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2014年9月30日 第7回HTLV-1対策推進協議会

健康局結核感染症課

○日時

平成26年9月30日(火)13:00~15:00


○場所

砂防会館 穂高会議室(別館3階)


○議題

(1) HTLV-1 総合対策の進捗について
(2) 研究について
  1 HTLV-1 母子感染予防に関する研究
  2 HTLV-1 感染症予防ワクチンの開発に関する研究
  3 HTLV-1 キャリア対策の現状と問題点
(3) 患者会(スマイルリボン)の活動状況について
(4) その他

○議事

○結核感染症課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第7回「HTLV-1対策推進協議会」を開催いたします。

 まず、構成員の交代について御報告いたします。

長崎県こども政策局こども家庭課長の宮崎構成員が退任され、新たに同課長の林田構成員に御着任いただきました。

 構成員の出席状況について御報告いたします。本日は、15名中13名の方々に御出席いただいております。

 小森構成員、林田構成員から御欠席の連絡をいただいております。

 本日は、参考人として、昭和大学医学部小児科教授の板橋教授、国立感染症研究所長谷川感染症病理部長、東京大学医科学研究所附属病院内丸准教授に御出席いただいております。

 続きまして、事務局の異動について御報告いたします。

 本年7月にがん対策・健康増進課長に正林が着任しております。

 本年9月に一瀬が母子保健課長に着任しております。

ここからは渡邉座長に議事をお願いいたします。

○渡邉座長 それでは、最初に事務局より資料等の確認をお願いいたします。

○結核感染症課課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元資料、クリップどめを外していただきまして、議事次第、構成員名簿、資料1から5、参考資料1を御用意させていただいております。

不足がございましたら、事務局にお申しつけください。

○渡邉座長 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。

 委員の皆様には円滑な議事進行に御協力をよろしくお願いいたします。

では、議題1について、事務局から「HTLV-1総合対策の概略と現状」についての説明をお願いいたします。

○結核感染症課課長補佐 それでは、お手元資料1に基づきまして、「HTLV-1総合対策の概略と現状」について御説明させていただきます。

 1枚おめくりいただきまして、2ページ目「HTLV-1総合対策の骨子」でございます。

まず、推進体制、国、地方公共団体、医療機関、患者団体等の密接な連携を図り、HTLV-1対策を強力に推進するということで、厚生労働省、都道府県、研究班でこのような体制をとっておりまして、重点施策としてここに掲げてございます5つの施策を推進しているところでございます。

3ページ目、1つ目の感染予防対策でございます。

全国的な妊婦のHTLV-1抗体検査と、保健指導の実施体制の整備、保健所におけるHTLV-1抗体検査と、相談指導の実施体制の整備を行っているところでございます。

4ページ目「妊婦健康診査におけるHTLV-1抗体検査の実施状況」でございますが、平成22年の通知より公費負担の対象となったことを周知しておりまして、25年4月現在で1,429の市町村においてHTLV-1抗体検査を実施しております。これは、受診券方式で実施している全ての市町村で実施しているということでございまして、残りは補助券方式という形で実施している状況でございます。

続きまして、5ページ目、各都道府県での取り組み状況でございます。

一番上、母子感染対策協議会の設置状況でございますが、37都道府県で設置済みでございます。

続きまして、研修の実施状況でございますが、実施済みが33、未実施14

普及啓発の状況でございますが、実施済みが36、未実施が11となっております。

6ページ目が各都道府県の取り組みを示した表でございます。

続きまして、7ページ目、HTLV-1の抗体検査の保健所での実施状況でございますが、少しずつでございますが、保健所での実施がふえてきているという状況でございます。

続きまして、8ページ目、9ページ目、相談体制でございますが、研究班のほうで9ページにございます母子感染対策予防医師向け手引き、保健指導マニュアルといったものを作成していただきまして、全国の関係機関に周知を行っているところでございます。

10ページ目、相談窓口体制でございますが、全国1,430カ所で相談が行われておりまして、内訳は表のような形になっておりまして、これはホームページで見ることができるという形になっております。

続きまして、11ページ目、医療体制の整備でございますが、12ページ目をごらんいただきまして、精度の高い検査方法の開発、診療体制の整備、診療ガイドラインの策定を行っているところでございます。

13ページ目、HAMの診療マニュアル、こちらも研究班のほうで作成いただきまして、現在、改定に向けて調査研究を行っていただいているというところでございます。

14ページ目、対応できる医療機関、診療機関、研究機関につきまして、HTLV-1キャリア対応できる医療機関が135ATL146、臨床研究参加医療機関数が135HAM診療が可能な医療機関が92となっておりまして、この医療機関については、右側にございますホームページで検索して見ることができるというものとなっております。

15ページ目、普及啓発・情報提供でございます。

16ページ目、厚生労働省のホームページでポータルサイトを設けまして、HTLV-1の情報であるとか医療機関、こういったものが検索できる形となっております。

また、17ページでございますが、研究班においても情報サービス、作成いただきまして、疾患の説明や医療機関の情報などを掲載いただいているところでございます。

続きまして、18ページ目、研究開発の推進でございますが、26年度につきましてもHTLV-1関連疾患として10億円規模の研究領域を設けているところでございます。

20ページから今年度実施中の研究の一覧をつけているところでございます。

24ページ以降は、25年度の研究成果をまとめたものでございます。

以上、駆け足でございますが、事務局からの説明になります。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 ただいまの説明に対して御質問、御意見等ございましたら、お願いしたいと思います。

 最初のほうで私のほうから質問なのですけれども、妊婦の抗体検査の実施を把握しているところなのですが、受診券方式のところを対象としていて、補助券方式のところは対象外になっているという御説明だったのですけれども、つまり、集計が技術的に難しい、情報収集が難しいということなのでしょうか。

○母子保健課長補佐 

 補助券方式に関しましては、資料の下の方にも記載がありますが、検査項目は医療機関の判断によるということで、自治体には必ずしも検査項目が上がってこないような仕組みになっております。金額が決まっておりまして、その範囲内で医療機関に検査いただくということになっております。自治体に調査を行った際には基本的に項目までは正確に集計できないところでございます。

○渡邉座長 そうすると、こういう方式をしている313市町村については、手がかりとなる情報が得られないというのが現状ということですか。

○母子保健課長補佐 自治体への調査では、基本的に正確な情報が把握できないところが現状でございます。

○渡邉座長 わかりました。

 ほかに。伊川委員、どうぞ。

○伊川構成員 石川中央保健所の伊川でございます。

 今の御質問にも関連するのですけれども、国のほうで市町村の健診結果を今、把握されていないですね。そこのところを把握していただくようにするといいなというふうに思っているのです。多分各県のほうでは市町村の実施状況をそれぞれのやり方で把握しているかと思うのですけれども、国のほうで把握するというところはまだされていないと思いますので、国から結果報告を求めていただけば、まだ把握されていない市町村や県が、結果を把握するよう努めるので、より効果が出るのかなというふうに思いました。お願いいたします。

○渡邉座長 今の実施状況の把握は、都道府県単位では集約されているという事ですね。

○伊川構成員 全都道府県で集約されているかは承知していないのですが、県によっては、各市町村でどれだけの人が健診を受診し、そのうちのどれだけの人が検査を受け、そのうち要精検がどれだけで、その後、要精検を受けてどうだったかというようなデータを県ごとにそれぞれの県のやり方で把握していると思うのですけれども、まだ把握していない県があるかどうかも国として把握されたらいいのではないかと思います。

○結核感染症課課長補佐 実施状況につきまして後ほど板橋先生のほうから御発表いただけるかと思いますが、研究班のほうで把握いただくようお願いしているところでございます。

○渡邉座長 そういう理解でよろしいですか。

 では、板橋先生の発表のときに、この件に関してはまた議論をさせていただければと思います。

 それ以外に関しまして何か。山野先生。

○山野構成員 聖マリアンナ医科大学の山野です。

 5ページで母子感染関係者の研修事業を未実施というところが14カ所あるのですが、最初、かなり感染者が少ない地域なのかなと思っていたら、次のページで×がついているところが、板橋先生のこれまでの御発表ですと、大阪とか埼玉、千葉とか、大都市圏は感染者が比較的多いというふうな御報告を受けていまして、そういうところで研修がまだ実施されていないという状況なのかと思ったのですけれども、この未実施という部分に関して、どうして未実施なのかというところまではこの調査では聞いていないでしょうか。

○母子保健課長補佐 

 こちらの未実施に関してですが、調査の仕方が関係しているかもしれませんが、以前に研修を実施されていても、今回は「未実施」とお答えになっているところがございます。これまでに研修を全く行っていないというところは、資料にある14よりも少なくなっております。

○渡邉座長 森内先生、どうぞ。

○森内構成員 実際埼玉県は私自身も数回講習に行ったことがあって、今回×だったので、あれと思ったのですけれども、今の御説明であれば、単に単年度で実施している、していないということだけではなくて、その都道府県の実施状況を継続的にどういうふうに行われているのかがわかる形で提示していただいたほうが議論はしやすいかなと思います。

○母子保健課長補佐 次回からはそのようにしていきたいと思います。

○渡邉座長 そのほか御発言ございますでしょうか。

 では、私のほうから。次の話題になりますけれども、情報提供の部分なのですが、私のほうからこういう質問をするとおかしいのかもしれないのですが、HTLV-1情報サービス、厚生労働省が今、整備しておられる部分なのですが、このコンテンツに関しての管理といいますか、責任者、管理当事者というのは今、どういう形になっているのでしょうか。

○結核感染症課課長補佐 厚生労働省のほうで随時アップデートをしているところでございます。

○渡邉座長 その部局は結核感染症課でしょうか?

○結核感染症課課長補佐 一番の取りまとめは結核感染症課になっております。

○渡邉座長 そうすると、そのコンテンツに関しては、基本的に研究班でいろいろまとめたものとか、そういうものを吸い上げて整理してという形ということでよろしいのでしょうか。

○結核感染症課課長補佐 そういうことになります。

○渡邉座長 この情報提供というのは非常に大事なポイントで、特に現代はホームページ、ウエブサイトの情報提供が大事だと思うのですが、そこについて、広い意味での管理の仕方ですね。当事者、主体と、その内容の議論というのを何らかの形できちっと整理したり、運用に関しての議論ができる場があったほうがいいのかなという気はしたのですが、その辺はどういうお考えでしょうか。

○結核感染症課課長補佐 後ほど内丸先生からも情報提供のあり方について御発表いただけるかと思いますが、検索サイトで「HTLV-1」と入れて検索すると、まず内丸先生の研究班のところにヒットする、あるいは厚生労働省というところで、両方で見られる形にはなっております。ただ、そこで医療機関とかを検索できるようになっているのですが、後ほど内丸先生からの御発表があると思いますが、そこで検索された医療機関が本当に全て対応できるのかといったような課題とか、幾つか課題があるということは認識しておりまして、今後もこういった形にしてはどうかというような御意見がありましたら、個別にでもお寄せいただければと思いますし、また、今後この協議会のほうでも情報提供のあり方について御審議いただければと思っております。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 会場のほうからほかに御意見とか御質問とかございますでしょうか。

 それでは、ありがとうございました。

次に、HTLV-1母子感染に関する研究について、板橋先生のほうからお願いいたしたいと思います。

○板橋参考人 では、時間もありませんので、始めさせていただきます。

PP

 私どもの研究班は平成23年から立ち上がっております。母子感染予防に関する研究の中でHTLV-1抗体陽性妊婦からの出生児のコホート研究をしております。

PP

これまで明らかになっている点を上段に示しました。3歳までにHTLV-1抗体がキャリアの場合、キャリアから生まれたお子さんの場合に判定ができるということ。

長期間の母乳栄養での母子感染率が1520%。

人工栄養ではかなり減少しますが、それでも3%の児は抗体陽性になります。

明らかになっていない点が短期母乳の効果、冷凍母乳の効果です。これらの感染予防効果の発表がありますが、検討された症例数が少ないことが問題です。

また、確認検査のウエスタンブロット法による判定保留症例から出生した児の感染率についても全くわかっておりませんでしたので、これは浜口班の御協力を得て、さらにPCR法を進めております。

各栄養法は、原則として短期母乳、人工栄養、冷凍母乳からお母様方に選んでいただくということになりますが、これらの栄養法によって、お母さんの育児中の心理にどのような影響があるのか、お子さんの成長にどのような影響があるか、その他アレルギー等の問題についても検討し、総合的な評価で最も適切な母子感染予防のための乳汁栄養法を選択できるようにしたいと思っております。

PP

研究の目的は、母子感染予防と児の健全な育成の視点に立って、適切な乳汁栄養法を明らかにするとともに、将来の感染者を減少させるということになります。

PP

 研究方法はここに示したとおりで、スクリーニングで陽性になった方々をウエスタンブロット法で確認検査をいたします。それで陽性あるいは判定保留という方々が対象になります。

ウエスタンブロット法の結果の説明については、研究協力施設あるいは一次レベルの産科の先生、どちらでも構いませんが、研究協力施設に来ていただければコホート研究に参加していただくということを御説明できます。

乳汁栄養法は、主に長期の母乳栄養を除く3つの栄養法から選択していただきます。研究協力施設では、乳汁栄養法について十分な説明を行います。

また、判定保留の場合にはPCR法での検査法を研究班が費用負担して行います。

さらに、生まれた赤ちゃんについては、出生後1カ月、3カ月、6カ月、以後6カ月ごと3歳までフォローアップします。3歳時点で抗体の検査を行います。

PP

 当初3,000例を予定しておりました。この後、述べますが、残念ながら現時点では十分な症例に届いておりません。

PP

 本研究実施のために様々な準備を行って参りました。

 日本産婦人科医会、あるいは各自治体のHTLV-1母子感染対策協議会、あるいは周産期医療協議会などを通じて研究の周知を複数回しております。

さらに、研究協力施設は、総合周産期センターあるいは地域周産期センター、あるいはこれに準ずる施設に協力をお願いしております。

このスライドをつくった時点では88施設でしたが、今は90施設が倫理委員会の承認をとっております。

たびたび講習会を行いながら、母子感染予防のための相談者の養成を行っています。特に助産師がお母さん方に説明するときに、乳汁栄養を決めるときの支援の仕方についても講習会を繰り返しております。また、これらの内容を研究班のホームページ上でオンデマンドで掲載してあります。

研究の登録された情報についてはウエブでフォローアップシートを使いながら登録しております。

PP

産婦人科医会の御協力のもと、2年前、全国の妊婦さんのキャリアの実態を調べました。ここから推定される陽性者は、判定保留などを加えますと約1,700名弱になります。

判定保留者のPCR法の陽性率を加えると、年間約1,700名がキャリア妊婦数と推定されます。

PP

都道府県のウエスタンブロット法の陽性率はここに示したとおりで、陽性率で言えば、全国平均が0.16%でございます。九州も高いのですが、近畿も高いわけであります。これは陽性率ですので、実際に出生数を掛けますと、大都市圏はかなり多い患者さんになります。

PP

 コホートの進捗状況を示します。6月までの集計です。

PP

大体毎月20症例くらいがエントリーされております。9月現在で600を超えております。

PP

 都道府県別の登録者数がここに記載されております。赤が判定保留で、ブルーがウエスタンブロット陽性です。

 研究協力施設のうち鹿児島が最も患者数が多く登録されております。ですので、鹿児島のデータに全体が影響を受けている可能性があります。

PP

 これがウエスタンブロット法の陽性・判定保留者の乳汁の選択の内訳であります。陽性者は、全体で75%であります。判定保留が、「254%」と書いていますが、25%の間違いです。失礼しました。そのうちPCR法の陽性が22%です。

 ウエスタンブロット法陽性妊婦の乳汁選択は、半数以上が短期母乳で、次に33%の人工乳です。しかしながら、鹿児島のデータを除きますと、人工乳と短期母乳がほぼ同率です。

 判定保留妊婦でPCR法が陽性になった方では、まだこの時点では数が少ないのですが、短期母乳の選択が最も多いようです。PCR法が陰性という結果を受けた場合には、長期母乳を選択される妊婦さんが多いという傾向です。

PP

 問題は、ウエスタンブロット法陽性から出生した赤ちゃんに対して短期母乳を選んだ場合に、それが6カ月以上長期化してしまうケースが散見されるということです。これは本年6月時点ですが、生後12カ月の時点で短期母乳のうち7名がまだ母乳を与えています。

PP

 さらに、今回ウエスタンブロット法判定保留に対して、浜口先生の御協力によってproviral loadを測定しておりますが、妊婦のウエスタンブロット法判定保留者のうちのproviral loadのレベルは極めて低い値でした。そういったことで、まだ正確に評価する時点ではありませんけれども、ウエスタンブロット法判定保留で陰性は問題ないと思いますが、陽性者であってもかなり感染するリスクは少ないのかもしれないと推定されます。

PP

 今、4年目に入っているわけですが、十分なエリトリー数が当初の設定数に比べてまだ4分の1から5分の1程度であります。

何回かの講習会での意見でございますが、産科医、小児科医ともにATLHAMの患者さんを直接診療した経験が非常に少ないため、単にスクリーニングしているだけになっているのではないかということです。陽性妊婦の支援やフォローアップ、生まれた赤ちゃんのフォローアップなどのシステムがきちんとできていない地域が多いと思われます。

我々の研究班ではフォローアップの脱落者は今のところ十数名というふうに聞いておりますが、今後ふえる可能性は否定できないので、フォローアップ率を9割以上にキープして、より信頼性の高いデータを出したいと思っております。

以上でございます。

○渡邉座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に対しまして御質問ございますか。岩本先生、どうぞ。

○岩本構成員 ありがとうございました。

研究班に聞く質問か、厚生労働省に聞く質問かわからないのですけれども、感染症ですので、prevalence incidenceというか、要するに、日本に何人ぐらいHTLV-1陽性者がいて、今、年間どのぐらいの感染が起こっているのかといったようなデータは必要だと思います。prevalenceに関してはスライド9に平均陽性率があって、0.16%陽性ということですので、恐らく全国に200万人ぐらいの方がいらっしゃるという数字になるかなと思うのですが、例えば難しいかもしれないですけれども、頻度の多い県からの推計だけでもいいのですが、今、どのぐらいの母子感染なり、どのぐらいの頻度で日本で実際に感染が起こっているのかということについて、データはないのでしょうか。

○板橋参考人 このコホート研究に関しては、3歳になっておりませんので、データは出しておりません。

 むしろ長崎などはずっとやってきておりますので、母子感染率は、森内先生のところではある程度出ていると思うのですが。

○森内構成員 最近はフォロー率が余りよくありませんので、ちょっとバイアスがかかっているかもしれません。過去数年間くらいでの母子感染率は、結果として長期母乳になっている方が心配になって、来られたりしていてバイアスがかかっていそうですが、3カ月以上母乳を上げている方の感染率が36%程度。長崎の場合には短期母乳は基本的に余り勧めていないケースが多いので、完全人工栄養でいっている方は、わずか十数名のフォローですけれども、誰も感染していない。トータルで見たときには10%弱ぐらいの感染率でした。しかし繰り返しますが、これはあくまでも相当バイアスがかかってきているものです。

昔、もっとしっかりとフォローしていたころのデータであれば、長崎県のこども家庭課長は欠席ですけれども、長崎は8割程度は完全人工栄養で、そこでの感染率は2~3%程度でしたので、全体としてもそれをちょっと上回る程度というぐらいの母子感染率できておりました。

長崎県は今、妊婦さんのキャリア率が1%を切るぐらいになってきておりますので、年間それほど多くのキャリアが新たに生まれているということではない状態です。

○渡邉座長 どうぞ。

○結核感染症課課長補佐 prevalenceについては、日赤と感染研の先生が研究班で出されていて、2007年で107万人というデータをいただいているところです。

○渡邉座長 一応healthy donor effectを踏まえて110万人以上はいるであろうというのが専門家の間の判断というふうになっています。

 それから、感染が実際にどの程度起きているかということの年間あたりの推測値というのは、まだデータを詰める必要があるのですけれども、母子感染で大体2,000人前後は起きているだろうと。それに加えて、今、出ているデータでは水平感染が現実に存在していて、統計上、難しいのですけれども、計算の仕方によっては3,000人から5,000人に実は水平感染が起きていて、母子感染に匹敵するレベルの感染が起きているのではないかというデータが今、浮かんできているというところだと思います。

○岩本構成員 かなり多いですね。

○渡邉座長 はい。

 それ以外に何か。林さん、お願いします。

○林構成員 13ページを見ますと、陽性判定保留妊婦の乳汁の選択で、長期母乳を3%の方が選択しているということなのですが、この選択に当たって、どういう説明を受けて、それでも長期母乳を選択するということになるのか、よくわからないのですけれども。

○板橋参考人 直接個別にはまだ完全に把握していませんが、説明の仕方については、この研究協力施設ではなるべく均一になるようにということで進めていますので、長期母乳を勧めることは基本的にはしていません。

あくまでも長期母乳をお母さんたちがあえて選択をするという場合には、もう一度確認をすることを義務づけています。ですので、これはあくまでもお母さん方の選択というふうに思っております。

ただ、この理由は、もしかして前の子が大丈夫であったので、今回も大丈夫と考えているのかもしれませんし、あとは母乳を与えるということに対して、今のお母さん方はかなり強迫観念を持っている方も一部にいらっしゃいます。母乳を与えられないことイコールお母さんとして失格みたいに思う方も一部にはいらっしゃいますので、この方々がそうだったかどうかはわかりませんけれども、そういった風潮が現にあることはあるものですから、そのあたりは今後調査をもちろんしたいと思います。

○渡邉座長 森内先生。

○森内構成員 たびたび済みません。長崎県で2728年間やっている中で、途中でどうもある地域で母乳哺育率が高いぞというお話があって、実際、無記名のアンケート調査をすると、かなり高い地域があって、そこで保健師さんや助産師にあなたは実際聞かれたらどう指導していますかと聞くと、高い地域というのは、保健師の人たちが、結局、母乳でいいんじゃないみたいに答えているということがわかりまして、もちろん、長崎県はこの事業を開始するに当たってあちこちで講習会を開いて、ちゃんとパンフレットを用意して、みんなでこれをやりましょうねと。それでみんなで同じようにやっているつもりでいたのですけれども、いざ、ふたを開いてみると、そういうふうな状況で、末端まできちんと行き渡っていないということがわかりました。時々そういう揺れ戻りをするものです。講習会をしっかり開いて、皆さん、余りなじみがないけれども、ATLはこんなに怖い病気だよ、HAMの人はこんなに困っているよ、母乳は大事だけれども、こういうことで親子の関係というのは維持できるのだという講習会をすると、またそういう母乳哺育率が下がってくるということを繰り返しています。

だから、先ほど話題にも出ましたが、講習会を定期的に開くとか、いろんなことを継続的にやるというのはとても大事で、根づいたように見えるような流行地でもちょっと油断するとすぐそういうことになってしまいますので、まるっきりそれをしていないところとか、もしくは一定の哲学がそこの地域に根づいてしまっていて動かせないようなことになってしまうと、やはりまずいのかなという気はいたします。

○渡邉座長 齋藤先生、どうぞ。

○齋藤構成員 産婦人科の診療ガイドラインというものがございまして、その中でHTLV-1キャリアの妊婦さんから母乳方法を尋ねられた場合は?というクリニカルクエスチョンがあります。それには人工乳、3カ月までの短期母乳、凍結母乳、3つを勧めると明確に書いてございます。今まではそういった指標はなかったですけれども、ガイドラインに書いてございます。しかしながら、それを書いていても、どうしても母乳を上げたいというお母さんがいらっしゃることも事実です。その場合、個人の意思といいましょうか、母乳を与えても20%は感染するのですが、80%は感染しないということが明確な事実ですので、それを選択されるという方もいらっしゃいます。

○渡邉座長 板橋先生、どうぞ。

○板橋参考人 母子感染予防は、どういう乳汁選択をするかということも重要なのですが、キャリアから生まれたお子さんをきちんとフォローアップできないと、結局、曖昧になってしまうと思うのです。せっかくスクリーニング検査をやっていながら、生まれたお子さんをどのようにフォローアップするという体制が整わないと、なかなか効果がうまく出てきにくいのではないかと思っています。そういった意味で、地域ごとに母子感染対策協議会の機能がきちんと発揮できないと難しいのではないかと思います。

実際どれくらいのキャリアの方がその都道府県にいて、どれくらいの方が赤ちゃんの検査をしたかのかなど、そういったことを含めて把握できていない地域のほうが圧倒的に多いのが現状です。

子供たちに何か印をつけてということを意味しているわけではなくて、お母さん方のよき相談相手、もし陽性の場合、子供にどのようなタイミングでそのことをお話しするかということの相談相手としても我々医療者が機能できないと、なかなか母子感染予防の実が上がりにくいのではないかと思っています。

母子感染対策協議会、東京都でさえつくっていませんけれども、そういうことがきちんとできないとなかなかキャリアを減らすことは難しいのではないかというのが、研究班を3年間やってきての印象です。

○渡邉座長 ほかに御質問、コメント等ございませんでしょうか?木下先生、どうぞ。

○木下構成員 産婦人科医会の木下でございます。

板橋先生のグループに班員として入っておりますけれども、ずっと見てまいりまして、例えば具体的な話として、妊婦健診の補助券は2種類あって、それによってHTLV-1の検査をするか、しないかということは普通はないはずでございまして、とにかく公費負担になったということから、どのようなものであれ、別に検査項目が書いていなくても原則としては必ずやるというふうになっているはずでありますから、わざわざ最初の議論にありましたようなことで外すとか、集計対象外ということは普通はないはずでありますので、それは確認していただきたいなと。私たちも確認いたしますけれども。それが1つ。

それから、今、板橋先生が最後にお話しになったことは極めて大事な話でありまして、ラージスケールのスタディーをやることによって、妊婦のキャリアから生まれた子供たちに対してどのような母乳を採用するかによって、ほっておきますと感染率が20%にもなる。これは極めて高い数字でございまして、そういったことがある期間母乳にしていかないということで防げるのであるならば、徹底的に指導していくということの大胆な方策を、個人の好みは別といたしましても、すべきであろうと考えています。

そのときに、私たち産婦人科医会というのは全ての分娩取り扱い施設が入っている団体でございますが、こういった方針でいくからということで、もちろんそのためにはHTLV-1の抗体検査の意味というのが、実はATLという非常にミゼラブルな疾患の原因というのはそこなのだということ、まずそこから入ってまいりませんと、なかなか理解しがたいということがございまして、その意味では、産婦人科の者がこういった検査をすることについて余り抵抗なく最近はやっているように思います。

ただ、児のフォローアップの段階でどうなっているかというと、板橋先生をとやかく言うわけではございませんが、確かに小児科の全体、診療所も含めて、ある地域のフォローアップする施設の方の意識というものは必ずしもどうかなというふうな思いがございまして、そのときにHTLV-1の協議会の話が出てまいりますけれども、国からどんなに言ったってところで動かないところは全く動かないのでありまして、そのときに思いますことは、地域の担当の者、つまり、産婦人科医であれ、小児科医であれ、このことについて非常に関心を持って積極的に働きかける、そういうことで動くというふうな部分がございまして、関心のないところにこういうのをつくりましたといっても、機能しないようなものでは全く意味がない。そのような意味で、全ての地域において、この問題に関して、ATLの担当の先生でも結構でございますが、産婦人科、小児科、あるいは内科、そういった専門医を含めて、そういった者を各地域に必ずつくっていって、そして具体的な協議会をつくっていくという流れを一つつくっていただきたい。それでもって、今度は小児科のほうを巻き込んでいってフォローアップもきちんとしていくという仕組みを、理屈だけでなくて、あちこち飛び回って組織をつくってまいりませんと、大体日本は動かないのであります。

そんなふうな印象を非常に強く持っております。そういった形でもって言えばいいなんていう世界では全然ないと思いますだけに、地域の担当者をもう一遍つくって具体的にしていくことによって板橋先生のスタディーが形のあるものになるのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと存じます。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 今、御指摘いただきましたように、産婦人科及び小児科の医療の現場におられる先生方、担当の医療スタッフの方々が、このウイルスによって起こされる疾患の実態ということに関して、どうしても認識が十分ではないというところは以前からも指摘がありましたけれども、全くそのとおりかと思います。

今、木下先生のコメントにありましたように、制度をどうこうというよりは、実際に疾患を扱っている側の先生たちが中心になってさまざまな活動、働きかけをしていくということが非常に大事であろうというふうな御指摘がありましたけれども、その点に関しまして、塚崎先生、コメントをいただけますでしょうか。

○塚崎構成員 国立がん研究センター東病院の血液腫瘍科の塚崎です。

 私は以前長崎におりまして、森内先生と御一緒に、まさに先ほどお話が出ていましたように、HTLV-1について、産婦人科の増崎先生が主体となって保健婦の方々に毎年のように研修会をやっておりました。その効果があったというのは森内先生からの先ほどの御指摘のとおりです。昨年度まで全国のATLの診療実態についての研究班の活動で分かったのですが、分担の先生方が積極的に携わっている、例えば東北の中でも一部の県では、まさに先ほど木下先生が言われた多診療科の連携が流れよく進んでいるというところもございます。ところが、協議会自体が設置されていない都道府県も結構あるということで、九州の中だけということではなくて、全国の中でということを考える上におきましても大きな差があるというのが現状かと思っております。

○渡邉座長 今、木下先生のほうから御指摘がありましたように、疾患を実際に取り扱っている血液内科とか神経内科の先生方が、積極的に地域のほうに出ていって啓発活動に取り組むという部分が、当事者の側からすると、今、考えられる1つの取り組みかなというふうに思いますけれども、そういう努力をもう少しということでよろしいでしょうか。

○木下構成員 おっしゃるとおりでございます。本当に担当してくださる内科があると思いますだけに、熱意というか、行政を動かすだけの行動をしていきませんと、なかなか聞いてくれない。それでも動かないとなれば行政が悪いのでありまして、それは上からきちっとやっていただくということの仕組みをぜひつくっていただきたいです。

 何遍もやっておりますが、やっています、やっていますというだけで実際に動いていないというのが実情であります。いつも同じようなことを言っているような気がいたしますだけに、本当に行動する、実際に動かない限りは何のための議論かということになってしまいますから、そういった意味では、今回を限りに二度と言わないようにぜひやっていただきたいと思います。

○渡邉座長 大変厳しい御指摘ですが、ほかに御発言ございますでしょうか。菅付さん、どうぞ。

○菅付構成員 今、木下委員のお話を聞いていて、私は1つ「外堀を埋めよ」という言葉が浮かんだのです。都道府県の協議会がうまく活用されていない理由についてですが上からの指導、あるいは勧告で協議会には核となってリードするようなこれだけの先生を必ず入れなさいと。協議会を設置していないところは設置するように。外堀を国からの要請で作っていただくことが必要かと思いました。協議会の動きですが、富山県は患者が非常に少ないのに、齋藤先生がいらっしゃるということで非常に動いています。鹿児島県は患者も多いし、先生もいらっしゃるし、協力的なので非常に動いています。森内先生の長崎も同じです。しかし、患者が数少ないところで動かないのは必要性を感じていないからだと思います。特に東京などはまだ協議会も設置されていません。私は、例えば東京とか患者数が数少ないと思われているところで徹底的に患者の洗い出しをしてみればどうかと思います。

鹿児島県は、HAM患者1,500名が見つかったときに400名という患者を探し出しました。鹿児島大学の三内科に納先生が教室の研究員を離島に配置して、山の中を回って神経難病の患者を探し、HAMという病気の疾患を別途に分けて400人の患者を探し当てたわけです。

患者を探し出すにはそれだけの専門の医師が必要となるわけで、協議会も成立するのではと思うのです。

○渡邉座長 ありがとうございました。

 あと、情報の啓発活動とかその辺に関しては、内丸先生が情報発信、啓発活動の調査研究のほうを担当してこられているので、先ほどお話のありました実際の臨床の場で当事者として患者さんを見る立場の医師がいかにいろんな地域に情報発信をしていくか。研修会とかそういうことの実施の状況といいますか、現状ではどういう地域でどの程度の頻度で行われているかということに関して、内丸先生のほうである程度全体的なことを把握されておりますでしょうか。

○内丸参考人 医科研の内丸でございます。

 東京でもっとやれという厳しい言葉で、反省をしながら聞いていたのですけれども、まず私たちがどういう啓発をしているかということに関しては、それこそ先ほどから御紹介があったHTLV-1情報サービスをウエブでという形での情報提供はしておりますが、具体的に私たちが体を運んでということになりますと、各都道府県あるいは保健所等で行っている研修にお招きいただいて、そこで一生懸命アピールをするということが私に関してはほぼ唯一で、実際に各都道府県でどのくらいやられているかということについて、私のところでは集計はしておりません。

○渡邉座長 そうすると、実際に各都道府県、自治体でそういう催し、研修会を開催する際には個別にいろんな先生方、森内先生とか、山野先生とか、塚崎先生等に依頼が行くということで、全体的な状況はなかなか情報としては整理できていないということですか。

○内丸参考人 個別のところが総合対策に従って研修をということで企画をされて、それぞれこの先生にとチョイスしてお願いをしているというのが現状なのだろうと思います。

そういった意味から言うと、いわゆる研修、あるいは啓発の標準化という意味でも、ある一定のところに都道府県なり保健所なりから依頼が来て、そこから派遣をするとかそういった体制ができると、全体の状況も把握をしやすいし、標準化をしていきやすいのだろうと思うのですが、現状はそうはなっておりません。

○渡邉座長 なるほど。私は、先ほど木下先生から厳しい御指摘をいただいた部分に関して、関係の臨床側の先生方がどういう取り組みができるのかなというところを今、考えておりまして、今、内丸先生から御指摘をいただきましたように、そういった研修会の講師派遣をある程度中央で管理できる、マネージできるような構造があると、取り組みがさらに進めやすくなるのかなという感じはいたしました。

ほかに御発言ございませんでしょうか。石母田さん、どうぞ。

○石母田構成員 患者会のアトムの会、石母田です。

講習などをやるときに、今までの患者会の経験からいって、大体初めて会う方というのは、ATLに関しても、HAMに関しても、HTLV-1そのものは聞いたことがあるけれども、患者を見たことがない、ああ、こんなに大変な病気だったのですねというお話をよく聞くのです。

ですから、先生方の講習会をやられるときに、できれば患者の経験談、患者会の中にそういうことをきちっとお話しできる方もいらっしゃいますので、ぜひ患者会を活用して、本当に患者を見ると対応も変わってくると思うのです。そういうほうでも進めていただけたらと思います。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 そのほかに御発言ございますでしょうか。

 それでは、かなり時間もたちましたので、研究の紹介の2番目「HTLV-1感染症予防ワクチンの開発に関する研究」について、長谷川先生、よろしくお願いいたします。

○長谷川参考人 国立感染症研究所感染病理部の長谷川と申します。よろしくお願いいたします。

PP

 我々の研究班では、厚生労働省科学研究費の新興・再興感染症事業といたしまして、HTLV-1感染症予防ワクチンの開発に関する研究を行っております。

PP

HTLV-1は、世界中で3,000万人の感染者数で、日本国内でも108万人の感染者数がおり、年間700人のATL発症が見込まれている病気で、今後、約5万人のATL発症が計算上されている非常に重要な疾患で、感染予防または感染している方の発症予防を目的としたワクチンが必要であろうということで、我々は研究しております。

下にHTLV-1の患者数の多い国がピンク色で示されていますけれども、これらの国の中でワクチンを開発する能力のある国というのは日本のみであります。ですから、日本に対してワクチン開発における期待というのが非常に強いものがあると考えております。

PP

 ここでワクチンの標的ですけれども、HTLV-1のワクチンといったときに、予防ワクチンと治療ワクチンというふうに大きく分けられると思います。予防ワクチンのほうでは、HTLV-1の感染の予防またはHTLV-1感染後の発症の予防、治療ワクチンに関しましては病気の治療に用いるワクチンということになります。

我々がターゲットとしていますものは予防ワクチンのほうでありまして、感染予防及び発症予防を目的としております。

感染予防の場合には、まずどういった方が最初にHTLV-1に感染するかということを考えなくてはなりませんが、先ほど来紹介されていますとおり、新生児には母乳を介した母子感染、また、健康成人におきましては水平感染、国内におきまして健康成人の水平感染というものも非常に大きな問題となってきております。

また、発症予防に関しましては、HTLV-1キャリアの方がATLの発症、HAMの発症を抑えられるような、そんなことを目的としておりまして、それぞれにおきまして誘導しなくてはならない免疫系というものが異なってまいります。

この感染予防に関しましては血中の中和抗体というものと、新生児におきましても健康成人におきましても感染は粘膜を介した感染になりますので、粘膜免疫というものが非常に重要な働きをすると考えております。

また、発症予防もしくは治療的なワクチンといったものは、感染してしまった細胞をターゲットとするような細胞障害性のT細胞、また、中和抗体というものが誘導すべき免疫になると考えております。

PP

 ここで、本研究の目的と背景ですけれども、先ほど来御説明していますとおり、我が国を初めとしたHTLV-1の流行地域から感染者数を減少させる目的で、感染阻止または発症阻止を目的としたワクチンの開発を目的といたします。

HTLV-1の主な感染経路は、先ほど申しましたとおり、主に粘膜を介する病気でありますことから、粘膜上に誘導される免疫というものが1つ重要であろうと考えております。

また、感染細胞を標的とするような免疫というものも重要であります。

ただ、実際に母子感染で必要となるターゲットが新生児ということで、ワクチン接種に関して、免疫機構が未熟であることから、その有効な効果が期待できない。そこにはある程度の工夫が必要であろうと考えております。

そこで、本研究班におきましては、HTLV-1の感染防御の免疫の標的となる抗原、またはワクチン投与ルートによりまして誘導される免疫が異なってまいります。

または免疫の賦活方法のアジュバントの検討など、また、評価系のモデルの検討、動物モデルの検討などを行ってまいりました。

PP

まず最初に行ったことは、HTLV-1ウイルスがコードする全てのタンパク質を無細胞系で作製いたしまして、その可溶化をいたしました。ここに挙げる全てのタンパクを無細胞系の系で合成いたしました。

PP

次に、第一の感染予防のターゲットとなる作製しましたエンベロープタンパクを用いまして、母子感染を想定した動物実験を行いました。これは、まず母親のマウスに免疫をし、その後、妊娠をさせて、出産。その過程における血中及び母乳中の抗体価を測定いたしました。粘膜免疫を考慮することから、接種ルートいたしましては経鼻、鼻からのルートまたは皮下接種のルートで免疫を行いました。

PP

ここに経鼻及び皮下ワクチンの免疫後のマウス、まず母親のマウスの血中の抗体ですけれども、ここに示しましたとおりに、出産前までに皮下ワクチンによってIgG抗体が高く誘導されました。出産後、血中もしくは母乳中の抗体価を測定いたしましたけれども、やはり皮下ルートのほうが高い傾向にありました。しかし、その抗原量は非常に多く、10 μ g使っておりますので、その抗原の抗体誘導能力、抗原性というものはそれほど高いものではないということがわかってまいりました。

PP

そこで、さらに工夫が必要になることが考えられまして、哺乳類細胞系を用いた抗原作製を試みましたが、ただ単にこの抗原をつくるのではなくて、ウイルスの自然の状態の構造を保ったまま抗原性を高めることを検討いたしました。

PP

HTLV-1タンパクのエンベロープタンパクは、ウイルスの表面で三量体を形成しております。ですから、ワクチン抗原といたしましても、三量体で形成したほうが本来の形を反映していることから、ワクチン抗原としては望ましいと考えられました。

そこで、HTLV-1のエンベロープタンパクの遺伝子の末端にFoldonという三量体を形成するようなタグをつけまして、こういった形の遺伝子を作製し、これによりリコンビナントの三量体のタンパクをワクチン抗原として作製することにいたしました。

PP

 こちらが哺乳類細胞系を用いて作製した三量体のHTLV-1タンパクの発現ですけれども、このように発現が見られました。

ただ、こちらがSDS-PAGEといって、全てのタンパクを出すのですけれども、夾雑物が非常に多くて、ここから生成するのはかなり困難であることが予想されました。

PP

 こちらが実際に三量体を形成していることを確認したものですけれども、サイズ的に180KDaの予想するところのフラクションにタンパクを生成することはできました。

ただ、生成量が非常に少ななかったので、実際のワクチンを用いるためには大量生産が必要になってまいります。

PP

そこで、我々は大量にこのタンパクをつくるために、昆虫細胞。これは既にヒトパピロマウイルスのワクチンや組換えのインフルエンザHAワクチンとして、実際にヒトで第三相が終了したり、実際に使われている作製方法なのですけれども、バキュロウイルスという組換えウイルスを用いて、昆虫細胞の培養系でこういったタンクで大量に作製するという方法でHTLV-1の三量体のタンパクを作製することを試みました。

PP

 そこで、我々は実際にヒトで使えなくてはならないので、実験室レベルではなくて、大量生産にすぐに持っていけるように、日本国内でGMPグレードの昆虫細胞タンパク合成の施設を有するUMNファーマというワクチンの製造メーカー、こちらではインフルエンザのワクチンなども製造されているわけですが、そこと共同研究契約を結びまして、あちらのGMPでヒトで臨床試験ができるような状態でつくれるようなタンパクの合成を行いました。

PP

 現在はそれで作製したものを解析しているところなのですけれども、昆虫細胞の細胞系を使っても実は生産効率が悪くて、現在、いろいろ工夫を加えてタンパクの生産効率を上げることを検討しております。ですから、今まで我々が行ってきたことは、HTLV-1感染症予防ワクチンの開発のために、まずは無細胞系で全てのタンパクを合成したということと、作製したエンベロープは抗体誘導能力、抗原性が低かったために、さらに工夫して三量体の可溶化したワクチン抗原を現在作製しているところであります。

現在は、UMNファーマと共同でできるだけヒトで使えるといいますか、実際のワクチンとして製造できるレベルの生産効率を上げたものの作製というものを検討しているところでありますけれども、それができ次第非臨床試験のほうに進めたいと考えております。

以上です。

○渡邉座長 長谷川先生、ありがとうございました。

 ただいまの御発表に関して御質問、御意見等ございましたら、お願いいたします。齋藤先生、お願いします。

○齋藤構成員 産婦人科の立場からぜひお願いしたいのですが、現在、ほとんど全ての妊婦さんに対してキャリアかどうかということをスクリーニングしております。実際に説明するときには、母子感染を防ぐという面では非常に満足度が高くて、自分の子にはうつしたくないということを強く望まれて母乳栄養法を選択されるのですが、一番最後に必ず私たち産婦人科医がキャリアの方から言われますのは、キャリアの私たちはどうなるのですかということです。この質問に対しては、私は三十数年近くこういったことを繰り返して、だんだん科学が進んでいきますので、あなたたちが本当に発病する年代になれば何らかの予防法ができるでしょうということでずっときたのですが、一向に進んでおりません。

 同じように、献血をする際にキャリアかどうかというのがわかって、献血をした後、キャリアという通知が本人に届くのです。しかしながら、届くだけであって、説明を受けるということはあるのですが、皆さん方、生涯発症率5%ということで、常にその5%におびえながら、結果がわかってからその人生を過ごされるということは、はかり知れない精神的な苦痛というのがあろうかと思うのです。

ですから、予防ワクチンも非常に重要ですけれども、発症を予防するようなワクチンをぜひ開発していただきたいと思うのです。それができて初めて、例えば母子感染等を防ぐということ以外にも、本人の発症を防ぐということで、妊婦さんの方にも非常に安心感を強めますし、また、たまたま献血をして陽性だったということがわかっても、本人には検査をすることでメリットが出てくると思うのです。ぜひ進めていただきたいと思います。

○長谷川参考人 ありがとうございます。

 きょうは、ウイルスの感染自身を予防するために走っている計画の一つを御紹介したのですけれども、実は私どもの研究班の中には感染研のエイズセンターの俣野センター長が班員として入っておりまして、俣野センター長は、 HIVにおいて治療的なワクチンの研究、CTL誘導型のワクチンという形で先駆的にされている先生で、俣野先生と一緒にCTL誘導型の発症予防ワクチンというのも同時進行で現在行っておりまして、それはセンダイウイルスベクターを用いて強いCTLを誘導して、既に感染してしまった細胞をターゲットとして発症を抑えることを目的としたものであります。

そういった形で両輪として発症予防と感染予防を進めておりますけれども、どちらにいたしましても、これを今後実用化させるというところになりますと、まずは動物での検証になりますが、ヒトでこの有効性を示すというところにかなりのハードルがあると思うのですけれども、実際の臨床開発のところになりますと、メーカーなりが行わないといけないことなので、我々としてはその手前まで、動物で実証するところまでを進めていきたいと考えております。

○渡邉座長 森内先生、どうぞ。

○森内構成員 小児科医なので、母子感染予防のほうに興味がどうしても出るのですけれども、1つは経鼻ワクチンのほうで思ったほどは粘膜の誘導がなかったのですか。

○長谷川参考人 IgGについては誘導があったのですけれども、中和抗体で直接比較してしまうと、やはり注射のほうが非常に高い中和抗体が誘導されていますので、経鼻よりも皮下注射で、HTLV-1の場合には変異とかが余り入りづらいので、血中の中和抗体をとにかく上げる方向というのが感染防御にはいいのかなというふうに今、考えております。

 今後、実際のモデル、生産、これでいけるというワクチンの候補抗原ができた段階でそこはもう一度動物実験で、今、考えていますのはマーモセットを用いた感染のところをとめるかどうかというのを、さまざまなワクチンルートとチャレンジルートを変えて、何が一番効果的かというのを進めたいと考えています。

○森内構成員 能動免疫を誘導できなかった場合に、逆に中和活性の高い免疫グロブリンをいっぱいつくって、それも一緒に飲ませてしまうなどという発想は、まだ今のところないですか。

○長谷川参考人 我々も中和活性のある抗体、例えば抗体医薬的なものができれば、そういったことは技術的には可能かと思いますが、抗体医薬というのは非常に高価ですので、それを持続的に飲むような形にするというのは、技術的には可能ですけれども、現実的な費用と効果を考えた場合にはかなり高価なものになってしまうと思います。

○森内構成員 そうですね。

あともう一点だけ。HIVとかサイトメガロウイルスでは中途半端なというと変ですけれども、要するに、中和活性が強くない、アビリティーの弱い抗体の誘導が逆にneonatal FC receptorを介して母子感染、経胎盤感染をふやすということが指摘されていて、母体への免疫というのは非常に魅力なのですが、それが中途半端だった場合に、HTLV-1でどの程度経胎盤感染に繋がったりするか?全くデータがありませんけれども、一応多少は(経胎盤感染が)あるのだろうと思われている中で、それをふやすことにつながるということは?言い出したら切りがないですけれども。

○長谷川参考人 それはもろ刃の剣といいますか、常にありまして、感染をエンハンスするような、いわゆるADEといった作用を起こしてしまうような抗体は避けたいと思います。ADEを起こす場合には、ウイルスによってはADE を特異的に起こす抗原というものが決まっています。例えばデングウイルスで有名ですけれども、PreMという部分が入っているためにそれがADEを起こすということがありますので、もしHTLV-1でそういうことが起こるのであれば、全ての抗原を作製していますので、そういったところで、ある抗原に対する免疫が上がるとそのADE活性が上がってしまうというようなことも検証はできると思いますので、そこら辺は慎重に行わなくてはいけないかなと思っています。

○渡邉座長 岩本先生。

○岩本構成員 もう既に出ているところですけれども、感染症が起こす腫瘍性疾患だから、水平感染と母子感染も結構あるという話なので、やはり感染予防としての抗体薬と、それは抗体を飲んでもしようがないと思う一方、感染防止のための、中和抗体というのは絶対必要だと思います。

 それからもう一つは、感染予防ワクチンと公衆ワクチンは別物でしょうから、その3つは全部追求されるべきで、中和抗体に関しては、今まできちんとしたモノクローナルは見つかっていていいというふうに思うのですけれども、まだわからないですか。

○渡邉座長 では、私のほうから補足させていただきます。

 まず、感染予防を目的とした中和活性を持つイムノグロブリン製剤の可能性については、浜口班のほうでずっと検討が進んでいまして、キャリアの中のイムノグロブリンを集めて非常にきれいに感染予防の効果があると言う実験結果が示されています。製剤化のめども原則的には可能ということになっています。

ただ、残念ながら抗体陽性者のこれまでの日赤の検体のプールが1回廃棄されていて、つまり、材料となるべき血漿のストックが今、非常に少ないという状況にはなっているそうでございます。ただ、技術的にはその部分はかなりクリアされています。

○岩本構成員 口答えするわけではないけれども、血漿からつくらなくても、B Cellからモノクローナル抗体をつくればいい。

○渡邉座長 それに関しては、今、触れようとしたのですが、沖縄の田中勇悦先生が中和モノクローナル抗体を開発されております。現実に有効と言うin vitroの実験結果が出ております。ただ、その分野の先生方の御意見が私の耳に入ってくる範囲では分かれておりまして、モノクローナル抗体よりはイムノグロブリンのほうが正しい選択であるという御意見を持っている先生もいらっしゃるそうです。

○岩本構成員 だって、エボラの抗体薬だって3つぐらいまぜているのでしょう。

○渡邉座長 ええ。だから、まぜるのだったら、もともとポリクローナルなイムロノグロブリン製剤が正しい選択ではないかと。

○岩本構成員 ポリクローナルにモノクローナルをまぜてもいいのではないか。

○渡邉座長 というような議論は聞いております。ただ、そういうことのアプローチが進んでいるということでございます。

 ちょっと時間が押していますけれども、1つ私のほうから質問してよろしいでしょうか。

 ワクチンをつくる際の抗原の作製に関して、まだ乗り越えなければいけない壁があるかのように伺ったのですが、これはHTLV-1に割と特有な問題点なのでしょうか。

○長谷川参考人 と思っています。といいますのは、昆虫の細胞系でのバキュロウイルスの系を使うと、ほとんどのウイルスタンパクはかなり大量につくれるのですけれども、HTLV-1のエンベロープに限って哺乳類系でもバキュロ系でも非常に微量しかできないというのが現状でして、恐らくHTLV-1が無細胞系ではつくれるのですが、細胞が絡むとできないので、エンベロープ自身のレセプターに結合してしまってアグってしまうのか、何か原因があると考えています。HTLV-2は逆にできていますので、現在、HTLV-2をバックボーンにして、HTLV-1のエピトープの部分を、キメラをつくることによって効率を上げられないかという検討を行っております。

○渡邉座長 ありがとうございます。その辺、よろしく御検討をお願いしたいと思います。

 少し時間が押してまいりました。どうもありがとうございました。

それでは、「HTLV-1キャリア相談体制の現状と課題」」ということに関しまして、内丸先生のほうから発表をお願いいたします。

○内丸参考人 東大医科研の内丸でございます。

PP

時間も押しているようでございますので、駆け足になりますけれども、本日は、HTLV-1キャリア、ATLの患者に対する相談体制の現状と課題ということで、少しお話をさせていただきます。

PP

 本日この場にお集まりの皆様方よく御存じのとおり、日本国内には約108万人のHTLV-1キャリアが存在すると言われておりますが、近年の人口の移動に伴って日本国内の分布が変わってきているということはよく知られていることでございます。

PP

 そのことを端的に示しているのがこちらのデータでございますけれども、妊婦健診で判明したHTLV-1感染者、いわゆるキャリアマザーの各都道府県別の推定値を北は北海道から南は九州までグラフ化したものでございます。東京、大阪等の大都市圏では、数にいたしますと九州地区に匹敵するような数のキャリアマザーがいらっしゃるということが明らかであります。

PP

 では、実際毎年毎年新規にHTLV-1キャリアはどのくらい診断されているのであろうかということでありますけれども、先ほどお話しいたしました妊婦健診で確認検査陽性で1,700人ぐらい、判定保留まで入れますと2,000人弱ぐらいです。

それから、献血で毎年年間1,900人が新規に診断されております。

PP

 さらに、献血、妊婦健診以外の理由で判明する方が大体同数だろうというふうに推定されておりますので、年間で大体5,0006,000人ぐらいは新規にHTLV-1キャリアと診断されている方が出てきているのが現状でございます。

PP

 こういった背景を踏まえまして、先ほども出ていましたので説明は不要かもしれませんけれども、2011年からHTLV-1総合対策が実施されているわけですが、その中の重点施策の一つとして挙げられている保健所におけるHTLV-1抗体検査と相談指導の実施体制の整備、HTLV-1キャリアやATLHAMの患者に対する相談体制の整備、この2点について少しお話をさせていただきます。

PP

 まず、保健所でありますけれども、私どもの厚労科研内丸班で全国の保健所の実態調査を行いました。その結果、全国の保健所の60%以上の施設でこれまで一度もキャリアからの相談を受けたことがないというふうに回答しております。

また、ふだんのHTLV-1キャリアの相談状況ということで言いますと、全体の4分の3程度が通常はキャリアの相談はありませんというふうに回答しておりまして、保健所が相談対応施設として十分に利用されていないという実態があるのではないかということを推測させます。

PP

 それでは、ニーズがないから行かないのだろうかということでありますけれども、先ほど御紹介いただきました私どもの研究班のウエブでありますが、大都市圏を中心にいたしまして、年間5万件以上のアクセス数がございまして、ニーズは恐らく確実にあるだろうというふうに考えられます。

PP

 それでは、なぜ保健所のほうでは相談件数が伸びないのだろうかということですけれども、幾つか可能性が考えられると思うのですが、一つの可能性としては、保健所でそういった相談対応をやっているということについての直接的な広報がもしかしたら不足しているのかもしれない。患者会、菅付さんのスマイルリボンの御協力をいただきまして、HTLV-1キャリア相談体制についての意識調査というのを行いましたが、病院と保健所、相談するとしたらどちらが相談しやすいですかとお尋ねしますと、「保健所」と答えた方がわずか3%ということですので、一つの可能性として保健所が相談対応する場所として十分認知されていないというふうな可能性が推測されます。

 もう一つの可能性として考えられますのは、相談を受けるとすれば、保健所より病院のほうがいいと考えている人が多いというふうな可能性もございます。

PP

 いずれにしましても、キャリアと診断された方は、そのときにどこかへ相談したいと多くの方が思われるわけでありますけれども、実際にどこに相談に行けばいいか困ったという方が多数いらっしゃいまして、相談体制という枠組みはできてきているのですが、ニーズがその体制に結びついているかどうか、その点が現状で一つの課題である可能性があります。

PP

 それでは、病院のほうはどうであろうかということでありますけれども、これも先ほど御紹介がありましたが、情報サービスウエブの「医療機関検索」というところを検索いたしますと、キャリア対応可能というふうに答えている医療機関の検索ができます。では、実際にどういったキャリア対応がされているのだろうかという実態を厚労科研の内丸班で調査をいたしましたところ、相談対応まで可能ですと答えたところは、わずか全体の40%しかありませんでした。

PP

 一方で、キャリア外来に求められているものはということで、全国でHTLV-1キャリア外来、専門外来という看板を掲げている幾つかの施設を受診した方、詳細は省きますけれども、その受診目的を見てみますと、多くの方が相談を目的にキャリア外来を受診しておられます。すなわち、「キャリア対応」という言葉のイメージがずれているというふうな可能性がございます。そこのところの是正をするためには、キャリア対応というのはこういうものであるという標準的な形を示す必要があると思われますし、そういった目的のために標準化のためのツールあるいは研修等を行って現在、標準化に努めているところでございます。

PP

 一方、ATL患者さんに対する対応ということでは、総合対策ではがん拠点病院相談支援センターが想定されていると思いますけれども、全国のがん拠点病院相談支援センターに対する私どもの研究班の調査では、全体の6割が一度もATL患者の相談を受けたことがないと回答しておりまして、全体の9割程度がほとんどATL患者さんに対する相談対応をしたことがないというふうなことになっております。

PP

 先ほどお話しいたしました患者会の連携による調査でも、「相談支援センターはATLについても相談にのってくれるのを知っていますか?」とお尋ねしますと、全体の75%の方が「知らない」と回答しておりますし、そもそも相談支援センター存在そのものが余り知られていないということで、ATLの患者相談対応についても、まずその体制自体が十分認知されていない可能性があると思われます。

PP

 がん拠点病院相談支援センターに関してもう一つの問題点は、相談支援センターの80%がATLに関する専門医、あるいは専門医療機関の情報が欲しいというふうに挙げていることでありまして、がん拠点病院といえども、ATLに関して十分対応できるかどうかという点について少し不安を感じるデータであります。

PP

 次に、都道府県母子感染対策協議会、先ほども少し話題になっておりましたけれども、これについて少し触れてみたいと思います。

PP

 総合対策によって妊婦さんの抗体チェックが進められ、授乳の指導が開始されることによって、HTLV-1の母子感染予防対策に関しては大きな前進をしたと思いますけれども、この政策を進めていくためには、授乳に関する指導だけではなくて、その選択された授乳方法をサポートしていくということ。特に産科のフォローを離れた後のお母さん。先ほど板橋先生もちょっとお話しされておりましたが、短期授乳の場合にはそれがうまくやめられないケースがあるという問題もございますので、こういったところのフォローという体制まで十分検討していく必要がございます。

PP

 これは一例でございますけれども、富山県では富山県母子感染対策検討会というところで産科医療機関から地域の保健所のほうへ連携をとりまして、そういったお母さん方のサポートという体制が組まれております。

PP

 また、これも先ほど出ていましたけれども、授乳の指導だけではなくて、キャリアマザー本人のキャリアであるということに対する対応、これをどうするかという問題も母子感染予防対策では重要な課題でありまして、前半でお話しいたしましたキャリア対応の体制の整備ということと裏腹ではございますが、こういった問題も含めて、地域の実情を踏まえて連携できる体制をつくっていく必要がある。こういったことが母子感染対策協議会の一つの重要な課題ではないかと思われます。

PP

 ということで、こういった現状を踏まえまして、現状での課題というのを幾つか考えてみますと、まず一つは、相談体制という枠組みができているのですが、それの認知度がまだ十分ではない可能性がございまして、こういった相談体制について、さらに積極的に周知を図っていく必要があるのではないかというのが第一の課題であります。

PP

 2番目は、ATL患者対応ということで、先ほども示しましたデータでございますが、がん拠点病院といえども、全てのがん拠点病院においてATLあるいはキャリアに対応することは現実的には困難である可能性がございます。現状の体制の整備、特に全国的な標準化ということを考える場合には、さらに集約された拠点施設を設置するということも検討される必要があるかもしれません。

PP

 こちらに挙げましたのは、いわゆるウイルス感染対策ということで先行しておりますHIV、ウイルス肝炎との対比ということで挙げた表でございますが、HIVあるいはウイルス肝炎では都道府県ごとに拠点病院あるいはブロック拠点病院があり、中核拠点施設がございますけれども、HTLV-1対策においても同様な拠点化ということを今後検討していく必要があるかもしれません。

PP

 また、母子感染対策協議会に関しましては、先ほどもお話しいたしましたが、授乳指導のみではなく、その後の相談支援を受けるための連携体制というのを、地域の実情に応じて検討できる。これは都道府県母子感染対策協議会の大きな役割だと思われますので、こういった役割をさらに明確化していく必要があると思われます。

PP

 まとめでございます。HTLV-1総合対策によって保健所あるいは相談支援センターという相談体制の枠組みはつくられました。ただ、これらの利用度が必ずしも高くない可能性がございまして、もしかしたら認知が低い可能性が考えられますので、そういった相談体制についても積極的な広報が必要であろうと考えられます。

また、病院における相談体制におきましても、いわゆるキャリア相談の標準化というのは必ずしも十分できておりませんので、こういった全国的な均てん化のためにも中核的な施設の設置ということを今後検討していく必要があるかもしれません。

また、都道府県母子感染対策協議会が各都道府県に設置される、あるいはされているということになっているわけですけれども、単に授乳の指導だけではなくて、その後も相談支援を受けられるような連携体制を地域の実情に応じて構築していく、これが都道府県母子感染対策協議会の重要な課題であるということを改めて認識していく必要があるかもしれません。

以上でございます。

○渡邉座長 内丸先生、ありがとうございました。

 ただいまの発表に関しまして御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。では、石母田さんのほうからどうぞ。

○石母田構成員 今、内丸先生がお示しになった21ページ、HTLV-1対策、HIV対策、ウイルス肝炎対策、キャリアの数とか死亡者数を考えてみましても、HTLV-1は結構多いと思うのですが、それに対して拠点病院はまだない、中核拠点病院もない。予算、ことしの概算要求のあれなどを見せていただいても、エイズとか肝炎に関してはきちっとその対策の予算が組まれていますが、法律がないということかもわかりませんけれども、HTLV-1に対してはそういう項目の予算というのが全くないので、これはぜひ同様の対策をとっていただけるようにお願いできたらと思います。

 もう一点、ちょっとついでで申しわけないのですが、先ほど長谷川先生のときにも出ましたけれども、世界で3,000万人のキャリアがいる。たまたま私、去年知り合ったブラジルのキャリアの代表をやっている方からメールをいただきましたので、ちょっと読ませていただいてよろしいでしょうか。

あなたが元気でよかったです。私は最近、ひどい皮膚の問題がありましたが、もう大丈夫です。またすぐにでもお会いしたいです。

あなたからのメールを読んでみました。日本ではロボットスーツの実験や治験が実施され、HAMTSP患者のために新薬を開発しているのですね。ブラジルHTLV-1キャリアの会代表の私にとってそれは最高のニュースだと思っています。ブラジルのHAMTSP患者さんたちもその研究に参加できたり、実験・新薬に関しての最新情報を聞いたりしたいです。

ここブラジルでは、HAMTSP患者のための効果的な治療がありません。何もできずに短時間に松葉づえから車椅子に進んでしまうのを見るのは大変つらいことです。

ニュースをありがとう。ここブラジルの私たちのサポートも頼りにしてください。

 こういうメールをいただいたのですが、まさに日本が率先してHTLV-1の問題を解決していかないと、世界の3,000万人のキャリアの方も救われない。こういう重い問題だと思うので、ぜひこういう相談体制などもきちっとできる予算対策をとっていただけるようにお願いしたいと思います。

以上です。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 それでは、岩本先生のほうからお願いいたします。

○岩本構成員 エイズ専門家の僕としてはちょっと発言しにくくなりましたが。

 東京都に協議会すらないというのは非常に情けないことだと思います。一方で、いろんな日本の感染症対策というのは、厚労省の立場もあるのでしょうけれども、均てん化を言い過ぎているのではないでしょうか。例えば医療施設とか、相談とかは患者さんの多いところに集中すべきだというような考えもあると思います。初めのお話にあった要請を考えながら対策をやっていただくことが当面大事なのではないかなと思います。悩みを抱える人もそういうところに固まっていることが多いわけだから。

○渡邉座長 おっしゃるとおりだと思います。そうすると、キャリアとか患者の分布に応じた相談と。

○岩本構成員 医療施設もそうだけれども、相談体制とか。

○渡邉座長 相談体制も含めて、そういう組織化を考える必要が有ると言うことですね。

○岩本構成員 重点化するという考えももちろんあると思います。

○渡邉座長 わかりました。

 ほかに御発言、御意見、御質問等。安河内さん、どうぞ。

○安河内構成員 今、ここで申し上げるあれかどうかわからないのですけれども、ちょうどおととい、小倉の自分のギャラリーにおりましたときにいらした方が50代ぐらいの女性で、お母様がATLで亡くなられたと。そのときに、その病院の先生がATLを御存じなかったというふうにおっしゃっていて、それで死期が早まったのではないかとストレスを感じていらっしゃる。御自分もかかりつけの病院でチェックをしたいというふうに担当医に言いましたら、やはり御存じなかったとおっしゃるのですね。

 そんなに小さな病院ではなさそうなのですが、どの病院か伺っていないですけれども、そういうことが小倉であるのだというのがちょっとショックで、全体的にどうなっているのかということで、ますますの周知というか、それをお願いできればなと思っております。

○渡邉座長 ありがとうございます。今のようなお話を伺うと、いまだにそういう状況なのかと私どもは本当に驚くわけですけれども、私が言いわけをする必要がないのかもしれませんが、例えば血液学会とか神経学会にしても、それなりにそういうセッションを常に開いて教育的な講演もやっておりますし、診療のガイドラインとかそういったものも整備されていますので、普通、医師の側からすると、そういう教育あるいは啓発活動というのは一生懸命やっているはずだというふうに理解しております。言いわけでございます。

 内丸先生のほうから。

○内丸参考人 参考人なので自分のところでしかしゃべれないかなと思って。

 今の岩本先生からのコメントに私なりの回答といいますか、コメント。先生おっしゃるとおりで、全く分布、数を考えずに均てん化しよう、平等化しようというふうなことは全然考えておりません。今の安河内委員のお話の後では説得力がないのですけれども、九州では概して通常の病院でも相談に行くと割と相談に対応ができたり、そういったのがあって、一方で、東京などは数がそれなりにある割にはそれこそ知らない、あるいはほかの地域はもっとそうだということがございますので、そういったところの対応を追いつかせるという意味合いで「均てん化」というふうな言葉を私は使っているつもりで、私の個人的な考えとしてはどこも同じような形でやるべきだとは思っておりません。

また、九州地区で既にでき上がっている体制を崩して全部一律に同じにしようというふうな発想も、私どもの研究班としては持っておりません。

○渡邉座長 ありがとうございます。

 それ以外、御発言、御質問、御意見等ございますか。板橋先生、よろしくお願いします。

○板橋参考人 私どもの研究班の研究協力施設は、都道府県で1カ所もないところもあるのですが、母子感染に関して言えば、相談をそこに集約することで対応のスキルも上がっていきますし、将来的にはそういうところが各都道府県の、母子感染に関してはコアになっていっていただければと思って、いろいろ教育等も含めてやっているところです。

ただ、将来的なATLHAMの問題とリンクさせたときに、どのようにその拠点を考えればいいかというのを内丸先生にちょっとお伺いしたいと思うのですが、そのあたりはどうでしょうか。母子感染といわゆる拠点病院のリンクの仕方ですね。

○渡邉座長 相談のセンター、治療のセンター化ですね。

○内丸参考人 私の研究班は、本来ATL患者対応の研究班でございまして、ATLに対する対応とキャリア、感染予防も含めてですけれども、その対応というのは不可分でございまして、ATLのことをよくわからない人がキャリア対応ができるはずがないと思っておりますので、そこはある意味では一元的にといいますか、1つの施設でATLに、あるいはHTLV-1に詳しい方が中心になってそういった体制をつくっていく。お答えになっていますでしょうか。

○板橋参考人 はい。

○内丸参考人 済みません、ちょっとずれているかもしれません。

○渡邉座長 それでは、どうもありがとうございました。

 少し時間が押しておりますので、次の議題に移りたいと思います。「患者会(スマイルリボン)の活動状況について」ということで、菅付構成員、よろしくお願いいたします。

○菅付構成員 資料5のところを見ていただきたいと思います。

NPO法人スマイルリボンというのは、アトムの会、全国HAM患者友の会、ATLネット、ATLの患者の会、カランコエというのはキャリアママの会、患者とキャリアの会の主に相談や実務を通常の事業としてやっていますが、啓発の事業に力を入れています。「~HTLV-1広報戦略部隊として活動するスマイルリボンの現状報告~」とさせていただきました。

資料に目を通していただきたいのですけれども、今、HTLV-1対策ができましたが、本当に日本からウイルスの撲滅に向けて実現性の高い対策であると考えているわけです。そこで、この対策がこれからもずっと推進して継続されていくためには、国民に対しての十分なウイルスへの理解、啓発が必要だと考えています。

ほかの感染症対策と大きく違う点というのは、薬害肝炎のように訴訟を起こしたわけでもない、インフルエンザのように危機感はない、エイズのように認知度がないという本当にマイルドな感染症としての扱いの中で、HTLV-1対策がなぜ必要なのか、国民に広く周知していかなければいけないと考えています。

 特に母子感染予防対策は、母親へのウイルスへの偏見をなくして、周囲が理解することが解決の大もとであると思っています。

 次のページは、スマイルリボンがどういう役割を果たしているかという関係図なのですけれども、マスコミや行政や民間や医師や研究者との間に入って、縦割りになりがちなところの関係に媒体の役割を果たしていることを表した図です。

 3ページに行きます。2005年に法人を設立してからずっと啓発を目的とした広報活動を継続しています。具体的には公的助成金事業に応募して獲得して実績をつくってきました。民間の助成金事業にも応募して実績をあげてきました。

マスコミとの関係は友好的に情報を送り、時々に報道してもらいました。

民間の企業の協力を得て講演会の依頼や広報の協力、イベントの計画などを一緒に考えて実行してきました。

国や地方の行政とはこのような協議会に参加し、話し合いをしながら方策を立ててきました。

医師や研究者とはシンポジウムの開催などをして協力的に方策を立ててきました。

25年の主な活動としては、そこに書いてあるとおりです。全国で講演会やシンポジウムなどを開催して啓発をやってきました。

先ほど石母田さんがお話をされましたとおり、6月にカナダのモントリオールで開かれた世界大会でHAM患者としての意見を発表しました。

次のページです。今の活動の様子を写真にしてあります。

左の写真は今、各地でやっているのですが、中島先生のロボットスーツHALの講演とHAMの新薬について、山野先生の講演。患者と家族、医師、交流会を兼ねての相談会などを開催しております。

右の写真は、テレビ局の大きなイベントなどに参加しているところです、右は一堂に5,000人集まった会場でのイベントです。このイベントに参加するのをきっかけにおそろいのTシャツ、うちわもつくりましてスマイルリボン活動をアピールしたりボランティア活動として紙芝居などをやりました。

9月以降の活動予定としてはそこに書いてあるとおりです。この中で注目していただきたいのが、1025日に「スマイルリボン健康フォーラム」ということで、非常に大々的な講演会とパネルディスカッションとコンサートの計画をしております。これは6ページにチラシが入っておりますので、ごらんください。

あと、12月7日には鹿児島県と共催で一般市民対象の講演会の開催を予定しています。第1回目は3月にやったのですけれども、鹿児島県は大隅半島と薩摩半島に分かれているものですから、全域で啓発ができるようにという計画を県と一緒に立てております。

11月を「スマイルリボン月間」ということで、ピンクリボンのように「スマイルリボン月間」と位置づけて広報活動をしましょうと話し合っております。

次の5ページです。これは7月・8月に行われたまえむき駅伝です。まえむき駅伝というのは、あるスポンサーが全国的に計画をしているイベントの一環だったのですけれども、大々的にテレビ放送をしてくださいまして、その中でスマイルリボンの活動も真面目に報道してくださいました。

6ページです。KKBというのはテレビ局なのですが、計画しているフォーラムのチラシです。

最後に、本日の大きなイベントなのですけれども、広報が一番大事だということで、どうしたらいいかをずっと考えてきたのですが、先ほど申し上げたように、告訴するわけでもない、エイズのように本当に過酷な病気、成人T細胞白血病というのがあるのですよとマスコミさんが大々的に報道したら、パニックになるようなお話です。これをやってしまえば一気に火がつくかもしれません。でも、そういうことを抑えて、国の行政と研究者と患者と医師が一緒になっていい対策を考えようとするのがHTLV-1対策。その中で国民に知らせていくのに何が大事かなと思ったときに、最後に考えたのが「すまいるんるんちゃん」というゆるキャラで、その着ぐるみをスマイルリボンが制作いたしました。

安河内先生、お願いです。テレビに登場させていただけるとありがたいです。

きょうは、そのるんるんちゃんがここに来ております。ここにキャラクターのコンセプトも全部書いてあります。色も形も全て思いを込めてつくってあります。

コンセプトのキャッチコピーは「笑顔をつなぐキューピット」。この「キューピット」の意味は「媒体」という意味なのです。つまり、スマイルリボンをあらわしているキャラクターなのです。皆さんと一緒に盛り上げていただきたいので、ぜひよろしくお願いいたします。

るんるんちゃん、入ってください。

(るんるんちゃん入場)

○菅付構成員 着ぐるみです。

すごい恥ずかしがっている。

どうでしょうか。

○渡邉座長 大きいね。

(拍手起こる)

○菅付構成員 ありがとうございます。

○岩本構成員 しゃべらないの。

○渡邉座長 しゃべらないです。

○菅付構成員 これから考えていきます。

 この後、質疑応答があるのですか。

○渡邉座長 はい。

○菅付構成員 全員で記念撮影というのは。

○結核感染症課課長補佐 今、もしよろしければ記念撮影を。

○菅付構成員 いいですか。

○渡邉座長 それでは、先に記念撮影を皆さんで。

○結核感染症課課長補佐 それでは、先生方、もしよろしければ前のほうに行っていただけますでしょうか。

○菅付構成員 済みません、足元も見てもらって。

(記念撮影)

○渡邉座長 サプライズのイベントがございましたけれども、皆さん、席に着かれましたら、今、菅付さんからの御発言あるいは御発表に関しまして何かコメントとか御質問、御意見等がございましたら、承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 それでは、特になければ、本日の発表と議論はここまでとさせていただきます。

 私、最後に座長として一言まとめといいますか、感想を述べさせていただきます。

 今回、事務局及び各研究班からの現状説明で明らかなように、総合対策の策定以前と比較いたしまして医療行政及び研究体制に関しては格段の進歩が見られている。実際に成果も上がっているというふうに考えております。

したがって、現在の課題としては、総合対策の目的達成という観点から、現在の体制をさらに推進しつつ、現状における問題点の正確な把握に基づく今後の取り組みの重点をどこに置くかという議論をすべきではなかろうかと思っております。

今回の発表にありましたように、他の慢性ウイルス感染症に対する国の対策の体制ということを考えますと、HTLV-1においても今後の課題として拠点化ということがキーワードになるのではないかという印象を受けました。

治療と研究の中核拠点の形成及び相談や治療の中核拠点の整備、そういったことが今後検討されることになるということを期待したいと思っております。

ということで、座長としての感想を今、述べさせていただきましたけれども、本日は時間も参りましたので、以上で終了とさせていただきたいと思います。

構成員の皆様、板橋参考人、長谷川参考人、内丸参考人におかれましては、御出席いただきましてまことにありがとうございました。

次回のテーマについては事務局と相談の上で決めさせていただきたいと思います。

その他、事務局のほうから発言ございますでしょうか。

○結核感染症課課長補佐 次回の開催につきましては、追ってまた御連絡させていただきます。

○渡邉座長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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