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2015年3月11日 第40回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成27年3月11日(月)13:00~15:00


○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)


○出席者

公益代表

鎌田座長、大橋委員、柴田委員

労働者代表

勝野委員、角委員、野村委員、小倉委員

使用者代表

大木委員、鈴木委員、福田委員

事務局

広畑高齢・障害者雇用対策部長、上田建設・港湾対策室長、早川建設・港湾対策室長補佐、百崎建設・港湾対策室長補佐

オブザーバー

国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課 屋敷課長

○議題

(1)建設雇用改善計画(第八次)の進捗状況等について
(2)建設雇用改善施策について
(3)建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定による実施計画の変更について(非公開)

○議事

○早川建設・港湾対策室室長補佐 ただいまから「第 40 回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会」を開催いたします。私は建設・港湾対策室室長補佐をしております早川です。本日は、今年度に入りまして初めての開催であり、この間に委員の交代もありましたので、冒頭は事務局が進行させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、資料の確認をお願いいたします。資料 1 から 7 まで準備しています。お手元にもし足りない資料がありましたらお申し出いただければと思います。

 次に、新たに選任されました委員の方の御紹介をさせていただきます。資料 1 が最新の建設労働専門委員会の名簿となります。平成 26 7 1 日付けで、加藤委員に代わりまして、株式会社熊谷組執行役員安全本部長の土屋良直委員が使用者代表委員として就任されております。本日は御都合により欠席の連絡を頂いております。

 次に、平成 26 11 21 日付けで山下委員に代わりまして、全国建設労働組合総連合技術対策部長の小倉範之委員が、労働者代表委員として就任されました。当委員会の出席は初めてですので、一言御挨拶をお願いいたします。

○小倉委員 ただいま御紹介いただきました、全建総連の技術対策部長を仰せつかっております小倉です。どうぞよろしくお願いいたします。

○早川建設・港湾対策室室長補佐 ありがとうございました。また、本日はオブザーバーとして、国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課の屋敷課長に御出席いただいております。一言御挨拶をお願いいたします。

○国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長 国土交通省の屋敷です。よろしくお願いいたします。

○早川建設・港湾対策室室長補佐 次に、厚生労働省における事務所掌の変更により、当専門委員会の関係業務の所管が、高齢・障害者雇用対策部長から移管され、雇用開発部長が担当となりましたので、一言御挨拶させていただきます。

○雇用開発部長 雇用開発部長の広畑と申します。今までは雇用対策でしたが、これからは雇用開発です。よろしくお願いいたします。

○早川建設・港湾対策室室長補佐 続きまして、本日の委員の出欠状況を報告いたします。本日は先ほど申し上げましたが、土屋委員が欠席となります。事務局からは以上です。以降の進行は座長からお願いいたします。

○鎌田座長 前年度から座長を務めております、東洋大学の鎌田です。どうぞよろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、一言私のほうからお話をしたいのですが、この委員会は例年、大体 1 年ごとに開かれているということで、その間、委員の任期が終了して、退任される方が出ております。先ほど御案内のとおりであります。本来であれば、御退任のときに一言御挨拶を頂くと有り難いと思っておりましたが、なかなかその機会もありませんでした。そこで、この場を借りまして、御退任されました加藤委員、山下委員については、これまで、当専門委員会の運営に対して大変な御尽力を頂きましたということで、私から感謝を申し上げたいと思います。また、新たに委員に就任されました土屋委員、小倉委員におかれましては、今後の当専門委員会の運営に御協力いただきますよう、何とぞよろしくお願いいたします。

 それから、先ほどちょっと小耳に挟んだのですが、野村委員が今年度で退任というふうにお聞きしましたので、もしよければここで。

○野村委員 座長のお計らいありがとうございます。私も 10 年前ぐらいに建設専門委員会委員に就任しました。私は連合本部枠推薦委員として選出されており、今回連合の内規に従いまして、役員交代ということになります。後任は私と同じ基幹労連で建設担当をしております曽根崎という中央執行委員です。もともと不動建設株式会社出身の者ですので、そういう意味では私以上に建設関係の知識は豊富だと思います。本当に長い間お世話になりました。ありがとうございました。

○鎌田座長 野村委員におかれましては、 10 年の長きにわたって、この本委員会について、本当にいろいろと御尽力いただき、誠にありがとうございました。また角委員におかれても今年度で退任というふうにお聞きしましたので、一言お願いしたいと思います。

○角委員 私どもの組織が 3 年間の任期で職員を出向させているもので、今までの委員も含めて 1 年ずつ交代で配置させていただいておりました。私自身の任期が今年の 8 月までなのですが、 4 月以降新しい案件で議論が活発になるとお聞きしており、一番最初から区切りのいいタイミングでメンバー交代したほうがいいかなということになりました。私の後任ですが、出身は戸田建設株式会社ですので、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

○鎌田座長 角委員におかれましては、本当に長期にわたりいろいろ御尽力いただきありがとうございました。

 議事に入ります。本日の議題は 3 つありまして、 1 つ目の議題は、「建設業を取り巻く状況について」としており、就業者の現状や、雇用環境などの状況について御議論いただきたいと思います。

2 つ目の議題は「建設雇用改善計画 ( 8 ) の進捗状況及び関連施策について」です。現在、第 8 次計画の期間が進行しておりますが、これは平成 23 年度から平成 27 年度までとなっており、これまでどおりの手順で申しますと、次の第 9 次の計画の策定に向けて、本委員会における議論は平成 27 年度に入ってから本格的に開始することとなっております。このため、第 8 次計画の評価などに関しては、今後議論をいたしますが、本日はその前段として、これまでの取組状況並びに関連する国の施策について報告いただいた上で、建設労働の雇用の安定を図っていくため、どういったところに視点を当てていけばよいか、広く御意見を頂きたいと思っております。

3 つ目の議題は、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第 14 条第 1 項の規定による実施計画の変更等について」です。この 3 つ目の議題については、その審査につき、個別事業主の資産状況等に関する事項を取り扱うことになりますので、「審議会等会合の公開に関する指針」の「審議会等会合の公開に関する考え方」のうち「個人に関する情報を保護する必要がある」及び「公開することにより特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、 3 つ目の議題については非公開の取扱いとさせていただきたいと思います。

 それでは、 1 つ目の議題である、建設業を取り巻く状況について、事務局及び国土交通省よりそれぞれ御報告をお願いいたします。まず、厚労省からお願いします。

○早川建設・港湾対策室室長補佐 初めに事務局より説明させていただきます。資料 3 を御覧ください。 1 ページ目は、建設業における労働者の現状についてです。建設業は、建設投資の急激な減少や競争の激化などが続いてきましたが、ここ数年、景気の回復、震災復興需要などに伴い、状況の変化が見られるようになっております。

 左側の表は、建設就業者の推移となります。このグラフで言いますと黄色の部分になりますが、技能労働者数は平成 9 年で 455 万人をピークとして、平成 22 年には 331 万人まで減少しております。しかし、その後、東日本大震災があった平成 23 年度以降からは、建設投資の増加に転じたこともあり、就業者数の減少傾向が増加へと転じている状況が見られます。平成 26 年には、 341 万人となっていて、平成 22 年に比べて約 10 万人、約 3 %ほど増加している状況です。

 また、右側の表は、 55 歳以上と 29 歳以下の就業者の割合を表したものですが、一番上と一番下の線がそれぞれ建設業における 55 歳以上と 29 歳以下の状況を表したものです。平成 26 年度では、 55 歳以上が 3 割を超える一方で、 29 歳以下は約 1 割となっていまして、全産業を大幅に上回るペースで高齢化が進行しておりますが、平成 26 年には若年者の割合の増加が見られました。

2 ページ、建設業関連職種の有効求人倍率の推移を御覧ください。建設業関連職種の有効求人倍率は、平成 20 年のリーマンショック以降に急激に落ち込んでおりますが、近年は増加傾向にあります。平成 27 1 月では建設以外も含めた全産業の合計が 1.01 倍であるのに対し、建設業関連職種はいずれも高い倍率となっております。中でも型枠工、とび工、鉄筋工などの建設躯体工事の職種が 7.26 倍、また、建築・土木・測量技術者は 4.18 倍となっており、特に高くなっています。

 これらの要因をもう少し詳しく見たのが 3 ページとなります。建設業関連職種の有効求人数が平成 25 年まで上昇傾向にあり、その後横ばいとなっている一方で、有効求職者数は減少している状況が見られます。このように、建設業関連職種への職業を求める有効求職者数が減ってきていることが要因となって、有効求人倍率が高くなってきているという状況であり、今後、業界における担い手確保に向けては、こうした状況を踏まえ、更なる取組を続けていく必要があると考えているところです。

4 ページを御覧ください。公共職業安定所における求人平均賃金の推移です。記載の金額は、企業から公共職業安定所に提出された求人票に基づき、求人情報として掲載されている賃金の平均を表したものです。平成 23 年以降、上昇傾向を示しております。

5 ページは、建設業における賃金の推移です。こちらの金額は、常用労働者を常時 5 人以上雇用する事業所において、実際に支払われている 1 か月当たりの現金給与総額の推移となっており、職別総事業は総合工事業や設備工事業と比べて低い水準となっていますが、近年は増加傾向も見られるところです。平成 25 年から 26 年にかけては若干減少しておりますが、平成 22 年に比べると 1 3,000 円ほど上がっています。

 6ページは、建設業における雇用環境についてです。一番上の表は、企業規模 10 人以上を対象とした生産労働者等の年収額の推移です。上の 3 つの線で表されている全産業、建設業、製造業における一般労働者では大きな差はないものの、一番下の紫色の線となる建設業の生産労働者の男性、これは建設作業の現場等において作業に従事する生産労働者を示しておりますが、こちらで見た場合には、平成 26 年で 408 6,000 円となっており、全産業や製造業などと比較して大きく下回っています。

 下段の左側の表ですが、常用労働者の年間総労働時間となります。建設業の総労働時間は、平成 25 年から 26 年にかけて増加しており、全産業や製造業と比較して、長い状況となっております。

また、右側の表は、企業規模 30 人以上を対象とした完全週休 2 日制の事業所ですが、建設業の 39.6 %は全産業や製造業と比較して、低い状況となっています。なお、こちらの表の一番下に、参考としまして、建設業の企業規模が 2 人以上で見た場合の普及状況を 13.3 %と掲載しています。こちらは出典が異なるため、単純な比較はできませんが、建設業は 29 人以下の事業所で働く従業員数が 72.2 %を占めるという状況にあり、これを考慮した場合には、厳しい状況にあるといえるかと思います。

7 ページは、高校卒業者の建設業への就職状況及び離職状況を表した表です。左側は平成 25 3 月と平成 26 3 月の高校卒業者で見た求人数に対する充足状況ですが、製造業においては約 7 万人の求人に対して、 8 割を超える充足状況がある一方で、建設業においては、 4 割から 5 割程度となっています。実数で見ると、平成 25 年から 26 年にかけて、 600 人ほど増えておりますが、求人数が 2 6,000 人から 3 5,000 人に急増したことがあり、充足率としては、下がることとなっています。

 また、右側の表となりますが、就職した高校卒業者の 3 年目までの離職状況です。製造業では 3 割の離職状況であるのに対し、建設業では 5 割近い離職状況となっています。これらの背景としましては、先ほど御覧いただいたように、建設業がほかの産業と比べて、年収や労働時間などの面で厳しい状況にあることが大きく影響していると考えられますが、こうした雇用環境の改善などを通して、魅力ある職場づくりをしっかりと進めていくことが求められているところと考えております。以上です。

○鎌田座長 それでは、引き続き国土交通省からお願いいたします。

○国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長 資料 4 に基づきまして説明いたします。今、厚生労働省からも御説明がありましたが、建設産業では担い手確保、例えば働き方の中で、雇用というものを根付かせるか、あるいは建設投資の波が大きい中で、どのような安定的な状態を作ることができるかといった点から、施策を進めているところです。

1 ページを御覧ください。このように建設投資には非常に波がありまして、ピーク時から平成 22 年を底に打ち、また最近、 50 兆円レベルに上がってきているという状況です。平成 25 26 年度を見ますと、また少し横ばいかなというところもありますが、このような波にどのように対応していくか、あるいは波自体ができないようにするにはどのようにしたらいいのか、そのような観点から施策の取組というものがあります。就業者数は 26.28 %の減、あるいは許可事業者数も 21.7 %の減で、一方で建設投資自体は 40 %以上減っているということですので、担い手自体かなり高齢化が進んでいるという状況の中で、どのようにプランニングしていくかというテーマがあると認識しています。

2 ページ目は、特に高齢化の進行の所で、常に建設業は 55 歳以上の割合が多く、かつ、 29 歳以下の割合も全産業に比べれば低いです。全産業により追い付く、あるいはそれを追い越すということは長い時間を見ても難しいと思いますが、全産業に比べて離された時期がありますので、これに追い付いていくということ。また、特に 29 歳以下は約 1 割ですが、平成 26 年に下げ止まったということなのか、あるいは上昇に転じたということか、 10.2 %から 10.7 %と少し戻してきております。ここ数年、建設業界全体として担い手の確保を非常に強く意識をして進めております。そのような成果が現れ出してきているのではないかなと思っておりますし、その流れを止めないようにしなければいけないと考えています。

3 ページです。様々な施策を講じていますが、やはりこれは行政の動きだけではなくて、当然ながら個々の建設業の経営の中でどのように判断していくかということですし、生産性の向上の取組も大切なことです。そういう意味合いで、建設産業活性化会議を国交省の中に設けており、行政、関係団体、学識の皆様と議論しながら、施策の枠を定めています。左側は、働いている方を大切にしようということで処遇改善、あるいは誇りを持って働けるような環境整備、あるいは将来性、あるいは教育訓練のスキームが不十分な所の充実・強化、あるいは女性の更なる活躍というところを講じるとともに、処遇改善をするというのは、当然ながらコストアップにもつながるということもありますし、一方で、我が国の中で全体的に人手が不足しているということも考えられますので、建設生産システム自体の省力化・効率化・高度化を併せて行うことにより、トータルで建設産業の生産システムをブラッシュアップするという発想で進めているところです。特に右側の建設生産システムの省力化・効率化・高度化の中では、現場の省力化・効率化とともに、建設業界で常に指摘をされる重層下請構造の改善にどのように取り組んでいけるのか、これが次の大きなテーマとなってくるのではないかと考えております。

4 ページ目ですが、平成 26 年度の大きい動きとしましては、いわゆる担い手 3 法、品確法、建設業法、入契法の一体改正ということですが、国会で成立しまして、平成 27 4 月からの本格施行に備えています。品確法の改正で、これは工事の品質確保ということですが、現在の工事だけではなくて、将来にわたる工事の品質確保が行われるという観点を入れますと、やはり担い手の中長期的な育成・確保が大切であるということ。そのために、建設業として適正な利潤を確保できるような環境を作らなければいけないということで、(発注者も)公共発注に限定されるものですが、発注者としての責務、例えば予定価格の適正な設定、低入札価格調査基準等の適切な設定を明確化したということです。このような形の取組を通じ、建設投資の約 4 割超が公共事業関連ですが、 6 割の民間建設投資のほうにも業界全体として波及していくという動きを作っていく必要があるのではないか。

5 ページ目が取組改善の 1 つの例です。公共工事設計労務単価の引上げについてです。飽くまで発注者として予定確保を算定する際の単価のようなもので、各職種・各都道府県ごとに設定をしております。全般的に労務単価の引上げが進んでいるというふうに見ておりますが、引き続き実勢価格を適切に把握して迅速に反映するという形で、良い労働市場の環境を作っていこうというように考えています。

 このような引上げとともに、実際に発注者としての予定価格を設定し、実際にその次は元請けから専門工事のほうへしっかりと処遇改善の波が流れていくという動きを作ることが大切です。そのため、繰り返し行政のほうから、大臣をはじめとしまして、様々な機会を捉えて処遇改善の要請をしているところです。

7 ページ目も、処遇改善の取組の一環です。働き方の中でも、やはり雇用という所に非常に軸足を置いた施策ということになると思いますが、社会保険未加入対策を平成 24 年度から進めています。やはり、社会保険に加入していないような企業に対して、若い人が魅力を感じるかどうかといった点、あるいは社会保険に入っていないことによる価格競争力の獲得というのは、許されるべきなのかどうかという観点から、保険の未加入対策を進めています。これは、行政による取組、あるいは建設業界の取組を一体的に進めています。やはり、実際に加入できる環境を作るということが大切でございまして、現在軸足を置いておりますのが、法定福利費をどう確保していくのかということです。発注者、元請け、元請け専門工事、専門工事の中でも 1 次・ 2 次という重層構造がありますから、それをどのように確保していくかということをメインで取組を進めているところです。

8 ページ目ですが、これは社会保険等の加入状況です。公共工事設計労務単価の調査に合わせまして、加入状況の調査をしております。平成 23 年に比べますと、例えば年金保険は約 10 %上がってきているということですので、これはひとえに業界の取組の成果であるということです。ただ、製造業レベルということを考えたときには、まだこれからだという点もありますので、引き続き取組を進める必要があると考えています。

9 ページ目ですが、厚生年金等で見た事業所数の推移、あるいは被保険者数の推移です。建設業、製造業、全産業を比較しまして、有意に違いがあるということです。事業所数も増えておりますし、厚生年金被保険者の数も増えてきているということです。

10 ページですが、先ほど申し上げました法定福利費の確保です。元請けと専門工事の間で価格交渉しながら、あるいは実際に加入しながらという形の流れを作ることが大切です。今年 1 月で申合せ、また、ガイドラインの改正なども予定をしておりますが、例えば元請け企業から下請け企業に対しまして、見積り条件の明示を求めるときに、法定福利費が幾らであると書いたものを出してくださいと元請けのほうから専門工事のほうに求めるということで、下請けのほうも 1 次・ 2 次の間でも同様であるということです。また、それを専門工事のほうで計算して提出した見積書は、元請けも尊重するということと、他の費用との減額調整は現に慎むといったような内容のガイドラインを定める予定です。

11 ページ目ですが、女性についてです。業界全体として取組を進めて、平成 31 年にピーク時の水準まで引き上げられないかということです。平成 9 年がピーク時で約 26 万人いらっしゃいましたが、今は 10 万人ぐらいまで減っているということです。それぞれ女性技術者、技能者は、ある目標を立てて、取組を進めているということです。

12 ページ目はその取組の 1 例で、好循環を作り出す。例えばキャッチフレーズ的なもので「ドボジョ」、また日建連は「けんせつ小町」という愛称を設定されたということですし、ハード面からの環境整備から始めまして、やはり建設業として、女性が働くことができるフレームワークを作ることが、建設業の働き方自体に良い影響が出るのではないかという発想ですので、取組の一端ですが、全国展開を含め、更に取組を進めていく予定です。

13 ページ目は、建設業に理解をしていただくことが大切だろうということです。建設業界からの発信をする、あるいは担い手を確保するという観点から見ますと、例えば実際に生徒さんとか、親御さんとか、そういう方に見えるようにする、そういう動きを作っていくことが大切であるということで、情報発信の強化、あるいは広報イベント、工業高校キャラバンなどを作りましたり、ホームページで情報発信、その充実を図るなどの取組を進めています。

14 ページは、もう少し具体的に担い手確保の取組として、建設産業担い手確保・育成コンソーシアムを秋に立ち上げたところです。これまで、個々に建設業の会社のほうから、例えば工業高校にアプローチをしたりとか、そういうような取組があったわけですが、業界全体として良い知恵を共有しながら、ネットワーク的に地域、あるいは職域で担い手確保の取組を進めていってはどうかということです。富士教育訓練センターが静岡県にありますが、こちらは宿泊ができる訓練施設もあります。そういう所をセンター・オブ・センター的に位置付けて活用しながら、あるいはソフト面でも訓練プログラムの整備をしたり、その講師の方のデータベースを作るとか、あるいは職業訓練校間のネットワークを構築してノウハウを共有する形で、個々の会社の取組から広げて、ネットワーク化を進めているところです。

 そして御紹介ですが、外国人の活用についてです。 15 ページ目ですが、現在、建設分野の外国人の就労については、技能実習制度により 3 年の受入れが行われているということです。現在、建設投資が増加傾向にある、あるいは復興事業が更に本格化していく、あるいはオリンピック・パラリンピックの開催が予定されているという中で、国内人材の確保に最大限努めるということは大前提ですが、その上で、万全を期すために、建設分野におきまして、技能実習制度に上乗せする形で、在留資格としては特定活動という臨時的措置で就労を認める準備を進めています。もとより技能実習制度については、不法就労でありますとか、人権問題であるとか、そのような指摘がされています。技能実習制度本体の見直しということもあるわけですが、そのような指摘も踏まえて、技能実習制度を上回る管理体制を作るということ、あるいは処遇水準についても、正当に評価をして賃金が支払われることを念頭に置き、今準備を進めているところです。 4 月からの受入れの準備において、現在、管理団体の認定作業、あるいは受入れ企業の計画の認定作業を進めています。様々な取組を進めているところですが、厚生労働省とも常に連携を取りながら進めていますので、いろいろ御指摘、御意見を頂ければと思いますので、よろしくお願いします。

○鎌田座長 今、御報告があった厚生労働省と国土交通省の御報告内容について、御質問があれば頂きたいと思います。なお、この後の建設雇用改善計画の実施状況でも重なる部分もありますので、そこで主に意見を頂き、ここでは質問を中心に頂ければと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

○勝野委員 厚労省さん、国交省さんからそれぞれ取り巻く状況、特に技能労働者の減少といいましょうか、担い手確保の課題について御報告を頂いたところですが、業界全体として技能労働者をどうやって確保・育成していくのかという問題意識が、私は去年のこの会議でも申し上げましたが、業界全体、行政を含めて共通認識になっていったことについては、非常に良かったと理解をしています。その下で国交省さんが技能労働者の就労関係の改善に向けて、取り分け設計労務単価の引上げについて 3 年連続大幅に引き上げていただいた点については、かなり大きな業界に対するインパクトがあったと思っています。

 賃金状況についても御報告がありましたが、私どもの組織の内部といいましょうか、組合員を対象とした賃金調査もやっていまして、少し古い数字で申し訳ないのですが、サンプル数で言うと昨年 6 月時点の組合員約 11 万人ぐらいで、実際に有効なものは 9 万程度になってしまったのですが、過去 2 年間の設計労務単価の引上げの影響が確実に出てきているという印象を持ちました。単純な平均の数字はなかなか出せないもので具体的ではないのですが、例えば常用の大工職の方でいうと、取り分けゼネコンの野丁場の現場では 1 日当たり 5.84 %のアップになっている。一人親方の住宅企業の現場でいうと 5.95 %アップになっていると。ゼネコンの野丁場の一人親方の大工でいうと、 1 日当たり 1,400 円、大体 10 %程度の上昇ですが、そういうふうに良い影響、効果が出てきていると思っています。そうした点で国交省さんの政策的な判断なり元請けの事業者の皆さんで、そうした取組について、大変歓迎をしたい、敬意を表したい、お礼を申し上げたいと思います。

 ただ、私どもで 1 点申し上げたいのは、そうした設計労務単価の引上げの良い影響がまだまだ限定されたものになっているというところが如実に現れていまして、取り分け民間の現場、特に首都圏の民間の現場では、なかなか変わっていないというのが統計として出ていますので、国交省をはじめ厚労省の皆さん、そして元請けの皆さんも、是非、現場の技能労働者の就労環境の改善に向けた施策について、引き続き御努力をお願いしたいと思います。

○柴田委員 私は特に最後の外国人の問題について興味があるのですが、技能実習生が使われるという意味で、想定される外国人技能実習生で、果たして特定活動で入ってくる人がどのぐらいの人数になるのかが 1 つあります。

 もう 1 つは、その人たちの優良な受入れ企業ということですが、そこでの契約関係はどういうことかが気になっていて、契約社員として採用されるのかどうかということです。どうしてそういうことをお聞きするかというと、ここだけに限らず外国人労働者が入ることによって、建設労働の人たちが安い労働力としてこの人たちが入ってくると、結局、この人たちを使うことによって、全体の雇用改善が実は遅れてしまうのではないかというちょっとした不安があるので、この 2 つについて教えてください。

○国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長 私から御説明いたします。外国人技能実習制度で、例えば今のボリューム感的に申し上げますと、技能労働者は 330 340 万人のボリュームに対しまして、技能実習の建設分野で入国をされる方は大体 1 年間で 5,000 人ぐらいいらっしゃいます。となりますと、そういう方が大体 3 年間いらっしゃるとすると、 1 5,000 人とか、最近、若干増加傾向にありますが、そのぐらいのボリュームですので、実は 1 %に満たないと、そういうボリューム感です。

 今回の特定活動による緊急措置の受入れについては、その要件として我が国の建設分野での技能実習制度を修了された方がこの対象になるということです。例えば、今の農業で長野県川上村でレタスを作っている方がこの建設に来るとか、それは駄目だということです。平成に入ってから技能実習制度が始まりまして、これまで建設分野で経験された方が大体 5 万人ぐらい、それよりもう少し多いかもしれませんが、いらっしゃるということで、その中から受け入れるということになりますので、数的にはそのボリュームにインパクトがある受入れにはならないのではないかとは見込んでいるところです。

 ただし、これまで技能実習生を受け入れた建設業の方のお話をお聞きしますと、いい方、引き続き 4 年目、 5 年目もできたらなという方もいらっしゃるという思いが、経営者のほうも実習生のほうも共有されている方もいらっしゃいますし、そうでもない方もいらっしゃるということですので、今、卒業生の方が母国でしっかりと建設に就労されていて、それでその方がもう一回日本に来たいということがあったときには、今回の特定活動とか、そういう利用も考えられるのではないかということです。いずれにしても全体的なボリューム感からいきますと今申し上げたとおりですので、大きなインパクトになることはなかなかないのではないかと考えています。

 ただし、御指摘があったように、安い労働力として受け入れた場合に、それに引きずられる形で我が国の、日本人の建設就労の方の処遇下がる、これはあってはならないことだと考えています。今回の受入れに当たりまして、受入れ企業の認定をするのですが、その中でどういう受入れをするかと、中にちゃんと賃金水準とか、そういうことも私どもとしてしっかり見ていきたいと考えています。

 その考え方としては、国内で 3 年間経験された方でありますので、日本人の 3 年生、あるいは 4 年目の方と全く同じというわけにはいかないかもしれませんが、それなりの経験を積んだ方であろうということですので、今、受入れ企業で、例えば日本人の 4 年生の方に、とび職だと幾ら支払っているというところの水準と、私どもが審査をするときにちゃんと見せていただきまして、それと同等か、あるいは日本語の部分で若干ディスカウントがあるかもしれませんが、少なくともそれぞれの地域の最低賃金に張り付く状況はあってはならないと考えていますので、そういう形でしっかり受け入れて、しっかり働いて、またおいでいただくという流れを作りたいと考えています。

 建設業、これは日本人であれ外国人の方であれ、安く使うという発想に立つと、なかなか定着しないというところは、日本人も外国人も同じだと思いますので、そこは特に気を付けて、今回、特定活動の制度設計をしているところですので、そういう意味でしっかり審査をしてまいりたいと考えています。

○大橋委員 国交省さんから設計労務単価の引上げの話を頂いて、委員からも有効だというお話があったのですが、設計労務単価の引上げと、あと厚労省さんから賃金の動向の話もあったのですが、定量的に設計労務単価の引上げのパーセントが賃金にはね返っているかと、それはどう捉えられているかのを、ひとつお伺いできればと思います。

○国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長 設計労務単価については、今、平成 24 年に 3 割弱引き上げたということです。と申しましても、平成 24 年度までの単価の考え方と平成 25 年度以降の考え方と、 5 ページにありますとおり算出方法の大幅な変更があったということです。基本は、実勢に見合った単価設定を行い、それを予定価格に反映させていくということですので、それを迅速、的確にやっていくということです。 20 何パーセント引き上げたというところが、ストレートに実際に働いておられる方に反映されるところが理想だと考えていますが、それまではいかないということですが、雇用の流れを作ることによりまして、平成 25 4 月に上げた影響は、平成 26 2 月は平成 25 10 月の調査で把握をしてまた設定しているわけですので、それを 3 回連続で引き上げたのは、そういう引上げの効果も織り込んだ形で引き上げられたのではないかと考えています。

 ただ、例えば賃金構造調査でストレートに 28.5 %ぱっと上がるわけではありませんので、それは公共事業の現場が 4 割、民間工事が大体 6 割という中で、少しでも波及をさせていくという形での考え方で、迅速・的確な設定をしているところです。

○鈴木委員 今日の厚労省さんの資料で高齢者は 55 歳以上が 3 割、 29 歳以下が 1 割という資料がありますが、高齢者は致し方ないかと思うのですが、もっと若年入職者を増やさないと、どうしようも立ち行かないのが、業界はもちろんそうですし、厚労省さんも国交省さんも同じ認識だと思います。この問題をいろいろ新聞記事とか、若年入職者本人に聞きますと、社会保険の問題もありますが、一番大きいのが賃金の問題です。これは国交省さんによって、何度か設計労務単価を引き上げていただいているので、だんだん追い付いていくのかという感じもしますし、日建連も年収約 600 万円という数字を上げていて、その辺りの金額で何とかなってほしいと思います。

 あと 1 つが、労働環境の面で、週休 2 日制が今の若い人は当然の条件として捉えていると思うのです。ただ、では週休 2 日制にしたらどうなのかというと、今の作業員の賃金は日給月給みたいな制度が多分にあり、休むとその分給料が減ります。現場は全閉所ではないのですが、私たち元請けの職員は交替で休むようにしていますので、現在は 4 6 休位のイメージで休めているという感じはします。それを 4 8 休にどう持っていくかというと、まだ私たち職員も難しく、日建協の委員さんがいらっしゃるので多分分かってくれるとは思いますが、なかなか問題を解決する良策が見出せないでおります。

 要は、社会保険加入率を上げるにどうすればいいのか。また、会社単位では入っているけれども、作業員の加入率が低い。では、作業員の加入率をどうやって上げたらいいのかというと、その辺は何か個別の事情もあるようですが、それも考えながら、これは業界だけではなかなかできないと思うので、是非とも国交省さん、厚労省さんが前面に出ていただいてやっていかないと駄目だと思います。その辺のご指導、ご協力をよろしくお願いしたいと思います。 

 あと、今日の議題に関連はないのですが、外国人労働者の件です。地方の建設業協会の方々と話をしますと、地方は外国人の活用は余り眼中にはありません。国内での作業員確保に最大に努めることが基本と言う意見が多く聞かれます。この辺をひとつよろしくお願いしますというのが、地方へ行くと何回も言われますので、今日の会議にはそぐわないと思いますが、よろしくお願いします。

○鎌田座長 よろしいですか。また後のほうで重なった部分もありますので、次の議題の後、これも今報告いただいた分も含めてまた意見を頂きたいと思います。

 それでは、議題 2 についての御報告をお願いいたします。

○富永建設・港湾対策室室長補佐 資料 5 6 について御説明いたします。第 8 次建設雇用改善計画の実施状況についてですが、資料 5 を御覧ください。第 8 次計画の中の「雇用の改善等を図るために講じようとする施策に関する基本的事項」という部分に掲載している項目ごとに、該当施策の実施状況、実績、今後の予定を記載しています。なお、この表では、各項目における主な施策を抜き出しているところであり、記載されていない施策もあることを御了承いただければと思います。

 上から順に御説明いたします。 1 枚目、 1 つ目の「魅力ある労働環境づくりに向けた基礎整備」という項目です。その中には、 (1) 「建設雇用改善の基礎的事項の達成」、 (2) 「労働環境の整備」、 2 つの項目がありますが、この部分では、雇入れ通知書の交付等による雇用条件の明確化、労働環境の改善をするという計画上の記載がされています。

 これに対しましては、実施状況の所に施策を載せていますが、建設労働者確保育成助成金による事業主等に対する支援として、若年者に魅力ある職場づくり事業コース、被災 3 県のみですが、作業員宿舎等設置コース、建設労働者雇用安定支援事業による状況把握、雇用管理の知識の習得及び向上を目的とした雇用管理研修等を実施しているところです。

 また、建設労働者確保育成助成金は平成 25 年度から開始ですが、その前身というべき助成金として、建設雇用改善推進助成金、建設教育訓練助成金がありましたが、この助成金は平成 24 年度で廃止となっており、計画の前半部分、平成 23 24 年度部分については、該当事項の施策として実施していましたので、ここに載せています。

2 つ目の「職業能力開発の推進」です。次のページにまたがっていますが、 (1) 「事業主等の行う職業能力開発の推進」、 (2) 「労働者の自発的な職業能力開発の促進」、 (3) 「熟練技能の維持・継承及び活用」という 3 つの項目がありますが、主に能力開発に係る施策を載せています。これについては、建設労働者確保育成助成金による事業主等に関する支援の中の認定訓練コース、技能実習コース、建設広域教育訓練コース、認定訓練事業費補助金による支援、公共職業訓練の実施、建設分野のキャリア形成促進助成金による事業主等に対する支援、成長分野等人材育成コース、若年人材育成等コース等を実施しているところです。

3 枚目、 3 つ目の項目の「若年労働者等の確保及び建設業に対する理解の促進等」では、 (1) 「若年労働者等の確保及び建設業に対する理解の促進」、 (2) 「高年齢労働者の活躍の促進」、 (3) 「女性労働者の活躍の促進」の項目があります。ここの部分については、若年労働者に対する対策としては、建設労働者確保育成助成金による事業主等に対する支援の雇用管理改善コース、若年者に魅力ある職場づくり事業コース、若年技能者人材育成支援事業による若年技能者等への実技指導、キャリア形成促進助成金による事業主等に対する支援等、高年齢労働者対策については、高年齢者雇用安定助成金による事業主等に対する支援等が実施されているところです。女性労働者対策については、建設労働者確保育成助成金の若年者に魅力ある職場づくりコースの中で来年度、メニューを拡充する予定となっています。

4 枚目について、 4 つ目の「円滑な労働力需給の調整等による建設労働者の雇用の安定等」の部分ですが、 (1) 「円滑な労働移動及び新分野進出の支援」、 (2) 「建設業務有料職業紹介事業及び建設業務労働者就業機会確保事業の適正な運営の確保等」の 2 つの項目があります。該当する施策としましては、建設労働者確保育成助成金による事業主等に対する支援の新分野教育訓練コース、建設業務有料職業紹介事業、建設業務労働者就業機会確保事業を実施しているというところです。

5 つ目の「雇用管理推進体制の整備」ですが、こちらについては、建設労働者雇用安定支援事業による状況把握及び支援、建設労働者確保育成助成金による事業主等に対する支援の雇用管理改善コース、若年者に魅力ある職場づくりコース、建設雇用改善推進対策会議等を実施しているところです。以上が第 8 次計画の現在の実施状況となっています。一番右の欄には、今後の予定を記載しています。

 資料 6 についてですが、「建設労働関連施策について」という資料です。第 8 次計画を策定されましたときは、厳しい経済状況を背景として雇用の過剰感が見られる状況の下で策定された計画ですが、現在、人が足りない、人集めに苦労しているというところがあり、状況も変わっていますので、それの計画に追加する形でいろいろな取組を行っているものとなっています。資料 6 1 ページは「建設人材確保の主な取組」です。この資料は、技能継承のための担い手確保への懸念をはじめ復興の一層の加速化、 2020 年のオリンピック・パラリンピック東京開催決定など、近年の建設業をめぐる現状を踏まえまして、その取組を充実・強化していくという中で、こういう施策をやっているものを載せています。

 左の青が平成 26 年度、その右が平成 27 年度施策になっていますが、施策の柱立てが多少異なっているため、単純に比較はできませんが、平成 27 年度に向けましては、特に平成 27 年度施策の一番上にある「魅力ある職場づくりの推進」にも視点を置きまして、新たな取組を実施していきたいと考えているところです。

 本日はこの中から、 1 「魅力ある職場づくりの推進」の中の赤字で書いています1「雇用管理制度導入に係るコンサルティング支援の創設」、 3 「職業訓練の充実」の2「中小建設事業主等の認定職業訓練等への支援」の中の「業界団体等と連携した人材育成事業」の 2 つの新規事業と、その下、 4 「事業主や事業主団体等による取組への支援」の中から、1「建設労働者確保育成助成金による支援の拡充」について紹介させていただきます。

 次のページに「人材不足分野における人材確保のための雇用管理改善促進事業 実践コース ( 建設分野 ) 」とありますが、この施策については、雇用情勢の改善に伴いまして、人材不足が懸念されている建設分野、介護分野、若者の雇用管理に課題のある分野などにおいて、事業主による雇用管理改善の取組を通じた魅力ある職場を創出することを目的とした新規事業になっています。

 この事業は、雇用管理制度をモデル的に導入するためのコンサルティングを実施するモデルコースと、雇用管理改善の実践段階で課題を抱える事業主に対してアドバイザーによる相談支援を行う、業界ぐるみで雇用管理の実践を進める実践コースの 2 つの事業を展開していくこととしていますが、この建設分野は実践コースとして実施します。

 労働者の募集と職場定着を促進するために、事業主自身による職場自体の魅力アップ、つまりこれは雇用管理改善を図っていくこととしていますが、ここでいう雇用管理改善については、上のタイトルの下にある青い※にありますように、「魅力ある職場づくりのために人事考課・評価制度や賃金体系制度、諸手当制度のほか、段階的な研修体系制度、健康づくり、福利厚生制度などを導入することを雇用管理改善としています。

 これは全国でやるわけですが、各地域で地域に合った事業展開をしていくため、各県にあります労働局単位で委託契約を結んで、ここに書いてありますように「推進委員会の開催」「リーフレット配布によるによる普及啓発」「雇用管理改善啓発セミナー開催」のほか、「アドバイザーによる事業主に対する雇用管理改善に関する相談・支援」などを実施して、技能労働者を雇用する下請けを含めた地域建設企業における雇用管理の改善を図っていきたいと考えています。

3 ページですが、「建設労働者緊急育成支援事業」についてです。業界団体等と連携して人材育成を進めるというコンセプトですが、この事業については、型枠工、鉄筋工、とび工など、人材不足が著しい専門工事職種等について、訓練職種、コースの設定、訓練カリキュラムの開発、訓練生の募集、訓練実習期間のコーディネート、ハローワーク、職種別団体と連携した就職支援を一括して建設産業関連事業団体等に委託するものですが、離・転職者や新卒者、学卒未就職者等を支援の対象といたしまして、研修・実習等の訓練、就職支援、職業紹介までをパッケージとして行うものです。これは平成 27 年度から 5 年間の時限措置として実施予定でして、建設業界の人材不足解消を支援していきたいと考えています。

 型枠、鉄筋、とび工の専門工事職種を対象とする職業訓練については、訓練実施のための訓練施設の設置、材料費など、多額の費用がかかることや、非常に専門的な分野であることから、訓練環境の整備が進まないという状況がありますが、現状として訓練の実施は全国から訓練生を受け入れている富士教育訓練センター、専門工事業者の企業内訓練を行う一部の施設における在職者訓練に限られている状況があります。

 その一方で、公共職業訓練、専門学校などが実施する訓練では、そのほとんどが施工管理者、注文建築大工の養成に集中していまして、専門工事職種の訓練はほとんど実施されていない状況もあります。 20 30 年前ぐらい前までは、都道府県の職業訓練校などではこれらの職種を対象にした訓練が行われていましたが、その後 OJT 中心の技能伝承が主流となったことから、実施されなくなってしまったという経緯がありまして、建設業を目指す若者に 1 つの入職の仕方、筋道を付けるという意味で意義のある事業と考えています。

4 ページですが、「建設労働者確保育成助成金の拡充」です。建設労働者の教育訓練を実施した場合の経費や賃金の助成をはじめ、雇用管理改善につながる制度の導入への助成、若年者に魅力ある職場づくりにつながる取組に対する経費への助成など、幅広く活用できる助成金となっていますが、建設業が抱える課題に対応していくため、来年度から制度を見直して拡充を図っていくこととしています。

 主な見直しの内容は下半分に記載しています。まず、雇用管理制度コース ( 整備助成 ) ですが、今年度まで、今年度は既に実施しています評価処遇制度、研修体系制度、健康づくり制度、それぞれ助成がされています。それに加えまして4としてメンター制度、指導・相談役となる先輩 ( メンター ) が若者 ( メンティー ) をサポートするメンター制度を対象に加えた 4 つの区分に改編して制度導入に関する助成としては各 10 万円と改定すると。それと同時に、定着改善、入職改善が進めば、それぞれ 60 万円を受けることができる制度に改正するとともに、中小企業だけではなく、それ以外の企業、いわゆる大企業も受けられることとする予定です。

 右側にあります若年者に魅力ある職場づくりコース ( 経費助成 ) の部分ですが、ここの部分についても中小企業だけではなく、それ以外の大企業も受けられることとすると同時に、女性の入職・定着を促進するための対象メニューの追加を予定しています。

 左下にあります作業員宿舎等コース、これは被災 3 県のみの制度ですが、求職者が減少しています被災地において、建設業者の求人を広域的に充足するために、今までの共同生活を行う寄宿舎への助成だけではなくて、事業主が新たに労働者を雇用するためにアパート、マンションを借りた場合にも経費を助成する予定です。

 以上が、平成 27 年度に向けて拡充を予定している施策となります。こうした取組を通しまして、建設人材不足対策を進めていくこととしています。これらについては、予算成立後、国土交通省との連携として取組を取りまとめて公表していきたいと考えています。

 次に、これまで説明していました個別事業、個別施策とは別に、今年度実施した取組を参考1、2として 2 枚にわたって記載していますので、御紹介させていただきます。 5 ページ、「雇用管理改善 ( 魅力ある職場づくり ) に係る啓発運動の実施」については、労働需要の高まり等に伴いまして、一層の人手不足が懸念される建設・介護・保育・看護の 4 分野の人材確保・育成対策の強化を図るという目的で、省内に立ち上げました人材不足分野等における人材確保・育成対策推進会議において、対策の取りまとめを行いましたが、その取りまとめに基づきまして実施することとしたものです。事業主自ら雇用管理改善を主体的に取り組んでいただくことを目的として、労働局、ハローワークが地域の業界団体や事業所を直接訪問いたしまして、雇用管理改善に係る啓発運動を展開しています。

6 ページは「東日本大震災被災地の建設等人材確保に対する対策の取りまとめ」です。これは東日本大震災被災 3 県の復興をより円滑に進めていくために、去年 9 月にプロジェクトチームを立ち上げ、被災地の自治体や業界団体関係者、関係省庁などと意見交換を行いまして、被災地における建設等人材確保に係る対策の取りまとめを行っています。この取りまとめに基づきまして、下のほうに具体的に何をやるかという対策を載せていますが、課題として復興のスピードを上げていくために即戦力人材の確保が必要である、今後増える住宅の自力再建を担う地元企業の人材確保が必要である、継続的に建設業における担い手を確保・育成するための雇用管理改善・人材育成が必要であると、必要なことが 3 つ挙げられたところです。

1 つ目として、こうした課題に対しましては、建設人材の求人充足をきめ細かく支援する、建設人材確保プロジェクトの実施ハローワークの拡大を行いました。マッチングの強化に記載しているところです。

 また 2 つ目として、その下の「宿舎助成の緩和」に記載していますが、先ほど御説明しました建設労働者確保育成助成金の作業員宿舎等コースの拡充を図るとしたところです。

 そして、 3 つ目として、魅力ある職場づくりの推進、職業訓練の充実という部分におきまして、平成 27 年度予算への反映を行うと。平成 27 年度予算に入れ込んだということなどにより対応していくこととしています。

○鎌田座長 どうもありがとうございました。かなり盛り沢山で、議論をしていただくための整理を私、少ししますけれども、資料の 5 というのは第 8 次建設雇用改善計画の現状、実施状況についての主な話、これについての達成度というのは、今後、本格的に議論していただく内容になるかと思うのですが、取りあえず現段階での状況になっています。その次の資料 6 は改善計画の実施状況と直接関連しているのですか。それとも、一部、平成 26 年度の状況も御説明があったと思いますが、平成 27 年度の取組予定ということで御議論いただくという趣旨で出されているのですね。

○建設・港湾対策室長 併せてということなのですけれども、御存じのように一番初めにお話したとおり、 8 次計画を立てたときというのは、公共投資などがすごく減っているときで、人材を絞り込んでいっているとき、例えば、どうやって他分野に移行していくかなど、いろいろな事業を盛り込んだりしていました。

 それが実は 2 年ぐらい前から、人材不足ということで大きい問題になってきて、ここ数年、こうやって労務単価を引き上げたりとか、いろいろやってきていて、いわゆる情勢が大きく変化してきました。その大きく情勢が変化した中で、本来はこの計画を変更して、やっていくのですが、それでは追い付かないので、基本的には平成 26 年度から新しい施策をいろいろ展開して入れていったというのが、今の現状です。

 平成 27 年度もそれに加えて、更に上積みをしています。今、決まっていることについては着実に実行していくしかないので、こういったことを今、取り組んでいるということを理解していただいた上で、今後、例えば 9 次計画などに、どういったことをやっていく必要があるのかなどの御意見を頂ければ、有り難いなと思っているところです。

○鎌田座長 ということですので、ひとつ、どうぞ御自由に御意見、御質問をしていただきたいと思います。

○勝野委員 訓練校 [m1]   というか職業訓練の関係なのですが、平成 27 年度予算の中で取り分け認定訓練に関わる補助単価の引上げという形で、充実をさせていただいたことについては、大変有り難いと思っています。私どもの組合の関係でも 80 校ぐらいの認定訓練校を抱えておりまして、かつて 3,000 人を超える生徒がいたのですけれども、昨今はずっと減ってきて、 1,000 人をずっと切っているという状況なのですが、ここ 1 2 年は若干、生徒が僅かですが増えてきたと、大変うれしい状況です。

 そういう中で、補助単価を上げてもらったら有り難い話なわけなのですけれども、先ほどの国交省さんの資料の中で、訓練校のネットワークの構築というのがあったと思うのですが、この事業と認定訓練の関係のリンクというのは、されているのでしょうか。

○建設・港湾対策室長 厚生労働省として、緊急に人材を育成するという事業は新しい事業ですが、これはまだ入札に掛けている、公募を始めたところです。どこの企業団体が受けるかなどは、まだ分からない状況になっていまして、そういったところが決まれば、当然、業界として進めている建設産業担い手確保・育成コンソーシアムと活用できるところを共有していく必要があると思っています。

 団体が決まった段階で、このコンソーシアムをどのように運営していくかというところを相談をしながら、合体的にやっていくということもあるのではないかと考えているところです。

○勝野委員 国交省さんの中で、連絡会議を立ち上げたということで、書いてありますけれども、これは認定関係は入っていないのですか。

○国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長 そこはまだ入っていないと思いますが、別に閉じたものではございませんので、いい形でどんどん入っていくというのは、全然構わないというか、むしろ歓迎するということでございますので、具体的な形を見ながら、こちらのほうでも対応できるのではないかなと考えています。

○鎌田座長 よろしいですか。では、ほかの御意見、御質問はございますか。

○大橋委員  2 点あるのですが、まず 1 点は、今回、人材確保・育成に係る施策について、国交省さんを含めて非常に多くのメニュー、それで平成 27 年度に向けて更に拡充するということなのですが、多分、 1 つの視点として、それぞれの施策がどれだけ人材確保・育成に貢献をしているのかということについての評価をできるようなスキームをきちんと組んでおいたほうがいいのではないかと。

 つまり、どんどん広がっていって、費用対効果も分からないまま広げていくと、それでまだ足りない場合に更に広げるかという話になると、結局、行政が非常に大変になってしまうし、受ける側も大変だし、それぞれの効果が薄まってしまうと思います。ある意味、それぞれの施策がどれだけの、いわゆる費用対効果、あるいは、効果があるのかということが分かれば、削るものは削るし、重点を置くものについては更に重点を置くという形のめりはりが利くようになると思います。

 そういう意味でいうと、そういう効果があるものに特化するためのスキームを、多分、政策を入れるときに考えておかないと、後から評価できないと思います。まず全般的な考え方として、そこの辺りを見ていただければ、今後に向けていいのではということが 1 点です。

2 点目ですが、そもそも、この人材確保・育成の話というのは、他産業との競争の話になっているのではないかと思います。論点は 2 つ、もう既に出ていますけれども、賃金と働き方の話だと思います。賃金は非常に見やすいのですが、おそらく働き方というのは、なかなか実は賃金よりも難しい話ではないかと思っていて、先ほどちょっと委員のほうから、週休 2 日は本当にできるのかという話があったと思いますが、ただ、それをやらないと多分、今の若い人には休みが取れないというのは、かなり大きな話なので、すごく厳しいのだろうと思います。

 そういえば、その働き方について、ここに今日、御紹介していただいた支援の創設の「魅力ある職場づくり推進」とあるのですが、視点としてやはり、他産業を競争相手として見据えた上での、このようなコンサル支援をしないと、本当の意味で資さないのではないかと思います。多分、そういうものは入っていると思いますけれども、確認の意味でコメント申し上げました。

○鎌田座長 まず補足の御質問、御意見を伺ってから、事務局に御回答いただきます。

○福田委員 私、質問するのをやめようかなと思ったのですが、質問がないので言います。魅力ある職場、これは大変な問題だと思います。今、大橋委員からもお話がありましたけれども、建設業は 3K 、危険、汚い、きついと、これが付きまとっているわけです。若年者が就職しても、すぐ職を投げ出して辞めてしまう。なぜ辞めるのかというと、よく言うのですが、家に帰ってお母さんに相談して、お母さんから、そんな会社だったら辞めなさいよ、と言われて辞めていく人が、若い人はほとんどです。

 家庭も、最近のお母さんはどうも、そのように言うらしいのです。それで、やはり休みを確保しなければ、他産業に建設業は置いていかれるだろうなと思います。日建連も国交省がおっしゃっているから、目標はやはり、週休 2 日制にしなければいけないということで、推進していきますけれども、なかなかこれは難しい。私の聞いているところでは、日曜日もなかなか休めない職人もいっぱいいるという話も聞いています。それをどうしていくのか。私は労働側からその話が出るのかと思ったのですが出ないから、あえて私が言いますけれども、非常にこれはオリンピックまで、切羽詰まった問題になっているのではと思います。これをやはり打開していかないと、建設業の将来、若手が働く職種として選ばれないだろうと思います。

 それからもう 1 つ。ちょっと前から気になっていたのですが、高齢者というのを 55 歳にしているというのが、もう時代遅れなのではないかという気もちょっとしています。今はもう、定年延長になって 65 歳です。 55 歳といったら、もう何十年も前の話ではないかと思っています。だからもう、ある程度、高齢者は 65 歳以上にして、建設業にも技能者確保からすれば、やはり高齢者の働く道を、モチベーションを上げていくためには、まだ 65 歳までは年寄りではないのだと思わせるのは必要ではないかと。 70 歳過ぎが年寄りなのか、ちょっとそれは分かりませんが、そういう判断基準もしたほうがいいと思います。

 それからもう 1 つ、若手の、この間の会議でもちょっと話はありましたが、 15 35 歳を若手にしているけれども、もう若手は 45 歳までにして、それから先は中間層にして、そうするとその後、段々上がっていくかなという感じもしているので、その辺も近々に考えてもらわなければいけないのかなと、いろいろ蛇足がありましたが、そのように感じています。よろしくお願いします。

○鎌田座長 では今、大橋委員と福田委員から出されたものについて。

○建設・港湾対策室長 まず大橋委員からお話があった目標評価的なものということなのですが、実はまだ発表していませんけれども、屋敷課長の所と平成 27 年度に向けた施策のすり合わせというのをしています。それをすることによって、予算成立の内容が色濃く入っていますので、予算成立後に国交省とともに、こういったことでやっていきたいというような、施策の取りまとめを一緒に行うことにしています。その中で、どういったような形で、どういう目標の下に、どのぐらいの人数でやりたいか、どういうことをやっていくのかはいろいろ詰めていきたいと考えているところです。

 もう 1 つ、私たち職業安定局として見ると、建設人材の関係について 2 つの大きいポイントを考えていまして、 1 つは、今、話している人材の育成、もう 1 つは「魅力ある」と言っていますが、簡単に言ってしまうと雇用管理改善ということになります。

 この 2 つが大きいポイントだと思っていまして、雇用管理改善の中には、当然、賃金の話とか、いろいろな給与制度、更には休みの関係というものが入っています。特に賃金の関係についてや労務単価の話など、いろいろありますけれども、労務単価の引上げにいろいろ御意見ありましたけれども、基本的には予算的な形で組まれていて、実際の賃金と乖離があるわけですよね。

 今後、この気運というのは、国交省が今まで努力なさってきた労務単価の引上げによって大分上がってきていて、実際上、上げなくてはいけない、アベノミクスもあるのですが、上がってきていると。しかし、これから本当に生産労働者の賃金というところを上げていくということは、非常に難しいと思います。

 私たちが今日出した資料の中でも、毎勤の調査と労働力調査の中で、やはり違いがあり、毎勤調査を見ると生産労働者を多く抱えながらも小さい企業が多い職別工事業では少し下がっている所があったのですね。これは正直言って、何でだか分からないです。要は、先ほど勝野委員のほうから賃金の数字の話がありましたけれども、微妙にまだ反映されていない所があり、末端の生産労働者のときに賃金が反映されるということは相当、大変なことだと思います。

 この先にどういう政策を打っていくのかというのは、これからの課題だと思っていますし、そのために私たちはこの所得改善の 1 つとして、この委託事業の中で例えばボーナス制度がほとんどないので、ボーナス制度みたいなものを作っていったり、そういったことの処遇改善というのを行う必要があると考えているところでございます。

 また、人材育成については、実は建設業の業界というのは、就職してから技術を身に付けるというようなものというのは、非常にいろいろな所にあるのですね。助成金もいっぱい出していますし、そういう制度、資格がないと仕事ができないという所もありますから、いろいろな所の施設が使えるようになっていたりしています。しかしながら、実は、未就職者や未経験の方たちが技術を身に付けて入っていくというルートが、ほとんどないのですよね。認定訓練というのもほとんどは仕事をしている人たちが対象ですから、そうしたルートがないのです。

 昔は公共訓練という中で、建築科や土木科など、そういったものがいろいろな地域でやられていて、中学、高校卒業した人たちが入ってきていたと。それが全て、ほとんどゼロといっていいくらい、なくなってしまった。これは何でかというと、公共訓練というのは、基本的には企業側が欲しいという人たちがいるのと、働きたいという人たちがいるのと、これが一緒にならないと、なかなかマッチしていかないわけです。

 今の建設業の業界というのは、求職者がいないわけですよね。いないから、訓練をこうしてやっても成り立たないということが付いてきていまして、基本的にもゼロ資格になってしまっている。これというのは、やはり問題ではないかという意識を持っていまして、実は、少しでも、少しの人数でもいいから、やはり勉強してから、こうして建設業の労働者になっていきたいのだという人たちに、少しでもツールを作るという意味合いで、この緊急支援の委託事業というのを作って、公共訓練につなげていきたいと思っていまして、そうしたところから新たな取組みたいな形で整理をさせていただいているところです。

 あと、先ほど、福田委員がおっしゃっていた 3K の話は処遇改善の話に重なるのですが、休みの関係というのは、やはり大変だと思います。ただ、私が個人的に考えているのは、なぜ休みが取れないのかというと、販売をしている人などを見ていても、皆、数多く入れて、休みを 2 日取っているわけですよ。だから建設業ももともと人材の数が足りないところから、そういうことができないわけで、そういったことも 1 つの観点として、確かに工事は大変だからというのはあるのですが、では人数がもっと倍になってくれば、休みって 2 日ずつ取れますよねと。皆、工事現場を閉めなくても、休みは取れますということもあると思います。

 そういうことを、どういう形を取ってやっていくことを推奨するのかは、労使の皆様方といろいろ御相談しながら、そこの目標を決めて具体的に出していけたら、 9 次計画については良いものができるのかなと思っています。

 あと、高齢者の考え方はおっしゃるとおりです。いろいろ高齢者の議論をしているときに、 55 歳というのはもう非常におかしくなってしまっています。現に私どもの高齢者の法律の中でも、 65 歳の継続雇用制度というのは、全企業に対しての導入を決めてやっているところですし、基本的には 65 歳まで働く。更には、生涯現役社会といって、働けるまで働きましょうよ、という促進をしています。ですから、建設業の中でもそういったところの促進というのは、やはり、していく必要があるだろうと思います。

 若年者は 45 歳というお話がありましたけれども、実は若年層を 45 歳という考え方はありまして、どういうことかというと、ベビーブームの団塊の世代の方たちの子供たちが、ちょうど 45 歳ぐらいなのですよ。そこまでは、団塊の世代の人たちの影響を受けているわけだから、若年者とみなして対策を打っていかなくてはいけないという 1 つの理論が一時ありました。

 同じように、そういう意味では若年者の幅というのも、やはり広くなってきていますし、本当に活用できるところは、いろいろしていかないと、労働力が確実に減少していっている中で、この業界にとっての労働力の確保というのは、非常に大変になってきます。もう、ほかの業界との争いとなってきていると言っても過言ではないと思いますので、そこに注視をしていく必要があるのかなと思っているところです。簡単ですが以上です。

○鎌田座長 今の御回答を含めて、何か御質問、御意見はございませんか。

○福田委員  1 つだけ、ちょっと気になった点があります。研修制度というのは、これは非常に大事なことだろうと思います。それで、 3 ページに富士教育訓練センターとありますが、私の聞いたところだと、富士教育訓練センターはもういっぱいで、ウェイティングだそうです。それで、私のほうもいけないのですが、各ゼネコンも研修施設が段々、自分の所で持てなくなったので、富士教育訓練センターで研修したり、設計事務所も使っているわけです。そんなことをしていて、まあ、こちらも PR したので、一時は、全然少なかったときもあったので PR したのですが、使うのが多くなってきてしまい、今、すごい満室状態という感じになっています。

 それで今年の 10 月ぐらいから着工するのですかね。新しい建物になると言っても大分、時間がかかるので、私がこういうことを言うのはあれですが、年間 1,000 人もというと、なかなか大変なので、例えばこれを優先させて、こんなことを言うと大変申し訳ないですが、優先順位を付けてもらって、そっちはちょっと冬場にお願いしますとか、そういうふうにしてもらったほうがいいのかなと。そうではないと、なかなか回ってこないかもしれないかなという、こっちに優先させてあげたほうがいいかなと、ちょっと思います。

○建設・港湾対策室長 この建設労働者緊急育成支援事業は今、おっしゃられたとおり、そこはもう夏までは入らないと言われているようですが、何もここだけの訓練機関を言っているいるわけではないですよ。民間のいろいろ大きくやっている所も結構ありまして、山形のアカデミーとか広島のほうにもそういうものがいろいろできていますから、そういう所も活用しながら、多く取り込みまとめていくのだと思います。当然、冬でないとできないと富士教育訓練センターからは聞いていますので、そこら辺になってくるのではないかと思います。

○柴田委員 すみません、私も大橋先生がおっしゃる前に、そこまで至らない疑問を持っていました。資料 5 ですが、大橋先生がおっしゃったように、例えば労務単価が賃金に、あるいは能力開発をしたら賃金にどれだけ跳ね返るのかという効果を見るのは、とても大切なことだと思います。ですが、それまではなかなか難しいとして、そうなってくると、この資料 5 を拝見して、あれ、どうやって私たちは、これを見ていけばいいのかなと思って、見ていきますと、例えば、これはまず第一には、それぞれの実績が書いてあるけれども、この年度ごとの目標はどれぐらいだったのだろうかと思いました。例えば一番上の行で見ると、事業主等に対する支援が件数で出ているけれども、件数目標に対して、どれだけだったのかなという、ちょっと単純な疑問があります。

 それからもう 1 つは、例えば 1 ページの一番下には「建設労働者確保育成助成金による事業等に対する支援」というのがあり、これは平成 25 年からでしょうけれども、平成 25 年ゼロ、平成 26 10 件、そして今後(平成 27 年度)の予定は引き続き実施と書かれており、この件数で引き続き実施と評価できるものなのかというようなものが、あと幾つかございました。

3 ページ目に、女性労働者の活躍の促進の所は、ずっと空欄のままで、平成 27 年度より助成対象メニューを拡充と書いてあって、その 3 つ上ですか、「キャリア形成促進助成金による」という所は、これもやはり 5 件。これは量が、この目標に対してこんなものだったのか、どうなのかは分かりませんが、すごくあっさりと、引き続き実施と書いてあって、それからその次の、円滑な労働移動は、この御時世になると、環境が違っているから、仕方がないとは言いながら、これも 2 段目になるとゼロ件、ゼロ件と続いているのに、引き続き実施と、こんなに少ないものが本当に引き続き実施でいいものなのかと思います。

 要するに、効果という以前に、目標に対してどうだったのだろうかというのがあるのですが、これは中間なので、これからまた議論するときには、もう少し具体的に目標に対してこうだった、あるいは、これは少なかったのは、実はこういう課題があったから少なくて、こうだったらうまくいくのだろうというのが出てくれば、納得性があると思うのですけれども、今、この状況で拝見していると、効果測定以前に、目標に対してどうなのかということも分からないなと、素朴な疑問を持ちましたので、次回何か議論するときには、よろしくお願いします。

○鎌田座長 現段階で何か御回答があれば聞きたいのですが。

○建設・港湾対策室長 今回はこの数字を項目ごとに無理に並べていますが、この助成金の個々には目標数値というのは定めていません。

 実は、建設の助成金というのは、雇用保険の 2 事業の中の事業主負担分の更に建設業を行っている所の事業主さんから、 1,000 分の 1 多く徴収をしていまして、その部分、皆さんたちに還元をするという意味で政策として打ち出しています。したがって、全体の助成金の執行率みたいなもので相当、厳しく見ていて、基本的には 8 割以上あります。特に平成 26 年度などは、いろいろキャンペーンなどを繰り広げていますので、パンクしそうな寸前ぐらいまで来ているということで、全体として見れば、それなりの還元というものはされているということになっています。

 ただ、先生が御指摘のとおり、項目ごとにゼロなのに、なぜ引き続きやるのだというのは、これは本当はやめなくてはいけないのです。やめなくてはいけない。ただ、今、こういう建設業がいろいろ言われている段階の中で、なかなかその 8 次計画の中に載っていたものを、簡単にやめてしまうということについては、問題があるだろうと考えていて、今年度までは実施しようと思っているところが幾つかあります。

 例えば、新規成長分野とかというのは、一時期、人を減らしているときには、何かほかの分野に行きなさいよと、行く所に対しては助成金を出しますよと出してきました。それが状況の変化によって 3 年前からパッタリ出なくなってしまったと。だから、こういったものはやめていい助成金になっていきます。今、言ったように、ゼロになっている所とか、そういったものの数が少ない所などについては、今後是非とも、こういったことは今、必要ないと、そういうものについてはやめて、もっと出るものにしていったり、ほかの有効な所に活用させるというようなシフトを取っていく必要があるというふうに思っています。だから遠慮なく、これは今、必要ないと言っていただいてよくて、それは次以降の政策の中に盛り込んで、その評価をしていきたいと思っています。ただ、書けるものについては、また目標を整理していきたいと思います。以上です。

○早川建設・港湾対策室長補佐  1 つ補足だけ、させてもらいます。実は今、室長から説明がありましたとおり、この表は計画に基づいて並べているところであり、助成金の制度などは途中で変わっていたりします。それが、別の段落で書かれているので、例えば、件数で減っているものは、古い助成金で、今はもうなくなってしまっているものが入っていたり、途中から件数が増えているものは新しい制度として出来上がったものだったりします。もう少し、その辺が分かりやすいように、今後の資料としては見せていけるようにしたいと思います。

○鎌田座長 そのように資料の作り方について工夫していただければ。そのほかにございますか。

○大橋委員 度々、すみません。せっかく建設市場整備課長さんもいらっしゃるし、 1 点あるのですが、ここと余り関係ないかもしれないのですが、働き方に関係のあるところです。結局、業務の中身というのを、少し見直したほうがいい点があるのかなと思います。つまり、ただ現場に出て行って、ただ作るだけではないのですよね。結局戻って資料を作成しなければいけない。そのコンプライアンスに関わる資料は、年々年々膨大になっているはずで、多分、それは切れないから、どんどん上乗せで増えているのですね。

 そのために例えば終わってから、深夜まで資料作成しなければいけないとか、場合によると、家に持ち帰って、休日までやらなければいけないとか、多分そんな感じの働き方に人数が少ないとなってしまうと思います。つまり、バックオフィス的なところも現場の人はやらなくてはいけない。もし働き方を変えるとすると、多分そういうところまで、何が一体コンプライアンス上、本当に必要なものなのかというのも、 1 回棚卸しをしないといけないのではないかと、何となく話をいろいろ聞いて、思うところがあります。

 なかなか難しく、切り込みにくい分野だと思うのですが、是非、そういう資料を整えなければいけないものは、本当に必要最小限、何なのか、ある時点で見直したほうがいいのではないかと思います。なかなか国交省の会議などでは言いづらいから、ここで言っておきます。すみません。

○雇用対策部長 今の御指摘の点は非常に大きな話で、大事な視点だと思っていました。潮目も随分変わりましたので、大手ゼネコンの皆さんも、ある程度、今まではどうしても労災とかそういったことがあって、できるだけその責任を切ろう切ろうとしていたところがあると思いますが、今、逆に潮目が変わって、そういうことをやっていると全然、仕事も取れないので、やはり現場管理責任者の仕事が何なのか、それからその技能労働者の職長さんの仕事が何なのかという所を、もう少し、よく整理をしていただくという、多分そういう流れになると思いますので、その辺をうまくもっていきたいと思っていますので、是非日建連あたりが中心に、御検討いただければと思います。

○福田委員 先ほどの室長の言葉に私は反論しようかと思ったのですよ。例えば、ゼネコンの社員が少ないという話があって、それは多くすれば解消するというものだけではない。そういう人数の枠も、何かやはりこれでは駄目だよという指示を、私はそういうのは国交省さんの会議になると言えないし、やはり配当を出さなければいけないとか、企業側はそういうあれもあるのですが、しかしちょっと、社員もすごく少なくて厳しい面もあるのです。その辺りは何か 1 つ打って出る手もあるのではないかという気は少しします。

○鈴木委員 私はある建設業協会の委員会に出たときに、この制度を初めて知りました。その委員会にハローワークの方が来られて、こういう助成がありますという説明を受けました。詳しくはホームページを見てください、詳しくは聞きに来てくださいということで、しばらく行けなかったのですが、ハローワークのほうから「鈴木さん、何で来ないの」と言われまして、若い職員 2 人で説明を聞きに行かせました。これは良い制度だねということで、弊社の施工協力会のほうに至急、こういう制度があるよと説明したのですが、協力会の中小の事業主も知りませんでした。やはりこの辺りの PR が少し弱いのかなという感じがしました。あと、皆さんがどの辺りの助成に一番興味があるのか知りたいと思いました。多分、ゼネコンの施工協力会でこの助成を受けられているのは、現在 1 社程度しかいないと聞いています。ただ、弊社も来年度からはこの制度を真剣に考えて推進していこうかなと考えているのですが、その中でこの資料を頂いたので、こういうところに皆さん興味があるのかというのが分かりました。この辺りをもう少しホームページなどでオープンにしていただくと、皆さんがどういうところに一番興味を持っているのか、どの制度が一番有効なのではないかというのを 1 つずつ選定する手助けになると思いますので、その様な方法をひとつ考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○小倉委員 資料 5 の第 8 次建設雇用改善計画の件です。私どもの団体としましても、キャリア教育推進や、建設技能労働者の育成は非常に重点項目として掲げておりまして、取り分け、建設労働者確保育成助成金の活用を積極的にやっていこうと方針を立てているところです。私どもの団体関係で、約 81 校の認定職業訓練校を持っているわけですが、これは助成金をいろいろ活用させていただいて、 1958 年以降、約 6 万人の修了者、技能労働者を育成してきたところです。

 建設業において、職業訓練は定着促進に非常に効果がある。本日の資料の中でも出されていましたが、高卒の場合ですが、新規学卒者の 3 年以内の離職率は 48.5 %という数字が出されていました。例えば私どもの団体の訓練校の長期訓練では、修了率で言うと約 8 割、要は離職率で言うと 2 割弱という数字になりますので、この建設労働者確保育成助成金が極めて有意義、重要な制度であると考えております。

 この間、この制度を創設していただいて、拡充を行っていただきました建設・港湾対策室の皆様に深く感謝を申し上げるとともに、引き続き、制度の維持・拡充を、必要な部分についてはお願いしたいというところです。

○鎌田座長 ありがとうございます。もう 1 つ議題が残っておりますので、もしよろしければ。

○雇用開発部長 大橋先生のおっしゃった、どの産業をターゲットに、という話と、雇用管理改善促進事業のアウトカムというか、達成度のところですが、私どもは別に物の本で決めているわけではありませんが、基本的には製造業がターゲットかなと思っています。現実問題、コンサルタントは、大体、社労士さんが行いますが、社労士さんが多分一番得意なのは、今まではどうしても製造業などが多かったと思いますので、そういう当たり前のことを事業主の方に知っていただく、ボーナスは親方の査定で、丼勘定で決まるのではないのですよなどということをちゃんとコンサルタントしていただいた結果、どれぐらい定着したのかといったことを、今後はアウトカムとして見ていくのかなという気がしています。遅くなりましたが補足です。

○鎌田座長 ありがとうございます。次回には再び、建設雇用改善計画の実施状況と、第 9 次の議論も開始いたしますので、その際にまた、より深めた議論をしたいと思います。以上をもちまして大議題の (1) (2) は終了いたします。

3 つ目の議題は、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第 14 条第 1 項の規定による実施計画の変更等について」です。これは、冒頭に申しましたように非公開とさせていただきますので、傍聴される方はここで御退席をお願いいたします。

(傍聴者退席)

○鎌田座長 それでは、本日の委員会はこれで終了といたします。最後に、本日の会議に関する議事録の署名委員につきましては、労働者代表は野村委員、使用者代表は福田委員とさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。


(了)

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