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2015年7月3日 第41回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成27年7月3日(金)10:00~12:00


○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)


○出席者

公益代表

鎌田座長、柴田委員

労働者代表

勝野委員、小倉委員、曾根崎委員、時枝委員

使用者代表

大木委員、鈴木委員、福田委員、土屋委員

事務局

広畑雇用開発部長、谷建設・港湾対策室長、富永建設・港湾対策室長補佐、佐藤建設・港湾対策室長補佐

○議題

(1) 建設雇用改善計画(第八次)の実施状況
(2) 次期建設雇用改善計画の検討に係る今後のスケジュールについて

○議事

○富永補佐 ただいまから「第 41 回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会」を開催いたします。私は建設・港湾対策室長補佐をしております富永です。よろしくお願いいたします。

 まず配布資料の確認をお願いします。資料 1 が当委員会の名簿、資料 2 が「建設労働専門委員会の設置について」という一枚紙、資料 3 が資料 3-1 3-2 のセットになっております。資料 4 は「第八次建設雇用改善計画の実施状況について」、資料 5 A3 の大きなもの、資料 6 のスケジュールとなります。また、参考資料として参考資料 1 4 4 つを付けております。もし、足りない資料がありましたらお申出いただければと思います。

 それから、当専門委員会の議事については、後日、ホームページ上で公開させていただきたいと思っております。

 次に、本年 4 27 日付けで委員の改選がありました。今回、初めて当専門委員会に選任された委員の方々を御紹介させていただきます。先ほどお話しましたが資料 1 が委員会の名簿となっております。 4 27 日付けで角委員に代わり、日本建設産業職員労働組合協議会政策企画局次長の時枝将雄委員が労働者代表委員として就任されました。一言、御挨拶をお願いいたします。

○時枝委員 本日から委員になりました日建協の時枝将雄と申します。日建協には 3 年任期で出向しています。日建協は 36 のゼネコン加盟組合で構成された産業別労働組合組織です。私は戸田建設の職員組合、建築の出身です。

 入社は平成 6 年、 1994 年とバブル崩壊した頃になります。建築学科を卒業し、作業所で施工管理を 17 年勤務しました。技能労働者と云うか、現場では職人さんと呼んでいるのですけれども、職人の疲弊については年々ずっと肌で感じながら仕事を続けてまいりました。

2010 年から 2 年半、営業職を担当し、 2013 年から日建協に派遣となり丸 2 年となります。日建協での任期は残り 1 年ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

○富永補佐 ありがとうございました。また、同日、 4 27 日付けで野村委員に代わり、日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員の曾根崎義治委員が労働者代表委員として就任されております。一言、御挨拶をお願いします。

○曾根崎委員 皆さん、御安全に。基幹労連では挨拶の初め、御安全にと挨拶が始まるようになっていますので、そのようにさせていただきました。

 御存じと思いますが、基幹労連は鉄鋼、造船重機、非鉄の各産業からなっており、それに昨年の 9 月から建設が加わったものです。私自身は不動テトラという建設会社の出身であり、基幹労連の中で専従で中央執行委員を務めております。どうぞよろしくお願いします。

○富永補佐 ありがとうございました。次に厚生労働省職業安定局雇用開発部長より一言御挨拶申し上げます、よろしくお願いします。

○広畑部長 皆さん、おはようございます。厚生労働省雇用開発部の広畑です。委員の方々におかれましてはお忙しい中、更に足元の悪い中をお集まりいただき感謝申し上げます。

 現行の第八次建設雇用改善計画の期間が平成 27 年度までとなっておりますので、今年度は新しく平成 28 年度から 5 か年間を対象とした、第九次の建設雇用改善計画の策定のための議論を行っていただく年となっております。御存じのとおり、先ほど御挨拶にもありましたように第八次計画は建設業界の状況が非常に厳しい中で策定されておりました。一方、近年の建設業界においては、ここ数年、技能労働者がやっと増加している。あるいは、減少傾向にあった若年労働者の割合が平成 26 年度に増加に転じるという明るい兆しも見えつつあります。しかしながら、御案内のとおり、建設業は他の産業と比較すると依然として技能労働者の高齢化が進行していることから、今後、大量に離職されることが見通される状況にありますので若年労働者の確保・育成が課題となっております。

 このような状況におきまして、今後、他の産業との競争の中でいかにして人材を確保していくかということでは雇用環境を改善し、業界の魅力をこれまで以上に発信していく必要があると考えております。また、新たに入職されました若者を建設業の将来の担い手としてしっかりと定着をさせ、育成していくことが重要と考えております。建設業界に活気が出ている中で、これからどういったことに取り組んでいくことが建設労働者のために必要であるのか、委員の皆様方の積極的な議論をお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○富永補佐 ありがとうございました。次に、事務局である厚生労働省職業安定局雇用開発部の建設・港湾対策室においても、室長及び室長補佐の異動がありましたので御紹介させていただきます。室長の谷です。

○谷室長  4 月に建設・港湾対策室長になりました谷と申します。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。今年度の審議は第九次の計画ということで長丁場になりますが、事務局として皆様の議論が活発かつ円滑になされますよう全力を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

○富永補佐 次に室長補佐の佐藤です。

○佐藤室長補佐  6 1 日付けで建設・港湾対策室室長補佐になりました佐藤と申します、どうぞよろしくお願いいたします。

○富永補佐 続いて、本日の委員の出欠状況を御報告させていただきます。本日は公益委員の大橋委員から欠席の御連絡をいただいております。

 次に、当専門委員会の座長の選出についてです。資料 2 、建設労働専門委員会の設置についての 2 (3) において「専門委員会に座長を置き、専門委員会に属する公益を代表する委員又は臨時委員の中から、雇用対策基本問題部会の部会長が指名する」こととされております。阿部部会長から、引き続き鎌田委員に当専門委員会の座長にという御指名をいただいております。それでは以後の進行は、座長からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○鎌田座長 規定上、そのようなことでございますので、再びというか、引き続き私が座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 議事に入る前に一言、御退任されました角委員、野村委員のこれまでの当委員会の運営に対する御尽力について改めて感謝申し上げたいと思います。また、新たに委員に就任されました時枝委員、曾根崎委員におかれましては今後の当専門委員会の運営に御協力いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。

 議事に入ります。本年度の本委員会については、現行の第八次建設雇用改善計画の期間が平成 23 年度から平成 27 年度までとなっておりますことから、第九次計画の策定に向けて本委員会において議論を開始することになっております。本日は、議事次第にありますとおり議題は 2 つあり、 1 つ目の議題は、建設雇用改善計画 ( 第八次 ) の実施状況です。 2 つ目の議題は、次期建設雇用改善計画の検討に係る今後のスケジュールについてです。それでは、一つ目の議題である「建設雇用改善計画 ( 第八次 ) の実施状況」について、事務局から御報告をお願いいたします。

○佐藤補佐 それでは、事務局から資料に沿って御説明させていただきます。資料 3-1 、資料 3-2 及び資料 4 により、現行の第八次計画の概要、その実施状況について御説明させていただきます。

 まず初めに、資料 3-1 を御覧ください。こちらは、現行の第八次の建設雇用改善計画の概要を 1 枚にまとめたものです。計画本文については資料 3-2 として付けておりますが、 3-1 の概要のほうで御説明させていただきます。

 まず第八次計画ですが、計画期間が平成 23 年度から平成 27 年度まで 5 か年の計画となっております。先ほども座長からもお話がありましたとおり、今年度が最終年度ということになっております。

 資料左上、「現状等」ということですけれども、計画策定当時の現状として建設投資の減少、価格競争の激化、重層的下請構造やダンピング受注の建設労働者への悪影響などといったことが懸念される中で、「計画の課題」として➀~➃に書いてありますが、建設労働者の職業の安定や魅力ある労働環境づくり、職業能力開発の促進、若年者の入職促進や高齢者・女性の労働環境の整備、新分野進出への支援などが施策の最重要事項とされておりました。

 こうした現状と課題を踏まえ、その下にあります「建設雇用改善の基本的施策」ですけれども、建設雇用改善の基礎的事項の達成や労働環境の整備といった 1 の「魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備」、それから能力開発の促進、労働者の自発的な職業能力開発の促進、熟練技能の維持継承といったことを記載しております 2 の「職業能力開発の推進」、それから若年者・高齢者・女性の活躍の促進といった 3 の「若年労働者等の確保及び建設業に対する理解の促進等」、円滑な労働移動及び新分野の進出など、 4 の「円滑な労働力需給の調整等による建設労働者の雇用の安定等」、それから建設事業主における雇用管理体制の整備、事業主団体等における効果的な雇用改善の推進などを記載しております 5 の「雇用改善推進体制の整備」、 6 の「外国人労働者問題への対応」、こうした 6 本の柱により施策を推進していくこととしております。

 この計画のこれまでの実施状況についてですが資料 4 を御覧ください。ただいま御説明しました施策の柱を資料の左端のほうに計画の項目として並べております。それに対して右側、主な実施状況ということで、その項目に対してどのような事業を実施していったかということを記載しています。

 一番右端の関連データ欄、こちらは各項目に関連する現状等のデータとして、後ほど御説明いたします資料 5 の資料番号を関連データとして記載しております。

 それでは、上から順に御説明いたします。まず 1 、「魅力ある労働環境づくりに向けた環境整備」ですが、 (1) 建設雇用改善の基礎的事項の達成ということで、計画ではこの部分に雇用関係の明確化や一人親方への対応、一人親方についても実態が雇用労働者である場合には労働関係法令の適用があることなどが記載されています。それから長時間労働の改善、労働災害の防止、労働保険・社会保険の適用促進など、様々な項目が記載されています。

 これに対する実施状況ですが、まず➀の雇用関係の明確化については、雇入通知書の交付等による労働条件の明示について各種会議を通じた周知、それから、雇用管理研修の実施ということで、雇用管理研修の中で建設雇用改善法の説明などもしております。

 ➁は、いわゆる一人親方への対応なのですが、個別の事例に応じ労働基準関係法令に規定する労働者に該当するか否かを判断し、労働基準関係法令の遵守について適切に指導を行っているところです。

 ➂の労働者募集・請負の適正実施については、「疑義応答集」の発出・周知、➃長時間労働の改善については、事業主などが長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進などに取り組むに当たって指針となる「労働時間等見直しガイドライン」の周知を行っております。

 ➄の労働災害防止対策の推進では、「建設業における総合的労働災害防止対策」「第 12 次労働災害防止計画」に基づく安全衛生活動の推進のほか、以下に記載しておりますような取組などを行ってきております。

 次のページ、裏面になります。➅労働保険・社会保険の適用促進で、ただいま国土交通省のほうでも取組を進めておりますが、国土交通省と連携した社会保険未加入対策の取組の実施、それから➆建退共の適正運営・加入促進ということで、個別訪問・ダイレクトメール等による加入勧奨を行っております。

(2) 労働環境の整備ですが、「事業場が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」に基づく指導ですとか、建設労働者確保育成助成金による支援などを行っております。

 大きな 2 つ目の柱、「職業能力開発の推進」ですが、まず (1) 、事業主等の行う職業能力開発の促進ということで、認定職業訓練や技能実習、新分野進出訓練等の促進については、建設労働者確保育成助成金、認定訓練コースや技能実習コースなど幾つかのコースがあるのですが、こうした職業訓練等に係る経費への助成を行ってきております。 1 つ飛ばして、建設業界の人出不足解消を支援する「建設労働者緊急育成支援事業」です。こちらの事業は離職者や未就職者などを対象として、型枠工など、不足する技能者に係る訓練から就職支援に至るまでのパッケージの事業で、今年から 5 年間の事業なのですが、こうした事業を創設するなどしております。

2 番目、 3 番目のキャリアパスの検討やキャリア教育への取組につきましては、助成金による経費の助成などを行ってきております。

(2) の労働者の自発的な職業能力開発の促進については、教育訓練給付制度による支援など行っております。

(3) の熟練技能の維持・継承及び活用については、各種大会等を通じた技能の魅力・重要性の啓発や熟練技能者による技能講習等が計画に書かれています。これに対して技能五輪全国大会の実施、それから国際大会への選手派遣支援など行ってきております。

 次のページ、大きな柱の 3 番目、「若年労働者等の確保及び建設業に対する理解の促進等」ですが、 (1) の若年労働者の確保につきましてはキャリア教育への取組、キャリアパスの検討、建設業のイメージアップということで、取組としては建設労働者確保育成助成金、ものづくりマイスター派遣による若年技能者への実技指導等、技能継承の取組の実施などを行ってきております。

(2) の高齢者の活躍の促進、 (3) の女性の活躍の促進についてですが、高齢者については高齢・障害・求職者雇用支援機構で実施しております高年齢者雇用アドバイザーによる雇用管理の改善等に関する助言などを実施してきています。女性の関係については、男女の均等な雇用機会の確保について各都道府県労働局において事業主への指導、入職の促進につきましては、「女性の活躍・両立支援のサイト」を立ち上げ、建設業をはじめとする個別企業の取組事例の紹介などを行ってきております。

 大きな柱の 4 番目、「円滑な労働力需給の調整等による建設労働者の雇用の安定等」ということですが、新分野進出の支援、有料職業紹介、就業機会確保事業の適正な運営等が計画に記載されております。これに対し助成金のほか、建設労働者雇用安定事業において講習会の開催、制度に関する相談の実施を行ってきております。

 最後のページ、 4 ページ目を御覧ください。大きな柱の 5 番目、「雇用改善推進体制の整備」ですが、こちらは事業主における雇用管理体制の整備や事業主団体等における効果的な雇用改善の推進といったことが計画に記載されています。事業主や団体、行政の体制の整備が主な内容となっております。ここでの取組としては助成金による助成、雇用管理研修などの実施、それから建設雇用改善助成金制度については見直しを行って新たな助成金、現在の建設労働者確保育成助成金の創設などの見直しを行っています。 (7) は雇用改善を図るための諸条件の整備、ここで記載されている内容は建設労働者の適正な労働条件の確保に資する公共工事の発注の推進などが書かれておりますが、こちらについては国土交通省において、品確法、入契法、改正建設業法、この担い手 3 法の改正等を実施しております。

 最後の柱の 6 番目、「外国人労働者問題への対応」についてですが、外国人労働者の就労環境の整備や不法就労の防止等が記載されております。これに対し、実施状況としてはハローワーク等に通訳・相談員の配置、あと「外国人労働者の雇用管理の改善に関して事業主が適切に対処するための指針」に基づく指導などを実施しているところです。第八次計画の実施状況については以上です。

○谷室長 ちょっと説明が長くなって恐縮ですが、資料 5 に基づき、建設労働者を取り巻く状況について御説明いたします。

 建設業における投資額と許可事業者数の推移ですが、建設投資はこちらのグラフのとおり、平成 4 年の 84 兆円をピークに、その後、ずっと下がってきておりまして、平成 22 年、平成 23 年には半分以下の 41.9 兆円になっております。ただ、その後、平成 24 年、平成 25 年、平成 26 年に向けて上向きの方向に建設投資が上がってきております。

 併せて右側ですが、建設業における就業者数、雇用者数の推移です。こちらも先ほど、私どもの部長からも説明させていただきましたが、平成 9 年以降、ずっと下がってきたのですが、最近は下げ止まっている感じがありまして、この青い所を見ていただくと、青い所が技能労働就業者数です。これは平成 22 年が 331 万人でしたが、ここをボトムに、今そこから上昇傾向にあるということで、 5 年前の計画の策定時点に比べて、状況が変わりつつあるのではないかと。

 ここの資料には載せていませんが、建設就業者のうち、一人親方の状況は、平成 25 年の数字がありますが、こちらは今、 57 万人で、平成 20 年が 57 万人、平成 21 年が 56 万人、平成 22 年が 56 万人、平成 24 年が 58 万人ということで、ほぼ同じ就業者数で推移しております。

 左下の 3 、企業規模別の雇用者数の割合です。これを見ると、全産業、製造業は一番右側にありますが、緑色が 100 人以上の規模、黄色が 30 99 人の規模ということで、建設業の規模の小さな企業は、ほかの産業と比べると、かなり多くなっている状況です。特に 29 人規模以下になると、全体の 3 分の 2 ぐらいです。

 右側の新規学卒者の建設業の就職状況についてです。こちらも一番右に製造業の高卒と大卒を入れていますが、緑色が短大、大卒、黄色が高卒です。建設業については、平成 21 年の入職者数は、大卒と高卒を合わせて、 3 9,000 人でしたが、それ以後、上がってきている状況にあります。それから、赤の折れ線グラフですが、新規高卒の求人です。平成 23 年以降、上昇傾向にあり、こちらも上向きの傾向になっています。ただ、建設業の就業者数の全産業の占める割合が 8 %ですが、平成 26 年度の数で見ると、入職者数は 5.8 %ということで、就業構造全体から見ると、少ない割合ということです。

 次ページ、新規学卒者の 3 年以内の離職率というのがよく言われておりますが、建設業はやはり高くなっています。新規高卒の離職率ですが、これは赤色が建設、緑色が全体、青色が製造業になります。建設業は全体から比べて、 9 ポイント程度高くなっています。高卒の製造業で比べると、 20 ポイント以上高くなっており、 3 年以内に辞める方は約半数ということです。

 新規大卒については、直近のデータで見ると、建設業は 29.2 ポイントですが、これは全産業よりはいいのですが、製造業と比べてみると 10 ポイント以上高くなっている状況です。

 こういった状況の中で、就業者に占める若年層・高齢者層の割合は、赤色が 55 歳以上、緑色が 29 歳以下ですが、平成 8 年、平成 9 年ぐらいまでの状況を見ると、それほど全産業と差はなかったのですが、平成 12 年、平成 13 年以降ぐらいから、どんどん高齢者の割合が高くなり、また若年者の割合が低くなっている状況です。今では高齢者の割合では 6 ポイント近く高くなっていて、若年者の割合では、 6 ポイント近く低くなっており、全産業と比べて高齢化、就業構造の高齢化が進行している状況です。

7 番は、実数で表したものです。左が全産業、右が建設業です。青色が 29 歳以下、赤色が 30 54 歳、緑色が 55 歳以上です。緑色の建設業を見ると、数字はそれほど変わっていません。ずっとこの 15 年間、 20 年近く変わっていませんが、青色がピークの平成 9 年に比べると、 3 分の 1 近くになっています。それと、中間層の赤色も見ても、これも平成 9 年の 369 万人に比べると、 279 万人ということは、 90 万人が減っているので、先ほど率で示してみましたが、実数で見ても若年者が、かなり少なくなっている状況が見て分かると思います。全産業を見ても、全産業の青色も平成 8 年、平成 9 年から比べると、下がっていますが、赤色の割合はそれほど変わっておりません。ということで、中間層は、それほど変わっていない。高齢者は増えていますが、そういった意味では、建設業の高齢化の進行は、これを見ても分かります。

8 番は、女性の就業比率です。女性の就業者は最近、平成 23 年以降、全体で増えております。ただ、一番下の紫色の所が女性の技能労働者の数ですが、平成 12 年以降、右肩下がりになって、ずっと下がっている状況です。

 次ページは、私どもハローワークでの求人、求職の状況です。求人倍率が非常に高くなってきています。平成 18 年度に少しピークがありますが、その後、平成 21 年ぐらいまで下がりましたが、また最近、非常に高くなっています。右のほうを見ると、求人数は高止まりですが、有効求人倍率が高くなっている理由の 1 つは、求職者の数が少なくなっているということです。そういった意味では、建設業に就職したいという者がハローワークの窓口では少なくなっている状況が分かると思います。

10 番は、建設技能労働者の需給状況 DI です。こちらは平成 21 年、平成 22 年から不足のほうにシフトしていますが、最近の状況は落ち着いています。

11 番以降は、雇用管理関係の指標です。 11 番は労働時間の推移、建設業は赤色で、製造業、全産業に比べても、平成 2 年以降のデータですが、比べてずっと高い状況が続いております。平成 26 年には建設業で 2,066 時間、製造業は 1,961 時間、全産業では 1,746 時間ということで、全産業と比べて 300 時間以上の差が開いている状況です。

 週休 2 日の状況ですが、上にお示ししているものが、何らかの週休 2 日制の採用企業割合、下が、完全週休 2 日制採用企業割合です。これは 30 人以上規模の調査で比較したものです。平成 26 年に比べると、それほど変わりませんが、下のほうの表は、これは私ども建港室のほうで調査したものですが、建設業だけですが、企業規模が 2 人以上になると、何らかの週休 2 日制の割合が 35.5 %、完全週休 2 日制が 9.4 %、先ほどの 30 人規模と比べると、かなり低くなっている状況が分かると思います。

 右のほうの 14 番は、年収額の推移です。建設業を他産業と比べて全体で見ると、それほどというか、大体、全体並な感じですが、生産だけの労働者で比べると、建設業は 408 万円、かなり低くなっています。製造業の生産で見ても 461 万円近く、製造業に比べても低くなっている状況です。

15 番は、建設業における労働災害の発生状況です。長期的に少なくなっている状況がこれを見て分かると思います。

16 番は、能力開発の状況です。こちらは OFF-JT を実施した事業所の割合、計画的な OJT を実施した事業所の割合、こちらも 30 人以上規模の企業で比べると、それほど変わりませんが、下のほうに表がありますが、 2 人以上の建設業で見ると、 OFF-JT の実施割合が 56.8 %、 OJT 54.2 %ということで、やはり低くなっている状況が分かると思います。

17 番は、職業能力開発実施に係る問題点ということで、右の表を見ていただくと、上のほうにある赤色が主な問題点を挙げているのが、指導する人材が不足している。人材育成を行う時間がない、人材を育成しても辞めてしまうということで問題点を挙げている事業所の割合が多くなっております。

18 番は、労働保険の加入状況です。雇用保険、労災保険ともに平成 23 年以降、加入割合、また被保険者数、事業所数が上がっている状況です。資料はありませんが、一人親方等の労災加入状況は、平成 12 年以降の数字で見ても、上がってきている状況で、こちらは長期にわたって上がっている状況が確認されております。

19 番は、建設業における社会保険の加入状況です。こちらも平成 23 年以降、被保険者数、適用事業所数の数が上がってきている状況です。

20 番は、建設業退職金共済制度です。これは、建退共の制度の加入状況ですが、被共済者数は、こちらも長年にわたりずっと上がっている状況が見て分かると思います。

 次ページは、雇用管理現状把握実態調査です。私どもが建設業の現場における雇用管理の状況を把握するために行っている調査です。これは審議の御参考になればと思い、今回付けさせていただいた資料です。左上を見ると、若年技能労働者が考える建設業の魅力ということで、これは率が大きいのは、技能を磨き、現場でいかすことができる。また、社会的に意義の大きな仕事ができる。こういうことが魅力として言っています。

 次は、逆に、若年労働者が定着しないという理由を聞いています。また建設業離職者に仕事を辞めた一番の理由を聞いています。これを見ると、若年技能者が定着しない理由で一番大きいのが、作業がきつい。次に、職業意識が低い。次に、現場での人間関係が難しい、賃金が低い、休みが取りづらい、ということが出ています。辞めた理由で見ると、理由で大きいのが、雇用が不安定である、遠方の作業が多い、休みが取りづらい、労働に対して賃金が低い、ということで辞めております。

 就職する際に重視した労働環境、今後働き続けるために必要と思う労働環境についてです。就職する際に重視したことは、安定した賃金の支払、社会保険の完備、安定した雇用。建設業で働き続けるために必要と思うことは、週休 2 日制の推進、仕事の内容に対応した賃金、労働時間短縮のための工程の改善、仕事を恒常的に確保する、職場の人間関係をよくする、ということです。

 若年者の募集・雇入方法、入職したきっかけですが、一番多いのは、ハローワークを通して確保を図るということ。あとは、学校、専門学校に対して働きかける、縁故に働きかけることが多くなっています。実際、若年技能労働者に入職をしたきっかけを聞くと、一番は友人や先輩など、知人からの勧誘。次に、家族や親戚、ハローワークなど、学校、専門学校、訓練校の授業を受けている中で興味を持ったという者が多くなっております。

 下の真ん中のほうで、技能労働者を定着させるための取組ですが、企業に聞いているところを見ると、技能教育の推進、資格取得の支援が多くなっています。社会保険への加入なり、人間関係を良くするといったことが挙がっております。

 一番右は、女性技能労働者の活躍についての考え方です。なぜ活躍できないのかということですが、体力的に難しい仕事がある。あとは、トイレ、更衣室などの改善をする必要がある。女性を活躍するために必要なものとして、こういうことが挙がっております。

 次ページは、建設業における雇用管理現状把握の実態調査の➁ですが、中高生の保護者の意識調査をやっているものがあります。これは平成 25 年度になります。建設技能労働者に対する保護者のイメージですが、危険な仕事をしている、体力的にきつい仕事をしている、専門の技術を身に付けたプロフェッショナル、この辺が高くなっております。

 子どもが将来就職先を選ぶ際に親として重視する点ですが、これは建設業ということではありませんが、重視する点としてはどのようなものかということで、仕事の内容、安定した雇用、賃金の額、仕事の責任 ( やりがい ) 、職場の人間関係の良さなどを挙げております。

 子どもが建設技能労働者を希望する場合に反対する理由は、子どもに適性がないと思うことや、雇用が不安定、体力的な不安、現場作業などの安全面や衛生面での不安などが高くなっている状況です。

 右側は、中学・高校の教員の調査です。就職を希望する生徒に建設業の技能者に興味を持ってもらうために必要な取組として、どのようなものがありますか、いいですかということをお聞きしたところ、インターンシップの機会の増加、現場見学会の開催、建設会社による出張授業の開催などを挙げております。

 下のほうは、建設業技能労働者への就職の進路を提案しやすくするために必要な、建設業界の改善・変化ということで、仕事の魅力や、やりがいの周知、賃金を上げる、賃金の支払いを安定させることを望んでいるということです。建設労働者を取り巻く状況については以上です。

○鎌田座長 よろしいですか。

○谷室長 ここで質問とか、御意見等があればお願いします。

○鎌田座長 今までの説明ですね。それでは、今の説明で、どこでも結構ですが、意見交換をさせていただきます。どうぞ自由に御発言をお願いいたします。

○柴田委員 質問です。資料 5 17 の職業能力実施に係る問題の所で、建設業の人材育成に関して問題がある事業所の割合が、平成 22 年で突然上がっていますが、この理由が分かったら教えていただきたいです。右の人材育成に関する主な問題点で、平成 21 年で「指導する人材が不足している」が、ガンッと上がっているために、平成 22 年にこの問題が急に上がっているのかもしれませんが、これが質問の 1 つです。

 次ですが、今後の計画の中には「就業環境」が出ていますが、実は、この 21 の建設業における雇用管理現状把握実態調査のの中のいろいろな箇所で、人間関係がネックになっているように見えます。具体的には、辞めた理由で人間関係の割合が高く、定着させるためには職場の人間関係を良くするというように、人間関係が意外と重要なキーフレーズになっている。建設業は、多職種の人が色々な作業を行うことから安全を確保するために、お互いに配慮しながら連携プレーをしなければいけないので、人間関係が他業種以上にクローズアップされているのではないかと。どこの業種でも人間関係は重要なのですが、建設業においての人間関係の問題はどんなところにあるのかとお聞きしたいと思いました。委員の皆様に、建設業における人間関係の問題というのは、具体的にどういうことなのか、高齢者と若い人のジェネレーションギャップが大きいからなのか、それとも別に、建設業特異という問題があるのか分かったら教えていただけたらと思います。この 2 点です。

○鎌田座長 まず、最初の 17 のほうは、これは調査を取られた事務局で分かれば。後のほうは、労使それぞれに御意見というか、御感想をお聞きしたいと思いますが、いかがですか。まず、 17

○谷室長 今、調査を分析したものは持っていませんが、本日のお答えは難しいので、調べて。

○柴田委員 ちょうど平成 22 年、平成 23 年がボトムなのですね。

○谷室長 そうですね。

○柴田委員 いろいろな面で雇用者数が一番ボトムになり、許可業者の推移も低くなっている中で、だけれども、平成 22 年だけというのが、 2 つ下がっていれば何となく分かるような気がするのですが、ちょっと、そこですね。

○鎌田座長 労使のほうで何か推測できるようなことがあれば、このデータについて。確かにピョンと飛び出ているから。

○広畑部長 細かいことで事務局からですが、委員の皆様に御案内のとおり、公的職業訓練が、鶏が先か卵が先かということで、求職者がどんどん減ってしまっていましたので、そのトレンドは多分、右肩下がりでいっていたと思いますね。ですからそういう意味で、平成 22 年がどうしてこう、そこだけ上がったのかを分析してみたいと思います。長期的なトレンドは公的職業訓練はなくなっていたということだと思いますが、いずれにしても平成 22 年の異常値が、ちょっと説明ができませんので、分析をしてみたいと思います。

○鎌田座長 今、分からなければ、後ほど分かったら、メールか何かでも結構ですので。労使の方で、もし感想があれば、特になければ、ではそのように進めていただきたいと思います。

 あとは、いわゆる人間関係に問題があると、弱いというか、不満があるということは、これは全産業について言えることではあるのですが、建設業において、特有な何か問題があるのでしょうか。あるいは。

○曾根崎委員 それに対して、質問ですが、このデータは、いつのデータを使ってやっていますか。

○事務局 最後の実態調査の関係は、基本的に平成 26 年度のものです。一部、建設業離職者の方に関する調査、これは平成 24 年度のもの。中高生の保護者に関するものは平成 25 年度、中高生の先生の方に対する調査は平成 26 年度。ほかの調査の項目に関しては、全て平成 26 年度に実施した調査になっております。

○鎌田座長 いかがですか。作業に所属しておられる方は、特有と言われると困るかと思いますけれども。

○曾根崎委員 いいですか、私の感覚ですが、ここ最近、人を採ってなかったのです。仕事の量が減ってくる。新規の採用を抑制していたというのがあって。グッと年の離れた先輩がたくさんいて、若い人が身近に相談できる方がいらっしゃらないというか、そこに年齢的なギャップがあるのではないかという気が個人的にはします。私の入った頃は、もうちょっと上の、私もちょっとギャップがありましたが、お兄さん的な方だったら相談する相手もあるのですが、おじさん的な方だと、なかなか自分の愚痴とかを相談できないところがあって、そういったところから人間関係が、ということが出てきているのではないかというのが私の感想です。

○福田委員 今の件ですが、もともと建設業というのは、体質的に元請も下請もそうなのですが、親分、子分の関係がすごく強いです。若い人が入ってこなかったということで、技能の伝承が出来なかった。そういうこともあったのですが、一番大きなのは、仕事ができない若い人が来ると、何でそれができないのだと、若い人を馬鹿にする。それで、やむなく辞めていく。それは人間関係というか、もっと部下を大切にして、技能継承していければ良かったが、建設業だから、おおらかなのではないかと思うと、そうではない。その辺が改善されれば、大分変わってくるのかと思います。

○曾根崎委員 そこは、つながっていると思う。

○福田委員 そうそう。

○曾根崎委員 やられたことに対して、上の人に相談するというか。

○福田委員 上司と部下の年齢がかなり離れてしまっています。年齢が離れているので、若い人の気持ちが理解できない。コミュニケーションが取れない。勝野委員の所は、如何ですか。

○勝野委員 調査をしたり、統計を取っているわけではないので、感覚的な話になるかと思いますが、職人の世界と言いましょうか、技能を担っている職人の世界で言うと、かつては、技能の伝承については、見て覚えろ、というか、自分の目で盗めと、こういう先ほど言った師弟関係の下に技能の伝承、継承のようなことが行われてきたわけですが、今はそういうことが実質的には現場が少なくなってきていて、技能を伝承する、継承するための現場が非常に少なくなってきているというのが、 1 つあると思います。

 曾根崎委員がおっしゃられたとおり、中間層がスポッと抜けていて、若い人が入って来ても、技能を伝承する身近な人間がいなくなってきていると。高齢者の方に結果的には教えてもらう形になるのですが、若い人に対する教え方が、言ってしまえば、分からない。技能の伝承の仕方が現場では分からない状態になっていると思います。そういう点で、現場における指導者をどうやって育成していくのかということも、今後の 1 つの大きな課題になってくるのかという気はいたします。

○小倉委員 実態把握調査の➀の所で、建設業については、職場の人間関係を良くするということは必要だというように記載されているわけですが、例えばその次のページ、実態調査の➁の所では、中高生の保護者の意識調査と、中学・高校の教員の調査についても、それぞれ人間関係を重視するという回答が出ています。建設業は建設業としての特殊性ということも当然あると思いますが、例えば、教員の方が建設業のそういう人間関係の実態をしっかり把握をしているかというと、必ずしも、そうではないと思いますので、恐らく教員の方が普段苦労されているのは、やはり人間関係だろうと。保護者の方も、一般社会で仕事をしていく中では、非常に重要なのは人間関係だろうということで、全産業を共通で、そういうことは非常に必要なのだということだと思います。

 ただ、この調査の中で、建設業と他産業との比率、比較が出ていませんので、一概には言えませんが、全産業が共通した課題であるのかという感じはします。以上です。

○時枝委員 先ほど、 17 番の人材育成に関して問題がある事業所の割合の所で、平成 22 年が突出していますが、これは私の所感というか、いわゆる民主党政権で「コンクリートから人へ」という言葉がメディアを一人歩きしまして、そういった風潮の中で現場で働く者の誇りがなぎ倒された時代でして、若い人の離職が止まらず、会社や事業所では人材育成どころではない、社会環境がそういう時期にあったのかなということを思い返しました。ちなみに日建協は不偏不党の団体であることをお断りしておきます。

 それから、 9 番の有効求人倍率、左上に職種別の折れ線がありますが、倍率自体は、平成 21 年に底を打っています。これはリーマン・ショックとか、金融の話で市場環境の話だと思います。あくまで市場環境の話であって、建設現場での職人の求人は、リーマン・ショックとか、この辺の谷を取ってしまえば、年々上昇してきています。

 私も現場時代を思い返すと「職人がいない、いない」という言葉が挨拶代わりになっていました。ちょうど 2000 年頃ぐらいからですかね、特に、型枠大工の番頭から「まあ、監督さん、とにかくこういうことでは、もう、そのうち人がいなくなりますから」と 10 年ぐらい言われ続けてきました。建築の生産現場は非常に不合理なのですね。現場の仕事は、図面が決まらないと仕事ができない。その最たるところが型枠大工の仕事なのですね。型枠大工というのは、大変優秀な技能で、昔の木造ですと、棟梁にあたります。現場監督兼マネージャーなのですが、鉄筋コンクリート造になると、型枠大工の職長がそういう役目になります。コンクリートの型枠、形を決めるのに、例えばサッシの欠き込みとか、仕上げ関係の打込み金物とか、コンクリートだけ打ってしまえばいいわけではないのですね。仕上げまで全部図面が決まって、モノが全部決まって承認して初めてコンクリートの型枠が作作ることができる。

 型枠大工は平米幾らで請けて仕事をしていますから、モノが決まって図面承認していなければ仕事にならないのです。ここだけ決まっていないから残してくれということが、建築現場では間々ありますが、そうすると手間になりません。コンクリート打設日が決まっているのにもかかわらず、ぎりぎりまでモノが決まらないと云った設計の問題、上流工程での諸問題があります。そういった状況下におかれている型枠大工は、非常に不合理な仕事なのです。優秀な技能の代表格であるにもかかわらず、そういうしわ寄せをもろに受けています。

 日建協では「適正工期の確保」について長年提言を続けていますが、現場の実態は、上流工程での様々な問題に起因して工程管理自体がままにならない状況になっています。工事の初期段階である躯体工事はクリティカルパスそのものです。そこにズルズルと遅れていく不確定要素が多分にあって、後工程に続く仕上げ工事では、多くの仕上げ業者、サブコンに多大な影響を及ぼしており、土曜日閉所どころではないのです。国交省や厚労省が週休 2 日制と施策を打ち出されており、大変心強いところではありますが、現場の生産行為そのものがそういう仕組みになっていません。

 有効求人倍率では型枠大工が、突出しており平成 26 年、 27 年と 7 倍になっています。これは 3.11 に伴う震災復興などの事情もありますが、それを抜きにしても、年々上昇してきたことには変わりありません。日建連が、国交省の全国の地方整備局との意見交換会では、プレキャスト化を御提案されております。なじみにくい言葉で一般の方には分かりにくいような話かもしれません。プレキャスト化自体は、随分前からやっていました。現場の在来工法でつくるよりも、プレキャスト化にすると、やはりコストが高い。プレキャスト化ではコンクリート製品を工場でつくるわけですが多少割高になります。しかしながら現場では、 7 倍の求人率の型枠大工を工程厳守のために探しているわけです。全国からかき集めてやっています。技能労働者の減少が進む中で労務単価も高止まりが続き、結局最後には、常務高騰とプレキャスト化の価格がバランスになってしまうと考えられます。

 日建連との意見交換会の中でも、直轄工事においては、プレキャスト化を国策で進めていただきたいとの意見があります。一方で型枠の関連団体では「いや仕事が減る」「求人倍率(賃金)が下がるから、今のままでいい」と反論が出るのかもしれません。しかしながら、今後絶対的に人が足らなくなる訳ですし、全体的なことを考えると躯体工事の下流工程に対する多くの職種への影響を考えると恐らく 5 年後には、プレキャスト化が当たり前の話になってくるかも知れません。静観していても人は少なくなります。政策として、先んじてやっていくことが、必要ではないかと思うのですね。

 プレキャスト化を進める上では地域の需要に応じて、きちんと計画を決めて民間がやっていく。そうなれば屋根が付いていますし、メーカーの製造ラインのように土曜日を休める。短時間勤務もできるし、女性もそこで働ける。多様な働き方ができると思うのですね。地域からのいろいろなご意見もありますが、政策として、待ったなしの状況にあると思っています。

○鎌田座長 今、プレキャスト化という、私、よく分かりませんが。

○福田委員  PC ですよね。結局、コンクリート構造も鉄筋をまず組んで、その後に型枠で囲って、そこにコンクリートを流す。そうすると、 1 つの壁だとかができますが、初めから出来ている壁を持って来て組み立てる。これが、 PC 工法です。高層ビルなどは全部そのような仕組みです。建築は既に PC 化はかなり進んでいるのです。

 土木はまだ進んでいません。今回、地方整備局で意見交換会をやった中では、なんだ、技術革新が PC しかないのか、と言われています。もっと違う技術革新を出さなければいけない。例えばロボット化とか、考えていかないといけないと思います。工場生産を多くして、現場の生産を低くしていきたいというのが一つ大きな課題です。なかなか難しいと思います。

○鎌田座長 今のお話だと、まだよく分かっていないでお聞きしていますが、言わば、事前に作っていくわけですね。工場のような形で作るわけですか。その部分の雇用管理というのは、通常の製造業と同じような形で。

○時枝委員 同じような形になります。

○鎌田座長 そうですか。そこで勤務される方と、先ほどの型枠大工たちは、同じ人たちがやっているのですか、それとも別枠になっているのですか。

○時枝委員 それは選択できる話になってくると思います。例えば、ある人は、工場勤務で、多少賃金は下がります。現場は、逆に一番難しいところというか、そういうつなぐ所というニッチな仕事になってくる。仕事量自体は減りますが。躯体工事そのものの品質が安定し、工期短縮や安全向上をはかることができます。もっともっとユニット化する、モジュールをあらかじめつくってしまって、それを基に設計していくという考えもあるわけですね。車の製造などは共通パーツでやられています。国土交通省の直轄工事ではそういうこともやっていけると思っております。

 ただ、問題なのは、今よりも相当早い時期に図面が決まっていなければいけません。施工者が乗り込む前に図面が全部決まっていなければいけない。その図面を決めるためには、専門工事業者のノウハウがないと、図面を書けないのですね。例えば鉄筋だったら配筋の納まりとか、プレキャスト化に全部入れていかなければいけない。今までの見積り合せなどでは、設計・施工分離でやっていくのが原則でした。そうではなくて、もっと川上の設計段階から施工者の技術を活かすことにより、手戻りを少なくし、生産性の向上をはかることができます。そのような必要性というか、正当性というものをまず国交省の直轄工事からお示ししていただきたい。一時の建設コストは上がるかも知れませんが中長期的には実行していかなければいけない。もう待ったなしの状況にありますので。

○鎌田座長 分かりました。その PC 化というのを政策として、どう進めるかというのは、今、どのぐらい全体として PC 化というか、私のイメージだと工場化のようなものですよね。普通の町の家を建てることとはちょっと違うと思いますが、どのぐらいの割合で進んでいるのですか。

○福田委員 それほど進んでいないと思います。今年の 3 月に、日建連では長期ビジョンを作成しました。 10 年後には 130 万人近い人が建設業から離職する。その代わり、技術革新とかして、約 30 万人分を省力化して、残る約 90 万人を何とかしなければいけない。ということは、 30 万人ぐらいしか PC 化しても賄えない。戸建て住宅など、 PC 工法はできない。やはり木造がいいとなれば、 PC 化は進まない。建設業の感覚で、何でも PC にしてくださいというわけにはいかないと思います。

○鎌田座長 その工事の在り方として、 PC というのは、基本的には会社でいろいろなことを考慮してやっていくわけですね。ところが、労働者としては、現場でいろいろな仕事を言われたのをやらなければいけないという側面がありますが、その労働者の育成とその労働者にとっての待遇改善ということと、今の PC 化ということと、 PC にいけば週休 2 日もできますとか、それは分かりますが、ただ、労働者としては、様々なものをやらなければいけないことが今の話だとあるわけです。その労働者にとっての処遇の改善だとか、休みとかがどのようにつながるのか。もし、 PC 化が進んだら、みんな良くなるのであれば、その話で進めることになると思いますが。

○福田委員 そうでもないかもしれない。 PC 工場に勤めている人はそうなるかもしれませんが、そうではない人は全然変わらないですね、きっとね。

○鎌田座長 そこは分かれているのですか。

○福田委員 はい。

○時枝委員 作業所の話をすると、躯体工事で PC 化を例えば 8 割できましたと。そうすることで、工程にも不確定要素が減ってスムーズに進む。残る後続工程にもメリットがあります。予定どおり次の仕事に入れることで、その工事では計画的に休みが取れる可能性が高くなるのです。

PC 工場に所属している会社と、現場で在来工法で、最後にニッチでやるのは、違う会社になると思われるのですが、ただ、もっとネットワークの中で、例えば女性が働く場合、育児期間なので短時間勤務で PC 工場に勤めたいとか、あるいは介護の問題で PC 工場に勤めたいとか、あるいは若い人が、まず手習いで基礎を学ぶのに PC 工場で育成して、もっと稼ぎたければ、現場に出るといったようなこともできてくるのかと思います。

○鎌田座長 ほかの方の御意見もお聞きしたいところなのですが。

○土屋委員 先週京都に行って、成人病センター、病院でも PC 化してやっていただいているのです。というのは、やはり工期がない、人もいないということです。 PC 化していけば、鉄筋屋も、それで当然そこの中は要らないし、最初の電気工事、躯体工事がどんどん縮まってくるので、後工程が楽なわけです。そして聞いていたら、新潟の十日町病院も PC でやるということで、現場の人間が見学に来ていました。

 ある面でそこを進めていかないと、今は大工もいないし、鉄筋屋も 5 6 年で 3 万人以上減ってしまって、躯体三役が全然足りない状況です。

 ある程度は PC 化していただいても、箱物にしていただければ、どんどん現場は組み立ててやっていけるから、工程管理も全部いけるわけです。後工程も全部上がります。いい面はあるのです。

 コストが高いとか、いろいろあるのですが、建設単価は上がっても、それでやっていただくしかないかなと。それでやっていただければ、全てはいけないと思いますが、型枠大工という職種も必要ですから。日本の建築というのはデザイン的で、箱型で全部納まるかというと、そうでもないのです。作り手が現場で作っていかなければ駄目なものがあるので、そことのバランスを取っていただければ、私はいいかなと思うのです。

○鈴木委員 柴田先生の人間関係の話ですが、この実態調査➀を見ますと、若年層が仕事を辞めた一番の理由で、現場での人間関係が難しい、労働に対して賃金が低いというのは突出してはおりません。企業側は、逆に人間関係が難しいのが定着しない理由で、下段の若年層を定着させるための取り組みでも、企業側は職場の人間関係をよくすることが重要と考えている。しかし、本人は別にそうは思っていない。

 実態調査➁を見ても、親は子供の将来の就職先を選ぶ際に、職場の人間関係の良さを重視しますと答えていますが、子供が建設技能労働者を希望する場合に反対する理由には、それは入っていないのです。

 ですから、先ほどから皆さんがおっしゃっているように、建設業は確かに徒弟制度のようなものがあって、技術は見て盗めという風潮があります。普通の製造業なら、作業手順を教えて仕事をさせるので、確かに建設業にはその辺はあると思いますが、建設業だから特に人間関係が難しいというのは、当てはまらないと思います。

○柴田委員 むしろ残っている人が、「辞めてしまったのは、人間関係かな」と思っていて、若い人はドライだということですかね。

○鈴木委員 そうです。地方に行って、ゼネコンというか、地元企業の話を聞きますと、今の若い人が余りにも物を知らない。「若い人」というのは、大学を卒業した人もいますが、危険なことができないという類の話をよく聞きます。その辺で建設業というのは、やはり危険な作業の多い業種ですから、そこでどうしても離職する若年者が比較的多く出るのかなと感じます。従って、そのような労働に対して給料が安いとか、労働条件がきついとかの話だと思います。

 それと、質問です。資料の 18 19 で、労働保険と社会保険の加入状況があります。加入の数は分かるのですが、できればパーセンテージとか、未加入の業者がどのぐらいあるのか、その辺を教えていただけますでしょうか。建設業界としては何パーセント加入しているのかとか、未加入がどのぐらいあるのかというのを知りたいものですから。

○谷室長 「公共事業労務費調査」というものがあり、参考資料 2 6 ページに状況が出ています。 3 保険の加入割合は、雇用保険、健康保険、厚生年金ですが、企業別を見ますと、一番左の赤い線が平成 23 年から平成 26 年の調査を見ますと、 84.1 %から 92.8 %まで上がっています。右側の労働者数で見ますと、これも 3 保険の加入で、赤い線が全体ですが、 56.7 %から 67.3 %ぐらいまで上がっています。こういう形で改善されている状況です。

○小倉委員 本日配布されている資料 3-1 の「第八次計画の概要」の 2 に「職業能力開発の推進」というものが記載されています。本日の資料 5 の中でも、能力開発推進の部分については、能力開発基本調査の結果は記載されているわけですが、第八次計画の中において、既に 4 年経過しているわけですが、この分野について何らかの成果が出ているのかどうか。本日、そのような時系列的な資料が出されておりませんので、もしそういうものがあるのであれば、御説明いただきたいと思います。

○谷室長 私どもの資料 5 16 番です。能力開発の実施状況ということでお示しさせていただいて、必ずしも私どもの施策と因果関係がしっかりとあるわけではありませんが、実施した割合については、 30 人以上の規模ですが、このような形で推移している状況が分かります。ただ、 2 人以上の規模になると、低い状況ということで、施策の推進と必ずしも因果関係がしっかりとあるわけではありませんが、実施状況としてはこのようになっているということです。

○小倉委員 能力開発基本調査については、全産業を対象にしているものなので、建設業だけの特殊性を拾い出すには難しい調査だと認識しております。例えば今後第九次計画に向けて議論をする際に、建設業の若年技能労働者に対して、どういう能力開発が必要なのか、どういう資格が必要だとか、そういうことについて、実態を含めて、しっかりと把握する必要があるのかなと思っているところです。

○福田委員 今、日建連も常に言っているのですが、資料 5 6 の就業者に占める若年層と高齢者の表があるのですが、このグラフは 55 歳以上の赤い所はすごく大きくて、若年者は緑色のカーブがすごく低い状況にあります。この 1 年ぐらいは少しよくなったといって安心してはいけない。

 今回、これからいろいろな議論をしていく中で、魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備、「魅力ある」と言っているのですが、これは大きな間違いで、建設業は魅力がないと考えていろいろな策を打っていかないと、どんどん若い人が来なくなると思います。

 そのためには、今やっていることは当たり前のことしかやっていないわけです。賃金を上げる、社会保険に入る、休みを増やす、それすらできていなくて、結局いつも先に進まない。本当にやるのだという号令一下でやらない限り、また同じようなことが起きると思います。

 今は労使ともに切羽詰まった状況にあるのです。 PC 化などしても、そんなものは間に合いません。それをどのようにしたら、魅力ない建設業から脱皮できるかというのは、真剣になって考えていかなければいけない。

 そのぐらい切羽詰まっているということなのです。

○鎌田座長 今、福田委員がおっしゃったのは、「魅力ない」というショッキングな想定ですが、取りあえず若年者、女性にとって、魅力ないということなのでしょうか。

○福田委員 まあ、そうですね。

○鎌田座長 既に建設業の中で働いている人たちは、魅力がないから辞めていく人もいるけれども、ある程度のことはして。

○福田委員 建設業は昔はダムや橋が出来たらみんな喜んで、「よかったね」と言ってくれたわけです。今では、もう当たり前のような感じに思われている。建設業に携わっている人というのは、そういうプライドの中で、「よくやってくれた」と客先から褒められると、俺はやったのだと。その思いでやってきた人が多いのです。最近は何を言われるかといったら、良い物を造って、工費が上がったことは客先から褒められません。 1 年半の工程を 1 か月でも縮めたとしたら、「よくやってくれた」と。そういう褒められ方しかしないのです。そこに非常に大きな問題があります。

 例えば 1 年かかる工期を 1 か月短縮した。夜遅くまでやってくれて、竣工した。そうすると、お客さんから「よくやってくださいました」と褒められるのです。お金が増えたといったら、当然褒められないわけですが、工期を短くすれば短くするほど、褒められるのです。そこに、建設業が疲弊していった大きな問題があると思います。

○柴田委員 夢があるという意味だったら、料理人は賄いでおいしいものを食べます。それと同じように、工事に携わる人は、コンテナでも何でもいいのですが、そこにちゃんと居住性の高い休憩室と、きちんとしたトイレを体感してもらうべきなのでは。美しいものを作るのだから、美しくて、素敵で、合理的な職場環境に、自分たちが接せられるということが必要なのでは。自分たちが住んでいる所は大したことではないのに、いいものを作らなければならないのは辛いような気がします。そうではなくて、仕事をする環境もすごく素敵でお弁当もラウンジのような所で食べられる感じでないと、素敵な建物は作れないなと思いました。

○土屋委員 「快適職場」という言葉があるのですが、職場を快適にして、そうすれば働く方がいい仕事をして、本当に安全にできるという大きな枠があるのです。

 ただ、現場というのは限られているもので、フェンスにしろ、中の設備にしろ、トイレにしろ、今は大分変わってきたと思いますが、働く人が快適になるようにということで、ゼネコンも考えていますし、絶えずきれいにしています。

 ただ、限界があって、更にいくと女性が入ってきたとき、トイレもきれいにするという話も出てきていて、日建連もしてくれています。

 こういう言葉があって、しつけというのは身を美しく見せるというのです。そうすると、建設業で働く人が、第三者から見て、働く姿が美しいと思ってくれれば、それで建設業も 1 つのきっかけというか、いけるのです。そのようにしていくというのも大事だと思うのです。

○柴田委員 タレントの使うキャンピングカーのようなものを使うとか。

○福田委員 昔から仮設にはお金を掛けないというのが染み付いているものだから。

○柴田委員 そうですね。すみません、少し横道に。

○大木委員 今のお話で、監督署が御墨付きで「快適職場」という認定制度があるのですが、それが甘いのです。その程度で快適職場かと。もっとハードルを高くして、本当に最優秀快適職場でもやれば、御墨付をもらうためにも、現場もいい環境にするという、その辺は行政にお願いできるかなと。

○土屋委員 ただ、 3 年で快適職場制度はやめてしまったのですよ。

○大木委員 あ、やめてしまったのですか。

○土屋委員 ええ。あれは全部最低限取らなければ駄目だということで、ずっと取らしているわけです。半年以上ある現場は取らなければという。

○柴田委員 安全衛生、ビルの中には何人当たり 1 つのトイレを付けなければいけないと言っているわけだから、そのぐらいの感じのものが背後にないと、ということですよね。

○曾根崎委員 似たような話なのですが、この中でも「女性の労働者の活躍促進」ということで、国を挙げて取り組んで、建設業は特に日建連でも掲げてやってもらっています。

 女性が快適に働けるぐらいの職場でないと、今の若い男の人も来ないというのが私の考えで、そういう職場をどんどん作っていかないといけないというのが 1 つです。

 あとは、この中で均等法があって、きちんとやっていきましょうというがあるのだけれども、女性が男性並みに働けるのではなくて、男性が女性と同じ、間のところの働き方まで降りてこないと、今の男性の働き方と同じ働き方を女性にしろといっても、これは無理があると思います。やはりいろいろな意味での労働条件というか、そういったものを考えて、女性でも働けるような労働条件に男性も持っていくというようなことも考えないといけないのではないか。

 あとは、この資料の中であちこちに出てくるのが、「若年者に魅力ある職場づくり事業コース」が 818 件という実績が出ています。これは建設業だけの数字なのですね。

○谷室長 はい。

○曾根崎委員 どういったコースがあって、その中身がどのようなことをやっているのかということが分かれば、教えていただきたいと思います。

 あとは、建設雇用の改善推進会議を都道府県の労働局に作りましょうということで、この実績はどの程度あるのでしょうか。

○佐藤補佐 会議の実績については、基本的に全都道府県の労働局でやっていただくという形になっております。

 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業については、建設労働者確保育成助成金の中のコースとしてあり、建設事業主が若年及び女性労働者の入職や定着を図ることとした事業を行った場合に、経費の一部を助成するということです。

 具体的には、建設事業の役割、魅力を伝えるような現場の見学会、体験実習、インターンシップ、技能の向上を図るための教育訓練、新規入職者への研修会、女性のことで言うと、女性労働者の入職や定着の促進に関し、優良女性労働者に対する表彰制度、女性労働者の産休や育休からの復職を目的とした教育訓練・研修制度といったものに対して、助成を行うというものです。

○曾根崎委員 できればなのですが、そこにクロスを掛けて、内容とやっている事業者の規模が分かれば、どの程度の会社であればそれができていて、どの程度以下はそういうことはなくて、そこには例えばトータルとして、小さな会社がたくさんあって、そこで働いている人が多いわけですが、実際にそこの全体に対して恩恵がいっていないというか、そういう事業が実施されていないというか、そういったのが見られればいいかなと思いました。

 あとは、資料の実態調査の最後の 2 枚で、先ほど辞めた理由と定着させるための取組の話がありましたが、ここにギャップがあるというのが非常に大きな問題で、先ほどの表では高卒 3 年目では半数が離職し、大卒でも 3 割が離職するというような中で、ここのギャップは、入って来た人を逃す必要はないので、ここのギャップをなくしていくことを、今後の会議の中で話し合っていかれればと感じました。

○勝野委員 資料の関係で、先ほど能力開発に係る資格に係る資料提供をお願いしましたが、同時に職業訓練の関係の現況に係る資料提供もお願いします。公共だけではなくて、認定に係る職業訓練の現況が分かる資料提供をお願いします。

 もう 1 つは、今日は第八次の論議に関しての話だったのですが、第八次を論議した平成 22 年の時期と、第九次を論議する平成 27 年の時期は、環境からしても大きく様変わりしていると考えているのですが、第九次の雇用改善計画を論議していく上で、現在、厚生労働省なり対策室として、基本的な認識をどこに置いているのかということがあれば、是非お聞かせ願いたいと思います。

○佐藤補佐 まず最初の職業訓練の状況です。我々の押さえている数字ということで、建設労働者確保育成助成金の支給件数は押さえており、資料 4 に記載しております。 2 ページ目の 2 (1) の➀で、助成金の支給件数は、認定訓練コースが 1,338 件、技能実習コースが 9 5,761 件となっております。

○谷室長 それと、今御指摘のあった件なのですが、参考資料で御説明させていただきます。参考資料 1 、参考資料 2 、参考資料 3 とありますが、参考資料 1 と参考資料 2 は、参考資料 1 が概要版、参考資料 2 4 24 日に国交省と厚労省で、平成 27 年度の建設業人材確保・育成策として発表したものです。こちらの大きな「現状と課題」ということで書いておりますが、長期にわたる建設投資の減少に伴い、競争が激化したことによる技能労働者の就労環境が悪化し、若年入職者が減少している。就業構造の高齢化が進展している。他方において、東日本大震災の復興の加速化、東京オリンピック・パラリンピック開催等による建設投資の増加ということで、建設業の人材確保・育成が課題として必要だと認識しております。

 その上で、平成 27 年度の建設業人材確保・育成策ですが、国交省と厚労省が連携し、 3 本柱で、「魅力ある職場づくり」「人材確保施策」「人材育成施策」ということで、ここに書いているものをやっております。

 この参考資料 1 の裏を御覧ください。特に、先ほどから「魅力ある職場づくり」という言葉も頂いておりますが、厚生労働省では建設分野における「魅力ある職場づくり」ということで、特に雇用管理改善を推し進めております。左側に「雇用管理改善の効果」ということで書いておりますが、これは先ほど来御議論のあるところですが、労働者にとってみると、低賃金、長時間労働、計画休暇が難しい、キャリアアップ機会が不足している等、生活や将来の不安があって、企業への貢献欲も低くなる。事業主にとってみれば、人材が不足し、優秀な人材が流出してしまう。後継者も不足し、労災も発生するということで、不安定な経営基盤になるということで、こういう負の循環があるところもかなりあるのではないか。

 こういう事業主にとってみては、右側に「雇用管理改善のための職場における具体的な取組内容」ということで、労働条件の見直し、例えば勤務時間の見直しで長時間労働の抑制、休暇の取得しやすい雰囲気、給与の改善、月給制の導入など、社会保険の適正加入。職務内容の見直しでは、労働者が働きやすい職務内容の改善ということで、安全・清潔な作業環境。人材育成制度の充実ということで、労働者自身の成長や将来への展望を感じられる仕組みの確立が大事ではないかということで、キャリアパスを確立する、昇給・昇格制度を整備する。

 こういうことを進めたらどうかということで、左側に戻りますと、こういう魅力ある職場づくり、雇用管理改善による職場づくりをすると、賃金が上昇し、長時間労働の解消などで、労働者も生活や将来への不安は解消し、モチベーションがアップします。事業主にとってみても、技能労働者の確保、若年者の入職促進、安定した技能継承などで、生産性が向上し、好循環ができるのではないか。

 こういったものを特にハローワークの窓口において、建設人材確保プロジェクトということで、今はハローワークの求人が非常に多くなってきていますので、求人条件等の中においても、こういった形で求人条件を見直した上で、より労働者にとって魅力ある職場づくりをしていったらどうかということを、相談なりをしているところです。

 右側の下には、厚生労働省による主な支援策を 5 つ書いていますが、このようなものを中心に厚生労働省としてはやっているということで、先ほど申し上げましたように、認識としては若年労働者の確保、雇用管理改善による若年労働者入職促進等が重要ではないかと考えているところです。

○広畑部長 今、丁寧に説明しましたが誤解を恐れずに申し上げますと、冒頭の挨拶で申し上げましたが、第八次のときとは実は政策はそんなに変わらない、九次も変わらないと思うのですが、公共事業たたき、ダンピング、過当競争ということで、特に中小は、新規求人など考えていないという時代だったと思うのです。ところが、今やっと、設計労務単価が上がったりということで、価格も上がってくるという時代になってきましたので、それなら新規求人を出してみようかという業者も増えてきました。その結果、どれだけ採れているかは別なのですが。

 ですから、採ったら今度は若者を本気で定着させなければいけないということを、本気に考えられる時代に今はあって、大きく変わったのだと我々は認識していますので、実は施策は八次も九次も、そんなには変わらないと思うのですが、それに本気に取り組まないと、どうにもならないと。

 社会保険未加入の問題も、問題としてはみんな分かっていたわけですが、新規求人は考えていないので、余り深刻に考えていなかったと。ところが、今は新規求人を出そうということになっていますし、元請からすると、中小の下請業者がきちんといないと、仕事が回らないということで、元請も一緒になって考えるようになったということで、もっと分かりやすく言うとハローワークに出掛けるか出掛けないかということで、全く今の中小建設業者は時代が変わっているのだと思うのです。

 ですから、今まで求人票など出したこともなかったという業者がたくさんいますので、そういう時代の下で、やはり本気でやらなければ駄目なのではないかという認識で我々は国土交通省と話をしています。

○鎌田座長 ということで、正にやるのは今だということで。

○谷室長 参考資料 3 に、魅力ある職場づくりの好事例を入れておりますので、後ほど御覧になっていただければと思います。

○土屋委員 今の話の中で、私も会社の中で、このいろいろな施策をやるために専門工事業者のモデル事業所を作りたいと思っているのです。そうすれば展開も早いのです。ですから、モデル事業所はどういう規模が必要か、雇用管理者が要るとか、最低限の条件があるか。

 あとは相談窓口です。全体でこういうことをしたいのですが、どこへ行けばいいですかということを教えていただければ、是非これは展開していきたいと思うのですが、教えていただければと思います。

○福田委員 今、部長からお話があったように、この人材確保育成が、何で進まなかったのかというのは、厚生労働省が本気になってくれなかったのだと思っているのです。厚生労働省には何があるかといったら、やはりハローワークがあるわけです。国交省にはそういうものはないのです。そこを充実させていけば、すごく変わってくるだろうと思います。本当に期待していますので、よろしくお願いいたします。

○鎌田座長 幾つか宿題もありまして、今後の中で御対応していただければと思います。

 さて、いろいろな課題が出たところで、今後スケジュールを組みながら議論を深めていきたいと思っています。スケジュールの御提案をお願いいたします。

○富永補佐 今年度、これからの建設労働専門委員会の開催スケジュール案です。資料 6 「建設労働専門委員会開催等スケジュール案」を御覧ください。一番上にあるのが本日の専門委員会、キックオフの会議です。今後 4 回ほど、各方面からのヒアリングを行いたいと考えております。 7 月終わりから 10 月ぐらいにかけて、 4 回ほどヒアリングをさせていただきたいと思います。ヒアリング先は、まず国交省、研究機関等からです。それから、業界団体、労働組合、最後に学識経験者あるいは教育・訓練機関等から行えればいいのかなと考えております。

 各方面からヒアリングを行った後、 11 月ぐらいに論点整理を行い、 12 月から 1 月にかけて、次期計画の案を作っていければと思っています。

 最後の 1 月から 3 月に「基本問題部会・安定分科会」とありますが、これはこの専門委員会で作成した計画 ( ) を、当専門委員会の上の部会で承認していただくというものです。実質、 1 月ぐらいで案を作れればと考えております。

○鎌田座長 それでは、本件について御意見、御質問を頂きたいと思いますが、次回からヒアリングが始まり、スケジュール案では、次回は「国土交通省、研究機関」と記載されていますが、研究機関について具体的な所はお考えでしょうか。

○谷室長 まだお願いはしてないのですが、事務局としては建設経済研究所さんにお願いしようかと思っております。

○鎌田座長 そういうことを含めて、何かありましたらお願いいたします。

 ヒアリングの日程ですが、「 7 月下旬から 10 月」と書いてありますが、濃淡というか、どのような感じですか、まだ見当も付いていない状況でしょうか。

○谷室長 次回のヒアリングにつきましては、皆様方に日程を確認させていただいており、 7 28 日で、事務局としてお願いできないかということで、考えているところです。

 それ以降ですが、業界団体、労働団体等が 3 回ありますが、 9 月以降に日程調整させていただきたいと思っております。

○鎌田座長 それは皆さんの御都合を伺いながらということですね。

○谷室長 そうです。 9 月、 10 月で、第 43 回から第 45 回までをやっていきたいと思っております。

○鎌田座長 取りあえず、そうすると第 1 回はお話のあったような、ヒアリング対象を想定してやりたいということですね。分かりました。全体のスケジュールはこのような感じで、よろしいですか。

 それでは、ヒアリングのときはヒアリングですが、いろいろな形でデータ等の御質問、御依頼があったと思いますが、適宜委員の方に必要なものはお示しするということで、よろしくお願いしたいと思います。そのほかに何かございますか。特にありませんでしたら、本委員会としては報告のあったスケジュールの下、第九次計画についての議論を進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○鎌田座長 ありがとうございます。そのように進めたいと思います。

 本日予定されていた議題は以上ですが、事務局から何かほかにございますか。

○富永補佐 次回の日程ですが、先ほど室長から 7 28 日の午前中と申し上げましたが、 7 28 日は今日と同じぐらいの時間を想定しておりますが、正式な御連絡はメールで御連絡したいと思っております。

○鎌田座長 大体 10 時ぐらいからですか。

○富永補佐  10 時から 12 時ぐらいを想定しております。

○鎌田座長 場所等については、また御連絡いただくということですね。

○富永補佐 はい。

○鎌田座長 それでは、本日の委員会はこれで終了します。最後に、本日の会議に関する議事録の署名委員については、労働者代表は小倉委員、使用者代表は鈴木委員とさせていただきます。よろしくお願いします。お忙しいところ、ありがとうございました。


(了)

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