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2015年6月19日 「第12回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」議事録

○日時

平成27年6月19日(金)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省中央合同庁舎5号館16階 労働基準局第1、2会議室


○議題

(1)労働安全衛生法における特殊健康診断等の健診項目について
(2)その他

○議事

○職業性疾病分析官 定刻ですので、ただいまから「第12回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」を開催いたします。本日の進行等を務めさせていただきます労働衛生課職業性疾病分析官の大渕でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、先生方全員お集まりでございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、始めに労働衛生課長の泉より御挨拶を申し上げます。

○労働衛生課長 おはようございます。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。また、先生方には日頃から労働衛生行政について、大変御協力いただきありがとうございます。

 特殊健康診断に関する検討会は平成20年度からスタートしており、今日で12回目ですが、ここ最近はリスク評価の終わった物質の健康診断について御議論いただいておりました。ただ、これは既に健診対象となっているものの見直しをしていた検討会でして、第8回の平成23年9月にその検討の中間報告まで御検討いただきましたが、その後、平成24年5月に胆管がん事案が明らかになったところから、そちらの対応、それからそれに伴う様々な制度改正ということで、少し前の検討が止まったままとなっていたわけです。これについては先生方から折りに触れて、あれを早く再開するようにというように御指摘いただいたところです。本日は、その検討を再開させていただくという会です。

 ただ、平成23年9月から大分時間がたって状況も変わっておりますので、やはりそのときの中間報告の方針がそのままでよいのか、もう一度確認していただく必要があるかと思いますので、そういうわけで多少議論が戻るところもありますが、そこはお許しいただきまして、よりよい制度となるように御検討いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○職業性疾病分析官 それでは続いて、配付資料の確認をいたします。議事次第、配付資料一覧を御覧いただいて突き合わせしていただきたいと思います。まず配付資料1-1、労働安全衛生法における特殊健康診断の健診項目に関する今後の検討の進め方(案)、資料1-2、平成23年第8回の検討会のときに、提出させていただいた中間報告書(案)、参考資料1、この検討会の参集者名簿、参考資料2、この検討会のベースにした、平成20年3月の中央労働災害防止協会取りまとめの、特殊健康診断の健診項目に関する調査研究委員会報告書です。参考資料3は、特別則に基づく健康診断の関係条文ということで、労働安全衛生法、施行令、有機則、鉛則、四アルキル則、特化則、そして、石綿則のそれぞれについて、健康診断関係の条文の部分を抜粋してまとめた資料です。確認は以上ですが、何か不足等がありましたらお知らせください。

 それでは、今後の議事進行については、櫻井座長にお願いします。

○櫻井座長 それでは、議事進行を務めます。よろしくお願いいたします。まず議題1の「労働安全衛生法における特殊健康診断の健診項目について」です。事務局から資料の説明をお願いします。

○職業性疾病分析官 資料1-1、資料1-2を使って説明いたします。まず資料1-1を御覧ください。これまでの経緯、それから今後の方針ということで整理した資料です。1番、これまでの経緯及び今後の基本方針については、先ほど泉課長から申し上げましたが、有機則、鉛則、四アルキル鉛則、特化則の健康診断項目の全般的な見直しに関しては、本日配付している参考資料2の中災防の報告書を基にして、平成20年~平成23年に検討を行い、第1回、3回、4回、5回、7回、8回の検討会で検討を行っており、その中の第8回の検討会では、中間報告書(案)の検討を行っております。

 その後、諸々の事情があり検討の間が空いてしまいましたが、今回報告書の取りまとめに向け、改めて議論を再開させていただきたいということです。

 今後の議論に当たっては、中間報告書をそのまま追認ということではなく、それ以降の事情として、1,2-ジクロロプロパンの健診対象、健康管理手帳対象への追加があり、また、クロロホルム等10物質について、有機溶剤中毒予防規則から特定化学物質障害予防規則への移行などがありましたので、こういったことも踏まえて、必要な事項を追加した上で検討をさせていただきたいと思っております。

 2番の追加検討事項に入る前に、簡単に第8回の中間報告書(案)、資料1-2を御覧ください。1番のはじめにの所で、この検討会で検討をする目的や、どういう考え方で検討をするかということを、整理していただいております。基本的には、それぞれの規則について、健診項目を規定してから長い間が空いてしまったので、その間に科学的な技術の変化と医学的な知見の蓄積等で、必ずしも現在の項目が妥当というわけではないということで、いろいろな検討をしていただいたところです。

 具体的な検討の中身は、2ページの2番の所です。検討の対象とする健康診断については、4年前までの検討会では、有機則、鉛則、四アルキル鉛則、それから特化則の4つの規則に規定している健康診断、それから通達で行政指導ということで定めている健康診断がありますので、この中のものについて検討していただきました。

 3番は、特殊健康診断項目の見直しに当たっての基本的な考え方ですが、大きく2つに分かれています。(1)ばく露の指標について、(2)健康障害の指標について。ばく露指標としては「作業条件の簡易な調査」を新たに行うことにすることと、生物学的モニタリングについては、従来は必ずしもたくさんの物質を生物学的モニタリングの対象にはしていませんでしたが、必要な条件を満たすものについては、追加をしていくという考え方です。(2)健康障害の指標については、現行の健診項目が決まってから長くたっていますので、最新の医学的知見に基づいて整理し、必要なものは追加、あるいは必ずしも必要のないものは廃止、削除していくという方向で整理していただいております。

 3ページで、用語の関係を少し触れさせていただくと、丸1~丸5で少し言葉が法令によって不整合があるということで、丸4では「神経内科学的検査」とか、「神経学的検査」というようなことが上がっておりましたが、「神経学的検査」に統一をするとか、丸5では、肝機能検査に関係する言葉で、用語を現在の表記に直していこうということも整理していただいております。

 4番の、個々の有害業務の特性に応じた特殊健康診断項目の見直しについては、これ以降は(1)有機則の関係、(2)鉛則、(3)四アルキル鉛則、(4)特化則の関係、(5)通達に基づく健康診断の関係を、順に整理をしています。

 有機則から順に簡単にどのような方向で整理したかということを説明いたしますと、丸1が現行の規定、丸2が見直しの方針ですが、丸2の見直しの方針を説明いたします。有機則についての見直しの方針が、4ページの真ん中より少し上の所で、まずアとして、全ての有機溶剤を取り扱う業務に従事する労働者に対する健康診断項目ということで、全部に共通して追加する項目として、「作業条件の簡易な調査」を必ず実施する項目に追加をするということ。それから、これまで必ず実施する項目から、「尿中蛋白の有無の検査」を削除する。「貧血検査」の関係を削除する。「肝機能検査」「腎機能検査」については、今までは全部の有機溶剤の所で書いていましたが、それは有機溶剤ごとに必要性をよく判断して書くということで、一律に書くというやり方は採用しない方向になっております。

 イとして、特定の有機溶剤を取り扱う業務に従事する労働者に対する健康診断ですが、現行の有機則の健診は、アのとおり、全物質に共通の項目と、物質ごとに追加でやるような項目が整理されています。そのうちの物質ごとに決める部分がイですが、これについて「腎機能検査」は12物質に限って入れるということや、クロロホルム等、肝毒性が強く認められる5つの有機溶剤に限って「肝機能検査」を必ず実施する項目にしていくということ。

19の有機溶剤については、医師が判断した場合「肝機能検査」を規定する。それから、動脈硬化の関係で、二硫化炭素の所で「動脈硬化性変化の検査」を追加すること。メタノール、酢酸メチルの関係で、「眼科的検査」を追加すること。スチレンについても、色覚異常の原因であるということで、「眼科的検査」を追加するということになっておりました。

 (2)の鉛則の関係は、こちらは余り大きな変更はなく、丸2の見直しの方針の所では、ほかと共通で、「作業条件の簡易な調査」を必ず実施する項目として追加することになっていました。

 (3)の四アルキル鉛則の丸2の見直しの方針の所ですが、必ず実施する項目のほかに、「医師が必要と判断した場合に行う項目」ということを規定することになりました。それから、必ず実施する項目の中には、今までは全く入っていませんでしたが、「業務の経歴の調査」を追加することと、ほかとの並びで、「作業条件の簡易な調査」を追加するということ。これまで必ず実施する項目としていた中で、「血圧の検査」「好塩基点赤血球数又は尿中のコプロポルフィリンの検査」を削除するということ。健康障害の指標ということで、必ず実施している項目に鉛則と同様の健診項目を追加していくということ。医師が必要とした場合に、実施する項目も追加していこうということがありました。

 (4)の特化則の関係ですが、7ページの丸2の見直しの方針で、アとして、ばく露の指標、ここでは「作業条件の簡易な調査」を全ての物質に共通に追加すること。イの健康障害の指標について少し書き分けしており、1つ目として、尿路系腫瘍を標的とする特化物についての見直し。2つ目のポツですが、肝障害を標的とする化学物質についての見直し、それぞれここに書いてあるような見直しを挙げていただいております。ウとして、個別の特化物に応じた見直しの方針については、最初にカドミウムの関係、それから8ページの3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンの関係、次のポツが水銀の関係、最後のポツがトリレンジイソシアネートの関係、それぞれ健診項目の見直しを提案していただいております。

 (5)の通達に規定される健康診断項目については、現行で29種類の業務について通達で行政指導として実施しておりますが、その中で、メチレンジフェニルジイソシアネート、こちらの業務の健康診断を見直すということで、中身としては、特化物であるトリレンジイソシアネートと同様の健診項目に改めることが適当であるということの意見を頂いております。中間報告の概要は以上ですが、細かいところはその後ろに別表形式で載っております。概要としては以上です。

 ここの内容までが平成23年までの議論ということで、これがまずベースとしてあります。これに追加して、今後検討していただきたい事項ということで、資料1-1に戻ってください。先ほどこれまでの経緯等を御説明いたしましたが、2の追加検討事項、これから検討してはどうかという事項として、事務局でピックアップしたものです。

 まず(1)有機則の関係ですが、現行の有機則の健康診断は、全ての物質についてやる項目と、物質特有でやる項目があり、これにプラスアルファとして医師が必要と認めれば行う項目がありますが、必ずしも一次健診、二次健診と明示的に分かれているわけではなく、なぜ医師が必要として認めるという項目をやるのかという理由が、条文上は余り明確になっていないところがあります。現在、特化則では一次健診、二次健診と条文上もはっきり分けており、一次健診を行って、そこで異常が見付かった場合に二次健診に進むと条文上でも整理がされておりますので、有機則についても同じような形で整理ができないかということが丸1です。丸2の肝機能検査の要否については、今の中間報告にもありましたが、以前も検討はしていただいておりますけれども、肝機能検査について、1,2-ジクロロプロパンの問題もありましたので、最新の知見を踏まえて、もう一度その要否については再検討したほうがいいのではないかということ。

 (2)鉛則の関係は、こちらも有機則と同様、一次健診、二次健診に現行は分かれていませんので、それを分ける形にしてはどうかということ。

 (3)の四アルキル鉛則は、こちらも有機則、鉛則と同様に一次健診、二次健診に分かれていないので、それを明示的に分ける形としてはどうかということ。丸2として、健康診断の頻度ですが、ほかの物質は基本的には6か月以内ごとに1回ということですが、四アルキル鉛則に限っては、現行3か月以内ごとに1回というようになっており、これを見直して変更する必要があるかどうかということも御議論いただければと考えております。

 2ページの(4)特化則の関係です。先ほどの有機則とも絡みますが、現在は12物質の特別有機溶剤があり、うち10物質は有機則から特化則に移行した物質ですが、やはり肝機能検査の要否について最新の知見も踏まえて、もう一度検討してはどうかということです。丸2特別有機溶剤のうち、トリクロロエチレンはIARCでグループ1というように評価され、ヒトへの腎臓がんを起こすような物質だということも明らかになっていますが、現在、腎臓がんを考慮した項目が入っていないことから、腎臓がんを考慮した健診項目の追加の要否について、検討していただけたらと思っております。丸3シアン化カリウム、シアン化水素、シアン化ナトリウムについては、特化則の中で唯一、一次健診、二次健診に分かれていない物質ですので、こちらもほかの物質と同様、一次健診、二次健診に分けて健診項目を規定してはどうかということ。

 (5)として、石綿障害予防規則ですが、4年前までの検討では、石綿則は、検討対象に入っていませんでした。しかし、今回の状況を見ると、石綿則もやはり健診としては化学物質関係の健診ということで、ほかの規則とできれば整合性を取ったほうがいいのではないかということで、そのようにしてみた場合に、不足している項目として、一次健診に「作業条件の簡易な調査」を入れることによって、ほかとの整合性を取ることについて御議論していただいてはと考えております。

 事務局で追加の検討事項として、このようなことを今後検討した上で、報告書を取りまとめてはどうかという提案をさせていただきました。説明は以上です。

○櫻井座長 ただいま、今後の進め方に関する事務局からの提案を説明いただきました。お気付きの点等を御議論いただきたいと思いますが、順番にいったほうがよろしいかと思います。最初に、有機溶剤中毒予防規則については、いかがでしょうか。一次健診と二次健診を明示的に分けることは、有機則、鉛則、四アルキル鉛則に共通した問題点で、まずその点はいかがでしょうか。法文上の記載は、一次、二次とも書いていないのですね。何々の結果に基づいてと。

○職業性疾病分析官 参考資料の3に条文を入れております。有機則は4ページからです。

○労働衛生課長 対比していただくとすれば、特化則が8ページにありますので。

○櫻井座長 8ページの第39条第3項の真ん中辺りですね。

○職業性疾病分析官 そうですね。前2項の、一次健診で、他覚症状や自覚症状、それ以外のもので異常が認められる者で、医師が必要と認めると別表第4の項目の二次健診項目をやりましょうということで、なぜ2段階目に進むかということが条文上はっきり分かる形になっております。それと比べますと、4ページの有機則の第29条の第5項で、「事業者は、第2項の労働者で医師が必要と認めるものについては」ということで、ここに書いてある1号から5号のものについてやりなさいということで、条件としては医師が必要と認めるものというだけで、具体的にどういう条件というのは条文上からは読み取れないような形になっております。

○櫻井座長 それで、特化則のほうは「何々の結果」という言葉が入っていますよね。そのように時系列に規定していることが、場合によっては問題になる可能性があるのですね。有機則や鉛則では特化則のように時系列の規定がありませんので、医師が必要と認めた場合の貧血検査を、最初に同時にやっている所も多いかと思います。

○圓藤委員 8ページの特化則の規定で、何々の結果、健康診断の結果、他覚症状が認められる者、自覚症状を訴える者、その他異常の疑いがある者でと限定しているのですが、むしろそちらが必ずしも妥当ではないのではないかという気がしています。有機則や鉛則はそういうものを決めずに、医師が必要と認める場合としてある。その場合とは、恐らく特化則に書いてある他覚症状を認めるような場合もあれば、自覚症状、その他異常を認める場合もあれば、例えば作業環境測定の結果、これは丁寧に診る必要があると事前に分かっている場合もあるのではないかと。そういう場合でしたら、必ずしも一次、二次の2回というような形ではなく、あるいは鉛などでしたら、前回、半年前の健康診断の結果、異常値が認められるというようなことで、今回は丁寧に診ましょうかというのがあってもいいのではないかと思います。むしろ、鉛や有機則に合わせたほうが現実的ではないかというのが1点です。

 もう1つは、前回の資料1-2の20ページですが、これをこのまま進むとするならば、一次健診に医師が必要と認める場合は、尿中腫瘍マーカー又は超音波診断の検査と。二次で、作業条件の調査というように、2段階になっており、非常に繁雑になってしまうのではないかと。ですから、むしろ一次、二次という言い方を特化則から削除して、鉛などに合わせておくほうが運用しやすいのではないかというような気がしています。

○櫻井座長 今の御意見はいかがでしょうか。

○山田委員 今ご意見は、結局医師の裁量性をもっと認めよということですね。一次はこうする、二次はこうすると決められてしまっています。鉛や有機溶剤では、もう最初から5番の1項から5項をやっている事業場も結構あります。それは裁量だと思いますので、裁量性というのは一番言われているところではないかと思います。

○櫻井座長 その他、何かいかがでしょうか。

○清水委員 最近は、いろいろ検査機器も発達していますし、検査項目も最初にザッとやってしまうというようなこともあるので、余り今までのように一次健診のときにどうだと、二次健診のときにどうだと、そのように規定してしまうと、かえってやりにくいということがある。

○山田委員 従業員に2回健康診断(健診)に来てもらわなければいけない。2回よりは1回の健診で判定がついたほうがいいと思います。

○櫻井座長 健診機関等で、2回来させるなどということは、なかなか現実的ではないですね。

○山田委員 そうですね。もう1つ述べたいことは、作業条件調査も「作業条件の簡易な調査」で大体は分かるということです。あれは簡易な調査ではないです。使用物質、使用量、作業様態などの一連の作業条件を聞いていますから。あれ以上のことは普通聞き出せません。あれ以上の作業条件調査をやるというのは、実際にいろいろな問題が出てきたときに、作業条件調査をきちんとしようかという場合で、「作業条件の簡易な調査」で十分、作業条件は判定できると思います。

○櫻井座長 それが目的であの項目を採用したのですね。慣れた産業医又は医師が問診して、「作業条件の簡易な調査」をやったら、もう既に現在の二次の項目の内容まで入ってきますね。

○山田委員 そうです。ですから、「作業条件の簡易な調査」と書くから“簡易”のように思ってしまうので、「作業条件調査」だけでいいと思います。

○櫻井座長 二次健診に「作業条件の調査」とあるものですから。

○山田委員 それで、“簡易”をつけた。

○櫻井座長 あえて、簡易というものを付けてあるけれども、現実には相当簡易ではないと。

○山田委員 現実に作業条件調査の雛型などを見てみますと、ほとんどそれでできますよね。

○職業性疾病分析官 必ずしも、2段階に、簡易な調査と詳しい調査に分けなくてもいいということですね。

○山田委員 簡易な調査を作業条件調査にしてしまってもいいかなと思います。

○櫻井座長 医師が必要と認めた場合は、追加の調査となるというような表現もあるかもしれませんが、いかがでしょうか。今、大分いろいろと意見がありました。大前委員はいかがですか。

○大前委員 一次、二次というものの二次のイメージが、その物質によって起こった状態を確定診断するというようなイメージであるのですよね。それで、今のお話の感じですと、確定診断よりもむしろスクリーニングみたいなイメージがあるので、どちらがいいのかなというのは実は迷っているところなのですが。

 でも、現実的にはきちんとした産業医師がいらっしゃる所は、今おっしゃったように、もう一次も二次も余り分けないでやっている所はあると思います。嘱託産業医師がやっている所は、やはり法律の一次部分しかやらないのが現実だと思うのですよね。

○山田委員 一次健診部分しかやらないから、判断がつかない。最初から一次、二次を行ったほうが一度に確定診断できます。

○大前委員 でも、おおむね健診機関に頼んでやると、お金の問題もあるので、一次しかやらないですよね。

○山田委員 いや、費用の問題が一番大きいと思いますね。

○大前委員 だから、最低限スクリーニングという意味でやらなければいけない項目は、しっかり押えていたほうがいいと思うのですね。それに、ドクター、産業医師が判断して加えるのは全然構わないと思いますが。

○櫻井座長 一応、2段階に必ずやる項目と、医師の判断によって付ける項目を変えると。ただ、表現の仕方として、何々の結果又はその他情報によるみたいな、表現は考えていただくとして、医師が必要と認める場合は行うというので、時間的に、「結果」というと、一遍結果が出てからじゃないとその次は駄目みたいなことになるので、そのようなことは避けたほうがいいかなと。もちろん、結果によってその後、追求することも。

○山田委員 だから、特化物健診では、一次の結果が出てしか二次健診はできません。

○櫻井座長 そうなのです。

○山田委員 その間に、事が起こっている可能性は結構あります。

○櫻井座長 問題点は大体共有しているように思いますが。

○山田委員 もう1つよろしいですか。用語についての議論です。前も議論があったと思いますが、他覚症状という用語の使い方です。他覚症状は、症状ではなく、所見ではないかということで、以前の会議で他覚所見にしようという話になっていたと思います。

○櫻井座長 そういう話がありましたね。

○山田委員 今回、大きな改正の機会ですから、他覚症状ではなくて他覚所見に変えていただいたほうがいいかなと思います。

○櫻井座長 これでは、自覚症状及び他覚症状、あるいは他覚症状及び自覚症状とか、その順番をどうするか。それから、「及び」ではなく「又は」と書いてあるのもあるのです。そこを。

○職業性疾病分析官 なるべく、そろえて。

○山田委員 特化物健診だけは、最初に他覚症状と書いてあります。他の健診では全部、自覚症状及び他覚症状の順序なのです。特化物健診だけ、他覚症状及び自覚症状あるいは“又は”なのです。特化物健診では自分が感じる前に医師などが所見を発見するほうが早いので、他覚的所見が先に書かれている聞いたことがありますが。この点もやはり統一したほうが良いと思います。

○櫻井座長 そうすると、他覚所見又は自覚症状が一番いいと思います。いかがでしょうか。

○柳澤委員 前回議論になったときに私も申し上げたと思いますが、やはり症状というのは患者自身が自覚するものが症状なのであって、他覚症状というのは言葉自体として矛盾しているのですね。したがって、他覚所見というほうが正しいと思いますので、そうしていただければと思いますが。

○櫻井座長 それは、いかがでしょうか。

○労働衛生課長 順番は、他覚所見が先のほうがよろしいのですね。

○山田委員 それは、特化物健診だけがそうなっているのです。だから、どういう意図で他覚所見(他覚症状)が先に書かれているのか調べていただきたいと思います。ある解釈によると、職業病を本人が自覚する前に医師のほうが早く見つけていたので、他覚症状というのを最初に書いていると言われています。もしもその解釈を重要視されるのなら、その順序でもいいのではないですか。

○労働衛生課長 ほかのものがそうでないのだというのなら。

○山田委員 有機物など他の健診では、医師が所見を見つける前に、作業者が自覚しているという考えです。

○櫻井座長 多いのですよね。

○山田委員 他の健診では、自覚症状が先に書かれています。一般に自他覚所見と言いませんし、自他覚症状とも言いません。だから、他覚所見、自覚症状です。そのようにして、例えばレポートで出しても、法律になると他覚所見、自覚症状になっています。○労働衛生課長 はい。

○櫻井座長 先生方の感覚としては、どちらがよろしいですか。順番ですが。

○柳澤委員 山田委員のおっしゃっている点が一番ポイントになっていると思いますが、一般的には医学的な診断過程というのは、自覚症状をまず見て、それから他覚所見を取って、その自覚症状に基づいて他覚所見を重点的に取っていくということがありますので、言葉の並びとしては自覚症状、他覚所見というほうが自然なのですが。「自覚症状が出るよりは、他覚所見のほうが先に出るのだからそれを注意しろ」ということをメッセージとして残したほうがいいような物質については、そのように逆にすることは必ずしも悪いことではないと思いますが。

○櫻井座長 ものによってはということですか。

○柳澤委員 はい。

○櫻井座長 そうしたら、基本的には自覚症状又は、及びですね。

○柳澤委員 及びでもいいと思いますね。

○櫻井座長 自覚症状及び他覚所見で、ものによって他覚所見を重視するとしたら、ひっくり返すこともあってもいいだろうという御意見ですね。そのようなことについては、何か。

○大前委員 例えば、有機溶剤が10物質ぐらい、こちらにいってしまいましたので、今の有機溶剤の話から読むと自覚症状のほうが先だろうということですから、まあ特化則も自覚症状が先でいいのではないですか。そんなにこだわることでもないと思うのですが。

○労働衛生課長 こだわりがなければ、そろっていたほうがより間違いが少ないというのがありまして。

○櫻井座長 一部の方は、どうしても気になってしようがないけれども、大部分の方は余りこだわらないと。ただ、他覚症状はやめて、自覚症状及び他覚所見。又はのほうがいいのですか。

○圓藤委員 例えば、4ページの有機則の所を見ますと、第29条の第2項の2「自覚症状及び他覚症状の既往歴の調査」ですから、この場合は及びでなかったらまずいと思うのですね。下の3を「自覚症状及び他覚所見」としますと、両方があるかないかということにつながるので、あえて自覚症状がありますか、又は他覚所見がありますかということを調べていきますので、ここはそれを使い分けているのではないかと。

○櫻井座長 そうですね。既往歴のほうは及びと書いてあって、これはこのままで了解できるポイントですね、こういう形で。条文をいつも見ていらっしゃる立場から、何か。

○労働衛生課長 意味が正しく残るように、もう一度検討いたします。

○櫻井座長 はい。条文絡みのいろいろな考え方がまたあると思いますので。ありがとうございました。そういったところは、それでよろしいと思いますし、先ほどの一次健診、二次健診についての問題点もほぼ共有されておりますので、今後行われる委託調査ですか。

○職業性疾病分析官 委託で、少し追加の文献調査などもさせていただければと思います。

○櫻井座長 まとめる段階で、別の委員会のようなものが今までもあったわけですが、そこで詳細にまとめて案を作るような方向でよろしいのでしょうか。

○労働衛生課長 この後のプロセスはまた最後に御相談しようと思います。そうしますと、今の一次、二次の話は一応分けておく必要はあるけれども、時間的に間を空けなければいけないということが必ず、ということではないようにしたほうがいいということですね。

○櫻井座長 はい、そういうことです。

○労働衛生課長 はい、分かりました。

○産業保健支援室長補佐 1つだけ確認なのですが、特化則が今厳しすぎるから、もう少し緩めるようにしたほうがいいのではないかという圓藤先生のお話だったと思いますが、有機則も同じような考え方でよろしいのでしょうか。有機則は、今は一次と二次と全然分かれていなくて、条件は何も書かれていない、二次でやるような項目が同じように書かれているのですが、特化則と有機則の書き方の違いが何でなのかというところの説明がなかなか難しくなっています。もし合わせるのであれば、有機則も同じような表現に合わせたほうがいいのかなと思っているのですが、いかがでしょうか。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○圓藤委員 私はむしろ、特化則のほうを有機則に合わせておいたほうがいいのではないかと。というのは、有機則のほうは、今の規定で余り問題になっていないのではないか。現場では、この書き方で混乱が起こっていないのではないか。だから、この有機則を厳しく限定していくという必然性が余りないと。むしろ、特化則のほうで一次、二次と分けているときに、もう一次に1回でやってしまいたいというところが結構あるのではないかと思いますので、見直すとしたら特化則のほうを見直しておいたほうがいいのではないかと思います。

 ただ、特化則の場合はいろいろな物質がありますから、これはやはり一次、二次に分けておいたほうがいいよというのがあるのかも分かりませんので、一気には難しいのかも分かりません。

○山田委員 有機則の第5項の“医師が必要と認めるもの”ですね。これが別表と絡んでいます。別表が第二次というような捉え方なのですしょうか。これが第二次だったら、5項で医師が必要と認める場合という記載は、二次だという考え方が強いのではないですか。

○圓藤委員 いや、山田先生がおっしゃるのは、条文の中には一次、二次と書いてありませんが、別表の中に一次健診項目という、そこで一次と二次を明確に入れてあるので。

○山田委員 だから、それはそうなっているのかなと言いますが、実際は違うでしょ。トルエンなら、右に書いてある馬尿酸で測られています。これは一次ですね。

○櫻井座長 条文には出ていませんが、別表では一次、二次とはっきり書いてあるわけですね。

○職業性疾病分析官 特化則の※の一次健診候補、二次健診候補は分かりやすいように事務局で入れさせていただきました。それ自体には書いていないのですが、特化則は別表の第3と第4と2つありまして、別表の第3のほうがいわゆる一次健診と言われているような項目で、別表第4は一次健診の結果が出た後、必要に応じてやる項目となっております。

 一方、有機則は、また条文の書き方がやや複雑で、まず全物質に共通でやるような項目、4ページにある第29条の第2項に、全物質共通でやる必須の項目があります。その後、必須ではあるのだけれども、物質に応じてというのが有機則の中の別表ですね。必須項目だけれども物質に応じてというのが別表です。それ以外に、今度は必須項目では必ずしもなくて、医師が必要と認めればやるというのが、第29条の第5項ということで、ほかの規則に比べて有機則は少し条文の書き方が分かりづらくなっております。

○櫻井座長 そうですね。すごく分かりにくいですね。

○職業性疾病分析官 はい。ですので、そこも可能であれば、今後直して、必須項目と必要がある場合に行う項目というような2段階で。かつ今回の項目の必須項目の中で、従来有機則の第2項に書いていた項目、従来は物質で共通であった部分がかなり出入りするような形、この物質の場合はこれは要るけれども、この物質の場合には要らないという、かなり出入りがありますので、できれば有機則も特化則と同じように1つの表で、この物質のときにはこの健診項目をやりますというようなものが、もう少し見やすい形に書ければと思っているところです。

○櫻井座長 そうですね。

○圓藤委員 ということは、4ページの第4項が別表に書いてあって、第5項が表になっていないということなのですね。第5項を表にすれば、そろうのではないかなという気がするのですが。

○職業性疾病分析官 はい。

○櫻井座長 個別に全部入れ込んで、必ず実施する項目と、医師が必要と認めた場合に行う項目と2つに分ければ、もうそれでいいような気がしますが。

○職業性疾病分析官 そうですね、はい。

○圓藤委員 もう1つ質問なのですが、参考資料3、特化則に基づく健康診断の関係条文ですが、9ページの別表第3で※があり、一次健診項目と書いてあります。これは、文書にあるのですか。

○職業性疾病分析官 事務局で書き加えたので、条文上はこういう言葉は直接は書いてないです。

○圓藤委員 そうすると、条文の中に一次とか二次という言葉はないのですよね。

○職業性疾病分析官 条文の中には、直接はありません。

○圓藤委員 だから、あえてないほうがいいのではないかという気がしますが。

○労働衛生課長 趣旨は、最初にやるのと医師の判断でやるというのをはっきり明示的に分けたいということと、物質ごとにそれが見えるような形にしたいと。一次と二次の間を、時間軸で切らないという、今の御指摘を踏まえて、なるべく各規則で同じ形にしないと、非常に分かりにくいことになります。

○圓藤委員 だから、別表の後ろのほうは。

○山田委員 一次健診項目の※というのは、どこにありますか。

○職業性疾病分析官 9ページの表の一番上のタイトルの所に、※で一次健診項目と書かせていただいております。

○山田委員 別表第3が一次項目ということですか。

○職業性疾病分析官 全部そうですね。

○山田委員 イコールという意味ですね。

○職業性疾病分析官 イコールですね。

○山田委員 ほかに※は全然どこにも付いていないので。

○職業性疾病分析官 ないので、この表自体が一次健診項目を書いていて、それと対応して24ページに二次健診項目を書いておりますということだけです。

○山田委員 そういう意味ですね。別表第4が二次だと。

○圓藤委員 確かに、別表第3と別表第4と2つに分けているのは見やすいので、有機則もそのようにそろえていただければ見やすいかなという気がします。

○職業性疾病分析官 はい。

○山田委員 しかし、別表第3、別表第4は本当は1つにして、別表第3と別表第4をまとめて書いたほうが分かりやすいですよね。

○労働衛生課長 つなげると見やすい。

○山田委員 横にね。

○職業性疾病分析官 必ずやる項目と、医師が必要と判断した上でやる項目と1つの表で。

○労働衛生課長 ただ、ちょっとこの形は変えられないので、運用上見やすい表を作っていただくということで、そこはお許しいただきたいと思いますが。

○櫻井座長 医師が必要と認めるというのが、またそれ以下の中で幾つか出てきますよね。先ほども御指摘がありましたが。そこが、また微妙なのですよね。

○山田委員 有機溶剤は44物質しかないですから、いけるのではないですか。

○櫻井座長 個別に医師が必要と認めると言っておきながら、更にその中で医師が必要と認めている場合と書いてあるのとないのとあるのですよ。

○産業保健支援室長補佐 もう少し整理したいと思います。ただ1つ気になるのは、すごく詳しい先生であれば、医師が必要と認めたと言って任せてしまって判断していただけると思うのですが、必ずしもそうではないと思うので、医師が認めたとどういう基準で認めればいいのかという質問がうちにもよく来るのです。ですので、何らかの考え方は書いておいたほうがいいのかなという気はしております。

○櫻井座長 そうですね。

○産業保健支援室長補佐 それを規則に書くのか、通達などで出すのかは検討の余地もあると思うのですが。

○圓藤委員 それよりも、もっと重要なのは、有所見を何でもって有所見と見なすのか、こちらのほうが重要で、こういう項目に1つでも異常があったら有所見にする先生もおれば、この程度は所見があるとは見ないという先生もいるということで、有所見の基準そのものがないので答えづらいですね。

○山田委員 一番言われているのは、ある一定の基準値を超えたらそれは有所見なのだというのですが、例えば経過を見ていて、その間に増加があったら、これはばく露の結果で、有所見です。そのような場合でも、測定値より基準値(ばく露限界値)が大きな値であったら、有所見ではないということになってしまいます。

○櫻井座長 そういうのは、条文などに書き込むことは無理で、いずれにしてもガイドラインのようなものを丁寧に作る。前からそれはそうなのですが、非常に困難な作業である。ですが、うまく表現すれば、一般論として今のような例を挙げて。

○山田委員 経過が見えるということは大事なことですよね。経過を見て、前と比べてみて、どう上がったり下がったりしているか。上がっていたら、明らかにばく露ですよね。ですから、そのような判断をしていくのが普通ですが、なかなかそこまでの教育ができていない状況です。

○櫻井座長 自覚症状の問診も、何々によると物質を挙げて書いてあるとないのとあるのですが、それを書いた気持ちとしては、そこで判断を入れてくれということを言っているのですね。

○山田委員 例えば、血圧が高いことが有所見である場合には、その物質によって血圧が高くなることが認められていなければならないわけです。だから、高血圧がその物質で起こらない場合には、有所見にはならないことになります。○櫻井座長 これも交じっているのですよね、整合性がないですからね。

○産業保健支援室長補佐 表現の整合性が取れていないのは、今回きちんと整理はしたいと思います。

○櫻井座長 どちらに合わせるかということで迷うところもかなりあるけれども、現段階で最善を尽くして、できるだけいい結果になるように。

○山田委員 非常に期待しています。

○土屋委員 健診の定義なのですが、がん健診をやっていますと、これは保険診療が絡むので、一次健診というのはスクリーニングでするという形で、そこで引っ掛かって二次健診はもう保険診療なわけですね。それで、一次、二次というのはかなり厳格に分けないとならないと。ですから、この場合、今お示しになった特化のほうは、わりとがん健診に似たような形でスクリーニング的に一次健診をやって、医師が認めた場合は二次健診的な、健診とは付いていないのですが、それに近い分け方だと思うのですね。ただ、ほかのものについては、やはり一次健診で医師が必要としてまた検査をやると、これは一般診療からいくと保険診療に当たるようなことになるので、少し健診という言葉自体に違和感があるのですね。一次、二次という分け方。ですから、先ほど御指摘のように、特化則にそろえると、他の医療関係の健診という名称とほとんど同じになるかなという気がします。

○櫻井座長 保険診療になると、要するに事業者は費用を負担しない。

○土屋委員 いや、この場合ではなくて。がん健診の場合には二次になるともちろんなのですが。

○櫻井座長 がん健診はそうなのですが。

○土屋委員 ただ、この場合二次という言葉が適当かどうかという。

○櫻井座長 こういう場合、二次でやる場合は、事業者が負担するわけですね。

○土屋委員 そうですね。

○櫻井座長 それで、もうほとんど確定診断に相当するようなところまでやるわけですが、それはそれでいいわけですね。

○土屋委員 それはそれで構わないと思います。そのときに、医師が認めるものをどこに位置付けるかということだと思うのですね。特化則ですと、これは明確に医師の判断が二次の事業者負担のところに、やっと保険診療と同じ扱いということだと思います。

○櫻井座長 大分議論が進んでまいりました。そうすると、先ほど事務局から頂いた御提案、(1)有機溶剤中毒予防規則についての丸1の部分は、ほかにも共通いたしますが、おおよその意見の共有が既に図られたと思いますので、次の肝機能検査の要否の再検討はいかがでしょうか。これは、残っている有機溶剤の中にも、まだ塩化炭化水素が2種類ぐらい残っております。その他のものは、前回までの段階では、動物実験での非常に高濃度のばく露を受けて、初めて肝機能障害が起こるようなものは一切入れないとか。

○労働衛生課長 資料1-2の報告書(案)の4ページの下に、必ず実施する項目として「肝機能検査」を規定するのがクロロホルム等の5つ。それから、リスクがある19のものは、医師が必要と判断し場合に行うという形で、限定的にしておりますので、それでよろしいかどうかですね。

○櫻井座長 その分類は、その段階で、7、8年前の段階での情報から決めておりますので、多分そう変わってはいないであろうと思われるけれども、一応チェックするということになりますか。

○圓藤委員 基本は、前のでいいと思うのですが、その後、胆管がん問題等が発生しておりますので、もう一度見直してこのままでいいのか、若干移動するものがあるのかという確認作業はしたほうがいいのではないかという気がしておりますが。

○櫻井座長 それで、あの胆管がんのときのように想像しないような高濃度ばく露も現実に起こり得ることも考えますと、やはりやや広めに肝機能検査は行っておいたほうがいいのかなと。動物実験で出るようなものは、というような意見もありますし、多分圓藤先生もそのような感じだと思いますが。一つ一つ検討するべきであるという。

○圓藤委員 ちょっとこの場でこの項目をどうするというのを決めるのは少ししんどいので、次回にしていただいて、それまでに調べておきたいなと思っておりますが。

○櫻井座長 そのようなところでよろしいでしょうか。(2)の鉛中毒予防規則は、一次と二次に分けるかという問題は、もう既に議論が済んでおりますのでよろしいかと思います。何か追加の御意見はありますか。特になければ、四アルキル鉛です。これも同様ですが、更に健診の頻度をどうするかという問題が提起されております。

○清水委員 これはなぜ今まで3か月にしていたのでしょうね。根拠があるのでしょうか。

○櫻井座長 非常に急性の精神神経症状が出ますので。

○清水委員 それでですか。

○櫻井座長 ええ、そうだと解釈しております。

○山田委員 特殊健康診断実施状況によりますと、平成25年度の四アルキル鉛健診の受診者数は12人しかおりません。

○職業性疾病分析官 そうですね。

○山田委員 ある特定の事業場だけ実施されている健診です。さらに総数で12人ですから3か月ごとの健診の受診者数は3人しかいないということです。

○職業性疾病分析官 年4回やって。

○山田委員 年4回だから、12人しか報告がない。

○産業保健支援室長補佐 報告上、3つぐらいしかないというぐらいの健診ですね。

○圓藤委員 確か臨時に行う健康診断というのがありましたよね。

○職業性疾病分析官 事故的なものがあれば。

○圓藤委員 それが残っていますので、必要だと思ったら臨時の健康診断をしていただくというのでいかがかと思います。

○山田委員 3か月にする必要はないと思います。普通だったら6か月でいいのではないかと思います。電離放射線健診では、3か月ごとに白内障の検査行っていましたが、6か月ごとに変更されました。

○櫻井座長 そうですね。では、これは3か月ではなくて6か月にするということは、もうこの場で決めてよろしいでしょうか。

                                  (異議なし)

○櫻井座長 では、そのようにさせていただきます。

 次が特化則関係です。これも当然、関係の検査の要否(再検討)です。もともとほとんど全部、肝機能はやる形になっていたとは思いますが、特に今回は有機則から特化則に移ったものは丁寧に調べています。その確認をすることとして、次がトリクロロエチレンの腎臓がんを考慮した健診項目の追加の要否についてです。これはいかがでしょうか。当然だと思いますが、1,2-ジクロロプロパンとジクロロメタンを特化則に新しく入れたときに、やはり胆管がんを考慮した項目を入れておりますね。

○圓藤委員 腎臓がんの恐れがあると思いますので、検討したほうがいいと思います。

○櫻井座長 ただ適切な項目が。

○山田委員 今、二次で腎機能検査は入っています。

○櫻井座長 トリクロロエチレンについてはそれを考えて、一次に腎機能検査を入れるかどうかが検討課題です。相当大きくならないと、血尿などは出ないと聞いているのです。

○柳澤委員 腎がんの早期の診断だと、やはり画像検査です。基本的には超音波をやって検査をするしか。恐らく血尿など、腎機能には影響が出てこないと思います。

○櫻井座長 しかしトリクロロエチレンばく露者全員に、いつも画像というのも大変ですから、やはり画像検査は医師が必要と認めた場合という範疇ですよね。

○山田委員 二次ですね。

○櫻井座長 それから、この場で余り細かく入る必要もないかもしれませんが、トリクロロエチレンについては国によって、非常に多彩な中毒像を示しているのです。薬剤で起こるようなものと同じタイプの、皮膚障害が起こっています。多発性腸管嚢胞症という病態の症例も、まだ日本だけですけれども、大分集積しているのです。それと皮膚のひどい症状が起こった場合は、大体肝機能障害や腎機能障害を伴っているのです。トリクロロエチレンについては、そういうところを特別に見直す必要があるかなという気がしております。

○大前委員 「作業条件の簡易な調査」あるいは「作業条件の調査」というのは、もともとばく露のレベルをきちんと把握しようということで入っているわけですよね。トリクロロエチレンにしてもそうでしょうけれども、ばく露レベルが低ければ関係ないわけですよね。そうするとばく露のレベル、ばく露の簡易な調査若しくは本格的な調査で、医師が濃度が高いことが分かれば画像をやるとか、二次をやるという形でいいと思うのです。だから一次にはそれは要らない。それと肝機能も同じではないかと思うのです。先ほど高い濃度でという話でしたが、それはやはりばく露の調査で引っ掛けるべきことであって、一次検査で引っ掛けるべきことかどうかというのは、私は非常に疑問に思います。

○櫻井座長 ポジティブであっても、その因果関係が本当にあるという確率は非常に低く、現実にはほかの原因でポジティブになっている場合が多いのを入れておくというのは、むしろ良くないということですね。尿タンパクもそうですね。有機溶剤の健診項目に尿タンパクの定性試験を全部入れていたのを削除する方針にした際に考えたのと同じことを考えないと。

○大前委員 それを予想するためにばく露をきちんとつかもうと、そういう項目を入れたわけですから。

○櫻井座長 非常に高濃度ばく露にだけ起こるようなものは、肝機能検査を必ず一次として診る必要はないだろうと。いかがでしょうか。大体それで。

○山田委員 今は一次で入っていますね。

○大前委員 幾つか入っています。それはそれで、もちろんいいと思うのですが。

○櫻井座長 ただ、更にそれを広める必要があるかということです。

○大前委員 証拠があれば、もちろん広めなくてはいけないと思いますが、そうでなければと思います。

○櫻井座長 分かりました。その他、特化則関係で何かお気付きの点はありますか。あとは事務局でお示しいただいているシアン化カリ、シアン化水素、シアン化ナトリウムについては、医師が必要と認めた場合に何をやるということは何もないのですね。

○職業性疾病分析官 ないです。もしやるとすると、一次と二次に分けると「作業条件の調査」だけが、二次に来るようなイメージです。

○櫻井座長 そういうイメージではあります。

○職業性疾病分析官 ええ。先ほどのお話で、特化は今、一次と二次というイメージになっているけれども、一次は必須で、二次の医師が必要と認める項目という考え方は、むしろほかの規則と合わせたほうがいいというお話だったのです。それと関連して、もう1点確認します。平成23年の報告書までは、最初のところで「作業条件の簡易な調査」を共通にして、詳しいものは二次なり、医師が必要と認めたところで詳しいことを聞きましょうというところだったのです。それは今回も変わらずでよろしいのでしょうか。それとも、もう最初のところで大体聞いてしまうので、2段階で作業条件の調査を聞く必要性は余りないことになるのでしょうか。

○櫻井座長 2段階でもよろしいかと思いますが、どうでしょうか。それとも抜いてしまいますか。

○山田委員 「作業条件の調査」は二次に必要だと思います。二次だと実際に現場に行って、ばく露状況を見ます。しかし簡易な調査では、問診票に従って問診し、実際の現場まではいきません。

○職業性疾病分析官 では、やはり内容として違うのですね。

○山田委員 二次は確実に現場へ行きます。

○櫻井座長 現場へ行ってよく調べないと。

○山田委員 それでどういう作業をしているかを実際にさせますよ。シアン化カリウムもシアン化水素も二次がないのは、中毒で危ないわけですから、一次で判定しなければなりません。その後、作業条件等の検証はしますが、一次で適切な対応をしなければなりません。

○櫻井座長 イメージとしては作業条件の調査のところで、個人ばく露濃度の測定を考えているわけです。それを指示する。

○山田委員 個人ばく露の調査はやりますよ。

○櫻井座長 個人ばく露濃度の測定。

○山田委員 個人ばく露濃度の測定の項目は入っていますが、それは作業条件調査です。

○櫻井座長 だからシアン化物3種類について、医師の指示が必要と認めた場合にやる項目として、作業条件の調査というのが1つあっても、それで十分意味があると思うのです。

○山田委員 現在、作業条件の調査は一次に入っています。

○職業性疾病分析官 入っています。

○山田委員 シアン化物の場合にも、「作業条件の簡易な調査」をするのですか。

○産業保険支援室職業性疾病分析官 簡易な調査の問診などだけで。

○櫻井座長 作業条件の。

○山田委員 だから、ここは作業条件を。

○櫻井座長 表現を。

○山田委員 簡易な調査ではないので、最初から、「作業条件の調査」が一次に入っています。

○産業保険支援室職業性疾病分析官 今のやつで。

○産業保健支援室長補佐 今、山田先生がおっしゃったように、初めから全部調べるのかというのは、ちょっと変な気もするので簡易にして、二次を作業条件の調査にしたほうがいいと思います。

○櫻井座長 簡易な調査と「簡易」が付かない調査と、表現としてはしようがないのではないですか。

○山田委員 これは仕方がないですね。これは簡易な調査で、例えばマスクの使用状況も聞いていますが、実際に現場に行ってみて個人ばく露をやってみたら、。実際には作業者の申し出と異なることがあります。

○土屋委員 「簡易」と言うよりも、もう少し分かりやすく、「調査票による調査」とか「現場の査察」とか、そういう表現にしたほうが分かりやすいのではないですか。

○櫻井座長 確かにもっと適切な表現はあり得るのですね。

○山田委員 簡易な調査というのは、作業条件に比べて簡易という意味で使っているだけであって、実際に作業条件調査でもいいわけですし、問診票によるという話でもいいわけです。

○産業保健支援室長補佐 多分、規則を余り詳しく書くのは難しいと思うので、調査のやり方は例えば別途通達などで示すとか。

○櫻井座長 例えば、問診票にその作業者の関連する職場の情報をあらかじめ記載しておいたほうがいいよというようにはなっています。○山田委員 コントロールバッティングの家庭で、どのようなものを、どのように使ってといるかという質問で十分だと思います。

○櫻井座長 しかし個人別のばく露の状況を示す何らかの調査を、会社であらかじめやってあれば、それが最善なのです。作業環境測定で第一管理区分に入っているのか第二管理区分に入っているのかという情報できるだけ健診票に記入することを求めているわけですね。

○職業性疾病分析官 今の通達で簡易のほうに。

○櫻井座長 簡易で使うことになっているわけですね。

○山田委員 しかし、簡単な調査と言われていますが、きちんと実施すれば、簡易ではないですよ。

○櫻井座長 では「作業条件の調査」というようにして、二次と言いますか、更にやるのは「詳細な調査」とする。

○山田委員 原因追求の調査。

○櫻井座長 詳細な調査。

○山田委員 今度は「簡易」を外して、こちらに「詳細」を付けたというのということですね。

○櫻井座長 実際にそうだと思います。二次でやるのは詳細ですよ。

○圓藤委員 前回の中間報告書案ですが、例えば特化則の20ページで一次に「6)医師が必要と認める場合は、尿中腫瘍マーカー又は超音波診断の検査」、二次で「作業条件の調査」と、「医師が必要と認める場合は、尿路系腫瘍に関する検査」という書き方をしています。特化則の中でこういう書き方はしづらいと思うので、恐らく別表の第3と別表の第4というように折り込む形になるだろうと。そうしますと「医師が必要と認める場合は、尿中腫瘍マーカー又は超音波診断の検査」というのは、別表第4のほうに入るのではないかと思います。そうしないと作れないだろうと。

○櫻井座長 そうですね。尿路系の腫瘍絡みは、全部こうなっているのですよね。

○圓藤委員 ええ。

○櫻井座長 だから、この表現になっているものは数が多いですよ。しかし、これを決めるときにここで議論をして、こうなったのですよね。

○圓藤委員 そうです。しかし作るときには、このままでは作りづらいと思いますので、御検討いただければと思います。

 それから、ここでは「医師が必要と認める場合は」という書き方がしてあるのに、次からは、例えば塩素化ビフェニルの場合、「医師が必要とする場合は」というのが書いていないのです。アルキル水銀の場合も書いていない。しかし別表第4の項目だと思います。また、例えば24ページの(オ)のオルト-フタロジニトリルも、「医師が必要と認める場合」に該当すると思うのですが、「てんかん様発作等の脳神経系の異常所見を認められる場合は、脳波検査」となっていて、その下には「医師が必要と認めるときは」ということで、付いていたり付いていなかったりするのです。

○産業保健支援室長補佐 そもそも別表4が、「医師が必要と認める場合は」と本則に書いてあるので、表の中に要るか要らないかという問題は確かにありますね。

○圓藤委員 要らないですね。表の中は全部抜いているべきではないかと。

○産業保健支援室長補佐 そのほうがいいかなという気はしますね。そこは整理したいと思います。

○圓藤委員 となると一次、二次と言うより、「医師が必要と認める場合」というのが二重に相当していたということになりますね。

○櫻井座長 特化則について、その他に何かお気付きの点はありますか。なければ5番目の石綿障害予防規則です。他の物質と同様に、「作業条件の簡易な調査」を追加するというのは、当然そのようにするということだと思います。

○山田委員 石綿障害予防規則の健診は、今はもう主に解体の人だけですね。そうすると、今までどういう作業場で仕事をしてきたかを示す「レベル1」から「レベル3」までの状態があります。そのような作業条件が簡易な条件調査の項目として入っていくから、他の健診とは少し違った簡易調査票になるのではないですか。

○産業保健支援室長 今、業務の経歴の調査というのはあるので、そこに入るのです。

○山田委員 そこにどういうふうに入るのですか。

○産業保健支援室長 これまでのものは、そこに全部入っています。この作業条件のというのは、今解体でやっているのがどういうものかという調査になるのかなと思います。

○山田委員 やはり1と3では全然違いますからね。

○櫻井座長 特殊健診絡みで、そのほかに何かありますか。

○山田委員 特殊健診絡みではないのですが、特殊健診(特健)では、肝機能検査の表現をASTALT、γ-GTにするということですから、定期一般健康診断のほう肝機能検査の表現も改正してほしいです。一緒に改正して、定期健診と特殊健診の統一性を示してください。

○労働衛生課長 タイミングが一緒になるかどうかは分かりませんが。

○山田委員 「特健は改正するけれども、定健は違う」という発言もありましたので、今回は是非統一的な改正をお願いします。

○櫻井座長 特殊健診に関連しては、多分まだ幾つか問題点は残るかと思いますが、当面、今日のところは。

○櫻井座長 できるだけ分かりやすくしていくほうが大事だなと。

○櫻井座長 それでは一応事務局からの御提案のとおり、今後の検討を進めていくということで御異議はありませんか。

                                  (異議なし)

○櫻井座長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。次に議題2の「その他」について、事務局から説明をお願いいたします。

○職業性疾病分析官 今後の進め方の方針を御議論いただいて、「その他」として、具体的に次回以降の開催の仕方ですけれども、今回の方向性を踏まえ、少し追加の最新の知見を集める文献調査をしたり、整理をしたりといった作業が必要になります。委託事業の委員会でそういった整理をさせていただいて、その整理ができた段階でこちらの行政検討会を開催したいと思っております。ですから次回は少なくとも秋以降、恐らく冬ぐらいになるのではないかと思います。その時期になりましたら、第13回の日程調整をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

○櫻井座長 それでは、本日の議題は以上で終了です。どうもありがとうございました。


(了)

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