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2014年11月21日 第3回目安制度の在り方に関する全員協議会 議事録

労働基準局

○日時

平成26年11月21日(金)
10:00~11:25


○場所

厚生労働省12階専用第14会議室


○出席者

【公益委員】

仁田会長、鹿住委員、中窪委員、藤村委員

【労働者委員】

木住野委員、須田委員、田村委員、冨田委員、萩原委員、松田委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、中西委員、横山委員、吉岡委員、渡辺委員

【事務局】

谷内大臣官房審議官、松本大臣官房参事官(併)賃金時間室長
辻主任中央賃金指導官、久富副主任中央賃金指導官、新垣賃金時間室長補佐
井上社会・援護局保護課課長補佐

○議題

目安制度の在り方について

○議事


○仁田会長 それでは、ただ今から第3回目安制度の在り方に関する全員協議会を開催いたしたいと思います。
 本日は、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日、武石委員、土田委員が御欠席です。
 前回は、全員協議会の検討事項等について、御自由に御意見をいただいたところでございます。
 本日も引き続き御意見をいただくということになっておりますけれども、まず前回御質問をいただきました生活保護の住宅扶助等について、御説明をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

○井上社会・援護局保護課長補佐 皆さん、おはようございます。社会・援護局保護課の井上と申します。よろしくお願いいたします。
 前回、生活保護の住宅扶助の関係で御質問があったということでございますので、本日、簡単ではございますけれども、現在、検証を行っております住宅扶助等の状況につきまして、お話をしたいと思います。
 お手元の資料No.1の1ページ目でございますけれども、生活保護基準につきましては5年に一度、こちらに載っております生活保護基準部会で、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか、検証を行うこととされておりまして、御案内のとおり、平成25年1月に基準部会におきまして、生活扶助基準の検証結果の取りまとめを行っていただき、それを踏まえて、現在、3年程度をかけて生活扶助基準の見直しを実施しているところでございます。
 平成25年1月の報告書の中に、生活扶助以外の加算制度と他の扶助制度についても、基準部会で速やかに検討を行うべきという旨が記載されておりまして、財政制度等審議会ですとか今年6月の骨太の方針、そちらのほうで住宅扶助と冬季加算について、検証の必要性を言われておりますので、今年度は住宅扶助と冬季加算の検証を主に行っているところでございます。
 一番下に開催状況がございますけれども、今年の3月ぐらいから住宅扶助等の議論を始めております。
 更新をしていなくて申し訳ないのですけれども、今週の18日に第20回目を開催いたしまして、住宅扶助と冬季加算について御議論をいただいたところでございます。
 こちらもここには載っていないのですけれども、大きな論点としましては住宅扶助のほうですと、今の住宅扶助基準の上限額は一般世帯が支払う家賃の水準と比べて妥当かどうかといったことですとか、毎年の改定方法はどうやっていくべきかといったこと、それといわゆる貧困ビジネスの対応についても、何か考えていく必要があるのではないかといった点につきまして、主に議論のほうをいただいているところでございます。
 冬季加算につきましては、冬季加算額は一般低所得世帯の消費実態、冬季に増加する支出額と比べて妥当かどうかといったことについて、御議論をいただいているところでございます。
 スケジュール的には、住宅扶助と冬季加算とも12月中に取りまとめを行って、平成27年度予算に反映をさせていく、施行していくということで予定はしておりますけれども、衆議院の解散の関係で12月中の取りまとめというのは、もしかしたら難しくなるかもしれないということでございます。現時点では、住宅扶助も冬季加算も見直しの方向性というのはまだ決まっていないという状況でございます。
 資料の参考としまして、資料の2ページ以降でございますけれども、資料2ページが今年6月の「(骨太の方針)」の該当部分の抜粋ということでございまして、下の3行の部分が該当部分でして、住宅扶助と冬季加算の検証が明記されております。
 3ページ目でございますけれども、現在、見直しを行っております「住宅扶助の概要」になっています。住宅扶助は、生活保護世帯の家賃代に相当するものというものでございます。
 一般基準と特別基準がありまして、今回、検証を行っておりますのは下の支給上限額であります、特別基準額の水準が妥当かどうかという部分でございます。
 最後、4ページ目は、同じく見直しを行っています「冬季加算の概要」でございます。
 冬季の時期における暖房費などの特別の需要に対応するために支給をしているというものでございまして、基準額は1区~4区の冬季加算用の地区区分の他に、世帯人員別ですとか級地別に定めておりまして、左下には地区区分の一覧のほうを載せています。右下には参考としまして、加算額の月額を載せております。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。

○仁田会長 どうもありがとうございました。
 ただ今、御説明いただきました生活保護に関する検討状況について、何か御質問等はございますでしょうか。

○高橋委員 今、どんなことが議論をされているのか、どんな御意見が出されているのかもうちょっと説明していただけませんでしょうか。

○井上社会・援護局保護課長補佐 主な論点は、先ほどお話しましたように住宅ですと、住宅扶助の上限額の水準が一般の家賃と比べて妥当かどうかということでございまして、本当にまだ方向性が決まっていないということで、意見も結構いろいろ分かれて出ているということでございますので、先ほどちょっと御説明を省かせていただいたのですけれども、そのデータの見方によって、どの辺の位置でデータを区切るかによって、一般世帯より基準額のほうが今は高いのではないかとか、低いのではないかというのがございまして、また、両方とも意見がございますので何とも言えないという状況でございます。
 冬季加算のほうも同じ状況でございまして、ただ、冬季加算のほうはデータ上、一般世帯の消費額と比べて、基準額のほうが月額は高めというデータがはっきり出ていますので、委員の方々も冬季加算のほうは仕方がないのかなという感じはあります。

○仁田会長 高橋委員、いかがですか。

○高橋委員 よくわかりません。

○仁田会長 議論の途中ということで、余りはっきりしたことは言えないということだと思います。
 どうぞ。

○須田委員 一般家賃をみるときに、例えば公的住宅供給をしている場合の家賃の見方はどういう見方をされているのですか。

○井上社会・援護局保護課長補佐 今、生活保護基準部会のほうでお出しして比べていただいているデータのほうですと、公営住宅ですとか給与住宅とかは除いて、民営借家とUR賃貸の一般世帯と比べています。

○須田委員 上限設定なので、そういう見方なのでしょうけれども、現実の支給の上限、特に都市部は範囲内という決め方ですよね。
 その範囲内というときの、実際に支払った家賃等が本当の民間の場合と、公営の場合とで相当差が出てくるのですけれども、それは生活保護の性格上、しようがないといえばしようがないのでしょうが、何か家賃というのはどうみているのかなというのが、非常に疑問に思うのです。

○井上社会・援護局保護課長補佐 家賃をどうみているかということでしょうか。

○須田委員 この場は最低賃金の議論なので噛み合わないとは思いつつ、実績が出てきてそれと最低賃金を比較するときに、いつもこの家賃補助の実費というのが実感としてぴんとこないのですよ。
 生活保護法の性格からすると、自分が持っていられる財産を使った上で、足りない部分を公費負担するという性格からしてしようがないのだろうと思いつつ、例えば東京なんかは公営住宅をいっぱい使ってもらっているので、家賃の実績が神奈川より低く出てくるのですよ。それは私らが一般に感じる民間の家賃の水準と、東京と神奈川というのは何でこんなに差があるのかなという意味で、疑問がいつも出てくるのです。

○井上社会・援護局保護課長補佐 今、生活保護だから公営住宅へ優先的に入らなければならないという決まりはないのですが、地域によって公営住宅も供給量が違いますので、それで地域によって差が出てくるのかなというのはございます。

○仁田会長 どうぞ。

○中窪委員 住宅扶助というのが、その家賃の分というのはわかるのですけれども、この冬季加算については、冬には燃料代とかがかかるからということだと思うのですが、検証されているわけですけれども、実際にそれに使ったかどうかというのはわかるのでしょうか。

○井上社会・援護局保護課長補佐 実際、その保護費を支給するときには、冬季加算分が金額上は幾らという形で上乗せが出るのですけれども、ただ、お金に色目はついていないので、冬季加算も趣旨・目的が冬季に増加する需要というだけで、必ず何に使うことと決まったものではないので、実際に何に使われたかまではとっておりません。

○仁田会長 でも、実際に冬季加算というのは、要するに燃料費がどれぐらいかかっているかという実績の統計をとってはいるわけですよね。

○井上社会・援護局保護課長補佐 生活保護世帯に家計簿みたいなものを調査としてつけてもらっているのがございまして、それで実績のデータはとっております。

○仁田会長 他には、いかがでしょうか、よろしゅうございますか。
 途中経過の情報をいただいたということで、また今後、我々の議論で必要になって、そちらの議論が進んでいるようであれば、追加的な情報を御提供いただくということもあろうかなと思いますけれども、このような情報をいただいたということで、本日のところの議論は終えたいと思います。
 どうもありがとうございました。

(井上社会・援護局保護課長補佐 退室)

○仁田会長 それでは、前回に引き続きまして、目安制度の在り方に関して、御自由に御意見を承るという機会でございます。
 まず、事務局から資料について、御説明いただきます。

○松本参事官 資料の御説明をいたします。
 資料2、A4の横紙でございますが、前回の全員協議会での表明された御意見、これはあくまでも御参考として労働者側、使用者側、公益側でどのような意見が出たかというのを、大きなくくりで概要としてまとめてみたものでございます。
 これはあくまでも取りまとめに向けての資料そのものということではなくて、本日、また網羅的に御意見をいただくための、抜けているところがないかという確認をするための御参考として準備したものでございますので、そのように御覧いただければと思います。
 資料については、以上でございます。

○仁田会長 どうもありがとうございました。
 それでは、前回の御議論も踏まえまして、目安制度の在り方に関して、御自由に御意見を承りたいと思います。
 いかがでしょうか、どうぞ。

○萩原委員 恐れ入ります。
 前回、欠席させていただきましたので、本日、私のほうからも発言をさせていただきたいと思っております。
 私が発言させていただきたいのは、賃金改定状況調査についてでございます。もちろん、テクニック的な仕様云々というところもあると思うのですが、その前段に賃金改定状況調査、いわゆる目安制度にこういった調査が入ってきた時代背景と現在の時代背景については、かなり状況的に変わってきたのではないかと思っております。
 目安制度が導入されたころの日本では経済が成長する中で、それを賃金に反映させて、賃金改定状況調査、特に第4表においてはある程度の経済成長に見合った賃金の引上げということが、反映されていた時代ではなかったかと思います。
 これが時代の変化とともになかなか全体の本来の経済、あるいは賃金の状況が本当に反映されているかどうかというところで、少し全体的に課題認識を持っているところでございます。
 そういった点からしますと、この賃金改定状況調査、とりわけ第4表につきましては、1つは大きな意味で現行の経済状況を踏まえた中、あるいは賃金の状況を踏まえた中、大きな意味で少し論議をしていく必要があるのではないかと思っております。
 第2点目は、さはさりながら、なかなか全体を大きく変えるということは難しいところであれば、いわゆる技術的な面としてこの第4表あるいは賃金改定状況調査を補強するような観点、労働者側からはこれまでも主張させていただきましたが、調査対象の拡大といった面、大きな意味での賃金改定状況調査の在り方、もう一点の技術的な在り方の2点で、ぜひこの場で御論議をいただければと思っているところでございます。
 以上でございます。

○仁田会長 どうもありがとうございました。
 他には、御意見いかがでございましょうか。
 どうぞ。

○吉岡委員 
 最低賃金の在り方を検討するに当たっては、経営者の立場として、皆さんに生の声を聞いていただきたいと思っております。
 最近の雇用の現場というのは、非常に働き手の多様化といいますか、変わっております。所得をあまり求めない働き方が非常に多いのです。私は旅館業ですけれども、苦労しております。
 高年齢の方が多いのですけれども、若い方でも余り高度なものはやりたくない、簡単な働き方をしたい、働く内容が簡単なものがいいと言います。洗い場とかお掃除という、ちょっとできること程度の働き方でいいという方がおられます。
 このような点も現状としてありますので、賃金についてはこのようなことも加味していただいて、検討をしていただけたらと思っております。
 以上でございます。

○仁田会長 どうもありがとうございました。
 それでは、それ以外の方から御意見ございますれば、田村委員。

○田村委員 基本的に私は、絶対水準をベースに考える必要があるということを最初に申し上げて、そのことに対して、まず3つあると思います。
 1つは現制度を始めて、第4表重視でやってきた中での経過は第2次産業を中心で始まって、今は産業構造が随分、第3次産業が増えているということに対応できているのかという気がいたします。
 第3次産業の中心でパートだとか、契約社員の方たちが多く入っていると思いますけれども、そこの人たちの仕事というのは、従来のものづくりのところが新入生、ゼロの方たちを雇って教育訓練をしたり、配置をしたりして育てていくというものであったが、この仕事が今は空いている、必要だからそれに合う人を採用するという形に変わってきたのではないかという気がいたします。
 その中で、先ほど吉岡委員からあった、簡単な仕事を選ぶ人というのもいるのかもしれませんけれども、多分、使用者側が求めるのはこの仕事に適した人を、即戦力として求めるという傾向が強くなってきているのではないか、産業構造の変化ということも考える必要があるのかという気がします。
 これまであったものづくりの人たちの中では、その仕事としてどうしても能力的に落ちる人というのは、ある意味では適用除外という形になったと思いますけれども、法律が変わった中で、多くの人たちはその適用除外から減額措置という形に変わっただけですので、産業構造の変化というのは、いろいろ審議の中では反映されてきていなかったのではないかというのが1点目でございます。
 もう一つは、日給の表示からすべて時給表示に変わってきたという意味は、何なのでしょうかという気がいたします。
 日給表示ですと、それは1日の生活できる賃金なりを補塡するという意味合いが大きかったのかなと思いますけれども、時間給の表示になりますと、何時間働いたというのは関係なく1時間が幾らという形できますから、仕事に対するという見方のウェイトが増えてきたのではないかという気がいたします。そうすると、仕事に対する賃金という比較の仕方ということも必要なのではないかというのが2点目でございます。
 もう一つは、先ほど言いました産業構造変化の中で、多くの方たち、特に多くの女性が流通の職場で働くという形の中で、主たる生計者としての働き方という形もその中に増えてきたということを考えますと、影響率も今までのような受けとめのままでいいのだろうか、目安で示す影響率が、私は少し上がってきても仕方がない状況があるのではないかということも、検討する必要があるのではないかという具合に思っています。
 以上です。

○仁田会長 ほかにはいかがでございましょうか。
 では、どうぞ。

○松田委員 前回も主張いたしましたが、最初に私はこの最低賃金というところの役割、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障するということの重要性というのは、今、非常に大きくなっているのだと思います。格差が大きくなってきて貧困の問題もクローズアップされるようになってきています。そういった中で非常に大きいと思っております。
 その上で1点申し上げたいのですけれども、日本の最低賃金法の中で第9条第2項の3要素というところで「地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して」となっておりますが、これについて、実は「事業の賃金支払能力を考慮して」というのを要素とする制度は、他の国では余りないと聞きました。
 ですので、諸外国の最低賃金の決め方について、調査をして示してほしいと仁田先生のほうからございましたけれども、その中でぜひそういった観点についてもお示しいただければと思います。
 以上です。

○仁田会長 他に、いかがでございましょうか。
 それでは、中西委員。

○中西委員 本日の議題につきまして、日本商工会議所では地方最低賃金審議会の委員の方々に意見照会を行いましたので、その一部を御紹介させていただきたいと思います。
 前回も使用者側の委員から発言がございましたが、地方の委員の方々からは、中央最低賃金審議会は地方の厳しい実態をわかっていないのではないかですとか、政治的な要因で目安が決まってしまう状況が続き、最低賃金の決め方そのものが形骸化しているのではないかといった厳しい御意見が寄せられております。
このような意見は、そもそも目安の引上げ額の根拠を地方にきちんと説明できていないということが、背景にあるのではないかと思います。
 以上でございます。

○仁田会長 いかがでしょうか。
 それでは、木住野先生。

○木住野委員 2007年の最低賃金法改正の前段に、最低賃金の在り方に対していろいろな検討がされたと思うのですけれども、そのときにやった議論の中にモラルハザードという考え方があって、そのときに現行の最低賃金の水準が生活保護基準を下回っていた場合には、やはりこれはモラルハザードという観点からいって、どうなのかということが非常に問題にされて、地域別最低賃金については2007年の法改正がされたと理解をしております。
 この問題は、従来の最低賃金の決定の在り方ではカバーできなかった部分を、社会的な必要というところからこれをカバーするような制度に改めた、そういう経過として理解をしているのですけれども、では、もっと突き詰めて考えていった場合に、このモラルハザードというのはどういう場面で起こるのかというと、これは想像するのですけれども、やはり単身者よりは親子で働いていらっしゃる方で、生活保護と最低賃金を比較したときに起こる。それが1つ大きいわけです。
 単純な比較ですが、自分が、今、どういう境遇にあるかというところで判断をされることなのだろう。
そういうことについて言いますと、例えば今の生活保護基準の金額のとり方なのですけれども、これは人口加重平均でとっていますので、その部分で実際には生活保護基準よりも最低賃金が低い場合があるわけですから、これをすぐに改めろということではないのですが、今、ある生活保護基準のとり方と、例えばこの県庁所在地の生活保護基準の違いというのは、今、どの程度になっているのかということ。
あるいはその単身者の生活保護基準と、親子の生活保護基準とでどれくらいの差があるのかということは、基礎データとして把握しておく必要があるのではないかと思っております。それが1つです。
あとは最低賃金がなぜそういうことになってきたのかというと、目安制度が発足した時期、これは1975年に地域別最低賃金が全都道府県にできたときに、どういう水準でそれが決められたのかという歴史を振り返りますと、中卒の女性初任給よりもさらに低いところで最低賃金は設定されているわけです。
 そこから全国的整合性を図るという意味で目安制度ができたときに、それに賃金改定状況調査の全国平均の引上げ額を各ランク別に掛けていって、それで目安幅がつくられていったという経過が2000年ぐらいまで続いていくわけなので、そのときの水準というのは要するに中卒初任給の女子よりも低い水準に、毎年のベアを重ねていったというものに近いものができ上がっていたと思います。
 2000年初頭の議論が、特に当時はワーキングプアということがあって、それが法改正の動きになっていったと理解をするのですけれども、中卒初任給というのは今や厚生労働省でも統計をとっていないかと思うのです。そうすると、今、最低賃金というのはどういう賃金なのかというと、法律でかぶせられて、それ以上の検討というのはないのですが、実際にそれは架空的な中卒初任給である。
 今、東京の888円という全国で一番高い最低賃金をいろいろ考えてみるのですけれども、これは所定労働時間を幾らでとるかということでかなり違ってまいります。ただ、法定労働時間でこれを割り戻してみれば、月例賃金で15万円を超えるという部分。高卒初任給が16万円ぐらいですから、今、中卒という概念はもうないですけれども、大体そこら辺のところに最低賃金は行きつつあるというそんな印象を持っております。
 そのときに、やはり問題になるのは初任給というところに常にあるのです。それも単身者初任給という部分に、最低賃金ですから常にその議論になるのです。日本の制度というのは必ずそういうふうになってしまう。ですから、ここから先のことは多分、検討課題ということになるのですけれども、冒頭で申し上げたモラルハザードの問題というのは、初任給で暮らしている人たちの間だけで起こる問題ではないと思うのです。親子ということについてもそうですし、もうちょっと年齢の高いところでその問題は起こるので、そういうことについて日本の最低賃金というのは何か手当てができないのか。
 これはかなり根本的な検討課題になることですから、すぐに答えが出てくるわけではないのですけれども、これは検討課題ということでモラルハザードの問題に絡めて、ぜひ御検討していけたらということを思っております。
 以上です。

○仁田会長 どうもありがとうございました。
 他に、御意見がありますれば、お願いしたいと思います。
 どうぞ。

○高橋委員 目安の審議をするとき、やはり実態をよくみることが、大変大事なのではないかと思うのです。
 この全員協議会をやっているときに、私はぜひ行っていただきたいと思いますのは、やはり最低賃金の近傍で働いている人たちというのは、一体どういう人たちなのだろうというところを明らかにするような調査なり、あるいは有識者の研究でも結構なのですけれども、そうしたものをぜひこの場で開示していただきたいと思います。
 そういたしませんと、最低限の生活ができる最低賃金だとか、要するに理念型が先に走ってしまって実態から遊離する可能性もありますので、一体その最低賃金で働いている方がどういう方なのか、そうした方々が最近急激に引上げを行われている最低賃金によって、どのような雇用の影響を受けているのかといったことについても、しっかり実態を捉えていく必要があるだろうと思っています。
 その観点からいえば、先ほど労働者側の委員からも、賃金改定状況調査についての御発言がございましたけれども、実際この賃金改定状況調査というのは製造業が半分ぐらい対象事業者になっていますが、そういう意味では実態を明らかにするときにそうした近傍で働いていらっしゃる方が、どういう業種で働いていらっしゃるのかということも踏まえて、賃金改定状況調査の見直しをするのであるならばするといった対応が求められるのではないかと思います。
 以上です。

○仁田会長 他には、いかがでございますか。
 では、どうぞ。

○須田委員 前回、仁田会長のほうから、前回の検討課題はリマインドでというお話があり、そのことはそういうことで基本的に受け止めたいと思います。
 今4表の話が出ましたけれども、どうするかという考える前提が、前回も藤村先生から仕切っていただきましたが、双方の認識がやはり違うので、そこをどうするのかという認識合わせの議論が非常に重要だと思っています。
 その観点で第1回の6月のときに、今、テーブルの上に資料が載っていると思うのですけれども、資料1ということでこれまでの経過がありますが、昭和52年のときに2ページの11番というところですけれども、11番の丸1の最後のところはいまいち理解できないので、当時の状況で、「地域特殊性を持つ低賃金」という単語が出てくるのですが、これはどういう理解をしておけばいいのか。
 当時の状況がよくわからないので、その地域に限定した特殊な産業というか雇用形態があってそこにやるのか、質問の趣旨は今の大枠の仕組みを変えようというつもりではないのですが、地方最低賃金審議会が具体的な決定をするに当たって、中央最低賃金審議会のほうが水準の目安であったり、議論するときの解釈の統一を図るというこの中央最低賃金審議会の役割と責任というのが時代背景とともに昭和52年当時から変わったのか変わっていないのか。我々が中央最低賃金審議会として地域にどういう指導性を持っていくのか。
 また地方最低賃金審議会からいろいろな意見がありますけれども、最終的に水準を決定するのは地方最低賃金審議会なわけですから、そこの自主性というのは一応尊重した形で今まできているのだが、逆にもっと中央最低賃金審議会は指導性を発揮しろと言っているのかなと思ったりもするわけで、その目安制度ができてから今日までの状況変化をどう認識して、中央最低賃金審議会の役割というのは何なのかということも一回おさらいをしたほうがいいのではないか。地方からいろいろ言うのであれば、我々は何を示せばいいのだと。結局はそこに行きつく。
 これは前回、高橋委員もそういう趣旨で多分言っておられたのだろうと思いますけれども、中央最低賃金審議会の今日的な目安の意義と役割というのを、もう一回おさらいになるかもしれませんが、そこの根っこのところの共通認識がないと、何か議論が進まないような気がしますので、そこを整理していただきたいのと、事務局のほうは議事録等々残っているかどうかよくわかりませんが、昭和52年の時代、状況背景で、地域特殊性を持つ低賃金ということは何を言っていたのかなというのがわかれば、調べて教えていただければありがたいなと思います。
 以上です。

○仁田会長 事務局のほう、課題はよろしいですね。
 ただ今のことについてでもよろしいですし、それ以外に何か御意見等ございますでしょうか。
 よろしいですか。今、種々出していただいた議論と、前回の議論についてはここでペーパーを出していただいて、整理をしていただいておりますけれども、次回以降については論点が一通り挙がっただろうと考えて、議論を個々の論点について、少し深めていくという形で進めていければと考えております。
 どうぞ。

○高橋委員 質問なのですけれども、今後は、今まで出てきた論点について議論をするということなのでしょうか。要するに、今後新たにぜひ論点として加えていただきたいというものについての取扱いはどうなのかというのは、ちょっと質問させていただければと思います。

○仁田会長 これは別にそんなに締め切りの迫ったものではございませんので、適宜、議論していく中でやはりこのことが重要だねとなれば出していただいて、そちらがそれなら、こちらはこう言うよみたいな話もあるかもしれませんので、それは適宜、議論の様子をみて取り上げるべき論点というのが、新しくあるなとなればお出しいただいて、また我々のほうとしてもピックアップして議論の素材にしたいと思います。
 どうぞ。

○高橋委員 目安の在り方に関わることですが、今、10月1日発効を限りなく目指して審議を行っているという在り方についてなのですが、地方の経営者協会の皆様からよく寄せられる意見として、事業運営を考えていくときに、やはり年度計画などを立ててやっていくときに賃金の部分が10月1日、あるいは10月1日近傍で上がるということよりは、むしろ、例えば4月1日に発効するとか、1月1日に発効するといったほうが経営計画も立てやすいし、そのほうが好ましいという意見も寄せられるところですので、その目安を示す時期と言いましょうか、いつの発効を目指して審議を行っていくのかということも、重要な論点となり得るのではないかと考えています。  
 以上です。

○仁田会長 よろしいですか、別にこれでおしまいですよと言うつもりはないのですけれども、次回以後の検討に入る前に、とりあえず言っておいたほうがいいなということがもしあれば、お出しいただいておいたほうがよろしいかと。
 では、田村さん。

○田村委員 前回と今回は、それぞれ労使も含めた根本的なところの意見を表明したと思います。
 より具体的に1月からは始まってくるのかと思いますけれども、1、2、3月の日程的なものは少しお示しをしていただいていますが、それで間に合うのか、5年に1回の見直しの中でこれだけ基本的なことをやっている、いつも積み残しをして5年後というのはかなりの量になってきていますので、ぜひ今回は、何がしかの結論が幾つかの部分で出るという方向で行くとスピード感に少し心配がありますので、ぜひお取り扱いよろしくお願いしたいと思います。

○仁田会長 一応、最初に時期感としては、来年5月に論点整理というものを出すことを目指すということになっておりますので、ただ、全員協議会はいつも報告書というのを出すことになるのです。それが出るのは、さらに来年5月以降の審議を踏まえて出すということになるのではないかと思うのですけれども、最後の締め切りは一体どれぐらいになるのでしょうか。

○新垣室長補佐 お手元のファイルのほうに、第2回目安制度の在り方に関する全員協議会の資料がございまして、2枚おめくりいただくと、資料No.2に今後の進め方がございます。
 5月あたりで、論点整理と一応させていただいておりまして、最終的に9月以降に、目安審議の後に議論を再開して、平成27年度中をめどに取りまとめということで、前回、御議論をいただいたかと思います。
 締め切りが決まっているかどうかという点については、前回、次期ランク区分の見直しについて、その資料1の最後のところですけれども、ランク区分については平成28年度以後の目安の審議において、新しいランク区分を用いることが適当であると合意していただいていますので、ランク区分については、そういった締め切りになっているということかと思います。

○仁田会長 論点整理というのはどういうものになるのかというのが、まだ具体的に見えてこない状況なのですけれども、ただ、ずっと平成27年度終わりまで十分に議論しましょうというよりは、ややメリハリをつけて、来年5月にある程度の議論の方向性みたいなものを、できれば出したいということを考えておりますので、一応そういうターゲットを目指して議論を取りまとめるように努力をしていきたいと思います。
 よろしゅうございますか、どうぞ。

○中窪委員 次回以降の本格的なところに入る前に、こういう漠然とした場で資料について一つお願いなのですけれども、いつも最低賃金の額を全国加重平均で出すというのは、何かいつも東京の大都市が過度に重くあらわされるような気がしてしようがないのです。
 特に前回の法改正で地域別最低賃金というのが、もし位置づけられたとすると、全国単純平均というのも出していただいて、その両方がどういうふうになっているのかというのをみるのも意味があるのではないかという気がしましたので、そういうのはどこかに入っていますかね。

○新垣室長補佐 単純平均は、お出ししていなかったかなと思いますが、検討させていただきます。

○中窪委員 そうですか。ちょっと考慮していただければと思います。

○仁田会長 平均値以外に、普通、経済学者なんかが使う統計数値としては、中央値というのがあるのですけれども、この場合意味があるかどうかわかりませんが、我々としては、全国加重平均という指標が有する偏りというものがありますので、それ以外の指標というのを使うことに意味がないだろうかということは、検討してもよろしいのではないかというふうには思います。
 この際、ほかにはどうでしょうか、どうぞ。

○冨田委員 フリーな論議だということなので、1点これから論議をする上で、こうしたことも検討の中にというか、意識合わせみたいなことができたらと思っているのですが、実は個人的なことで申し訳ないのですけれども、今朝子供が働くというのはどういうことと言われたのです。
 どうも、学校で仕事について考える時間があって、将来的にどんな仕事に就きたいのかということみたいだったのですが、仕事と働くことというのは違うよねということを言って、そうだねと言って、私は個人的に働くことというのは生きていくために必要なことなので、生きていくことと一緒ではないのかみたいな話はしたのです。
そうすると、働くことで生活をするだけではなくて、要は日本の国民としての義務や何かも果たしていくことが生きていくことであり、働くことなのではないのかなと考えているのです。
 最低賃金法の第1条に、さまざまな決定の3要素に資するところも書いてあるのですが、一番最後に「国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」という一文があって、働いて得る賃金が生活を安定させたり、自分への投資につながったり、それだけではなく国民経済の発展ということであれば、やはり消費者に回って国の経済に寄与するということも必要なのではないのかなと思っております。
 上げ幅論議にどうしても目安のときになりがちなのですけれども、この金額を働きながら得れば生活も安定し、先ほど簡単な仕事という話もあったのですが、自分の将来のために投資をして、さらに所得を得たいと思い、さらにはそれを消費に回して国民経済に発展する、国民としての義務も果たしていけるという水準なのかみたいなことも考えていく必要があるのかなと思います。
 当然、労働の対価であり、事業の公正な競争の担保もありますから、いろいろな観点もみていかないといけないと思うのですが、この金額でそうした義務は果たしていけるのかどうかということも御議論いただければ、そうしたことも今度は教育の現場に返していって、働くというのはこういうことだよということを、そうしたことからも小さいうちから学んでいくようなことも必要かなと思いましたので、これはフリーの中ですので、一言申し上げておきたいと思います。

○仁田会長 どうもありがとうございました。
 どうぞ。

○田村委員 中窪先生から数字の話がありましたけれども、前回の額の議論のときも申し上げたのですが、例えば第4表にしても全部まとめれば、何となくそんな感じかなとみえますけれども、地方で業種に分けるとでたらめな数字が結構あるし、私も幾つか地方を回ってお聞きすると、データ集めに非常に御苦労しているという労働局があるのではないかという具合に思います。その数字でいいのかどうかも根本に行くと、少し議論があるのかなという気がいたします。
 さらに賃金という話になりますと、直近のデータを使うということで、全て過去のデータを使ってこれからの賃金の額を決めていくというのは、我々も労使交渉でそうならざるを得ないときもあるのですけれども、少し先行きがどうなるのかというところも考慮する必要がある。
 全体をみるときに何を参照するのが必要なのかなと思うと、例えば埼玉地方最低賃金審議会から出た意見のように、目安を示す具体的な、合理的な根拠を示せというのは非常に難しい話だと思いますので、そういう議論もさせていただければという具合に思います。

○仁田会長 どうぞ。

○高橋委員 そんなに重要なことではないのかもしれませんけれども、目安制度に対する不信感が高まっていると前回申し上げましたけれども、その一つの要因として私なりに考えるところは、前回の全員協議会で示された「時々の事情」という言葉というか、概念だと思うのです。
 第9条第2項に規定されているような生計費とか、賃金とか支払い能力も時々に変動しますので、時々の事情だと思うのです。
 そうした3要素に基づく審議に、時々の事情とは一体何なのかというのがなかなかわかりにくさを増しているような気がしますので、この際、可能であれば、この公労使で一致できれば、時々の事情という言葉はやめて、何か違うフレームワークというか概念、そうしたものも提示できたらよろしいのではないかと個人的には思っています。
 以上です。

○仁田会長 時々の事情はやはり重要だとは思いますけれども、どういう表現があるかということはまた検討していただきたいと思います。
 それでは、よろしいでしょうか、次回以降の議論について、一応もう少し深めた議論をしていく上での分類項目みたいなものがないと進められませんので、御議論いただければと思います。

○松本参事官 検討事項でございますが、これまで2回の議論でいろいろな御意見を頂戴したわけですけれども、まずは大前提として最低賃金の在り方や3要素の在り方といった、根っこのところの意識合わせが必要という御意見が出たように承知しております。
 ということで、次回1月14日には、これまでのフリートークから離れて、項目ごとに議論するという最初のステージとして、今回の資料No.2でいうところの1つ目と2つ目から議論を開始するということでいかがでしょうかというのが1点目でございます。
 2点目ですけれども、本日もその関係のお話がございましたが、地方最低賃金審議会でどう受けとめているかといった御議論もございましたので、議論の初期に地方最低賃金に審議会の会長からヒアリングをすることとしてはどうかという提案でございます。数は2から4つを抽出して、4つということになりますと1月だけではなくて次々回2月にもということになろうかと思いますが、2から4の地方最低賃金審議会の会長においでいただくということで、いかがでしょうかという御提案でございます。
 以上でございます。

○仁田会長 わかりました。
 本日、配付の資料No.2の項目1及び2について取り扱うということで、これはヒアリングをするということと、項目1及び2を検討するということは別々に何かやるという、時間配分するということなのでしょうか。

○松本参事官 あくまでもたたき台といたしましては、まずヒアリングをして御意見をいただく時間帯、そこでの質疑応答を済ませた上で、項目についての検討に入っていくということで、基本的には分離して行うこととしてはどうかと思っております。

○仁田会長 わかりました。それでは、ただ今のこの御提案につきまして、御意見ございますれば、承りたいと思います。
 よろしいでしょうか、どうぞ。

○小林委員 検討事項の検討に当たって、項目1、項目2を検討するということについては賛同いたしますし、地方最低賃金審議会会長からのヒアリングを行うこともいいことだと思います。
 地方最低賃金審議会会長で、どこの会長を選ぶかということで一言御意見言わせていただきたいのですが、埼玉県から要望が来ているので埼玉県にお越しいただきたいと思います。
 もう一つは、過去の経緯の中で、生活保護との乖離解消で大変苦労した北海道から呼んでいただきたいと思います。生活保護との乖離が発生した要因なども含めた話を聞きたいと思います。地域として大変広大な面積を持っていて、特に札幌を中心とする大都市部と道東、道北、道南とかなりの違いがあると思いますので、その辺の御意見も賜ることができればということで、北海道をお願いしたいと思います。
 これは前回、須田委員から、地域別最低賃金をブロック化という話があったと思いますが、隣の県との格差がかなりある地域というのはあると思います。京都府内の中でも北部と南部で2つの最低賃金がありました。その隣の福井県というのは最低賃金が低い事情があり、京都府北部と賃金の違いはあると思うのです。その低いほうを聞くのか、高いほうを聞くのか、その辺も御検討いただきたいと思います。
地域別最低賃金の金額がかなり違う県に隣接している地域のところから、高いほうに労働者の方々を移動する状況があるのかないのかを含めて、参考で聞ければと思います。それらのことを視野に入れて、ヒアリング対象を選んでいただければ、ありがたいということでございます。
 以上です。

○仁田会長 何かございますか。

○田村委員 ヒアリング自体は賛成ですし、そういう意見があることも承知でいいと思いますが、その来ていただく人にただ来て話せではなくて、多分こういう項目で意見を言えということだと思います。
 それを、事前に教えていただきましたら、こちらも質疑応答しやすいと思いますので、意見を言っていただく項目についてお教えをいただきたいと思います。

○仁田会長 基本的には目安の審議ですので、目安についての各審議会のお考えがあれば、お聞かせいただきたいみたいな話になるのではないかとは思います。

○田村委員 例えば、中央最低賃金審議会との関係だとか、多分この項目だと思うのです。

○仁田会長 わかりました。多分、何についてしゃべるのですかという質問があると思いますので、こういうことですというのは、いずれ必要になると思いますので用意したいと思います。
 よろしいでしょうか、はい。

○松本参事官 今のお三方の御意見を受けとめた上で、しかるべく準備をして、御相談しながら進めていきたいと思います。

○仁田会長 どうぞ。

○藤村委員 次回の議論に向けて、私から特に使用者側に要望してみたいなと思っていることがあります。
 労働者側から常に出てくるのは水準が大事だということで、800円、1,000円とか、高卒初任給というのが出てきているのですが、使側はどういう水準だったら適切だと考えていらっしゃるのか。
 今の東京の888円が高い、使用者側が考える適切な水準は、例えば800円だとかそういうのが出てくると、もっと議論は進むのかなという気もするのです。

○横山委員 幾らの水準が望ましいというのは、労働組合の方法論、運動論であって、経営に当たる使用者側としてはその時々に雇える賃金です。低過ぎれば来ないし、高過ぎれば経営は成り立たない。
 だから、幾らがあるべき水準というのは、それこそ世間における同じ業態の労働者の賃金をみながら決めていくしかないわけですから、初めに水準ありきという論議は経営としてはとてもできないです。

○藤村委員 ただ、支払い能力というのを常に使用者側はおっしゃるわけです。支払い能力ということは、多分、これくらいの水準だったらいけるかなというのをお持ちなのかなと思ったのです。

○横山委員 いや、それは全然違います。生産性に応じたものというのが支払い能力の話ですから、これくらいであればと使用者側が勝手に考えても、それで労働者が集まらなければ仕事は進まないですよね。
 だから幾らがいいということではなくて、この産業がそうやって成り立っていくためにどれだけの稼ぎがあって、どれだけの原価がかかって、どれだけ支払いに回せますというところからしか出てきませんから、そのあるべき水準というのは、使用者側としてはとても示せないというか、そもそもないです。

○藤村委員 わかりました。

○仁田会長 どうぞ。

○須田委員 実際の雇用というか、経営するに当たって横山さんが言われることは理解しますが、今ここで議論しているのは最低賃金をどうするかという話なので、そこをどう考えるかというのは、今日は意見が対立する場ではないので、そういう意味でも現実の人を雇うという行為と、ナショナルミニマムと私はあえて言わせていただきますが、それをどう設定するのだというときの在り方というのは、ぜひ議論させていただきたいと思います。

○横山委員 今おっしゃった須田委員の話については、否定するものではないし、次回以降、じっくりやればいいと思うのですが、そもそもあるべき水準というのを考えているのかと言われると、これはまた別の論議ですよという回答なのです。

○仁田会長 これは次回以降じっくり議論していただくということでありますけれども、過去を考えると、雇用戦略対話合意というものもありましたよねということで、あれは政労使合意ですので、別に中央最低賃金審議会の委員が責任を持ってそれを合意したわけではないのですが、勝手かどうかわかりませんが、もっと上のほうで合意してしまったものなのですけれども、だから、そういうものがなかったわけではないのかなという気はいたします。

○横山委員 それは前提条件つきで、目指す方向としてはというのは承知しておりますけれども、今どこの水準がと言われると、それは目指していきましょうというのは否定はしないが、という議論です。

○仁田会長 少し話が本番のほうの話に入りそうになってきましたけれども、それは次回以降本格的にやっていただくということで、この地方最低賃金審議会会長からお話を伺うというのを、ぜひやりたいと思っておりますので、御協力いただこうと考えております。
 どうぞ。

○高橋委員 
 地方の最低賃金審議会の会長をお招きして、ヒアリングするのは私どもも望んでおりますし、大変結構なのですけれども、一点気になるというか、その来られた会長様は会長御自身の見解を表明されるのか、それとも審議会全体を踏まえて発言されるのかによっては聞くほうの立場としても、ちょっと違ってくる場合もあるのではないかと推測されますので、先ほどどのようなことについて聞くということの共通のフォーマットみたいなものをイメージされているかもしれませんが、そういうものをあらかじめお送りして、当日、御披露いただくということが私も大事だと思います。
 そのときに個人的な見解なのか、地方の審議会の意見なのかというところは、決める必要はないかもしれませんけれども、プレゼンテーションされる方にはっきりと明言をしていただいた上で、これは私の個人的な見解ですとか、これは審議会としての見解ですということをある程度明示しながら、プレゼンテーションをお願いしたらよろしいのではないかと思いました。

○仁田会長 会長仲間としては、多分どなたもベテランの方にお願いいたしますので、その使い分けができる先生たちばかりですので、御信頼申し上げてお任せするというふうに。取りまとめに御苦労されている会長ばかりですので、御苦労を踏まえて御意見をいただけるということではないかなと思います。
 多数決をとって出てくるわけではありませんので、最終的には会長の御見識を示していただくということになるのではないかなと思いますけれども、その辺は適宜、どういうことで喋ればいいのですかという御下問があるかもしれませんので、それについてはこういうことですということで対応していければと思います。
 よろしゅうございましょうか。
 それでは事務局のほうから事務連絡をお願いします。

○新垣室長補佐 それでは次回の第4回目安制度の在り方に関する全員協議会は1月14日水曜日の10時から開催いたします。
 場所はまだ決まっておりませんので、追って御連絡いたします。

○仁田会長 ということでございます。
 1月14日は、よろしくお願いいたしたいと思います。
 これをもちまして、本日の全員協議会は終了といたしますが、本日の議事録の署名を萩原委員と吉岡委員にお願いしたいと存じます。
 それでは、これにて終了とさせていただいて、お疲れ様でございました。


(了)
<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室
最低賃金係(内線:5532)

代表: 03-5253-1111

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