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2015年2月17日 第15回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会(議事録)

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成27年2月17日
10:00~12:00


○場所

厚生労働省労働基準局第1、2会議室(16階)


○出席者

公益代表(敬称略)

小畑史子、神山宣彦、土橋 律、永井厚志、山口直人

労働者代表(敬称略)

川原一也、近藤之、曾我正成、高松和夫

使用者代表(敬称略)

明石祐二、浅井宏行、梅原尚人、桐明公男、本多雅之

事務局

泉陽子 (労働衛生課長) 、永田充生 (主任中央じん肺診査医)

○議題

(1)平成25年じん肺健康管理状況について(報告)
(2)鋳物工場における砂型造形作業に係る取扱いについて
(3)その他の調査検討結果について
   「局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入の検討について」に関する中間報告
(4)その他

○配布資料

【資料1-1】平成25年じん肺健康管理状況
【資料1-2】じん肺健康診断実施結果の推移
【資料1-3】随時申請によるじん肺管理区分決定件数等の推移
【資料1-4】平成25年業種別じん肺健康管理実施状況
【資料2】鋳物工場における砂型造形作業に係る調査研究報告について
【資料3】局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入の検討について(中間報告)
【参考資料1】粉じん作業等における粉じんばく露リスクの調査研究(平成25年11月22日第13回じん肺部会提出資料)
【参考資料2】鋳物工場での砂型造形作業における粉じんばく露リスクの調査研究報告書
【参考資料3】粉じんに関する局所排気装置等以外の発散抑制装置の導入への基礎的研究報告書
【参考】労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会委員名簿
【参考】労働政策審議会令
【参考】労働政策審議会運営規程
【参考】労働政策審議会安全衛生分科会運営規程
【参考】労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会運営規程

○議事

○土橋部会長 それでは定刻となりましたので、第15回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会を始めます。皆様におかれましては、大変お忙しい中、当部会に来ていただき、誠にありがとうございます。本日は真島委員から御欠席の連絡をいただいていますが、その他の委員は御出席いただいておりますので、労働政策審議会令第9条第1項及び第3項に定める定足数を満たしております。また、真島委員の代理として、全日本港湾労働組合の諸見氏が出席されておられます。諸見氏は委員ではないため、事前に真島委員から伝えられた意見を発言する以外の発言権はございませんが、よろしくお願いいたします。

 また、今回初めて御出席される委員がいらっしゃいますので、御紹介いたします。曾我委員、高松委員、梅原委員です。また、本日は、参考人として、早稲田大学理工学術院の名古屋俊士教授に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。

 次に安全衛生部長が交代しております。土屋安全衛生部長より御挨拶いただきます。

○土屋安全衛生部長 ただいま御紹介いただきました、安全衛生部長の土屋でございます。昨年7月から就任いたしましたが、御挨拶が大変遅くなりまして、恐縮でございます。よろしくお願い申し上げます。

 じん肺部会の開催に当たり、一言御挨拶申し上げたいと思います。委員の皆様方には、日頃から労働安全衛生行政につきまして、御理解、御協力をいただき、大変な御尽力をいただいておりますことを、心から感謝申し上げます。

 近年のじん肺をめぐる状況ですが、現在でも約50万人の方々が粉じん作業に従事をしておりますし、また、いまだに2,500人の方がじん肺について有所見ということです。引き続き、私どもとして重要な課題だと思っています。今後とも委員の皆様に御協力いただきながら、この対策を、特に最新の科学的知見とか技術の進歩の領域を踏まえて、講じていきたいと思いますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

 また、そういう状況を踏まえまして、本年の4月からはこのじん肺部会の委員を、現行の15名から18名に増員させていただくということで、先日安全衛生分科会でもお決めいただいたところでございます。引き続きこの分科会におきまして、忌憚のない御意見を賜り、対策の充実を図ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○土橋部会長 また、昨年8月より、主任中央じん肺診査医が交代しております。

○主任中央じん肺診査医 永田です。よろしくお願いします。

○土橋部会長 それでは、議事に入る前に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。

○主任中央じん肺診査医 それでは、事務局から資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第、その次に資料の一覧がございまして、その後から資料になります。資料1-1「平成25年じん肺健康管理状況」、資料1-2「じん肺健康診断実施結果の推移」、資料1-3「随時申請によるじん肺管理区分決定件数等の推移」、資料1-4「平成25年業種別じん肺健康管理実施状況」、そのあと、資料2「鋳物工場における砂型造形作業に係る調査研究報告について」、資料3「局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入の検討について(中間報告)」です。

 また、参考資料として、参考資料1「粉じん作業等における粉じんばく露リスクの調査研究」、参考資料2「鋳物工場での砂型造形作業における粉じんばく露リスクの調査研究報告書」、参考資料3「粉じんに関する局所排気装置等以外の発散抑制装置の導入への基礎的研究報告書」が付いているかと思います。

 最後に、参考としまして、労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会の本日御出席の先生方の委員名簿、それから、「労働政策審議会令」、それから「審議会、安全衛生分科会、じん肺部会の運営規程」がそれぞれ出ております。また、当日配付資料としまして、グラフが一番最後についているかと思いますので、資料のほうを御確認いただきたいと思います。資料の不足等ありましたら、事務局までお知らせください。

○土橋部会長 よろしいでしょうか。それでは、議題のほうに入らせていただきます。まず、議題(1)「じん肺健康管理状況について」です。まずは、事務局から説明をお願いいたします。

○主任中央じん肺診査医 それでは、引き続き資料1-1から資料1-4までを使って、平成25年のじん肺健康管理状況調査等を御報告させていただきます。

 資料1-1を御覧ください。平成25年じん肺健康管理状況になります。まず、1.在職者のじん肺健康診断結果です。

 これは現在、じん肺作業に従事している在職者の状況について、事業場からの報告があった数値となっております。2つの表に分けて掲げておりますが、それぞれの内容についての年次推移は、それぞれ次のページ、資料1-2で左右に分かれて掲げられています。その最下段が平成25年の数値という形になっています。また、本日お配りしております、当日配付資料のほうに、グラフ化したものを付けておりますので、そちらも併せて御覧いただきたいと思います。

 平成25年の値及び経年変化は後ほどふれたいと思いますが、平成25年の傾向として、景気動向を反映してか、事業場数や従事者数は増加しており、その影響もあってか、新規有所見者数は増加しております。後ほど数のほうは1-2等でふれたいと思います。

 次に、2.になります。随時申請に係るじん肺管理区分の決定状況についてです。これは、一部の在職者と離職者からの申請に基づく数値となります。こちらの年次推移に関しては、資料1-3ということで、3ページ目に掲げております。こちらも経年変化等につきましては1-3の説明の時にふれたいと思いますが、平成25年の傾向として、全体的に減少傾向が続いております。管理4の数値だけが微増という状況になっております。

 次に3.になります。在職者で平成25年中に合併症により療養を開始した者の内訳です。前年24年度の計245名と比べ、106名と減少しております。内訳的には、肺結核、続発性気胸、原発性肺がんが減少、結核性胸膜炎、続発性気管支炎が増加、続発性気管支拡張症が横ばいというような状況になっています。

 資料1-2を御覧ください。じん肺健康診断実施結果の推移となります。1列目の事業場数なのですが、昭和55年以降、約35,000から53,000か所と幅がありますが、平成17年以降は、42,000から43,000か所前後で推移をしております。

 2列目の粉じん作業従事者数は、本日お配りしました配付資料の丸1のグラフになりますが、毎年数万の幅で変動しておりますが、ここ10年ぐらいは増加傾向にあり、平成25年は約49万人という形になっております。

 資料1-2の3列目と4列目がじん肺健診の実施状況です。例えば管理1の場合は、3年に一度の健診となりますので、母数と比べると、実施事業場数も半数近く少ない形となっています。

 この表で一番のポイントとなるのが、5列目の新規有所見労働者数です。この数字は、じん肺対策の取組状況の指標となります。こちらは当日配付資料の丸3のグラフも併せて御覧いただきたいと思います。平成13年以降、250人前後で推移しておりましたが、平成23年、24年は180人前後となり、御覧のように、平成25年は、227人と前年度比40人ほどの増となっております。受診労働者数が同程度である平成20年や22年の数値ですが、平成20年は244、平成22年が260となるのですが、こちらとほぼ同じくらいの水準か、やや少ないといった感じになっております。

 真ん中辺りの二重縦線の右側が、管理区分1から4の管理区分決定件数となります。総数では平成25年の数は過去最小の2,000台となっております。区分ごとに見ますと、管理1と4が増加していますが、管理2と3は減少しています。こちらの年次推移は、当日配付資料の丸5のグラフを御覧ください。また、右から3列目の有所見者数は2,493、一番右端に記載があります、有所見率は1%と、いずれも平成25年が過去最小となっております。

 推移については、当日配付資料の丸4がその推移のグラフとなっております。

 続いて、資料1-3になります。随時申請によるじん肺管理区分決定状況について御説明をいたします。平成25年は計1,355件で、報告値で見ますと、管理4156件が前年より増えている以外は、有所見者数が870、合併症り患件数も161と減少しております。平成25年が過去最小という数となっております。

 最後に、資料1-4です。業種別に見たじん肺健康管理実施状況を御説明させていただきます。特に今回、大きく変動のあった新規有所見者数を見ますと、5列目の数になりますが、金属製品製造業の平成24年が41だったのに対して、平成25年では102と倍以上となっております。発生率で申し上げますと、0.25%となっています。過去の発生率との比較で申し上げますと、平成21年が同じく0.25%でしたが、その前後は0.09から0.17の間で推移をしておりました。ただ、健康管理実施者の中の有所見者数は減少が続いており、管理1から管理2以上に管理区分が変更になった数である新規有所見者の増減は、じん肺の進行具合が反映されている数になりますので、増減にも一定数というか、波がある理由ではないかなと推定をしております。足早になりましたが、資料1の説明は以上でございます。

○土橋部会長 ただいまの説明につきまして、質問等ごさいますでしょうか。

○高松委員 丁寧な御説明をいただきまして、ありがとうございました。資料を拝見する限り、新規のじん肺所見が見られた労働者数が、昭和55年以降、非常に減っている。特に、平成25年は過去最低ということで、事業所数が2万以上ある中で、やはり防止対策が進んでいるということを理解させていだたいています。

 1点質問ですが、資料1-2で、新規有所見労働者数が、平成23年に174まで下がったあと、微増ですが、今年も3年連続で増加している。いわゆる受診労働者数の関係だというお話なのですが、それ以外に何か理由がないのかということが気になるのですが、何か理由がございませんでしょうか。

○主任中央じん肺診査医 そうですね。あくまでも推定の域を出ないのですが、先ほどの分母の話と、それから、一番最後に少し申し上げましたように、有所見に移るといったらあれなのですが、徐々に進行する、じん肺の病態としてそういった形となりますので、例えば10年目から11年目に必ずなるというわけではなくて、人によっては30年とか40年とかいうようなある種の時間経過の中で、徐々になっていきますので、個人差等も含めると、たまたま一気に増える年もあるかと思いますし、逆に少ない年もあると思います。そもそもの遡った当時の景気状況とか、要は作業の数とかにもなるのだと思うのですけれども、そういった状況なども関連はしているのではないかなというふうに思います。これだけという説明はなかなか難しいのですが、そういった複合の理由、原因ということになるのではないかなと思います。

○高松委員 絶対数を下げていくことと同時に、絶対比率も下げていくということが重要だと思っておりますし、今の第8次の活動の中で、PDCAサイクルをしっかり回した上で、引き続きの取組をしていただきたいと思います。

○土橋部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議題(2)にいきます。議題(2)は「鋳物工場における砂型造形作業に係る取扱いについて」です。事務局より説明をお願いします。

○主任中央じん肺診査医 事務局からは簡単に概要の説明をさせていただき、中身については名古屋先生にお願いをしたいと思います。お手元の資料の、5ページの資料2と、19ページの参考資料1、それから参考資料2が今回の説明の本体の報告書となりますので、3つの資料を準備いただければと思います。今回、この審議をお願いする経緯ですが、19ページの参考資料1は、平成251122日に開催された第13回のじん肺部会において審議、了承された資料となっております。平成25年度から、名古屋俊士教授に、厚生労働科学研究において、粉じん作業等における粉じんばく露リスクの調査研究を行っていただいております。本日の議題(2)については、1.に該当いたしますが、「粉じん作業」として粉じん障害防止規則別表第1に掲げられていない作業についての調査・検討の、○の1つ目に該当いたします。真ん中にイラストがありますが、鋳物工場での製造作業には、造形作業、それから、鋳込み、型ばらし、仕上げ等の作業がありますが、一番左の丸囲みの中の造型作業だけが粉じん作業に掲げられていませんでした。このような状況について、調査検証をし、検証結果に応じた対策を講じるというのが13回のときの結論、御議論いただいた内容です。その調査検証結果として、作業環境濃度測定において管理濃度超えの割合の数値が82.2%と出たため、御報告させていただき、対策の要否の御審議をお願いするものです。詳細については、名古屋先生から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○名古屋参考人 資料2でお分かりいただけると思いますが、19ページでも結構ですが、本来的には鋳物工場というのは造型があって、鋳込みがあって、型ばらしがあって仕上げ作業があるという一連の作業なのですが、どういうわけか、造形作業だけ同じルートの中に乗って同じ粉じんを扱う作業にかかわらず、造型作業だけが粉じん作業になっていないという珍しい作業だと思いました。多分昔は、造型の砂が大きかったのと、遊離けい酸から求める管理濃度がそれほど厳しくなかったという形の中で、比較的粒径が大きく、粉じんが立たないために、多分粉じん作業にならなかったのではないかなと想像しています。しかし、やはり今般の遊離けい酸である結晶質シリカが発がん物質になったり、管理濃度がかなり厳しい状況になってくると、この作業についても粉じん作業に相当する作業ではないかと思い、実際に測定して、それが粉じん作業に該当するのか、もし該当するならどういう対策をしたらいいか、その測定をしたということです。

 そこで資料2の、造型作業の中の、手込め、半自動。なかなかお分かりいただけなかったら、例えば私の参考資料の3ページ、通し番号24になりますが、そこに手込め作業風景があります。要するに上から鋳物砂が落ちてきて、手元の造形枠に入った鋳物砂を固めて、砂型を造り、そこに溶湯、溶融金属を鋳込み鋳物を作る時の手を使って鋳型を作る作業が手込めという作業です。今は多くの場合、大きな会社は自動造型作業になっていますけれども、そういう作業です。そうすると作業者の頭上から鋳物砂が落ちてきて、手元のところで鋳物砂を固める。要するに、粉じんが降りてくるそこに呼吸域があるので、当然粉じんに大きくばく露されているのではないかということです。

 実際にどういう測定したかをちょっとお話します。私の参考資料の5ページ、通しで26ページですが、造形作業している人の10分間以上のばく露濃度測定をしたときの濃度が、管理濃度を超えているかどうかが1つの判定基準になります。それともう1つ、じん肺会議の中で決められたことなのですが10分間移動平均です。6ページの上の図4.2が、作業している粉じんの時間変動です。そういう時間変動で作業されているわけですけれども、そのときもう1つ評価として、図4.310分間移動平均値」と書いてあります。それはどういうことかというと、下の図4.31点の前5分後5分の所の平均値を取っています。その1点というのは、10分間の平均を取っています。それが管理濃度を超えたときには、管理濃度超えと判断しましょうという約束になっています。

 例えば1つの例として、5ページの表4.1の上から5行目に、平均粉じん濃度が0.11と書いてあります。管理濃度が0.14です。本来的には、これは管理濃度を超えていないと判断するのですが、そうすると、作業のときに、もしかしたら管理濃度を超えている作業の時間帯を見逃していて、それではいけないということで、*が付いています。皆さんの中では9ページの図4.11ですが、本来は1時間測定していると超えてはいなかった、測定の間はばく露は超えてないのですが、10分間移動平均を見ると、最初の所が、引いてある線の所を少し超えています。出だし、それと終わりのほうでも超えています。もしこういう作業があったときには、高濃度ばく露を見逃す恐れがあってはいけないということで、管理濃度の線を超えているときはやはり管理濃度超えと判断しようという約束になっています。

 元の5ページの表4.1に戻りまして、ばく露濃度が超えている所が○になります。ばく露濃度が超えてない、上から3番目の「0.12」ですから、ばく露濃度は超えていません。それから管理濃度は超えていません。と同時に時間移動平均も超えていませんから、管理濃度超えしていないと。ところが、先ほど言いましたように、上から5番目の「0.11」で、ばく露濃度は超えていないのですが、10分間移動平均が超えているのでこれは管理濃度超えという評価をします。

 結果的にはどれだけ測定したかということで、一番最後の55ページの中の、手込め作業の中で、21の作業で、17の作業者。1514の作業者、96の作業者の方々が、測定してみると、管理濃度を超えている。先ほどの資料2にありましたように、81%、93%、67%で、トータル45件で37件の82.2%の作業者の人たちが管理濃度を超えていますので、ここでは粉じん作業に認定することが必要ではないか。ただ1つ、次の所の結果の評価ですが、6ページの調査結果を踏まえた方針の中で、82を超えたため、管理濃度を超えていることがありますと。当然鋳物工場における砂型は、手込めに代表されるように、作業者の呼吸域上部の鋳物砂供給用落とし口から、鋳物砂を作業者の手元の鋳型枠に落として、粉じんにばく露をする機会が多くなります。そのためにじん肺健診を受ける機会が鋳物工場においても必要で、他の製造工場と同様に対策をする必要があるということです。

 ということで、「粉じん作業」にしましょうと。多くの場合は、ほかの作業については、別表2にして、作業環境測定を義務づけているのですが、砂型作業は上から鋳物砂を落として手元で固める、要するに局排装置等が使えない作業となります。対策ができないということは、別表2ではなくて、別表3で、マスクで対応するしかないということで、今回お願いしたのは、粉じん則の第1に加えると同時に、その対策はできないので、別表3の有効な呼吸用保護具を使用することが適切な措置と考えますという結論でお願いしましたということです。早くなって申し訳ありません。そんな形でまとめさせていただきました。

○土橋部会長 ただいまの説明について質問等はありますでしょうか。

○高松委員 先生、ありがとうございます。第13回の資料、参考資料1がありますが、この際に調査研究をしていくということで、今回、結果の御報告をいただいたということだと思います。第13回の際には、労働側委員からの、屋外における岩石等の研磨、ばり取りのサンプル数が少ないのではないかとの指摘に対し、厚生労働省側からは、今後については、先生に対して協力等をしたり、委員の先生方の情報等を活用した上で、数を取っていくというような回答があったと記憶しています。その際に、鋳物工場の手込め作業の件において、サンプルを多く取りますという話と、特に自動化していない中小の手込め作業について、サンプル、いわゆる母集団を大きく取った上で、研究をしていくというお話があったと思います。先ほど説明いただいた資料1-4を拝見すると、鋳物業が、適用事業所数で、これが正しい数になるかどうか分かりませんけれども、一般に考えれば880の適用事業所が、砂型造型作業を行っているのではないかと考えられます。しかし、今回、18の事業所でサンプルを取っていらっしゃるということで、サンプル数としてはいささか少ないのではないかという思いと、自動化されていない手込め作業が、この中でどのくらいのサンプル数だったのかを質問させていただきたいと思います。

○名古屋参考人 1つは、粉じんを扱いますからどうしても、26ページの表に、遊離けい酸含有率から求めた管理濃度が0.14になっています。0.14という濃度は事務所則で決めている濃度である0.15よりは、きれいにしなさいということです。鋳物工場でビル管理と同じような濃度にできるかというと、とてもできません。要するに、改善してばく露濃度を、管理濃度を超えないという作業場は、本当にきれいな所だけなのです。と同時に、鋳物の中に遊離けい酸が4050%あるので、管理濃度を緩くするため鋳物砂中の遊離けい酸含有率を2%、4%にすると、鋳物の造型そのもの自体を変えていかなければいけない。ということで、日本でそれができているのは2社しかないのです。そうするとどうしても、現状の鋳物工場でどんなに測定しても、母集団が増えれば増えるほど、管理濃度を超えるようなばく露が多い鋳物工場が増えるという形になるので、特に中小企業ではその傾向が強くなるので、40で十分対応できるだろうと考え、ここにしたということです。

 管理濃度を超えないで、作業できるというのは、超一流の企業さんがやるような所でしかそれは対応できていないということだと思います。

○高松委員 先生、ありがとうございます。内容について理解しました。事務局は第13回の際の発言に沿って、どのような形で先生に御協力されたのか、もし参考になる内容があれば教えてください。

○主任中央じん肺診査医 一番理想なのは、全部の事業所にお声をかけるということだと思うのですが、なかなかこの計測そのものも、お1人の方1事業、例えば実作業が3040分かかり、へたすると数時間の作業にずうっと付き合ってもらってたりとか、日常の中でやっていただくので、かなり負担が大きいということです。そもそもなかなかお願いしてもなり手とか、引き受けてくれる方が少ないというのは名古屋先生からもお聞きしていました。その中で我々としては、こういう目的で是非とも測らせていただきたいということを文書にして、先生に託してというか、役所のほうもこれをやりたいと思っているということをお伝えした上で、お願いをさせていただきました。

○土橋部会長 ほかにいかがでしょうか。

○神山委員 大変貴重な、重要なデータをありがとうございました。1つ2つ教えていただきたいのですが。10分間移動平均で、かつ時々刻々、10分間平均の濃度の推移を測ったという、これは新しい試みで貴重なデータであるのはよく分かるのですが、各データがたくさんありますけれども、トータルで2時間ぐらいですか。

○名古屋参考人 はい、そうです。

○神山委員 ACIGHTWAは8時間平均で出していますけれども、この2時間の平均というのと、8時間の平均は、基本的には同じというように理解してよろしいですか。

○名古屋参考人 いいえ、これはあくまでも、ACIGHの値を使っているわけではなくて、屋外ガイドラインに沿った評価をするという形なので、管理濃度で評価しています。

○神山委員 屋外のガイドラインは2時間でと。

○名古屋参考人 いいえ、屋外ガイドラインは10分間以上継続した時間で測定すればいいことになっています。ということで、40分とか2時間と、作業に応じて測定して、それと同時に管理濃度を比較しなさいというのが、屋外ガイドラインですので、ここが個人ばく露濃度測定で書かないのはそこです。個人ばく露濃度測定ではなくて、粉じん作業でばく露した人たちのばく露濃度がどうなのかということですので、基本的には管理濃度を使うということと、10分間以上の継続した時間で測定するという、屋外ガイドラインに従った測定をしています。

○神山委員 管理濃度も今は、場の測定か個人か、境界があまりはっきりしていませんが、いずれにしても管理濃度と比較して、危険度というか、超えている超えていないの判断をされているということで、それは分かりました。

 もう1つは、10分間移動平均で、10分間のあくまでも平均濃度がこのように出てくると、ACIGH等のステレス値が10分間で幾つか、別途数値が提示されていますね。それと比較して、例えば2時間の平均はいいけれど、10分間でこれだけ超えたらまずいという警告みたいなのは、これで出せるのでしょうか。

○名古屋参考人 いや、多分ステレス値があるというのは、急性毒ですので、粉じんの場合は急性毒ではなくて、時間がかかるものですから、そういうことではなくて、あくまでも10分間以上の継続した測定でどのくらいの平均ばく露濃度だろうかということで、10分間移動平均の考え方を導入しまして、ステレスはそういうことの議論は入っていません。

○神山委員 必ずしも毒性が高いものだけではなくて、数値を出されていますね。

○名古屋参考人 はい。

○神山委員 それともう1つ、吸入性粉じんでこのようにきちんと測っていただいて、矛盾は全くないのですが、逆に、吸入性粉じん中のシリカ含有率というのが、このようにフィルターで測ってX線で定量してという面倒な作業で得られているわけですけれども、吸入性でないものの比率であるとか、その中のシリカの含有率は、別途何か押さえたデータはお持ちなのでしょうか。この鋳物においてですね。

○名古屋参考人 一応、フィルターに取られて試料をX線で定量できるだけの量が取れているかどうか分かりませんので、現場の鋳物砂は持ってきています。鋳物砂は持ってきて、それを粉砕して測ることはしますが、多分、ばく露で持つ量に比べると、1.5倍からへたすると2倍ぐらい大きい可能性があります。基本的には空気中に浮いてばく露する粉じんの遊離けい酸を測るということで、できるだけフィルターに捕集されたものを持ってきています。

○神山委員 先ほど、時代とともに、もしかしたら荒い砂を使っていたのが段々細かくなってきたのではないかというような話があったものですから、吸入性の占める割合が時代とともに上がってきているようなデータがもしあれば面白いと思い、質問しました。

○名古屋参考人 取れないことはなくて、カット板が付いていますので、カット板の所の粉じん量とフィルターの粉じん量を足すと総粉じんになる。総粉じん量と吸入性粉じん量から、大体その中に含まれている吸入性粉じんの量がどのぐらいという形にはなるかと思いますけれども、そこまでのデータはちょっと取っていません。データは持っているので、後で出すことはできますけれども、そこまでは今回の報告書には盛り込んでいません。

○神山委員 すみません、もう1つ、名古屋先生への質問がいいのか、あるいは行政への質問がいいのか分かりませんが、先ほど、統計データで、金属製品製造業が102人、これは新規ですけれども、102人。分母で例えばじん肺受診者数を見ると4万人。それに対して鋳物が7,800人ぐらいということを見ると、大体両者、鋳物も金属も新規有所見者の率はほぼ同じぐらい、5倍の分母がありますから、同じぐらいかなと思って見ました。逆にいうと、なぜ同じぐらいの発生を見ているのかということで、今、金属製品製造業という区分の中に、実はその金属を製品にする過程の中で鋳物的な作業をやっている人がいて、それが全部トータルでは金属製品製造業とまとめて申請がされていて、現実は鋳物とか、こういうヒュームが出るような作業者が埋まっているのかなという、ちょっと推定をしてみたのですが。この辺は名古屋先生は現場にお詳しいし、また行政のほうでそういう何かデータがあったら教えていただきたいと思います。

○主任中央じん肺診査医 どれぐらいが含まれているかは分からないのですが、業種そのものは事業場のほうからの申請という形できています。先生が御指摘のとおり、実際は鋳物もやっているしほかの業種もやっている、例としてはあまりよくないのかもしれませんが、大きく言えば建築業で登録はするけれども、その中を細々見るとコンクリートの破砕とか、いろいろな種類の粉じん作業があるということが、実際の報告書に、そうした内容のものが含まれています。ですので、恐らく言われたように、業種としては金属製品製造業で挙げているけれども、物を作る製造過程としては、鋳物を作るというのも若干は混じっている可能性はあると思います。ただ、中身がどれぐらいか、そこから先は個別にヒアリングでもしないと分からないものですから、数としては押さえていません。

○神山委員 はい、分かりました。

○土橋部会長 ほかにいかがでしょうか。

○山口委員 名古屋先生、専門外なので教えていただきたいのですが。作業の中に手込めと半自動と自動があると。先生の一番最後に、局排は難しいので有効な呼吸用保護具を着用することが適切な措置だということですが、これは半自動や自動でもそういうことだと理解してよろしいのでしょうか。

○名古屋参考人 今回行った所でも、管理濃度を超えていない所でも、やはりマスクは全部されています。それはなぜかというと、造型する作業場だけが単独にあるわけではなくて、鋳込みの作業があったり、全工程の作業が同じ工場の中にある工場が多いので、ほかからばく露する可能性もあるということで、皆さんマスクをされていました。本来自動ですと、中子と言って、砂型ができてきたものの中に、中子というその品物を入れるだけですから、ほとんどばく露はないというものです。全てそうなればいいのですが、機械の構造が単純なものであり、かつ大きな、大量生産するものについては自動はできるけれど、ほかの場合は皆さんは手込めで、その日によっての生産のラインが違ったりして、型が違いますのでなかなか全自動はできていないのではないかと。全自動ができているのは自動車の部品とか、大きな部品を作って、1日何千個と扱うような所はそうなっていますけれども、小さい所はなかなか全自動というのは難しいのではないかと思います。

○山口委員 ありがとうございます。先生がおっしゃったような条件が全部クリアされるような場合は、むしろ局排できちんとやったほうがいいですか、難しいですか。

○名古屋参考人 結果的には砂が落ちてきて、そして固めますので。どうしてもこの所に局排を取り付けると、落ちてきた原材料を取ってしまう形になってしまいますので、なかなか難しいのではないかと。どうしてもマスクでしか対応できないという形になりましたということです。

○山口委員 ありがとうございます。

○土橋部会長 ほかにいかがでしょうか。

 ただいま、鋳物工場における砂型造型作業について、これらの調査研究報告によって、「粉じん作業」として新たに規制することが必要であると、粉じん部会に報告されたということになります。したがいまして、粉じん部会としても、鋳物工場における砂型造型作業について、鋳物工場でのほかの製造作業と同様に、「粉じん作業」として規制することが必要であるか、つまり、法令改正をすべきかどうか、じん肺部会としての意見をまとめておく必要があります。これについて何か御意見等はありますでしょうか。

○明石委員 今のところで結構ですが、これを含めると従事者がどれぐらい増えるか分かりますか。

○主任中央じん肺診査医 恐らく実態としては変わらない、つまり先ほどのお話にもありましたように、流れ作業の中で入られている方ですので、同じ工場の人という意味では、もう既にカウントの中に入っていますので、作業という意味での対象は増えますが、実際の人という意味では対象数はほぼ変わらないと思います。

○明石委員 資料1のように、88018,000人ぐらいというのは変わらないということですか。

○主任中央じん肺診査医 はい、そう思います。

○明石委員 分かりました。

○土橋部会長 ほかにありますでしょうか。

 それでは、じん肺部会としては、鋳物工場における砂型造型作業について、「粉じん作業」として法的に規制することが適当であるということでよろしいですね。

( 異議なし)

○土橋部会長 はい、ありがとうございました。それでは、じん肺部会としての意見はまとまりましたので、今後、事務局のほうで必要な手続を進めてください。

 次に議題(3)「その他の調査検討結果について。局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入に関する中間報告」について、事務局から説明をお願いいたします。

○主任中央じん肺診査医 それでは、議題(3)その他の調査検討結果について報告いたします。

 本件は、20ページの参考資料1の3.その他の項目ですが、具体的には、粉じん作業用の発散抑制装置を実験室規模で試作し、ろ過材のろ過抵抗と使用する吸引装置との関係や、漏洩濃度の常時監視機構の構築等について検討することで、局所排気装置等以外の発散抑制装置の有効性について検討を行うこととなっております。

17 ページの資料3の、1.調査の目的です。現在、一定の化学物質について、平成24年7月から、一定要件のもとで局所排気装置等以外の発散抑制装置の導入が可能となっております。

 一方、粉じんについては、粉じん捕集のためのフィルターが存在し、既にバグフィルター等で利用されている。また、粉じん漏洩を常時監視するための粉じん計もデジタル粉じん計等リアルタイムモニタが市販されている状況でして、実用性というのは実は高いという状況にあると考えられます。

 こういった現状を踏まえ、今回、名古屋先生の研究で、局所排気装置等以外の発散抑制装置の性能、設置要件、導入に必要な要件についての調査をしていただいているところです。具体的な内容については、名古屋先生から御報告させていただきます。では、よろしくお願いいたします。

○名古屋参考人 ちょっとここではないですが、この経緯を、私、この検討会の委員長をしておりましたので、お話を申し上げます。

 平成22年に「あり方委員会」というのがありまして、その中で規制緩和に向けて、どういうことができるだろうかという形になりました。その中の1つとして、局所排気装置というのは、要するに制御風速と抑制濃度があります。これ本来は、作業環境測定が出る前は、抑制濃度と制御風速があることによって、そこから作業環境に有害物が出ていかないという、ものすごく良い方法だったのです。これに関して、作業環境測定基準が法制化され測定が行われるようになったときには、本来は作業環境の結果が良ければ従来の規制であった制御風速、抑制濃度を取っ払ってしまって、作業環境だけにすればよかったのです。けれども、当時としては、その測定だけではちょっと不安だったので、抑制濃度と制御風速がいまだに残っているという形になります。そうすると、何が起こるかというと、作業環境測定などのリスク評価をしていたときに、どんなにすばらしい環境であったとしても、制御風速と抑制濃度があると二重規制になってしまい、すばらしい環境を作ったとしても、どうしても安衛則のそこが付いてくる。そうすると、良い作業環境を作ったとしても、結果的には、繰り返し測定していかなければというような形になります。できたら、基本的には、それを取っ払ってもらって、作業環境が良かったら、半年に1回ではなくて、2年に1回でいいです、1年に1回でいいですという形での測定にしていただければ有り難いかなということで、「あり方委員会」ができたのですが、残念ながらそれは、現状では難しいであろうという形になります。

 そこで、是非、そういう形のものが検討できないかということで、職場におけるリスクに基づく合理的な化学物質管理の促進のための検討会が立ち上がり、局所排気装置等以外の発散抑制方法の導入について検討しました。そのときに、有機則だとか、そういう形のものの中で、制御風速を満足しなくても、十分に作業環境管理が第1管理区分になる作業環境はたくさんあります。そういうところに対して、何か方法はないでしょうかということで、局所排気装置を考えたときに、一番最初に頭に浮かんだのは、粉じんの場合は、粉じんを捕集するためのバグフィルターの技術が成熟していること。それから、粉じんの濃度が漏れてきた所を測定をするための、デジタル粉じん計ができていることです。そうすると、この局所排気装置以外の発散抑制装置を作ったときに、一番導入しやすいものが粉じんだと思っていて、それを提案したのです。

 そのときに何を言われたかというと、ここを扱っているのは化学物質対策課でしたので、「申し訳ありませんが、有機則と特化則は扱いますが、粉じんは扱いません」と。そのときには残念ながらできませんでした。「できましたら、それはじん肺班でお願いします」という形で、委員会から初めから粉じんは外されてしまったのです。そういった経緯がありました。

 実際には、法律改正が行われて、どういう方向でやるという状況ではないのですが、法令を見ると、発散抑制装置を導入したときに、第1管理区分であって、それを維持するということができれば、特例許可を認めるという法律ができました。ところが、残念ながら、粉じんはそれができませんでした。粉じんはそれだけ成熟していますが、ある程度の条件が決まっているので、粉じんができたらいいと思いました。有機則は多分そういう検討委員会がなくて、お役所の中で決められた法則ですけれども、粉じんの場合はそうはいっても、ガスと違いますので、やはり少し実験が必要なのかということは分かっておりましたので、今回厚生労働科研費を使って基礎的な実験という形で実験を行いました。あくまでも成熟した技術でして、私たちがやることはなく、いろいろな文献もあり、過去に私たちも実験をしていますが、もう一度復習し直してみましたということです。少しですけれど、どのようなことをしたのかということで、参考資料3を見ていただければお分かりいただけると思います。

 実際に、どうしても小型という形の実験ですので、私の大学は都市型でなかなか実験室がないので、小さなフードを作りましょうということで、この資料の10ページを見ると分かると思います。

 実験室の中に小型のフードと大型のフード、小型フードでもそれほど大きくなく、1030センチメートルぐらいの小さなフードを作って、本来そこに粉じんを発生させたいのですが、粉じんは均一に発生させることがなかなかできませんので、線香の煙を発生させて、それで諸条件で局排を動かしたのと同じ条件で測定した形にしました。

 その結果、結論だけを申し上げますが、23ページを見ていただくと、赤い所が漏れている所です。黒い所は漏れていない。開口面風速が大体1.0の場合に小さなフードも大きなフードも漏れが見つからないということが、基礎的な実験で分かりました。下から6行目を見ていただくと、いずれのフードでも補捉点、要するに制御風速を求める所のものが0.1以上あれば、基礎的実験では漏れてこないということが分かりました。そうすると、0.1なのですが、定められた制御風速はそこの測定が1.0ですから、大体10倍、いわゆる10分の1の速度であったとしても、粉じんが漏れてこないということが分かったということです。そのようなことを踏まえて、これはあくまでも、ここに書きましたが線香の煙でしたので、現場はどうなのかということがありますのと、あと、横風もなかったので、今年は新しく昨年より大きな発散抑制装置を作製し、横風も考慮した実験を行っています。

 もう1つは、現場がなかなかないのですね。なぜかというと、第1管理区分で許可されますので、第1管理区分の粉じんの作業場を一生懸命探して事業者にお願いをし、そこで、まず第1管理区分になっていることを確認して、それと同時に今度は、制御風速を落とした状態で測定を行い、それでも第1管理区分を維持できるかどうかの実験をするからです。今、1社しかできませんでした。お願いしても粉じんで第1管理区分になっている所はなかなかないので、1社だけやってみました。制御風速を外しても十分管理区分は1になります。そういう作業場が多分、対象になるのだと思います。

 そういうことを総合すると、18ページですが、調査結果を踏まえた方針という形です。これはなぜこのようにしたかというと、今、有機の場合は、第1管理区分になっているということで、どういう条件のときに許可するのかは、何も書いていないのです。そういった中で今、これを許可するための委員会がありまして、そこに有機の特例許可の申請が出てきています。それを見ながら我々は、これならば大丈夫だろうと判断しております。そして、何を言われたかというと、前任の部長に言われたのは、先生、粉じんはある程度成熟しているから、どういう条件があったら大丈夫でしょうね、ということを書いてもらえると、それは申請されたときに、わざわざ本委員会まで挙げてこなくても、地元の受けた基準局でそれを見ていって判定ができるので、できたらそういう条件を付けてほしいですねということでした。そこで、そこに書かれておりますが、調査結果を踏まえた方針という形の中で、制御風速を満たしていなくても粉じんの作業の作業性が良く、発散防止抑制装置の開口面からの漏洩がないこと。それから、発散防止抑制装置にバグフィルター等を用いてフィルター等を付けたときに、排出物から粉じんが管理濃度の10分の1以下になることを、排出口に設置したデジタル粉じん計で常時監視できること。それから当然ですが、一番肝心な第1管理区分であること。

 それと同時に、もう1つは、先ほどお話しいたしましたが、粉じんの場合は10分間の移動平均で評価していますので、それを加えて、この4つの条件が満足すれば、多分、特例許可として許可してもいいのではないかなというように思いました。これは今、実際に審査している有機溶剤のときも、ほとんどこれと同じようなことをしているのですが、ただ、有機の場合は、残念ながら活性炭で取ることが多いのですね。活性炭の場合は、本当に取れるのかどうか。では、それで破瓜が起こっているかどうかの確認がなかなかできないのですが、粉じんの場合は、デジタル粉じん計で確認ができるので、この4つが満足すれば、多分、許可しても大丈夫ではないのかと思い、一応、提案しました。

 ただ、これはこれからまた大型の実験装置を使うのと同時に、もう1つは、先ほど言いましたが、来年、現場に行って現場でこれを実証し、この条件さえ満たせれば、多分、大丈夫ではないかなという形になると思います。

 ただ、法律的にどうするかはよく分かりませんが。法律的には有機則と同じ並びで、第1管理区分であること、それがどういう形で維持ができるかという法律になっていって、審査のときに多分これを使うのだと思います。審査基準として、こういうものがあればいいのかなというように考えたということです。以上でございます。

○主任中央じん肺診査医 それでは、今回の御報告について、私から簡単にポイントだけをまとめさせていただきます。

 化学物質では、その「一定の要件」の確認を、厚生労働省の専門家検討会で行うこととなっておりますが、粉じんについては、先ほど、名古屋先生もおっしゃいましたように、捕集方法が確立していることやリアルタイムモニタがもう既にあるということから、満たすべき諸要件が明確化されれば、局所排気装置等以外の発散防止抑制装置の現場適用は、粉じんが一番現実性が高いということがあると考えております。

 今回の中間報告では、今、名古屋先生にお読み上げいただいた18ページの4.の所ですが、丸1~丸4の要件を満たしていただければ、大丈夫ではないかということです。今回、これについての御提案となっておりますが、引き続きの研究の中で、これらの要件を満たす試作、先生もおっしゃっていましたが、実際の工場での実証実験というようなことをやられる予定となっております。

 本日は、あくまでも中間報告です。研究の最終的な報告がまとまった時点で、1つ前の議題のような形で最終報告書を御報告させていただき、改めてこの場で御審議をいただきたいというように思っております。本日は取りあえず、こういった形で検証が進んでいるということの中間報告ということです。事務局からは以上です。

○土橋部会長 中間報告ということですが、ただいまの説明について、質問等はありますでしょうか。

○神山委員 度々で申し訳ありません。粉じんが、有機則とかその辺から、局所排気装置の使用要件を満たしていなくてもいいということから外されたというのは、メインの理由は余りよく知りませんが、先ほど、粉じんにはもうちょっと審議の必要があるというのは、理由としては、さっき名古屋さんがおっしゃっていた中で余り明確ではなかったのですが、どのようなことだったのでしょうか。

○名古屋参考人 化学物質対策課が扱っているのは有機則であって、粉じんは化学物質対策課では扱わないという。

○神山委員 扱っていないからという。

○名古屋参考人 要するに縦割りと言ったら語弊がありますが、そういう形です。だから、粉じんもあえてこのような基礎実験をしなくても、有機と同じように第1管理区分であること。また、それを維持できていることという形で法律を作れるのですけれども、そうはいっても、粉じんのときに、一応、厚生科研をもらいまして、科研費を使って、基礎的な実験として、本当にそうなのかということは経験的にはできているのですが、それを検証しているという形です。

○神山委員 そうすると、先ほどの18ページの丸1~丸4で、丸3丸4の現状が第1管理区分、それから管理濃度もいい、これが大前提になるわけですね。

○名古屋参考人 そういうことです。全くそうです。

○神山委員 ただ、大前提を満たしている条件が、制御風速を満たした従来型のきちんとした局所排気装置が正常に動いているかどうなのかという、それに依存するわけですね。

○名古屋参考人 いや、そうではなくて、もうこれ、局排装置ではありませんので、発散防止抑制装置ですから、制御風速とか、そういう規制がないのです。それを設置したときに、例えば1つの条件で考えると、溶接なら溶接作業をしたときに、皆さんが使っている空気清浄器を局所排気装置の代わりに作業者の前に置くと、それは本来的には、空気清浄器は局所排気装置ではありませんので違反で、要するに局所排気装置が要りますが、局所排気装置でない空気清浄器を置いて、それで作業をし、空気清浄器の排気口から出てきた粉じんの濃度が管理濃度の10分の1以下で、空気清浄器の開口面から周辺に粉じんが漏れていなく、その場所が第1管理区分であったその場合に、空気清浄器が発散抑制装置として特例許可がもらえるという形の概念だと考えております。

○神山委員 そうすると、現状の丸3丸4で第1管理区分になっていたり、粉じん濃度が条件を満たしているというのは、発散防止抑制装置、従来型の局所排気とかそういうものではなくて、応用型のような。

○名古屋参考人 そうです。

○神山委員 物を使っている所という意味なのですか。

○名古屋参考人 いや、新しく作るということです。

○神山委員 現状、先ほど探していると。

○名古屋参考人 今、そういう所はないのです。

○神山委員 1社とかない。

○名古屋参考人 ないので、だから私たち、今、実験装置を作って、それを現場に持って行って、その実験をしてもらっているということです。

 逆に言うと、局所排気装置なのですが、例えば制御風速を1にしなければいけませんよと、ですが、ダクトを切ってHEPAフィルターをかませて、ファンを付けることによって0.5で大丈夫ということが確認できれば、ダクトを使って集塵機まで粉じんを運び、粉じんを処理する集塵機を使わなくても、それで完結しますよね。そうすると、かなり経費が安く済む。それをたくさん持っている事業場は、ものすごく経費が安くなり、そういう形の物が応用できるということ。ただ、法律にないからそれができないという形ですので、できたらそういうものが早く出来るようにしてあげたらいいのかということ。

 ただ、粉じんの場合は、先ほど言いましたが遊離けい酸がきついですから、あるとしたら金属研磨とか、ごく限られた所ではないかとも思っています。鋳物とか、そういう形の中では、とても無理です。遊離けい酸を含有した粉じんを扱う所はちょっと無理でして、溶接とか金属研磨とか、要するに管理濃度が3ミリグラムとか、比較的高い所の適用になるのではないかと考えております。

○神山委員 粉じんは、物性がものすごく多様ですよね。比重を取ってみても7、8ぐらいから1以下の軽いものまで、有機粉じんまで含めると、相当幅広く、サイズもものすごく幅広い。形状もあるとか。

○名古屋参考人 はい。

○神山委員 そうすると、実験するにしてもものすごく大変だと拝察するのですが、今は線香でやっている。

○名古屋参考人 はい。

○神山委員 今後、実際粉じんか何かで、実験する予定は。

○名古屋参考人 先ほどから言っているように、今回作製した装置を現場に持って行って設置し、現場でやると。それしかできない。

○神山委員 そのほうが。

○名古屋参考人 それしかできないので、今、一生懸命そうしたことの出来る現場を探しています。お願いするところに持って行って、そういうことが可能かどうかということ。もしそれが可能だとしたら、こういう事例がありますから、是非、そういうものを参考にして、皆さん方はダクトを使わずに、こういうものを使ってやられたらどうですかというお願いをしようと思っています。

○土橋部会長 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。それでは、本件については、今後、最終報告がまとまりましたら、改めて本部会において御報告いただく予定になっております。よろしくお願いいたします。

 では、最後に議題(4)その他となります。事務局で何かありますでしょうか。

○主任中央じん肺診査医 それでは。事務局から2点御報告いたします。まず1点目は、冒頭の部長挨拶にもありましたように、本年4月以降の次期じん肺部会の委員数が現行の15名から18名に増員となることになりました。本部会の委員定数については、本部会の親部会に当たる労働政策審議会労働安全衛生分科会の運営規程において規定されておりまして、去る平成261217日に開催の第86回安衛分科会において、第8次粉じん障害防止総合対策を効果的に進めるため、委員数の増についてお諮りし、御了承いただいたところです。委員の皆様におかれましては、引き続き忌憚のない御意見を賜り、じん肺・粉じん対策が効率的・効果的に推進できますよう、御指導いただければと考えております。よろしくお願い申し上げます。

 2点目は、次回、第16回の当部会の開催予定についてです。本日御議論いただいた鋳物工場における砂型造形作業について、省令の形で御審議いただくことになります。おおよその見通しは、5月頃にパブリックコメントを予定しております。そのパブリックコメントが終了後の6月頃に、当部会にて御審議いただければと考えております。日程の詳細は、改めて調整させていただきますが、おおよその日程として、6月頃に第16回の部会を開催させていただくことになるかと思いますので、御承知おきいただければと思います。事務局からは以上でございます。

○土橋部会長 その他、よろしいでしょうか。

○高松委員 状況が分かれば教えていただきたいのですが、参考資料1の19ページに、船倉内の荷役作業終了後の清掃作業を3年かけて行うとの平成25年度の確認があったと思いますが、これが今、どのような状況になっているのか教えていただければと思います。

○名古屋参考人 昨年から始めているのですが、船主さんとか、いろいろな業界団体に行ってお願いしているのですが、なかなか測定させてもらえなくて、2つの所では、見学させてもらう形になっております。今年は見学するということで、実際に測定できるかどうかは難しい。ですが、船籍が外国船籍ですと、乗るときに治外法権になってしまったりとかあるので、できるだけ大手の鉄鋼などで、自分の所の荷上げする所でお願いしたいと思っております。できるだけ測定はしたいと思いますが、現実は厳しいかなというように思っています。

○桐明委員 それは外航船だとそうなってしまうので、内航船があります。石灰石とか、いろいろな物を運んでいるものがありますので、それだと国内と国内ですから、まだまだそういう法的な問題が起きないので、そちらのほうがいいかもしれませんね。

○名古屋参考人 もう1つあったのは、従来、私たちが粉じん則の粉じん作業にするかどうかを決めるための測定をしたときは、時代がちょっと古かったので、多分持ってきた荷物を全部降したときに、空で帰るともったいないということで、きれいに清掃して、ほかの物を積んで行くという時代でした。だから清掃作業でかなり印象に残っているのは、ほこりがあるなということでした。現在、意外と専用船が多く、国内船もそうした船が多くて、要するに掃除する作業がなく、専用船の時代になったのかなと思います。ただ、できましたら、船倉作業後の清掃作業はほこりが上がる作業ですから、できたら測定したいので、今、一生懸命お願いしております。

○土橋部会長 よろしいでしょうか。その他、ありますか。

 それでは、当部会の議事は全て終了いたしました。なお、議事録については、労働政策審議会運営規程第6条第1項により、議事録には、部会長の私と、私が指名する委員のお二方が署名することとされております。署名は労使の1名ずつとしたいと思います。本日の議事録の署名は、川原委員、桐明委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、皆様、お忙しいところ、ありがとうございました。以上をもちまして、閉会とさせていただきます。


(了)

厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課
東京都千代田区霞が関1-2-2

電話番号: 03-5253-1111(内線5495)

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