ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会家内労働部会)> 第12回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会 議事録(2015年3月25日)
2015年3月25日 第12回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会 議事録
雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課
○日時
平成27年3月25日(水) 15:00~16:30
○場所
厚生労働省共用第9会議室
○出席者
公益代表
小杉部会長 小畑委員 鎌田委員 藤村委員 山口委員 |
家内労働者代表
加藤委員 久保委員 齊藤委員 佐藤委員 萩原委員 |
委託者代表
小林委員 新田委員 穗岐山委員 吉岡委員 渡辺委員 |
○議題
1 平成26年度家内労働概況調査結果について
2 平成26年度家内労働等実態調査結果について
3 第11次最低工賃新設・改正計画の進捗状況について
4 平成27年度家内労働関係予算案の概要について
5 その他
○配布資料
資料No.1 労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会委員名簿 | |
資料No.2 労働政策審議会令(抄) | |
資料No.3 平成26年度家内労働概況調査結果概要 | |
資料No.4 平成26年度家内労働等実態調査結果概要 | |
資料No.5 第11次最低工賃新設・改正計画の進捗状況(平成27年3月18日現在) | |
資料No.6 平成27年度家内労働関係予算案の概要について | |
資料No.7 危険有害業務に従事する家内労働者の実態把握調査事業報告書 | |
資料No.8 家内労働関係資料 | |
参考資料 平成26年度家内労働調査結果報告書 | |
参考資料 家内労働のしおり |
○議事
○小杉部会長
ただいまより「第12回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会」を開催します。本日は、委員全員の御出席となっています。また、本部会は公開であり、その取扱いについては、「労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会の公開について」のとおりとなっています。また、今回は、家内労働者側委員及び委託者側委員の交代がありました。家内労働者側委員の三村委員に代わりまして加藤委員、松本委員に代わりまして久保委員、委託者側委員の三原委員に代わりまして穗岐山委員が、それぞれ家内労働部会委員になられました。改めて、一言御挨拶を加藤委員からお願いします。
○加藤委員
皆さん、こんにちは。セラミックス産業労働組合連合会から来ました。名古屋のほうにあります。大変緊張しておりますが、よろしくお願いいたします。
○久保委員
連合の労働条件・中小労働対策局に配属されております久保啓子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○穗岐山委員
東京都中小企業団体中央会の穗岐山です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小杉部会長
本日は、雇用均等・児童家庭担当審議官より一言御挨拶させていただく予定ですが、ただいま国会出席中のため、戻り次第御挨拶させていただきます。それでは、議事に入ります。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。議題1「平成26年度家内労働概況調査結果について」、事務局より説明をお願いします。
○松本課長補佐
議題1ですが、平成26年度家内労働概況調査結果について、資料No.3「家内労働の現状」に基づいて御説明をいたします。家内労働概況調査は、都道府県労働局を通じて家内労働法第26条に基づく委託状況届などによりまして、毎年10月1日現在の家内労働者数、委託者数などを業種別、類型別、男女別に把握し、家内労働対策における基礎資料としているものになります。
資料No.3の第1表の一番上の段に家内労働従事者数とありますが、これは家内労働者数と、家内労働者の同居の親族であって家内労働者とともに仕事に従事している補助者の合計の人数になります。一番右側の欄が平成26年の人数で、117,061人と、前年度に比べて3.6%減となっています。区分の2つ目、家内労働者数は、推移を見ますと昭和48年の1,844,400人をピークとして、その後減少が続いています。平成26年は前年に比べ3.7%減少し、113,027人となっています。家内労働者を男女別に見ますと、女性が全体の90.1%を占めています。類型的に見ますと、家庭の主婦などが従事する内職的家内労働者が107,246人で、全体の94.9%を占めています。世帯主が本業として従事する専業的家内労働者は5,169人、農業や漁業の従事者などが、本業の合間に従事する副業的家内労働者は612人となっています。また、補助者数は4,034人となっています。
第2表は家内労働者を業種別に見ていますが、最も人数が多いのは「繊維工業」の、33,427人で、29.6%を占めています。次いで一番下の段の「その他(雑家等)」が26,310人と、23.3%を占めています。また、下から4番目の「電気機械器具製造業」が13,343人で、11.8%となっています。これら3業種で全体の64.7%を占めています。
第3表は都道府県別の家内労働者の状況を表しているものです。家内労働従事者数の内訳としてですが、家内労働者数が最も多いのが、愛知県の9,686人で、次いで静岡県が7,871人、東京都が4,896人となっています。また、全体の人数としては減少していますが、全ての都道府県で減少しているわけではなく、長野県や兵庫県など18府県では増加している所もあります。
第4表は、危険有害業務に従事する家内労働従事者数の状況です。従事者数は11,126人と、家内労働従事者数の約1割を占めています。男女別で見ますと、男性の割合が21.7%と家内労働者数の男性比率に対して2倍以上になっています。また、類型別に見ますと、専業の方が17.4%を占めていまして、これも家内労働者全体の比率の約4倍になっています。業種別に見ますと、危険有害業務に従事する家内労働者数が最も多いのは、繊維関係の動力ミシンやニット編み機などの機械を使用する、「動力により駆動される機械を使用する作業」の8,566人で、77.0%を占めています。
第5表は委託者の状況で、委託者数の総数は8,113人で、前年に比べて7.6%の減少となっています。業種別に見ますと、家内労働者と同様に「繊維工業」が3,382人と最も多く、次いで一番下の「その他(雑家等)」が1,135人、続いて「電気機械器具製造業」が787人となっています。これら3業種で全体の65.4%を占めています。また、一番右側の欄の、1委託者当たりの平均家内労働者数は平均では13.9人、業種別に見ますと「ゴム製品製造業」が23.5人と最も多くなっています。
最後に代理人の欄を御覧ください。代理人とは、委託者が多数の遠隔地の家内労働者に仕事を委託する場合に、直接、家内労働者に原材料や製品の運搬、工賃の支払い等を行うことが距離的、時間的に難しいことから、これらの業務を行わせるため、家内労働者との間に置いているもので、その数は435人となっています。以上、平成26年度家内労働概況調査の概要について御説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○小杉部会長
ただいまの説明について、御質問、御意見はありますか。特にありませんようでしたら、議題2に移りますが、よろしいですか。では、次に議題2「平成26年度家内労働等実態調査結果について」、事務局より説明をお願いします。
○松本課長補佐
資料No.4「平成26年度家内労働等実態調査」について御説明いたします。お手元に、参考資料としまして冊子も配布させていただいています。冊子の概要としてまとめたものが、資料No.4です。本調査は、家内労働の実態を把握し、家内労働対策を推進するための基礎資料を得ることを目的として、平成26年10月に委託者及び家内労働者の双方に対して都道府県労働局から郵送で実施したものです。調査対象数は、委託者は1,588営業所、回収率は82.5%です。家内労働者は5,035人で、回収率は66.6%です。また、本調査は標本調査になっており、母集団に復元したものを調査結果として表章しています。なお、前回調査は平成23年に実施をしています。
2ページの1委託者調査結果概況についてです。1の委託者の営業所の雇用者数については、「5~29人」が41.1%で最多となっています。2の常時委託している家内労働者数は、「1~4人」が24.9%で最多となっています。3の家内労働に仕事を委託する理由は、「手作業であるから」が65.1%で最も多くなっています。4の現在委託している仕事量を1年前の同時期と比べると、「変わらない」が58.0%、「減った」が31.0%となっていまして、「仕事量が減少した」理由については、「製品の需要減少」が77.7%で最多となっています。今後1年間の委託する仕事量の見込みについては、「変わらない」が61.2%、「増やしたい」が19.8%です。「減らしたい」と「中止したい」は合わせて7.5%となっており、その理由は、「製品の需要減少」が46.9%で最多となっています。5の委託するときの委託契約の方法については、「家内労働手帳」が78.0%で最多となっています。
6の不良品の取扱いについては、あらかじめ「取り決めている」という割合は54.4%でして、実際に不良品が出たときの取扱いは「再度やり直させる」が45.9%で最多となっています。7の新規に委託する家内労働者の募集方法は、「家内労働者を介する」が22.3%で最多となっています。8の工賃の決定時期は、調査時点の3年以上前の「平成23年9月30日以前」が48.3%で最多、工賃を決定する要素は「工賃相場(世間相場)」が54.7%で最多となっています。9の過去1年間に工賃以外の経済的援助を行った委託者数の割合は9.5%。その内容としては、「機械器具・補助材料購入費」が37.7%で最多となっています。また、1人当たりの援助額については、2万8,544円で前回調査よりも減少しています。10の危険有害業務を委託している委託者数の割合は5.5%で、「動力により運転する機械を取り扱う業務」が50.2%と最も多く、前回よりも増加しています。
2家内労働者調査ですが1~4について見ますと、家内労働者の年齢は、「60~70歳未満」が30.8%で最も多く、家内労働者全体の平均年齢は58.1歳となっています。性別では「男性」が9.8%、「女性」が90.2%、で、類型では「内職」が92.0%で最多、また、家内労働者本人が「世帯主以外の者」であるものが79.0%を占めています。5の経験年数について、「10年以上」が43.2%で最多となっており、平均経験年数は10.9年となっています。こちらは前回よりもやや短くなっています。6の1か月の就業日数は、「20~25日未満」が最も多く、7の1日の平均就業時間数については「4~6時間未満」が最も多くなっています。8の仕事量を1年前と比較したところ、「変わらない」が56.0%で前回によりも増加しており、「仕事量が増えた」、「仕事量が減った」については、いずれも「情報通信機械器具」が最も多くなっています。9の1か月の工賃額ですが、「2~4万円未満」が最も多く、一人当たりの平均工賃月収は、4万6,890円と前回よりも増額しています。10の1時間当たりの工賃額については、前回同様「200~400円未満」が最も多く、800円未満が9割弱を占めています。また、1時間当たりの平均工賃額は428円と、前回より72円減少しています。
11の必要経費は、「必要経費あり」の割合が12.9%、「平均必要経費額」は2万2,047円となり、前回より増額しています。12の工賃支払いは「金融機関(口座振込等)」の割合が最も多く、13の受託関係のうち、原材量・加工品受渡しの場所は「自宅」が、また、委託契約の方法は「家内労働手帳」の交付がそれぞれ最も多い割合を占めています。14の(1)災害発生の恐れのある機械等を使用している方の割合は、18.5%で前回よりも増加しており、「織機等」が39.6%で最多となっています。(2)危険防止のための措置を講じている者の割合は45.4%で、(3)過去1年間に健康診断を受診した家内労働者の割合は、63.3%となっています。(4)過去2年間に家内労働の作業を原因とする、けがなどをしたという方の割合は、0.6%となっています。
最後に、15の家内労働者の就業意識等ですが、家内労働に従事する理由は、「家計の補助のため」が60.4%で最多、家内労働を選んだ理由は、「都合のいい時期・時間に働けるから」が66.0%で最多となっています。また、家内労働以外の仕事は「していない」者が79.9%で、今後も「続けたい」という方が90.3%を占めています。家内労働をする上で困っていることについては、「ない」という者が56.9%、「ある」が42.8%で、困っていることについては、「工賃が安い」が73.0%で最も多くなっています。調査結果に関する説明は以上です。
○小杉部会長
ただいまの報告に対して、御質問、御意見のある方はいらっしゃいますか。これは3年に1回やられるのですね。
○松本課長補佐
そうです。前回は平成23年に実施しています。
○小杉部会長
特にお聞きしたい点はありませんか。
○山口委員
例えば、健康診断の所で特殊健康診断は0.7%、これは全体の数値ですね。前のページで災害発生の恐れのあるうんぬんが20%ぐらいということで、そうしますと、0.7%は18.5%の中の0.7%という理解でよろしいのですか。多分、特殊健康診断で有害業務とかをしていない人はそもそも受ける必要がないと思うので、そういうクロス集計をしていただくと、よりいろいろなことが分かるかと思って質問しました。
○松本課長補佐
健康診断の受診結果については、「家内労働調査結果報告」という資料の46ページにあります。こちらの表が、特殊健康診断を受診した方の割合ですが、家内労働者全体での割合を聞いていますので、この中で危険有害業務に従事している方の中での割合というところまでは、本調査では調べていません。
○小杉部会長
この表でもそうですね。
○松本課長補佐
これ以上の集計をこちらの段階で取れていない状況です。
○小杉部会長
今の段階では必要ないということですね。
○藤村委員
1点よろしいですか。個人への家内労働者調査票を見ると、どういう製品を扱っているかをそれぞれ書いてもらうようになっていますよね。例えば、この集計は多分ある種の手続に基づいてやっていらっしゃると思うのですが、最近増えてきた仕事などは分かりますか。というのは、私が指導した社会人大学院生、静岡の学生ですが、ワイヤーハーネスを造っている会社の下請をやっていまして、これまで中国で割と作業をやってきたのだけれども、日本に戻すと。しかも内職を使うのだと。そこにコスト的にも製品の品質上も非常に意味があると、そのようなことを言っていましたので、ここを丁寧に見ていくと、そういう末端の産業の動きみたいなものが見えるのかと思いましたので、質問しました。
○宿里課長
短時間・在宅労働課長の宿里と申します。貴重な御質問、御意見、御指摘をありがとうございます。御指摘の点はもっともでして、私どもはそのような分析をしていかなければならないことは感じていますが、現在のところは、本日お出しした資料以上の分析はできていないのが率直なところです。せっかくの調査結果ですので、更にこれを分析して、どのようなものが見えてくるかについては、よく検討してまいりたいと思っています。
○小杉部会長
ほかにありますか。なかなか貴重な調査なので、是非、いろいろ活用していただきたいと思います。
○宿里課長
先ほどの山口委員の御指摘のあった点については、この資料の数字そのものについては補佐からお答え申し上げたとおりですが、実際のところ特殊健康診断が問題になるのは、危険有害業務に限るといいますか、危険有害業務であるというのは御指摘のとおりでありますし、また、後ほど、委託事業で実施した危険有害業務の状況についての中でも、健康診断について触れていますので、先生が言われたクロス集計などについても検討してみたいと思います。
○山口委員
よろしくお願いします。
○小杉部会長
では、次の議題に移らせていただきます。次は、議題3「第11次最低工賃新設・改正計画の進捗状況について」です。事務局で説明をお願いします。
○松本課長補佐
第11次改定工賃新設・改正計画について進捗状況の御説明の前に、簡単に最低工賃制度の概要について、御説明いたします。お手元に「家内労働のしおり」というパンフレットの本を配布しております。こちらの7ページ、一番下の欄に「最低工賃」とあります。最低工賃については、家内労働法第8~第16条までに規定されています。厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域内で一定の業務に従事する工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を図るために、必要があると認める場合、審議会の意見を聴いて最低工賃を決定することができることになっています。また、家内労働者又は委託者を代表する方は、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に対し、最低工賃の決定や改正、廃止の決定を申し出ることができることになっています。
具体的には、都道府県労働局に置かれています地方労働審議会で調査・審議が行われた上で、意見を聴いて最低工賃の決定が行われています。平成26年4月1日現在で全国で116件の最低工賃が定められ、委託者は決められた最低工賃額以上の工賃を支払わなければならないと定められています。最低工賃の新設又は改正を計画的に進めていくことが重要であることから、都道府県労働局が最低工賃の新設・改正に取り組む具体的な業種を設定した計画を策定いたしまして、その計画に基づいて最低工賃の新設あるいは改正が行われてきています。この計画の策定は、昭和58年度を初年度とする3か年計画からスタートしています。現在は第11次計画となりますが、こちらは平成25年度から平成27年度までの3か年計画となっていまして、今年度がその計画の2年目となります。
第11次計画の進捗状況ですが、お手元の資料No.5で御説明いたします。先に資料No.5-2、都道府県ごとの改正状況を記したものを御覧ください。真ん中の欄が平成26年度の状況です。各工賃の横に括弧書きで「改正公示」とか「諮問見送り」などの状況を記しています。なお、平成26年度の欄で黒字で「改正」とのみ記載しているものについては、計画としては改正としていますが、まだ審議会での諮問等が行われていない状況のものになっています。
これらの都道府県ごとの状況を取りまとめたものが、一枚紙の資料No.5-1です。一番上の四角の欄ですが、第11次計画における改正でもともと予定されていた件数が総数で122件ありまして、先ほど116件の工賃が決定されていると申し上げましたが、1つの工賃について3年間で複数改正を予定しているものとか、平成25年度に廃止されたものがありまして、最低工賃の設定数よりも多くなっている状況です。
平成27年3月18日現在での進捗状況ですが、平成26年度における改正予定件数については、一番下の四角になっています。今年度改正などが予定されていたものは45件、そのうち公示済みのものは7件、そのうち4件が改正公示、3件が廃止公示となっています。廃止公示3件のうち2件は、廃止した上で統合・新設しています。また、改正答申済みが4件、改正諮問中が1件となっています。諮問見送りは30件となっていますが、このうち29件は改正を予定していましたが、実態調査等の結果を踏まえて見送りとなったもの、1件は家内労働者数の減少により廃止を予定していたけれども廃止諮問を見送りとしまして、現在の最低工賃を維持するとしたものになります。着手済みの2件については、既に実態調査を実施、あるいは労使の御意見を聴取しているところですが、まだ諮問には至っていないものになります。そのほか未着手のものが1件となっています。
諮問見送りの件数が多くなっていますが、改正諮問に先立ち工賃相場に係る実態調査を実施しまして、どの程度の工賃の改正を行えるのか、あらかじめ調査しています。その結果、改正を行える状況ではないと判断された場合に、地方労働審議会の公労使の委員の皆様にその旨を御説明しまして、工賃額の改正を行わないという了解を得た上で、改正諮問見送りとしているものになります。改正諮問見送りの理由については、家内労働者数・委託者数が減少していること、経済情勢が厳しいことなどを原因としている現状があります。資料についての説明は以上です。
○小杉部会長
ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問がありましたら、御発言ください。
○佐藤委員
諮問見送りの理由についても御説明があったのですが、平成25年度でも24件で61.5%、平成26年度は30件で66.7%ですよね。要するに、2か年で54件の44.3%。平成27年度分を予定しているのでまだ38件あるわけですから、全体としても6~7割が諮問見送りになるということで、私はこの数字は非常に問題ではないかと思っています。併せて、本省では、改正見送りの中身といいますか、見送りの期間がどのぐらいあるのかを承知しているのかどうかが1つ質問です。
実は、資料No.5-2、A3版の横長の表の上から13番目の東京ですが、私も審議会の委員で、先立って東京で婦人既製洋服を諮問見送りにしているのです。労側としては反対だということだったのですが、前回の改正のときも見送りなのです。そして、今回も見送りにすると。つまり、大体3年に1回のサイクルですから、今回見送りをすると、9年、約10年、婦人既製洋服については家内労働者の最低工賃は変わらないことになってしまうのです。
先ほどお話があったように、家内労働法という法律で家内労働者の最低限の労働条件を定めている、言わば数値的に定めているのは、最低工賃だけなのです。10年間も引上げがされないというのは、余りにも経済状況がその業界で大変だからということだけで済まされる問題ではなくて、働く者の最低限の底上げをしていくという点からも、極めて重要な問題だと捉える必要があると思うのです。一方、最低賃金は毎年改定をされて、しかもこの間政労使の合意があって、全国平均1,000円を目指そうと。こういう中で引上げがされてきている、いろいろ御意見はあるにしても。そういう中で10年間も放置をされるという。私はよく分からないのですが、全国的に見ると、これだけ諮問見送りがあるということで見ると、同じ状況がある、あるいは12年以上放置される状況もあるのではないかというふうに危惧するのです。ですから、局の数値を集約することだけではなくて、諮問見送りの中身の問題として状況をつかんで、さらには、一応、計画上9割方以上は改正ということでの計画を出しているわけですから、審議会を開いて公労使の合意を得て、結論的には見送りになる部分があるかもしれませんが、そこら辺は法律でも厚労大臣が改正決定をできるとなっているわけですから、そういう点ではできるだけ見送らないで改正をするという行政指導ができるのかどうか、私は分かりませんが、そういう方向に少しでも持っていくことが必要なのではないかと。これは毎年毎年、家内労働部会で報告されるのですが、余りにも見送りのパーセンテージが高いものですから、労側としては、私自身としては、非常に残念な数字だと思いますので、是非検討ができればお願いをしたいと思っています。
○宿里課長
委員御案内のとおり、最低工賃については、それぞれの都道府県労働局に設けられました審議会において公労使で審議をした結果、決定されることになっていまして、現在、見送りについて私どもは、審議会でしっかり説明をした上で見送りという判断をするようにという指示をしています。そのことから見送りも公労使の三者で検討した結果であり、それ自体はそのような結果として本省として地方のそれぞれの労働局における判断であると受け止めています。
委員の言われる長期にわたるということについては、確かにいろいろなことを検討した結果、なかなか次の改正等々に、改正あるいは廃止という選択もあるかもしれませんが、そのようなものに至らずに見送りという判断をすることはあり得るとは思いますが、これが余りに長期にわたることで、そのほかの最低賃金等々の動向から乖離する、あるいは、地域の相場から乖離する等々のことになって、最低賃金の実効性が損なわれることはあってはならないと思っています。その期間については、私どもは、今、手元に何年という数字は用意はしていませんが、確かに5年以上経過している等々、一定の期間にわたっているものは、少なからず存在するのは事実ですので、各労働局において見送りという判断をすることは最終的にあり得るとしても、慎重な検討をした結果、見送りという判断をすることはあり得るにしても、安易に見送りという判断には至らないような、そこは私どもが労働局の検討の状況などをしっかりと把握して、必要があれば指導もしてまいりたいと思っています。
○佐藤委員
数字は分かりますか。
○松本課長補佐
諮問見送りのケースの数字については、現在、取っているものがありません。
○小杉部会長
佐藤委員、よろしいですか。ほかにありますか。特にありませんでしたら、次の議題に移ります。では、次の議題、議題4「平成27年度家内労働関係予算案の概要について」及び議題5「その他」について、併せて事務局より説明をお願いします。
○松本課長補佐
資料No.6「平成27年度家内労働関係予算案の概要」ですが、予算案の総額が約3,400万円とあり、来年度は今年度予算に比べると約600万円の減額となっています。その内訳として1つ目は、家内労働行政の推進に要する経費として、家内労働法の周知を図る観点から、パンフレットの作成経費、毎年実施している概況調査経費などで約300万円となっています。来年度は3年に一度実施する家内労働等実態調査がありませんので、その分の経費が減額されています。2つ目の家内労働に係る安全衛生管理の指導等に要する経費は、都道府県労働局において、家内労働者や委託者に対して安全衛生指導員を巡回させて指導を行う経費として約1,400万円となっています。3つ目は、家内労働者の健康相談会の実施に要する経費ですが、委託事業により今年度行った家内労働者の危険有害業務に関する実態把握調査の結果を踏まえて、災害防止の未然対策に関してのガイドブックの作成とか、安全衛生措置の実施状況について、アンケートによる実態把握調査を行うことを予定しています。この経費が約1,700万円となっており、前年とほぼ同額です。
なお、参考として在宅就業関連予算についても記載しています。在宅就業は家内労働法の適用対象ではありませんが、自宅で就労するという類似の働き方であるということで、参考までに記載しています。この在宅就業とは、製造ではないインターネットなどの情報通信機器を使った在宅での仕事を行うことを指しています。1としては「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」の周知・啓発費用として約30万円。2点目の在宅就業者支援事業については、在宅就業者等を対象としたセミナーの開催などを実施する経費で約3,800万円となっています。以上が来年度の予算案の概要となります。
続いて資料No.7、こちらは委託事業で実施した危険有害業務に従事する家内労働者の実態把握調査結果報告書と、家内労働の安全衛生推進のための方策等検討報告書となります。資料7-1「実態把握調査結果報告書」ですが、2ページの表1の事業主団体や委託者に対する訪問調査は、8都府県において合計34者に対して調査を実施しています。主な調査事項は、委託者等の基本的な情報のほかに、家内労働法で定める事項の遵守状況とか、家内労働者に対する安全衛生の取組、今後の安全衛生対策等についてです。また、家内労働者に対する訪問調査については、3ページの2の2の調査の対象にありますが、8都府県で合計80名を対象に実施しています。主な調査事項は家内労働者の基本的な情報のほかに、安全衛生への取組状況などです。委託者、事業主団体に対する訪問調査結果の一覧は5ページにあって、家内労働者に対する訪問調査の結果は6~11ページに記載してあります。
訪問調査を踏まえて、12ページ以下に記載した判明事項について、概要を説明いたします。12ページですが、家内労働による災害発生リスクについてです。(2)ですが、過去のヒヤリハット・災害発生の有無については表3にあるとおり、指の切断、骨折、切り傷などがあります。1つ目の■と3つ目の■に記載してありますが、過去のヒヤリハット災害の発生については、半数以上の家内労働者で発生が聞かれた一方で、委託者/事業主団体の多くにおいては発生有無は把握されてはおりませんでした。
続きまして、資料の13ページ、家内労働者の災害防止に係る各主体の現状についてです。安全衛生に関して家内労働法の遵守状況として、危害防止のための書面掲示とか、保護具の使用といったものが家内労働者において遵守されていないと疑われる例がありました。14ページの2ですが、家内労働者法に規定された安全衛生措置以外の安全衛生対策としては、法律に規定されているもの以外の保護具の着用などがありました。2ですが、今後の安全衛生対策については、特に考えていないという方がほとんどでした。一方で、3ですが、危険有害性の認識、安全衛生に対する意識については、作業の危険有害性を認識している家内労働者は6割を占めておりました。訪問調査からは、内職的な家内労働者は専業的家内労働者に比べて危険有害性の認識が薄いとか、化学物質を使われている方のほうが動力機械を使用されている方よりも有害性の認識度が低いという結果が得られました。
委託者の災害防止に係る取組の現状としては、16ページの表5を御覧ください。委託者における安全衛生に関しての家内労働法の遵守状況としては、危害防止のための書面交付とか、有機物についての容器の使用などの義務が課せられていますが、それらが遵守されていないという例がありました。2の家内労働法に規定された安全衛生措置以外の安全衛生対策としては、口頭による注意喚起・説明の例などがありました。また、2今後の安全衛生対策についても、特に考えていないという方が56%と最も多かったものの、今後の対策として口頭での注意喚起の継続とか、危険性の少ない原材料の使用ということも挙げられていました。17ページの(3)事業主団体の現状についてです。事業主団体は、家内労働法においては安全衛生に関しての義務は課せられていませんが、ヒアリングを実施した8団体のうち3団体では、災害防止に関しての取組として設備設置とか健康診断の受診勧奨などを行っている例がありました。各主体の取組の現状は以上です。
続いて18ページ、家内労働者の災害防止に関しての環境の現状についての判明事項を記載しています。2-3の1にありますが、家内労働の危険有害性については、機械の高度化などにより低下しているという面もあります。また、2にありますが、専業的家内労働者の場合、委託者と同等の、又はそれ以上の業務知識とか技能を有しているために、委託者が指導する立場にないというような事例もありました。また、2-4の労災保険特別加入についてですが、ほとんどの家内労働者が未加入となっており、「制度の存在を知らない」とか、「知っているが必要性を感じていない」との理由が挙げられていました。
20ページ以降に、家内労働者の災害防止についての問題点について記載しています。総論として、家内労働者の数は全国的に減少しているほか、機械や材料の改良等により危険有害性が低下してきているものの、災害発生リスクは依然として存在しています。このため、委託者、家内労働者のそれぞれが災害防止対策について十分な認識を持つことが必要となっていますが、必ずしも十分な取組がされていないことが明らかとなっています。まず、(1)以降は問題についての記載となります。(1)家内労働法の不遵守ですが、委託者及び家内労働者の双方で、家内労働法が遵守されていないような現状があったことを挙げています。21ページの(2)は、家内労働法に規定された以外の、例えば保護眼鏡などの使用といった災害防止措置が実施されていないことを記載してあります。(3)では、家内労働法が遵守されていない原因として、そもそも自らが家内労働者であることを認識していない場合とか、家内労働法を知らないといった場合があるということを、(4)としては家内労働の危険有害性や法律を認識していても、安全衛生に対する意識が低く、災害防止措置が講じられていないといったことを挙げています。22ページの(5)では、家内労働者の限られた工賃収入など、そういった資源上の制約から、安全衛生設備の設置等を行う余裕がない場合があることを、(6)として、このヒアリングでは、委託者において委託状況届が提出されていないという例が32%ほどあったことから、更なる実態把握が必要であることを挙げています。
23ページ以降は、問題点を踏まえた今後の課題についてですが、(1)として、家内労働法が遵守されていない原因として、家内労働法の認識不足などが考えられるため、家内労働法における安全衛生措置に関しての規定の認識・理解を促進すること、(2)では、広報活動により災害防止に関する意識を高める必要があること、(3)では、委託者において設備設置や健康診断について、必要な援助に努めることや家内労働者が安全に作業できるための指導援助を行うことなどを挙げています。また、委託者が加入する団体が委託者へ周知・情報提供を行うことも挙げています。24ページの(4)として、家内労働の安全衛生対策を適切に推進するため、委託状況届の提出の徹底などにより、更なる実態把握の必要性を挙げています。また、家内労働の危険有害業務は業種や地域による差があると考えられるため、危険有害性の相対的に高い業務に従事する家内労働者が多い地域とか業種に応じた対応が望ましいとしています。25ページ以降は、個別でのヒアリングで得られた結果を個表にしてまとめているものです。
続けて、資料7-2「家内労働の安全衛生推進のための方策等検討報告書」について説明します。こちらは、問題点や課題についても記載していますが、これは先ほどの調査報告書の再掲であり、問題点や課題を踏まえて、今後考えられる方策について6ページ以降に記載しています。同ページの(1)ですが、家内労働法の周知・広報の方策として、先ほど御案内しました「家内労働のしおり」ですが、内容が専門的で容易に理解できるようなものではないというところもありますので、家内労働における業務の危険有害性や災害事例などを記載したパンフレットの作成や周知などが考えられることを記載しています。その際、周知方法、配布方法についても工夫する必要があるとしています。(2)実態把握の強化として、委託状況届の徹底が求められるということで、委託者に対して、委託状況届の用紙を送付するなどにより、提出の忘れを防止するなどの方法が有効であると記載しています。7ページの(3)ですが、委託者、家内労働者、事業主団体以外の最終製品製造事業者などが災害防止について役割を担える余地がないか、検討することを記載しています。これは家内労働の委託者自体が下請であるようなケースも考えられることから、より影響力の大きい元請のようなものに当たる方に対しての働き掛けが有効ではないかというものです。(4)として、危険有害性の相対的に高い地域・業種を特定して、その地域・業種に応じた対応を検討することを挙げています。
8ページ以降はこれらの取組も含めて考えられるものを、参考として列挙しています。今年度の事業結果を踏まえて、来年度は家内労働者や委託者向けの災害防止対策に関してのガイドブックの作成とか、アンケートによる家内労働者の実態把握調査の実施などを検討することを考えています。
続いて、資料8-1「家内労働の監督指導実施結果」について説明いたします。一番右側の欄ですが、平成25年1月から12月における監督指導実施事業所数が37事業所となっています。そのうち違反事業所は22、違反率は59.5%で、違反事項の内訳では、第3条の家内労働手帳の交付に関する事項が15件と一番多くなっています。
続いて、資料8-2「家内労働者の労災保険特別加入状況」について説明いたします。こちらは都道府県労働局を通じて把握した平成26年7月末の加入状況となります。加入団体数が54、加入者数が411名と、前年に比べて72名減少しています。保険料の負担の内訳を見ると、委託者が全額を負担している場合が27名、委託者が一部負担している者が23名、自治体の一部負担が127名、家内労働者が全額負担をしている者が234名となっています。また、作業内容別に見ると、一番上の(イ)のプレス、シャー等を使用して行う金属、合成樹脂等の加工に関する作業の方が205名と、全体の49.9%となっており、ついで(ホ)の動力により駆動される合糸機で85名という状況になっています。資料については以上になります。
先ほど佐藤委員から御質問がありました、改正諮問見送りにおける周期の関係なのですが、諮問見送りについては結果を出していないのですが、平成26年度に改正した6件について、改正までの平均周期は5.6年となっています。以上、資料について説明しました。
○小杉部会長
多岐にわたりましたが、これまでの報告について、御質問、御意見がありましたらお願いします。
○佐藤委員
昨年この部会で平成25年度の危険有害業務に関わる家内労働者の実態調査の報告(案)が資料として出されたのですが、その問題はどこに行ってしまったのか。この検討報告書資料No.7-2を見ますと、平成26年の調査を受けて、この検討報告書を出したという趣旨になっているかと思うのですが、同じ委託先だと思うのですが、平成25年度と平成26年度の調査の連関というか、関連というか、平成25年度についても全国的に幾つかの業種・地域を指定して集約しているわけですから、当然その検討報告という関係になれば、平成25年度と平成26年度を合わせた結果を受けての検討報告書になるべきだと思うのですが、その辺がどうなっているのかちょっとお聞きしたいです。それから、昨年、平成25年度の調査については(案)ということで、平成26年3月付けの資料は頂いているのですが、その(案)が取れたものはどこでどうなったのか。取扱いが部会にも示されていないのですが、2か年分の連関との問題も併せて教えていただきたいです。
この調査報告書でも言っているのですが、家内労働者の実態把握にとっても、災害防止にとっても、委託状況届をきちっとさせることが非常に大事だと言われてますが、これは非常に重要な指摘だと思うのです。これは是非こういう方策に基づいてやっていただきたいと思うのですが、先ほど検討報告の関係で、この報告書を受けて、省としてはガイドブックの作成等々についても検討したいということを言われたのですが、その予算は先ほど説明していただいた資料No.6の3,400万円のどこに入っているのかということをお聞きしたいです。
それから、届出の問題でいうと指摘は重要だと思うのですが、最後に御説明いただいた資料No.8-1の家内労働監督指導実施結果を見ると、第26条の届出について集計なしとなっているのです。問題だというように片方で指摘をされていて、届出をきちっと全国的に集計すべきだと、どういう状況なのかということは大事だと思います。ちなみに、東京は把握していると思います。なぜこれが全国的には集計できないのか。私はここのところは今後きちっとやっていく中で、徹底していくことが同時に必要になってくるのではないかと思いますので、よろしくお願いします。
○小杉部会長
事務局からの回答の前に、ただいま木下審議官が戻りましたので、議事の途中ではありますが、一言御挨拶させていただきます。
○木下審議官
審議官をしています木下でございます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。また、今ちょうど国会等を継続してやっているものですから、途中でまいりました。本当に申し訳ございません。
本部会は今回で12回目とお聞きしています。昭和45年に家内労働法が制定されて以来、200万人もいた家内労働者が今では11万人ということで、3分の2以上はさらに50歳と、比較的高齢化が進んでいるというようにお聞きしています。国会などでも、例えば繊維とかの産業なども地場産業で非常に根付いているけれども、家内労働について非常に厳しい実態があるというのはよく質問されますが、そういった労働条件の確保・向上、あるいは生活の安定は非常に重要な課題だと思っています。
厚生労働省では、この家内労働法に基づいて特に手帳の交付の徹底とか、工賃支払いの確保、あるいは最低工賃の決定と、その周知、安全衛生の確保など、いろいろな施策に取り組んでいるところですが、特に今年度は第11次最低工賃新設・改正計画の2年目となっています。今、熱心に御審議いただいているように、計画の進捗状況などについて、引き続き精力的な御審議をお願いしたいと思っています。今日はありがとうございます。
○小杉部会長
審議官は所用のため、ここで退席させていただきます。
(
審議官退席)
○小杉部会長
それでは、先ほどの佐藤委員からの御質問、御意見に対して、事務局からお願いします。
○宿里課長
まず、委託事業の関係ですが、昨年度も同じような事業を行って、もともとこの事業は2年間の事業として構想していまして、昨年度調査を行って、平成26年度はその平成25年度の調査結果を踏まえて、更に掘り下げていくというような考え方で事業を行ったものです。「平成25年度の結果、提出したのが(案)だった。それがどうなったのか」という御質問については、本日の資料の出し方に適切でなかったところがあるかもしれません。それはおわびしたいと思います。必要とあらば、平成25年度の結果についてもお届けしたいと思います。なお、これは事業の性格上、平成25年度については特に公表するという形は取りませんでしたので、どこかで見られる形にはしておりません。
平成25年度の調査結果がどう反映されるかということですが、それは先ほど申し上げたように、2年間の調査を踏まえて、そこで問題点、課題を明らかにし、施策の方向性を示していくという考え方で事業を作っていますので、この平成26年度の問題点、課題、そして施策の方向性の指摘の中には、平成25年度で明らかになった問題点や課題も踏まえているというように御理解いただきたいと思います。非常に役所的な話で申し訳ないのですが、予算が単年度の事業となっていますので、その書き方において、ちょっと分かりにくいところがあることについてはおわびしたいと思います。
委託状況届等々を踏まえて、そして今後の周知について、資料No.6の予算のどこに含まれているかということですが、答えとしては3番に含まれているということになります。これは予算上の整理として、家内労働者の健康相談会の実施に要する経費、これも御案内のとおり、もともと特殊健康診断に始まって、健康診断にして、委託事業にしてというように、家内労働者の安全衛生、健康を確保するというその目的は維持しつつ、施策の実効性を確保するためにはどのようなやり方が適当かということを模索して、いろいろやり方を変えてきました。ただ、予算上の整理は変わっていないということもありまして、大変分かりにくくなっていること、この点についても重ねておわびしたいと思いますが、整理としては3番に入っているものです。
委託状況届の集計については、かねてよりこの審議会でも御指摘いただいていると聞いています。労働基準局で集計しているもので、私どもも労働基準局に問題意識を伝えて、うまいやり方はないものかと検討はしているところですが、これもかねてからお答え申し上げているとは承知していますが、委託状況届を基に、計画を作って指導監督を行っていることから、委託状況届が出されていないところがあるとして、それを監督指導によって把握するのは難しいということで聞いています。ただ、東京のほうで把握されているということですが、申し訳ございません。その事情については労働基準局に聞いてはおりませんが、そのようなことでしたらいろいろ工夫の余地もあろうかと思いますので、引き続き労働基準局と検討は行ってまいりたいと思います。
○佐藤委員
最後の届出の問題は重要な問題だと思うので、それは是非、今、課長が言われたような方向で、きちっとやっていただきたいと思います。それと、しつこくて大変申し訳ないのですが、どう見ても、資料No.7-2の検討報告書は平成26年度調査に基づいてこれになっているということなのですよ、特に1ページ、2ページを見ると。確かに4ページ以降の課題だとか方策案のことについては、当然、平成25年度調査も含めた中身ということも捉えられるのは捉えられるのですが、単年度分だということで言われているのですが、そういう点ではちょっとやはり。実は平成25年度調査には、私どもの出身の産業も協力しているわけですよ。そういう点では、全くそこがなくなってしまって、どうなってしまっているのかということにも説明がつかないのです。そこはきちっとしていただきたいというのを改めて述べておきたいと思います。
それから、平成25年度調査に基づいて出された(案)の報告書は、検討会が政労使でもたれて、今日もお見えの小林さんだとか、連合の大久保さんなども入って検討された中で、幾つかこの方策みたいなものを出されたわけですよね。今回のこの報告書は、そういう検討会がもたれたのかどうなのか、メンバーも全然書かれていないのですが。昨年この部会で報告書を出されたものについては、6回か7回ぐらい検討会をもたれて、こういうメンバーでやりましたという報告書になっていたのですが、今回のものはどういう位置付けになっているのかよく分からないのです。委託した所が勝手に出したものなのか、その辺は性格上きちんとしておいたほうがよいのではないかと思うのですが、その点はどうなのでしょうか。
○宿里課長
まず、委託状況届の件については、先ほど補佐からも説明申し上げましたとおり、危険有害業務に従事する家内労働者の実態把握調査の中でも、サンプルは少ないのですが、約3分の1の事業所において提出されていないという実態も明らかになったところであり、直接、危険有害業務に関係するものではないのかもしれませんが、この報告書の中で委託状況届について改善を進めるべきという提言もなされているところですので、しっかり検討してまいりたいと思っています。
2点目の昨年度御協力いただいたにもかかわらずということについては、書き方といいますか、資料の作り方として、失礼な点があったと思いますので、その点についてはおわびしたいと思います。来年度、この平成26年度までの成果の上に立って、更に検討を進めていくこととしていますが、私どもの平成26年度の取りまとめにおいて、平成25年度の調査結果については、十分踏まえたという認識でいます。そういう点では、ここで御協力いただいたという形跡が残っていないことは大変申し訳なく思いますが、ものとしてはしっかり踏まえています。来年度以降、平成26年度までの調査結果を基に、新たな施策検討をしてまいりますが、そのときには平成25年度、平成26年度、いずれも漏れることなくしっかり踏まえるようにしてまいりたいと思います。
今年度の委託事業の進め方についてお話がありましたが、これも特にこの資料の中には書いておりませんが、労働組合の委員、こちらにいらっしゃる久保委員に途中から加わっていただいたのですが、中小企業団体中央会から御推薦いただいた方も含めて、その意味では学識をお持ちの方に加えて、労使にも加わっていただいて検討を進めたものです。その意味では、平成25年度から変わるところはありません。
○小杉部会長
それが書かれていないというのが課題ではないかという御指摘かと思います。
○佐藤委員
書いておいたほうがいいです。検討されたのであればね。
○宿里課長
平成25年度との関係、そして今年度のメンバー等々、資料の作り方については不適切な部分といいますか、不備の部分があったと認識していますので、そこは工夫といいますか、改善できるところはしてまいりたいと思います。
○山口委員
先ほど、この「家内労働のしおり」はちょっと難しいのではないかというお話もあったのですが、これはどなたに配布することを想定してお作りになっているか、1つお聞きしたかったのです。それから、今、厚生労働省のホームページを確認しましたら、PDFでちゃんとダウンロードできるようになっているということなのですが、どういう方がどのぐらいダウンロードして御覧になっているのか、もしもお分かりになったら教えてほしいです。
○宿里課長
まず、1点目の誰に向けての資料なのかということについては、委託者、家内労働者を含む家内労働に関わる方全体を想定しています。中身が難しいのではないかということについては、中身が難しいということとも関連するかもしれませんが、そもそも委託事業の中でも指摘されていますが、御自身が家内労働者であるという認識がない方には、なかなか届かない。また、委託状況届が必ず出されているとは言えない中で、労働局で本来配布すべき人に、必ず行き渡っているかどうか分からないといいますか、必ず行き渡っているとは断言できないという問題もあることを指摘されていますので、配り方についてもしっかり検討してまいりたいと思っています。
それから、PDFのダウンロードについては、申し訳ございません。私どもは把握できるようにはなっていないところです。
○山口委員
今、見た感じでは、厚生労働省がお作りになるページですから、そんなに親切なページにはならないとは思うのですが、結構堅くて難しくて、これについてはここからダウンロードみたいに書いてあって、これを見たことのない人があれを見てダウンロードしようとはなかなか思いにくいと。課長が今おっしゃったとおりだと思うので、もうちょっと分かりやすくガイドするような作りになればよろしいのではないかと思います。
もう1点、しおりの最後にお問合せ先等が書いてあって、家内労働であると分からない人は、そもそも問合せもしないと思うのですが、こういうところにどんな内容の問合せがあったかとか、そのような記録は、全国のものを集計したりとか、記録を集めたりとか、そういうことはしていらっしゃるのでしょうか。
○宿里課長
まず、1点目については、分かりやすく家内労働法の内容等々を知っていただくという努力については、十分ではなかったという反省をしています。その旨、委託事業の中でも指摘されていますので、来年度の委託事業等々の中で「分かりやすく」知ってもらうことについては検討していきたいと思っています。
2点目の問合せについては、各都道府県労働局の賃金室、局によっては賃金課で、問合せがあった場合は受ける、あるいは直接、労働基準監督署に問合せがあった場合も、可能であれば対応していると聞いています。ただ、その中身について、私どもで集計することについては行っていないというか、正直に申し上げて行うことが難しい状況です。
○山口委員
全体は多分膨大な数だから難しいかとは思うのですが、そのような問合せをまとめていくと、FAQというのでしょうか。たくさん来る問合せについては、お答えを例えばホームページにお出しするとか、そんな形でニーズに直結した情報提供ができるのではないかと思いますので、御検討いただけたらどうかと思います。
○宿里課長
実際に家内労働者、あるいは委託者がどんな疑問をお持ちなのか、どんなことに困っておられるのか等を把握することは、いろいろ行政を推進していく上での基本だと思っています。各都道府県の労働局からも、先例のないような問合せなどがあった場合には、私どもに相談があるようなこともありますが、直ちにどうしますということはなかなか難しいのですが、現場のほうに聞こえてきた委託者や家内労働者の声を拾い上げる努力、そしてそれを踏まえて、いろいろな施策を考えていく努力は行っていく必要があると思っています。
○鎌田委員
資料6の「家内労働関係予算案の概要について」で、意見を述べたいと思います。参考で在宅就業関連予算について、在宅ワークの適正な実施のためのガイドラインの周知・啓発で30万円の予算が付いているところですが、私は在宅ワーカーは現在100万人以上存在していると理解しています。そういった人たちのための就業環境の適正化を図るために、在宅ワークの適正な実施のためのガイドラインがかねてより作成され、それに基づいて各関係者に適正な就業環境の実施を促しているところではあります。しかしながら、私は周知度は必ずしも高くないというか、低いと理解しています。そうした中で、来年度の周知・啓発の予算として30万円ということが、私としてはやや少ないのではないかと。もしかしたら、そのほかの予算などが考慮されているのかもしれませんが、そういうのが私の意見です。
○小杉部会長
その30万円の内訳は分かりますか。
○松本課長補佐
ガイドラインの周知・啓発については、やはりガイドラインの作成とか、そういった経費になってしまいまして、確かにちょっと金額的には低いものになっています。ただ、ガイドライン以外でホームページでの周知・啓発とか、そういったところについては下の在宅就業支援事業で行って、ホームページの運営などはこの支援事業の中で計上して、周知としてセミナーなどを行っています。ただ、委員から御指摘頂きますとおり、周知方法も含めて工夫していくことが必要だと考えています。
○宿里課長
補足します。今、補佐からお答えしたとおりで、予算については30万円のほかにも、ガイドラインについては2の「ホームワーカーズウェブ」などを通じた周知などを行っています。とは言うものの、全体として見れば、予算として十分とは言えないだろうと私どもとしても思っています。また、この家内労働とは別に在宅ワーク関係の委託事業を実施していますが、このガイドラインの更なる周知の必要性については、委託事業の中で問題点、課題として指摘されたところです。厚生労働省が従前から行ってきた雇用労働者についての対策とはちょっと毛色が違うということもあって、予算の確保がなかなか難しいところはありますが、家内労働とはちょっと離れるというか、家内労働とはちょっと視点を異にしますが、在宅ワークの関係についても施策の充実についてはしっかり検討してまいりたいと思っています。
○小杉部会長
ほかにいかがでしょうか。特にないようでしたら、以上をもって本日の議題は全て終了としたいと思います。なお、本日の議事録の署名委員ですが、佐藤委員と穗岐山委員にお願いいたします。円滑な議事の進行に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。
<照会先>
厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課家内労働係
(電話): | 03-5253-1111(内線7879) |
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会家内労働部会)> 第12回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会 議事録(2015年3月25日)