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2015年3月17日 平成26年度第2回管理濃度等検討会議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境改善室

○日時

平成27年3月17日(火) 10:00~12:15


○場所

経済産業省別館 各省庁共用1107会議室


○議題

ナフタレン及びリフラクトリーセラミックファイバーに関する管理濃度、測定方法、局所排気装置の性能要件について 等

○議事

 

○大淵環境改善室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから「平成26年度第2回管理濃度等検討会」を開催いたします。本日は、菅野委員が御都合により御欠席となっております。また、中明委員におかれましては、電車の遅延により40分ほど遅れるという御連絡を頂いておりますのでよろしくお願いいたします。

 事務局につきましては、前回7月に開催いたしましたけれども、その直後に環境改善室長の異動がありまして、新たに濱本が室長に着任しましたことを御報告させていただきます。

○濱本環境改善室長 濱本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○大淵環境改善室長補佐 はじめに、本日の議題と資料の確認をいたします。まず議事次第を御覧ください。本日の議事として(1)平成26年度第1回検討会の検討結果について。(2)管理濃度の設定方法の見直しについて。(3)個別物質の管理濃度等の検討ということで、丸数字1として「ナフタレン」に関する管理濃度、測定方法及び局所排気装置の性能要件について、丸数字2として「リフラクトリーセラミックファイバー」に関する管理濃度、測定方法及び局所排気装置の性能要件について。最後は(4)その他、ということで予定をしています。

 次の配布資料一覧に沿って資料確認をお願いいたします。資料は大きく2グループに分かれていて、単に「資料」で始まっているものと、「参考資料」というタイトルで始まっているもののグループがあります。まず「資料」のグループですが、こちらは資料2-1から資料2-10まで御用意しています。順にタイトルを読み上げてまいります。資料2-1平成26年度第1回管理濃度等検討会の検討結果について。資料2-2平成26年度末~平成27年度の管理濃度等の設定・見直しの検討について。資料2-3管理濃度の設定方法の見直しについて。資料2-4A4の横長の資料ですけれども、検討対象物質の概要。資料2-5「ナフタレン」及び「リフラクトリーセラミックファイバー」の管理濃度、測定方法及び局所排気装置の性能要件()。資料2-6は大きく2グループに分かれており、リスク評価の詳細リスク評価書になりますけれども、(1)がナフタレンの関係、(2)がリフラクトリーセラミックファイバーの関係で、評価書自体はもう少し厚いのですが、その中で本文の部分と測定方法に関係する部分を抜粋してお付けしています。

 続いて資料2-7平成26年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書。資料2-8はリフラクトリーセラミックファイバー関連の管理濃度等への意見ということで、セラミックファイバー工業会様からの意見書です。資料2-9F-1Kを用いたRCF取扱い作業現場の簡易測定法として、名古屋委員から御提出いただいた資料です。資料2-10は、今後の予定です。以上が「資料」というところで始まるものです。

 続いて「参考資料」のグループにまいります。参考資料2-1は作業環境の測定基準・評価基準の改正のパンフレットで、昨年の9月に改正を行っております。参考資料2-2は管理濃度・抑制濃度等一覧ということで、現在、管理濃度等を設定している物質についての一覧表です。

 参考資料2-3以降の資料については著作権の関係もありまして、机上配布、委員及び事務局のみの配布となっております。まず、参考資料2-3は、検討対象物質のACGIH提案理由書で、最初に(1)がナフタレンの提案理由書、丸数字1として原文です。それから、後半に日本語訳のものもお付けしております。次に、参考資料2-3(2)は、リフラクトリーセラミックファイバーについての、ACGIH提案理由書の原文及び後半部分が翻訳となっております。参考資料2-4ECの科学委員会の提案理由書で、リフラクトリーセラミックファイバーに関するものです。こちらも前半が原文、後半が翻訳となっておりまして、翻訳については、本日御出席のセラミックファイバー工業会様から御提供いただいたものです。参考資料2-5は、米国の労働省職業安全衛生次官補のレターの翻訳です。

 それから、各委員への参考資料として本日、当日配布資料をお配りしております。タイトルは「リフラクトリーセラミックファイバーに関する法令適用の整理」です。後ほど御説明しますが、リフラクトリーセラミックファイバーについては、今後、特化則にも入る予定ですけれども、現行においては既に粉じん則の適用がありますので、その関係を整理した資料です。

 配布資料は以上ですが、何か不足等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、以下の進行については座長の櫻井先生にお願いいたします。

○櫻井座長 それでは議事進行を務めます。よろしくお願いいたします。早速、本日の議題に入ります。まず議事(1)、「平成26年度第1回検討会の検討結果について」です。事務局から説明をお願いいたします。

○大淵環境改善室長補佐 資料2-1を御覧ください。本年度の第1回の検討会は、平成2674日に開催しました。結果について簡単に御報告します。1「平成25年度第2回検討会での検討結果について」ということで、こちらは報告事項でした。21,2-ジクロロプロパンについて」ということで、1,2-ジクロロプロパンについては、前年に管理濃度等の検討を行って、告示等もなされておりましたけれども、その後、日本産業衛生学会の許容濃度として1ppmが提案されたことを踏まえて、管理濃度について改めて検討したものです。

(1)として、管理濃度については、現行の10ppm1ppmに改正することが適当であるとされました。(2)測定方法としては、現行の方法は、管理濃度の改正案である1ppm1/10まで精度よく測定することができないものを含むため、試料採取方法については、改定することが適当であるとされました。現行では、固体捕集方法又は直接捕集方法となっていたものを、固体捕集方法のみにする、分析方法については、特にガスクロで変更なしでした。

3「技術的検討の結果を踏まえた測定方法の見直しについて」。「平成25年度新たな作業環境測定方法の実証的検証事業」、こちらの委託事業の結果を踏まえて、測定方法の見直しについて検討しました。(1)として捕集方法、分析方法の見直しということで、弗化水素及びホルムアルデヒドについて、現行の測定方法について、新たな捕集方法、分析方法の組合せによる測定が可能となるように、次のとおり改正することが適当であるとされました。具体的な内容については次のページに記載しております。現行の方法と改正案とをお示ししています。

 ただ、こちらについては基本的には妥当とされたのですけれども、前の1ページの所の最後に<注>として書かせていただいていますが、これらの測定方法は、検証事業における実験室での結果は一部安定しなかったが、現場での実証試験(現行測定方法との併行測定)では強い相関が認められているため、採用することとなったものです。ただし、実験室又はそれに代わる方法での検証を引き続き行うこととし、その結果を検討会に報告する予定となっております。

 こちらについては、その後の進捗状況も併せて御説明いたしますが、追加の検証を日本作業環境測定協会様にお願いしていまして、現在進行中です。今回はまだお示しできないのですが、結果がまとまった段階で、また、この検討会に御報告させていただく予定です。

2ページでは、(2)として検知管方式による測定の採用ということで、次の5物質について、現行の測定方法に加えて、検知管方式による測定方法が可能となるように改正することが適当であるとされました。5物質の具体的な内容としてはメチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、臭化メチル、ノルマルヘキサン、イソブチルアルコールです。

4「その他」。(1)ベリリウムの管理濃度等の検討について。事務局から次のとおり報告しました。ベリリウムの管理濃度等については、平成25年度第1回検討会からの継続案件となっていますが、引き続き現場での測定等を含めて情報収集中であり、今後、結果の整理を行い、次回検討会から検討を再開する予定です。こちらについても測定が長引いていて、今回はまだ報告できる段階にありませんので、予定としては、この秋以降の検討になるかと思います。

(2)ニッケル化合物の管理濃度等の検討について。事務局より次のとおり提案を行い、委員の了解が得られました。ニッケル化合物の管理濃度等については、平成25年度第1回検討会からの継続案件となっており、これまでの議論において、管理濃度を計算式で表す方法等が提案されましたが、いずれについても問題点が指摘されています。このため、更なる知見の収集、必要な調査等を行うこととし、管理濃度を改正する考え方について関係者の合意が得られるまでは、ニッケル化合物の管理濃度は現状どおりとすることとなりました。

 以上が前回の検討結果です。

○櫻井座長 ただいまの説明について、何か御意見、御質問がありましたらどうぞ。よろしいでしょうか。特にありませんでしょうか。

 特に御意見、御質問等がないようですので、議題の2に進みたいと思います。議事(2)「管理濃度の設定方法の見直しについて」です。事務局から説明をお願いします。

○大淵環境改善室長補佐 資料2-22-3を使って御説明いたします。まず資料2-2を御覧ください。「平成26年度末~平成27年度の管理濃度等の設定・見直しの検討について」です。この資料については、毎年度検討を始めるときに、どういう内容をどういう方針で検討する予定であるのかを、例年このような形でペーパーをお示ししておりますので、今回もそれに倣っております。

1番の「作業環境測定の実施義務」については説明を省略させていただきます。2番の「管理濃度の設定」についてですが、労働安全衛生法においては、事業者に対し、作業環境測定の結果を作業環境評価基準に基づき評価することを義務付けています。その作業環境評価基準において、物質ごとに「管理濃度」を定めています。現在、作業環境測定の対象となっている102物質のうち93物質について管理濃度が定められています。

3「管理濃度等の設定・見直し」ということで、(1)管理濃度の設定・見直し。作業環境測定の評価指標である「管理濃度」は、これまで「日本産業衛生学会の許容濃度」及び「米国産業衛生専門家会議(ACGIH)のばく露限界(TLV)」を指針として設定・見直しを行ってきましたが、最近の知見を踏まえて、設定方法の見直しを行います。こちらは後ほど資料2-3を御覧いただくこととしております。

 丸数字2ですが、改正後の設定方法に従って、作業環境測定の対象物質について「管理濃度」の設定、見直しを行います。後ほど設定方法の見直しについて御議論いただきまして、そこで賛成が得られましたら、新しい方法に従って今後はやっていくという趣旨です。

(2)測定基準の設定・見直し。作業環境測定の実施が必要な物質については、管理濃度及び測定技術を踏まえ、試料採取方法及び分析方法の設定、見直しを行うものです。

(3)として、局所排気装置の性能要件・稼働要件の設定・見直し。局所排気装置の設置により、有害物のばく露防止措置を講ずる必要がある物質については、局所排気装置の性能要件・稼働要件、こちらについては抑制濃度又は制御風速のいずれかで設定、見直しをすることとしております。なお、作業環境測定の評価指標として管理濃度が設定される物質については、抑制濃度により性能要件・稼働要件を設定することとし、その値は管理濃度と同じとします。また、管理濃度が設定されない物質については、制御風速により性能要件・稼働要件を設定することになっています。

4「検討スケジュール(予定)」ですけれども、まず、本日317日が平成26年度の第2回の検討会。次回としては417日に平成27年度の第1回検討会。それ以降は、おおむね秋ごろを考えておりますが、平成27年度の第2回、第3回ということで予定しております。

 まず今回、平成26年度の第2回については、検討内容として丸数字1管理濃度の設定方法の見直しを行います。それから丸数字2特定化学物質への追加が予定されている「ナフタレン」、「リフラクトリーセラミックファイバー」の管理濃度等の検討です。417日は、その検討についての引き続きということを予定しております。

 平成27年秋以降の検討ですが、先ほど申し上げた平成26年度の第1回で、少し宿題になっておりました技術的検討の結果を踏まえた測定方法の見直しで、それについては追加の検証結果などをまた御報告させていただきたいと思います。丸数字2として、健康障害事例を踏まえた「ベリリウム及びその化合物」の管理濃度等の検討。丸数字3は関係機関のばく露限界改正に伴う管理濃度等の検討。現在のところ、「マンガン及びその化合物」などについて、見直しを予定しています。

 続いて資料2-3「管理濃度の設定方法の見直しについて」です。こちらについて簡単に御説明いたしますと、今までは産業衛生学会の許容濃度、それから米国産業衛生専門家会議のばく露限界を参考にしてきたということで、ただいまの2-2の資料にもありましたが、この最近の知見を踏まえ、この決め方について見直しを事務局から提案させていただきたいと思います。

 参考としましたのは、本日も報告がありますけれども、平成18年度から化学物質のリスク評価が行われておりますが、その中で評価をするための基準値として評価値の設定、特に二次評価値の決定に際しては、ここでも産業衛生学会とACGIHの値をベースにはしているのですけれども、それ以外の値についても参考にすることとなっているので、それを考慮しながら、私どもの管理濃度を検討会でも設定していきたいという趣旨です。リスク評価検討会におけるその決め方については、ただいま御覧いただいている資料2-334ページにかけて、二次評価値の設定方法をどのような形でやっているかをお示ししていますので、御覧下さい。

 それを踏まえて事務局からの今回の提案ですが、現行の管理濃度の設定方法は、前回までのこの検討会の資料の中で記載していた方法で、今申し上げた産業衛生学会、それからACGIH、こちらを参考にして設定していました。

 <改正案>の提案です。改正案をこのまま読ませていただきます。3管理濃度等の設定・見直し。(1)管理濃度は、次の丸数字1、丸数字2の値を指針として、管理濃度等検討会における専門家による検討を踏まえて設定する。丸数字1日本産業衛生学会が勧告している許容濃度。丸数字2米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が提案しているばく露限界。

 設定の際には、原則として、日本産業衛生学会の許容濃度とACGIHのばく露限界が一致している場合には、その値を、また、両者の値が異なっている場合には、いずれか一方の値を管理濃度とする。ただし、丸数字1、丸数字2以外の職業ばく露限界であって、設定プロセスが明確であり、かつ、科学的根拠により提案がなされているものが存在し、これを活用することが適当な場合には、丸数字1、丸数字2に加え、その値も参考にして設定するものとする。

2ページ目を御覧下さい。参照可能な職業ばく露限界の例として、欧州委員会(EC)の「職業ばく露限度に関する科学専門委員会」(SCOEL)が提案する職業ばく露限界(OEL)。それから、活用することが適当な場合として、日本産業衛生学会、ACGIHと比較して提案年が新しく、新たなデータを基に提案がなされている場合等ということです。

 少し補足しますと、欧州委員会においては、大きく2つの種類に分かれたばく露限界があります。1つは加盟国にその濃度を義務付けるような強制力のある数字です。もう1つは、強制力はなくて科学的な観点で提案をして、各国はその提案に基づいて具体的に自分の国でどうするかという数字を決めるというグループがあります。アスベストなどは前者のグループになりますが、こちらに書いてある科学専門委員会で提案する濃度というのは、あくまでも科学的なものを提案するので、具体的に何の値を採用するかは各国に委ねられているというものです。私ども管理濃度等検討会で参考にするとすれば、行政的な政策的意図を持った値というよりは、科学的な知見を基に設定した値を検討材料として使いたいと思います。

 以上が事務局からの管理濃度の設定方法の見直しについての提案です。

○櫻井座長 ただいまの提案についての説明に関して、御意見、御質問はありますか。

○明星委員 質問なのですが、欧州委員会の職業ばく露限度というのは、3ページのドイツのMAKとか英国のWELと、どういう関係になっているのでしょうか。

○大淵環境改善室長補佐 関係といたしましては、最終的には各国で決めるので、あくまでも各国が決めるための参考資料という位置付けになると思います。強制力はないと聞いておりますので、各国が決める値は、各国の政策的な意図、行政的な意図を踏まえて決めることになります。したがって、物質によって欧州委員会が提案した値と各国が決めている値にずれが生じている物質も多くあるように見受けられます。

○明星委員 質問は、欧州委員会のほうが新しいのか、各国のほうが新しいのかということですが。

○濱本環境改善室長 まず、ここにお示しした欧州委員会というのは一例でありまして、これにとらわれる訳ではありません。今回提案させていただいたのは、例えば産業衛生学会あるいはACGIHを基本にすることは変わらないのですが、この提案がちょっと古くて10年ぐらい空いて、最新のものが欧州委員会とかMAKとかの値として、職業ばく露の科学的なものとして提案されている場合は、それも参考にしていただいたらどうかという意図です。

 欧州委員会というのは一例で、欧州委員会でも古いものはあると思いますので、そういうものを指しているのではなくて、あくまでもACGIHや産業衛生学会を主にする考えは変わらないわけです。それぞれの提案が古かったり、提案されていない場合は違う観点の検討が必要かもしれませんが、そういう要因があった場合、最新の知見があった場合に、この場で参考として御議論していだだければという趣旨です。

○明星委員 理解してはいるのですが、例えば、管理濃度は産業衛生学会の許容濃度よりは後だということは明らかではないですか。そういう意味での質問において、欧州委員会の方が新しく、産業衛生学会の提案の方が先に出て、各国のMAKなりWELが後で決まるような、そういうプロセスなのかという質問なのです。

○大淵環境改善室長補佐 順序はケース・バイ・ケースだと思うのですけれど、後ほど御説明するリフラクトリーセラミックファイバーなどは、各国でも既に数字が決められて、欧州委員会で決めたのは2011年と少し後で、資料の中に各国での数字がデータとして載っています。欧州委員会が先に提案すれば、その数字に各国が倣うのかもしれないですけれども、科学委員会でやっているのはどちらかというと、他の国が先に決まって欧州委員会が後に提案するケースが結構多いように見受けられます。

○明星委員 ですから、そのようなある程度収斂した議論を採用するのかという質問だったのです。必ずしもそれにはこだわらないという濱本室長の御意見ですね。

○濱本環境改善室長 それで、リフラクトリーセラミックファイバーの提案は、ACGIHの提案が2001年で、欧州委員会が2011年で、10年あいているので、その間に新たな知見なりが入っている可能性もありますので、10年もあけば、新たな知見も管理濃度を御議論いただく参考として活用していただいたらどうかと。

 今までは産業衛生学会とACGIHしか書かれていなかったものですから、管理濃度等検討会では基本的にそれが決まっていれば、それに委ねるという形でした。実際には参考にされていたとは思うのですけれども。それをこの委員会の取決めの中では、現行で書いてありますとおり、産業衛生学会、ACGIHを基本とするということだけだったものですから、それを現実に合わせたと言ったほうがいいのかもしれません。

 参考としたのは、リスク評価のときの二次評価値の決定も、ACGIH、産業衛生学会だけではなくて、その他の知見も参考にしていただいていますので、管理濃度についても検討する上で、そういうものも入れていただいてはという提案です。

○大前委員 リスク評価委員会のルールブックが3ページに載っています。これは二次評価の決定のiiiがありますけれど、iiに行くのはACGIH、産業衛生学会の提案がない場合にiiに行くのですね。これはリスク評価の方の理論なのですけれど、今回の場合は、あった場合でも提案年度が新しい、あるいはサイエンティフィックな証拠が確かならば、入れたらどうかという提案ということでよろしいわけですね。そこがリスク評価の方と違うのですね。

○濱本環境改善室長 そういう意味では少し広げるという形になります。

○小西委員 この改正で、今までずっと気になっていたことがあるのですが、この数値をACGIHと産業衛生学会を基本的に考えていくのは、別に問題があるということではないのですが、本来管理濃度というのは、定義上では3ページの一番下の行に書いてあるのですが、工学的対策の最大設定時の管理可能性の値です。ここの議論が、基本的には、工学的に本当にその値が大事なのかどうか、議論が今まで余りされていないように思います。

 ただ、それで抑制濃度を決めると、当然それは対策として取れるのだということを前提に、そのまま行ってしまっているのですけれども、そこは一度チェックする必要があると思います。いわゆる許容濃度とかTLVが設定されているいないにかかわらず、管理濃度がどんどん低くなっていく傾向があるのですけれども、そこのところの対策が本当に大丈夫なのかということも、検討した結果を残す必要があるのではないかと思います。

 なぜこのようなことを言うかというと、有機溶剤に関して言いますと、全国の測定された結果の管理区分の推移というのが、あるところで止まってしまっているのです。第一管理区分がずっと増えているかというと必ずしもそうではなくて、調査を始めたところから、ある一定のところに来てからずっと変わっていない。これは以前にもよく議論されたのですが、対策そのものが限界に来ているのではないかということも議論されているのです。

 対策自体が本当にそれで可能なのかということも、管理濃度として設定する場合には専門家の意見も少し入れたほうがいいのかなと思います。それが気になったものですから、是非、検討いただければと思います。

○松村委員 その点で、結局インジウムの場合には工学的対策が100%はいかないということで、呼吸用保護具が必須になってきたのですね。今後は、その辺のことも全体の対策の中では必要になってこざるを得ない。

○小西委員 工学的対策だけでは済まないということもあるのですね。

○松村委員 そういうことも含めて。

○濱本環境改善室長 松村委員が仰るように、インジウムの検討の際には、そういう御判断を頂いている部分もありますので、管理濃度の基準というのはあくまでも国が定める濃度ですので、参考とするのは科学的な許容濃度等ですけれども、最終的に管理濃度を定める上では、先ほどのインジウムの例もありましたけれども、そういった対策と照らし合わせて決定していただく方向で進めていただければと思います。

 これは特に何か基準を示しているわけではなくて、この委員会での合意という形で行っていただいているものですので、各委員がよろしければ、そういう工学的対策といいますか、実際の対策と照らし合わせて、実際にインジウムの例では既にそういう検討を行っていただいていますので、当然そういうものも入るということで委員会の合意としてよろしいでしょうか。

○櫻井座長 よろしいですね。

○濱本環境改善室長 ありがとうございます。

○松村委員 呼吸保護具の使い方についても、インジウムの場合には非常に限界の高い防護係数を要求しておりまして、指定防護係数では間に合わないので、個別に測って一番いい値を取っていいという、苦しい使い方を指示している状態です。

○櫻井座長 その他、何かありませんでしょうか。よろしければ今回から新しい見直しの方法を導入するということにいたします。

 それでは次に進みます。議題3ですが、「個別物質の管理濃度等の検討」を行います。今回は「ナフタレン」と「リフラクトリーセラミックファイバー」の検討を行いますが、まずは、事務局からリスク評価検討会報告書、それから健康障害防止措置検討会報告書について説明してください。

○高村化学物質情報管理官 評価を担当しております、化学物質評価室の高村と申します。よろしくお願いいたします。私からは、ナフタレン、リフラクトリーセラミックファイバーのリスク評価の結果の概要、それから、その後に行いました健康障害防止措置に係る検討会の報告書の概要を説明させていただきます。用います資料は資料2-6(1)(2)、資料2-7です。

 リスク評価の結果について、この2物質について続けて説明させていただきます。資料2-6(1)を御覧ください。ナフタレンのリスク評価の結果です。ナフタレンにつきましては平成25年度に初期評価、それから平成26年度に詳細評価を行い、平成267月にこのリスク評価書をまとめています。概要について御説明させていただきます。

1ページ、1の「物理化学的性質」ですが、化学式はC10H8 、ベンゼン環が2つ繋がったような形のものです。

(2)の物理的化学的性状ですが、外観としては、特徴的な臭気のある白色固体。こちらについては昇華性があります。沸点については218℃、融点は80℃、20℃における蒸気圧は11Paです。

(3)の生産・輸入量、使用量、用途ですが、2011年の生産量は177,482トン、輸入量については110万トン未満です。用途については染料中間物、合成樹脂、爆薬、防虫剤、有機顔料、テトラリン、デカリン、ナフチルアミン、無水フタル酸、滅菌剤等の原料、それから燃料、色素ということで使われています。

2の「有害性評価の結果」ですが、発がん性については、ヒトに対する発がん性が疑われるという形で評価をしています。根拠としては、IARCは、ヒトに対する証拠は不十分ですが、動物実験で発がん性の十分な証拠があったとして、2Bと分類しているためということです。その他の機関における評価区分は2ページの上に整理しています。閾値の有無の判断ですが、In vitroIn vivoにおける遺伝毒性試験の結果が陽性、陰性に分かれており、その有無が判断できないということで、閾値の有無については判断できないと評価しています。

(2)発がん性以外の有害性ですが、急性毒性ということで、LC50 LD50 、それぞれデータを整理しています。ヒトへの影響ですが、化学工場でのナフタレン粉末機の修理作業における高濃度のナフタレンの粉塵吸入による急性毒性の例があり、頭痛、悪心、嘔吐の症状、さらに赤血球減少、ウロビリノーゲン尿、尿潜血反応陽性、肝臓の腫大、溶血性貧血などが見られているということです。皮膚刺激性/腐食性については、あり(軽度から中等度の皮膚刺激性)、眼に対する重篤な損傷性/刺激性については、あり(ごく軽度から中等度の眼刺激性)ということで整理しています。反復投与毒性ですが、マウスの雌雄にナフタレンを吸入させた結果、鼻の慢性炎症、嗅上皮の化生、呼吸上皮の過形成について10ppm以上の群で見られ、LOAEL10ppmということで整理しています。生殖毒性については、判断できないとなっています。

(3)許容濃度等の情報ですが、ACGIHではTWA10ppmということで提言しています。なお、このリスク評価書を整理した際には、STEL値についても提言されていましたが、2014年版の方においては、このSTEL値は2013年の変更提案により削除されています。日本産業衛生学会においては情報はございません。また、NIOSHOSHAにおけるTWASTEL値については記載のように整理をしています。

 これらの結果を踏まえて、(4)評価値ですが、一次評価値については、発がん性の閾値の有無が判断できないということで、一次評価値はなしとしています。また、二次評価値ですが、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が提言している、ばく露限界値を二次評価値ということで有害性評価を行っています。

 この有害性評価で求めた二次評価値と、ばく露実態の調査を比較するということで、3の「ばく露実態評価」のところですが、(1)有害物ばく露作業報告の提出状況で、平成21年におけるナフタレンの有害物ばく露作業報告は、合計で152事業場から、505作業についてなされ、作業従事労働者は延べで9,151人と報告を受けています。また、対象物質の取扱量の合計は4,5302,000トン(延べ)でした。主な用途としては、「他の製剤等の原料として使用」、「顔料、染料、塗料又は印刷インキとして使用」等であり、主な作業は「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」、「サンプリング、分析、試験又は研究の作業」等でした。

(2)ばく露実態調査結果ですが、4ページで平成24年度、これは初期評価のためのばく露実態調査を行った年ですけれども、作業実態の聞取り調査を行った上で、特定の作業に従事する30人の労働者に対する個人ばく露測定を行いました。対象事業場は前の3ページの下に書いてありますが、7事業場を選定して行っています。また、1単位作業場においてA測定を行い、45地点についてスポット測定を行っています。この結果、個人ばく露測定のTWA8時間の最大値は7.55ppmで、二次評価値(10ppm)よりは下回っていますが、この初期評価の値が出たデータを用いて区間推定をした上側5%の限界値が14.6ppmと、二次評価値を上回っていました。初期評価においては高いリスクが認められ、詳細なリスク評価が必要ということで、詳細リスク評価に進んだところです。

 平成25年度に詳細リスク評価のためのばく露実態調査を行っています。この年の調査対象事業場は3事業場で、1つはナフタレンを原料とした化学製品を製造する事業場、もう1つは対象物質を原料として防虫剤を製造する2事業場、この3事業場、10名の作業者について個人ばく露測定を実施しています。

 その結果ですが、次の5ページに測定結果をまとめています。25年度に行った個人ばく露測定の最大のTWA値は3.2ppmで、二次評価値を下回っていました。また、24年度、25年度の2年間のばく露実態調査の結果についてまとめたところ、TWA値の最大値は7.55ppm。一方、全測定データ(測定値が定量下限値を下回ったものを除く22データ)から統計手法による区間推定上側限界値を求めたところ、17.3ppmとなったということで、ばく露評価ガイドラインの規定に基づき、最大ばく露濃度を17.3ppmとしています。

 ナフタレンの個人ばく露測定結果、定量下限値を下回ったものを除いた全22データについて、棒グラフでお示ししています。ばく露濃度が比較的高いのは、ナフタレンを主成分とする製剤を包装する作業のところです。

 この結果、4の「リスクの判定及び今後の対応」でまとめていますが、ナフタレンの製造・取扱事業場におけるばく露最大値は17.3ppmとなり、二次評価値を超える水準となった。また、スポット測定においても、9.24ppmと、二次評価値に近い水準が確認されました。このことから、ナフタレンの製造・取扱事業場においては、労働者の健康障害に係るリスクが高いと考えられます。この場合、作業別に見ると、ナフタレンを含有する製剤の包装・充填作業において比較的高いばく露が確認されていますが、原料投入、清掃等他の作業も含む全データによる区間推定により得られたばく露最大値を高いリスクと判定していることから、包装・充填以外の作業も含めて健康障害防止措置を検討する必要があること。また、ナフタレンについては、経皮毒性、皮膚刺激性があり、健康障害防止措置の検討に当たっては、皮膚の保護等の措置を合わせて検討する必要があることと、リスク評価では取りまとめられています。

 続きまして、リフラクトリーセラミックファイバーのリスク評価書について説明させていただきます。資料2-6(2)を御覧ください。このリフラクトリーセラミックファイバーについても、初期評価は平成25年度に行い、詳細評価は平成26年度に行い、この詳細リスク評価書については平成267月に取りまとめられています。

1ページで、1の「物理化学的性質」から説明させていただきます。リフラクトリーセラミックファイバーについては、アルミナとシリカを主成分とした非晶質の人造鉱物繊維で、一般的なリフラクトリーセラミックファイバーの化学組成は、アルミナが3060重量%、シリカが4060重量%、酸化ジルコニウム又は酸化クロムが020重量%、この範囲の組成を持つ非晶質の人造鉱物繊維ということで定義しています。広義のセラミックフファイバーとは区別するため、リフラクトリーセラミックファイバーという呼称が用いられているものです。別名としてはセラミック繊維、RCFという形で使われています。

 次に、(2)物理的化学的性状ですが、外観については無臭の繊維状の固体。1000℃を超えると結晶性物質(クリストバライト)になるものがあるということです。物理的状態としてはウール状、繊維、色は白色、平均繊維径は24μmです。

(3)生産・輸入量、使用量、用途ですが、古いデータですけれども、16,000トン以上(平成17年度、輸入量を含む)のものが生産・輸入されています。用途としては、炉のライニング材、防火壁保護材、高温用ガスケット・シール材、タービン、絶縁保護材、伸縮継手への耐熱性充填材、炉の絶縁材、熱遮蔽板、耐熱材、熱によるひび、割れ目のつぎあて、炉・溶接+溶接場のカーテンということです。

2の「有害性評価の結果」ですが、発がん性については、ヒトに対して発がんの可能性があるとまとめられています。これについては、IARCにおいて、ヒトに対する発がんの可能性がある分類である2Bに分類されていることを根拠としています。その他の機関における発がん性の評価については、2ページの中程にまとめています。

 閾値の有無の判断については、ありとしています。根拠として、遺伝毒性については、その発現のメカニズムとして、炎症性細胞から持続的かつ長期にわたって発生する活性酸素種がDNA傷害に重要な役割を担うと考えられ、遺伝毒性は一次的ではなく、二次的なものとみなすことができるため、閾値があると判断したとして取りまとめられています。閾値がある場合のNOAELとして、16mgを試験結果から設定し、評価レベルとして0.12mg/㎥を設定しています。これは0.9WHOf/cm3ということで、後で出てくる二次評価値よりも大きい値です。

(2)発がん性以外の有害性ですが、急性毒性については、調査した範囲内では、報告は得られていないとまとめられています。刺激性/腐食性についてはありとしています。これは呼吸器への刺激性として、喘鳴や息切れについてもばく露濃度の増加とともに増加する傾向が認められたということです。

 その他について3ページですが、反復ばく露毒性については、それぞれ肺機能、じん肺、胸膜肥厚斑、滞留性等についてレポート等が報告されています。神経毒性、生殖毒性については、現時点、調査した範囲内では、報告は得られていないとまとめられています。遺伝毒性については、ありとなっています。

(3)許容濃度等の情報ですが、ACGIHTLV-TWA値は0.2f/ccということで、2001年に設定されたものがあります。

4ページですが、その他の機関で設定されている許容濃度等、職業性ばく露限界値について要約してまとめています。先ほど話がありました各国におけるOELということで、これを取りまとめた時点でのOELについて要約しています。

 これらの情報を基に、評価値について検討した結果ですが、一次評価値については、先ほど発がん性の所での動物試験より導き出した値が、二次評価値、これは一次評価値の検討ですが、二次評価値を超えるということで、一次評価値については評価値なしとなっています。また、二次評価値については、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が提言している、ばく露限界値を二次評価値とすると取りまとめています。

 こちらの二次評価値を基に「ばく露評価の結果」ということで、ばく露実態調査に基づいて行った結果が5ページです。リフラクトリーセラミックファイバーの有害物ばく露作業報告については、合計398事業場から、850作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は826(延べ)でした。主な用途は「他の製剤等の原料として使用」、「対象物の製造」等であり、主な作業は「成型、加工又は発泡の作業」、「保守、点検、分解、組立又は修理の作業」等でした。

 具体的なリフラクトリーセラミックファイバーの製造取扱作業の概要をポンチ絵ということで、製造、それからファイバーを用いた他製品の製造について簡単なポンチ絵を示しています。

(2)ばく露実態調査結果の概要ですが、平成24年度に行った初期評価のためのばく露実態調査が5ページの下のところです。ばく露レベルが高いと推定される8事業場を選定し、40人の労働者に対する個人ばく露測定を行うとともに、20地点についてスポット測定を行っています。

6ページの上の平成24年度のばく露実態調査事業場ですが、「耐熱接着材料を製造する事業場」、「超高温用無機繊維断熱材を製造する事業場」、「対象物質を材料とした他製品を製造する事業場(2事業場)」、「対象物質を含有する製品を製造する事業場」、「対象物質を製造する事業場」、「他製剤その他の物の製造を目的とした原料として使用する事業場(2事業場)」の8事業場でした。リフラクトリーセラミックファイバーのばく露の可能性のある主な作業としては、「秤量」、「投入」、「研磨」、「切断」、梱包」、「巻取」等の作業です。初期評価の結果ですが、8事業場の16名について、二次評価値である0.2f/ccを超えるばく露が確認されています。また、スポット測定を行った5事業場のうち4事業場について、一部の作業場においてスポット測定で二次評価値を超える高い測定値が見られ、詳細評価に進むということで初期評価がされています。

 続きまして、平成25年度ですが、詳細評価のためのばく露実態調査を行っています。この平成25年度の詳細評価のためのばく露実態調査ですが、「秤量」「投入」「研磨」「切断」「梱包」「巻取」作業工程に共通した問題かどうかを詳細に分析するため、「対象物質(原綿)の製造事業場」(2事業場)、「対象物質を材料とした製品の製造事業場」(2事業場)に対して追加調査を行っています。計4事業場、11人の労働者に対する個人ばく露測定を行い、6単位作業場所において測定、3地点においてスポット測定を行っています。

 平成24年度、平成25年度の調査結果をまとめたものが、10ページです。上位25データですが、棒グラフにまとめています。2年間の調査を通じて最も高い測定値は1.84f/cm3で、二次評価値である0.2f/ccのところを大きく超えた値となっています。その他、0.2f/ccを超える作業者については、19名の方について二次評価値を超えるばく露が認められたということです。

 また、全データを用いて区間推定をした上側限界値は1.6f/cm3ですが、実測値よりも下回ったということで、こちらのばく露実態調査の結果、最大値については1.84f/cm3ということで評価しています。今、7ページの中程について説明しているところです。

 このリスク評価の結論として、9ページにまとめています。ばく露の高い作業の詳細とその要因解析の結果、リスクが高い作業として、リフラクトリーセラミックファイバーの製造作業、リフラクトリーセラミックファイバーを含む製材その他のものの製造作業が確認されました。当該作業のばく露レベルは、二次評価値を大きく超えるものであり、その要因を解析したところ、いずれも作業工程に共通する問題と考えられました。また、全てのばく露実態調査データを用いた区間推定上側限界値が1.60f/cm3と、二次評価値を大きく超えていることから、リフラクトリーセラミックファイバーを製造又は取り扱う作業については、健康障害防止措置の導入が必要と判断されるということで、リスク評価書を取りまとめていただいています。

 続きまして、これらのリスク評価の結果に基づいて、「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書」について、これは平成267月から12月まで7回に分けて御検討いただいた結果を、資料2-7により簡単に御説明します。

 健康障害防止措置の検討結果ですが、ざっと読み上げさせていただきます。3ページの5です。(1)ナフタレン。ナフタレン及びナフタレンを含む製剤その他の物を製造し、又は取り扱う作業については、リスク評価における有害性の評価及びばく露評価の結果を踏まえ、健康障害防止のため、特定化学物質障害予防規則の特定第2類物質と同様に、作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じることが必要である。

 なお、以下の丸数字1、丸数字2の作業については、措置内容の検討の過程において、その物理的性状等から蒸気等へのばく露リスクが低いことが認められたため、措置の対象から除外しても差し支えない。

 丸数字1密閉系で液状ナフタレンを製造し、又は液状ナフタレンを原料として他の製剤等を密閉系で製造する工程における次の作業。サンプリング等の作業、液状ナフタレンのタンクローリー又は設備への注入・移送の作業。

 丸数字2溶剤に溶けた状態のナフタレンを常温で取り扱う作業。

 また、ナフタレンには、ヒトに対する発がんのおそれがあることを勘案し、作業の記録の保存(30年間)等が必要となる特化則の特別管理物質と同様の措置を講じることが必要である。

 さらに、同物質については、吸入ばく露のほか、皮膚刺激性があり、ヒトに皮膚炎を起こす場合もあることから、取扱い時にこれらの有害性に留意する必要がある。

 なお、ナフタレンの措置の検討過程においては、防虫剤製造の団体、ナフタレンそのものを製造する製造メーカーの団体、ナフタレンを使用する化成品関係の団体、この3団体からアンケートとヒアリングを行って検討を進めています。具体的にナフタレンについては21ページに、ナフタレン等を製造又は取り扱っている企業における措置の状況ということで、これは具体的に取扱作業においてどういった措置がなされているか、アンケートを行った結果を取りまとめています。屋内作業と屋外作業が、それぞれ19作業と17作業あり、その中で措置の実施率を数字でお示ししています。具体的な措置内容については、先ほど口頭で特化則の特定第2類物質と同様と申し上げましたが、15ページに具体的な措置内容を提案内容としてお示ししています。ナフタレンについての説明は以上です。

 続きまして、リフラクトリーセラミックファイバーについて、4ページに戻っていただければと思います。措置検討の結果ですが、名称はRCFと略し、読み上げさせていただきます。RCF及びRCFを含む製剤その他の物を製造し、又は取り扱う作業については、リスク評価における有害性の評価及びばく露評価の結果を踏まえ、RCFの吸入による健康障害を防止するための措置を講じる必要がある。

 このため、RCF及びRCFを含む製剤その他の物について、特化則の管理第2類物質と同様の措置を講じることが必要である。

 また、RCFには、ヒトに対する発がんのおそれがあることから、作業の記録の保存(30年間)等が必要となる特化則の特別管理物質と同様の措置を講じることが必要である。

 さらに、RCFを断熱材等として用いた設備等の施工・補修・解体等の作業については、短期間の作業である場合が多い反面、作業の性質上、発じんのおそれが高いため、発散抑制措置等による作業場の管理に加え、呼吸用保護具の着用を義務付ける等、ばく露防止措置とともに、湿潤化等による作業場外への飛散防止措置の規制化が必要である。

 その他、除じん装置からのRCF回収や床、器具、作業服等に付着したRCFが舞い上がることによる二次発じんによる健康障害を防止するため、床の清掃や作業場外への持ち出しを防ぐための措置を講じる必要がある。

 なお、措置内容の検討の過程において、バインダー()等で処理されたボードや真空成形品等、発じんのおそれの低い製品を、切断等の加工をせず取り扱う作業においては、RCFへのばく露リスクが相当程度低いことが認められたため、これらの作業については、ばく露のおそれのない作業として、措置の対象から除外しても差し支えない。このように取りまとめられています。

RCFの措置の検討に当たっては、RCFの製造メーカーの団体、RCFを断熱材として使っている工業炉を製造している工業炉メーカーの団体、それから炉のユーザーということで鉄鋼関係の団体にそれぞれアンケートを行い、製造メーカー、炉の製造メーカーの団体についてはヒアリング等も行って措置の検討を行っています。3団体へのアンケートの結果では、自主的な取組ということでアンケート結果をまとめているのが31ページから33ページです。31ページが製造メーカーの関係団体へのアンケート結果、32ページに工業炉関係の団体へのアンケート結果、33ページに鉄鋼関係の団体への具体的な作業における自主的な取組のアンケート結果を示しています。なお、質問項目に誤りがあって、防毒マスクの使用について聞いてしまったため回答が少しずれるのですが、基本的には「有効な保護具の使用」、それから「防塵マスクの使用」について聞いているところについては、全ての作業において、100パーセント措置を講じているというアンケート結果になっています。

 以上が、リフラクトリーセラミックファイバーの措置検討の結果です。

○櫻井座長 以上の説明の内容につきまして、御質問あるいは御意見がございましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。

○松村委員 お伺いしたいのですが、資料2-6でナフタレンの実測結果がありますし、最後には測定法が書いてあります。この測定法は多分、ナフタレンの蒸気を対象にしていると思いますし、測定結果をppmで書いてあるのです。しかし、資料2-715の所を見ますと、「用後処理(除じん)」と書いてあるのです。ナフタレンの、例えば防虫剤の袋詰めのような作業もあるようですから、粒子を対象にしなくていいのかということがちょっと気になりますが、どうでしょうか。

○名古屋委員 これは固体と液体、ガスが全部一遍に取れる新しい測定装置です。だから大丈夫なのです。

○松村委員 そうですか。捕集管ですよね。

○名古屋委員 捕集管が固体捕集と、要するにガスも全部取れますよという新しい方法で取ると。だから大丈夫ですよということです。

○松村委員 最終的にはppmで出すと。

○名古屋委員 そうです。

○櫻井座長 そのほか、何かありますか。

○中明委員 聞きたいことはたくさんあるのですが、まず「リスク評価書」と資料2-6にあるでしょう。その3ページに一次評価値、二次評価値とあります。それの根拠は何かあったのですか。計算か何かで出したのですか。

○高村化学物質情報管理官 一次評価値の根拠ですか。

○中明委員 式か何か入れているのですか。

○大前委員 一次評価値というのは、主として発がんをターゲットにした評価値で、世界のいろいろな公的機関が、この発がんに対して1万分の1のリスクの数字があれば、それを一次評価値にしています。最近はそれ以外に生殖毒性、神経毒性も少し入ってきていますけれども、原則は発がんです。二次評価値はACGIHもしくは産衛学会の数字です。

○中明委員 例えばナフタレンの場合は、第一次評価値なし。

○大前委員 ナフタレンの場合、1つは、閾値がない場合は1万分の1云々という計算値があるのですが、その情報はありませんでしたのでそれは使えなかったということです。閾値があると考えた場合は、それから計算しますと0.9という数字になったので、この0.9という数字は。0.9ではなかったでしたか。すみません、間違えました。その数字は0.2という数字よりも大きかったので、一次評価値として採用しなかった。一次評価値は二次評価値よりも、当然小さな値にならなければいけないわけですから。

○中明委員 そこの二次評価値は、ACGIHか産衛学会の値だというふうに決めているということ。

○大前委員 そうです。

○中明委員 一次評価値は発がん性の問題で、発がん性があるという場合には、これはヒト以外にもその可能性があるものは一次に入れる。動物とか何とか。

○大前委員 もちろん、そうです。

○中明委員 この評価値が出た、そのばく露実態評価というのをやっていますよね。これで例えば4ページの個人ばく露測定、これは今、名古屋委員から出たように、新しい個人ばく露測定の方法でやったのだと思うけれど、6ページに行ってその結果、ばく露実態調査集計表というのがあるでしょう。それの個人ばく露の測定結果とスポット。これ、スポットはどれぐらいで取っているのですか。

○名古屋委員 これは多分、作業しているときなので10分、B測定に近いですけれど、ただ、作業しているところだけを参考値として取りましょうという形で、全部取れているわけではないですけれども、取れるところは取りましょうという形です。

○中明委員 多分、B測定ですね。実を言うと、かなり数値が、8時間でならしてしまうわけでしょう。どうもそれで本当にいいのというのが気になるのです。ナフタレンなんか、例えば10分とか20分で何か出てくるというものでもないだろうと思うけど、そこら辺をこのまま、例えばそこの作業を含めて、それこそ8時間にならしてしまって、それで評価することをこれからどう考えるかというのは、私はちょっと気になっているのです。そのまま入れてしまうというのがね。これは前から言っていることですけれども。

 これで管理濃度を決めようというのですから、どっちか判断せざるを得ないのですが、特に今の表でいけば、作業環境測定の結果、A測定でいくと、これとはまたかなり違うのです。そういう現場であるというところを考慮して、どうやって管理濃度を決めていいのか。そういう意味で評価値か、ここはいずれにせよACGIHの値か産衛学会の値を採用してきたわけです。さっきのリフラクトリーファイバーの問題もあったけど、外の情報はかなりいろいろ出てきているという部分がある。そういうのまで含めてある程度考えていきましょうという方向だったと思いますが、そうしたときに、実際に工学的な対応は限界が来ているという部分があると思うのです。それをそのまま、どんどん数値が下がってくるというものを、ここで決めるのはいいとも思わないけど、行政が一定の基準を定めるのは仕方がない部分があると思うけど、何か説得力がない。だから私もどう判断していいのかというのは分からないというのがある。どこかで、一定の判断をしなければと思うけれども。

 同じことが、リフラクトリーファイバーの場合にも、この数値、個人サンプルとスポットではかなり違いますよね、測定した結果がね。そういう違いで問題なければいいけど、ちょっと高い濃度で、例えば10分、20分でも何か影響が出てきそうだという可能性が、あるいは皮膚障害なんかでも出る可能性があると言ったら、何か考慮しておかなければいけないと思います。

○名古屋委員 それは、リスクの中で3段階は全部それで議論してきて、基本は個人ばく露なのです。その中で例えばナフタレンみたいにこういうところがあった時に、個人ばく露だけだとリスクがなかなか難しい。やはりナフタレンでスポットを取って、こういう高いところがあるから、そしたらそれは入れましょうという形で、3つの段階を踏んできっちり皆さんで評価して、ここまで辿り着いていますよということは理解していただければ有り難いかなと思います。それは多分スポットで、作業環境にしてもやればいいのですが、これはあくまでも参考値として扱います。基本は、ばく露濃度ですという形にしています。

○中明委員 それは、在り方検討会の時からずっと。

○名古屋委員 いや、これはその前から、ガイドラインを作ったときからずっとそういうふうにしてきています。平成18年のもうちょっと後、20年近くのときにガイドラインを作りました。

○高村化学物質情報管理官 21年。

○名古屋委員 21年にガイドラインを作りました。そのときからずっとこの方法できています。

○中明委員 何となく様子は分かりました。

○大前委員 多分、今、中明委員がおっしゃったのは、8時間平均にしてしまうと、ならした値から低くなってしまうけれども、当然、平均が低いから高いところがもっとあるはずだと。しかも時間が短ければ、やたら高くても時間でならしてしまうと8時間値になってしまって、そういう高いばく露が実際にある場合に影響の出方が違うのではないかということを、恐らくおっしゃりたいのだと思いますが、それはおっしゃるとおりだと思います。ただ、なかなか割り切れないので、こういうふうに使っているだけということだと思います。

○名古屋委員 ばく露については、6時間以上、8時間と決めています。6時間以上は全部測定しています。ばく露の測定も。

○中明委員 作業は6時間続くとか、24時間続くというものだったら、それでいいのですが、高濃度でひょっと出るものが短い時間しかないというものは、それをならしてしまって本当に大丈夫なのかなというのは昔からある問題だけど、それは櫻井座長の頃からずっと。

○名古屋委員 その都度、スポットをやっているという感じ。

○中明委員 でしょうね。

○櫻井座長 そもそも量と影響の関係に関するデータというのが、動物実験だと比較的安定した8時間、同じ濃度。疫学のデータは、我々と同じように苦労しながら出てきているデータを使うしかないわけです。それは基本的には平均濃度でいくしかないので、そういうデータで示されているものを我々は利用するので、我々も同じようにばく露濃度でいくのが最善だろうと思っているわけです。

○中明委員 今までのところは管理濃度を決めて、それをキープできれば、特に何か問題が起こっているということはないから。

○櫻井座長 それで、実際にうまくいっているものが大部分だという実績もありますね。

○中明委員 ありますからね。

○小西委員 今の件に関係あるのですが、例えばナフタレンのリスク評価書の4ページの一番下の行に、この実態調査をやられたときに、「一部は、局所排気装置が設置されていない屋内で行われていた」とあります。それと、こちらの5ページのばく露データの関係が、ちょっとこれでは分からないのです。というのは、工学的対策はアンケートでは56%なされていたと。全部ではないですが。その工学的な対策をやっていた所についてはそんなに高くなかったのか。そこのところがこれからは読み取れないものですから、対策の効果があるのであれば、それで十分いけると思いますが、これからだと読み取れないなと思いまして。

○名古屋委員 リスク評価のときには大きな紙の中にあって、そして個人ばく露があり、それからスポット、作業環境、そのときに局所排気は屋内で付いていますか、それは有効か否かというのは全部出てくるのですが、これはまとめなのでそこまで出てきませんよということです。

○小西委員 何かそこのところがあれば、有意に排気装置のところは低かったんですよということがあれば、もうちょっと判断しやすいかなと思います。

○櫻井座長 ほかには何かありますか。それでは、一応、議論の前提となるリスク評価等についての説明と質疑は終わりましたので、次に進みまして、ナフタレンの管理濃度、測定方法、それから局所排気装置の性能要件について検討いたします。事務局から説明してください。

○大淵環境改善室長補佐 資料2-4と資料2-5と、必要に応じてナフタレンのリスク評価書も御覧いただければと思います。まず、ナフタレンについての事務局からの提案を、先に申し上げます。資料2-5です。事務局提案としては管理濃度10ppm。測定方法案としては固体捕集方法-ガスクロマトグラフ分析方法。局所排気装置の性能要件・稼働要件の案としては、これから管理濃度を御検討いただき、それで決まれば同じ値を抑制濃度にも採用したいと考えております。それから、本検討会での直接の議題ではありませんが、参考として、これを測定の対象として決めて、最終的にどういう測定士に測定していただくかという対象作業管理測定士の比較区分についての話があります。こちらは測定内容から考えますと、第3号に該当するのではないかと理解しております。

 今のが事務局からの提案ですが、この提案の根拠としては、まず管理濃度の根拠として資料2-4、「検討対象物質の概要」というのがあります。先ほどリスク評価書の説明がありましたが、こちらの資料はその内容を大分引っ張っているところが多いのです。この資料2-4のナフタレンの所を御覧ください。濃度に関係する部分は右から2つ目の欄です。ナフタレンについて、日本産業衛生学会は未設定、ACGIHTLV-TWAとして10ppmというのがかなり古くから、1965年に採択されております。ヨーロッパのECについては未設定です。これらを基に、10ppmの管理濃度を提案させていただきました。

 では具体的に、ACGIHはどういう考え方で10ppmを提案しているのか。ナフタレンの構造式が表紙に付いている、参考資料2-3(1)を御覧ください。前半が原文で、それに対応する日本語訳を後半にお付けしております。また構造式が書いてあるページがありますが、そこにTLV勧告の勧告理由が記載してあります。上部気道刺激、血液学的作用、白内障から労働者を防護するには、ナフタレン蒸気10ppmTLVが推奨されるということで、その下に詳しい根拠があります。これを見ますと、動物実験ではマウスで10ppmの吸入で少し異常が見られているようですが、詳しく見ていくと、ヒトとマウスとでは代謝の仕組みが非常に違います。マウスでは10ppmで影響が出ても、ヒトについては代謝が違うために、10ppmでもここに書いてあるような健康障害を十分防止できるということで、10ppmが提案されております。これが管理濃度関係の根拠の資料です。

 続いて測定方法に関係する根拠資料です。先ほどのナフタレンのリスク評価書、資料2-6(1)の最終ページに、「ナフタレン標準測定分析法」という資料がありますので、それを御覧いただきたいと思います。こちらはリスク評価のときに現場のばく露実態調査をする前に、最初にどういう測定方法や分析方法が良いかということを検討し、それを整理した資料です。

 こちらはスチレンジビニルベンゼン捕集管を使ったサンプリングということで、分析方法としては右側の欄で、ガスクロマトグラフ-質量分析法ということで記載されております。定量下限についてはこの資料の左下の「精度」で書かれております。これは空気の採気量によって定量下限が分かれてきます。関連する情報がこの資料の左の「サンプリング」という欄にもあり、何分捕集したときに何ppmというのが書いてあります。管理濃度として提案した10ppmと比べて十分低い10分の1以下まで、きちんと定量下限が確保できるということです。

 このリスク評価の測定方法を踏まえますと、サンプリングの方法としてスチレンジビニルベンゼン捕集管というのは固体捕集方法、分析方法についてはガスクロマトグラフ分析方法という形で、これを法令上の言葉として提案させていただきたいと思います。提案の中の局所排気装置の要件については、管理濃度が決まりますと自動的に決まってくるので、特に根拠資料はありません。ナフタレンの管理濃度等について、事務局からの提案は以上です。

○櫻井座長 それでは協議に入りたいと思います。ただいま事務局から提案がありましたが、それに関して御意見、御質問等がありましたらどうぞ。

○中明委員 ナフタレンはガスクロでいいのですか。例えば、別添4だったらGC-MSですよね。

○大淵環境改善室長補佐 法令の便宜上、GC-MSのときも告示に書くときはガスクロマトグラフ-質量分析法とさせていただいております。

○中明委員 過去からそうだった。

○名古屋委員 そうしないと、持ち物が規定されてしまうと、それがないと使えなくなってしまうので、同等以上であればいいということで、そういう形に書き換えております。

○__ ICDもみんなそうですよ。そういう形になっています。

○大前委員 資料2-4です。今日の前半の議論で、産衛学会とACGIH以外の機関の数値も採用できるものはしようということになったのですが、ここにはECしか書いていないのです。これだけ読むとECしか使わないのかと。セラミックファイバーもECですが、そのような感じになるので、この作り方はまずいなという感じがします。

○大淵環境改善室長補佐 はい、分かりました。ほかのものも記載するようにさせていただきたいと思います。

○櫻井座長 これは削除したほうがいいですよね。

○大淵環境改善室長補佐 はい。

○櫻井座長 ほかに何かありますか。特にないようですので、協議内容を取りまとめたいと思います。ナフタレンについては管理濃度は10ppm、測定方法は固体捕集方法-ガスクロマトグラフ分析方法、局所排気装置の性能要件・稼働要件は、抑制濃度による(管理濃度と同じ値)ということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 御異議がないようですので、ナフタレンの管理濃度等の協議結果は、このとおりといたします。

 続いてリフラクトリーセラミックファイバーの管理濃度、測定方法、局所排気装置の性能要件の検討に入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○大淵環境改善室長補佐 リフラクトリーセラミックファイバーについても資料2-4、資料2-5を中心に、そのほかに関係の資料を使わせていただきます。最初に資料2-5、事務局提案から説明いたします。まず、リフラクトリーセラミックファイバーの管理濃度の案です。0.2f/cc又は0.3f/ccです。測定方法の案としては、ろ過捕集方法と計数方法の組合せ、2番目として簡易測定方法です。こちらについては後ほど名古屋委員から御説明いただく予定ですが、この簡易測定方法については、丸数字1のろ過捕集-計数方法の併行測定を行うという前提でやるものです。局所排気装置の性能要件・稼働要件の案もナフタレンと同様に、抑制濃度方式ということで、数値については、管理濃度が決まればそれと同じ値を採用いたします。また、第1種作業環境測定士の資格区分の案は、第1号の区分ということで、測定方法がアスベスト等と同じような測定ですので、それと同じです。

 それから補足説明として、注を御説明させていただきます。リフラクトリーセラミックファイバーはリスク評価で、今後、特定化学物質に追加していくということですが、現行においても既に一部規制がされており、リフラクトリーセラミックファイバーの製造・取扱作業のうち一部の作業については、粉じん障害防止規則が適用されております。この場合において、粉じんの管理濃度というのは、皆様も御存じのように、そこに書いてある式で決まるものです。粉じん則が適用される場合の局所排気装置の性能要件・稼働要件については、発散源の種類やフードの型式ごとに、制御風速により規定されています。つまり、粉じん則では濃度ではなく、制御風速方式で要件を決めているものです。以上が資料2-5の関係です。

 この提案の根拠としているものとして、まず、管理濃度関係の根拠が資料2-4にあります。リフラクトリーセラミックファイバーは、産業衛生学会は未設定、ACGIHTLV-TWAを吸入性繊維として0.2f/cc2001年に採択しております。ECOELとしては0.3f/ccということで、2011年に採択しております。この場合の吸入性繊維の定義は、長さが5μm超、アスペクト比が3:1超の繊維です。

 この濃度関係の提案理由の具体的な資料としては、参考資料2-3(2)に記載があります。タイトルとしては「リフラクトリーセラミックファイバー」ではありませんが、ACGIHの提案理由書があります。こちらの後半に日本語訳を付けております。もう1つ参考となる資料が、参考資料2-4です。こちらはECの提案理由書です。それぞれについて該当箇所を御説明させていただきます。便宜的に日本語のほうで御説明いたします。

 まずACGIHの資料の日本語で、まとめが書いてある所で御紹介いたします。日本語の22ページの下3分の1ぐらいから23ページの上のほうにかけて、ACGIHがリフラクトリーセラミックファイバーを0.2f/ccと提案した理由が書いてあります。リフラクトリーセラミックファイバーについては、評価書等の説明にもありますように、石綿の代替繊維として使われるようになったものです。ですから1970年代以降にしか普及していないということで、使われてからまだ新しいものです。そのため、結果的にまだヒトで具体的にがんなり中皮腫なりが出たという情報はありません。動物実験ではがんが出ているという情報です。ヒトについてはがんではないけれども、肺への影響は見られているということです。中でも胸膜肥厚などが、既にヒトで確認されているということが記載されています。

 毒性的な面では23ページの上のほうにありますが、RCF(リフラクトリーセラミックファイバー)の溶解性が、他の人工鉱物繊維よりも低く存続しやすいということで、RCF(リフラクトリーセラミックファイバー)のサイズが、主に呼吸域にあることを考えれば、憂慮すべきである。毒性においては他の繊維とアスベストの間にあると考えられ、恐らくヒトへの毒性については、他の繊維よりもどちらかというとアスベストのほうに近いだろうと記載されております。ACGIHにおいては、他の人工鉱物繊維のほうは1f/cc、アスベストについては0.1f/ccが勧告されているわけですが、1f/cc0.1f/ccのどこに設定するかということで、結論としてはACGIHでは、よりアスベストのほうに近い0.2f/ccということで設定しているところです。これがACGIHの提案の概略です。

ECの提案の概略は、参考資料2-4の後半のほうに日本語のページがあります。その中で最終的なまとめが書いてあるのが、日本語のページの21ページです。難しい所もあるのですが、こちらでも当然、人間ではがんが出ていないので、ヒトに関しての疫学調査を中心に考えていくという考え方です。ヒトへの肺機能の低下というのをいろいろ調べて、その結果を基に考察しております。21ページの下から8行目辺りからがポイントになる所だと思います。肺機能の影響について、長い期間を掛けて調べているのですが、最初の調査のときには高ばく露群と低ばく露群で、統計的に有意差が見られたと書いております。その後7年間にわたって検査をフォローして行っていくと、最終的には肺機能について高ばく露群と低ばく露群で有意な低下は報告されなかったということです。

 これを基に、高ばく露群についても健康影響がないという考え方で判断し、45年間にわたってばく露したと考えて、それを割り戻すような形の数字が22ページになるわけです。147.9f/ccあるいは184.8f/ccのトータルを、45年間の12か月で割り戻すと0.27f/cc及び0.34f/ccになるということで、これを基にECでは0.3f/ccを提案しているということです。両者の提案の理由もかなり違っていて、これを後ほど御議論いただきたいと考えております。

 次に測定方法の根拠です。こちらについては資料2-6(2)、リフラクトリーのリスク評価書の最後のページに、リスク評価を行った際の標準測定分析法(PCM)が書いてあります。サンプリングの方法としては、ろ過捕集装置を使ったサンプリングで、使っているフィルターなどはアスベスト(石綿)のサンプリングをするときと同じ装置です。サンプリングのときの流量は面速でコントロールをして、面速が45cm/秒になるように流量を設定するという形になっております。分析方法は計数法ということで、位相差顕微鏡法で観察する方法を採用しております。計数のときの規則としては、長さが5μm以上、長さと幅(直径)の比が3:1以上で幅が3μm未満の繊維を計数するというルールで行っております。

 この測定方法について、若干の注意事項になるかと思うのですが、下の適用、妨害の所に関連して書いてあります。この方法の場合、必ずしもリフラクトリーセラミックファイバーだけを観察するのではなく、ほかの繊維状の物質も観察できる方法であるということが前提になるのですが、リフラクトリーセラミックファイバーと他の繊維が混在しているような場合だと、結果的に他の繊維も含めてカウントしてしまうことになってしまいます。

 これが測定方法の1番目の資料です。提案の中では簡易法のことも書いてありましたが、簡易法については資料2-9に基づいて、後ほど名古屋委員から御説明を頂きたいと思っております。

 事務局からの提案についての説明は以上ですが、本日はこの後、セラミックファイバー工業会様から、管理濃度等についての意見書が提出されましたので、それについて御説明を頂く予定になっております。その後に名古屋委員から、簡易法についての御説明を頂く予定にしておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○櫻井座長 セラミックファイバー工業会からの説明をお願いいたします。

○セラミックファイバー工業会 今回の第2回管理濃度検討会の場で、当工業会からの意見と要望という形で意見を述べる機会を頂きましてありがとうございます。配布されている意見書に沿って、当工業会の環境委員長である戸塚から説明させていただきます。作業環境測定法の確立と、ばく露濃度限界値の設定については、当工業会からの意見も考慮していただき、決定していただきたいと思います。

○セラミックファイバー工業会 セラミックファイバー工業会で環境委員会の委員長をしております戸塚です。この度は、このような意見を述べる場を設けていただきましてありがとうございます。過去の管理濃度等検討会ではなかったことだと思いますので、非常に有り難く思います。

 私からは、セラミックファイバー製造メーカーとして、今まで粉じん繊維状物質の作業環境管理を実施してきた立場、それと会員各社の中には、自社測定を行っている作業環境測定士もおりますので、その作業環境測定士としての立場から、今回意見をまとめさせていただきました。意見書に従って説明させていただきます。

1番は、「リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)に係る作業環境測定について」です。従来、RCFを含有する製品を、裁断等加工作業、動力を用いた破砕・ふるい分け作業については、『粉じん障害防止規則』が適用されていて、6か月に1度の粉じん測定を実施してまいりました。今般、『特定化学物質障害予防規則』の改正により、RCFの測定が義務付けられます。粉じん則については、じん肺予防のための規則、それから特化則の今回のRCFについては、慢性疾患及びがん予防のための規則であり、おのずから質量濃度規制よりも繊維数濃度規制のほうが厳しい評価基準となります。今後、繊維数濃度規制で対応していれば、必然的に質量濃度規制にも対応できる、その結果じん肺予防にもつながると思慮します。この観点から、従来の粉じん測定を今後も続ける必要があるか、御検討していただきたいと思います。

2番は、「RCFの標準測定分析法について」です。リスク評価書に提示されたRCFの標準測定分析法(PCM)は、現場でフィルタに粉じんを捕集し、実験室において顕微鏡で計数する方法のため、測定に時間と費用が多く掛かります。かつ、現場でデジタル粉じん計のようなものがありませんので、リアルタイムに発じん状況を把握することができません。今回の採用に当たっては、現場で発じん状況が確認できる機器等の採用が、公的にも認められることを希望いたします。

3番は、「RCFと他の繊維状物質が混在する作業場の作業環境測定結果について」です。RCF製品を取扱い・加工する作業場においては、製造メーカーではないのですけれども、ボード類を加工する加工業者においては、ロックウール、グラスウール、アルミナファイバー及びガラス長繊維などの、その他の人造鉱物繊維を含む製品を併行して使用している場合があります。先ほど、担当官からもお話がありましたが、リスク評価書で提示されたRCF標準測定分析法の場合には、RCFか否かの判定は困難であるため、その作業場にロックウール等の粉じんが舞っていたとしても、セラミックファイバーと同等に扱われ、測定結果は過大に評価されますが、この場合の測定結果の取扱方法について検討をお願いしたい、又は測定できる方法等を御検討していただきたいと思います。

 こちらは、セラミックファイバーということではないのですけれども、作業環境測定士として作業環境測定を行っているメーカーの者からの話も含めて記載しております。

4番は、「作業環境状態の良否の評価基準である管理濃度について」です。管理濃度は、作業環境測定結果の評価の指標として、作業環境管理のために用いるものです。一方、許容濃度は個々の労働者のばく露についての限度となります。許容濃度の場合、ばく露を減少させる方法として、気中濃度を低下させる以外に、ばく露時間を短縮する方法も考えられますが、一般に作業環境管理は作業者の滞在時間の長短には関係なく、高濃度のばく露の原因となる環境状態を改善することを目的としているため、管理濃度には時間の概念は含まれておりません。

 管理濃度等検討会では、近年、日本産業衛生学会の許容濃度、ACGIHTLV-TWAのどちらかの値を管理濃度として採用しています。いずれの値も18時間、週5日間の計40時間の平均濃度が、この数値を超えた場合に、疾病のリスクが生ずるものとして設定された値ですが、管理濃度となると、例えばB測定の場合、10分間の測定結果が管理濃度を超えた場合には、管理区分iiとなり、「作業環境を改善するため必要な措置を講ずるよう努める」となっております。B測定は、作業者の高濃度ばく露の危険が予測される作業で実施しますので、A測定で管理区分iとなっていても、B測定の結果が管理区分ii以上の場合は、時間が短くとも要改善の職場となります。また、意見書には記載しませんでしたが、一律、作業場の濃度が管理濃度の約半分程度の値だったとしても、1日測定の結果から作業環境を評価すれば、やはり管理区分としてはiiとなってしまいます。管理濃度による評価は、確かにより安全な指標とも言えますが、このために多大なコストを掛ける必要性があるでしょうか。例えば、B測定の結果が要改善となった場合は、個人ばく露測定による再評価を行った上で、改善措置を取るようなことが可能でしょうか。また、測定値が管理区分の押しなべて半分の1以下程度であれば、措置の方法を変えていただくなど、何か検討をしていただけませんでしょうか。

 このような点を含んで、管理濃度の設定に当たっては、管理濃度の趣旨を御理解いただき、賢明な設定をしていただけることを希望します。

5番は、「RCFの管理濃度設定について」です。前述のとおり、管理濃度等検討会では、日本産業衛生学会の許容濃度、ACGIHTLV-TWAのいずれかの値を管理濃度として採用することが慣例となっているようですが、RCFの場合は、先ほどの説明にもありますが、日本産業衛生学会からは許容濃度が提案されていないことにより、ACGIHTLV-TWAが採用されることが予測されます。

 今回のお話の中で検討していただけるということなのですけれども、RCFに関しては、ACGIHの提案が2001年に、RCFは先ほど説明もありましたが、他の人造非晶質繊維と比べて肺内で溶けにくく、繊維径も吸入性サイズであることから、RCFの毒性はアスベストと人造非晶質繊維との中間に当たるのではないかということで、0.2f/cm3が提案されております。この中では、提案根拠としての数字の明確な理由が記載されておりません。

 また、米国のOSHA(米国労働安全衛生局)においては、ACGIHの許容濃度を、法的に職業性ばく露限界としては採用しておりません。現在、OSHAでは、HTIW(米国のセラミックファイバー工業会)と事業者による自主的管理であるスチュワードシップを締結しており、この中で、米国におけるRCF取扱い作業場所における職業性ばく露限界を、0.5f/cm3としております。この値の根拠は、RCFの過剰発がん生涯リスクレベルに基づいて設定されており、また、この値はNIOSHのクライテリアでも、職業性ばく露限界の勧告値として設定しております。

 欧州においては、各国でばく露限界が決められておりますけれども、2011年に発行された「RCFの職業ばく露限界に関する科学委員会からの勧告」では、RCFばく露の肺機能への影響調査より、無毒性濃度として0.3f/mLが提案されております。

 以上を踏まえ、現在評価値として採用されているACGIHの許容濃度は、今回は明確な根拠が見当たりませんので、管理濃度の採用に当たっては慎重に検討していただけるようにお願いいたします。以上が意見です。

○櫻井座長 参考資料2-5の説明は必要ないのですか。

○セラミックファイバー工業会 参考資料2-5については、先ほど意見書の中で申し上げましたが、アメリカがACGIHの値を採用せずに、OSHA(労働安全衛生局)とセラミックファイバー工業会との間のスチュワードシップで、今、現状作業者のばく露管理を行っている証拠と資料というか、それになりますので御参考にしてください。

○櫻井座長 ただいまの説明に対し、御質問がありましたらお願いします。

○松村委員 実際に製品の中にRCFが含まれているような材料を作業現場、例えば建築物の工事で取り扱うときに、最近はアスベストの問題も、周辺住民がほこりが舞うことに対しては神経質になる場合があります。そこに含まれている繊維が、RCFか他のガラス繊維状のものであるかというのは識別できるのですか。

RCFの製品を作っている所、あるいは原料を作っている所はもちろん分かると思うのですが、製品になってしまったものを現場で扱うときに分かるのですか。

○セラミックファイバー工業会 RCFについては、今は人造鉱物繊維として通知対象物の対象になっております。基本的に、取り扱う過程においては、RCFを含むものについてはSDSの発行義務があります。当工業会としては、接断・加工しない場合は免除される場合もありますので、それらについてはラベル表示で、まだ義務付けはされていないのですけれども、GHSのマークの入ったものを、当工業会の製品については貼らせていただいております。それを見ていただければ、据え付ける作業者も分かるかと思います。現場の外の方となると、他の繊維とセラミックファイバーが見ただけで識別できるかというと、それはできないと思います。

○松村委員 アスベストは結晶性ですので、最終的にほこりがあれば分析はできると思うのです。これは非晶質ですから、そのものを見て、これがリフラクトリーセラミックファイバーなのか、ただのガラス繊維なのか、そういうことは最終的にどうやって同定できるのですか。

○名古屋委員 委員会では、もともとリスク評価をするときは、リフラクトリーセラミックファイバーを取り扱っている所について評価しましょうという形でしたから、あえてここのところでは書いていないのです。要するに、そこしかリフラクトリーはないでしょう。松村委員が言われるような形の、現場に行ってみると、他の繊維もいっぱい飛んでいますけれども、それを今回は対象にしません。

 小西委員がよくやられていますけれども、分散染色すれば完全に分かります。分散染色すれば識別することはできますので、それは評価できます。本来的にはそこも書かなければいけなかったのですけれども、リスク評価のときは、あくまでもそこについては対象にしていませんでしたので、普通の所のリフラクトリーセラミックファイバーのまま、若干多くなるかもしれませんけれども、全部それで評価しましょうという感じです。実際には、ちゃんと分散染色でやればきちんと分けて、リフラクトリーセラミックファイバーだけは評価することができます。

○松村委員 最近は、建築物の解体や修理などで、繊維状の粉が舞うと、周辺住民が神経質になって、サンプルを持ってお役所に持っていくような状態も聞いております。

○名古屋委員 建築現場では使わないですよね。

○セラミックファイバー工業会 建築現場で全くゼロというわけではありませんが、基本的には高温に使うものですので、工業炉とか、温度の掛かる所でないと、原則的には使わないです。通常使われるのはロックウールというもので、そちらのほうが費用は安いですので、一般的にはそちらが使われます。特殊用途で使われていないこともないわけですので、全くありませんとは言えないです。

○櫻井座長 粉じん則等の関係で、粒子状になっているものも何パーセントか、あるいは何十パーセントかあると思うのです。要するに繊維が折れて、実態としてはどれぐらい含まれているのか把握していらっしゃるものなのでしょうか。

○セラミックファイバー工業会 セラミックファイバーといいましても、製造工程で、我々の業界ではショップと呼んでいるのですけれども、繊維にならないで、粒子状に残るものがあります。

○櫻井座長 残るものと、後で折れるものもありますね。

○セラミックファイバー工業会 はい。例えば、粒子状で残るものというと、いわゆるふるいに掛けて212ミクロンで大体30%から40%は粒子状になっています。

○名古屋委員 一番怖いのは、ここのところに規制が掛かっていまして、炉の解体のときにはセラミックファイバーで炉のところはちゃんときっちりするのですけれども、長い時間掛かってくると、セラミックファイバーはクリストバライトに変わってしまい、そうするともっと毒性の高いものに変わってきます。そうすると粉じんとは別の話になります。

○櫻井座長 それは、また別の話ですね。

○名古屋委員 はい。

○櫻井座長 それは繊維状ですね。クリストバライトは、結晶性の粒子ですね。

○名古屋委員 結晶性の粒子になってしまいます。そこは、なかなか難しい話です。

○セラミックファイバー工業会 クリストバライトになると、繊維としての柔軟性を失って、例えばこうやって手で持つと粉になるというような物質です。

○櫻井座長 クリストバライトも、繊維状でなくなった場合には、発がん性とか中皮腫が考えられる。

○セラミックファイバー工業会 中皮腫というのはないと思うのですけれども、結晶質シリカのままで。

○櫻井座長 結晶質シリカと同じになるわけですね。

○セラミックファイバー工業会 はい。

○櫻井座長 ちょっと時間がなくなってしまいましたが、どうしましょうか。

○濱本環境改善室長 時間がまいりました。あと予定しておりましたのは、名古屋委員からの御報告です。12時を回りましたので、次回でもよろしいですか。

○名古屋委員 見ていただいて、疑問なところがあれば。

○櫻井座長 見ていただくと同時に、もちろん次回説明していただいて、それで質問させていただくと。

○濱本環境改善室長 本日の資料として付けておりますので、各委員に御覧いただいて、事前に何かありましたら事務局にお寄せいただければ、私どもが名古屋委員にお伺いするなりしてお伝えしたいと思います。

○明星委員 質問です。これは、ある程度太さをコントロールしてセラミックファイバーを作っておられると思うのです。聞きたいのは、アスベストに比べてかなり太いのですか、それとも大体同じぐらいですか。

○セラミックファイバー工業会 アスベストの場合の繊維径は0.1ミクロンとか非常に細くて、その繊維からまた更に枝分かれするといった性質のものです。セラミックファイバーはそういう性質のものではなくて、繊維径は大体2ミクロンから4ミクロンです。

○明星委員 お聞きしたいのは、今は個数で0.2f/cm3と言っているではないですか。そうすると、実際的な量というか、重さとしてはかなり多いという理解でよろしいですか。

○セラミックファイバー工業会 そうです。これが正しいかどうか分からないのですけれども、普通粉じん則をやっていて、粉じん則の場合には、セラミックファイバーは遊離けい酸ゼロですから、3mgでやっています。あれで、通常管理区分iになるような所も、繊維数0.2にしたら管理区分iiiになってしまいます。アスベストのときの2mg=33fになるかどうかはまだ求めてはいないです。重量的に言うとかなり多いです。

○明星委員 今の粉じんとして見るか、ファイバーとして見るかというときに、多分、重量としては多いのでしょうねということが1つあるのかなと。もう1つは、ある程度コントロールされているので、まるっきりぴしっとある大きさということはないのですけれども、それをある程度動かすということで、1ミクロンもあるし3ミクロンもあるではないですか。そうすると、太さが3倍に増えれば、面積分だけ重さが重くなります。そういうことで、1ファイバーの重さというものが、アスベストとは大分違うのかということです。

○セラミックファイバー工業会 1ファイバーの重さですね。

○明星委員 ケースによって違ってくると思うのです。実際にはPCMで見ているアスベストの大きさというのは、電子顕微鏡ではないので全てが見えるわけではないです。だから、それなりには太いと思うのです。

○セラミックファイバー工業会 多分0.2はあると思うので、光学顕微鏡では見える範囲です。アスベストと違って、そういう点ではほとんどの所がそういう分布になっていますが、本日は分布についての資料を持ってきていないですけれども。

○明星委員 私が言いたいのは、個数で数えたときに、それは質量としてはアスベストとは大分違うのではないかということだけです。

○中明委員 希望として0.5fにしろと言っていますよね。

○セラミックファイバー工業会 それは言っていないです。

○中明委員 いやいや、これをそうしてくれということは、現場はもっと濃度が高くなるという話ですね。

 

○セラミックファイバー工業会 現場が。

○中明委員 工業会が言っている、3ページにあるばく露限界0.5としてありますよと。そうではないのですか。

○セラミックファイバー工業会 違います、0.3です。

○中明委員 0.3か。それでEUと……のちょうど間だと思ったのだ。分かりました、ごめんなさい。

○大前委員 今のお話だと、結構太い2μmぐらいあるというお話でしたね。

○セラミックファイバー工業会 それは平均製品ですのでばらつきはあります。

○大前委員 そうすると吸入性繊維で5ミクロン超、アスベスト3.1を考えた場合に、吸入性の繊維はどのぐらいの割合になるのですか。

○セラミックファイバー工業会 それは、次回までに勉強します。

○小西委員 もし分かるのであれば、例えば今のアメリカのACGIH0.2f/cc、ヨーロッパだと0.3にした場合、0.5に上げたら、今の現状で把握されているところで、管理区分はどの程度変化するかなのです。例えば、0.2にしたときにはほとんどの工場が引っ掛かってしまいますよと。今の製造工場にしても何にしても。ということなのか、0.2でも引っ掛かるのは何パーセントぐらいですよという資料がありましたら、次回にでもお出しいただけますか。ただ、規制を掛けたら100%全部工場が引っ掛かってしまったと。全部の工場がそれで全部管理区分iiiになってしまったということになると、これはまた別の問題も出てくるのではないかと思います。その辺がどの程度の分布をしているものなのかが分かれば。最初は3になり5にしておいたとしても、努力をしていただいて2に持っていけるような方策をもってくるのも、1つの考え方ではないかと思います。過去のデータで何か類推ができるかどうかなのです。

○セラミックファイバー工業会 昔やったもの。

○櫻井座長 それも次回までに。

○セラミックファイバー工業会 はい。

○小西委員 もし分からなければ結構です。

○セラミックファイバー工業会 お出しできる資料があるかどうかは、工業会に戻ってから検討させてください。

○小西委員 そこのところを出していただくと、100%みんな掛かってしまう。みんながすぐ改善しなければいけなくなってしまうと、これは行政的にもすごく大変なことではないかと思います。そこの塩梅が分からないものですから、そういう情報を頂ければと思います。

○セラミックファイバー工業会 はい。ただ残念ながら私どもは加工の所までは扱っておりませんので、多少抜けてしまう部分がありますけれども、現状分かる範囲で検討させていただきます。

○櫻井座長 ACGIHは、発がんのリスクを非常に懸念しているわけです。それらの情報が1999年までの情報に限られています。その後2003年辺り、あるいは2012年のSCOELまでは、発がんの報告がないわけです。ないという前提で議論を進めています。ただ、そういうモータリティの報告は、正確には2003年が最後なのです。それは御承知だと思います。その後もずっとフォローしておられるに違いないのです。ヨーロッパとアメリカのしっかり研究しているグループがありますので。もし、現在までの発がんの追加情報が得られるものならば、ヨーロッパあるいはアメリカの工業会でどこまで把握しておられるか分かりませんけれども、情報があれば教えていただきたいと思います。

○セラミックファイバー工業会 分かりました。それについては、欧州のECFIA等に、2003年以降の発がんの情報は何かないかということですね。

○櫻井座長 そうです。多分非公式にちゃんと調べている可能性が高いと思います。報告として論文になっていないということは、まだ2003年が最後なのです。

○セラミックファイバー工業会 分かりました。

○セラミックファイバー工業会 ヨーロッパの工業会にECFIAというのがあります。そちらの工業会とも我々は交流がありますので、そのような情報は取るようにいたします。

○櫻井座長 分野の重要なポイントなので、それがあるとないのでは全然違います。既に2003年までで、もう30年ぐらいたっていますから。それで発がんもないし、中皮腫もない。中皮腫は非常に潜伏期が長いと言いますけれども、短いのから長いのまでばらつきが大きいのです。ですから、30年見いだされていないということは、起こらない確率が高いという見方もあるのです。さらに今まで出ていないということが、あるかないかで非常に違ってまいります。

○大前委員 EC0.3の根拠は、呼吸機能検査になっています。その呼吸機能検査の時間断面研究で有意差が出て、追いかけたらなくなったという話になっています。そういうストーリーだから無毒性量ということになっています。一般的なイメージとしては、昔は濃度が高くて、順番に減っていって、濃度はどんどん減ってきていると思うのです。追跡している7年間も必ず濃度が減っていると思うのです。クロセクショナルの一番前はもっと濃度が高かったと思うのです。これ、濃度が書いてあるのは、クロセクショナルの断面と濃度だけなので、その前後、特に後のほうは濃度は大分下がってきているのかどうか。下がることによって、呼吸機能の差が検出できなくなっているのかどうか。そういう濃度情報があれば教えていただきたいと思います。

○セラミックファイバー工業会 それは、欧州の取扱いの濃度推移レベルということですね。

○大前委員 そうです。

○櫻井座長 主にマッケイのデータですね。論文が問題なのです。その数字がどこから出ているかというのを、もう一回丁寧に説明していただければと思います。論文をよく読めば分かると思います。

○セラミックファイバー工業会 はい。

○濱本環境改善室長 時間がまいりました。私どもの時間の設定がまずくて申し訳ありませんでした。次回の予定だけ申し上げておきます。資料の2-10です。次回は417()1330分~1530分の予定で実施いたします。場所はまだ決まっておりませんので御連絡させていただきます。

 次回は、リフラクトリーセラミックファイバーの名古屋委員の御報告も含めて、続きの議論を行っていただき、ここで一定の結論が出ればと思っております。先ほど申し上げましたように、名古屋先生の御報告の件で事前にお伺いすることがありましたら事務局にお問い合せいただきたいと思います。セラミックファイバー工業会様にお願いしている件については、事務局と相談させていただいて、可能なものは御提出したいと思います。

○櫻井座長 それでは、これで本日の会議は終わります。どうもありがとうございました。


(了)

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