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2014年12月17日 第1回蚊媒介性感染症に関する小委員会

健康局結核感染症課

○日時

平成26年12月17日(水)14:00~16:00


○場所

航空会館5階 501+502会議室


○議題

(1)蚊媒介性感染症について
(2)蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針の策定について
(3)その他

○議事

○梅木課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「蚊媒介性感染症に関する小委員会」を開催いたします。

 開会に当たりまして、結核感染症課長より御挨拶を申し上げます。

○結核感染症課長 結核感染症課長の井上です。

 各委員の皆様には、年末のお忙しい中、御出席をいただきましてまことにありがとうございます。また、日ごろより感染症対策の推進につきまして御指導賜っておりますことも、改めて御礼申し上げます。

 既にここにおられる委員の皆様は御存じのとおり、本年の8月末から、日本にとっては約70年ぶりとなるデング熱の国内感染患者が確認されたところでございます。その後10月末ごろまで発生が続き、累計で最終的に160名余りの感染者の確認をいたしました。多くは都内の代々木公園で、媒介蚊であるヒトスジシマカに刺されて感染したと推定されているところでございます。

 近年、国内ではデングを初めとした蚊が媒介する感染症の発生が見られなくなっているということもあり、今回のデング熱の流行において、蚊媒介感染症対策の経験、準備の不足、さまざまな課題が浮き彫りになったところでございます。そのため、本年10月8日に開催されました感染症部会におきまして、蚊媒介性感染対策を充実させるために、蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針を策定することが了承されました。また、その策定のために、本日のこの小委員会を設けるという形になったわけでございます。

 来年、蚊の活動がまた盛んになりますと、海外からの輸入症例に端を発するデング熱等の国内感染事例が発生する可能性が十分にございます。それまでに全国の自治体、医療機関、国民の皆様を含む関係者が、蚊媒介性の感染症に対して十分に備えができているよう、各委員の皆様におかれましては、指針の策定におきまして活発な御意見をいただきますようお願いいたしまして、私からの御挨拶とさせていただきます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○梅木課長補佐 続きまして、本日は第1回目でございますので、各委員の御紹介をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、大石和徳委員でございます。

○大石和徳委員長 国立感染症研究所の感染症疫学センター長の大石でございます。よろしくお願いいたします。

○梅木課長補佐 大石浩二委員でございます。

○大石浩二委員 西宮市環境衛生課の大石と申します。よろしくお願いします。

○梅木課長補佐 大曲貴夫委員でございます。

○大曲委員 国際医療研究センターの大曲と申します。よろしくお願いいたします。

○梅木課長補佐 角田徹委員でございます。

○角田委員 東京都医師会の理事の角田と申します。よろしくお願いいたします。

○梅木課長補佐 小森貴委員でございます。

○小森委員 日本医師会の小森でございます。よろしくお願いいたします。

○梅木課長補佐 澤邉京子委員でございます。

○澤邉委員 国立感染症研究所昆虫医科学の澤邉です。よろしくお願いいたします。

○梅木課長補佐 椎野正昭委員でございます。

○椎野委員 静岡県の熱海市役所の協働環境課の椎野です。よろしくお願いします。

○梅木課長補佐 本日、御欠席でありますが、調恒明委員もいらっしゃいます。

 続きまして、高崎智彦委員です。

○高崎委員 国立感染症研究所ウイルス一部の高崎です。よろしくお願いします。

○梅木課長補佐 前田秀雄委員でございます。

○前田委員 東京都福祉保健局の前田です。よろしくお願いします。

○梅木課長補佐 最後に、本日、御欠席ですが、松井珠乃委員もいらっしゃいます。

 本日、委員の11名中9名の方々に御出席いただいております。現時点で定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。

 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。

 先ほど御挨拶させていただきました結核感染症課長、井上でございます。

○結核感染症課長 井上です。お世話になります。

○梅木課長補佐 続きまして、感染症情報管理室長の中嶋でございます。

○感染症情報管理室長 中嶋です。どうぞよろしくお願いします。

○梅木課長補佐 課長補佐の福島でございます。

○福島課長補佐 福島です。どうぞよろしくお願いいたします。

○梅木課長補佐 同じく、氏家でございます。

○氏家課長補佐 氏家と申します。よろしくお願いいたします。

○梅木課長補佐 

 梅木と申します。よろしくお願いします。

 ここからは、大石委員長に議事をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○大石和徳委員長 先ほど御案内がありましたように、渡邉感染症部会長の指名によりまして、委員長を引き受けさせていただきました大石でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、議事に先立ちまして、事務局より資料等の確認をお願いいたします。

○梅木課長補佐 それでは、お手元の資料、議事次第、配付資料一覧のほか、資料1から資料2まで、参考資料1から参考資料7まで御用意しております。配付資料一覧と照らし合わせまして、不足の資料等がございましたら事務局へお申しつけください。

 申しわけありませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○大石和徳委員長 それでは、議事に入る前に、本日の議題を確認したいと思います。

 議題(1)として蚊媒介性感染症について、議題(2)として蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針の策定について、この2点について議論してまいります。

 委員の皆様には、円滑な議事進行に御協力をお願いしたいと思います。

 それでは、議題(1)蚊媒介性感染症について、高崎委員から資料1について御説明をお願いしたいと思います。

○高崎委員 それでは、蚊媒介性感染症のことでタイトルを「蚊媒介対策は、ヒトスジシマカから!」としてあります。無論、それ以外、日本脳炎だってコガタアカイエカによって媒介されますし、マラリアはハマダラカによって媒介されるということですけれども、なぜヒトスジシマカなのかと言いますと、ヒトスジシマカは、今、デング熱、それから、チクングニア熱という、どちらもウイルスなのですが、それを媒介する蚊として世界的にも非常に注目されていると。この葉っぱの中に缶のある写真があるのですが、こういうところでもヒトスジシマカは卵を産んでふ化することができるということで、昔、大阪にいたとき、ボーイスカウトでカントリー大作戦というのを9月ぐらいにやっていたのですけれども、案外夏になるとこういうところに捨ててある見えないところに、というのがあります。

 アルボウイルスの発熱性疾患として、チクングニア熱は、もともとインド洋のほうで2004年に始まって、ずっと東南アジア、フィリピン、それからイタリアにも飛びまして、去年からカリブ海のほうに入っています。

 デング熱は、毎年流行を繰り返して広がっているという、御存じのようなもので、次のスライド3枚目を見ていただきますと、デングウイルスとチクングニアウイルス、科は違うのですが、媒介蚊はどちらもヒトスジシマカ、それからネッタイシマカというのは黄熱ウイルスの媒介蚊として有名ですけれども、これを使います。基本的に昔は、あるいはまれには、猿と蚊の間で回っているサイクルがあるという報告はあるのですけれども、今の流行は、ほとんどもうヒトと蚊の間で回っている、感染環が成立していると。ヒトが宿主であって増幅動物でもある、そういう感染環を持っているということであります。

2010年に初めて我が国の輸入症例が200例を超すということがありまして、このときの輸入症例のパターンを見てもらいますと、大体7月から9月いっぱいが、どんどん輸入症例が日本に帰ってくる、あるいは入ってくるという時期であります。ちょうどヒトスジシマカの活動時期の5月下旬から10月いっぱいというところに重なって、ヒトスジシマカの活動のピークは、東京あたり、この本州あたりでは大体8月がピークであるというところで、リスクはそのあたりで非常に高まってくるということが言えるということです。

 参考資料などにも出ていますけれども、今回、代々木公園の遺伝子配列を見ていきますと、ほとんど一致すると。アミノ酸配列だとまず一致します。サイレントな塩基配列のちょっとの違いは見つけているのですけれども、そうすると、恐らく考えられるのは、最初の患者さんというのが、1人、あるいは同じグループで同じウイルスを持った人が2人来た可能性もゼロではないですけれども、1人のウイルス血症を持った患者さんが多数の蚊に刺されたと。5枚目のスライドですけれども、それでまた別の人を、感染から1週間ぐらいで感染蚊になりますから、感染蚊になって、どんどんと代々木公園を毎日訪れる人を刺してふえていったと考える。それで、人が移動することによって、新宿中央公園とか別の公園にも波及したというストーリーが、一番考えやすいだろうと思われます。

 我が国のヒトスジシマカの幼虫の発生源は、6枚目にありますように、一番上の左上は「樹洞」と書いていますが、うろとよく言うのですが、木のそういうくぼみですね。代々木公園のような古い公園だと大きな木になっていますから、こういううろというものがよくできやすい。こういうところに水がたまる。それから、典型的には、この雨水ますですね、それから、お墓の花立て、それから、庭なんかで放置されている発泡スチロールの箱、あるいはジョーロなどでも、古いジョーロにたまっている、あるいは古タイヤ、手水鉢、植木鉢の皿、それから、ビニールテントなどがうまく畳まれていなくて水がたまるようになっている、そういうところでも発生する。雨水ます程度、1メートル以内ぐらいの大きさのたまり水に卵を産んで、そこでボウフラが発生するというのがヒトスジシマカの特徴というか、そういう習性であります。

 次の7番目、高雄市の写真を入れてあるのですが、下のほうに7と書いてある数字のほうを見ますと、これは水が流れています。流れているところには卵を産んだり、ふ化するということはないわけですけれども、ちょっとそういう砂がたまったりすると上のようにたまり水になります。そうすると、そういうところに卵を産んで、ふ化するということで、高雄の人いわく、昔はこういうところにも洗濯した水とかが一緒に流れ込んでいたのが、最近はもう雨水ますには雨水しか流れ込まないので、ヒトスジシマカとか、ネッタイシマカのときもあるらしいですけれども、卵を産むのだということです。

 デング熱、私のラボのホームページに書いてある「日本人の誤解を解くコーナー」というのがあるのですが、これをちょっと出してきましたが、デング熱は、森や林、ジャングル、田舎で感染すると思っている人がいるのですが、デングウイルスの媒介蚊は、ヒトの住環境が発生母地で、どちらかというと都市部、あるいはある一定の人口密度があれば田舎でも起こりますけれども、流行します。

 2番目、日本国内ではデング熱が流行したことがないと思っている人は、1942年から45年にかけて、神戸、大阪、広島、呉、佐世保、長崎などで20万人規模に上ると昔の堀田先生の論文にも書いてあります。温帯地域最大のデング熱が流行したと。

 デング熱を媒介するヒトスジシマカという蚊は、東北地方以南に生息しています。青森県はまだ入っていないのですけれども。それで、夏季には非常に活発に活動しているということであります。

 9枚目を見ていただきますと、マラリアは、昔、感染症法が施行されたころは、マラリアのほうが多かったわけですけれども、徐々に徐々にデング熱のほうがふえている。マラリアは減少傾向にあるということで、特に注意している熱帯熱マラリアというのは、東南アジアでは、やはり減る傾向にあります。東南アジア、ベトナムとかタイの人いわく、マラリアの流行地に住んでいる人が、どんどんホーチミンとかバンコクに出てきて、これらの都市の人口密度が高まってデングが流行するのだと言っています。

 国内にデング熱、チクングニア熱、そういうヒトスジシマカによる感染症が入ってくるリスクのほうがなぜ高いかといいますと、熱帯熱マラリア患者が東南アジアでは減少している、今言ったことですね。それから、抗マラリア薬が、どんどんいいものも出てきていて、さらに新薬が登場して、かなり持参していかれる方も旅行者の中にはふえてきている。マラリア媒介蚊の発生場所が自然豊かなところであって、輸入マラリア患者が帰国後、そういうところで活動することが少ない。輸入症例の中を見ますと、デングの輸入症例のほとんどが、やはり大きな、どちらかというと都市部の方が多いということで、マラリアの輸入症例に関しても、そういう傾向は同様であるということであります。

 しかし、マラリアの媒介蚊は全国におりまして、11番ですね、三日熱マラリアというのは、結構日本で終戦後も患者は出ていた。しかし、徐々に減ってきて、1959年以降はもう発生していないということです。下の写真にありますように、シナハマダラカあるいはオオツルハマダラカというものが媒介して、用水路とか水田とか、こういうところでハマダラカは発生する。ヒトスジと違って家の中にも入ってきて刺すということで、将来的な予測を見ますと、1)で、水田等に発生するハマダラカ成虫の数が減少している。それから、2)網戸とかそういうものが普及して、室内に入ってくることは減っている。3)輸入マラリア症例の数も減少傾向にはある。それから、4)温暖化でマラリアが流行する可能性が指摘されていますが、積極的な蚊の対策が何も行われなかった状況における戦後のマラリア患者数の急激な減少、それから住宅構造の変化、幼虫発生源の環境変化などから、そのリスクは徐々にさらに下がってきていると考えられています。

12番のほうを見てもらうと、それに比較して、ヒトスジシマカのほうは発生源が北上している、拡大している。なおかつ、さっきも言いましたように、小さなたまり水で発生しますので、数そのものも、今まで余り駆除していないので非常にふえているというのが現状であります。

13番を見ていただきますと、世界的に、そのヒトスジシマカは、卵が乾燥にある程度強いということで、古タイヤなどの輸出に乗って、アメリカ、ヨーロッパ、そういうところに拡大しているということで、14番は去年の段階ですけれども、当初はイタリアとかフランスの一部だったのから、もう地中海沿岸にずっと定着して赤いところが広がっているのが現状であります。

 チクングニアのほうに入りますと、2005年に大きな流行になってきまして、セーシェル、コモロ諸島、モーリシャス、レユニオン、こういうところはヨーロッパの方のリゾートアイランドなのですけれども、ここで大きな流行が発生して、レユニオンは30万人近くの患者が出て、死者も出たということです。

 それがずっと波及して、カリブ海諸国にチクングニア熱の流行が2013年に入ります。それで、ことしになってドミニカ国からのチクングニア熱の症例も成田空港で確認されています。感染症法に入ってから、大体毎年10人近くのチクングニア症例は報告されているというのが日本の現状です。

 米国では、ことしの7月にフロリダに侵入しています。今まだ集計中ですけれども、デング熱と症状が似ていますので、まだアメリカのほうの患者も報告がふえてくる可能性が高いと思います。

17番は、カリブ海のそういうところで結構出ているということです。

 チクングニアは、2007年にイタリアに入りまして、18番、これはインド人の1例の方が持ち込んだということで、やはり200人ぐらい確定していますけれども、そのうち1人が死亡されているということがあります。大体ここ、入ったところは、日本の気候でいきますと仙台ぐらいの気候になると思われます。まちの大きさはもう少し小さなまちです。

 そういうことで、世界的には飛行機の時代になって、船で入ってくる可能性もゼロではないですけれども、人の動きが非常に活発になって、ヒトが感染症を持ち込む高いウイルス血症を持っている病気としてデング熱、チクングニア熱というのは、ウエストナイルなどと比べるとリスクが高いということであります。

 以上です。

○大石和徳委員長 高崎委員、どうもありがとうございました。

 ただいまの高崎委員からの説明について御質問等がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 高崎先生、私からいいですか。チクングニアの症例が米国とか、ことしカリブ海地域、国内でももちろん検出されているのですけれども、臨床症状としてデングと非常に鑑別が難しいので、こういう症例というのは、基本、デングウイルスの検査をし、それが陰性でチクングニアの検査に至っているのでしょうか。

○高崎委員 我々のところは、もう疫学的に流行があるというところの分は、デングの1、2、3、4と一緒に、合わせてチクングニアもやっています。多くのデングができる衛生研究所とかも、そうだと思います。

○大石和徳委員長 ありがとうございました。先生、どうぞ。

○小森委員 ちょっと確認なのですけれども、特定感染症予防指針をこれから策定する基本的な考え方の中に、デング熱、それからチクングニア熱を念頭に置いてする、あるいはマラリアについてどう考えるのかということだろうと思うのですけれども、ハマダラカは日本にはいるわけですね。しかしながら、そのことと、これまでの経過を考えると、我が国において、輸入症例であってもマラリア患者が入ってきて、ハマダラカによって感染が拡大するという可能性は、限りなく少ないという認識だという御発表と考えてよろしいのでしょうか。

○高崎委員 はい、そのように。

○大石和徳委員長 マラリアは、輸入症例はかなりあるわけですので、国内発生のリスクが低いということで、今回、高崎先生は、デングとチクングニアに包括してお話しいただいたと理解しております。

 ほかはいかがでしょうか。

 ないようでしたら、先に進んでよろしいでしょうか。

 続きまして、東京都、西宮市、熱海市の取り組み状況について、前田委員、大石委員、椎野委員からそれぞれ御説明していただきたいと思います。

 まず最初に、参考資料5について、東京都の前田委員から御説明していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○前田委員 では、参考資料5に基づきまして説明させていただきます。

 東京都では、このデング熱患者の集団発生に伴いまして、東京都において蚊媒介感染症の対策会議を開催しておりまして、その中でさまざま議論がされましたので、その内容について報告をさせていただきます。

 まず、経過からお話しいたします。これは既に御存じのところと思いますけれども、一応確認のためということでさせていただきます。

 まず、8月26日にさいたま市から国内感染が疑われる患者さんが発生いたしまして、直ちに東京都及び患者の通学する学校のある所在地の保健所に対しまして御連絡がありました。その中で、1点としては、代々木公園内で蚊にかなり刺されたという御報告があったと同時に、同級生の間のSNSを通じて、どうもこの患者さんが、SNSの中で、自分がデング熱に感染し入院になったということを書いたところ、そのSNSに入っている友人の中から、「俺も同じような症状がある」というつぶやきが幾つかあったという御連絡を受けました。

 それを受けまして、27日、翌日になりまして、東京都内のこの患者さんの学校の所在地を管轄する保健所が、その学校に問い合わせまして、学校は夏休み中だったのですけれども、その学生さんの友人、同級生等に電話ですとかメールですとか、さまざまな方法を駆使して連絡をとったところ、2名程度、やはり同じような症状の方がいらっしゃるということが確認されまして、この方たちに直ちに専門医療機関への受診を勧奨したところでございます。一方、この代々木公園についても疫学調査をいたしましたが、その時点では、ウイルスを保有する蚊は検出されておりませんでした。

 翌日の28日になりまして、埼玉県と東京都内の医療機関にそれぞれこの2名の有症状の方が受診して、デング熱であるということが確認されたため、それぞれから発生届出があったということでございます。初発例と合わせまして、3名とも、代々木公園の渋谷門付近で、サークル活動をしながら、かなり蚊に刺されていたという話がありましたので、ここを感染地と推定いたしました。ここで、蚊の駆除をするか否かにつきましては、その当時、内部でもかなり議論いたしましたし、外部の方にいろいろお聞きして、中には、余り積極的にそこまでする必要ないというような御意見もいただいたところでございますけれども、ただ、たまたまここは都立の公園でございましたので、東京都の責任として駆除をしようという結論に至り駆除を行いました。なお、これは、保健所の指示で行った感染症の28条に基づく駆除ではなく、公園管理者としての責任で東京都が実施したということを明確化するために、あえて「公園管理者が蚊を駆除。」と書かせていただきました。

 この3名の方を発見されるに至った経過につきましては、私としては、保健所の疫学調査が徹底して迅速に行われたことが非常に大きかったと思っております。今後も、発生の際には、こうした疫学調査が徹底的に、迅速に行われることが非常に重要だと思っております。

 ただ、その点で、きょうこの委員の中に保健所の代表の方がいらっしゃらないのが非常に残念なのですけれども、ぜひ、保健所では、今後こうしたことができることが非常に重要なことだと考えております。

 9月1日になりまして、この報道発表を受けまして、続々と実は患者さんの報告がございました。多くの報告は、こうした報道を受けて、今まで不明熱ということで処理されていた患者の方々を改めて診断したというお届でありまして、そのうち、この代々木公園に訪問歴がある方が全国で19名、都内でも13名の方がいたことが判明いたしました。

 そして、9月4日になりまして、改めて公園の蚊のウイルス保有状況を調査しましたところ、10カ所中4カ所、それもかなり場所がばらけて発生したということで、これは、この蚊の寿命を待つという方向で対応しなければいけないと考えまして、公園管理者が、自主的に代々木公園のA地区という森林のある地区を閉鎖したところでございます。

 そして、5日になりまして、今度は新宿中央公園で感染した可能性のある患者が発生したという報告があり、それ以後、続々と都内の公園で感染した可能性がある患者が発生したという形で都内に拡大していったというのが経緯でございます。

 次のページをごらんください。デング熱発生動向の図でございますけれども、こちらがその当時の概要でございまして、ご覧になってわかりますように、実際は、後から振り返って再診査をされた方を含めまして、8月9日から患者さんが発生していたということになります。その後、これは我々勝手に第1波と称していますけれども、8月9日から8月19日の間に9名の方が発症いたしまして、さらに、当初に報告された患者さんを含めた非常に大きな波がやってきたというような状況でございます。

 先ほどお話にありました代々木公園での発生というのは、こうした形で、9月初旬までのところにかなり集中している状況です。

 8月9日から18日、私どもが勝手に第1波と呼んでおります方が9名いまして、この方のうち8例は、実は既にこの報道発表の前に受診をされていて、何らかの形で診断を受けていたのですけれども、そこでデング熱という診断には至らなかったということがございます。デング熱の国内発生はないという前提で診察をされていたため、なかなかデング熱という診断に至らなかったのですけれども、もしこの時点で診断がつけば、もう少し早い対応もあったのかなと後から考えているところでございます。

 それから、国内感染事例についての検証を行っております。

 まず、1点目としましては、国内感染事例のうち、代々木公園とその周辺のものが8割ということで、ほかの公園に拡大したとはいうものの、地域の中での感染の連鎖というものは、恐らく代々木公園のみにとどまっていたのではないかと考えているところでございます。

 それから、この上のグラフは発症日のグラフですが、感染を受けたのは発症日の1週間前のところということになりますので、8月中旬に患者が発症しているということは、8月上旬近くにはウイルス保有蚊が存在していたことになり、この蚊がウィルスを国内に持ち込んだインデックスケースの方を刺したのは、恐らく7月下旬ぐらいのことだろうと推定しているところでございます。

 それから、もう一つの8月中旬から下旬、先ほどの高崎先生からの御報告にありますが、ここでかなりウイルス保有蚊が多数になったというようなことで、9月上旬の非常に大きな患者の発生に至ったのだろうと推定しているということでございます。

 それから、9月上旬の調査におきましては、蚊の採集結果から、公園内に蚊のウイルス保有調査でウイルスが確認されるというのは、恐らくすさまじくウイルスを持つ蚊がいないとこういうことは起こり得ないと思いますので、非常に多く蚊が感染して生息していたと考えているところでございます。

 また、代々木公園でなぜ多数の患者が出たかという要因につきましては、さまざま御意見あるいは御推測があるのですけれども、1つには、やはり代々木公園というのは、海外渡航歴や滞在歴のある利用者が非常に多くいらっしゃるということで、その中に、海外でウイルスを保有してしまった方が来られる可能性が多いというところでございます。代々木公園一帯と言えば、例えば海外の方にも非常に人気のある明治神宮あるいは代々木競技場ですとか、あるいはオリンピック青少年センター、NHKホール等、多々国際的な方の集まる施設がございますので、こうした中で海外からウイルスが持ち込まれる可能性が非常に多い地域であったということが1つあるかと思います。

 それから、専門の先生方に言わせると、非常に蚊が多いということがございます。公園利用者も多いのですけれども、蚊の数も多いと。せんだって、ネットで海外の方の日本の観光に関するいろいろなコメントを見ておりましたら、代々木公園は蚊が多いから注意しろということを書いたコメントもございましたので、やはり蚊は非常に多い地域だということがあります。

 それから、もう一点は、先ほど言いましたように、患者発生から把握されるまで非常に時間がかかってしまったということや、非常に人気のあるところですので、定期的に、もう朝晩のようにジョギングする方とか、長く使っていらっしゃる方とか、さまざまいらっしゃるので、そういうことでウイルス保有蚊が増幅していく素地があったということがいろいろ重なって、今回、代々木公園で多数の患者が出たと考えているところでございます。

 今回は偶然が重なったということでございますけれども、今後、デング熱のそもそも流行が拡大していけば、これは偶然ではなく蓋然になっていくのだろうと我々としては考えております。

 次のページへ行きまして、今後の課題でございますけれども、医療体制につきましては、先ほど言いましたように、やはり早期の診断が重要でございますが、現状としては、NS-1抗原についての保険医療の適用がないということで、国内感染があるという前提で医療機関が考えたとしても、検査は迅速には行えないという状況がございます。また、もう一点、これまでデング熱の治療はかなり限定的な医療施設で行われていましたけれども、これがどこでできるのかということを明確にしておかなければならないかと思います。

 それから、保健所の対応としましては、感染した患者への適切な疫学調査の実施、これは先ほどお話ししました。それから、駆除についても、保健所が行うのか市町村が行うのか、あるいは施設の管理者等々が行うのか、役割分担が明確化されていく必要があると考えております。

 それから、蚊の対策につきましては、蚊の発生抑制に対する社会的コンセンサスについてさまざまな先生がお話しされていますけれども、日本は、今まで蚊にちょっと寛容過ぎたというお話でございますので、そうした社会的コンセンサスを得ること、それから、患者発生時の蚊の駆除方法等についての標準化ということがございます。また、薬剤散布につきましてもさまざまな御議論がございますので、生態系への影響についても検討しなければならない。それから、情報提供にしましても、発生状況の正確な情報提供をしていきたいと考えています。

 こうした中で、下の基本的な考え方ということを東京都で取りまとめましたけれども、基本的には、やはり感染症対策としては、感染症の3要素の中で、感染経路である蚊の媒介を防ぐことを第1とするということでございます。

 それから、これまでは海外輸入例に対する対応につきまして、その患者さんの治療というもののみでしたけれども、やはり海外で感染した方に対しても、一定程度、その方が持ち込んだウイルスが感染源にならないように対応していかなければいけない。

 それから、国内感染例につきましては、患者が発生した場合には、迅速にその刺咬歴を調査して、それに基づいた蚊の対策を行うこととして、感染をできるだけ限局的なものにとどめることが基本的な考え方になります。

 それから、蚊を発生させない対策につきましては、これは、行政だけでなく、さまざまな形で民間の方あるいは関係施設の管理者等々の方々と協働で取り組んでいくべき対策であるということでございまして、総合的には、こうした対策の健康、自然環境への影響等々、さまざまな影響を総合的に勘案していくということでございます。

 最後に、今、検討中の今後の具体的な発生対策でございます。

 上段と下段を見比べながら見ていただきたいのですけれども、目標としましては、海外から持ち込まれたウイルスが都内で新たな感染源にならないように努めるということでございまして、国内患者が発生した場合でも、感染の広がりをできるだけ限局的なものにとどめるという考え方でございます。

 まず、患者未発生期につきましては、蚊の発生を抑える。幼虫の駆除等により、蚊の発生をできるだけ抑えることを第1とするということでございます。

 それから、その下のほうに発生段階ごとの主な対策を記しておりますけれども、1つとしては、蚊の幼虫対策を行うことと、あと医療検査体制ということで、このNS-1抗原の保険適用が来年の夏の時期までに間に合うということは期待しておりますけれども、もし保険収載されたとしましても、全ての医療機関がこのNS-1抗原のキットを持つとは限りませんので、そういう意味では、一定程度、早期診断のできる医療検査体制を都内に整備したいと考えております。

 それから、サーベイランスを継続して行うということでございます。また、海外患者が発生した際にも、海外で感染した方が東京で刺された際にも、その方たちの蚊の刺咬歴、国内に帰ってから蚊に刺された場所等を確認いたしまして、場合によっては、そうした地域でも駆除を行うといったことも検討していきたいと考えております。

 それから、患者発生時、都内で国内感染者が発生した際につきましては、上のほうに戻りますけれども、当然、注意喚起を行うことと、その患者が蚊に刺された場所あるいは発症前に感染したと考える蚊に刺された場所、あるいは発症してから以降蚊に刺された場所を調査しまして、駆除等によりまして感染拡大を防いでいくということを考えてございます。

 ですので、下のほうになりますけれども、患者発生時については、そうした蚊の駆除、特に、成虫に対する対策を行い、そして、全ての患者についてPCR検査、シークエンス解析等を行っていきたいと思います。

 そして、アウトブレーク、複数の発生地で続々と蚊の伝播が継続していく、ことしの代々木公園のような状態が多くの地域で発生した場合につきましては、当然のことながら、その中での重症者、死亡者をできるだけ少なくすることを目標としまして、専門医療機関での重症者への医療体制等を強化していきたいと考えているところでございます。

 最後のページは経過と対策会議の委員の名簿でございます。

 以上でございます。

○大石和徳委員長 ありがとうございました。

 続きまして、西宮市の大石委員に参考資料6について御説明いただきます。

○大石浩二委員 西宮市の大石です。参考資料6に沿って説明させていただきます。

 初めに、私の所属しています西宮市は、大阪と神戸の中間に位置していまして、人口48万人の住宅地です。地方の自治体でどのような取り組みをしているかをここで紹介させていただければと思います。

 3枚目ですが、昆虫等駆除事業の概要です。伝染病予防法の時代からの防疫担当チームがまだ11名残っておりまして、感染症発生時の消毒や駆除、災害発生時の消毒、公共の場所の昆虫等の駆除、市民に対する啓発事業や研究事業を直営で実施しております。

 次、4枚目です。感染症媒介蚊対策の現状ですが、平常時は、市民が蚊に刺される確率を下げて、感染症発生リスクを少しでも軽減できればと考えております。このため、蚊に刺される確率を下げるには、蚊の数を減らすこと、それと蚊から身を守る術を市民にお伝えすることが必要だと考えて、また、蚊の数を減らすには、駆除することも必要ですが、発生させないことが重要だと考えております。

 次、5枚目ですが、当然、身を守る術を伝えるためには、啓発事業が必要であり、発生させないためには、民有地は啓発事業、公有地については構造や管理方法の変更を施設管理者に依頼することになります。駆除することにつきましては、市内全域の駆除は困難ですので、蚊に刺される確率の高い場所を重点的に実施することとし、蚊に刺される場所と言えば公園と自宅周辺が思い当たりますので、そのため、公園等は市が駆除し、自宅周辺については啓発事業で対応することとしています。

 次、6枚目です。蚊の駆除事業ですが、成虫になって飛び回る前に幼虫のうちに駆除することとし、発生源対策を中心に行っています。公園対策では、市内600カ所の公園を定期的に確認し、発生源が確認された場合は、月1回処置をしています。そのほか、典型的な発生源である墓地とか道・水路、暗渠の対策などを実施しています。

 7枚目ですが、次に、啓発事業です。発生させない工夫と蚊に刺されない工夫を以下のような事業で市民に伝えております。

 8枚目、感染症発生時の対策としまして、平常時は、発生時に対応できる知識を身につけておくこと、効果的に駆除する技能を身につけておくこと、薬剤や機材を備蓄しておくこと、保健所等との関係を密にし、連携の確認をしておくことを心がけています。

 9枚目、感染症発生時の対策としましては、迅速かつ的確に蚊を駆除することになりますが、実例で紹介させていただきます。

10枚目です。西宮市においてもデング熱の患者さんが発生しました。

11枚目ですが、当初は、海外渡航歴がありましたので輸入症例と判断されていましたが、念のため遺伝子解析を国立感染症研究所に依頼しましたところ、翌週の月曜日、12枚目ですが、代々木公園と株が一致したということで国内感染と判断されました。その時点で、駆除を行うかどうか、これも当然、市の内部で検討したのですが、駆除するということで駆除範囲を設定しました。駆除範囲は、戸建て住宅と共同住宅が混在する地域で、ひそみ場所が多く点在している地域でしたので、推定感染場所から半径200メートル、約156,000平米と定めました。

 次、13枚目です。翌7日の火曜日14時の厚生労働省の発表に合わせまして、15時に西宮市もプレス発表し、地域内1,100世帯の住民に対して職員30名で全戸訪問して説明すると同時に、蚊の捕獲調査を職員5名で行いまして、ヒトスジシマカの雌69匹を捕獲することができました。

14枚目、翌8日水曜日に駆除作業を職員9名で行いました。地域内には戸建て住宅や共同住宅など400区画あるのですが、初日は344区画の処理、翌9日に、初日に処理できなかった56件を再訪問し、31件の処理をしました。

 次の15枚目、10日の金曜日について、まだ処理できていなかった25件ですが、それまで3日連続訪問して、お昼間お留守、文書も投函しておりましたので連絡を待つことにしておったのですが、駆除の連絡がなかったと。空き家だったのかなという感じで思っております。

 3連休がありましたので、週明けの火曜日に駆除成果の確認ということで、駆除前と同一場所、同一方法で蚊の捕獲調査をしましたけれども、蚊は捕獲できなかったという状況です。

16枚目は、この駆除成果をまとめてみたものです。

17枚目は、作業の内容を書かせていただきました。

18枚目以降ですが、駆除作業で感じたことをちょっと書かせていただきました。1、2、3は、事前の準備をしていてよかったなというような内容です。

19枚目の4、実際、駆除作業前に捕獲作業をするのですけれども、報道陣が多数詰めかけまして、網を振っている職員の横に20名ぐらいの報道陣が来ましたので、蚊が皆その報道陣のほうに行ってしまったということで、69匹の捕獲だったのですが、実際はもっとたくさんいただろうと思います。5については、プライバシーの保護であるとか、6は住民への説明の仕方とかに注意しました。

20枚目、7、これが一番重要だと思っていたのですけれども、化学物質に非常に敏感な方がいらっしゃいますので、そういったお家のお庭で薬をまくと、その方は大変なことになりますので、1,100世帯全員にお伝えするということを徹底して取り組みさせていただきました。

 また、8ですが、お昼間お留守であるということがかなり想定できましたので、前日の夜までに、留守であっても駆除していいですよという承諾書をいただいて、昼間に駆除作業をさせていただいたというものです。9は、不動産屋さんの定休日などがありましたので、かなり苦慮したと。10は、区域内に集客施設がそれほどなかったことは、今回、恵まれたなと思っています。

21枚目ですが、11、12、13は、戸建て住宅などは、職員1名が訪問し、全ての処理を1人で行うことができましたので、少人数で行うことができました。

22枚目の14、15につきましても、今回は好条件が重なって二次感染が発生しなかったのかなというようなことも考えています。

 最後、23枚目、今後の課題としまして、実際に感染症が発生してしまったということで、啓発事業を充実していかなければならない、また、平常時の駆除作業の再検証もしていかなければならないと考えております。いずれも、住民の協力が得られれば効果が高いのではないかと考えていますので、今後、市としても、どのような取り組みをしていきたいか検討していきます。

 最後、24枚目ですが、業務体制としまして、市町村の防疫担当チームが縮小されているという現状があります。西宮市の近隣の自治体においても、担当者自体もいないような自治体もあります。西宮市でも年々縮小していっているという傾向がございます。担当者の配置や養成の義務化を国がしないと、この流れはなかなかとまらないかと思っております。

 あと、実際、そうなれば業者への委託ということも考えられるのですけれども、害虫駆除業者の技能と組織力にまだ課題があるなと。それは、都市部の大手の事業者がいるような地域であれば、社内でそういった蚊の知識を持った、研究されているような方もいらっしゃるかもしれませんけれども、地方になると、そういった大きな組織の業者がいないので、また、ふだん蚊を駆除するという仕事がありませんので、蚊を駆除するという経験が余りない業者が多いのかなと思います。また、「機材・人員確保の即時対応」と書いているのですが、既にシロアリの駆除の仕事が入っているのに、市からの要請で蚊を駆除してくださいと言って、そのシロアリの駆除の仕事をキャンセルして蚊の駆除の仕事ができるかというような課題もあるかと思っております。そういった意味で、業者団体の組織力の強化がポイントになるのかなという感じで思っています。

 以上です。

○大石和徳委員長 大石委員、どうもありがとうございました。

 続きまして、熱海市の椎野委員に、参考資料7について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○椎野委員 熱海市の協働環境課の椎野です。よろしくお願いします。

 熱海市では、平成10年ごろまでは消毒の年間スケジュール表を作成していまして、市の職員が消毒をしていました。でも、現在では、町内会等が自主的に消毒する場合の消毒機の貸し出しや消毒液の提供をしています。市としては、日ごろから、住民等からの要請があればいつでも対応できる準備はしています。市の害虫駆除機の保有台数ですけれども、手押し式が1台、それから、肩掛け式が5台、計6台です。

 今回は、熱海市の初島という島の事業所に勤務する方がデング熱にかかりました。初島ですけれども、簡単に説明しますと、ことし11月末現在の住民登録人口は202人です。静岡県内唯一の有人島、人が住んでいる島でありまして、熱海港から船で25分、約10キロ離れています。周囲約4キロで、面積は0.437平方キロメートルです。現在は、観光を主産業とした島となっています。

 今回の対応ですけれども、9月17日の13時に熱海保健所から市へデング熱の陽性反応が認められたとの第1報を受信しました。内容としましては、初島の民間事業所勤務の男性で、最近首都圏へ出かけているとのことでした。そのため、いつでも出動できるように万全の準備をいたしました。

 9月18日9時から静岡県が報道発表しました。9時半から、初島へ行きまして地元説明会を開催いたしました。その結果、全島一斉に消毒することになりました。そのため、至急、消毒の機材を島へ持ってくるように連絡しまして、1245分には、市による消毒を開始いたしました。市による駆除作業以外でも、初島区と男性が勤務していました民間事業所による蚊の駆除作業を9月18192022日に行いました。また、側溝等に薬剤を散布しましてボウフラを駆除したり、ボウフラの発生を抑えるため、よく畑の野菜に水やり用の容器を置いたりしてあったのですけれども、そこに水がたまったりしていまして、そのたまり水を流したりしました。それから、民宿等では虫よけスプレー等を用意したりしていました。

 それから約2週間後の10月2日には、初島区、民間事業所、それから市による全島一斉の駆除作業を実施しました。

 現地の状況ですけれども、駆除作業については、市民への二次感染の防止及び発生した時期がちょうど秋の行楽シーズンであったため、観光客が多数来ていまして、観光業への影響を最小限にすることを目的に実施しました。また、一番怖いのが風評被害なのですけれども、風評被害を避けるためにも、観光客に安心して来てもらうため、地元説明会の結果、島内全域で駆除作業を実施することにしました。

 駆除作業は、初島区、民間事業所及び市が一丸となって実施し、その結果、二次感染者は出ませんでした。また、新聞に掲載されたりしましたけれども、観光客からの観光団体等への問い合わせもほとんどありませんでした。今回は、代々木公園の蚊とはちょっと種類が違う蚊だということだったのですけれども、感染場所は特定されませんでしたけれども、デング熱から島を守るのだという島民の結束も強くなったように感じました。

 市の現在の補助制度です。町内や地域の害虫駆除に必要な駆除機を町内会が購入する場合、購入費補助金を交付しています。補助額は、害虫駆除機購入費の3分の1で、最高限度額が10万円になります。

 次に、害虫駆除機の申請台数、交付額、貸出台数です。平成24年度と25年度に申請が1台ずつありまして、10万円ずつ交付しています。また、町内会からの貸し出しの申し込みがありまして、年間大体、延べにしますと30台から50台程度貸し出しています。

 今後の対応ですけれども、まだ具体的には決めていませんけれども、ことしデング熱に国内で感染した症例について、1940年代に報告されて以来、数十年ぶりに報告され、熱海市でも患者が確認されました。国際的な人の移動の活発化から来年度以降も発生する可能性がありますので、市としても、発生の予防に向けた取り組みを早い時期からしていく必要があると考えています。

 以上です。

○大石和徳委員長 椎野委員、どうもありがとうございました。

 それでは、前田委員、大石委員、そして椎野委員、このお三方に対して御質問がありましたらここでお受けしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。どうぞ、角田委員。

○角田委員 東京都医師会の角田でございます。西宮市の症例で大石委員に伺いたいのですが、この高校生、ちょっと御説明の中にあったのを聞き逃したのかもしれませんが、この女子学生は、2日の時点では海外渡航歴から輸入症例と判断されて、それを遺伝子解析したところ、代々木の株と一致ということで国内感染症例と判断された。

○大石浩二委員 はい、そうです。

○角田委員 そうすると、この方は代々木公園に行っている既往というのはあるのですか。

○大石浩二委員 この方は、16日に海外から帰国されて以降、西宮市内から外へは全く出ていないという方です。

○角田委員 そうすると、代々木公園での感染例とこの方を結ぶ、つまり間の方がいらっしゃると判断されたのですね。

○大石浩二委員 そうですね、市としては、代々木公園を訪問された方が、第三者がそこで蚊に刺されて、その方が西宮市を訪問した際に、また、そこで蚊に刺されて、その蚊がウイルスを持ったのかなと考えています。

○角田委員 そうすると、その方が特定されていないので、今回、駆除は、国内二次感染といいますか三次感染といいますか、この方の居住区を中心になさったということですか。

○大石浩二委員 そうですね、この患者さんが、自分が蚊に刺された場所とか時間をきっちり明確に記憶されていまして、その場所以外では絶対に刺されていないという確信を持った記憶をお持ちでしたので、感染源としたら、もうそこしか推定できないということで、1カ所に限定することができました。

○角田委員 ありがとうございます。

○大石和徳委員長 私から高崎先生に質問なのですけれども代々木公園に持ち込まれたウイルス株がマレーシア由来だとすれば、西宮市の患者さんから取れたウイルスのシークエンスと代々木公園で発生した患者さんから取れたウイルスのシークエンスが一致した所見を説明できる可能性はないのでしょうか。

○高崎委員 遺伝子解析上だけであればあり得ないことは、ゼロではないのですけれども、ただ、潜伏期がかなり掠るという、マレーシアから考えますと13日ぐらいになるのですね。そうすると、大体内科のハリソンとかでも3から7というのが圧倒的ですので、それを考えると、やはり国内と考えざるを得ないかと思います。

○大石和徳委員長 なるほど。それと、マレーシアでは、代々木でとれたウイルス株とほぼ同一のウイルス株が循環していたという証拠も余りないのですか。

○高崎委員 マレーシアに関してはないですね。

○大石和徳委員長 ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。先生、どうぞ。

○高崎委員 僕からいいですか。初島の蚊は、やはりヤブカでもいるのですね。ヤブカでヒトスジシマカと考えていいのですね。

○椎野委員 そうだと思います。この方は、初島で勤務中に刺されたというのを覚えていまして。

○高崎委員 いや、通常、初島にヤブカはいないとか、そんなことはないですね。

○椎野委員 ないですね。

○大石和徳委員長 私も椎野委員に質問ですけれども、その症例が、東京都内にも行ったという話ですが、東京で蚊に刺され、ウイルスに感染したという可能性はないのでしょうか。

○椎野委員 最初、直接私が聞いたわけではないのですけれども、本人に確認しましたら、9月上旬に東京都に行っているということだったものですから、東京都で移ったのかなと考えていたのですけれども、東京都の代々木公園の蚊とは違ったのと、あと、この方が初島の屋外で仕事をしているのですけれども、そこで蚊に刺されたのを鮮明に覚えていたということで、確定ではないですけれども、可能性は非常に強いという考えで今回対応しました。

○澤邉委員 本当に初島の中のヒトスジシマカということで、標本か何か残っているでしょうか。

○椎野委員 いや、特に。

○澤邉委員 ないですか。島だったら、もうちょっとほかのヤブカなどもいますので、ちょっとそこら辺をお聞きしたいと思ったのですが。

 それともう一つ、熱海市内とか都内ではなくて、それ以外のところで蚊も多いと思うのですが、刺された記憶というのは余りないのでしょうか。

○椎野委員 本人は、もう初島で何カ所か刺されたという記憶しかありませんで、熱海市内とか東京に行ったときも刺されていないということだったものですから、推測なのですけれども、初島での勤務中に刺されたのではないかということで、今回、消毒等を実施しました。

○大石和徳委員長 ありがとうございました。

 ほかはございませんでしょうか。

 そうしましたら、これまでのお三方の御報告について、資料説明につきましてはこれで議論は打ち切りたいと思います。

 それでは、議題(2)蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針の策定について、事務局から資料2の説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○梅木課長補佐 事務局です。

 それでは、資料2、お手元にございますでしょうか。「蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針(仮称)の策定について」というものでございます。

 この資料にざっと少し目を通していただきたいと思うのですが、2ページ目に感染症法に基づく蚊媒体性感染症への対応というものがございまして、その次のページ以降に、主な課題であるとか、感染症予防指針の位置づけ、今後の予定、それから対策の柱(案)ということがございます。その次に、7ページになりますが、指針の各章ごとの記載内容案ということになります。8ページ以降に、各章ごとの論点ということで、おのおの論点をつらつらと書いてございまして、これらを少し読み上げることを考えておりまして、少しお時間をいただくことを御容赦願いたいと考えております。

 それでは、2ページ目、感染症法に基づく蚊媒介性感染症への対応ということで始めたいと思います。

 まず、1999年ですが、感染症法の制定というところで、デング熱、マラリア、日本脳炎を「(旧)四類感染症」として指定して、患者の全数報告を義務づけております。

2002年に感染症法政令の改正を行いまして、ウエストナイル熱を(旧)四類感染症に指定しております。

2003年、感染症法の改正がございまして、新たな類型を設けまして、「(新)四類感染症」を創設しまして、蚊媒介性感染症について、積極的疫学調査の実施、蚊の駆除などの措置を適用できることとしております。それから、動物の輸入届出制度を創設ということになってございます。

2011年には、感染症法政令の改正を行いまして、チクングニア熱を(新)四類感染症に指定しております。

 また、本年8月末から10月にかけてデング熱の国内感染事例が発生しております。もともと事前に暫定版は準備していたところですが、自治体向けの「デング熱国内感染事例発生時の対応・対策の手引き」、それから、臨床医向けの「診療ガイドライン」を作成・改訂しております。また、全国の地方衛生研究所に迅速診断キットを配布。また、「デング熱対策に関する関係機関緊急対策会議」を開催しております。

 そのほか、2002年以降毎年開催しているのですが、「ウエストナイル熱等に係る関係省庁連絡会議」を開催しているところです。

 では、3ページ目に移ります。蚊媒介性感染症に関する現状と主な課題です。

 デング熱につきましては、本年8月に約70年ぶりに国内感染が確認されまして、以後160名程度の国内感染例が確認されております。

 蚊媒介性感染症の蔓延防止のためには、平時からの蚊対策、患者の的確な診断と適切な医療の提供、迅速な発生動向の把握、発生時の的確な蚊対策を含む迅速な対応等が重要でございますが、近年は、感染症対策の一環として蚊対策を行うことがまれとなっていることがあります。そのため、各自治体において蚊対策の知見が乏しくなっており、蚊媒介性感染症対策の充実が喫緊の課題となってございます。

 蚊媒介性感染症につきまして、感染症法第11条に規定がございますが、こういった特定感染症として位置づけることによりまして、当該感染症に応じた予防の総合的な推進を図るための指針を策定することになっております。

 4ページに移りますが、特定感染症予防指針の位置づけをごらんいただければと思います。

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律という法律にぶら下がっているものでございまして、国が定める基本方針というものと都道府県が策定する予防計画、それからまた別に、特に予防対策を進めるべきものとして位置づけられているものが青色の特定感染症予防指針といったものがございまして、現行の感染症としては、インフルエンザ、性感染症、後天性免疫不全症候群、結核、麻しん、風しん、これらについて特定感染症予防指針が策定されておりまして、今後、仮称ですが蚊媒介性感染症に関する特定感染症予防指針をつくっていきたいというところであります。

 では、続きまして5ページです。この予防指針の策定に向けた今後の予定を案としてお諮りしてございますが、本日、第1回目の小委員会を開催いたしまして、来年1月14日、第2回を予定してございます。第3回につきましては2月下旬、それで、3回でおまとめをしていただきたいと考えてございます。そちらのほうでこの予防指針がまとまりましたら、3月上旬に、親部会でございます第8回感染症部会へ御報告、意見の聴取ということになります。その後、所要の手続がございまして、4月中に指針の告示、適用ができればと考えてございます。

 続きまして、6ページ目に移ります。蚊媒介性感染症の対策の柱(案)としておりますが、今般の指針策定に当たりまして、以下の柱を中心に総合的な蚊媒介性感染症対策を実施する方針としてはどうかというところでございます。

 大きな柱として6ありまして、まず1番目、国内感染例未発生時の予防対策です。それから、2番目としては発生動向の調査の強化、3番目としましては国内感染の流行拡大防止対策、4番目が医療の提供、5番目が人材の養成、6番目が推進体制及び普及啓発の充実、こういった柱で考えております。個別のところですが、これは後ほどございます各章ごとの論点というところで、より詳細な議論をしていただきたいと思います。まずは、この柱がこの6本でいいかどうかについては、この資料をもって御検討いただければと思います。

 続きまして、7ページ目でございます。7ページ目にありますのは、予防指針の各章というものを設けていまして、その各章ごとの構成要素、記載内容を一覧でお示ししている案になります。

 まず、前文から始まりまして、第一として国内感染例未発生時の予防対策、第二として発生動向の調査の強化、第三として国内感染の流行拡大防止対策、第四として医療の提供、第五として研究開発の推進、第六として推進体制と普及啓発の充実、第七として人材の養成、第八として国際的な連携、こういった項目で記載してはどうかというところになります。よろしいでしょうか。

 では、各章ごとの論点に移っていきたいと思います。これらは、前文から始まりまして、第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八といった形で少し読み上げていきたいと思います。

 まず、論点整理(前文)です。

 前文と申しますのは、この予防指針を作成するに至る理由であるとか経緯であるとか、そういったところを記載していくものと位置づけておりますが、記載項目案としては、対象となる蚊媒介性感染症、それから、左側の項目を少し読み上げますが、蚊媒介性感染症の対策の重要性、蚊媒介性感染症の現状と問題点、対策の方向性、指針の位置づけと見直しの規定、こういった記載項目案として考えております。この記載項目案が、これでまず十分かどうか、過不足ないかどうかというところですが、まずは、対象となる蚊媒介性感染症の主な論点というところを読み上げていきたいと思います。

 主な対象疾患は、国内に常在しているヒトスジシマカが媒介する感染症として、本年国内感染事例を認めたデング熱及び今後国内発生が懸念されるチクングニア熱の二つとしてはどうか。なお、媒介蚊はことなるが、デング熱と同様、輸入例が見られるマラリアについても、必要に応じて言及することとしてはどうか。こういった論点です。

 2つ目の蚊媒介性感染症の対策の重要性。感染する経路が人-人ではなく、人-蚊-人であるため、感染症対策部局にとどまらず、生活衛生部局、公園等施設管理者、蚊駆除者、施設利用者、住民等が連携しつつ、近年国内では重要視されてこなかった蚊対策を含む人-人感染とは違った視点からの感染症対策が重要との視点はどうか。

 それから、蚊媒介性感染症の現状と問題点ですが、平成26年のデング熱国内感染事例の原因分析と、それを踏まえた記述としてはどうか。

 対策の方向性ですが、今後も、渡航者等を通じ海外の流行地域からデング熱ウイルス等が流入する可能性があるため、国及び都道府県等は、関係機関及び住民と協力しつつ、平時及び患者発生時にリスク評価を適切に行い、必要な範囲において適切な対策を講じることを目指すこととしてはどうか。

 あとは、位置づけと見直しの規定については、規定がございませんで、相応の記載になろうかと思います。

 続きまして、10ページ目、論点整理(第一 国内感染例未発生時の予防対策)です。

 記載項目案としては、一、二、三とございまして、一 基本的な考え方。この主な論点としては、関係機関等及び個人が予防に取り組むことが基本であり、その予防の積み重ねにより、社会全体のまん延の防止に結び付けることが重要としてはどうか。

 二 一般的な予防方法の普及。論点ですが、一般的な予防方法について、科学的根拠に基づき、周知徹底を図っていくこととしてはどうか。

 三 国内未発生時の対応。感染症の発生に関する人・蚊についての総合的なリスク評価を行い、幼虫及び成虫蚊対策、公園等で長時間滞在する者への対応等に関して記載してはどうか。

 国が、人及び蚊についての疫学調査等に関する手引きを作成し、それを踏まえ、都道府県等は発生時対応マニュアル等を整備することとしてはどうか。

 輸入例については、周辺の蚊の発生状況に留意しつつ、患者の国内での蚊刺歴等の

確認を行う疫学調査と蚊の発生時期における衛生教育を行うこととしてはどうか。

 この3つの事項でよいかどうかも含めて御検討いただければと思います。

 では、11ページ目に移ります。論点整理(第二 発生動向調査の強化)。

 項目としては、一、二、三、四、五、六とございまして、一 基本的考え方。論点ですが、蚊媒介性感染症についての情報の収集及び分析を進めていくとともに、発生時には原因の特定のため、正確かつ迅速な発生動向の調査を行っていくことが重要としてはどうか。

 二 考え媒介性感染症の発生動向の調査の強化。論点ですが、感染症の発生動向の調査に当たっては、医師の届出による患者情報のみならず病原体及び媒介蚊の情報も含めて、総合的に行うこととしてはどうか。

 三 蚊媒介性感染症の届出。国が一連の手順等を示した手引きの作成等を行うこととしてはどうか。

 病原体の遺伝子検査のため、診断後にも検体の提出を依頼してはどうか。

 四 日本医師会との協力。患者発生時には検体提出についての協力を依頼してはどうか。

 患者への衛生教育(ウイルス血症時の防蚊及び献血を避けることの重要性)を依頼してはどうか。

 五 病原体遺伝子検査等の実施。論点ですが、国及び都道府県等は、提出された検体について、できるだけ全例で病原体の遺伝子検査等を実施し、可能な限り、遺伝子配列の解析を実施することとしてはどうか。

 六 国際的な発生動向の把握。論点ですが、蚊媒介性感染症は、我が国のみならず世界中で発生する感染症であることから、国際的な蚊媒介性感染症の発生及び流行の状況を把握してはどうか。

 となります。こういった項目でよいか、内容についても御議論いただきたいと思います。

12ページに移ります。論点整理(第三 国内感染の流行拡大防止対策)。

 記載項目案としては2つございます。

 一 基本的考え方。論点ですが、関係機関等及び個人が予防に取り組むことが基本であり、その予防の積み重ねにより、国内感染例の流行拡大の防止に結び付けることが重要としてはどうか。

 二 国内発生時の対応。国内症例発生時には、発生した保健所管内及び国立感染症研究所において迅速に情報提供を行うとともに、必要に応じ注意喚起を実施してはどうか。

 国内感染事例については個別症例ごとに疫学調査(人・蚊)を実施してはどうか。

 積極的疫学調査の結果、他の自治体への情報提供を要すると判断した場合には、迅速に情報提供を行い、必要に応じ、自治体間で連携を取りつつ対策を講じてはどうか。

 国内の同一地点で複数例が発生する等、必要な場合は、リスク評価を行った上で、蚊の密度調査を含む媒介蚊対策を実施することとしてはどうか。

 患者に対する適切な衛生教育を都道府県等がすることとしてはどうか。

 調査を実施する者に対する感染防止対策を行うこととしてはどうか。

 こういった項目になってございます。

 では、引き続き、13ページに移ります。論点整理(第四 医療の提供)です。

 2つの記載項目がございまして、一 基本的考え方。主な論点ですが、的確な診断を行いやすい環境(診断体制の充実や専門家への相談体制の整備)と適切な治療の提供を記載してはどうか。

 患者等が施設敷地内での蚊刺咬に留意が必要であるとの視点は必要か。

 二 医療関係者に対する普及啓発。蚊に関する情報、治療に関する情報及び院内での蚊対策の実施方法の情報提供をしてはどうか。

14ページに移ります。論点整理(第五 研究開発の推進)。

 主な項目は一から五まであります。

 一 基本的考え方。主な論点ですが、蚊媒介性感染症の特性に応じた発生の予防及びまん延の防止のための対策を実施し、良質かつ適切な医療を提供するためには、感染のまん延の防止、また、良質な医療の提供につながるような研究を行っていくこととしてよいか。

 二 ワクチン等の研究開発の推進。論点ですが、ワクチンに関する研究開発を推進することとしてはどうか。

 以下の研究についてはどうか。

 ・有効かつ適切な蚊の駆除の仕方の研究

 ・新たな駆除の方法の開発(物理的、化学的、生物学的)

 ・蚊の分布調査・モニタリングシステムの構築(土地利用図やGISの活用等)を考えております。

 三 疫学研究の推進。早期把握の手法に関する研究、人及び環境における詳細なリスク因子の解明に関する研究、蚊媒介性感染症に罹患した場合の重症化要因の究明に関する研究等を推進してはどうか。

 四 研究機関の連携体制の整備。論点ですが、国立感染症研究所、地方衛生研究所、大学、国立国際医療研究センター等からなる研究機関の連携体制を整備してはどうか。

 五 研究評価の充実。研究の成果を的確に評価するとともに、研究の成果を広く一般に提供していくこととしてはどうか。

 こういった内容になってございます。

 続きまして、15ページ目です。論点整理(第六 推進体制と普及啓発の充実)です。

 記載項目案としては一から三までございます。

 一 基本的考え方。主な論点ですが、蚊媒介性感染症の対策を推進するために、施策の検討・評価を行う体制を整備してはどうか。

 二 都道府県における蚊媒介性感染症対策の会議。各都道府県に感染症の専門家、医療関係者、市町村の担当者、蚊防除関係者等からなる会議を設置し、地域の実情に応じた蚊媒介性感染症対策の検討や、実施した対策の有効性等について評価を行うこととしてはどうか。

 三 普及啓発の充実。蚊及び蚊媒介性感染症に関する正しい知識、積極的疫学調査への協力の必要性等を周知してはどうか。

 国は海外渡航者向けの情報提供を一層行ってはどうか。

 都道府県等及び市町村は住民セミナー等を開催し、住民の協力を得て平時から蚊の対策を講じることができる体制を構築してはどうか。

 こういった記載をしております。

 続きまして、論点整理(第七 人材の養成)に移ります。

 記載項目案としては一から三まで。

 一 基本的考え方。論点ですが、蚊媒介性感染症に関する幅広い知識や研究成果について社会や医療現場への普及等の役割を担う人材の養成をしてはどうか。

 人材の養成に当たっては、国及び都道府県等のほか、大学、国立病院機構、関連諸学会等の関係機関が連携し、研修を実施してはどうか。

 二 国による人材の育成。都道府県等の職員、医師等の医療関係者等に対する研修に関して必要な支援をしてはどうか。

 三 都道府県等における蚊媒介性感染症に関する人材の養成。以下の研修を通じ、職員の人材を養成してはどうか。

 ・積極的疫学調査(ヒト、蚊)の研修

 ・蚊の調査(捕集・密度・同定)・駆除に関する研修

 ・医療関係者への研修

 ・ウイルス検査の研修等です。

 最後のページになりますが、論点整理(第八 国際的な連携)です。

 一から三までありまして、一 基本的考え方。主な論点ですが、世界保健機関等との国際的な連携を強化し、情報交換等を積極的に行うことにより、世界的な蚊媒介性感染症の発生動向の把握、蚊媒介性感染症の国の施策の研究等に努め、我が国の蚊媒介性感染症対策の充実を図っていくこととしてはどうか。

 二 諸外国との情報交換の推進。政府や研究者間等において、蚊媒介性感染症に関する研究の成果等についての国際的な情報交換を推進してはどうか。

 三 国際機関への協力。国際機関と協力し、蚊媒介性感染症の流行国の対策を推進することで、海外で感染し、国内で発症する患者の発生を予防することにも寄与することから、国際的な対策の取組に積極的に関与してはどうか。

 こういったところで現在考えているところです。

 以上となります。

○大石和徳委員長 梅木補佐、どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの御説明について議論していきたいと思うのですけれども、まずは、最初にありました蚊媒介性感染症の対策の柱、6ページにありましたけれども、この6つの柱について、特に御意見、大きな柱が抜けているようなことはないでしょうか。

 基本的には、この柱が各8章に組み込まれている形になっていると理解しますが、いかがでしょうか。特にありませんか。

 そうしましたら、全体を振り返って、論点整理のところで、各章の主な論点が記載されましたけれども、その説明がありましたけれども、その内容についての御質問を含めて議論していただければと思いますが、いかがでしょうか。

 御質問がないようなので、私から事務局に、検査体制のことで質問します。今日は地方衛生研究所の代表の調先生が御欠席、ですが、地方衛生研究所ではできるだけ全例に対してウイルス遺伝子検査等を実施し、可能な限り遺伝子配列の解析実施を表明されています。一方では、高崎先生の御説明によりますと、ブロック別の幾つかの地方衛生研究所で実施するとも伺っております。今後は各地方衛生研究所で、ウイルス遺伝子検査体制を整えると考えておられるのか、その辺、事務局にお伺いすることはできますか。

○梅木課長補佐 2ページ目に少し記載させていただいていますが、今回の8月末から10月にかけての国内感染事例が発生したというところで、全国の地方衛生研究所に対して迅速診断キットは配布しておりまして、これはPCR検査までは配布しているところでございます。なので、PCRまでは全国の地方衛生研究所で。

○高崎委員 PCRは、発注はしていますが、まだ納品まで至っていないですよ。

○梅木課長補佐 そうですか。現在、PCR検査も含めて整備をすすめているところですので、今後体制が整備されることにはなろうかと思います。

 全例の遺伝子配列までとなると、高崎先生等からのコメントが少し必要かと思います。

 それから、できれば章ごとに進めていただきたいと思っておりまして、前文からできれば進めていただきたいと考えております。

○大石和徳委員長 わかりました。

 まずは、検査体制について、高崎先生から何か補足がありますか。

○高崎委員 シークエンスのほうは、流行が拡大すればやらざるを得ないかと思います。でも、1例ぽつんと出るとか、そういうところであって、検体がうまく確保できなければシークエンスまで至らないということが結構ありますので、後でも出てきますけれども、結局、検体の提供というところの部分で、病初期の検体がないと高いウイルス血症の検体が得られないということですので、ここに、いわゆる検査会社もかかわってくるかなと。つまり、検査会社に提出した検体をある程度保管してもらって、バックしてもらうというシステムがないと、ちょっとそこのところは今後必要かと思います。

○大石和徳委員長 今後、そのNS-1抗原キットが保険収載されれば検査会社が実施することも考えられる。また、そういった検査会社が迅速診断検査後の血清を保存しておれば、その後に遺伝子検査もできるかもしれないという話ですね。

 各地方衛生研究所でNS-1抗原検査とPCRまではできるように体制をとるし、シークエンスについては、感染研と相談しながら実施していくという体制になるということですね。はい。ありがとうございました。

 それでは、事務局からのお話がありましたように、9ページの「論点の整理(前文)」のところから議論をしていきたいと思いますけれども、ここで記載項目案として6つの前文の案があって、そして、主な論点として右側に記載されているところですけれども、ここで何か御意見がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。澤邉先生。

○澤邉委員 最初の主な論点の主な対象疾患のところで、デング熱及びチクングニア熱の2つとしてはどうかということですけれども、下のほうにマラリアも書いてあるのですが、これは媒介蚊が全く違いますので、この記述は私としては入れていただきたいと思いますが、検討していただいたほうがいいのではないかと思います。記述がかなり難しくなるのではないかと思いますが、そのところはどのようにお考えでしょうか。

○大石和徳委員長 事務局から御説明されますか。

○感染症情報管理室長 先ほどの高崎先生の説明のところでも、媒介蚊の状況がヒトスジシマカとは大分違うというようなこともあって、日本国内での発生というところが大分違うというようなことではないかと。そのようなことを加味しつつ、各ボリュームとしては、ヒトスジシマカのところとは相当違った度合いになっていくのではないかと。ただ、言及ということはさせていただくのは、これは輸入例もあることですので、それで、そういうまとめ方でいかがかと考えています。

○大石和徳委員長 そうですね、マラリアやデングの輸入もありますので、その診療体制、検査体制についても組み込まれていくことになろうかと思います。

 ほかはいかがでしょうか。

○大石浩二委員 大石です。

 先ほどの澤邉先生と同じ場所なのですけれども、ヒトスジシマカの感染症ということをメーンにと。それで、マラリアに言及するのであれば、イエカ類が媒介するウエストナイルも入ってくるリスクがありますし、日本脳炎のウイルスも国内にまだたくさんあって、予防接種を受けていらっしゃらない方もいらっしゃるというような状況がありますので、そういったイエカ類についても言及してはどうかとちょっと思いました。

○大石和徳委員長 今の大石委員からの御意見なのですけれども、この点はいかがでしょうか。高崎委員、何か御意見はありますでしょうか。

○高崎委員 確かに、マラリアというものが入れば、日本脳炎も輸入例というのも過去にはありますので、言及するだけというのであればイエカ類も確かに入れておく必要は、特に、日本脳炎という病気そのものが、日本にもうないと思っているようなお医者さんもいらっしゃるので、そこをどう考えるかと。ただ、余り広げると焦点がぼけてしまうところもあって、そこは議論すべきだと思います。

○大石和徳委員長 ウエストナイルについては、鳥がウイルスを運んでこないと国内での流行はあり得ないと思います。過去にわが国でも1例だけ輸入例があったと記憶はしておりますけれども、この辺はいかがですか。

○高崎委員 農水関係がかなりもういろいろなペット類とか、鳥とか、それから馬とか縛りをかけてしまっていますので、リスクとしては低いかとは思いますけれどもね。

○大石和徳委員長 そうしますと、輸入例あるいは国内発生例がある日本脳炎ぐらいまでは、検討するということでしょうか。事務局としてはいかがお考えですか。

○感染症情報管理室長 先ほどマラリアのことも、言及の仕方はあろうかとお話ししましたけれども、このイエカのところが媒介するようなもの、可能性としては、国内発生で何か今、直ちに危険が迫っている状況ということではないのかもしれないですけれども、言及の仕方はあろうかと思います。そうしたら、ちょっと工夫はさせていただくというような形でいかがでしょうか。

○大石和徳委員長 ありがとうございます。

 前田委員。

○前田委員 自治体からすれば、これは要するに感染症法に基づいた指針であると。そこへ、もう大々的に「蚊媒介性感染症」となっていると、当然そういう流れでくると全部の疾患が入っているのだろうと思って捉えるというところがありますので、もし対象疾病を絞るのであれば、そのことをこの指針の位置づけ等の中で明確にしておいていただかないと、そう思って読んでみたら、ほかのことは書いていないのだなということになってしまいますので、そのことはしっかり記載しておいていただきたいと思います。

○大石和徳委員長 そうですね、前文の主な論点のところに書き込むということはできると思います。

○感染症情報管理室長 それについては、現行の論点の考え方のところで、デング、チクングニアというような形のところを列挙しているようなところで、よく説明させていただこうかと考えます。

○大石和徳委員長 よろしいでしょうか。この前文ところでは、ほかにはございませんか。

 ないようでしたら、次の論点整理の第1章「国内感染例未発生時の予防対策」のところの記載項目案一、二、三、そしてその論点について御意見がございましたらお願いいたします。高崎先生、どうぞ。

○高崎委員 三の国内未発生時の対応というところの丸の3、一番下ですけれども、「蚊の発生時期における衛生教育」というところはちょっと、具体的には蚊そのものの、イエカの違いとか、ヒトスジシマカの特徴とか、そういうものも含まれるということでいいでしょうか。衛生教育という。

○大石和徳委員長 そうですね、余り聞きなれない言葉かもしれませんけれども、これはどういったことを意図しておられますか?事務局いかがですか?。

○梅木課長補佐 衛生教育というのは、蚊に刺されないようにしましょうとか、そういったことを想定しておりまして、そうであれば、冬場にそういった衛生教育を行う必要はないだろうと考えておりまして、蚊が発生する時期においては、蚊に刺されない、防蚊対策といったことが必要ではないかと。そういった衛生教育を行うべきではないかということで考えております。

○高崎委員 対象は広く一般?

○梅木課長補佐 これは患者ですね。患者の輸入例についてはということで。

○高崎委員 輸入患者に関してということですね。

○梅木課長補佐 そうです。輸入患者については、周辺の発生状況に留意しながら、国内でこれまで発生履歴があるのか、要は、ウイルス血症時期に蚊に刺されていないのかどうかというような疫学調査を行いながら、同時に、蚊に刺されないように注意してくださいねといった教育を行うということを考えて記載しているところです。

○大石和徳委員長 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○前田委員 同じところで、この海外で感染された方の輸入例についてどう対応するかということも都の会議の中でいろいろ議論をしているのですが、これまでは、先ほど申しましたとおり、患者の治療をしっかりすることという程度でございました。ただ、今般のことを考えると、できるだけ早期にある程度予防するという観点から、東京都では、海外輸入例についても、この刺咬歴を調査するだけでなくて、必要に応じて、刺咬歴のあった場所等についての駆除も検討するという方向で今、考えているわけですが、国の指針では、輸入例については引き続き蚊の疫学調査を行うけれども、その先はないということでよろしいのでしょうか。恐らく、自治体の側では、調査をするだけで、何か、その先はどうするのだと感じるのではないでしょうか。もし、この場所で発症後、多く蚊に刺されたということを本人が言った際、どういうふうに対応するのかというところなのですけれども。

○大石和徳委員長 どうぞ、事務局。

○感染症情報管理室長 サーベイランスというのは、やはり見張るということと、見張ったことをもとに対応する必要があるかどうか検討してやるというところが大事なポイントではないかと思います。夏の間に帰ってこられる患者さんがいた場合には、やはり蚊の刺咬歴等々に基づくところは必要なのかもしれません。冬の間も結構帰っていらっしゃるところなど、そういったときには、余りそういったことまでは必要ないかとは考えています。そこは、疫学調査をする以上、評価というものも大事なポイントになってくるかと考えています。

○大石和徳委員長 輸入例で、同じ家族内で患者発生があるようでしたら、また、家族内での感染伝播(人—蚊-人)があった可能性を考えて対策をとらなければならないかもしれないというところかと思います。

 いかがですか。どうぞ、先生。

○大曲委員 我々医療者の一つの反省として、デングに罹患された方は、多くの方がお休みになられるわけですが、国内で二次感染が起こり得るということはなかなか想定していなかったものですから、御自宅等で療養される際の生活の指導等々までは気が回っていなかった面があります。例えば、具体的に蚊に刺されないようにどう教育するか、お伝えするかですとか、復職はどのタイミングが安全かというところがありましたの。その大前提として、ここに書かれているところの国内での刺咬歴等の確認等は大事だと思いますし教育にもつながるかと思います。

○大石和徳委員長 ここは、まさに医療機関で患者教育をしていただくということになろうかと思いますので、ここの部分は指針にも組み入れていきたいと思います。

 この第1章の部分で他の御意見はいかがでしょうか。

 ないようでしたら、第2章「発生動向の調査の強化」については御質問がありますでしょうか。どうぞ、澤邉先生。

○澤邉委員 2番目のカラムなのですが、「病原体及び媒体蚊の情報も含めて」ということは、これはどの程度の媒体蚊の情報もということでお考えでしょうか。種類とか、リスク評価をするためにモニタリングをなるべくやるようにという話になっていると思うのですが、現在多いですよ、少ないですよとかという情報、もしくはどういう蚊がいますとか、一般的な話とか、どの程度までの情報とお考えでしょうか。

○大石和徳委員長 事務局御願いします。

○梅木課長補佐 こちらにつきましては、媒介蚊の情報というので、少なくともどこまで必要なのかというのは、ちょっと御議論していただく必要があるだろうと。種類程度でいいのか、あるいは密度まで必要なのか、そこら辺については、基本的に種類とかといったところは想定していますが、それ以上詳細なものが必要であれば、そこはちょっと検討していただく必要がございます。

○大石和徳委員長 この章の記載については、未発生時及び発生時についてということなのでしょうか。澤邉先生、収集可能な情報としたら、どういったことになりますか。

○澤邉委員 これは場所が特定はもちろんできないのですけれども、未発生時ということであれば、どこか定点みたいなところでモニタリングをするということがまず推奨されると思いますので、そういったところで、例えば新宿区のどこどこでは蚊が多くなってきますよとか、現時点でふえていますとか、そういった情報が流されればいいかと思います。

 種類に関して言うと、主にこれは公園とか民家、住宅地とかになってきますので、イエカも入ってくるでしょうけれども、公園を中心にするとほとんどヤブカですので、種類はそれ以上はわからないことがあるかもしれませんので、少なくとも数自体は、イエカ、ヤブカというかかりで、多くなりました、少なくなっていますみたいな情報は流せるといいかなと思います。

○大石和徳委員長 ありがとうございました。

 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

○大曲委員 国際医療センターの大曲です。

 これはあくまで確認だけなのですけれども、3番目の柱で届出のことがあります。「一連の手順等を示した手引きの作成等を行うこととしてはどうか。」という内容なのですけれども、お察しするに今後の対策の中で迅速検査等々も導入されていくだろうと思います。仮にそういうものが使えるようになったような状況において、具体的にどのような状況であれば、どの検査を用いて届出をすればいいのか、あるいは場合によっては検査しないで疑似症として届出もあると思いますが、要はその辺の整理をされるという意味なのでしょうか。

○大石和徳委員長 ここは記載のとおりで、届出の手引きを作成するという方針ですね。よろしいですか。

○大曲委員 と申しますのも、この8月のシーズンに自身の医療機関には迅速検査のキットがないので診られないという声がありました。どこの医療機関で診るのか、どこの点で保健所に相談するのかといったところで少し混乱があったものですから、整理されるのかと思いました。

○大石和徳委員長 ことしは、そういった診断系の問題があったので、来年以降は検査体制を整えながら診断の手引きをつくっていくということになろうかと思います。

○氏家課長補佐 事務局です。大曲委員から御指摘があったように、診断体制を整えつつ、今回、ことしに関しましては、自治体に診断検査を行っていただくために、高崎先生の研究班から確定診断を行うための基準というものを示していただいて、発熱であるとか、デング熱に特徴的な症状に加えて、血小板の減少といった、ある程度、どういったときにデング熱を特定するための診断検査が必要になるのか等の基準等も示していただいていますので、そういったことも踏まえて、適切な診断、そして届出につながるようなプロセスの整理というものが必要になろうかと思います。そうしたことについても、また指針を作成する中で御議論いただければと考えているところでございます。

○大石和徳委員長 ありがとうございました。

 ほかに、第2章はこれでよろしいでしょうか。

 では、続きまして第3章「国内感染の流行拡大防止対策」、この点についていかがでしょうか。どうぞ、高崎先生。

○高崎委員 頼まれたこともあるので、国内発生した場合の注意喚起を実施してはどうかというところで、保育所のお散歩というあたりのことが結構もめたみたいで、近隣で。それで、要するにお散歩に行くときに、ディートで虫よけ剤をつけていくのか、それともやめたほうがいいのかというのは、父兄の間でも賛否両論になったとかというところがあって、その辺も、ガイドラインは難しいですけれども、何となくもう少し統一の見解のようなものを示してほしいという小児科の先生からの御意見がありました。

○大石和徳委員長 ありがとうございました。是非、その辺も指針作成の中で考えていきたいと思いますが、事務局から何かありますか。

○感染症情報管理室長 なかなか大事なポイントかもしれないのですけれども、指針に全部そういったところまで網羅的にやるのはなかなかこれ、多分1年ぐらいかかってしまうかもしれなくなってしまいますので、やはりここはある程度ポイントを我々絞って、時間も限られているところですので、まとめて、あと細かいところは、また具体的な手引きとかガイドラインでやっていくというところがいいかなとちょっと考えています。

○大石和徳委員長 ほかはいかがでしょうか。ございますか。前田委員、どうぞ。

○前田委員 国内発生時の対応ということで、やはり蚊の刺咬歴等に基づいた疫学調査に加えて、成虫の駆除ということがここでの最もポイントとなる流行拡大防止対策だと思うのですが、余り明確にそういうふうにここに記載されていないのが、ちょっと不思議かなと。疫学調査を行うとともに、当然、先ほどの海外のところもそうだったのですが、ここも「疫学調査を実施してはどうか。」というところにとどまっておりまして、その先の蚊の駆除等について記載がないわけですが、もう論点にならない、当たり前のことだからここに書かれていないのかどうかわかりませんが、当然ここにそういうことは書かれるのだと理解してよろしいかということ。

 あと、これは都における会議でも高崎先生、澤邉先生にいろいろお願いして、何とかできないかとお話ししているのですが、その際に、各自治体が標準的に行えるような指針をいただかないと厳しいかと思っておりまして、それは、この基本指針に入るのか、あるいはそれに基づいた手引き等になるのかというところはあるかと思いますけれども、やはり各自治体が標準的にそうした疫学調査及びそれに基づいた駆除等を行う基準というようなものを示していただければと考えています。

○大石和徳委員長 この点は、事務局、いかがですか。

○梅木課長補佐 事務局ですけれども、個別症例に対して、疫学調査を必ずヒトも蚊もするかどうかは別として、ヒトと蚊に対して実施すると。そういった中で調査をした結果、下から3つ目に多少記載がございますが、「国内の同一地点で複数例が発生する」、そういった情報が把握できた場合には、必要に応じて「リスク評価を行った上で、蚊の密度調査を含む媒介蚊対策を実施する」。その媒介蚊対策の中に駆除というものが含まれ得ると認識しておりまして、どこまでの細かいところの基準をここの指針で書き込むかは、少し詳細なガイドラインに落とし込むことも考え得る中で、1つの基準というものはこういったところでどうかということで御提案しているところです。

○大石和徳委員長 ありがとうございました。

 前田委員、今の御説明でよろしいですか。

○前田委員 わかりました。ただ、今の御説明の中の「同一地点」というところですが、これは恐らく、診断体制が整備されればそれでいいかと思いますけれども、ことしのようなやはり1例目の際に追跡調査を行うことによって発生の状況が確認されるようなことがございますので、もし、NS-1抗原が承認されず早期の探知が難しいような状況であるとすると、この「同一地点で複数例」が確認される時まで、ある意味待って対応するのかどうかというところは、ちょっと議論になるところかと思います。

○大石和徳委員長 ありがとうございます。

 どうぞ、椎野委員。

○椎野委員 熱海市ですけれども、熱海市は、観光客の方がいつも大勢来られていますけれども、こういうデング熱が発生してから蚊を駆除するといいますと、新聞等でいろいろ書かれて、風評被害等を考えますと、観光客で成り立っているまちなものですから物すごく影響が大きいのです。

 それで、まずは第1に、ここの基本的な考え方にあるように、予防ということを、予防して、デング熱を発生させないというのを基本にして考えていただければいいなと思っています。

 以上です。

○大石和徳委員長 ありがとうございました。

 発生せずに済めばそれに越したことはないわけですので、発生予防に向けた対策をしていくことは大事なことだと思います。

○澤邉委員 ここのところにもありますし、その前のところにもあるのですが、「衛生教育」という文言ですが、少し気になるのですけれども、要するに蚊に刺されないようにする、次の感染源になり得ますよということを御本人に説明するということですね。ちょっと違うような気がするのですが、どうでしょうか。衛生教育以外に何か適した言葉があればいいかと思いますけれども。

○梅木課長補佐 はい。これは、あくまで保健所とかがよく使っている言葉でして、健康教育とか衛生教育とかといった概念で使われている言葉ですので、この文言自体には特にこだわりはございませんが、内容としては、ウイルス血症時の防蚊、それから、献血を避けていただきたいということですね。その2点を今のところは想定しております。

 適切な文言ということで御提案いただけるようであれば、もちろん御提案していただければ結構です。

○大石和徳委員長 それは指針作成の中で議論していきましょう。

 続きましては、第4章のほうに移りたいと思います。「医療の提供」のところで御意見ございますでしょうか。

○角田委員 東京都医師会の角田でございます。

 東京都の会議の中では幾つか議論しているのですが、やはりこの医療体制、つまり診断に結びつけるためには、最初に患者さん疑いの方はかかりつけ医に行く、一般医療機関に来て、それを迅速診断キットがある医療機関に紹介する。つまり、最初に、今回いただいた指針のように、発熱があって、蚊に刺されて、しかも血小板が下がっている、そういった要件の人を実際診断するために、ある決められた医療機関に御紹介する。そういった連携が非常に重要だと思います。多分、本当の患者さん以外に、何倍もその疑いとか心配のある患者さんが一般のかかりつけ医にも来ますので、そこをきちっと連携して、ある程度、一般医療機関でファーストトリアージをして、そこから診断のつく医療機関に紹介するという連携が極めて重要だと思いますので、そこをきちっと明記していただきたいと思います。

○大石和徳委員長 その点は、事務局のほうで準備していただいている高崎先生の班でまとめた参考資料4「デング熱診療ガイドライン」の一番最後のページに「国内におけるデング熱診療の流れ」が記載されており、一次医療機関と専門医療機関の役割が示されています。こういった診療体制を国民や一次医療機関にしっかり周知することが必要ですので、現在、日本感染症学会の中で、専門医療機関のリストアップを検討しています。

○角田委員 連携が重要だということをきちっと明記していただきたいと思います。

○大石和徳委員長 ありがとうございます。

 医療の提供の部分はよろしゅうございますか。

 では、第5章「研究開発の推進」というところで、何か御意見がございましたら。

 事務局のほうでかなりよくまとめられておるので、よろしいのではないかと思いますけれども。どうぞ。

○前田委員 この「ワクチンに関する研究開発を推進することとしてはどうか。」というのは、具体的にどういうことをお考えになっていますでしょうか。

○大石和徳委員長 高崎委員から。

○高崎委員 これは、実はこの研究開発のところの4番とも関係してくるのですけれども、連携、整備ということもね。これは、日本のメーカーで持っていないところというか、持っているところも実はあるのですね。ワクチン関連子会社とか、ワクチンの権利をですね。そういうところの臨床試験、フェーズ2なり3、3は日本ではちょっと難しいのですけれども、2ぐらいまでならできないこともないかなと。あとは、ワクチン等と入っているのは、抗ウイルス剤、そういうもののライブラリーを持っている大学とか、あるいは会社もあるのですけれども、そういうところのスクリーニングで、抗デングウイルス活性物質をピックアップしてくるとかということが考えられるかなと、ワクチンあるいは抗ウイルス剤に関してはそういうところですね。

○大石和徳委員長 ワクチンに関して言えば、これはトラベラーズワクチンとしての開発ということなのでしょうか。その視点のほうが日本としては大きいかと思いますけれども、いかがですか。

○氏家課長補佐 研究開発につきましては、研究としては厚生科学研究班等でいろいろな疾患別等の研究課題を進めていただいているところもございますし、ワクチンにつきましては、例えば、予防接種法に基づく基本的な計画ではありますけれども、そちらで必要であると位置付けたワクチンの開発要請というような形で、対応を行っていますので、そういったことが可能性のある対応として考えられると事務局としては考えてございます。

○大石和徳委員長 よろしいでしょうか。

 ほかになければ、第6章「推進体制と普及啓発の充実」というところですが、いかがでしょうか。

 論点としては問題ございませんか、よろしいでしょうか。

 ないようでしたら、第7章「人材の養成」というところに移りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。どうぞ、大石委員。

○大石浩二委員 西宮市の大石です。

 第7章までに、前文から、第1章から「都道府県等」という表現が続くのですけれども、私は最初、県かな、だけれども、この表現だったら保健所設置市も含むのだろうなという解釈でずっと読んでいて、いや、これはもしかしたら「等」には市町村も含まれるのかなと読めるようなところもあったりとかしているのですけれども、実際の指針を策定される際には、そのあたりは割と明確になるように表現してくださると考えていてよろしいでしょうか。

○大石和徳委員長 事務局に御願いします。

○梅木課長補佐 「都道府県等」というのは保健所設置市までを想定しておりまして、「市町村」と明記しているのは、第六の普及啓発の充実というところで「市町村」と明記はしていますが、基本的には「都道府県等」というのは設置市まで。今回、使い分けをしているのは、「都道府県」と、それから「都道府県等」、それから「市町村」というのがたしか出てくるはずですので、そこの使い分けは現在、検討しております。

○大石和徳委員長 どうぞ。

○大石浩二委員 そういうことになりますと、この第7章の三の都道府県等における人材の養成となりますと、市の職員は対象に考えていないというような感じでしょうか。

○大石和徳委員長 どうぞ。

○梅木課長補佐 職員ということであれば、「都道府県等」というところで、市町村ではなく、保健所設置市までというところで考えております。

○大石和徳委員長 よろしいでしょうか。

○前田委員 済みません。ただ、そうなりますと、人材養成の最後のところに「蚊の調査・駆除」というところがあるのですが、駆除は、市町村が行う場合もあろうかと思いますので、ここが「都道府県等における」となってしまいますと市町村が欠けてしまうのではないかと思います。

○大石和徳委員長 どうぞ。

○椎野委員 熱海市のことしの事例ですけれども、熱海市は保健所を設置していませんで、市の職員が直接駆除をやりました。そういうことを考えますと、直接そういう駆除に当たる市町村の職員も入れていただけたらと思います。

 以上です。

○大石和徳委員長 事務局、どうぞ。

○感染症情報管理室長 前田委員のプレゼンテーションにもございましたように、どういうふうに連携をとっていくかというのはなかなか、一番の大事なところの一つではないかと認識しています。国と、それから保健所などを設置している自治体、そして、さらに起きる場所としては、そういった自治体だけではない、市町村ももちろんございますので、そこのところをどういうふうにこの駆除というところまで結びつけていくかというのは、現状、決まりとしては法律等では、書かれている部分、書かれていない部分があろうかと思います。その辺、先ほど西宮市の大石委員からもお話がありましたので、少しここのところを整理させていただこうかと考えています。

○大石和徳委員長 よろしくお願いいたします。

 それでは、第8章「国際的な連携」の章につきましては何か御意見ございますでしょうか。

 特にございませんか。

 そうしましたら、これで資料2についての議論を終わらせていただきたいと思います。

 本日の議事は以上で終了であります。

 事務局から何かございますでしょうか。

○梅木課長補佐 本日はありがとうございました。

 次回ですが、第2回の小委員会ですが、平成27年1月14日の開催を予定しております。

 事務局としては以上です。

○大石和徳委員長 審議時間が10分ほど超過いたしましたけれども、委員の先生方、事務局の皆さん、御協力ありがとうございました。これで会議を終了したいと思います。


(了)

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