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2015年8月4日 第2回厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会

医政局医療経営支援課

○日時

平成27年8月4日(火)14:00~17:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

委員

永井部会長 内山部会長代理 斎藤委員 福井委員 藤川委員 本田委員

○議題

(1)国立研究開発法人国立がん研究センターの平成26年度業務実績評価について
(2)国立研究開発法人国立成育医療研究センターの平成26年度業務実績評価について
(3)その他

○配布資料

【国立がん研究センター】
資料1-1 平成26年度業務実績評価書(案)
資料1-2 平成26年度業務実績評価説明資料
資料1-3 平成26年度監査報告書
【国立成育医療研究センター】
資料2-1 平成26年度業務実績評価書(案)
資料2-2 平成26年度業務実績評価説明資料
資料2-3 平成26年度監査報告書
(参考資料)
これからのがん医療と国立がん研究センターの役割
国立がん研究センター平成26年度財務諸表
国立成育医療研究センター平成26年度財務諸表

○議事

 

○医政局医療経営支援課長補佐

 それでは定刻になりましたので、ただいまから「第2回厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会」を開催いたします。委員の皆様には、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。

 まず始めに、本日の会議の資料確認をいたします。がん研究センターの資料は、資料1-1から資料1-3となります。資料1-1は実績評価書()、資料1-2はカラーの説明資料、資料1-3は監査報告書です。資料2-1から資料2-3は、がん研究センターと同様に、成育医療研究センターの資料が配布されております。資料の不足等がありましたら、事務局までお申し出ください。よろしいでしょうか。では、永井部会長、議事の進行をお願いいたします。

○永井部会長

 それでは、国立がん研究センターの平成26年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。始めに評価項目1-1から1-3に係る業務実績及び自己評価について議論をお願いいたします。法人から御説明いただき、その後、質疑応答の形で進めさせていただきます。ポイントを絞って説明をお願いします。

○国立がん研究センター理事長

 理事長の私から、全般にわたってのお話を最初に申し上げたいと思います。参考資料1のスライドを参照していただきたいと思います。これは61日に厚生労働省が主催した「がんサミット」に提出した「これからのがん医療と国立がん研究センターの役割」の内容について少しお話をして、自己評価に入りたいと思います。

2ページです。2015年のがんの罹患と死亡予測が全国モニタリング集計の結果として出ております。現在、罹患数は98万人に達すると予測されており、死亡数は37万人、この差の60万人が新たに体験者として蓄積していくという状況になっています。

3ページです。長期的な傾向として、罹患数や死亡数で見ると、がん種別に随分出入りがあるということが分かります。特に死亡数で言うと、胃がん、肝臓がんが減る中で、肺がん、大腸がんが急速に増えてきていることが見てとれます。

4ページは、がんの罹患数と死亡数を今後15年ないしは20年のスパンで見ると、このような図が見えてまいります。すなわち、罹患数としては、赤色で書いた75歳以上の方が今後どんどん増えて「2025年問題」と言われるその頃には死亡数がピークに達するだろうということです。罹患数と死亡数ともに74歳未満は下がっていきますが、それ以上の年代では、死亡数と罹患数ともに今後も増え続けていくというような状況です。

5ページです。年齢階級別に罹患率を見ると、右の方にどんどん上がっていきます。ピンク色が女性、青色が男性ですが、男女とも高齢になるにしたがって罹患が高まる。こういったことが、がん多死社会が到来するということにつながると言えます。一方で、それ以下の年代についても、生産年齢において失われる労働損失が年間約1.8兆円という試算があります。米国では、これが10兆円だとも言われています。

 こういった背景の中、がん対策基本計画の中で、全体目標とされた年齢調整死亡率、75歳未満が20%の減少という目標が掲げられたわけです。この予測値から言うと、策定時の2007年の2年前のデータを基にした10万人当たりの死亡率92.4を、73.9にするという目標としたのですが、それがこの予測値から見ると、実際には17%の減にとどまるだろうということであり、20%減の達成は困難だという状況になっています。これを受けて「がんサミット」が計画され、その中で安倍総理大臣から塩崎厚労大臣に、がん対策の「加速化プラン」を作るようにという指示があったところです。

 次ページは、今のことをまとめたものですが、がん多死社会、年齢調整死亡率が鈍化してきている現状、がん体験者が60万人ずつ増えるという現状の中で、今後求められる医療としては、子ども、あるいはAYA世代という思春期から若年成年に向けて、あるいは壮年期、老年期それぞれの特性に応じたがん医療を展開し、また、がんの特性に応じた個別化医療を作り上げる必要があるという認識にあります。

9ページは、こういったことを基に、3次対がんに続く「がん研究10か年戦略」では根治・予防・共生といったキャッチフレーズでもって進めて、以下の8項目にわたる研究事項があります。これを実際に進めるのは、ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト、すなわちAMED9本の省庁連携プロジェクトの1つとして取り上げられ、現在、これがスタートしているところです。

 次ページは、これまでのがん対策とがん研究センターの歩みです。2015年に国立がん研究開発法人に移行し、12ページにあるように、その研究開発法人は「研究開発成果の最大化」を目的とし、大学や民間企業が取り組み難い課題に取り組む法人と位置付けられたわけです。もう一方で、がん研究センターの役割としては、がん対策の中核機関として様々な対策についての提言、あるいはデータを出すことが求められています。

13ページです。基礎研究から臨床研究、特にがん研究センターは研究所と病院が密接した関係にあることによって、その橋渡しがうまく機能する、あるいはそうしなければいけないということです。

14ページはがん対策情報センターについてになりますが、ここから先は個々の項目の説明の中で触れますので以下は御参照いただければと思います。

 我々は2015年から新しい法人にも変わりまして、更に一層、研究成果の最大化を目指してまいりたいと思っております。以上でございます。

○国立がん研究センター理事

 それでは、私から資料1-2に基づいて、まず「研究・開発に関する事項」の説明をいたします。研究・開発に関しては、評価項目13にありますので、かいつまんで説明いたします。

 評価項目1「臨床を志向した研究・開発の推進」です。これは独法化以降、臨床的な出口を見据えた研究を推進するということで進めているわけです。6ページです。そのための体制として、あるいは準備として、TRを推進するために研究所と病院が密に連携しています。その成果としては、6ページの左側になりますが、様々な臨床科の部門と連携して、世界で初めて正常な細胞を長期培養し不死化することに成功しました。これは薬の開発、あるいはゲノム上に見られた、がん化関連遺伝子の機能評価をするときに非常に重要なシステムです。それから4に書いているような新規核酸製剤、核酸医薬の開発においても、臨床側と連携をしながら既に医師主導治験を開始しております。これも世界初の新薬開発という位置付けです。加えて、研究所と病院との連携研究で新しい融合遺伝子、胆管がんという難治がんですが、これについても既に100例を越える症例登録があり、国内初の新薬開発が期待される。右側の表ですが、こういうものに基づいて、基礎研究部門と臨床研究部門でも、平成26年度は90件の共同研究があり、これは前年度と比べても200%以上の増であるということ。

7ページです。このようなTR研究を推進するためには、研究の基盤が極めて重要であり、バイオバンク構築を進めているわけですが、左上の真ん中辺りに、既に始めてから4年になりますが、昨年度も血液検体として7,635症例、トータルとしては既に3万症例近いものが蓄えられております。4には、その組織切片についても今年度1,776症例、トータルとして2万症例近くのものが蓄積され、広くTR研究に使われている。右側のページで具体的な数字を示していますが、手術検体の新規保存症例としては1,776件、年度計画の148%。加えて、これら蓄積するだけではなくて、実際の研究に使われている数、払い出し症例というものも組織として1,300件、血液として2,700件と、毎年堅調に伸びている状況です。

8ページです。こういう臨床研究を進めるために、実際その最終的な出口のひとつとして学会等のガイドラインへの採用ですが、これも当初の中期計画の予定は5件だったわけですが、既に昨年度だけで9件、トータルで58件となっています。当初の中期計画の目標は、その当時の実績として年間1件ぐらいの採用だったのですが、それが急激に伸びてきたということです。それから、臨床研究実施機関の監査に関しても実施しておりまして、昨年度が16病院、これも毎年確実に行っており、中期計画のトータルの目標値36病院を既に120%程度オーバーしています。

9ページです。具体的な成果として幾つか代表的な例を挙げると、左側のページに「SCRUM-Japan」とあります。これは肺がん、あるいは胃がん・大腸がん等のゲノムの異常を効率的にスクリーニングをし、個々の症例に合った遺伝子異常に見合った治療選択をするというスキームでありまして、これは企業等との連携で、こういう仕組みを作ってきたということです。これによって患者さんは非常に最適化され治療を受けることが可能になってきた。

 右側のページには、1回の採血で13種類のがんについて発見できる早期診断システムを開発するということで、実際にはマイクロRNAというものを指標にして、これはNEDOの大型事業として開始いたしました。今年度中には乳がんと大腸がんについて検診センター等の試料を使って、実際に、その検証を機能評価をするという段階にきています。加えて、右下のほうには、第一三共、シスメックス社、島津製作所ということで、創薬、診断薬開発、あるいは機器開発での様々な企業との連携も進んでおります。

10ページ、左側です。こういうものを踏まえて、共同研究件数は昨年度209件、治験実施件数475件、国際共同治験実施件数208件と、当初の中期計画の目標を大幅に上回る成果を上げていること。

 右側の方は、知財の管理・運営に関しても、数値的には決して大きくないですが、右下の表にあるとおり、特許収入が3,000万円近くあり、加えて特許支出が1,200万円と抑えており、支出をはるかに上回る収入があるということで、この値も年々伸びてきている状況です。

 次に、評価項目2「病院における研究・開発の推進」です。TRを推進するためには、出口の病院側の受入体制、基盤が極めて重要なわけですが、そのための体制として、左側のほうに、臨床研究を行うための診療体制として、両病院において、内科系診療科にPhaseI、早期開発の試験に対応できるような若手医師による横断的なチームとして先端医療科を設置しました。ここで、First-in-human試験や臓器横断的なPhaseI試験がスムーズに行われるような体制を取っています。

 右側の方には、更にその研究支援をするセンターとして、基礎、臨床、疫学などの一気通貫の研究が支援できるような研究支援センターを設置し、効率よく、こういう出口に向かう研究が進むような形を取っている。加えてその右下には、支援するCRCスタッフの常勤化ですが、当初、平成22年度には31名の中の僅か8名が常勤だったのですが、昨年度は40名中34名の常勤化を図り、安定した支援体制を取れるようにしました。

 左に戻り3の所ですが、こういう成果を踏まえて、東病院では、当該新薬治験で世界一の登録数であったことから、平成26年度に米国FDAによる2件の実地調査を受けて、その評価としては大きな問題点の指摘はなく、世界トップクラスの質が保たれているという評価を得ております。

12ページです。さらに、病院の体制として、治験申請から症例登録までの期間も大幅に短縮化していて、中期計画の目標は130日以内だったのが、昨年度はそれを117日とし、当初の139日から10日間の短縮を目標とした中期計画だったわけですが、その点からすると大幅な短縮が得られている。それから、ファーストインヒューマン試験、医師主導治験の数も非常に大きな数が得られている。加えて、倫理性・透明性の確保、あるいはその効率化は非常に大きな点なのですが、倫理審査委員会等の機能強化ということで、WEB研究倫理申請システムを昨年10月から導入し、この導入により、審査時間の短縮化、更には審査記録の一元化により、滞りなくスムーズに倫理審査が行われる仕組みをとれたということ。それから右の方ですが、主要な倫理指針等についての職員の教育についても充実させ、「臨床研究に関する倫理指針」の受講者に関しては平成25年度630名が平成26年度は1,480名、それから個人情報保護に関する職員向けの個人情報保護セミナーに関しても、平成25年度が220名に対して平成26年度は497名と、職員の意識も非常に高まっている状況です。

13ページ以降です。ここは評価項目3ですが、具体的な研究成果になります。これに関しては、かなりページ数も多いのでかいつまんでお話いたします。

 特に注目すべき点には「注目」という印を付けていますので、その辺りを中心に説明します。まず左下の方で、肝臓がんのゲノム解析です。これは国際的な連携で行ったのですが、600数例という非常に大きな肝臓がん症例のゲノム解読を行いました。その結果、治療標的となる新しい標的を見付けたと同時に、肝臓がんは肝炎の炎症によって起こるわけですが、この解析の結果、これに加えて日本人固有の変異の特徴が見られました。これは何を意味をするかと言うと、日本人の肝臓がんには肝炎以外に何か環境的な要因、特殊な要因があるということを示唆するものです。まだまだ具体的な解明には至ってはいませんが、この解明により予防等々の戦略につながると思います。

 それから、最近、腸内細菌と疾患との関係が言われておりますが、腸内細菌の関係に関しても、当院の内視鏡グループとの連携によって、世界でも類を見ない約1,000例の糞便サンプルを収集しています。これには細かい生活習慣等のアンケートを取っていますので、今後、大腸がんの発症、あるいは進展に寄与するような腸内環境といったものが明らかになってくると思います。

 右の下のほうには、乳がんの脳転移メカニズムです。乳がんというのは非常に遷延し、さらに、脳転移するものは予後は悪いということですが、脳転移のメカニズムとして、乳がんが放出するエクソソーム、あるいはその中に含まれるマイクロRNAが脳関門バリアを破壊することが分かり、その成果について報告しています。

14ページは、乳がん細胞は非常に術後遅れて再発するケースがありますが、そのメカニズムとして、やはり骨髄中に長く潜む、そのメカニズムとして骨髄中の間葉系幹細胞ががん細胞を守る、それもエクソソームを介して行っているということが分かり、これも一流誌のほうに報告しています。右のほうには、乳がん、肺がんといったcommonながんに加えて、希少がんである軟骨肉腫や膵神経内分泌腫瘍といったものに関しても同様のゲノム解析のアプローチを続けておりまして、非常に優れた成果を出しています。

15ページです。がんの実態把握に関してですが、がんに対する研究戦略を練ることに関しても、実態を把握することは非常に重要です。左の方には多目的コホート研究(JPHC)と書いてありますが、厚労省、あるいは、がん研究センターで20年以上取り組んでいる疫学コホートです。その成果を踏まえて、昨年度も8編の論文を学術誌に掲載しました。その中には、1~8に書いてあるように、例えば飲酒・喫煙と前立腺がんの関係とか、血中イソフラボン濃度と肝がんの発生の関係などとあります。特筆すべき点は、こういう疫学的なデータは、単にがんにとどまらず、そのほかの疾患、循環器疾患、糖尿病などについて非常に新しいエビデンスを創出する基盤ともなっているということです。

16ページです。同時にがん登録の推進も進められておりまして、幾つかの例ですが、院内がん登録及び都道府県の地域がん登録等によって、死亡数の把握であるとか、全国のがん診療連携拠点病院等の集計によって、様々ながんの種類、あるいは地域の特性といったものが明らかになり、各地域のがん対策へ反映させる、そういう基盤ができているということです。加えて、右の方には、肥満と乳がんの関係での新しいエビデンスとして、閉経前・後ともに肥満が乳がんリスクを上げることも明らかにしています。

17ページです。左のほうに膵臓がんの新しい分子診断、あるいはその右上は、早期大腸がんを血液で早期に見出す、これも新しい技術ですが、いわゆるLiquid biopsyという展開ですけれども、組織によらず血液、あるいは体液を使うことによって、患者さんの侵襲を少なくし、患者さんの診断、あるいは治療選択を行えるような体制についても成果を挙げております。

18ページです。ゲノムだけではなくて、左の方に腎細胞がんの予後診断法、これはエピゲノムメチル化等の指標によって、腎がんの予後を予測するという新しいシステムで、これに関しては、積水メディカル株式会社と共同研究で2018年の最終的な上市を目指して、腎細胞がんの治療に向けての層別化、あるいはその予後診断といったものに結び付けていきたいということ。詳細は省きますが、これは非常に秀逸な方法で、現在、腎がんだけですが、将来的には慢性肝障害の肝がん発生リスク、あるいは尿路系のがんの再発リスクといったものにも展開していきたいと考えております。

19ページです。ここでは、より臨床的な出口での成果として、医薬品及び医療機器の開発の話をします。大腸がんに関しては、切除不能例、再発例に関しては、抗がん剤、特に抗EGFR抗体の治療を行うわけですが、この場合にRAS遺伝子の変異があると治療効果がないということを言われていて、それを迅速に正確に診断するシステムが必要なわけですが、それも当センターで、そういう新しい診断キットを作成したということ。加えて右側ですが、国際共同第III相試験であるとか、甲状腺がんの新しい治療に関する第III相試験が「New England Journal of Medicine」という臨床系の一流誌に掲載されたという成果です。

20ページです。国際的な連携研究も進めておりまして、ノースカロナイナ大学、ハーバード大学との研究、右側には、このような新しい早期開発的な研究に加えて均てん化にも引き続き取り組んでおり、がん対策情報センターが実施している病理診断サービスとか、各地域連携拠点病院から情報収集をして、どの程度標準的な診療が行われているかを、ある種の指標を設けて算定し、各病院に返しているといったアクティビティも続けています。

21ページです。情報発信に関しても、がん医療の均てん化、あるいは患者・国民等へのがん医療・がん研究に対する理解を支援するという方向で、様々な情報提供しているわけですが、最近話題になっている希少がんに関しても、その情報提供システムというものを院内がん登録をデータベース化することにより、あるいは各連携病院等の情報を収集することによって、こういう情報発信にも努めています。右下ですが、その成果として、今年度もがん対策の推進に大きく貢献する顕著な成果として6件、これまでの5年間で30件、中期計画の当初目標の300%を達成しています。

22ページです。このような研究を通じて、現在、どのように対外的に位置付けるかということの具体的な指標として、論文等で書いてあるものが、このグラフです。左側は日本国内の主な医学系研究機関との比較をしています。論文数、被引用数で示していますが、青色が臨床医学、赤色が腫瘍学です。この表で分かるように臨床医学においても、主要大学に次ぐ成果を挙げていますし、特に腫瘍学では最多の値を論文数及び被引用数で出しているという状況です。

 それから、他の国立研究開発法人との比較で、理化研、産総研との比較を出していますが、これは運営費交付金の額が違うので、1つの指標として、運営費交付金の規模あたりの指標を出しています。右側の棒グラフは、その運営費交付金で除したものですが、交付金1億円当たりの単位に直すと、このがん研究センターは、他の2つの国立研究開発法人と比較しても顕著な成果を挙げているということが言えると思います。以上です。

○永井部会長

 ただいまの御説明に御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。

○内山部会長代理

 バイオバンクの構築について、着実に毎年症例数が集まっていて実績をあげていると思います。また、全体の6ナショナルセンターのバイオバンクとの連携も始めたということですが、全ナショナルセンターのバイオバンクのお互いの連携、あるいは情報の交換状況は具体的にいかがですか。

○国立がん研究センター理事

 これに関しては6NCで共通のNCBNという運営協議会、6NCのバイオバンクの担当者が集まって、年に4回ほど進捗状況を交換しています。会議でもそうですし、各センターには担当者がいて随時情報交換しています。それから、ホームページ上で実際の現状の進捗状況を把握できるようなシステムを取っております。そういうものを踏まえて共同研究も幾つかスタートしていますし、企業との連携あるいは分譲に対する試みなども極力共有できるような体制を取っています。

○内山部会長代理

 これに関連して、その後すばらしい成果を挙げている研究が相次いでいますが、バイオバンクが基になった研究成果も出始めていますか。

○国立がん研究センター理事

 具体的には多くの研究が、このバイオバンク試料を使っており、成果としては7ページの右側の5に書いてあるのですが、試料を使った論文も昨年度274編ですので、総論文数の中で半分近く又は3分の1強ぐらいはあると理解しています。

○永井部会長

 資料9ページの箇所で、13種類のがんで「始める」という段階でも注目すべき成果と言えるのか、それから3mmの早期乳がんも可能となることが期待されるというところまで、少しこの辺、表現を気を付けないと過剰な期待を招きすぎてしまうと思います。

○国立がん研究センター理事

 分かりました。そこは御指摘のとおりだと思います。

○永井部会長

 むしろ、こういうことが動物実験等で、前臨床である程度分かったというところを強く出されたほうが成果としてはいいのではないかと思います。

○国立がん研究センター理事

 具体的なデータは示さなかったのですが、最近取りまとめたデータとして乳がん、大腸がんに関しては、かなりきれいに分かれることが分かってきたので、これをもう一度後ろ向きに検診センターレベルのサンプルで検証したいと思っている状況です。

○永井部会長

 これはエクソソーム解析なのですか。

○国立がん研究センター理事

 エクソソームに含まれているマイクロRNAで、最終的にはエクソソームを壊した状態でのマイクロRNAで測っています。

○永井部会長

 何か表面マーカーでがん由来のエクソソームを採ってくるということをするわけですか。

○国立がん研究センター理事

 いえ、実際には血清を集めてきて、wholeで集めてくるのですが、そうすると集めて回収する段階でどうしてもエクソソームの膜は壊れます。壊れるので、その中に入っているものを採ってきます。実際、血中にもある程度含まれるのですが血中のものは非常に不安定なので、認められるほとんどのものがエクソソーム由来と考えています。

○永井部会長

 でも、神経系とかたくさん出ているわけですよね。

○国立がん研究センター理事

 おっしゃるとおりです。ただ、非常に興味深いのは腫瘍になってくるとエクソソームの分泌量が増えるということ、それから、臓器の特異性が高いということから、当初は腫瘍ボリュームに影響されるかと思っていたのですが、かなり積極的に分泌されているみたいなので、それもあって早い段階での検出が可能ではないかと考えている、しかも臓器特異的にですね。

○国立がん研究センター理事長

 少しだけ追加します。マイクロRNAはヒトでは大体2,500種類ぐらいあって、そのパターンの組合せでもって腫瘍特異性とか進行度が分かるというものですから、1個のマイクロRNAだけ見て分かるというわけではないです。

○永井部会長

 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次にまいります。1-4から1-9についてお願いいたします。

○国立がん研究センター中央病院長

 まず、1-4から1-6を私から説明いたします。これは、臨床の現場で病院単位で、高度先駆的な医療をいかに提供しているかということで、23ページから説明いたします。「高度先駆的な医療の提供」については、左側に書いておりますが、特に内視鏡による治療、それから画像ガイド下の治療が世界トップクラスの件数をこなしている。更には網膜芽細胞腫に対する遺伝子診断並びにルテニウム小線源等を使った治療を国内で唯一行っているということが挙げられます。1つ飛びまして6、今、病院設置型のBNCTの装置を作っており、正に今日初めて出るかという段階まで到達いたしましたので、これに向けて開発を進めております。

 その下に行きまして、開発的な医療ということについては、実際には保険診療等との絡みもありますので、あくまで病院としてできることを行っているわけですが、1つは、先ほど申しました画像下治療を、センターを作り、がんセンターに限らずほかの施設からの依頼も受けて行っているということ。そして、通院化学療法です。これは、多くの人がやられておりますが、特に第I相試験を含む治験の早期の段階の症例についても、安全にできるものは通院で行うことを開始しております。更に、希少がんセンターを設置して、ホットラインを設けて非常に多くの問合せを受け、1,800件以上の相談を受けて全科横断的に問合せに対して対応あるいは治療に臨むということをやっております。

 右側です。治療の個別化については、既に先ほど中釜から報告しておりますが、いわゆる全国レベルのスクリーニングを行うということで、SCRUM-JapanあるいはGI-SCREENという形で展開を行っております。

 次の臨床研究については、24ページを御覧ください。こちらに正に高度先駆的な医療ということで、研究的な部分を書いております。まず、左上の先進医療です。これは実施の技術数の変化を棒グラフで書いております。過去4年間の平均と比べると平成26年度で136%という結果でした。また、ファーストインヒューマン試験の新規の契約数は、新規ですので増える一方ではなくて増えたり減ったりしますが、平成25年までの平均に比べて154%、10件というのが平成26年度の件数です。

 右側の医師主導治験の実施数です。これも、急に1年で終ってしまうわけではないので増加する傾向にありますが、過去、平成25年までの4年間の平均と比べると、平成26年が297%ということで飛躍的な増加を示しております。ちなみに、資料には載せておりませんが、私どもで調べたところ平成2425年度の日本中の医師主導治験の届出数が63で、うち16が国立がん研究センター。これは、がん以外のものも全て含めてですが、医師主導治験の約25%を国立がん研究センターから発信して行っているということを御理解いただければと思います。

25ページです。「患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供」です。まず左側の、適切な治療の選択、参加型の医療ということで、我々としては、正に当たり前という認識ですが、極めて特殊なものを除けば、全ての診断・治療行為について説明文書を作成しており、それに基づいて患者に文書を用いて説明を行って同意していただいています。もちろん、代替治療についても明記されております。そして、説明を分かりやすくするため、あるいは理解を深めるために4に示しているような「コメディカル外来」、「患者教室等」、「イベント」をやっております。更に5に書いてありますが、訳の分からない場合にはとにかく来て相談してくださいということで、目的を限定しない患者相談の窓口を設けております。

 右側です。結果として、それ以外も含めてですが、「がん相談対話外来」、「セカンドオピニオン外来」の件数が増えており、平成26年度は3,150件に対して行っております。また、最近は就労の問題、非常にこれも、いわゆるサバイバーの方に重要な問題ですので、社会保険労務士を含めて、「お仕事サポート教室」を12回ほど開催しております。その下の参加型の医療の推進です。これは少し難しいところもありますが、患者からの要望に対しては真摯に受け止めて常時院内の委員会で検討して対応を決める。あるいは、ときには患者支援団体との交流会を持ち、そして患者満足度の調査等を行っております。

 「チーム医療の推進」については、これも当たり前すぎる状況で今行っておりますが、本当に極めて限定的な、診断も何もかも付いて手術だけしてほしいという依頼の患者を除けば、基本的には複数の診療科が参加してカンファレンスによって治療方針を決定する。そのチームの内訳については、下に書いてあるとおりです。

26ページです。ここの所の評価はなかなか難しいと思いますが、「入院時から緩和ケアを見通した医療の提供」としては、昨年も私は同じような報告をいたしましたが、いわゆる緩和ケアとして介入する件数のうちの8割の方が、まだ現在アクティブな治療を行っているということで、これを御覧いただければ、かなり早い時期から緩和ケアという目線での対応が進められていることは御理解いただけると思います。もちろん、周辺の医療機関との連携等も積極的に進めております。

 「安全管理体制の充実」です。これは、最も病院として力を入れているところです。ともかく毎月350件前後のインシデント・アクシデントの報告を受け、それを徹底的に洗って委員会を開いて、これを必ずリスクマネージャー・サブリスクマネージャー、全部署の代表者が来る会議で報告して、さらに全体の会議で伝達する。必要なものは印刷物等を作って配るということで、その次に書いてありますが、毎年、医療安全ポケットマニュアルという小冊子を作成して、全職員が常に携行しております。そういう講習会の受講率は、右下に書いてありますが非常に高いパーセントを維持しております。上に2つグラフを載せております。なかなかこの領域は数値をお示しするのが難しいものですから、あえて載せさせていただきました。左側は栄養サポートチームの活動実施件数で年度計画に対して実績は118%、右側が外来化学療法実施数、これは外来に治験等を持ち込む方向で動いていると説明いたしましたが、中期計画に対する達成度は148%という状況です。

27ページです。最後に評価項目6について1ページだけですが紹介いたします。がん患者に対する、その他の医療政策の一環としてどのようなことを行っているかということで、最初に、早期からの緩和としての介入ということを挙げております。数値は78.3%と同じことを述べております。その下のグラフですが、いわゆる緩和ケアチームの症例数という点では、なだらかではありますが増えてきており、中期計画に対する達成度は、現在120%となっております。

 また、千葉の柏の東病院では、がん患者とその家族1,000組に対する大規模な対面の調査を実施しております。右側はそれぞれ細々としたことを書いておりますので、ここでは詳細は省きますが、例えば、7は口腔ケアラウンド、9は専門外来、1113種類の患者参加型のがん教室、12はがんセンターがかなり力を入れており、アピアランスということで、病気だけのケアではなくて、患者が社会に出ていくのにつらくないような外見的な所の支援に非常に力を入れており、これは多くのほかのがん専門病院でも現在同じような方向でいきたいということで、情報の提供や教育等を行っております。最後に繰り返しになりますが、17に書いてありますが、いわゆるサバイバーの方々の就労支援は非常に重要という認識を持っており、ハローワーク就労支援ナビゲーターとの連携などを行い、就労に対する支援を積極的に進めております。簡単ではありますが、評価項目6までについては以上です。

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

 続いて、評価項目789について説明いたします。まず評価項目728ページです。「人材育成に関する事項」です。「リーダーとして活躍できる人材の育成」ということで、がん専門修練医、レジデントなど92名を育成して、このうち85名を全国の拠点病院等に輩出しております。この85名は、過去4年間の129%ということで、輩出人数を増やしているという状況です。

29ページです。受入れの研修だけではなくて、短期のモデル的研修・講習を行っております。対象は医師、薬剤師、看護師のほかに複数の職種によるチーム研修、化学療法チーム、緩和ケアチームなど、さらに相談支援センターの相談員、院内がん登録実務者等を対象とした研修です。写真の上の所に書いてあるのですが、昨年度から実費相当の受講料を徴収して研修の企画などの財源を確保ということで、実際の数字は今日の資料には入っていないのですが、昨年度は170万円を集めておりましたが、平成26年度は870万円という形で、大きく収入を増やしております。その原因として右側の下にありますが、研修の受講者数です。昨年度の1,100名に対して平成26年度1,379名と、こちらも142%で、もちろん中期計画を達成しているという状況です。

30ページです。評価項目8「医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項」です。まずは、「ネットワーク構築の推進」です。全国には約400の拠点病院がありますが、各都道府県の拠点病院は51施設あります。そちらを束ねる都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会の事務局をがん研究センターで行っております。その中で、4つの部会を通して様々な問題を議論し、昨年度は1にありますが、「都道府県がん診療連携拠点病院に求められる機能の実現に関する提案」をまとめて厚生労働省に提出しております。

 右側です。そのような全国規模のネットワークに比べて、各地域のネットワークを作るということで、地域相談支援ブロックフォーラムを開催しております。平成25年度までは、こちら側から地域を選んで働き掛けるという形だったのですが、平成26年度、表の中に公募型と書いてありますが、ブロックフォーラムを実施する地域を自主的に集めて4つの箇所で公募型のブロックフォーラムを開催いたしました。

31ページです。先ほども中釜から紹介がありましたが、コンサルテーションなども行っており、当初の中期計画の196%の病理診断コンサルテーションを実施しております。

2つ目の項目で「情報の収集・発信体制の整備」です。がん情報サービスのホームページは昨年度も追加更新して14,490ページに達しました。増加はそれほど多くないのですが、昨年度から特に古いコンテンツの更新という形で多くのページを書き換えております。右側にありますが、昨年、国立がん研究センターと成育医療研究センターが小児がん中央機関と指名されたことを受けて、新たに「小児がん情報サービス」というサイトを立ち上げました。

32ページの3です。今までは院内がん登録の情報を集めるだけで公表という形はあったのですが、個々の患者に活用するということは行われていませんでしたが、初めて都道府県拠点の相談支援センター及び院内がん登録の実務者をつないで、都道府県拠点では患者からの問合せに答えられるようなシステムを構築し、そのトレーニングを行って、そのサービスを開始しております。それから、先ほど報道のお話がありましたが、メディアに向けてがん情報を分かりやすく正しく伝えるためのメディア・セミナーを昨年度4回開催しております。

 企業との連携による普及啓発活動です。我々の活動だけでは、到達範囲や予算が限られている中、様々な企業と連携して、例えば、チラシを47万枚あるいは冊子を45万冊、それらとは別に協賛金を872万円企業から頂いて、それらを先ほどのブロックフォーラムなどに活用しております。

33ページです。院内がん登録の全国集計という形で77万件の収集を行っております。集計を行うだけではなくて、これも長い間案件となっておりました地域がん登録と院内がん登録の登録項目が違うということを標準化して、その結果、全国がん登録に向けた提案を行っております。標準化する、あるいは制度の管理を行うに当たって全国を回っており、院内がん登録の実地調査を行うために各拠点病院を回っておりますが、下のグラフで、昨年度の累計で156施設回っております。これは中期計画に対して120%の達成となっております。

 続いて、評価項目934ページです。「国への政策提言に関する事項」です。その1、「科学的根拠に基づいた専門的な政策提言」です。初めて全国の拠点病院の患者14,000人を対象とした大規模な患者体験調査を実施いたしました。これは、もともとはがん対策推進基本計画での評価のために必要だということで検討されていたのですが、前に検討していた研究班が途中で解散してしまった後を引き継いで、非常に短い期間で評価指標項目を策定し、1年間で調査を実施して、最終的には6月にまとめられましたがん対策推進基本計画の中間評価報告書に多く反映していただきました。

 それから、組織としてではなくて職員個人としての対応が多いのですが、国の審議会、検討会への参画ということで、審議会・検討会64に対して延べ97名の職員が参加しております。具体的な事例は、その下に書いてある検討会です。こちらも、過去に比べて120%あるいは133%と平成26年度は増加している状況です。その他の提言として2を紹介しますと、欧米で承認され、日本では未承認のがん治療薬を保険適用外で使用した場合の薬代の計算をし、それを公表して世の中にそのような問題があることを明らかにしております。

 「国際貢献」です。人材交流による我が国のがん医療や研究に携わる人材の育成とネットワーク構築ということで、マサチューセッツ総合病院、あるいは米国国立がん研究所、フランスの国立がん研究所などと覚書を結んで連携をしております。更に米国の国立がん研究所の覚書については、下に写真がありますが、昨年の日米主脳会談のときに安倍首相より日米のがん研究機関の間で協力が合意されたことを歓迎するということが述べられています。

35ページの右側です。海外からも多くの研修生、視察などを受け入れております。昨年度、医療関係者の受託研修生を27か国から137名を受け入れております。こちらも、過去4年間の平均に比べて136%の達成となっております。受入元としては、円グラフがありますが、アジアが一番多いですが、欧州などからも研修生を受け入れているという状況です。以上です。

○永井部会長

 ありがとうございました。それでは御質問をお願いいたします。

○福井委員

 安全管理の所で、インシデント・アクシデントについての対応をされているということですが、医師からの割合はどれくらい出ているか分かりますでしょうか。

○国立がん研究センター中央病院長

 長らく78%というところでなかなか2桁にならなかったのですが、ようやく6月に10%を超えたところまできました。決して高いと自慢ができる数字ではありませんが、徐々に増加している傾向にあります。

○福井委員

 ここには書かれないことで、もしよければ教えていただきたいのですが、医療の内容と患者の満足度のミックスした結果と思いますが、訴訟になっているケースというのはありますか。

○国立がん研究センター中央病院長

 現在、訴訟としてやっているのは、1件だけです。お陰様で余り数的には多くはなっておりません。その1件は先方に弁護士が付いていない本人訴訟です。以上です。

○本田委員

 様々な取組をしていただいて本当に感謝申し上げたいのですが、何点か。まず、セカンドオピニオン外来とかがん相談対話外来とかたくさん設けていただいているのですが、これは外部の方も受けられるのでしょうか。それから、国立がん研究センター以外の方はどれぐらい受けていらっしゃるのか分かったら教えてください。

 あと、これは全般的な話なのですが、相談支援センターについての取組や研修なども国立がん研究センターは総括的にやっていらっしゃると思うのですが、一時、支援センターは利用率が余り良くないとよく言われていましたが、現状はどのような状況になっていて、どのような対応をしていらっしゃるのかということが1つ。

 それと、これは毎年聞いていて意地悪と思われたら嫌なのですが、早期からの緩和医療ということで、前向きに取り組んでいらっしゃることは大変有り難く思うのですが、一方で、治療が奏効しなくなってきた方々、昔はがん難民と言われていた方々への対応は今どのようにされているのかという取組を教えてください。

○国立がん研究センター中央病院長

 最初の御質問の、がん相談対話外来、セカンドオピニオン外来、これは基本的には全て外部からの相談です。これを3,150件受けるということで、大体、平均1件についての相談時間が1時間ぐらいの形で行っております。2番目の相談の受付の件数については、若尾から。

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

 全国の相談支援センターの利用数は数値としては今持っていないのですが、年々微増ではあります。減っているとか変わっていないということではなくて、若干増えておりますが、御指摘のとおりまだ十分に利用、活用されているという状況ではありません。それの対応として、ちょうど昨年の1月に出されました整備指針では、今までは名前が何でもよかったのですが、「がん相談支援センター」と必ず名前を併記することが新しい整備指針に入りましたので、それを受けて我々国立がん研究センターで、がん相談支援センターのロゴマークを各拠点病院と一緒に考えて作り、それを各施設で利用していただいています。相談員の専門研修が終わった方にはロゴマークが付いたバッジを付けていただくということ、更には、イベント等にもマーク等、相談支援センターのことをお知らせするようなイベントに参加して広く周知を進めているというところです。また、それらの効果については、今年度末ぐらいに再度評価したいと考えております。

○国立がん研究センター中央病院長

 最後の3番目の、全ての治療の効果がなくなった場合の患者については、普通どおりに極力医療連携等のシステムを使いまして、御家族に納得いただける段階までフォローしてから、築地にわざわざ通っていただくわけではなくて、地元にお帰りいただくということをやっております。

 それともう1つ、特に今非常に高度専門分化が激しいものですから、これは昨年度の報告の中にどうしてもまだ入れられない段階なのですが、いわゆるベストサポーティブケアということがありますが、これが逆に安易に使われ過ぎている傾向を自戒しておりまして、要するに適切な治療があるかないかというのは、最終的にもう一度判断を下す前に、がんセンターの病院全体で全ての専門家がそこを見て、やはり如何ともし難いというところに初めてがん研究センターの総意をもって、検討したけれども残念ながらここから先はプラスの治療ができないので、やはり症状の緩和だけに専念したほうがいいのではないでしょうかと、いわゆる担当の先生から見放されるという形ではなくて、がん研究センターの最先端の医療としてこれ以上の方法はないかという、もう1回チェックする機構を今作っております。

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

2点目について補足いたします。相談支援センターの利用率が上がらない1つの原因として、どこにあるか分からないということがあると思います。それらを分かっていただくために、ワンストップの相談窓口として、がん情報サービスサポートセンターを立ち上げてホームページのトップページやいろいろな所に露出しております。その結果、平成25年度には1,360件のサポートセンターへの照会だったのですが、平成26年度は2,100件まで増えて、まずは新聞とかテレビとか1つしかアナウンスできないときは、必ずサポートセンターで公表することで、そこにアクセスがあって、そこで地元の相談支援センターに伝えるということも取り組んでおります。

○福井委員

1点、確認いたします。幾つかの棒グラフで数値が出ています。例えば、31ページの左上のグラフですが、中期計画の目標値が平成22年度の最初からクリアされているのですが、いつ頃立てたものでしょうか。これと比べるとずっと100%を最初から超えている数値になっているのですが、いかがでしょうか。

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 平成2241日に中期計画を策定していますので、実質的には平成21年度に策定されているというものです。

○福井委員

2627ページなども、最初から中期計画を全部クリアしている数値になっていて、数値だけを見ますと中期計画に対する達成率が随分いい値になっているように思います。

○永井部会長

 そうですね。例えば人材育成も、数値は伸びているのですが、何か「S」を付ける画期的な成果という、質的なものはどうなのでしょうか。

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

 質的なものとしては、最初にお話しましたセンターで研修した者を全国に輩出しているというところが、ほかにない画期的なところであると考えております。それの数をまた増やしているというところです。

○内山部会長代理

 実は私も同じ意見だったのですけれども、「S」というのは特に顕著な成果を創出しているということで、決して講習会の数や専門医の数ではないと思うのです。そうかといって一方で、では、どのような評価をすればいいのか、成果をどのように表せばいいのかはなかなか難しいと思います。例えば、全国のマップでもって、これだけ全国各地に散らばっていて、最初に総長先生が述べられたような胃がんや肝臓がんの罹患、死亡も減っているとかを示せればと思います。20%までいかないにしても17%の死亡率減というのはすばらしいことだと思うのです。

 何かそういう評価があると「S」というのも分かるのですが、数だけですと、どのように評価してよいのか実は戸惑っているところがあるもので、永井先生に引き続いてお聞きした次第です。

○国立がん研究センター理事長

 少しだけコメントいたします。中期計画策定時期の状況と、それ以後のがん対策等の進み具合は、その間に変わっています。いろいろな法的整備や新たな対策など状況が変わってきているものですから、途中で中期計画を見直す時期があればより適切な目標になったと考えます。結局、最終的には5年間通算ということですから、当初計画から比べればこういうかけ離れた数値が出たということであります。そのことを勘案して中身については吟味していただければと思います。

 それから、質的なものについては客観的な成果として出しにくいのですが、私どもとしては、例えば、情報発信や人材育成については、この5年間でやるべき仕事がどんどん拡張しており、それに対応するのが大変な状況です。一方で、これは余り言いたくないのですが、運営費交付金がどんどん下がるという中で、どのように対応していくのか非常に苦慮しているところでもあります。その努力は是非認めていただきたいと思います。

○本田委員

 私も「S」評価の所は、すごく様々な御努力を理解しているつもりなのですが、表し方が先ほどの人材育成の部分も全国にこんなに増えたというのをマッピングされるとか、例えば、全国拠点病院の患者たちの意見を、せっかく調査されたのですから、相談支援がこのように全国で以前よりも使われるようになった、若しくは、満足度が高いとか、何かほかのセンターに比べてこんなにやっているということを、もう少し分かるようなものを出していただけると分かりやすかったというのが、少し残念です。

○藤川委員

 去年もお聞きしたかもしれないのですが、25ページの「がん相談対話外来」と「セカンドオピニオン外来」は、病院によって名前が違うということでよかったのですか。

○国立がん研究センター中央病院長

 はい、そのとおりです。2年連続で名前を変えていないので紛らわしい表現で申し訳ございません。

○藤川委員

 それとはまた別なのですが、最初にお話を聞いて、がんにかかる方が増えていても死亡率ががん研究センターの良いリーダーシップによって、いろいろな効果が出てきたというところもあるのだと思うのですが、そうすると、がんになりつつも仕事をしつつ通うとか、あとは治ってからも治療しつつ仕事をするという両立支援の話はかなり重要なことになってくると思います。2527ページ辺りに就労支援とか両立支援という言葉は少し出てくるのですが、患者にとって非常に重要な問題だと思うので、評価項目5においても、もう少し具体的な説明があるといいと思ったのですが、いかがでしょうか。

○国立がん研究センター中央病院長

 評価項目の56は、実際にここに書いてある内容はある程度重複しているということでしたので、御理解いただければと思います。正に御指摘いただきましたように、がんを経験された方で本当に治られた方、あるいは治ったけれども再発にずっと不安を持っていらっしゃって仕事に戻らなくてはいけないという方もおられますし、一方では、現実にがんがまだ存在していて治療を受けながらということですので、正にそこは両輪で、片方は治療を受けながらいかに副作用を軽く抑えてきちんと治療を継続するか、もう片方は精神的なバックアップも踏まえて、なおかつ経済的にも自立できる形に支援するかということで、大分、領域が広いのですが、一応その両方を意識して動かしております。

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 評価項目5は、基本的に病院として何をやっているかという所で、また、別途サバイバーシップについては、32ページの評価項目8に書いてあります。説明は若尾先生から。

○国立がん研究センターがん対策情報センター長

32ページです。まず、左側の2です。「がんと仕事のQ&A」という冊子を作成して、これを全国で配ることができるような形で拠点病院に働き掛けをして、昨年度14,000部を全国に配給いたしました。

 右側の企業との連携の一番下にあるのですが、がん患者の仕事との両立支援は非常に個別性が高くて、個々の事例でどのような工夫をされたかという事例を共有することが非常に重要で、日経ビジネスオンラインに、実際にがん患者ががんを治療しながら働いたという事例を載せるサイトを作り、大企業と中小企業で会社側のサポートが違いますので、大企業編、中小企業編と分けて情報発信を行って、あるいはそれに基づく意見交換会なども行っております。全国的にがんと就労の啓発的な活動も同時に行っております。

○藤川委員

 確かにそのような情報発信も大事だと思うのですが、具体的に病院に行ってみると非常に時間を取られたりして、仕事をしながら通院するというのは非常に困難を伴うということで困られている方はいらっしゃると思うので、5の辺りの所でもいろいろ工夫をしていただいて、短い時間で済むということはものすごく大事な部分だと思うので、検討していただけたらと思っています。

○斎藤委員

 全般的なコメントです。一方ではがん研究センターなのだからこのくらいやって当然だろうという思いもあるのですが、逆にここまで大きなオペレーションを、素晴らしい結果を残しながら運営している。更に今までを上回るというのは、じつに大変なことだと思うのです。毎年、前年を上回る努力をしていらっしゃるというのに敬意を表したいと思います。

QOLに関しては、眼の御不自由な方に対する配慮とか、かつらを用意したりとか、上から目線の偉い先生方のなさることではなくて、とてもきめの細かい、幅広く皆さんのためにやっていらっしゃるという態度。更に、多額の協賛金を得て自助努力も続けていらっしゃいます。応援演説ばかりになって恐縮なのですが、私としては大変な御努力をしていらっしゃると思っております。全般的なコメントをできるコラムがないので、ここで申し上げました。

○永井部会長

 ありがとうございます。それでは、時間の関係で先にまいります。業務運営の効率化、財務内容等、2-1から4-1についてお願いいたします。

○国立がん研究センター理事長特任補佐

36ページです。評価項目10「効率的な業務運営体制に関する事項」です。2)の4にありますように研究所の再編成で25分野7部門から18分野12部門に再編を行って、より効率的な体制を講ずるなどを平成26年度で実施しております。更に、IIの1ですが、QC活動の表彰制度を平成26年度に初めて実施したということです。

 続いて、3738ページです。評価項目11です。「効率化による収支の改善」です。平成26年度は1)の黒ポツの所に書いてありますように、独法化した当初に計画した施設整備などが実際に整備できて、5年前に計画したものの費用が今立つという状況もあり、更に黒ポツの最後ですが、消費税3%増税に対して、特に私どものような病院にとってみれば、診療報酬上の手当てが不十分だったということが要因にあり、さらに、中期計画期間全体として見ますと、理事長は言いたくないけどもとおっしゃっておられましたが、運営費交付金が当初の予定よりも36億円減額されるという状況の中、5年間累計での経常収支率は100.9%、金額に直すと約21億円の黒字です。総収支で見ても、ほぼ100.0%ということで均衡という結果になっております。

39ページです。評価項目12「内部統制の強化」です。独法通則法の改正に伴って内部統制を強化するという方向性が出て、この4月から業務方法書の改定、そして、内部統制に係る規程の整備を当法人においては41日に行っております。ということは逆に言うと平成26年度に準備して、平成26年度中に規程を制定し、この4月から施行したということです。更に7ですが、100万円未満の物品についての研究者発注を廃止する、そのために電子入札システムを導入して、平成264月からスタートさせております。

 評価項目13です。Iの自己収入の増加に関する事項です。治験で27億円・対前年で9.5%の増、共同研究で4.6億円・対前年で61%の増、競争的研究費で57億円・対前年で58%の増ということで、平成26年度は外部資金も大幅に増やしてきております。「また」という所に書いてありますが、研究の部分で御紹介申し上げた「SCRUM-Japan」については、もちろん、このプロジェクト自身に対する民間企業の期待なり評価が高いということの裏返しではありますが、平成26年度は12社から12,000万円、これは年度の後半にスタートしたプロジェクトですので、満年度化する今年度は13社から、1社当たり4,000万円ということで5.2億円の収入が得られる見込みです。

 「資産及び負債の管理に関する事項」です。当法人は独法移行の時点で171億円の債務残高がありましたが、この間、この5年間で新たに91億円の借入れをしておりますが、100億円償還しているということで、債務残高は161億円で承継時よりも約10億円減らしております。

 評価項目14です。41ページは施設整備などについて記載しております。42ページの右上です。研究活動などのアクティビティが高いということの裏返しではありますが、御覧いただいているようなプレスリリースなり、3にはTV在京キー局の取材件数においても前年に比べて大幅に増えているという状況です。以上です。

○永井部会長

 ありがとうございます。いかがでしょうか。43ページですが、この減価償却費は債務償還ではないのですね。これは別に債務はどのくらい返しているのですか。

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 損益計算書ですと債務の償還のほうは出てこないので、40ページに戻っていただいたほうがいいと思います。先ほどお答えしたものの繰り返しになりますが、承継時に171億円の債務残高、それで現在が161億円、この間90億円借りて100億円償還しているということです。

○福井委員

 内部統制については、どれくらいの人数で、またどういう専門性を持ったスタッフで対応されているのでしょうか。

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 内部統制というのは、基本的にはそれぞれの組織が組織のラインの中で内部統制をするというものですので、特にそれの専門の人員を確保する類いのものではないと思います。理事長をトップに、当然、各組織、病院長なり研究所長なりセンター長なり、そしてその下に部長級の人たちがいる、その辺を内部統制として回していくことだろうと思います。

○福井委員

 特に内部統制室を設けているわけではないということですね。

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 はい。内部統制に関しては、いろいろとセンター内でも議論があったのですが、実際には事務部門はそれほど大きな組織ではありませんし、これまでの様々な内部統制のツールというか、やっていることもありますので、全体の取りまとめは企画経営課でやって、そこが担当する形で作っています。

○藤川委員

 内部監査としては何人ぐらいの方が従事していて、内部監査室のようなものがあるのかどうか。ここに「20件実施し」とあるのですが、病院を監査する部分もあったり、本部をする部分もあると思うのですが、その辺りもう少し説明を頂けますか。

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 内部監査室、正確に言うと監査室という部門が理事長直轄の部門としてあって、そこに室長1名と室員1名、2名体制で内部監査を実施しているという体制になっています。

○藤川委員

20件の内容に対してはいかがでしょうか。

○国立がん研究センター理事長

 経営のほうの監査です。研究費の監査とかそういう部門も種類としてはあるのですが、ここで言うのは経営の監査ということです。

○藤川委員

 それは病院のということではなくて。

○国立がん研究センター理事長

 病院だけではなくてセンター全体です。

○藤川委員

 病院もやられている。そうすると、20件というのは、1回でテーマを決めてやったのが1年間に20回やったということですか。

○国立がん研究センター理事長

 今日は監事が出席していますので、監事より回答いたします。

○国立がん研究センター監事

 今の御質問は、内部監査についてどのようなことに取り組んでいるのかですが、大部分の場合、私ども監事と監査室のお二人が一緒に作業をするということです。主な中身はどういうことか端的に言いますと、医療の未収金ですとか、診療収入に関することとか、昨今、非常に話題になっている公的研究費の管理とか、更には、人件費です。役員報酬、あるいは従業員の給与、そういうものが規定どおりにきちんと支給されているかとか。いろいろ幾つかを申し上げましたが、ここに「20件実施し」と書いてありますので、多分、挙げていくと20になると思います。つい先だってもやったところですが、個人情報の保護に関してとか、それから医療安全に関することも、昨今、いろいろと他の医療機関でも問題になっているものですから、当センターの医療安全に関する取組管理状況がどうなっているかなどを、院長先生、あるいは医療担当の副院長先生などからお話をよく伺ったりとか、内部監査もそれの一環としてやっているということです。

○内山部会長代理

 運営費交付金が年々減る中で経常収支率が100%を超えているというのは、非常にすばらしい取組だと感服しています。これに関連して、がん医療というのは、やはり経費率が非常に高いという認識があるのですが、貴センターの場合はどのくらいの経費率なのかということ。あとは、寄附増収のための制度改正はどのようにされたのか。もう一つ細かいことですが、預託型SPDの運用継続について、運用継続の意味というのは、業者を変えないで継続したということなのでしょうか。この3点、簡単でよろしいですが。

○国立がん研究センター理事長特任補佐

 医業の収入に占める材料費の比率という意味では、材料費率が40%になっています。若干、最近41%ぐらいになっている感じです。それから、SPDの話については、「運用継続により」というのは、要は、平成26年度に始めた話ではないので、前からやっているので単に継続してやっていますというつもりで書いただけです。平成26年度は特に業者が変わったとかという問題ではありません。

○内山部会長代理

 分かりました。あとは、寄附増収の制度改正について。

○国立がん研究センター理事長

 寄附に関しては、これに制度と書いてありますが、内部の規定ということです。例えば、寄付受入れの審査を簡略にするとか、あるいは受け入れ間口を広げてそこに専属の担当者を置いたりとか、そういう形で寄附を増やすように努力しています。

○永井部会長

 医薬材料比率41%というのは相当高いですよね。これは何か。

○国立がん研究センター理事長

 これは明らかに薬剤費の高騰が占めています。

○永井部会長

 高価な抗がん剤とかでしょうか。

○国立がん研究センター理事長

 はい。抗がん剤、特に最近の分子標的薬の影響大だと考えています。

○永井部会長

 これは入院でなさっているのですか、それとも外来でなさっているのですか。

○国立がん研究センター理事長

 今は、基本は外来です。

○永井部会長

 それに対する評価、要するに、これは費用対効果、費用と言うか、本当に効果があるかという検証はされていますか。

○国立がん研究センター理事長

 それはがんセンター単独での調査では普遍的ではないので、今後、がん専門施設でのDPCや、レセプトデータがきちっと解析できれば、それと予後との関係がどうなったかということで、死亡率の減少につながったかどうかについての解析も可能と思います。

○永井部会長

 これは、がんセンターだけではなくて全国の腫瘍病院の頭痛になっているわけですね。でも、本当に意味があるのかどうかということをやはり医療者がチェックしなければいけないと思うのです。

○国立がん研究センター理事長

 ありがとうございます。そういうことも今後努めていきたいと思います。もう1つ、全がん協というがん専門病院で統計をいろいろ取っていて、今回も外来化学療法が実は赤字になっているのではないかということがありましたので、実態調査をしたところです。

○永井部会長

 よろしいですか。それでは、次に、法人の監事から、業務の監査結果等、「監査報告」について御説明をお願いします。

○国立がん研究センター監事

 監事の長崎です。監事の監査報告は、お手元に資料1-3として配布をしています。概要はこのとおりですが、簡単にかいつまんで御報告いたします。

 独立行政法人通則法第19条第4項及び同法第38条第2項の規定に基づき、国立研究開発法人国立がん研究センターの平成26事業年度の業務、事業報告書、決算報告書及び財務諸表(貸借対照表、損益計算書、損失の処理に関する書類()、キャシュ・フロー計算書、行政サービス実施コスト計算書及びこれらの附属明細書)について監査を実施しました。

 その次に、I.「監査の方法及びその内容」について、ここに記載しています。これは読んでいただければよろしいと思います。

II.「監査結果」について御報告いたします。1.法人の業務は、法令等に従い適正に実施され、また、中期目標の着実な達成に向け効果的かつ効率的に実施されているかについても重大な指摘事項はない。2.役員の職務の執行に関する不正の行為又は法令等に違反する重大な事実は認められない。3.財務諸表及び決算報告書に係る会計監査人新日本有限責任監査法人の監査の方法及び結果は相当であると認める。4.事業報告書は、法令に従い、法人の状況を正しく示していると認める。

 平成27622日、国立研究開発法人国立がん研究センター監事長崎武彦、監事小野高史。

○永井部会長

 ありがとうございます。続いて、法人の理事長から、日々のマネジメントを踏まえて、現在の法人の業務運営の状況や今後の問題、改善方針等について、コメントをお願いします。

○国立がん研究センター理事長

 独法化した当初は、いろいろな意味で制度的に安定しないでセンター内で種々混乱も見られましたが、組織体制や人事システムを整備し、会計処理システムなどについても、予算、決算、計画に基づいて執行するということが安定するようになりました。

 独法になった当初は、必要な投資を執行できず、後ろにずれていった状況があります。収支だけを単年度で見ると、その費用が立ってくるのがその23年後となりますので、独法設立当初は経常収支が120%とかとなっていましたが、だんだんそれが安定化して100%に近づいてきました。私の考えでは、この経常収支は100%前後にあるのが良いと思っています。これが120%だからすばらしいということではないのではないかと。むしろ、それは必要な投資とか、研究環境の整備とか、患者さんのアメニティのために使うべきもので、収支のバランスを取っていくのがよろしいのではないかという考えに基づいて運営してまいりました。

 もう1つは、がん研究センターが担う、あるいは期待されている医療、あるいは研究はどのようなものかというのを常に検証するという立場でやってきたつもりです。そういう意味では、一時期、がんセンターががん難民を作っているのだとか、あるいは、再発などで治療法がなくなったら後はどこかへ行ってくださいみたいな対応があったとは言われていますが、そういうことは絶対にないように、必ず診療した上で、紹介するなり何かすべきであるということは、病院長をはじめ徹底してやってきたことです。先ほどもありましたように、最近では診療上のトラブルも随分減って、訴訟も最近抱えているものはほとんどないという状況です。

 また、国時代の研究費の預け問題等があって、大変対応に苦慮しましたが、逆に、それを糧にして、新しい研究費の有効かつ適正な使い方ということで予防対策を打ってきたことが、今日、大変活きていると考えています。その1つが電子入札です。研究者が直接、業者と取引したり接触することがない形での契約を進めることに徹底してきたことも、非常に大きなことであったかと思っています。

 全般として、この平成26年度については、中期計画の最終年度ということで、私どもも緊張感を持ってやってまいりましたが、次の中期計画では、やはり国立研究開発法人になったことも踏まえて、研究成果の更なる最大化、そしてまた、がん対策の中核機関としての自覚を持って、職員一同、今後も取り組んでまいりたいと思っています。以上です。

○永井部会長

 ありがとうございます。国立研究開発法人になって一番気になるのは、やはり研究業績になるわけです。そういう意味で、がん研究センターは6つのナショナルセンターの中で断トツにレベルが高いですし、随分論文も伸びました。特に、2014年度は引用回数も非常に伸びていますし、日本全体が大分沈んでいていろいろな意味で懸念されているのですが、例えば、トップ1%とかトップ10%、この辺の論文はどうなのでしょうか。数がたくさん伸びているので良い論文も増えているのでしょうが、引用が実際増えていますよね。

○国立がん研究センター理事

 そうですね、そこの辺りの細かいところは、その表にあるように、インパクトファクターという指標で10以上、15以上ということに限れば、10以上の総数としては少しずつ伸びていると思うのですが、なかなかそこは一気に増やすわけにはいかないと思うのです。ただ、それに続く10に近い論文、そういうものは増えているという印象はあります。あとは、臨床との連携による、あるいは国際連携による論文です。こういうものも今後増やしていきたいと思います。

○永井部会長

 あと、日本の研究論文で課題とされているのは国際共同研究ですね。中国、韓国が伸びているのは、ヨーロッパもそうですが、国際的な共同研究をしていると。この辺り、日本は非常に閉じ籠もっているのではないかと言われるのですが、いかがでしょうか。

○国立がん研究センター理事

 そこは確かに先生の御指摘のとおりで、その辺りも、国際的な連携による国際コンソーシアム、あるいはそういう研究というのは、印象としては確実に増えています。ただ、具体的な数の伸びまではちょっと集計していないので分からないのですが、今後ともその点は推進していきたいと考えています。さらに、国際的な包括的な連携協定今、正に増えつつあるので、こういうものに今後期待したいと思います。

○福井委員

 研究のテーマを決めるのは、基本的には一人一人の研究者だと思いますが、がん研究センターでは、センターを挙げて、今後の研究の方向性、研究テーマを、理事長以下トップの先生方が決めるといったこともされているのでしょうか。

○国立がん研究センター理事長

 基本的には、特にこういう研究をやれという形での指示はしませんが、基盤的な研究で、ほかの設置主体ではできない、あるいは大学では継続性が持てないような研究や、疾患研究としてのがんの本態解明やそれに基づく診断・治療開発研究に特化したものをはっきりさせ、運営費交付金による研究開発費もそこの部分には投入することにしています。ですから、研究開発費は個々のアイディアの研究には使わない、それは競争的資金で取りに行きなさいということを徹底しています。

○国立がん研究センター理事

1点付け加えます。堀田理事長の指導の下に、今、リサーチカンファランスということで、臨床の現場で求められている課題は何かということを、両方のサイドで議論し合う場が毎月行われています。そういう場では、やはり最近の代謝の問題とか、核酸医薬とか、免疫療法とか、集中的に推進すべき課題が出てきます。そういうものを極力、研究所の研究として反映させるように今、個別にやるようにしています。加えて、基盤的臨床開発研究コアセンターでは、プロジェクト推進型の研究も、こういうところを少し強化する形で組織再編を行ってきました。やはり、先生が言われる点についてはまだまだ改善の余地があって、大学のようにリサーチアドミニストレーションなど、そういう機能も強化すべきだと思います。そこは今後取り組んでいきたいと思います。

○本田委員

 すみません、研究のことで、とても専門的な問題であるという一方で、最近は国際的に倫理的な問題、患者さん、国民の理解というものが大変重要になってきていると思うのです。先日、がん研究センターで、いみじくも、臨床研究や治験などの患者さんとの関係の諸外国の事例のシンポジウムとか研究会があったと思いますが、がん研究センターでは、その辺は今後どのように考えていらっしゃるのか最後に教えてください。

○国立がん研究センター理事長

 おっしゃるように、日本ではadvocacyというか、そういったもの、患者さんの声が研究とか政策に反映する力がどちらかというと弱かったのですが、がん対策基本法以降、がん領域においてはかなりその声が強くなってきました。研究面ではどうかとなると、未だに、ある意味で研究者の中の議論で終始してきたという点があったと思うのです。これからは研究の計画段階から、あるいは評価にも、患者さんの代表あるいは御家族、そういう方にも参加していただく方向性が重要です。例えば、がんセンターの研究開発費の評価には患者さんの代表にも入っていただいて評価を受けています。今後は、計画段階から患者さんの意向がきちんと反映されて、本当にメディカルニーズに応えているのかどうか、研究者の興味とかではなくて、社会のニーズに応える研究をやってまいりたいと思います。

○永井部会長

 よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。事務方から、これからの進め方について、連絡をお願いします。

○医政局医療経営支援課長補佐

 今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただいた平成26年度の業務実績評価については、本部会における御意見や法人の監事、理事長のコメント等を踏まえて、厚生労働大臣による評価を行い、その評価結果について法人に通知するとともに公表いたします。決定した内容については、後日、委員の皆様方にお送りいたします。事務局からは以上です。

○永井部会長

 それでは、国立がん研究センターの皆様、ありがとうございました。以上で終了いたします。

(休憩)

○永井部会長

 引き続きまして、国立成育医療研究センターの評価を始めます。初めに、研究・開発の成果の最大化に関する事項の評価項目1-1から1-3に係る業務実績と自己評価についてお願いします。まず、法人から御説明をお願いいたします。

○国立医療研究センター理事長

 説明の前に、一言、理事長の五十嵐から御挨拶をさせていただきます。本日はお忙しいところ高度専門医療研究評価部会で説明をする機会を頂きまして、誠にありがとうございます。当センターは、平成22年に独立行政法人化、そして本年の4月に国立研究開発法人に移行いたしました。また、2月には治験臨床研究支援体制の充実を図るために、旧社会・臨床研究センターを改組して、臨床研究開発センターを設置したところです。当センターは健全な次世代を育成するための医療と研究を推進することを理念として、胎児期から新生児、小児期、成人を経て、妊娠・出産、そして子育てを担う母性に至るライフサイクルを通じた医療・研究を推進しているところです。第1期の中期計画の最終年度である平成26年度には、大変残念なことですが、大幅な赤字、損失を計上いたしました。これに対しては経費節減等の経営改善に取り組む一方、当センターの本来のミッションである成育領域の先駆的な医療・研究を積極的に推進したいと考えております。

 お手元の資料に沿って、各部署の責任者から順次、説明いたします。初めに、吉川センター長、よろしくお願いします。

○国立成育医療研究センター臨床研究開発センター長

6ページです。「研究開発に関する事項」ということで、「臨床を志向した研究・開発の推進」について説明いたします。研究所と病院等、センター内の連携の強化ですが、まず研究所と病院が連携する会議です。研究所において臨床医に向けた臨床研究・疫学研究に関する系統的なレクチャーシリーズを開始した結果、平成26年度における研究所と病院の連携する会議等の開催数は95回となり、平成21年度の52回を大幅に上回り、研究所と病院の連携が強化されました。

 臨床研究シーズの発掘です。平成264月から5月にセンター内の臨床研究シーズ候補を募集、選定会議によるヒアリング等を行って、4件をシーズとして新たに登録しました。平成269月に病院及び研究所のシーズ調査を再度実施して、臨床研究推進委員会において8件の研究課題を臨床研究中核病院整備事業のシーズA(関連特許出願を目指す基礎シーズ)2件の研究課題をシーズB(非臨床のPOC取得及び治験届出等を目指すシーズ)3件の臨床研究課題をシーズC(治験又は高度先進医療を実施し、ヒトPOC取得を目指すシーズ)と評価し、シーズを登録しました。

 さらに、平成271月からは倫理委員会、審議資料の検討及びヒアリングを実施し、定期的にシーズの評価・登録を行う取組をしています。シーズ選定会議を継続的に開催し、開発につながる臨床研究シーズの掘り起こしと選定を図るシステムを構築したことにより、平成21年度では0件だった登録シーズが平成26年度末現在は24件と大幅に増加しました。

 次ページです。外部との連携ですが、右の図にあるように成育医療研究センター病院・研究所だけではなく、大学、研究機関等の研究グループ、あるいは小児科学会、産婦人科学会、周産期学会といった関連学会、これからお話させていただく小児治験ネットワーク、あるいは日本小児総合医療施設協議会(こども病院の集まり)と密に連携して、臨床研究を推進しています。小児治験ネットワークを介した治験等の実施ですが、小児領域に特化した国内初の「小児治験ネットワーク」には、平成26年度末現在33施設が参加し、施設間の連携強化に努めています。平成26年度には治験の一括審査を担う小児治験ネットワークの中央治験審査委員会を11回開催し、製薬企業主導治験8件の審査を行い、小児治験ネットワークを介する治験として実施しています。これにより、小児治験ネットワーク中央治験審査委員会の開催を開始した平成24年度から通算して、製薬企業主導治験17件、医師主導治験1件を実施し、治験参加施設数は延べ92施設となりました。また、製薬企業(治験の依頼者)からの依頼に応じた治験実施可能性の調査(症例数調査等を含む)について、平成26年度に15件を受託し、調査対象施設数は延べ315施設となりました。

 小児用製剤ラボが写真に載っていますが、センターで実施する医師主導治験に使用する小児用治験製剤の製造・分析等を行うための小児用製剤ラボを整備するとともに、小児用製剤の製造・分析に実績のある武蔵野大学SSCI研究所と共同開発契約を結びました。また、開発成分である酢酸亜鉛の製造承認を有する製薬会社と共同開発契約を結び、パイロット製剤、臨床試験プロトコール等の検討を行いました。臨床現場で求められている小児用剤形のアンケート調査結果から、重要性、製剤化の可能性などを考慮し、今後の剤形開発候補として4成分を選択しました。

 次ページです。「病院における研究・開発の推進」ということで、臨床研究機能の強化です。先ほど五十理事長から説明がありましたように、臨床研究中核病院として採択されたことを受けて、平成2511月に研究所に社会・臨床研究センターを設立し、さらに今年2月には発展的に改組して現在、臨床研究開発センターを設置しました。また、治験・臨床研究を推進・支援する体制を再構築し、臨床研究企画部門、臨床研究実施部門、データ管理部門、疫学研究部門及び臨床研究教育部門に再編しました。

 臨床研究支援ですが、臨床研究開発センターにおいて、臨床研究相談を108(外部から5)、実施しました。臨床研究推進室では17件のCRCによる臨床研究の実施支援を行いました。また、開発企画部及び臨床研究推進室を中心とする開発支援チームを構成し、14件の開発シーズについて医師主導治験の実施、先進医療の取得を目標として、包括的な支援を実施しました。このうち1件は、前年度から開発計画・試験計画書の立案段階から支援して、かつ治験調整事務局を担当し、平成266月から9施設で医師主導治験を開始しました。また、先進医療承認を目標とした2件のうち1件は平成272月に先進医療として承認され、他の1件は3月の先進医療会議で「適」と評価されました。以上です。

○永井部会長

 御質問、御意見をお願いいたします。論文が伸びて結構なことだと思うのですが、この辺の研究推進ということで、何か心掛けられたことはおありなのでしょうか。

○国立成育医療研究センター理事長

1つは英文のエディターを、nativeの方をお二人、正規職員として働いていただいております。これまで臨床系の医師の中には英文論文を出そうと思っても、支援がないために敷居が高かったようです。英文エディターの支援のお陰で英文論文がどんどん出るようになってまいりました。それが一番大きな原因ではないかと思います。

○永井部会長

 そんなので伸びれば安いものというか、心理的なものがいろいろあるのでしょうね。

○国立成育医療研究センター病院長

 病院長から付け加えて答えさせていただきます。あとは、臨床研究開発センターができたことで、単純に若い人たちへの論文の書き方、特に英文の書き方を教育・研修部が活発に動き始めて、それで手取り足取り変えたというところがあります。

○内山部会長代理

 本当に素晴らしいことだと思うのです。ただ、ナショナルセンターの今までの仕組みを聞いていますと、自助努力といいますか、自分たちの内部でなかなか研究者とか医師を増やすとか、非常に難しいと思っています。着眼点や成果について教えて下さい。

○国立成育医療研究センター病院長

 一言で申しますと、今までが努力不足だったということが言えるのではないかと思います。前が余りにも努力不足だった。ネタはたくさんありましたし、今も急に増えたわけではなくて、それをまとめさせて、論文を書くことの意味を若い人に教育することをきちんとやっておけば、自然に増えてくるというか、やはりそういうことなのだろうと思います。

○内山部会長代理

 本当に素晴らしい取組で、実際に成果を挙げておられるということですね。

○福井委員

 研究支援センター的な所は、ほかの所には随分できてきているところなので、日本の中で先頭を切ってやったというわけではないと思います。今御説明いただいた中で、随分、体制を整えたという、研究のプロセスについてのお話が多かったのですが、シーズを見つける、登録するということの難しさというか、これは簡単にはできないことなのだというところがもしありましたら、教えていただければ有り難いのですけれども。

○国立成育医療研究センター臨床研究開発センター長

 まず、シーズを発掘するため、徹底した研究の棚卸しをしました。やり方としては、昨年の9月に研究費獲得のための各申請書を全部チェックしていって、それを病院長、研究所長、開発企画部長と私の4人で1次スクリーニングを行って、ヒアリングを行いました。私は成育に勤務し出したのは昨年からですが、このようなことをやることによって、結構シーズが上がってまいりました。

 臨床研究にすぐ持っていけるようなシーズCですが、これは全て倫理委員会を通ってまいりますので、毎月、倫理委員会を通ってきた案件を全部チェックして、これがシーズになるのかどうかを毎月チェックしています。このようなやり方でシーズが増えてまいりました。

 本格的に臨床研究、あるいは研究の論文の書き方とか、このようなセミナーをやり出したのは昨年からですが、これは非常に効果があったのです。それから、相談窓口です。どのように研究していったらいいのだとか、例えば臨床研究を組む場合には最初から生物統計の人が入らないと駄目ですよとか。生物統計家も昨年から入ってきたのです。今年度もっとインテンシブにやっていますので、私はもっと伸びていくのではないかと考えています。

○内山部会長代理

 そうしますと、もともとのナショナルセンターの性格上、研究課題等々はトップダウンのところもあるのですが、成育の場合は比較的、個々の研究者のアイディア等々もかなり取り入れているということなのでしょうか。

○国立成育医療研究センター臨床研究開発センター長

 私も勤務し出してまだ1年ちょっとなので分からないのですが、前にいた大学などに比べると、大学と変わらないぐらい自由度の高い、自主的な研究が多いと思いますが、その辺いかがなのでしょうか。

○国立成育医療研究センター研究所長

 かなり外部研究の資金を取っております。研究費の3分の2は外部研究資金ですので、それぞれの研究者の自発的な発想に基づく研究は、かなり盛んなことは事実です。

○永井部会長

ES細胞の再生医療ですが、これは臨床までもっていける細胞でしたか。いろいろ規則が変わりましたよね。今の取扱いの位置付けはどうなっていますでしょうか。

○国立成育医療研究センター研究所長

 そこと関連して、評価項目1-3について、先に説明を進めさせていただいてよろしいでしょうか。9ページから11ページにかけて、研究所長の私のほうから説明させていただきます。「研究・開発に関する事項」としては、成育では重点的な研究・開発戦略の考え方として、再生医療に大きな重点を置いております。御質問のありましたヒトES細胞に関しては、既に成育で日本で一番多く7株を樹立しております。これはそのまま臨床にいくわけにはいきませんので、新たに実際の臨床に使えるようなヒトES細胞の樹立をこれからまた行う予定ではおります。

 それに先立ちまして、実際に臨床応用としては、図の上側にあるように、先天的にアンモニアを代謝できない、高アンモニア血症を生じる先天性代謝異常症の患者さんに対して、ヒトES細胞由来の肝細胞を移植することを目指しております。本年度は安全性の検討、生体肝移植から生じる余剰肝を使ったヘンパクサイトを……フュージョンするといった安全性の検討を行いました。もう1つ、ES細胞、iPS細胞を加工した製品細胞中の多能性幹細胞を効率良く同定するシステムの開発といった、基礎的なところに力を注いでやっております。まだ臨床応用という段階ではありませんが、着々と準備は進めております。

 再生医療として、もう1つ大きなものとしてヒトiPS細胞から視神経細胞を作製することに世界で初めて成功しました。視神経細胞というのは、正確には網膜神経節細胞ですが、これをもつ網膜はこれまでできておりませんでした。現在、これは特に緑内障の治療薬のスクリーニングなどに非常に有用だろうということで、幾つかの製薬企業も非常に興味を示しており、今後、発展が期待できるものかと思います。

 英文論文数については、先ほどお話も出ましたが、下のグラフを見ると分かりますように、平成26年度は334本、そのうち英文論文は302本、発表しております。これは昨年に比べて英文論文数が60本増加したということで、大幅な伸びを示しております。平成21年度から考えると、例年、順調に伸びてきているということがあります。

10ページです。様々な研究を行っておりますが、具体的な研究として代表的なものを紹介いたします。アレルギー疾患として、アトピー性皮膚炎の発症予防。これは小児科領域では臨床的に非常に大きな問題になっておりますが、このことに関して臨床的な介入試験を行いました。右側の図にありますように、11回、保湿剤を塗るだけで、アトピー性皮膚炎の発症をかなり予防できることを示しました。これはアレルギー疾患発症の1次予防を証明したエビデンスとして、世界から非常に注目されております。また、これと関連して、アトピー性皮膚炎患者の表皮の炎症部位で抗原提示細胞が突起を伸ばして抗原を取り込むことを実際に証明しました。この2つのエビデンスを合わせると、乳児期における食物などのアレルギー感作の引き金がアトピー性皮膚炎であるという新しい学説のパラダイムシフトを確立したと考えております。

11ページです。具体的な研究として、もう1つトピックとしてKagami-Ogata syndromeと書いてあるのがあります。この病気は非常に珍しい希少疾患で、母親由来の染色体が機能せずに、父親性由来の14番染色体だけが働くという病気ですが、この詳細な臨床像を明らかにして、疾患概念を確立したことが認められて、国際的に当センター研究者の名を冠した「Kagami-Ogata syndrome」という名が付けられて、国際的に正式採用しております。米国NCBIの遺伝性疾患のデータベースOMIMでも正式にこの名前が記載されております。これはなかなかないことなので、成育の研究所としては素晴らしい成果だと考えております。

 卵子X染色体の活動を維持する仕組みについて、マウスの胚発生に母系染色体特異的なヒストン蛋白のメチル化修飾が重要であることを明らかにしました。これも周産期医療に関する大きな研究の進歩だと思っております。小児腎疾患については、初発小児ネフローゼ症候群患者を対象にした初期ステロイド投与法のランダム化比較試験の結果を公表して、この結果がコクラン・レビューの小児ネフローゼ症候群の初期治療法の改訂につながったということがあります。

 最後に、臨床研究実施件数です。これは先ほどの吉川センター長のお話とかぶりますが、そこのグラフにあるように、臨床研究及び治験実施件数が昨年度は219件ということで、順調な伸びを示しております。以上、研究の面について紹介させていただきました。

○永井部会長

 先ほどの英文のライターですが、これは研究経験のある方で、どなたか非常勤に論文を見ていただくような人を雇用したということですか。

○国立成育医療研究センター研究所長

 実は『Nature』関係の雑誌のエディターをやった方が、様々個人的な事情で日本にいらっしゃるのですが、その方2人にセンターにいていただくことができたということで、素晴らしいエディターです。

○永井部会長

 常勤ですか。

○国立成育医療研究センター理事長

 常勤です。

○内山部会長代理

 これは評価というより希望ですが、成育医療センターでのそういった成果を、例えば研究所と病院の交流も年間90回以上を超えていて素晴らしい取組だと思うのですが、そういったことを一部、公開講座みたいな形で、日本の小児医療の発展のために中心になっていただけると有り難いなという印象を持ちました。

○国立成育医療研究センター研究所長

 ありがとうございます。検討させていただきます。

○永井部会長

 今、ES細胞はもう一度作り直しているということでしょうか。

○国立成育医療研究センター研究所長

 実際の患者さんに使えるものをということです。

○永井部会長

 それでは次にいきます。1-4から1-9、その他の業務の質の向上に関する事項です。まず御説明をお願いいたします。

○国立成育医療研究センター病院長

 まず、12ページの評価項目1-4「高度先駆的な医療、標準化に資する医療の提供」です。先端の病院として私どもの一番の特徴は、やはり臓器移植、特に生体肝移植です。脳死移植も含めて、昨年度は60例施行しております。成人も含めた肝移植数では当然日本で一番で、単一施設での小児においては世界で最多です。生存率はここに「93.3%」と書いてありますが、これは5年平均ということで、昨年は2例ぐらいしか後で亡くなっていませんので95%以上です。昨年6月には世界で初めてメープルシロップ尿症に対し、小児生体肝のドミノ移植を施行して成功しております。12月には移植に用いた余剰肝の肝細胞を、生後10日目のOCT欠損症の患者に門脈から入れるという肝細胞移植を行っております。ただ、このような大変素晴らしい成績は、研究所におけるEBVs等の感染等の早期のチェックなど、研究所の多大なる御協力がないと出せなかったということを、ここに付け加えさせていただきます。

13ページの「免疫不全症に対する治療」は、日本では11年ぐらい前に遺伝子治療が行われており、その後はとだえておりましたが、昨年、今度は慢性肉芽腫症の患者に対し、根治治療として造血幹細胞を採って遺伝子治療をやりました。慢性肉芽腫症としては日本で初めてで、免疫不全症に対する遺伝子治療としては11年ぶりぐらいに行い、現在、良好な経過を得ております。

 次に、特徴的なのは胎児治療です。うちには胎児診療科というのがあり、双胎間輸血症候群に対するレーザー手術が50例、胎児胸水に対するシャント術が8例です。これは医師主導治験を開始しているのですが、無心体双胎に対するラジオ波凝固術等をやっております。特に昨年は先天性横隔膜ヘルニアの胎児鏡下のバルーン気管閉塞術を開始して、6例行っております。また、当院では胎児診断、特にときどきマスコミ等に載る出生前遺伝学的検査を、昨年度は1,129例行っております。新生児未熟児に対する外科治療にも積極的に取り組んでおり、特に心臓はここに「極低出生体重児」と書いてありますが、昨年は1,310gの子に対し、人工心肺を使った総肺静脈還流異常の手術を行い、特に問題なく成功しております。そのほかに1,000g未満の子に対しては動脈管のクリッピング、又は370gの大変小さい子供に対しては動脈管の閉鎖クリッピングと一緒に、肺動脈の絞扼術を施行しています。この体重は世界で最小です。

 次に評価項目1-5「患者の視点に立った良質かつ安心できる医療の提供」に移ります。セカンドオピニオンについて、昨年は一昨年に比して若干減って154件です。ただ、この内容のほとんどが、ほかの小児病院又は大学病院からのセカンドオピニオンが約8割を占めております。特に小児がん拠点病院になりましたので、小児がん関係等に関してのピアサポーター、ソーシャルワーカーの医療費上の案内を積極的に行っております。あと、いわゆる新生児未熟児等、人工呼吸器からの離脱が困難な例がたくさんありますので、重症な患者が退院した後のケアなども含めて、退院支援チームというのを結成してその相談に乗って、なるべく地域へ帰すということをしております。昨年相談を受けたケースは263件ですが、少しずつ地域へ帰すということがだんだん具体化してきました。

 次に評価項目1-6「その他医療政策の一環としてセンターで実施すべき医療の提供」です。特に昨年度は小児がん拠点病院となり、日本全国の小児がんにおける診療施設の中心病院ということで、全国の取りまとめ又は関東甲信越における37施設の取りまとめを開始しております。そういうこともあって現在、当病院での小児悪性腫瘍、血液疾患、血液悪性腫瘍、固形腫瘍等を含めて、患者数がだんだん増えてきて日本の中心病院となっております。

 周産期・小児医療に関しては、産科ですが、昨年の分娩件数は約2,200件ということでだんだん増えており、その6割以上がハイリスク分娩です。小児救急については、東京都が行っている子ども救命事業にも参加しており、年間2,960台ぐらいの救急車を受け入れております。心肺停止や蘇生を必要とする患者の受入れ人数では、日本で一番の数を受け入れております。

 次に16ページの評価項目1-7「人材育成に関する事項」です。昨年は当センターから1人、横浜市大の小児科教授に移っておりますし、研究所から医療機器開発室長が日大の総合科学研究所に教授として1人異動しております。そのほかに臨床研究開発センターに大分活発な活動を行っていただいております。いわゆる臨床研究の仕方などに関するいろいろな初歩から、大学で言えば講師レベル、医長レベルの人たちを対象とした実践セミナーも含めて開催し、大変好評な中行っております。右の図が行った所ですが、みんな結構一生懸命人数も多い所でやっております。

 そのほかに種々の研究所、又は病院と一緒になった専門的セミナーは38回行っております。また成育だけではなく、放射線科、看護師、時には救急救命士等も対象とした小児のセミナーも行っております。これはモデル的研修・講習のほうにもあるのですが、積極的に行って、ほかのセンターからも参加者が多くなっております。また、ここには書きませんでしたが、若手小児科医を対象としたセミナー、いわゆる教科書には書いていない小児医療についてのセミナーを、2日間にわたって開催するということで昨年から開始し、全国から約70名の参加を頂いております。

 次に17ページの評価項目1-8「医療の均てん化と情報の収集・発信などに関する事項」です。1つは、日本小児総合医療施設協議会(JACHRI)というのがあり、これは小児用ベッド数が100床以上の施設が参加している協議会です。少なくとも全国の小児病院全てと大学病院等が加盟している団体で、そこでの活動としては、1つには成育医療センターが中心となって、先ほど御説明のあった「小児治験ネットワーク」を動かしています。あとは小児における感染管理のやり方について情報の収集をやって、それに対してどのような形で対応していくかという、「小児感染管理ネットワーク」の開催、事務局をやっております。また、小児病院における災害時の医療支援に関しての検討も行っております。

 次に、「妊娠と薬の情報センター」というのを当センターにつくっており、これに関して相談事業の均てん化を行っておりましたが、平成26年度は4か所加わって、右の図にありますように、全国29か所の相談を行うような病院に参加いただいております。「小児と薬情報収集ネットワーク」整備事業というのは、厚労省と共同でやっておりますが、これはITを利用し、電子カルテからほぼ自動的に情報を吸い上げ、ある薬に対する副作用等の有無について調べようというのが目的です。ただ現在、電子カルテから情報を吸い上げていくということに関しては、個人情報等のいろいろな規制がありますので、そのことも含めて去年、やっと小児医療施設9施設、また小児医療に関しては個人のクリニックの先生方にも協力を得ないと駄目なところがありますので、全国の診療所約40施設に御参加いただくことが可能になりました。これには日本医師会の協力もあったのですが、昨年に整備してこのネットワークができて、やっと今年度から実際に稼働し始めたところです。これに関しては今、日本では成人の領域でもこの整備をしておりますが、具体的に動き始めたのは、多分、世界で初めてだろうと思っております。

 情報の収集・発信に関しては当然のことながら、いろいろなメールマガジン等、あとは我がセンターで行っている成果を積極的に記者会見やプレスリリース等を行って、情報発信をしております。

 次に18ページの評価項目1-9「国への政策提言に関する事項」に関しては、少子化に関する政府のタスクフォースにうちの不妊診療科の医師が中心的に加わっており、提言を行ったりしております。また、小児慢性特定疾病のうち、20歳以上になった場合にトランジションという問題が、今の小児医療ではホットな問題となっております。医療費と就労等のサポートがなかったのですが、指定難病の拡大に向けて小児科学会と共同し、うちのセンターが中心となっていろいろまとめて、指定難病の選定事業に協力することによって、小児慢性特定疾病を難病に指定していただくことに何とか協力することができました。

 国際貢献においては先ほど研究所のほうからも出ましたが、コクラン共同計画の日本支部に当たり、それによって論文等の系統的なレビューをすることによって、私どものセンターが中心になっております。これまでに世界保健機関ガイドラインに大きく寄与するような実績を、2件挙げています。あと、最初に申し上げた肝移植チームの成績が大変よろしいものですから、特にイスラム圏の国では脳死移植が認められておりませんので、イスラム圏の国を中心として、技術指導をしてほしいという希望がたくさんありました。それに向けてチームが無償で、ほぼボランティアで行って技術指導をしています。以上です。

○永井部会長

 それでは御質問、御意見を頂きたいと思います。

○藤川委員

12ページですが、下にグラフがあり、2015年の数がすごく少ないのです。これは年度と違って、途中で切ってしまっているグラフでしょうか。

○国立成育医療研究センター病院長

2014年度は60例で、このグラフは年単位で集計したもので、2015年は3月末までに集計です。

○藤川委員

評価年度と一致させて表示しないと、大きく減少しているように見えてもった

いないです。それから14ページの下の、退院支援チームが関与した退院困難なケース数というのが、飛躍的に増えているのですが、これはそのチームが活性化したというところがあるのでしょうか。

○国立成育医療研究センター病院長

 特に小児ICUNICUが長期になる患者が増え、それで一般病棟へ移すと。一般病棟へ移しても重症で、人工呼吸器ケアをしなくてはいけない患者が増えてくる。しかし、それをいつまでも病院でケアすることは良くないので、自宅へ帰すということです。その努力をしないと、全ての病院の機能、例えばNICUPICUへの入院が滞ってしまうということが現実のおそれとして出ましたので、とにかく在宅へ持っていくことが最大のテーマとなりました。そのためにソーシャルワーカーや医師、在宅医療科というのをつくりましたが、それらを中心にして、例えば世田谷区の医師会の先生方に協力していただきながら、今後どうしていこうかということを実際に家族と相談します。あと増えたのは、やはり小児がん患者が増えてきたということがあります。これは最初からソーシャルワーカーが関与していて、紹介してくださった病院へどうやって帰るのかということもありますので、そのことも含まれているかと思います。

○藤川委員

 成育センターは本気を出すと、飛躍的に数が伸びるということがあるかもしれないので、いろいろな方面で頑張っていただきますようお願いします。

○内山部会長代理

 これは評価と言うよりもコメントです。例えば16ページでは、センター以外の医療従事者等に向けた各種研修・講演会等の開催件数がぐっと伸びています。評価の結果はともかくとして、「A」評価という自己評価だと思うのですが、センターと研究所の連携会議やセミナー数にしても、数だけを追い掛けていくと、非常に多忙になると思うのです。極端な話、センター以外の医療従事者に向けた各種研修・講演会等の開催が、忙しくてこれ以上はとても駄目だということで、仮に46回が来年は30何回になったとすると、そのために自己評価を「B」にするというのも、もったいない話だと思うのです。

 また、ここには人材育成、医療の均てん化という意味合いがありますので、何か工夫をしていただいて、回数が減っても自己評価が落ちないような形を考えておく。回数だけを追い掛けていると、本当に右肩上がりでそんなに行けるわけがないので、その辺の評価なり成果なりを表わす方法をお願いしたいと思います。これは全国から集まっているでしょうから、例えば北海道から何人の人が参加したとか、そのうち大学から何人が参加して、また大学に戻ったとか。今は思い付きでそんな例しか出ないのですが、回数だけでいくと、せっかくのこれだけの取組を自己評価で「B」にせざるを得ないというのは残念です。14ページなどもそうですよね。セカンドオピニオンの実数がちょっと下がったりすると、これで自己評価「B」にしたのかなというような。むしろ内容などが大事だと思うので、その辺を工夫されると来年以降はよろしいのではないかと思います。

○福井委員

 少し淡白過ぎるように思います。ほかのナショナルセンターは同じようなことをやっていても、もっとたくさん記載されています。例えば18ページの「国への政策提言」なども、どれだけたくさんのスタッフが国の委員会や審議会に出ているといった数字も多く書かれています。もう少し書き込んでアピールされていいのではないかと思います。

○国立成育医療研究センター病院長

 ありがとうございます。実際にたくさんの方が出ていて、逆にもう行ってほしくないというほど出ているのです。

○国立成育医療研究センター企画戦略局長

 補足します。人数までは入っておりませんが、資料2-1には少し具体的に、どのような審議会等に参加しているかということを書かせていただいております。

○本田委員

17ページの医療の均てん化とか情報の発信というのは、患者・国民にとってもとても重要なテーマだと思いますし、こういう連携を強化しているとか、こういうセンターが増えたとか、それ自体も良いことではあるのでしょうけれども、どう良いのかがよく分からないのです。例えば、どういう情報が求められているからこういうように出しているとか、そういうものを具体的に言っていただいたほうが、評価が「A」なのか「B」なのかよく分からないというのがちょっと。「作った」と言うだけでは、多分いろいろな所がいろいろなものを作っているでしょうから。資料2-1には書いてあるのかもしれないのですが、その辺が素人なので、これが患者・国民にどう役立っているのかという視点で書いていただけると、とても有り難いのです。

○国立成育医療研究センター病院長

 ありがとうございます。それはおっしゃるとおりで、特に「妊娠と薬の情報センター」は中毒センターと同じような形で、妊娠と母乳に関する薬の影響というものについて、今まで全然情報がなかったものですから、本当は本をまた別に発行したり、実際に電話で応対したりということで、件数を挙げることはできます。

 また、今の論点とは外れるのですが、医療の均てん化と医療の集中というのは、私たちのいつものテーマです。均てん化も重要だと思いますが、小児医療に関しては希少疾患、やはり外科的な高度な手術が必要な疾患というのがあり、これはどうしても集中化しないといけません。ですから医療の集中化と均てん化のバランスをどう取っていくかというところが、私たちの努力目標、もう少し考えなくてはいけないところかなと思っております。

○永井部会長

 入門者というか、センターで仕事を希望する方とか、あるいは全国の病院や大学から研修で訪問する方は増えているのでしょうか。

○国立成育医療研究センター病院長

 小児の専門、例えば腎臓とか内分泌とか、そのほかの専門領域に関しては、うれしいことにほかの大学からたくさんの御希望がありますが、何分にも結構な人数がいらっしゃってもそれに対するものが。患者数はたくさんいるのですが、10何人来てもらっても困りますので、23年待っていただいているという状況です。

○永井部会長

 あと、臨床でも基礎でもセンターで研究をされて、それを学位にしてもらうというケースも増えていますか。

○国立成育医療研究センター研究所長

 いろいろな大学と連携大学院の提携を結んでおりますので、センターで実際の研究をして、学位をセンターとして出すわけにはいかないので、派遣先の大学の学位を取っていただくということはずっと行っております。

○永井部会長

 増えていますか。

○国立成育医療研究センター研究所長

 増えています。東北大学との連携も始まったばかりです。

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは次の項目について、御説明をお願いいたします。

○国立成育医療研究センター企画戦略局長

 評価項目2-12-22-3及び評価項目3-1、評価項目4-1を資料2-219ページから21ページにかけてまとめています。また、詳細は資料2-1の評価シートにも記載しておりますので、併せて御覧いただければと思います。

 まず、評価項目2-1「効率的な業務運営体制」に関する事項についてです。当センターは冒頭に理事長から申し上げたように、健全な次世代を育成するための医療と研究の推進というミッションがありますが、そのミッションを達成すべく、平成26年の4月には女性理事1名を採用し、この理事は本年4月には常勤職員にしております。また、従前から行っている副院長5名態勢を維持しながら、更に医療安全管理体制を強化するなど、効率的、効果的な組織人員体制及びガバナンス体制の構築を進めております。

 また、昨年度から電子カルテシステムの更新を行いましたが、それらの原因に伴い、平成25年度末から経常収支が急激に悪化したことから、幹部役職者を中心とする経営改善ワーキンググループを設置し、収支改善策等の検討を進め、具体的な対策として、例えばPICU専任の理学療法士を導入する、あるいは重症個室・特室の運用の見直しといったことに取り組んでおります。

 次に、評価項目2-2「効率化による収支改善」に係ることについてです。医薬品、検査試薬については、他のNCあるいはNHOとの共同購入あるいは同種同効薬の整理、あるいは後発医薬品の採用促進といった取組を進めるとともに、医療材料については入札後についても価格交渉を行う、在庫管理を徹底するといったことにより、医療用の消耗品等の材料費を2年間で約8,500万円削減いたしました。

 また、一般管理費についても、委託内容の見直しによる委託費の削減、消耗品の削減といったことに取り組み、平成21年度に比べて1.5億円、約23.5%の節減を達成しました。

 他方、収入増についてですが、レセプト点検のチェック体制の強化、マニュアル策定といったことを通じ、適正な診療報酬請求に基づく医業収入の増加を図りました。また、医業未収金を減らすために、分娩患者を対象とする事前の預かり金制度を導入、あるいはクレジットカード払いの導入により、新たな未収金の発生を防止するとともに、既に発生した未収金に対しては、定期的な支払案内等の督促を強化した結果、平成26年度の医業未収金比率は0.05%と大幅に改善し、目標を達成しました。また、財務会計システムを導入、月次決算を医事データと組み合わせ、多角的な視点から分析を行い、経営改善に活用するといった取組を実施しました。

 次に評価項目2-3「法令遵守等内部統制の適切な構築」についてです。契約事務については、一定額以上の契約については、外部有識者を含む契約審査委員会で妥当性を審査するなど、適正な運用に努めるとともに、重点項目を定めた計画的な内部監査、また会計監査人による外部監査及び会計実務研修を職員に対し実施し、適正な内部統制体制の構築を進めました。また、コンプライアンス室、室長は弁護士ですが、それによるハラスメント研修会等、職員に対する研修の開催、コンプライアンスニュースの発行、さらには職員を対象とするホットラインや相談窓口の開設といったコンプライアンス活動を推進し、その結果、職員の組織に対する信頼、帰属意識が高まり、それが離職防止、労働意欲の低下防止につながっていると考えております。

 続いて評価項目3-1「予算、収支計画及び資金計画」についてです。先ほども説明いたしましたが、公的研究費あるいは受託研究費等の外部の競争的資金の増加を図るため、研究者に対して積極的な申請を促すだけではなく、それを支援するための体制を作り、結果的に前年度に比べて1.3億円増の外部資金を獲得しました。また、当センターの研究機能の充実強化及び優れた研究成果をこのような形で自己収入の増加、あるいは研究成果の増につなげることができたと考えております。また、センター機能の維持、向上を図るための建物整備等については、劣化診断等の結果に基づき、施設全体の状況を踏まえ、計画的な実施、あるいは大型機器等の整備についても、採算性、施設内での共同利用、使用頻度といったものを基準とし、「施設・医療機器等整備委員会」において厳重な審査を行った上、内部資金等を活用し、効果的、効率的な導入に努めました。

 最後に評価項目4-1「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」についてです。まず、適正な人事評価を実施するとともに、NHOあるいは国等と人事交流を促進し、優秀な人材の育成、定着を図りました。また、当センターは他のNCに比べて女子職員の割合は多いと思いますが、育児に従事する職員については、短時間勤務制度や時間外勤務制限の導入、さらに院内保育所の運営といったことを通じ、女性にとって働きやすい環境整備に努めたところです。

 また、診療については、医師事務補助、いわゆる医療クラークについて、その導入効果を検証しながら、計画的に増員し、医師の負担軽減あるいは診療業務の効率化を進めており、平成26年度には2名の増員を図り、計16名になったところです。また、安全かつ良質な医療を提供するために、医療安全やチーム医療の推進等の観点から、必要な人員の配置を図っております。なお、医長職以上の職員の採用に当たっては、原則公募とし、公平性、透明性を図りつつ、優秀な人材の確保に努めているところです。

 最後に、20ページ、21ページに、損益計算書、貸借対照表、経常収支の推移を付けていますが、既に説明したとおりです。以上です。

○永井部会長

 いかがでしょうか。最後のページの経常収支の推移の基線は何ですか、前年度比ですか、それとも予算の目標に対してですか。

○国立成育医療研究センター企画戦略局長

 「推移」という言葉の使い方が適切ではないかもしれませんが、平成25年度については5億円2,600万円の損失があり、平成26年度については、それぞれの事業ごとに対前年度の損益差を示しており、一番下に書いてありますが、最終的にトータルで経常損失が20億円2,000万円、さらに臨時損失を加えますと純損失として20億円9,000万円ということです。

○永井部会長

 これは予算を立てるときに、ある程度想定しているわけですよね。それとの比較ではどうなのですか。結果としてこうだったということですか。

○国立成育医療研究センター企画戦略局長

 あくまでも結果としてでございます。

○永井部会長

 予算との比較ではどうなのですか。これはいろいろな病院で非常にややこしい計算をしているのですが、目標はどのぐらいであって、それに対してどうなのだという議論というのは意外とされないのですね。何となく積んでいるという感じが多いのですが、その辺の会計についてはどうでしょうか。要するに、現場では、一体何を目標にして病院の運営をしたらいいかというのは、意外と明確でないということなのですが。

○国立成育医療研究センター企画戦略局長

 各年度事業計画は、予算を計上する際には当然、永井部会長御指摘のようなことについて、ある程度の目標数値をもとに積算しているわけですが、実行上は結果的にこうなったということですので、目標をきっちりと定めて、それを達成するという点では不十分だと思います。

○永井部会長

 これは私の大学でもいつも議論になっていて、現場は何を目標にしたらいいかよく分からないのです。それで、前年度比であったり、こういう計算で数字が出てくるのですが、だからどうなのだ、次はどうしたらいいのかというのがなかなか見えないというところがあり、それだったらきちんと目標を立ててやるべきだというのですが、なかなかそれもできないのだという話で、予算というのは一体何だという話になるのです。何か、その辺は良い知恵がおありでしたら。恐らく、民間の企業の方から見たらびっくりするような。

○国立成育医療研究センター総務部長

 平成27年度においては、当然、事業計画というのがございますが、各診療科からヒアリングをいたしました。ヒアリングに基づいて、どれぐらいの計画数でいくのか、オペ件数はどのぐらい、患者数、新患はどのぐらいということに基づき、数字の修正をしております。本来は、既に平成27年度の事業計画は認められていますが、それについては経常収支でマイナス19億円の計画をしていますが、なかなかマイナス19億円でいくわけにはいきませんので、本来は上方修正というのはないのですが、ヒアリングに基づいてどのぐらい頑張れるかということを診療科から行い、数字の修正は掛けて、平成27年度計画を進めているところです。

○永井部会長

 それは、現場がある程度これをクリアしてくれたら、現場にフィードバックするような仕組みを作ってあげないといけないということなのです。それは総長裁量経費でもいいと思うのです。それから減価償却にしても、20何億円といっても、20億円ではいけないのかとか、19億円ではいけないのかということは、あらかじめきちんと言っておいていただければ、それを上回った分は現場に還元したほうが賢いと思うのです。

○国立成育医療研究センター総務部長

 おっしゃるとおりでして、この資料では説明は抜けていますが、もう1点重要なところはキャッシュフローはどうするかということがポイントで、今回このマイナスの20億円というのは影響がキャッシュフローにも出ており、平成27年度については非常に厳しい状況です。ですから、先生の御指摘のとおり、頑張ったら還元をするということは当然なことですが、今の時点ではキャッシュフロー的には厳しい状況で、そこまでは至っていないという状況です。

○永井部会長

 マイナスでも、想定されているマイナスなら別にいいのだと思うのです。だから、その辺を現場と計画を立てる方が協調して、特に現場は改革しなければいけませんから、改革すると必ず戻るのだということを分からせないと、現場は締め付けられているとか、自分たちには何もいいことがないという不満が貯まってきます。その辺を考えていただくことが大事だと思うのですが、いかがでしょうか。

○福井委員

 前月又は2か月前かもしれませんが、患者数とか、収益、損益などは、全職員にフィードバックはされていて、財務状況が1年間を合わせるとかなりの赤字になるということは、リアルタイムで皆さんは、全職員が分かっている状況だったのでしょうか。

○国立成育医療研究センター総務部長

 平成27年のことで申し訳ないのですが、医長以上、各師長以上の情報連絡会というのがあり、その中では6月、7月にかけて、損益計算書、キャッシュフローについての状況、これからの見込みについては共有いたしました。

○藤川委員

 計画を立てられるといっても、病院であれば外来と入院で何人とか、単価が幾らというのは、ある程度立てやすいというか、外れるにしても立てやすいと思うのですが、研究部門はなかなかそうはいかないのかなと思うのですが、その辺りはどのような匙加減でやっていらっしゃるのでしょうか。

 あと、19ページの材料費の削減のところで、「入札を行い、入札後の価格交渉の結果」と書いてあるのですが、入札を行ったにもかかわらず、その後で価格交渉をするということは、ほかの契約監視などでも議論になるところではあったのですが、公正性を欠くのではないか、入札で決まったものを更にその後に交渉するというのは、少し問題があるのではないかというようなことが議論になったこともあり、コンプライアンス上どうなのかというところは、やや疑問があります。

 それから、右側の所で、コンプライアンス推進活動をしていて、ホットラインや相談窓口を設けているということをおっしゃっていたのですが、設けたけれども全然相談がないという所もあったりするので、その辺りの実際の稼働というか、そういったところが機能しているのかを教えていただきたいと思います。3点です。

○国立成育医療研究センター企画戦略局長

1点目についてです。確かに御指摘のように、研究費については、幾ら入ってくるかはあくまでも評価結果次第ですので、なかなか常に右肩上がりというわけにはいきません。しかしながら、研究員にとってはいかに研究成果を上げるかということは非常に重要な目標ですので、当センターには「成育研究開発費」という内部の研究経費もございますので、そういったものも活用しながら、できるだけモチベーションが下がらないように研究活動を維持しているというのが現状です。

2点目の、入札後に価格交渉をするのはいかがなものかということについては、御指摘のような懸念がないように、委員会内で要望として上がってくるものについて、複数の部署から上がってきたものを一緒にするとか、そういうことでスケールメリットを出すといったことで、多少でも価格がより下がるような努力をしているという意味です。

3点目のコンプライアンス室の利用状況については、具体的な数字を集計したものはありませんが、室長が女性の弁護士であるということもあり、非常に職員から信頼、人望を得ており、日々多くの相談があり、その結果、不適切なものについては人事配置とか、処分等につながるような事例も出てきているというのが現状です。

○国立成育医療研究センター総務部長

2番目の入札後の価格交渉ということについてですが、記載が足りなかったのですが、あくまでも第1交渉権者の決定であって、そこから価格交渉の決定をしております。それは入札時にオープンにしていますので、誤解を招く記載になっておりますが、そのような意味です。

○藤川委員

 ということは、入札した条件を後から変えているということではないということですね。分かりました。それであれば。

 たまに、入札した条件から更に値引きをするとか、そういった事例も見られて、それだと公正取引ではないのではないかということでありましたので、そういうことではないということですね。

○国立成育医療研究センター総務部長

 はい。

○藤川委員

 分かりました。

○福井委員

 先ほどの内部統制体制の所ですが、これは内部統制室という部署なのでしょうか。それとも監査室なのでしょうか。専任の室長がいらっしゃるということですが。

○国立成育医療研究センター企画戦略局長

 名称としてはコンプライアンス室です。

○内山部会長代理

 小児医療で収益を上げていくのは常々難しいと思っています。給与も含んだ一般運営費交付金が3億円6,000万円も減って、また震災によって減っていた給与が戻るとか、人事院勧告でも給与が上がる等で、それを含めた中で一般運営費交付金が減っている。収支を改善するには収入を上げる、あるいは節約の2つしかないわけですが、今後の方策等はどのようにお考えなのでしょうか。

○国立成育医療研究センター病院長

 病院長から答えさせていただきます。昨年度の医業収益の減少の大きなところは、ICUの入室制限です。その理由は、ICUの医師のコンプライアンス違反があったということで、それによって処分しました。それでいろいろあって、何人か辞めたものですから、それで一時的に入室制限をしました。それは、3月には全部戻って、ICU加算ベッドは12床だったものを、今年度末には20床にするぐらいに人が戻っておりますので、それで何とかいけるのではないかと。

 もう1つは、短期的な収入を上げるには、小児医療においては新生児期の外科疾患の手術をすることが、本当は一番いいのです。というのは、加算上、技術料が4倍になります。ということで、NICUの回転率を上げて、なるべく外科系疾患を受ける形で今努力をして、一般病棟の機能を上げて、それでもって長期患者を全部上に上げるようなことで、来月にはほぼそれがうまくいくはずになっております。810日にはそうなっています。

 あとは、待っている患者、例えばアレルギー科の患者ですと、食物アレルギーの負荷試験を100人単位で待っているのです。それを今までそのことがはっきりしていなかったものですから、定期的に毎日8人に負荷試験をやっていく形とか、耳鼻科疾患、外科疾患、半年以上、1年以上外科系の手術を待っている疾患もありますから、その手術バックを何とか効率的にどのような形でやっていくのかを検討して、そのような形で手術件数を11件増やすだけでも、1億円近く違うものですから、そのことを今やっております。

○永井部会長

 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、法人の監事から、業務の監査結果等を取りまとめた「監査報告」について、御説明をお願いいたします。

○国立成育医療研究センター監事

 発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。「監査報告」はお手元の資料にあるとおりで、そこに明記したとおりです。本年度は重点項目として、公的研究費の適正な執行管理、あるいは契約の適正化、随意契約を減らそうということです。赤字が続きましたので経営改善についてはどの程度努力しておられるかということを中心に、監査をいたしました。

 公的研究費につきましては、おおむね適正に執行管理されているものと思います。今後については、平成27年度も赤字予算、先ほど廣田部長からも数字が出ておりました。その経営改善の取組状況、あるいは内部統制システムについて、一部未整備な内部統制委員会等の状況がありますので、その辺りをきっちりと確認していきたいと思っております。

 先ほど藤川委員から「成育さんは本気を出すと伸びるのですね」と、有り難いお言葉があったのですが、経営改善についても、そのように期待してフォローしていきたいと思っております。

○永井部会長

 それでは、理事長から日々のマネジメントを踏まえて、現在の法人の業務運営の状況、今後の課題等について、御説明をお願いいたします。

○国立成育医療研究センター理事長

 私どものセンターの一番大きなミッションは、大学病院小児科あるいはほかの小児病院では担うことができないような高度先進医療を推進することです。しかしながら、それを推進するための研究あるいは臨床を行う場合に、どうしても赤字が出てしまう点に大変困っております。しかしながらその様な状況にあっても、続けていきたいと考えているところです。

 もう1つ、小児医療の特徴として、日本はまだ遅れておりますが、予防接種等が大分改善してまいりまして、いわゆる感染症絡みの急性疾患の入院が、減ってきております。さらに高度先進医療も含めて医療が進んでおりますので、これまでは小児期に亡くなってしまっていた患者さんが生存して大人になってまいります。つまり、慢性疾患や障害をもった子供たちがこれから増えていくのではないかと思います。そのような方たちがずっと病院にいるわけにはいきませんので、本人たちあるいは御家族のためにも、在宅医療を推進しなければなりません。しかしながら、在宅医療の子供や若年成人あるいはその家族に対する支援が、高齢者に比べますと非常に貧弱な状態にあります。そのため、私どもも在宅医療の御家族を支援するための施設を現在作りはじめ、来年4月の開設に向けて努力しております。 先天代謝異常症のマススクリーニングの新しい方法であるタンデムマススクリーニングが開始され、治療・予防可能な27疾患の先天代謝異常症を発症前に診断し、治療することができるようになりました。このシステムの日本全体の精度管理も当センターが行っております。それから、先ほどお話が出ましたような、小児慢性特定疾患の選定作業への協力や、妊娠と薬事業などもわが国全体をカバーするサービス事業も当センターが担っております。この様な事業にかかる費用は運営交付金の一部をあてて行っていますが、現在戴いている運営費交付金では賄えない状況になっています。

 経営や予算運用の点で当センターが努力しなければいけない点は多々あり、改善いたしたいと思いますが、国からの御支援も御考慮頂きたいと考えております。

 欧米の小児病院では運営費の40%程が寄附金で賄われています。わが国では残念ながら寄付の文化が欧米ほどではないのですが、今後は国民全体に呼びかけてセンターへの寄付金を増やすことに努力しなければいけないと考えております。

○永井部会長

 ありがとうございます。それでは、何か御質問、御意見はございますでしょうか。ナショナルセンターと言えども、東京の地域医療を担っていらっしゃるわけで、正に先ほどお話になられた連携ですね。機能分担はされていらっしゃるのでしょうけれども、慢性化したときの後方ベッド数、あるいは外来の通院の辺りのネットワーク作りというのは、どうなのでしょうか。

○国立成育医療研究センター病院長

 まず1つは、ネットワーク作りの1つとしてやっているのは、トランジッションはどうするのかということです。今ちょうど国立国際医療研究センターの中村院長と話をしまして、少しずつ国際医療研究センターと協力しながら、そちらに転院できるものは転院できる、こちらとして協力できるものは協力できるものとして、そこら辺の出口は協力していくことが合意され、具体的に私どもから国際医療研究センターに行って、あちらの先生と講演をしたりということを始めております。

 あとは、おっしゃるように在宅ですが、永井先生がおっしゃられましたように、世田谷区の医師会と一緒に入って行き、そちらと一緒にやり始めています。正直申し上げますと、小児の在宅医療は小児科の医師は興味を示してくれません。逆に、老人介護を一生懸命やっている内科の介護の先生が、一生懸命考えてくださって、今は内科の先生たちと一緒にそういうネットワークを作って、すごく協力的でありますので、それをやっているという状況です。

 あとは、近隣ですと関東中央病院とか、大きな病院とも役割分担しながらということ等を考えて、少しずつ、これも遅ればせながらなのですが、世田谷区、次は新宿区、杉並区というような形で、少しずつ民間の病院と提携を広めている最中です。

○永井部会長

 よろしいでしょうか。それでは、国立成育医療研究センターの平成26年度業務実績評価に係る意見については、以上といたします。事務局から、今後の進め方について御連絡をお願いいたします。

○医政局医療経営支援課長補佐

 今後の流れについてです。本日御議論いただきました平成26年度の業務実績評価につきましては、この後、本部会における御意見や法人の理事、理事長、監事のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を行い、その評価結果について法人に通知するとともに、公表いたします。決定した内容につきましては、後日委員の皆様方にお送りいたします。

 最後に、本日配布いたしました資料の送付を御希望される委員につきましては、机上にそのままにしていただければ送付いたしますので、そのままにして御退席をお願いいたします。事務局からは以上です。

○永井部会長

 それでは以上で終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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