRT又はRT後の局所遺残再発食道癌に対する本剤を用いたPDTの有効性は期待できると判断しました。

 次に、安全性について、審査報告書の9ページの下から3行目以降及び20ページの下から19行目以降を御覧ください。CRT又はRT後の局所遺残再発食道癌患者に対して本剤を用いたPDTを実施する際には、特に食道痛及び食道狭窄の発現に注意する必要があると考えますが、その他の有害事象を含め既承認の効能・効果と同様に注意することにより、本剤を用いたPDTは忍容可能と判断しました。ただし、局所遺残再発食道癌患者における検討は限られており、製造販売後調査の実施が必要であると判断し、申請者に指示しております。

 また、本剤を用いたPDTを適正に施行し、有効性及び安全性を確保するためには、PDTに関する技術及び知識の習熟が必須であると考えていることから、既承認の早期肺癌及び原発性悪性脳腫瘍と同様に、PDTに関する十分な知識・経験がある医師によって施行される等、適正使用に必要な措置をとることを承認条件とすることが適切と判断しております。

 以上のような審査の結果、機構は、化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌患者を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、今回追加する効能・効果を対象として希少疾病用医薬品に指定されていることから、追加効能に対する再審査期間を10年とすることが適当であると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 効果についての臨床試験の結果というのが、今説明されたところにはないと思うのですが、その理解でよろしいですか。具体的に本剤が制がん剤として有効性を示す事例があるというのは、どこを見れば理解できるのですか。

○機構 審査報告書の7ページを御覧ください。先ほどは、9ページを引用して御説明したのですが、7ページには、国内第II相試験、KUTR -015-2試験の結果を記載しております。本試験においては、本剤を用いたPDTを実施した後に内視鏡検査及び生検を行って、がん細胞が検出されないことを局所完全奏効と定義しておりますが、局所完全奏効率が主要評価項目とされ、26例中23例、88.5%であり、有効性に関しては、この数字等を基にして判断しております。

○関水委員 それがプラセボよりも有効であるという根拠がどこにあるのですか。

○機構 本試験は、プラセボ対照試験ではありませんので、プラセボでどのような効果が得られるのかは検討されておりません。しかしながら、局所遺残再発食道癌患者においては、自然経過でその後、腫瘍が増殖し、食道の狭窄あるいは臓器への浸潤において、患者のQOLが低下する、あるいは結局は死につながるということが自明の腫瘍ですので、そこでこの治療を行うことによって局所完全奏効が得られるということは、臨床的に意義があると考えております。

○吉田部会長 よろしいですか。

○関水委員 今の御説明では、この薬に、制がん効果があるというデータがあるのだということは、認められません。

○吉田部会長 この薬効は、投与した薬ががん細胞に集まって、そこにレーザーのエネルギーを照射してはじめて光線力学的に抗腫瘍効果が発揮されます。ですから、薬が効いてというよりは、要するにレーザーエネルギーを活性化するための補助剤というような位置づけだろうと思います。

○関水委員 そういうことが十分期待できるという御説明は分かります。ただし、この薬が実際に機能してそういうことが起きたという因果関係の立証ができていないと私は思うのです。

○吉田部会長 それは動物実験では確かめられていて、薬を使わないでレーザーだけやった場合は全く効果が出ませんので、この薬とレーザーを併用することによって効果が出ているということは間違いない。

○関水委員 私は動物実験の結果は全く問題にしていません。臨床試験でそのデータはないのですか。

○機構 御指摘は、プラセボを投与してレーザーを当てられた症例はないかということでしょうか。

○関水委員 そうです。

○機構 その点については、今回の承認申請の資料には含まれておりません。

○吉田部会長 プラセボの意味は理解できますが、放っておくとがんはどんどん増悪することが明らかなのに、動物実験で効果がないやり方を対照群に設定して効果がないことを確かめるというのは、とても倫理的に耐えられない。患者の不利益が大きすぎます。ですから、できなかったのだと思います。

○関水委員 私は議論されていることに特に反対しているわけではありません。プラセボがない実験であるから、この薬が奏効したという因果関係の立証はできていないと申しているのです。この点はよろしいですか。要するに、因果関係がサイエンスとして立証できているかという質問であって、それはできていないわけですよね。

○機構 プラセボを投与してレーザーを当てた症例との比較がされているかということに関しては、されておりません。しかしながら、この試験においては、事前に閾値として15%という数字が設定されておりました。

○関水委員 私はそんなことを聞いているわけではなくて、それはその設定が合理的だということであって設定されているのでしょうけれど、それについての証明がないわけです。いわゆるネガティブコントロールというのはないから。ですから、もしこの薬を使わなくて、プラセボでやったときはどうなのですかと質問された場合、それは分かりませんというのが科学ですよね。その上で、そういう実験は倫理的な問題があるのでできないのだという御説明は結構なのですが、88.5%の奏効があったということが、この薬について立証されたという御説明は間違っていると思います。この点はよろしいですか。

○吉田部会長 そうすると、先生のおっしゃるのは、光線力学療法という治療法そのものが立証されていないのではないかということになるのでしょうか。

○関水委員 そうです。

○吉田部会長 要するに臨床的にはブラインドコントロールがないので、そういう恰好で証明されていないとおっしゃるのでしたら、それはそのとおりだと思います。ただし、臨床的には広く用いられていて、動物実験の結果も再現されており、これまで有効性が問題になったことはないというのが今の現実です。

○清田委員 外科系の立場からすると、手法的には全く誤りはないと思うので、極めて妥当な結論の導き方でよろしいかと思いますけれどね。本当にストリクトに科学的な手法を問われると、ただプラセボをコントロールスタディで証明はつくのかということになってしまいますので、極めて妥当な手法だと私は支持しますけれど。

○審査管理課長 科学的に臨床するために、プラセボとの比較でなければ証明というエビデンスの強さがないということについても、これは常々、ヒトを対象とした臨床試験における実施上の制約のあるケースとして、正しくそういうことができない領域だと思います。感染症に対する抗菌薬の使用なども、重症の感染症を対象としてプラセボ対照の試験はできないので、そういった場合でも、基本的には、やはり使った患者の経過が良かったということをもって評価できると判断しています。

 ただ、そこには従来の、そういった薬剤がなかったときの自然経過では、どのような経過をたどるのかということについて、ある意味ヒストリカルなコントロールといった概念のものに対して、この治療をやった場合の成績を一応比較しています。ただし、これは比較の精密性という点では非常に限界があり、コントロールとしてヒストリカルコントロールがそんなに信頼できるものではないということもありますので、そこで得られる判断は、かなり推定が入っていると思います。ただし、そこはできる限りの合理的な推定をしている中での判断をしているというのが、こういった領域における医薬品の審査において従来やっていることですし、もちろんそうした審査をした上で、現実に使われている中で、既存の治療と新しい治療を比較していく試みも実際に行われます。そうした中で、本来、よりいい治療が選ばれていくのが正しい姿ではないかということが、がんの領域が特にそうですが、いろいろなレジメンの間での比較を行うスタディが、例えば日本であればJCOGというグループでそういった比較を、承認された後のものについて評価を行う取組がなされている例もあります。

 したがって、この段階における判断は、基本的に最善の推定をしている中で、有効性を皆さんが納得できるというプロセスの中で結論を得るというふうにしているということだと思います。清田先生からも、臨床的にはこの成績は納得できるという御発言がありましたが、こうしたことを積み重ねて、こういったお薬の審査、判断をしているというのが現状です。

○関水委員 私は今まである議論について反対しているわけではありません。十分注意せねばならないのは、これでがんが治ったのだという、因果関係がはっきり科学的に実証されているという説明がなされている点に問題があると思います。どうしてそう類推したかということが明確であるべきです。私は、プラセボでの結果を得ていないことを批判しているのではなくて、科学的にさも立証されたかのような説明があることに問題があると申しているのです。

○吉田部会長 何かありますか。

○機構 本試験で、先ほど課長から御説明もありましたが、この治療法については、これでがんが治るのだということを、決して我々としても認めているというものではありません。これが局所治療の一つで、これを用いることによって腫瘍が小さくなり消失した患者が88.5%いたということで、一定の効果はあるだろうという事実に基づいて承認に値すると判断しております。

○吉田部会長 その有効性・有用性に関しては、適応例が基本的に食道癌の放射線化学療法後の遺残再発例なので、この治療法以外に何かあるかというと、手術はできないし、化学療法も放射線療法も既にやっているので効かないのです。そうすると、こういう方法で局所的な治癒、要するに、局所からがんをなくすことによって、再発を遅延させたり、場合によっては長期生存も見込めるということで、有効性・有用性があるという判断にしたのだと思うのです。そのような意味では、先生がおっしゃるように、がんが根治するのだという言い方はできないと思います。よろしいですか。ほかにありますか。

 ないようですので、議決に入ります。なお、清田委員と前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくことといたします。お諮りします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題3に移ります。議題3について機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題3、資料番号3、医薬品ペグイントロン皮下注用50μg/0.5mL用他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明させていただきます。本剤の有効成分であるペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)は、インターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)に、メトキシポリエチレングリコールが共有結合したタンパクであり、腫瘍細胞に対して増殖抑制作用を示すと考えられています。現在、本剤はC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変に対して承認されております。

 今般、本剤について悪性黒色腫における術後補助療法に係る効能・効果等の追加に関する承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は平成26年9月に開催されました、当医薬品第二部会での審議結果を踏まえ、当該効能について希少疾病用医薬品に指定されております。また、平成23年6月に開催された「第8回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高いと判断され、厚生労働省から申請者に対し、当該効能に係る開発要請がなされております。

 平成27年1月時点において、本剤は悪性黒色腫における術後補助療法に係る適応について9か国で承認されております。本品目の専門協議に参加いただいた専門委員は、資料No.13にあるとおり5名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に、本剤の承認審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外において実施された第III相試験であるEORTC-18991試験(以下本試験と略す)、本試験が提出されました。有効性については、審査報告書21ページの上から19行目以降及び46ページの上から14行目以降を御覧ください。悪性黒色腫の術後患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討した本試験において、経過観察群と比較して、本剤群で無再発生存期間(以下RFSと略す)。RFSの延長が示されたこと等から、悪性黒色腫における術後補助療法としての本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。

 安全性について、審査報告書25ページの上から1行目以降及び46ページの下から14行目以降を御覧ください。本剤の使用時に注意すべき有害事象としては、既承認のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変患者と、悪性黒色腫の術後患者において、本剤の安全性プロファイルに明らかな差異はなく、がん薬物療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理と、休薬・減量・投与中止等の適切な対応により認容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、適切な使用成績調査の実施が必要であると判断しております。

 以上のような審査の結果、機構は悪性黒色腫における術後補助療法を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、今回追加する効能・効果を対象として、希少疾病用医薬品に指定されていることから、追加される効能・効果及び用法・用量について、再審査期間を10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

 なお、事前に山口委員から御意見を頂きましたので、機構から回答させていただきます。御意見の内容は次のようなものです。本試験に基づく有効性評価が鍵となっておりますが、試験途中で主要エンドポイントが変更されたにもかかわらず、計画書が改正されなかった点については、やはりクリティカルな問題だと思います。本試験の計画書の改正がなされていない以上、そもそも主要エンドポイントが変更されたと考えることは妥当なのでしょうか。また、本試験が公表された2008年のランセット誌には、「EMAやFDAのコンサルを受けて、変更した」と記載されておりますが、その辺りの情報を申請企業、そして機構側は入手していないのでしょうか。

 また、主要エンドポイントはRFSに変更になっていますが、無遠隔生存期間、無遠隔転移生存期間及び全生存期間、(以下それぞれDMFS及びOSと略す)が、DMFS及びOSでは有意差はなく、更に事前に計画された解析ではないですが、長期フォローアップの結果ではRFS、DMFS、OSで全て有意差はありません。RFSの臨床的意義、主要エンドポイントとしての適当性、あるいはRFSをOSのサロゲートエンドポイントとして用いる妥当性については、別研究等で検討されているのでしょうかというものです。

 以上の御指摘に対する機構の考えを説明させていただきます。本試験の主要評価項目が変更されたことと考えることは妥当なのかという御指摘について、審査報告書22ページの上から6行目以降に記載しております。機構は、一般に試験途中での主要評価項目の変更については、結論の信頼性に関わるため、試験の計画段階において慎重に検討すべきであること及び主要評価項目は試験の目的に直結した証拠を与えるものであり、治験実施計画書に明確に規定されていなければならないことから、本試験の主要評価項目の変更には問題があると考えております。

 また、現時点において、悪性黒色腫における術後補助療法について、RFSがOSのサロゲートエンドポイントであることを明確に示した公表論文等はありません。RFSについて、審査報告書22ページの上から6行目以降に記載したとおり、当該疾患領域では、延命効果が検証された治療法のみならず、RFSの延長等により、臨床的意義が明確に示された治療選択肢自体が極めて限られていることを考慮すると、悪性黒色腫の術後患者において再発までの期間、すなわちRFSが延長することには一定の臨床的意義があると考えます。

 また、悪性黒色腫の術後患者における主な治療目的は、延命であること等も考慮すると、本剤の有効性評価に当たっては、RFSの結果を中心に評価し、本来の主要評価項目であるDMFS及びOSの結果についても確認することが適切であると判断いたしました。

 なお、本試験の主要評価項目が変更となった経緯について、申請者は米国シェリング・プラウ社とEMA及びFDAとでそれぞれ議論がなされ、□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ことを踏まえ、シェリング・プラウ社は主要評価項目を変更したと説明しております。また、治験実施計画書を改訂せずに、統計解析手順書のみを改訂したことについては、社内に関連資料が残っていないこと等から、明確な理由は不明であるが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ことが一因であると説明しております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 山口先生、いかがですか。

○山口委員 2点指摘させていただきました。一つは、もともとDMFSというのがプライマリーエンドポイントだったのですけれども、途中でRFSになったということ。それが、プロトコールの改正を伴っていなかったということで、そこは変更の妥当性は担保できるのかどうか。論文を読んでいると、FDAとかEMAに相談に行ったと書いてありましたので、その辺の情報がどうなのか等々を伺って、今お話を頂いたとおりで、記録が残っているというのと、□□□□□でプロトコールの方は改正できなかった。PMDAの方で、そのデータを見てから、プライマリーエンドポイントを変えているというようなことではなくて、きちんと妥当な変更であるということを担保していただければ、それはそれで了解いたしました。

 もう一つはRFSに関しての妥当性と言いますか臨床的意義。RFSをプライマリーエンドポイントで評価して、その資料を基に承認していいかどうかというところについては臨床的なところなので、臨床の先生方に御意見を頂きたいと思います。機構の方で、臨床的意義があると判断されているということであれば、基本的には了解いたしました。

○吉田部会長 要するに、DMFSで差が出そうもないから相談に行ったのではないのですか。それとも、まだ結果が分からない段階で相談に行ったのですか。

○機構 はい、そのとおりです。

○吉田部会長 なぜ相談に行ったのでしょうか。

○機構 そこの経緯は、タイムラインで確認すると、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□(□□) □□□□□□□□□、その時点までは本邦でいう医師主導治験だったものが、承認申請可能かどうかということで、承認取得者である企業が相談に行かれたのではないかと推測しております。

○吉田部会長 確かにDMFSというようなエンドポイントというのは、普通はやらないですよね。田村先生は臨床試験をたくさんやっておられる立場として、どう思われますか。先ほど、臨床の方の評価を聞きたいというのがありましたが。

○田村委員 エンドポイントが変わるということですか。

○吉田部会長 そのことと、RFSを術後の補助化学療法のエンドポイントとすることの妥当性についてです。

○田村委員 私たちは多くの場合、進行癌を対象にしており、RFSではなくPFS、そしてOSで評価しています。本来の有用性というとOSだと思います。しかし、長い後治療やクロスオーバーを考えると、なかなかOSで明らかな差を付けることは難しい。一方、PFSが大きく延長すれば、それなりにメリットがあると想像するのは容易です。しかし、PFSにどのぐらいの差があれば臨床的に意義があるかをデータで示すのは極めて難しいです。それこそ、再発が遅かった分、どれだけ自由に生きられたか、支障につながる症状のない期間が過ごせたかを数字で示さなくてはなりません。ですから、本当に意味があるのはOSだけれども、臨床的に意義のあるPFSやRFS延長を持っての承認でよいと思いますが、どこから臨床的に意義があると判断するかは、状況によっても異なり、規制当局にとって大きな課題だと思います。

○吉田部会長 エンドポイントを動かしたことについてはどうですか。

○田村委員 かなり複雑な事情があるようですけれども、普通はやらないことだと思います。

○吉田部会長 そうですよね。差がないから相談に行ったのなら動機は分かるのだけれども、出るか出ないか分からないのに、何となく不安になったのか知りませんが、相談に行ってしまう、というのが全く理解できない。そこは、これ以上情報は取れないのですか。

○機構 専門協議でも同様の意見が出されました。専門協議後に企業に再度確認したのですが、現状では分からないということです。

○吉田部会長 OSで差が出にくいという理由の中で、甲状腺癌のように、長期生存例が多いということがあります。大槻先生、悪性黒色腫の手術後の5年生存率が60%近いのですけれども、こんなものなのですか。

○大槻委員 要するにin situというか、1mmぐらいの厚さであれば補充療法は何も要らないのですけれども、そこを超えると、メスの刃先を超えた腫瘍になってしまう。厚さが予後を規定するのです。外科の手術で真っ黒いリンパ節が見付かって原発不明、そんな時に皮膚科にコンサルトされると、昔、足の裏にほくろがあって、今は消えて白くなっていることが分かる。要するに、皮膚のメラノーマからのリンパ節転移なのですが、そういうことが起きない段階、要は表皮にとどまっている早期の段階を見分けられるかどうかが一番重要なところです。

○吉田部会長 この試験の適用基準というか、対象は何だったのですか。

○機構 試験の対象は、AJCC分類のステージIIIと言われているものです。委員から御説明があった厚さ、つまりT因子とリンパ節転移の有無があります。そのリンパ節転移が明確に画像上認められているものと、マイクロスコピックと言い、肉眼画像では分かりにくいのだけれども、病理的にあったというものの二つの患者さんが含まれています。

○吉田部会長 含まれているというのは、対象の中にin situみたいなものは入っていないのですか。

○機構 はい、いわゆる早期というものは入っておりません。

○吉田部会長 それでもこんなに生存率が高いのですか。ということは、対象の生存率が良すぎるので、多分DMFSでやったらイベント数が足りなくなると思ったのかも知れませんね。遠隔転移がバンバンと出てくるようなケースではなさそうだということで、エンドポイントを変えたのではないかという推測は、そういうことであり得ますね。

○機構 あくまでも推測になりますが。

○新井部会長代理 知らないのですけれども、インターフェロンがなぜ悪性黒色腫に効くのですか。恐らく昔これを使ったときに、何か理由があって使い始めたのではないかと思うのです。例えば、悪性黒色腫はすごくインターフェロン受容体が多く発現しているとか、何かメカニズム的なことは過去に承認されているので、ここでは検討されていないのでしょうけれども、参考のために教えてください。

○機構 申請者からの説明では、今回、薬理試験の成績はほとんどないのですが、審査報告書6ページの一番上に効力を裏付ける試験として、機序は明確ではないものの、腫瘍増殖抑制作用が認められたということ。一般的にインターフェロンは、その他にも免疫の活性化作用等が知られているところだと思います。御指摘の所は、例えば最近の分子標的薬のように、機序の明確化という御指摘でしょうか。

○新井部会長代理 恐らくそういう効果がインターフェロンだと見られるのではないかと思うのですが、なぜ悪性黒色腫だからよく効いているのかどうか分かりませんけれども、何かそういう受容体が多く発現していて、普通よりも効果が見られやすいのかとか、そういうことがあっての話なのか。今おっしゃったように、ただ細胞増殖抑制効果があって、どんなものでもある可能性はあるのですけれども、なぜこれが効いたのかなということです。

○大槻委員 皮膚科の大槻ですけれども、効果は特異的なものではありません。特異的な治療としては、免疫療法としていろいろ開発されてきました。例えば、樹状細胞を用いたものとか、要するにメラノーマ細胞表面の特異抗原を見い出して、それをうまく利用してやっつける。ただ、メラノーマ細胞だけやっつけるというのは、なかなかうまくいかない。インターフェロンを含めたこれまでの手法では、腫瘍免疫を賦活すると、メラノーマ細胞だけでなく正常のメラノサイトも壊れてしまう。インターフェロンは、局注にもかかわらず、いろいろな所に白斑が出てくる場合があります。結局腫瘍そのものを認識しているわけではなくて、メラニンを作る細胞を一生懸命壊しているということですね。詳しいメカニズムは分かっていないのですが、腫瘍特異的なものでないことは明らかです。振り返ってみると、特異的免疫療法がみなバタバタ倒れてしまい、そのうち分子標的薬が出てきて今に至っているということです。インターフェロンについて言うと、昔のことは分かりませんけれども、我が国では歴史的にベータが用いられていますが、海外ではアルファが主流です。多分アルファの方が効力は強いのでしょうが、うつを含めた特有の副作用がいろいろあって、国内での適用はこうなっているのかもしれません。今になって、アルファが出てきた理由はよく分かりませんが、もちろんベータだけより国際標準のアルファがあった方がいいし、アルファが妥当な選択肢であることは確かです。

 OSについては、私も臨床研究に関わったことがあるのですけれども、例えば白斑が出てくる患者の生存期間が、インターフェロン投与群でコントロール群と比べて長くなるかというと、そうでもないのです。ただ、個々の症例になりますが、白斑が出てきた人の中に、経過が非常によい人が見受けられるということは申し上げておきたいと思います。

○吉田部会長 臨床試験の結果としてはかなりギリギリなのですけれども、基本的に未承認薬検討会の方からの要望、すなわち学会、患者会等からの要望もありますので、公知ということで、と個人的には思いますが。

○森田委員 素人なのでよく分からないので教えてください。海外のデータを日本で外挿する場合に、日本人の安全性の差異の試験というのがあります。日本人の患者で、発現率が高い有害事象があって、注意が必要だとあります。こういう海外のデータを日本人に外挿するときの有効性とか安全性についてはどのように評価し、ここの場合は日本人で有害性の事象の注意が必要と書いてあるのですけれども、どういう所の留意になるかを説明してください。

○機構 有効性に関しては、資料に記載させていただきました。治療環境に、この領域に関しては国内外差は明らかなものはないことを拠り所として評価させていただきました。安全性に関しては、国内外差のみでなくて、既承認の肝炎のものも比較を用いて、発現率の差異に明らかなものがないところを拠り所にして評価をしたと考えております。

○機構 特に安全性については、今回検討された症例数がかなり少ないところがあり、発現率としては1例出てしまうとかなり高い値が出てしまうところはあります。ただ、数字としては出ている状況ではありますので、ここで発現率が高いということは保守的ではありますけれども、注意は必要だろうということで書かせていただきました。すなわち、これが今すぐ何か問題があって、忍容ができないという意味で書かせていただいているわけではありません。保守的ではありますが、数字として出ていますので、そこはこういう情報だというのは、きちんと把握した上で使っていただきたいという意味の注意喚起です。

○吉田部会長 この場合は適応拡大になりますので、この薬の使用実績というのであれば、国内にも実績はものすごくあるわけです。C型肝炎に使っています。そういう意味で、安全性の議論があまり起こらなかったのです。ただ、一般的に海外の試験を外挿するときに、有効性についても、安全性についても、日本のデータを見せてほしいという気持ちはすごくよく分かります。そういうこともあって、国際共同治験の場合には、日本人のデータはある程度独立して審査報告書に掲載しています。ただし日本人の数が少ないと、偏った成績が出たりすることもあって、その辺の評価が難しいのは事実だと思います。

一方、外国人と言っても、世界中の人たちを対象にしている試験ですから、アジア人もいますし、そういう意味で言うと、日本人と外国人の間でどれぐらいの差があるのだろうかというのはなかなか難しい議論になります。日本人は違うのだとする日本人特殊論という立場と、日本人だって、どこの人だって同じだという二つの考え方があると思います。いずれにしても、そういうところの距離感をどれぐらい取って判断するか、というのはこれからの審査でもいっぱい出てくると思いますので、その節にまた御意見を頂ければと思います。

 ほかにないようでしたら、議決に入ります。なお、前崎委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 報告事項に移ります。報告事項について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 報告事項を御説明いたします。資料No.4を御覧ください。議題1、医薬品ジフルカンカプセル50mg他1規格の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤は、トリアゾール系抗真菌薬である、フルコナゾールを有効成分とする経口剤です。各種真菌感染症に対する薬剤として承認されております。

 今般、ファイザー株式会社より、外陰腟カンジダ症患者を対象とした、国内臨床試験が実施されていて、本剤の有効性及び安全性が確認されたことから、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、資料に示された効能・効果及び用法・用量にて承認して差し支えないと判断されております。

 資料No.5、議題2、医薬品クラバモックス小児用配合ドライシロップの製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤は、ベータ-ラクタマーゼ阻害薬であるクラブラン酸カリウムとペニシリン系抗菌薬であるアモキシシリン水和物を、1対14の比率で配合した抗菌薬です。本剤は、米国診療ガイドラインでは、急性鼻副鼻腔炎に対するエンピリック療法における第1選択薬として推奨されております。国内診療ガイドラインでは、急性副鼻腔炎に対して有効と記載されております。

 このような状況を踏まえ今般、小児の急性副鼻腔炎患者を対象とした国内臨床試験が実施されていて、本剤の有効性及び安全性が確認されたことから、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、資料に示された効能・効果及び用法・用量にて承認して差し支えないと判断しております。

 資料No.6、議題3、医薬品シムジア皮下注200mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認について御説明いたします。本剤の有効成分であるセルトリズマブペゴル(遺伝子組換え)は、大腸菌により産生された遺伝子組換えヒト化抗ヒト腫瘍壊死因子(TNF)α-モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントにポリエチレングリコールを結合させた、抗TNFα抗体製剤です。

 今般、ユーシービージャパン株式会社より、メトトレキサート未治療の早期関節リウマチ患者を対象とした臨床試験において、本剤の関節リウマチに対する有効性及び安全性は確認されたとして、現行の効能・効果から、「既存治療で効果不十分な」を削除し、関節リウマチに関する効能・効果とする製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたものです。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断しております。

 資料No.7、議題4、医薬品リツキサン注10mg/mLの製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤は、CD20を標的とする、マウスとヒトのキメラ型モノクローナル抗体です。現在は、CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫など、大きく分けて五つの効能・効果で承認されております。

 今般、全薬工業株式会社から、CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に対する維持療法及び他の抗悪性腫瘍剤との併用に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しております。

 なお、資料No.7、別紙()、添付文書案の4ページになりますが、「その他の副作用」の表中に、AST(GOT)上昇(14.7)。それからALT(GPT)上昇(14.3)と記載されておりますけれども、正しくはALT(GPT)上昇(14.7)、AST(GOT)上昇(14.3)でしたので訂正させていただきます。

 資料No.8、議題5、医薬品ソル・コーテフ注射用100mg他2規格の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤は、水溶性の副腎皮質ホルモン剤であり、現在はソル・コーテフ注射用100mgが気管支喘息を含む各科領域の効能・効果で、また、ソル・コーテフ静注用250mg及び同静注用500mgが急性循環不全及びショック様症状における救急に係る効能・効果で承認されております。

 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成261128日に開催された医薬品第二部会における事前評価を踏まえ、ファイザー株式会社からソル・コーテフ注射用100mgについて、気管支喘息における最大用量の変更及び小児用量の明記。それから、ソル・コーテフ静注用250mg及び同静注用500mgについて、気管支喘息の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされております。機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断しております。

 次はこちらの説明の都合で申し訳ありませんけれども、資料No.10-1から資料No.10-4を御覧ください。議題7の、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料No.10-1は、一般的名称は、インフリキシマブ(遺伝子組換え)、販売名はレミケード点滴静注用100。資料No.10-2は、一般的名称はルリコナゾール、販売名はルリコンクリーム1%他2規格。資料No.10-3は、一般的名称はメロペネム水和物、販売名はメロペン点滴用バイアル0.25g他2規格。資料No.10-4は、一般的名称は乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、販売名はミールビックの資料です。

 これらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しない。すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要性はないカテゴリー1と判定されたものとなっております。

○事務局 議題は戻りまして、報告事項議題6、優先審査指定品目の審査結果について事務局より御説明いたします。資料No.9を御覧ください。優先審査の取扱いについては資料の2ページに概要を示しております。この制度は、資料では「薬事法」と記載されておりますが、「医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」が適切ですので、この場で訂正させていただきます。医薬品医療機器法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品や、その他医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断されます。

 資料の表紙にお戻りください。資料の1ページ、対象品目は、販売名ヴィキラックス配合錠、一般名パリタプレビル水和物/リトナビル/オムビタスビル水和物。申請者はアッヴィ合同会社です。記載のようなセログループ1の代償性肝硬変を含むC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善に関わる効能・効果で承認申請がなされております。

 事前にまとめられた、機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明いたします。資料の11ページの中段<総合判断>を御覧ください。適応疾患の重篤性については、「C型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変は、治療を行わない場合、最終的には肝代償不全や肝細胞癌に至る危険性のある疾患であり、当該疾患は生命に重大な影響がある疾患である」に該当すると判断されました。

 医療上の有用性については、これまでに実施された国内臨床試験の結果、具体的には9ページから10ページに掛けてですが、第III相試験における有効性・安全性に関する成績が記載されております。これらを踏まえると、HCVジェノタイプ1b感染患者において、インターフェロンを含む既存の治療法より優れた有用性を示す可能性があることから、当該薬剤は有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れているものという医療上の有用性の分類に該当すると判断されております。

 以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査品目に該当すると判断いたしました。当該薬剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た後に改めてこの部会で御審議いただく予定です。

○事務局 報告事項議題8、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて御報告いたします。資料No.11を御覧ください。届出者はサノフィ株式会社、医薬品の名称はSAR302503です。本剤は、平成241114日、骨髄繊維症を予定とされる効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。しかしながら海外臨床試験において、本剤の投与によるウェルニッケ脳症等の有害事象の発生報告を受け、リスクベネフィット分析を実施した結果、本薬の被験者への安全に及ぼすリスクがベネフィットを上回ると判断し、今般、本効能・効果の開発中止を正式に決定し、サノフィ株式会社より、希少疾病用医薬品試験・研究中止届が提出されたものです。よって、本剤の本効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すこととしました。以上御報告いたします。

○吉田部会長 一部変更承認が5件、優先審査が1件、再審査結果が4件、希少疾病用医薬品指定取消しが1件です。委員の先生方から御質問がありましたらお願いします。ないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から報告はありますか。

○事務局 資料No.15、オルドレブ点滴静注用150mgの医薬品第二部会審議で受けた対応について事務局より御説明いたします。オルドレブ点滴静注用150mgの承認の可否について、3月5日の部会で御審議いただきましたが、その際、本剤が最終的な選択肢であるとの臨床的位置付け等を踏まえ、3系統の薬剤に耐性を示す感染症の場合にのみ本剤を使用することとすべきであるとの御指摘を受け、資料No.15に示すとおり、効能・効果に関連する使用上の注意の記載を一部修正いたしましたので御報告させていただきます。なお、本件については事前に部会長、清田委員、前崎委員から御了承を頂いております。

○吉田部会長 前崎先生、何かコメントはありますか。

○前崎委員 特にありません。

○吉田部会長 ほかの先生方から何かコメントはありますか。ないようですので、事務局の報告については御確認いただいたものといたします。事務局からほかに何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会について御報告いたします。次回の部会は5月28()の午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 本日はこれにて終了とさせていただきます。御苦労さまでした。


(了)
<備 考>

 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

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