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2014年9月4日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成26年9月4日(木) 15:00~


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

出席委員(13名) 五十音順

奥 田  晴 宏、 加 藤 総 夫、  川 上 純 一、 神 田 敏 子
佐 藤 田鶴子、 鈴 木 邦 彦、  野 田 光 彦、 林    邦 彦、
古 川    漸、 増 井    徹、 ◎松 井    陽、○松 木 則 夫、
山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名

欠席委員(8名)

小 川    聡、 木 村    剛、 佐 藤 雄一郎、 武 田 正 之、
内 藤 幹 彦、 平 石 秀 幸、 村 田  美 穂、 本 橋 伸 高

行政機関出席者

神 田 裕 二 (医薬食品局長)
成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森    和 彦 (審査管理課長)
宇 津    忍 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
中 野    惠 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきたいと思います。本日もお忙しい中、先生方にお集まりいただきましてありがとうございます。本日の委員の出席についてです。小川委員、木村委員、武田委員、内藤委員、平石委員、村田委員、本橋委員より御欠席の御連絡を頂いております。あと、神田委員と加藤委員が少し遅れられるということです。現在のところ、当部会委員数21名のうち12名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数には達しておりますことを御報告いたします。

 なお、本日、議題4に関しまして、国立循環器病研究センター移植部部長の中谷武嗣先生に参考人ということで御出席をいただいております。御紹介させていただきます。また、医薬食品局長の神田につきましては、所用によりまして1時間程度遅れてまいります。

 それでは、松井部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○松井部会長 皆さん、こんにちは。それでは、早速ですが、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をしてください。お願いします。

○事務局 それでは、資料の確認をいたします。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~11についてはあらかじめお送りしています。この他、資料12「審議品目の薬事分科会における取扱い等の()」、資料13「専門委員リスト」、資料14「競合品目・競合企業リスト」を配布しています。それから、本日については、資料15-1、資料15-2ということで追加資料を配布しています。

 続いて、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」について御報告いたします。資料14の1ページを御覧ください。ミダフレッサ静注0.1%ですが、本品目は「てんかん重積状態」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

 2ページです。アリセプト錠3mg10規格ですが、本品目は、「レビー小体型認知症」における認知症症状の進行抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。

 3ページです。アイリーア硝子体内注射液40mg/mL、同硝子体内注射用キット40mg/mLですが、本品目は、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

 4ページです。サイモグロブリン点滴静注用25mgですが、本品目は、「心、肺、肝、膵及び小腸移植後の急性拒絶反応の治療」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。

 5ページです。リクシアナ錠15mg、同錠30mg、同錠60mgですが、本品目は、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」「静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

 6ページです。ホメピゾール点滴静注1.5g「タケダ」ですが、本品目は「エチレングリコール中毒」「メタノール中毒」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしています。

 7ページです。ルティナス腟錠100mgですが、本品目は、「生殖補助医療における黄体補充」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定をしています。

 8ページです。セレキシパグですが、本品目は、「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

 9ページです。ビガバトリンですが、本品目は、「点頭てんかん」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。

10ページです。グラナテック点眼液0.4%ですが、本品目は、「緑内障、高眼圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。以上です。 

○松井部会長 ありがとうございます。今の事務局からの説明に何か御意見ありますか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業のリストについては、委員の皆様の御了承を得たものといたします。委員からの申し出状況について報告をお願いします。

○事務局 それでは、各委員からの申し出状況を申し上げます。

議題1「ミダフレッサ」、退席委員はなし、議決に参加しない委員は野田委員です。

議題2「アリセプト」、退席委員はなし、議決に参加しない委員はなしです。

議題3「アイリーア」、退席委員はなし、議決に参加しない委員は野田委員です。

議題4「サイモグロブリン」、退席委員はなし、議決に参加しない委員は野田委員です。

議題5「リクシアナ」、退席委員はなし、議決に参加しない委員は川上委員、野田委員、山田委員です。

議題6「ホメピゾール」、退席委員はなし、議決に参加しない委員は野田委員です。

議題7「ルティナス」、退席委員はなし、議決に参加しない委員は加藤委員、野田委員。議題8「セレキシパグ」、退席委員はなし、議決に参加しない委員は加藤委員、野田委員です。

議題9「ビガバトリン」、退席委員はなし、議決に参加しない委員は加藤委員、川上委員、野田委員、山田委員です。

議題10「グラナテック」、退席委員なし、議決に参加しない委員は野田委員です。以上です。

○松井部会長 ありがとうございます。今の説明に特段の御意見ありませんか。よろしいでしょうか。よろしければ、委員の皆さんの御確認を頂いたものとして議題に入ります。

 本日は、審議事項が10議題、報告事項が1議題、その他の事項が1議題となっています。まずは、中谷参考人にお出でいただいていますので、議題4を最初に審議して、また議題の内容の関係で議題7の次に議題10を審議し、ほかは番号順に進めたいと思います。

 それでは、審議事項の議題4に移ります。

○事務局 部会長、1点訂正がございます。 

○松井部会長 訂正、どうぞ。

○事務局 先ほど、「競合品目・競合企業リスト」で、アイリーア硝子体内注射液の競合品目の説明の際に、私は効能・効果について「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」と申し上げていましたが、今回の追加効能・効果は、「病的近視における脈絡膜新生血管」でしたので、訂正させていただきます。

○松井部会長 よろしくお願いします。それではよろしいですね。議題4に入ろうと思います。機構から概要を御説明ください。

○機構 それでは、審議事項議題4、資料4「医薬品サイモグロブリン点滴静注用25mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。

 本薬は、T細胞表面抗原及び白血球表面抗原に親和性を有するウサギ由来のポリクローナル抗体であり、本邦では、2008年に「中等症以上の再生不良性貧血」「造血幹細胞移植の前治療」及び「造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病」、2011年には「腎移植後の急性拒絶反応の治療」の効能・効果で承認されています。臓器移植における急性拒絶反応の治療方法は、ステロイドパルス療法が第一選択とされており、ステロイドパルス療法が無効の場合は、本薬のような抗体製剤によって治療を行います。

 しかし、現時点では、本邦において、本薬が承認を有している腎移植以外の臓器移植における急性拒絶反応の治療に対して承認されている薬剤はなく、医療現場では、適応外であるものの、本薬などが使用されてきた実態がありました。このような状況を踏まえ、一般社団法人日本移植学会より、本薬に対する成人及び小児の肝臓、心臓、肺、膵臓及び小腸移植後の治療抵抗性の急性拒絶反応の治療の効能・効果の追加について要望書が提出され、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で「医療上の必要性が高い」と判断されたことを受けて、厚生労働省から、当時、本薬の製造販売承認を有していたジェンザイム・ジャパン株式会社に対して開発要請が行われました。

 その後、本薬の製造販売承認を承継した申請者は、各臓器移植において、ステロイドパルス療法で治療効果が得られない急性拒絶反応の発現例数は限られていることを踏まえ、日本移植学会による国内使用実態調査、国内外の成書、総説、ガイドライン、公表論文等のエビデンスを取りまとめ、今般の製造販売承認事項一部変更承認申請に至りました。

 臓器移植後の急性拒絶反応の治療に関する本薬の海外承認状況について、2014年3月現在、フランスでは移植臓器の種類を特定せずに承認されているほか、ドイツでは、腎臓、心臓及び肝臓移植に対して承認されています。また、小児については、各国で、基本的には成人同一用量で使用されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料13に示す専門委員を指名しました。

 続いて、審査の概要です。本申請に際し、新たな国内臨床試験は実施されていませんが、機構は、前述のように、各臓器移植後の急性拒絶反応の治療に対する治療薬が必要とされている状況があること、及び本薬は海外において腎以外の各臓器移植における急性拒絶反応の治療に対して承認されていること等を踏まえ、国内外の各臓器移植における急性拒絶反応の診断方法及び薬物治療の差異の有無等について確認した上で、国内使用実態調査、国内外の成書、総説、ガイドライン、公表論文に基づいて審査を行う方針としました。

 有効性に関して、報告書1819ページの表6~9を御覧ください。提出された国内使用実態調査及び海外公表論文における本薬の有効性についてそれぞれ記載しています。いずれの臓器移植についても例数が限られていることに留意する必要がありますが、国内使用実態調査及び海外公表論文における本薬投与後の生着率及び生存率から、一定の有効性は期待できると考えられ、また、各臓器移植について、国内外及び成人と小児の有効性に大きな差異は認められないと考えられました。

次に、安全性については、報告書2324ページの表1011を御覧ください。それぞれ、国内使用実態調査及び海外公表論文における死亡例及び有害事象の情報を記載しています。また、報告書25ページの表12及び報告書2427ページにおいて、それぞれ、本薬投与時に特に注意すべき有害事象に関して検討しています。血球減少や感染症等の重篤な有害事象が報告されていますが、腎移植時と同様の注意喚起の下で本薬が使用される限り、既承認効能・効果に対する使用時に加えて新たな問題が生じる可能性は低いと考えました。

ただし、今般申請された各臓器移植後の急性拒絶反応の治療に対する国内での使用経験は極めて限られていることから、本薬が投与された全症例を対象とした製造販売後調査を実施し、有効性及び安全性情報を収集する必要があると考えました。

 以上のような機構での審査の結果、肝臓、心臓、肺、膵臓及び小腸移植後の急性拒絶反応の治療に対する本薬の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、再審査期間中に本薬が投与された全症例を対象とした製造販売後調査に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、「医薬品第一部会」で審議されることが適当と判断いたしました。

 なお、本申請は新効能・新用量医薬品に該当することから、今回追加される効能・効果等に対する再審査期間は4年とすることが適当と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議をどうぞよろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 ありがとうございます。それでは、審議に先立ちまして、中谷参考人から御説明をお願いします。よろしくお願いします。

○中谷参考人 今、説明がありましたように、本薬は、急性拒絶反応を認めた症例において、特にファーストチョイスであるステロイドが効かない症例に対しては、次の手段として今回検討がなされるような抗体製剤がどうしても必要であるという中で、現時点の我が国においては、この薬以外使うものがなくなってしまったという現状にあります。これまでは、OKT3というモノクローナル抗体、あるいはリンフォグロブリンもありましたので、それらも保険適用されていなかったのですが、実際使わざるを得ないというときには使うこともしてきました。また、早い段階から、心臓とか他の臓器における急性拒絶反応に対する治療薬としての保険申請を各社に申入れはしていたのですが、なかなか乗ってくれませんでした。心臓移植において言いますと、リンフォグロブリンは抗体関連型の拒絶反応にも実際使われました。4例とも効果はありました。我々の施設では幸いそのように使うまでには至りませんでしたが、OKT3を急性拒絶反応への対応として使わざるを得ない症例を経験しています。実際、臨床現場で、必要となる症例はいつ出るか分かりませんので、この薬を使えるような状態にしていただく必要があります。幸いと言いますか、現時点ではまだ使用するに至っていませんが、今後いつ出てくるか分からないということで、是非この抗体製剤を保険採用していただいていつでも使用できるようにしていただかないと、心臓移植の緊急時と言いますか、起こりうる合併症への対応が非常に困難になるという実情があります。

 それから、心臓移植において用いる量的な問題ですが、他の臓器に比べて少し量が多いことで認可をするという形になっています。これは、他の臓器においても移植臓器が機能廃絶ということは生命に関わってくるのですが、心臓はもろに時間的猶予もなく、特に循環不全による死亡という形を引き起こしかねないところもあるので、そういう意味で少し用量を多くして、特に初期に十分に拒絶反応に対応できることが必要で、少し量が多めになっています。

 我が国は肝臓移植などでは使用されてきていて、合併症として感染症等々がありますが、これはステロイドを使っていても基本的には起こり得ることなので、特にこの薬が非常に危険であると我々は思っておりません。どうしても免疫抑制を強固にかけるわけですから、十分注意をして使わざるを得ない薬です。使用側としてはそれに対して十分配慮をして使うことになりますので、そういう意味で非常に危険度が高いとは思っていません。それよりも、リスクベネフィットの立場から、十分リスクを理解した上で用いることでベネフィットのほうが高いという薬ですので、是非採用していただきたいと思っています。

 また、実際に経験が少ないということは事実ですので、今回提案されているように、使用例に関しては全例調査を行うという形にすることで、もし何かあればすぐその情報が使用中のあるいは使用するであろう医師等々に伝わるということにしておけば、大きな問題は特にないと、現場の立場からは考えます。以上です。

○松井部会長 ありがとうございます、ただ今、中谷参考人の御発言に対して御質問はありますか。特にないでしょうか。それでは、全体を通して御質疑をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。特に御質問、御意見はありませんか。中谷参考人、急性拒絶反応の場合には、それこそ生命に大きな影響を来す場合もあるということですね。

○中谷参考人 そうです。通常、拒絶反応の程度が軽い場合ですと使っているタクロリムス等々の増量とかで対応できますが、非常に高度になった場合は、心機能の低下を来してきますし、そのまま放置すると完全に心機能が廃絶してしまうことになります。通常は、ステロイドを大量に用いるパルス療法で多くの場合は対応できるのですが、その中で対応できないものがどうしてもあるので、この薬が最終的な砦になります。このようなものがないと心臓移植の長期の管理はできないと思います。実際上、ステロイドで対応できない拒絶反応があれば使わざるを得ないということで対応しようと考えています。このように必要とされている薬ですので、是非保険採用していただきたいという願いをずっと持っていました。

○松井部会長 ありがとうございます。他にはありますか。これは、機構から御説明をしていただきたいのですが、小児に使用された場合、これは認められることになりますか。

○機構 はい、今回、小児にも使用可能と考えています。

○松井部会長 保険適用が認められるのですね。

○機構 はい。

○中谷参考人 小児においても使用例は少ないのですが、特に大きな問題があったと今の段階では報告がありませんので、他の臓器も含めてですが、現時点では、小児とか大人とか関係なしに、注意して使うということでいいかと考えています。

○松井部会長 ありがとうございます。他にありませんか。

 それでは、議題4について議決に入ってよろしいでしょうか。なお、野田委員においては、利益相反に関する申し出に基づいて議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。それでは、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。それでは、中谷先生、どうも遠方から御苦労様でございました。

○中谷参考人 ありがとうございました。

—— 中谷参考人 退室 ——

○松井部会長 それでは議題1に移ります。機構から説明をお願いします。

○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ミダフレッサ静注0.1%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。本剤の有効成分であるミダゾラムは、米国ロシュ社で合成されたイミダゾベンゾジアゼピン誘導体であり、本邦においては、本薬を有効成分とする注射剤である「ドルミカム注射液10mg」等が、「麻酔前投薬」「全身麻酔の導入及び維持」「集中治療における人工呼吸中の鎮静」及び「歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静」の効能・効果で承認されています。ミダゾラム注射剤がてんかん重積状態に対して承認されている国又は地域はありませんが、国内外でのてんかん重積状態に対する臨床試験・臨床研究の報告が集積されていることを踏まえ、本邦ではてんかん重積状態に対して既存のミダゾラム注射剤が適応外使用されており、20099月からは保険償還も認められております。

 このような状況を踏まえ、申請者であるアルフレッサファーマ株式会社は、20 月より、既存の0.5%注射剤と異なり、てんかん重積状態に対して希釈せずに使用可能な濃度である0.1%のミダゾラム注射剤を開発し、今般日本人てんかん重積状態患者における本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認が行われたものです。

 本申請の専門委員としては資料13に記載されております4名の委員を指名しております。

審査内容について、臨床成績を中心に説明いたします。

まず、有効性についてですが、審査報告書13ページ下から4行目を御覧ください。ジアゼパムが無効であった小児てんかん重積状態患者を対象に、ボーラス期及び持続静注期から成る国内第III相試験が実施され、主要評価項目であるボーラス期における発作消失は34例中30例で認められ、消失率は88.2%でした。

 次に、審査報告書2526ページ「()III相試験の計画変更が本剤の有効性評価に及ぼした影響について」を御覧ください。本試験では、事前同意取得者の半数以上でてんかん重積状態の再発が認められなかったこと、治験協力者が不在の時間帯に患者が搬入される場合もあったこと、治験実施施設以外の近隣の救急医療機関に搬送される場合もあったこと、緊急同意取得例が例にとどまったことなどの理由から、目標症例数49例のところ36例の組入れをもって臨床試験は終了されております。機構としては、目標症例数未達で終了していることから、統計学的には本試験成績のみから期待された有効性が確認されたとは結論できないと考えておりますが、てんかん重積状態患者を対象とする治験の実施体制には限界があることも考慮し、国内外の教科書、ガイドライン、総説、臨床報告も踏まえて、本臨床試験成績に基づき本剤の有効性を検討することは可能と判断いたしました。

 審査報告書28ページ表5を御覧ください。ボーラス静脈内投与時の本薬の有効性は、第III相試験と国内外の臨床報告で同程度でした。また、審査報告書29ページ表6、30ページ表7を御覧ください。持続静脈内投与時の本剤の有効性についても、第三相試験と国内外の臨床報告で同程度の結果が得られております。

 以上より、第III相試験では国内外臨床報告と同程度の有効性が認められており、本剤の小児てんかん重積状態に対する有効性は期待できると考えられ、ミダゾラムの有効性及び安全性については国内外の公表文献等から一定の情報が集積していること、本邦の医療現場においては既にミダゾラム注射剤が適応外使用されていることを勘案すると、現時点で本剤を医療現場に提供することが適切と判断いたしました。

 次に安全性についてですが、審査報告書34ページの上から7行目を御覧ください。ミダゾラムの既知の重要なリスクとして、呼吸抑制及び循環抑制が知られておりますので、本剤においても既存の注射剤での記載を参考に、呼吸及び循環動態の連続的な観察ができる施設においてのみ用いること、無呼吸、呼吸抑制、舌根沈下、血圧低下等が現れることがあるので、本剤投与中はパルオキシメーターや血圧計を用いて、患者の呼吸及び循環動態を継続的に観察することなどを添付文書に記載し、それらのリスクについて注意喚起する予定となっております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新効能医薬品及び新用量医薬品であることから再審査期間は4年、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。

○佐藤()委員 重積発作が起こったときに抑えるということは大変難しいので、必要な薬だと思います。添付文書()1.8、添付文書1ページの2のところに、特にこのミダゾラムですと呼吸抑制が起こりやすいことがここでも述べられておりますので、その「使用上の注意の」「2重要な基本的注意」とございますが、その()「本剤投与前に酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具及び昇圧剤等の救急蘇生剤を手もとに準備しておくこと」という書き方は、「対応できる施設でこの薬を使うこと」等、厳しくしといた方がよろしいのではないのかと思うのですが、いかがでしょうか。

○機構 機構よりお答えさせていただきます。添付文書の赤字で書いている警告 -()を御覧ください。施設につきましてはこちらに、「重要な基本的注意に留意し、呼吸及び循環動態の連続的な観察ができる施設においてのみ用いること」と書いており、施設で規定しておりますので、御指摘のあった点については既に対応済みと考えております。

○松井部会長 いかがですか。

○佐藤()委員 それでいいかと思いますが、こういう書き方でいいのかと思いましたので、意見として述べさせていただきました。結構です。

○松井部会長 ほかに、どうぞ古川委員。

○古川委員 これはジアゼパムが無効な症例に、この第III相試験をやられているわけですが、添付文書には、そのジアゼパムが無効な症例に使うということは書かれていません。恐らくジアゼパムは無効な症例に使っても効果があったので、けいれん重績状態では、最初から使ってもいいだろうということに理解して、よろしいのですか。

二つ目の質問は、呼吸抑制とは当然こういう薬がくるのですが、従来のジアゼパムと比べて、同程度なのか。もっと呼吸抑制が強いのか、その辺の検討はいかがでしょうか。

○松井部会長 二つの質問に関しまして、いかがでしょうか。

○機構 機構よりお答えさせていただきます。まず、一つ目の効能・効果で、ジアゼパム無効例などに限定していないことについてですが、臨床試験につきましては国内外のガイドライン等ではジアゼパムが第1選択薬で、第2選択薬としてミダゾラムが使われることが記載されておりましたので、その位置付けに合わせて行いました。

 審査報告書の44ページを御覧ください。中ほどの1行空いた部分の下「機構は」で始まる部分で説明しておりますように、多くのガイドラインでは第二選択薬と位置付けされていますが、国内外の教科書・ガイドライン等で、本薬の小児のてんかん状態に対する第一選択薬の一つとして本剤も推奨されている報告等もありますので、薬剤の選択順位が本剤の有効性に及ぼす影響は限定的であると考え、効能・効果では特にジアゼパム無効例などには限定はしておりません。

 次に、呼吸抑制や循環抑制についてですが、ジアゼパムとミタゾラムを直接比較したようなものはありませんが、ガイドライン等ではジアゼパムよりもミダゾラムのほうが呼吸抑制や循環抑制などは少ないと記載されております。

○松井部会長 よろしいでしょうか。

○古川委員 結構です。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○松木部会長代理 私も、添付文書についてです。添付文書1ページ目の右側の「使用上の注意」の「1の()脳に器質的障害のある患者は作用が強く出るおそれがある」ということで、多分、添付文書の「使用上の注意」とかいうのは麻酔導入薬とか鎮静剤のときのものはそのまま結構倣っていると思うのですが、このてんかん重積状態で器質障害があるような人にも使うなということなのですか。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○機構 機構よりお答えさせていただきます。慎重投与ですので、使用しても構わないとは考えておりますが、注意して使っていただきたいという位置付けで、こちらは慎重投与に書かせていただいております。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○松木部会長代理 実際に作用が本当に強く出るのですか。どういう器質障害を想定しているのですか。

○機構 機構よりお答えさせていただきます。今すぐお答えすることは難しいのですが、もともとのドルミカム注射液など既存のミダゾラム注射剤にも、こちらの記載が書かれておりましたので、本剤の添付文書にも書かせていただいたところです。

○松井部会長 どうでしょうね。器質的障害ということですから、何か先天奇形のようなものを私なら想定します。古川先生、いかがですか。

○古川委員 はい。

○松井部会長 いわゆる、構造の異常を伴わないものと伴うものを器質的障害があると、通常は言うと思います。

○松木部会長代理 私が指摘したかったのは、その睡眠導入剤だとか鎮静剤のものをそのまま使うと、そこで使われている作用というのは多分鎮静睡眠作用を意味してしまい、てんかん抑制作用というふうに受けとれるかどうかというところで、この添付文書の書き方は注意して欲しいということです。

○松井部会長 具体的には何かこのようにしたらというご提案はございますか。

○松木部会長代理 分からないから聞いたのですが。

○松井部会長 何かお答えございますか。

○機構 添付文書でのこの記載に関しましてはもともと既存のミダゾラム注射液のデータに基づく記載ですので、また添付文書間で揃えるという観点から、これに関してはこのような記載とさせていただきたいと思います。こういった器質的障害のある患者でのリスクの考え方に関しましては本日の御議論も参考にさせていただいて、今後も検討させていただければと思います。

○松井部会長 よろしいですか。ほかにございますか。特にありませんでしょうか。

 それでは委員の先生方からの御質問、御質疑がほかにないようでしたら議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。なお、野田委員におかれましては利益相反に反する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮していただきたいと思います。残りの先生方、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。

 次は、議題2に入りたいと思います。機構から概要を説明してください。

○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品アリセプト錠3mg、同錠5mg、同錠10mg、同D錠3mg、同D錠5mg、同D錠10mg、同細粒0.5%、同内服ゼリー3mg、同内服ゼリー5mg、同内服ゼリー10mg及び同ドライシップ1%の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。審査報告書5ページを御覧ください。本剤の有効成分であるドネペジル塩酸塩はエーザイ株式会社により開発されたアセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、国内においては1999年に「軽度及び中等度のアルツハイマー型痴呆における痴呆症状の進行抑制」、2007年に「高度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」の効能・効果が承認されております。海外においてもアルツハイマー型認知症を効能・効果として、201311月現在、97の国又は地域で承認されておりますが、本申請の対象疾患であるレビー小体型認知症の効能・効果については、承認されている国又は地域はございません。

 レビー小体型認知症に係る開発は、本邦においてエーザイ株式会社により行われ、国内の臨床試験成績等を基に、「レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制」を申請効能・効果として、医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。本品目の審査に関して、専門委員として資料13に記載されている委員を指名しております。

 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。国内第II相試験は日本人レビー小体型認知症患者を対象に、本剤3、5及び10mgの有効性及び安全性を探索的に検討する目的で実施されました。本試験の有効性の結果は、審査報告書11ページ表2及び表3並びに12ページ表6に示しております。有効性が評価された認知機能の評価項目であるMMSE、精神症状・行動障害の評価項目であるNPI-2、及び全般臨床症状の評価項目であるCIBIC-plusについて、5及び10mg群でプラセボとの間に有意差が認められました。

 以上の結果を踏まえ、国内第III相試験が実施されました。第III相試験である341試験では、国内第II相試験の成績を基に、MMSE及びNPI-2が主要評価項目とされました。結果は審査報告書16ページにあります。表8に示しますように、MMSEについては10mg群でプラセボ群との有意差が認められましたが、審査報告書16ページ表9に示すように、NPI-2についてはいずれの用量でもプラセボとの有意差は認められませんでした。

 したがいまして、厳密には日本人レビー小体型認知症患者における有効性が検証されたとは言えません。この点について専門協議でも御議論をいただくとともに、機構で審査いたしました。その内容について審査報告書42ページに記載しております。確かに、341試験において本剤の有効性が検証されたとは言えませんが、レビー小体型認知症の必須症状である認知機能障害については、341試験で10mg群とプラセボ群との間に有意差が認められたこと、431試験の成績から全般臨床症状についての有効性が推定できることから、本剤のレビー小体型認知症患者に対する有効性は未だ期待できる状況にあると考えております。

 加えて、本邦においてレビー小体型認知症治療薬は1剤も承認されておらず、また、認知症疾患治療ガイドライン等でレビー小体型認知症に対する本薬の使用が推奨され、既に本邦の医療現場でレビー小体型認知症患者に投与されている現状から、本剤の医療ニーズが非常に高いことも考慮し、これらの試験成績等を踏まえ、今後改めて341試験の結果を踏まえてデザインされた臨床試験にて有効性を検証すること、341試験の結果やレビー小体型認知症患者の診断に関する情報提供を適切に行うことを前提とし、現時点で本剤を承認し、医療現場に提供することに意義はあるものと判断いたしました。

 次に、安全性について説明いたします。審査報告書33ページ表18及び34ページ表19を御覧ください。レビー小体型認知症を対象とした341及び431試験と、アルツハイマー型認知症を対象とした国内臨床試験成績等で認められた有害事象を比較して示しております。パーキンソン症状及び幻視等の精神症状の発現がレビー小体型認知症患者で、アルツハイマー型認知症患者に比べ多く見られていますが、これら発現割合の違いは、原疾患の違いに起因する可能性があります。さらに、431及び341試験において、プラセボ群と本剤群で精神症状の発現状況に大きな違いはないことも踏まえ、添付文書()に記載されている注意等に従い、適正に使用されれば、承認の可否に影響するような安全性に重大な懸念は認められないと判断いたしました。

 製造販売後調査については、審査報告書4546ページの「医薬品リスク管理計画()について」の項に記載したように、予定調査症例数500例、観察期間最長52週間の使用成績調査が計画されており、審査報告書46ページ表24に示した調査項目について情報収集される予定です。さらに、先ほど説明しましたように、レビー小体型認知症における本剤の有効性の検証及び安全性の確認を目的とした試験を、製造販売後臨床試験として実施する予定であり、試験の概要は審査報告書46ページ表25に記載しております。

 以上のような審査の結果、本剤を承認することは可能との結論に達し、「医薬品第一部会」において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。今回の申請は、新効能・新用量医薬品としての申請であり、今回追加される効能・効果及びその用法・用量に対する本剤の再審査期間は4年とすることが妥当であると判断しており、薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、本日御欠席ですが、事前に本橋委員より御意見・御質問をいただいております。御意見・御質問としては、「レビー小体型認知症の治療薬はこれまでなかったことから、アリセプト錠の適応拡大は勧迎すべきことと思います。しかし、今回の報告書ではMMSEの得点の変化が唯一得られた結果であり、『認知機能の変動』を主症状とする本疾患で(ある時点での)MMSEの得点の変化は何を意味するのでしょうか。また、認知機能改善作用に関して、MMSEの特定の項目での変化が認められたのでしょうか」といったものをいただいております。

 まず、後半の「MMSEの特定の項目での変化が認められたのか」については、「時間の見当識」といったMMSEの検査項目ごとに変化量を解析しましたが、特定の項目に改善や悪化が偏るといった傾向はありませんでした。また、「認知機能の変動が見られる本疾患において、ある1時点でのMMSEの特定の変化が何を意味するのか」については、341及び431試験で認められたMMSEの特定の変化への認知機能変動の影響を確認するために、ベースラインをスクリーニング時と治療期直前の2時点の「平均値」とした解析を行い、主解析である治療期直前の1時点の値をベースラインとした場合の結果と比較しました。その結果、大きな差は認められておりません。以上のことから、今回の結果で認められたMMSEの変化は、認知機能の変動を考慮したとしても、患者の認知機能を改善していることを示していると判断しております。

 以上について、本橋委員に回答いたしましたところ、内容について御了解いただいております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方に御質疑をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

○鈴木委員 アリセプトはアルツハイマー型認知症の薬としては広く使われていますが、今回、レビー小体型認知症ということで、これを読みますと、有効性が証明されたとは言えないというのが結論です。それでもなお使うということで、専門医の方々からも、レビー小体型認知症に対する本薬の有効性が検証されていないことを医療現場に対して明確にする必要があるという意見が出されています。一旦承認されますと、どの程度のレベルで承認されたかが現場では分かりませんので、画期的な薬が出たと誤解されるのもいかがなものかと思います。

 画期的な薬ではありませんが、ほかにありませんので、多少何もやらないよりはましな程度ですが、取りあえず今はこれを使ってくださいと言うかどうかは別ですが、やはり有効性について証明されたものではないという情報提供はしっかりしていただかないといけないと思います。

 販売戦略としては、かなり積極的に行われると思いますので、無駄な薬とは言いませんが、不必要に販売が増加するのもいかがなものかという気がします。その辺をしっかり次の中医協の薬価算定組織にも伝え頂きたいと思います。前からお話ししておりますが、薬事・食品衛生審議会での承認のレベルが次に行くと、もう分からないのです。この薬はぎりぎりの合格だと思います。その辺は、治験をやりますということだけでは分からないと思いますのでしっかり文書で伝えていただきたいと思います。

○松井部会長 どうも鈴木委員、失礼しました。いかがでしょうか。

○機構 先生、本当に御意見ありがとうございます。私たちもそれをかなり危惧しております。一度承認したものでも、企業がどんどんプロモーションしてしまいますと、もう本当に世の中に広がっていく一方ですので、きちんと臨床試験成績も資材の中に書いていただいて、こういう試験成績だったから改めてプラセボ対照試験もやらなければいけないしというところで、そこの詳細も含めて、私たちのほうできちんと見て、そういうように過度に有効性をあおるようなものが出ていかないように注意したいと考えております。ありがとうございます。

○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。どうぞ山田委員。

○山田委員 アルツハイマー病の場合は重症度に応じて中等度までは5mg、重症度が中等の場合は5mg、重症になったら10mgという規定になっていたかと思います。今回、新たに追加される効能のレビー小体の場合には、その重症度に関係なく10mgまで使うというのが基本になるということでしょうか。

○機構 はい。先生のおっしゃるとおり、今、レビー小体型認知症のほうに関しては、特に重症度の規定というものを設けておりません。アルツハイマーの場合は軽度から中等度、それから高度という形で分けて臨床試験が行われておりますので、別々の用法・用量という形になっております。

○山田委員 分かりました。一つ確認なのですが、審査報告、審査結果2ページの下から3~4行目辺りで、「症状により5mgまで減量できる」となっています。4ページの審査結果1では、「症状により3mgまで適宜減量できる」となっていますが、これはどういうことなのでしょうか。

○機構 お答えさせていただきます。先生から御指摘いただきました2~3ページというものは機構の審査を踏まえて、最終的な用法・用量がこうなったというものです。それに対しまして、4ページの審査報告1というものは、最初に企業が申請してきたときの用法・用量になっております。このときは3mgまで減量できるということになっていたのですが、臨床試験成績の中で、3mgまで減量した場合の有効性というものは明確になっておりませんので、長期試験の中で5mgまで減らした結果はあるのですが、そういうことも踏まえて5mgまでと、最終的にさせていただきました。

○山田委員 分かりました。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。川上委員、お願いします。

○川上委員 添付文書の書き方について教えていただきたいのですが、添付文書()1ページ目の右カラム、真ん中辺りです。効能・効果に関連する使用上の注意の書き方の順番ですが、効能・効果がAとBと2つあって、まずAに関することが書いてあり、次にBに関することが書いてあって、最後にA・B共通の内容です。そうするとAに関するものは最初のところを読んで、一つ飛ばして最後まで読まなければ出てこないのです。一般的には総論のようなA・B共通のものを先に書いてから、各A・Bに関する注意を書いたほうが、ユーザーとしては読みやすいかと思うのです。あえて、こういった順番で書かれている何か理由があるのでしょうか。教えていただきたく思いました。

○機構 こういうふうに書かせていただいた経緯としては、まずアルツハイマー型認知症の適応が先にあり、そのときに、まずきちんと診断してくださいというような文言が一番上にありまして、その下に、そのほかの細かい注意事項が書いてありました。今回、レビー小体型認知症の適応追加をするにあたり、やはり順番として、きちんと診断をしていただきたいというところが上に来るべきかと思って、こういう書き方をさせていただきました。現場のほうで、それがもし分かりにくいとか、そういう御意見があるようでしたら再考させていただきたいと思います。

○川上委員 読みやすさという点では共通することが先に書かれていたほうが良いと思うのですが、きちんとした診断の下に使うことのほうが、共通に書かれている内容よりも優先すべきというお考えであれば、この順番でも良いかと思います。両方の考え方があるかと思いましたので、伺った次第です。

○機構 御意見ありがとうございました。今後、こういうものが出てくるかと思いますので、そのときにまた考えさせていただければと思います。

○松井部会長 よろしいでしょうか、川上委員。

○川上委員 結構です。

○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。特にございませんか。御意見ないようでしたら、議決に入ってよろしいでしょうか。もちろん今のディスカッションを踏まえた上のことでありますが、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。それではPMDAの方で、よろしくお願いいたします。

 議題3に移ろうと思います。医薬品医療機器総合機構から概要を説明ください。

○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品アイリーア硝子体内注射液40mg/ml及び同硝子体内注射用キット40mg/mlの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるアフリベルセプト(遺伝子組換え)は、ヒト免疫グロブリンG1のFcドメインにヒトVEGF受容体の細胞外ドメインを結合した組換え糖タンパク質です。本邦において、本剤は2012年9月に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」、201311月に「網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」の効能・効果で承認されています。今回の申請効能・効果である「病的近視における脈絡膜新生血管」(以下、「PMにおけるCNV」)については、本邦において20 月より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。海外では20144月現在、PMにおけるCNVに関する適応は承認されていません。

 本申請の専門委員としては、資料13に記載されている4名の委員を指名いたしました。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。PMにおけるCNVを有する臨床試験として、シャム対照無作為化二重遮蔽並行群間比較試験である第III相試験が、日本人を含む国際共同試験として実施されました。当該試験において、本剤の用法・用量は、2mgを硝子体内投与後、再投与基準に基づき本剤投与の必要性を4週ごとに評価し、必要と判断された場合に2mgを硝子体内投与すると設定されました。

 有効性について、審査報告書6ページの表3を御覧ください。主要評価項目である投与24週目の資料の指標のBCVAスコアのベースラインからの変化量について、シャム群と本剤群の間で統計学的な有意差が認められました。

 安全性について、審査報告書10ページの表6を御覧ください。有害事象として、既承認の疾患を対象とした臨床試験でも認められている結膜出血、眼痛、眼乾燥、鼻咽頭炎等が認められました。外国人集団と比較して日本人集団で鼻咽頭炎の発現割合が高い傾向が認められましたが、その他の有害事象の種類及び発現状況に特に異なる傾向はなく、国内外で安全性上の大きな問題となる差異はないと考えています。また、24週目までと48週目までに認められた主な有害事象は同様であり、長期投与に伴い、特定の事象の発現が増加する傾向は認められていません。

 以上の審査を踏まえ、本剤の「病的近視における脈絡膜新生血管」の効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品に該当し、再審査期間は、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性に係る再審期間の残余期間である平成32年9月27日までとすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会に報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○松井部会長 御質疑を委員の先生方にお願いいたします。いかがでしょうか。6ページにあるBCVAスコアは、視力の指標と考えてよろしいですか。

○機構 はい、そのとおりです。ほかの適応症のときにも、視力の指標として用いています。

○松井部会長 はい。いかがですか。特に御意見、御質問はありませんでしょうか。それではないようですので、議決に入ります。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。

 次は議題5に移ります。機構から概要を説明ください。

○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品リクシアナ錠15mg及び同錠30mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、並びにリクシアナ錠60mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるエドキサバントシル酸塩水和物は、活性型血液凝固第×因子の選択的かつ可逆的な阻害薬です。本邦では、本剤15mg錠及び30mg錠が「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」に係る効能・効果で、2011年4月に承認されています。今般、心房細動患者及び静脈血栓塞栓症患者のそれぞれを対象とし、日本も参加した二つの国際共同第III相試験の成績を主要な根拠として、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」及び「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」の二つの効能・効果を追加する承認申請がされました。

 なお、海外で本剤が承認されている国又は地域はありませんが、今回の申請効能・効果のいずれについても、2014年1月に米国及び欧州で承認申請がされています。

 本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料13に記載されています委員が指名されました。

 申請効能・効果が二つありますので、少し長くなりますが、まず、心房細動に係る効能・効果に関する審査の概略について、国際共同第III相試験の成績を中心に御説明いたします。審査報告書33ページの下を御覧ください。国内外の心房細動患者2万1,105例を対象とした国際共同第III相試験は、本剤の有効性についてワルファリンに対する非劣性を検証することを目的とした二重盲検並行群間比較試験です。本剤の用法・用量としては、60mgを1日1回及び30mgを1日1回の2群が設定され、体重60kg以下などの条件に該当する患者については、それぞれ半量に減量されました。ワルファリンは、各地域の投与実態に沿って投与量が調節されました。

 有効性について、審査報告書37ページの図1を御覧ください。有効主要評価項目は、脳卒中又は全身性塞栓症の初発までの期間とされ、これら複合イベントの累積発現状況をKaplan-Meier曲線で示すと、図1のとおりであり、本剤30mg及び60mgのワルファリンに対する非劣性がそれぞれ検証されました。

 次に、出血が最も懸念される本剤の安全性について御説明いたします。審査報告書38ページの表10を御覧ください。安全性の主要評価項目である大出血の年間発現率は、全体集団では、本剤30mg群で1.61/年、本剤60mg群で2.75/年、ワルファリン群で3.43/年でした。

 続いて、本試験における日本人部分集団1,010例の成績について御説明いたします。有効性については、審査報告書41ページの表12を御覧ください。有効性の主要評価項目の年間発現率は、本剤30mg群で2.24/年、本剤60mg群で1.47/年、ワルファリン群で1.56/年であったのをはじめとして、各有効性評価項目では本剤群とワルファリン群の関係という視点で、全体集団と日本人部分集団の成績に大きな齟齬は認められず、全体集団で認められた本剤の有効性は、日本人においても期待できるものと判断いたしました。出血の発現頻度については、審査報告書43ページの表14を御覧ください。こちらについても本剤群とワルファリン群との関係という視点で、本剤の安全性が日本人で特別劣るようなことはないと判断いたしました。

 以上の試験成績より、本剤を既承認の類薬と同じく、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」の効能・効果で承認することが妥当であると判断いたしました。また、用法・用量は、国際共同第III相試験の規定及び成績から、虚血性脳卒中の発症抑制効果が重視され、本剤60mg群での規定に基づいた用法・用量を設定することが妥当であると判断いたしました。

 製造販売後の調査計画等については、審査報告書141ページの表26を御覧ください。製造販売後調査において、使用実態下における出血関連有害事象等の安全性や、有効性についての情報を幅広く収集するため、調査予定例数を1万例とする特定使用成績調査の実施が計画されています。

 二つ目の効能・効果ですが、静脈血栓塞栓症に係る効能・効果に関する審査の概略について、国際共同第III相試験の成績を中心に御説明いたします。審査報告書86ページを御覧ください。国内外の深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症患者8,292例を対象とした国際共同第III相試験は、本剤の有効性についてワルファリンに対する非劣性を検証することを目的とした二重盲検並行群間比較試験です。ヘパリンを5~12日間投与した後、本剤又はワルファリンが投与され、本剤の用法・用量は60mgを1日1回投与とされ、体重60kg以下などの条件に該当する患者については、30mgを1日1回に減量されました。ワルファリンは、各地域の投与実態に沿って投与量が調節されました。

 まず有効性について、審査報告書89ページの図3を御覧ください。有効性の主要評価項目は、症候性静脈血栓塞栓症の初回再発までの期間とされ、これら複合イベントの累積発現状況をKaplan-Meier曲線で示すと、図3のとおりであり、本剤のワルファリンに対する非劣性が検証されました。

 安全性について、審査報告書90ページの表19を御覧ください。安全性主要評価項目である大出血又は臨床的に重要な出血の発現割合は、全体集団では、本剤群で8.5%、ワルァリン群で10.3%でした。

 続いて、本試験における日本人部分集団の209例の成績について御説明いたします。有効性については、審査報告書92ページの下を御覧ください。有効性主要評価項目の発現割合は、本剤群で4.7%、ワルファリン群で4.9%であったのをはじめとして、各有効性評価項目で本剤群とワルファリン群との関係という視点からは、全体集団と日本人部分集団の成績に大きな齟齬は認められず、全体集団で認められた本剤の有効性は、日本人においても期待できるものと判断いたしました。出血の発現頻度については、審査報告書94ページの表22を御覧ください。こちらについても本剤群とワルファリン群との関係という視点からは、本剤の安全性が日本人で特別劣るようなことはないと判断いたしました。

 以上の試験成績より、本剤を「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」の効能・効果で承認することが妥当であると判断いたしました。また、用法・用量は、国際共同第III相試験の規定に沿って、非弁膜症性心房細動に係る用法・用量と同一の規定とすることが妥当であると判断いたしました。

 製造販売後の調査計画等については、審査報告書147ページの表27を御覧ください。製造販売後調査において、使用実態下における出血関連有害事象等の安全性及び有効性に関する情報を収集するため、実施の可能性も考慮し、調査予定例数を1,500例以上とする特定使用成績調査の実施が計画されています。

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、「医薬品第一部会」にて、御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤の再審査期間は、既承認効能の再審査期間終了時までとすることが適当であると判断しております。また、今回追加される本剤60mg錠について、製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、審査報告書149ページの中段に記載の既承認効能・効果の再審査期間の残余期間について、「平成31年4月23日まで」と記載されていますが、「平成31年4月21日まで」と修正させていただきます。申し訳ございませんでした。説明は以上です。御審議のほど、お願いいたします。

○松井部会長 御質疑をお願いします。いかがでしょうか。

○佐藤()委員 有害事象と、それに関連する付帯条件の所で二つ質問させていただきます。1番目に、この薬は類薬の所でも同じような質問を私がしたと思いますが、Xaの所で阻害薬ですので、PTINR値でも、またAPTTでも判断できないという薬ですが、実際に今までは整形外科の手術の後に、特定の人に、使う薬であったのが、今度は広げて、先ほど20万人ぐらいの対象者がいらっしゃると、かなりこれが認可されると広く使われるのではないかと思います。そうなると、何か患者さんがほかの診療施設に行ったときにも分かってほしいのですが、例えば、交通事故等で外傷に遭ったときなどにきちんとこの薬を飲んでいるのだと、服用していることが分かるように何かカードを持たしたほうがいいのではないかという意見を出しました。

先日、個人的なことですが、スウェーデンに行く機会がありました。たまたまワルファリンを飲んでいる患者さんだったのですが、そのときに患者さんがメダルで、ワルファリンナトリウムを何ミリグラム飲んでいるということが、スウェーデン語でしたが英語表記でワルファリンと読めました。ですので、そういう物を付けたほうが、これはこの薬に限ったことではないのですが、いいのではないかと思います。また、患者さんが不意の事故のときに識別できるようにあったほうがいいのではないかという意見です。

 もう一つは、添付文書の2ページの所で使用上の注意がありますが、その中で が付いている6番目で、NSAIDsと併用すると大変出血が増大することがあるから注意というように書いてあります。恐らくこの前の類薬のときには私が見過したのかもしれません。そこは気にならなかったのですが、この薬については、NSAIDsとの併用で出血が拡大するから注意というように使用上の注意がされています。ただ、この薬を投与する医院の所でたまたま鎮痛剤を出せば別ですが、NSAIDsでは市販で患者さんが普通の頭痛がしたときにとか、市販薬で飲む可能性があると思いますので、投与をする医師や関連する薬剤師に注意をするというのが妥当であるのか。それとも患者指導というか、そのところで強く、これを簡単に飲むと危険だという注意を与えておく必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○松井部会長 二つ御質問がありましたが、まずカードのことです。

○機構 まず1点目の他科への情報提供については、リクシアナ錠の投与により出血のリスクは高まりますし、手術期に際しては本薬をやめるかどうかということで、飲んでいるかどうかの情報提供を関連する医師に情報提供することは必要と考えています。本剤についても通常の資材による周知に加えて、他科を受診する際に、リクシアナ錠を服用していることを他科の医師に提示するための患者カードを作成しています。そこには、リクシアナ錠による易出血性や処方医への相談の必要性が記載され、当該カードの提示をもって他科の医師への情報提供もできると考えています。

○松井部会長 リクシアナ以外の薬剤についても可能なのですか。

○機構 これはリクシアナ錠に関しての安全対策ということになります。

○松井部会長 その点について佐藤委員、いかがですか。

○佐藤()委員 それはもちろんそうしていただきたいと思います。それから個人の意見が全部通るというのはいけないことかもしれませんが、そうではなくて、日常生活の上で上着のポケットに入れておくカードを患者さんが持っていたほうがいいのではないかというように思います。これはこの薬に限ったことではないです。ワルファリンですら持っている時代になっていることを意見させていただきました。

○松井部会長 それは、佐藤委員の御意見がほかの委員の御支持を得られれば、単なる個人の意見ではないということになります。

○佐藤()委員 是非、患者さんにとってお願いしたいです。

○機構 先生、御意見ありがとうございます。まずワルファリンについての現状を御説明すると、古い薬ですので、数十年にわたって使われています。ワルファリンでは、ワルファリン手帳というカードが長い間使われていて、それには先生がおっしゃった生活上の注意とか、他科に伝えなければいけない情報やPT-INR値とかをコンパクトに記載し、携帯できるようにできています。それを現状、現場の薬剤師や医師の努力によって上手に運用しています。ワルファリンでの出血が国際的に考えても日本は比較的コントロールされていると思いますが、そのような努力もあって、現状がうまくいっていると思っています。

 今回追加される患者の方々は、皆ワルファリンを服用している患者さんと同じ対象患者で、恐らく、処方する先生はワルファリンを投与している医師と同じ先生方になります。ですので、ワルファリン手帳と同じように今回出すカードや、前回先生の御指摘があったものもカードを作りましたが、そのようなカードをうまく運用していけると思いますので、多分、先生がおっしゃるようなことはできていくのではないかと考えております。

○松井部会長 もう一つは、NSAIDsとの併用についての御質問はいかがでしょうか。

○機構 NSAIDsの併用について御指摘いただいたとおり、医師、薬剤師、患者も含めてそれを飲んでいるかという情報共有が非常に重要になってくると思います。しっかりそのあたりを周知徹底できるよう、資材等を用いて工夫していきたいと考えております。また、カードにも併用薬について情報共有するようにということを付け加えることも含めて考えさせていただきます。ありがとうございます。

○松井部会長 ただいまの点について、山田委員、川上委員、御意見ありますか。特によろしいですか。

○川上委員 また添付文書の記載について教えていただきたいのですが、添付文書案1ページ目の左上や右上を見ると、 が今回の効能・効果に関わる項目として附記されるのかと思います。全体を見ると、1ページ目の右側のカラムの下に、「効能・効果」のかぎ括弧があって、このかぎ括弧の前に が付いていますが、実際に内容を見ると、が3つあります。一つ目と二つ目のは、今回の効能・効果の追加に関わるものだと思いますが、3つ目のは今回追加したものではないと思います。そうすると の位置が効能の全体の所に付けるのが正しい表記なのかどうかということを教えてください。同じことが2ページ目の左のカラムの上の辺り、「用法・用量」についても言えるのかと思います。鍵括弧に付けてしまうと全項目が同じように該当することになるので、どこを変えたのかが分からなくなるような気がします。これが正しい書き方なのかを教えていただきたく存じます。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○機構 先生、御指摘ありがとうございます。通常、*に限りませんが、最新の添付文書の改訂に従って変化したところにマークするようになっています。今、手元に記載ルールがないので、表記法についてはルールを確かめた上で適切に対応したいと思います。

○川上委員 よろしくお願いします。

○松井部会長 3番目の項目については、今、川上委員より御質問がありましたがいかがですか。

○川上委員 変更箇所をどのように示すのが正しい記載なのかという確認をお願いします旨を意見として申し上げただけです。どうもありがとうございます。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○山田委員 同じく添付文書案についてです。2ページの用法・用量ですが、今回追加になった効能・効果に対応するところで、体重60kgを超える場合は60mgで、その後に腎機能併用薬に応じて1日1回30mgに減量をするというように断定的に書いてあります。添付文書案で例えば5ページに、腎機能に応じてAUCが上がっていくことを考えると、画一的に30mgに減量をするというように、ここで書いてしまうのは科学的なのかと思うのですけれども、この点についていかがでしょうか。

○機構 今回追加する効能・効果の患者さんを対象とした試験では、腎機能が3050ml/minの患者さんでは、半量の30mgに減量して投与をするという用法・用量で試験が行われ、有効性や安全性が確認されているので、腎機能については用法・用量に関連する使用上の注意の2)のとおり、クレアチニンクリアランス3050ml/minの患者さんに関しては、30mgとすることが妥当と判断しています。

○松井部会長 今のお答えはよろしいですか。

○山田委員 よく理解できませんでしたが、障害の程度によって減量をするという書き方ではまずいのでしょうか。腎機能併用薬に応じて、適宜という言い方は現場は困るので、実は規定したほうがいいと思っていますが、画一的に30mgでいいかということが気になったことです。

 もう一つは、以前からある下肢整形外科手術に伴う血栓予防の用法・用量の腎機能に応じた変化は、使用上の注意の所に書いてあり、用法・用量の所には書いてありませんが、今回、用法・用量の所にわざわざ書いたということも何か統一性がないような気がするのですが。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○機構 御指摘ありがとうございます。これについては、疾患と薬効の特徴によってこのようになっています。まず、疾患が血栓の形成であり、それを治すのが本剤の目的ですが、血栓予防効果や治療効果、あるいは安全性に関する大出血発現率について、血中濃度が上がっていくほうが大きいというおおざっぱな感覚はありますが、血中濃度と有効性や安全性のイベントの相関が低く、この領域はイベントでそれらを評価するしかありません。用法・用量は抗凝固能で仮に設定し、イベント試験をやって、本当にそれがうまくいくかということを検証する形にしないと有効性が示せないということになっています。用量設定のときには、割切って用量を30mgにすることを決めましたが、実際、この投与量以外できちんとイベントが抑制できたり、そのときに大出血が確かに起こらなかったりというのが検証できていないので、検証された以外の方法はお勧めできません。適宜減量したときに本当に予防効果があるのか、予防効果がないけれども、出血だけを高めてしまうような疑いのあるような用量なのかわからず、バランスがいい用量であるという証拠がないところはお勧めできないため、この疾患領域では検証試験での仕込みをそのまま用法・用量に書き起こす形になっています。

○山田委員 用量反応性を考慮すると、推定できるような気もするのですが、おっしゃることは分かりました。そうすると、腎機能併用薬に応じて減量するというのは、体重60kg以下のヒトの場合にもあり得るわけで、ここにこのように記載するべきなのかわかりません。

○機構 国際共同第III相試験では体重60kg以下、腎機能低下、用法・用量に関する使用上の注意に記載のある薬剤の併用あり、のいずれかに該当する場合に30mgに減量していました。したがって、体重60kg以下の患者さんで腎機能低下、また併用薬ありの場合も30mgが投与されていたことになっています。用量調整因子が重複した場合にも出血リスク等は、全体集団と同様であることを確認していますので、このような用法・用量にしています。

○山田委員 確認です。60kg以下の場合は、腎機能に関係なく30mgでいいということで臨床試験の結果が出たということですか。

○機構 はい。そのとおりです。

○山田委員 分かりました。

○松井部会長 ほかにはいかがですか。御了承いただけましたでしょうか。松木先生よろしいですか。

○松木部会長代理 はい。

○松井部会長 それでは、議決に入りますがよろしいでしょうか。今の点を踏まえて議題5の承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。

 では、議題6について、機構から概要の説明をお願いします。

○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品ホメピゾール点滴静注1.5g「タケダ」の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より御説明いたします。エチレングリコール及びメタノールは、保冷剤や燃料用アルコール等に用いられており、誤飲や自殺企図等による摂取例が報告されております。エチレングリコール及びメタノールはそれ自体の毒性は低いものの、体内でアルコール脱水素酵素等によりグリコール酸やギ酸等に代謝され、これらの毒性代謝物により、代謝性アシドーシス、急性腎不全、視神経障害等の中毒症状が発現し、重篤な場合は死に至ります。

 ホメピゾール(以下、「本薬」)は、アルコール脱水素酵素阻害薬であり、エチレングリコール又はメタノールからの毒性代謝物の産生を阻害することで中毒症状の発現を抑制するとされ、2014年7月現在、エチレングリコール中毒及びメタノール中毒の治療薬として、米国及びカナダで承認されております。

 本薬は、一般社団法人日本中毒学会及び公益財団法人日本中毒情報センターより要望書が提出され、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で「医療上の必要性が高い」と判断され、2010年4月に厚生労働省より開発企業が募集され、申請者が開発するに至りました。

 なお、本薬は復帰突然変異試験の結果が陽性であり、健康成人を対象とした臨床試験の実施は困難であること、また、エチレングリコール中毒及びメタノール中毒は発生頻度が低くかつ散発的であり、本邦では当該患者を対象とした臨床試験の実施も困難であることから、米国等における承認申請資料、国内外の文献報告及び海外市販後安全性情報を基に、本薬の製造販売承認申請が行われました。本品目の専門協議では、本日の配布資料13に示します専門委員が指名されております。

 以下、本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。主な臨床試験として、2つの海外第III相試験の結果が提出されました。有効性に関しては、報告書27ページの表15を御覧ください。エチレングリコール中毒患者を対象とした海外第III相試験における血漿中グリコール酸濃度等の結果を示しています。血液透析併用例が多いことは考慮する必要はあるものの、本薬投与後にグリコール酸濃度が低下すること、及び重炭酸イオン濃度が上昇し、代謝性アシドーシスが改善することが示唆されました。

 また、報告書28ページの表17を御覧ください。メタノール中毒患者を対象とした海外第III相試験における血漿中ギ酸濃度等の結果を示しています。本試験も血液透析併用例は多いものの、本薬投与後にギ酸濃度が低下すること、及び重炭酸イオン濃度が上昇し代謝性アシドーシスが改善することが示唆されました。

 機構は、以上の試験成績及び民族差が本薬の有効性に及ぼす可能性は大きくないと考えられることから、日本人のエチレングリコール中毒患者及びメタノール中毒患者において、本薬の有効性は期待できると判断いたしました。

 安全性に関しては、報告書3435ページの1)~3)を御覧ください。健康成人又は中毒患者を対象とした海外臨床試験等における有害事象の発現状況を示しております。機構は、当該臨床試験等の結果、及び民族差が本薬の安全性に重大な影響を及ぼす可能性は大きくないと考えられることを踏まえると、本薬投与に伴う頭痛やめまい、注射部位反応等の発現には注意する必要があると考えるものの、添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」等に記載したように、適切な安全対策を取ることで、日本人のエチレングリコール中毒及びエタノール中毒患者における本薬の安全性は許容可能と考えました。

 ただし、日本人患者に本薬を投与した臨床試験成績がないことから、製造販売後調査では、全症例を対象にして、本薬投与時の安全性及び有効性に関する情報を収集する必要があると考えました。

 以上、機構での審査の結果、エチレングリコール中毒及びメタノール中毒に対する本薬の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられたことから、再審査期間中に本薬が投与された全症例を対象にした製造販売後調査に係る承認条件を付した上で、本薬を承認しても差し支えないと判断し、「医薬品第一部会」で審議されることが適当と判断いたしました。

 なお、本薬は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 ありがとうございました。御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。

○川上委員 本質的なことではないのですが、なぜこの製品に比べて箱がこんなに大きいのですか。

○機構 理由は把握できておりません。申請者に確認して、何か特段の理由がありましたら、適宜、御報告させていただきたいと思います。

○松井部会長 それでよろしいですね。ほかにいかがでしょうか。

○松木部会長代理 いくつか質問があるのですが、これ、エチレングリコールに限っていえるのですが、多分ジエチレングリコールのほうが、例えば白ワインに混入されていたとか、あるいは中南米のほうの偽グリセリンに使われたとか、結構そういう被害が実際にあると思うのですが、ジエチレングリコールも多分アルコール脱水素酵素で代謝されると思うのですが、ジエチレングリコールに使った場合はどうなのですか。

○機構 機構より回答させていただきます。アルコール脱水素酵素によって代謝され、毒性代謝物が産生されるということであれば、機序を考えると、そういった中毒にも効果が期待できると考えられますが、今のところデータ等がなく、今回、申請されていないという状況かと思います。

○松木部会長代理 そうしましたら、添付文書や何かにジエチレングリコールに関してはまだ有効性は確認されていないとか、何かそういうことを書いたほうがいいと思います。エチレングリコールとジエチレングリコールはよく間違えるのですが、両方とも不凍液にも使えますし、その辺が気になりました。

○機構 効能・効果でエチレングリコール中毒とはっきり記載しているところですので、そういった注意喚起は今のところ機構としては必要ないと考えております。添付文書は承認の範囲内について注意喚起を行うのが原則かと思いますので、そういった形で記載したいと思います。

○松井部会長 書く必要がないということでしょうか。

○機構 はい。添付文書には記載が難しいと思うのですが、資材を作成しておりますので、そちらのほうで必要な情報を記載させていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○松木部会長代理 確かに普通の人は使うことは余りないと思いますが、専門家が使うので大丈夫だと思います。あと、ほかの点でよろしいですか。小児に対してはどうなのですか。やはり誤飲するのは小児だと思うのですが、メタノールを一気飲みする子どもはいないと思うのですが、エチレングリコールは甘いので飲んでしまう可能性があると思います。

○機構 機構より回答させていただきます。今のところ用法・用量は、体重当たりの用法・用量を設定しておりまして、小児も含めた形で設定しておりますので、使用は可能と考えております。

○松木部会長代理 最後にもう1点、民族差によって毒性は多分ないだろうということなのですが、逆に多分アジア系のほうがアルコール脱水素酵素の活性は高い人が多いので、これを使う頃にはもう遅いという可能性は非常に高いと思うのですね。効果はむしろ民族性によって期待できないというのが正しい判断かと思うのですが。

○機構 機構より回答させていただきます。確かに日本人のほうがアルコール脱水素酵素の活性が高いですので、毒性代謝物が産生されるまでの時間が短いかと思います。機構としては、本剤の投与対象はそうなる前の毒性代謝物が産生されていないような状況の患者が対象と考えておりまして、毒性代謝物がある程度産生されてしまった場合には、本剤の有効性は期待できないと作用機序の面から考えております。添付文書を御覧いただければと思うのですが、資料1.8の添付文書案の1ページ目の左下、「使用上の注意」の「重要な基本的注意」の「()重篤な代謝性アシドーシスや腎不全等が認められる場合は、血液透析を実施すること」と注意喚起しており、毒性代謝物が既に産生されてしまった患者に対しては、血液透析を実施することが必要と考えております。

○松井部会長 ほかに何かございますか。

○野田委員 審査報告書の23ページに国内の公表論文でのエタノールについての成績の記載がありますが、これはエタノール中毒というか、過剰摂取のときにも検討されるような可能性はあるのでしょうか。

○機構 機構より回答させていただきます。今回、メタノール中毒、エチレングリコール中毒に対して申請されておりますが、日本人に対する使用経験がないということで、こちらの公表論文、エタノールを服用した際の論文が提出されております。機構としましては、メタノール中毒、エチレングリコール中毒について本剤の必要性が高いとして申請されておりまして、エタノールに関しては、本剤の対象ではないと考えております。

○松井部会長 よろしいですか。

○野田委員 それは分かるのですが、有効性は使ってみるとあるのですか。いまよく若い学生さんとか。

○松井部会長 一気飲みですか。

○野田委員 命を落とすような方もいらっしゃるわけなのですが。

○機構 機構より回答させていただきます。作用機序を考えますと、アルコール脱水素酵素を阻害する作用を持つ薬ですので、アセトアルデヒトの産生を抑制する作用は想定されると考えておりますが、今のところそのような目的での臨床使用データはありません。

○野田委員 状況は分かりました。ありがとうございました。

○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。それでは議決に入ってよろしいですか。なお、野田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加をご遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。それでは、御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。

 次は議題7です。機構より説明してください。

○機構 審議事項議題7、資料7「医薬品ルティナス腟錠100mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。ルティナス腟錠100mgは、米国フェリング・ファーマシューティカルズ社により開発された、プロゲステロンを有効成分とする外用黄体ホルモン剤で、2014年度6月現在、米国、英国を含む海外36か国で承認されております。

 生殖補助医療においては、調節卵巣刺激等に伴い黄体機能不全が生じることが知られており、プロゲステロンを投与して黄体補充をすることで、妊娠率が向上することが期待されております。本邦では、生殖補助医療における黄体補充を効能・効果とする黄体ホルモンは承認されておらず、適応外のプロゲステロン注射剤、院内製剤、個人輸入の外用剤が使用される等の状況にありましたが、今般、フェリング・ファーマ株式会社により、国内臨床成績等を基に、「生殖補助医療における黄体補充」を効能・効果とした本剤の医薬品製造販売承認申請がなされました。

 本剤の審査に関して、専門委員として、資料13に記載されている4名の委員を指名しております。

 本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、審査報告書14ページ「1)国内第III相試験」を御覧ください。本試験では、体外受精・胚移植又は卵細胞質内精子注入法による不妊治療を受ける日本人女性を対象として、本剤を1日2回又は3回、採卵日の翌日から最長10週間経腟投与したときの有効性及び安全性が検討されました。

 審査報告書15ページの表5及び表6を御覧ください。主要評価項目である投与5日目の血清中プロゲステロン濃度が10ng/mL以上である被験者の割合は、1日2回投与及び3回投与でそれぞれ97.8%及び100%、全体で98.7%であり、海外臨床試験において血清中プロゲステロン濃度が10ng/mL以上であった被験者の割合である99.8%との差の95%信頼区間の下限値は、事前に規定した基準であるマイナス10%を上回りました。また、同じく主要評価項目とされた投与5週目の継続妊娠率は、1日2回及び3回投与でそれぞれ14.0%及び29.8%でした。

 次に、審査報告書16ページ「2)海外第III相試験」を御覧ください。国内第III相試験と同様の方法で生殖補助医療を受ける外国人女性を対象として、本剤を1日2回又は3回、若しくは海外で承認されているプロゲステロンゲル剤を、採卵日又はその翌日から最長10週間経膣投与したときの有効性及び安全性が検討されました。

 審査報告書17ページの表8を御覧ください。有効性の主要評価項目とされた継続妊娠率について、本剤1日2回投与では、対照薬であるプロゲステロンゲル剤に対する非劣性は示されず、1日3回投与では非劣性が示されました。国内試験においても、1日3回投与の継続妊娠率に比べ、1日2回投与の継続妊娠率は低い傾向を示しましたが、1日2回投与時の継続妊娠率は、本邦における公表論文や医療機関のホームページに公開されている妊娠率の範囲内であったことや、血清中プロゲステロン濃度については1日2回投与と3回投与で大きな差は認められないことから、本邦における黄体補充の選択肢として、1日2回及び3回投与の両方を承認することが適切と判断しました。

 安全性については、審査報告書34ページ上段「()安全性について」を御覧ください。国内外の臨床試験において認められている有害事象は、調節卵巣刺激に起因すると考えられる卵巣過剰刺激症候群や、プロゲステロンの副作用として既に知られている性器出血等であり、本剤の安全性に関し、新たな懸念は認められず、生殖補助医療においても許容されるものと判断しました。

 製造販売後の検討事項について、審査報告書35ページ下段~36ページ「()医薬品リスク管理計画()について」を御覧ください。提出された医薬品リスク管理計画()について、妥当と判断しております。また、予定症例数を1,000例、調査期間を10週間とした使用成績調査を実施し、血清中プロゲステロン濃度や継続妊娠症例における妊娠の転帰等の情報について収集する予定です。

 以上のような検討を行った結果、「生殖補助医療における黄体補充」の効能・効果で本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は、新投与経路医薬品であることから再審査期間は6年と決定することが妥当であり、製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどをよろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございました。審査報告書の2ページ目ですね。効能・効果の所に、「生殖補助医療における黄体補充」と書いてあるのですが、黄体ホルモンの補充ではないのですか。黄体でよろしいですか。

○機構 黄体自体は、確かに組織の名前を指しますが、生殖補助医療の現場においては、黄体ホルモンを補充することが一般的に黄体補充と言われております。

○松井部会長 分かりました。それでは、御質疑をお願いします。

○加藤委員 この薬物と本質的に関係ないかもしれないのですが、報告書の部分、それから添付文書などで何回も繰り返し使われている表現に「外国人健康成人女性」という言い方があります。これは、「日本人女性」という言葉に対応して用いられているのですが、どういう試験なのか、その実態、内実が記載されていないので分からないのですが、外国人女性を対象にした試験であるという表現に何か意味があるのかと感じます。ほかの、例えば海外のいろいろな成績試験の報告などを見ると、生物学的な人種に関してコーカシアンとかモンゴリアンとか書いてあるのが一般的である感じがするのですが、外国人というのは、国籍が日本でないという意味で使われているのか、果たして「外国人女性」という表現が生物学的に意味がある表現なのか、そういう特別な意図を持って「外国人女性」という言い方をあえて使っているのか、疑問に感じたので、お願いします。

○機構 機構よりお答えいたします。御指摘いただきありがとうございます。御指摘の点につきましては、白人である、若しくはその他の人種であるといった情報は今持ち合わせていないのですが、適宜確認の上、添付文書については修正させていただきます。

○神田委員 安全性のところですが、この用法・用量の投与をして、妊娠しない場合もあるわけですね。そのときにまた同じ人が、また繰り返し投与したことについての安全性というのは、確認されているのでしょうか。あるいは間を開ける必要があるのでしょうか。その辺のところをもう少し知りたいと思いますので、お願いします。

○機構 機構よりお答えいたします。繰り返し投与した際の安全性・有効性については、国内外臨床試験では確認されておりません。ただ、本剤の有効成分は生体内成分でもあり、繰り返し投与することに関しまして、大きな懸念はないものと考えております。また生殖補助医療の現場においても、何周期も投与を続けられるという実態もありますので、繰り返し投与することは可能だと考えております。

○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○川上委員 この製品のシートを拝見すると、多分これは輸入品だからしょうがないのでしょうけど、透けて外国の表示がそのまま見えてますね。こういうのはユーザーフレンドリーではないような気がしますので、外国製品表示が見えないような形での表示に改めるとか、あと、外国製品の場合、ユニットドーズなので、1個1個に対して使用期限が書かれているのですが、日本の場合最後の一番下のものにしか書かれていないとか、逆にこれだけユニットドーズにそのまま輸入して使うのなら、1個1個に使用期限を書かれてもいいと思います。こういった製品化に対する、指導という辺りで、私は見ただけでもそういうことがいろいろ気にはなるのですが、何かお考えのこととかありましたら教えてください。

○機構 御指摘いただきありがとうございます。今お手元にお配りしております製剤見本は、現時点で企業に用意していただけるものということで、海外で販売されている製剤にシールを貼ったものとなっておりますが、本剤が国内で販売される際には、国内向けに包装、表示がなされて提供されることになります。

○松井部会長 その点、御留意ください。ほかにございませんでしょうか。御異議ないようでしたら、議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。なお、加藤委員と野田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。委員の先生方、本議題について承認を可としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。

 それでは、議題10に移りたいと思いますが、機構より御説明ください。

○機構 審議事項議題10、資料11「医薬品グラナテック点眼液0.4%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」機構より説明いたします。本剤は、Rhoキナーゼ阻害作用を有するリパスジル塩酸塩水和物を有効成分として含有する点眼剤です。本邦においては、□□月より臨床試験が開始され、今般、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合の緑内障及び高眼圧症に対する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。海外において、本剤は2014年4月現在、承認されておりません。

 本申請の専門委員としては、資料13に記載されております9名の委員を指名いたしました。審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。本剤の第III相試験として、本剤単独投与時、本剤とラタノプロスト点眼液との併用投与時及び本剤とチモロール点眼液との併用投与時の有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重遮蔽並行群間比較試験がそれぞれ実施されました。本剤の用法・用量は、いずれも0.4%を両眼に1回1滴、1日2回点眼投与すると設定されました。

 有効性について、審査報告書35ページの表15及び38ページの表17を御覧ください。表15が単独投与、表17がチモロール点眼液との併用投与の第III相試験におけるベースラインからの眼圧変化量の結果になります。両試験では、主要評価項目である治療期間開始時の同一時刻に対する4、6、8週時の眼圧変化量について、朝点眼直前、点眼2時間後のいずれにおいても、本薬群のプラセボ群に対する統計学的有意差が認められました。

 次に、審査報告書37ページの表16を御覧ください。表16はラタノプロスト点眼液併用による第III相試験におけるベースラインからの眼圧変化量の結果です。主要評価項目である治療期間開始時の同一時刻に対する4、6、8週時の眼圧変化量について、朝点眼直前では本剤群のプラセボ群に対する統計学的な有意差は認められませんでした。一方、多重性を考慮していない解析であるものの、点眼2時間後では本剤群のプラセボ群に対する統計学的有意差が認められました。

 審査報告書42ページの表20及び43ページの表21を御覧ください。ラタノプロスト点眼液併用の第III相試験において、朝点眼直前の評価において、主要な解析ではプラセボ群と本剤群の間に統計学的な有意差は認められなかったものの、表20のとおり、2、4、6及び8週のいずれの評価時点におけるベースラインからの眼圧変化量も、プラセボ群と比較して本剤群で上回る傾向が認められたこと、また、第III相試験において、朝点眼直前と点眼2時間後以外の時点における眼圧は測定されておりませんが、別途実施されたラタノプロスト点眼液併用による臨床薬理試験では、表21のとおり、点眼6及び9時間後において、本剤の眼圧下降効果が維持される傾向が認められていることも考慮し、本剤はラタノプロスト点眼液との併用の効果が期待できるものと考えております。

 次に、安全性について、審査報告書45ページの表23及び46ページの表24を御覧ください。第III相試験3試験及び長期投与試験において、結膜充血が高頻度に認められましたが、多くは投与ごとに発現・消退する一過性の事象でした。長期投与時にはアレルギー性結膜炎、眼瞼炎等のアレルギー・炎症関連の眼障害の発現割合が高い傾向が示されましたが、いずれも投与中止や治療によって回復又は軽快する可逆的な事象でした。

 次に、審査報告書2425ページ「()水晶体線維変性について」を御覧ください。非臨床試験において、薬理作用に起因すると考えられる水晶体混濁及び線維変性が認められております。臨床試験において、本剤投与に関連する水晶体混濁や白内障の発現は認められておりませんが、本剤臨床投与時の眼組織中濃度は不確定であり、十分な安全域が確保されているかは明らかではないこと等から、臨床使用時に白内障発現のリスクは否定できないものと考えております。また、審査報告書4050ページ「()安全性について」「5)角膜への影響について」を御覧ください。現時点において臨床上、大きな問題となる可能性は示唆されておりませんが、臨床試験において角膜厚の減少が認められております。したがって、製造販売後調査を実施し、白内障及び角膜への影響を含め、本剤投与時の安全性について、引き続き検討する予定です。

 以上の審査を踏まえ、本剤の「次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症」に係る効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新有効成分含有医薬品に該当することから、再審査期間は8年、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。

○加藤委員 緑内障治療薬ということで、これは以前、別の緑内障治療薬のときにも松木委員から指摘があったと思うのですが、緑内障は網膜の神経節細胞が死んでいくという神経変性疾患がその本態です。ここで主に高眼圧症に対する効果ということで、眼圧を評価しているわけですが、この薬物はrho kinase inhibitorですから、rho kinase inhibitorが例えば神経の軸索伸長や生存に対して影響があるという論文がたくさんありますので、眼圧だけではなく、神経の生存に対する効果も評価項目としてどこかに出てくるのかと思い見ていたのですが、特にそのことは評価されていないようです。前に松木委員からのコメントがあったように、緑内障、特に日本人に多い正常眼圧緑内障の場合には眼圧自身がリスクファクターではあるとはいえ、直接的な病因ではないということを考えたときに、神経生存、あるいは網膜細胞生存に対しての効果を何らかの形で評価することを一つの試験項目なり、あるいは前臨床試験項目としてやっておくべきなのではないかと思います。このrho kinase inhibitorでも、それは是非とも必要で、これは全く新しい作用機序ですので、今後更に新しい機序の薬物を臨床に用いていくためには、これからそのような視点が必要だと思うのです。この薬物に関して、今回そのような視点の検査研究試験は行われていないのでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○機構 機構より説明いたします。御指摘のとおりだと思うのですが、本申請において、使用の中では、そのような試験は実施されていなかったという状況です。

○加藤委員 作用機序によっては、今後、眼圧だけではなくて、神経に対する作用についても試験を行うよう指導していくべきではないかとコメントしたいと思います。また、基本的にフェーズ3は高眼圧を前提条件とした患者で行われているのですが、正常眼圧患者での効果がどこにあるかわかりにくく、結局、正常眼圧のときには眼圧は下がるのか、下がらないのか、正常眼圧の場合にも効果があると言っていいのかどうか、あるいは何も評価していないのか、わかりにくいと思います。実際に患者で、これは長期的なフォローアップが必要だということでやっていないのだと思うのですが、視野や周辺視力に及ぼす効果についても評価してもいいのではないかと考えます。長期的なそういうフォローアップが必要だというのは、こういう疾患を対象とする薬物には前提として試験計画の中にとり入れたほうがいいのではないかと思います。

○機構 御指摘、ありがとうございます。御指摘の頂きました正常眼圧緑内障については、第III相試験の中には組み入れられていなかったのですが、長期投与試験の中ではそのような患者も含まれており、同様に眼圧を下げるという効果が期待できるのではないかと考えております。視野への影響なのですが、臨床試験では観察期間が最長1年間であり、評価はできていないところです。製造販売後調査では観察期間を2年間として、調査項目の中に視野という項目も入れた上で評価をしていく予定です。それでも視野を評価するには短いかと思うのですが、その中でも何らかの評価ができればよいと思っております。

○松井部会長 加藤委員の御指摘は、クオリティ・オブ・ライフにもかかわることですので、重要だと思います。検討してください。ほかにいかがでしょうか。

○山田委員 有害事象のところで結膜充血が非常に高頻度で起こっているようですが、これは薬効に基づく反応なのでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○機構 機構より説明いたします。御指摘のとおりでございます。今回の作用機序により、血管が拡張するという作用がありますので、それによって充血が起こってくるということです。

○松井部会長 その充血は一過性ですね。

○機構 そうですね。こちらの事象については、今回、投与間隔が大体12時間ごとになるのですが、次の投与までには消退するような事象です。

○山田委員 結構です。

○古川委員 有害事象でアレルギー性の結膜炎、あるいは眼瞼炎の頻度が高いということが書いてあるのですが、これはアレルギーの体質、家系に多いのか、そういうことではないのかという点は、明らかにしていただきたいのですが。

○機構 機構より説明いたします。その点についても私どもも気になったので、申請者と何度かやり取りをしました。中には花粉症の方などが入っていて、そういう方で発現することが多いというような傾向がありますが、それ以外の方でも起こっており、特定の要因が分かっているわけではないという状況です。

○古川委員 その意味は何となく分かるのですが、アレルギーの家系的なそういうものがない人にも起こり得るのですか。本当にそこまで調べられているのかどうか。そういうことによって、この書き方が「アレルギーの家系のある人には特に注意を有する」などというのを、事前に喚起することも必要ではないか。これは「アレルギー性結膜炎が起こったことがあるから注意してください」という添付文書の書き方なのですが、一歩進んで、「そういう家系のある人は特に注意」という喚起が必要なのか、必要ないのかとお聞きしているのです。

○機構 現時点において、アレルギーの家系で起こりやすいということが分かっているわけではなく注意喚起ができるまでの情報はございません。また、ほかの機序の緑内障治療薬でも同じようなことが起こっているので、本剤に限らないものなのかもしれないということも考えてはいるのですが、まだ情報が少ないので、今後、製造販売後調査の中でも情報を収集し確認したいと考えております。

○松井部会長 今のところはアレルギーとの関連は明らかではないのですね。

○機構 現時点では明らかではないです。

○松井部会長 ほかにはよろしいでしょうか。御意見がないようですので、議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。委員の先生方、承認を可としてよろしいですか。異議なしと認めて、承認を可とし、薬事分科会に報告いたします。

 次は議題8をお願いします。

○事務局 審議事項議題8、資料8「セレキシパグを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より説明いたします。資料の評価報告書のタブをお開きください。申請者は日本新薬株式会社、予定される効能・効果は、肺動脈性肺高血圧症です。対象患者数について、評価報告書の2ページです。肺動脈性肺高血圧症の特定疾患医療受給者証の交付件数が平成23年度で1,969人となっております。また、潜在的には更に患者数が増えると推測されておりますが、幾つかの文献報告を踏まえると、多くても約1万5,700人と推定されており、指定基準の5万人未満を満たすものと考えております。

 次に、医療上の必要性ですが、本剤セレキシパグは、3ページ上段に記載のとおり、経口投与可能なプロスタングランジンI2受容体アゴニストで、新たな組合せによる肺動脈性肺高血圧症に対する併用療法の提供を可能にするものと期待され、医療上の必要性が高いものと考えられております。

 最後に、開発の可能性について、3ページ後段になりますが、海外第II相試験でプラセボ群と比較して、有意な改善が認められているほか、国内でも非盲検非対照試験での改善傾向が認められております。さらに、海外で第III相検証試験が実施されており、開発の可能性は高いと考えられております。なお、ただ今申し上げました海外第III相試験については、指定申請時には反映されておりませんでしたが、既に申請者の日本新薬より、良好な結果が得られた旨の発表がなされておりますので、申し述べさせていただきます。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 何か御質問、御意見はありますか。特に御意見がないようでしたら議決に入ろうと思いますが、加藤委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告いたします。次は議題9です。

○事務局 審議事項議題9、資料9「ビガバトリンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」事務局より御説明いたします。申請者はサノフィ株式会社、予定される効能・効果は「点頭てんかん」となっております。まず、「対象患者数について」は評価報告書の1ページ、最終行からになりますが、点頭てんかんは小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患で、平成23年度における全国の合計登録人数は2,815人であり、現在の患者数としては約3,000人以下と推定されております。したがって、患者数5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 続きまして、「2.医療上の必要性について」は2ページからになりますが、点頭てんかんは小児期のまれな難治性てんかんで、攣縮、精神運動発達遅滞、脳波異常等を特徴とする疾患です。また、点頭てんかん患者の乳幼児の死亡率は5~30%と推定されるなど、予後は不良とされております。本邦における点頭てんかんの治療薬としては、副腎皮質刺激ホルモン製剤が第一選択薬とされているほか、ステロイド剤が使用されております。本剤は、GABAトランスアミナーゼ阻害薬であり、海外の臨床試験で有効性が確認され、投与終了後3か月時点においても、発作の再発を減少させていることが報告されており、患者の長期予後を改善する可能性があるとされております。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、「3.開発の可能性について」は3ページ後段になりますが、米国、欧州で既に点頭てんかんの治療薬として承認されているほか、国内でも第III相試験が実施されていることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。以上から、本剤は希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 御質疑をお願いいたします。点頭てんかんというのは、私が医者になりたての頃、30年前から、年齢依存性の難治性てんかんの一つとされていて、6か月から1歳6か月ぐらいまでに発症して、発作が止まらないとまた更に遅れていくという大変予後の悪いてんかんです。それに対してこういう新しい薬が使えるようになるというのは福音だろうと思います。御質疑はありませんか。特にないようでしたら、議決に入ろうと思いますが、加藤委員、川上委員、野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議ないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告いたします。報告事項でよろしいですか。

○事務局 報告事項、議題1「医療用医薬品の再審査結果について」事務局より御報告いたします。資料10-110-2で、こちらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書になります。資料10-1は、一般的名称は「イミダプリル塩酸塩」、販売名は「タナトリル錠2.5及び同錠5」の再審査結果の通知書です。資料10-2は、一般的名称は「ネオスチグミンメチル硫酸塩、アトロピン硫酸塩水和物」、販売名は「アトワゴリバース静注シリンジ3mL及び同静注シリンジ」のものです。

 こちらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定されているものです。説明は以上です。

○松井部会長 ただいまの報告事項について、いかがでしょうか。特に御意見はありませんでしょうか。報告事項については御確認いただいたものといたします。

 その他の事項について、前回のベルソムラに関して御説明ください。

○事務局 ベルソムラについて説明いたします。前回の8月1日開催された「医薬品第一部会」で御審議いただきました不眠症治療薬のベルソムラ錠については、審査管理課長より部会当日の議論の内容を整理して、今回の部会に提出資料として配布する旨をお伝えしておりました。当日配布資料としてお配りしている資料15-1は前回の部会で頂きました委員の先生方からの主な御意見とそれについての審査管理課及びPMDAの発言内容を要約したものとなっております。表面には、米国に比べて日本の方が大用量になっていること、日本での高齢者が多いことなど、社会的背景を踏まえた審査の必要性に関する議論、裏面には、今回の承認用量である15mgよりも低含量の製剤の開発の必要性や添付文書の記載方法の検討、本剤による摂食障害等への影響に関する議論についてまとめております。

 この前回の部会での議論を受けて、申請者のMSD株式会社には資料15-2の1ページに記として記載している三つの内容について対応を依頼しております。3ページより、MSD株式会社からの回答がありますので、そちらで説明いたします。5ページです。対応を依頼した内容のうち、一つ目の低含量製剤の開発については、剤型追加の申請に必要な資料ができ次第申請するとの回答がなされております。

 6ページです。対応を依頼した内容のうち二つ目として、本剤の服用により想定されるリスクについて、リスク管理計画を策定の上、適切に実施することを求めたところ、RMPについては現在策定中ではありますが、安全性検討事項の重要な潜在的リスクに高齢者の投与、ナルコレプシー、摂食行動に対する影響、ほかの不眠症治療薬との併用等が挙げられております。さらに、本剤の安全性に関する情報を検出・確認するため、使用成績調査を実施することや自動車運転等への影響をはじめとする本剤の使用に当たっての注意喚起については、添付文書のほか、患者及び医療関係者に対する資材や関係学会との連携等を通し、適正使用を推進していくとされております。

 7ページです。三つ目として、添付文書にて高齢者への投与について、適切な注意喚起を行うよう求めておりましたが、高齢者において血漿中薬物濃度が高くなる傾向があることを明確に記載するなどの対応を行うこととしており、実際の添付文書案を8~11ページに添付しております。

 最後に、文書による指示事項とは別に、80歳以上といった高齢者における薬物動態等の検討を行っていれば、その結果を提出してほしい旨、依頼しておりました。25ページの図3が具体的なデータとなります。結論としては、戻って13ページ、最終段落に記載がありますが、75歳以上の高齢者ではほかの年齢層と比較して薬物動態について明らかな差異が認められなかったものの、その症例数は少なく、血中濃度にばらつきが見られていることから、高齢者の潜在的リスクを完全には否定できないとされております。そのため、高齢者の投与に関して、RMPに基づき、安全性にかかわる情報収集を行うとともに、添付文書での注意喚起を行うことにより、市販後に適切に対応していく旨、記載されております。以上、報告いたします。事務局からは以上です。

○松井部会長 御質疑をお願いします。少なくとも先生方が前回話し合ったことの一部は本日の議論に反映されていると思いますが、鈴木委員、いかがですか。

○鈴木委員 適切な対応をしていただいたので、現場で確実に予想された混乱は、かなり避けられるのではないかと思います。引き続き、販売後の対応もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○松井部会長 ほかに御意見はありませんか。私ども委員が主張したことが認められることが分かったわけですから、是非これ以降も活発な御意見をよろしくお願いいたします。この議題については、これでよろしいでしょうか。本日の議題は以上だと思うのですが、ほかに事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会については、1029()午後5時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。

○松井部会長 本日はこれで終了いたします。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。


(了)

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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