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2015年1月29日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第69回) 議事録

○日時

平成27年1月29日(木)16:00~17:40


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

酒井部会長、金倉部会長代理、定本委員、清水委員、中村委員、丸山委員

○議事

(以下、議事録)

〇酒井部会長 

それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第69回独立行政法人評価委員会調査研究部会」を開催したいと思います。御出席予定の清水委員が遅れているようですけれども、定刻になりましたので、始めさせていただきたいと思います。夏の年度評価以来、委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。

 本日は、田宮委員、馬場委員が御欠席でございます。それでは、事務局から本日の議事について説明をお願いいたします。

 

〇政策評価官室長補佐

御説明の前に、1点御報告させていただきます。先般、持ち回りにより御審議いただきました「医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所の組織・業務全般の見直し案」につきましては、参考資料4のとおり、皆様方の御意見を踏まえまして、厚生労働大臣が1月14日に決定し、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会に提出しております。

 委員の皆様方におかれましては、短期間での資料確認にも関わらず、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。

 それでは、本日の議事について御説明をいたします。

 本日の議事は、お手元に配付しております議事次第のとおり、本年度が中期目標期間の最終年度に該当いたします2法人、具体的には、医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所が統合いたしまして、4月1日に設立されます医薬基盤・健康・栄養研究所の「新中長期目標案について」と、医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所の「役員報酬規程の改正について」でございます。

 まず、参考資料1を御覧ください。昨年6月に成立いたしました改正独立行政法人通則法の施行に伴いまして、平成27年4月1日から医薬基盤・健康・栄養研究所は、「研究開発の成果の最大化」を目的といたしまして、研究開発を主要業務とする「国立研究開発法人」に分類されることになっております。

 この国立研究開発法人の中長期目標については、「研究開発の成果の最大化」に関する事項を定めるとともに、昨年9月に総務大臣が決定いたしました、参考資料3の1に抜粋をつけておりますけれども、「独立行政法人の目標の策定に関する指針」に基づき策定することとされております。また、中長期目標の策定にあたっては、改正独立行政法人通則法第35条の4第3項及び第4項の規定に基づき、あらかじめ、総務省に設置されます「独立行政法人評価制度委員会」の意見を聴くとともに、当該意見聴取に先立ちましては、各府省に設置されます「研究開発に関する審議会」の意見を聴かなければならないこととされているところでございます。

今年度におきましては、改正独立行政法人通則法の施行前ではございますが、同法附則第2条の規定によりまして、新中長期目標の策定に関し必要な手続その他の行為については、改正後の規定の例により行うこととされておりまして、各府省に設置される「研究開発審議会」の意見聴取については、「独立行政法人評価委員会」、すなわち本部会がその役割を担うということとされております。このため、本日は、医薬基盤・健康・栄養研究所の新中長期目標案について御審議をいただき、御意見を賜ることとしております。

なお、本日御審議いただく新中長期目標を受けて、法人が作成します新中長期計画については、改正独立行政法人通則法附則第2条の規定により策定された中長期目標に関して、同条第3項の規定によりまして、改正法の施行日、つまり今年の4月1日において、同法第35条の4の規定に基づく中長期目標とみなされますので、改正法の施行日であります4月1日に、法人から認可申請がなされ、その後、主務大臣において認可が行われるという予定でございます。

続きまして、国立研究開発法人の中長期目標の策定について、ポイントを絞りまして御説明をさせていただきます。参考資料2の横のポンチ絵を御覧ください。

昨年6月に成立いたしました改正独立行政法人通則法の施行に伴いまして、国立研究開発法人に分類される法人については、同法第35条の4の規定に基づき中長期目標を策定することになります。また、策定にあたっては、先ほどもお話をしたように、総務大臣が定める指針に基づき策定しなければならないこととされております。

今回の法改正等に伴う変更点については、大きく分けて3点ございます。

まず1点目としては、目標期間の設定についてございます。これまでの目標期間は、3年以上5年以下の範囲で定めていたところ、研究開発業務については、大規模なプロジェクトの場合、5年を超えるものも存在するというような事情から、国立研究開発法人については、5年以上7年以下の中長期の目標期間を設定することとされております。

続いて、2点目としては、目標に定める事項、項目についてでございます。参考資料2の先ほどのポンチ絵の裏面を御覧いただきますと、改正前の現行の通則法と、4月1日以降施行される改正後の中長期目標にかかわる規定の対照表となっております。こちらを見ていただきますと、これまでは独立行政法人は一律、中期目標の期間の設定に加えて、業務運営の効率化に関する事項、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項という4つの事項について目標を設定してきたことがわかるかと思いますけれども、4月1日以降、改正法が施行された後においては、国立研究開発法人については、先ほどお話をした、条文で言いますと、右側の第29条第2項第3号に規定されている「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」について改正が行われ、法人の目的でもある研究開発の成果の最大化に関する事項として、先ほどの対照表の左側の第35条の4第2項2号に規定されている「研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項」を定めるとともに、当該事項においては、研究開発の事務及び事業に係る目標を設定するというように整理されております。

表面に戻っていただきまして、最後の3点目としては、研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項において設定する研究開発の事務及び事業に係る目標についてでございます。ポイントとして2点ございます。

まず1点目としては、あらかじめ目標策定時に「評価軸」、これはいわゆる評価の視点というように理解していただければと思いますけれども、そういったものを設定し、主務大臣が目標と併せて法人に提示するとなっている点でございます。ここで言っています「評価軸」とは何かと言いますと、科学的・技術的観点、社会的・経済的観点、国際的観点等を踏まえて設定される研究開発の事務・事業に係る評価の視点でございまして、研究開発の事務・事業の評価にあたりましては、設定した「評価軸」を基本として、定性的・定量的な観点から評価を実施することとされております。

また、2点目としては、この「評価軸」に関連する指標等の設定にあたりましては、「評価指標」と「モニタリング指標」を区分して設定することになっている点でございます。こちらは、目標等において設定される定量的な指標は、必ずしも研究開発業務のアウトカムに直結するとは限らない、また、法人としてこれらの指標を挙げること自体が目的化してしまうおそれがある等といった理由から、研究開発の事務・事業については、指標等の設定にあたりまして、評価・評定の基準とする指標として「評価指標」、正確な事実把握のための指標として「モニタリング指標」を、それぞれ適切に区分した上で設定することとされております。

以上の2点については、先ほどもお話をしております総務大臣が定めた指針において示されているものではございますが、その指針の中においては、「評価軸」等の設定にあたって、法人の意見を踏まえるとともに、研究開発審議会などの外部有識者の意見を踏まえて、適切に設定することとされております。今年度においては、その研究開発審議会の役割を本部会が担うこととされておりますので、本日、「評価軸」等の設定に関しても、併せて、本部会において御意見を賜ることとしております。

なお、本日は、医薬基盤・健康・栄養研究所の新中長期目標案について、「研究開発の事務・事業に係る目標」「研究開発以外の事務・事業に係る目標」、そして、「評価軸案」と3つのパートにそれぞれ区分いたしまして、御説明させていただくとともに、御意見を賜ることとしております。

事務局からは以上でございます。

 

〇酒井部会長

ありがとうございました。委員の皆さんいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、早速、議事に入ります。

 最初に、医薬基盤・健康・栄養研究所の新中長期目標案について御説明いただきたいと思います。先ほど御説明がありましたように、3つのパートに分けて御説明いただき、審議をしていきたいと思います。それでは、法人所管課より、「研究開発の事務及び事業に係る目標」について御説明をいただきたいと思います。その後に、質疑を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

〇大臣官房厚生科学課長

それでは、厚生科学課長でございます。

 私から、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の中長期目標の案について御説明させていただきます。

 まず資料ですが、資料1-1が概要です。資料1-2が本文でございます。本文の一番後ろには、政策体系図という表が載っております。資料1-2に関して、先生方に事前に送ったときのバージョンよりも、見え消しで、総務省と協議いたしまして、若干の修正がございますので、こちらの資料1-2で赤いところで書いておりますが、これもご覧いただければと思います。

 以上でございます。

 それでは、資料1-1の概要版に基づいて御説明させていただきます。

 まず、第1でございます。「政策体系における法人の位置付け及び役割(ミッション)」について御説明させていただきます。

 まず1つ目の〇ですが、独法改革に関する閣議決定を踏まえ、医薬品に関する専門性、食品・栄養等に関する専門性の融合を図り、生活習慣病対策への応用等の効果を期待し、平成27年4月1日より、旧医薬基盤研究所と旧国立健康・栄養研究所が統合されます。

 2つ目の〇ですが、旧医薬基盤研究所については、設立以来、基盤的技術研究・生物資源研究・研究開発振興を行いまして、近年、3年連続での産官学連携功労者表彰を受賞しております。また、創薬支援ネットワークでの中核的な役割など、創薬等に貢献する研究機関の地位を確立しております。

 次の〇ですが、旧国立健康・栄養研究所は、身体活動基準などの策定、また、国民健康・栄養調査の実施、健康食品に関する調査研究など国の施策に関わってきており、さらに、国際的にWHOの協力センターに指定されております。

 こういった位置づけがございますが、これらを踏まえて、国の政策等に沿うという観点から、以下の5点の役割を期待するものでございます。

 まず1点目は、閣議決定されました、健康・医療戦略等を踏まえた革新的な医薬品等の開発に資するような業務の実施。そして、行政機関等とも連携しやすい持ち味を生かしつつ、国の政策・課題等を踏まえた組織的・戦略的重点的な取組を実施する。これが1つ目のミッションでございます。

 2つ目のミッションは、創薬支援ネットワークにおける、平成27年4月から設立されます、日本医療研究開発機構等との緊密な連携、また、引き続き中核の役割を担うということでございます。

 次のミッションが、国の生活習慣病対策に反映が見込まれる研究の実施、また、健康食品の適正使用の観点からの国の政策への寄与を行うということでございます。

 次のミッションが、法定業務の効率的な実施、国民健康・栄養調査の活用による施策への寄与、また、民間の収去業務拡大に伴う業務の重点化を行います。

 最後、5つ目ですが、2つの専門性の融合による統合効果を最大限発揮するための研究の実施による、国民の健康の保持増進や安全性の確保に資するような新たな成果を創出する。こういったミッションでございます。

 続きまして、第2の「中長期目標の期間」ですが、平成27年4月から平成34年3月までの7年間にしたいということでございます。

 次のページでございます。第3です。「研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項」でございます。 まずAですが、これは「医薬品等に関する事項」で、旧基盤研に関するものでございます。

 まず1つ目は、「基盤的技術の研究及び創薬等支援」を行う。革新的な医薬品等の開発に資するという観点から、特に難病対策、新興・再興感染症対策、迅速な新薬等の開発、そして、最近目まぐるしい抗体・核酸医薬等の開発の推進等の国の政策課題の解決と国の経済成長に寄与することを目標に、以下を実施します。(1)で「難病治療等に関する基盤的研究及び創薬等支援」です。2つ目が「ワクチン等の研究開発及び創薬等支援」。3つ目が「医薬品等の安全性等評価系構築に向けた基盤的研究及び創薬等支援」を行う。4つ目は「抗体・核酸に係る創薬等技術の基盤的研究及び創薬等支援」を行う。というのが、まず1点目です。

 2点目は、「生物資源に係る研究及び創薬等支援」です。ヒト組織・細胞、疾患モデル動物、薬用植物、霊長類等の生物資源は、医薬品等の開発に有用なツールでございます。このため、革新的な医薬品等の開発に資するべく、これらの研究開発、収集、医事、品質管理、ユーザーへの提供に関し、以下を実施することとしております。(1)は、「難病・疾患資源に係る研究及び創薬等支援」。そして、「薬用植物に係る研究及び創薬等支援」。それから、「霊長類に係る研究及び創薬等支援」でございます。

 3つ目です。「医薬品等の開発振興」でございます。これまでに蓄積した医薬品等の開発支援に係る専門性、また、経験を生かしまして、希少疾病用医薬等をはじめとした医薬等の開発を一層促進するという観点から、以下の事業を実施します。1つ目が「希少疾病用医薬品等開発振興事業」です。これについては、希少疾病用医薬品等の開発を促進するための助成金の交付、また、指導や助言、そういった相談、それから、税額の控除に係る認定等の支援事業を実施していくこととしております。次に2つ目ですが、「特例業務及び承継事業」でございます。医薬品等の実用化研究を支援する事業を平成23年度まで実施しておりまして、廃止しておりますが、これの既に再委託された案件のフォローを行う。それから、成果の創出等を行うということでございます。そして、旧医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構で実施した出資事業に係る資金の回収については、継承事業ということで、これを実施していくということでございます。

 次のページでございます。Bですが、「健康と栄養に関する事業」は、旧健康・栄養研究所に関する事項ですが、まず1点目です。「研究に関する事項」ですが、健康日本2125年から開始された第二次において、政策目標の達成、また、健康食品の安全確保等に資するため、いかに特化・重点化をすることとしております。まず、(1)です。「身体活動と栄養の相互作用に関する研究」。2つ目は「食生活多様化の影響等に関する栄養疫学的な研究」。3つ目は「健康食品の有効性や健康影響に関する調査研究」。4つ目は「施策に寄与する基礎的、独創的及び萌芽的な研究」を行うということでございます。

 2つ目が「法律に基づく事項」です。健康増進法に基づく「国民健康・栄養調査」に関しては、効率的な実施、調査の高度化、施策の推進における専門的な立場からの協力を行うということでございます。(2)の「収去試験及び関連業務」ですが、業務の的確な実施、検査方法の標準化等への重点的な取組を行うということでございます。

 そして、3つ目です。「国際協力・産学連携に関する事項」です。(1)「国際協力」に関しては、アジア太平洋地域の健康・栄養問題の改善への貢献を果たしたいということでございます。それから、2つ目は「産学連携等による共同研究・人材育成」に関して、共同研究の拡充、人材養成と資質向上、研究設備の共同利用等の推進を図る。食育に資する研究の推進と情報提供を行うということでございます。

 4番目は、「情報発信に関する事項」です。身体活動・栄養・食品に関する情報発信による健全な生活習慣の普及・啓発を担っていきたいということでございます。

 Cは、2つの違ったものが統合されるわけですが、この「統合による相乗効果を発揮するための研究に関する事項」です。統合を踏まえて、2つの専門性を融合した研究を推進し、例えば以下の新たな研究課題に取り組むということで、「医薬品と食品の相互作用に関する研究」「生活習慣病の新しい予防法に関する研究」「健康に関する機能性を表示した食品の品質評価に関する研究」、こういった研究課題に取り組み、シナジー効果を推進してまいりたいというところでございます。

 以上でございます。

 

〇酒井部会長

ありがとうございました。

 ただいま、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の中長期目標(案)についての概要を所管課から説明いただきましたが、委員の皆様方から御意見・御質問をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

〇清水委員

中長期目標を立てられて、成果を最大化していくことが求められるわけですけれども、7年間の中長期の目標期間を設定して、途中で見直すなど、どの程度の修正を基本的にする余地がこの中にあるのかということが1つと、研究テーマによっては、機動的に目標、ミッションを変えなければならないような問題もあるのではないかと思います。

 それと、もう一つは、今の国の予算、財政状態から考えると、7年間で目標を最大化しようとすると、7年間はある程度担保できるような資金の総額を確保している必要があり、そういう考え方がないと、なかなか7年間を通して成果を最大化に持っていくというのは、実務的というか、コントロールする側から考えると難しく、イメージができないというのが、私が感想です。

 

〇酒井部会長

これは厚生科学課長からお答えをいただけますか。

 

〇大臣官房厚生科学課長

統合されました新しい法人の中でも、これは毎年評価を行いますし、それから、PDCAサイクルをきちんと回すことになりますので、そういった中で必要な修正とか見直すことはあり得ると思います。

 

〇清水委員

これが、制度的に毎年そういう形になるのですか。

 

〇大臣官房厚生科学課長

年度評価は毎年することになっております。

 

〇清水委員

それを次の翌年度以降に反映する。そういう仕組みになっているということですね。

 

〇大臣官房厚生科学課長

はい。

 

〇金倉部会長代理

2つの組織がそれぞれ今まで活動してきて、今後、さらに、展開するということになって、また、統合的な効果が期待されるということですけれども、具体的に、統合をすると、どのような疾患を対象にするのかとか、もう少し具体的なプランがおありなのかどうかということをちょっとお聞きしたいのです。例えば、医薬基盤研であれば難病に対するもの、あるいは、健康・栄養研はどちらかというと生活習慣病ですね。若干対象が違うような疾患を今まで研究してきたように思うのですけれども、今後、どういう疾患を、統合の成果として期待できるのかという、そういう具体的なプランがあったほうが成果が出やすいのではないかという気がしますけれども、それはいかがでしょうか。

 

〇大臣官房厚生科学課長

資料1-2の附属資料で政策体系図がございます。そちらをごらんいただきますと、左側は医薬基盤研究所系で、右側が健康・栄養研究所系です。【法人の事業】に、下にいっぱい棒がありますが、中央に3つの緑色があります。「医薬品と食品の相互作用に関する研究」「生活習慣病の新しい予防法に関する研究」「健康に関する機能性を表示した食品の品質評価に関する研究」。ここはまさにシナジー効果が期待される部分で、今までは全く別々だったのですが、これがうまく橋のようになって左と右がうまく融合できるようなということで、ここを期待しているところでございます。

 

〇医薬基盤研究所理事長

もう少し具体的な例を挙げさせていただきますと、例えば、どういう薬を飲んで、そのときにどういう食生活をしていると、どういう効果が出てくるであるといったことを系統的に研究されたことはないかと思いますので、例えばそういうことをすることによって薬の量を減らすことがもしできれば、これは間違いなく国の施策にも合うということもあります。

 それから、生活習慣病は、これまで、例えば免疫系とかとほとんど関係なく研究されていたかと思うのですけれども、粘膜免疫系とかそういうところが、生活習慣病、代謝とかというところに深く関わっていることがわかってまいりましたので、そういうこれまで生活習慣病をヒトを中心に研究されてきた健康・栄養研究所と、分子のレベルで免疫系の研究をしている我々とが、医薬基盤研究所が統合することによって、また、新しい形での生活習慣病への対応ができるのではないか。そういった例を考えております。

 

〇中村委員

A・B・Cと分けて説明してくださって、非常にわかりやすいのですけれども、それぞれが今までの経緯をきちんと反映されているとは思うのですけれども、A・Bという形を見たときに、Aの医薬品等に関する事項は、1.2.までは、何をやるのだというような目標が明快か。それは主としてそこが目標だと思います。それに対して、Bですけれども、Bが何をやるかということに対しては、1.と2.がそれに対応するのかなと思うのですが、3.「国際協力・産学連携に関する事項」は非常に大事だと思うのですけれども、これがBだけにあって、Aにそれに係るものがない。Aはこれから新しいことでもあるので、ある程度フリーハンドにさせようという意図なのかもしれませんけれども、この「産学連携等による共同研究・人材育成」は、これは両方に必要な事柄ではないかと思うのですけれども、あえて、Aにはどういうふうにやるのだというようなことを書かずに、Bだけに書いたという辺りのところを御説明いただければと思います。

 

〇医薬基盤研究所理事長

Aにその言葉が、概念的に含まれていないというわけではございませんが、Aのほうをちょっと見ていただきますと、全て、研究及びそれに基づく支援という形で書かせていただいておりますけれども、最大化のためには、研究成果に基づいて、それを創薬の支援に持っていく。この中には国際的な連携も必要ですし、産学連携も必要ですし、それから、人材育成も必要だというふうに我々は理解していまして。そういう意味では、トータルでAの中にもそういうものが含まれているというふうに理解していただければと思います。

 

〇中村委員

当然そうだと思うのですけれども、項目がないのがちょっと気になります。

 

〇医薬基盤研究所理事長特任補佐

補足して申し上げます。ただいま理事長が申し上げたとおりでございまして。実は、私どもは当然、いわゆる目標としては、Aの各業務をやっていく中の方法論として、国際協力であったり、産学連携であったりと、我々の目標を達成するというような、ある意味では補完的な意味合いでとらえておりますので、単独の目標という形ではあえて明記してないのですが、当然、方法論としてはそういうものを目指すことは、今、理事長が申し上げたとおりです。

 一方、後で補足があると思いますけれども、この業務自体がいわゆる単独の業務、まさにWHOとの関係とかそういうので、独立した事業として成り立っておりますので、それぞれについて目標という形で明記したということでございます。

 

〇国立健康・栄養研究所理事

あと、組織的な展開が1つございまして。実は、私どもの現状の組織が、6つの研究部と2つのセンターという形で組織をつくっております。特に3番と4番は、国際協力、情報に関しては、もちろんトップは研究者で、研究ということをベースにして仕事をしておるわけですが、国際産学センターと情報センターという2つのまさに研究だけでなく、対外部門を兼ね備えるような機能ということで、従来から私どもの研究所の仕事をやってきておりますので、そういう意味で、まさに研究だけではなくて、対外連携も含めて仕事をしっかりやって、それを展開していこうということで、私どもはむしろそういう視点でこの業務を今、特出ししたような形で書かせていただいています。

 

〇中村委員

国際協力はまさに今までの流れの中で大事な柱だと理解しました。(2)の産学連携等による共同研究・人材育成、これは当然両方に係るものだということについて認識を共有できたということでよろしいのではないかと思います。

 

〇酒井部会長

実は、先ほど清水委員から2つ御質問があって、1つの5年か7年かということは御説明いただいて、了解しているのですけれども、もう一つ、7年間とすると、研究予算の確保のことで、きちんと7年間の予算確保が担保される必要あるのではないかという御意見があったと思うのですけれども、それについていかがでしょうか。

 

〇大臣官房厚生科学課長

次の業務の効率化のところで御説明させていただきたいと思います。我々としては、できるだけ、予算については本当に頑張らさせていただきたいと思います。

 

〇酒井部会長

わかりました。

 

〇丸山委員

先ほど政策体系図で、これを見ると、御説明いただいたことが非常にイメージしやすいなと思い、これを見ながら御説明を伺っていたのですけれども、先ほど来、少し補足で説明いただきましたように、シナジー効果が期待できる部分をというお言葉がありましたけれども、この図を見る限り、また、ここに書かれている文言を見る限り、シナジー効果を感じられる文章がどうも見当たらないというふうな印象を受けます。それぞれが優れた専門性を持たれて今までなさっていたことが、統合したことによって、新しくそれぞれの専門性を融合させて、さらに発展的に戦略的な展開がなされるのだとするならば、例えば薬物と食品の関係に関する研究や、そのような関係を示すものとして、あるいは、生活における薬物、薬と生活そのものというような結びつけるものが1つないと、結局、縦割りで組織だけが一緒になってしまったというような印象を免れないと思うのですがいかがでしょうか。

 

〇医薬基盤研究所理事長

答えになるかどうかわからないですけれども、今、先生が御指摘されたことに関しては、医薬品と食品の相互作用に関する研究というところが当たるのではないかと理解しておりまして。これまで、まさに先生が言われたように、そういうスタンスで統合的に研究されたことがないかと思っております。それはぜひ我々はそういう責務があると思っておりまして、どういうものを食べるとどういう薬がより効きやすいか、逆に副作用が出てくるかというようなことをきちんと研究する研究所にならないといけないと思っておりまして。それは、医薬品と食品の相互作用に関する研究を我々は掲げておるところであります。

 

〇酒井部会長

いかがですか。

 

〇定本委員

今の発言と少し関わるかもしれませんけれども、相乗効果を出すという、この3つの研究の柱がございますが、ほかの研究は、これまで2つの研究所がやってきた、非常に長い基盤のある、非常に成果が出ているような分野だと思うのですけれども、このお話の中でちょっと見えにくかったところは、どちらにどれぐらいのエネルギーを費やすのか。非常に相乗効果のところは新しいものですから、これからやっていく分野で、片や、今までの業績のあるところとの選別、あるいは方針といったようなところがちょっと見えにくくて、全て並列でやっていくと。どれぐらいのエネルギーを個々の研究所が出し合うのかといったようなところの御説明をしていただけるとありがたいと思います。

 

〇医薬基盤研究所理事長

非常に難しい御質問だと思います。今の段階で、各研究所がどれぐらいのエフォートをどれに割くかということに関しては、明確にお答えすることはできないかとは思うのですけれども、恐らく健康・栄養研究所と医薬基盤研究所が統合したことによって生まれてくる新しいサイエンスのウェーブに割く時間が徐々にふえていくのは間違いないと思っておりますけれども、ただ、研究者ですから、今までやってきた基盤がありますので、それも発展させることは重要な観点になりますので、今の段階で、研究者としては、まずはこれまでの基盤を育てる。さらに、エフォートを割いて新しいことをやる。それが最終的には逆転することもあり得るというふうに理解してございます。

 

〇定本委員

お話よくわかります。7年間というような長いスパンで、しかも、予算のお話も出ましたので、そういうところの時間軸のシフトのところを少し加えられると、よりわかりやすく、説得力があると思います。

 

〇酒井部会長

よろしいでしょうか。シナジー効果につきましては、昨年、年度評価が終わった後に、私たちといろいろ議論させていただいて、シナジー効果を生むということの要望が委員から出ました。十分検討していただいた上で、医薬品と食品の相互作用に関する研究が必要というようにまとまった。私は今回これを見たときに、あのときの議論をきちんと反映していただいたなと思ったのですけれども、丸山委員が言われたように、文言的に医薬品と食品の相互作用ということだとわかりにくいということなのでしょうか。

 

〇医薬基盤研究所理事長

多分、これは医薬品と食品がぶつかるようなイメージでとらえておられる言葉になってしまっておるというふうに、ちょっと私も反省します。ここはもう少しわかりやすい言葉に変えなければいけないかもしれません。

 

〇酒井部会長

そうですね。もし、修正があれば、言っていただいて、それを検討していただくということですし、趣旨は伝わっているとは思いますけれども、いかがでしょうか。

 

〇丸山委員

私としては、医薬品というものがあって、食品というものがあって、その相互作用をということを考えるだけにとどまるような気がして、発展的というより、それぞれが持っている専門的な研究手法であったり、成果であったりということを、もっと積極的に研究開発できるようなことにならない。これはただ評価をするだけだというようなイメージを持ちやすいと思うのです。

 ですから、医薬創出におけるノウハウを、例えば新たな食品の開発であったり、あるいは生活習慣病の新しい予防法という言葉を使われていましたが、そういうところに使っていけるものがあるのではないかというようなイメージを入れていただけるとありがたいと思いました。

 

〇医薬基盤研究所理事長

ありがとうございます。先生が考えておられることも含めた形で我々も考えておりますので、それが伝わっていないということでしたら、この文章というか、この言葉が悪いということですので、いろいろと考えさせていただきます。

 言葉としてはもう変えられないので、概念的に、先生が今言われたことをいかに踏まえてこれから発展させるかということになるかと思います。

 

〇大臣官房厚生科学課長

次の第4の業務運営の効率化の中でも、我々はそういう相互的に新たな取組をしますという項目もありますので、それも改めて御説明させていただきたいと思います。

 

〇酒井部会長

そういうことで、修正とかそういうことにならないのは、それなりの長期ですので、年度評価をされることは先ほどわかりましたけれども、中長期目標を一回つくってしまうと、それを直すという手続は結構大変なのではないかと思っていて、むしろ、中間的なところで中間評価をやる。必要があれば、それは直すのだというような原則で行ったほうがよくないかなというふうに感じています。

 それから、もう一つ、この概要の中に、両方が健康医療戦略等を踏まえというようなことですけれども、例えば先ほど御説明にあった健康日本21というようなこと、これは大変国にとっても、皆さん方にとっても重要なことだろうと思いますけれども、新しく第二次になったのですけれども、例えば、今働いている労働者からすると、この問題は物すごく重要な問題で、厚生労働省という全体の枠からいくと、基盤研と健栄研との間でということですけれども、それを実効のあるものとするためには、もう一つ何か労働行政との連携、もしくは民間との連携というようなことを視野に置いて成果を普及するという視点があるといいなというふうに思いました。

 

〇大臣官房厚生科学課長

御指摘いただいた、部会長の御発言でございますが、健康日本21自体は、事務局が、健康局のがん対策・健康増進課のほうで、労働側の委員も含めて、今、評価をしておりますので、国全体の評価のシステムがありますので、私どもはいろいろな研究を通じて関与していきますので、その辺は大丈夫です。

 

〇酒井部会長

ありがとうございます。それでは、これまで「研究開発の事務及び事業に係る目標」について、御質問・御意見をお寄せいただいたと思います。そのいただいた御意見については、後ほど取りまとめさせていただくこととして、次の「研究開発以外の事務及び事業に係る目標」の議論に移りたいと思います。最初に法人所管課より御説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

〇大臣官房厚生科学課長

それでは、資料1-1の第4のところを見ていただければと思います。「業務運営の効率化に関する事項」でございます。2つございますが、まず1点目。「業務改善の取組に関する事項」でございます。まず(1)「効果的かつ効率的な業務運営」でございます。7年の計画でございますので、経費削減の意識、それから、能力・実績を反映した業績評価等を適切に実施する。理事長の強い指導力の下で、事務内容、予算配分・人員配置等を弾力的に対応させる効果的かつ効率的な業務運営体制を確立していきます。(2)は、先ほど御指摘がございました「統合による新たな研究課題への取組のための措置」で、新たな研究課題への取組を効果的かつ効率的に実施し、研究成果の最大化に資するよう、以下の措置を実施する。まず1つですが、研究部門の再編や研究ユニット等を機動的に再編できる仕組み、また、研究員等を柔軟に配置できる仕組みの構築を行う。2つ目は、研究開発業務についての更なる重点化。めりはりをつけるということでございます。それから、各事務所に所属する研究員相互間での日常的な研究情報の交換や研究機関誌の共同発行、技術、能力、人材、設備及び研究シーズの相互利用を活性化する仕組みの構築。それから、管理部門については、内部統制の強化及び研究サポート業務の充実を図りつつ、合理化を行う。3つ目ですが、「業務運営の効率化による経費削減等」でございます。まず、アですが、中長期目標終了時までに、一般管理費(人件費は除く)について、14%程度の額を節減する。イですが、目標期間終了時までに、事業費について、7%程度の額を節減する。ウですが、給与水準については、国家公務員の給与水準も十分考慮し、厳しく検証をする。エですが、契約については、原則として一般競争入札等によるものとし、随意契約の適正化を推進する。オですが、無駄の削減等に関する取組を人事評価に反映するなど、自律的な取組のための体制を整備する。

 次に、「業務の電子化に関する事項」でございます。2つの研究所に分かれますので、テレビ会議やメール会議等の更なる活用やICT環境整備等により、業務を電子化していく。

 それから、第5でございます。「財務内容の改善に関する事項」でございます。これは先ほど言いました3つの1と2で定めた事項について、経費の削減を見込んだ中長期計画の予算を作成し、当該予算により運営をしていく。(2)ですが、競争的研究資金、受託研究費、研究施設の外部利用促進等により自己収入を獲得する。これは大きな取組になると思います。そして、(3)ですが、繰越欠損金解消計画の策定・見直し等を行い、繰越欠損金を着実に解消していくということでございます。

 次のページです。第6「その他業務運営に関する重要事項」でございます。まず(1)「内部統制に関する事項」でございます。関係規程の充実を図るとともに、内部統制に係る研修を行うなどの取組を強化していきます。また、各研究施設と本部の定期的な意見交換の実施、組織全体としての内部統制を充実していく、としております。(2)ですが、「人事及び研究環境の整備に関する事項」でございます。若手研究者等の育成をさらに進めるとともに、職員の勤務成績を考慮した人事評価を適切に実施していく。また、製薬企業等との不適切な関係を生じることがないよう、適切な措置を実施していく。ウですが、大学等との間でのクロスアポイントメント制度を導入する。エですが、重点研究への研究テーマの絞り込み等により、最先端の研究開発に必要な環境を整備していく。3つ目ですが、「コンプライアンス、研究不正への対応、倫理の保持等に関する事項」でございます。研究活動における不正行為の防止、不正行為への対応、倫理の保持、法令遵守等について徹底した対応を実施します。研究所としての機能を確実に発揮していく。(4)ですが、「外部有識者による評価の実施・反映に関する事項」でございます。外部有識者から構成されている研究マネジメント体制を構築し、評価結果を積極的に活用・公表していく。(5)「情報公開の促進に関する事項」でございます。適切かつ積極的に情報の公開を実施し、契約業務については、透明性が確保されるように留意する。(6)「セキュリティの確保に関する事項」でございます。情報保護を徹底するため、事務室等のセキュリティを確保するともとに、適切な情報セキュリティ対策を推進していく。(7)「施設及び設備に関する事項」でございます。業務の円滑な実施を図るため、施設及び設備の整備について適切な措置を実施していく。なお、和歌山圃場については、中長期目標期間中に適切に処分をしていくということでございます。

 以上でございます。

 

〇酒井部会長

ありがとうございました。委員の皆さん、どうぞ御質問・御意見をお願いいたします。

 

〇金倉部会長代理

この14%というのは、基準で14%が出てきた根拠がもしあれば、教えていただければと思います。

 

〇医薬基盤研究所理事長特任補佐

これは財務省とはまだ未調整と承っておりますので、数字としては確定していないと思います。ただ、この数字そのものについては、年率換算いたしますと、2%、1%という形になります。これは今の現行の独立行政法人の中で一番低い削減率という数字でございます。私どもは研究ですので、一般管理費というのは、光熱費とか、いわゆる研究設備が稼働するのに必要な経費ということでありますので、一番低い数字を置いているということでございます。

 

〇酒井部会長

よろしいでしょうか。ほかはいかがですか。

 

〇清水委員

業務運営の効率化のところで、人員配置等を弾力的に対応させ、効果的というのは非常に重要だと思うのですけれども、今度の新しい統合された後、頻繁に人事異動みたいなことがあると、効率的な業務の動かし方はできないので、その辺のところは、例えば適した人をある程度7年間その業務に就かせるとか、何らかの施策はこの中で具体的に考えられているのですか。

 

〇医薬基盤研究所理事長特任補佐

具体的なイメージということは、現段階ではあるわけではないのですが、ここに書かれている趣旨は、統合に伴う一つのメリット、シナジー効果に注目しているわけでございまして。1つは、組織上、先ほど言ったようなテーマについて、ある意味では共同プロジェクトみたいな形をやるにあたって、それを組織上の手当てにするのかどうかというのを、この7年間で、旧基盤研、旧健康・栄養研で考えていきたいと考えておるわけでございます。初年度については、まだ組織というよりも、各研究リーダー、プロジェクトリーダー同士が一つのプロジェクトを実質的につくって、まず始めてみようと。それで、研究者同士でコミュニケーションをやると、更なる効果がまた出てくるのではないか。初年度はまずそういうイメージでございますが、今後7年間そういうのが進んでいく中で、更なる組織的な対応が必要であれば、そこは機動的にやっていきたいと思います。もちろんそれぞれの業務がございますので、それを7年間順繰りにやっていかなければいけないことは、御指摘のとおりだと思います。

 

〇清水委員

人員の配属についてですけれども、研究の具体的なプロジェクトというか、それがイメージできないので、どうするこうするというイメージがあるわけではないのですけれども、少なくとも研究の成果最大化ということになると、それをサポートするための体制をどういうふうに組むかというのは非常に重要な人員の配属のさせ方だと思うので、その辺のところもぜひ工夫をしていただいて、専門性を培うという、そういう事務的なものもありますけれども、研究そのものを支援する、その専門性というか、より実験の現場、研究者に近いところで支援できるようなそういう配属ができると、目的にかなった業務運営に近づくかなと思いますので、その辺の検討も併せてしていっていただきたいと思います。

 

〇医薬基盤研究所理事長特任補佐

御指摘を踏まえて、検討させていただきます。

 

〇酒井部会長

ほかにいかがでしょうか。

 

〇中村委員

先ほど14%の根拠を伺ったのですけれども、一般管理費で14%、事業費7%減というのは、事業をしていく中で非常に厳しい目標だと思うのですが、この数字そのものも既にデフレ時代に設定された目標であり、今後経済情勢がどうなるかわからない。余りこの数字をぎりぎり追い求めると、経済情勢の変化によっては妥当性を欠く可能性があるわけで。そこら辺はきちんと踏まえてやっていただきたい。例えば、世の中がインフレになったというときにも、この目標でやるのはつらいのではないかという気がします。これは配慮していただきたいと思います。

 

〇酒井部会長

ほかにいかがでしょうか。それでは、「研究開発の事務及び事業に係る目標」と「研究開発以外の事務及び事業に係る目標」について御説明をいただき、質疑応答をしていただきました。最後に、新中長期目標案の全体を通じて、委員の皆さん御質問・御意見はございますか。よろしいでしょうか。

 私伺っておりまして、委員から幾つかの大変貴重な御意見が出されたと思っております。そうですけれども、全体を通じて見たときに、修正をお願いするほどの強い意見はなかったと思いますので、委員から出た意見等については、十分踏まえていただき、今後、引き続きよりよい研究所をつくっていただくという意味で御検討していただければと思っております。そういうことを前提としまして、本部会として、新中長期目標案について了承したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合については、私、部会長に一任させていただけたらと思います。よろしいですか。

(各委員了承)

 

○酒井部会長

それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 続いて、評価軸案について議論をしたいと思います。まず、医薬基盤・健康・栄養研究所の評価軸案について法人所管課より御説明いただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 

〇大臣官房厚生科学課長

それでは、資料1-3でございます。「国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所に関する評価軸等(案)について」でございます。横長の資料ですが、一番左に、中長期目標の第3の「研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項」をそのまま本文を載せております。真ん中に「評価軸(案)」をお示しし、一番右に「指標」ということで、関連する評価指標、モニタリング指標などの案を挙げております。この資料に沿って説明させていただきます。若干長くなりますが、かいつまんで的確に御説明させていただきます。

 左のほうですが、まず、「医薬品等に関する事項」でございます。「基盤的技術の研究及び創薬等支援」について、(1)「難病等に関する基盤的研究及び創薬等支援」についての評価軸(案)ですが、1「研究や支援の成果等が国の政策や社会のニーズと適合しているか」という点と、2「研究や支援の成果等が企業またはアカデミアにおける研究の実用化または進展につながっているか」という軸で評価をしたいと考えております。一番右の1ですが、評価指標としては、具体的な取組事例がどうであったかということと、モニタリング指標については、各種さまざまな媒体への掲載、取材及び地域イベント等への出展の件数や、それから、共同研究などの件数、共同研究等の進捗状況、データベース等の公開状況をモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。2つ目の成果における研究の実用化・進展につながっているかということですが、これについての指標は、評価指標としては、具体的な取組事例は何であったか。それから、特許出願件数が何件であったか。論文がどれだけ発表されたか。また、学会で発表された件数。それから、探索された創薬ターゲット数・シーズ数。研究の進捗がどうであったかという、そういったモニタリング指標を設定したいと考えております。次の(2)「ワクチン等の研究開発及び創薬等支援」です。こちらの真ん中の評価軸については、同じような2点を掲げております。一番右の指標ですが、1については、共同研究の件数などが新たに追加されました。これは同じでございます。(3)「医薬品等の安全性等評価系構築に向けた基盤的研究及び創薬等支援」についても、評価軸は同じ2点でございます。右のほうですが、医薬品の安全性等評価系構築ということで、例えば医薬品評価のガイドライン案の作成に向けた各種データの取得の進捗状況とか、安全性評価のバイオマーカーや安全性データベースの利用状況といったものをモニタリング指標として盛り込みたいということでございます。2についても、同じような内容でございます。次のページです。(4)「抗体・核酸に係る創薬等技術の基盤的研究及び創薬等支援」です。評価軸は、同じもの2つを考えておりまして。一番右ですが、指標としては、モニタリング指標として、抗体・核酸のスクリーニング、最適化、デザイン等の実施件数。3つ下ですが、創薬に関連した相談等に対する体制整備の状況といったものをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。2は、一番下ですが、学会とか特許とか、同じようなものが並んでおりますが、コストパフォーマンス向上の状況についてモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。次に、「生物資源に係る研究及び創薬等支援」でございます。生物資源に関しては、(1)の「難病・疾患資源に係る研究及び創薬等支援」でございます。「評価軸は、研究や支援の成果等が国の政策や社会のニーズと適合しているか」ということです。次のページですが、「研究や支援の成果等が企業またはアカデミアにおける研究の実用化または進展につながっているか」ほぼ同じものを盛り込みたいということでございます。右のほうですが、1については、モニタリング指標としては、例えば、細胞等培養技術の普及状況とか、規制研究の進捗状況といったものをモニタリング指標に盛り込むほか、2ですが、生物資源の開発、情報付加の進捗とか、生物資源の提供状況、倫理申請の状況、また、他機関に対する技術提供及び支援の状況といったものをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。それから、(2)の「薬用植物に係る研究及び創薬等支援」です。評価軸は3つ盛り込みたい。「研究や支援の成果等が国の政策や社会のニーズと適合しているか」と、アカデミアにおける研究の実用化につながっているか。次のページの3ですけれども、「研究や支援の成果等が高品質かつ安全な薬用植物等の安定供給につながっているか」は、新たに評価軸に盛り込みたいということでございます。右のほうですが、1は、薬用植物に関しては、地方公共団体や企業等への技術移転件数をモニタリング指標。また、薬用植物の中では、種子交換件数。3つ飛びまして、国際動向等に係る情報収集及び提供の状況、麻薬関連植物の遺伝子領域等の情報整備状況といったものをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。2については、薬用植物等に係る遺伝情報等の収集、整理及び発信の状況。3ですが、品種登録(出願)に向けた取組や進捗、また、薬用植物栽培指針の作成状況、地方公共団体及び業界団体等との連携実績といったものをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。次の「霊長類に係る研究及び創薬等支援」でございます。こちらの評価軸は2点です。1については、これまで言ったものとほぼ同じですが、2については、例えば、霊長類の中でカニクイザルの供給頭数、共同利用施設の利用率とか利用件数、SPSサル類の保有数やカニクイザル生産頭数の管理状況など。霊長類に特化したモニタリング指標を盛り込みたいということでございます。次のページです。3.の「医薬品等の開発振興」です。(1)「希少疾病用医薬品等開発振興事業」ですが、こちらの事業については、4点評価軸に盛り込みたいということです。まず1ですが、「助成金交付事業等のために必要な支援体制が十分に確立されているか」」ヒアリング、実地調査等が適切に実施され、効率的な開発支援が実施されているか」「事業内容の普及・啓発が適切に実施されているか」「助成金交付等の支援により希少疾病用医薬品等の承認申請につながっているか」という4点でございます。それについての指標は、それぞれに適した評価指標としては、1ですが、支援体制の確立の有無。プログラムオフィサーの人数についてはモニタリング指標に入れてあります。2については、評価指標として、適切な支援の有無。そして、モニタリング指標として、ヒアリング・実地調査実績、指導・助言・相談実績、認定実績です。3については、説明会の開催件数を評価指標に盛り込むとともに、パンフレットの更新やホームページの管理などをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。それから、4については、評価指標としては、製造販売承認申請品目数の割合がどうかということ。助成金交付品目数がどうかというのをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。次のページです。(2)の「特例業務及び承継事業等」です。こちらについては、4点評価軸に盛り込みたいと思います。1は「成果の実用化、収益最大化のための指導・助言及び評価を行うための支援体制が確立されているか」、2「実施状況、新たな技術動向等にも機動的に対応し、収益の最大化に向けた支援が図られているか」、3「成果が社会的価値である国民の健康福祉の増進に貢献するものであるか」、4「繰越欠損金の解消が進んでいるか」です。右のほうですが、それぞれ評価指標、モニタリング指標について盛り込みたいということでございます。特に3は、薬事承認取得により実用化(上市)がなされる等、収益が生じた件数を評価指標に置き、実用化が見込まれる知的財産権の創出や技術の開発の支援の実績、治験を実施することにより、被験者への投与がなされた事例の実績などをモニタリング指標盛り込みたいということでございます。4については、繰越欠損金の解消に貢献した事例の有無、解消の経年変化、繰越欠損金の解消計画の随時見直しの有無といったものをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。

 以上が医薬系ですが、次に「健康と栄養に関する事項」でございます。まず1.「研究に関する事項」ですが、次のページです。(1)「日本人の健康寿命延伸に資する身体活動と栄養の相互作用に関する研究」でございます。こちらについては、評価軸として3点。「身体活動と栄養の相互作用に関する知見が科学的・学術的に意義があるか」「ガイドライン等の検証や施策等に活用されるエビデンスの構築がなされているか」「国民の身体活動増加や健康寿命の延伸に貢献するものであるか」という評価軸を置きまして。指標については、1については、具体的な取組事例を評価指標とし、論文発表件数、学会発表件数、研究費獲得件数をモニタリング指標に盛り込んでおります。2については、ガイドラインについて、利用の具体的事例を評価指標に盛り込むとともに、ガイドラインにおける採用項目数、引用論文数をモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。3については、国が行います、健康日本21の目標達成に向けての具体的な取組事例を評価指標として、健康日本21の「運動しやすいまちづくり環境整備」に取り組む地方自治体の数とか、厚労省や自治体の検討会への委員派遣件数などを、モニタリング指標として盛り込みたいということでございます。次のページです。「日本人の食生活の多様化と健康への影響及び食生活の改善施策に関する栄養疫学的研究」です。これは、2点評価軸として盛り込みたいと思います。まず1点目は「食生活の多様性や生活習慣病予防、健康格差の縮小に関した知見が科学的・学術的に意義があるか」、また、2ですが、「社会ニーズに応じた食生活・生活習慣の改善施策や生活習慣病予防施策の推進に寄与したか」ということでございます。指標については、1は、これまでと同じようなものでございます。2つ目は、具体的な取組事例を評価指標。ガイドライン・マニュアル等への反映件数をモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。次の(3)「健康食品を対象とした有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究」については、3点評価軸に盛り込みたいと思います。「健康食品に関する有効性及び安全性確保に資する取組がなされているか」「成果や取組が国の方針や社会ニーズと適合しているか」「国民のニーズを踏まえた健康食品の安全性・有効性情報、正しい利用法の提供ができているか」ということでございます。右のほうですが、1についてはほぼ同じですが、一番下の研究費獲得件数もモニタリング指標に盛り込みたい。それから、2つ目は社会のニーズ等の適合性ですが、行政・社会への貢献度について評価指標に盛り込むとともに、共同研究件数などをモニタリング指標に盛り込みたい。また、情報提供ですが、3つ目の新聞・雑誌への掲載数と講演数、ホームページの情報掲載件数、更新件数、アクセス件数、認知度と情報提供法の妥当性のチェック状況といったものをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。次のページです。(4)「国の公衆衛生施策に寄与する研究者を育成するための関連研究領域の基礎的、独創的及び萌芽的な研究」については、評価軸は、「国の公衆衛生施策に寄与する研究者を育成できているか」です。指標は、具体的な取組事例を評価指標に盛り込むとともに、関係省庁との研究連携を担う研究者の割合等をモニタリング指標にするとともに、公衆衛生施策と関連した論文発表件数もモニタリング指標にしたいということでございます。それから、2.の「法律に基づく事項」でございます。(1)「国民健康・栄養調査に関する事項」です。これは3点の評価軸ということで、「効率的な集計が行われているか」「調査の高度化が図られているか」「専門的・技術的な支援を行っているか」という軸でございます。それについての指標は、1は、例えば事業経費とか、報告状況といったものをモニタリング指標に盛り込むとともに、調査の高度化については、論文や学会の発表件数、食事調査システムの改善、調査結果の利活用状況をモニタリング指標に盛り込みたい。専門的・技術的支援については、技術支援の件数についてモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。次のページです。「収去試験に関する業務及び関連業務」です。これについては、4点評価軸に盛り込みたい。1は「健康増進法及び食品表示法の規定に基づく業務については、指定の期間内に報告がなされているか」「分析方法の標準化及び改良が的確になされているか」「試験室内外の分析値の信頼性確保に資する取組が的確になされているか」「関連省庁における栄養表示に関係した施策に寄与しているか」という評価軸でございます。それについての指標ですが、1は、業務実施の的確性を評価指標に盛り込むとともに、試験結果の期限内報告率をモニタリング指標に盛り込みたい。2については、標準化または改良した分析方法の件数を評価指標に盛り込むとともに、論文・学会発表、報告書等の件数をモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。3については、分析値の信頼性確保の推進を評価指標に盛り込むとともに、モニタリング指標としては、精度管理試験の件数、問合わせへの対応件数、関係機関との意見交換会等の開催件数などをモニタリング指標に盛り込む。関連省庁等の施策の寄与ですが、行政への貢献度を評価指標に盛り込みたい。会議等への参加、問合わせへの対応件数、事業への参加件数、こういったものをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。次に、3.の「国際協力・産学連携に関する事項」ですが、(1)「国際協力」ですが、これは「アジア太平洋地域における健康・栄養問題の改善に寄与したか」と、次のページの「アジア太平洋地域の学術的ネットワークを強化できたか」という評価軸を盛り込みたい。1は、アジア太平洋地域の対象国における栄養・身体活動サーベイランスの向上を評価指標に盛り込みたい。また、対象国における研究成果の活用件数や技術支援・人材育成のための専門家派遣件数、次のページの「若手研究者招へい事業」の招へい実績、こういったものをモニタリング指標に盛り込みたい。アジア太平洋地域の学術的ネットワークですが、そのネットワークを活用した共同研究の実施を評価指標に盛り込むとともに、この招へい事業の行われている共同事業の採択件数やアジア太平洋地域の研究機関との共同研究件数、国際シンポジウム開催件数といったものモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。次に、(2)「産学連携による共同研究・人材育成」でございます。これは4点評価軸に盛り込みたいということでございます。まず、「共同研究、研究所研究員の派遣、研究員の受入れが積極的に行われているか」「施設設備の共同利用や外部利用の促進のための取組が行われているか」「食育推進基本計画の推進に寄与しているか」「食生活の改善に資する情報提供が専門家に対して行われているか」という4点でございます。これらの評価軸に対する指標です。1は、具体的な取組事例を評価指標にするとともに、共同研究の件数や研究員の派遣数、研究員の受入れ人数をモニタリング指標に盛り込む。2は、施設設備の共同利用や外部利用件数をモニタリング指標に盛り込みたい。食育推進基本計画ですが、関連研究の実施状況や全国食育大会への参加状況をモニタリング指標に盛り込みたい。情報提供に関しては、専門家への情報提供件数をモニタリング指標として盛り込みたいということでございます。次の4.「情報発信に関する事項」でございます。これについては、4点評価軸として盛り込みたい。1「国民のニーズに合った健康・栄養・身体活動に関する情報収集と提供が行われているか」「ホームページやニュースレター等を介して研究所の活動や研究成果が効果的に発信されているか」「外部からの問合わせに適切に対応し、その内容を職員に周知できたか」「政府方針を踏まえた情報セキュリティの推進が図られているか」ということで、それぞれ右のような評価指標、モニタリング指標を盛り込む予定でございます。

 最後、Cです。「統合による相乗効果を発揮するための研究に関する事項」です。これについては2点の評価軸です。「研究成果等が国の政策や社会のニーズと適合しているか」「研究成果等が国民の健康の保持増進や安全性の確保に係る研究に示唆を与えているか」という評価軸を考えております。それについての指標ですが、具体的な取組事例を評価指標とし、各種媒体等への掲載など、研究件数、研究の進捗など、こういったものをモニタリング指標に盛り込みたいということでございます。

 以上でございます。

 

〇酒井部会長

ありがとうございました。大変ボリュームのある内容を丁寧に説明いただきました。

 それでは、委員の皆様、御質問・御意見をよろしくお願いいたします。

 

〇中村委員

まず評価指標とモニタリング指標の設定という形で2つに分けたのはすばらしいことだと思います。参考資料2を見ますと、定量的な指標が必ずしもアウトカムに直結するとは限らない、目標に係る指標の設定においては評価指標とモニタリング指標を区分して設定するというように、単なる件数だけではない、中身も大事なのだという視点で、私は大事な視点だと思います。それに対して、御説明いただいたのですが、それがよく読めるところと読めないところがあるなという気がしています。例えば、1-3で、評価軸を1で「具体的な取組事例」とありますけれども、取組事例を挙げれば、これで評価指標は満足となるのでしょうか。これを見ますと、医薬品等に関する事項は、ほとんどが「具体的な取組事例」で終わっているのですね。これは、せっかくこういう形で「研究そのものを評価してもらおう」という思いに対して、ちょっとつれない対応かなという気がします。例えばですが、具体的な取組事例に対する部外の評価とか、何か評価に結びつくような形のものをエビデンスとして出せないのでしょうか。Bを見ますと、それがかなり具体的に「こういったものでやります」ということで、斟酌して書かれていますので、これはよろしいかなと思いました。

 以上です。

 

〇酒井部会長

いかがでしょうか。

 

〇医薬基盤研究所戦略企画部長

具体的な取組事例という言葉が印象としてそのような感じで受け取られるところがあるのかなと思いますけれども、単にこういう研究をやっていましたということを挙げることだけではなくて、その研究についての具体的な事実関係としてのモニタリング指標とも関連しますが、さらには、その研究成果がどういう意味があるのかというようなことも含めて、具体的な取組事例として評価をしていくというようなことを想定しています。

 

〇中村委員

そうだと思うのですが、何かそれがわかるような形で書けないでしょうか。部外評価をやるのだというようなことがありますね。例えば、それに対する部外評価の評価とか、何か使えるものを用いながら具体的に何をもって評価するのか見えるような形で書いていただければいいのではないかと思います。我々の承認のもとに資料1-3ができましたとなったときに、「本当に具体的な取組事例だけ出したらいいのか」と言われたときに、我々は返す言葉がない。ぜひ、第三者が見たときにも、これで評価するのだということがわかるような形にしていただければありがたいと思います。

 

〇酒井部会長

それは文言の修正という形でよろしいですか。

 

〇中村委員

そうですね。応えていただきたい要望です。例えば、Bのほうは結構書いてあるわけですよ。改良した分析方法の件数とか、分析値の信頼性確保の推進とか、具体的に何をもとに判断するのだと読むことができ、これは評価できます。一方、Aに関しては、全て同じ文言で、具体的な取組事例で終わっているところが、いかがなものかという気がしました。

 

〇医薬基盤研究所理事長

御指摘ありがとうございます。例えば論文発表に至らない研究成果でも、今すごくいいところまで来ているというようなことをぜひ評価していただきたくて、こういう言葉になってしまっておるのですけれども、それを、さらに具体的に書くということができるかどうか。先生がおっしゃることは非常によくわかります。

 

〇中村委員

今まで具体的にこういう賞をもらったとか、いろいろ豊富な事例があるわけです。ああいうものが相当するということがわかるように書いていただければ、我々としては安心なのですが。過去の事例としては、実績は十分あるのですから。

 

〇医薬基盤研究所戦略企画部長

例えば、産学官連携功労者表彰のようなものもこれに当たると思います。

 

〇中村委員

それに対して、外部の評価とかで裏打ちできればいいと思うのですが、この文言ですと、単に項目しか挙げられていないような印象を受けますね。

 

〇医薬基盤研究所戦略企画部長

確かにそういったものを目指してはおりますが、必ず毎年いただけるという性質のものではないものですので。

 

〇中村委員

外部評価を利用すれば、そこではこういうような評価がありましたとか、部外委員が高い点数をつけてくれましたということを書けるじゃないですか。そういうものがわかるようにしていただければいいなと思います。

 

〇医薬基盤研究所戦略企画部長

御指摘を踏まえて、考えさせていただきます。

 

〇酒井部会長

よろしくお願いします。ほかはいかがでしょうか。今日のところは、中長期目標についての評価軸と指標なわけですが、これを計画に落とし込むときには、これに基づいて、今、中村委員のおっしゃっているような形で、もう少し個別の具体的なところへ落とし込んで表現されるものなのですか。

 

〇医薬基盤研究所理事長

多分、これを踏まえて、我々が計画を立てるというステップがあるかと思いますので、それを踏まえた形で年度ごとに何らかの指標なりを提示しないといけないことになるのではないかと思います。

 

〇医薬基盤研究所戦略企画部長

私どもの理解では、大きくはこういう考え方で評価指標・評価軸がありますという中で、これを、さらに、年度で見たときに、指標という視点から見たときにどう評価できるのかというのは多分考えていくことにはなると思います。ただ、どこまで細かいものをやっていけるのかというのは、ある程度の外部評価とかを受けながら考えていくことになると思います。

 

〇酒井部会長

ほかはいかがでしょうか。

 

〇中村委員

目標期間を中長期の7年に延ばしたということは意味があると思います。私は、「研究というのはそう簡単に成果があるものではない、もうちょっと腰を落ち着けて、それで最終的にいい成果がでれば素晴らしい。」という思いが表れていると思うのです。これを年度ごとに落とし込んで、この年は何をやる、次は何々という形でやってしまうと、研究が単なるルーチンワークになってしまい、独創性がなくなってしまう。この辺は、できるだけ研究者が自由にいろいろなことをやって、それで、最終的な評価として、いろいろなところから賞賛されるような成果が出れば素晴らしいと思っております。

 

〇医薬基盤研究所戦略企画部長

そういう意味では、各研究の進捗みたいなものを一応モニタリング指標という形で、研究という視点から見られるようなものも入れさせていただいております。

 

〇国立健康・栄養研究所理事長

中村先生がおっしゃったように、わかりづらいかなという気もするのですけれども、これも、今の時点で明確に書くのはなかなか難しいのではないかと思って、計画に応じて評価視点とかは出てくるのではないかとも考えております。

 

〇酒井部会長

ほかはよろしいですか。それでは、今、中村委員の御指摘の点以外、特段の御意見または修正意見はなかったように思いますので、医薬基盤・健康・栄養研究所の評価軸案については、本部会として了承したいと思います。

 なお、先ほどと同様、今後の修正につきましては、私に御一任していただくということにさせていただきます。

(各委員了承)

 

○酒井部会長

 それでは、続いて、医薬基盤研究所及び国立健康・栄養研究所の役員報酬規程の改正について、事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

〇政策評価官室長補佐

独立行政法人の役員報酬規程について御説明いたします。

 独立行政法人は役員報酬規程を改正した場合、独立行政法人通則法第52条第2項の規定に基づき、主務大臣へ届け出ることとされております。また、当該届出が行われた際には、独立行政法人評価委員会は、同法第53条第2項の規定に基づきまして、役員報酬の支給基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、意見を申し出ることができるとされておりますので、本日、本部会において御意見を賜ることとしております。

 続いて、法人から説明をお願いいたします。

 

〇医薬基盤研究所総務部長

それでは、御説明させていただきます。

資料1-4-1で「独立行政法人医薬基盤研究所役員給与規程の改正の概要」でございます。まず、改正の趣旨ですが、国家公務員の給与改定に関する人事院勧告が昨年8月になされまして、一般職の職員の給与に関する法律等の一部改正が行われました。当研究所においても、従来から国家公務員給与に準じた運用を図っていることから、役員給与規程の改正を行ったところでございます。改正の内容ですが、国家公務員のボーナスが、年間0.15月分引き上げられまして、勤勉手当に配分することとされましたことから、研究所においても、同様に、勤勉手当の支給月数を0.15月分引き上げまして、勤勉手当基礎額に乗じる割合を77.5100から92.5100と変更したものでございます。平成2612月1日から施行しております。

 なお、国立健康・栄養研究所についても、私どもの研究所と同様の改正内容でございまして、説明が重複することとなりますので、資料の説明については省略させていただきたいと思います。

 以上でございます。

 

〇酒井部会長

ありがとうございました。委員の皆さん、御質問・御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、特段の修正意見等はないようでございますので、役員報酬規程の改正については、本部会としては了承させていただきたいと思います。

(各委員了承)

 

○酒井部会長

ありがとうございました。本日の議事はこれで終了することになりますけれども、最後に、法人所管課及び法人から一言賜ればと思います。よろしくお願いします。

 

〇大臣官房厚生科学課長

本当に長い時間いろいろと評価していただきまして、本当にありがとうございました。

 委員の先生方のこれまでの御指摘・御意見、それから、叱咤激励ございまして、本当に受けとめさせていただきまして、国民の保健の向上のため、医薬品の創出、いろいろな健康・栄養の推進につきまして、この新しい法律のもとに努力していきたいと思います。そのためには、私どもで、いろいろ予算の確保や共同的な資金をうまく取っていただくような、そういったことも考えて頑張っていきたいと思っております。

 どうもありがとうございました。

 

〇医薬基盤研究所理事長

本日は本当に長時間にわたって御意見をいただき、ありがとうございます。

 昨年より、本当にいろいろな形でこの委員会の先生方に、御指摘・御意見をいただきまして、我々はそれを踏まえて、これから努力していきたいと思っております。まさに4月からこの新しい研究所はスタートするということで、今、本当に身の引き締まる思いをしております。薬と健康と栄養と、我々は幅広いキーワードを手に入れたと思っておりますので、これらが非常にマッチする形で社会・国の施策にも合うようなことを、厚生科学課ともタッグを組んで進めていきたいと思っておりますので、どうぞ、これからもよろしく御指導をお願いいたします。

 

〇国立健康・栄養研究所理事長

私どもの研究所はこの3月で一応統合されますけれども、この会議に2年間出させていただいて、つくづく頭がよくなっているような感じがしています。適切な御指摘をいただいて、先生方の考えが所員に行き渡るようにするのが私の役目だと思って、いろいろ勉強をさせていただきました。今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

〇酒井部会長

ありがとうございました。ぜひ、統合された後も、本当に国民のために頑張って研究していただき、成果を上げていただきたいと思います。本当にありがとうございます。頑張ってやってください。

 最後に、事務局から、今後の流れについて御説明いただきたいと思います。

 

〇政策評価官室長補佐

今後の流れについて御連絡いたします。

 本日、御審議いただきました医薬基盤・健康・栄養研究所の新中長期目標案につきましては、この後、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で、厚生労働大臣が決定いたします。決定した内容につきましては、後日、委員の皆様方にお送りさせていただきます。

 事務局からは、以上でございます。

 最後に、本部会の閉会に当たりまして、情報政策・政策評価審議官の安藤から御挨拶をさせていただきます。安藤情報政策・政策評価審議官、よろしくお願いいたします。

 

〇情報政策・政策評価審議官

情報政策・政策評価審議官の安藤でございます。

 本日は、本当に貴重な御意見をいただきまして、また、大変温かいお言葉もいただき、ありがとうございます。今後の取扱いにつきましては、今、事務局からお話をさせていただきましたとおり、総務省の政独委の意見を聴いた上で、厚生労働大臣が決定をさせていただきますが、本日いただいた貴重な御意見は十分踏まえさせていただきたいと思います。

 それと、御案内のとおり、昨年6月に独立行政法人通則法が改正になりまして、本委員会につきましても、今年度をもちまして、その役割を終えることになりました。今まで長年にわたりまして、大変貴重な時間をお取りいただきまして、資料を十分な時間をかけて読んでいただき、大変熱心に御議論をいただき、貴重な御意見、それから、適切な評価をいただきました。改めて御礼を申し上げます。

どうもありがとうございました。

 

〇酒井部会長

それでは、これで終了とさせていただきます。皆さん、熱心な御審議をありがとうございました。




(了)

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