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2014年11月13日 第6回介護労働安定センターの組織及び運営に係る検討会議事要旨

職業安定局 雇用政策課 介護労働対策室

○日時

平成26年11月13日(木)10:00~12:00


○場所

中央労働委員会612会議室


○出席者

委員

是枝座長、因委員、扇田委員、平川委員、松本委員

事務局

中井雇用政策課長、藤枝能力開発課長、内山介護労働対策室長、吉松介護労働対策室長補佐、友安能力開発課長補佐、久志介護労働安定センター理事長

○議題

(1)中間報告を踏まえて25年度以降に介護労働安定センターが実施することとされた事項の取組状況
(2)交付金依存体質の改善について
(3)介護労働懇談会の開催状況概要

○議事

(1)中間報告を踏まえて25年度以降に介護労働安定センターが実施することとされた事項の取組状況について

資料1に沿って、久志介護労働安定センター理事長より説明。

(以下、委員発言を○、事務局発言を●と表示)

 

○扇田委員 前回の検討会以降、介護労働安定センターから我々の団体にも研修の講師の推薦依頼や、雇用管理改善マニュアルを作成するための情報提供依頼など様々な要請がきていた。取り組む事項が沢山あり大変なのではないかと思っていたが、着実に取組みを進めているように見受けられた。民間の介護事業者の意見として、介護サービスを受けたい人は沢山いるが、介護事業者側の戦力が足りないために断っているという実態がある。これからも介護労働安定センターは、ますます必要になると思うので、我々としても大いに支援していきたい。

○是枝座長 実務者研修は介護労働安定センター以外でも実施されているが、人が集まらない。実施規模は大きくないが、義務化が延期されるなど制度上問題があって、他の民間などでは開講出来ていない所もあるという状況で、よく頑張っていると思う。

○因委員 限られた人員で、体質改善に向けてよく頑張っていると思う。もう一つ、介護労働懇談会が全都道府県で行われたことは良かったと思う。ただ他の県でもそうだと思うが、1回開催されただけで顔合わせで終わった。これは今後の課題である。

○平川委員 研修の実績について、都道府県別のデータはないのか。地域性があり、社会資源の多い所は民間が行っているのだろうが、そうでない所では介護労働安定センターの役割はすごく重要だと思うので、見えるような形にしたほうがよい。

●久志理事長 扇田委員からの御意見にありました、我々からの情報提供依頼については、各事業者団体が様々な研究をされているため、それについて教えていただき、団体や先生方の研究を吸収していきたいと考えている。

   平川委員の御意見に関しては、都道府県から受託する研修については、都道府県別に応募するための資格が違っており、介護労働安定センターに応募する資格のないケースもある。

   一般的には、ニーズが多く集まりやすいところには民間企業が参入するため、そういうところについては、応募の要件が厳しかったり、競争入札で落札できなかったりすることから、我々の出番は少ない。

   いずれにしても、都道府県からの受託、関係団体からの受託については、我々にも参加資格があるところについては、いい企画を出して受託できればと思っている。受託状況は県別も含めて、次回報告したい。

○平川委員 介護労働安定センターは、民間ではなかなかできないところをカバーしていくという観点が重要。例えば北海道の場合は主任ケアマネの研修は札幌でしかやっていない。稚内や函館の主任ケアマネは、わざわざ札幌へ来て研修を受けなければならない実態がある。かといって実習を地方でやるにしても講師がいないなどの地域性がある。それは北海道だけの話ではないと思うので、そういったところをどうやってカバーしていくかという観点も必要だと思う。

●久志理事長 我々センターが雇用管理改善の問題について、事業者の中に入り込んで、経営者と労働者の間の調整をすることや、ハローワークや労働基準監督署との関係で相談に乗るということが、民間企業ではなかなかやれない部分ではないかということで、そこがセンターの一つの機能となっている。

   2点目は、能力開発の部分についても、雇用管理改善と同様、事業者の中に入り込んでいくということが、我々だから出来る部分もあると考えている。

   3点目に、平川委員がおっしゃった地域の問題がある。どの辺までが与えられる守備範囲かということを厚生労働省と相談してやっていきたい。ただ、1点だけ注意を払っていることは、少なくとも情報提供については、我々が公益財団であり、公金を受ける団体であるため、全国にある数十万の事業者に対し公平に情報提供できるように努めているところである。

○松本委員 資料を見たところ、事業についても、交付金依存の数字についてもかなり改善している。全国老人福士施設協議会でも人材育成に力を入れているため、センターと連携しながらやっていきたい。

○扇田委員 人材育成ということでは、職業能力開発局育成支援課から、キャリア形成促進に活用できる助成金の支給対象を拡大していることについて、傘下事業所へ周知してほしいと依頼を受けた。介護事業主に対して、従業員のキャリア形成に使える助成金があることを知っているか質問すると、4割の介護事業主は制度があることは知っているが、手続きを行うことができる人材(軍師官兵衛)がいないので活用できていないと言う。明日、全国介護事業者協議会の理事を集めて行う理事会の場で、助成金制度について説明をする予定。制度をいかに隅々まで浸透させるかを、我々団体も考えるが、介護労働安定センターにもお願いしたい。

○因委員 助成金が活用されない理由に、申請書類を書くのが大変ということがある。有料でもいいので、介護労働安定センターが書き方を指導したり、一緒になって作成したりするとよいのでは。

○是枝座長 申請書だけでなく、報告書の作成も大変なので、最後までフォローするという形のほうがよいかもしれない。

●藤枝能力開発課長 介護に限らず能力開発の観点で助成金制度を用意しており、その活用を様々な団体にお願いしている。確かに PR 不足というか、なかなか制度が浸透しないという御批判はいただいている。特に介護関係では、介護労働安定センターを通じた周知方法について、もう少しうまく工夫していきたい。

○因委員 手続代行とか、結構ニーズが多いと思う。

●久志理事長 助成金制度の説明については、都道府県労働局とタイアップしてセミナーなどを行っている。要件の問題や、どうしても御本人に書いていただかなければならないところがあることから、書類の書き方と申請については、私どもが代行するのはかなり難しい部分もある。御提案は大変有り難いが、厳しい審査の結果支払われるものなので、事業者の方々によく理解していただく必要がある。

●藤枝能力開発課長 代行というのは、法制度や手続きの面で難しいかもしれない。   申請書をどこに出すのかなどの初歩的なことも分からないとおっしゃる方もおり、介護労働安定センターがまず話を聞いてアドバイスをするという相談のワンストップサービスのようなものも考えられる。また御相談させていただきたい。

 

(2)交付金依存体質の改善について

   資料2に沿って、久志介護労働安定センター理事長より説明。

 

○因委員 なぜ介護労働安定センターが研修をするのか、民間の営利目的で行っている研修と何が違うかきちんと示さなければならない。

●久志理事長 研修修了後の就職率は、私どもの研修修了者のほうが、その他の研修修了者よりも就職率が高い。6か月講習(介護労働講習)については90%以上の就職率であり、評価していただいている。ただ、今は人手不足ということもあり、介護労働安定センターだけ就職率がいいと言えるどうか難しいところもあるが、採用していただいた事業主から、質の高い研修とお褒めいただくことが、私どもの励みになっている。

   そして、営利目的とは違うという点では平成25年4月1日から公益財団法人となり、公益目的事業として実施しているため、研修定員に満たない場合でも、採算の面で少々無理をしてでも中止することなく実施すべきではないかなどと議論しながら進めている。

   一方で、実施回数は増えたが、結果として平均参加人数が少ないということも現実の問題としてはある。

○因委員 民間では募集したけれど人が集まらず開講できなかった研修がたくさんあった。そういう中で研修を実施するのが介護労働安定センターの役割だと思う。

●中井雇用政策課長 これまで委員の皆様からお話いただいたとおり、介護労働安定センターは、社会的インフラとして存続すべきである一方、交付金依存体質を改善しなければならないということは、営利目的ではないけれども民間的な体質というものも持ってやっていかなければならないという、非常に難しい立場にあると思う。

   引き続き体質改善をしていくにあたって、年間収入が少しずつ減少している一方で、介護労働の確保において、果たすべき役割が大きくなってきている状況にある。このような状況の中で、専門性を活かしたどのような事業に対して事業主からお金を払っていただけるのか、そういったことについてもアドバイスをいただけると有り難い。

○因委員 民間のいいところは取り入れなければならないが、収益は、適正利潤であればいいと思う。そのバランスが非常に厳しい。

●中井雇用政策課長 営利目的ではないとしながら自主事業収入を得なければならないというバランスが、社会的に御理解いただけるかということだと思う。どのような事業だったら収入を得ても差し支えないかといった点についても、様々な御意見を参考に考えていきたい。

○平川委員 今は医療だけに使われている地域医療介護総合確保基金が、来年度から介護人材確保にも使われるのであれば、都道府県でキャリアパスの仕組みなどを検討していくことになると思う。それに絡んでいくことは検討されているのか。

●久志理事長 今年で言うと地域人づくり事業基金など、地方にお金が流れている中で、地方の特性を活かすためにも、各支部所で介護労働懇談会等を利用しながら、あるいは行政の方とのパイプを太くしながら取り組んでいかなければならないと思っている。

○平川委員 介護人材確保の関係で、基金を使って、都道府県は何らかの人材確保策を作らなければならない。それを民間に任せると特定の事業所に人材が集中しかねないという問題もあり、中立的な立場である介護労働安定センターがある程度の役割を果たせるのではないか。都道府県がどのように考えているか分からない部分もあるが、情報収集をして動きを掴んだほうがいい。

●久志理事長 今年の地域人づくり事業については、出来る所は応募している。来年度から始まる介護人材確保の関係については、現在、支部所長に対して指令をかけ、都道府県の動きについても把握するとともに、ぜひ私どもを使っていただきたいとアピールしている。もう少し時間が必要な状況である。

○因委員 介護労働安定センターは、長い間介護労働実態調査をされており、その中から人材確保案が出てくるのではないか。

●久志理事長 先ほどの説明の補足だが、都道府県から介護労働安定センターの一部の支部所長に対して、人材確保に関する企画提案をしてほしいという呼びかけがあった。それを受けて、全国の都道府県庁に対して各支部所長自ら企画提案についてアピールしているところ。

   特に人材の定着についてはノウハウの蓄積があるので、それに採用部分を加えれば人材の確保につながるため、積極的に提案していきたい。

○是枝座長 平成26年度の自主事業拡大の取組により、依存体質が改善するという見込みはあるのか。

●久志理事長 自主事業の収入の確保に全力を挙げて取り組んでいるところ。結果が出た段階で、正確に御報告申し上げたい。

○扇田委員 資料2の1ページ目、予算の交付金収入と決算の交付金収入の差は何なのか。

●久志理事長 交付金の執行過程において、節約や事業の状況により交付金が不用となった部分は、国に返還している。

○扇田委員 介護労働安定センターの人員が大幅に減少しているのに、平成21年度には8億4千万円だった自主事業収入が、平成24年度には8億6千万円に増えている。しかし年間収入は35億8千万円だったものが、25億2千万と大きく減少している。

   国にお願いしたい。介護人材確保のためには、交付金を減らしてはならないのではないか。交付金依存体質を改善しないといけないのは分かるが、数合わせのために交付金を減らしただけではないか。

   これからあと10年で介護人材を100万人増やさなければならないという時に、ここまで交付金を減らしてどうやって人材を増やしていくのか。

○因委員 国家的課題である人材確保については、適正な交付金を配付すべきだ。

○扇田委員 平成21年度決算から平成24年度決算にかけて、交付金収入が大幅に減少しているにもかかわらず、自主事業収入は8億4千万円から8億6千万円に増えており、一生懸命やっていると思う。交付金依存率も平成21年度には75%を上回っていたものが平成24年度には66%を下回るほど大幅に改善が進んでおり、平成25年度の依存率が68.15 % と、年間収入の3分の2をわずかに上回ったからといって、依存体質が改善されていないと判断するのは違うと思う。

○是枝座長 68.15 % という数字だけ取って、改善されていないと判断するのは違うと思う。この表の書き方について、割合の数字だけでなく全体のバランスを考えるなど、もう少し見せ方があるのでは。

○扇田委員 交付金が半分近く減少している状況で、自主事業は一生懸命やっていると思う。これからの人材確保をどうするかという議論のほうが交付金依存体質の改善の議論よりも先にあるべきだ。

●中井雇用政策課長 交付金については、外的要因というのが大きかった部分もある。民間を活用できることは民間を活用せよという流れや、国の予算を交付される法人の組織体制の効率化を図るべきなど、様々な御指摘がある中で、結果的に今の状況になってしまった面もある。

   ただ、介護労働力の確保がこれから更に重要になってくる中で、我々は介護労働安定センターが社会的インフラとしてしっかりと役割を果たしていく必要があると考えている。外的要因によって制約が掛けられている部分を何とかクリアするためにも、自主事業を増やす必要がある。引き続き努力をするので、皆様のそのような御意見をよろしくお願いしたい。

●久志理事長 経営的視点で考えると、どういった強みに対して投資していくのかという中長期的なビジョンが足りなかったと思う。皆様方にいろいろと教えていただきながら、考えていきたい。

○是枝座長 交付金依存体質の改善については、平成26年度の自主事業拡大の取組の結果を見てから判断することとしてよろしいか。

○全委員 異議なし。

 

(3)介護労働懇談会の開催状況概要

   資料3に沿って、久志介護労働安定センター理事長より説明。

 

○因委員 地元で出席した。先ほども申し上げたとおり、1回目だったため、各団体がそれぞれの取組等をアピールして終わった。

●中井雇用政策課長 各団体が PR されたということは、日常的にお付き合いがないということか。

○因委員 私は介護福祉士会として出席したが、介護福祉士会は様々な団体と年に2~3回懇談の機会を設けたり、会議などで顔を合わせたりしている。そのような付き合いがない団体は、自分の団体の取組内容などの説明から始まっていた。

○是枝座長 様々な団体が集まる機会はそれ程あるわけではないので、介護労働懇談会の場で顔が見えたことがよかったのでは。

○因委員 介護労働懇談会は必要だと思う。今後は進め方が課題。

●久志理事長 介護労働懇談会は、単独開催と共同開催がある。福祉人材確保推進協議会等と合同で開催したほうが議論しやすいところは共同開催している。単独開催で初めて団体を集めたところでは、1回目は団体の説明から始まったところもあると聞いている。

資料3の3ページ下部に、平成26年度の運営等主なテーマを記載している。(1)人材確保のための介護労働のイメージアップ(啓蒙活動)については、様々な実例を挙げていただいた。例えば、介護の魅力発信事業としてケア・フェスタを開催した、介護技術コンテストを実施している、グループホームでは地域との共生を図ることでイメージアップにつながるなど。私自身も事業所を訪問する機会があるが、近所に学校がある事業所などは、見学の受け入れに非常にオープンな姿勢のところがある。そういうところでは、関係団体の方々と協力してイベントを開催し、専門学校の生徒や先生との交流を深めるという取組みなども行われている。(2)人材発掘・定着・育成のための取組については、私どもも新規事業として学校の先生や生徒との懇談会を設けることにも取組み始めている。

   キャリアパスや人材育成計画は、大規模事業所では独自で作ることがある一方、中小の事業所では単独ではなかなか出来ないので、これを地域で連携して作成出来ないかという話が出ている。

このように、細かい例はたくさんあるが、もう少しまとめて報告できるようにしていきたい。

 

(4)その他

○松本委員 認知症や人材確保の問題は国家的課題になっている。認知症の研修について、介護保険における認知症の加算は、ケアよりも研修を受けていることや、資格があることで評価されるため、各都道府県により研修にバラつきがある。

   人材確保については、各都道府県で第6期介護保険事業支援計画の策定準備が進められている。各都道府県でどのくらい介護人材が必要かを調査し、施設や介護サービスの整備事業を決めていくと思う。人材確保というのは一つの施策で解決できるものではないため、介護労働安定センターからも意見を聞くなど、連携していきたい。

○因委員 介護労働安定センターの問題ではないが、地域包括ケアに移行する時の人材育成について今より条件が緩和された資格が出てくるため、ハローワークにて研修機関を募集していた。その説明において、資格を取ることを目指さなくていいということを言われていた。そのように釘をさすのはいかがなものか。

●藤枝能力開発課長 これまでの3か月以上の職業訓練とは別に、3か月未満の訓練を設定している。もちろん資格を取ることを否定することは全くないが、訓練に応募する側の立場に立つと、資格を目指すというのはハードルが高く、そのような訓練を受けられるかと不安に思う方もいる。まずは介護労働を体験し、就職していただく。そこで自身のキャリアを積んでいく中で資格取得を目指すという、その一番初期の訓練を設定したということ。現場での説明が言葉足らずだったかもしれない。

○扇田委員 全国シルバー人材センターが50歳以上の戦力を採用し、10日間程度実地研修を行い、介護という仕事が自分に合うのであれば勉強を始めるといった取組を東京都で試験的に行っている。シルバー人材センターから実地研修を受け入れてくれるかという話があったため、私どもの団体の傘下事業所に説明を行っている。

この取組は、訪問介護でも施設介護でも行っており、シルバー人材センターは、手当を出している。受け入れた会社は、訪問介護であれば、一緒に訪問先へ行くこととなる。

   また、次世代の育成ということで、2泊3日で経営者の子供を集めて研修を行った。このような研修も介護労働安定センターで広く行ってみるのも面白いのではないか。

   もう一点、その研修の際に提案があったことだが、民間事業者が採用する新卒者は1~2名、大手でも3~5名であり、自社で1名だけを対象に研修するのは困難なため、どこかに50名ほど集めて行うことができないか。私どもも介護労働安定センターと一緒に実施したいと思っている。

 

 

以上



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