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2015年7月8日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第1回) 議事録

○日時

平成27年7月8日(水)13:58~16:16


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

今村主査、酒井構成員、志藤構成員、柴田構成員、関口構成員、高田構成員、田宮構成員、中村構成員、宮崎構成員

○議事

(以下、議事録)

○政策評価官

 定刻までまだ少々お時間がございますが、田宮委員を除きまして、皆様揃われておりまして、田宮委員は、10分ほど遅れて到着されるという御連絡を、頂戴いたしましたので、ただいまから第1回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催させていただきます。政策評価官の大地と申します。どうぞよろしくお願いいたします。有識者の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本WGの構成員をお引き受けいただくとともに、お暑い中、本日はお集まりいただきまして本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。今回が初めての開催でございますので、最初に本WGの位置付け等につきまして簡単に御説明をさせていただきたいと存じます。

 昨年6月に、成立いたしました独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行にともないまして、独立法人の業績評価等を、これまで実施してきた各府省の「独立行政法人評価委員会」が廃止されまして、本年度から主務大臣が独立行政法人の業績評価を実施するということとされたところです。また、主務大臣が実施する評価につきましては、改正独法通則法第28条の2の規定に基づき、総務大臣が定める「独立行政法人の評価に関する指針」におきまして、評価の実効性を確保するために必要に応じて外部有識者の知見を活用すること等が示されております。

 これらを踏まえまして、厚生労働省におきましては、所管する中期目標管理法人、11法人ありますが、これらの評価に際し、外部有識者の方々の知見を活用させていただくことを目的として、客観的かつ専門的な立場から助言いただくために「独立行政法人評価に関する有識者会議」の5WGを開催し、有識者の皆様方から御意見を賜ることとしております。

 本日は、第1回目の会合ですので、後ほど事務局から主査をお願いしております今村先生に議事進行をお引き継ぎしたいと存じますが、それまでの間は事務局のほうで議事進行を務めさせていただきます。それでは、本WGの開催に当たりまして、情報政策・政策評価審議官の安藤から一言御挨拶をさせていただきます。

 

○情報政策・政策評価審議官

 情報政策・政策審議官の安藤です。今村先生、酒井先生初め、先生方におかれましては、独法評価委員会に引き続きまして本会議の構成員をお引き受けいただきましてまことにありがとうございます。また、本日は大変お忙し中お集まりをいただきましてまことにありがとうございます。今、評価官のほうから御説明申し上げましたとおり、独法通則法が改正になりまして、今後の独法の評価につきましては、大臣が直接行うということになっています。独法に対する指導監督の実行性を高めるということが趣旨だと存じますが、何を指導監督していくのかという中身につきましては、長年に渡りまして、独法を見ていただきました先生方の御意見をきちっと踏まえて取り組んでまいりたいと存じております。どうか今後とも忌憚なく御議論をいただき、適切な御指導等を賜りたいと存じますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 

○政策評価官

 続きまして、構成員の皆様方を御紹介させていただきます。お手元に配布させていただいております参考資料15ページに構成員名簿を入れさせていただいております。こちらの名簿に沿って五十音順に御紹介させていただきます。

 まず、東洋大学経済学部総合政策学科教授の今村肇様です。本WGの主査を務めていただくことになります。続きまして、明治大学法学部教授の小西康之様ですが、本日は御欠席です。続きまして、公益財団法人労働科学研究所常務理事・所長の酒井一博様です。続きまして、国際長寿センター事務局長の志藤洋子様、三菱UFJリサーチ&コンサルティング()革新創造センター部長の柴田裕子様です。東京経済大学経営学部教授の関口和代様、一橋大学名誉教授の高田一夫様、筑波大学医学医療系教授の田宮菜奈子様です。リクルートワークス研究所主任研究員の戸田淳仁様ですが、本日は御欠席です。日本大学理工学部教授の中村英夫様です。次に、御欠席ですが、名古屋大学総長の松尾清一様にも構成員をお願いしているところです。最後に、公認会計士の宮崎哲様です。以上12名の皆様に、本WGの構成員に御就任いただいております。

 また、本WGでは、労働関係の5法人、具体的には、労働安全衛生総合研究所、労働者健康福祉機構、勤労者退職金共済機構、高齢・障害・求職者雇用支援機構、労働政策研究・研修機構に係る業績評価、すなわち独立行政法人通則法第32条第1項各号に規定される「年度評価」「中期目標期間見込評価」及び「中期目標期間実績評価」について御意見を賜るとともに、これらに関する重要事項についても御意見を聴取させていただくこととしておりますので、よろしくお願いします。なお、本WGで担当していただきます5つの法人の概要につきましては、参考資料4のとおりですので、適宜御参照いただきたく存じます。

 続きまして、本日の議事及び平成27年度以降の中期目標管理法人の評価につきまして、室長補佐の今宮から御説明いたします。

 

○政策評価官室長補佐

 政策評価官室の今宮と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、本日の議事及び平成27年度以降の中期目標管理法人の評価につきまして御説明いたします。

 まず、本日の議事はお手元に配布させていただいております議事次第のとおり、労働安全衛生総合研究所の平成26年度業務実績に係る意見聴取です。参考資料1を御覧ください。先ほど大地より御説明させていただいたとおり、改正独立行政法人通則法の施行に伴い、本年度より主務大臣が法人の評価を実施することとされております。厚生労働省におきましては、所管する中期目標管理法人(11法人)の評価に際しまして、外部有識者からの意見聴取を行うこととしております。本WGにおきましては、本年度担当する5法人の「平成26年度業績評価」いわゆる「年度評価」と、本年度が中期目標期間の最終年度に該当します労働安全衛生総合研究所の「中期目標期間見込評価」について御意見を賜ることとしており、このうち本日は、労働安全衛生総合研究所の年度評価につきまして御意見を賜ることとしております。

 なお、本日御意見を賜る「労働安全衛生総合研究所」につきましては、本年の4月に成立いたしました「独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律」の施行に伴い、来年の4月に「労働者健康福祉機構」と統合し、「労働者健康安全機構」となることが予定されております。このため本日は、まず、2法人の統合内容を御説明させていただいた後、引き続き、労働安全衛生総合研究所の平成26年度業務実績評価について御議論いただくこととしております。

 続きまして、平成27年度以降の中期目標管理法人の評価につきまして御説明いたします。参考資料2、ポンチ絵を数枚資料としてお配りしておりますが、そちらを御覧ください。資料の1枚目になりますが、これまでの独立行政法人の評価と平成27年度以降の独立行政法人の評価を対比する形で整理しております。

 最初に、「評価主体・評価の体制等について」です。改正通則法の施行に伴い、法人の業績評価につきましては主務大臣が実施し、決定することとされ、厚生労働省においては、評価に際して外部有識者の知見を活用し、通則法第32条第1項各号に規定される年度評価、見込評価、期間実績評価を実施することとされております。

 なお、これまでは各府省の独法評価委員会がその役割を担ってこられましたが、役員の退職金に係る業績勘案率の算定ですとか、法人の財務諸表、組織・業務全般の検討、中期目標、中期計画等につきましては、改正通則法の施行に伴い本年度より主務大臣において算定等が行われることとなるということですので、基本的にそれらの事項については、本WGにおける意見聴取の対象事項としては含めておりません。

 続きまして、「評価基準等」についてです。これまで各府省の評価委員会が、評語、評価基準、評価様式等を定め、評価を実施してきたところです。厚生労働省におきましては、評価委員会が定めておりました評価基準に基づき、中期目標を定めた項目ごとに5段階の評定をする「個別評価」と法人全体の状況について記述による「総合評価」を昨年度まで実施してきたところですが、改正通則法の施行に伴い、本年度からは改正通則法第28条の2の規定に基づき、総務大臣が定める独立行政法人の評価に関する指針で統一された評語、評価基準、評価様式に基づいて評価を実施することとされております。中期目標を定めた項目ごとに評定をする「項目別評定」と、法人全体の状況について評定をする「総合評定」の2種類により評価を実施することとされております。

 最後に、「第三者機関の役割」といたしまして、各府省の評価等に対する総務省の関与についてです。これまでは、各府省の評価につきまして総務省が二次評価を行い、必要に応じて意見を述べるほか、各府省の評価委員会が算定いたしました役員の退職金に係る業績勘案率について決定前に意見を付すとともに、中期目標期間の終了時におきましては、当該法人の組織・業務全般の検討に関し、主務大臣に対して勧告を行ってきたところです。本年度からは、改正通則法の施行に伴い中期目標期間の終了時において、見込評価、組織・業務全般の検討及び次期中期目標の策定に関し、主務大臣に対して意見、勧告ではなくて意見を述べることとされております。

 続きまして、資料の2枚目になります。こちらの表は年度評価の流れについてです。基本的に、中期目標期間評価(見込評価・期間実績評価)につきましても同様の流れで実施することとなっております。

 まず左側、「評価項目」についてです。評価項目は原則として中期目標を定めた項目を単位として設定することとなりますが、的確な評価を実施する観点から、評価項目を更に細分化することも可能とされております。評価については、これらの評価項目ごとに「項目別評定」として、中期目標の達成状況、中期計画の実施状況等を考慮して、5段階(SD)の評語による評定を付すこととなります。個別評定におきましては、定量的・定性的双方の観点から評価を実施し、B評定を標準として評定を付すこととなります。定量的指標が設定されている評価項目については、目標値の達成状況が100%以上・120%未満の場合に、標準のB評定を付して、120%以上の場合はA評定、80%以上・100%未満の場合はC評定を付すこととされております。

 なお、中期目標等におきまして難易度が高いという整理をされた評価項目につきましては、これらの基準により付した評定を1段階引き上げることを考慮することとされております。

 その後、資料で言いますと一番右端にありますが、「総合評定」としては、項目別評定を基礎とし、法人全体の状況について記述及び5段階(SD)の評語による評定を付すこととなります。そのうち5段階の評語による評定については、先ほどと同様に重要度が高いとされた評価項目については、十分に考慮するとともに、法人の信用失墜事象が生じた場合は、その程度に応じて項目別評定を基礎とした評定から引き下げることとされております。特に法人組織全体のマネジメントの改善を求める場合には、是正措置が実施されるまでは、A評定以上の総合評定は行わないなどの調整を行うこととされております。こうした一連の評価を行うに当たっては、先ほどお話しました指針、総務大臣が定めました指針において、必要に応じて外部有識者の知見の活用等の手法を適用することに加え、資料で言いますと、上の緑色で囲まれている所の2つ目の○ですが、法人の長からヒアリングを実施するほか、監事等からも意見を聴取するなど、役員等から必要な情報を収集し、法人の実情を踏まえた的確な評価を実施することとされております。

 このため本WGにおきましては、中期目標の事項別に2つのパートに区分いたしまして項目別評定について御議論いただいた後、日々のマネジメントや監査等を踏まえまして、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等について法人の理事長及び監事からコメント等を頂き、それらを踏まえて法人の全体状況について評価をする「総合評定」について御議論いただくという流れとしておりますので、よろしくお願いいたします。参考資料2に係る説明は以上です。

 なお、本日は、お手元に別途、こういったカラーのパンフレットをお配りしております。「社会保障と税の一体改革」という名称のパンフレットです。こちらは、内閣官房、内閣府、総務省、財務省、そして我々厚労省が協力して作成しまして、内閣府の政府広報室が発行したもので、政府全体で取り組んでおります一体改革の背景・趣旨・内容等を分かりやすくまとめたものです。委員の皆様方におかれましては、内容的に既に御承知かと存じますが、取組内容の御紹介として参考配布させていただきましたので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○政策評価官

 それでは、ここからの議事進行につきまして今村主査に引継ぎをお願いいたします。今村主査、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○今村主査

 私は今村と申します。主査を務めさせていただくことになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは議事に入ります。最初に、法人所管課より労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構の統合について御説明いただき、その後に、平成26年度業務実績評価について議論していただきたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 安全衛生部計画課の美濃でございます。それでは、資料1を御覧いただければと存じます。労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構の統合について御説明申し上げます。

 まず、独立行政法人の改革につきましては基本的な方針が平成251224日に閣議決定されました。その中に労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構の統合が盛り込まれたところです。この閣議決定に盛り込まれた改革の具体的な方針を受け、ほかの厚生労働省関係の独立行政法人も合わせて6つの独立行政法人改革を行うための法案が取りまとめられた次第です。それが独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律案です。この改正法案につきましては、この通常国会で審議され、424日に成立し、57日に公布されたところです。

 資料の1ページの表には、6つの独立行政法人の主な措置の内容と施行の時期が記載されております。一番上が、労働安全衛生総合研究所(安衛研)と労働者健康福祉機構(労福機構)の統合です。この統合におきましては、労福機構が存続法人となり、統合後の新法人の名称は、労働者健康安全機構となります。役員数につきましては、統合に伴う合理化により、理事数は5人以内となります。また、事業を安定的に実施するために現在、国の委託事業として実施している化学物質の有害性調査事業を統合法人の業務に追加することとしております。

 次のページに移ります。この統合により、それぞれの調査研究・臨床機能が有機的に統合され、予防・治療・職場復帰支援を総合的に展開することが可能となるというものです。

 その次のページが「改正の概要」です。先ほど御説明したとおり、新法人の名称につきましては、労働者健康安全機構、役員数は、理事長1名、理事1人、監事2人を削減し、理事5人以内、監事2人となります。業務の範囲としては、安衛研の業務は、そのまま新法人が引き継ぐ形になります。次に、安衛研を解散し、その権利・義務を新法人に承継することとしております。

 枠外の()を御参照いただければと存じます。新法人の中期目標・計画につきましては、存続法人である労福機構の第3期中期目標・計画(期間は平成26年度から平成30年度まで)となっていますので、その変更により対応することとしております。

 更に次のページですが、こちらは、423日に参議院の厚生労働委員会におきまして附帯決議がなされており、その内容の抜粋です。具体的には、労働安全衛生総合研究所の労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と労災病院が持つ臨床研究機能との一体化による研究の充実など、統合による相乗効果を最大限発揮できるよう有効な措置を講ずることとされております。併せて、労働安全衛生総合研究所の調査研究業務につきましては、両法人の統合により後退することがないよう十分な体制を維持するため必要な措置を講ずることとされており、安衛研の調査研究業務について相当程度の評価を頂いたものと受け止めている次第です。私からは以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございました。それでは構成員の皆様から何か質問がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○酒井構成員

 酒井と申します。法律でこのように統合するということは事実ですが、これまでどおり、これを機会に皆様方には頑張っていただきたいと思っております。

 それで、存続法人が労福機構であって、安衛研は解散するということのようですが、現実のスタッフの方とか、そういう方たちは統合の中で具体的に取捨選択のようなことは起こるのですか、それとも、そのまま統合という形になるのかというのが1点です。

 もう1つは、私は労福機構は労福機構として大変立派な仕事をされているということはよく承知しておりますが、安衛研のこれまでの社会的存在、つまり、日本の中での産業安全保健をやるということですので、このように解散して統合したときの位置付けというのですか、どのような組織の中で安衛研が自立するのか、そうではなくて、全く融合した形で研究者の人たちがそれぞれの部門に分かれて活動するようなことになるのかということです。以前の産安研と産医研の統合とは形が随分違ったようなイメージを受けるのですが。その辺、ナショナルフラッグを背負って労働安全衛生をやっていた安衛研が、今後の統合でもそういう活動が本当に可能になっていくのか、統合に当たってどういう話合いがなされたのかということを簡単に御紹介いただければと思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 先ほどの説明の中でも申し上げましたが、労働安全衛生総合研究所を解散してその権利・義務を労働者健康安全機構が承継する形になるということですので、職員の方々についても、労働者健康安全機構にそのまま移行していく形になるということです。

2点目の御質問の点につきましては、率直に申し上げて、これから正に、来年の4月に向けて検討をしていくということです。法案審議の中でも、研究の企画・調整を担うセクションについてきちんとしっかりしたものを作って、そこを中心として、正に附帯決議にありますように、研究が後退することのないようにしっかりと取り組んでほしいというようなお話だったかと思いますので、そういった、国会審議や附帯決議を踏まえて今後、検討してまいるということです。

 

○今村主査

 よろしいですか。

 

○酒井構成員

 はい。

 

○今村主査

 今の酒井構成員の質問にちょっと関連してですが。労福機構と労働安全衛生総合研究所で、例えば労福機構の場合は、臨床でいろいろ診療をしながら研究をするという労働環境だったと。労働安全衛生総合研究所は、どちらかというと研究に従事するという、その辺の統合した後の評価で、何か、若干調整が必要かと思うのですが、そういうことはお考えになっているのでしょうか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 その点も含めて、これから検討していくということになるわけですが、正に新法人の中期目標をこれから作っていくという形になりますので、その中で先生が御指摘の点も踏まえて、鋭意検討してまいりたいということです。

 

○今村主査

 ほかにはよろしいでしょうか。それでは、労働安全衛生総合研究所の平成26年度業務実績評価について議論をしていきたいと思います。はじめに国民に対して提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する事項ということで、項目別評定について議論をしていきたいと思います。法人及び法人所管課から御説明いただき、その後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

 労働安全衛生総合研究所の研究企画調整部長の永田でございます。よろしくお願いいたします。法人のほうからは、前半部分は私が進めさせていただきます。資料1-2、こういう横長の資料がとじてありますので、それを御覧いただければと思います。同時に、評価書()も参照しながら見ていただければと思います。時間の関係もありますので基本的に、自己評価Bとしたものについては簡潔に、Aとしたものについては丁寧に御説明させていただきたいと思っております。

 最初が研究所の概要ですので簡単に御説明させていただきます。1ページを御覧ください。先ほど酒井先生からもお話がありましたが、もともと産業安全研究所と産業医学総合研究所というものがあり、それが統合されて現在の労働安全衛生総合研究所になっております。統合して10年目になります。次を見ていただきますと組織図がありますが、真ん中辺りに、安全研究領域、健康研究領域、環境研究領域という大きな3つの研究領域に分かれております。そこもまた、いろいろな研究グループに分かれ、研究内容によっては協力しながら研究を進めているということです。

 それから1つ重要なことは、「安全研究領域」の上に「過労死等調査研究センター」と記載してありますが、後ほど御説明しますが、これは昨年11月に新しく設置したものです。

 続きまして3ページ目です。細かく書いてあるのですが重要なことは、真ん中に「研究所のミッション」と書いてあります。その中で、労働災害の防止並びに職業性疾病の予防についての総合的な調査研究を実施しているということ、2番として、労働安全衛生法に基づいての労働災害の原因調査等の実施、いわゆる災害原因の究明という大きなミッションが2つあって、これが両輪となって研究所の業務が進められているということです。

4ページ目は省略いたしますので、5ページ目を御覧ください。ここからが評価項目1-1「労働現場ニーズの把握と業務への積極的な反映」という項目です。評価書では、4ページ目以下になります。労働現場のニーズの把握ということで、まず左の上のほう、研究所主催の講演会及び労働現場訪問等によるニーズ等の把握です。これは自己評定Bですが重要な項目なので、ここだけはちょっと丁寧に説明させていただきます。

 「安全衛生技術講演会」とか、労働現場への訪問というようなことで、労働現場のニーズを直接把握するように努めていて、右側の「行政との連絡会議等」ということで、行政とも連携を取りながら進めております。それからその下、「国内外の学会、会議等へ積極的参加」ということで、学会も国内だけでなく海外に向けて積極的に参加しています。それからその下にいろいろな団体、日本機械工業連合会とか日本スーパーマーケット協会とか、いろいろ書いてありますが、そういう業界団体等とも多く交流してニーズを酌み取っています。

 今度、その左のほうの青い感じの所ですが、労働災害や職業性疾病を端緒として研究を始めたもので、「塩素系有機溶剤の複合ばく露による生体影響に関する研究」というのは、いわゆる胆管がんがきっかけになった研究です。労働現場における調査を伴う研究としては、現場に赴いて直接調査をする「建設業における職業コホートの設定と労働者の健康障害に関する追跡調査研究」というものです。次のページですが、今申し上げた塩素系有機溶剤の研究は、平成24年度から平成25年度に行い、一通りの成果は出ております。その後、追跡の研究が必要だということで、その下にありますように、生体影響と活性代謝物の解明という研究を平成26年から進めているところです。

 続きまして、職業コホートの設定です。いわゆる振動工具というのは、手に振動を与えるという以外にうるさいということで、職業性難聴の原因にもなり得ます。ということで、それぞれを別々に研究するということではなくて、それを組み合わせて分析・解析し、建設業の労働者について調査を進めていくというような研究があります。こういった現場のニーズを捉えて研究を進めさせていただくというのが研究所の重要な業務になっております。自己評定としてはBとしております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 よろしいでしょうか。厚生労働省安全衛生部計画課の釜石と申します。よろしくお願い申し上げます。

 評価書()5ページ目を御覧ください。主務大臣による評価の評定は、法人と同じくBです。評定に至った理由として、研究所は、講演会の開催、研究所の見学会あるいは外部の講演会等への参加、あるいは、さらに個々の労働現場の訪問など、あらゆる機会を利用してニーズあるいは関係者の意見を積極的に把握しているということで評価できます。また、厚生労働省の担当との意見交換を踏まえた調査研究として9テーマを実施しております。さらには、労災病院との共同基盤研究の実施あるいは産業医科大学との研究交流会の実施、国内外の学会等への積極的な参加が評価できるということで、評定をBとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

 よろしいでしょうか。

 それでは、評価項目1-2、労働現場のニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた重点的な研究の実施です。資料では8ページです。評価書()では9ページからになります。

 まず第1に、過労死等防止対策推進法の成立を踏まえて「過労死等調査研究センター」(RECORDS)を設立しております。まず過労死等防止対策推進法は、過労死の防止のためにいろいろ施策を進めなさいと国に求めているものですが、その第8条に、過労死等に関する調査研究等という項目があります。これはまさしく当研究所のミッションであろうということで設立するに至ったものです。法律自体は昨年6月に成立しておりますが、その後、その施行が11月ということも勘案し、11月に設立したということです。

 その右側は、「RECORDSの設置とミッションについて」です。これは研究所のホームページに掲載してありますが、過労死等の過重な業務負担による健康障害の防止対策に貢献できるよう、医学的見地から調査研究を行います。具体的には、過労死等に関する実態を把握するために、過労死等の事例分析、過労死等の要因分析、疲労の蓄積と心身への影響や健康障害に関する調査研究を行います。また、業務での過重な負荷あるいは心理的負荷による過労死等の防止対策に関する調査研究を行います等と記載してありますが、これは、平成26年度の年度当初には全く予定になかった計画です。こういう法律の成立及び施行を踏まえて、全く新たに計画を立てて設立をしたものです。実際の研究も昨年度から進めてきておりますが、今年度に入りまして「労災疾病臨床研究事業」ということで、その下にありますように、過労死等事案の解析、疫学研究、実験研究という大きな3本柱で進めていくことにしております。この研究計画を立てるのは非常に重要、かつ大変な仕事でしたが、昨年中に準備をして、それがこういう形で新しい研究につながっているということです。

 続きまして、9ページ以下、何枚かありますが、当研究所の重要な研究テーマがいろいろありますので御紹介いたします。まず、プロジェクト研究です。これは研究の方向及び明確な到達目標を定めて、重点的に研究資金や研究要員を投入する研究ということです。複数の研究員が協力しながら1つの研究テーマにおいて期間を決めて成果を出すというものです。例えば、貯槽の保守、これはタンクの保守などのときに災害が起きたというようなものを分析したりします。「建設機械の転倒及び接触災害の防止に関する研究」等、総研究費の4分の3、研究員延べ8090名を投入しております。そういう研究が一番の根幹のものになります。

10ページはその例です。介護職場における総合的な労働安全衛生研究です。これは、もともと介護者の腰痛についての研究を進めていたものです。10ページの右側の枠の中段の一番右側に介護している人の手が挟まれている様子があるかと思いますが、このように介護中に怪我をする、また、手を挟まれるだけでなくて介護する機器を動かしていて足を挟まれるとか、そういうことがあるものですから、安全の分野も協力してどのように対策したらいいかというような研究をいろいろ進めています。右の一番下に、塩化ビニルシートの感圧部がありますが、これは、挟まれそうになったときにそういうシートで感知して機械を止めようというものです。このようなことも今、いろいろ研究を進めているところです。

11ページに、「基盤的研究」というのがあります。これはプロジェクト研究ではなく、各個人の研究員がそれぞれ、こつこつと基礎的な研究を進めているものです。こういったものも、その成果を踏まえてプロジェクト研究につなげるというように進めております。その1例として御紹介いたしますと、静電気が原因で爆発する、粉に引火して爆発するということがあります。この間、台湾で事故がありましたが、ああいうのは一般での事故ですが、労働現場でも小麦粉が爆発したりとか、そういう場合があるものですから、静電気を除去する機械、それを除電器と申しておりますが、それを基盤的研究で開発したものです。それをもっと実用につなげようということで、プロジェクト研究に今つなげていて、研究を進めています。実用につなげようということで今、研究を進めております。実は、この研究の中で、更に静電気の量を正確に測るという機械も開発しております。そうしますと、粉体によってどれぐらい静電気が出るのかと、当然、出具合が違います。そういったものを分析することによって、今度は会社の中で静電気対策をどれぐらい厳重にやらなければいけないかというのが対策に結び付けられるということで、そういう研究も進めております。

12ページは、行政要請研究です。これは厚生労働省から、要するに、行政上の課題があり、これについて研究をして早急にその結論を出すようにということを求められております。そういったものについて、例えば「足場の組立・解体時における設備的落下防止対策に関する調査研究」ということで、いろいろな現場の状況を調査したり、そうした結果を報告し、行政の施策につながったというものです。行政要請研究の場合、多くは単年度、長くても2年の間に結論を出して御報告させていただくという仕組みで進めているものです。

 以上で、いわゆる厚生労働省の施策課題を踏まえた重点的な研究の実施ということで、過労死センターの設置等も含めて、Aとして評価させていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 それでは、評価書()10ページを御覧ください。主務大臣による評価は、評定Aとしております。その評定に至った理由として、労働現場のニーズ及び行政ニーズに基づいて、年度計画どおりプロジェクト研究11課題を設定し、重点的な取組を行っていて、高い研究成果も上げております。

 さらに、基盤的研究のことですが、年度計画では40課題ということですが、120%に当たる48課題に取り組んでいるというようなことで、現場のニーズなどを十分踏まえて、また、プロジェクト研究につながるようテーマを選んでいるということです。

 また、行政要請研究については9課題実施しておりますが、3課題について報告書を提出したということで、迅速かつ的確に実施していただいております。特に、先ほども説明がありましたが、「足場の組立・解体時における設備的墜落防止対策に関する調査研究」につきましては、労働安全衛生規則等の改正に活用されるなど、的確に労働災害のリスクに対応して成果を上げているということで、高く評価できると考えております。

 さらに、過労死の関係ですが、過労死等防止対策推進法は議員立法であり、国が取り組まなければならない対策として、この法律には過労死等に関する実態の調査を含む調査研究が盛り込まれております。この実施は極めて重要なものと考えております。研究内容につきましては、先ほども説明がございましたが、労災認定事案等の膨大な資料を収集して実態の解明をする、あるいは10年間の疫学研究、あるいは医学的・保健的研究を進めるというようなことで、111日から医師あるいは労働分野の見識を有する産業保健の専門家からなる過労死等調査研究センターを設置して、正にこの研究所の使命である行政・社会的ニーズの高い調査研究を迅速に開始している点について高く評価するものです。

 以上を踏まえて中期目標における初期の目標を上回っていると評価できるとして、評定をAとしたものです。

 なお、9ページの上のほうの当該項目の重要度・難易度という所は空欄ですが、私どもとしては、この1-2は重要なテーマであると考えているので、申し添えます。以上です。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

 評価項目1-3にまいります。研究評価の実施及び評価結果の公表です。研究評価については、プロジェクト研究、基盤的研究について、研究所内部で評価をする仕組みにしております。プロジェクト研究については、外部評価委員会を設置し、そこで内容について評価をしていただいております。内部評価の対象については、全ての研究課題について実施しております。外部評価については、平成26年度は、対象が終了評価のものが3課題しかありませんので、3課題について評価していただきました。外部評価の委員については、産業安全・労働衛生の学識経験者、労使の有識者等の12名から構成しております。

 右側の評価項目です。赤で書いてありますが、今回は終了評価がありましたので、目標達成度、行政的・社会的貢献度等々について評価をいただきました。また、プロジェクト研究についての内部評価をした結果についての客観性・公平性は、外部評価委員に評価いただいたということです。その結果については、左下にありますが、平成27325日、結果をホームページに公表いたしております。ということで、自己評価Bとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()15ページを御覧ください。主務大臣による評価も評定はBです。内部評価及び外部評価も適切に実施しており、その成果が研究業務にきちんと反映されているということです。ということで、Bです。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

 評価項目1-4は、成果の積極的な普及・活用です。ここは小分類に分かれていますので、1-4-1として、労働安全衛生に関する法令、国内外の基準制定・改正への科学技術的貢献です。評価書()18ページ以降です。これについては、国内外の基準制定の貢献として、11課題の調査研究成果が労働安全衛生法関係省令、指針、通達等へ反映されております。これは中期目標期間の目標が50件以上ですので、1年間で言うと10件、これに対して反映された件数が14件ということで目標を大幅にクリアしております。

 反映例といたしましては、先般、労働安全衛生法が改正され、その中にストレスチェック制度の創設が入っておりますが、それに対してストレスチェックの効果の検証等の項目について、研究をした成果が生かされております。

 先ほど申し上げました「足場からの墜落防止に関する労働安全衛生規則の改正」ですが、通常、規則改正は1条とか2条とかの改正で、法改正があった場合は非常に多くの条文の改正がありますが、これについては16か条に及ぶ、官報で言うと1ページ半の分量になりますが、そういった大きな改正がありました。ということで、成果を上げております。

 「発がん性を有する化学物質を含有する抗がん剤等に対するばく露防止対策について」という指導通達が出ておりますが、こういったことにも貢献しております。

JISISO等の会議について、役職員数として19名、参画した検討会の数としては、67という大きな数になっております。といったことで、特に数値目標として挙げられている件数を大幅にクリアしているということと、それに対して労力も割いて非常に頑張っているということで、自己評定をAとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()19ページを御覧ください。主務大臣による評価の評定はAです。A評定に至った理由ですが、役職員が参画した検討会等の数は67件と、基準値を達成するとともに、ここ数年、着実に毎年増加しております。これは評価できます。国内外の基準制定への貢献として、研究成果が安衛法令等14件反映されており、年当たり10件という目標を達成しておりますし、4年間の累計では53件となり、中期目標期間中の達成目標(50)を上回っていること。このようなことで、内容的にも見ても、先ほどの足場の改正の話もありますし、非常に大きな貢献をしていることは高く評価できると考えて、Aとしました。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

(1-4-2)学会発表等の促進で、15ページです。評価書()では21ページ以下です。これは大きな目標数値として、論文発表等の年間目標が2報あります。もう1つの講演・口頭発表は、年間4回という目標があります。

 論文発表については、実績として4.2報。ですから、目標の2倍を超えております。口頭発表は4.2ということで、目標を達成したということです。論文発表については、皆さんもよく御承知だと思いますが、きちんとした研究成果がないと発表できませんし、それを成果として取りまとめるのは、論文にすること自体がかなり大変な作業にもなりますし、研究成果があるということと併せて、研究に一生懸命頑張った成果であると考えております。講演・口頭発表についても、それなりに準備がかかります。研究成果の普及という観点からも、頑張って発表するようにと発破を掛けておりますので、これに対して年4回以上の発表をしたということで、成果を十分に上げられたと考えております。

 その下の類型で見ますと、もともと目標は5年間で論文が10報以上、学会発表が20回以上ということで、論文発表等については既に計画を達成しております。講演・口頭発表についても予定を上回っておりますので、今年度、成果が上がれば十分な目標を達成するであろうと考えております。

 右下に「受賞等」とありますが、16(延べ20)です。化学工学会とか日本産業衛生学会といったいろいろな所で表彰を受けております。こうした成果を上げておりますので、自己評定として、Aとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()22ページを御覧ください。主務大臣による評価の評定はAです。理由については、今しがたありましたように、研究員1人当たりの講演・口頭発表数が基準値を上回っていること、また、1人当たりの論文発表数も基準値の2倍以上の水準で推移していること、また、1人当たりの論文発表数についても、累計で16.9報と10報の1.7倍となっていることなどです。また、論文賞等を多数受賞していることも、内容的な面から高く評価できるということです。以上を踏まえて、評定をAとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

16ページです。評価書()では23ページ以下です。(1-4-3)インターネット等による調査及び研究成果情報の発信です。研究成果を皆さんに、いかに知っていただくかということでホームページの充実を図っております。アクセス目標件数は年間で65万件ですが、昨年度は160万件、246%という2倍を上回る成果を上げております。また、メールマガジンを発行しておりまして、これは予定どおり月1回発行して、配信数としては1,975アドレス()で、前年に比較して250件の増加を見ております。

 実際にそういう研究成果の公表は、年報とか特別研究報告、これはプロジェクト研究等の成果を毎年まとめて、終了案件については本にまとめておりますが、それをホームページに載せております。技術資料が新しくまとまりましたので、作業現場における地耐力確認の方法、つまり地盤が弱い所で機械が転倒してしまうことを、どうやればきちんと調べられるかを研究して、今後、実際に活用してもらうということで、まず資料として提供したものがあります。そういったものをホームページに掲載しております。

 右上、一般誌等への寄稿・取材への協力ですが、これは一般誌、つまり専門のものでなくて、一般の方が見られるものも含めて101件の論文・記事を寄稿するとともに、テレビ等からも取材がありますので19件のテレビ、新聞、雑誌等の取材に協力し、その成果の分かりやすい普及に努めたということです。

 研究所のトップページを掲載しておりますが、見やすいホームページ作りに心がけております。昨年、そのホームページの改訂をしましたが、非常に評判がいいと聞いております。また、英語のホームページの充実も図っておりまして、海外の方からのアクセスもあるという状況です。ということで、目標を大幅に達成しているということと、そのための努力もしたということで、自己評定をAとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()24ページです。主務大臣による評価の評定はAです。これはホームページへのアクセスの件数が、目標数値の65万回程度の約2.5倍に当たる年間160万件を達成しており、さらに、中期目標期間の累積件数目標の325万件の1.8倍の587万件ものアクセス件数を達成しています。また、アクセスを増やす工夫として、きっかけ作りをするとか、ホームページの改修をするということで、デザインを工夫するなどの取組もありました。また、英語による情報公開の開始など、研究成果の普及に積極的に努めていることを評価しています。以上を踏まえまして、評定をAとしました。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

17ページです。評価書()では27ページ以下です。(1-4-4)講演会等の開催ですが、講演会の開催の目標としては3回以上ということで、安全衛生技術講演会を東京と大阪で開催しました。また、中央労働災害防止協会が主催する全国産業安全衛生大会で、これは主催は向こうですが、こちらから積極的にアプローチをして、特別に講演する機会を作り、4名の研究員が分科会で発表しております。ここでは、発表の聴取者として、計1,060名を数えております。

 もう1つの数値目標としては、アンケート調査の結果の技術講演会ですが、「とても良かった」、また「良かった」とする割合が、目標は75%ですが、81%という結果を得ております。

 その下のほうに、どういうことをやったかということで、技術講演会、安全衛生大会、そのほかに年2(平成264月には、清瀬地区や登戸地区)、一般公開として、一般の方に見学をしていただく機会を設けております。もうすぐ霞ヶ関で開催されますが、「子ども見学デー」に平成25年度から協力させていただいて非常に好評を得ております。といった活動をいたしております。また、施設見学としても、民間企業や業界団体、教育機関、外国からも見学に来られることもありますが、そういったことにも対応しているということで、自己評定をBとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

28ページを御覧ください。主務大臣による評価の評定はBです。評定に至った理由ですが、定量的な指標である講演会等の開催件数は、目標の3倍の9回となっています。また、参加者数も2,943人と前年度に比べ倍増しているということで、研究成果の普及を図っていることは評価しております。また、安全衛生技術講演会への参加者の評価も目標数値を達成しているということで、Bとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

(1-4-5)知的財産の活用促進ということで、これについては新規出願を2件いたしております。特許権の取得等については、担当者を配置し、研究員からの相談等に応ずる体制を整備しています。「知的財産研修」は外部の主催でありますが、そういうものに積極的に参加させているとか、特許登録の活用促進を図るためにデータベースの登録等を行っているということで、研究所として登録特許が39件、等々あります。ということで、自己評定としてBとさせていただいております。評価書()31ページです。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()32ページを御覧ください。主務大臣による評価の評定はBです。評定に至った理由ですが、特許権の取得を積極的に支援するということで、相談担当者を選任して相談に対応させる、あるいは、研究員に対しての研修を実施していることを評価しております。実施予定のない特許権についてはホームページ等に掲載して、保有特許の実施促進を図っているということです。保有している特許の登録件数は39件で、前年度と同数であり、出願総数は10件ということで、前年より1件少ないわけですが、所期の目標を達成していると評価し、Bとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

 次は、1-5の労働災害の原因の調査等の実施という項目です。これは最初に申し上げた大きなミッションのうちの1本の柱になります。労働災害の災害調査というのは、労働安全衛生法にも研究所が明記されていますが、重大な労働災害が発生しますと、厚生労働省の要請を受けて研究員を派遣いたします。その結果、災害発生原因を科学的に分析して特定し、厚生労働省に報告をさせていただいております。また行政のほうで法改正等や通達等を出されることがありますが、今度はその結果を再発防止策として反映していただいています。

 右のほうを見ていただきますと、災害調査として昨年は11件。これは事故が多ければ件数は多くなるので、その前の年は少なかったということですが、去年は11件に対応したということです。そのほかに刑事訴訟法に基づく鑑定、労災保険給付に係る鑑定・鑑別。これは特にアスベストの関係で労災補償に関係して非常に判定が難しいものについては当方に分析の依頼がまいりますので、それについて報告させていただいています。

 数値目標としては、災害調査の報告をした先にアンケートを取っておりますが、役に立ったという評価は、目標としては80%ですが、98%という割合だということです。

 次に具体的な例を御紹介させていただきますが、20ページです。これは昨年4月に首都高で鉛中毒が発生しました。火災も発生したので、そちらのほうは御存じの方も多いかと思うのですが、首都高の高架の橋梁の塗装をサンダーで削って剥がすのですが、周りに粉じんが飛散するといけないということで非常に囲った形で作業する。要するに、密室状態で作業したものですから、非常に多くの方が鉛中毒になってしまったということです。最近、そういう鉛中毒は余り聞かないのですが、非常に多くの方に中毒が発生したということで、災害調査をして原因を調べるようにという御指示がありまして、調べに行ったということです。調べた結果、管理をしなさいと言われている基準の660倍の濃度の鉛が検出されたということです。もともと塗料では微量成分ですが、結果として、ヒ素も基準濃度を超えている例があったことが分かったということです。その報告をさせていただきまして、その後、行政から「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止について」という指導通達が出されております。といったことで、迅速に対応させていただいたという事案ですが、このように、これも単独の研究グループだけではなくて、これは環境を測定する、有害性について確認するということで、複数のグループが協力し、また、その後に火災もありましたので、安全のグループも協力しながら、また、足場の関係があったので、建設グループも協力して、安全に測定するとか、分析するということもありましたので、いろいろなグループが協力しながら調査を行ったという事案です。

 一例として御紹介したのはこれですが、このようにいろいろな分野の分析、災害調査を行いますが、当研究所は、例えば電気、建設、有害性でも、いろいろなグループがあります。用件に応じて、それらが協力しながら調査するのが非常に重要ですので、そういう複数の分野を持っているのは非常に強みです。そういったことで普通の単独の研究だけをしている所と比べて、非常に機動的に、かつ、迅速に対応できるという体制を組んでおります。ということで、自己評定Aとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()35ページを御覧ください。主務大臣による評価の評定はAです。評定に至った理由ですが、厚生労働省からの依頼に基づく災害調査については、労働災害調査分析センターという組織をきちんと設置して、限られたリソースを有効活用して対応していることを評価しております。

 特に、平成242月に発生した岡山県倉敷市の海底トンネルの崩壊水没災害については、厚生労働大臣から指示をして実施してもらったものですが、様々な研究分野の研究員がチームを編成して、これまでに前例のない地中でのシールドマシンの挙動とセグメント破壊・崩壊のメカニズムを解明したということで、これは高く評価しております。これを受けて厚生労働省でも対策の検討を開始しました。

 また、災害調査報告書の取りまとめは、常時進行状況を確認して迅速な処理に努めているということで、これも必要な対応として評価しております。

 さらに、調査を担当する研究員の方が行政と緊密に連携を取ることにより、その結果、行政が再発防止のための指導とか、送検・公判維持のための資料として有効活用できたということで、その評価の割合が98%と、目標数値である80%を大きく上回っていることを高く評価しております。

 災害調査報告書の公表については、厚生労働省が確認して、公表していただいているのですが、平成26年度は5件です。これは非常に多いと考えておりまして、特に先ほどの御説明があった道路の上部工耐久性工事における鉛中毒災害については、迅速対応いただいたということ、さらには公表に至ったということで、高く評価しておりまして、これらを踏まえて評定をAとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

1-6の国内外の労働安全衛生機関等との協力の推進ということで、分野が分かれておりますので、(1-6-1)労働安全衛生分野の研究の振興という項目です。これについては、数値目標としてのインパクトファクターがあり、それが目標値になっております。

 国際的な活動としましては、昨年10月に東京で開催しましたが、「日韓研究機関ワークショップ(WISH2014)」と銘打っております。これについて韓国労働安全衛生研究院、釜慶大学、忠北大学、ソウル科学技術大学など複数の大学からも御参加いただきまして、基調講演、口頭発表を行い、研究情報の交換を行いました。また、労働安全衛生研究の普及・振興、今後の協力体制や研究戦略について、意見交換等を行っております。これが主な活動です。

 そのほかで、インパクトファクター、これは当研究所では和文誌と英文誌を出しております。和文誌は「労働安全衛生研究」で、安全と衛生ですが、「Industrial Health」という英文誌は、もともと産業医学総合研究所時代から伝統のあるもので、英語の論文で海外に打って出ているというものです。

 インパクトファクターの数値目標は0.8です。表を見ていただきますと、平成24年までは0.9とか1以下で目標は達成していたのですが、そういう状況の中、昨年、1.0451を超えたというので、みんな非常に喜んだのですが、今年、更にそれを上回るという結果が出て、更に大喜びしたという事情があります。そういう結果で、数値で比較すると140%という大幅に上回る結果です。今後はこれを維持しなくてはいけないというのがまた大変ですが、非常に良い結果が出ました。それから、国際的な活動をしているということで、自己評定をAとさせていただいております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()38ページです。主務大臣による評価の評定はAです。評定に至った理由は、先ほどからも説明がありましたように、定量的指標であるインパクトファクターが目標数値の140%近くに上ったということで、国際学術誌としての認知度がますます高まってきているということを高く評価しております。国際学術誌「Industrial Health」あるいは和文学術誌については、計画どおり発行しています。また、安全衛生に関する技術、研究動向、制度等の情報収集、調査を行って、ホームページの掲載とか、メールマガジン等により、関係機関に提供したことを評価し、評定をAとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長

22ページです。評価書()では42ページです。1のケースは、あと2項目ですので、今しばらくよろしくお願いします。(1-6-2)労働安全衛生分野における国内外の若手研究者等の育成への貢献ということで、連携大学院制度の7大学のうち5大学において13名の研究員が客員教授等として任命され、研究・教育に対する支援を行ったということです。それ以外の2大学についても、研究者の行き来はあります。ただ、そういった形でそういう教授等との形での協力にはなっていないので出ていませんが、そういう協力になっています。その他、東京大学、青山学院大学等の大学院に対して、講師として支援を行っております。また若手研究者の受入れについては、51名の若手研究者を受け入れ、研究指導を行ったと。また、労働安全衛生機関の支援ということで、労働政策研究・研修機構、いわゆる労働大学校がありますが、ここで行政官の研修を行っています。その研修に対して、安全衛生分野の専門家として、講師として赴いております。また、そういう研究生を受け入れて研修を行ったりしています。また、地方労働局等に対しても研究員を派遣して、講師として研修するという活動をしております。ということで、自己評定Bとしております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()43ページを御覧ください。主務大臣による評価の評定は、Bです。7つの大学と連携大学院協定を締結しておりますが、実際の派遣先大学を前年度の4大学から5大学に増加させて、派遣人数も年年度を上回る13名を派遣するとともに、その他の大学についても、15の大学あるいは大学院に対して20名の研究員を非常勤講師として派遣するなど、教育研究活動を支援しております。また、受入れについても、前年度を若干、下回っておりますが、51名の若手研究者等を受け入れ、研究指導した点については評価できるということで、Bとしております。

 

○労働安全総合研究所研究企画調整部長

 最後になりますが、(1-6-3)研究協力の促進ということで、評価書()45ページ、資料では23ページになります。研究協力協定の締結状況につきましては右側に表があります。アメリカ、韓国、フランス、中国、カナダの機関と研究協力協定を締結しております。それらのところと、共同研究、情報交換、研究協力を進めております。特に、韓国労働安全衛生研究院(OSHRI)及び韓国の忠北大学と研究協力協定の延長を行っております。国際的な研究協力の推進ということで、先ほども申し上げましたが、「WISH2014」を開催しました。そのほか、国際シンポジウムへ参加ということで、今年の3月にシンガポールで開催されました第5回アジア労働安全衛生研究所会議(AOSHRI)という大規模な会議がありましたが、そこに3名が参加し、各国の災害情報や労働安全衛生の課題について意見交換を行いました。

 それから、次のページに記載していますけれども、韓国、アメリカの研究所とは特にいろいろ活動がありまして、韓国とはワークショップの開催のほかにOSHRIといろいろな分野について意見交換を行いました。釜慶大学とも安全装置・制度などについて情報交換を行ったという活動をしております。それから、アメリカのNIOSHについては、日本から現地に行きまして、「設計段階からの労働災害を考慮するという概念」についてという題目で会合を行っております。そういった活動をしております。

23ページに戻ります。数値目標としては、共同研究の比率を15%以上にするという目標がありますが、共同研究の比率は34%です。それから、若手研究員の派遣、受入れは、数値目標として20名以上という目標がありますが、これも大幅に上回っており、合計82名ということで、数値目標を大幅に上回っているということと、アメリカを中心に国際的にもいろいろ協力をしながら進めていくということで、自己評定をAとしております。以上です。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 それでは、評価書()46ページを御覧ください。主務大臣による評価の評定はAです。評定に至った理由ですが、「国際研究協力協定のあり方」を取りまとめて、積極的に共同研究あるいは情報交換、研究協力を進めたことを高く評価しております。また、共同研究の割合につきましても、目標の2倍以上の割合となっていること、また、交流につきましても、数値目標20名の4倍以上となっていることを高く評価し、評定をAとしております。

 

○今村主査

 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明がありました1-1から1-6-3の事項について御意見、御質問等がありましたらお願いします。

 

○高田構成員

 いくつかあるのですけれども、まず第1点は、1-4-3のホームページのアクセス数が今年度は非常に増加したというのを、どのように評価していらっしゃるのでしょうか。

 

○労働安全総合研究所研究企画調整部長

 ホームページについては、メルマガを出している関係で、メルマガの中で新しいものが載りましたということを紹介して関心を持っていただくようにしております。それから、従来のホームページが探しにくかったことがありましたので、それをかなりリニューアルして分かりやすくして、見た目も良くしました。それから、研究者の情報が余り多く載っていなかったので、研究者がどういう研究をしているかということもきちんと分かるように整備をして、いろいろな方々に御利用いただけるような形に改訂したということで、評価を得ております。

 

○高田構成員

2点目は、1-3のプロジェクト研究が今年度48テーマで行われた。そのほかにも別の研究テーマが行われていて、人数からいうと研究員は恐らく100名はいない状況だと思うのですけれども、そのほかに先ほどの労災事故の調査もやられているということで、大変活発な活動をされているように拝見したのですけれども、プロジェクト研究はこんなにたくさん、私の目から見ますと、非常に多数行われていることに関して、どのような運営のされ方をしているのか、御披露いただけると幸いです。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部首席研究員

 登戸のほうで研究機関担当をしております甲田と申します。私どもは、産業医学というか、労働衛生の研究を実施しております。今、おっしゃられたとおり、一人の研究員が1つではなく複数のプロジェクト研究、または、いくつかの基盤的研究を担当しております。ということは、研究員同士がお互いに交流し合いながら実施しているという形になります。ただし、主たる研究に関しては、誰かが1つを担当するという形で実施しております。それは、先ほどいろいろな課題で紹介されたように、1つの労働衛生の課題が、例えば単独性の観点からの研究では済まない場合があったりします。ですから、環境の観点から研究するという形で、多面的な研究を行う観点からいいますと、複数の研究領域の研究者が1つのテーマで研究をすることが非常に重要な課題になってまいります。当然、うちの研究所を超えて、ほかの研究機関ともいろいろな共同研究をしますので、そういう意味では研究も2階構造よりは3階構造、もっと横に広がる、縦に広がるという形で、複層的に広がってくるということになってきます。そういうことで、非常に多くの研究課題がぶらさがってくるということです。ですから、そういう構造になってきますと、実はコントロールや管理が非常に難しくなってくるのは事実です。ただ、そういうものをバックアップするような体制は、研究企画調整部では精神的にいろいろと、例えば交流が進むように、いろいろな資材、いわゆる研究費、そういうものが回るように、という形での配慮が必要不可欠になってくるのではないかなと思っております。

 

○高田構成員

 最後に、もう1点ですが、先ほど粉体の爆発の研究をされたという御紹介がありまして、どういう状況になると爆発しやすいかということも研究されているということですけれども、そのような成果が、先ほどの場合は、機械を作るというところに最終的には結びついていくというように理解したのですけれども、実用段階に進むに当たって研究所として何か努力されているようなことはございますでしょうか。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部長 

11ページのことかと思いますが、ほかにも実用化に向けて進めているものもあります。除電器で申し上げますと、こういう関係を実施している民間の企業と協力しながら実施しております。そういったところで協力し、研究して実際に、いわゆるサイロの所で、どの位置に付けたらいいか、大体はサイロに粉が入る前段階のパイプのところに付けるのですけれども、何個付けたらいいか、例えば2段階に付けたほうがいいのかとか、そういういろいろな研究を進めて、どういうのが一番効率がいいかという研究を進めることによって、これが実際の現場で使えるものになっていきます。今現在でも実用になるものになっていますけれども、それを更に実際の会社で使っていただく上では、更に性能を確認し、効果等を研究しておかないと、せっかく付けたのはいいけれど、ということになってはいけないので、更に研究を進めております。これ以外にも、土砂崩壊を予知する検知装置も開発しておりまして、これは実用化されておりますけれども、それを更に利用していただくために、それを販売している会社と協力しながら普及に努めております。

 

○今村主査

 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

 

○中村構成員

 御報告いただいたわけですけれども、研究内容、それから社会的貢献について、非常に評価されるなという印象を持ったわけですが、今回の体制になりまして項目別評定というものが、より具体的に、客観的に出されるようになりましたね。大体、Bを基準にして120%を超える場合にはA評定である。更に120%以上であって、質的に顕著な成果があった場合にはSだと。今までは、どちらかというと数値よりは主観的な内容での判断というのが多かったようにも思うわけですけれども、こういった形のほうが非常にいいと思うのです。それで見たときに、この1-6、最後に御説明していただいたものが数値目標に対して2倍ということで、いわゆる200%というものが結構あるわけですよね。例えば企業からの研究員の受入れ人数、これは20名に対して82名で4倍ですよ。それから、研究課題の共同研究、これは15%に対して34%ですから2倍以上という形になっている。しかも、ここに関しては国際研究協力協定の在り方を取りまとめたというように、これからのグローバル化をにらんで、研究所としての体制もきちんと整備しようという試みもみられるという辺りを評価すると、Aでなくてもいいのかなという気もちょっとするわけですけども、ここら辺、私の考えですが、そういう印象を持ちました。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画総合部長

 そのように言っていただいて大変ありがたく思っております。ただ、今回、評価の仕組がかなり変わりましたので、結果が2倍だったから単純にSになるというわけではないと言われております。すごく頑張ったというのをきちんと説明できないと、ASは駄目ですよと言われましたので、うちとしては頑張ってAを付けさせていただいたのはありますが、という事情です。

 

○田宮構成員

 大変頑張っていただいていることはよく分かったのですけれども、今後の統合のことも今日は頭に入れながら聞かせていただいて、やはり研究としての位置付け、今は研究所であるわけで、今度は研究所という形ではなくなりますよね。その中で、研究ということがどう位置付くのかなという不安をずっと抱いていて、酒井先生がおっしゃった懸念と同じですけれども。そうすると、段々評価も研究ではなくなるのかなというような、でも、やはり今、JNIOSHとして非常に重要な役割を果たしていて、アメリカのNIOSHとの交流もありますし、やはり研究する所は絶対必要なのです。そういう意味で、この評価を今日見ていると、現状の論文や、やはり研究としての研究成果そのものの評価が余りダイレクトに出てくる項目がないような気がします。例えば1-2ですと、研究の実施、こういうことを実施していますよということがいろいろ出てきて非常にニーズのある研究をしてらっしゃるのは分かりますけれども、そこにどのような学術的なオリジナリティーのある成果が出たかという記載は全くなく、ただ、リストを見ると、結構ちゃんと業績を出してらっしゃるのですよね。それで、逆に1-4は、今度は成果の普及ということになって、学会発表が全面に出ているのですね。それはそれでいいのですけれども、やはり研究所である以上は、学術研究のあるレベルをきちんと保っていて、それを評価して、それをいかに現実の社会に還元していくかという、両方の評価が必要だと思いますので、そういう意味では、頑張ってらっしゃるのに研究そのもののピュアな評価が少し、前に比べると。以前は出典の原著論文を書いていただいた結果も出ていたと思うのですけれども、ちょっとその色合いが少なくなっているのかなという、これは懸念を持って見ているからかもしれませんが、今後に際して頑張って原著論文もやっていらっしゃるし、Industrial Healthの業績もすごいと思うのですよね。こういうことが見えるような評価も、今後に向けても心がけていただければというコメントです。

 

○労働安全総合研究所研究企画調整部長

 ありがとうございます。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 研究所、JNIOSHということで認知もされてきているところがあるかと思いますので、今後、中期目標を検討していく中での話になるかと思いますけれども、できるだけ先生からいただいた御意見も踏まえて、研究所という名称は、対外的に使えるような形でできないかということも含めて検討したいと思っております。

 

○宮崎構成員

 参考までに教えていただきたいのですが、資料1-218ページで特許の活用実施状況というのがありまして、実施許諾料を得ている特許が1件あるとなっておりまして、差し支えなければ、どういった内容の特許なのかを説明いただければということと、実際に実用レベルで活用されている特許があるのであれば、こういったものをより深めて研究していくという視点もあってよいのではないかと思いますので、その観点をどのようにお考えかを教えていただきたいというのが1点です。もう1点は、資料1-1で、広く業界団体のいろいろな意見を伺いましたという説明をいただいておりまして、1-3で研究のプロジェクトに照らして内部評価と外部評価を行っていますとあります。1-1で、いろいろな業界団体にいろいろなニーズを伺ったものを、1-3の事前評価と中間評価に、どのようにプロジェクト研究に反映させているのか。資料を見ますと、現行は中期計画の途中なので、事前と中間評価はなしと記載があるのです。これは今後、よりニーズのあるところを研究テーマに組み込んでいくことが重要ではないかと思っていますので、現状の取組状況だけを説明いただければと思います。

 

○労働安全総合研究所安全研究領域長

 特許について話します。1-4-5の特許出願資料に出ている件数は1件ですが、これは墜落防止用のエアバック、その特許です。それなりに数が出ておりまして、ここ45年継続的に特許収入が得られているものです。ただ、エアバックもそうですが、実は先ほど話をしました静電気防止災害のための除電器、あるいは建設の、先ほど申し上げました土砂崩壊用の検知装置、実はこの辺もこれからの普及が結構見込めます。そして特許料の収入が見込めるものということですので、むしろ、これからいろいろ収入が見込めるものを仕込んでいる最中です。

 

○労働安全総合研究所研究企画調整部長 

 続きまして、業界ニーズの反映ということですが、今、動いているプロジェクト研究が終了のほうに動いていますので、今ということではないのですが、実は次の中期計画を見越して新しくプロジェクト研究を立ち上げる準備をしております。その中で、13ページで見ますと、事前評価の項目の中に、2番に研究計画があります。それから5番に、その他の視点というのもありますけれども、計画を立てる上でニーズを踏まえたものであるかとか、研究成果の活用・公表ということでいきますと、活用する上で当然業界ニーズに合っていなければ活用されないことになりますから、そういった項目を評価するときに、現場のニーズを踏まえたものになっているかどうかが当然、評価対象になって、それが研究計画に生かされていくことになります。

 

○今村主査

 いろいろ御議論いただきたいのですが、終了の予定時刻もありますので、一旦ここで次に移らせていただきたいと思います。今の段階のコメントで、お答えいただく必要はないのですけれども、アウトカムとアウトプットという言葉が、評価官、そちらでも検討いただきたいと思うのですが、例えば研究所、それから病院などの現場を持っているところで、アウトプット、それから、アウトカム、特にアウトカムはかなり違ってきます。だから、この言葉をお使いになるのは非常にいい試みだと思うのですが、特にアウトカムって何だろうと。労働現場の災害のところまで、浸透するまでを全部考えてアウトカムと評価するとしたら、かなり広い視野の評価指標が必要になってきますので、見ている限りは、どうもアウトプットに今回は数量指標が集中しているようなので、その辺を是非御検討いただきたい。これは今後の検討でお願いいたします。

 それでは、2-1から4-3まで、業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、及びその他業務運営に関する重要事項にかかる項目ごとにつきまして議論をしたいと思います。それでは、先ほどと同様の流れで、法人及び法人所管課から御説明いただき、その後で質疑応答ということでお願いいたします。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

 総務部長の藤本でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。これから説明する事項につきましては、私どもで、全て評価についてはBということで自己評価させていただいている内容です。

 まず、2-1から説明します。「機動的かつ効率的な業務運営」です。これにつきましては、パワポの資料の中に出ておりますように、柔軟な組織体制の実現と各種の見直しを実施しています。私どもは理事長のリーダーシップのもと、毎週火曜日の幹部会議、それから金曜日に地区別の合同部長会議、これは9の研究グループと3つのセンターがあり、これらのものが一堂に会した会議を開いて、週ごとに状況等について把握し、必要な指示や把握をしているところです。さらに、役員会議として年4回、おおむね四半期に一度ですが、会議を開いて内容等について周知を図ると同時に評価、それから指導に向けているということです。

 続きまして、効率的な研究業務の推進ということで、各研究グループごとの日常的な研究の進捗等々につきましては、内部・外部の評価会議で厳正な課題評価、討論、あるいは実際の報告会、さらに行政要請研究報告会等、こういった報告会を行い、質の維持向上を図っているところです。さらに、研究管理システムによる研究の進行状況等について把握し、基本的にはまず本人から各グループ、研究グループの長に上げていただいた上で、さらに領域長、それからその役員というようなヒエラルキーの中で、的確に研究の進捗を図っているところです。

 続きまして、右側ですが、資質の高い人材の登用です。当然、資質の高い人材を登用することで、平成231月付けで策定しました人活の方針をホームページに公表しています。これに基づいて取組を推進しているところで、現実的には直近ですと平成2641日付けで、任期を付さない研究職員として1名を採用したところです。さらに先程来、出ておりますが、行政からの横断的課題でありました過労死に関するセンターを立ち上げていますが、このセンターにつきましては、法の制定を踏まえて直ちに行動に着手し、平成26111日にセンターを設立し、センター長についても本年41日に採用させていただいたところで、順次、組織の整理と実現を図っています。

 続きまして、業務・システムの効率化です。業務をするに当たりまして、研究所独特の業務環境がありますので、スケジュール管理については、サイボウズで全員が見えるようなスケジュール管理をすると同時に、必要なファイル等については、プロセルフの中に必要なものを入れると同時に、機密情報の保護という観点もありますので、特定のファイルについては暗号を付して他の者に見られないようにしつつも、情報の共有化を図っています。さらに先程来、出てきました会議等につきましては、テレビ電話を利用して、わざわざ来ていただく手間を省いて、即時に会議ができるような体制も整えているところです。

 続きまして、研究員の業績評価につきましては書いているとおりです。これは内部・外部の評価もそうですけれども、特に赤字で書いていますように、私どもは内部研究評価の規定を改正しています。内部評価をするに当たっては、まず研究の業績は元よりですが、対外的な貢献、あるいは所内の貢献、いわゆる研究業務以外の業務を含む貢献ですが、これらの3つを評価の対象として客観的な評価をしています。現実にそれにかなった方たちについては一番下に書いてありますように、各種の表彰等をしているところです。以上です。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 それでは、評価書()52ページを御覧ください。主務大臣による評価の評定はBです。評定に至った理由ですが、定量的な目標がないところですけれども、こちらにたくさん書いてあります。これらの状況を踏まえて、Bとしております。特に幹部会議の週1回の開催は、機動的かつ効率的な業務運営に資するものでもありますし、内部統制の充実強化にも資するものであると評価できます。また、ICTの積極的な活用による業務の効率化も図っておりますし、監事との連携も深めている、あるいは研究員の業績評価もきちんと行って、人事管理に反映させているということで、評定をBとしているものです。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

 続いて、2-2(その1)は、これも自己評価Bです。まず数値目標ですが、業務の効率化に係る経費の目標です。中期目標期間中において、平成22年度の運営交付金から一般管理費については15%、事業費(人件費を除く)は、5%に相当する額を節減する目標としており、この結果については、下表のとおりです。これは予算ベースですが、順調に節減を果たしています。若干ですが、目標を上回るような数値になっております。

 数値目標2は、常勤役職員の人件費について、毎年度1%以上を節減するという目標ですが、これについても表記のとおりです。平成23年以降、予算は当然ですが、決算額を見ていただくと、平成24年度は予算に対しての15%、平成25年度は14%、平成26年度は6%ということで、この分は節減を図っているところで、目標を達成しています。

2-2(その2)は、効率化に伴う経費の節減です。私どもは、一般競争入札の徹底を図っています。これについては、平成19年の総務省の行政管理局からの通達に基づいて、厚生労働省から出された事務連絡に基づき、随意契約等の見直し計画を立てております。

 この中で、公告期間の延伸とか、あるいは仕様書の内容の見直し、これは参入が可能な見直し、更に入札参加要件の緩和等といったようなものを行っております。これは基準年に比して、基準年が9件の随意契約があったわけですが、これが4件まで下げさせていただき、残りの4件についても、内容は、水道、それから、官報公告で、これらは競争性のない競争です。もう1つはガスですが、これが4件残って、ほぼ収斂されて基本的な目標は達成されているかというところです。

 次に、省エネルギーの対策の推進については、私ども研究所全体の研究棟の管理の中で、省エネ、省資源の働き掛けをしております。日照時間帯の廊下、あるいは昼休み中の室内の消灯等の取組も実施している結果が、電気使用量が7.6%から3.4%減少するという効果を生んでおります。平成26年度の光熱水量の合計は残念なことに各々料金が上がっており5%ほど増加していますが、使用量については、基準年である平成22年に比して、電気は20.9%、ガスは11.1%の減少を見ています。

2-2(その3)は、ラスパイレス指数です。給与規程については、国に準拠した給与規程を取っております。私ども独特の手当というのは一切ございません。その結果、内容としては、研究の方については92.6%、事務職員は107.0%という結果です。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()58ページを御覧ください。主務大臣による評価は、評定Bです。運営交付金のうち、一般管理費については、予算額の15%削減ということですが、平成26年度は12.2%の削減で、目標に沿った削減が図られているということで、Bとしております。

 誤植で、今後の課題の所に2行が書いてありますが、ここを削除いただけますでしょうか。「なし」とすべきところを、このような記述が残ってしまいました。申し訳ございません。以上です。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

3-1は、これも自己評価Bです。運営資金交付金以外の収入の拡大については、競争的研究資金と受託研究について十分に考慮した上で、獲得に努力しているところですが、その結果については右表のとおりです。

 今年度の目標は14.4%、これは前年が18.7%ですが、この3分の1の資金獲得というのは、なかなか難しい状況になっております。これについては、本目標について、そもそも平成22年度の段階で目標を立てた際に、この数値が、受託研究の部分が非常に突出しているわけですが、この突出分というのはNEDOから大型の受託研究資金を得ました。25,000万円弱の資金を得ておりまして、これを基準に頑張ろうということで作ったものですから、非常に見映えが悪いのですが、各々の年も比較的、私どもとしては非常に頑張っているところで、御理解いただければと思っております。

 更に、自己収入の確保の中で申し上げると、総額約200万円の自己収入の確保ができております。これは1つは、貸与ということで、私どもが持つ大型プレス、あるいはクレーン等を研究の空いているときに民間に貸し出したものと、それから先ほど来、出ている著作権について、その著作権料、あるいは特許の実施料があり、全体としては約200万円の数値になっております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()65ページを御覧ください。主務大臣による評価は、評定Bです。先ほども説明がありましたが、主な評価指標は、定量的指標が研究資金の3分の1以上を外部研究資金によって獲得するよう努めるといったことで、状況はなかなか厳しいのですが、「また」以下に書いてあるとおり、競争的研究資金、あるいは受託研究の獲得に向け、役員自らが公益団体等における講演、あるいは研究発表、総会の様々な場を活用して積極的に働きかけたということを評価しております。労働安全衛生分野の研究というのは、やはり生産技術の研究と違って、企業の収益に直結するものではないというようなことで、企業や業界団体からの資金獲得が困難であるということは評価に当たって配慮が必要であると考え、評価をBとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

3-2は、自己評価Bです。経費の節減を見込んだ予算による業務運営の実施については、先ほど来、申し上げているとおり、一般競争入札による調達の推進とか、省エネ等によって経費の節減に努めております。

 その結果として、具体的には一者応札の割合を大幅に減らすことができました。基準年の43件が、現在29件で、ほぼ半減に近い形で結果を得ております。

 続いて、全体予算・決算については、下表のとおりです。これは当初予算額に対する執行率ですが、人件費は97.1%、一般管理費は73.1%、業務経費は101.1%です。業務経費については下に書いてありますが、実は研究に必要不可欠な示差式断熱型熱量計という爆発等に使う計器が途中で壊れました。非常に高い物ですので、これを入れた結果、残念なことにその目標を超えてしまいました。他のものについては目標の中に入っています。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()68ページを御覧ください。主務大臣による評価は、評定Bです。一般競争入札の推進、あるいは省エネの徹底ということで、一般管理費の大幅な減少、あるいは常勤役職員の人件費の減少を達成しています。業務経費は先ほど説明があった理由により増加しておりますが、全体としては4.2%の削減を達成していることで、評定Bとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

4-1は自己評価Bです。新規研究員の採用については、JREC-IN及び学会誌への公募掲載とか、あるいはホームページへの掲載等、多角的に展開して、高い能力を持った任期付研究員の採用活動を行っております。先ほど説明のとおり、平成2641日は、1名の方を任期を付さない研究職員として採用したところです。採用状況については、下表のとおりです。人事評価についても、先ほど申し上げた3つの観点から実施しているということです。

 人員の指標について、基準年は104名の人員でスタートしていますが、この目標を上回らないような目標を立てており、現在は99名で、この目標は到達しています。

 続いて、それに見合って、人件費の総額については、基準年に策定した計画上、94,388万円の予定のところ、平成26年は89,544万円ということで、約5,000万円弱の節減がなされています。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()71ページを御覧ください。主務大臣による評価は、評定Bです。評定に至った理由として、新規採用研究員に対して、安衛研の研究員に期待される役割ということを理解させるよう配慮していること。あるいは中堅研究員をチューターに任命して、支援、指導させていること。それから、研究員の資質・能力向上のために在来研究員派遣規程を新たに制定したということで、海外の研究機関にも派遣できるようにしたことが評価できます。

 また、研究員の流動化についても、原則として、任期付研究員として採用し、3年間の任期中の成果等を総合判断して常勤研究員とするかを判断しているということで、評定Bとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

4-2は、自己評価Bです。これは施設及び設備に関する事項ということです。計画的な施設・整備ですが、年度当初に計画をしている施設・整備計画については、網羅して実施しておりまして、Bとしております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()75ページを御覧ください。主務大臣による評価は、評定Bです。平成26年度も計画どおりに行っており、評定Bとしております。

 

○労働安全衛生総合研究所総務部長

4-3は、自己評価Bです。求められている情報の管理とか、研究倫理、それから法令遵守状況の把握等については、表記のとおり必要な措置を講じているところです。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

 評価書()77ページを御覧ください。主務大臣による評価は、評定Bです。情報公開の適切さ、あるいは個人情報の保護の取組、あるいは公的研究費の不正使用防止についての取組については評価ができ、評定Bとしております。

 

○今村主査

 ただいまの説明があった事項について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○高田構成員

 パワポの28ページに給与水準の比較が載っていますが、研究職員のほうがかなり低い数字になっています。これはどういうことでしょうか。

 

○労働安全衛生総合研究所理事(福澤)

 総務担当理事の福澤でございます。総務部長が説明申し上げたとおり、私どもは国家公務員給与体系に完全に準拠しております。ラスパイレス指数を計算するときには、いろいろな諸手当も入っています。例えば住居手当とか、扶養手当といった手当も込みでラスパイレス指数を比較しております。我が研究所の特徴は、その手当を受け取る資格のない人が多いために、多分こういうことになっているというように分析しております。端的に言えば、扶養手当を受け取る資格がないとか、もともと国立研究所でしたので、まだ公務員宿舎に入っておられる方もいらして、その方々は住居手当を受け取れないこともあります。いろいろな手当の部分で、このようになっていると御理解いただければ有り難いと思います。

 

○今村主査

 会議時間が若干押しておりますが、特段、なければ、よろしいですか。多少は延びてもいいのでしょうか。第1回なので、いろいろ試行錯誤がありますので。もしありましたら。

 

○関口構成員

 今、高田先生から御質問があった件に絡んでですが、任期付研究員の方を今回募集されていることについて、今の研究職の方の割合としては、任期付研究員の方はどのぐらいいらっしゃいますか。質問の意図としては、任期付研究員の方だと、やはり先ほどの御説明にあった諸手当の部分で、そういう意味では処遇差があるのかなというように理解したのですが、そういうことでよろしいでしょうか。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部首席研究員

 正確には、ちょっと分かりませんが、大体1015%ぐらいの間だと思います。

 

○田宮構成員

 同じ所ですが、非常勤が多いと、やはり手当は減ると思います。これは非常勤の方は入っていないのですか。

 

○労働安全衛生総合研究所研究企画調整部首席研究員

 入っておりません。

 

○田宮構成員

 分かりました。

 

○酒井構成員

 パワポの29ページの競争的研究資金ですが、数字を見たときに、37件で4,098万円ですか。ということは、1件当たり100万円ですね。どなたかが先ほど質問したように、皆さん方は、ものすごく行政ミッションの仕事から様々な種類の仕事を相当やっておられて、かつ1件当たり100万円、厚生労働科研費を含めて1件当たり100万円ということは余りにも小さいというか、若い人たちがこれを使ってやるということはいいと思いますが、皆さん方も介入して戦略的に研究所としてやる大型のものを若い人を入れて分担してやるというような形にしないと、数ばかり多くて効率が非常に悪くなるのではないかと、余計なことですが、ちょっと心配するのですが、いかがでしょうか。

 

○労働安全衛生総合研究所理事(豊澤)

 研究担当理事の豊澤です。科研費については、大学と競争して取るわけですが、若手中心に、基盤的研究の一環として獲得してもらっています。基盤的研究で基礎的な研究力を高めていただき、一方で、それを応用してプロジェクト研究、行政要請研究に対応していくという方針です。確かに、基盤的研究が48件ありまして、それにプラス科研費による研究が全部で、現在のところ37件です。研究員にとってはかなりの負担になっていると思いますが、両方やっていただきたいと思っています。ABを選ぶときにどちらかだけを選択するのではなく両方を、頑張って担当していただきたいということで対応しております。プロジェクト研究等で、実務に応用する研究を行い、かつ基盤的研究、科研費研究で研究の基礎力を養っていただくという、その両方を達成することをにらんでいるところです。

 

○労働安全衛生総合研究所理事(福澤)

 もう1つ補足させていただくと、酒井先生の御指摘は、若手の研究者の育成というところにつながると思います。災害調査の場合なども、なるべく若手の研究者を一緒に現場に出して、それが良い教育になるということ。それから、豊澤が申し上げたように科研費を取ることは、きちんとした良い研究計画を立てるという訓練にもなるので、そういう観点から若手研究者の育成という観点からも配慮した研究の配置、エフォートの配置ということは常に考えております。

 

○酒井構成員

 考え方、理念も、その通りだと思って賛成ですが、余りにも件数の数を多く取り組むということは、必ずしも若い人にとっていいことかどうかは、ちょっと考えましたので申し上げました。

 

○今村主査

 ありがとうございます。今後の質疑と説明の時間配分の参考にしていただければと思います。

 次に、業務の監査結果に移ります。監査結果を取りまとめた監査報告について説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や、今後の課題、改善報告等についてコメントをお願いします。最初は事務局から、その後、法人の監事及び監査報告について説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 法人の監事については、法人の理事長と同様に、主務大臣から任命された独立の機関でありまして、法人の業務を監査することにより、法人の適切な業務運営を確保し、統治体制の確立に資する責務を負っております。このため、監事が監査等において把握した業務の運営状況や問題点等について、冒頭にも御説明しましたように、直接監事から意見を聴取するなどの機会を設けることは、主務大臣による評価に資するものであるとの観点から、通則法第19条第4項の規定に基づき作成される「監査報告」について御説明いただくとともに、監査等を踏まえたコメントを頂くこととしております。それでは法人の監事より、御説明及びコメントをよろしくお願いします。

 

○労働安全衛生総合研究所監事

 監事の海野でございます。ブルーのファイルの一番最後の3ページ分が監査報告のパートです。624日付けで、理事長宛てに提出いたしております。「監査報告」というタイトルのある部分を御覧ください。1が監査の方法及びその内容で、2が監査の結果です。先ほど来の自己評価の対象となっている業務全体について監査の対象になるわけですので、この監査報告も今までの説明事項とパラレルな存在であるということになります。1から2の監査の結果では、15までが監査結果です。先ほど来の説明との関係で関連の深いものは、1番の「研究所の業務は、法令等に従い適正に実施され、また、中期目標の着実な達成に向け効果的かつ効率的に実施されているものと認める」というのが監査の結果です。先ほど来からのAないしBという自己評価ということもありまして、その評価の論議等にも私は参画しておりますので、それと整合するというか、私の意見もそれと同様でございます。2番以下も非常に重要な監査項目ですが、個別の説明は省略させていただきます。いずれも問題はないということです。

 3は、閣議決定等で監事の監査が定められている事項についての意見ですが、指摘すべき重大な事項は認められないというのが私どもの判断です。

 末尾に私と非常勤の藤川監事が署名しておりますが、両名で協議した結果、同意見ということで、このような監査報告を出しました。

 若干、付言いたしますと、当研究所は今までの御説明にあったように、規模が非常にコンパクトであるということもありまして、外部から参りました私のような監事としても、諸会議に継続的に出席することなどによって、業務実態やマネージメントの主要課題ということを把握するのが比較的容易であると、このように考えております。そうした中で、理事長以下のマネージメントは、全般にわたり、相当程度きめ細かく、かつ適切になされているという心証を持っております。

 本日の自己評価の対象にはなっていませんが、何遍もお話が出ているように、当面の大きな課題の1つは、労福機構との統合であると考えますが、それに向けての諸準備、取組も、現在のところ特段の問題なく取り組まれつつあると考えております。以上です。

 

○今村主査

 それでは続いて、法人の理事長より、日々のマネージメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況、今後の課題、改善方針等についてコメントを頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働安全衛生総合研究所理事長

 理事長の小川でございます。先ほどから繰り返し説明させていただいていますが、我が研究所は、労働安全衛生を推進するために、労働現場、行政、並びに産業界と密接に交流を図りながら、労働現場のニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた研究、調査を進めています。

 具体的にはプロジェクト研究及び災害調査が重要な業務となっています。また、これも繰り返しになりますが、平成26年度は「過労死等調査研究センター」を立ち上げて、研究及び調査を開始しました。

 また、国内ばかりではなく、国際的視点に立った最新の知識、技術の導入が今や求められていますので、研究員の積極的な海外との交流も進めています。

 運営面では近時、特に重要課題となっていますのが情報セキュリティ確保に向けた、今まで以上の高度な対策です。それから、研究不正防止の、より厳密な対策。これも非常に緊急に対応しなければならない課題であり、研究職員の意識改革を含めて、取り組みを強めているという状況です。もちろんこれらの課題に適切に対応することだけではなく、法律などを遵守し、研究所のミッションを有効かつ効率的に果たしていくために、内部統制システムの強化に取り組んでいます。

 今後の課題としましては、監事のほうからも指摘がありますように、労福機構との統合によって、更なる研究の質の向上と、成果の普及を図るべく、研究所としては、体制の整備及び研究職員の意識改革も重要だというように考えています。

 業務を効率的、効果的に推進するためには、内部統制システムの強化はもとより、一部の研究職員にどうしても負担が集中しがちになることを、なるべく目配りの行き届いた業務管理によって、それを避けること、そして有能な研究職員の確保もまた重要となります。殊に、労働安全衛生分野において専門性を持つ人材が、我が国では特に不足していますので、その研究者の育成が非常に重要な課題です。

 これらに対する改善方針としましては、まず、統合問題ですが、統合に合わせて、研究の幅を広げるために、まずは共同研究を通して、労災病院、産業総合支援センターとの交流を図ることが、最初にやるべきことではないかと考えています。

 人材の育成に関しましては、長期的な視点のもとに、連携大学院制度に基づく大学院生の研究指導を活用して、戦略的に育成採用する方向で進めるということ。それから、昨年度に制度を導入して今年度から開始するのですが、海外派遣制度の導入によって、研究員の研究内容、研究意欲などを活性化させることにより、能力の開発・向上を、今後、ますます進めて行きたいと考えています。

以上、簡単ですが、私のコメントとさせていただきます。

 

○今村主査

 ただいまの発言内容について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

 最後に、項目評定におけるこれまでの議論や、ただいまの法人の監事及び理事長の御発言などを踏まえて、法人全体の状況について評価をする総合評定の議論に移ります。それでは、法人所管課より総合評定について説明をお願いします。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

2ページを御覧ください。全体の評定として、1番、B、中期目標期間中における目標を達成していると認められる。その理由として、項目別評定は業務の質の向上に係る事項は7項目においてAとしましたが、その他の12項目はBということで、全体の評定を引き下げる事象もなかったため、評価基準に基づきBとしたところです。

2番は、法人全体に対する評価です。法令等の法制改定に貢献していることと、ホームページのアクセス件数の達成、あるいは研究交流の大幅な業績。それから、過労死等調査研究センターの設置、それから、労働災害の原因調査の迅速かつ適切な実施ということを高く評価をしております。特に業務運営上の問題は検出されておらず、全体として順調な組織運営が行われていると評価しております。

 全体の評定を行う上で特に考慮すべき事項は、「なし」としております。

3番の課題については、連携大学院協定を締結しておりますが、実際に客員教授等を派遣していない大学院との連携の再活性化の取組、あるいは新規の協定締結に向けた取組、非常勤講師等を派遣しているその他の大学等との関係強化に向けた取組を進める必要があると考えております。これは、個別の事項の1-6-2の関係です。

 主務大臣による改善命令を検討すべき事項は、「なし」ということです。以上です。

 

○今村主査

 ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。

 

○酒井構成員

 今日1日、報告を聞いておりまして、1234とあって、確かに所管課からの報告のように、業務の7項目はAにしたが、その他12項目がBであり、だから総合Bだということですが、一番重要だと思われる労働安全衛生総合研究所での研究及びその普及に関しての1だけを見ていった場合に、はるかにBよりAのほうが多いわけです。ほとんど運営に関してのものが堅実に取り行われていたという意味でBですから、私は、総合Aではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課調査官

Aの高い評価を頂いて有り難く思いますが、個別の評定を点数化して、過剰平均により算出する方法によって、その評価基準というのは、それですので、このような形になっております。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 非常に心強い御指導のお言葉を頂きまして、ありがとうございます。もし、本当に可能であれば、評価については、評価()、評価書を作成するときに、御意見を踏まえて作成していきたいと思っている次第です。

 

○今村主査

 以前は、ほぼ平均値を取ってやっているやり方でしたが、確かにそれは踏襲されているので意義はございませんが、ただ、御発言のように、やはりウエイトですよね。少し評価にウエイト付けして集計をするというような手法もあり得るのではないかと思いますので、是非、御検討いただければと思います。よろしいですか、その検討いただくということで。

 それでは、一応、これで本日の議事は終了することになります。模索の中で、御協力ありがとうございました。それでは、法人及び法人所管課より、一言ずついただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働安全衛生総合研究所理事長

 本日は、有識者の先生方から非常に多くの貴重な御意見を頂きました。それから、励ましのお言葉も頂きました。当研究所は、これからのますますの発展のために、それら御意見を十分に咀嚼し、今後の業務運営に活用していきたいと思っております。本日は、本当にありがとうございました。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 有識者会議の構成員の皆様におかれましては、御多用の中、労働安全衛生総合研究所の平成26年度の事業実績並びに主務大臣による評価書()について、貴重な御意見、御指摘を賜りまして、更に力強い御支援のお言葉も頂きまして、誠に感謝申し上げる次第でございます。

 今後、事務局において、本日の会議での御指摘をいただいた点、先ほどのウエイトの点も含めて、評価書を作成してまいりたいと思います。本日は誠にありがとうございました。

 

○今村主査

 どうもありがとうございました。今の所管課の御発言のように、本日、非常に貴重な意見を頂きましたので、報告書の内容、あるいは今後の書評についても御検討いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、今後の流れと、次回の開催について連絡をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました労働安全衛生総合研究所の平成26年度業務実績評価については、この後、主査からお話があったように、本WGにおける御意見や、法人の理事長及び監事からいただいたコメント等を踏まえて、厚生労働大臣による評価としての決定ということで最終的に確定させ、その評価結果については、法人に通知するとともに、公表させていただきます。決定した内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたします。

 なお、労働安全衛生総合絢究所については、会議の冒頭でも申し上げたとおり、本年度が中期目標期間の最終年度に該当するため、86日の木曜日に開催予定としておりますが、第6回労働WGにおいて、中期目標期間の最終年度に実施される「中期目標期間終了時に見込まれる業務の実績の評価」、いわゆる「見込評価」について、御意見を賜ることとしておりますので、お忙しいところ大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

 次回の本WGの開催については、724日の金曜日の16時からを予定しております。場所は、厚生労働省の19階の共用第8会議室です。議題としては、労働者健康福祉機構の平成26年度業務実績評価について御意見を賜ることとしております。最後に、本日、配付の資料は分量的に結構多く、送付を御希望される場合には、事務局より送付いたしますので、机上に置いたままにしていただき、御退席ください。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 本日は、以上とさせていただきます。時間がオーバーして長時間にわたってしまいましたが、熱心な御議論をいただき、どうもありがとうございました。お疲れ様でございました。


(了)

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