ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金数理部会)> 第62回社会保障審議会年金数理部会 議事録(2014年12月19日)




2014年12月19日 第62回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局

○日時

平成26年12月19日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○出席者

山崎部会長、宮武部会長代理、浅野委員、翁委員、駒村委員、佐々木委員、田中委員、野上委員

○議題

1.平成25年度財政状況について
-厚生年金保険・国民年金(基礎年金)-
2.平成26年財政検証・財政再計算のレビューに必要な資料について
3.その他

○議事

○清水首席年金数理官 定刻になりましたので、ただいまより第62回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。

 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席図のほか、次のとおりでございます。

 資料1は「平成25年度財政状況-厚生年金保険-」。

 資料2は「平成25年度財政状況-国民年金(基礎年金)-」。

 資料3は「平成26年財政検証・財政再計算のレビューに必要な資料について」。

 参考資料1は「公的年金制度一覧」。

 参考資料2は「公的年金各制度の財政収支状況(平成25年度)」。

 委員提出資料は、野上委員御提出の資料でございます。

 配付資料は以上でございます。

 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、牛丸委員が御都合により御欠席でございます。翁委員は若干おくれておられます。御出席いただきました委員が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。

○山崎部会長 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。社会保障審議会年金数理部会は、被用者年金制度の安定性及び公平性の確保の観点から、毎年度、財政状況の報告を受けることとなっております。本日は、厚生年金保険、国民年金(基礎年金)の平成25年度の財政状況について報告を聴取いたします。また、平成26年財政検証・財政再計算のレビューに必要な資料について確認したいと思います。

 カメラの方はここで退室をお願いします。

 

(報道関係者退室)

 

○山崎部会長 それでは、議題1「平成25年度財政状況について-厚生年金保険・国民年金(基礎年金)-」に入りたいと思います。

 どうぞ席をお移りください。

 

(武藤数理課長、五十里調査室長 報告者席へ移動)

 

○山崎部会長 本日は、お忙しい中、年金局数理課の武藤課長と調査室の五十里室長にお越しいただいております。

 まずは厚生年金保険の報告を聴取いたします。

 それでは、説明をお願いいたします。

○武藤数理課長 おはようございます。数理課長の武藤でございます。

 まず、平成25年度の厚生年金保険の財政状況でございますが、年金財政の関係に関しましては私、武藤から、受給者、被保険者の実績の統計に関しましては、事業企画課調査室の五十里室長から御説明申し上げます。

 それでは、お手元にございます資料1「平成25年度財政状況-厚生年金保険-」をおめくりください。

 1ページ、「平成25年度財政状況等の概要」の「1.収支状況」でございます。21年度から時系列で25年度までございまして、基本的に一番右の欄の平成25年度をご覧いただけますでしょうか。最初に、収入総額でございます。基本的に積立金の運用に関しましては時価ベースで整理してございますので、ここでかぎ括弧つきの時価ベースの数字を見ていただきますと、収入総額が468,380億円です。右にございますけれども、時価運用収入が25年度よりもやや大きかった前年度に比べまして2兆1,962億円の減という状況になってございます。

 収入の内訳の主なところで申し上げますと、まず保険料収入が25472億円で、前年度に比べまして8,923億円の増、3.7%の増でございます。この要因といたしましては、保険料率が毎年0.354%ずつ引き上げられております。平成25年9月から17.12%になっておりますけれども、その引き上げによる寄与が一番大きくて、このうち2.1%相当、あと、被保険者数の増加による寄与が1.1%ぐらいと分析しているところでございまして、その他、平均報酬の上昇につきましては若干のプラス、0.3%ぐらいと見ているところでございます。

 次に、国庫負担でございますが、8兆3,058億円で2,475億円の増になっているところでございます。国庫負担の主だったところは、基礎年金に関する国庫負担で、下の支出の欄にあります基礎年金拠出金の増に伴って増加しているという状況でございます。

 上の収入の欄に戻っていただきまして、運用収入ですが、これは基本的に時価で考えるということでございまして、かぎ括弧のついた時価ベースで見ていただきますと9兆5,329億円でございまして、前年度に比べまして9,378億円の減となっているところでございます。

 あと、基礎年金交付金が1兆1,005億円で、これは6,502億円の減でございます。

 下のほうにいきまして、積立金より受入が2兆2,000億円で、前年度に比べまして1兆7,015億円の減となっております。この積立金より受入というのは、資金繰りのために積立金から受け入れるものでございますが、24年度までの累積の運用収益が増加して、上の運用収入の再掲の欄にありますように、GPIFから納付金が増えたことを受けて、今年度は積立金より受入が減っているということでございます。

 支出の総額につきましては389,197億円でございまして、1,546億円の増になっているということでございます。このうち給付費が237,814億円でございまして、対前年度で813億円の減、基礎年金拠出金が15310億円でございまして、対前年度で2,304億円の増になっているところでございます。給付費は若干のマイナスになっているわけでございますけれども、平成25年度には男子の支給開始年齢の引き上げが行われていることや、10月に特例水準の解消でマイナス1%の年金改定が行われていることなどが要因となって、若干のマイナスとなってございます。

 全体トータルをいたしましての収支残でございますが、時価ベースで見ていただきますと、かぎ括弧つきの数字ですが、7兆9,184億円の収支残で、前年度に比べまして2兆3,508億円の減になるわけでございます。この収支残は、先ほど申し上げました積立金より受入も含んだ収支残でございますので、これがそのまま積立金の増になるわけではないということです。

 実質的にどれだけ収支がプラスだったかというと、むしろ年度末の時価ベースの積立金がどれだけ変化しているのかで見ていただくのが適当ということで、下の年度末積立金の時価ベースの欄で見ていただきますと、積立金が1236,139億円となっておりまして、これは前の年に比べまして5兆7,316億円の増となっております。この5兆7,316億円という数字ですけれども、繰り返しになりますが、先ほどの時価ベースの収支残7兆9,184億円から積立金より受入の2兆2,000億円を差し引きまして、これで大体一致するということなのですけれども、細かいところで言うと、あとは業務勘定から積立金への繰入というのが収支残のすぐ下にございますが、この132億円を足したものとちょうど一致しているということでございまして、これが実質的な意味での収支残で積立金の変化をあらわすということになります。

 最後ですけれども、積立金運用利回りの時価ベースの数字でございますが、一番下の欄にありますように、今年度は8.22%になっているところでございます。

 次のページは、今申し上げたものを図解したものでございますので、御説明は省略させていただきたいと思います。

○五十里調査室長 それでは、3ページをご覧いただきたいと思います。「2.給付状況」ということで、受給権者数、年金総額をまとめた表でございます。

 受給権者数でございますけれども、老齢、障害、遺族、全部ひっくるめて25年度末で3,455万人と、前年度よりは50万人ぐらい増えているということでございます。最近は大体年間100万人ずつぐらい増えていたのですけれども、25年度は50万人ということになっております。この少ない理由というのが、既に御案内のとおりだと思うのですけれども、報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げということの影響でございます。具体的に申し上げますと、昭和28年生まれの方が25年度に60歳になったのですけれども、支給開始年齢が61歳に引き上げられましたので、この方たちの受給権が発生していないということの影響が大きいということでございます。

 その影響もありまして、その下の老齢相当の部分でございますけれども、25年度末は1,523万人ということで、前年度よりちょっと減って3,000人ほど減っていますけれども、ほとんど横ばいになっているということでございます。

 その下の通老相当でございますが、1,3258,000人ということで、こちらは396,000人ぐらい増えているということでございます。

 その下の年金総額は25年度は269,809億円ということで、前年度より9,251億円ほど減ってございます。これの要因でございますが、老齢相当をご覧いただきますと、減っている部分はほとんどその老齢の部分でございまして、老齢の186,575億円が前年度より9,242億円減ってこうなっているということでございますが、これは先ほど申し上げました昭和28年生まれの男性の支給開始年齢が61歳に引き上がったこと。もう一つ、昭和24年生まれの方というのが平成25年度には64歳になったのですけれども、いわゆる特別支給の老齢厚生年金の定額部分、1階部分がその方たちからなくなる、65歳から基礎年金としてもらうということで、そこも引き上げになっていまして、その影響もかなりありました。そういうこともあって、その2つがダブルであって9,000億円ぐらい減っている。もちろん1%の特例水準解消の部分もございますけれども、それよりは支給開始年齢の引き上げの部分のほうが大きいような感じがあります。

 次に、4ページ目でございますが、これは減額・繰上げ支給、繰下げ支給の部分の統計でございます。一番上の減額・繰上げ支給の部分の老齢相当の件数でございますけれども、25年度末のトータルで老齢相当は134,000人ということで、前年度より2,000人ほど増えています。もともと24年度までは旧4共済、3共済プラス農林でございますけれども、その繰上げと減額支給の方の数字しかなかったのですが、25年度から、先ほど申し上げました61歳に男性の支給開始年齢が上がったことで、その繰上げ支給というものが発生しています。これが老齢相当で7,000人ぐらいおりますけれども、それがプラスされているということです。

 その下に、通老相当で25年度に4,000人と上がっていますけれども、これは通老相当の繰上げ支給。通老相当というか、特別支給の老齢厚生年金を61歳に引き上げたことによる繰上げ支給、これが4,000人ぐらいいるということでございます。

 下の欄を見ていただきまして、下の欄は平均年金月額でございますけれども、老齢相当の男女計で平均年金月額が25年度末で102,087円ということでございます。繰上げの部分はその2つ下でございますけれども、繰上げ・減額支給された方は117,021円と、これに1階部分、老齢基礎年金を足すと145,596円という姿でございます。

 ちょっと飛ばしまして、7ページ以下をご覧いただきたいのですけれども、7ページ以下は、6064歳までは各歳別ということで、どのくらいの受給者がいて、平均年金月額が幾らかというのを出しているわけでございます。

 8ページをご覧いただきますと、60歳未満のところで若干、昨年度ですと2,000人とか上がっているのですけれども、これは坑内員や船員で60歳前に支給開始年齢があった人たちの部分だったのですが、25年度はこれらの方がみんな60歳以上になって、しかも、支給開始年齢が60歳に引き上がっているものですから、ここは今後発生しないということでゼロになってございます。

 その1つ下の欄をご覧いただきまして、60歳の部分でございますけれども、前年度は355,000人上がっていたのですが、今年は1万人ということで、この減りというのが先ほど申し上げた支給開始年齢引き上げの部分ということでございます。

64歳のところをご覧いただきますと、こちらは年金月額のほうを見ていただきますと、24年度末に17665円となっておりますけれども、25年度末は105,756円と、これが要するに定額部分がなくなった結果ということでございます。

 ちょっと飛ばしまして、次に、11ページをご覧いただきますと、「3.被保険者状況」でございます。被保険者数でございますが、25年度末で3,5273,000人ということで、前年度より556,000人、1.6%、年度末時点では伸びてございます。最近、被保険者数はほとんど年度末で見ると横ばいだったのですけれども、25年度末は1.6%ほど伸びているということでございます。

 下の表の上から3つ目の標準報酬額年度累計(総報酬ベース)をご覧いただきますと、25年度で1529,641億円ということで、前年度より2兆1,097億円、1.4%増えています。この数字、毎月の報酬と賞与とを足した累計になっていますけれども、最近はほとんど0.0%とか0.5%とか0.6%くらいの伸びだったわけですが、トータルのパイとして25年度は前年度に比べて1.4%増えているという状況がうかがえております。そういう意味では、被保険者数も増え、トータルの報酬のパイも増え、これが25年度の被保険者の状況の、非常に簡単ですけれども、そういう状況があらわれているということでございます。

 あと、被保険者の期間別とか年齢別があるのですけれども、基本的にはそんなに大きく動いているわけではないのですが、多少、人口の山が動くことによって年齢階級をまたいで構成割合が変わったりしておりますけれども、そんなに影響は大きくはないということでございます。

 私からは以上です。

○武藤数理課長 引き続きまして、16ページ、「4.積立金の運用状況について」でございます。

 年度末積立金は1236,139億円でございますけれども、その構成割合ということで、右にございますように、預託金が4.1%、市場運用分が89.8%、財投債が6.1%となっているところでございます。

 下の特記事項にございますように、GPIFにおきましては、厚生年金、国民年金をあわせて一体として運用しているところでございます。これら全体の運用資産の平成25年度末の時価総額及びその資産構成割合というのがこちらに記載の数字のとおりでございます。

 続きまして、17ページ、「5.財政検証における将来見通しとの比較」ということでございます。御案内のとおり、今年の6月に平成26年財政検証結果が公表されたところですけれども、26年検証の推計結果は26年度以降ということになりますので、今回、25年度決算実績までは、平成21年財政検証結果と比較して行うということになります。

 表の上の段に基金代行分が除かれている実績を掲げてございますけれども、将来見通しは基金代行分を含んだ形で全体で行われているということになりますので、それと比較するためにベースをそろえるということで、実績の欄の1つ下に実績推計の欄を設けてございますので、これと将来見通しを比較するということで基本的には御説明申し上げていきたいと思います。

 この実績推計をどのように作成しているかということでございますけれども、下の特記事項をご覧いただきますと、まず、基礎年金交付金を収入支出の両面から控除するということ。それから、保険料に厚生年金基金に係る免除保険料を加えて、給付費には基金代行分を加えるということ。それから、積立金より受入というものは控除するということ。その他のいくつかの控除したほうが適切な費目、細かいものを控除するということ。大きいところといたしましては、積立金に厚生年金基金の最低責任準備金等を加えるということで、ここに等とありますのは、企業年金連合会の分も含むということでございますが、これは22.4兆円。それから、国庫負担繰延額3.6兆円も加えるということ。あと、運用収入に基金分の運用収入を加える。こういう補正を行いまして、将来見通しと比較できる数字にしているということでございます。

 上の表にお戻りいただきまして、まず保険料収入でございます。21年財政検証の将来見通し上は28.9兆円と見込んでいたところでございますが、この実績推計の数値で申し上げますと25.8兆円ということで、実績推計のほうが3.1兆円少ないことになるわけでございます。こちらの差の主な要因といたしましては、賃金上昇率が見込みのように上がってこなかったということで、具体的には、下に書いてございますとおり、平成21年度以降の累積が見通しでは12.0%と順調にデフレを脱却する予定だったものが、逆にマイナス3.3%ということで賃金が名目額で下がっていると、これが大きな要因となりまして、保険料収入に差が生じている状況でございます。

 一方で、運用収益につきましては、将来見通し上は3.1兆円と見込んでいたところが時価ベースの数値で10.4兆円ということで、こちらは7.3兆円のプラスとなっているということでございます。要因といたしまして書いてございますのは、見通し上は2.23%という運用利回りの見込みだったものが、実績では8.22%だったということでございます。

 その他のところで、こちらは主として国庫負担でございますけれども、こちらが実績推計で8.7兆円、見通しでは8.3兆円だったので、これは将来見通しより大きくなっているということでございます。

 支出の合計でございますが、ちょっと右のほうに飛んでいただきまして、これが将来見通し40.4兆円に対して実績推計は39.2兆円です。これは、給付費が将来見通し25.3兆円に対して実績推計24.1兆円と、実績推計が1兆円強低いことになるわけでございます。これは、将来見通しの年金改定率が賃金や物価の上昇を仮定して、マクロ経済スライドは働くという見通しになっていたわけですけれども、マクロ経済スライドが発動されてもなお若干のプラス改定が見込まれていた一方、実績はデフレ経済からの脱却が見込みよりも遅れて、かつ、特例水準も強制解消されていったということになりますので、改定率がマイナスになったことなどによるものと考えてございます。

 基礎年金拠出金につきましては、実績推計も将来見通しも15.0兆円とほとんど差がないという状況になっているところでございます。

 収支残を見ていただきますと、将来見通しではマイナス0.1兆円と見込んでございましたが、運用収益が大きかったということで実績はプラス5.6兆円になっておりまして、将来見通しと実績推計の差が約6兆円になっているところでございます。

 年度末積立金も、財政検証ベースでございますので基金代行分等を含んでいるということでございますが、140.8兆円という見込みだったのが149.7兆円ということで、見込みに比べて約9兆円、実績のほうが上回っている姿になっているということでございます。

 前年度の平成24年度におきましても、積立金は見込みよりも3兆円ぐらい大きい状況だったわけでございますけれども、この収支残のところで見ていただきましたように、25年度におきまして単年度で6兆円ぐらい見通しを上回っている状況でございますので、合わせて9兆円ぐらい見通しよりも大きい積立金残高になっているという姿でございます。

 続きまして、18ページ、「被保険者数及び受給者数」の将来見通しとの比較ということでございます。将来見通しは年度末値ではなくて年度平均ベースの値ということでございますので、ここで数字を確認していただいてもわかりますように、被保険者数は実績のほうがやや大きくて、受給者数はやや小さい数値でございます。

 続きまして、19ページで「財政指標の比較」ということで申し上げますと、まず年金扶養比率ですが、何人で1人の受給者を支えるかという比率でございます。これは括弧内の受給者ベースの数字を見ていただきますと、平成25年度で2.46ということでございます。財政検証の見通しが25年度は2.3ということで、実績のほうがやや大きくなってございます。これは、21年度以降の毎年の数字をここで見ていただきますと、昨年までは大体合っていたと。つまり、21年度、下の表にある見込みの欄は2.7でございますけれども、実績は括弧つきのほうで見ていただきますと2.6622年度が2.6に対して2.5723年度が2.5に対して2.5024年度が2.4に対して2.44ということで、昨年度まではほぼずれがない状況でしたけれども、21年検証から5年たって比較の最終年ということなのですが、25年度になって、ややずれてきたというところでございます。

 次の20ページですが、これは年金種別の費用率で、年金扶養比率を補完する指標ということで数字を御参照いただければと思います。逐一の御説明は省略させていただきたいと思います。

21ページに参りまして、総合費用率です。これは賦課方式の保険料率のようなものでございまして、こちらに関しましては、25年度の*印がついております数字、注5にも書いてございますけれども、厚生年金基金の代行部分等を補正した率で見ていただくことが適当だと存じますが、25年度の印のついている欄の数字は決算結果20.1となってございます。それに対しまして、財政検証結果は下の表でございますけれども、18.9という見込みでございましたので、それより1.2ポイントほど高くなっているということです。これは、先ほど申し上げました賃金上昇率の見込みと実績の差に起因するものと見ているところでございます。

 次に、22ページ、独自給付費用率ですが、やはり*印がついた25年度を見ていただきますと、独自給付費用率は実績15.2に対しまして、財政検証では14.5と見ていたということで0.7ポイント実績が上回ってございます。これも賃金上昇率の見込みと実績の差が主な要因と考えているところでございます。

 続きまして、23ページ、保険料比率ですが、これは国庫負担分を除く実質的な支出のうち、どれだけの割合を保険料で賄っているかということで、ある意味、数値が高いほど財政状況がいいと言えるような指標でございますけれども、こちらにつきましては、25年度の*印、84.0となってございますが、財政検証では25年度は89.8と見込んでいたということで、これよりは低い。これも賃金上昇率の見込みと実績の差に主な原因が求められるかと思います。

 次に、24ページ、収支比率でございます。これは保険料と運用収入から成る収入に対して国庫負担分を除いた支出がどれだけの割合を占めているかということで、先ほどの数値と違って、低いほうが財政状況がいいということになるわけでございます。25年度の*印が84.8という数字になっているということでございます。財政検証では100.6と見ていたということで、100を超えるということは支出のほうが収入よりちょっと多いと、積立金はそれで若干減少すると見込んでいたことに相当するわけですけれども、現実には運用収入が非常に大きかったということで、25年度単年度を見ますと84.8で、収入が実質的な支出よりもかなり大きいということで100を切る数値になっている状況でございます。

 次に、25ページ、積立比率です。これも25年度の*印を見ていただきますと4.7という数字が実績でございまして、21年財政検証における数字は下の欄4.4でございましたので、0.3ポイントほど実績が上回っている数字になっているということでございます。

 とりあえず私からの説明は以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関して何か御質問等はございますでしょうか。

 佐々木委員。

○佐々木委員 ありがとうございました。

 運用関係で2点御質問したいのですが、まず1ページ目のところですけれども、運用収入と時価ベースで25年度は1兆9,000億円、時価が9兆5,000億円となっているのですけれども、過去の時価ベースの収益と簿価ベースの収益を比べると、今年度は簿価のほうが相当大きい、時価ベースの2割ぐらいになっているのですが、この原因がオペレーションとかの関係で何かあるのかどうか、それが1点です。

 もう一つは、16ページ目の先ほど御説明いただいた運用状況で、特記事項に比率が記載してあるのですけれども、これは運用の計画の基本ポートフォリオと対比してどういう状況なのか、その辺を補足いただければと思います。

○武藤数理課長 1点目の運用収入のところの簿価ベースの数字が例年に比べて比率が大きいではないかという点でございますけれども、まず、簿価ベースの運用収益につきましては、1個飛んで再掲で書かれている年金積立金管理運用独立行政法人からの繰入額と大体似たような動きになっていることがわかります。このGPIFからの納付金ですけれども、これは前年度までの運用収益が累積でよかったときに、厚生年金制度の中で特会とGPIFのやりとりということですが、GPIFの時価運用収益がよかったときに特会へ繰り入れる、厚生年金の中で移動するということでございまして、24年度は御案内のとおり運用状況がよかったので、それを受けて25年度のほうは大きくなっているということでございます。

 時価ベースの運用収益につきましては、これは毎年度の評価損益を含む時価ベースの収益ということでございますので、24年度もよかったですし、25年度もよかったと。こういうことを受けて、今年度、簿価ベース収益が大きくなっているところでございます。

○佐々木委員 1年遅れみたいな形になるということですか。

○武藤数理課長 前年度までの累積の収益なので、こういう状況になっていると。逆に言うと、それより前の数年間は、その前年までがそうでもなかったということを受けてのものでございます。

16ページでございますけれども、これは基本的にはGPIFで定めております基本ポートフォリオに対して、その許容乖離幅内で運用されているものと認識しております。具体的に手元に細かいポートフォリオの数字とか許容乖離幅の数字はないのですけれども、基本的に、例えば国内債券で申しますと、国内債券の割合が6割ということになっておりますので、それの許容乖離幅のプラス・マイナス8%ということになっておりますので、その範囲内で55.43%となっていると認識してございます。

○佐々木委員 わかりました。

○山崎部会長 野上委員。

○野上委員 ありがとうございます。

24年度に続いて25年度の運用結果も非常によかったということで、26年度もまだ終わっておりませんが、今のところ好調ということで大変よかったと思うのですが、その運用の好調さの中で、リスク管理の面でちゃんとした体制の中から、そういういい結果が出たかどうかという観点から質問させていただきます。

 ほかの制度の方にも御質問した点がまず1点ございまして、テールリスク管理でございますが、100年安心ということを言うかどうかは別にしまして、100年間をシミュレーションするという体制の中で過去100年間のイベントを考えてみますと、例えば1929年の大恐慌、平成に入ってのバブル崩壊のように回復に数十年を要するようなもの、あるいは近しいところで言いますとリーマンショックみたいな、こういうテールリスクについて、仮に再現した場合どのような影響があるか、いわゆるバックテストみたいなものをやっておられるかということ。あと、テールリスクをカリブレーションするときに、こういうかなり例外的な事象に関してもその対象にされているかということをまずお聞きします。

 もう一つは、今般、ポートフォリオの見直しというのが行われたわけですが、許認可の中で認可というプロセスを経て行われたということです。今回の見直しは、いろいろな説明のされ方をされているのですが、基本的にリスクを緩和する見直しなのか、あるいはリスクオンなのかというのが結構いろいろな説明をされているということで、例えば都銀なども、長期債を売って短期の国債を買っているという動きもございますし、あるいはヘッジファンドなどは、円を売って日本株に投資するという動きをしております。この2つの複合的な今回の見直しなのかなとも見えますが、御当局としては今回の見直しはどういう性格を持ったものかということについて御質問いたします。

 3つ目は、今後、基本ポートフォリオというのはフォワードルッキングで見直していかれるということだと思うのですが、例えば異次元の金融緩和の出口になったときというのは逆の動きになるかと思っておるのです。そういうときに、例えばGPIFのほうで今回と同じように認可申請、許可というプロセスを経るのか、あるいは政治的な判断で出口が近づいてくるとリスクが大きいということで逆の動きを指示されるような権限がおありなのかと、その3点について御質問いたします。

○武藤数理課長 運用担当の森参事官が別の公務で、後で追っかけて入ってくると聞いておりますので、後ほど細かいところはお話しさせていただきたいと思いますけれども、1点目の100年オーダーでのリスク管理につきまして、基本ポートフォリオを設定する際には、一応モンテカルロ・シミュレーションをやったり複数のシナリオによるテストを行っているということはお聞きしておりますので、その具体的な内容がどうかというところにつきましては、後ほど必要に応じて補足いただきたいと思います。

 2点目と3点目も運用そのものに関することですので、この時間内で準備できる範囲で準備させていただきます。

○野上委員 後ほどメールででも。

○山崎部会長 浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 2点ほど質問なのですが、1点目は、1ページ目の年度末積立金の簿価ベースのところが平成25年度は減少しておるのですけれども、この減少ということについて何か留意しなければいけないのか、何か問題があるのかどうかというのを教えていただければと思います。

 それから、後ろのほうで平成21年度のシミュレーションとの比較で、例えば21ページの総合費用率でありますとか23ページの保険料比率、24ページの収支比率の平成21年度の実績と財政検証結果のシミュレーションのスターティングポイントが随分違っているように思うのです。通常考えると、このスターティングポイントはほぼ近いのではないかと思うのですけれども、ひょっとすると見方がいけないのかもしれないのですが、この違いが何かというのを教えていただければと思います。

 以上です。

○武藤数理課長 まず、前半のほうの御質問で、簿価ベースでの積立金が減少基調、25年度は減っているではないかということなのですけれども、これは過去数年見ていただいても、ここに5年間の数字が載っておりますが、減少基調になっているということです。今、実際に積立金が、財政検証の推計においても当面数年間は減少基調となっているということなのですけれども、これは保険料を段階的に引き上げていっている途中ですとか、あるいは給付の適正化が進行しているところ、今日のお話でも支給開始年齢の引き上げが段階的に進んでいる話ですとか、あるいは将来見通し上もマクロ経済スライドが徐々にきいてくるということがございまして、そういうことを受けて簿価ベースでは減少基調になっているのかと。一方、時価評価の積立金につきましては市場運用しておりますので、その年の積立金の評価状況に応じて増減するということでございます。

 後半のほうのスターティングポイントがずれているではないかというお話についてなのですけれども、スターティングポイント自体がどこかということなのですが、21年財政検証のときは基本的に20年度末に合わせておりますので、21年は推計値に入っているところでございます。思い出してみますと、20年度末というのは20年の秋にリーマンショックがあった年ですので、例えば20年の年内ぐらいにかけてすごく株価が下がったという状況がございまして、財政検証をやる時点でその状況をわかってございましたので、推計値でございますけれども、20年度末の出発点にはそれが織り込まれているという状況でございました。

 それで、21年度から推計値に入ったということなのですけれども、21年度はその反動の影響も大きいと思いますが、運用収益がすごく多かった年でございます。ただ、財政検証上は反動の利回り増というのはなかなか見込むことが難しいので、例えば21年度の運用利回りの前提に関しましても1.数%の利回りで設定していたということなどがあります。推計値に入ってそういう変動要素やその他の変動要素があって、21年度から見かけ上ずれてきているところでございます。

○浅野委員 ありがとうございます。

○山崎部会長 田中委員。

○田中委員 簡単な質問を2ついたしますが、1つは11ページ、12ページです。被保険者数が1.6%増加しているのですが、基本的には人口が減っているということで、恐らくこれはアベノミクス等の影響で1号被保険者あるいは3号被保険者が入ってきた影響と、それから、就職等の新卒が増えたかもしれないのですが、それぞれどういう要因だったかを大体でいいですが教えていただきたいというのが1点目です。

 それから、12ページなのですが、ここに統計調査の方法と書いてあって、抽出率50分の1と書いてあるのですが、これは恐らく無作為抽出のような方法でやられていると思うのです。男女別、年齢群団別、職業別等で分けて層化抽出するといった方法があると思うのですが、具体的にはどのような方法か、この2点をお伺いしたいと思います。

○五十里調査室長 最初のほうでございますが、増加の要因はいろいろあると思うのですけれども、一方で、後で御説明いたします国民年金のほうで被保険者数というのが、例えば1号だと60万人ぐらい減っていて、3号だと15万人ぐらい減っていたりするのです。ですから、そういったものもあるでしょうし、いわゆる非正規雇用の方が正規雇用になったという話とか、緻密にちゃんと分析はできていないのですけれども、多分いろいろな要素が重なって、景気の後押しもあってこうなったのではないかと思っています。

○武藤数理課長 後半のほうの50分の1抽出の手法ということですけれども、これにつきましては、基本的には厚生年金の被保険者の台帳がございまして、その被保険者記号番号を見て50個置きに抜いているということでございます。ということで、3,000万人余りの被保険者がいらっしゃるとすると、その50分の1程度ですので、かなりの数がこうやって機械的に選ばれることで満遍なく抽出されているものと認識してございます。

○山崎部会長 よろしいでしょうか。

 宮武部会長代理。

○宮武部会長代理 年金財政の生命線は保険料収入であるのは自明の理なのですが、このところちょっとその運用が好況でありますと、過度にその運用利子に期待をする雰囲気がないでもないので、こういう質問に答えてもらえるかどうかあれなのですが、名目4%強程度の平均的な利回りがずっと続いたとした場合に、それは総給付費の中でどれぐらいの貢献度を持つのか。その条件があるので、そういうことを年金数理的に見ておられるかどうかわかりませんけれども、いささか非数理的でもいいのですが、それは5%程度とか、10%程度とか、あるいは総給付費の15%程度貢献するのだとか、そういう粗っぽい計算はされたことはありませんか。

○武藤数理課長 貴重な御質問をありがとうございます。

 具体的に数字が何%というのは評価してみないとわからないところもあるのですけれども、留意しなければならないところとしましては、2点ほどぱっと思いつくところでは、まず実質的な運用利回りが大事だというところです。4%で割り引いて運用収益の効果を勘案すると申しましても、支出のほうが賃金上昇率で伸びていく。例えばですけれども、21年財政検証のときの基本ケースの運用利回りですと4.1%ですが、賃金上昇率が名目で2.5%ですので、その差の1.6%が公的年金の運用に関してはキーになってくる要素ということで、1.6%分の影響がどうかということになってきます。

 あと、長期の前提は確かに4.1%なのですけれども、足元の前提は必ずしもそうはなっていないということで、今日の実績と財政検証の比較におきましても、運用利回りが25年度につきましては4.1%ではなくて2.23%と見込んでいたということもございますので、そういうところもあわせてどういう定量的な数字になるかというところだと認識したところです。

○宮武部会長代理 そういうことしかないのではないですかね。

○山崎部会長 よろしいですか。

○宮武部会長代理 いいです。

○山崎部会長 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 今のところなのですけれども、ケースによって違うと思うのですが、それは財政検証の中で100年の収入の総額の構成を見たときに大体このくらいだと出てくるものではないのですか。

○武藤数理課長 財政検証上の収入について、例えば保険料収入がいくら、運用収入がいくらということで、その名目上の数字を見るというのも一つの見方だとは思います。ただ、運用収益が実力でどうかということを考える場合には、やはり保険料収入も賃金上昇率で増えていっている、給付のほうも賃金上昇率で基本的に増えていくという状況のもとで、4.1%の利回りだけを見るのもあるとは思うのですけれども、実質的にどうかというときは、実質的な運用利回り部分がいくらかというのを見る必要があるということで申し上げたところでございます。

○山崎部会長 よろしいいでしょうか。

 それでは、どうもありがとうございました。以上で厚生年金保険の財政状況についての報告の聴取を終了します。

 引き続き、国民年金(基礎年金)の報告を聴取いたします。

 それでは、説明をお願いいたします。

○武藤数理課長 引き続き、御説明申し上げます。

 お手元の資料2「平成25年度財政状況-国民年金(基礎年金)-」をご覧ください。

 まず、おめくりいただきまして「基礎年金勘定の収支状況」でございます。25年度収入総額が22884億円で、前年度に比べまして1兆8,630億円の減でございます。一方で、支出の総額につきましては214,314億円で、前年度に比べまして1,742億円の増でございます。その結果、収支残が6,570億円出ているということでございます。この収支残の欄ですけれども、左を見ていただきますと、従来はかなり大きい額が計上されてございまして、例えば24年度で2兆6,000億円余りでしたが、それと比べると今年度は2兆円ほど小さくなっております。これは、収入の項目別に見ると、その他の収入が前年度に比べて1兆9,000億円ほど減少しているというところと連動しているかと見えます。

 平成24年度までの収支残のところはかなり大きな額が並んでいるわけですけれども、この表を見ていただきまして、その数字が翌年度の収入のその他のところにほぼそのまま計上されるという構造で動いてきたわけでございます。右斜め上にたどっていただければいいと思いますけれども、例えば、23年度の収支残が約3兆円ございますが、24年度のその他の収入のところに約3兆円が計上されているということでございます。

 これは取り扱いの整理がございまして、一昨年8月に成立した被用者年金一元化法に伴う整理によって若干変わったということでございます。翌年度のその他の収入に繰り入れる整理を変えて、基本的にはこの収支残は積立金に繰り入れる仕組みに整理するということで変わったわけでございます。

 その結果、その下の欄に年度末積立金という欄がございますけれども、平成23年度までは7,246億円という同額の数字が計上されていて、ずっと同じ数字が上がっていたわけですけれども、24年度以降、2兆円を超えるような数字が計上されているところです。この7,246億円という数字ですけれども、これも年金数理部会では御案内のとおり、昭和60年改正のときに基礎年金制度が61年度から導入されたわけですが、国民年金勘定にあった積立金のうち、それまで任意加入だった者が3号に移った被用者年金の妻の保険料に相当する分ということで、いわゆる妻の積立金、妻積みと言われるものですけれども、その元本に相当するものでございました。その分の積立金7,246億円が基礎年金勘定の積立金として従来置かれてきたということでございますが、一元化法の成立に伴いまして、特会法もあわせて改正されまして、この積立金についても全体が整理されて、こういう状況になったところでございます。これが24年度以降の変更点でございます。

 なお、この基礎年金勘定の積立金の運用ですけれども、これはその全額を、特会の積立金ということですので、その全額を財政融資資金に預託しているところでございます。

 上の支出欄でございますけれども、基礎年金の給付費の本来分というところ、支出総額の下の欄でございますが、これが192,703億円となってございまして、前年度に比べて9,667億円、5.3%の伸びというところです。これは、いわゆる団塊の世代が65歳に差しかかってきたということで、少し伸びが上向いてきているのではないかと見ているところでございます。

 下から3段目、拠出金算定対象者数を見ていただきますと、5,3494,000人ということで、前年度に比べまして555,000人の減になっているところでございます。これは年によって多少のでこぼこが出てくるわけですけれども、長期的には2059歳の人口の減少に伴って減少してきているものと考えております。

 次に、2ページに参りまして、基礎年金の負担状況ということです。これは25年度の確定値の数字ということでございます。

 基礎年金の給付費本来分が192,675億円、旧法分の交付金ということで算定される分が2兆746億円、本来分と交付金の分を合わせた総額が右の欄でございますが、213,421億円となっているところでございます。

 下の欄でございますが、この中で特別国庫負担、右から2列目になりますけれども3,274億円、これを差し引いた残りが拠出金で各制度に分担されるということになります。それは左の欄にございますように、21147億円になっているところでございます。この総額を各制度の下の欄にございます拠出金算定対象者数の比で案分して各制度に割り振るということです。割り振った額がこちらにある額でございますが、拠出金算定対象者数の内訳につきましては、表の下のほうのとおりでございます。

 次に、3ページ目に参りますが、「国民年金勘定の収支状況」でございます。25年度の欄を見ていただきますと、時価ベースの収入総額は5兆4,652億円でございます。このうち保険料が1兆6,178億円で、前年度に比べて54億円、0.3%の伸びとなっております。これにつきましては、保険料の月額が毎年度段階的に引き上げられていることですとか、納付率も25年度については上昇するなどの増加要因がある一方で、第1号被保険者数そのものは減少していることですとか、全額免除者が増加しているなどの減少要因がありまして、結果的にほぼ横ばいとなったものと考えてございます。

 国庫負担につきましては、2兆1,119億円で818億円、3.7%の減になっているわけでございます。これにつきましては、下の支出の欄の基礎年金拠出金の欄をごらんいただきまして、25年度は3兆8,378億円ということで、前年度に比べて1,608億円、4.0%減ってございます。基礎年金拠出金の半分が国庫負担ということでございますので、これが国庫負担の減につながっている構造になっているということでございます。

 基礎年金拠出金につきましては、概算、精算で運営されるという影響がございまして、24年度の額がその影響によって大きくなっていたと、その反動で25年度は減少したところでございます。

 あとは収入で申し上げますと、時価ベースの運用収入が6,622億円で、前年度に比べて671億円の減少でございます。

 あと、積立金より受入が2,749億円で、前年度に比べて2,227億円の減少でございます。これは厚生年金のところでも申し上げましたけれども、資金繰りのために積立金から受け入れるものでございますが、24年度までの累積運用益が増加したということで、GPIFからの納付金が増えたことを受けてのものでございます。

 結局の収支残のところでございますが、時価ベースで下の欄を見ていただきますと5,633億円となっているわけでございます。これは積立金より受入という額を上回っておりますので、それを控除して、その差をとって、さらにその下の業務勘定から積立金への繰り入れ162億円を足したものが、前年度との比較で書いてある積立金の欄、ここの右の数字で見ると3,046億円ということですけれども、この3,046億円が実質的な意味での収支残に当たるというものです。積立金は8兆4,492億円、時価ベースということで前年度に比べて3,046億円増加している状況になってございます。

 また、運用利回りにつきましては8.31%という状況でございます。

○五十里調査室長 次に、5ページをご覧いただきたいと思います。「給付状況」ということで、受給権者数、年金総額が並んでおりますけれども、平成26年3月末、25年度末の受給権者数トータルで3,1964,000人ということで、前年度より111万人ほど増えております。昨年もちょっと申し上げたのですけれども、25年度というのは昭和23年度生まれの方が65歳になられます。要するに、ちょうど団塊の世代に当たっていますので、ここ1~2年、来年ぐらいまで結構伸びる、受給者数は増えるということだろうと思っています。

 老齢年金はそのうち2,8968,000人ということで、1186,000人ほど増えております。4.3%の増加になっています。

 その下に通算老齢年金とあります。これは基礎年金の旧法時代のものなので年々減っておりますけれども、802,000人ということで9万4,000人、10.4%ほど減っております。

 次に、年金総額でございますが、トータルで2172億円ということで、前年度より6,710億円ほど増えております。その大部分が老齢年金でございますが、189,603億円と6968億円、3.8%の増加ということでございます。

 次に、6ページをご覧いただきたいと思います。上のほうが繰上げ、繰下げの状況でございます。25年度末で繰上げ者の数でございますけれども、2つ目のところで、老齢年金は4815,000人ということで、前年度より9万7,000人ほど減っています。通算老齢年金は324,000人で、前年度より4万1,000人ほど減っているということでございます。

 一方、繰下げのほうですけれども、352,000人ということで、前年度より1万3,000人ほど増えているということでございます。

 下の表でございますが、平均年金月額でありますけれども、男女合計で見ていただきますと、25年度末で5万4,544円ということになっています。その2つ下のところに繰上げした人の月額ですけれども、4万776円と、その下が平均加入期間で369月という状況でございます。

 次が、8ページをご覧いただきたいと思います。老齢年金の受給者はだんだん高齢になっていくわけですけれども、トータルのところで見ていただきますと、6570歳、7075歳と、ここに800万人、726万人と非常に固まりがあるわけで、当たり前と言えば当たり前ですけれども、そういうことで平均年齢が75歳。前年度は平均年齢が74.9歳ですから、若干ですけれども年齢構成は上がったということでございます。

 9ページをご覧いただきたいと思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、25年度末の被保険者数でございます。1号のほうはトータルで1,8054,000人ということで、前年度より583,000人ほど減っています。男性が9275,000人で288,000人減り、女性が8779,000人で296,000人減り、男女とも大体30万人ぐらい減っているということでございます。

 その下の3号でございますけれども、9454,000人ということで、149,000人ほど前年度より減ってございます。

 その一番下の免除等の状況でございますが、法定免除はそんなに変わっているわけではないのですけれども、申請の全額免除は前年度より10万人ほどふえて2495,000人ということでございます。ほかの4分の3、半額、4分の1、これらの免除者も割合にすれば結構な数ですけれども、大体3~4万人増えている、こんな状況でございます。

 次に、10ページでございますが、先ほど1号被保険者が60万人ぐらい減ったということを申し上げたのですけれども、これが年齢階級別、期間別になっているわけです。そういう意味では、昭和28年生まれの方がちょうど60歳になられて抜けたりするものですから、そこも結構な数の人がいたりするものですから、5560歳のところが前年度に比べると166,000人ほど減っているのですね。ということで、年齢の上のところ、ちょうど60歳に到達して抜けるところも結構減っている。ただ、その一方で割と若年層も、だんだん出生数が減ってくるので減るのは当たり前なのですけれども、20歳代後半とかも実は結構減っていまして、20歳代後半、20歳代前半を合わせると20万人ぐらい減っていたりするということで、そういう意味では、上のほうの年齢、下のほうの年齢、そういう形で1号被保険者は減っているということでございます。

 あと、3号も大体同じような感じなので、これは省略をさせていただきます。

 私からは以上でございます。

○武藤数理課長 続きまして、16ページ、「4.積立金の運用状況について」でございます。年度末積立金8兆4,492億円の構成割合でございますけれども、国民年金の場合は預託金が4.9%、市場運用分が88.5%、財投債が6.6%でございまして、運用利回りは8.31%でございます。ポートフォリオにつきましては、厚生年金と一体で運用しているということで同じものを掲げてございます。

 次に、17ページに参りまして、「5.財政検証における将来見通しとの比較」でございます。国民年金に関しましても、将来見通しとベースをそろえるということで実績推計を作成しておりまして、どういう補正を行っているのかということが特記事項にございます。

 まず、基礎年金交付金を収入支出の両面から控除するということ。さらに、細かいところでは、業務勘定からの繰り入れをその他の収入に加えるということ。あと、積立金からの受け入れをその他の収入から控除するということ。それから、国庫負担の繰り延べを年度末積立金に加えるという補正を行っているところでございます。

 こちらと将来見通しを比べるということで見ていただきますと、保険料収入は将来見通しを2.3兆円と見込んでいたものが1.6兆円でございます。これは主として、納付率が将来見通し上は80%と見込んでいたものが実際には61%になったということで、この違いが大きな要因でございます。一方、運用収入については、将来見通し上0.2兆円と見込んでいたものが0.7兆円の運用実績だったということで、0.5兆円プラスとなっているところでございます。

 その他のところは基本的に国庫負担でございますけれども、将来見通しで2.6兆円と見込んでいたのが2.1兆円と0.5兆円少なくなってございます。これは、右側の欄の支出の基礎年金拠出金の欄をご覧いただきたいのですけれども、4.8兆円と見込んでいたものが、納付率が見通しよりも低いということで3.8兆円という支出になってございまして、1.0兆円少なくなってございます。これを反映して、2分の1国庫負担につきましても見通しより実績推計のほうが低くなっているところでございます。

 給付費につきましては、将来見通しで0.1兆円と見ているのが、実績推計では0.2兆円ということでございます。これは見かけの要素が大きいのですけれども、こちらにつきましては、基礎年金交付金の決算数値が基礎年金の概算、精算の影響で単年度ベースの確定値より500億円ほど小さくなってございます。その引く数字が小さいために、そのことによって見かけ上0.1兆円大きくなっているところでございます。

 収支残の将来見通しは0.1兆円ですが、実績は0.3兆円でございます。厚生年金と同じように、今年度は運用収益がかなり多かったので、財政検証の見通しよりも財政状況はよくなっているということでございます。

 年度末積立金は、将来見通し上10.5兆円だったものが10.8兆円という数字になってございます。積立金の額につきましては、昨年度が将来見通しと実績とほぼ同じ数字だったというところで、今年度は今年度の運用収入が多かったということですので、結果的に大きくなっているという状況でございます。

 次に、18ページ、「基礎年金の被保険者数及び受給者数の比較」につきましては、実績と将来見通しで大きな乖離はないものと見ているところでございます。

19ページ、「財政指標の比較」で、まず年金扶養比率でございますが、これも括弧内の受給者ベースを見ていただきますと、25年度は2.16で、財政検証上の見通し2.2とほぼ一致している状況でございます。

 次に、20ページ、保険料比率につきましては、25年度は85.9という数字で、財政検証は98.7という数字で、かなり乖離が大きく見えるわけでございますが、これも基礎年金の概算、精算がかなり影響しておりまして、実は確定値ベースではじいてみますと25年度の85.9という数字は90.2になりますし、24年度も80.6という数字になってございますけれども、これを確定値ベースにしますと92.3になりますので、それでも財政検証の数字よりは低い数字になるわけですが、差は大分縮まるところでございます。

 次に、21ページ、収支比率です。こちらはかぎ括弧の中の時価ベースを見ていただくということでございますが、こちらにつきましては、25年度は82.6という数字でございまして、財政検証の数字92.0よりはよくなってございます。収支比率、分母が収入で分子が支出ということになりますので、数値が低いほうが財政状況がいいということでございますけれども、こちらも実は確定値ベースにしますと82.6という数字は78.7と、前年度と同様、運用収入が多かったということでかなりよくなっているところでございます。

 次に、22ページの積立比率ですが、財政検証ベースで補正したということで、繰り延べ分を積立金に加えて算定したもの、これが*印がついている欄でございます。25年度の数字の*印の欄を見ていただきますと、積立比率が5.5でございます。この数字なのですけれども、時系列で見ていただくと、年によってでこぼこがあるように見えるわけです。つまり、23年度、2つ上の欄が6.724年度が5.125年度が5.5ということなのですけれども、確定値ベースで見ると、これがならされるということになりまして、23年度が5.924年度が5.825年度が5.8という数字になります。この変化は、概算、精算の影響による見かけの変化と捉えていただければよろしいかと思います。

25年度の5.5という数字に対して、財政検証では4.6と見ていたということで、それに比べると積立比率は実績のほうがかなり高くなってございます。これは、積立金そのものは財政検証の見込みとそれほど変わらないということに対して、財政検証上は分母に当たる部分の納付率を80%で見ていたということで、分母のほうが大きくなっている分、財政検証上の積立比率は低く出ている影響と考えているところでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 質問等はございますでしょうか。

 翁委員。

○翁委員 御説明ありがとうございました。

 1ページのところで、年度末の積立金が24年度から制度が変わって増えているわけなのですが、先ほどの御説明では、この分は財投に預託しているということなのですね。以前は7,000億円ぐらいで、今は2兆円まで増えてきているのですけれども、これは今後もこういう積立金の規模であるということなのか。そうであるとすると、そういう運用で本当にいいのかという議論があり得るのではないかと思うのですが、その点について教えていただければと思います。

○武藤数理課長 ちょっと復習にもなりますけれども、従前の基礎年金勘定の積立金というのは、いわゆる妻積みの元本の額で7,246億円という額を同額で計上されていたと。その一方、収支残は翌年度のその他の収入に毎年度繰り入れられるということだったわけですけれども、その収支残の中には、8,000億円程度だったと思いますが、この妻積みの運用収益の累積と、あと基礎年金勘定の概算、確定の分の違いによって、概算で多く取った分、確定値がそこまで行かなかったら精算されるという性格のものが2つ入っていたところでございます。

 後者のほうにつきましては、やはりある程度、制度運営するに当たって資金繰りをきちんとやっていかなければならないので、それなりに余裕を持って資金繰りを考えていく必要があるということですので、今後も多少は収支残に残っていくのではないかと思います。ただ、どれぐらいのオーダーの数字が残るかということにつきましては、それはやはり年々の予算によるということだと思いますので、そんなに大きい額が残るかどうかは今の段階で私からは何とも言いにくいところがあるということでございます。

○山崎部会長 田中委員。

○田中委員 9ページあるいは10ページのところなのですが、国民年金の1号被保険者はそもそもは自営業中心だったと思うのですが、最近はいわゆる非正規労働者の加入が多くて、特に若年層はかなりのウエートが非正規だと思われます。この場合、受給権の取得につながらないような被保険者が存在して、受給者の高齢の方は多くは自営業の方なのですが、若年層の方はこれからずっと保険料を払えずに無年金者になってしまうかもしれないということが懸念されます。今回、法改正が行われて、一部のパート等の被保険者は厚生年金適用になるということで、全体像としてどういう姿になると予想されるのか、特に無年金者が増えていくことについてはどのような見通しを持っておられるかということをお伺いしたい。

○武藤数理課長 確かに1号被保険者の方は、もともと国民年金の制度というのが自営業者の方のためにスタートしたもので、実態としては非正規雇用の労働者の方が入っていて、今、1号被保険者の中に被用者が多くなっているという状況でございますが、一時的にそういった方が残念ながら未納になってしまったとしても、受給資格期間が25年あれば必ずしも無年金になるわけではないということですので、基本的には納付対策をしっかりやっていって、無年金につながらないようにということでやっていくのが大事かと考えてございます。

 なお、25年が10年になるかどうかというのが一体改革で議論されて、消費税の10%への引き上げのときに、その25年を10年に短縮されるということで進んできたわけですけれども、今その点につきましては御案内のとおりで、年末の予算要求とあわせて検討されていくような状況になっているところでございます。

○山崎部会長 駒村委員。

○駒村委員 年金数理部会は財政状況を見るだけではなくて、その年金の受給、将来年金がどうなっていくのかという点にも関心を持つべきだと思うのですけれども、これは偶然、たまたまなのかどうなのかということを教えてもらいたい。大したことではないようなことなのか、それともちょっと考えなければいけないことなのかということを教えてもらいたいのですが、7ページです。既裁定と新規裁定とを比べると、より制度が完成したというか定着した新規裁定のほうが加入期間が延びていくというのは、これまでも当然だったのかなと思う。この65歳になっている世代というのは、年金制度があった後に20歳を迎えているはずですから、基本的には40年間加入する機会があったのではないかと思うのですが、そういう意味では、23年から24年のところで加入月数が短くなっている、あるいは頭打ちになってきているということが見られるのですけれども、これは過去にも新規裁定者のグループは必ず伸びてきたわけではなくて、この程度の頭打ちあるいはマイナスというのはあったものなのでしょうか。

 質問の趣旨は、このデータの中ではどこを見ていいかわからなかったのですけれども、特に基礎年金は今後のマクロ経済スライドの影響が厳しくなってくるアキレス腱になるかもしれない部分ですので、各世代が、特に若い世代がちゃんとその世代にふさわしい年金記録をきちんと構成してきているのかどうなのかを見る材料は、この中からはどうもないようなのですが、そういう視点で見ると、この1年あるいはたった1カ月短くなったことや頭打ちを過大評価していいかどかわかりませんけれども、こういうことはこれまであったのでしょうか。新規裁定者の平均加入期間がほとんど変わらない、あるいはマイナスだということは時々ある話なのでしょうか。そこを確認です。

○五十里調査室長 すみません、今、手持ちの資料ではこれ以上のものがないものですから、過去に遡って減ったことがあるかどうかはわかりませんが、今、先生がおっしゃったのは男性のところですね。わかりました。ちょっと調べさせていただきます。

○駒村委員 もし可能であれば、各世代がその世代にふさわしい年金加入歴に、本来ならば今30歳の人は10年入っているべきですね。そのようなことが、例えば特定の、特に今の若い世代のところでなくなっているかどうかをチェックすることができるのでしょうかということも入っているのですけれども、お願いします。

○山崎部会長 ほかにございますでしょうか。

 ないようでございます。

 以上で国民年金(基礎年金)の財政状況についての報告の聴取を終了します。

 説明者の方々には、お忙しい中をありがとうございました。どうぞ席をお移りください。

 

(数理課長、調査室長 関係者席へ移動)

 

○山崎部会長 以上をもちまして、平成25年度の財政状況についての報告の聴取が全て終了しました。この後の取り扱いですが、平成25年度につきましても例年どおり本年度中を目途に公的年金財政状況報告を取りまとめたいと思いますので、委員の皆様にはよろしくお願いいたします。

 それでは、具体的な作業は、昨年同様、検討作業班、技術作業班で進めたいと思います。

 続いて、議題2「平成26年財政検証・財政再計算のレビューに必要な資料について」に移ります。

 事務局から説明をお願いいたします。

○清水首席年金数理官 今後、平成26年財政検証・財政再計算時のレビューに向けて、各制度から提供していただく資料について御説明申し上げます。

 資料3をご覧ください。本資料は、今回の財政検証・財政再計算時の検証、すなわちレビューに向けて、各制度にどのような資料を提出いただくか整理したものでございます。9月29日の年金数理部会開催以降、検討作業班及び技術作業班を開催し、検討いただいてきたものでございますけれども、本日の年金数理部会の場で御確認いただいたうえ、各制度に提出を御依頼することにしたいと考えております。

 なお、ここに挙げた資料は、厚生年金、国民年金、国共済、地共済、私学共済のそれぞれに対して提出を依頼するものでございますが、今回の財政検証・財政再計算は、被用者年金一元化を前提として行われており、推計作業において制度間で連携し、一定の作業分担、コラボレーションがされていることから、その状況を反映した資料となることがあっても差し支えないと思われるということでございます。

 各制度にどのような資料を提出いただくかということに関しましては、まず、どのような視点からレビューを行っていくのかということをおおむね想定したうえで整理する必要があると考えられます。

 まず、今回の年金数理部会の検証は、この資料のゴシックで記載した項目に示されますように、1番、公的年金財政及び財政検証・再計算の枠組みの検証。

 2番、実施体制の検証。

 3番、推計方法の検証。

 4番、結果の示し方の適切性の分析・検証。

 3ページの中に含まれておりますけれども、前回の財政検証・再計算との比較。

 それから、被用者年金一元化の影響の検証。

 5番、公的年金制度の安定性の分析・検証。

 6番、前回のレビューで指摘した要留意・検討項目の反映状況の検証。

 最後に、今回の財政検証・再計算の評価及び今後の財政検証への提言といった内容により構成することが想定されるということでございます。

 そこで、本資料は、こういった構成に基づいて整理したものでございます。

 第1に、公的年金財政及び財政検証・財政再計算の枠組みの検証でございますけれども、これにつきましては、財政検証・財政再計算の基本方針、遵守すべき事項、財政方式の考え方、財政構造といった基本的な事項について押さえておくことが必要と考えられます。このため、財政検証・再計算の目的、根拠、制約条件、対象期間・範囲、必要とされる結果、根拠法令・通知等の具体的内容、また、特にマクロ経済スライドによる調整期間に係る根拠法令及びこれを今回の検証に適用する際の具体的な考え方、財政方式の考え方、財政構造について留意した点などについて資料を提出いただくという形で整理しています。

 第2に、財政検証・財政再計算の実施体制につきましては、必要な体制が確保され、人材育成が行われているかといった視点から検証することが考えられるわけでございます。このため、組織体制、担当職員の人数、経験年数、研修の実施状況などについて資料を提出いただくという形で整理しています。

 第3に、推計方法に関しましては、推計作業における制度間の連携、基礎数・基礎率の設定の合理性・適切性及び検討の十分性、推計方法の合理性・適切性及び検討の十分性といった観点から検証することが考えられるわけでございます。このためには、推計作業における制度間の連携状況、基礎数・基礎率、推計方法、推計結果の詳細について資料を提出いただく必要がございます。

 このうち、基礎数・基礎率に関しましては、基礎数・基礎率の種類、基礎率設定の基本的な考え方、設定に至る検討の過程、もととなる統計と基礎数・基礎率の作成方法、具体的な数値などについて資料を提出いただくという形で整理しています。

 推計方法に関しましては、全体構造、年次別推計の計算過程、国共済・地共済間の財政調整の仕組みの適用方法など個別事項への対応、被用者年金一元化への対応状況、前回財政検証・財政再計算からの変更・改善点などに関する資料を提出いただくという形で整理しています。

 さらに、推計結果の詳細に関しましては、ご覧いただいているような資料を提出いただくという形で整理しています。

 第4に、推計結果の分析及び結果の示し方の適切性の分析・検証に関しましては、推計結果についてどのような分析を行ったか、公表された資料には必要な事項が含まれているか、または、今回は特に、複数の推計結果を並列に位置づけて示したことの考え方と平成16年改正の財政フレームとの関係といった視点から検証することが考えられるわけでございます。また、前回財政検証・財政再計算との比較や被用者年金一元化の影響といった視点も必要と考えられます。

 こうしたことから、分析及び結果の示し方に対する基本的な考え方、複数の推計結果を並列に位置づけて示した考え方と平成16年改正財政フレームとの関係、複数の推計結果の相対的な関係に関する分析、結果の表示方法の変更点、前回の財政検証・財政再計算からの変化の分析、前回の財政検証・財政再計算後に成立した法律等による影響、被用者年金一元化の影響の分析、公表された資料・報告書、公表の過程、制度加入者等への説明状況、今後の情報の公開予定などについて資料を提出いただく形で整理しています。

 第5に、公的年金制度の安定性の分析・検証に関しては、被用者年金一元化後の厚生年金、国民年金の安定性、実施機関ごとの安定性、前提を変更した場合の影響(感応度分析)といった視点から検証することが考えられます。このため、各種財政指標の見通し、基礎年金拠出金相当の保険料率の見通し、積立金の取り崩し及び運用収入の保険料率換算、被用者年金一元化に係る拠出金・交付金の保険料率換算、年金の財源と給付の内訳、マクロ経済スライドが給付費等及び給付水準にもたらす影響、旧職域部分の収支状況等、人口・経済の前提を変動させた場合の感応度分析などに関して資料を提出いただく形で整理しています。

 第6に、前回のレビューで指摘された要留意・検討項目の反映状況に関しましては、これに関する資料を提出いただく形で整理しています。

 最後に、今回の財政検証・再計算の評価及び今後の財政検証への提言に関しましては、被用者年金全体としての持続可能性及び給付の十分性、国民年金の持続可能性及び給付の十分性、実施機関ごとの持続可能性、今後の財政検証における要留意・検討項目といったポイントが考えられます。これらにつきましては、年金数理部会による検証の結果として導き出されるものと考えられるわけでございますが、これに関連しまして、また、財政検証・財政再計算における基本的な要請として、数理担当者の所見が求められることは言うまでもないところでございます。

 ということで、この年金数理部会による検証に関連しまして、データの十分性・信頼性、前提の合理性・妥当性、手法の妥当性・数理的整合性、制度の持続可能性といった点を含めた数理担当者の所見、加えて、今後の財政検証に当たり留意または検討する点についての数理担当者の所見を提出いただく形で整理しているということでございます。

 以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 また、本日は野上委員から資料の提出がありましたので、野上委員より説明をお願いいたします。

○野上委員 ありがとうございます。

 私は第59回は欠席させていただいたのですが、その折も資料のほうを提出しておりますので、お手元にそのときの資料も置いておりますので、それを参照しながら説明をお聞きいただければと思います。

 今般の財政検証なのですが、その一番の特徴は、私の意見では、A~Hの8つのシナリオの中で、マクロ経済スライドの適用年がかなり幅広に結果として出ていると。一番短いところですとAとBのシナリオでは2017年と、これは厚生年金のものですが、もう2014年が終わりかけていますので2年後に終わってしまうというものから、Hシナリオですと、無限にいつまでたっても適用が終わらないという完全賦課制度に移行していくシナリオまで幅広に結果が出ております。数理の観点からいいますと、やはりこの中で注目すべきはHシナリオが国民の関心もあって、分析対象としては一番ポイントを置くべきではないかと思ってございます。

 その観点から、分析の方法でやはり必要になりますのは、このHシナリオだけは、A~Hまで全部可能性はあるということですが、果たしてどのぐらいの範囲でHシナリオのような結論になるかという点が一番分析対象になるのかなということでございます。

 もちろん、第59回のときに御指摘させていただいたように、賃金上昇率あるいは全要素生産性の上昇、資本投入がかなりトレンドラインの中で達成されてしまうという点について疑問点がございますので、その点も問題点としてあります。

 具体的には、経済前提の設定の仕方については次回の財政検証に向けて見直しされていくということを期待してございますが、なかなかそれだけで5年待っていたらいいというわけではないということでございます。

 具体的にどうするかということなのですが、資料でちょっと見ていただきたいのですが、3枚目のところでございます。我々数理のほうは、経済前提というようななかなか確率的に分布が定かではないものに対しては、いろいろなモデルポイントを設定しまして、その結果がどうなるかというのを検証する手法をよく使います。例えば物価上昇率、4点挙げてございますが、それに対して賃金上昇率がどうなるか、あるいは運用利回りはどうなるかというようなシミュレーションをすれば、かなりこのHシナリオの具体的な実像が出てくるのではないかということで提案させていただきたいと思います。

 具体的には、アウトプットイメージということで4枚目に書いてございますように、物価上昇率と実質的な1人当たりの賃金上昇率、2次元的に○、☓、△とありますが、完全賦課方式に移行する点はどういうシナリオがあり得るかというのを逆残的に検証すれば、どのぐらい心配すればいいか、あるいは安心していいのかということが具体的にわかってくるのではないかということでございます。作業量としてはかなりのものが想定されますが、ただ、今回の財政検証でも79通りの検証をされたということでございますので、かなりの部分がコンピューターでされているのではないかという期待感もあって、こういうやり方もあるのではないかということでございます。

 以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 それでは、少々時間が残っておりますから、御意見や御質問等がありましたら、お願いいたします。

 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 今年度の作業は、資料3に書いてあるように、財政検証のレビューを行うということですね。要するに、この緑と青、5年前と同じものをつくるということだと思うのですけれども、今これをつくづく見たのですが、このレビューの目的とは一体何なのか、まずそこが気になったのです。

 というのも、現在、GPIFのポートフォリオの変更は非常に注目されている話で、株式のウエートが上がってくると、当然そのぶれ幅も大きくなってくる。1年評価では、恐らく時価でやるとぶれ幅が大きく見えてくるでしょうねと。

 今日の毎年のものは予定よりもいい状態にあるのでよかったねという評価になるわけですけれども、ぶれ幅が大きくなるとよくないときも出てくるわけですね。ただ、1年に1度ですから、たまたまなのか、もうちょっと待てばよくなるかもしれませんねというコメントをつけるのかどうなのかと思うのですけれども、財政検証のほうは5年に1度、ちゃんとその積立金の状況で将来の評価をしなければいけないと思うのです。つまり、よくないタイミングで5年に1度の財政検証の評価が来てしまったときには、これは年金部会のほうでしょうか、それにふさわしいマクロ経済スライドをかけるのかどうなのかとか、制度改正を何か行うのかどうなのかという議論を行っていくわけですけれども、こちらの年金数理部会としては、そのようにぶれが大きくなってくるようなことになったときに、毎年の評価も含めて、悪いときには何かコメントをつけていく役回りがあるのかどうなのか、あるいは年金財政に与える影響について何らかのコメントをつけるのかどうか。

 というのも、運用成績のぶれが大きくなると、悪いときは国民から非常に厳しい年金制度に対する見方が出てくると思うので、それはこういう意味があるのだという何らかの評価をつけないと、ただ運用がよいです、悪いですということだけ見せたら、それは専門ではない方も含めていろいろな立場の方がいろいろな評価をされてしまうので、そういう積立金の運用に関する評価みたいなものを、よくないときも、いいときも、より踏み込んでやることができるのかどうか、やるべきなのかどうか、あるいはそういうことをどこかに反映することができるのかということを確認したくて質問しました。

 例えば、資料3の3ページの「5-3 積立金の取り崩し及び運用収入の見通しの保険料(率)の換算」と、これは前回のを見ましたけれども、ちょっとこれとはまた違うのかなとか思っています。わかりやすく言えば、積立金の現状について国民とちゃんとコミュニケーションができるような情報をつくる必要があるのではないかと、そこはどこがやるのか、ここがやるのかという質問です。

○山崎部会長 どうぞ。

○清水首席年金数理官 ただいまの駒村委員から御質問のあった件ですが、最初に、資料3で御説明申し上げたレビューの話でございますが、今回これで確認いただいたとすると、この形で各制度に提出を依頼することになります。それが出てくるのが今年度内というのはなかなか難しいと思っていまして、相当な作業になりますので、そういうことになりますと、来年度に入ってこういった資料を提出いただいて、その後、具体的に各制度からヒアリングをこの年金数理部会の場でお願いして、そのうえでいろいろ分析を加えていって、最終的には、5年前に報告が出ているわけでございますけれども、そういったものを年金数理部会として取りまとめていただければと思っているということでございます。そういう意味で、時間的には今年度内ということではないということで申し上げておきたいと思います。

 毎年の評価というときには、今回ヒアリングをしていただいたわけですが、その中で運用がよかった、悪かったということだけではなくて、加入員の動向であるとか、あるいは実際の給付の動向であるとか、そういったいろいろなことを踏まえて総合的に分析、検討し、その結果については毎年、公的年金財政状況報告という形で取りまとめていただいているわけです。その中で、仮に、もし財政的に懸念する材料が非常に多いといったときには、早期の財政検証が必要だと、そのようなことはないほうがいいわけですけれども、そういったコメントを年金数理部会の評価の中でつけるということは十分に考えられるのではないかということでございます。

 資産運用につきましては、当然、個別の資産クラスの中の運用状況といったことは年金数理部会の関心の対象ではないと思いますけれども、資産全体としてどの程度のリスクがとられて、実際の運用の結果がどうであったかというような話については、今回のヒアリングの中にもそういった内容が含まれていますように、そういったことについては年金数理部会としても関心を持って、評価、検討を加えていくということはやはり必要ではないか、と事務局としても考えているということでございます。

○山崎部会長 よろしいですか。

 ほかに。

 田中委員。

○田中委員 レビューの資料なのですが、これは前回の財政検証・財政再計算に比べるとかなり内容が充実しており、また変更されているところもあるように思うのです。特にここの最後ですが、数理担当者の所見ということで、これは共済計理人になるのでしょうか。その方に、いわゆる制度全体の財政検証の責任を負わせるという立場になっているようにも見えるのですが、その辺はどのような位置づけをされているのか。

 それから、少なくとも経済前提については厚生年金、国民年金と同じルールで多分やられると思うのですが、制度固有の要因としては、人口前提もそうですが、例えば労働力、労働参加率とか、そういったものも制度固有要因になると思うので、各制度の責任範囲について伺いたい。すなわち、計算基礎率設定の責任と経済前提のように共通のものと、それ以外のものをどのように位置づけるのかということについてお話しいただきたいと思います。

○清水首席年金数理官 ただ今の田中委員の御質問ですが、数理担当者というときに、計理人というものは必ずしも位置づけられていないわけでございますので、ここでは数理担当者の所見ということで、各制度において一定の格付というか、立場というか、クオリフィケーションというか、そういったものがあるとかないとかということではなくて、とにかく実態として、こういった問題について責任を持ってやっておられる方、担当しておられる方の所見を書いていただくということで整理しているわけでございます。

 経済前提につきましては、御存じのように、基本的にこれは経済前提等に関する専門委員会の意見、報告書をベースに設定されているわけでございますけれども、それ以外のいろいろな基礎率について、誰が責任を持ってということもあるかもしれませんが、そういったことも、言ってみれば具体的にどういう責任の所在があるのかということも、制度ごとに必ずしも同じではないと思われるわけでございます。

 そういう中で、こういったデータの十分性、信頼性といったことについても所見を出していただく。それは設定の責任ということもありますけれども、数理担当者としてこれについてどう考えているのかということがやはりありますし、前回も数理担当者の所見というのはお出しいただいたのですけれども、こういうことについて書いてくださいとは余り具体的にお願いしていなかった経緯があります。そこで今回は、やはりこういったことについて書いていただくのが基本ではないかということで、このように整理しているということでございます。ですので、そういう意味では、責任の所在ということと必ずしもダイレクトにリンクする形まで整理しているということではないと考えております。

○山崎部会長 ほかによろしいですか。

 野上委員。

○野上委員 たびたびすみません。

 財政検証というのは、私の理解では、経済前提を設定すれば、そこから先というのは、長年の経験もございますし、妥当な検証結果が出てくるものだと理解しております。ですから、レビューするというときに、やはり関心の対象になるのは経済前提の設定の仕方ということだと思うのです。仮に検証の中で経済前提の設定の仕方が、私は疑問に思っている点がございますが、この年金数理部会の報告書で書かれたとしても、それを受けて経済前提専門委員会の中でまたもんでいただくというプロセスが当然あるわけですので、そのあたりはある程度、検証ということでは踏み込んでもいいのではないかと理解しておるのですけれども、その認識に間違いないでしょうか。

○清水首席年金数理官 ただ今の野上委員の御質問ですが、今回は、経済前提の設定ということが、数理担当者というか、具体的に言えば年金局の中で行われたというよりもむしろ、今回は経済前提等に関する専門委員会の報告の中で8通りのセットが示され、それに基づいて行われたということです。しかし、それについてどう考えるかということについては、当然、年金数理部会においては自由に議論していただければよいと考えております。

 それから、先ほどの野上委員の御提案については、私ども事務局では、こういった形で各制度と御相談してきたわけでございますけれども、基本的には、出していただける内容で出していただければということであり、したがって、どういう内容で出していただけたかということも含めて分析評価の対象になり得るものと御理解いただければと思っております。

 モデルポイントを使った感応度分析のようなものについても、どの程度それを出していただけるかは不明なのですが、しかし、事務局ベースで可能な範囲については補足していきたいと思っていますし、そういったことが必ずしも十分できない場合には、今後の課題として整理されることもあり得るかと考えているところでございます。

○山崎部会長 翁委員。

○翁委員 私も、野上委員が出されたような、こういったセンシティブな解析のようなことを試みて、やはり経済前提の妥当性について年金数理部会としてどう考えるかということをできれば考えたいと思います。

 あと、先ほど駒村委員がおっしゃいましたけれども、やはりこれから運用ポートフォリオが多様化していって、年度年度で非常にボラティリティーが高まることが予想されますので、そういった意味では、より年金財政への影響ということに関しても少し中期的な視座で考えていくことが必要になってくると思うので、その点も非常に重要だと思います。

○山崎部会長 前回も要留意・検討項目というのを最後に指摘させていただいて、かなりの部分を今回の財政検証に反映させていただいているということもありますから、ただいまの各委員の意見もそういった中で生かされるのではないかと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

 それでは、平成26年財政検証・財政再計算のレビューに向けて、資料3の内容に基づいて各制度に資料の提出をお願いしたいと思います。

 最後に、今後の日程等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○清水首席年金数理官 次回の年金数理部会の開催日時につきましては、追って御連絡させていただきます。

 それから、参考資料につきましては、毎年度、このヒアリングにあわせて、事務局におきまして作成・提出し、その提出をもって公表という取り扱いにさせていただいているものでございます。

 以上、よろしくお願い申し上げます。

○山崎部会長 本日はこれまでとさせていただきます。どうもお疲れさまでした。


(了)

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