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2015年3月17日 第8回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

○日時

平成27年3月17日(火)15:00~16:48


○場所

厚生労働省12階 専用第14会議室


○出席者

増田部会長、大山部会長代理、石井委員、岩瀬委員、喜田村委員、椎野委員、西沢委員、山口委員

○議題

(1)新たな年金記録訂正手続の実施について
(2)制度改正の施行等について
(3)障害年金制度の運用に関する対応状況について
(4)その他

○議事

○梶野年金事業運営推進室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第8回社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

 まず、委員の交代につきまして御報告させていただきます。これまで委員をお務めいただきました木間委員と吉山委員におかれましては、このたび御退任され、今回から新たにお二方に委員に御就任いただいておりますので御紹介申し上げます。

 お手元の資料1に委員名簿をつけさせていただいております。所属と役職は名簿に記載がございますので、恐れ入りますが、お名前のみで御紹介をさせていただきます。

 まず、椎野委員でいらっしゃいます。

 

○椎野委員 よろしくお願いいたします。

 

○梶野年金事業運営推進室長 山口委員でいらっしゃいます。

 

○山口委員 よろしくお願いいたします。

 

○梶野年金事業運営推進室長 続きまして、委員の出欠状況でございますが、本日は磯村委員、斎藤委員が御欠席でございます。

 なお、本日は委員の御都合により、終了時間につきましては5時までとさせていただきますので、よろしくお願いします。

 議事進行につきましては、部会長よりお願いしたいと思いますが、恐縮ですが、カメラにつきましては、ここまでで退室をお願いします。

 

               (カメラ退室)

 

○増田部会長 それでは、議事次第に従って進めてまいりたいと思います。

 まず1つ目の議題ですが、「新たな年金記録訂正手続の実施について」であります。

 初めに、事務局から説明をお願いします。

 

○赤澤事業企画課長 事業企画課長でございます。

 お手元の資料2に沿いまして、御説明させていただきます。

 今回は年金記録の新たな手続の訂正に関する方針が公表されましたので、主にその件につきまして御報告をさせていただきたいと思います。

 資料2の1ページをご覧いただけたらと思います。今年に入りまして、1月8日に社会保障審議会年金記録訂正分科会を設置し審議を開始しまして、この訂正の方針について、1月9日から2月7日までパブリックコメントにかけたところでございます。その中で、2月16日にはこの社会保障審議会年金記録訂正分科会に訂正に関する方針、記録の訂正の判断の基準を書いたものではございますが、これを諮問し、分科会で答申をいただいているところでございます。

 2月23日から3月12日までは、この方針を踏まえて、地方厚生局の職員向けの研修を実施して、2月27日にはこの方針を公示しているという状況でございます。

 あわせて、3月1日には訂正請求の受付が開始されるとともに、ホームページで訂正手続のページを開設したり、本日お手元に置かせていただいておりますパンフレットも作成いたしまして、この部会での御議論も踏まえた形でさまざまな周知徹底を図っておるという状況でございます。

 お手元の3ページをご覧いただきたいと思います。前回も少し御説明をさせていただきましたが、今回の年金記録の訂正の方針、これは記録の訂正の判断の基準となるものをまとめているものでございますが、大きく4つに分けて存在しているところでございます。

 1つが考え方とか原簿の訂正の手続の幹となる考え方を書いているもので、一番最初のマル1の厚生労働省告示によるもの。

 あとは、それを踏まえた事務の取り扱いの要領や訂正請求の認定の具体的な基準、どういう判断基準かというもの。

 マル4といたしまして、年金事務所段階における訂正処理基準・要領ということで、年金事務所段階で訂正する場合の基準というものを取りまとめてございます。

 この年金事務所段階における訂正処理基準の中には、これまで日本年金機構がみずから記録を訂正しておりました災害等による被保険者記録が消滅した場合の記録の訂正の基準、これも含まれているという状況でございます。

 4ページでございます。今回の方針の特に一番最初のマル1の告示の部分の紹介ということでございます。

 まず「基本的考え方」としましては、総務省の第三者委員会の手続と比較いたしまして、国民に不利益が及ばないようにしなければならない。訂正請求の内容が十分に酌み取らないといけない。それから、収集した関連資料及び周辺事情を検討し、国民の立場に公平かつ公正な訂正決定を行わなければならないという基本的な考え方を示しておるところでございます。

 3番の「判断の基準」といたしましては、総務省の第三者委員会と同様、引き続きいわゆる疎明基準、「訂正請求の内容が、社会通念に照らし明らかに不合理でなく、一応確からしいものである」ということで、同様の基準を踏襲しているという状況でございます。

 引き続きまして、5ページでございます。これは平成27年2月16日に諮問答申をいただきました年金記録訂正分科会で、この方針をパブリックコメントにかけましたときに出された意見についての回答について御審議をいただいております。

 簡単に御紹介させていただきますと、最初はいわゆる関連資料、周辺事情、いろいろな資料を集めるのならば、訂正請求を行った方にもきちんと伝えるべきだということで、右のほうに書いてございますように、審議の中でそういうものもきっちり伝えますし、意見陳述を行う機会も設けるということを回答として書いているところでございます。

 6ページはいわゆる戦災や災害等で消失した記録、また、現在の総務省の第三者委員会において非あっせんとなっていたケースについて、何らかの基準をつくって申出者の意を酌み取るべきではないかということでございます。

 これにつきましては、現在も年金事務所段階における訂正処理基準によって、弾力的に対応しているところでございますが、今後、第三者委員会によるあっせん・非あっせん事例を調査・分析いたしまして、新たな記録訂正ルールにつながる手がかりがないか、検討を進めることとしたいと考えてございます。

 さらに、7ページには、認定の基準について、パブコメにもきっちりかけて透明性を確保すべきと言われております。今回の認定の基準は先ほど4つに分かれておると申し上げましたが、いずれも、法律に基づく訂正基準ということで、厚生労働大臣が定めるという位置づけでございます。パブリックコメントも今回もかけましたし、今後、修正する場合においても、同様にパブリックコメントで意見を募集したいと考えているところでございます。

 最後、8ページでございます。年金記録訂正分科会の御意見としてどういうものがあったかという紹介でございますが、特に方針の内容について御審議いただくことはもちろんでございますが、それ以外にありましたのが、いわゆる年金事務所の窓口等で丁寧な対応をすべきだ。特に高齢者の方などいらっしゃいますので、その意味で非常に丁寧な対応をすべきだという御指摘を特にいただいているところでございます。

 日本年金機構において、年金事務所の窓口でお客様への丁寧な御案内を徹底するということについて事前説明会で徹底しておりますし、今後とも、その徹底を図ってまいりたいと考えているところでございまして、この旨を訂正記録の分科会でも紹介して御審議いただき、御了解をいただいているという状況でございます。

 以上、私のほうからは冒頭の説明ということでございます。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 ただいまの説明内容について、御意見、御質問等ありましたら、どうぞお願いいたします。この点につきましては特にございませんか。

 今回、厚生労働省でただいまの方針に従って手続を実施するということでございますので、ここに書いてあるとおり、円滑にスムーズに移行してきちんとした手続きがなされるように、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、議事の2番目になりますけれども、「制度改正の施行等について」に移りたいと思います。こちらは資料3だと思いますが、事務局から初めに資料に基づいて説明をお願いしたいと思います。

○大西事業管理課長 年金局事業管理課長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私から資料3に基づきまして、現在、一昨年に成立しました年金事業改善法に基づく国民年金関係の制度改正事項、あるいは機能強化法に基づきますパート適用拡大です。厚生年金の適用拡大というものの施行に向けた準備の状況につきまして、御報告をさせていただきたいと存じます。

 1ページ目に、今後の主な年金制度改正の施行スケジュールというものがございまして、今回はこのうち、特に黒字が太くなっている部分について御説明をしていきたいと存じます。その他、今後の年金制度におきましては、マイナンバー等の施行もいろいろ控えているという状況でございます。

 2ページ目をおめくりいただきますと、まず「ローマ数字1免除委託制度の創設について」とございます。背景といたしまして、国民年金におきましては、所得が低い方のために免除制度あるいは納付猶予制度といった制度が設けられておりますけれども、現実にはこれらの手続をきちんとされない場合、申請が煩わしいという場合には、未納者に陥っているという事例が見られるということで、それへの対応といたしまして、2ページ目の一番下のところでございますが、厚生労働大臣が指定する者に被保険者等からの委託を受けて免除の申請を受け付けることができるという免除委託制度を創設するということが、この前の法律改正で盛り込まれたというわけでございます。

 3ページ目、具体的な運用でございますけれども、3ページ目の1つ目の〇の下に※がございます。現在、国民年金の保険料につきましては、納付督励や免除勧奨等につきまして、いわゆる市場化テスト法という法律に基づきます民間委託という形で、民間事業者にこれらの業務を実施していただいています。これを現在実施している市場化テスト業者さんに、この免除委託事務についても一体的に行っていただくことによって、より効率的で、しかも被保険者の方々の利便性が向上するということができるのではないかということで考えております。

 2つ目の〇でございますが、その申請につきましても、書類による申請のみならず電話で申請をしていただくことも可能とするということを考えてございます。その際いろいろ不適正な取り扱い、本当に申請をしたかどうかということについて争いが生じませんように、次のマル1からマル4のような措置を講ずることで、この事務取扱者につきましては指定要件を厳しく定めることですとか、戸別訪問で委託を受けたという場合には書面の交付を行う、あるいは電話で受け付けた場合には、あらかじめ日本年金機構から文書で送付をしている固有の番号を確認することによって本人確認をきちんとするということ。4番目、同じく電話で申請の委託を受けた被保険者の方に、日本年金機構から電話で申し込みを受けましたということを通知するということで、もしそれが違わなければ至急教えていただいて手続をとめることを可能にするということで、現在、平成27年7月の実施に向けて準備中ということでございます。

 以下は関係の参考資料、あるいは今の手続の流れを図にしたものでございますので、説明は省略をさせていただきます。

 次の項目が7ページ目「ローマ数字2年金事務所職員による国民年金保険料の収納範囲の見直しについて」ということでございます。「背景等」の最初のところでございますが、現在、年金事務所職員による国民年金保険料の現金収納につきましては、滞納により督促を受けた方から申し出があった場合など、これは厚生労働省令でこういう場合、こういう場合ということを厳密に定めておりまして、それ以外の場合は年金事務所では現金は取り扱えないという扱いにさせていただいてございます。

 一方、2つ目の〇ですが、現在、日本年金機構におきまして、国民年金保険料の納付率向上に向けた取組として、いろいろな書類を納めていただけないでしょうかということで御案内をたくさん送付して取組を強化しております。この中で実際そういう文書を受けた方が年金事務所に来訪されて、その場で納得したので私は保険料を納めますと言っていただいても、現状の仕組みではそれが受け取れないという支障が生じているという問題がございます。

 この点につきまして次の8ページ目、今回は1つ目の○のところにございますが、日本年金機構から文書、具体的には催告状とか特別催告状とか最終催告状といった文書ですが、こういった文書による保険料の納付勧奨を受けた被保険者の方が御相談のために年金事務所にいらっしゃったという場合で、その場で保険料を納付したいという場合には納付できるということで、現金収納を可能にするという取り扱いにして、少し現状より範囲を拡大したいと考えてございます。

 これに伴いまして次の○ですけれども、不適正な事案発生防止のため、複数の職員による確認、あるいは防犯カメラを設置しまして、それを活用して現金の収受等に問題がないかどうかということも確認をするということでございます。

 さらに、3番目の「実施時期等」でございますけれども、当面この事故防止策が有効かどうかということを検証するために、全体の1割程度の年金事務所で試験的に実施をし、問題がなかろうということになったら全国的に拡大をする方向で考えるということで、慎重を期してまいりたいと考えてございます。

 9ページ目以降、11ページ目等はそれにかかわる関連資料でございますので、説明は割愛をいたします。

12ページ目「ローマ数字3事務処理誤り等に関する特例保険料の納付等の制度の創設について」ということでございます。これは以前より年金記録問題特別委員会等で、日本年金機構の事務処理誤りの問題について御審議をいただく中で、12ページ目の真ん中辺りに「対象となる事例」というものがございますけれども、年金事務所などで誤った説明を受けたなどの理由によって、保険料の納付機会を逸した方に対する救済措置が、法律上なかなか講じられていない、例えば記録が間違っていれば記録訂正という手続が今、用意されていて救済が図られているわけですが、こういうケースの救済がないではないかということで、法律改正をしてこの制度が新たに創設をされたということでございます。

12ページ目の2つ目の〇ですけれども、事後的に事務処理誤り等の事由が明らかになって、それにより国民年金保険料の納付の機会を逸したと認められる場合等については、年金受給権を得る道をひらく観点から、事後的に特例保険料の納付を可能とするという制度が創設されるということでございます。保険料の納付以外にも免除の申請などもこの制度の対象と考えてございます。

13ページ目ですが、この事務処理誤り等に該当するかどうかということにつきましては、厚生労働大臣がその申し出の承認をするという形になってございます。

 2つ目の〇ですけれども、被保険者の方が事務処理誤りがあったので、自分は保険料が納付できなかったという申し出をいただいたときに、それをどういうケースで承認するのかということにつきまして、考え方ですとか範囲、あるいはそれに必要な証拠をどこまでいただくかということについて、承認の基準を今後定めていくということ、これが法律上求められてございます。

 法律上の承認基準につきましては、あらかじめ社会保障審議会に諮問しなければならないと規定されてございまして、この審議につきましては当年金事業管理部会で諮問・答申という手続をお願いしたいと考えてございます。

 実際、かなりこれまでの年金記録問題特別委員会などで御審議いただいた蓄積を踏まえて、詳細にどういう事務処理誤りが過去あって、それをどう救済していくかという資料をいろいろ細かに精査していく必要があると考えてございますので、実際にはこの管理部会のもとに専門委員会を設置いたしまして、当専門委員会で詳細のところは御審議いただく。適宜、途中あるいは審議の始まるときに、その内容についてはこの管理部会に御報告をいただくという形で議論を進めさせていただきたいということで、その専門委員会の設置について、この部会の御承認をいただきたいと考えております。

 スケジュール(案)が13ページ目の下にございますけれども、きょう設置について御了承いただけましたら、私ども設置の準備に入りたいと考えております。施行自体は来年28年の4月でございますので、まだ時間はあるようですけれども、それまでの間に今の承認基準を整理した上で省令等の策定という手続をしていくので、実際はかなりタイトだということで、今後このスケジュールで進めていきたいと考えてございます。

 以上が事務処理誤りの関係でございます。

 続きまして、15ページ目が「ローマ数字4付加保険料の納付等の特例について」でございます。

 かつての国民年金の付加年金につきましては、付加保険料が納期限までに納付されない場合は、自動的に脱退扱いという法律になってございました。

 1つ目の〇の*にありますが、これは平成26年4月にはルールが法律上、改正されていまして、今ではこのみなし脱退の規程はないということでございます。しかしながら、過去この規程に当たってしまって、法律上だとみなし脱退が適用される方につきまして、実際には過去の現場での運用は、法律上脱退だということで保険料を還付していたケースと、そうではなくそのまま記録上は御本人の意思がもともとずっと納め続けたいということだったということで、納付したままの状態になっているケースと両方ございます。これにつきまして、年金記録問題特別委員会の中で御審議いただく中で対応せよということで、今回の制度ができたという経過がございます。

16ページ目でございますけれども、現時点ではこの制度の施行に向けまして、対象者の抽出という作業を進めております。また、今後具体的にこの対象者の方々にお知らせをして、あなたはこの制度の対象になりますので付加保険料を納めますかということを確認していかなければいけないということで、その事務処理方法あるいは機構内でのマニュアル等の作成を進めまして、並行して付加保険料が後から納められるようなシステム、現在そうなっていないので、そういうシステムも開発いたしまして、28年の4月施行に間に合わせたいということで今、準備を進めているという御報告でございます。

17ページ目、こちらは表題の後ろに(参考)と書いてございます。「ローマ数字5国民年金保険料の納付受託について(参考)」ということでございますが、結構、国民年金の被保険者の中には、国民年金ですと自営業者対象の制度と言われますけれども、実際にはかなり厚生年金に入れない臨時・パート、アルバイト、そういった従業員の方々が増加をしているということで、そういう方が未納に陥っているケースも多々あるということでございます。

 そういった会社に勤めている国民年金の加入者という方々について、会社の協力、事業主の協力というものが得られないかどうかということが、昨年来、実は問題提起がなされてきたということでございます。実は、現在も厚生労働大臣の指定を受けて商工会等が納付受託をできるという仕組みはございますけれども、実際上、商工会で実際に国民年金保険料をかわりに集めていただいているという実績は、今までのところないということでございます。

 改めてもう一回、この2つ目のところにございますけれども、日本年金機構のほうで地元の商工連合会あるいは商工会議所などに説明に行っていただいて、この制度について御協力いただけないでしょうかということで御相談を始めてもらいたいと考えてございます。具体的に実際にアンケートなどをとっていただいて、その中で実際にそういうことをやっていただけることがありそうだということになったら、そういった方々の御意見などを聞きながら具体的にどういう制度にするかを考えていくということで、まずそのアンケートに着手するということの御報告でございます。

 以上が国民年金の関係でございましたが、19ページ目以降がパート適用拡大、厚生年金のほうの課題でございます。

 この19ページ目は、法律で定められている事項を簡単に整理したものでございます。

 平成2810月から、週の所定労働時間が20時間以上ある、賃金の月額が8.8万円以上ある、勤務期間が1年以上ある、学生ではない、501人以上の会社にお勤めであるという方、これらの5つの要件を満たしている方は今までは国民年金ですけれども、今後、厚生年金に御加入をいただくという形で適用範囲の拡大を図ることにしてございます。

 これらの5要件をどう判断していくかという運用につきまして、今、この資料で簡単にまとめてございます。

20ページ目が、まず20時間以上の要件でございます。この20時間以上の要件につきましては、20ページの下のほうに雇用保険法の規程がありますけれども、雇用保険でも同様の取り扱いがなされていまして、私どもとしても雇用保険に合わせていきたいと考えてございます。

 具体的には、1つ目の上の○にありますけれども、所定労働時間をベースに判断していくというのが、この20時間というものの判断ということでございます。

 次が21ページ目、8.8万円という要件がございます。賃金が8.8万円というこの賃金の範囲でございますけれども、これは21ページ目の厚生年金保険法第12条に規程がありますが、最低賃金法4条3項、各号に掲げる賃金についてという規程がございまして、この法律の規程に沿って運用していくことになります。

 この法律の規程に基づきますと「マル1臨時に支払われる賃金(結婚手当等)及び1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)」でございます。「マル2所定時間外労働、所定休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)」あるいは「マル3最低賃金法において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)」等が除外されるということになりまして、それらを除いたいわば所定内労働時間に応じて支払われる賃金がベースで、この8.8万円、厚生年金の適用拡大の要件を判断していくということでございます。

23ページ目が1年以上働くことが見込まれるという要件でございます。これも雇用保険で31日以上と期間が全然長さが違いますけれども、31日以上雇用されることが見込まれるという要件がございまして、それを参照して同じようなルールにしていきたいと考えてございます。

 1年以上ということにつきましては、まず1つは期間の定めがなく雇用される場合は1年以上。それから、雇用期間は定められているけれども、それが1年以上になっている場合、これも1年以上だということでございます。

 最後の3つ目の〇ですが、雇用期間が1年未満であっても、更新される旨がその契約において明示されているという場合には1年以上だということ。あるいは同様の雇用契約に基づいて雇用されている人が更新で1年以上雇用されている実績があるという場合には、これは1年以上だということで判断をしていくということを考えてございます。

24ページ目、学生を適用除外とするという要件でございますが、これも雇用保険で同様の仕組みになってございまして、それに沿ってやりたいということで、卒業見込み証明書を有する卒業前に就職している方、あるいは休学中の方あるいは夜間等、定時制の学校の方、そういう方は被保険者になるけれども、普通の昼間学校に行っているという学生さんは、ここでは適用の対象外にするということでございます。

25ページ目、規模501人以上の企業が今回の拡大の対象であるという点でございます。25ページ目の真ん中に今回の法律の規程の条文が機能強化法附則17条という規程がございますけれども、この要件を簡単にまとめますと、上のほうにある「(1)事業主が同一である一又は二以上の適用事業所」であるということ、「(2)通常の労働者及びこれに準ずる者」の総数が「(3)常時500人を超えるもの」という、この3点をどうやって満たしているかを判定しなければいけないということでございます。

26ページ目「事業主が同一である一又は二以上の適用事業所」ということにつきましては、法人単位で考えていきたいということでございます。仮に同一の個人が複数の法人の事業主なのだという場合であっても、それは合算せず事業主は同一であるという、文言だけ見るとそう読めないこともないのですが、そうではなくて法人単位で適用する。

 個人事業所につきましては、個人事業所という現在の適用事業所の単位で考えるということ。国については、各省、各庁の単位。地方公共団体については当該地方公共団体の単位で考えるということでございます。

 「通常の労働者及びこれに準ずる者」の範囲ですが、これにつきましてはマル1にありますけれども、厚生年金の被保険者ということで、70歳以上の方は除くということで考えてございます。

27ページ目「常時500人を超えるもの」ということの判断でございますけれども、これにつきましては、上の3つ目のポツにありますが、「1年のうち6月以上、500人を超えることが見込まれる場合」には、常時500人を超えるという取り扱いにしてまいりたいということでございます。

 なお、この下のマル2のところにございますが、直近11カ月のうち5カ月以上500人を超えていた時点で、日本年金機構からあと1カ月オーバーするとこの適用対象になりますよという「届出勧奨」と書いてありますが、そういったお知らせを行い、さらに、届け出はなくても基本的に年金機構では厚生年金の被保険者の把握をしていただきまして、500人を6カ月超えていたということが確認されていた場合には、職権適用を行うという方向で考えてございます。

28ページ目は、今の説明を図にしたものですので説明を省略いたします。

 最後に29ページ目ですが、今のような手続を進めるに当たりましては、特定適用事業所に該当することの届け出ですとか、あるいは普通の今の基準で適用されている被保険者なのか、今回拡大の対象になるパート、短時間被保険者なのかの種別というものを設けて、それについては区別して届け出を出すなり、あるいは区分変更の届け出を出すなりしていただきます。

 法人を単位として把握していくので、今後、会社法人等番号あるいはマイナンバー法が施行されてから法人番号でございますが、これを届け出事項として、この番号を使って要請をしていくことを考えてございます。

 非常にはしょって恐縮ですが、説明は以上です。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 ただいまの説明内容について御意見、御質問等ありましたらよろしくお願いしたいと思います。

 岩瀬委員、お願いします。

 

○岩瀬委員 免除委託制度についてお尋ねしたのですけれども、この新しい事業を行うに当たって、免除対象者というのを何人ぐらい拾い出しているのか、あるいは予算とその財源とか、それとテスト業者が回る場合に、納付督励をする人と免除申請を勧奨する人というのは分けるのか、一緒に分けることなく回るのか、その辺をちょっと教えていただけませんか。

 

○増田部会長 事務局のほうでお願いします。では、所属とお名前をお願いします。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 日本年金機構国民年金部の町田でございます。

 まず、対象者でございますが、正確にどれくらいというところは把握をしていないのでございますけれども、今、我々のほうで、所得情報で57万円未満で未納月数13カ月以上の方が45万人ほどいます。この方の中には既に免除の届け出を出されている方もいらっしゃいますので、そういう方は除かれることになりますけれども、そういう状況の中で45万人のうち、どれぐらいの対象になるかという推計はまだできておりませんが、マックスとしてそのくらいは対象になってくる可能性があるということです。

 費用につきましては、市場化テスト事業の中で行いますので、まず今回データ提供を行う、また市場化テスト業者からデータをもらうということで、そのシステム開発に要する経費というものは、新たに発生する経費ということで準備をしておりますけれども、そこは市場化テスト業者から見積もりをとって調整することになるのですが、その費用、それ以外には、特に免除を1件とったかとかそういうところでインセンティブを与えるということはございません。全体の中で市場化テスト事業の達成水準というものがございまして、免除の達成水準がこういうものを含めて到達をすれば、到達をした100%なら100%のそれに伴う経費をお支払いするということでございます。

 3点目に、まず納付督励でございますので、督励を最初にやります。督励をやっていく中でお話を聞いて、お客様のほうから、私のところは非常に収入が少ないということでお話があったときに免除の話をさせていただくのですけれども、その免除の話をしていく中で、先ほどの御説明のありました機構のほうからいわゆる全額免除に該当する可能性の高い方ということでお知らせを送付しておりますので、トークの中でそういうはがきが来ているということであれば、まずはそのはがきに返信がありますので返信をしてください、なかなか外へ出ていけないので返信ができないとかそういう事情があるのであれば、その場で免除の申請を受けたりする。そういう流れを今のところ考えてございます。

○増田部会長 岩瀬委員、お願いします。

 

○岩瀬委員 お聞きしたかったのは、この事業の事業予算全体が幾らで、その財源が幾らなのかというのと、もう一つは、この資料の中に所得は低くても資産のある人への配慮を考えなければならないと書いてありますけれども、これはどういうことなのか、もう少し具体的に教えていただけますか。

 

○増田部会長 引き続き、お願いします。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 まず、これにかかる予算ということでいきますと、先ほど申し上げましたとおり、システム開発経費を予定しているだけでございますので、手元に今、詳しい数字はございませんが、一事業者のシステム開発経費は数千万単位かと思いますけれども、その経費だけでございます。

 配慮ということで申し上げましたが、先ほど申し上げましたとおり、免除に該当していたとしても、本人は少ない収入の中から、私は免除ではなくて納付を選択したいという方もいらっしゃいますので、そういう方には配慮をしていくということでございまして、先ほど申し上げましたとおり、説明の中で収入は少ないのだけれども、何とかやり繰りをして納付をしているという方につきましては、では、その納付を続けてくださいということでお願いをするということでございます。それが配慮に当たります。

 なお、私どもは収入がなくて、そういうお支払いすることも考えていないということであれば免除制度に該当しますので、免除のほうの申請をされたらどうですかということでお話しさせていただく。そういう流れになっております。

 

○増田部会長 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 結局これは、なるべく免除の方向に持っていこう、それがメーンで、払いたいという人には払わせてあげますということなのですか。話を聞いていると、そのようにとれるのです。もう一つ、財源は一体何なのか教えてもらえませんか。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 財源は保険料財源でございます。

 今、私の説明の仕方が不足で大変申しわけないのですけれども、必ずしも免除に持っていこうということではなくて、年金権の確保でございますので、まず、年金権をいかに確保するか、そういう中でフルペンションの年金をもらうということであれば、保険料を納められるのであれば保険料を納めたほうが効果は高いわけですから、そういうお話をさせていただく中で、どうしてもという方が中にはいらっしゃるわけで、それは免除も一つの年金権を確保するための仕事でございますので、そういうお話をさせていただくということでございます。

 

○増田部会長 必ずしも免除のほうに持っていくというわけではないということなのですかね。よろしいですか。

 

○岩瀬委員 では、そういう活動をするのであれば、市場化テスト業者が回って説明するだけではなくて、年金制度がいかに大切かとか、老後の生活設計にいかに重要かというパンフレットなどをつくって、それをあわせてそういう対象者の人に渡すなり、説明するなり、じっくり考えていただくなり、相談に乗るなりということもあわせてやらないと、機械的にやってしまうと、つい制度から押し出してしまうことにならないか懸念しますので、その点をきちんとやっていただきたいと思います。

 

○増田部会長 よろしくお願いします。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 貴重な御意見ありがとうございます。

 今、いただいたパンフレットとかそういうものは当然お知らせをしておりますので、そういう中でよく理解いただけるような内容で対応していきたいと思います。

 

○増田部会長 次、西沢委員、お願いします。

 

○西沢委員 私は今の岩瀬委員のお話とやりとりを聞いて、まだ不安なのは、この免除委託制度は多分、フルペンションでないといえども、この受給権の確保につながるので9割ぐらいの人にとってはメリットだと思うのです。ただ、説明が例えば事業者の方などでは拙くて、本当は保険料全額払いたいのに何となく免除に誘導されてしまったようなことが事後的に出てきてしまった場合、今回書面がないので、言った言わないになってしまう懸念があると思うのです。ですから、完璧にこの事業者の人たちが職員の方のように説明してくれればいいですけれども、保険料を払うという選択肢が簡略化されてしまって、免除になって、言ってくれれば全額ちゃんと保険料払ったのに、フルペンションもらいたかったのにということにならないようにしないと、それを担保するための仕組みはここで見えないので、本当は私は一筆もらっておいたほうがいいと思うのですが、これについて御見解を伺いたいと思います。

 

○増田部会長 今の点はどちらですか。機構ですか。お願いします。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 確かに、その辺の不安というのはございますけれども、まず一つは、資料3の6ページにございますが「免除委託制度の運用イメージ」ということで書いてございますけれども、この網線の矢印が今回、新たに追加されるものでございまして、この中でまず一つは真ん中の左側にマル4-1というものがございますが「全額免除又は納付猶予の申請の委託」ということ。これは要するに、被保険者の方が私は免除を申請するという流れでございますけれども、ここのところで指定全額免除申請事務取扱者が電話で受けたときの電話の多くのやりとりは、一定期間記録を残すことにしておりますので、そこで言った言わないというのは一定の判断ができるというのが1点。

 それから、その下のほうにマル4-4というものがございます。これも網かけになっておりますけれども、「免除等申請受理通知書送付」というものがございまして、これは電話の場合でございますが、電話で聞いて取り違えたりするケースもありますので、確かに電話で免除申請の申請があったということを確認しましたということ、これは受託事業者ではなくて、機構のほうからお客様にお知らせをします。お客様のお手元に届いたときに、私はそのような申請をしたことがないとかということであれば、直ちに連絡をいただければ、その免除処理はストップいたしますし、そこの意思の確認ということで、その下のマル5の承認通知の決定をする前に、新たにお客様宛てに確認のお知らせをさせていただく。そういうことで間違ってお客様を誘導されないように、手当てを組んでおるところでございます。

 

○岩瀬委員 今の西沢委員の尻馬に乗らせていただきたいのですが、これは免除申請するに当たって、委託事業者が対象者に対してどういう説明をするのかマニュアルをつくっていると思うのですけれども、それを見せてもらえませんか。委員会に出してもらえませんか。

 

○増田部会長 マニュアルはありますか。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 きょうは手元に持ってきてはおりませんけれども、マニュアルはございます。

 

○増田部会長 では後日、それをこちらにお願いします。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 まだ電話申請のところの事業を始めておりませんので、それのマニュアルはまだできておりません。今までの通常のこちらの市場化業者のやりとりのトークのマニュアルはございますので、それであれば後日お出しさせていただきたいと思います。

 

○増田部会長 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 これは新しく事業をするわけですね。事業者の人に、そういう今までにない業務をしてもらうわけでしょう。当然、事業者の人に対してこうしてくれというマニュアルをつくってそれを渡さないと事業者は業務できないと思うのですけれども、そういうマニュアルをつくっていないのですか。

 

○町田日本年金機構国民年金部長 現時点、まさに我々のほうでどうやってもらうのかというガイドラインをつくっているところでございまして、それを受けて市場化業者のほうにこの仕事をやっていただくことになるので、御案内のとおり、ここにございますように指定を受けないとこの仕事ができませんので、まだ指定を受ける前でございますので、現段階ではマニュアル等はまだ作成に至っていない、指定を受けてマニュアル等ができ上がれば当然つくっていきますので、改めてお示しできると思います。

 

○増田部会長 今のは私もちょっとよくわからなかった。

 今の関係ですか。どうぞ。

 

○深田日本年金機構理事(事業管理部門担当) 事業管理担当の理事をしております深田でございます。ちょっと行き違いがありますので正確に申し上げたいと思いますけども、我々のほうで申し上げているマニュアルというのは、業者がつくるマニュアルです。我々はガイドラインをつくって、こうしてくださいというものをつくります。ですので、まだ指定前ですので、それをこれからつくりますので、つくったものを示して、業者がこう事業を進めていきますというマニュアルをそれぞれ各社つくっていきます。それを我々が見てチェックをするという仕組みになっていますので、その中に盛り込んでもらうことになります。

 

○増田部会長 ガイドラインはもうできているわけね。

 

○日本年金機構理事(事業管理部門担当) 既存の今でも市場化事業をやっておりますので、その分のマニュアルはあります。各社全部そろっております。

 

○増田部会長 では、それを見せて各事業者にマニュアルをつくってもらうということですか。

 

○深田日本年金機構理事(事業管理部門担当) はい。

 

○増田部会長 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 このマニュアルというのは、日本年金機構で統一したものをつくってやらないと、事業者ごとに対応が微妙にずれてくることにならないのですか。

 

○深田日本年金機構理事(事業管理部門担当) ガイドラインはかなり細かいですので、それを踏まえたものになっています。ただ、これは民間事業者のそれぞれの創意工夫を生かしてやる事業ですので、自分たちはこういうやり方でやりたい、これでいいかというのは必ず我々が相談を受けて、いい悪いという判断をしていますので、それに沿ってやっていただくということになります。

 

○増田部会長 ちょっと物を見ないとなかなか議論が進まないのと、こちら側の心配は業者によっていろいろばらつきが出てくる。それは皆様方がガイドラインを示してあるから、それを後で個別のものは全部チェックするから大丈夫だという御判断なのですが、物を見ないと、今の点についての判断ができないところがあると思うので、具体的な物を出してもらって、それで委員に説明するなりなんなりしていただけますか。

 

○深田日本年金機構理事(事業管理部門担当) そのようにさせていただきます。

 

○増田部会長 よろしいですか。

 ほかに特になければ、皆様方に1点お諮りしておきたいのは、今回の資料の中で先ほどの説明資料の13ページに記述がありますが、事務処理誤りに対する特例保険料の納付の制度が創設されるわけですが、13ページのところに記載がございますとおり「事務処理誤り等の特定事由に係る承認基準専門委員会(仮称)」でありますが、これを設置して、その中で審議をしていただくことになります。すなわち、当部会としてこの専門委員会の設置について了承したいと思いますが、よろしゅうございますか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○増田部会長 ありがとうございます。

 それでは、設置を了承したいと思いますので、事務局では今後設置に向けた手続を進めていただきますとともに、その状況は当部会にも適宜報告をお願いしたいと思います。

 この関係については後はよろしゅうございますか。

 西沢委員、どうぞ。

 

○西沢委員 厚生年金の適用事業所の話なのですけれども、まず21ページで、これも私は知らなかったのですが、判定に使うのが本給で、標準報酬をかけるのが従来どおり通勤代とかも含んでいるという2つの基準に私は見えるので、これは多分企業の方もわかりにくいと思いますから、周知なりをしないといけないと思います。

25ページ目の501人以上というのも、これも私は知らなかったので、不勉強だったのですが、通常会社案内とかを見て我が社は501人以上ですという、我が社の501人かと思っていたら、厚生年金の今の被保険者数で501人ということなので、これも通常の会社の従業員という概念と違うので、十分に説明しないとちょっとわかりにくいという気はしました。意見です。

 

○増田部会長 ありがとうございました。今の点はよろしゅうございますか。周知をきちんとするということだと思います。

 この点はよろしゅうございますか。よろしくお願いいたします。

 続きまして、議事の3番目になりますが「障害年金制度の運用に関する対応状況について」。こちらについて事務局から説明をお願いしたいと思います。

 

○向山日本年金機構給付企画部長 日本年金機構給付企画部の向山と申します。お手元の資料4-1「障害年金制度の運用に関する対応状況」と資料4-2、それについての参考資料の2つの種類の資料を御用意いたしましたので、これに沿って御説明いたします。

 前回、第7回の会議で、この席上で障害基礎年金の認定の地域差に関する実態調査の結果について御報告いたしましたけれども、その際に地域差が発生いたしました背景、あるいは今後どのようにそれを対応していくのか、また、それとは別に障害年金の請求手続あるいは年金事務所の窓口での説明等に関しまして、いろいろお寄せいただいている御意見、御要望がございまして、それに対する対応状況、あるいは制度の周知のあり方といった点につきまして御意見、御質問をいただきました。本日はそれにつきまして、私ども機構と年金局から順次、現時点の取り組み状況について御説明させていただきます。

 最初に1から3まで機構から説明させていただきます。

 まず、認定の地域差に関する点でございますが、資料の1ページ目、その内容に入ります前に、実施体制につきまして簡単に図で御説明いたします。

 事務の内容といたしまして、そこにございますように「受付・点検」と、その後の「審査・決定」ということで大きく2つに分かれます。「審査・決定」につきましては、基礎年金のみの請求と厚生年金の請求がある場合とで大きく分かれておりまして、今回、地域差があるという話になりましたが、基礎年金のみの請求に対します「審査・決定」は真ん中にございますけれども、機構の事務センターで事務を実施しております。

 この事務センターは機構発足時以降、各都道府県に設置をしてまいりましたけれども、設立時の基本方針におきまして、ブロックごとに集約を図るという方針になっておりまして、現時点では3カ所統合済みで、44拠点となっております。

 事務の実施拠点は、その事務センターでやっておりますが、あわせまして、障害等級の決定に際しまして必要となる医学的な判断というものがございますので、それにつきましては、それぞれの事務センターで障害認定医にお願いをしているところでございまして、参考資料に移っていただきたいと思いますが、資料4-2の1ページ目に障害認定医の状況を表にしております。機構の発足時以降の各事務センター別の配置数でございまして、平成26年4月1日時点では、事務センターの全国計は下にございます216人でございます。ちなみに障害厚生年金は本部で一括して事務を行っておりまして、認定医は21人ということでございます。

 認定医の配置に関しましては前回も御質問等がございまして、人口との対比で見てどのようになっているかという御質問がございましたので、その右側のところに参考として20歳から64歳人口、各県の人口を掲げております。認定医の確保というのは課題の一つと認識しておりますけれども、この評価をするに際しまして、各拠点の認定医の業務に従事している時間数をあわせて勘案する必要があると考えておりまして、現状は非常勤ということで、認定医の方が従事いただいている時間数がまちまちになっておりますので、単純な人数比で比較するというのは問題があるかということで、ここは詳細な分析が必要と考えておりまして、現時点では参考としてご覧いただければと考えております。

 資料4-1にお戻りいただきたいと思いますが、地域差の取り組みに関しまして、前後しますが、4ページをご覧いただきたいと思います。

 先般の実態調査の結果を踏まえまして、中でも精神障害と知的障害の認定において地域差による不公平が生じないようにする必要があるということになっておりますので、等級の判定のガイドラインとなる客観的な指標、就労状況の評価といったものの検討のために専門家検討会を設置いたしまして、2月19日に第1回を開催してございます。

 専門家の検討会では、記載してありますように「客観的な指標(ガイドライン)や就労状況の評価」について検討するということでございます。

 なお、障害厚生年金につきましても、現在、基礎年金と同様のサンプル調査を実施しておりますので、その結果も踏まえて検討していく予定でございます。

 次に、地域差の発生する原因といたしまして、機構の事務運営のあり方についての御指摘がございましたので、3ページに戻っていただきますが、現状についてご覧いただきたいと思います。

 機構において障害認定医の方、あるいは事務を担当する職員の間での情報の共有がどのように進められているかということでございますけれども、それぞれ年1回、本部で会議を開催しております。認定基準の改正の周知のほかに、事務の標準化に関する課題が出てまいりますので、それらに関しまして、随時取り上げて意見交換等を行っている現状でございます。

 今後の取り組みといたしましては、5ページをご覧いただきたいと思いますが、認定医の確保並びに事務の実施体制の見直しということで、まず、「(1)認定医の確保」は先ほど参考資料でご覧いただきましたけれども、業務量に見合った配置が出されているかという観点から、まず実態をきちんと確認することが必要でございまして、それを踏まえまして、拠点別に確保目標を定めていきたいと考えております。

 あわせまして現在、認定医の方々の勤務の実態、なかなか週1回あるいはそれ以上という状況もございまして、確保にやや苦慮している面もございますが、機構本部からも必要度の高い拠点において早急に充足するために、関係団体等に協力をお願いすることにしております。

 あわせまして「(2)障害認定医会議の開催方法の見直し」でございますが、これにつきましても、地域差の問題をなるべく生じないようにするための連絡会議という位置づけをきちんと明確にしていきたいということで、内容あるいは開催方法につきましてご覧のような見直しを考えております。

 これらはいずれも平成27年度には実施に入りまして、早急に実施したいと考えてございます。

 地域差に関しまして(3)ですが、事務センターごとに事務を現在、行っているわけでございますが、そういった審査体制のあり方に起因している面があるのではないかということがございまして、この実施体制につきましても見直しをするということで、現時点での考えと方針でございます基本的な考え方でございますが、各ブロックを単位に再編成をしていくことを検討したいと考えております。具体的な内容や手順等につきましては、機構本部で7月までに体制を整備して検討したいと考えてございますけれども、ブロック内の各ブロック9ブロックございますが、障害認定事務につきまして、ブロック本部の管理を行いました。その管理のもとで統一的な対応が可能となる体制をつくっていきたいということでございます。

 事務の実施拠点につきましては現状の状況もございますので、障害認定医の確保、あるいは専門知識を有する職員の養成、こういったものに早急に取り組みますが、これらを踏まえまして順次、決定をしていきたいと考えてございます。

 6ページに「有期認定のガイドラインの作成」というものがございます。耳なれない話と思われますけれども、障害年金が既に決定された方につきましては、一度決定をされましても、その後、受けた治療とかリハビリテーションといったものの状況に応じまして、障害の等級が変わる場合がございまして、そういったことを想定して、一定の年数が経過した後に、再度障害の状態を確認するということが法律で定められておりまして、中には一旦決めればもう状態が変化することはないだろうということで、永久固定というケースもございますが、有期の場合があるということで、これは現状1年から5年の期間の中で、個々の障害者ごとに認定医の方が決めていただくという形になっております。診断書の提出をお願いする時期を認定医に定めていただくという取り扱いになってございます。

 この有期認定の定め方でございますが、同じ傷病であっても、現状、拠点によって決め方に多少相違があるという実態もございまして、全国的なルールが必要かということで検討を行っているところでございます。

 続きまして「窓口対応の改善」ということで、2番目の論点でございますけれども、7ページをご覧いただきたいと思います。

 前回の会議におきまして、障害年金の請求手続に関して改善すべき点を御指摘いただきまして、そのうちの一つであります請求時の相談につきまして、まず御説明いたします。

 障害年金を受けるためには、まず初診日、初めて医師にかかった日を認定いたしまして、その上で障害認定日あるいは請求した日、そのいずれかにおいて障害の状態にあるかということを診断書で確認をする必要があるわけでございますけれども、従来は診断書が有料ということもありまして、お客様にとって不必要な金銭的負担がかかるということがないようにしないといけないということで、そういった添付書類の入手を優先して御説明する場合がありました。

 また、その手続は非常に複雑なわけでございますけれども、どのような手続が想定されるかといったことについての御説明が適切にできていない場合もありまして、お客様が心理的な負担を感じるということも御指摘を受けております。

 このため1でございますが、2月9日に指示・依頼といって、内部の指示文書を発出しておりますけれども、請求書をお渡しする時期、あるいは御来所いただく回数を少なくするための説明のあり方等につきまして、指示を発しております。

 資料4-2の8ページがその指示・依頼のポイントとなる部分の全文でございますけれども、9ページにお客様に請求を希望される方、御来所されたお客様に対しまして、このような注意事項という1枚のチラシでございますが、お渡しをいたしまして、初診日の確定のために必要な事柄あるいは納付要件、それから診断書による障害認定がどういう手続で行われるかというポイントを記載しているものでございます。これを必ず窓口でお渡しをすることにしてございます。

 戻っていただきまして、資料4-1の8ページでございますけれども、現状、外部の目で御評価いただくことも必要ではないかということでございまして、既にこれは機構で発足以降、外部調査機関を活用した窓口調査というものを実施しております。その中で、従来はマナー、接遇といったものが中心でございましたが、今後は障害年金の手続につきましても項目を新たに盛り込みまして、実施をするという予定でございます。

 3番目の不支給決定に関する改善でございます。これは請求をいただきました結果、残念ながら不支給という決定になった場合、あるいは既に受給された方が先ほども御説明しました再認定ということで、その結果、障害等級に該当しないという決定になった場合、これは支給停止ということになりますけれども、そういったときにお客様に対する理由の説明が十分ではないという御意見がございまして、この場合の通知文書が資料4-2の10ページでございます。通知書をご覧いただきますと「却下する理由」というのが真ん中辺にこのように手短に書いてございます。

 実務上、個々の事案の内容については記載できないのでこのような記載になっておりますが、今後は照会先を年金事務所ということで記載をし、あわせて年金事務所に照会いただいたときに、決定をした事務センターにおいてきちんと説明する内容を明示して、その実施手順を定めることによって十分な対応ができるようにしたいと考えてございます。

 3までにつきましては、以上でございます。

 

○池上給付事業室長 続きまして、4から6につきましては、年金局事業管理課給付事業室長の池上から御説明させていただきます。

 4は「初診日証明や障害認定日の診断書が取れない場合への対応」です。

 9ページの1つ目、2つ目の〇ですけれども、障害年金を支給するに当たりましては、初診日が非常に重要になってきます。年金をもらえるのかどうか、もらえるとしたらどのような年金がもらえるのかというのが、この初診日によって決まってくるわけですので、請求時に初診日を明らかにすることができる書類の添付を求めているところでございます。

 ただ、だんだん状態が悪くなって、事後重症請求を行うなどの場合につきまして、医療機関でカルテが保存されていないという状況もございます。それによって初診日の証明が得られず、障害年金を受けられないという事案が生じています。

10ページは、もう一つの課題ですけれども、初診日から原則1年半後に障害認定日というものが来るわけですが、その日からの年金の支給を求める障害認定日請求を行う場合には、その障害認定日の付近の診断書が必要となります。それによって障害状態を確認して、年金をお支払いできるかどうかを確認するということをしておりますけれども、2つ目の〇でございますが、長期間遡及して認定日からの年金の支給を求めるという場合に、診断書が得られずやむを得ずに事後重症請求を行う。これは請求日以降の年金をお支払いするものですけれども、そのような請求を行うという事案が生じてございます。

10ページの下半分には、地域差の関係でサンプル調査を行いましたが、その中で初診日不明あるいは認定不能によって不支給となった件数を参考までに記載させていただいています。

11ページですけれども、これにつきましては障害者団体から要望をいただいているところですし、裁判でもこの点を争っているという事例もございます。裁判の判決につきましては、参考資料は時間の関係で後ほどご覧いただければと思いますが、国側の判定を覆す判決もございますけれども、一方で、国側の判断を支持するような判決も出ている状況でございます。

 これまでの対応ですけれども、12ページ、まず1つ目の初診日の話ですが、初めて受診した医療機関の証明が得られない場合につきましては、何らかの方法で客観的に初診日が確認できるよう、申請者の状況に応じまして、幅広い資料を参照することとしておりまして、ここに挙げたようなものを参照して、できる限り初診日を判定するように取り組んでいるところでございます。

13ページ、障害認定日の診断書につきましても、原則、障害認定日の診断書を添付していただくことが必要になりますけれども、その障害の状態によりましては、例えば四肢の欠損など状態が固定化することが明らかであるようなものにつきましては、障害認定日の状態が確認できるということで、支給を認めている取り扱いとなってございます。

 「今後の対応方針」が13ページの下半分ですけれども、まず1つ目の初診日証明につきましては、初診日を確認するために用いた参考資料について過去の事例を整理して、医証がない場合にはそれらを参照することができる旨を全国の事務センター、年金事務所等に周知徹底をする。それから、個別に御相談いただいたときに、どういう資料が使えるかということを案内したか、これらについても記録に残してきちんとした対応ができるようにしていきたいと考えています。

 2つ目、診断書の関係ですけれども、これにつきましても認定日の診断書がなくても状態が確認できると判断された過去の事例を整理いたしまして、同様の事案につきまして障害の状態を確認できるということを、事務センターや年金事務所などに周知をいたしたいと考えています。

 なお、資料にはございませんけれども、けさの報道で、初診日の証明につきまして、国家公務員共済などの共済で本人の申告で支給が認められているという記事がございました。これにつきましては、保険料の納付要件がそもそも制度としてないという違いも背景にあろうかと思いますが、いずれにせよ、本年10月に被用者年金の一元化が行われることになっておりまして、それ以降は共済年金の取り扱いについても、厚生年金、国民年金の取り扱いに基本的に合わせることとなっています。

 5番目、「障害年金制度の周知」の関係です。

 障害年金の周知につきましては、平成22年に、身体障害者手帳をお持ちの方で障害年金を受け取られていない方についてアンケート調査をいたしましたところ、基準に該当しないというお答えも多かったのですけれども、そもそも制度を知らないという御回答もございました。

 

○増田部会長 済みません。時間の関係もあるので、もう少し簡潔に説明していただけますか。

 

○池上給付事業室長 申しわけございません。わかりました。

 これまで周知の取り組みを行ってきたところでございます。去年の夏からも新たな取り組みとして、障害者手帳の中に障害年金のリーフレットを挟み込むなどの対応を行っていますが、今後の取り組みといたしましては、15ページにございますけれども、今、市町村の窓口で活用できるパンフレットや動画などを作成しておりますので、そうしたものの活用や、あるいはお一人お一人に届く「ねんきん定期便」の活用、年金事務所が行う地域年金展開事業などを利用して、周知を一生懸命行っていきたいと考えてございます。

16ページからは、前回御質問がございまして十分にお答えできずに申しわけなかったのですけれども、平成22年に障害者団体からの要望を日本年金機構でまとめていただきまして、年金局にお伝えいただいたということがありました。それへの対応状況についてまとめている資料です。

 運用に関しては、全部で4つ事項がございました。詳しい説明は割愛いたしますけれども、例えば1番では日常生活状況について診断書に書きにくいという御意見をいただいておりまして、それを受けて、平成23年に診断書や認定基準の見直しなどを行ったところでございます。

 2番目の項目についても、認定基準の見直し、診断書の様式の変更ということで対応をさせていただいてございます。

 3番目、4番目についても書かせていただいたとおりでございますけれども、最後、19ページ一番下のところですが「今後の対応」としては、今「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」をやっておりますので、さらに就労状況の評価のあり方などについて検討を行ってまいりたいと考えてございます。

 

○向山日本年金機構給付企画部長 最後、7番でございますが、課題の把握をしっかりすべきだという御意見で、現在の取り組みを20ページ、今後の取り組みにつきましては21ページに記載させていただいております。

 お客様の声は年金機構の窓口で常時把握をさせていただいておりますが、これらにつきまして、きっちり本部のほうで分析をするということ、現場を担当している職員と連絡を密にして課題の抽出に努めていきたいと考えております。

 以上でございます。

 

○増田部会長 今の説明の6番の「障害者団体からの要望への対応状況」というのは前回も問題になって、きょう磯村委員が欠席していますけれども、磯村委員がこの点についていろいろ指摘した部分ですから、むしろ全体の資料の説明で、そういう前回問題になったところを中心にきちんと説明したほうがいいと思うのです。全体のバランスをよく考えてきちんと説明するように、こちら側の関心事項とかということをきちんと説明できるように説明のやり方をよく考えておいてください。

 

○池上給付事業室長 失礼いたしました。

 

○増田部会長 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら、どうぞお願いいたします。

 椎野委員、どうぞお願いします。

 

○椎野委員 私は実際にこういった年金相談の中の実務を行っている社会保険労務士ですが、老齢給付や遺族給付とは違い、この障害年金というのは、先ほどの御説明にもあったように、事後重症とか二十歳前障害という、自分の人生一生をかけて初診日がいつなのかという調査をしなければならないこともあります。それに伴って診断書も添付しなければならないため、障害年金の請求は年金の知識がある者でも大変難しいものです。実際に周りの方にお話を伺うと、障害者の方というのは日常的に自分の身体の具合も悪いため、年金事務所に行くことも困難な上、対応する職員の個人差が大きいということになって、何度も行くことができず結局十分な説明がなく諦めてしまったという御相談が結構あります。

 ですから、ぜひこの辺を考慮し、障害年金の請求をする方は障害をお持ちだという前提で対応をして差し上げる必要があると思います。たとえば、難しいのかもしれませんが、できたら専門の障害担当者という方もいていただけると、申請に行かれた方は随分楽になるのではと考えております。

 以上です。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 今、委員から御意見ですからきちんと聞いていただいて、今の意見を重く受けとめて、対応をまたよく考えておいていただきたいと思います。

 山口委員、お願いいたします。

 

○山口委員 窓口対応の改善の項目に関して質問させていただきます。

 資料の8ページで、「不支給決定の理由の説明の改善」ということを取り上げていらして、もう一つの資料の10ページから13ページに不支給通知の例が挙げられています。理由を説明する機会を増やして改善されるのはいいことだと思うのですが、書式の例の「支給しない理由」に書いてある文章を見ますと、ほぼ結論が書いてある程度に見えなくもないため、施行令別表に定める程度に該当しないといったときに、多分、普通の人はこういう法令のことは余り詳しくないということもあるので、説明の機会を増やすというのはもちろんなのですが、利用される方、受給される方が読んでわかるような文章ということについても、御検討をお願いできないかと考えます。

 以上です。

 

○増田部会長 ありがとうございました。

 最後にまたまとめてお答えいただきたいのですけれども、ほかにはいかがでございますか。

 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 幾つかあるのですけれども、まず資料4-2のデータなのですが、5ページに「新規請求に関するデータ」と、次のページに「再認定に関するデータ」が載っていますが、新規請求に関するデータは各事務センターできちんととっていて、再認定に関するデータはとっているところととっていないところがあるみたいなのですが、これは両方ともきちんととらないと実態把握できないのではないかと思うのですが、なぜこれをやっていないのかというのをまずお聞きしたいのと、認定医の数ですけれども、先ほど人口差だけではわからない、事務の時間なども勘案しないといけないということですが、これは今後その県ごとに、あるいは事務センターごとというのですか、適正な認定医の数というのを決めていくのかどうか、それも決まったら教えていただきたい。

 もう一つ、今まで審査請求についてブロック本部の管理のもとで統一的な対応ができていなかったと書いているわけです。同一的な対応が可能となるよう条件整備の方策を検討する。これは統一的な対応ができて当たり前だと思っていたのですけれども、なぜできなかったのか。条件整備というのは認定医の数だけなのか、ほかにあるのか、その辺を教えていただけますか。

 

○増田部会長 ほかにはございますか。よろしゅうございますか。

 そうしましたら、今、椎野委員、山口委員、岩瀬委員から御質問と貴重な御意見をいただきましたので、御質問にお答えするということと、御意見についても何かございましたらお願いをしたいと思います。

 

○向山日本年金機構給付企画部長 まず、椎野委員の窓口での専門知識を有する職員を早急に育成。これにつきましては私も全く同じ認識でございまして、機構発足時に職員が多少入れかわったという問題がありますので、早急にその研修等に取り組んでいきたいと思います。

 山口委員の不支給決定の理由でございますが、確かに法令のことだけ書いてあって、少しわかりにくいということはございますので、その表現ぶりにつきましては厚労省とも御相談をさせていただきたいと思っておりますが、個別の内容につきましては先ほどお話をいたしましたように、対面で年金事務所で理由を説明することを基本に考えています。

 岩瀬委員の御質問で、3点ございましたが、まず参考資料の5ページと6ページ、新規請求のデータと再認定のデータで平仄というか、特に再認定のデータがきちんととれていないということ。これは理由といたしましては、再認定というのは先ほどもちょっと申しましたけれども、厳密には処分ではなくて確認行為ということで位置づけていて、そこの取り扱いがきちんと定まっていなかったというのが実態でございます。ただ、全国的なデータは必要でございますので、現在、集計に取り組んでおります。

 認定医の数について数値で決めるのかという御質問でございましたが、先ほども申し上げましたが、業務に従事していただいている時間数等を勘案しまして、最終的には人数で定めていければと考えてございます。

 審査体制の御質問でございましたが、条件整備とはどういうことかということでございましたが、まず現行は各事務センター、今44カ所ですけれども、そこに認定医に来ていただきまして業務を行っている。その間の連絡等に十分でなかった点もあるかもしれないということで、ここはブロック本部がそういう位置づけはもともとございますが、きちんと認定の実態について管理をして、その結果をもし問題があれば指導するということをまず基本に立ち返る。あわせて事務の実施体制につきまして、ここはまだ認定医の確保の状況等は今後流動的な面がありますが、できれば広域化というか、集約を図っていくという方向で検討していきたいと考えております。

 

○増田部会長 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 結局、よくわからなかったのだけれども、認定医の数というのは、時間で決めるといっても審査が非常に難しかったり、いろいろな事案があって、時間でそんなに簡単に決められるのかと思ってしまうのですが、事務センターごとに適正な認定医の数というのを決めた上で認定医の確保にかからないと、結局、確保できなかったというので終わってしまうのではないかという気はするのですが、その点はどうなのですか。

 

○向山日本年金機構給付企画部長 時間というか、結果的には申しましたとおり数を増す、人数で確定をしていくと考えておりまして、現状1件当たりの審査に要する時間に開きがあるということが実態でございますので、それをできるだけならしていくというか、そういうことを目標にしたいと考えます。

 

○岩瀬委員 結局事務センターごとに、機構が考える、あるいは年金局か考えるのかどうかわかりませんけれども、適正な認定医の数を決めてその確保に努力をするということでいいわけですね。その認定医の適正な数というのを教えていただけますか。

 

○向山日本年金機構給付企画部長 おっしゃるとおりでございます。これは検討して、できるだけ早期に御報告できるようにしたいと思います。

 

○増田部会長 西沢委員、どうぞ。

 

○西沢委員 資料4-2の19ページ目で、社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会の方の意見がありまして、要望事項の○に「診断書の様式等について」というタイトルがついていますけれども、中身を見ると、例えば第2パラグラフの「主治医を持たない場合があります」というところがあって、これは単に診断書の様式という問題よりも、通常、我々は主治医を元気ですから持たないので、それは日本の医療提供体制の問題も大きいと思うのです。

 例えばほかの国で家庭医みたいなものがいる国であれば、元気であっても登録しておいて、お医者さんとのコンタクトを保つわけであって、ですので、この方々の言っている要望というのは、様式の面もありますけれども、多分、日本年金機構、厚労省全体に言っている側面もあると思うので、日本年金機構で対応できるところはこうして書式の変更として対応して、省として例えば医療をつかさどる部局にこういった要望を上げて今後改善につなげるとか、省を挙げての対応も必要かと思います。

 せっかく今、主治医制度とかかかりつけ医とか、総合診療専門医という仕組みができていくので、そうした中で、そういったお医者さんたちに日常の行動を見ながらより適切な診断書を書いてもらえるように、省の中で調整していけばいい話だと思うので、そういった回答も必要かと思いました。

 

○増田部会長 ありがとうございます。

 

○池上給付事業室長 今の点につきまして、おっしゃるとおりで、知的障害の場合はふだん医療機関にかからないというケースも非常に多くなってございます。ただいまの問題提起につきましては障害部ですとか、あるいは医政局で医療提供体制をやっていますけれども、情報共有して考えていきたいと思っています。

 年金局でできることといたしましては、診断書を書いていただく医師の方にできるだけ書きやすく診断書の記載をしていただけるように、記載要領を既に作成したところではありますけれども、今後、専門家検討会の中でさらに診断書を書く医師向けの対応についても考えていきたいと考えています。

 

○増田部会長 ちなみにこの平成23年のときは、手をつなぐ育成会からの要望書が出てきたときは、きちんと全省的に回していたのですか。

 

○池上給付事業室長 このときは年金を請求するに当たっての診断書の様式と捉えておりまして、こちらのほうで。

 

○増田部会長 そちらの部局だけということですね。

 今の御意見は、いずれにしてもこれからの対応については、かかりつけ医をきちんとやるとかという話は今、全省的に進めている話ですから、きちんとそちらに回して総合的な対応を関係部局に促すということだと思うので、ぜひそういう対応をよろしくお願いしたいと思います。この点は、よろしゅうございますか。

 最後の議事事項の「その他」ということでありますが、幾つか事務局から報告事項がありますので、お願いをしたいと思います。

○梶野年金事業運営推進室長 2つございます。まず、資料5の役員の報酬規程の改正を説明します。

 役員の報酬の改正は機構法で、機構から大臣に届け出がなされて大臣は社会保障審議会に通知することになっています。審議会はその基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて意見を言うことができるということで、こういう資料をお出ししております。

 5ページ目、下に「Page5」と書いてあるところでございますけれども、平成26年の人事院勧告を踏まえて、日本年金機構の役員の報酬についても、国の指定職の扱い平均2%の引き下げに準じた役員報酬規程の改正を行うというものでございます。

 一番上の表が基本的に2%本則を下げるというものでございます。真ん中の表でございますけれども、その上に書いておりますが、現在、実額は上の表の額ではなくて「年金記録問題の現下の状況を踏まえ、年金記録問題に一定の目途がつくまでの間、役員報酬を減額する」ということで、最大16%落ちた姿がこの真ん中の表でございます。

 ということで、今回、国家公務員のほうも本則は下がりますけれども、従前額保障ということもございますので、機構の場合はより下がっていますので、現在支給している月額については変えないということでございます。

 説明は以上でございます。

 

○増田部会長 前回部会で出された宿題事項というものがあって、これが資料6だと思いますので、こちらもあわせてお願いします。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 人事・会計部門の理事でございます。よろしくお願いします。

 前回の部会での宿題事項ということでございまして、契約に係る監視・監査業務について、具体的にどのようになっているかということで、今回は全体像を示したものを資料として用意させていただきました。

 1枚目はその流れ図になっていますが、まず2枚目をご覧ください。こちらに機構の全体の契約案件の25年度分を載せてございます。全体で5,776件ございます。本部におきましては1,568件、ブロック本部につきましては4,208件でございます。

 また、競争入札では1,009件、随意契約では4,767件という形になっております。

 1枚目に戻っていただきまして、1枚目には全体の先ほど申し上げた流れ図、3枚目にはそれぞれの仕組みというか内容について記載してございますので、あわせてご覧いただきたいと思います。

 全体像といたしましては、まず、契約前の審査ということでございますけれども、本部では調達委員会、各ブロック本部では契約審査会がございまして、そこにつきまして契約方式の妥当性、あるいはその概算所要見込み額、予定数量等の妥当性、コスト削減の余地等々について、事前にその妥当性について審査を行っています。

 下のほうの監視業務になりますが、ここでは契約締結後の審査を行っています。これは入札結果等を踏まえて契約の妥当性のチェックを行っています。

 まず、監事のほうで調達部からこれは入札全件でございますが、毎月入札結果の報告がございます。それから、500万円以上の随契についても全件監事に報告をすることになっています。

 この後でございますけれども、契約監視委員会というもう一つ下に枠がございますが、これが3カ月に1回の割合で実施しております。これにつきましては、3つそれぞれ案件がございまして、1つは個別審議案件、これにつきましては小さく書いてございますけれども、低入札あるいは一者入札、落札率98%以上、不落随契等について、それぞれ監事が抽出基準を設けて、そこから選定したものを契約監視委員会にかけているということでございます。

 その他、500万円以上の随契の案件は全て、後ほど申し上げますけれども、監査部から監査結果報告がありますので、それについて審議を行うという形になっております。

 もう一つ右側の枠でございますが、これは監査部が行う監査業務でございます。これにつきましては、契約手続きの準拠性ということでございまして、予算要求とか予算の執行管理、あるいは調達の手続、契約の手続、支払いの手続等々について、準拠性を監査することになっています。これらにつきましては、最終的にはそれぞれ理事長に報告をされた後に必要な改善を行っているということになってございます。

 3ページをご覧いただきたいのですけれども、その中でそれぞれ調達委員会、契約審査会、あるいは監事・契約監視委員会、監査のところで、構成のメンバー、あるいはどのようなものを対象にしているのか、主な審査内容について記載をしてございます。

 本部とブロック本部において、監査、監視業務のやり方が若干違っておりまして、本部につきましては、先ほども申し上げましたが、事前には調達委員会、その後、監事・契約監視委員会と、監査業務の両方から行っております。

 ブロック本部につきましては、監視業務は直接行わなくて、まず監査部によるチェックを行った後に、先ほど申し上げましたが、監査報告書というものを契約監視委員会にご報告をして見ていただいているということになっています。

 監査業務につきましては、監査結果につきましては先ほど理事長、監事・契約監視委員会に報告ということでございますが、実際に監査を受けた部署においては監査結果通知書を発出しまして、改善計画書を1カ月以内に提出させるということを行っています。その後、改善したかどうかについては、また監査部が事後チェック、あるいはフォローしていくという形になってございます。

 監事・契約監視委員会のところにつきましても、個別審議等を行った後に改善、あるいは指摘事項については理事長に報告をしていただきまして、その後、改善するものについては改善を行うという形になってございます。

 4ページ、5ページには、どの程度の割合で監視・監査業務を行っているかということが記載してあります。4ページは本部でございまして、調達案件1,568件のうち、約5割程度のチェックを行っているということでございます。

 なお、高額な案件を中心に、500万円以上については全件見ていただいているということになっておりまして、さらに10万円以上の案件だけを見ますと、7割相当をチェックしているという形になっています。

 5ページは、ブロック本部でございますが、ブロック本部は監査業務のみでございますが、全体の3割程度という状況になってございます。

 このほか、この資料にはございませんけれども、会計監査人により契約あるいは購買、支払いプロセス等について機構の職員にヒアリングをする、あるいはサンプル調査によって契約書を確認するなどをして、内部統制の整備や運用状況を評価していただいてございます。そういう中でアドバイスもいただいてございます。

 簡単でございますが、資料の説明とさせていただきます。

 

○増田部会長 今の資料の3ページのところの「一定の条件を満たすSLAを取り入れた契約」と書いてある、このSLAを取り入れた契約というのは何のことですか。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) サービスの基準を定めるのですけれども、例えば入力委託をする場合は、その入力委託の誤入力の率を何パーセント以内にするとか、そういったものの取り決めをしていくのがSLAといった形でございます。それを取り入れるものについては、調達委員会に全て案件をかけるという仕組みになっている。

SLAとは、Service Level Agreementということでございます。

 

○増田部会長 それの略か。わかりました。金額とかそういうことではなくて、サービスの中身のことですね。わかりました。

 今、2つ説明がありましたのですが、これについて御意見あるいは御質問等がございましたら、お願いします。

 岩瀬委員、どうぞ。

 

○岩瀬委員 契約についてお聞きしたいのですけれども、契約監視委員会の審議案件というものが4つ書いていますね。低入札価格調査とか、4つの条件を満たさないと審議案件にならないのかどうか。つまり、500万円以上の契約であれば全件やると裏にも書いているのだけれども、これは全部審議するのですか。

 

○増田部会長 お願いします。

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 一つ一つの項目につきまして、まず抽出をいたします。

 

○岩瀬委員 この4項目について一つ一つですか。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 一つ一つについて抽出をいたします。それを監事のほうで見ていただいて、その中で監事の目でこれは個別に審議すべきだという案件につきまして、契約監視委員会に審議をするという形になっています。

 

○岩瀬委員 4ページに500万円以上の案件については100%実施している。これと審議とはまた別のことですか。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) これにつきましても、どういう案件の随意契約をやったかという一覧表を出しますけれども、その中で、委員の目でこれはどうかと思ったものについては改善等をするという形になっています。

 

○岩瀬委員 これは大体、契約監視委員会の審議案件というのは毎年8件から10件ある。去年の審議案件8件から10件見せてもらえませんか。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 25年度分ですか。

 

○岩瀬委員 去年とおととし、2年。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 2425年度ですね。

 

○岩瀬委員 委員全員に配ってもらったほうがいいのではないですか。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 次回、お出しするようにします。

 

○岩瀬委員 お願いします。

 

○増田部会長 今、契約を出すことについて、守秘義務だとか何かの関係で問題ありますか。いいですか。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) そこもあわせて整理をさせていただいた上でお出しします。

 

○増田部会長 必要であればマスキングするとか何か考えられると思うのですが、少し中で検討していただいて、岩瀬委員と相談して、出すのであれば中身がわかる形で全員にひな形として出すようにお願いしたいと思います。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) わかりました。

 

○増田部会長 私からもまとめて。98%の落札率と書いてあるのだけれども、これは平均か、それから98%というのは一体どれくらいの案件が対象になるのか、普通だと98%の落札率というのはものすごく高い。これは予定価格に対しての割合でしょう。ほとんどイコールに近いぐらいなので、上の本当に一部をとって調査しているような感じなのだけれども、95%以上だと案件ががたっと多くなるのかとか、そのあたりちょっとよくわからないのですが、この98%の相場観というのはどのくらいの感じなのですか。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 機構の場合は非常に毎年毎年同じ契約を結んでいるというのがかなりありまして、例えば振り込み通知書などもそうなのですが、何千万件とかなりの量を出すのですけれども、そのときに1社ではなかなか難しくございまして、複数の業者に契約を結ぶというケースがあるのですが、そういったときに既に昨年、契約しているわけです。そうすると、だんだんだんだんとわかってくるというのがございまして、最初は下から順番にとっていきますので、どうしても100%に近づいてくるようなケースはございます。

 

○増田部会長 定形なもので出している。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 定形なものが多くなります。

 

○増田部会長 どうしてもこう近づいてくるということですか。わかりました。請負契約とか公共事業のときなどだと、最近はだんだん下げてきて、90%を超える案件、91%とか92%ぐらい以上全部調査していることが多いと思います。ちょっと仕事の性格が違うから確かにそうかもしれませんけれども、ただ、落札率98%以上を委員会にかけているというのは、私の感覚だと監視機能が本当に十分それで果たされるのか、若干、数字だけ見るとそのような気がしますが、監視委員会が開かれるのは、3カ月に一度ですね。3カ月に一度だと、どのくらいの案件がそこに出てくるのかわかりませんけれども、多分2時間とかそのくらいの審議の間に出すわけですね。

 

○木谷日本年金機構理事(人事・会計部門担当) 2時間から3時間ぐらいでございます。

 

○増田部会長 それの開催頻度と今、言ったようなそこにかける案件ですね。1件当たりどのくらい審査にかけているのかとか、そのあたりのバランスなども考えておいて、ずっと同じようにやるのではなくて、事情に応じて変えていく必要があると思うのです。大体、世の中の流れがこういう契約案件については透明性を高くきちんと監視機能が果たされて、第三者の目を必ず通すというのが原則です。そのあたりもよく考えていただきたいと思います。

 ほかにはございますか。よろしゅうございますか。

 どうもありがとうございました。きょう予定しておりました議事は全て終了いたしました。

 次回の日程等について、事務局から説明をお願いします。

 

○梶野年金事業運営推進室長 本日もお忙しいところ、ありがとうございました。

 次回の日程につきましては、委員の皆様方に御連絡を差し上げております4月17日金曜日、13時半から開催したいと思います。場所は後日また御連絡します。

 どうもありがとうございました。

 

○増田部会長 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、どうもありがとうございました。


(了)

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