ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録(2014年11月28日)




2014年11月28日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成26年11月28日(金)
17:00~


○場所

航空会館702+703会議室


○出席者

出席委員(18名) 五十音順

○新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、
  川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、 菊 池     嘉、  清 田     浩、
  鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、 田 島  優 子、 田 村  友 秀、
  中 島 恵 美、 濱 口    功、 半 田    誠、  福 山     哲、
  前 崎 繁 文、◎吉 田  茂 昭
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名)

佐 藤 俊 哉、 増 井   徹、 山 本 一 彦

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
森   和 彦 (審査管理課長)
宇 津    忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
武 田 康 久 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役  他)

○議事

○審査管理課長 定刻より少し早いのですが、先生方おおよそおそろいになられたようですので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、また少し遅い時間に先生方にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出席についてですが、佐藤委員、増井委員、山本委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、菊池委員におかれましては、少し遅れておられるようですが、御欠席という御連絡はありませんので、間もなく到着されるものと思います。

 現在のところ、当部会委員数21名のうち、17名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 それでは、吉田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 早速、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いします。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に「議事次第」「座席表」「当部会委員名簿」を配布しております。また、議事次第に記載されております資料1~18につきましては、あらかじめお送りしているところです。

 このほか、資料19「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料20「専門委員リスト」、資料21「競合品目・競合企業リスト」、資料22「佐藤委員からのご意見・ご質問」を配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告いたします。資料21の1ページを御覧ください。カンサイダス点滴静注用50mg、同70mgですが、本品目は真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症等を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。治療用ダニアレルゲンエキス皮下注「トリイ」10,000JAU/mL、ほか1規格ですが、本品目はダニアレルギー性鼻炎、減感作療法等を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。コセンティクス皮下注150mgシリンジ、同皮下注用150mgですが、本品目は既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。イロクテイト静注用250、ほか6規格ですが、本品目は血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページを御覧ください。ロゼックスゲル0.75%ですが、本品目はがん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤がないことから、競合品目はなしとしております。

 6ページを御覧ください。ネスプ注射液5μgプラシリンジ、ほか8規格です。本品目は骨髄異形成症候群に伴う貧血を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページを御覧ください。ゼルボラフ錠240mgです。本品目はBRAF V600遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 8ページを御覧ください。パッチテストパネル()です。本品目はアレルギー性皮膚疾患のアレルゲンの確認を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況についての報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況につきまして、御報告させていただきます。議題1、カンサイダス点滴静注用。退室委員は奥田委員。議決には参加しない委員は庵原委員、清田委員、前崎委員。議題2、治療用ダニアレルゲンエキス皮下注。退室委員は新井委員、関水委員。議決には参加しない委員は清田委員。議題3、コセンティクス皮下注。退室委員は大槻委員。議決には参加しない委員は庵原委員。議題4、イロクテイト静注用。退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。議題5、ロゼックスゲル。退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。議題6、ネスプ注射液。退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。議題7、ゼルボラフ錠。退室委員はなし、議決には参加しない委員は田村委員。議題8、パッチテストパネル()。退室委員はなし、議決には参加しない委員はなし。以上です。

○吉田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。ないようです。それでは、今の説明については、皆様に御確認いただいたものとして、議題に入りたいと思います。

 本日は審議事項8議題、報告事項9議題、その他事項1議題となっております。それでは、審議事項の議題1に移ります。奥田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題1の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。

                                 ( 奥田委員退室)

○吉田部会長 それでは、議題1について、医薬品医療機器総合機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題1、資料1、カンサイダス点滴静注用50mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるカスポファンギン酢酸塩は、キャンディン系の抗真菌薬であり、真菌細胞壁の構成成分の合成を阻害します。本邦では、本剤は成人を対象に真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症等を効能・効果として承認されています。

 一方で、本剤では小児適応が未承認でしたが、本邦で小児に使用可能な抗真菌薬は極めて限られていることから、今般、小児の用法・用量の追加に関する一部変更承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料20に記載の5名の委員を指名いたしました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず有効性について、審査報告書30ページ表15を御覧ください。この表はカンジダ症又はアスペルギルス症患者における総合効果の有効率を示しています。表の一番左の日本人小児の真菌感染症患者を対象とした国内第II相試験、074試験における有効率は侵襲性カンジダ症で66.7%、侵襲性アスペルギルス症で62.5%であり、その隣の海外第II相試験、043試験における外国人小児での有効率と同様の成績が得られています。また食道カンジダ症等については、074試験からはデータが得られていませんが、表の中央の日本人成人を対象とした国内第III相試験、062試験では一定の有効率が示されています。

 次に、審査報告書31ページ表16を御覧ください。この表は外国人小児及び成人の発熱性好中球減少症患者における有効率を示したものです。表の一番左の外国人小児患者を対象とした海外臨床試験、044試験における本剤の総合効果の有効率は46.4%でした。

 このように日本人小児患者における本剤の有効性に関する情報は限定的ですが、カスポファンギン酢酸塩の臨床分離株に対する国内外の感受性データや小児及び成人患者での血漿中の暴露量などを踏まえ、成人及び外国人小児に対する臨床試験成績を利用することとし、その上で日本人小児の真菌感染症患者に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 安全性についてですが、審査報告書33ページ表18及び表19を御覧ください。表18は国内外臨床試験における有害事象及び副作用の状況、表19は臨床検査値異常の状況を示しています。いずれも表の一番左のカラムが、日本人小児患者対象試験、074試験の成績です。これを見ると、日本人小児患者で認められた事象の種類については、日本人成人患者及び外国人小児患者と同様でしたが、その発現の傾向に関しては、肝機能障害に関連する事象及び臨床検査値異常について、高い傾向が認められました。ただし、その重症度、持続期間、転帰等については、日本人小児患者に特有な傾向は認められず、その多くが投与終了後に回復していたことから、肝機能障害に対する注意喚起を行った上で、本剤投与中には患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置がなされることを前提として、日本人小児患者での安全性は許容可能と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、機構は小児の真菌感染症に対する本剤の用法・用量を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。

 本申請は新用量医薬品としての申請ですが、既に付与されている再審査期間が4年以上あるため、再審査期間は残余期間とすることが適切と判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○前崎委員 カスポファンギンは成人の場合は、用量が一定になっているのですが、小児の場合は体表面積当たり5070mg/平方メートルに増量が可能となっているのですが、治験の結果からはアスペルギルスル症は増量しても無効となっています。小児のみ増量して効果があるという根拠がはっきり示されていませんが、その点はどのように解釈されているのですか。

○機構 審査報告書の3839ページに小児患者における増量の意義を記載しております。非常に限られた例数ですが、日本人患者を対象とした国内の試験においても増量した患者が認められており、海外の臨床試験の増量例において、有効性が認められていることをもって、増量を認めているところです。

○前崎委員 類薬のミカファンギンは増量が可能ですが、本薬は成人では増量をすることはできないことになっています。小児のみ増量が可能とすると、成人でも増量すれば有効と考えることがあるので、増量の意義については成人と小児の違いを明確にした方がいいと思います。

 もう一つは、小児の使用できる抗真菌薬は限られているということでしたが、もう既にブイフェンドやアムビゾームさらにミカファンギンも臨床使用できるので、現実的には全ての抗真菌薬に小児適応があります。その意味では、小児適応が限られているという理由で検討された少ない症例数で本薬を承認するという理由は当てはまらないと思います。

○機構 ブイフェンドに関しては先日承認されたばかりということで、カスポファンギンの小児の開発をしている時点では、まだ限られているという趣旨で述べさせていただいたところです。ただし、小児に使用可能な抗真菌剤は数種類ありますので、表現が適切ではなかったと考えております。

 一方で、少数例の国内臨床試験成績で承認することについて、真菌感染症は日本人小児の患者数が少ないこともありますので、このような規模の国内臨床試験であったということはやむを得ないかと考えています。

○前崎委員 添付文書では用法・用量と適正な投与期間というのがありましたが、投与量については記載されていません。添付文書を見ると、投与期間が用法・用量の箇所に記載され、投与期間については「適正な」としていますが、投与量については「適正な」という表現は必要ないのでしょうか。

 その理由としては、安易に増量することがないように、注意喚起すべきと考えます。増量した場合は検討された症例数が少ないので何とも言えませんが、安全性についてはやはり懸念があります。臨床効果が有効な場合には安易に増量しないという注意が必要だと思います。そのため、用法・用量で投与期間だけではなくて、投与量についても適正な投与量を考えていただければと思います。

 成人の添付文書は確認していませんが、小児に限って投与量の増量ができるため、投与量に関する注意喚起を記載しておくべきと考えます。

○機構 成人と小児の増量の規定が異なるというところで、増量は小児に関してのみ可能であること、また、その増量に関しては患者の症状等を見ながら慎重に判断すべきだということを注意すべきという趣旨と理解しました。申請者に適正使用の推進を進めるように指示させていただきます。ありがとうございます。

○吉田部会長 よろしいですか。ほかにありますか。

○関水委員 真菌症の効果についての質問です。プラセボでのデータがない状況で、どうして表15から治療に有効だと言えるのですか。

○機構 確かに対照群を置いた試験ではないというところはおっしゃるとおりだと思います。カスポファンギンは、in vitro試験において、これらの真菌感染症の原因菌に対して抗真菌活性を示すということが明らかになっており、動物モデルの試験においても有効性が示されている薬剤であることから、抗真菌活性を有していると考えます。プラセボとの比較という点では、確かにデータは示されていませんが、疾患の重篤性を踏まえると、臨床試験で示されている有効率をもって有効と判断できると考えております。

○関水委員 それはちょっと問題だと思うので、重ねて質問します。まずin vitroで抗真菌活性を持っているからin vivoでも効くことが予想されるという見解とのことですが、それは間違いです。この点、よろしいですか。

 それから、動物試験の表1について説明されましたが、この表からどうして動物のレベルで有効性があると言えるのですか。

○機構 別の観点からのお話をさせていただきたいと思います。今回の用法・用量の設定が、成人の用法・用量と同じような暴露量になるように設定されたものです。成人の用法・用量の設定ですが。

○関水委員 すみません。伺っているのは用量とか、そういうことではなくて、この抗真菌剤は抗真菌効果を人体で示すという証拠があるか、と聞いているのです。マウスで治療効果を示す、ということは重要な根拠ですが、表1でどうしてこの薬剤が効いていると言えるのかが問題です。薬物投与後に菌が脳内などに残っていますが、どうして治療効果があると言えるのか疑問に思います。

○機構 媒体投与群では真菌接種後の死亡のために組織内の生菌数がディテクトできなくなった動物も一部にいます。このため、これと比較することは難しい測定時点もあるところですが、本薬投与群の腎臓等の組織内生菌数の推移からは、確実に抗真菌効果は示されていると考えています。

○関水委員 表1でNSというのは全例死亡したと解釈するべきですね。「媒体」とあるのは、アムホテリシンBと本薬両方なしという意味ですね。「媒体」という標記には問題があると思います。その条件では、死んだがマウスで14と書いてありますが、用いたマウスの総数は何匹だったのでしょうか。本薬を投与した場合、死亡数の減少について効果があったということはどこを見れば分かるのですか。

○機構 臨床試験の話に戻させていただいてよろしいですか。

○関水委員 はい。

○機構 本剤は医薬品であるのかというのが大本の質問だと理解しております。小児では比較対照試験、今回は検証的試験が実施されておりませんが、成人では、フルコナゾールに対して非劣性が検証されているという成績などが得られておりますので、医薬品であるということは示されていると考えています。

○関水委員 本薬は、すでに使われている薬剤に比べて劣る結果ではなかったので、治療効果が示されたとおっしゃるのですか。

○機構 はい。

○関水委員 ほかのと比べて劣っていないから治療効果がある、という説明は不十分でないでしょうか。抗真菌剤についてモデル動物で治療効果を見る場合は、非常に注意をする必要があります。本剤の治療効果は、表1での動物モデルでの結果で、はっきり効いているということが示されるべきだと私は思います。この実験でのN数を教えて下さい。

○機構 使用動物数は、表1の下にある説明文に各5例と記載しております。

○関水委員 分かりました。このときに動物が何匹生きていたかということが明示されるべきです。

○機構 説明文のその下には、5例以外に何匹の動物を使用した検討であるのかということを、表1で使用したa)、b)、c)等の補足説明として具体的に記載しています。

○関水委員 a)、b)、c)というのはどういう意味でしょうか?

○機構 表1の下の説明文には、各5例と記載している2段下に、5例以外に何匹の動物で生菌数を測定したかということを、a)、b)等の補足説明として記載しています。

○関水委員 この表は、この薬剤を与えたときにマウスが何匹生きていたかということを示しているわけではないと思います。

○機構 表1の4行ほど上の本文中には、これとは別に実施された生存率に関する検討を記載しております。その結果、本薬投与群は全例生存しているということが確認されています。また、媒体投与群に関しては、感染11日後までに全例死亡したという結果が得られています。

○関水委員 そうすると、本剤投与群では全例生きていたと見るべきなのですか。

○機構 はい、臓器内の生菌数が検討された表1の動物は臓器摘出時までは生存しています。

○関水委員 マウスの脳を採取する場合には、マウスを殺すわけですよね。ですから、このデータはマウスの生存に対して真菌剤が有効であったということを示すデータではないと思います。横軸に時間を取って、縦軸にマウスの生存数を取って、この薬剤を与えたときに延命効果があるというデータはここには提示されていないと思います。

○機構 別に実施された生存率に関する検討について、審査報告書には生存曲線は記載していませんが、申請資料には生存曲線は示されており、その結果は確認しております。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。

○関水委員 はい。

○吉田部会長 ほかにありますか。

○菊池委員 074試験というのが日本人に行われて、043が海外でやっていますが、真菌の培養とかは確実に出るのは非常に難しいのです。ちょっと見ただけでは分からないのですが、これでは本当に培養されたりして、効いているのが何例いたかというデータはお持ちなのでしょうか。それで効いていれば、臨床家としては、ああ、効いたのだなと安心するのですが、血清反応だけが高くて、熱があって、抗真菌剤を投与して効きましたと言うのでは、根拠が薄いと感じます。8例とかになっていますが、その中で培養が陽性であって、それで効いたというのはあるのでしょうか。

○機構 審査報告書32ページの表17には、実際に培養検査で真菌症であることが確定できた患者さんの真菌学的効果を示しています。国内074試験では、残念ながら、培養検査により実際に真菌が確認された患者さんは少なかったのですが、海外043試験はカンジダ症の場合には真菌症であることが培養検査で確定した患者さんのみをエントリーしていますので、この結果を見ると、多くの患者さんで真菌学的効果も得られていると考えています。

○菊池委員 074だと、同定されたのは1例ということになってしまうのですか。でも効いているということになるのですか。

○機構 はい。海外043試験で得られた結果を否定するような成績ではないと考えています。

○吉田部会長 ほかにありますか。国内試験の例数が非常に少ないので、何とも言えないというところは確かにあるのですが、肝障害が日本の場合は多いようなデータの出方があって、市販後にも留意するようにと言われています。庵原先生、何か日本の子供に何か特別なことでもあるのですか。それともそれはやはり何とも言えないものなのでしょうか。

○庵原委員 このデータからは何とも言えないと思います。というのは、基礎疾患自体が、あまり状態が良くない人ですので。もともとそれなりの肝機能の障害があるところに、この薬が被っていますから、出やすい危険性はあると思います。多分、これは白血病とか、いわゆる基礎疾患があって状態が悪い人にこういう薬が行っていますので、副作用が出やすい状態のところに行っているという前提があると思います。ほかの薬でもこのぐらいは出ると思いますから、ほかの抗真菌剤とか、抗菌剤でも、基礎疾患のある人はこのぐらいの頻度で副作用が出てきますので、これで特に多いという印象は持ちません。

○吉田部会長 特別に危険だというサインではないのですね。

○庵原委員 ないと思います。

○吉田部会長 ほかにございますか。よろしいですか。それでは、御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。なお、庵原委員、清田委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、承認を可、としてよろしいでしょうか。御異議がないようでございますので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていだきます。別室で待機されている奥田委員をお呼びください。

                                 ( 奥田委員入室)

○吉田部会長 それでは議題2に移ります。新井委員、関水委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題2の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

                            ( 新井委員、関水委員退室)

○吉田部会長 それでは、議題2について、医薬品医療機器総合機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題2、資料2、治療用ダニアレルゲンエキス皮下注「トリイ」100,000JAU/mL他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤はコナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニから抽出したエキスからなる注射剤であり、ダニを原因アレルゲンとするアレルギー性鼻炎及び気管支喘息に対する皮下注射による減感作療法(SCIT)に用いる製剤として開発されたものです。本邦においては、ハウスダストエキスがダニによるアレルギー性疾患に対するSCITに用いられていますが、ハウスダストにはダニ以外の成分も含まれるため、医療現場よりダニエキスを主成分とするSCIT製剤の早期開発が要望されていること等を踏まえ、本剤の開発が行われました。なお、本剤は、海外において米国等3か国で承認されており、ダニエキスを主成分とするほかの製剤も、海外では複数承認されております。本申請の専門委員としては、資料20に記載されております8名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、簡単に説明いたします。審査報告書26ページの「()有効性について」の項を御覧ください。国内ではSCITが実施できる施設及び医師が非常に限られているため、実施可能性等を勘案し、本申請に当たり検証的試験は実施されておらず、本剤の有効性についてはダニエキスによるSCITに関して蓄積されている既存の知見に基づき説明されております。審査報告書16ページ~26ページの「 ()公表文献における記載」の項に記載のとおり、ダニエキスのSCIT製剤を用いた複数の臨床研究において、アレルギー性鼻炎及び気管支喘息に対する有効性が報告されていること、ダニエキスによるSCITは欧米を中心に長年にわたる使用実績があり、国内外の診療ガイドライン及び標準的な教科書等において、アレルギー性鼻炎及び気管支喘息に対する治療法の一つとして記載されていること等を踏まえ、本剤の有効性は期待できると機構は判断いたしました。

 次に審査報告書13ページの「()国内臨床試験」の項を御覧ください。日本人患者における本剤の安全性を検討するため、非盲検非対照試験が実施されております。本試験において認められた有害事象は15ページの表3のとおりであり、局所又は全身性のアレルギー反応等の発現が認められました。本剤の安全性プロファイルは、SCITにおいて一般的に知られているものと同様と考えられ、期待される有効性を踏まえれば許容可能と判断しておりますが、本剤の製造販売に当たっては既存のSCIT製剤と同様に、特にアナフィラキシー等の全身性反応の発現に対し、十分な安全対策を講じる必要があると考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原薬及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 本品目については佐藤委員より、事前に御意見を頂いております。資料22を御覧ください。「本薬の安全性については、審査報告書33ページの下から3~7行目に記載のとおり、国内臨床試験では、公表文献と比較してアナフィラキシーの発現頻度が高い傾向が示されており、本剤は既存ハウスダストエキスよりも高い力価を有していることを踏まえると、アナフィラキシー等の発現が既存ハウスダストエキスとは異なる可能性も否定できないことから、製造販売後調査において使用実態下での安全性情報を更に収集し、安全対策の充足性について検討する必要があるとし、申請者は2年間で100名の特定使用成績調査を実施する予定になっています。しかし、安全性試験である204-3-1試験の参加者はわずか44名と限られているにも関わらず、公表文献と比較してアナフィラキシーの発現頻度が高い傾向が示されており、安全性に対する懸念があるわけですから、市販後ではなく市販前に追加の安全性に関する情報を収集すべきではないでしょうか。申請者が市販後に予定している100名規模で安全性試験を実施することが望ましいと思いますが、204-3-1試験ですでに44名のデータがありますので、60名程度の規模で追加の安全性試験を実施させ、全体を統合した結果から承認の可否を判断すべきだと考えます。申請者が説明しているように、日本ではSCITを実施できる施設、医師が限られているのですから、60名規模の安全性試験を市販前に実施させても、HDMアレルギー性鼻炎・気管支喘息の治療に不利益は生じないように思います」との御意見です。

 機構は、これまでの文献報告においては増量方法として従来法が主に用いられていた可能性がある一方で、今回の試験ではアナフィラキシー関連事象の発現リスクがより高い急速法が比較的多く用いられており、このために本治験におけるアナフィラキシー関連事象の発現率が高く見えている可能性もあると考えております。また、本試験における発現率を踏まえても、これまでの知見を大きく上回るリスクは示唆されていないと考えられ、本剤は海外で長年にわたり使用されており、特段の問題点も報告されていないことからも、現有の情報にて本剤の安全性について、一定の評価は可能と考えております。また、本治験で認められたアナフィラキシー関連事象に対しては適切な処置が取られ、いずれも回復に至っております。皮下注射による減感作療法は、本剤に限らず、アナフィラキシー関連事象の発現リスクがあることが知られている治療法であるため、アナフィラキシー関連事象の発現時に的確に対処することが重要であり、治験時と同様に緊急時に十分に対応できる医療機関において、減感作療法に関する十分な知識・経験がある医師の下で使用することを徹底することで、本剤の安全性を管理することは可能と考えております。

 したがって、現時点で承認は可能と考えておりますが、御指摘を踏まえ、本剤の販売直後はSCITに対する使用実績がある施設を中心に本剤を使用し、新規施設での使用が早急に拡大することがないような方策を講じた上で、製造販売直後調査及び製造販売後調査を実施し、安全性情報を収集するよう申請者に指示したいと考えております。以上について、佐藤委員に事前に御説明し、御了解を頂いております。

 なお、佐藤委員より「ハウスダストエキスの使用経験から判断されると困りますので、本剤の販売直後はSCITに対する使用実績のある施設を中心に本剤を使用し、新規施設での使用が急速に拡大することがないような方策を講じることを徹底していただき、その間に判明した安全性に関する情報は、使用施設及び新規の使用施設に速やかに伝わるよう、申請者に指示していただければと思います」とのコメントをいただきましたので、併せて申請者に指示したいと考えております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。今の佐藤先生の御意見には、すでにガイドラインにも書かれているように、広く使われていて安全性も確立されているので省略したいということと、市販後に医師を限定してということを取りあえず考えていくという回答でしたね。あと、27ページの表13ですが、アナフィラキシーが起きたときの投与法というか、増量法が急速か従来法かで違うというように書いてあるけれども、これを見ると急速法の方がアナフィラキシーを起こしやすいように読めます。その辺の注意は市販後にしなくてもいいのですか。

○機構 1.8添付文書()24ページの「用法及び用量に関連する使用上の注意」の2を御覧ください。そこで、増量を急速に行う場合は、患者の状態を勘案し入院又はそれに準じた管理下での投与を行うように注意喚起をしております。また、資材を用いて更に急速法に関する注意喚起を行うことを予定しております。

○吉田部会長 ほかにありますか。

○菊池委員 アナフィラキシーの頻度が恐ろしく高いのです。ペニシリンのアナフィラキシーショックというのは、医師も薬剤師も習うかと思いますが、それは0.001%とかなのです。44人にやって5人にアナフィラキシーが起きているというのは、私からすれば衝撃であって、今のところ、SCITの専門の所でやることになっていますが、これはものすごく注意喚起をする必要があるように感じます。いかがでしょうか。この頻度はめちゃくちゃ高いと思うのです。

○機構 御指摘のように本剤の場合にはアナフィラキシー関連事象は一定の確率で発現するものと考えています。ペニシリンなどの普通の薬剤ですと、有効成分にアレルギーを持っている患者さんは一般的に禁忌とされていますが、本剤は有効成分が禁忌になるような患者さんに対して投与するという治療法ですので、アナフィラキシーは出るという前提での治療法です。実際に本剤の治験の中では一定数のアナフィラキシー関連事象は出ていますが、治験実施施設のレベルで安全管理を行えば、患者さんは次回からも投与が継続できている状況ですので、こういう治療法に詳しい医師が慎重に使っていただく場合には、アナフィラキシー関連事象が出ても対応可能であろうと考えております。

○菊池委員 ダニだけに限らず、こういった薬がこの先、いろいろなアレルギーで出てくると思います。しかし、この頻度の高さというのは、ものすごく注意喚起が必要です。ここには「入院が必要」というように、ちょっとしか書いていませんが、ほぼ入院させてやった方がいいぐらいに感じます。そういう指導がなくても大丈夫なのでしょうか。

○機構 アナフィラキシー関連事象の発現可能性が高い急速法に関しては、治療初期部分では入院に準じた管理下で実施することを注意喚起しております。従来法で実施する場合には、患者の状態等を勘案して、医師の判断で、必要な場合には入院に準じた管理下で実施していただくことで対応可能であろうと考えております。

 実際に急速法を使う場合、現場ではほぼ入院で行われているということを確認しております。

○菊池委員 ですから、それを添付文書にほとんど書いてしまった方がいいのではないかという気持ちです。アナフィラキシーの頻度がこんなに高い薬は、多分ほかにはないと思うのです。これは起こし脱感作するという意味ですから、当たり前です。

○機構 もう1点追加させていただきますと、投与直後がアナフィラキシー関連事象の最も発現しやすい時期ですので、従来法、急速法にかかわらず、投与後30分以上は医師の管理下で観察を行うように添付文書で注意喚起しております。資材等も用いて、この注意喚起を徹底するようにしたいと考えております。

○吉田部会長 ちなみにSCITをやっている施設というのは、日本にはどれぐらいあるのですか。

○機構 企業の昨年の納入実績から、ハウスダストに対するSCITを頻繁に実施しているのは150施設程度と聞いております。

○吉田部会長 ということは、把握はかなり可能ですよね。

○機構 はい。SCITを実施している施設は限られておりますので、販売直後は使用実績のある施設を中心に本剤を使用するようにして、安全性情報等を収集するよう、申請者に指示したいと思います。

○大槻委員 皮膚科でよく分かっていない部分もあるのですが、SLIT、舌下免疫療法はスギで承認されたのでしたか。ダニは承認されていないですよね。そうなると、SLITの方がずっと安全なのだろうけれども、非常に濃度の高いものを準備しなければいけないということで、今はそれを開発中なのだろうと思います。SLITよりもSCITの方がやはり危険性が高く、私もほぼ全例入院で行っていると聞いていますので、いずれダニに対するSLITの承認が下りるとすれば、それまでの間、SCITでもそれなりのニーズがあると考えてよいのでしょうか。

○機構 減感作療法は寛解まで導ける可能性があるわけですが、SLITに比べてSCITの方が有効性が高いとも言われており、寛解を目指す場合には、SCITの方がより有用との見方もあるようです。ですので、今後SLITが増えてきたとしても、SCITが全く不要になるということではないと現時点では理解しています。

○庵原委員 実を言いますと、SCITは3040年前に非常に行われていたのです。というのは、その当時は良い薬がなかったので、SCITが主流だったのです。しかし、それからは良い薬が出てきたので、日本ではSCITが廃れたのです。ただ欧米、特にヨーロッパではSCITが生き残っていたわけです。このデータを見ても、ほとんどヨーロッパではSCITが使われていますが、日本、カナダ、米国は今ではSCITが落ちて、現在は主に薬物治療をやっています。しかし薬物治療では限界があるので、昔に戻ってヨーロッパの考え方を受け入れて、SCITをもう一遍日本に入れていこうということです。そのSCITのときに急速でやるのか。3040年前はものすごくゆっくりやっていましたので、緩徐法でやったとき、アナフィラキシーはほとんどなかったのです。ここで急速法を進めていくか緩徐法を進めていくかというのは、学会がどう考えるかというところも含めて、今後の課題だと理解しています。ですから、これは新しい方法ではなくて懐古なのです。

○吉田部会長 だからガイドラインに載っているわけですね。

○庵原委員 はい。そこは誤解がないようにして下さい。以前は緩徐法だったので急速法が新しい方法で、急速法はアナフィラキシーを起こすリスクが高いと言うことだと思います。今、小児科の間で流行っている経口免疫療法ですが、食物アレルギーの経口免疫をやるのですが、やはり緩徐法だとアナフィラキシーは少ないけれども、急速法にすると増えるのです。ですからアレルギーに関しての急速法というのは、ある程度のリスクを含んでいることを理解した上でやるのが大事だと私は思いますので、その辺は強調すべきだと思っています。

○吉田部会長 明快な解説をありがとうございました。

○機構 ありがとうございました。

○吉田部会長 ほかにありますか。

○庵原委員 ちなみに、このメカニズムはどうなっているのですか。要するに、SCITが効くというメカニズムを、メーカーはどのように考えているのですか。

○機構 詳細なメカニズムは分かっておりませんが、文献等では、添付文書の25ページにある作用機序の項のとおり、可能性として、免疫反応を誘導してTh1の増加やT細胞の誘導及び抗原に対するIgG抗体ができることで、それらが複合的に症状の発現を抑えているという説明がされています。

○庵原委員 以前はIgG4抗体を作ることによって、IgEに流れるのを抑えるからという議論があったのですが、それが変わってきているのですか。

○機構 抗原をブロックする抗体ができるという説明はされております。

○庵原委員 IgG4とIgEとのバランスで、IgG4が進むことによってIgEを進めるのを止めるという話が30年前の理屈なのです。

○機構 はい。

○庵原委員 その理屈が、新しい免疫学の理論でどう変わったかということを教えてほしいと思います。

○機構 現時点においても、減感作療法により、抗原特異的なIgG4が増加し、抗原特異的なIgEと競合するのではないかということも、機序の一つとして言われております。

○吉田部会長 ほかにありますか。ないようですので議決に入りたいと思います。なお、清田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題の承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で御待機されている新井委員、関水委員をお呼びください。

                           ( 新井委員、関水委員入室)

○吉田部会長 それでは議題3に移ります。大槻委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議題3の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

                                ( 大槻委員退室)

○吉田部会長 それでは、議題3についての概要説明をお願いします。

○機構 議題3、資料3、コセンティクス皮下注150mgシリンジ他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるセクキヌマブ(遺伝子組換え)は、炎症誘発性サイトカインの一つであるヒトインターロイキン-17(以下、IL-17)に対するモノクローナル抗体です。乾癬の病態形成などにIL-17Aが関与していると考えられていることから、乾癬を対象に本剤の開発が進められ、今般、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬及び関節症性乾癬に係る効能・効果で申請されております。本申請の専門委員としては、資料20に記載されている9名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について臨床試験成績を中心に、簡単に説明いたします。乾癬は局面型皮疹を特徴とする炎症性皮膚疾患であり、その最も一般的な病型が尋常性乾癬で、尋常性乾癬と同様の皮疹に関節炎を合併する病型が関節症性乾癬です。本剤の有効性については、両病型に共通して認められる皮膚症状に対する有効性、及び関節症性乾癬の関節症状に分けて検討されています。

 まず、皮膚症状に対する有効性について、審査報告書40ページの()、「国際共同第III相試験A2302試験」の項を御覧ください。日本を含む国際共同第III相試験として、中等症から重症の局面型皮疹を有する乾癬患者を対象に、本剤150mg300mgを、41ページの図4のとおり皮下投与したときの有効性及び安全性を検討するため、プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験が実施されております。その結果、42ページの表17及び表19に示しておりますように、主要評価項目である投与12週後のPASI75反応割合及びIGAスコアの0又は1への改善割合について、本剤群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められており、皮膚症状に対する本剤の有効性が検証されております。

 次に65ページの2)、「関節症性乾癬の関節症状に対する有効性について」の項を御覧ください。本邦では関節症性乾癬の患者数が少ないため、日本人患者を含む検証的試験は実施されていませんが、皮膚症状の評価を主目的とした国際共同第III相試験に組み入れられた日本人関節症性乾癬患者において、関節症状の改善傾向が認められていること、また、関節症性乾癬患者を対象とした海外第III相試験、F2306試験及びF2312試験において、関節症状に対する有効性が検証されていることなどを踏まえ、関節症状に対しても本剤の有効性は期待できると判断しております。

 次に66ページの()、「安全性について」の項を御覧ください。国内外臨床試験における有害事象の発現状況、及び本剤の薬理作用などを踏まえた検討の結果、乾癬に対し既承認の生物製剤と同様に、本剤においても、免疫機能への影響により発現が懸念される重篤な感染症などの発現に対して十分に留意する必要があり、既承認の生物製剤と同様の安全対策を講じる必要があると判断しています。

 続いて77ページの()、「用法・用量について」の項を御覧ください。機構は、A2302試験を含む複数のプラセボ対照第III相臨床試験の結果、本剤300mg群の有効性は本剤150mg群を上回る傾向が示されていることから、申請用法・用量のとおり、本剤の通常用量を300mgと設定することについては妥当と判断しております。ただし申請用法・用量において、症状により150mgも投与可能とされている点については、症状に関する患者背景別の部分集団解析において、本剤300mg群の有効性は一貫して本剤150mgを上回る傾向が認められていることを踏まえると、症状により本剤の用量を調節する必要性は乏しいと考えております。

 一方で体重別の部分集団解析において、79ページの図10及び図11のとおり、低体重の患者では高体重の患者と比較して、血清中本薬濃度及び有効性が高い傾向が認められております。更に81ページの図12のとおり、体重60kg以下の集団では本剤150mg300mgの有効性はほぼ同程度であったことを踏まえると、低体重の患者に対しては150mgの使用も可能とする合理性はあると考えました。

 以上より機構は、88ページに記載のとおり、用法・用量において、体重により150mgも投与可能と設定すること、また、用法・用量に関連する使用上の注意において、体重60kg以下の患者では、1回150mgの投与を考慮する旨を注意喚起することが適切と判断いたしました。以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原薬及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品に該当するものと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。

○新井部会長代理 20ページに「毒性試験成績の概要」という項目があると思います。この最後の行に、この抗体はげっ歯類に反応しないので最後の行に、本薬の代替抗体として抗マウス抗体を用いてマウスで実施したとあるのです。これはIL-17がなくなったときの副作用を見るという点ではいいと思うのですが、本来、ヒトに対する薬としての抗体の特異性ですよね。要するに、本当にIL-17だけを抑えているのかということです。恐らくモノクローナル抗体は、マウスの抗体も少しは他のものに対する反応性もあるし、ヒトの作った抗体もそれはそれで、ほかのものに対しても少しは非特異的な作用があると思うのです。これを代替抗体でやるということは、毒性試験のあれにはならないのではないでしょうか。IL-17の落ちるときの副作用はこれでいいかもしれませんが、本抗体の特異性がはっきりしない段階というか、全部調べるわけにはいかないので、分からない所はあると思いますので、それに対する副作用はここからは何も予想できないという実験ではないかと思うのです。いかがですか。

○機構 御指摘のようにIL-17以外に対する作用について、マウスの代替抗体で調べることには、限界があり、本薬が反応するサルなどを用いて試験を実施するのが本薬の毒性評価の観点から理想的ではあるのですが、全部の試験をサルで実施するとなると実施可能性の面等から難しいところもあり、マウスの代替抗体を用いた試験も一部実施されているという状況です。

○機構 代替抗体が用いられている試験は生殖発生毒性試験です。この試験は、試験系に用いる動物の妊娠期間や性周期も考えながら試験を計画していく必要があると思います。その中で、サルよりも妊娠期間が短く、性周期が早く、実験成績が蓄積されているということで、やむを得ずマウスが選択されたのではないかと理解しているところです。

○吉田部会長 一般的にヒトの免疫グロブリン、モノクローナル抗体を使ってサイトカインをいじるような薬がいっぱいあるじゃないですか。そのときはどうしているのですか。こういうやり方をしているのですか。一般的なやり方だったら、それが一般的なやり方だという回答で了承できると思うのですが。

○機構 サルを使った生殖発生毒性試験を実施できる施設はかなり限られているので、こういう代替抗体を用いた試験をやっているのが現状ということです。

○新井部会長代理 しかし、やはりこれはおかしいですよね。今まではそれで良かったのかもしれないのですが、全然違うものを評価しているわけですよね。

○吉田部会長 物としては別のものを使っているわけだから、確かに。

○新井部会長代理 抗体は抗体だけれども、特異性は絶対に違うはずなので、本当はおかしいのではないかと思うのです。ただ、今のところこれでベストということでは仕方がないと思います。

○吉田部会長 ほかにありますか。

○鈴木委員 65ページなどを見ますと、乾癬が全体で10万人ぐらいいるけれども、それはそんなに珍しくもないと思います。ただ、尋常性乾癬は有名でそれが多く、関節症性乾癬の方が3.6%で3,600人と、非常に少ないのです。関節症性乾癬については、あえて国内での治験を行わずに適用を認めるということですが、きちんとしたデータがある尋常性乾癬のみにしてもいいのではないかと思います。あえて関節症性乾癬を含めた理由について教えていただけますか。

○機構 関節症性乾癬に関しては、本邦では非常に患者が限られることから、今回は局面型皮疹に対する有効性を検討する国際共同第III相試験に、関節症性乾癬の患者も組み入れて皮膚症状を中心に評価し、併せて関節症状も評価するという形を採っています。乾癬に対して既承認の生物製剤としてインフリキシマブなどがありますが、これらの臨床試験においても、国内で関節症性乾癬患者のみを対象とした臨床試験は行われておらず、局面型皮疹に対する臨床試験に、一部関節症性乾癬患者を組み入れて評価するという、今回と同様の形で評価が実施されております。

○鈴木委員 そうすると、今までの既承認の薬もみんな同じセットで行ったということですか。

○機構 はい。

○鈴木委員 国内では治験をせずに、海外あるいは国際共同試験で承認しているということですね。それと、5類型あると書いてあります。では、ほかのものもみなそのようにしたらよいのではないかと思うのですが、なぜ関節症性乾癬だけセットでされているのかと思ったのです。そこを教えていただけますか。

○機構 国内臨床試験の中では、関節症状を有する患者さんも組み入れて評価していますので、全く試験をしていないわけではございません。国際共同試験に参加して、実際に海外の第III相試験と一緒に国内の少ない患者さんを組み入れることも理論的には可能と思うのですが、海外と国内の開発時期の違いという問題等が要因となって、国内の患者さんが参加する国際共同試験がなかなかできていないというのが現実です。

○吉田部会長 いれなかったのではなくて、入れなかったのですか。

○機構 実施時期の問題もあって入ってはいないというところです。

○吉田部会長 結果として入れなかっただけではなくて、最初からオミットされてしまったのですか。

○機構 もし、実際に関節症状に対する有効性を検討する国際共同試験に日本人の関節症性乾癬患者を組み入れたとしても、全体集団との一貫性が評価できるほどの例数を組み入れることは非常に難しいというところもあります。ですので、局面型皮疹に対する試験の方に日本人の関節症性乾癬患者を集中させて、この試験の中で関節症状も併せて見るという形での評価が行われました。海外では関節症状に関しても検証的試験が行われており、本剤の有効性が確認されているということと、少数ではありますが、日本人患者でも関節症状に対して有効性を示す傾向が認められていることを勘案すると、日本人患者の関節症状に対しても有効性が期待できるという判断は可能であろうと考えております。

○鈴木委員 それだったら五つの類型のうち、残りの三つもそのようにしたらより適用も広がるし、よいのではないかと思うのです。では、逆にそれはどうしてしなかったのですか。

○機構 海外では、膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症といった効能に関しては、開発が行われていないという状況です。

○鈴木委員 要するに、有効性が外国でも証明されていないのですか。では、治療には別の薬を使うのですか。

○機構 膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症に関しては、海外でも患者が非常に少ないということもあり、尋常性乾癬や関節症性乾癬の開発の方が優先されているのだと思います。

○鈴木委員 3.6%ですから、もっと少ないのですね。

○機構 はい。

○鈴木委員 そうすると、ほとんどが尋常性乾癬ですね。

○機構 はい、そうです。

○鈴木委員 では、多い方の上から二つということですね。

○機構 はい。例えばインフリキシマブなどですと、国内では膿疱性乾癬などに関しても効能を取得していますが、国内で小規模な臨床試験が実施され、尋常性乾癬などの成績も勘案して、承認されています。

○鈴木委員 この5類型というのは国内の区分ですか。それとも国際的な分類ですか。5区分と言うのですか、5病型が5ページに載っています。

○機構 海外の分類も国内とおおむね同様の考え方で分類されています。

○鈴木委員 要するに数は少ないけれども、残りの三つの類型の治療薬が残るということですか。

○機構 そうですね。膿疱性乾癬等の病型につきましても、患者さんは少ないですが、本剤のような生物製剤の必要性はあると思いますので、国内のみでも開発していただくようお願いしています。

○鈴木委員 そういう形で間接的でもよいのだったら、残りの三つの類型についても、是非されたらよろしいのではないかと思いました。

○庵原委員 二つあります。一つ目は、国際試験のプラセボは何を使ったかということです。余りにもプラセボのデータが悪過ぎるのです。要するに、これは非劣性を見ているわけではないのですが、このようなスタディーの組み方でいいのかなという気がしたので、それが1点です。

 もう一つは製剤として150mgが、しかもプレフィルドシリンジ製剤で出てくるのですが、実際に使うのは300mgだとなると、臨床現場では2本打たないといけないということで、余り好まれる方法ではないのです。将来、メーカーは300mgをプレフィルドシリンジ製剤で開発する予定はあるのですか。その2点です。

○機構 まずプラセボについては、本剤の有効成分を抜いたものを使用しています。プラセボ群の有効性は確かに低いのですが、類薬の臨床試験とおおむね同程度の反応率を示しているかと思います。もう1点の300mgの製剤の開発についてですが、今のところ開発予定という情報は得ていないです。

○庵原委員 使用量が300mgとなると、現場としては300mgがほしいという声が絶対に出てくると思うので、この辺が今後の検討課題かと思うのですが、いかがですか。

○機構 恐らく高濃度の製剤を作る製剤化が、今のところは難しいということで対応できていないものと思います。

○吉田部会長 ほかにありますか。

○菊池委員 私も今、全く同じことを考えていたのです。結局2回打つのですか。2ccの皮下注など、死ぬほど痛いのです。痛くないものでも痛いのです。やってみると分かります。私はインフルエンザを0.5ccの自己注射で毎年打っていますが、かなり痛いです。度胸が要ります。結局、これは300mg打てるといっても2回打つということですから、患者には皮膚の病変のない所を選んで、2回打つしかないということですね。

○機構 はい。

○吉田部会長 そういうことも考えていただいて。

○川上委員 確認ですが「リスク最小化計画」の所で、「自己投与に関する、医療関係者向け及び患者向け資材の作成」というのがあります。資料の中には資材のサンプル等が入っていないのですが、これは今のことなども含めて、適切な資材をメーカーは準備されているのですか。

 本剤の場合は、感染症をはじめ幾つかの副作用等も懸念されるので、それらの安全性情報の収集や規制当局への報告に対して、当該メーカーは問題のない体制で臨まれているのか、ということを確認させてください。

○機構 御指摘の自己投与に関する資材については、部会資料としてお配りしているものには含まれていないのですが、「自己投与ガイドブック」という形で資材案が提出されておりまして、そちらを確認しております。あとは「適正使用ガイド」等の他の資材も確認しています。また、本剤には御指摘のように、重篤な感染症などの懸念される副作用がありますので、それらについて十分に情報提供するよう改めて指示したいと思います。

○吉田部会長 そのほかにありますか。よろしいでしょうか。御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。なお、庵原委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で御待機されている大槻委員をお呼びください。

                               ( 大槻委員入室)

○吉田部会長 それでは議題4に移ります。議題4について、概要説明をお願いします。

○機構 議題4、資料4、医薬品イロクテイト静注用250他の製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明します。本剤は、血液凝固第VIII因子と、ヒト免疫グロブリンGのFc領域の融合タンパク質である、エフラロクトコグ アルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤です。本剤は、既存の血液凝固第VIII因子製剤よりも血漿中半減期を延長させ、投与回数を減少させることを目的に開発が行われました。なお、本剤は201410月現在、米国、カナダ及びオーストラリアで承認されています。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にお示しした7名の委員です。

 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。有効性については、審査報告書39ページ、表4-6を御覧ください。臨床試験において、主要評価項目として年間出血エピソード回数が検討されました。Arm1及びArm2では、出血の予防を目的とした本剤の定期的な投与が行われ、Arm3では、出血時に止血を目的とした本剤の補充的な投与が行われました。年間出血エピソード回数は、出血時にのみ投与を行ったArm3では人・年当たり約37回であり、それと比較して、Arm1では2.9回、Arm2では8.8回と低く、本剤の定期的な投与における出血回数の低減効果は期待できるものと判断しました。また、臨床試験の結果から、出血時の投与における止血効果は期待できるものと判断しました。

 安全性については、審査報告書4647ページを御覧ください。提出された資料から、本剤の安全性上の懸念はなく、忍容可能と判断しました。

 製造販売後調査については、審査報告書56ページ、表3に使用成績調査計画の骨子()をお示ししています。製造販売後には、当該調査により、使用実態下における本剤の有効性及び安全性について、情報収集を行う計画としています。

 以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品に該当すると判断しました。なお、薬事分科会には報告を予定しております。

○事務局 続いて、佐藤委員より事前に頂いた御意見について、事務局より御説明いたします。お手元の資料22の2ページを御覧ください。こちらにお示ししてありますように、佐藤委員からの御意見の概要は、「申請者に対して、半減期が長いという特徴とは関係のない使用については制限をかける等の、適正使用に関する指導を願う」というものでした。この御意見に対して、事前に事務局から佐藤委員に対し、本剤の半減期延長による有用性が示されているのは定期投与のみであることを踏まえ、不適正な使用がないように、申請者に対し情報提供資材等の作成を指示する旨を説明して、佐藤委員より御了解いただいております。事務局からの説明は以上です。以上、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○半田委員 今の点なのですが、添付文書を見ていただくと、確かに用法・用量の所には出血の治療、それから周術期、投与法等々も従来どおり書いているということで、本剤の基本的な目的は半減期の増加による定期補充療法への適応はかなり限られたものであると考えた方がいいかと思うのです。これを見ると、それこそ何でもかんでも使えることになってしまうということで、既にリコンビナント製剤もこれで四つ目ですよね。ですから、もうそろそろこの辺は差別化するというところも、もうちょっと踏み込んでいただきたいと。この添付文書からいうと、従来のものとほとんど変わっていない用法・用量が書かれている。もちろん、用法・用量に関しては、より詳しく具体的な数字が出ているということはあるのですが、私も佐藤委員と同じ観点から、この辺は今後、是非検討していただきたいと思います。

○吉田部会長 いかがですか。今の点について、添付文書には変わりがないことが書いてあるではないかと、反省しているのかというような御意見ですけれども。

○機構 止血効果については、臨床試験が実施されており、本剤も従来の第VIII因子と同程度の止血効果が得られるというデータが提出されております。ただ、半減期の延長が止血効果にどのように影響するかというデータはありませんので、御指摘いただきましたとおり、資材等において今あるデータはこのようなものだという特徴を、きちんと情報提供したいと考えております。

○半田委員 Fcとの融合タンパク、リコンビナントですね。これは前々回、第IX因子の製剤も同じものを一応、承認したと思うのですが、多分、欧米でも使用してからまだ1年程度の経験しかないと思うのです。この辺に関して、特殊な副作用というのですか、免疫系統等ですね。Fcレセプターの作用という意味において、副作用に関する長期的なもの、その辺に関して何か情報等々はあるのでしょうか。これから市販後でいろいろなデータが積み重なっていくと思うのですが、この辺はいかがでしょうか。

○機構 現時点で海外でも承認されておりますし、長期的な継続投与試験が実施されておりますが、現在までに既存の第VIII因子と比べて安全性のプロファイルが異なるという情報は得られておりません。今後も製造販売後の調査において、長期投与時の安全性情報はしっかり集めたいと考えております。

○関水委員 38ページのArm1、Arm2、Arm3について、Arm1ではたくさん投与したらエピソード回数が少なかったので、本剤が効いているという理解でよろしいでしょうか?このArm1、Arm2、Arm3という投与群の構成は、どういう基準でなされたかについて書かれていません。試験をした医師の判断があって構成されたのではないですか。もし無作為にやっているのでなければ、臨床試験として問題だと思います。

○機構 このArm1、Arm2、Arm3への割付けがどのようになされていたかという御質問ということでよろしいですか。

○関水委員 そうです。

○機構 こちらの試験では、部分的に無作為化をしており、前治療によって割付けの方法を変えています。治験参加前に既に定期的な投与を行っていた患者を、出血時のみの投与を行う群に割り付けることは、治験参加前よりも劣る可能性のある治療法に割り付けてしまうことになりますので、既に定期的な投与を行っていた患者については、週に2回の投与を行うArm1に組み入れられる規定になっていました。治験参加前に、出血時のみの投与を行っていた患者については、当該患者がArm1を希望する場合はArm1に組み入れ、Arm1を希望しない場合には週に1回の投与を行うArm2と、出血時の投与のみを行うArm3のどちらかに無作為的に割り付けるという規定になっていました。前治療として既に定期的な投与を行っている患者に対して、前治療より劣る可能性がある治療群に割り付けることは倫理的に問題であろうということで、このようなデザインになっております。

○関水委員 結果があらかじめ予想されていたわけではないことが示されるべきだと思います。多少出血が出ても大丈夫だという人がArm3になっているのであれば、試験として問題だと思います。

○機構 Arm1とArm2とArm3の対象患者ですが、治験に入る前の12か月での出血回数のデータも取られていて、Arm1、Arm2、Arm3でそれぞれ27回、29回、24回と大きな違いはありませんので、どのArmでも出血の回数に大きな違いはない患者を組み入れていることになります。それに対して、定期的な投与をした場合の出血回数が減ったという結果をもって、本剤の効果があるという説明になっております。

○濱口委員 小児に対しての有効性の所をいろいろ見ようと思ったのですが、余り探すことができなかったので、説明をしていただきたいと。12歳未満の人で、ほかの薬剤に比べて半減期がどの程度伸びているのか、臨床症状としてどうだったのかということが私が見た限りよく分からなかったので、そこを教えていただきたいというのが1点です。

 あと、インヒビターの発生は、血友病の場合には第VIII因子を投与すると起こってくるというのはよく言われているのですが、臨床データの中に余りインヒビターの発生が認められません。実際に海外でどのぐらい使われたときにインヒビターが起こっているのか。それがいわゆる既存の薬若しくは血漿分画製剤で作られた第VIII因子と比べて多いのか、少ないのかという検討ぐらいは少し解析されていてもいいのかと思うのですが、もしそういう情報があれば教えてください。

○機構 まず、小児の試験の結果なのですが、審査報告書の35ページに、12歳未満の患者を対象とした臨床試験の成績を記載しております。例数は少なく、成人のように既存薬のアドベイトと厳密に比較した試験ではありませんが、前治療薬として使っていた第VIII因子製剤に比べて、本剤投与時の半減期は長いという成績が得られており、小児でも成人と同じように半減期の延長が期待できると考えております。

 インヒビターについてですが、本剤は米国等でも発売されて間もない状況で、インヒビターの発生が既存の第VIII因子より多い、少ないといった情報はまだ得られていないというのが現状です。

○機構 インヒビターの件は非常に重要なポイントとなるとは思っておりまして、米国で承認されて本当に間もないので、併せて情報は収集して必要な場合には早急な対応をとるというようには考えているところです。

○菊池委員 どこかに2013年の段階でインヒビターが1例もないと書いてありましたが、その後もないということでいいのですか。見たときにはどこかにありましたが、その後にも報告がないということですよね。

○機構 2013年9月というのは、継続投与の臨床試験のデータカットオフの時点ですが、それ以降もインヒビターの報告はないことを確認しております。

○吉田部会長 ほかにありますでしょうか。御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題5に移ります。議題5の概要について説明をお願いします。

○機構 議題5、資料5、医薬品ロゼックスゲル0.75%の製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。本剤の有効成分であるメトロニダゾールは、嫌気性菌等に対する殺菌作用を示す抗菌剤であり、嫌気性菌感染症の治療薬として、経口剤、注射剤などが既に承認されています。本剤が対象とするがん性皮膚潰瘍部位の臭気は、進行がんの皮膚潰瘍部から発生する特有の不快な臭気であり、潰瘍部位に感染した嫌気性菌が産生する物質がその主な原因と考えられています。本邦では、がん性皮膚潰瘍部位の臭気を軽減する医薬品は承認されていないこと等から、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討の結果、本剤は医療上の必要性が高いと判断されています。本申請の専門委員としては、資料20に記載の3名の委員を指名しました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書15ページの1)国内第III相試験の項の4段落目、「有効性の」から始まる段落を御覧ください。がん性皮膚潰瘍に伴う悪臭を有する患者を対象とした国内第III相試験において、有効性の主要評価項目である投与14日目のにおいスコアの改善率は95.2%でした。

 また、審査報告書17ページの表5及び18ページの表6を御覧ください。表5は国内外の診療ガイドライン、成書の記載、表6は国内外の公表文献の概略を示しています。これらにおいて、がん性皮膚潰瘍部位の臭気に対してメトロニダゾール外用剤による処置が推奨されており、メトロニダゾール外用剤のがん性皮膚潰瘍部位の臭気に対する有効性が報告されていることが確認されました。以上を踏まえ、がん性皮膚潰瘍の臭気に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。

 次に安全性について、審査報告書15ページに戻って表4を御覧ください。表4は国内第III相試験において2例以上に認められた有害事象及び副作用を示しています。いずれの有害事象も軽度又は中等度であり、転帰は軽快又は回復であったことから、本剤塗布による安全性上の大きな懸念はないと判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第二部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年、原体及び製剤は、いずれも毒薬、劇薬、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。本件は未承認薬検討会議からの要望ということもありますし、メトロニダゾールそのものがかなり歴史ある抗生物質ですので、特段の問題はなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。

○奥田委員 細かいところで教えてほしいのですが、RMPの潰瘍部位からの出血というのが「重要な特定されたリスク」で挙がっているのですが、これは原疾患によるものではなくて、この薬剤による出血という解釈でよろしいのでしょうかというのが一つです。

 もう一つは、製販後調査の中で1日塗布量と安全性との関連を確認するとありますが、1日塗布量というのは確認可能なのでしょうかというか、記録していくという話なのかとは思うのですが、その2点について教えていただけたらと思います。

○機構 潰瘍部位からの出血に関してですが、本剤はガーゼ等に塗ってから患部を覆う、又は患部に直接塗布してからガーゼ等で覆うという使用方法です。塗り替える際や、ガーゼ等を剥がすときなどに出血が起こってしまうことが出てくると思いますので、必ずしも本剤が原因で出ているものではないのかもしれませんが、このような事象が認められているので、こちらに挙げているということです。

 製造販売後調査の中で厳密な塗布量を測ることは難しいと考えますが、本剤は1本に50gが入っています。使用量として本剤の使用本数で調査を取ることは可能と考えておりますので、そのようにして使用成績調査において1日塗布量の情報収集を行うことを想定しております。

○菊池委員 多分ないとは思いますが、これは潰瘍部からの吸収などの検討はしていますか。50g全部塗ったとしても知れているようなので、余り影響はないかと思いますが、その辺の検討はやっていらっしゃるのですか。

○機構 吸収はされますが、かなり広範な皮膚潰瘍に本剤を塗布した場合でも、経口剤を最大用量投与したときの暴露未満になるだろうというところは確認を取っております。

○菊池委員 その血中濃度などはどこかにありましたか。あまり見ていないですか。

○機構 審査報告書の13ページを御覧ください。国内第III相試験で本剤を塗布したときのCmaxは最大値として2,872ng/mLです。メトロニダゾール経口剤の250mgを単回投与したときにはCmaxとして7,248ng/mLとなっております。経口剤は750mgの1日3回、2,250mgまで投与できることになっておりますので、経口剤投与時の体内濃度とは十分な差があると考えています。

○吉田部会長 ほかにありますか。御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題6に移ります。議題6について、医薬品医療機総合機構からの概要説明をお願いします。

○機構 議題6、資料6、医薬品ネスプ注射液5μgプラシリンジ、ほかの製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)は、ヒトエリスロポエチン受容体を介して赤芽球系前駆細胞の分化及び増殖を刺激することにより、赤血球数の増加を誘導すると考えられております。現在、本剤は腎性貧血に対して承認されております。今般、本剤について、骨髄異形成症候群(以下、MDS)に伴う貧血に対する効能・効果等を追加するための申請がなされました。なお、本剤はMDSに伴う貧血を予定する効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にありますとおり4名の委員です。

 以下、臨床試験成績を中心に、承認審査の概要を御説明いたします。今般、承認申請では、主な臨床試験として、本邦及び韓国で実施された一つの国際共同第II相試験が提出されました。有効性については、審査報告書13ページ、上から14行目以降及び29ページ、上から17行目以降を御覧ください。国際予後予測スコアリングシステムによる低又は中間-1リスクに分類され、かつ血清中ヒトエリスロポエチン濃度が500mIU/mL以下の赤血球輸血依存のMDS患者における本剤の有効性及び安全性を検討した、第II相試験における赤血球マイナー反応の結果等から、当該患者に対する有効性は期待できると判断しました。

 安全性については、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書の14ページの下から10行目以降、及び29ページの下から10行目以降に示すように、既承認の腎性貧血患者に対する本剤投与時に注意を要する有害事象と同様に、高血圧関連事象、脳出血、血栓・塞栓・閉塞関連事象、ショック・アナフィラキシー、赤芽球癆及び肝機能障害・黄疸が認められております。本剤の使用に当たっては、これらの有害事象に対する注意喚起が必要と考えておりますが、これらの有害事象の観察や管理、本剤の投薬中止等の適切な対応がなされるのであれば、本剤の忍容は可能と判断しました。なお、製造販売後には、本邦での長期の使用実態下における本剤の安全性等を検討することを目的とした調査を実施することが必要であると判断し、申請者に指示しております。

 以上のような審査の結果、機構は骨髄異形成症候群に伴う貧血を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本申請は、希少疾病用医薬品に指定された効能・効果を追加するものであることから、追加される効能・効果及び用法・用量について、再審査期間を10年とすることが適当であると判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 委員の先生方からの御意見、御質問等をお願いします。

○半田委員 幾つかあるのですが、第1点は添付文書の4ページです。骨髄異形成症候群に伴う貧血に対して、用法・用量として週1回240μgの皮下注ということなのですが、401試験では三つの用量を見ていますが、その効果の用量依存性はないということです。したがって、最高用量をここに書かれるということは、どういう根拠があるのかというのが第1点です。それはいかがでしょうか。

○機構 本薬の有効性について審査報告書の12ページの表を御覧ください。国際共同第II相試験での60μg120μg240μgの各群で、今回の主要評価項目である赤血球マイナー反応以上の反応が認められた割合についてですが、中間用量の120μgで若干下がっているように見えて、きれいな用量反応性が示されておりません。一方で安全性に関しては、この60μg120μg240μgで比較しても、どの群でも忍容可能であることから、最も用量の高い240μgを選択したという経緯があります。

○半田委員 多分、薬価は投与量にも影響されるのではないかと思うので、ちょっと無駄があるのかという印象があったのでお聞きしたのです。

 第2点が添付文書の5ページ、骨髄異形成症候群に伴う貧血に対して、注意書としてまず増量ですね。それから、効果等々で、もしヘモグロビンが上がった場合には減量する等々のことは、具体的な数値が2番目に書いてあるのです。ただ、本薬は401試験の場合16週で有効性を見ているのですが、それに関してはここでは具体的な数値が書かれていません。臨床試験のデータを見ろということが書かれているのですが、2は具体的な数値を出して、3では具体的な数値が書かれていません。なぜ有効性が認められない場合は16週で中止すると、そのように書かれないのかということがちょっと違和感があったのですが、この辺はいかがでしょうか。

○機構 用法・用量に関連する使用上の注意ですので、臨床試験での規定を参考にしながら、どういった数値を添付文書の用法・用量に関連する使用上の注意に記載するのかということを審査の段階でも議論してきたわけですが、本薬に限らず、一定の目安で薬剤を中止するといった規定は、多くの試験で設けられる規定でしたので、特段、使用上の注意の項で注意喚起するよりは、臨床成績の項で情報提供することを考えておりました。

○半田委員 ただ、2の場合も臨床試験で規定された数値だと思うのです。ヘモグロビンの濃度は半減、この辺ですね。ですから、2と3は同等の形式で書くべきではないのかと。それが何で2と3で、2では具体的な数値を書いて、3では書いていないのか、ちょっと不思議に思ったからです。

○機構 審査時に、今、御説明した以上の議論はなかったかと思いますので、項3についても項2とそろえて数値を示すべきではないかという御意見がありましたら、再検討させていただきます。

○半田委員 どうしてこういうことを言うかですが、この薬は慢性的に使われる可能性があります。そうすると、かなり乱用されるおそれがあります。それから、余り効果がなくてもずっと持続的に使われる可能性があるので、これは乱用につながるのではないかと私は危惧していますので、その辺はきちんと押さえた方がいいかというところです。

 もう一つ、3番目の質問です。もちろん、この薬は病気を治すのではなくて、患者のQOLを改善するということで、輸血に代わるということですね。それが第一なのですが、例えばMDSのこのリスクの患者だと5年くらい有意な生活を送ることができる可能性が高く、そうすると週1回の皮下注をずっと続けることになり、かなり長期間の使用になってしまいます。皮下注を病院でやるのか、あるいは自己注射をするかという点や、血小板が少ない患者が多いために局所出血の問題も出てくると思うのですが、どの辺のところまで臨床データがあるのでしょうか。

○機構 確認いたしますので、少々お待ちください。今回の審査では、投与経路に関しては皮下投与での成績しか提示されておりませんので、皮下投与以外の投与方法と比較するデータについては把握しておりません。

○半田委員 多分、血小板がすごく少ない患者が多いので、皮下注射を毎週やるというと、血腫とかそういう問題がでてきます。もともとこの薬はものすごく痛いものですから、本当にQOLとして輸血とどのぐらい対比できるかということも含めて、この辺はもう一度きちんと確認していただきたいと思います。

○機構 御指摘ありがとうございます。御指摘を受けまして、局所の有害事象等が起きていないのかということを確認したのですが、特段、審査の中ではそこが問題になるようなことはなかったのかと認識しております。

○吉田部会長 特にこっちを勧めるとか、ある条件を示してやるとか、こういった患者がお勧めですなどというようなこと、あるいは逆に輸血の方がいいのではないかというようなこと。それは医師の判断ということになるとは思うのですが、分かりやすく整理できるといいかもしれないですね。併用というようなことも考えられると思いますし。

○機構 2点目に御指摘いただいた16週との目安を添付文書のどの項に記載するのかという点について、再確認させていただきたいのですが、現状、臨床成績の項で記載した上で、リーフレットや添付文書等を用いて適正使用を推奨していくことを考えているのですが、そうではなくて、効能・効果に関連する使用上の注意の方がよいという御意見だったということでしょうか。

○半田委員 そうですね。もちろん、これはよく臨床試験の内容を見れば、その後に書いてあります。ただ、そういう意味では添付文書はある程度の規制を示すというのですか、そういうものですからダラダラした使い方は戒めるという意味でも、投与期間というのですか、効果が評価できる投与期間は、きちんとその前に書いていただいた方がいいのかと、これは私の個人的な意見ですけれども。

○機構 御指摘ありがとうございました。今の御意見を踏まえまして、チームで再度、検討させていただきます。ありがとうございます。

○吉田部会長 MDSですので、血液内科の先生がお使いになるということで、腎性貧血よりはだいぶ限定的に使われるとは思うのですが、よろしいですか。御意見もないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題7に移ります。議題7について、概要の説明をお願いします。

○機構 よろしくお願いいたします。議題7、資料7、医薬品ゼルボラフ錠240mgの製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 BRAF遺伝子がコードするタンパクは、セリン/スレオニンキナーゼであり、コドン600のアミノ酸であるバリンが他のアミノ酸に変異すること、以下、「BRAF V600変異」と略します、BRAF V600変異により、恒常的に活性化させることにより、細胞に異常増殖等を引き起こすと考えられています。

 本剤の有効成分であるベムラフェニブは、BRAF V600変異を阻害すること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている抗悪性腫瘍剤です。本剤は、平成24年8月の当医薬品第二部会での審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されています。本医薬品の専門協議に参加いただいた専門委員は、資料20にありますとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に本剤の承認審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外で実施された第III相試験であるNO25026試験と、国内で実施された第I/II相試験が提出されました。

 有効性について、審査報告書37ページ下から10行目以降、及び69ページ上から13行目以降を御覧ください。化学療法未治療のBRAF V600変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討したNO25026試験の結果、主要評価項目とされた全生存期間及び無増悪生存期間について、事前に設定された有効性の判断基準を満たしたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性について、本剤の使用において注意すべき有害事象としては、審査報告書39ページ本文下から15行目以降、及び69ページ下から18行目以降に示しますように、皮膚有棘細胞癌、基底細胞癌等の二次性悪性腫瘍、皮膚障害、過敏症、QT/QTc間隔延長、光線過敏症、肝機能障害、眼障害及び骨髄抑制が認められており、本剤の使用にあたっては、これらの有害事象に対する注意喚起が必要と考えていますが、がん化学療法に精通した医師による慎重な観察と適切な措置により、忍容可能であると判断いたしました。ただし、本剤の日本人における検討症例は11例と極めて限られていること等から、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。

 以上のような審査の結果、機構は、「BRAF □□□遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。

 なお、審査報告書に誤記載がありましたので訂正させていただきたいと思います。審査報告書の51ページ、上から4行目以降を御覧ください。国内I/II相試験である、JO28178試験における骨髄抑制に関する記載において、発現例数と発現率に訂正はありませんが、母集団の例数である22例という記載について、正しくは11例です。この訂正による審査結果の変更はありません。申し訳ありませんでした。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○菊池委員 例えば、BRAFが検出された患者さんとなっていて、BRAFの体外診断薬の方は別の所で審査すると前も言われた感じがしますけれども、これと同時に認可されて大丈夫ですか。これは簡単なキットがあるのですか。

○機構 こちらにつきましては臨床試験で用いられたキットが申請されており、本剤と同時に使用が可能となる予定です。

○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。

○新井部会長代理 結構、副作用もあると思いますが、副作用のメカニズムと言いますか、このキナーゼ以外に内在性の本来、どういうキナーゼに阻害するとか、何かそういう情報というのはあるのですか。副作用が結構、肝臓とかあると思いますけれども。

○機構 具体的に、はっきりとメカニズムが分かっているようなものはあまりありません。二次性悪性腫瘍の皮膚有棘細胞癌につきましては、RASの変異がある患者様で起こりやすいのではないかという報告等もありますので、そういった可能性もあるかと思いますけれども、唯一のメカニズムとして特定されたものではありません。

○新井部会長代理 分かりました。

○大槻委員 皮膚科から補足ですが、BRAFを強く阻害すると、RAFには実はAとかCとかの経路もあるのです。CRAFが動き出すと有棘細胞癌が起こったりするということは、この薬剤が登場して初めて浮かび上がってきた経路で、結局がんの治療薬で別のがんができてしまうリスクもないわけではない。また、一般的にDRESS(わが国では、薬剤過敏症症候群)とかTEN型薬疹、スティーブンス・ジョンソン症候群がこれだけ多いというのは、ちょっと分からないですけれども、非常に慎重に使わなければいけない薬剤かなと思います。

 あと、PD1抗体が承認されて非常にブレークしている。メラノーマから始まって種々のがん治療領域でこれから使われていくと思いますが、歴史的にはこちら(ベムラフェニブ)がメラノーマの薬剤として米国で最初に脚光を浴びました。PD1は日本で開発されたので、こちらが先に承認されましたけれども。

○吉田部会長 あれは初回治療で駄目だった症例が適応でしたね。

○機構 現在、適応としては化学療法既治療の患者です。

○吉田部会長 こっちは初回治療例でもオーケーだけど、向こうは治療をフェイラーした人に使う。ちょっと使い道が違うということになります。あとBRAFの阻害剤は今までなかったと思います。本剤が初めてですかね。

○機構 承認されている薬剤はありません。これが初めての薬剤になります。

○吉田部会長 今まではなかった。

○機構 はい。

○吉田部会長 そういうことで言うと、予想外の有害事象などを含め、いろいろと気をつけなければいけないところもあるのだろうと思いますが、ほかによろしいですか。

○川上委員 副作用のQT延長に関連して伺いたいのですが、審査報告書11ページの非臨床試験の結果で、hERGカリウムチャネルの阻害のIC501.24μmol/L、イヌの心臓プルキンエ線維の活動電位に□□□□□□□□□□□□□□□μmol/Lまで影響はなかったということですが、これらの濃度は実地臨床で使われる濃度から見ると、全然問題にならないような高い濃度範囲での薬理効果なのか、確認として伺わせてください。

○機構 臨床試験における血中濃度のCmaxが大体73μg/mLとなっていますので、それよりも低い濃度です。

○吉田部会長 よろしいですか。

○関水委員 今の点は、細胞に対するIC50が9ページに出ていますが、これが550nmol/Lだから、それよりもあまり懸け離れてはいないということですね。従って本剤は、非常に毒性が強くて、当然、副作用が現れるのは当然であると私は理解します。

○吉田部会長 確かにそうですね。

○機構 申し訳ありません。先ほどの言葉を訂正させていただきます。臨床試験で出ているのは73μg/mLということで、モルは見直すとそれほど変わらない。高い濃度で検討されています。また臨床試験におきましてもQT間隔の延長は認められていますので、やはり本剤で起こる事象というふうに捉えています。

○吉田部会長 よろしいですか。ほかにございますか。

○奥田委員 今のことについて確認ですが、添付文書を見ると、分布のところではタンパク結合率は99%以上と書いてあるので、遊離型の血中濃度というのは100分の1未満ということですよね。

○機構 そのとおりです。

○奥田委員 そうすると、かなり濃度的には低く考察しないといけない。

○機構 申し訳ありません。遊離型で計算しますと100分の1になり、先ほどの73μg/mLというのはもっと低い濃度ということになると思いますので、それと比較しますと高い濃度で検討されていると言えると思います。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。メラノーマのような非常に悪性の高い腫瘍に対し、生存期間で有意差が出ているということで、臨床的には随分期待されると思いますが、やはり有害事象でしょうかね。使用する医師が皮膚科のオンコロジーをやられている先生ということですから、市販後に安全性のチェックをよろしくということで、発癌のことも含めて特に強調しておきたいと思います。

○機構 市販後にその点をきちんと理解した上で先生方に使われるよう、申請者に指示したいと思います。

○吉田部会長 ほか、よろしいでしょうか。それでは、意見もないようですので議決に入りたいと思います。なお、田村委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題8に移ります。議題8について、医薬品医療機器総合機構からの概要説明をお願いします。

○機構 審議事項の議題8と、報告事項の議題3について説明させていただきます。順番が逆となりますが、報告事項の議題3、医薬品パッチテストパネル()の製造販売承認について報告いたします。資料8及び11を御覧ください。

 本剤は、22種類のアレルゲンを含むパッチテスト用医薬品であり、佐藤製薬株式会社により製造販売承認申請がなされました。

 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、既存のアレルゲン診断方法であるフィンチャンバー法との比較試験の結果等から、本剤を、アレルギー性皮膚疾患のアレルゲンの確認の効能・効果で承認して差し支えないと判断いたしました。

 続きまして、審議事項の議題8、医薬品パッチテストパネル()の毒薬又は劇薬の指定の要否について説明いたします。資料にタグが付いていなくて申し訳ありませんが、お手元の資料に赤い付箋を貼っていますので、そちらのページを御覧ください。審査報告書の10ページ、表3に本剤の各試験片に含まれる成分の種類と分量が記載されています。本剤に含まれる成分について、その毒性等を踏まえ、新たに劇薬に指定する成分を検討した結果、表の半分より下の方になりますが、パネル2、試験片15、カルバミックスに含まれるジフェニルグアニジン及びジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、試験片20のパラフェニレンジアミン、試験片22のメルカプトミックスに含まれるモルホリニルメルカプトベンゾチアゾール、N-シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド及びジベンゾチアジルジスルフィド、並びに試験片24、チウラムミックスに含まれるテトラメチルチウラムジスルフィドを劇薬とすることが適当と考えています。

 製剤につきましては、本剤は日常の生活環境にある製剤、製品に含まれる物質をアレルギー検査のために、ごく微量を皮膚表面に付着させる貼付剤であることから、劇薬及び毒薬のいずれにも該当しないことが適切と考えています。

 なお、審査報告書35ページ上から5行目におきまして、ジスルフィラムを今回、新たに劇薬に指定するものとして記載していましたが、既に劇薬に指定済みでしたので、この記載は削除させていただきたいと存じます。大変失礼しました。本剤の毒薬又は劇薬の指定の要否につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ということだそうですが、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。結局、毒薬の指定はどことどこでしたか。

○機構 審査報告書の10ページを御覧いただければと思います。表3でのいずれもパネル2に含まれる成分で、試験片15のカルバミックスに含まれるジフェニルグアニジン及びジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、試験片20のパラフェニレンジアミン、続いて試験片22のメルカプトミックスに含まれるモルホリニルメルカプトベンゾチアゾール、N-シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド、及びジベンゾチアジルジスルフィドになります。最後に、試験片24のチウラムミックスに含まれるテトラメチルチウラムジスルフィドの計7種類になります。

○吉田部会長 計7種類ですね。ということだそうです。御意見、ございますか。

○事務局 先ほど毒薬に指定するものとの御質問いただきましたが、こちらは全て劇薬に指定することとなります。

○吉田部会長 失礼しました。あとパッチテストその他に関しては特に問題ないと思いますが、よろしいでしょうか。御意見もないようですので議決に入りたいと思います。本議題について劇薬の指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございました。異議がないようですので指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、報告事項に移りたいと思います。報告事項について説明をお願いいたします。

○事務局 資料9を御覧ください。報告事項、議題1、医薬品献血ヴェノグロブリンIH5%静注2.5/50mLの製造販売承認事項一部変更承認について、報告いたします。本剤は、静注用ヒト免疫グロブリン製剤であり、本邦では現在、低並びに無ガンマグロブリン血症等、八つの効能・効果で承認されています。一般社団法人日本血液製剤機構より、血清IgG2値の低下を伴う、肺炎球菌又はインフルエンザ菌を起炎菌とする急性中耳炎、急性気管支炎又は肺炎の発症抑制に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。

 続きまして、資料10を御覧ください。議題2になります。医薬品スクラッチダニアレルゲンエキス「トリイ」100,000JAU/mLの製造販売承認について、御説明いたします。本剤は、コナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニから抽出したエキスを有効成分とするアレルギー性疾患の原因アレルゲンを特定するための診断薬です。今般、鳥居薬品株式会社より、アレルギー性鼻炎又は気管支喘息患者を対象とした臨床試験において、本剤のダニアレルゲンに対する診断薬としての有効性が確認されたとして、アレルギー性疾患のアレルゲンの確認を効能・効果とする製造販売承認申請がなされたものです。

 続きまして、資料12を御覧ください。議題4、医薬品アブラキサン点滴静注用100mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。アブラキサン点滴静注用100mgはパクリタキセルを有効成分とし、ヒト血清アルブミンを添加物として含有する抗悪性腫瘍剤であり、現在は乳癌、胃癌及び非小細胞肺癌の効能・効果で承認されています。今般、大鵬薬品工業株式会社から、治癒切除不能な膵癌の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。なお、こちらは審査報告書9ページを御覧ください。2)の海外第III相試験の表題に、本試験が実施中である旨が記載されていますが、本試験は2013年4月に終了していましたので訂正させていただきます。失礼いたしました。

 続きまして、資料13を御覧ください。議題5、医薬品ポテリジオ点滴静注20mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。ポテリジオ点滴静注20mgは、Tリンパ球に発現するCCケモカイン受容体4、以下、CCR4と略しますけれども、CCR4を標的とするヒト化モノクローナル抗体で、現在は再発又は難治性のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫の効能・効果で承認されています。今般、協和発酵キリン株式会社から、化学療法未治療のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫患者を対象とした試験成績をもとに、効能・効果を変更し、また用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。

 続きまして、資料14を御覧ください。議題6、医薬品アドリアシン注用10等の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。アドリアシン注用10及び同注用50、並びにドキソルビシン塩酸塩注射用10mg「NK」及び同注射用50mg「NK」は、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤であり、現在は、資料の冒頭に付した別紙様式1に記載の効能・効果で承認されています。今般、協和発酵キリン株式会社及び日本化薬株式会社から、悪性リンパ腫に関して効能・効果を変更し、また用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。

 続きまして、資料15を御覧ください。議題7、医薬品キロサイド注20mg、ほか4規格の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。キロサイド注20mg、ほか4規格は、ピリミジンヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤であり、現在は資料の冒頭に付した別紙様式1に記載の効能・効果で承認されています。今般、日本新薬株式会社から、急性白血病に係る髄腔内投与を投与経路として追加する、製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。

 続きまして、資料16を御覧ください。議題8、医薬品注射用サイメリン50mg及び同100mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。注射用サイメリン50mg及び同100mgはニトロソウレア系抗悪性腫瘍剤であり、現在は膠芽腫、骨髄腫、悪性リンパ腫等の効能・効果で承認されています。今般、田辺三菱製薬株式会社から、悪性リンパ腫に関して、用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。

 以上、議題1、2、4から8の7品目、いずれも医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しています。

 続きまして、資料17を御覧ください。議題9、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。一般的名称はシベレスタットナトリウム水和物、販売名は注射用エラスポールです。こちらの品目につきまして製造販売後の特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しない。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定しています。報告事項は以上です。

○吉田部会長 ありがとうございました。一変が2個と、適応拡大と、LSG15のレジメンの採用に伴う変更が4題、カテゴリー1の再審査結果ということです。委員の先生方から何か御質問はございますか。

○奥田委員 資料9のヴェノグロブリンですけれども、申請年月日が平成9年1225日になっていて非常に時間がかかっているのですが、これはどうしてこんなに時間がかかるのでしょうか。

○機構 本品目の審査時間が長くなった主な原因としましては、申請当初の効能・効果は「IgG2欠乏症」として申請されましたが、「IgG2欠乏症」という疾患の診断基準、疾患の定義について定まったものがなく、効能・効果をどうするかという議論で時間を要しました。また、実施された臨床試験の対象患者と、申請された効能・効果の関係を整理する必要もあり、申請者との調整に時間を要しました。

○奥田委員 御説明が、やむを得なかった事情によるものなのかどうかということが、よく分からないのですけれども。

○機構 効能・効果についての議論は、審査上、やむを得なかったと考えています。

○吉田部会長 これは先生、申請年月日が平成9年なのです。だいぶ苦労してここまで漕ぎ着けたという背景があるようです。何かございますか。よろしいでしょうか。それでは意見もないようですので、報告事項については御確認いただいたものといたします。それでは、その他の事項に移りたいと思います。その他の事項についての説明をお願いします。

○事務局 審議事項の議題7のゼルボラフについて、機構の方から訂正させていただきたい事項があるということです。

○機構 先ほど御質問いただきましたQT延長のところの非臨床試験のところですが、8μmolというのが3.9μg/mLであり、臨床試験におけるタンパク結合を考慮した血中濃度と比較すると、4倍程度の差はあったものと考えています。以上です。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。それでは、その他の事項について事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料18を御覧ください。医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価として、「ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム」について御説明いたします。

 1ページを御覧ください。今回の要望は日本小児アレルギー学会より提出されたもので、内容としましては、本剤100mg製剤について気管支喘息に対する用量の増量、及び小児用量の明記、それから本剤250mg及び500mg製剤について、気管支喘息の効能・効果の追加、及び気管支喘息に対する用法・用量の追加に関するものとなっています。

 医療上の必要性については2ページ、()の最終段落を御覧ください。適応疾病の重篤性については、気管支喘息が、成人、小児にかかわらず、重症例に限らず喘息死のリスクがあり、未だ喘息による死亡の防止に至っていないことから、「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断されました。

 今回の要望内容については、米国、英国等で承認されており、また本邦においてもガイドラインに記載され、医療現場における使用実態があることから、「医療上の有用性」については3ページにありますとおり、「欧米等において標準的療法に位置づけられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」と判断されました。

 効能・効果につきましては、少し飛びますけれども、29ページの中ほどを御覧ください。本剤100mg製剤につきましては、喘息に係る効能・効果として「気管支喘息」及び「喘息発作重積状態」が既に承認されていますが、「喘息発作重積状態」は「気管支喘息」に含まれる病態と考えられることから、他の気管支喘息治療薬の効能・効果と同様に「気管支喘息」として一括することに記載を整備した上で、本剤250mg及び500mg製剤における効能・効果についても「気管支喘息」と設定することが適切であると判断いたしました。

 用法・用量につきましては、3032ページを御覧ください。こちらに記載していますとおり、成人における用法・用量については、海外無作為化比較試験、国内ガイドライン及び教科書並びに海外承認用量等を勘案し、通常、成人には1回100500mgを緩徐に静脈内注射する。症状が改善しない場合には、150200mgを4~6時間ごとに緩徐に追加投与する。なお、年齢、症状により適宜増減すると設定することが適切であると判断いたしました。

 また、小児については、本邦における本剤の既承認用量には小児用量に関する具体的な記載はなく、海外でも米国を除き、具体的な小児用量は設定されていませんけれども、ステロイド剤の安全性プロファイル等を踏まえると、小児においては体重当たりの用量を設定することが望ましいと考え、国内治療ガイドラインに準じて、本剤100mg250mg及び500mg製剤のいずれにも、2歳以上の小児には5~7mg/kgを6時間ごと、2歳未満の小児には5mg/kgを6~8時間ごとに静脈内注射、又は点滴静脈内注射する旨の用法・用量を設定することが適切であると判断いたしました。

 安全性につきましては、戻って28ページ、1段落目の最後を御覧ください。こちらに記載していますとおり、要望内容に係る用量について、無作為化臨床試験成績に基づく安全性情報は限られていますが、海外では長年にわたる使用経験がある中で、要望内容に係る用量での安全性について、低用量と比較した特段の問題は報告されていないこと。また、ステロイド剤の安全性プロファイルについて、これまでに蓄積された使用経験からおおむね明らかにされていると考えること等を踏まえると、日本人成人及び小児気管支喘息患者における要望内容に係る用量でのヒドロコルチゾンの安全性は、ステロイド剤の全身性投与に関する従来の安全対策を徹底することにより、管理可能であると判断いたしました。

 以上より、日本人成人及び小児気管支喘息患者におけるヒドロコルチゾンの有効性及び安全性は医学薬学上公知であると判断いたしました。以上です。

○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御質問がございましたら、お願いします。随分古い薬ですけれども、よろしいですか。特に御意見がないようですので、本議題については御確認いただいたものといたします。

 本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会につきましては、1月21()、午前10時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、本日はこれにて終了とさせていただきます。長時間にわたりご苦労さまでした。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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