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2014年11月21日 第13回保険者による健診・保健指導等に関する検討会 議事録

○日時

平成26年11月21日(金)15:00~16:39


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○議題

「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」における第二次中間とりまとめ(案)について

○議事

○多田羅座長 まだ到着されていない委員の方もおられますが、定刻になりましたので、ただいまより「第13回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しいところを本日、本検討会に御出席いただきましてありがとうございます。

 私は座長を仰せつかっております多田羅です。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、会議に先立ちまして、前回の開催から委員及び事務局の交代がございますので、本日の委員の出欠状況とあわせて事務局から確認をお願いいたします。

○安藤室長 本日は御多忙のところ御参集いただきましてありがとうございます。医療費適正化対策推進室長でございます。

 私のほうから、まず今回、新たに本検討会の委員に御就任いただきました方々を御紹介させていただきたいと思います。

 まず、産経新聞社論説委員の河合雅司様でございます。

 続きまして、日本歯科医師会常務理事の佐藤徹様でございます。

 よろしくお願いいたします。

 続きまして、委員の交代について御紹介させていただきます。

 小松委員にかわりまして、日本栄養士会理事の下浦佳之様でございます。

 高橋委員にかわりまして、日本経済団体連合会から御推薦いただきました産業医科大学の岩崎明夫様が御就任でございますが、本日少しおくれられてございます。

 また、本日御欠席でございますが、貝谷委員にかわりまして、全国健康保険協会理事の伊奈川秀和様に御就任いただいてございます。

 続きまして、本日の委員の皆様の出欠状況を御報告させていただきます。

 本日は、井伊委員、飯山委員、伊奈川委員、岡崎委員、齋藤委員、中村委員、山門委員、横尾委員、吉田委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、今村委員におかれましては、おくれて御到着との御連絡をいただいているところでございます。

 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方について御紹介いたします。

 飯山委員の代理として鎌形参考人、伊奈川委員の代理として守殿参考人、中村委員の代理として佐藤参考人、山門委員の代理として福井参考人、吉田委員の代理として三輪参考人にそれぞれ御出席いただいてございます。

 なお、事務局にも交代がございましたので、御紹介させていただきます。

 新たに医療介護連携政策課長に就任しました渡辺でございます。

 また、高齢者医療課長の藤原におかれましても新たに就任してございますが、本日少しおくれてございます。

 ここで、渡辺のほうから皆様に一言御挨拶をさせていただきたいと思います。

○渡辺課長 委員の皆様方には、本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。

 本年7月に保険局の組織改正がございまして、新設をされましたこの医療介護連携政策課で特定健診・保健指導を始めとします医療費適正化対策も担うことになってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 この特定健診・保健指導の制度につきましては、平成20年度の制度化以来、保険者におきましてさまざまなお取り組みをいただいているところでございますけれども、近年ではデータの蓄積も進みまして、レセプト情報などとあわせたいわゆるデータヘルスの計画というものも進んでいるところでございますが、こういった仕組みを進めていくためには、やはり何といっても効果検証をきちんとやるということが大変重要であろうかと思っております。この検討会におきましては、これまでも精力的に御審議をいただきまして、本年4月には検査値に対しての影響ということも効果検証を出していただいていると伺っておりますが、本日はそれに引き続きまして、医療費に対する効果ということで、津下先生を初めとするワーキンググループで精力的に御審議いただいた結果をもとに御検討いただくことになってございますけれども、分析結果ということだけにとどまらず、それを踏まえた今後のあり方等につきましても忌憚のない御意見をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○安藤室長 事務局からは以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 議事の1でございます。「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」における第二次中間取りまとめ(案)について、事務局から説明をお願いいたします。

○安藤室長 医療費適正化対策推進室長でございます。私のほうから資料の御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、本日配付させていただいております資料ですが、右肩にナンバーが振られておりますが、資料1といたしまして、こちらは本年4月に中間取りまとめということで御報告をさせていただいている資料の概要でございますが、そちらを資料1として本日配付させていただいております。

 資料2-1といたしまして、こちらが今回初めて御報告させていただく第二次中間取りまとめ(案)の概要でございます。

 資料2-2といたしまして、第二次中間取りまとめ本体の案でございます。

 別冊資料といたしまして、今回の第二次中間取りまとめに係る各種のデータを整理した資料を配付させていただいております。

 その他、参考資料を配付させていただいているところでございますが、本日はこちら、資料1と資料2-1のそれぞれの概要資料を中心に御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料1をごらんください。こちらは本年4月に本検討会のほうに中間取りまとめということで御報告させていただいた概要資料でございますが、若干4月からお時間たってございますし、委員の交代もございましたので、改めまして簡単に、本年4月に御報告させていただいた中間取りまとめの概要について御説明をさせていただきたいと思います。

 資料1の1枚目でございますが、こちらは私どもにございますナショナルデータベースを活用いたしまして、効果検証のワーキンググループを設置して、そちらのほうで効果検証の分析をさせていただいたところでございます。まず4月の段階では、平成2023年度の特定健診・保健指導の4年間分のデータを用いまして、主としてこの特定健診・保健指導による検査値の改善状況について分析をし、その中間取りまとめとして御報告をさせていただいたところでございます。

 次のページをごらんください。このときの大きな分析といたしましては3つの分析を行っておりまして、まず1点目、1.と書いてございますが「特定健診・保健指導による評価指標等の推移」、検査値データの推移について分析したものでございます。分析内容といたしましては、特定健診の結果、特定保健指導の対象と判断された方を、特定保健指導を実際に終了された方とそれ以外の方に分けまして、翌年度の検査データの差をそれぞれの年度ごとに比較したというものでございます。

 分析結果でございますが、特定保健指導終了者はそれ以外の方と比較いたしますと、各年度、全ての性・年齢階級別において、腹囲、BMI、体重が大きく減少し、血糖、血圧、脂質も改善したという結果が得られてございました。

 この概要資料のほうには、そのうちの積極的支援、これは平成20年度に積極支援の対象となった方の実際に受けられた方と受けない方について、平成21年度の検査値の推移についてまとめたものを掲載させていただいてございます。図表の見方でございますが、赤が女性、青が男性、実線が実際に受けられた方、点線が受けなかった方で、それぞれ平成20年度、平成21年度、年齢階層別に比較をしてございます。ごらんいただければおわかりになりますように、一番上が腹囲、その下が体重、それから代表的な血糖値、血圧、脂質の検査値を書いてございますけれども、このときは実際に受けられた方のほうが受けなかった方に比較いたしますと改善幅が大きかったという結果が見られたところでございます。

 こちらは代表的な例ということで積極的支援を例示させていただいておりますが、動機づけ支援についても同様の分析を行っておりまして、動機づけ支援につきましては、積極的支援に比べますと改善幅は縮まりますけれども、同様の傾向が見られたというのがこのときの分析結果でございました。

 また、こちらは例としては平成20年度に、一番最初のときに特定保健指導の対象となった方の翌年度の検査値データの推移を見てございますけれども、それ以降、平成21年度あるいは平成22年度にそれぞれ対象となった方についても同様の分析を行ってございます。例えば一番上の腹囲をごらんいただきますと、まずこの平成20年度のときの対象者については、男性では約2.2センチ腹囲が縮まったという結果でございましたけれども、翌年度、平成21年度になりますとこれが1.7センチになりまして、平成22年度になると1.2センチというように、当初の段階に最も改善幅が大きく出まして、後年度になるほどこの改善幅が減少しているというような傾向が、この分析では見てとれたところでございます。

 次の4ページをごらんください。大きな2つ目の分析でございますが「保健指導レベルの改善状況」ということで、こちらは実際に保健指導を終了された方について、翌年度の健診結果から、特定保健指導を受ける前後の保健指導レベル、積極的支援なのか動機づけ支援なのかというところについて分析を行ったものでございます。

 このときの分析結果でございますが、それぞれ積極的支援終了者と動機づけ支援終了者について見てございますが、まず積極的支援終了者の方々については、そちらに書かれておりますように、保健指導のレベルが全般的に改善傾向にございまして、特に女性のほうが男性よりも強い傾向が見られたというものでございます。それから、動機づけ支援の終了者につきましても、改善傾向は一定程度見られたのですけれども、積極的支援の方々と比べると、その改善幅は先ほどの検査値データと同様に小さかったという結果でございました。

 グラフといたしましては、その中の参考として、平成20年度に積極的支援を受けられた方の翌年度の保健指導レベルの改善状況について図示してございます。左側でございますが、例えば男性でごらんいただきますと、一番上の薄い青の斜線の部分が特定保健指導の対象外になった方、29.2%が対象外になられまして、その下の紫色の横線で書いてございます13.3%の方が動機づけ支援に移行したということで、例えばこの年の男性ですと42.5%が単純に足し上げますと改善をされているという結果でございました。女性のほうがこの改善幅が大きくて、56.2%という結果になってございます。

 また、その下に参考として書いてございますが、こちらも検査値データ同様に、年度がたつごとに若干改善幅が縮まっているという傾向が見られたところでございます。

 5ページに参りまして「メタボリックシンドロームの改善状況」ということで、やっている分析は先ほどの保健指導レベルの改善状況と同じでございますが、保健指導を実際に終了された方について、メタボリックシンドロームの改善状況という観点から分析をしたものでございます。

 分析結果でございますけれども、それぞれ積極的支援、動機づけ支援について行っておりますが、積極的支援を終了された方については、男性では約2~3割、女性では約3~4割の方が改善をしているところでございます。動機づけ支援の終了者についても改善が見られたところでございますが、こちらも先ほど来の分析と同様に、積極的支援と比較しますと、その改善幅が小さかったという傾向が見てとれるところでございます。

 その図といたしましては、こちらも平成20年度に積極的支援を終了された方が平成21年度、このメタボリックシンドロームで見たときにどうなっているかということで見たところでございます。男性について申し上げますと、例えば約3割の方がメタボ非該当になってございまして、言ってみれば3割の方がメタボを脱出していると。女性についてのほうが、その改善幅が大きかったという傾向が前回の分析では見てとれたところでございます。

 こちらは本年4月に御報告をさせていただいたものでございまして、続きまして、資料2-1をごらんください。こちらからが今回新たに御報告をさせていただくもの、第二次中間取りまとめでございます。

 今回は、4月の分析に引き続きまして、基本的には同様のワーキングのメンバーで医療費に対する分析作業というものを継続して実施していただきました。今回一定の取りまとめができたので御報告をさせていただくものでございます。

 今回は、使ったデータは引き続きナショナルデータベースを活用してございますけれども、平成2023年度の特定健診・保健指導のデータにあわせまして、医療費分析ということですので、平成2124年度のレセプトのデータも活用いたしまして、特定健診・保健指導による医療費適正化効果について検証を行ってございます。

 2ページをごらんください。今回の分析のフレーム、分析の内容でございますが、2ページに概略をまとめさせていただいてございます。

 まず「分析対象」でございます。今回、健診・保健指導の医療費の効果、すなわち保健指導を受けたら医療費がどうなるかということについて分析をしてございますけれども、こういった効果を見るためには、同じ個人の健診・保健指導データとレセプトデータの両方を見る必要があるということでございますが、現在のNDBは課題がございまして、この健診データとレセプトデータの突合に今、課題がございます。今、改善作業を進めているところでございますが、現状においては突合に課題があると。このため、例えば実際に保健指導を受けた方にレセプトがない場合に、それが医療機関を受診されていないからレセプトが発生していないのか、それとも両者のデータがぶつかっていない、不突合によりレセプトデータがないのかということについて、必ずしも今のNDBではわからないという状況にございました。

 このため、今回の分析を行うに当たって一定の仮定を置いて分析対象者を選定してございます。具体的には、そちらに掲げておりますけれども、レセプト情報、健診情報、NDBに格納されております平成2023年度の健診・保健指導のデータのうち、全ての年度についてレセプトデータとの突合率が80%以上であった保険者のデータを活用して分析を行っているところでございます。

 結果、分析対象者数でございますが、365の保険者のデータを活用しておりまして、その内訳を括弧書きの中に書いてございますが、大部分が国保のデータを活用した分析となってございます。このため、御案内のとおり国保のデータでございますので、全体の医療保険、全体の加入者の方々の年齢構成と比較いたしますと、やや高年齢の方に偏りのある分析対象者となっているところでございます。そういった365の保険者、約2023万人、年度で言うと若干異なりますけれども、それぐらいの規模の分析対象者で分析を行ったところでございます。

 「2.分析方法」、今回行った分析の方法でございますが、端的に申し上げますと、先ほど申し上げた365保険者の2023万人の分析対象者について、実際に特定保健指導を受けて6カ月後の評価まで全て完了された参加者と、それから、特定保健指導の対象にはなったけれども特定保健指導を受けなかった不参加者の2つのグループに分けまして、それぞれ特定保健指導の対象となった翌年度の医療費を比較するということを行ってございます。その際、今回は4年間の翌年度の医療費を比較するということをやってございます。その際に、この医療費の内容をどうするかというところでワーキングのほうで議論いたしまして、御案内のとおりレセプトには、例えば風邪ですとか骨折といった、基本的には特定保健指導とは余り直接的には関係のない医療費というものも入ってまいります。今回、特定保健指導の効果を分析するに当たりまして、主なメタボリックシンドローム関連疾患でございます高血圧症と脂質異常症と糖尿病の3疾患について、入院外の1人当たり医療費を比較するということをやっているところでございます。

 こちらの3疾患に限定した考え方でございますけれども、今回は、先ほど申し上げましたように4年間という短期間のデータを用いた分析でございますので、保健指導から短期間でいわば医療費に影響を与えると考えられる3疾患について限定をかけたところでございます。また、今回、主としていわゆる投薬治療を念頭に置いてその医療費を比較しようということで、もちろん入院の方もいらっしゃるのですけれども、入院外の1人当たりの医療費を比較するということで分析を行ってございます。

 やや技術的なお話になりますけれども、「2.分析方法」のところの枠囲い、青の点線で枠囲いしてあるところでございますが、この3疾患関連の医療費の算出方法について書いてございます。御案内のとおり、レセプト上の傷病名の書き方でございますけれども、例えば高血圧症という疾患について、レセプト上は多くの傷病名コードあるいは医薬品コードというものがございます。ですので、今回まずその3疾患関連の医療費を算出するに当たりまして、この3疾患関連のコードのリスト作成をワーキングの先生にいただいてございます。その上で、この3疾患関連の傷病名コードと医薬品コードの両方を持つレセプトデータを今回の分析の対象としているところでございます。その意味するところは、例えば高血圧症で医療機関を受診して服薬されていない、検査だけ受けられるという方もいらっしゃるわけですけれども、今回は医薬品も同時に出されている方を分析の対象としたということでございます。

 基本的にはその方法で3疾患関連の医療費を抜き出すということをやっているのですけれども、ただし、この方法ではちょっと限界がございまして、例えば高血圧症で医療機関にかかった人が同じ月内に風邪とかほかの疾患で受診いたしますと、レセ上は月単位で来ますので、その医療費も算定されるということになってございます。本来、厳密な意味で3疾患関連の医療費だけ抜き出すということであれば、そういった関係のない疾患については除外しなければいけないのですけれども、今回ちょっと技術的にそれを除外することは難しいということで、そういったいわゆる併存疾患みたいなものについても一部含まれた形での医療費の比較を行っているということでございます。

 ただし、がんだけは、同じレセプト上に入ってきますと、がんの医療費は相当高額になってしまうのではないかということがございましたので、がんに関係するような傷病名コードが含まれているレセプトについては今回の分析の対象から除外するという形で行っているところでございます。

 以上申し上げましたように、いろいろ仮定なりデータ上の制約というものがある中で、今回、翌年度医療費の比較をしてみたいというものでございます。

 その結果でございますが、3ページをごらんください。積極的支援、それから動機づけ支援と2つに分けまして、翌年度医療費の比較ということをやってございますが、まず3ページは積極的支援について結果をまとめさせていただいてございます。

 グラフでございますけれども、これは単年度で毎年度毎年度同じことをやっておりますが、グラフについては平成20年度に特定保健指導の対象となった方につきまして、翌年度、すなわち平成21年度の年間1人当たりの入院外医療費の比較を年齢階層別に行ったものを例示的に書かせていただいてございます。上のグラフが男性で下のグラフが女性、青が実際に参加された方、赤が積極的支援に不参加だった方で書いてございます。ごらんいただきますとおわかりになりますように、積極的支援につきましては、いずれの年齢階層、合計を見ても、実際に積極的支援に参加された方のほうが不参加だった方に比べますと、その差といたしましては医療費が低かったという傾向が見てとれたところでございます。一番右側に数字を書いてございますけれども、例えば男性、これは20年度に積極的支援を受けられた方の男性の平成21年度の医療費の差でございますけれども、それで見ますと、金額ベースでいくと約5,340円の差が見られたということでございます。これは下にイコールで書いてございますけれども、不参加者の方の保険診療費の約34.8%、逆の言い方をしますと、参加することで不参加だった方の約6割の入院外の医療費となったということでございます。

 同様の分析を平成21年度に保健指導の対象となった方から平成23年度に対象になった方の翌年度の医療費でそれぞれ見てございますが、そこに数字が書いてございますけれども、積極的支援について申し上げますと、基本的には男女ともこの2つに有意な差が見られると、すなわち実際に受けられた方のほうが受けなかった方よりも低かったという傾向が見てとれたところでございます。

 この差をどう見るかというところなのですが、ちょっと本体資料のほう、資料2-2の17ページを恐縮ですがごらんください。ワーキングのほうでこの差をどう見るかというところを検証するに当たりまして、この概要のほうに書いてございますのは翌年度の医療費についての比較をやっているところでございますけれども、そもそもとして、足元、すなわち特定保健指導の対象となった年度の医療費がどうなっているかということについても検証をしてみたところでございます。本体資料の17ページに結果をまとめてございますが、こちらは平成20年度のデータがNDBに入っていないものでございますから、平成21年度に特定保健指導の対象となった方の平成21年度、足元の医療費がどうなっているかということについて、この17ページの一番上段の部分にグラフで図示してございます。左側が男性で右側が女性ということでございまして、ごらんいただければおわかりになりますように、実は既に足元、当該年度でも医療費が発生しておりまして、かつ、翌年度の医療費の差と同様の差の傾向というものが見てとれたところでございます。

 こういった結果を、足元のデータを踏まえますと、翌年度の医療費の差異があったことの背景には、1つにはもちろん保健指導の効果ということも考えられるところでございますが、それにあわせまして、もともとこの参加者、不参加者の属性の違いといいますか、健康意識の差というものが受診行動の違いにあらわれて、結果的に医療費の違いにあらわれているという点についても、そういったことも考えられることに留意が必要なのではないかということがワーキングの中の議論としてあったところでございます。

 また、さらに、そもそもとして平成21年度で見ますと、平成21年度の特定保健指導の対象年度の足元で、この医療費がなぜ発生しているのかということについてもワーキングのほうで検証をしていただきました。その理由といたしまして、大きく2つ考えられるのではないかということで御指摘がございましたけれども、1つには、特定保健指導は6カ月でございますので、いわばその年度の中で6カ月の特定保健指導を終えられた後に医療機関を受診されているというケースが考えられるのではないかというのが1つ目でございます。

 もう一つは、実際に特定保健指導の対象者というのはいわば3疾患関連の服薬をされていない方というのが対象者になっているわけでございますけれども、その対象者の中に実際には服薬されている方が紛れ込んでしまっているのでないかということも御指摘としてあったところでございます。御案内のとおり、今の特定保健指導の対象者を選定する際に、服薬しているかしていないかというのは健診の段階に問診で、いわば自己申告でそこは判断をさせていただいているところでございまして、実際に受けられている方、受診者の方の中には、みずからが服薬されているのだけれども、その服薬されているということの認識がなく、服薬をしていないと問診の段階で登録いたしまして、結果、保健指導の対象者に入ってしまっているケースもあるのではないかということがワーキングの中の御指摘として合ったところでございます。

 このため、いわばそういったいわゆる紛れ込みのケースというものを除外して考えてみようということで行った分析が20ページにまとめたものでございます。20ページの分析、これは20ページ、21ページで男女になってございますけれども、こちらでは何をやっているかということでございますが、こちらは特定保健指導の対象となった年度の前年度に3疾患に係るレセプトが発生した方については除外して、それで足元の年度と翌年度の医療費を見てみようということをやったものでございます。20ページは積極的支援の男性についてまとめたものでございます。

21ページが女性についてまとめたものでございますが、ごらんいただけばわかりますように、平成21年度の部分についてはそもそもレセプトが発生した方を除外しておりますのでゼロになっております。その上で平成22年度、足元ですね。これは平成22年度に特定保健指導の対象になった方ですので、平成22年度が足元になります。翌年度の平成23年度の医療費を見てみますと、結果として前年度にレセプトが発生した方を除外した分析でも、積極的支援について申し上げれば、先ほどごらんいただいた概要の翌年度の分析と同様の傾向が見られた。すなわち、この青と赤の比較でございますけれども、先ほどの概要でごらんいただいた翌年度の医療費と同様に、傾向といたしましては、この青のほうが赤よりも低かった、実際に受けられた方のほうが受けなかった方よりも低いという傾向が見てとれたという結果となったところでございます。

 若干長くなってしまいましたが、もう一回概要資料にお戻りください。ということで、3ページのところは積極的支援のところで若干詳しく御説明させていただきましたが、いろいろ分析いたしましたけれども、結果的にいわば差としては有意な差が、傾向としては積極的支援については見られたというところでございました。

 続きまして、4ページをごらんください。今度は同様の分析について、動機づけ支援について行った結果でございます。動機づけ支援につきましては、御案内のとおり、65歳以上の方々については積極的支援の基準に該当する場合、すなわちリスクがより高い場合でも動機づけ支援を実施してございます。65歳以上については積極的支援というものが制度上ないことになってございますので、こちらの分析をするに当たりましては4064歳と65歳以上ということで2つのグループに分けて、先ほどの積極的支援と同様の分析を行ったところでございます。

 まず、4064歳でございますけれども、グラフをごらんいただければおわかりになりますように、この4064歳では、積極的支援のような顕著な差というものが見えにくい状況であったという結果になってございます。この20年度の対象者の方々の21年度の医療費、実際に棒グラフになっているところでございますけれども、こちらについて見ますと、赤と青で比較すると、積極的支援ほど顕著ではございませんが、若干青のほうが低いというような数字になっているところでございます。これは年度なり、あるいは年齢階層によっては逆転しているところもございまして、必ずしも積極的支援ほどきれいな傾向というものが見られなかったという結果でございます。

 その背景としましては、いろいろ考えられると思いますが、1つ、特にこれは動機づけ支援の対象者、すなわち相対的にリスクが低い方を対象としているということで、しかも若い年齢階層の方を対象にした動機づけ支援ということもあって、比較的医療費が発生しにくい方々を対象としておりますので、なかなか医療費に差がつきにくいのではないかといった御指摘がワーキングの中では出されたところでございます。

 他方、下段のほうでございますけれども、65歳以上の高齢期における動機づけ支援について見ますと、こちらについては比較的、積極的支援と同様に、この赤と青の差が顕著に傾向として見られたという結果になってございます。例えばこれは、また棒グラフにしているのは平成20年度の対象者でございますけれども、男性について申し上げますと、金額ベースですと6,340円の赤と青の差があって、こちらについては不参加者の保険診療費の23.7%に該当するということで、積極的支援ほどこの幅というものはありませんでしたが、どの年齢階層、それから年度を経ても同様の傾向が見てとれたという結果となってございます。

 以上をまとめましたのが5ページになります。「分析結果のまとめ」ということで書いてございますが、枠囲いの中にまとめてございますけれども、ごらんいただきましたように、今回、特定保健指導の4064歳の参加者に対して行います積極的支援、それから、65歳以上の方々に対する動機づけ支援につきましては、このメタボリックシンドローム関連3疾患の医療費への一定の効果が示唆されたと考えてございます。この結果につきましては、冒頭、先ほど御説明いたしました4月に公表させていただいた、いわゆる検査値の改善結果においても積極的支援、それから、65歳以上の動機づけ支援において効果が高かったといったことですとか、あるいは年度を経るに連れて効果が低減するといった点などにおいて、今回の結果とおおむね一致した傾向が見てとれているところでございまして、このことからも、今回の結果というのは一定の効果は示唆されるものだったのではないかと考えているところでございます。

 ただし、先ほど本体の資料でごらんいただきましたように、特定保健指導を実施した足元の年度で既に医療費が発生し、かつ参加者、不参加者に医療費の差が見られているところでございましたので、もともとの健康意識の違いというものが特定保健指導への参加の有無にあらわれて、医療費にも影響を及ぼしているという可能性にも留意が必要なのではないかと考えているところでございます。

 以上が今回の分析の結果でございますけれども、今回の分析の結果も踏まえまして、今後の方向性ということで6ページにまとめさせていただいてございます。

 まず一番最初、一番頭の○に書いてございますのが今回の総括でございますけれども、今回の総括といたしましては、データの制約ですとかさまざまな仮定を置いた分析ではございましたが、特定保健指導の医療費適正化効果を初めて大規模に評価できたという意義は大きいのではないかと考えているところでございます。今回の結果にあわせまして、ことしの4月に検査値の改善効果を出しておりますけれども、その改善効果を踏まえて、今後それぞれの保険者において特定保健指導のさらなる実施率の向上が進むことが期待されるのではないかと考えてございます。

 このワーキンググループでは、今後ともこのNDBに蓄積されるデータの状況も踏まえながら、以下のような分析・検証作業を実施して、その結果を順次まとまり次第公表いたしまして、保険者の取り組みを支援していきたいと考えてございます。

 大きく3つ書いてございますが、1つ目が「特定健診・保健指導のメタボリックシンドローム関連3疾患の合併症への医療費適正化効果の分析」でございます。冒頭申し上げましたように、今回の短期的な分析では対象といたしませんでしたが、医療費の分析をする上では、この3疾患関連の合併症、具体的には脳卒中ですとか心筋梗塞、糖尿病合併症といった合併症に係る医療費に及ぼす影響についても分析することが必要だろうと考えてございます。これらの合併症の医療費について、現在のNDBにある実績値で検討するにはまだデータの蓄積が不十分であると考えておりますので、今後一定の推計モデルというものをつくりまして、分析をしてみたいと考えてございます。この推計モデルを使った分析結果についても、何とか今年度中をめどにまとめまして、また御報告をさせていただきたいと考えております。

 大きな2点目でございますが、「保険者における医療費適正化効果の検証を進めるための推計ツールの作成」ということで、今回の分析ですとか、あるいは今後行うモデル推計結果というものを踏まえまして、今現在、保険者のほうでデータヘルスを進めていただいておりますけれども、こういったデータヘルスを支援する観点から、各保険者が医療費適正化効果を検証するための一定の推計ツールのようなものの作成を試みてみたいと考えているというのが2点目でございます。

 3点目といたしまして、前回の検査値データもそうでしたが、今回の医療費のほうでも単年度の効果分析にとどまるものでございます。今後、単年度の効果についての今回の分析をさらに発展させまして、検査値ですとかその医療費について特定健診・保健指導が経年的に与える効果についても検証作業というものを進めていきたいと考えているところでございます。こういった効果検証の作業を継続的にワーキングのほうでまた御議論いただきまして、順次まとまり次第、検討会のほうに御報告させていただきたいと考えておりますが、そういった効果検証の作業にあわせまして、特定健診・保健指導をスタートいたしまして5年が経過したところでございますので、今後はさらに特定保健指導の質の部分についても着目して、こういった特定保健指導の質の向上に向けた実施方法の検証についても、効果検証にあわせまして検証作業というものをやっていきたいと。具体的には、実際の保険者さんにおいてどういった保健指導をやることで効果が上がっているかといった実態把握的なところから始めまして、どういったやり方で保健指導を実施していけばより効果が上がるのかということについても、今後この検討会のもとのワーキングの中で検証作業を進めていきたいと考えているところでございます。

 長くなりましたが、資料の説明は以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 詳細に御説明いただいて、大筋御理解いただけたと思います。

 ですが、本日、津下委員、この検討会の委員でございますが、ワーキンググループに入って直接御指導いただいておりますので、津下委員のほうから追加することなどがありましたら、お願いいたします。

○津下委員 ワーキングを担当させていただきました津下と申します。

 ただいまの室長の御説明でほぼ全てだと思いますけれども、少し補足させていただきたいと思います。

 こちらの冊子の3233ページに実際のワーキングの開催状況やメンバーが載っておりますけれども、5月から頻回にこの検討会を持たせていただきまして、出てきた結果について慎重に議論を重ねたところでございます。特に積極的支援では比較的きれいなデータが出たということで、ぬか喜びにならないよう、より慎重に、この効果が本当に保健指導の効果と言っていいかどうかということを詳細に検討いたしました。

 結果についてなのですけれども、2627ページのところに今回の結果を踏まえたワーキングでの考察の内容が書かれてございます。まず積極的支援におきましては、26ページにありますけれども、男性においてとてもきれいな結果が毎年どの年齢も見られたということで、グラフでいきますと、この冊子の12ページでありますけれども、1-1-1からずっと縦に見ていただきますと、男性においては全ての年齢階級におきまして、参加群と非参加群の差が、すなわち介入群と対照群の差が有意な差として検出されております。女性については、若干有意ではないという階級がありますが、ほぼ全ての階級で参加群のほうが低いという傾向が見られております。

 女性のほうが有意にならなかった理由としまして、26ページの下のほうに書いてありますけれども、男性よりも積極的支援に該当する人の数が少なくて、今回も男性のほうは9,000人のデータが参加なのですけれども、女性は1,0002,000人ぐらいということで、統計的に分析対象者が少ないための検出力の低さということがあります。2番目に、40代後半~50代の時期に、更年期に伴いましてコレステロールだとか、骨粗鬆症だとか、そういうお薬の服用が生活習慣病薬とともにふえてくるということが多くありますので、若干出にくかったのではないかということが議論として上がりました。

 次に、年度とともにやや効果が低くなるのではないかということが少し気になるところでございますが、やはり初回、初めのころのほうが意欲のある方が参加された、または準備度の高い保健指導者が効果的な方法で実施された可能性が高いという可能性も否定できないということで、これは今後さらに検討が必要ではないかと思います。特に動機づけ支援においては、初回面接を行ったあとは6カ月後の評価しかありませんので、初回支援だけの影響ということを見るという点でやや厳しい結果が出たのかなと思っております。

 次に、同じ動機づけ支援でも、4064歳は余りはっきりした効果がないのですが、65歳以上につきましては有意な結果が出ていました。動機づけ支援だけでも6573歳の対象者については男女ともきれいな、参加群のほうが低いという結果になっております。これはちょうど医療費がふえるタイミングといいますか、生活習慣病医療費がかなりふえている段階で差が出やすかったということや、そして、退職後の方々が多いものですから、動機づけ支援の後に地域の健康づくりの取り組みに参加されたりとか、そういうポピュレーションアプローチとの連動ということの効果の可能性が考えられます。お仕事している方は初回面接をして後は自分でやってください、次は6カ月後ということで、なかなかその行動変容に結びつきにくいということがあったかもしれませんが、地域住民の方々は動機づけ支援の後に地域の社会資源を御紹介いただいて、さまざまな取り組みに参加された可能性もあると考えられます。そのようなことが、この年代で、動機づけ支援で効果が出た理由にあるのではないかと議論したところでございます。

 一方、例えばがんの方の医療費といいますと、1人で数十万円、数百万円以上かかる場合もありまして、それが参加群と非参加群でほぼ同等の確率で入れば統計的に無視できるのですけれども、1人の影響が非常に大き過ぎるということで、それを除外する作業を行いました。そういう検討を丁寧に行った結果、このような結果が出たということを御報告させていただきたいと思います。

 以上です。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 事務局及び津下委員から今回の効果について、特に特定健診・保健指導の医療費面の効果について積極的支援、動機づけ支援、両面からの結果について御報告いただきました。ただいまの報告につきまして御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。

 どうぞ、白川委員。

○白川委員 ワーキングの先生方、大変な御苦労をしていただいて、うまくまとめていただいたことにまず感謝申し上げたいと思います。

 ちょっと私の理解不足もあるかもしれないので質問をさせていただきたいのですが、通常、資料1にありますように、特定保健指導の対象から外れる場合には、2つの道がありまして、1つは診療を受ける、医師の指導に切りかわるというケースと、それから、本当に改善をして対象から外れるという2つのケースがあると思うのです。本日の資料2の中で、ただ今の説明では、レセプトデータと健診データの突合の問題があって、今回抽出した方々、例えば積極的支援については今現在薬を服用されている方という言い方をされたと思いますが、そうしますと、医師の治療を受けた群についてはこういう分析ということなのでしょうか。申し上げたいのは、医師の指導を受けずにメタボから抜けた方のことです。対象外になった方の医療費というのは、この中には入っていないと見てよろしいのでしょうかという質問でございます。

○多田羅座長 では、安藤室長。

○安藤室長 ちょっと本体のほうからまた別の分析についても一緒に説明したので、非常にわかりづらくなってしまったことは申しわけございませんでした。

 基本的には、特定保健指導の対象者をまず分析対象としてございます。もちろん、白川先生よく御存じのとおり、特定保健指導の対象者は基本的には服薬なさらない方ですので、基本的に参加群も不参加群も服薬治療されていない方で見てみて、実際に受けられた方と受けなかった方で翌年度に医療費がどうなっているかという比較をしたというのが今回の構造でございます。ですので、基本的には医療機関にかかっていない方について、まず保健指導をやってみて、やった人とやっていない人で医療費がどうなっているかという比較をしているのですけれども、ただ、実際に見てみると、足元で既に医療費が、足元というのは特定保健指導の対象年度になったときにもう既に医療費が発生していたと。これは何でなのだろうというところで、1つ考えられるのが、1つの理由として、特定保健指導の対象なので本来は服薬していないはずなのだけれども、実は服薬されていて、問診の段階で誤ってといいますか、間違って登録をしてしまった方の服薬の医療費が入っているのではないかということで、実際の分析の中では前年度に医療費が発生されている方について全部除外して比較をしてみようということをやったということで、先ほど本体のほうで御説明をさせていただいたものでございます。

○多田羅座長 津下委員。

○津下委員 今のお話なのですけれども、1人当たり医療費は医療にかかっていない人もゼロ円でカウントしていて、分母は対象者全体ということで、医療にかかった人だけのデータではないという認識です。

○多田羅座長 どうぞ。

○白川委員 よくわかりました。

 そうしますと、もう一つ、これに関連して、ゼロになった人は何%ぐらいいるのかというデータはとっていらっしゃるのでしょうか。

○多田羅座長 では、津下委員。

○津下委員 受診率という考え方で、今回は1人当たり医療費の額で示しているのですけれども、保険診療が発生した人の割合というのも同様に見ていまして、同様に、やはり受診率も参加群のほうが低いということが出ていたと思います。

 ただ、受診率の定義が、今回の分析では分析対象者のうちの受診した割合なのですけれども、レセプトは1枚と数えるのか、1件と数えたほうがいいのかという受診率の定義をもう少し検討する必要があるということで今回は出ていないようです。受診につながった人の割合についても参加群のほうが低いというのが、現在検討中の資料の中には上がっておりましたので、今後公表されると思います。

○多田羅座長 どうぞ。

○白川委員 多分検討はされたのだと思いますけれども、これもやはり重要な指標だと思いますので、定義づけ等は非常に大変かと思いますが、ぜひともそういう観点での資料も公表していただければ、特定保健指導がいかに有益かという大きなあかしになると思います。今後も検討を進められるようでございますので、ぜひそういう数字の分析もお願いをしたいと要望申し上げます。

○多田羅座長 わかりました。

 事務局、その点、よろしくお願いいたします。

○安藤室長 かしこまりました。

○多田羅座長 どうぞ。

○三輪参考人 東京都予防医学協会の三輪です。きょうは吉田先生のかわりに参加させていただいているのですが、吉田先生から質問を預かってきましたので、お願いします。

 母集団20万人以上で積極的支援、介入群1万弱、対照群8万、計9万、動機づけ支援、介入群2万、対照群10万、計12万、20万人の母集団とした場合に中途脱落者の規模はどの程度でしょうかと。

 それから、今回の解析の目的にはなっていませんが、中途脱落者での医療費はどうだったでしょうか。以前の研究で中途奪略者の医療費が高くなったというデータが発表されていたと思いますという質問が来ているのですけれども、いかがでしょうか。

○多田羅座長 事務局、できますか。

○安藤室長 ちょっと先ほどは済みません、説明をはしょってしまったのですけれども、まず今回は、いわゆる中途脱落者、中断者の方については、参加群、不参加群両方に含めずに分析を行ってございます。ですので、参加者についてはもう本当に100%最後まで保健指導を終えられた方と、全く要するに入り口の段階から保健指導を受けられなかった方という両群を比較することをやっておりますので、中断者は対象にはしていないのですけれども、今の御指摘も踏まえまして、今後のワーキングの中で中断者について医療費がどうなってくるかということについても、ワーキングのほうでちょっと検証をさせていただきたいと思っております。

○三輪参考人 中途脱落者の人数というのは余り、この母集団からどのくらいあったかというのは検討されていない。

○安藤室長 先ほど申し上げた2023万人、年度によって異なりますけれども、この中には、ですので、いわゆる中断者の方については含まれていないと。

○三輪参考人 入っていない。

○安藤室長 はい。これは純粋に全て完了された人と、それから、全く受けられなかった方、この両者の合計が2023万人ということでございます。

○三輪参考人 わかりました。

 あともう一つなのですけれども、解析について、介入群と対照群の次年度の医療費を比較していますが、開始時点での比較では両群に差はなかったでしょうか。

 それから、統計学的処理として、介入前と介入後の影響を比較するのであれば、繰り返しのある分散分析で介入の効果を見るという方法が適切と思いますが、いかがでしょうかということです。

○多田羅座長 事務局、いけますか。

○安藤室長 では、まず前段部分で、後段はできれば津下委員のほうから御説明をお願いできればと。

 まず前段は、先ほどちょっと申し上げましたけれども、開始時点ですので、まさに特定保健指導の対象となった年度の医療費の比較というのを行ってございます。それが概要には載っていないのですけれども、本体の部分の17ページで御説明させていただいたところでございまして、平成20年度についてはNDBにレセプトデータがないものですから足元のデータは見られなのですけれども、平成21年度の特定保健指導の対象となった方のまさに平成21年度の足元の医療費の比較というところから、それぞれ3カ年については足元の医療費比較をやってございまして、結論で申し上げまと、先ほどの繰り返しになりますけれども、足元の段階から既に医療費が発生し、かつ実際に受けた方、受けなかった方の差が見られたという傾向が見てとれたという結果でございます。

○多田羅座長 では、後半の質問を。

○津下委員 今回につきましては、参加群と非参加群、介入群と対照群のその数値のウィルコクソンの検定で行っています。まず両群の分布の違いを見ようという形で分析しております。今後、経年的な変化とかを追跡していくというような形で考えているところですので、今回はその増え方、その絶対値の分布の違いというものに着目した分析を進めていくことになると思います。

○多田羅座長 よろしいですか。

 ほかにいかがでしょうか。

 今村先生、いかがですか。突然の指名かとは思いますけれども、健康問題ですので、やはり。

○今村委員 申しわけありません。まずもって遅参をしたのでおわび申し上げたいと思います。

 説明を全部伺うことがなく御質問をするのも大変恐縮なのですが、先ほどの室長からのお話の中で、がん治療者を除くというお話がございましたけれども、もともと今回の積極的支援の対象者ということで、対象としてメタボリックシンドロームに係る治療を除外していて、ほかの疾病で医療機関を受診している方はこの中に入っているという理解でよろしいのでしょうか。

 それと、その介入群と非介入群はほぼ同じような疾病で、もし治療を他の疾患でも受けておられるとすると、それはほぼ同じという前提で捉えているという考え方でよろしいのかどうか、ちょっと教えていただければと思います。

○多田羅座長 これは津下委員。

○津下委員 今回の分析では、糖尿病、高血圧、脂質異常の傷病名があって、そして薬剤が発生していると、これを対象としているのですけれども、重ねていろいろな病気をされていると。風邪とか一般的なよくかかる病気については介入群も対照群も大体差がないという前提で比較していますので、先ほど申し上げましたように、女性のほうについては、例えばほかの病気が多ければ、その影響でより差が見えにくくなっている可能性としてはあるかもしれないと。

 ただ、がんにつきましては、この年代で好発年齢でもありますし、1人の発生で全体の平均値にも大きな影響が出るということを考え、がんの病名のある人を除外する作業を一律にやりましたので、これはどちらの群が多いかどうかということはわかりませんけれども、抜いた形になっています。

 そのほかの病気についても、本来高額医療で大きな外れ値が出る場合の取り扱いとか、そういうことについても随分議論はしたのですけれども、統計的な外れ値の方がお1人見えましたので、それについては分析に加えることは難しかったのですが、それ以外は、除外する病気の定義が非常に難しくなるということで、今回はどういう病気が発生しているかということまでは分析はしておりません。大体均等にあるだろうという仮定のもとに分析を行っているということでございます。

○多田羅座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 どうぞ。

○三輪参考人 がんを抜いたということなのですけれども、今回の分析をクリアにやるためには、それはいたし方なかったのだと思うのですが、例えば糖尿病があると、糖尿病がない人と比べてがんに3倍なりやすいというデータが出ているのは皆さん御存じのことで、慢性腎臓病もそうですし、高血圧があればやはり慢性腎臓病が出やすいということがあるので、そういう影響を加味して分析するともっと差が出てくる可能性もあるのではないかという気がするのです。

○津下委員 その議論につきましては、今回ごく短期間ということなので、そこまで含めてしまうのは妥当ではないのではないかと。これが10年追跡をするということであれば、メタボの保健指導をして糖尿病が改善されて、がんの発生も抑制されればさらに大きい効果ということが言えると思うのですが、短期的な分析でそこまで言うことは難しいと思いまして、今回はその3疾患に限った分析ということです。今後の追跡が必要かなと考えています。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 どうぞ、佐藤委員。

○佐藤委員 歯科医師会の佐藤でございます。

 この資料2-1の2ページ目で「分析対象」とございますけれども、365の保険者ということですが、ここの中には、聞くところによると、NDBとレセプトデータの突合率が低かったので協会けんぽの被保険者は入っていないということでよろしかったでしょうか。

○安藤室長 内訳も書いてございますが、市町村国保と健保組合と共済組合のみでございまして、協会けんぽは入ってございません。

○佐藤委員 相当大きな健保組合だということもあり、それから、やはり中小零細の方々が多く含まれるということもあり、そういう意味ではハイリスクの方々がやはりほかの組合等に比べると多く存在するのではないかという推測もできるわけですけれども、この突合ができないという理由はともかく、このような対象者の方々が何らかの方法でやはりリスクの傾向とか、そういった対象の方々に対する分析というものをやっておかないと、次の平成30年度の見直しのときに、やはりその部分が分析として欠落した状態で第2回目の見直しが進んでいくということには少し危惧を感じるところなのです。その辺、今後の取り組みで何か解決ができるということがあれば、それは教えていただきたいですし、もしないとすれば、この見直しの検討会がまた始まるのでしょうから、そのときにどうするのかということについて、もし今お答えしていただけるようなことがあれば、お願いしたいと思います。

○安藤室長 ありがとうございます。

 まず、私どものNDBで現状ちょっと不突合の課題があるということでございますけれども、この改善作業も順次進めてございます。直ちにすぐにというわけにはなかなか難しいのでございますけれども、何とか平成27年度、来年度のレセプト健診情報からは、今よりも突合率を上げる形でNDBの中で分析できるようにしようということで回収作業等を進めていきたいと考えているというのが1点目でございます。

 それから、実際はそれでも平成27年度以降ということになってしまいますので、今、例えば佐藤委員がおっしゃられた協会けんぽの中での分析はどうなっているかといったことについては、一方でそれぞれの保険者単位で今後データヘルスの事業を進めていっていただく、データ分析を進めていっていただくということを考えておりますので、私どものほうから、例えば今回の分析ですとか、あるいは先ほど申し上げましたけれども、いわゆる推計ツールみたいなものを御用意した上で、その上で各保険者さんにおいても同様の、みずからのデータを使った分析作業というものをやっていてだき、どうなるかということを見ていただくとか、そこは保険者さんとの御相談になってくるわけでございますけれども、そういう形でちょっと補いながら全体の傾向なりというものを今後見ていけるようにしていきたいと考えているところでございます。

○多田羅座長 どうぞ。

○佐藤委員 特定健診・保健指導に直接かかわるものではないかもしれませんけれども、例えばそういった方々へのヘルスチェックのようなもの、対象者がアンドロイドのような媒体を使ってアプリケーションなどでヘルスチェックをしていく、そういったことがもしやれれば、それはそれでそういったハイリスクかもしれないような方々へのポピュレーションアプローチも可能かもしれませんし、そういった対応がデータヘルス計画の中で何か出てきているのかどうか、ここは少し興味のあるところでもありますし、実は私どもも、この特定健診・保健指導のコンセプトとほぼ同じ歯科にかかわる健診プログラムをつくっております。それは既にいろいろな地域や団体でモデル的に活用している実績もあるのですが、そのプログラムを応用してヘルスチェックのような形で展開ができるようなツールを開発することは有効ではないかということで取り組みを進めているところですので、そのようなものもまた参考にしていただければと考えております。

○多田羅座長 では、事務局、御意見としてよろしいでしょうか。

○安藤室長 はい。

○多田羅座長 お願いします。

 どうぞ。

○今村委員 先ほど気がつかなかったことなのですが、医療費の中に薬剤費も含めているというお話だったので、例えばこの対象の方が院内処方されているか、院外処方されているかによって若干影響が違うのかなという点と、今現在、後発医薬品の使用促進が図られている状況があるので、当然後発医薬品を使用する医療機関がどんどん増えてくれば自動的に医療費自体がその影響を受けている可能性もあると思うのですけれども、その辺の分析というか御検討をされているのかどうか、ちょっと教えていただければと思います。

○多田羅座長 これは事務局で。

○安藤室長 申しわけございません。今回の分析の中では、院内、院外の違いですとか、あるいは後発医薬品、もちろん後発医薬品も含めた分析はしておりますけれども、それをさらに細分化したところまではまだ見られておりませんので、今後の課題ということにさせていただきたいと思います。

○津下委員 今回、薬剤名を拾うのに後発医薬品がすごく増えている現状がわかりました。薬剤がいつ上市されてきてというような年次による違いもあるかと思いますので、年次別に分析しています。今回のNDBではどういう薬が使われてとか、そういうことまでは見られていないのですけれども、コンピューターのキャパシティーが高まればいろいろなことが見られる可能性もあるのかなと思っています。今回は両群で同じ年度で、同じように発生しているという仮定のもとの分析となっております。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○白川委員 資料2の6ページに今後の方向性を記載していただきまして、その中でも2で保険者における検証を進めるためのツールを作成していただけるということで、これは以前も私はこの会で強くお願いしましたところ、こういう形で答えていただくということは非常にありがたいと思っております。

 御承知のとおり、データヘルス事業を来年度から実施していくことになっておりまして、そのためには加入者の方々と事業主の協力が必要でございまして、医療費の適正化効果というのが事業主サイドには非常に話がしやすい、説得しやすい材料でございますので、ぜひ早目に御検討いただきたいということでございます。

 もう一つは、資料1、資料2もそうですけれども、ナショナルデータベースを使うということになっているものですから、そもそも健診を受けた方がどうなるかというのがベースになっておりますけれども、保険者サイドからすると、健診を受けた人と受けていない人というのも非常に大きな要素でございまして、受けていない方、例えば積極的支援を終えた方ということで比較すると、多分差はもっと大きいと思うのです。ナショナルデータベースを使う以上はやむを得ないと思いますが、保険者の段階ではそういう分析も非常に有効だと思っておりますので、ワーキングのほうで御検討いただいて、そういう観点からこういう計算方法をリコメンドするというようなものがございましたら、ぜひ御提出いただければとお願いいたします。

○安藤室長 大切な御指摘をありがとうございます。問題意識は私たちも全く同じでございますので、これはチャレンジングなところもございますが、いろいろ御意見、御指摘をいただきながら、できるだけスピーディーに推計ツールみたいなものができるように今後頑張りたいと思います。

○多田羅座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○下浦委員 日本栄養士会の下浦でございます。

 資料2-2の4ページ目に「(2)介入群と対照群の定義」というところがあろうかと思いますが、この介入群のほうは、当該年度に初めて特定保健指導を受けられた方ということでよろしいでしょうか。当然こういった特定保健指導の場合は、繰り返しといいますか、今年度受けたのだけれども結果的には対象から外れなくて、また繰り返し再度受けないといけないという方々もいらっしゃるかと思いますので、このデータベースの中で、そういった再度繰り返し特定保健指導を受けてもなかなか改善が見られないというところの分析なども今後行われると考えてよろしいでしょうか。

○安藤室長 まず今回の分析については、御指摘のとおり初めて特定保健指導の対象となって受けた方のみを対象としてございます。実際にいわゆるリピートされる方もいらっしゃると伺っておりまして、今後、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、経年分析を行いますので、その経年分析の中でそういった点についても留意しながら分析を進めていきたいと考えております。

○下浦委員 ありがとうございました。

○三輪参考人 私は健保の立場ではないのですけれども、積極的支援を毎年受ける人が出てきまして、保健師などがいろいろ苦労しているわけです。また同じことを言われたと思われないように工夫してやっていると。ですけれども、このデータを見ますと、まだ短い期間で何とも言えないかもしれませんが、若い人は、初めは効果が出るのだけれども、徐々に有意ではなくなっているような感じかなと、効果がちょっと薄くなってくるような感じかなと思うのです。ですから、若い人はある程度そんなに時間を置かないでやっていったほうがいいのではないか、逆に年配の方、65歳以上は動機づけぐらいをやらせていただければ効果が十分もつのではないかという感じがしました。

 健保は、私がかかわっているところも非常につらい状況なので、なるべく今、保健指導のコスト、例として、動機づけが約6,000円、積極的が1万8,000円、3倍になるので、積極的支援をもうちょっと簡素にして、余りコストがかからないような形にしてやっていく、特に若い人はそれを継続していくということが、フォローをしていくのがいいのではないかなという気がします。3カ月、6カ月やって、次の年にまた3カ月、6カ月やるというのは、受けるほうもやるほうも結構大変なのですね。だから、もうちょっと長期間の分析をやって同じような傾向が出るのであれば、そういうところをぜひ見直していただいて、健保負担を少し軽くしていただければいいのではないかと思います。

○多田羅座長 よろしいですね。

○安藤室長 ありがとうございます。

 今回の分析だけではまだちょっと制度的にどうこうするといったようなところまで結論を導き出すのは難しいかと考えておりますので、御指摘にございましたけれども、今後とも検証作業を続けてまいりますから、その結果を踏まえさせていただくのと、あわせて、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今後は特定保健指導のいわば質の問題です。実態把握はまだ我々も必ずしもできていませんので、実際に保険者さんでどういった保健指導を行われているかといった実態把握も含めて、その質の課題についても今後ちょっと踏み込んでいきたいと思っておりますので、そういったことを踏まえながら、最終的には制度をどうするかということについても検討していきたいと考えているところでございます。

○多田羅座長 よろしくお願いします。

 河合委員、どうですか。国民的な視点でひとつ御意見いただけませんか。

○河合委員 大体私の聞きたいことは皆さんがおっしゃってくれたので、今後のお話を少しお伺いしたいのですが。期間が短いということで、なかなかずっと経年追いかけていくのはまだデータ的には難しいと思うのですが、先ほどもお話があったように、やはり1人の人が改善をして、またサボってメタボに戻ってとかというのを繰り返したりする人も当然いると思いますので、1人の人をひもづけしてずっと追いかけていくような検証の仕方というのは可能なのかなと思いまして。それがある程度出てくると、もう少し具体的な顔が見えるようなデータ分析ができると思いますが、この辺はいかがでしょうか。

○安藤室長 ありがとうございます。

 まさに今後、経年分析ということで、NDBは実際にデータがたまったといっても4年、5年分ぐらいしかたまっておりませんので、そういう意味では経年分析も現状ではまだ短期的なものにならざるを得ないところはあるのです。ただ、今、委員御指摘の同じ人がどうなっていくかということについて、それは医療費、検査値両方の観点から追いかけて見てみたいと思っておりますので、データの蓄積にあわせてだんだん長期間にわたっての分析ができるようになってくると思いますが、まずはその足元のデータベースにあるところで経年分析というものをやってみたいと考えているところでございます。

○多田羅座長 津下委員。

○津下委員 NDBではないのですけれども、厚生労働科学研究でそういう紐づけした検証をやっておりまして、これはレセプトではないのですが、3年後の服薬率が、やはり実施した群のほうが低いとか、検査値が3年たっても参加群のほうがよかったというのは出ておりますし、ほかの研究班でも長期分析で、やはり参加された人のデータのほうがよかったというのを学会等で発表されております。これがNDBできちんと検証されたら、また大きな意義があると思いますので、そのあたりもワーキングの中でまた提案していきたいと思っています。

○多田羅座長 お願いします。

 ほかにいかがですか。

 岩崎先生、予防医学の専門家としてどうですか。

○岩崎委員 岩崎でございます。ちょっと遅くなりまして申しわけございません。

 何度か出ていることではあるのですけれども、やはり現場でやっておりますと、積極的支援の中途脱落の問題が結構気になっております。今回のデータを拝見いたしましても、例えば65歳以上の群のほうでは積極的支援ではなく動機づけ支援でもかなり効果が見られているということでございます。ですので、リスクレベルも違いますし、それが健康意識の違いにもつながりということはあるのですけれども、現場でやっていますと、積極的支援の効果のレベルと動機づけ支援の効果のレベルがどのぐらい違うのかというのはちょっと気になっております。今回の趣旨とはちょっと違うかとは思うのですけれども、毎年やっていくにしたがって、先ほど出たように同じ方が対象になったりするものですから、同じように積極的支援をして、それがいつか改善につながれば一番いいわけですが、そういった積極的支援の人でも脱落者の状況によっては動機づけ支援のようなアプローチでも、どの程度の効果があるのかというのはちょっと気になっておるところでございますけれども、その辺でもし何かコメントがございましたら。

○津下委員 これもNDBではなくて、研究班でリピートする人がどうなのかと検討したところがあります。翌年も積極的支援に該当した人で、そこで保健指導を受けた人と受けなかった人を比較すると、受けない場合にはどちらかというとリバウンド傾向があるのですが、リピートするとリバウンド傾向が抑制される。1年目ほどの効果はないのだけれども、やはり受けなかった方よりはその差分が出るということがありました。一回目と同様に180ポイントが必要かどうかという議論はまた別として、また該当したという場合に、昨年度の取り組みを振り返って、昨年度できたこと、難しかったこと、それをもう一度保健指導者と話し合って今年度の作戦を立てる。そのような時間が持てると、去年やった取り組みが全く無駄ではないわけですから、そういうリピーターに対する保健指導のあり方というのも検討していく必要があるのではないかと思います。同じやり方ではなくて、2年目は2年目のやり方で、1年目に下がったけれどもまだ下がり切らなかった人と、1回下がったけれどもまたリバウンドした人では、保健指導の方法論も変わってくると思うのですが、その辺を今は現場任せになっています。もう少し丁寧にデータもつけて、こういうやり方が望ましいのではないかというようなガイドラインができたら、よりレベルが上がるのかなと思っているところでございます。その辺の検討が今後できればいいかなと思います。

○多田羅座長 わかりました。

 下浦委員、どうぞ。

○下浦委員 津下先生の後で何なんなのですけれども、まさに我々日本栄養士会、栄養士、管理栄養士がこの特定保健指導を実際にやっているところで、リピーターの方に毎年同じ指導方法でやっては当然あきられてしまいますということで、我々のほうとしても、最初は180ポイントの通常のツールを使ってやるのだけれども、次年度は、例えば若い方にだったらITを使って簡単にできるようなやり方にチャレンジしている管理栄養士もおりますし、逆に高齢者の方であれば、余り難しいことを言わずに、それこそ相談に乗りながら、本当にポイントを絞った形でやっていきながら、やはりその対象者に合わせた形での特定保健指導というものが今後必要なのかなというのを感じているところでございます。

○多田羅座長 保健指導のあり方については事務局からも最後にありましたように、来年度以降の中で具体的な取り組みが必要だと思います。

○下浦委員 まさにスキルを我々も上げないといけないというのをこの提言の中で言われていますので、よろしくお願いします。

○多田羅座長 わかりました。

○岩崎委員 ありがとうございます。

 やはりそういった現場のさまざまな経験を積み重ねて、好事例であるとか、そういった形でも御提供する機会があればと感じておりますので、ありがとうございます。

○多田羅座長 ほかにどうでしょうか。

 金子委員、よろしいですか。横に座っておられるのであれですけれども。

○金子委員 私も今、皆さん方の御質問を聞いていまして、ほぼ大体そのようなものかなと思っていますけれども、ちょっと厳しい言い方をすると、このメタボ健診が医療費適正化につながると見たときに、先ほどの説明で参加者の方が不参加者に比べて保健診療費において、男性の場合は5,340円少なかったとかいろいろ出ていましたが、メタボ健診にかかるコストと比べたときにどうかなと思いました。またそういうことを言ってしまうと議論が一番最初にまた戻ってしまうので。だから、今回の報告書の見方とすれば、不参加者の方と比べ34%、約4割近く医療費適正化が図れたというように見ればいいのですね。

 あとは、先ほどから出ていますように、やはり1人の方をずっと追いかけていって本当にどうかというのが私たちも一番知りたいところであります。今回は年代ごとに出ていますけれども、若い人だと、体力的な問題等があって参加の方と不参加の方で余り差が出るということはないのでしょうね。只、それが指導していくことによって後半どう響いてくるかというのがわかってくるといいと思います。

 今、平均寿命は確かに延びていますが、また健康寿命のこともよく言われており、その健康寿命が、保健指導等を行うことによって国民の健康意識がもっともっと高まって健康寿命を長くしていけば、平均寿命である80歳(男性)とか86歳(女性)までの間の一番医療費がかかるところが、もっと間隔が狭くなっていけば、やはりこのメタボ健診は効果があったと言えるようになると思います。医療費適正化を図るためには、もっと医療の提供の仕方の問題とか、先ほど出ましたジェネリックの問題など、そういったものの方が効果はあるのかなという気がします。このメタボ健診は、医療費適正化と余り結びつけるよりも国民それぞれが健康を意識しながらどれだけ健康寿命を延ばして健康で生きていけるかということに対する効果というのは非常にあるような感じを受けております。

○多田羅座長 わかりました。健康寿命のことですね。ありがとうございます。

 どうでしょうか。

 はい。

○津下委員 今のことに関連してなのですけれども、国民健康・栄養調査のデータで、日本人の肥満、どこの国でも肥満者が増加しているのに、抑制がかかったとか、糖尿病の有病者の増加の抑制がかかってきているとか、発表されています。健康日本21でのマクロ的なデータを見ると、やはりそこに一つ変曲点があったのかなと。国民の意識というのは随分変わったし、恐らく医師が随分減量された方が多くて、昔は医師はちょっと丸いという印象があったのですけれども、最近は今村先生のように、ちょっと失礼な言い方かもしれませんけれども、かなりドクターの意識が変わって、減量成功者が増えてきたのではないでしょうか。以前はやせるのは難しいから薬、とすぐおっしゃっていた先生も多かったのですが、まず食事、運動をやりなさいよと言ってくださる先生がふえてきたというのは患者さんからの声でよく聞きます。そういう医療者の意識が変わってきたというのも、国民の意識への影響は非常に大きいのではないかと思います。

○多田羅座長 この特定健診・保健指導で医療者の意識が変わってきたと。

○津下委員 はい、医師とか。

○多田羅座長 今村先生、それはいかがですか。大事なことだと思います。

○今村委員 私はやはり、先ほどのデータを経年的に持つという話も、今まで国民の方は健診を受けた後にこういう帳票をもらって、3年ぐらいのものをずっともらっているけれども、それをどのように継続的に見ていくかという意識は受診者にはあまりなかったと思うのです。だから、保険者としてそういうデータを持つとか、国がNDBとしてそれを分析するということは大事だと思いますけれども、やはり基本は一人一人の国民の方が自分の健康を自分で守るという意識をもう少し強く持たなければいけないと私は思っています。

 そういう意味で、医療者が、禁煙の話もそうなのですが、一般の国民の方から比べれば喫煙者が非常に少ないのは事実ですけれども、我々としてはそれはゼロにしたいと思っていますし、自分としてはちょっと最近体力が落ちたから、これはやはりまずいなと思って、まずは体重をコントロールするということで、2カ月で7キロぐらい落とせたわけです。意外と簡単に落ちるなというのが実感で、そういうことを今後は自分の患者さんたちに、自分の経験を逆にフィードバックしていくということも必要だろうなと思っているので、一人一人の意識を変えていくことが大事だと思っています。

 健康寿命の延伸のお話が出るときに、確かにそういうデータ的には平均寿命と健康寿命の差があると、国策として健康寿命を延ばすのだと、これはそのとおりだと思うのですが、御専門の先生たちがいらっしゃるところでなんですけれども、健康寿命の定義の中に、自分が健康と思えるかどうかという健康度の自己評価というものが非常に大きな要素を占めている。だから、国民全体がもっともっと自分たちはいい医療を今受けていて、自分の健康にもっと注意すれば健康に過ごせるのだというメッセージをもっと国として発信していくことが大切だと感じています。この会議で細部をきちんと詰めるということも大事ですが、そういう意識の問題というのは非常に大きいと思うので、ポピュレーションアプローチとして国民に対する発信というのを厚生労働省にはぜひしていただきたいと思っております。

○多田羅座長 ひとつちゃんと受けてください。

○安藤室長 御指摘のとおりでございますので、省としてきちんと取り組んでいきたいと考えております。

○多田羅座長 ほかにいかがでしょうか。

 鈴木委員、佐藤参考人、よろしいですか。

 平川委員、よろしいですか。

 福井参考人、よろしいですか。

 吉岡委員、よろしいですか。何かございましたら。

○吉岡委員 一言、分析につきましては、各委員が言われたとおりだと思います。しかし、経年分析はどうしても必要だと思います。分析結果を見ますと、特定保健指導積極的支援参加者と不参加者を比較するとでこれだけの差が出ているということは、先ほど今村委員が言われたように、本人の意識の問題だと思うのです。このことを保険者等が積極的に指導するとか、また、国としても広報を通じ国民の意識を高めていかないと効果は出てこないと思います。このような分析結果が出てくるということは、将来的に医療費の削減にもつながると思います。これからは、本人の意識を高めるための広報を、国としても、分析と並行的にやっていただきたいと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 そちらはよろしいですか。何かありましたら。

○守殿参考人 協会けんぽの守殿と申します。きょうは伊奈川の代理で出席をさせていただいております。

 きょうは有意義な御報告をいただきましてありがとうございます。先ほど御指摘もありましたように、不突合ということで協会けんぽのデータが入っていないということで、非常に残念なところでございます。ただ、検査結果の報告の部分でございますが、そちらのほうでお示しいただきました後、協会けんぽのほうでも同じように検査結果の分析をさせていただきまして、ほぼニアリーの結果が出ておりますので、医療費のほうもそういった方向に行くのかなと想像しております。きょうは医療費の分析の中身、それから、医療費の定義の部分をお示しいただいておりますので、こういった条件で協会のデータを使いまして、医療費のほうの分析も行ってみようというように課題としていただいたかなと考えております。

 あと、やはり今思っておりますのが、効果の中に保健指導者のほうの、先ほどから質という問題が何回も出ておりますが、こちらのほうも協会では47支部ございますが、やはり検査値のデータが支部によって大きく振れているという部分は、原因についてというのも協会の中で考えているところでございます。こういったものもこの中に要素として入れていただければ、より有意義なデータになっていくのかなと考えております。

 あと、私どもの場合、やはり保健師の勤続年数といいますか、非常に勤続年数の低い者が今は多くなってきているということもありますので、こういったことも含めて今後、協会のデータももう少しこういった分析の中で生かせるようにしていきたいと考えております。ありがとうございました。

○多田羅座長 同じ結果が出ましたか。

○守殿参考人 検査のほうですね。改善率はほぼ一緒でした。

○多田羅座長 そうですか。あれは非常にきれいな結果ですね。ありがとうございます。

 最後に鎌形参考人、いかがですか。

○鎌形参考人 このデータ分析はとてもご苦労され大変だったと思います。そのような中で、幾つか明らかになってきておりますので、それらを参考にしたいと思いますけれども、最初の平成20年、平成21年、平成22年というと、やはり参加するという方たちの意識が高い方たちが結構きちんと参加しているということもありますし、今後、保健指導を受けた中で行動変容ができるような、指導内容が重要かなと感じました。特に今後の方向性の中で、質の向上に向けた実施方法の検証等ということが書かれておりますので、具体的にはこの辺の行動変容がいかにきちんとできるかということが医療費に大きくかかわってくることだと思いますので、今後また期待したいところだと思います。よろしくお願いいたします。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 どうぞ、平川委員。

○平川委員 1点、質問がございます。分析対象者が健保組合2、国保が321とありますが、個別の保険者名は言えないと思いますが、健保組合は大企業なのか、中小企業なのか、また、国保は地域性があるのか、ないのかというのを教えていただきたいと思います。

 後、意見を述べますが、個別の国保を分析すれば、そこでどのような形で、例えば保健師さんが頑張っていらっしゃるとか、そういうものがわかってくるのかもしれません。その場合は好事例として今後取り上げていくという考え方も必要かと思います。

 

○安藤室長 健保組合は今、手元にデータがないものですから、大企業なのか、中小企業なのか、その辺については後ほどお伝えさせていただきたいと思います。

 国保については、もともと実際に今、突合している大部分については市町村国保のデータなのですけれども、そこのもとのデータの中でも地域差が相当あって、要は都道府県ごとに見ていったときに、突合率がいい都道府県と突合率が悪い都道府県というのでかなりベースのラインから既に差があるという状況でございますので、厳密にこの321の保険者がどうなっているかというところで今、手元にデータはないのですけれども、ベースのデータのことを考えると、恐らく実際に80%以上突合の保険者についても、ちょっと地域差が、実際に地域、エリアがある程度限定されているのではないかという感じはいたします。後ほど御確認をさせていただきたいと思います。

 あと、好事例の話がありましたけれども、まさにそういったいい事例について、どういった効果的な取り組みが行われているのかということについて、我々もまだ実態把握がきちんとできていないものですから、先ほども申し上げました今後の検証の中で、そういった事例についても実際に検証作業はやっていきたいと思っているところでございます。

○多田羅座長 簡単に。

○津下委員 先ほど鎌形参考人から行動変容という話が出たのですが、特定健診では、標準問診で食事や運動や意識や睡眠の状態を聞く問診があるのですが、その入っているデータが少ない。全ての保険者がそれを入れていただければかなり分析が可能だろうと思われますが、そこが任意になっているので、データの欠損値が多くて解析ができないという状況があるかと思います。医療保険者の皆様や健診機関の皆様には、標準問診をできるだけきちんと入れていただくと、このあたりも分析評価が可能になると思いますので、御検討いただければと思います。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 委員の皆さんから積極的に意義深い御意見をいただきましたこと、ありがとうございます。

 今回はこの「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ・第二次中間取りまとめ(案)」について御議論いただいたわけですが、最終的にこの「取りまとめ(案)」をワーキンググループの「取りまとめ」として公表し、発表することにつきまして承認いただけるでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○多田羅座長 ありがとうございます。

 それでは、ワーキンググループのまとめました第二次中間取りまとめ、まさに中間取りまとめとして、特定健診・保健指導の今日の状況を示す非常に貴重なデータでございますので、国民に向けて発表するということを事務局のほうで取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、本日の審議は以上でございます。

 これからの発表の予定については事務局のほうで何かありますか。

○安藤室長 本日の会議がもう既に公開でございますので、もう既にそういう意味ではオープンになってございますけれども、この会議の後、別途記者さんにはブリーフィングをさせていただく予定になってございます。

○多田羅座長 よろしくお願いします。

 それでは、今後、ワーキングも引き続き行われる予定ですので、その中で今回いただいた御指摘などをもとに分析が進むと思いますので、その成果などが出ましたら、また検討会のほうに御報告いただくようお願いいたします。

 それでは、本日の検討会はこれにて閉会とさせていただきます。御協力ありがとうございました。

 次回以降の開催につきましては、場所、日時等の詳細を追って事務局より連絡させていただくと思いますので、その節はひとつよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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