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2015年8月4日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第3回) 議事録

○日時

平成27年8月4日(火)9:54~11:38


○場所

厚生労働省専用第23会議室(6階)


○出席者

真野主査、五十嵐構成員、名里構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

○議事

(以下、議事録)

○真野主査

 皆さん、お早うございます。委員をはじめ全員そろわれたので、早速始めたいと思います。第 3 回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉 WG です。お願いいたします。構成員の皆様におかれましては、非常に暑いところをどうもありがとうございます。本日は石渡構成員と平井構成員が御欠席で、松原構成員が少し早めに退席される御予定です。

 それでは本日の議事について、事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事は、お手元の議事次第のとおり、福祉医療機構の平成 26 年度業務実績評価に係る意見聴取についてです。参考資料 1 1 ページを御覧ください。年度評価についてですが、こちらは独立行政法人通則法第 32 条第 1 項第 1 号の規定に基づき、毎事業年度の終了後に実施される業務の実績の評価であり、当該事業年度における中期目標の達成状況や中期計画の実施状況等を考慮し、中期目標を定めた項目、評価項目ごとに 5 段階の評語 (S D) による評定を付す「項目別評定」と、その「項目別評定」を基礎とし、法人全体の状況について評価をする「総合評定」により行われます。

 これらは法人の業務運営の改善に資することを目的とするほか、評価結果を役職員の処遇等に活用すること等を目的として実施するものであり、本日は福祉医療機構の平成 26 年度業務実績評価について、本 WG の御意見を賜ります。

 事務局からは以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。それでは早速、議事に入ります。まず最初に福祉医療機構の「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」について議論を進めます。法人及び法人所管課からポイントを絞って簡潔に御説明いただき、その後、質疑応答という形で進めていきます。

 それでは、法人のほうからよろしくお願いします。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 福祉医療機構総務企画部企画室長の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。私からは、用意したレジュメ、資料 1-1 のパワーポイント資料、平成 26 年度業務実績説明資料に沿ってご説明します。

 まず 3 ページです。今回の業務実績ですが、記載のとおり「国民に対して提供するサービスの質の向上に関する事項」としてそれぞれの事業が 10 項目、「業務運営の効率化に関する事項」として 6 項目です。それぞれ項目ごとに説明します。

4 ページです。 1 の「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項」として 1-1 「福祉医療貸付事業」のうち「福祉貸付事業」です。自己評定は A としております。まず重要度ですが、政府の「日本再興戦略」において医療・介護サービスの高度化が施策として掲げられています。また、今回の社会福祉法の改正案にも盛り込まれていますが、サービスの担い手である社会福祉法人の経営の透明性の確保、あるいは高度化に取り組むこととされています。

 さらに人口減少社会における少子化対策、女性の一層の活躍促進を図るため、待機児童解消加速化プラン、あるいは放課後子ども総合プランに基づき、保育所等の整備も早期に実施すると施策として掲げられています。福祉貸付事業において、これら諸施策と連動した融資制度を設けて、政策の実現を推進しており、長期固定低利の融資を実施することにより、政策推進のツールとして極めて重要な役割を担っていると考えており、重要度は高いと考えております。

A 評定とした理由ですが、利用者の資金ニーズが増大する中、数値目標はいずれも前年度を上回る実績を上げており、達成率で平均 141 %となっております。また、それ以外に政策融資の果たすべき役割を踏まえて、介護基盤の緊急整備や東日本大震災の災害復旧・復興支援など、的確に対応した結果、貸付契約額及び資金交付額とも前年度を大幅に上回り、過去最高額を更新するなど、社会福祉施設等の基盤整備を支援できたと考えております。

 また、融資相談では相談実績 1,521 件、対前年度比約 145 %増の中で、長期にわたる安定経営が可能となるよう、多面的な支援・助言等を行うこと。また、提出書類の更なる電子化を実施したことにより、利用者サービスの更なる向上も図った結果、 97.9 %の貸付先から満足したとの回答を得られました。これら年度計画を上回る実績を上げられたと判断し、 A 評価としております。

 具体的には 5 ページを御覧ください。国の施策を受け、貸付契約状況ですが、平成 26 年度は 2,089 億円、対前年度 118 %増となっています。また、資金交付についても 2,774 億円で対前年度 120 %と、いずれも前年度を大幅に上回り、過去最高額を更新している状況です。

6 ページです。政策融資として事業の重点化を図るため、それぞれ優遇融資を実施していますが、例えば介護基盤の緊急整備については 354 件、 1,819 億円。東日本大震災への対応として 32 件、 56 1,700 万円。保育所、放課後児童クラブなどに対する融資として 554 件、 457 億円など、地域における社会福祉施設の基盤整備を支援できたと考えています。

7 ページです。利用者サービスの向上に対して、私どもでは早期段階からの融資相談を積極的に実施しています。また、個別融資相談会を 16 回、セミナー開催と合わせて実施したり、事業完成時におけるアンケート結果に基づき、資金交付請求書などの提出書類を電子化し、利用者サービスの向上を図っています。さらに数値目標の審査、資金交付業務の事務処理期間の短縮は達成率平均 141 %となっていることから、福祉貸付事業については、政策との連携、あるいは利用者サービスの向上を図れたと考え、 A 評定としています。福祉貸付事業については以上です。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 それでは厚生労働省から評定について説明します。資料 1-2 4 ページ以下ですが、まず当事業については重要度を「高」としています。これは先ほど法人からも説明がありましたが、日本再興戦略において待機児童解消加速化プラン、あるいは都市部での急速な高齢化に対する介護などのサービス提供の確保策。あるいは平成 26 年度に行われた日本再興戦略改訂 2014 においても、居住系介護施設待機者の解消に向けた介護サービス提供体制の構築などが上げられています。これらの福祉サービスの安定的かつ効率的な提供体制を構築することは、社会福祉施設等の整備について資金を提供する、当事業は重要度が高いものと考えています。厚生労働省としての評価は A 評定としています。

 ポイントだけ申し上げると、貸付金額、資金交付額ともに過去最高額を更新する、非常に高いニーズに対して、迅速、適切に対応していると評価しています。特に資金ニーズが増加する中で、審査件数が増加しています。その一方で利用者サービスを向上させながら、貸付審査期間を短縮させていることと、資金交付の迅速化は目標 15 日に対して 7.4 日で、達成率 202.7 %と大きく目標を上回っています。

 さらに東日本大震災において被災された施設の開設者に対しても、個別融資や訪問相談あるいはセミナーを開催するなど、非常にきめ細かく対応していることは高く評価できます。さらに民業補完の推進の観点からも協調融資金融機関が大きく伸びていて、既に 328 機関まで増加しています。以上のことから、目標を大きく上回り、かつ利用者サービスを向上させつつ、増大する福祉の資金ニーズに適切かつ迅速に対応していることから A 評価としています。以上です。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 続いて 8 ページ、 1-2 、「福祉医療貸付事業」のうち「医療貸付事業」です。自己評定は A としています。こちらも重要度は福祉貸付と同様、日本再興戦略における医療介護サービスの高度化が施策として掲げられていること。また、今回の医療法の改正案においても医療法人が連携して地域の医療サービス等の高度化を目指す「地域医療連携推進法人制度」の創設や地域医療構想の下に、病床の機能分化や提供体制の再構築を図ることとされています。我々としては政策推進のツールとして、やはり医療貸付においても長期固定低利の融資を実施するという極めて重要な役割を担っていることから、重要度は高いと考えています。

 評定理由です。数値目標である処理期間については、前年度を上回る実績を上げ、達成率平均で 164 %となっていること。また、政策融資の果たすべき役割を踏まえ、医療施設の耐震化整備、東日本大震災の災害復旧資金について機動的な融資を実施するとともに利用者ニーズに的確に対応し、資金交付額では前年度を上回る実績を上げており円滑な基盤整備を支援できたと考えています。また、民間金融機関に対するノウハウ等の情報提供や全国地方銀行協会との意見交換会を積極的に実施して、民業補完を徹底するなど、医療施設等の基盤整備を支援できたことから、 A 評価としています。

 具体的には 9 ページを御覧ください。貸付契約の状況について、平成 26 年度は 1,332 億円と対前年度▲ 23 %の減となっています。これは平成 25 年度に消費税増税に伴う駆け込み需要があったことの反動により、平成 26 年度は対前年度を割り込んでいますが、資金交付状況については 1,512 億円と、ここ数年では 2 番目に高い山となっています。

10 ページです。政策適合性と重点化ですが、融資条件の優遇措置により重点化を図っています。例えば東日本大震災への対応としては 17 件、 55 4,900 万円。耐震化整備としては 29 件、 589 億円。また、特定病院に対する融資に加え、中小規模病院に対する融資は 33 件、 440 億円などを実行しています。

 さらに高台移転整備にかかる融資であるとか、持ち分なし医療法人のための経営安定化資金など、政策との適合性を重視した優遇措置を講じており、地域における医療施設の基盤整備を支援することができたと考えております。

11 ページです。利用者サービスの向上として、融資相談の充実に積極的に取り組んでおります。融資相談会を全国 9 ブロックで 23 回開催しています。そのほか個別訪問相談やセミナー等における個別融資相談会により需要の把握に努めるとともに、地元医師会など関係団体に赴き、融資制度の PR などを実施しております。

 また、民間金融機関へのノウハウの提供では、平成 27 年度から、これまで社会福祉事業施設に限定していた民間金融機関との協調融資制度の対象範囲を全事業に拡大し、民業補完を徹底するとともに全国地方銀行協会と意見交換を行い、個々の案件に関しては、直接、機構担当窓口に連絡が取れるスキームを構築しました。

 さらに数値目標です。審査、資金交付業務の事務処理期間の短縮に関しては、達成率平均 164 %となっていることから、数値目標に加え、政策との連携、利用者サービスの向上に対する取組などにより医療貸付についても A 評定としております。医療貸付事業は以上です。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続いて、厚生労働省の評価ですが、医療貸付事業については、まず日本再興戦略改訂 2014 において、超高齢化社会に直面する中、いかに要介護サービスを持続的かつ効率的に提供していくかが課題とされています。サービスの効率化、高度化を図ることから医療施設等の整備について長期固定低利により、資金を提供する本事業は重要度が高いと考え、重要度は「高」としております。医療貸付事業の評定は A としています。

 具体的な理由ですが、第 1 に、病院の耐震化整備等について優遇措置を講ずるとともに、平成 26 年度の資金交付額は平成 25 年度の実績を上回り、増大する利用者ニーズに的確に対応していること。第 2 に、東日本大震災において被災された医療関係施設等への訪問相談など、被災地支援に資する取組を積極的に実施していること。第 3 に、施設整備等を予定している者を対象とした個別融資相談、訪問相談など利用者サービスの向上を図っていること。第 4 に、受託金融機関に対して融資制度及び医療政策動向等の情報提供をするとともに、全国地方銀行協会との意見交換など、民業補完の推進を図っていること。第 5 に、審査業務は目標 30 日以内に対して 19.3 日、資金交付業務は目標 15 営業日以内に対して 8.7 日で、達成率にすると、それぞれ 155.4 %、 172.4 %となること。以上、数値目標においても所期の目標を上回る成果が得られていることから、 A と評価しております。以上です。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 続いて 12 ページです。 1-3 、「福祉事業貸付事業」のうち「債権管理」についてです。こちらも自己評定 A としております。債権管理については、私どもにある経営サポートセンターと連携し、平成 25 年度に実施した医療法人全体の決算分析に加え、平成 26 年度には新たに社会福祉法人全体の決算についても年次分析を行い、実地調査等を実施するなどリスク管理債権の未然防止に向けた取組を実践しました。また、東日本大震災の返済猶予中の貸付先全てに対して運用状況や返済猶予状況のヒアリングを実施し、必要に応じて貸付条件の変更措置を講じるなど積極的に支援をさせていただいています。

 さらには、診療報酬等の改訂を受け、依然として厳しい経営環境の中で、返済相談にきめ細かく対応するとともに、貸付金の貸出条件緩和等を積極的に行い、法人の維持存続を支援できたと考えて、 A 評定としています。

 具体的には 13 ページを御覧ください。貸付債権の適正な管理ということで、今後、リスク管理債権化する恐れのある貸付先をイエローゾーン貸付先と位置付け、それの抽出基準を新たに策定し、データ分析や実地調査等を実施しています。また、その要因分析の結果を事例検討会にてフィードバックし、審査に活用しています。さらに大口貸付先のヒアリングを実施し、経営戦略などの聴き取りにより償還確実性の評価を行っています。また 3 つ目、債権悪化の未然防止に関しては、貸付先との面談、直接訪問による経営改善指導を実施し、リスク管理債権の未然防止に力を入れるとともに、 4 つ目の経営悪化先への対応として、中小企業金融円滑化法の期限到来後においても、対応方針を変えることなく、個別に適切な償還計画を作成の上、緩和措置を実施するなど、施設の維持存続を積極的に支援するため、貸付関係部との連携強化による債権悪化の未然防止に取り組んだ結果、リスク管理債権比率については、平成 26 年度は 2.13 %、金額で 64 億円の減少と、着実に改善を図っています。

14 ページです。私どもでは貸付先から提出された事業報告書や決算書を活用して、法人の財務状況の分析を実施するとともに、業況注視先のモニタリングを実施しています。さらに今般、金融庁検査等に対応するため、金融庁検査水準での自己査定基準の厳格化を図り、その体制として与信管理体制を整備し、債権の適正管理並びにリスク管理債権の未然防止を強化しています。特にイエローゾーン貸付先については、フォローアップ先を抽出し、それらについて実地調査や書面調査を実施、その結果を類型化して、多少懸念ありの場合は業況注視先に指定し、定期的にフォローをする。早急な対応が必要な先には、アクションプランを定め、バンクミーティングなどの開催を含めたアクションプランの進捗状況の継続的モニタリングを実施するなど、積極的に未然防止に取り組んでいます。

15 ページです。東日本大震災への対応として、平成 23 年度発災当時、 39 貸付先、 59 資金あった猶予貸付先について常にモニタリングを実施し、平成 26 年度においては、年 2 回フォローアップ調査を実施することで、元利金の返済を再開するなど、正常化を支援しています。

 また、返済猶予延長希望貸付先、 26 貸付先、 44 資金についても、引き続き連絡を密にし、法人にとって最善の正常化策は何か、モニタリングをしつつ、復興を支援しています。ちなみにこの 26 貸付のうち、平成 27 年度再開見込は既に 12 貸付あり、平成 27 年度末では残り 9 貸付に減じると見込まれています。これらの取組など、様々な支援策を講じていることから、 A 評定としています。債権管理については以上です。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 厚生労働省の評価です。債権管理については、評定は A としています。平成 26 年度末におけるリスク管理債権比率が 2.13 %となり、平成 25 年度末より 0.27 %の減少と大幅な改善を図っていることが認められ、高く評価できます。この主な要因ですが、貸付先の経営状況を的確に把握していること。それから平成 26 年度からの取組として、今後リスク管理債権化する恐れのある貸付先、イエローゾーン債権を抽出し、債権悪化の未然防止策を講じていること。リスク管理債権に係る情報を役職員で共有し、あるいは貸付関係部署へフィードバックするなどの取組を行っており、この効果が現れたものと考えています。

 また、既往貸付金の貸出条件緩和等によって施設等を支援しています。特に東日本大震災において被災した貸付先については、半期ごとに運営状況や返済運用状況のヒアリングを実施し、貸付条件の変更措置を講じるなど、積極的な経営支援をしていることが高く評価できます。以上のことから、政策融資の果たすべき役割を踏まえ、所期の目標どおり社会福祉施設等あるいは医療施設等の維持及び存続を図りつつ、貸付債権の適正な管理を行っており、その結果、リスク管理債権比率が 2.13 %に低下、これは過去 5 年間の平均 2.72 %と比べても顕著な成果が得られています。したがって、 A と評価しております。

 なお、今後の課題ですが、今国会において成立した法案により、福祉医療機構に対する金融庁検査が導入されます。これに対し、適切に対応することを期待しています。以上です。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 続いて 16 ページ、 1-4 、「福祉医療経営指導事業」です。こちらも自己評定 A としています。重要度ですが、日本再興戦略においても都市部での急速な高齢化に対する介護など、サービス提供確保策、社会福祉法人の経営高度化等の構築が挙げられています。福祉医療サービスを担う経営主体の経営の効率化、安定化を図るためにも、福祉医療機構が保有するノウハウを活用し、経営手法の提供や経営診断を実施する本事業は重要度が高いものと考えています。評定理由については、 1 セミナー当たりの受講者数、個別経営診断件数など、全ての数値目標で 120 %以上をクリアしており、達成率平均も 134 %となっていること。加えて、新たな取組として、各種調査等を実施し、その結果をリサーチレポートとしてプレスリリースしていますが、マスコミに記事として 33 回引用されるなど、関係者から一定の評価を受けることができたこと。

 さらには、個別経営診断について、これまで WAM の事業所データによる比較分析のみであった診断メニューの大刷新を図り、経営分析プログラム、ガバナンス診断プログラム等の 3 つのメニューを新設し、運用を開始したことなどサポート事業全体の見直しを含め、積極的に施設の健全経営を支援できたと考え、 A 評定としています。

 具体的には 17 ページを御覧ください。各種数値目標の達成度です。いずれも 120 %以上となっている状況です。

 さらに定性面での取組が 18 ページです。セミナーにおける情報提供等の内容の充実ですが、平成 26 年度から新たに社会福祉法人の経営・ガバナンス評価等に資する講義を追加し、今回の社会福祉法の改正案でも議論されていますが、法人のガバナンスの高度化にいち早く取り組んでいます。また、民間金融機関へのノウハウの普及では、民間金融機関への研修会を 3 回、延べ 117 機関に対し実施するとともに、各種ニーズ調査や外部講演への講師派遣等を実施し、ノウハウ普及への取組を積極的に実施しています。

 さらに 19 ページです。新規の経営指標や診断指標の策定等に関して、例えば診療報酬改定等の影響に関するアンケートの分析結果、在宅強化型老健と従来型の比較分析、あるいは福祉施設の建設費等に関する動向調査など、ここに記載している内容に関する様々な調査を行い、その結果に基づくリサーチレポートを発信しています。また、「介護業界で生き残る経営計画、事業計画の作り方」を執筆するなど、シンクタンク機能を充実させるための新たな取組を開始しました。また、個別経営診断メニューの新設については、経営分析プログラム、ガバナンス診断プログラム、個別支援プログラムの 3 つの新メニューを開発し、例えば経営分析プログラムでは業界内での立ち位置、同種同規模の施設との財務比較、さらには優良施設との個別比較による分析を実施し、改善すべき課題について、改善によるインパクト試算や改善策の可能性の広がりを提示するなどを行っています。

 また、ガバナンス診断プログラムでは、 PDCA の考えを取り入れ、一問一答のチェックシートによる分析を行い、法人の現状把握を支援しています。さらに従前の施設単位での分析に加え、法人単位での分析診断機能を追加するなど、大きくその内容を充実させて法人経営の支援ができたことから、 A 評定としています。福祉医療経営指導事業については以上です。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続いて厚生労働省の評価です。福祉医療経営指導事業ですが、当該事業については日本再興戦略において待機児童解消加速化プランの展開や都市部での急速な高齢化に対する介護などのサービス提供確保策、また、主たるサービスの担い手である社会福祉法人の経営の高度化等が掲げられています。また、日本再興戦略改訂 2014 においても、居住系介護施設待機者の解消に向けた介護サービスの提供体制の構築などの課題が挙げられています。こうした課題に対応していくためには、福祉医療サービスを担う経営主体の経営の効率化、安定化を図りつつ、施設等の整備を促進する必要があり、福祉医療機構が保有するノウハウを活用して、経営指標の提供や経営診断を実施する、本事業は大変重要度が高いと考えています。したがって、当該事業については重要度を「高」としています。評定ですが A としています。

 集団経営指導セミナーについては、内容を充実した結果、 1 セミナー当たりの平均受講者数が 221.7 人で目標達成率 123 %と大きく目標額を上回っています。また、受講者にとっての有用度に関する調査結果も、平均 96.9 %で達成率 121 %となっています。また、民間金融機関に対するノウハウの提供ですが、経営指導等の研修会を通じ、病院の経営ノウハウの普及に積極的に取り組んでいます。さらに、個別経営診断については、経営分析やガバナンス診断など、経営支援の機能強化の見直しを行っています。この取組により、個別経営診断件数は 353 件となっていて、達成率 126 %でした。施設経営者にとっての有用度については、 96.9 %であり、達成率 121 %となっています。以上のことから、いずれの目標値についても所期の目標を大きく上回るとともに、必要性の高いと考えられる法人の経営分析やガバナンスの強化に重点を置いた事業の見直しを講じていて、質的にも顕著な成果を挙げていると認められます。したがって A と評定しています。以上です。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 続きまして、 20 ページ、社会福祉振興助成事業です。自己評定を B としております。具体的には 21 ページです。当事業については、平成 26 年度に受けた行政事業レビューによりまして、事業全体の抜本的改善を図ることとされております。そのため以下の取組により、それらの改善を図ったところです。 1 番目、事業内容の見直しとしまして、自治体、民間と重複する対象事業を廃止するとして、福祉活動支援事業については廃止しております。更に、固定化回避の強化としまして、 5 年間に 2 度以上の助成を受けた団体については、審査時点で減点を強化するなどの対応をしております。 2 番目、事務費の見直しでは、 e- ラーニングの活用によって事務担当者説明会を効率化したり、事務効率化による職員数の削減を行っております。 3 番目として、事業成果の把握方法の見直しで、制度化、モデル化された事業の成果を把握するため、フォローアップ調査項目を充実させています。

 また、数値目標については、最下段に書いてありますが、計画は達成しているものの、いずれも 120 %以上をクリアしておりません。また、行政事業レビューでの指摘、特に事務費の削減については未だ道半ばであることから、今回は B 評定としています。以上でございます。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続きまして、厚生労働省の評価です。評定は B としております。当事業については、利用者の利便性の向上あるいは審査の客観性、透明性の確保に努めております。また、自己評価において重層的な総合評価を行い、助成事業の助成対象テーマの見直しに反映するなどの努力もしております。こうした取組によりまして、平成 26 年度の助成事業分については、 94.1 %から、助成事業を通じて、新たに他団体、関係機関等との連携等の効果があったとの回答を得られています。また、エンドユーザーを対象とした満足度調査においても、 94.9 %の利用者から、満足したとの回答を得られております。

 以上のことから、透明性が高い公正な助成を実施しているとともに、所期の目標を達成していることから B と評価しております。以上でございます。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 次に 22 ページ、 1-6 「退職手当共済事業」です。こちらは自己評定 A としております。まず、重要度です。日本再興戦略改定 2014 において、保育士確保対策の着実な実施や福祉分野における人材確保対策の推進が挙げられておりますが、退職手当共済制度については、職員処遇の改善と福祉人材の確保を図る重要な施策であり、本事業は同制度の実施主体として行う事業であり、重要度は高いものと考えております。

 評定理由ですが、退職手当金支給に係る平均処理期間など、数値目標については達成率で 131 %となっていること、また、退職共済制度や事務手続の周知を目的に実施している実務研修会を e- ラーニング形式に見直すことにより、共済契約者だけでなく請求者に対する研修ができるようになるとともに、機構の事務負担及び経費についても削減できたこと、更に、電子届出システムの利用率を上げることによって、エラー発生率を 0.27 %と大幅に抑制することができまして、共済契約者や機構の事務負担の軽減に大きく寄与することができたと考えており、これらのことから A 評定としております。

23 ページです。記載のとおり、これまでに、事務処理期間の短縮に関する様々な取組を実施していますが、平成 26 年度は更に、退職届に係る電子届出システムの利用促進に係る周知を図っており、その結果、平均処理期間は 38.1 日と、中期計画を達成するとともに、達成率 131 %となっています。

24 ページです。電子届出化の取組としまして、利用者アンケートに基づき、操作マニュアルの電子化などにより、お客様の事務負担軽減に取り組んでおりまして、結果、 94.1 %の共済契約者から「事務負担が軽減された」との回答を受けています。また、数値目標である新規加入法人の利用申請ですが、こちらも 64 %と、達成率 128 %となっています。

25 ページです。利用者への制度内容等の周知として、実務研修会を e- ラーニングに見直しました。また、マニュアルや FAQ をホームページ上に公表するなど、利用者サービスの向上を図るとともに、都道府県社会福祉協議会等に委託している一部業務についても委託内容を見直して、平成 27 1 月、全委託先と変更契約を締結し終わっています。更に、 e- ラーニングに見直したことによって経費削減や事務の合理化が実現されました。これらのことから A 評定と考えております。退職手当共済事業は以上でございます。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続きまして、厚生労働省の評価です。まず資料 1-6 40 ページですが、退職手当共済事業については、福祉サービスの安定的かつ効率的な提供体制を構築することが喫緊の課題となっておりまして、その際、その担い手である福祉人材の確保が必要です。日本再興戦略改定 2014 においても、保育士確保対策の着実な実施や福祉分野における人材確保策の推進が挙げられております。社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、社会福祉法人の職員処遇の改善と福祉人材の確保に資する重要な施策でして、本事業は重要度が高いものと考えております。従いまして、重要度を「高」としております。

41 ページ以下ですが、評価は A としております。理由ですが、当該事業については、まず利用者サービスの向上を図る観点から、退職手当支給に係る平均処理期間の短縮を図るため、従来から行っている取組に加えて、電子届出システムの利用推進などの事務改善に取り組んでおります。その結果、支給者数が増加している中で、請求書の受付から給付までの平均処理期間が 38.1 日、目標達成率 131 %となっております。また、電子届出システムの利用申請率も 64 %、達成率 128 %と、いずれも中期計画に定めた目標を大きく上回っており、高く評価できます。また、電子届出システムの利用者アンケートを踏まえまして、システム改善を行い、利用者の 94.1 %から、事務負担が軽減したとの回答を得ております。以上のことから、業務の効率化を図るため、電子届出システムの利用促進に積極的に取り組んでおり、前年度の 55 %から 64 %に申請率が上がっており、所期の目標を上回る成果を挙げていると認められることから A と評価しております。以上でございます。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 続きまして、 26 ページ、「心身障害者扶養保険事業」です。こちらについては自己評定 B としております。具体的には 27 ページです。私どもがお預かりしているのは障害者の方の年金資産ですが、より確実な運用を行うため、基本ポートフォリオに基づいてパッシブ運用を行っております。平成 27 年度からはより効率的な資産運用を行うため、専門家の意見をいただいた上で基本ポートフォリオの見直しを実施しています。

 各資産の対ベンチマーク収益率との差ですが、平成 26 年度の運用環境においても平成 25 年度と同様、内外の株式市場などの運用環境が好調に推移したことを受けて、ベンチマーク収益率はおおむね確保されています。その結果、資産全体では 8.39 %の利回りを確保し、繰越欠損金についても 43 億円減少できました。しかしながら、未だ 29 億円の繰越欠損金が残っている赤字の状況です。そのため、こちらの事業については B 評定としております。心身障害者扶養保険事業については以上でございます。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続きまして、厚生労働省の評価です。心身障害者扶養保険事業ですが、この事業については評定を B としております。心身障害者扶養保険事業については、平成 26 年度の運用実績は、おおむね資産ごとのベンチマーク収益率が確保されております。資産全体で年 8.39 %の運用利回りが得られております。このことは、厚生労働大臣が指示する運用利回り、年 2.80 %ですが、この利回り以上の運用実績が挙げられ、資金の安全かつ効率的な運用に取り組んだ結果であり、所期の目標を達成していると評価できることから B と評価しております。以上です。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 続きまして、 28 ページ、 1-8 、「福祉保健医療情報サービス事業」、 WAMNET 事業です。こちらは自己評定 A としております。評定理由ですが、「福祉のしごとガイド・職場編」、「ケアマネジャーのしごとガイド」など、様々なコンテンツを新たに開設したことや、「被災福祉施設復興事例紹介」によりまして、被災した社会福祉施設等の復興事例や今後の課題等を情報提供するなど、きめ細かく被災地支援を実施できたこと、更には、 WAMNET 基盤を活用して、診療報酬改定等の影響に関するアンケートを実施するなど、基盤の積極的活用に向けた取組を実施していることから A 評価としております。

29 ページです。「事務・事業の見直しの基本方針」の閣議決定を受けて、提供情報の重点化を図っておりますが、平成 26 年度におきましては、福祉に関する仕事の概要を主な職場ごとに紹介した「福祉のしごとガイド・職場編」や、資格取得ルートや具体的な業務、高齢者に多い疾患の基礎知識などケアマネジャーの業務に役立つ情報を掲載した「ケアマネジャーのしごとガイド」、更には「 WAMNET 授産品・芸術品ギャラリー」として、障害者団体の御協力をいただきながら、事業所の製品、芸術作品等を掲載できる機能を追加するなど、様々なコンテンツを開発し、それらによる情報発信を行っております。

30 ページです。私どもがアンケート調査等の結果から得られた、利用者ニーズへの的確な対応として、平成 25 年度は 1 つのコンテンツとして、実験的に配信できるかどうか試行する WAMNET ラボの開設や、ホームページの新着情報をまとめた RSS の配信を開始しておりますが、平成 26 年度は更に、介護の最新情報などを、自動掲載する公式 Twitter の開設やスマートホンサイトのリニューアル、更には「目的別」タブの掲載情報の見直しなどを行って、利用者の利便性の向上を図っています。その結果として、ヒット件数は 8,768 万件で、計画に対して 125 %の達成度となり、満足度も 94.5 %と高い水準となっております。

31 ページです。 WAMNET 基盤の活用に関しましては、被災福祉施設等事業再建報告ということで、再建に向けた取組を紹介して、再建途上の法人の参考となるような情報発信、各種電子届出システムやアンケート調査、更にはメールマガジンの発信など、 WAM の実施する各事業やお客様の知りたい情報の発信など、様々の分野に活用できていることから A 評定としております。 WAMNET 事業については以上でございます。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続きまして、厚生労働省の評価です。 WAMNET 事業については A 評定としております。当該事業については、平成 26 年度において福祉人材の確保が喫緊の課題となっていることを踏まえて、「福祉のしごとガイド」や「ケアマネジャーのしごとガイド」を掲載する取組をしております。また、東日本大震災で被災した社会福祉施設等の復興事例を紹介するなどの取組も行っております。

 利用者の利便性の向上の観点から、メールマガジンの改善、 Twitter の開設やスマートホンサイトのリニューアル等を行っている、こうした取組によりまして、年間のヒット件数が 1,180 万件増の 8,768 万件に達しており、目標を大きく上回っております。また、利用者満足度も 94.5 %と高い実績を挙げております。更に、 WAMNET 基盤を活用しまして、平成 26 年度の診療報酬改定等の影響に関するアンケートを実施するなどの取組を行い、福祉保健医療施策の効率的な実施に向けた対応を行っていることも高く評価できます。以上のことから、所期の目標を達成するとともに、サービスの質の向上により、年間ヒット件数が 1,180 万件増加、対前年度比で 115.6 %という大幅な増加をするなど、顕著な成果を挙げていることから A と評価しております。以上です。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 続きまして、 32 ページ、「年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業」です。自己評定は A としております。評定理由です。国におきまして、平成 25 3 月に策定した「年金担保貸付事業廃止計画」に基づいて、事業規模の縮減を図ることとなっておりますが、平成 26 12 月、廃止計画に基づいて事業規模の縮減を図るための制度改正を実施しました。その結果、平成 26 年度予算額に対して▲ 25 %の縮減を図ることができ、達成率としては 133 %となっています。また、制度改正に係る受託金融機関との調整に当たりましては、 7 月から 8 月に前倒しで受託金融機関事務説明会を全国 7 か所で開催した結果、円滑に制度移行ができました。更に、制度周知に当たりましては、他の公的貸付制度の周知を含めて幅広く広報活動を実施し、利用者サービスの向上も図ったことから A 評定としています。

 具体的には、 33 ページです。年金担保貸付事業については、平成 26 年度は 13 5,000 件、 921 億円で、対前年度▲ 25 %、残高においても 33 万件の 1,260 億円と、▲ 15 %の縮減を図っています。また、労災担保貸付事業についても、 2,175 件の 23 億円と、対前年度比▲ 15 %、残高についても 4,988 件の 30 億円で、国の方針に基づいて着実に規模の縮小に取り組み、その成果を挙げています。

34 ページです。平成 22 年の閣議決定を受けて、無理のない返済となるよう制度変更を行っておりまして、平成 23 12 月に引き続き、平成 26 年度においても制度改正を実施しております。融資限度額の引下げや返済額の上限設定の見直しを実施しまして、更には、返済困難に陥った方々に対しては返済条件の緩和措置を行い、 1,078 件の方々に、より無理なく返済いただけるよう条件緩和を実施しております。また、貸付制度の周知としまして、パンフレット等を作成して、福祉関係、司法関係、消費者関係の団体への周知を行っており、その中で多重債務者に対する専門相談機関への相談の勧奨、相談先等をお知らせしています。更には、電話相談については自動応答システムを導入して、 24 時間 365 日の案内を可能とするなど、利用者サービスの向上にも努めております。

35 ページです。貸付利率の検証については年 3 回実施しております。中期目標期間 5 年間で損益が均衡するよう設定しており、また、なるべく低利でお借りいただけるよう、常に金利検証を行っておりまして、年金担保については 1.8 %、労災年金担保についても 1.1 %と、適正な金利体系を維持しています。これらのことから、年金担保貸付事業については A 評定と考えております。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続きまして、厚生労働省の評価です。年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業については、評定を A としております。当該事業における法人の自己評価は、これは独立行政法人の評価に関する指針に促して記載されている、質が高く、評価の視点に促し、業務実績を具体的に記述すると、十分な説明責任が果たされており、正当であると確認しております。なお、年金担保貸付事業廃止計画に基づく事業規模縮減を図り、年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業の貸付金額において、平成 27 年度から平成 25 年度の対前年度削減率の平均が 12.7 %ですが、平成 26 年度の対前年度削減率が 25.3 %となっておりまして、これを比較すると 199 %の削減率となっております。定量的にも過去を上回る取組が認められることから A と評価しております。以上です。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 最後に 36 ページ、 1-10 「承継年金住宅融資等債権管理回収業務」についてです。こちらは自己評定 B としております。具体的には、 37 ページです。こちらの事業は、平成 18 年度の業務承継以降、回収のみを行っている事業です。承継当初 3 7,330 億円の残高がありましたが、その後、適切に回収して、これまでに 2 8,000 億円の回収を実施しております。平成 26 年度は初めて 1 兆円の残高を切りました。また、平成 26 年度中に回収した元金と利息 1,818 億円についても平成 27 7 10 日に国庫納付を行い、併せて資本金を減じる処理を行っております。また、適時的確な債権回収ということでは、債務の償還緩和中の貸付先について、余剰金の一部繰上償還により回収を実施したり、返済条件の変更措置などを実施して、適切に債権管理を図っていることから、自己評定を B としております。以上でございます。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続きまして、厚生労働省の評価です。「承継年金住宅融資等債権管理回収業務及び承継教育資金貸付あっせん業務」については、評定は B としております。当該業務における法人の自己評価は、独立行政法人の評価に関する指針として記載されている、質が高く、評価の視点に促し、業務実績を具体的に記述すると、十分な説明責任を果たされており、正当であると確認しております。貸付先の財務状況等の把握、分析や、保証人の保証履行能力の評価等について、中期計画上の目標も達成していることから B と評価しております。以上でございます。

 

○真野主査

 はい、ありがとうございました。これで国民に対して提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する事項の御説明が終わりまして、構成員のほうから御意見、御質問等があればお願いします。

 

○松原構成員

 まず、最初に WAM には福祉医療分野について、発展に御尽力いただきまして、本当に敬意を表したいと思います。今回もいろいろと見させていただいて、イエローゾーン貸付先の取組みというのは、初めて伺ったのではないのかと思うのですが、前からやっていらっしゃるのだと思いますが、非常に柔軟、かつ積極的に対応なさっているというのが、正に政策融資の在り方を忠実に実践なさっていると思いまして、本当に素晴らしいと思います。この貸付の部分に関しましては、 A 評価ですが、限りなく S 評価に近い A 評価だというように理解しております。

 一方で、既存の貸出先への御対応というのは、このイエローゾーン貸付先の対応に代表されますように、組織的に取り組んでいらっしゃるので問題ないと思うのですが、新規の貸出先についてはどのようになさっているのかと思っております。

 特に社会福祉法人を見ますと、その中には余りにも理想経営に走り過ぎて、経営がうまくいっていない事例というのが後を断たないと思っています。

 確かに経営が下手な部分もありますが、医療法人や社会福祉法人は、儲かる儲からないに関わらず、医療や福祉を提供したいと思って考え、行動している貴重な社会資源ですので、当然返済能力のない所に貸し出しできるわけはなくて、そのような金融の原理原則に反することは絶対あってはならないと思いますが、とはいえ、リスク管理債権比率にばかりに目を向けずに、この改善を横目に見据えながら、是非、経営がうまくいっていない法人だけでなく、まだ貸していない法人についても、どのようにしたらもっと改善していけるのかというのを法人とともに考え、経営の改善に努めていただければなと考えております。要望です。

 

○福祉医療機構理事長

 貴重な御意見をありがとうございます。私ども、今の経営の改善という意味では、昨年度、経営サポートセンターを作りまして、そこでセミナーもそうですが、経営診断を行っていくことで、先ほどのよい取組みというお話がありましたイエローゾーン債権についても、この経営サポートセンターと連携して対応し、ひとつステップアップしていくということが重要だと考えております。

 一方、最近の融資額について、特に医療貸付が、今までのように順調に伸びていないのですが、その背景には建築費の高騰、診療報酬改定もあり、そこで様子を見ているという状況だと思われます。私どもでは、より良い商品サービスを作り、さらに作りっぱなしではなく、それをいかにしてニーズ喚起しながら、広めていくかということも、我々の使命であると考えて運営をしているところであります。

 

○真野主査

 他の御意見はいかがでしょうか。

 

○名里構成員

 社会福祉法人を経営している現場の感覚からなのですが、 WAMNET で「福祉のしごとガイド」ですとか、「ケアマネジャーのしごとガイド」などもやっていただいて、本当に現場の感覚として、人材の確保ということが年々厳しくなっているということをひしひしと感じております。本当にいろいろな取組みを福祉医療機構でもやっていただいているということがよく分かって、ありがたいことだと思うのですが、是非、こういう「福祉のしごとガイド」などを見た人が、満足度という形での確認はチェックされていると思うのですが、実際に就職されているのかどうかというところまでは、把握されているのか、それはなかなか難しいとは思うのですが、何か追い駆けていただくような策があったらと思います。

 

( 松原構成員退室 )

 

○福祉医療機構理事 ( 須田 )

 WAMNET の関係については今回、非常に満足度が高くて、過去最高クラスの記録をお蔭さまで達成したところでございます。その達成のために、今おっしゃられたように利用者に対してアンケートを年 1 回実施しているところです。これはコンテンツだけではなくて、見やすさとか分かりやすさといったことを多面的に聞いているところです。ご要望の利用されている方が実際に業務に携わっているかどうかとかまではアンケートに盛り込んでいませんが、いただきました御意見を参考にして、今後アンケートをする際に、検討させていただきたいと思います。貴重な御意見をありがとうございます。

 

○真野主査

 他はいかがでしょうか。

 

○真野主査

 少し誤解があるのかもしれませんが、パワーポイントの 26 ページのこの運用利回りについて、これはちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、かなり良かったように聞こえました。もちろん評価は運用利回りだけではないから、 B 判定なのだと思うのですが、もう少しこの辺りを詳しく御説明いただけますか。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 私どもでは先ほど基盤課長からもお話をいただきましたように、この制度自体は障害者の方々の貴重な年金財源だということもございますので、とにかくパッシブ運用に徹するということがまず基本となっています。したがって、制度設計上は 2.8 %で運用ができれば、この制度自体は上手く回っていくと考えています。ただ、当然のことながら、リーマンショックで株式が下落するとか、アベノミクスで株式が上がるという運用環境によって、各年度で捉えるとマイナスだったりプラスだったりとなるわけですが、基本的にはこの 2.8 %を基準に運用が回れば、今後もこの事業自体は財源を確保できることとなっておりますので、例えば年金積立管理運用独立行政法人は、今般、株式にシフトしたポートフォリオへ変えておられますが、私どもはあくまでもこの事業の運営を貴重な年金財源であるということを踏まえまして、パッシブ運用で、市場と連動した、元本割れをしない運用、長期的に 2.8 %をクリアできるかというところにターゲットを置いて、事業運営をしているところです。平成 26 年度は確かにアベノミクス等がございまして、株式が好調な結果、 8.39 %ということになりましたが、当然、リーマンショックのときのような場合は 0.35 %というような運用もあるので、長い目で見てパッシブ運用により、元本割れのようなリスクを回避しているところです。

 

○真野主査

 単年度では非常に良く見えるけども、ここは評価としては B をお付けになられたということですね。

 

○福祉医療機構総務部企画室企画室長

 結局、市場のことなので、 WAM としてコントロールできないということで、評価に当たっての数値目標としていないというところです。

 

○真野主査

他はいかがでしょうか。よろしいですかね。それでは非常に的確に御説明いただきましたので、少し早めに進んでいますが、次に業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、その他、業務運営に関する重要事項のほうにいきたいと思います。同じ流れで法人及び法人所管課の順にお願いいたします。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 それでは 38 ページです。「業務運営の効率化に関する事項」としまして、 2-1 「業務・システムの効率化と情報化の推進」に関する事項です。自己評定を B としております。具体的には 39 ページです。私どもでは、平成 20 2 月に策定しました「業務・システム最適化計画」に基づきまして、運用保守業務などの適正化に取り組んでおります。例えば、調達仕様書の作成に当たっては、明瞭かつ詳細な要件及びサービスレベルの設定を行うため、 CIO 補佐官の助言を頂きながら調達仕様書を作成して、応札事業者が公平な見積りができるよう配慮しております。実施計画の点検ということでは、「実施計画点検リスト」というものを作成し、その内容がスケジュール等、適正に行われているかどうか点検を行っております。

また、第 3 期中期計画期間における「情報化推進計画」に基づき、貸付総合電算システムや、 WAMNET の改修など、的確に実施しております。これらのことから B 評定としたところです。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続いて、厚生労働省の評価です。評定は B としております。「業務システム最適化計画」に基づき、ホスティングシステム運用保守業務について、複数年契約を導入し、外部委託業務の効率化等を目的として、実施計画書点検リストを活用するなど、作業の効率化と経費の節減に取り組んでいることが評価できます。また、「情報化推進計画」に基づいてシステムの改修を行い、業務システムの効率化に取り組んでいることも評価できます。

 さらに、情報管理担当部署の専門性向上のために、外部研修や CIO 補佐官による IT 人材育成のための研修を行い、平成 26 年度よりキャリア・パスの整備の一環として、 IT に係る専門職コースを新設しております。職員の IT リテラシーの向上を図るため、 CIO 補佐官による職員研修を実施するなど、様々な取組を積極的に行い、 IT に関する技術の向上に取り組んでいることが評価できます。以上のことから、所期の目標を達成していると評価しまして B 評価としております。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 続いて 40 ページ、 2-2 「経費の節減」に関することです。こちらは自己評定 A としております。まず評定理由です。一般管理費等の節減については、大幅に削減を図っており、その中でもお客様サービスを損なうことなく、業務方法等の改善により、既定経費の節減等を実現したところです。特に業務経費においては、 WAMNET の稼動環境にクラウドを導入することにより、運用保守経費を大幅に削減できました。

 また、随意契約の適性化については、「随意契約等見直し計画」に基づき、着実に実施していること。さらに、給与水準については、初めてラスパイレス指数が 100 ポイントとなったことから、適正な水準を達成しているということで、 A 評定としております。

 具体的には 41 ページです。一般管理費については、目標額 2 1,900 万円に対して 2 300 万円と▲ 12.5 %、業務経費についても、 10 3,400 万円のところ 6 1,100 万円と、大幅に削減を図ったところです。

42 ページです。随意契約については、右下にありますように、真にやむを得なく随意契約となったものを除いて、全て一般競争入札に移行しております。平成 26 年度は 7 件、 3 8,500 万円と、見直し計画を若干金額は上回っております。こちらの原因ですが、私どもでは、より経費削減を実現するため、複数年契約に取り組んでおります。単年では経費節減ができているのですが、契約額としては複数年分が初年度に計上されるということで金額が上回った形になっております。しかしながら、実際に毎年の経費においては、かなり削減ができているという状況です。

43 ページです。給与水準については、平成 26 年度に初めてラスパイレス指数 100 ポイントを実現しました。右下にありますとおり、例えば 55 歳を超える職員について、役職手当について国を上回る引き下げを実施しております。また、全職員について、特別都市手当についても機構独自に据置きを実施しております。更に、平成 26 年度は参事制度を見直し、副参事制度を新たに導入しました。これら WAM 独自の取組により、今般、 100 ポイントを達成したところで、これらをもって A 評定としているところです。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 続いて厚生労働省の評価です。評定は A としております。まず、一般管理費等の節減については、具体的な削減対象経費をリストアップして削減に努力しております。平成 25 年度からクラウドの導入等により大幅に経費を削減していますが、更に平成 26 年度においても、本部事務所の賃料の削減や会計監査人に関する一般競争入札の実施等による削減等により、前年度決算額と比較して、年間 4,369 万円の経費の削減を行っております。この結果、平成 26 年度において、年度計画の目標を大幅に上回る一般管理費、業務経費の削減を行っており、一般管理費で 12.5 %、業務経費で 42.1 %の削減を達成していることは高く評価できます。

 また、随意契約の適正化についてですが、これも「随意契約等見直し計画」に基づいて取り組んでおり、競争性のない随意契約については、平成 20 年度において 22 件、 24.8 億円であったところが、平成 26 年度においては 7 件、 3.9 億円にまで減少しております。更に福祉医療機構の給与水準については、機構独自の人件費削減を行っており、平成 26 年度における年齢、地域、学歴差を勘案したラスパイレス指数が 100 %に達しております。

 以上のことから、所期の目標を上回る実績を挙げていることから A と評価しております。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

44 ページ、 3-1 「財務内容の改善に関する事項」です。こちらは自己評定 B としております。具体的には 45 ページです。当期損益の状況ですが、平成 26 年度は一般勘定以外全て黒字となっている状況です。また、一般勘定の赤字についても、東日本大震災の無利子貸付等の逆ざや部分を、あらかじめ政府出資金として 142 億円手当されておりますので、実質的な問題はないと考えております。

 また、運営費交付金以外の収入の確保等ですが、自己収入についても、予算額を上回る収入を挙げており、達成率平均は 189 %となっております。さらに、保有資産の見直しについても、徐々にではありますが、適切に国庫返納を進めております。平成 26 年度は、労担政府出資金について、会計検査院による意見表示への対応として 14.3 億円の資金を国庫納付しまして、当該政府出資金の規模を縮減したところです。また、職員宿舎についても、売却が完了しました用賀、玉川宿舎については、平成 27 年度中に国庫納付を予定しております。これら着実に取り組んでいるということで B 評定とさせていただいております。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 厚生労働省の評価です。評定は B としております。平成 26 年度において一般勘定で当期損失が計上されておりますが、これは先ほど法人からも説明がありましたとおり、東日本大震災に係る復旧・復興のための優遇措置等に伴う逆ざやの発生等によるものです。政府としましては、東日本大震災の復旧・復興に係る優遇融資を支援するため、機構の財政基盤を強化することを目的として、政府出資金を平成 23 年度に交付しており、問題はないと考えております。

 運営費交付金以外の自己収入ですが、福祉医療経営指導事業や福祉保健医療情報サービス事業において安定的に自己収入を確保していることは高く評価できます。また、機構債についてですが、 IR を積極的に実施するなどの取組を進めております。保有資産の見直しについては、宿舎の不動産売買契約の締結、土地の境界確定手続などを進めており、適切な実施が行われているものと認められます。以上のことから、所期の目標を達成していると評価できることから、 B と評価しております。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

46 ページです。4「その他の事項」の 4-1 「効率的かつ効果的な業務運営体制の整備」です。こちらは自己評定 B としております。具体的には 47 ページです。業務運営体制の継続的な見直しということで、福祉貸付部と医療貸付部を統合しました。昨今の医療、介護、福祉の実施主体の垣根が低くなっていることも受け、当機構においても福祉事業、医療事業を同時に御利用いただくお客様に対してワンストップで対応できるよう統合を図ったところです。

 また、金融庁検査導入ということを踏まえて、検査マニュアルで求められている自己査定体制の高度化を図るため、信用リスク管理部門の拡充を図るなど、組織について不断の見直しを行っております。

また、トップマネジメントを発揮するため、経営企画会議を月 2 回開催しております。その中では、年度進発の理事長示達や、全役員による各担当業務の重点目標の指示、更には、年度計画の策定や業務実績評価の検証など、 QMS に基づき、定期的な業務の進捗状況やプロセス監視を実施しております。

 さらに、役員連絡会を毎週開催して、組織内での情報の共有化、問題意識の統一を徹底すること。これらモニタリングを通じて、組織横断的な議論の実施、組織全体での問題意識の共有などを図る仕組みを構築しております。これらのことから B 評定とさせていただいております。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 厚生労働省の評価です。評定は B としております。まず、トップマネジメント機能を補佐するために、理事長が主宰する経営企画会議を 21 回開催しております。理事長をはじめ、各全役員から重点目標の指示などを行っているほか、品質マネジメントシステムに基づく定期的な業務の進捗状況及びプロセスの監視を行うなど、理事長の意向が組織運営に反映される環境整備が推進されております。

 また、業務運営体制についてですが、社会福祉施設等に対する経営サポート業務の更なる充実・拡充、あるいは信用リスク管理部門の拡充などを図るための組織体制を準備し、平成 27 4 月から施行しております。また、関係部署の連携についてですが、 WAMNET の基盤を活用したアンケートの実施や分析レポートの公表など、部署や業務間の連携の強化が図られております。以上のことから、所期の目標を達成していると評価できると考えられ、 B と評価しております。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

48 ページの 4-2 「業務管理 ( リスク管理 ) の充実」です。自己評定 B としております。具体的には 49 ページです。内部統制の更なる充実への取組として、私どもは「リスク対応計画」について全面改訂をし、金融検査マニュアル全項目に対応する年度計画及び実績評価を策定するとともに、認識された課題解決のための改善活動を実施しております。また、リスクベースアプローチによる内部監査、システムリスク外部監査をそれぞれ実施しており、更には事務リスクに係る自課検査の実施、コンプライアンスプログラムによる研修など、ガバナンスの強化に取り組んでおります。これらをモニタリングする仕組みとしては、ガバナンス委員会を 18 回開催しまして、この新ガバナンス体制を本格運用したことにより、内部統制の充実・強化を図っているところです。

 また、情報セキュリティ対策としては、メールの誤開封・誤送信防止機能を導入したり、標的型攻撃メールの対処訓練を実施するなど、セキュリティ対策にも万全を期しているところです。さらに、業務改善活動の活性化ということでは、理事長による新任幹部職員等との意見交換、あるいは育児休業取得者の職場復帰支援ということで、経験者との懇親会を開催するということで、改善活動にも取り組んでおります。これらの取組により B 評定としております。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 厚生労働省の評価です。評定は B としております。平成 26 年度からガバナンスの更なる高度化に対しての積極的な取組を新しく講じている面が特に評価できます。まず、ガバナンス委員会を開催し、機構におけるリスク管理上のモニタリング等を行うとともに、法令等の遵守に関する規程等の各種ガバナンス関係規程の見直しを行っております。また、リスクベースアプローチに基づく内部監査を実施するなど、ガバナンス体制の高度化を図っていることが認められます。

 情報セキュリティ対策については、技術的対策と人的対策それぞれ取り組んでおります。人的対策については、情報セキュリティ研修等を実施するとともに、標的型攻撃メールに対する訓練や情報セキュリティに係る自己点検を実施するなど、対策の強化を図っております。

 また、業務の効率化、顧客サービス及び職場環境の向上を図るため、理事長自らが平成 26 年度に昇任した職員や新任幹部職員との面談を実施するなどの取組を行っております。以上のことから、ガバナンスの更なる高度化を推進するとともに、業務改善の推進に努めており、所期の目標を達成していると評価できることから B と評価しております。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 最後に 50 ページです。 4-3 「人事に関する事項」です。こちらも自己評定 B としております。具体的には 51 ページです。「職員の人事に関する計画」においては、平成 16 年度に人事評価制度を本格導入して以降、着実に取り組んでいるところです。その結果としまして、個人目標の明確化による職員の意識改革と業務管理の向上が図られております。また、人事に係る指標ということで、中期計画の期初の 100 %以内、 299 名という目標に対して、実績は 259 名と計画達成をしております。これらのことから B 評定とさせていただいております。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 厚生労働省の評価です。評定は B としております。これは、従来から実施している管理職の参事制度について、対象年齢を引き下げるとともに、新たに課長代理職についても副参事制度を導入し、組織の活性化を図っております。人事評価制度の運用については、引き続き評価結果を昇給、賞与等に反映させ、適正に運用されております。

 人材の育成についてですが、平成 26 年度より新たに、入社から数年を経過した係員層を対象とした基礎知識を習得するための基礎研修を実施しております。さらに、人員に関する指標ですが、平成 26 年度末の常勤職員数は 259 人となっており、中期計画を達成しております。以上のことから、所期の目標を達成していると評価され、 B と評価しております。

 

○真野主査

 以上の御説明に基づいて、何か御意見、御質問等あればお願いします。特によろしいでしょうか。

 具体的な話ではないのですが、これで全体の評価がほぼ終わるということなのですが、自己評価で S が付いていないのでこのような結果になっているのだと思います。非常に、全体の取組としてかなり頑張られていると思うのですが、松原委員などは常に言っていると思うのですが、自己評価がこういうことなので、今回より、特に S 評価はなかなか付けにくいということもあり、主務大臣評価もこの程度になるということなのですか。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 福祉医療機構の取組は、ただいま厚生労働省の評価で御説明しましたとおり、大変、取組が進んでおり、高い評価をしております。一方、独立行政法人の評価については、今年度から新たな仕組みとなっていまして、その一応の基準が、基本的には定量的な目標のあるものを中心に高い評価をするということです。もちろん、あらかじめ目標を設定していないものでも、定量的あるいは定性的に顕著な効果を挙げているものについても評価をするという基準になっていまして、これに従って評価をしたところ、このような結果になったということです。

 

○真野主査

 ありがとうございました。ちょっと感想めいたことを言いましたが、他はよろしいですか。

 かなり早いペースで進んでおりますが、次に、法人の監事から、業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や、今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いいたします。最初に事務局から法人の監事及び監査報告について説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 法人の監事については、法人の適切な業務運営の確保等に資する責務を負っております。このため、本日は監事が、監査等において把握した業務の運営状況について、直接意見を聴取する機会を設け、主務大臣による評価に資するよう、通則法に基づき作成される監査報告について御説明いただくとともに、コメントを頂くこととしております。それでは、よろしくお願いいたします。

 

○福祉医療機構監事

 福祉医療機構の太田でございます。当機構では、私ともう 1 名、丸田という非常勤の監事の 2 名で協力して監査を実施しております。 2 人とも民間金融機関出身の、社外監事という位置付けです。

 それでは、平成 26 事業年度の監査結果について、資料 1-4 の監査報告に沿って御説明いたします。監査報告については、厚生労働省令で定められた記載事項に準拠し、総務省行政管理局から発出された記載例を参考にして作成しております。まず、大きな 1 で、監査の方法及びその内容を記載しておりますが、我々監事は、役員会、経営企画会議、ガバナンス委員会、役員連絡会等の重要な会議に加えて、審査会、情報システム委員会等、大半の委員会にオブザーバーとして出席して積極的に意見を述べております。また、重要な決裁書類関係の回付を組織内でルール化しまして、担当部署からも説明を受けて、当機構の意思決定過程及び業務執行の監視及びモニタリングを日常的に行っております。

 監査結果については、 2 で、法令等遵守及び中期目標達成に向けた取組状況をはじめ、内部統制システムの整備状況等の監査事項 5 項目について、監事意見を記載しております。 3 では、給与水準や保有資産の見直しの状況など、過去の閣議決定で定められた監査事項 4 項目について監事の意見を記載しております。記載のとおり、平成 26 事業年度の業務監査と会計監査において、重大な事項、問題点等は発見されておりません。総じて業務執行は適正に実施されていると認めております。

 次に、当機構の業務運営の状況について、監事としての意見を申し上げます。先ほども説明がありましたが、各事業の業務執行の状況と目標の管理面については、経営企画会議と役員連絡会を核とするマネジメント体制が有効に機能しております。また、コンプライアンス・リスク管理面も、金融検査マニュアルに沿った管理体制を整備して、平成 26 年度から運用を開始しているなど、当機構の業務運営全般における内部統制レベルは、独立行政法人の中では非常に高い水準にあるものと評価しております。

 最後になりますが、課題と言えるかどうか分かりませんが、コンプライアンス・リスク管理に関して、当機構は民間銀行等と比較して、ヒト・モノ・カネの制約が非常に多いため、金融検査マニュアルどおりの管理体制の整備は非常に難しい状況にあります。私の金融庁検査の経験からしますと、もう少し高いレベルのリスク管理を求められるのではないかという懸念は残っております。

 しかしながら、組織体制を含め、一朝一夕で対処できる問題でもありませんので、金融庁に対しても、先ほど説明があったような当機構の今までの取組や、機構の特性等を説明できる準備をしっかりと行っておくことが重要だと考えております。以上、監査報告と、業務運営状況についての監事意見とさせていただきます。ありがとうございました。

 

○真野主査

 ありがとうございました。続いて、理事長のほうから、日々のマネジメントを踏まえて、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントを頂ければと思います。

 

○福祉医療機構理事長

 福祉医療機構理事長の長野でございます。本日は平成 26 年度の業務実績について、大変貴重な御意見、御助言を頂きましてありがとうございます。業務の実績については、これまで説明させていただきましたとおりですが、特徴を私から一つ申し上げますと、福祉医療貸付の期末残高が、平成 26 年度は 10 年ぶりに過去最高額を更新しまして、 3 5,000 億円弱となったところです。この実績を見まして、私どもは地域の福祉と医療の基盤整備のお役に立っているのではないかと実感しているところです。

 それでは、私から当機構の経営理念と業務運営の状況等について御説明いたします。私は、第 2 期中期計画の初年度の平成 20 4 月に民間企業から理事長に就任しましたが、機構の目指すべき方向性を明確にしたいということで、役職員全員が共有した上で業務運営を行うことができるよう、経営理念の策定を指示いたしました。全役職員の意見を踏まえた上で、平成 20 10 月において、機構の経営理念となる「民間活動応援宣言」を制定しました。業務運営に当たっては、私自身が理事長就任以来掲げてきました「お客様目線」と「健全性」という 2 つの物差しを常に念頭に置いて、福祉と医療の民間活動を積極的に応援していくという姿勢で取り組んでまいりました。

 また、本年は、職員に向けて、役員も職員も一体となって WAM を変えていこうという思いで、「変えるのは私たち」と呼び掛けているところです。これらの取組により、第 2 期中期目標期間においては、当初の目標を上回る実績を挙げることができました。また、現在の第 3 期中期目標期間においても順調に業務を遂行しているところです。

 今後の課題としましては、平成 25 12 月に閣議決定された「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」において、当機構は、金融業務に係るガバナンスの高度化を図るとともに、福祉貸付事業及び医療貸付事業について、金融庁検査を導入するとされております。これに対して万全の状態で金融庁検査に臨むことにあります。金融庁検査は、機構法が改正され、本年 10 月より導入されることとなっていますが、私ども福祉医療機構は、平成 24 年度から取組を開始しており、平成 26 年度は、先ほども説明がありましたが、新たにガバナンス委員会を設置の上、金融検査マニュアルに基づき、リスクカテゴリー別のリスク管理を行うとともに、リスク管理上のモニタリングを実施しております。現在はガバナンス体制の運用状況の検証を踏まえつつ、関連規程等の見直しを行い、 WAM の総力を挙げて、金融庁検査に対応できるよう備えているところです。私からは以上です。

 

○真野主査

 それでは、今の 2 つのお話について御意見、御質問等あればお願いします。

 私のほうから監事の方に、リスク管理について、人員配置も含め、まだまだみたいなお話があったと思います。債権のリスク管理に関しては非常に一生懸命されていると思うのですが、言われたリスク管理というのは、何か内部の体制のことなのでしょうか。

 

○福祉医療機構監事

 銀行に対して金融庁が求めている体制は、独立行政法人と違いまして、管理部門に相当人員を割ける組織も作りなさいというような指示を前々からしており、各銀行はそのマニュアルに沿った体制を整えておりますが、当機構については、それほどの人員もおりません。あとは、先ほども自己査定の問題もありましたが、銀行ほどの人力などがないということと、それをサポートするシステム的な整備もなかなか難しいということの中で、先ほど説明しましたとおり、当機構としてはその中で相当高いレベルまで来ているものの、銀行と同じような管理を求められれば、まだ不足しているという意味合いです。

 ただ、先ほども申し上げましたように、リスクのレベルというものは、銀行と貸付先も違うので、監事としては、その辺りを説明すれば納得してもらえるのではないかと考えているということです。

 

○真野主査

 他の独立行政法人で、金融業務をやられている所もあると思うのです。厚生労働省管轄ではないかもしれませんが。そういう所でも同じような問題があるということなのでしょうか。

 

○福祉医療機構監事

 独立行政法人では、今回、中小企業基盤整備機構などが入っていますが、もともとは日本政策金融公庫や、沖縄振興開発金融公庫などが検査を受けています。日本政策金融公庫等は相当数人数もおりますし、組織も大きいので、ある程度は対応できているということとは思います。ただ、そのレベル感というものは、貸付先のリスクの度合が違っていまして、当機構は幸いなことに、一般的には非常にリスクが低い医療と福祉に限っていますので、そういった意味では体制面は、納得がいく説明ができると考えているということです。

 

○真野主査

 ありがとうございました。他はどうでしょうか。

 

○五十嵐構成員

 金融庁検査ということで、医療、福祉それぞれ収入の財源を自分たちで価格コントロールができないという特殊な状況の中で事業をやっているわけですので、その全体の報酬のレベルが下がれば、当然、全体の収益性も落ちるわけです。その中で、収益性が落ちて、リスクも高くなったので金利を上げないというのはおかしいのではないかというような議論をされたら、これは更におかしな話になってしまいますので、是非、金融庁検査について、医療、福祉の特殊性というのは社会的なという意味ではなくて、事業的な特殊性のところを強調して、是非頑張っていただきたいと思います。

 もう 1 点です。社会福祉法と医療法の改正で、今、国会に上がっているわけですが、ガバナンスの強化ということで、いろいろな理事や監事、評議員も含めて、役割というか責任は重くなるので、その辺りは形を作っても、中身の人材の育成ができないと、社会的にしっかりしたものになりませんので、今後、是非その辺りの人材の育成という面も含めて、何かお考えになっていただけると有り難いと思います。

 

○真野主査

 ありがとうございました。五十嵐先生の御意見に何かコメントなどはよろしいですか。

 

○福祉医療機構理事長

 五十嵐先生、貴重なご意見をいただきありがとうございました。私どもも金融庁の検査に当たっては、是非、金融庁には私どもの事業の特殊性を御理解いただけるよう、十分な説明を尽くしてまいりたい所存です。

 社会福祉法人や医療法人、我々もですが、ガバナンスの強化ということが求められているわけで、社会福祉法人や医療法人のガバナンス強化に向けて、私どもも、セミナーや、経営サポート等で、是非、御支援をさせていただきたいと考えております。

 

○真野主査

 ありがとうございました。他の先生もよろしいですか。それでは最後に、これまでの項目別の評定についての議論を踏まえまして、さらに、今の法人の監事及び理事長の御発言を踏まえて、法人全体の状況について評価する総合評定の議論に移ります。法人所管課から、総合評定について説明をお願いします。 

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 全体の評定についてです。先ほど主査からも御意見を頂きましたが、福祉医療機構について、全体的に中期計画等の目標を上回り、あるいは、達成している上に、ガバナンスの強化や利用者サービスの向上、業務の効率化、部門間・事業間の連携など、明確な経営理念や経営方針を示した上で、積極的に経営の見直しに取り組んでいることが認められており、高く評価しております。

 その上で、全体の評価ですが、様式 1 2 です。全体の評定は A としております。理由としましては、 16 項目別の評定のうち、 A 8 項目、 B 8 項目であり、さらに、重要度が「高」とされている項目については A の項目のうち 4 項目あります。また、全体の評価を引き下げる事象もないことから、厚生労働省独立行政法人評価実施要領に定める総合評定の評価基準に基づいて算出した結果、 A としております。

 続いて、その下の法人全体に対する評価ですが、これは、福祉貸付事業において貸付契約額及び資金交付額が、過去最高額を更新するなどの中、多くの項目で計画を上回る実績を挙げたことは評価できると考えております。また、重大な業務運営上の課題もなく、全体として順調な運営が行われていると評価しております。以上です。

 

○真野主査

 ただいまの総合評定について御意見、御質問等があればお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、かなり早いのですが、少し早く始めたというのもありまして、本日の議事を一旦終了したいと思います。

 最後に、法人及び法人所管課から一言お願いいたします。

 

○福祉医療機構理事長

 本日は、委員の先生方におかれましては、お忙しい中を御意見、御助言など多々頂きまして、誠にありがとうございます。これからの私ども法人の運営に生かしてまいりたいと考えております。

 また、業務運営に当たりましては、多岐にわたる事業を 1 つの法人で行っていくという強みを生かしまして、当機構の総合力を発揮していくということで、福祉医療機構の存在意議を少しでも高めまして、政策実施機関としての役割を、今後とも十分に果たすよう努めていく所存です。そして、引き続き、小回りの利く福祉医療支援の専門店として、国民の皆様のお役に立つ組織を目指して、役職員一丸となって目標達成に向けて全力を尽くしてまいりたい所存です。

 最後になりますが、委員の先生方におかれましては、私どもの業務運営につきまして、引き続き御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。

 

○社会・援護局福祉基盤課長

 法人所管課から御挨拶申し上げます。本日は、委員の先生方、また、福祉医療機構の皆様におかれましては、長時間にわたり、貴重な御意見、御説明いただきましてありがとうございました。改めて御礼を申し上げます。

 また、本日の有識者会議での御意見、そして、長野理事長、太田監事から頂きましたコメント等を踏まえまして、最終的な評価を決定してまいりたいと考えております。なお、福祉医療機構におかれましては、国民から福祉医療に対するニーズが高まる中で、担う役割がますます重要になっております。引き続き実績を挙げられ、福祉医療の向上に貢献していただきますようお願い申し上げます。ありがとうございました。

 

○真野主査

 ありがとうございました。法人所管課におかれては、構成員の我々から本日申しました意見などを踏まえて、評価書の内容の修正等について御検討いただき、内容の最終的な確定をよろしくお願いいたします

 それでは事務局のほうから、今後の流れについて連絡をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました福祉医療機構の平成 26 年度業務実績評価については、このあと、本 WG における御意見や、法人の監事、理事長のコメント等を踏まえまして、最終的には法人所管課のほうで評価書の修正等を検討し、厚生労働大臣による評価として決定いたします。その内容については、法人に通知をするとともに、公表させていただきます。決定しました内容については、委員の皆様にも後日お送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、本日配布しました資料は、前回と同様に、郵送を御希望される場合には机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。


(了)

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