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2015年3月12日 第8回HTLV-1対策推進協議会

健康局結核感染症課

○日時

平成27年3月12日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

(1)難病の患者に対する医療等に関する法律の施行について
(2)HTLV-1母子感染対策事業の取組状況について
(3)希少がんの医療・支援のあり方に関する検討状況について
(4)平成27年度の厚生労働科学研究について
(5)その他

○議事

○結核感染症課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第8回「HTLV-1対策推進協議会」を開催いたします。

 開会に当たりまして、新村健康局長より御挨拶申し上げます。

○健康局長 おはようございます。健康局長の新村と申します。

 本日は、お忙しい中、本会議に御出席いただきましてまことにありがとうございます。また、日ごろより、厚生労働行政に御理解、御協力を賜りまして厚く御礼申し上げます。

 さて、HTLV-1 の総合対策に基づく重点施策を推進するため、平成23年7月に立ち上げました本協議会も、今回で8回目となりました。今回は、難病の患者に対する医療等に関する法律の施行、あるいはHTLV-1母子感染対策事業の取り組みなどについて御報告申し上げます。

HTLV-1総合対策の一層の推進に向けて、さらなる具体的な施策を検討していくために、御参加の皆様方には、活発な御議論を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますけれども、挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○結核感染症課長補佐 それでは、次に、構成員の出欠状況について報告いたします。

 本日は、構成員15名中11名の方々が御出席の予定です。木下委員は少しおくれて到着されるということで連絡がございました。欠席の委員は齋藤委員、林委員、林田委員、安河内委員の4名でございます。

 次に、配付資料の確認をさせていただきます。

 まず、お手元の配付資料、1枚目、議事次第、協議会構成員名簿、座席表。

 続きまして、資料1「難病の患者に対する医療等に関する法律の施行について」。

 資料2「HTLV-1 母子感染対策事業の取組状況について」。

 資料3「『希少がん医療・支援のあり方に関する検討会』開催要綱」。

 資料4「平成27年度の研究費の公募課題(HTLV-1関連疾患研究領域)」。

 資料5「平成27年度HTLV-1対策関連予算案」。

 資料は以上でございます。不足等がございましたら事務局にお申しつけください。

 なお、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

 では、ここからの議事は、渡邉座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○渡邉座長 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。

 構成員の皆様には、円滑な議事進行に御協力をよろしくお願いいたします。

 議題1について、事務局から「難病の患者に対する医療等に関する法律の施行について」の説明をお願いいたします。

○疾病対策課長補佐 それでは、疾病対策課から資料1について御説明を差し上げます。資料1、横紙でございます。「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)の施行について」という形で御報告をさせていただきたいと思います。

 今回これを御紹介させていただきますのは、HTLV-1 関連脊髄症につきまして、本年1月より医療費助成の対象といたしましたので、そちらについて、経緯も含めて簡単に御報告させていただきたいと存じます。

 1枚おめくりいただきまして、難病対策の改革に関する経緯ということでございます。

 もともと難病対策に対して、研究・医療費助成という形は行ってございましたが、40年ぐらい前からやってございましたけれども、予算事業ということで継続してまいりました。その制度につきまして見直しの要素があるかどうかという形で検討を重ねてまいりまして、平成23年に見直しを開始いたしまして、平成251213日になるのですけれども、「難病対策の改革に向けた取組について」という形で報告書を出させていただいております。それに基づきまして、難病に関する法律を提出させていただきまして、後ほど簡単に御案内いたしますが、5月23日に成立して、1月1日より施行を行ったという経緯でございます。

 2枚目が、難病の患者に対する医療等に関する法律の簡単な概要でございます。

 「持続可能な社会保障制度の確立を図るため」という形で書いてございますが、これは、予算に基づく医療費助成制度ということでございますと予算としての限界がございますので、これは、法律に基づいて必要な費用を交付する、また、それについては社会保障の充実の一環として消費税を充てさせていただくという形の中で成立したものでございます。

 また、これは医療費助成だけが難病対策ではございませんので、当然、そういう方々が安定的に安心して地域で生活をしていただけるように、どういう形ができるかという形で、(1)で基本方針の策定ということで、どういう形でさまざまなサービスを提供できるか、(2)で医療費助成、これは安定して提供できるか、(3)で医療に関する調査・研究という形で、どういう形で治療法を解明していくか、(4)で療養生活環境整備ということで、相談体制等についてどうやって整備していくかという形のパッケージという形でお示しさせていただきまして、ほぼ全会一致で成立させていただいたものでございます。

 おめくりいただきまして、難病に対する新たな医療費助成制度についてでございます。

 これは、2つあるのですけれども、1つは、医療費助成の対象疾病を拡大するということがございます。先ほど申し上げました予算に基づく医療費助成制度というものが56疾病について対応してございましたが、似たような病気でございますとかといったものが対象にならないとか、おのずと制度の限界があったものでございますが、これは、本年夏に向けまして約300疾病に拡充していくということで現在検討しているところでございます。また、最終的に夏でございますが、その受給者数が、今は、予算事業のときには約80万人弱の方が利用されておりましたが、夏に向けて300疾病に拡充して、150万人ぐらいの方が利用していただける制度であることを見込んでございます。

 また、先ほど予算上の限界ということで申し上げましたが、平成23年、25年の予算規模、事業費規模で見ましても、もともと平成25年でございますが1,340億円、国費が440億円という形で進めておったものにつきまして、こういう法律に基づいて実施をするということで、事業規模全体も拡充してございますし、国の負担分という形につきましても大きく増額という形で措置をさせていただいておるものでございます。

 1枚おめくりいただきまして、4ページ目、難病の定義でございます。

 これは、難病の定義といたしましては4つと2つあるのですけれども、5要件という言い方をしているのですが、これは、まず4つについて解説させていただきますと、発病の機構が明らかでない、治療方法が確立していない、希少な疾病であって、長期の療養を必要とするものというのが、これは難病という形で広く研究・調査の対象としてございます。

 その中で医療費助成の対象というものは、先ほどの希少な疾病を客観的に説明するとどうかということで、患者数が本邦において一定の人数に達していないこと、人口のおおむね0.1%程度という形で厚生労働省令において規定してございますが、大体18万人以下の方々を主に対象にするということ、客観的な診断基準が確立しているものについて、医療費助成の対象とさせていただいております。

 おめくりいただきまして、指定難病の拡充についてというスライドでございますが、そういう形で56という形でもともと予算事業でやっておったものが、平成27年1月1日まで、これは議論を重ねさせていただきまして、110の疾病について医療費助成を開始したところでございます。また、最終的には夏、7月を予定してございますが、第2次実施分という形で、さらに疾病の拡充を予定しておりまして、これが300という形で、現在、110から300の拡充に向けまして医学的な検討を行っている最中でございます。

 おめくりいただきまして、6ページ目、第1次実施分の指定難病でございます。

 本日、この場で御紹介させていただきました主な趣旨でございますこの26番、これは、今まで医療費助成の対象にはなっていなかったのですけれども、1月1日から医療費助成の対象になる疾病ということで「HTLV-1関連脊髄症」という形で規定させていただきまして、それに基づいて、今、医療費助成が開始されている状況でございます。

 その他、「特定疾患」と書いておったものは、もともと医療費助成の対象だったものがそのまま引き継がれているもの、備考のほうに何もないものについては、新規に追加したものという形になります。

 おめくりいただきまして、これは2番目で、110の残りでございますので、同様でございます。

 医療費助成の対象としては、こういう病気の方々と、あと、右下に「重症度分類」と書いてございますが、日常生活、社会生活に一定の支障のある方、または、そういう支障がなくても、高額な医療を提供することによってそういう状態が改善されている方については医療費助成の対象にするという形で、これは2段階の形で医療費助成の対象にする、しないという形で認定してございますので、そういう形の制度ということでございます。

 最後は今後のスケジュールでございますが、1月にそういう形で取り決め110を指定させていただきましたが、今、300への拡充に向けまして議論しているところでございます。先日、3月9日までに、個々の疾患がどういう状況かという議論を差し上げておりまして、次回が3月19日という形で取りまとめを予定してございます。7月には医療費助成開始できるように諸々の事務手続を進めていく予定でございます。

 簡単ではございますが、以上でございます。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に対して質問、御意見等がございましたらお願いいたします。

HAMのほうですが、山野先生、菅付さん、よろしいですか。

○山野構成員 聖マリアンナの山野です。どうもありがとうございます。

 今、全体の概要という形で教えていただいたのですけれども、例えば、HAMを具体的に考えますと、HAMに非常に専門的にやっているドクターがいる病院と、全くそういう、希少疾患はどれもそうだと思うのですけれども、それぞれ専門家が全国に散在しているという形になってきますので、その患者さんの診療の均てん化を図るとか診療レベルをできるだけ全国的に上げていくという意味では何らかの工夫が必要だと思うのですけれども、この難病の制度では、そこがどういうふうになっているのかということを教えていただければと思います。

○渡邉座長 どうぞ。

○疾病対策課長補佐 先ほどの御説明いたしました資料1の2ページ目という形でごらんいただけばと思うのですけれども、これは、ちょっと記載がより細かく書いてあれば、よりわかりやすいのですけれども、(2)の難病に係る医療費助成の確立という形で、これは、指定難病に係る医療を実施する医療機関を、2ポツ目にございますとおり、都道府県知事が指定する、あるいは診断書を書いていただく先生については、都道府県が指定する指定医に書いていただくという形で、一定程度、どういう方々が診察されているか、また、どういう施設で診断、治療されているかということがわかる形で進めておるものでございます。

 また、これですと、等しく指定したものが同じという形になっているのですけれども、これは、最終的には、今、全体的なパッケージという形で基本方針を議論する中で、医療の提供をどうするかということもトピックになってございます。なので、地域、地域に拠点となる医療機関を整備していく、そこで診断されないものは、全国規模でそういう診断が集約できる仕組みづくりということを課題として位置づけられてございますので、具体的にどういう形でそれが実現できるかということは、今まさに議論中でございまして、そういう方向づけは夏に向けて議論を進めている最中でございます。

○渡邉座長 どうもありがとうございました。

 それ以外に御質問ありませんか。菅付さん、どうぞ。

○菅付構成員 現在、スマイルリボンには指定難病制度のことでいろいろな相談があるのですが、宮城県のHAM患者さんの例を申し上げますと、HAMと診断されるまでに10年かかったと言われるのです。最初の症状が歩行障害や足の痛みだったので整形外科に行きましたところ、HAMではない他のいくつもの病気と判断され、その都度に治療したけれども、よくならずに最後の方では精神疾患とまで言われてしまいましたが、ようやく神経内科を紹介されて診断がついた時には10年かかっていたということでした。難病指定に認定されましても、患者が自分の症状がHAMかどうかが分らなければ専門医のところには行かないですし、宮城県のように患者数が少ないと思われるところでは、専門医はおろか指定医にたどり着くのも難しいと思われます。話はかわりますが、私の場合は、鹿児島大学病院が指定医になって、そこで診断書を書いてもらっていますけれども、HAMという病気は、風邪をこじらせても体が動かなくなるし、骨折してもHAMの疾患があるので通常の骨折の治療では済まないわけです。指定医のところでないと治療ができない、神経内科は神経内科に限られるというのでは非常に困ります。この2つの問題についてお聞きしたいです。

○渡邉座長 よろしくお願いします。

○疾病対策課長補佐 これは今、非常に重要な御指摘でございまして、2つ要素があると思うのですが、1つは、患者様が、まだ診断基準、診断がついていない方々に、どういう形で診断をつけていくかという形、これは、HAMに限らず、ほかの御病気についても、やはり強く指定されているところでございます。なので、そういう方々について、地域の病院でわからなければ地域の中核的なところ、地域の中核的なところでわからなければ都道府県単位あるいは全国単位に、どういう形でコンサルテーション、連携していけるかという形が非常に大きな宿題ですし、この法律を通す中で、医療の提供体制という形でどういうふうに進めればいいかというのは大きな議論になっております。なので、これは単純に指定をする、今は指定をして、どこでも医療を受けられるという体制から進めておりますけれども、最終的には、そういう円滑に診断できる仕組みづくりという形が今、宿題になっておりまして、まさに検討を進めている状況でございます。

 もう一つは、指定医療機関以外で医療費助成が受けられないのではないかという話がありましたけれども、これは、基本的にはそういう形になっているのですけれども、ただ、その指定医療機関ということを定める際には、HAMの指定医療機関を決めているという形ではなくて、難病全体の指定医療機関という形にしてございますので、恐らく総合病院でしたら、1つ指定していただければ、整形、多数あると思いますし、ほかの種々の難病に基づきますと、神経内科以外の疾患も指定してございますので、そういう形で混乱のない形で、一応提供ができていると。また、実態については、平成27年1月に開始したばかりでございますので、実態把握をさせていただきますが、一応その裾野は広い形で進めさせていただいているのが現状でございます。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 ほかに御発言ございますでしょうか。どうぞ、石母田さん。

○石母田構成員 HAM患者友の会アトムの会の石母田です。

 実は先週、患者会の交流会をやりまして、この問題が結構患者さんから提起されまして、質問されまして、まず、今言った指定医のところへ行きます。申し込みをして、診断書を書いていただいたりするのですが、ふだんの診察もHAMに関してはその病院、あと、薬も、最初に指定した薬局を書かされて、そこでしか薬がいただけないというお話を患者さんが言っていたのですけれども、それに関して、まず、HAMの患者というのは、ほかの難病でも同じだと思うのですけれども、大体専門医のところに通える方はごく少なくて、比較的離れたところに皆さん通うわけですね。そうすると、年に1回、2回、その専門医に診てもらうけれども、通常は、自分の自宅の近くでかかると。そうしたときに、そういう薬などをまとめていただくことができるのかどうか、そこら辺を非常に心配していたのですが、ちょっとそこを教えていただけたらと思います。

○渡邉座長 どうぞ、お願いします。

○疾病対策課長補佐 これは、逆に我々のほうは、周知が不足しているところで、ちょっと誤解をいただいている要素の一つなのですが、受診できるところというのは、指定医療機関の中で、患者様が受診する医療機関名であるとか薬局であるとか、そういうものを記載してくださいと。そこの医療機関を受診して助成を受けてくださいという形にしているのですけれども、それぞれ1個だけだと、病院も1つ、薬局も1つだけというような誤解を与えてしまいまして、これは複数記載していただいても構いませんので、年に1度診察をされるところと、かかりつけをされるところという形で記載いただいても全然差し支えありませんし、それが複数、たまには整形外科に行くとか、そういう場合は3つ、4つとふえていただいても全然構わない制度になっておりますので、そこは誤解のないように周知をしていきたいと思っております。済みません。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 私から2点ほど質問というかコメントなのですが、先ほど菅付さんからの御発言の中に含まれていた事柄で、1つは、難病を持っている方が正しい診断にたどり着くまでに非常に時間がかかってしまうと。これは、恐らく希少疾患の難病が正しく診断されるのは、一般的に難しいとは思うのですが、HTLV-1 関連の疾患の立場で物を申しますと、やはり現場の医療担当者に情報提供して、啓発活動して、問題意識を持っていただくと。つまり、何かおかしいぞ、こうかもしれないということを発想していただくための情報発信、啓発活動がやはり基盤として非常に大切なのではないかと考えました。これが第1点です。

 もう一つ、第2点ですが、先ほどのまさに菅付さんのコメントの中にあったのは、難病を持った方、この場合、今はHAMですけれども、それは個人としてHAMという難病を持っておりますけれども、その個人が、さまざまなほかの疾患を合併することになるわけですね。そのことを、例えばHTLV-1 感染者であるために、そういった合併した病気に関してもどういう影響が出るか、これは今、研究の途中ですけれども、そういったことも含めて、全人的に、有病者の全体としてケアしていくという発想が必要なのかなという気がするのですが。

 あとは、この後、質問なのですけれども、特定疾患の場合は、サポートされるのは、どうしてもその指定された疾患の直接的な治療費、診断にかかわる部分ということになりますね。その方が、先ほどちょっとお話があったように、いろいろ別のトラブルを抱えて、さまざまな現場の問題が生じた場合は、現実にはなかなか対応し切れない部分があるわけですね。

○疾病対策課長補佐 御指摘ありがとうございます。そういう意味では、そういうところが非常に問題点だというところは、まさに難病対策の中で、これは法律をつくる前の議論で強く指摘されたところでございます。恐らくそういう意味では、福祉サービスというところに対してどうやって連携していくかであるとか、相談体制であるとか、あるいは難病の診断を受けておられる方が、全て就労等が全くできない方かというと、そうではないので、就労支援をしていくであるとか、学校生活をどうやって暮らすかとか、そういう要素が、厚生労働省という形で見てしまうと限られるのではないかという御指摘がございまして、そういうものもどういう形で提供できるかという形で、それが都道府県単位でどういう形でできるかという形を見える形にするという形で、これが基本方針という形でまとめるということになっております。

 基本方針という形だけですと、単純に何か厚生労働省が文書をつくるだけというイメージになってしまうのですが、他方で、そういう文書をつくるということを関係する省庁なりが同意をしてこういう法律をつくって方針を立てていきますから、それぞれが省庁連携して対応するというお約束の文書にもなりますので、そういう形で総合パッケージという形で示していきたいと思ってございます。

○渡邉座長 永井先生、どうぞ。

○永井構成員 医療費の助成が始まって、このHAMについてですけれども、何人がこの助成を受けるようになったのかということがおわかりになるのか、いつわかるのか。それから、この助成を受けている人が、例えば今の話の就労しているのかどうかということをどのようにして把握していくのかということをお聞きしたいのですが。

○疾病対策課長補佐 2つお尋ねがございますので、1つ、まず、医療費とかの受けていらっしゃる方の数というところですけれども、もともとこれは56のときから、年に1度、どれぐらい受給者証を交付しているかという形で把握するということをやっております。なので、機械的な数字という形でございましたら、年に1度という形になりますので、現時点で何人の方が申請されてという数字は、1月からなのでまだ持ち合わせていないというのが現状でございます。

 そのそれぞれの方々の療養の実態とか医療の実態というところは、機械的に上がっていく数字ではちょっと限界があると思っておりまして、そこは調査・研究という形で、研究代表者の先生にお願いして研究をしていただくという形になろうかと思っています。なので、完全に悉皆という形は難しいと思っておりますけれども、そういう調査・研究をすることも指定難病に求められていることでありますから、そういう研究は並行して進めていきたいと思っております。

 あと、済みません、1点、先ほどHAMの医療費の範囲という形で御質問いただいて、明確に答えていなかったのですが、関連する医療費については対象にするということにしておりますので、HAMが原因で何らかの神経内科以外の受診をされたという形についても医療費助成の対象になりますので、そこだけ、済みません、私の答え漏れでございますので、補足させていただきます。

○渡邉座長 よろしいですか。

○永井構成員 悉皆というお話がちょっと引っかかったのですけれども、受給している人は悉皆で調査ができると思うのですが、そういう方向で研究されていくということをお願いしたいと思います。

○渡邉座長 それでは、山野先生、お願いします。

○山野構成員 今の疫学的な調査と関連してくるのですけれども、あくまでもこれは重症の患者さん、ある一定のレベルを超えた患者さんというので区切られているので、今、結構診断書の依頼があるのですけれども、やはりその基準に満たない方というのは、診断書を書いたり、病院の窓口でそれを書くだけで費用が発生するので、結局、軽症の方は、もう診断書は申し込みませんという方もいらっしゃって、なかなかまだ重症のところの基準に当てはまらないという方々がどうしても抜けていってしまうというのが、この制度を通じて、希少難病の実態を把握していくという上では、どうしてもそこが、残念ながら少し難しいような状況になっているような気がするのですけれども、そこら辺について、今後何か対策をとっていくとかという方針とかはございますでしょうか。

○疾病対策課長補佐 これは、実はHAM以外のほかの難病でもよく、これは強く議論いただいているところで、診断のまだつかない方であるとか、あるいは非常に病初期の方をどうやって捉えていくかということは宿題事項になってございます。

 これ自身は、医療費の助成ということで言えば、たくさんの方について支援をするという側面はあるのですけれども、全体像を把握するという意味では、医療費助成の対象でなくても、当然議論の対象にすべきという形で、そういう調査の対象にすべきという形で、ちょうどその御意見もいただいているところですので、そういう形の方々が、そういう奨励を登録していただけるような仕組みづくりという形は、これは指摘をされているところなので、最終的には入力していただけるようなインセンティブといいますか、そういう形で、逆に自分がそういう病気になっているのだというのがわかる形の仕組みづくりというものを進めていきたいと思っています。

○渡邉座長 ありがとうございます。その辺のいろいろな制度といいますか仕組みの整備と相まって、正しく理解が、情報把握ができるようになってくるのかなと思います。

 ほかに御発言ございますでしょうか。菅付さん、どうぞ。

○菅付構成員 希少難病患者の診断がなかなかつかないという点について御提案なのですが、まず、総合診療内科医を増やしてどんな症状があっても、消去法で診断がつけるような状況にしていただきたいです。神経難病というのは、数も多いし、なかなか診断もつかないし、患者側もどこの診療科に行けばいいのか見当が付きません。せめて診断まで10年かかるところが5年になるように、5年が2年になるように、診断ができる総合内科医をたくさん育成してほしいと思います。それから、相談支援についてですが、私たちのような一般人でもパソコンを駆使すれば、病名の検討がつけられることがあります。私は、症状を検索して調べた結果、難病の患者さんの病名を当てましたし、自分自身が大腿骨を骨折したり、帯状疱疹だということも判断ができました。パソコンを使えば大体の見当が付けられるので相談支援を受ける側の人は、どこの病院に行ったらわからない人に教えてあげられるような検索能力を身に着ける。医師側のできること、患者側のできることをやれば、診断までのロスは縮まると思います。

○渡邉座長 ありがとうございました。医者の件については耳の痛いところもございますけれども、恐らく、先ほど私のコメントの中にもあったと思うのですが、医療者、医療の現場の先生たちに対しての情報発信といいますか啓発活動というので問題意識を持ってもらうというのも、立派な総合診療医を育てるよりは、具体的な活動にはなるのかなと思います。総合診療医を育てるのはもちろん大事なことなのですが、とても時間のかかることだと思うので、情報発信の仕方を工夫するということかなと思って聞いておりました。そのことによって、インターネットを使って情報を得るということにも、得やすい情報源が提供できるということにもなるのかなという気はいたしますけれども、コメントありがとうございました。

 ほかに御発言がなければ。はい。それでは、どうもありがとうございました。

 それでは、次に、議題2について、事務局から「HTLV-1 母子感染対策事業の取組状況について」の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○母子保健課長補佐 それでは、資料2の「HTLV-1 母子感染対策事業の取組状況について」、母子保健課からご説明いたします。

 1枚おめくりいただきまして、HTLV-1の母子感染対策事業ですが、母子保健医療対策等総合支援事業の予算の一部の中で行われております。

 実施主体は、都道府県となっております。事業内容としては、HTLV-1母子感染対策協議会の設置、HTLV-1母子感染対策関係者研修事業、HTLV-1母子感染普及啓発事業となっております。

 次に、2ページに移りまして、こちらの表には、昨年4月1日現在の母子感染対策協議会の設置等の取り組み状況をお示ししております。

 この表の緑色で示している自治体が、昨年4月1日現在で母子感染対策協議会もしくは既存事業での対応がなかった自治体となっております。前回の本協議会でこれらの自治体の母子感染対策の取り組み状況につきまして問題提起がございましたので、今回、これらの自治体に対しての調査を行っております。

 3ページをごらんください。実施状況調査の対象は、平成26年4月1日時点において、HTLV-1母子感染対策協議会が未設置であった自治体です。以下の10の自治体となっております。実施時期は、平成272月です。

 調査内容といたしましては、HTLV-1母子感染対策協議会の設置状況、こちらの協議会が未設置である場合は、既存の協議体での対応状況、設置が困難な理由等、その他、HTLV-1の母子感染対策に関する取り組みにつきまして、自由記載いただいております。

 4ページ以降に、各自治体の取り組み状況についてまとめております。4ページをごらんください。

 自治体Aですが、こちらは、母子感染対策協議会の設置及び既存の協議体での対応は未定となっております。設置が困難な理由につきましては、関係各課において未調整とお答えいただいています。母子感染対策の取り組みにつきましては、情報提供、研修会を年1回実施され、市町村での個別対応等を支援しているということでした。

 自治体Bですが、こちらは、平成27年3月開催の周産期医療協議会にて対応をされるということです。これまで設置が困難な理由としては、既存の設置の協議会が多く医院も重複していたこと、また、対象者が少なかったということを御回答いただいています。母子感染対策に関する取り組みとしては、中核となり得る医療機関との体制について相談したりリーフレットを配布、また研修を開催してきたということです。

 自治体Cですが、次年度以降で設置を検討されているということですが、具体的な実施時期は未定とのことでした。既存の協議体での対応予定はないということです。設置困難な理由としては、専門医との連携が困難であったと御回答いただいています。母子感染対策の取り組みにつきましては、マニュアルを作成したり、相談・検査業務を実施しているということで、医療機関を紹介するような体制整備はされているということでした。

 次、おめくりいただきまして、自治体Dですが、こちらは、母子保健運営協議会で対応が可能ということでした。そのほか、母子感染対策に関する取り組みにつきましては、研修、講習を実施し、普及啓発を行っているということです。

 自治体Eです。次年度から設置する母子保健推進センターの事業の中でHTLV-1 に関しても検討していくことを考えているとのことでした。設置が困難な理由としては、対象者が少数とお答えされています。

 自治体Fです。協議会につきましては次年度に設置予定で、既に周産期医療協議会にてもHTLV-1の問題について対応中とのことです。これまで設置が困難な理由につきましては、実態把握が困難で課題等が不明であった。今年度、関係機関に調査をしまして、次年度の協議会の設置となったということです。母子感染対策に関する取り組みですが、市町村調査などを行ったり、普及啓発を行っております。

 次のページに移りまして、自治体です。こちらは、協議会の開催に向けて調整中ではあるが、日程は未確定ということです。設置が困難な理由としては、協議内容を検討しているということです。そのほかの取り組みにつきましては、医師会、産婦人科医会の会議等において必要に応じて相談をしている。また、研修を実施し、情報提供、共有を行っているということです。

 自治体Hです。現状調査を継続的に実施し、必要な時期に設置を予定しているということです。感染症対策委員会は設置しているが、母子感染に関しては協議歴はないとのことです。設置が困難な理由については、1番の方針が決定しているためと御回答いただいています。そのほかの取り組みについてですが、検査の導入、現状調査、協議会の設置等について、適宜、医師会、産婦人科医会、小児科医会と協議をしている。また、産婦人科の医療機関を対象とした調査を実施しているということです。また、相談支援や啓発パンフレットの整備も行っているとのことです。

 次のページをおめくりいただきまして、自治体Iですが、協議会の設置に関しては次年度設置予定とのことです。これまで設置が困難な理由は、開催のための体制が未整備であったと御回答いただいています。そのほかの取り組みにつきましては、研修会を実施したり、保健指導状況を調査されたり、受診の勧奨を行ってきたとの御回答をいただいています。

 自治体Jは、協議会の設置の予定はないとのことですが、次年度の周産期医療協議会で協議を予定しているとのことです。その他の取り組みについては、調査・研究を行ったり、啓発活動を実施。保健指導状況を調査され、また、HTLV-1抗体陽性者の対策の仕組みを構築しているとのことです。

 本資料の御説明は以上になります。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 ただいまの説明に対して質問、御意見等がございましたらお願いいたします。

 最初に私からちょっと一言。今のは大変興味深いデータの御紹介をいただいたのですが、それのまとめとか考察というのは、そちらの側から何かございますかということです。情報はいただいたけれども、まとめなり考察なりというものはないのですかというのが質問です。

○母子保健課長補佐 補足させていただきますと、各自治体で対象者の数など、やはり地域差があるということで、既存の協議体で対応されることを考えているところ、今後設置を予定しているところ、もしくは、現時点では全く具体的に決まっていないというところがございました。

 全体としては、設置されていな現状においても、研修ですとか啓発活動などの取り組みはされており、全く取り組みがなされていないというところはなかったのではないかと考えております。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 それでは、済みません、森内先生、どうぞ。

○森内構成員 渡邉座長が私の聞きたかったことを聞いてくださいましたので、まず、それはおしまいなのですけれども、対象が少ないためにということで進んでいないところが何カ所かございましたけれども、ただ、実際に今、妊婦さんのスクリーニングで、もちろん九州みたいに多いところは1%を超えるぐらいの数ではありますが、押しなべて0.16%、すごくそれより下回っているところがない。つまり六百数十人の妊婦さんがいれば、1人がキャリアですので、いかに出生数の少ない県であったとしても、非流行地の県であったとしても、対象者が少数とはいっても確実にいるのに、それに何も対策していないということになるのかなというのが非常に危惧されるところです。出産をされる場所によって、生まれる場所によって、そういう対応の仕方がまちまちであったり、もしくは本当に何も対策をなされていなかったがためにキャリアになる子供さんがふえてということになると、これはかなり、そういう都道府県自身の責任もありますけれども、それを指導する側の責任としてもあるのではないかというのが、やはり一番危惧されるところです。要するに、この対象者が少数だからといって、そのままスルーしてしまっていいのでしょうかというのが、まず第1点です。

○渡邉座長 それでは、よろしくお願いします。

○母子保健課長補佐 おっしゃるとおりで、対象者が少ないからといって、もちろん対策をとらなくていいというわけではないと思いますが、協議体を設置するには、各関係団体の方の御協力も必要であるという声が自治体から上がっていました。また、なかなか優先事項として上がってこず協力が得づらいという側面もあると聞いております。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 そのほかございませんか。どうぞ、小森先生。

○小森構成員 大変興味深い報告結果だと思っています。森内先生も御指摘になられましたけれども、協議会、いわゆる形式といいますか形も重要ですが、より大切なことは、実際のHTLV-1 母子感染対策が具体的にどのように取り組まれていて、その実績はどうなのかということなのだと思います。そこで初めて、対象者に当たる方々の健康向上が図られるということですから、より突っ込んだ調査をしていただいて、その実績等をこういった場所で検討して、しかるべき指導とかを行うというようなことが必要なのではないかと思いますので、ぜひその点をさらに検討する観点をお願いしたいと思います。

○渡邉座長 よろしいですか。御発言はございますか。

○母子保健課長補佐 ありがとうございます。今後も、こちらのHTLV-1 の母子感染対策事業に関する調査は、少なくとも年1度は行っていくかと思いますので、その調査の中で、今、先生がおっしゃられたような点も踏まえて調査ができるようにしていきたいと思っております。

○渡邉座長 では、木下先生。

○木下構成員 今の小森委員のお話と関連するのですが、実際に協議会があるという都道府県が、本当に機能しているかどうかが問題です。名前だけで機能していないのではないかという地域が幾つもあるような印象を実は持っています。現在、抗体陽性の妊婦から生まれた児を今度は小児科にお願いして、児のフォローアップ等もお願いするという仕組みの中で、協議会を中心にアレンジしようと企画したのですが、あっても余り機能していないのです。一方、本当にうまく機能している地域あり、前向きな取り組みをしているモデルになるような県がないはずがないのでありまして、そういったところのモデルを幾つか教えていただいて、こんなふうなやり方をすれば、仮に対象が少なかろうと何であろうとまねしていけばいいよという、そういうモデル的なものを教えていただくほうが有意義であると思います。従って、今回の調査結果のように、協議会があるかないかの数を調べても、あまり役にも立ちません。ぜひもう一遍前向きな、この次の協議会に本当に生かしていくならば、それに資するようなアンケートをやっていただきたいと思います。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 よろしいですか。

○母子保健課長補佐 貴重な御意見ありがとうございました。今後の検討の課題とさせていただきます。

○渡邉座長 それでは、岩本先生から、お願いいたします。

○岩本構成員 日本の感染症対策の問題の一つとして、パッシブサーベイランスというか、報告に基づいた感染症の発生数の把握は世界一のレベルだと思いますけれども、一方で、推定感染者というか、エスティメーションで感染者がどのぐらいいるのだということが、特にある程度慢性的に経過する病気についてほとんどわからないというのが、大変大きな問題だと思っています。そういう中でHTLV-1 は、長年の蓄積で感染者の報告数や推定感染者数がわかっているわけですから、県によって、当然対応の重要さは違うはずだと思います。一方で、やはり発生数の少ない地域でも、どのように均てん化した医療を受けられるのか、という問題もあると思います。こういう事業ができると、予算を目的外使用できないから、どうしても対策委員会をつくらないといけないということになりますね。お忙しい先生方が、実際いくつも重複して委員をされているようです。もちろん発生の多い県は単独で協議をされるべきだと思います。一方、頻度の少ない県に関しても、リスクはこのぐらいということを確認されることは重要と思いますが、単独の委員会/対策協議会を必要とするかどうかを考える必要があると思います。例えば、母子保健に関するいずれかの対策協議会で、きちんと県のHTLV-1の発症頻度、有病率なりを確認して、周知が行われているかどうか、県の担当者がきちんと承知しているのか、きちんと議論されているのかということを確認されるのがよい [A1]   [A2]   と思います。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 菅付さん、どうぞ。

○菅付構成員 先ほど御意見がありましたけれども、ぜひ、次の協議会に鹿児島県を呼んでいただきたいと思います。鹿児島県の場合は、患者やキャリアの多発発生地域ということで母子感染対策を重点的にやっておりますが、それだけではなく、全県民に向けて感染予防やATLHAMについての啓発にも同時に取り組んでいます。啓発に当たっては患者やキャリアの会、スマイルリボンと協働しながら講演会などを開催し、広く一般に向けて啓発することで母子感染予防対策の重要性を県民に知らせています。

 先ほどの報告で、未設置であった自治体が10件ありましたが、この中に会員はいないか調べてみました。スマイルリボン会員というのは、HAM患者会員と、キャリアとATL患者会員の2つに分かれます。この10都道府県の中で会員がいなかったのは長野県だけで、あとはHAMATLの患者、キャリアが存在します。中でも、千葉県においてはHAMの患者が12名、ATLの患者が2名、東京都においては、HAM10名、ATL関連が15名、これが登録している人数です。これは統計的にいいますと、会員になっている患者というのは、実際の患者数に比べると10分の1程度です。ということは、この10倍の患者が存在すると推測されます。また、HAMの患者数というのは確実ですから、ATLの患者がこの25倍いることになります。それでも対策は必要ないと思われるのでしょうか。協議会を設置していないというのは母子感染予防対策、HTLV-1対策に力を入れないということをあらわしており、相談体制が不十分なために母子感染予防をしなかった母親の子供が感染し、万が一、数年後にHAMを発症したとなった時に、自治体が訴えられるのか国が訴えられるのかというような問題にもなりかねないと思います。以上ですが、多発地域でのモデルケースとして、鹿児島県の場合をぜひ参考にしていただきたいと思います。

○渡邉座長 森内先生のほうからお願いします。

○森内構成員 今回のアンケートをきちんと出していただいたことは、私自身は、まず評価しております。今まで全体の数字しか上がってこなかったので、これは幾ら出してもその次の一手に行かないでしょうということをこの会でも何回かお話をした上で、今回、具体的に、順番にA、B、C、D、どの県かなと思いながら見ていたのですけれども、ただ、少なくとも具体的に問題のある県が幾つかは上がってきて、そこに意識をさせる、こういうアンケートに答えることで、ちょっとそのままスルーしてくれないのだなというプレッシャーを与えたことにもなると思いますので、それはいいことだと思います。

 ただ、それ以外にもずっと言い続けてきているのは、以前、参考人として板橋先生がおいでになって、全てのキャリアから生まれた子供たちのフォローをしていく体制をつくっていく中で、都道府県による差が相当大きい。それは、実際上この連絡協議会がないからと言われるのですね。都道府県側が「ある」と言っているところでも、現場の人達は「ない」と答える。だから、実際上、どこでどうケアをしていいのかわからないから、そういうキャリアから生まれた子供をずっとフォローしていくことを引き受けてくれる機関がほとんど見つからないために、板橋班の研究というのはかなりもうドローバックしているのですけれども。だから、まずないということが問題ですし、あるところでも、実際上、機能していない。再三いろいろな委員の先生から言われているとおりで、次にアンケートをするとしたら、ぜひ1年間の実績を出していただきたいと。ただ単に何とかを開きました、何とかを開きましたではなくて、1年間、おたくの都道府県ではキャリアの妊婦さんをどのくらい把握して、その人たちがどのようにフォローされているのか、可能であれば、栄養方法とかの指導とかもどういうふうになって、どういう結論になっているのか、さらに何年かたったところであれば、その子供たちの実際の感染がどうなっているのかということのデータとかも出てくるはずなので、そういう具体的なデータを出していただきたい。

 その協議会の活動の仕方自体は、再三またお話が出ていますように、流行地と非流行地、非流行地でも、都会だから絶対数が多いところ、本当に非流行地で絶対数も少ないところで対策の仕方が違って、それは当然だと思います。鹿児島県や長崎県のようにキャリア率も高いし絶対数も多いところのやり方はあるでしょうし、また、東京都などの、キャリア率は低いけれども、絶対数が非常に多いところのやり方もあるでしょうし、一番問題だと思われる、キャリア率もキャリアの絶対数も少ない県でも、きょうはお休みですけれども、まさに齋藤先生が富山県の非常にいいモデルを再三ここで御発表されていることですので、参考になるパターンは全部あるはずですから、それをやはりうまくいっていない都道府県にも提示する機会もつくることによって、また次のステップに進めていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 何かございますか。

○母子保健課長補佐 先生方、貴重な御意見をどうもありがとうございます。先ほども申し上げましたが、年1度はこちらの調査を行っているところですので、ほかの調査項目との関係もありますので、どこまでHTLV-1 に関する具体的な内容までを調査できるか、少し限界があるかとは思いますけれども、今いただいた御意見を参考に調査を行っていきたいと思います。

○渡邉座長 伊川さん、どうぞ。

○伊川構成員 石川県の石川中央保健福祉センターの伊川です。

 今いろいろ御意見が出ましたけれども、先ほどの小森先生からも、協議会は形だし、実績はどうかというお話がありましたが、実はいろいろなことがあれば開かざるを得なくなるということがあるのだと思うのですね。そのためには、今、森内先生もおっしゃいましたけれども、実態がどうなのかということを把握するということで、先ほど、年に1回は調査すると言われたのですけれども、そのときに、昨年度も申したのですけれども、母子保健事業の中でHTLV-1 の検査をするということが検診項目に入ったのですね。なので、それについては、各市町村は、一人一人の子供さんはどうだったかというのは皆、見ているのです。なので、その検査結果が陽性の子供さんが、その後どういう精密検査を受けて、どうなったかということは、国から県を通して市町村のほうに聞かれれば、それは母子保健事業の精度管理事業として十分に協力いただける中身だと思います。それをすることによって、実態もわかりますし、問題点もわかります。それは市町村のほうもまた、ここが問題だとかということがわかると思いますので、ぜひそれをやっていただけたらいいと思いますし、不可能ではないと思います。

○渡邉座長 本当に大変貴重な御意見ありがとうございます。今のことも含めて、私からちょっと感想なのですけれども、このアンケートの中身、お答えを見ますと情報が非常にたくさんあると思います。明らかに言葉だけ並べていて、実態がないと思われるところと、それから、基礎知識のないことをみずから暴露している自治体等です。つまり、全部今、妊婦健診の中に抗体検査が入ってしまっているわけですね。にもかかわらず、抗体検査を勧奨するとか、検査勧奨等を周知とかといったことが堂々と書いてあるのは、恐らく基本的な知識の欠損そのものなのだろうと思うのですね。

 もう一つ、読んでいて印象深かったのは、実際に対策協議会が存在していなくても、具体的な活動としてかなり実質的な部分の活動が動いているなと思われる部分もあるということで、こういったアンケートは、せっかくされて、情報が上がってくるわけですから、大変御多忙な方々がなかなか分析はしにくいかと思うので、そういったことを含めて、きちっと調査内容を分析して、問題点の把握と対策を提言するような組織というか研究班というか、そういったものがあってもいいのかなという感想を持って見ておりました。それは今、伊川先生が御指摘いただいたようなことも含めて、全部含んで、対応の一つの考え方ではないかと、私の立場から感想を述べさせていただきました。

○山野構成員 ちょっと過激な御提案になるかもしれないのですけれども、今の皆さんの議論からもおわかりいただけるように、恐らくこれ、設置していないところの自治体というのは、このHTLV-1 の実際の被害、被害と言ったらあれですけれども、困っている方々のことの理解が不足しているような気がするのですね。資料5にありますように、協議会を設置というので、この母子保健医療対策等の総合支援事業というもので予算を各都道府県に配分しているのではないかと思うのですけれども、この事業としてお金を配分して、こういうふうに実績が全くないというか、きちんとこちらでお金を配分して、これをやってくださいと言っているのにやらない自治体に対して、それでもお金を払い続けるという管理の仕方をされているのでしょうか。この事業をやってくださいとお金を配分して、それでやらないのにお金だけあげるというのは、何かちょっと、普通は考えられないような気がして、こういうふうにもうやらないのであれば、きちっと減額をするとか、むしろお金を全くあげないとか、ちょっと過激ですけれども、それぐらいやらないと、結局動かないのかな、わからないのかなという印象を持つ回答の内容かと思ったのですけれども、そこら辺の事業費での、きちっとこういう事業を最低限やってくださいという形でお願いして、それでもやらない場合も、継続的にそういうお金というのは払われてしまうような現状なのでしょうか。

○母子保健課長 お答えいたします。

 こちらの予算につきましては、事業を行ったところにお支払いするという形で行われておりますので、全ての都道府県に平等に流すというたぐいのものではございません。

○山野構成員 では、こういうものをやっていないとか設置していないというところは、当然もう減額。

○母子保健課長 これに係る経費については流れないということになります。

○山野構成員 そうなのですね。

○渡邉座長 さまざまな意見が出ましたけれども、それでは、この件に関しましてはここまでということにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは、次の議題の3について、事務局から「希少がんの医療・支援のあり方に関する検討状況について」の説明をお願いいたします。

○がん対策・健康増進課長 皆さんおはようございます。半年前まで感染症課長をしていましたが、いまはがん対策・健康増進課長をしております正林でございます。

 ちょうど希少がんの検討会が立ち上がりましたので、それについて御報告したいと思います。資料3をごらんください。

 この検討会は、まず、平成24年6月に閣議決定された2期目のがん対策推進基本計画において、希少がんについてはさまざまな希少がんが含まれる小児がんを初め、さまざまな臓器に発生する肉腫、口腔がん、成人T細胞白血病など数多くの種類が存在するが、それぞれの患者の数が少なく、専門とする医師や施設も少ないことから、診療ガイドラインの整備や有効な診断・治療法を開発し実用化することが難しく、現状を示すデータや医療機関に関する情報も少ないことが課題だと指摘されて、この検討会では、希少がん患者が安心して適切な医療を受けられるよう、専門家による集学的医療の提供などによる適切な標準的治療の提供体制、情報の集約・発信、相談支援、研究開発等のあり方について、希少がんが数多く存在する小児がん対策の進捗等も参考にしながら検討することとする、こういった趣旨で立ち上がりました。

 おめくりいただきますと、メンバーが載っています。その中のお一人に渡邉座長にお入りただいております。なお、座長は、独立行政法人国立がん研究センター理事長の堀田先生にお願いしてございます。

 3ページ目ですが、スケジュールですけれども、先週の金曜日に、3月6日、第1回目を開催いたしました。そこでは、このスケジュールについてコンセンサスを得、それから、小児がん対策の進捗状況とか、それから、我が国の希少がんの現状についてフリーなディスカッションを行っております。それから、今後ですけれども、第2回目は3月31日、定義と情報提供のあり方、3回目は4月27日、診療提供体制や研究開発、病理診断について議論していただく予定です。そして、第4回、第5回で、夏ごろをめどに報告書をおまとめいただけたらと思っています。

 あと、つけている資料は、先ほど申し上げました、まず4ページ目、がん対策推進基本計画。この中で、個別の目標というものが真ん中辺にありますけれども、がん医療の6で希少がんというものが明記されています。

 それから、その希少がんについてどう書かれていたかが5ページ目で、これは先ほど趣旨で申し上げたことと重複しますので、説明は省略いたします。

 ちなみに、第1回検討会でどんなことを議論していたかというと、事務局から、先ほどの基本計画の説明とか、それから、小児がん対策というのは今どう進めているか、特に、小児がんは拠点病院などを15カ所指定していますといったことも御説明いたしました。それから、内閣府のほうで世論調査が行われていて、これはがんをテーマにした世論調査です。その中で1つの質問が、希少がんについて、患者を集める仕組みが必要だと思いますかという問いを立てて、9割の方がそれは必要と回答していたとか、それから、希少がんの診療施設までの通院時間はどのぐらいだったらいいですかという質問に対して、約8割の方が、通院時間は片道3時間未満を希望するといったアンケート結果が得られていたことも御紹介いたしました。

 それから、国立がん研究センターの先生にお願いして、参考人としてプレゼンテーションを2つほどしていただきました。主に希少がんの定義と診療についてプレゼンをしていただき、例えば外国であれば、希少がんについては、大体10万人に6人未満とかの定義があるとか、実際に日本の医師にアンケート調査をして、希少がんは、どのくらいの数字を希少がんと捉えるかみたいなアンケートをとったところ、大体がんの患者さん100人当たりに1人ぐらいというところに割と回答が集中して、それは、10万人に合わせると6.7人ですので、比較的外国と日本のドクターとは認識が一致しているとか、そんなことがプレゼンされていました。

 それから、もう一人の方にプレゼンしていただいたのは、2月1213日、今年ですけれども、この希少がんについての国際シンポジウムが開かれました。日本で開かれましたので、そのときの議論の様子などもプレゼンしていただき、その後、ディスカッションに入ったのですが、フリーなディスカッションでしたけれども、メーンに議論されていたのは集約化ですね。やはり希少なるがゆえに、例えば、患者さんも各地に分散されていますので、そうすると、その診療されるドクターの経験が乏しいがゆえに、それが治療に何らかの影響を与えているのではないかと。もう少し医療機関なり、あるいは患者さんの集約化という方向が望ましいのではないかということは、外国でも大体そういう対応をされているようで、日本もそうしたらどうかみたいなことは、その国際シンポジウムでどうも議論されたようで、その辺をメインテーマに議論していましたが、集約化のメリットは、例えば経験が豊富になればなるほど治療レベルが上がる、あるいは研究もしやすくなるというメリットがありながら、一方で、先ほどのアンケートにもありましたが、患者さんにとったらアクセスが悪くなる。こういうデメリットもこれあり、その辺についてかなり意見が数多く出されておりました。

 ちなみに、渡邉先生からも幾つか御意見をいただいていて、後で渡邉先生にちょっとフォローしていただきますが、例えば、西日本などがやはり症例数が多いので、経験豊富な方が多いわけですが、その経験に基づいて割と臨機応変な治療の選択がなされているとか、それから、ATLの診断について、比較的診断はつけやすいのだけれども、ただ、いよいよ難しいケースの場合は、やはり病理診断が重要になるのですけれども、病理については、残念ながらそんなに数が多くなくて、渡邉先生お1人しかいないとおっしゃっていましたが、そういう特定のお1人の病理診断に頼らざるを得ないという御発言もされていました。それから、希少がんの登録について議論になったときに、HAMであれば、患者さんがインターネットで情報を登録するような仕組みがありますというようなことも御紹介されていました。それから、HTLV-1 は総合対策で、研究については、毎年10億円の研究費が予算計上されていますとか、そういったさまざまな御発言も渡邉先生からいただいておりました。

 私からは以上ですけれども、もし渡邉先生からフォローしていただければと思います。

○渡邉座長 済みません、何か実態を暴露されたような感じですが。ただ、私としては、大体最初に希少がんの定義のところから、どういうことを希少がんとして取り組もうとしているかというのを最初に勉強させていただいておりましたが、ちょっと最後のほうで幾つか発言を重ねた一つの理由は、希少がんということで、がんの領域の先生方が捉えているものが、やはり圧倒的に固形がん、肉腫とか小児がんということを想定した議論をされているなということで、ちょっと異なった性格を持ったものがあって、それはそれなりに、これまでの研究なり、いろいろな体制の構築が進んでいますということを一応発言しておきたかったという趣旨でございます。

 ただ、これから順番に議論を積み重ねていくということでしたので、一つ一つ、その議論の中でそれぞれの疾患の特性を踏まえた形できちっとまとめができるように協力をしていきたいと考えてはおります。という、言いわけ的になりますが、そういうことです。

 岩本先生、どうぞお願いします。

○岩本構成員 書いてあることとおっしゃったことに何の異論もないのですけれども、1点だけ、HTLV ATLもそうですけれども、感染症が原因になるがんが幾つもあるわけですね。そういう中で、感染症の感染経路あるいは感染に至る行為によって、その感染症の流行が変わるということがあり得て、そのことによって、がんの頻度が今後上がる可能性があるがんがあるものもあると思います。見えないときは全然見えないけれども、実は、そのウイルスなり微生物は、結構社会の中にあって、あるときに、それがある集団の中で頻度がふえれば、がんとして見えてくる。それが、社会の特定の集団で起こった場合、がんの増加がなかなか見えてこないという場合もありうると思います。

 具体的に僕が心配しているのはパピローマウイルスで、男性のパピローマウイルス感染です。希少がんの場で議論されるのが適当かどうか僕はわかりませんけれども、物の見方としてそういう視点が必要で、正林さんは最も適当な現在の担当課長だと思うので、そのほかに何かそういう視点を少し入れていただくのがいいのではないかということであって、何かをすぐにしてくれということではありません。

○渡邉座長 正林課長。

○がん対策・健康増進課長 恐らく感染症との関係は、希少がんのこの検討会ではちょっとテーマとして扱いづらいと思います。ただ、一方で、がんは、がん対策推進協議会という立派な協議会があって、そちらでは1つのトピックに感染症由来のがんというものが挙げられますので、そちらのほうで議論されるかと思います。

○岩本構成員 もう少しはっきり言うと、女性の子宮頸がんは、もうはっきりとパピローマウイルスの対策が重要ということですね。ところが、男性の肛門がんというのは、欧米でもう既に非常に大きな問題であるにも関わらず、それに関して日本はほとんど何も見えてきていない、研究も恐らく進んでいないし、どういうふうに日本で展開していくか、私は非常に大事なポイントだと思っています。どこが扱うのが適当かは厚生労働省が判断してくださればいいと思います。

○渡邉座長 私もそれと全く同じ感想なのですけれども、やはり希少がんという切り口は非常に大事な一つの切り口ですけれども、もう一つ、やはり慢性感染症をベースにしたがんということで、今、岩本先生の御指摘にあったようなもの、それから、もちろんピロリもそうですけれども、肝炎ウイルス、そういったものが、やはり化学物質、遺伝子の突然変異を基盤として、加齢に伴って起こってくるようながんのグループと、明らかに感染という外来の要因がきっかけになって起こってくるがんというものをカテゴリー的に捉えて、がん対策の中できちっと対応していただけたらいいなと思います。その中の1例としてHTLV-1 も含まれるという考え方があるとありがたいと私は思います。まさに岩本先生がおっしゃったことの言い直しにすぎませんけれども、そう思っております。

 それでは、HTLV-1のほうの専門の立場から何か御発言ございますか。では、塚崎先生。

○塚崎構成員 国立がん研究センター東病院の塚崎です。

 この希少がん対策の中にATLが含まれるということは大変重要で、かつ、我々にとっても、これをぜひ進めていただければと思っています。ほかの希少がん、肉腫や小児がんなどと比べると、岩本委員からもご指摘のあった感染症との関係で大きく異なる点が2つあります。1つは地域偏在性が著しいということ、それと、予備軍と申しますか、HTLVのキャリアの方が同定されている中で、その中から希少がんのATLが発症していくという、その2点をやはり留意して検討していただく必要があると思っています。

ATLは極めて難治性の病気ですが、治療法がかなり幅広い中で、個々の患者さんをどのように治療していくかについての専門性が要求されるところが多いと思います。先ほど渡邉先生から、診断も容易な場合もあるけれども、難しい場合があるという御指摘がございました。それもまさにそうなのですけれども、診断されたATLの患者さんに対しての治療法というものが、慢性・くすぶり型の場合には、急性型に転化するまでは経過を観察する、ある意味何もしないということ。一方、急性型・リンパ腫型の場合には、強力な抗がん剤を使って、そこに、もう今は抗CCR4抗体のモガムリズマブが最初から併用できますが、その後、同種造血幹細胞移植を行うという極めて強い治療。その間が今、ある意味ないのですね。ですから治療方針を診断時にしっかり決めていくにあたっては、専門医であっても、やはり悩ましい症例がたくさんございます。そういう患者さんをたくさん診ている地域と比べて時々診ている地域においては、やはり実際診ている血液内科医においても、対策に苦慮されている場合が多いと聞いていますので、まさにこのATLは希少がんの一つであると私は考えております。ですからこそ、その対策を考える上においては、やはり地域、地域においてのどういう集約の仕方、拠点化をするかというところがポイントになると思います。その意味から申しますと、やはり九州地域とそれ以外の非流行地域、そして、後者の中でも、先ほど森内先生が言われていたところと同じになりますが、非流行地域であっても患者数が多い東京などと、それ以外のところとをやはり分けて、集約化のやり方も異なると思います。

 実際の臨床的なところで申しますと、私は3年前まで長崎にいたのですけれども、その中で、大学病院にはたくさん患者さんがお見えになりますけれども、長崎は離島が多いのですね。血液専門医もいないような離島でも、ATLの患者さんが時々発症していました。そういうときは、そこの内科の先生としっかり連携をとりながら、必要なときには大学病院に来てもらうけれども、その後は、もう本当に地元でしっかり治療あるいはフォローを継続していただく場合もありました。流行地域においても、そういう地域偏在性に対処していましたので、先ほど希少がんの集約化では距離的に3時間というお話がありましたが、イメージとして、患者さんあるいは一般の方の立場からすると、3時間が限度という思いがあられるのだと思いますけれども、それは定期的に通う必要があるのか、そうではなくて、治療方針を決めた上で、その後、フォローをどういうふうにしていくのかという観点から見ると、また変わってくる可能性もあるのかと思って聞いておりました。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 では、山野先生から、お願いします。

○山野構成員 この希少がんというのは希少難病とすごく似ているところがあるような気がするのですけれども、やはり希少難病でこれまでとられてきた感じからすると、やはり拠点化というのは、診療の均てん化という意味のみではなくて、むしろ希少がんは、やはり新薬開発が非常に難しいとか、研究が進みにくいとか、そういうところがあると思いますので、臨床研究も含めた研究の推進という意味では、拠点化しない限りはなかなか打破できないところがあるのではないかと思いますので、そういう研究の拠点という視点をもっと、余りきょうの資料ではそこら辺がちょっと見えてこなかったので、そういうものも視野に入れたほうがいいのではないかと。

 やはり臨床情報というものを全国から集約するのはすごく重要で、先ほどHAMのレジストリーというものを御紹介いただいたのですけれども、がん登録みたいに、全てのがんの登録の一つのATLみたいな感じだと、いい情報は多分集まらないような印象があるのですね。やはりATLATLでしっかりとしたレジストリーをつくって、ある一定の集団を前向きにしっかりと追いかけていって、そこからATLの本当の実体というものを明らかにしていくような研究というものは、その拠点のところでしっかりとやるべきなのではないかと思いますし、あと、もう一点は、今度は、HTLV-1 は総合対策という視点がありますので、 ATLの拠点、またHAMの拠点とか、結構ばらばらになっていると、そこの総合的なネットワークとか推進とかというものが、どうしても欠けてくるところがあるので、HTLV-1 に関しましても、まず、前回の協議会でも議論になったと思うのですけれども、1つHTLV-1総合対策の拠点みたいなものがあって、せっかくHTLV-1は総合対策としてやっているので、そういうところの視点も1つあってもいいのかなと思いました。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 石母田さん、どうぞ。

○石母田構成員 石母田です。

 今の拠点化とかという問題に関してもそうなのですけれども、確かに私たちの病気のHAMもそうですし、私の弟はATLで亡くなっていますけれども、病気を診断されても、実際にどこへ行っていいか、そのかかっている医師に相談しても、「いや、この病気はわかんないよ」という回答が、今でも結構出てきているのですね。結局私たちは、今、山野先生が東京で診てくださっていますけれども、結構関東の患者も、鹿児島大学で研究されているという情報を得て、当時、鹿児島までわざわざ診察に行っていたのですね。年に1回とか2回とか。そういうやはり患者が病気を発症した場合に、ともかく治りたいというのがまずすごく強い意思があるので、どこへ行けばいいのかということがまず知りたいというのが患者の立場なのですね。

 そういう意味で、例えば鹿児島県でもいいですし、逆に、関東なら関東に1カ所とか、大阪に1カ所とか、中部に1カ所とか、そういう拠点があれば、とりあえず自分の病気が本当にどういう状態なのだということを知るためにいくことができるのですね。それにいくことによって、患者は多分そこへある程度、毎回ではないにしても、ある程度の患者の数は集約できるから、研究ももっと進められるのではないかと思うので、患者の立場からも拠点化というのはぜひ進めていっていただきたいと思っています。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 私からちょっと補足的な発言ですけれども、やはり今、皆さんの御発言があったように、HTLV-1の場合は、同一のウイルスががんを起こしたり、ほかの難病を起こすという、いろいろな原因で病気を起こすわけですね。それは、患者さんの立場、個人の立場からすると、同一の個人に両方とも病気が起こり得る。目の病気も、HAMも起こる、ATLも起こるということがありますので、やはり拠点をつくっていくときには、HTLV-1 感染症、広い意味での感染症としての捉え方で、そういったものに対応できる、いろいろなものに対応できるものが本当は望ましいのかなと思います。組織としてはですね。そういう視点を持っております。

 ただ、希少がんという視点から見たときに、それぞれのがんの特性がございますので、全体の組織の議論を考えていく中では、それぞれのがんの特性に応じた組織のあり方というか構築というものを自由度をとった形の議論がなされていくのがありがたいなと私としては思っております。

 先ほどのもう一つ、蛇足になりますけれども、診療圏といいますか通院圏の問題も、実は、いろいろなことが拠点化のメリット、デメリットの議論のところで出てきたのですけれども、やはり高度な集約的な治療を必要とする患者あるいは時期と、それから、経過を見ていく、フォローしていくようなフェーズというのは、やはり医療の中身としては異なった性質のものだろうと思うのですね。ですから、集約的な高度な治療を施すための仕組み、センターというものと、そこから先のHAMみたいな慢性的な状態も含めて、 ATLでも、くすぶり型とか慢性型で経過を見るタイプのものをどうフォローしていくかというのは、議論の仕方を別にしていったほうがいいのかなと思います。少なくとも、非常に集約的な高度な治療を必要とする患者あるいは時期というものがあるわけですから、それをどういう医療体制で提供していくのかという議論は、やはりそれはきちっと詰めて行わなければいけないし、それはどこででもできるというわけではないだろうと考えます。そういう意味では、本当にかなり高度な拠点化という発想が必要になるのではないかとは思います。

 もちろん、だから、ネットワーク化していくという発想が非常に大事なのではないかとは思いますけれども、そういうような疾患に合わせた柔軟な議論ができることを期待しておりますということを付け加えさせて頂きます。

 塚崎先生どうぞ。

○塚崎構成員 今の渡邉先生からの高度な拠点化というところ、私は大事だと思っております。日本血液学会が一昨年に刊行した造血器腫瘍診療ガイドラインでは、ATLに対しての標準治療というものがきちんと示されています。ある意味、血液内科医はそれに従ってATLの診療を行っていますが、それを、やはり病型分類のボーダーラインのところの症例をどうしっかり診療をやっていくかについては、高度という形の拠点化が必要になると思います。

 一方、HTLV-1 総合対策では、これまでの数年の中では、都道府県のがん拠点病院でしっかり ATLに対しての診療もそこである意味、拠点として集約してやっていただくというお話があったと思います。恐らく九州等の流行地では、そこでかなり十分やれている可能性が高いのですが、一方非流行地では、今お話ししたような高度な拠点化ということができるかというと、なかなかそこまでは難しい。でも、ガイドラインに従った診療としては、本当に適切に行っていただいていると。そういう中で、やはり診療の中から研究しながらよりよい治療法を作り上げていくためには、高度に拠点化された病院が主体となって、その上で、ある意味、一般的な拠点病院と連携して進めることが、まさに研究をしていく上で、またお一人お一人の患者さんを診療していく上においても大事になると思います。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 ほかに御発言ございますでしょうか。私も希少がんの会でちょっと、後のほうでいろいろ発言をたくさんさせていただいたのですが、今回もまたちょっとつけ足して発言させていただきます。

 今、希少がんの検討会で行われている議論の方向性というのは、いかに適切な、あるいは高度な医療をそれぞれの疾患に合わせて提供できるか、そういう体制をどう組んでいくかということが主な問題点だと思ったのですが、私は、あの会の最後のほうでちょっと触れたのですけれども、結局、あの中でちょっと視点が弱いかなと思ったのが、せっかく拠点化していくということで患者さんが集約されてきたときに、その体制を利用していかに新たな研究開発、治療につなげていく研究体制を組んでいくかという議論は、あの会のあの場では弱かったような気がするのです。ですから、あの会の本来の目的がどこにあるかということにもかかわってくるわけですけれども、私が話を伺っていて非常に貴重な取り組みで進んでほしいと思うのですけれども、それは、やはり研究・治療開発とか、そういった研究につなげるような発想で制度設計をしていただけたらいいかなと思って話を聞いておりました。

 私の感想、つけ足しです。

○がん対策・健康増進課長 たくさんの御意見ありがとうございました。テークノートしましたので、頭の中に入れながら、検討会事務局として進めていきたいと思っています。

 最後の点は、一応研究は、1回目では確かに余り御意見が出ていなかったですが、先ほどの資料3の1枚目の検討事項のところで、研究開発は1つのテーマにしていますので、いずれきちんと議論していただけると思っています。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 そのほか御発言等ございますでしょうか。岩本先生、お願いいたします。

○岩本構成員 少ない病気で総合的に研究、それを拠点で強化するというのはいいと思うのですけれども、一方で、少ない病気をずっと診てきた人たちの経験をどう活かしていくかも大事と思います。例えば渡邉先生と僕とそんなに年が違わないので、渡邉先生はもうじき定年するわけです。患者さんが、いつも遠いところの高度専門病院にかからなくても、そこには例えば年に1回行くとか、2年に1回行くとかで、ふだんは経験のある先生が患者さんとのネットワークのハブになり、1つの開かれた医療の中で、例えばクリニックであるとか、どういう形でもいいと思うのですけれども、経験豊かな人材を活用していくことを考えたほうがいいのではないかという気がするのです。経験がなかなか得られないような疾患ほどそうだと思いますよ。やはり今まで診たことのない病気を診ようというのは、かなり勇気が要るというか、なかなか医療者が取り組むのに難しい場合があると思います。渡邉先生を

 例にして済みません。

○渡邉座長 いえいえ、御指摘のとおりでございます。ありがとうございました。

 そのほか御発言がなければ、次に進ませていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは、次の議題の4について、事務局から「平成27年度の研究費の公募課題」「平成27年度HTLV-1 対策関連予算案」の説明をお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 それでは、資料4に沿って説明させていただきます。まず、「平成27年度研究費の公募課題(HTLV-1 関連疾患研究領域)」ですが、これは、既に昨年末に公募をやっているところで、現在、各研究事業の評価委員会で評価を行って、採択の準備をしているものでございますので、公募の課題ということで御紹介させていただいております。

 まず、研究事業の革新的がん医療実用化研究事業につきましては、研究課題、革新的がん診断・治療薬実用化に関する非臨床研究というところで1億円程度のものを2課題とる予定でございます。また、続きまして、その下の段です。同じ研究の実用化に関する、こちらは臨床研究のほうですが、1課題当たり1億8,000万円程度を4課題程度とるということで、こちらは臨床研究ですので、薬事承認を目指した第1相、第2相の医師主導型臨床試験の実施に関する研究事業ということでございます。また、3つ目の希少がん領域の標準治療を開発する研究は、5,000万円程度を2課題とるということでやっております。

 続きまして、難治性疾患実用化研究費の部分ですが、まず、希少難治性疾患に対する新たな医薬品等医療技術の実用化に関する研究(ステップ1)ということで、これは、ステップ1は、非臨床試験で研究開始から3年以内に医師主導治験へ進める状況となっていることを目標としている研究課題でして、1億5,000万円程度を5課題の予定でやっております。またステップ2のほうですが、これは1課題当たり2億5,000万円程度を15課題の予定で公募しておりまして、こちらも、これはステップ2ということで、臨床試験ということで、研究開始から5年以内の薬事承認を得ることを目標とするという課題でございます。続きまして、難治性の3つ目ですが、革新的な医薬品等の開発を促進させる研究ということで、これは4,000万円程度を10課題の予定で公募しておりまして、これはシーズの発見ということで、基礎的な部分の研究課題ということです。難治性疾患の4つ目です。診療の質を高める研究ということで、こちらは1,000万円程度を40課題という予定で、診療ガイドラインの作成や改定に関する研究ということを予定しております。

 3つ目の事業として、新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業では、こちらは、抗HTLV-1ヒト免疫グロブリン等によるHTLV-1感染予防法の開発に関する研究ということで、こちらは1,000万円程度、1課題の予定で公募をさせていただいております。

 2ページ目をおめくりください。こちらは、難治性疾患政策研究事業ということで、こちらは領域別基盤研究分野(客観的な指標に基づく疾患概念が確立されている疾患)に関する研究で、これは1,000万円から2,000万円程度を10課題程度、こちらも全国共通の診断基準の改定ですとかガイドラインの取りまとめなどを行う政策的な研究ということです。

 説明がちょっと前後して恐縮ですが、この資料4の1ページ目は、日本医療研究開発機構の研究費ということで、この後説明します、この4月から新しく立ち上がる日本医療研究開発機構の研究事業という形でございまして、医薬品や医療機器等の実用化に関する研究事業費になっております。2ページ目は、厚生労働科学研究費補助金事業ということで、こちらは、いわゆる医薬品、医療機器の実用化ということではなく、もう少し政策的に必要な研究を行う事業ということで、厚生労働省で行っている研究事業ということでございます。

 3ページ目をごらんください。今少し説明させていただきましたが、昨年来、健康・医療関連の法律が2つ成立しておりまして、「健康・医療戦略推進法」と「独立行政法人日本医療研究開発機構法」という2つの法律が制定されておりまして、医療分野の研究開発の推進を戦略的に行っていくということでございまして、この上の囲みの下にあります日本医療研究開発機構というものがことしの4月1日に設立する予定で、この機構は、今までの研究予算、厚生労働省、文部科学省、経済産業省の3省でそれぞれが行っていたものを、この機構に集約化しまして、一体的に研究開発事業について実行していくというものでございます。

 この分野としまして、その下の四角にありますが、4つございます。左側から、「医療分野の研究開発」「新産業の創出」「医療の国際展開」「医療のICT化」ということになっておりまして、先ほど1ページ目で御紹介しました研究については、一番左の医療分野の研究開発の分野に入っていくことになっておりまして、例示として「2020年頃までに10種類以上のがん治療薬の治験開始」ですとか「2020年頃までに創薬ターゲットの同定(10件)」といったようなことが盛り込まれております。

 4ページ目をお開きください。さらに、その医療分野の研究開発のもう少し具体的なテーマ、どういったところを目指していくかというものを説明した資料になりますが、真ん中に4つの囲みがございまして、左から、「基礎研究と臨床現場の間の循環を構築」していくテーマですとか、左から2つ目は「10の基本方針」を整理していく、それからその次が「機構に期待される機能」としてどういったものがあるかということで、最後に「9つの連携プロジェクト」とございまして、この医療分野に関しては、この9つの連携プロジェクトごとの研究事業費をまた項目を立てていくことにしていまして、こちらの9つと書いてあって、スペースの関係で7までしか入っていないのですが、5にがんが入っていますし、7に難病が入っていまして、8に感染症が、「等」に含まれておりますが入っておりまして、9は医療技術の革新拠点に関する研究ということで、引き続き、このがんや難病、感染症といった中にこのHTLV-1の課題も含まれていくということで予定しております。

 続きまして、資料5です。こちらは、関係部局でHTLV-1対策関連の予算にどういうものがあるかというのを一覧表にまとめたものでございますので、ごらんいただければと思います。

 説明は以上です。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 今の御説明に対して御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。木下先生、どうぞ。

○木下構成員 大体、治療とか治験を介して実用化ということの研究が多いのですけれども、この感染症が原因であるがんというものの場合には、どうしてもワクチンのことを考えたいのですが、このHTLV-1 というのは、それができないタイプなのでしょうか。その辺はどういう位置づけにあるでしょうか、まず教えていただきたいのですけれども。

○渡邉座長 一応できます、できると思っておりますということで、情報をよく知っている塚崎先生からコメントをお願いできますか。HTLV-1 のワクチンに関してお願いいたします。

○塚崎構成員 臨床研究という点から申し上げますと、実はフランスのパスツール研究所関連のベンチャー企業がHIV ウイルスに対してのワクチンについての臨床試験を既に進めておりまして、それに引き続いてHTLV-1自体をターゲットにしたワクチンが、既に物は開発されています。それが世界の中の流行地域であるヨーロッパ、米国、そして日本でということで、もうすぐ臨床開発が始まると聞いておりますが、これが、どちらかというとATL発症予防、あるいは発症後は化学療法で寛解となった場合のその維持療法的な治療というところがターゲットになっているようです。

○木下構成員 ありがとうございました。どこの施設でどういう研究をするようにということは言えないわけですが、先ほど岩本委員がお話になりましたように、感染症が原因であるようながんというのは、そんなに多くありません。例えばHPVワクチンが実用がされています。しかし、日本では、今は中学生や高校生の女性を対象にして接種した結果、一部に慢性疼痛の障害が残ったため、厚労省は、勧奨を中止しています。このワクチンは、諸外国では、その成果も上がっており、いずれ、我が国でも、接種の再開が始まると思いますが、このワクチンは、何故、中学校・高校生の男性に接種しないのか、理解できません。ひとたび、ワクチンが開発されるとその意義は極めて大きいことが、明らかになっています。従って、ATLのような治療が難しい疾患に対しては、特に、いかに予防していくかという研究に、大きなエネルギーをかけていただきたいと思います。

 この治験研究の結果、抗がん剤、がん関係の薬は確かにすばらしいものができているとはいえ、必ず、副作用が問題になります。ペプチドワクチンのように、余り副作用がないようなものでうまくいけばいいのでありますけれども、効果の点で問題があります。

全国の研究施設では、十分な人材も確保できず、研究費も少ないだけに、無駄なく研究資源を活用するために、全体的な重要な研究の方向性がわかっておられる渡邉先生やら岩本先生方は、日本国内で、どういう方向が最も大事な研究だから、それ課題を、やったらどうかというサジェスチョンも含めて指導していただくことが、必要ではないでしょうか。その一つとして、やはりワクチンの研究も位置づけられないかと思います。当然、HTLV-1感染によって、発症した患者様に対する治療薬の開発の重要性は論を待たないのですが、これからの問題となりますことは、ワクチンの開発研究が、一番大きな課題になりはしないかと思うだけに、そういうことに積極的な投資をしていくということをぜひお願いしたいと思います。

 

○渡邉座長 まず、岩本先生、お願いいたします。

○岩本構成員 僕はHIVの専門家のつもりですけれども、HTLV 1の国産ワクチンがないのだというのは、もうまさにおっしゃるとおりだと思います。これだけ日本で研究されている疾患ですから。ある研究者の言葉を紹介すると、山本直樹先生ですけれども、日沼先生の教え子で熊本大学から山口大学、東京医科歯科大学に行って、それで感染研にずっとおられて、今は定年してシンガポールで研究されています。彼は、キャリアを通じてHTLVの研究とHIVの研究と両方やったわけです。その山本先生が僕に言っていたのは、「HIVのワクチンは難しいけれども、HTLVは、俺はできると思うよ」とおっしゃっていました。実際長年研究してきた先生の言葉であって、今まで何で日本でやらなかったのかとも思うのです。やはり単にフランスだけに頼るのではなくて、患者さんあるいはそのポピュレーションが受け入れにくい事情もあるかも知れませんが、僕は日本発があるべきだと思いますね。

○渡邉座長 そのことも含めまして、私の知っている範囲でコメントをまずさせていただきますと、厚生労働省の厚生労働科研の中で感染予防ワクチン、それから発症予防ワクチンの研究開発プロジェクトはずっと動いてきております。現実に今も動いております。ただ、残念ながら、実際に臨床治験が視野に入ってくるレベルには、まだ届いていないというところで、ここ何年かは、領域としてはそういったことがかなり積極的に進められているということはお伝えしておきます。

 ただ、なぜそれまでされていなかったのかというのは、私も大変不思議な、ほんの数年前から、割と幾つかのグループが、3年、5年の流れですけれども、取り組んできているのは事実ですが、それまでの経緯に関しては私もちょっとよくわかりません。

 ただ、何度か、今、岩本先生、それから木下委員から御発言がありましたように、感染症という立場、それから疾患の治療ということよりも、疾患を予防するという発想で感染症をコントロールしていくという立場で物を考えた研究というものが、もうちょっと強調されてもよいのではないかと私も思いますし、一応私が取りまとめさせていただいた報告書の中でも、そういったことについては強調したつもりです。

 何を強調したかというと、まず、感染予防が大事であるということ、それは将来に向かってですね。もう一つは、現状存在している100万人以上、百数十万人いるキャリアの中から、確実にがんとかいろいろな難病が起こってくるわけですから、そういう人たちからの疾患の発症をいかに防いでいくかと。少なくとも、発症した疾患に対する治療法の開発という視点だけではなくて、そのもと、感染を抑える、発症を抑えるというようなことを総合的に取り組むというのが、本来のあるべき姿ではないかとは考えております。

 残念ながら、そういう発想で現実にどこまで研究が進んでいるかというと、まだなかなか難しいところではありますけれども、岩本先生の厳しい御指摘がございましたが、木下先生からも言われたのですが、ワクチンの開発というのは、感染予防と発症予防という視点で日本の国内でも努力は続けられている。それから、疾患の発症予防という観点からは、現実の、まだ臨床治験とか具体的なところまでは行っていませんが、この領域の研究者の間で、例えばATLの発症ハイリスク群を絞り込んで、その人たちに積極的な発症予防で取り組む方法を適用すべきだという考え方は、ほぼコンセンサスになっていると思います。それに向けた努力はいろいろと進められておりますというところまでは言えると思います。

 ただ、先ほど御紹介がありました日本医療研究開発機構の研究プロジェクト等で見ますと、どうしても創薬、実際の臨床治験、いわゆる現実に存在する疾患に対する治療薬の開発というか治療法の開発という視点になりますので、少しやはりポイントがずれるところ、視点がずれるところがあるのかなという感じがいたします。発症予防とか感染予防というところは、どういうところで正面から取り扱っていただけるのかなというのは、ちょっと枠組みとしてはどうなるのかなという疑問といいますか懸念は持っておりますというところです。

 一応、私からの発言はそういうところですが。

○結核感染症課長補佐 いろいろ御意見ありがとうございます。1点補足させていただきます。

 きょう、資料4でお示ししましたのは、昨年末、公募しました、来年度からスタートする研究の公募課題の内容ということで、また、これ以外にも、既に昨年度から継続研究という形でやっておるHTLV-1 関係の研究もございますので、そうした研究も全てまとめまして、次回の協議会では進捗状況なりを報告させていただきたいと思っております。

○渡邉座長 ありがとうございます。次回の協議会では、新年度の研究課題が全部出そろっていて、それの進捗状況に関しても御報告をいただけるということで、全体像が見えるであろうということですね。はい、ありがとうございます。

 ほかに御発言、御質問等ございますでしょうか。

 それでは、時間も参りましたので、本日は以上で終了といたします。

 菅付さん、どうぞ。

○菅付構成員 昨年12月に、山野先生が指摘された、生体腎移植後のHAM発症の件です。日本移植学会と日本臨床移植学会へ注意喚起をしたとありますが、その後どうなりましたでしょうか。以前、この協議会で患者会の報告として、こういう事例がありましたと発表しております。母親がキャリアだったにもかかわらず、検査がなくて、母親の腎臓移植を受けた患者さんが、その数年後にHAMを発症して車椅子生活になってしまいました。その親御さんが非常にショックを受けられて、裁判を起こし弁護士に相談をしているところだという電話がありましたという内容でした。今後、この問題についてはしっかりと対策がなされるのでしょうか。

○渡邉座長 その辺について何か報告ございますか。

○疾病対策課長 疾病対策課でございます。

 移植を受けた方がHTLV-1 に感染されてHAMを発症したという御報告がありましたので、それにつきましては、厚生労働省の中でも共有いたしまして、その後、関係の学会でしっかりと調査をするようにお願いしております。中心は、山野先生にやっていただいておりますので、詳しくは山野先生から少し補足していただければと思います。

○渡邉座長 山野先生、補足をお願いいたします。

○山野構成員 健康危険情報を厚生労働省が迅速に対応してくださいまして、プレスリリースいう形で、もうプレスリリースが既に出ており、それに呼応した形で、日本移植学会が、移植学会の中での注意喚起というものを既に、全国の関係の先生方にはそういう情報が行っています。さらに、今度は、日本移植学会が主導という形で研究班が立ち上がりまして、茨城の国立病院の先生が研究班の代表という形で、移植学会の理事をされている先生が今、代表できちっとその調査をしっかりとして、その研究班の報告をもって、きちっとしたエビデンスをもって、これを今後の対策に役立てていただくという今、研究が、今年度の途中からスタートしているという段階になっています。

 そこは、腎移植学会とか移植学会もかなりきちっとした重大な問題として捉えてくださっているので、きちっとした対策が進むという印象を今のところ持っております。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 塚崎先生、私の記憶では、肝移植でATLの発症という例もいろいろ御報告がありますね。それに関しての対応というのはどういう感じになっていますか。

○塚崎構成員 九州の施設からかなり肝臓移植後のATLの発症の御報告があったと思います。それについては、やはり少なくとも九州の肝臓の先生方は、もう留意しながら移植をされていますし、恐らく山野先生が言われていたところとの絡みで、私のところにも移植学会の方からそういう情報を求められたりしておりますので、そこも含めて、移植学会が全体をマネージしていただければよいと思って聞いておりました。

○渡邉座長 わかりました。どうもありがとうございます。

 それでは、ほかに御発言がございませんでしょうか。

 なけれは、時間も参りましたので、本日は以上で終了といたします。構成員の皆様方には、御出席いただきまして、活発な議論をいただき大変ありがとうございました。

 次回のテーマにつきましては、事務局と相談の上で決めさせていただきたいと思います。

 それでは、その他、事務局から何かございますでしょうか。

○結核感染症課長補佐 次回の開催につきまして、また日程を改めて調整させていただきまして、事務局より御連絡を差し上げます。

 本日は、これで終了いたします。どうもありがとうございました。

○渡邉座長 どうもありがとうございました。


(了)

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